配線の接触構造及びその製造方法
【課題】低抵抗物質からなると同時に低抵抗の接触特性を有する配線の接触構造及びその製造方法の提供にある。本発明の他の課題は、接触特性の良い配線の接触構造を含む薄膜トランジスタ基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【手段】基板上に開口部を有する配線を形成する工程、前記配線を覆う絶縁膜を積層する工程、前記絶縁膜をパターニングし前記開口部を露出する接触孔を形成する工程、及び前記絶縁膜上に前記接触孔を通じて前記配線と接触する第1導電層を形成する工程を含む配線の接触構造形成方法。
【手段】基板上に開口部を有する配線を形成する工程、前記配線を覆う絶縁膜を積層する工程、前記絶縁膜をパターニングし前記開口部を露出する接触孔を形成する工程、及び前記絶縁膜上に前記接触孔を通じて前記配線と接触する第1導電層を形成する工程を含む配線の接触構造形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線の接触構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に半導体装置の配線は信号を伝達する手段として用いられるため、信号遅延を最少化することが要求される。ここで、信号遅延を防止するために、配線は低抵抗を有する金属物質、特にアルミニウム(Al)やアルミニウム合金(Al alloy)などのようなアルミニウム系金属物質を使用することが一般的である。しかし、アルミニウムやアルミニウム合金の配線は物理的、化学的特性が脆いため、他の導電物質と連結される際に接触部で腐蝕が発生し、半導体素子の特性を低下させる問題がある。特に、液晶表示装置のように、透明な導電物質であるITOを使用して画素電極を形成する場合に、ITOとアルミニウムやアルミニウム合金の配線と接する接触部でアルミニウムやアルミニウム合金の配線が腐食する。このような問題を解決するために、ITOの代わりにアルミニウム系の配線と接しても腐蝕が発生しないIZOを画素電極として形成する技術が開発されているが、IZOの場合は接触部における接触抵抗が増加する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が目的とする技術的課題は、低抵抗物質からなると同時に低抵抗の接触特性を有する配線の接触構造及びその製造方法の提供にある。本発明の他の課題は、接触特性の良い配線の接触構造を含む薄膜トランジスタ基板及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような問題点を解決するために、本発明では、配線にアルミニウムやアルミニウム合金の導電膜を含めて形成し、接触部で接触孔を通じて側壁が露出されるように形成するか、または二重膜のうち一つに開口部を形成して他の膜を露出させる。この時、接触孔を通じて配線と連結されるIZOの導電層が、接触孔での段差によって断線しないように接触孔の境界線とこれと隣接した配線の境界線との間隔が2μm範囲を超えないことが好ましい。
【0005】
まず、本発明による配線の接触構造及びその製造方法において、基板上部に第1導電層により配線を形成し、その上部に絶縁膜を積層する。次に、絶縁膜をパターニングして配線の側壁を露出する接触孔を形成し、絶縁膜上に接触孔を通じて配線の側壁と接触する第2導電層を形成する。この時、第1導電層は低抵抗を有するアルミニウムやアルミニウム合金の上部膜と、IZOと低い接触抵抗を有するモリブデンやモリブデン合金またはクロムの下部膜とで形成されることが好ましい。第2導電層はIZOで形成することが好ましい。
【0006】
また、配線の外に位置する接触孔の境界線とこれと隣接した配線の境界線との間隔は2μm以内であるように接触孔を形成するのが好ましい。
【0007】
また、本発明による他の配線の接触構造及びその製造方法において、基板上に開口部を有する配線を形成し、配線を覆う絶縁膜を積層する。次に、絶縁膜をパターニングして開口部を露出する接触孔を形成し、絶縁膜上に接触孔を通じて配線と接触する第1導電層を形成する。ここで、配線は、アルミニウムやアルミニウム合金の上部膜とモリブデンやモリブデン合金またはクロムの下部膜からなる第2導電層で形成し、第1導電層はIZOで形成するのが好ましい。この時、開口部は上部膜にのみ形成し、開口部は4μm×4μm以下の面積を有するように形成することが良い。
【0008】
上部膜及び下部膜は、一つの感光膜パターンを用いた写真エッチング工程で形成できる。
【0009】
このような本発明による配線の接触構造及びその製造方法は、薄膜トランジスタ基板及びその製造方法に適用することができる。
【0010】
本発明による薄膜トランジスタ基板には、絶縁基板上にゲート配線が形成されており、ゲート配線を覆うゲート絶縁膜及びその上に半導体層が形成されている。ゲート絶縁膜上にはデータ配線が形成され、その上部には半導体層を覆う保護膜が形成されている。ゲート絶縁膜または保護膜上には、少なくともゲート配線またはデータ配線の外に一部の境界線が位置し、ゲート配線またはデータ配線の側壁を露出するゲート絶縁膜または保護膜の第1接触孔を通じてゲート配線またはデータ配線の側壁と接触している透明導電膜パターンが形成されている。
【0011】
ここで、ゲート配線またはデータ配線は、クロムまたはモリブデンやモリブデン合金の下部膜とアルミニウムやアルミニウム合金の上部膜からなり、ゲート絶縁膜及び保護膜は窒化ケイ素からなり、透明導電膜パターンはIZOからなることが好ましい。
【0012】
ゲート配線は横方向に延びているゲート線、ゲート線と連結されているゲート電極及び外部から走査信号の伝達を受けてゲート線に伝達するゲートパッドを含み、データ配線は縦方向に延びているデータ線、データ線と連結されているソース電極、ソース電極と分離されゲート電極を中心にソース電極と対向し、第1接触孔を通じて側壁が露出されているドレーン電極及び外部から映像信号の伝達を受けてデータ線に伝達するデータパッドを含む。
【0013】
この時、保護膜は、データパッドを露出する第2接触孔及びゲート絶縁膜と共にゲートパッドを露出させる第3接触孔を有し、第1乃至第3接触孔の大きさは4μm×4μm以上、10μm×10μm以下であるのが好ましい。透明導電膜パターンは、ドレーン電極の側壁と接触される。そして、画素電極は、第2及び第3接触孔を通じてデータパッド及びゲートパッドと各々連結されている補助データパッドまたは補助ゲートパッドと接触されている。この時、第2または第3接触孔では、データパッドまたはゲートパッドの側壁が露出されており、補助データパッドまたは補助ゲートパッドは少なくともデータパッド及びゲートパッドの側壁と接触されているのが好ましい。
【0014】
このような本発明による薄膜トランジスタ基板の製造方法において、まず、絶縁基板上にゲート線、ゲート線と連結されているゲート電極を含むゲート配線を形成する。次に、ゲート配線を覆うゲート絶縁膜及びその上に半導体層を順次に形成し、ゲート線と交差するデータ線、データ線と連結され、ゲート電極に隣接するソース電極及びゲート電極に対してソース電極の対向側に位置するドレーン電極を含むデータ配線を形成する。次いで、保護膜を積層しパターニングして、少なくともドレーン電極の外に境界線が位置しドレーン電極の側壁を露出する第1接触孔を形成し、保護膜上に少なくともドレーン電極の側壁と接触する画素電極を形成する。
【0015】
ここで、データ配線及び半導体層は、部分的に厚さが異なる感光膜パターンを用いた写真エッチング工程で共に形成でき、感光膜パターンは第1の厚さを有する第1部分、第1の厚さより厚い第2部分、厚さを有しない第3部分を含むことが好ましい。
【0016】
写真エッチング工程で感光膜パターンは、第1領域、第1領域より低い透過率を有する第2領域及び第1領域より高い透過率を有する第3領域を含む光マスクを用いて形成される。そして、写真エッチング工程において、第1部分はソース電極とドレーン電極との間、第2部分はデータ配線上に位置するように形成することが好ましい。
【0017】
第1乃至第3領域の透過率を異ならせて調節するために、光マスクには半透明膜または露光器の分解能より小さいスリットパターンが形成されており、第1部分の厚さは第2部分の厚さに対して1/2以下にすることが好ましい。半導体層とデータ配線との間に抵抗性接触層を形成でき、データ配線と接触層及び半導体層を一つのマスクを用いて形成できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、接触部から配線の側壁傾斜面を露出させ、IZO膜との接触抵抗が低い導電膜とIZO膜とを接触させて、配線とIZO膜の接触抵抗を最少化し、接触部の信頼性を確保できる。また、低抵抗のアルミニウムやアルミニウム合金を含む導電膜を含む配線を形成することで、大画面、高精細の製品特性を向上させることができる。そして、製造工程を単純化して液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板を製造するので、製造工程を単純化し、製造費用を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】本発明の実施例における配線の接触構造を示すものである(1)。
【図1B】本発明の実施例における配線の接触構造を示すものである(2)。
【図2A】本発明の実施例における配線の接触構造を示すものである(3)。
【図2B】本発明の実施例における配線の接触構造を示すものである(4)。
【図2C】本発明の実施例における配線の接触構造を示すものである(5)。
【図2D】本発明の実施例における配線の接触構造を示すものである(6)。
【図3A】本発明の実施例における配線の接触構造を示すものである(7)。
【図3B】本発明の実施例における配線の接触構造を示すものである(8)。
【図3C】本発明の実施例における配線の接触構造を示すものである(9)。
【図3D】本発明の実施例における配線の接触構造を示すものである(10)。
【図3E】本発明の実施例における配線の接触構造を示すものである(11)。
【図4】本発明の第1の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板を示すものである。
【図5】図4に示した薄膜トランジスタ基板のIV-IV線に沿った断面図である。
【図6A】本発明の第1の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板を製造する中間過程をその工程順によって示した薄膜トランジスタ基板の配置図である。
【図6B】図6AのVIb-VIb’線に沿った断面図である。
【図7A】本発明の第1の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板を製造する中間過程をその工程順によって示した薄膜トランジスタ基板の配置図である。
【図7B】図7AのVIIb-VIIb’線に沿った断面図で、図6Bの次の工程を示すものである。
【図8A】本発明の第1の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板を製造する中間過程をその工程順によって示した薄膜トランジスタ基板の配置図である。
【図8B】図8AのVIIIb-VIIIb’線に沿った断面図で、図7Bの次の工程を示すものである。
【図9A】本発明の第1の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板を製造する中間過程をその工程順によって示した薄膜トランジスタ基板の配置図である。
【図9B】図9AのIXb-IXb’線に沿った断面図で、図8Bの次の工程を示すものである。
【図10】本発明の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板の周辺領域に形成されたテストパターンの接触抵抗を測定した結果を示す表である。
【図11】本発明の第2の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板の配置図である。
【図12】図11に示した薄膜トランジスタ基板のXII-XII’線に沿った断面図である。
【図13】図11に示した薄膜トランジスタ基板のXIII-XIII’線に沿った断面図である。
【図14A】本発明の第2の実施例によって製造する初工程での薄膜トランジスタ基板の配置図である。
【図14B】図14AのXIVb-XIVb’線に沿った断面図である。
【図14C】図14AのXIVc-XIVc’線に沿った断面図である。
【図15A】図14AのXIVb-XIVb’線に沿った断面図で、図14Bの次の工程を示す。
【図15B】図14AのXIVc-XIVc’線に沿った断面図で、図14C次の工程を示す。
【図16A】図15A及び15Bの次の工程の薄膜トランジスタ基板の配置図である。
【図16B】図16AのXVIb-XVIb’線に沿った断面図である。
【図16C】図16AのXVIc-XVIc’線に沿った断面図である。
【図17A】図16AのXVIb-XVIb’線に沿った断面図で、図16Bの次の工程を工程順によって示すものである。
【図17B】図16Aの及びXVIc-XVIc’線に沿った断面図で、16Cの次の工程を工程順によって示すものである。
【図18A】図16AのXVIb-XVIb’線に沿った断面図で、図17Bの次の工程を工程順によって示すものである。
【図18B】図16Aの及びXVIc-XVIc’線に沿った断面図で、17Cの次の工程を工程順によって示すものである。
【図19A】図16AのXVIb-XVIb’線に沿った断面図で、図18Bの次の工程を工程順によって示すものである。
【図19B】図16Aの及びXVIc-XVIc’線に沿った断面図で、18Cの次の工程を工程順によって示すものである。
【図20A】図19A及び図19Bの次の工程の薄膜トランジスタ基板の配置図である。
【図20B】図20AのXXb-XXb’線に沿った断面図である。
【図20C】図20AのXXc-XXc’線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付した図面を参照して本発明の実施例よる配線の接触構造及びその製造方法と、これを含む薄膜トランジスタ基板及びその製造方法に対して本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。
【0021】
図1A乃至図3Eは、本発明の実施例に配線の接触構造を示した図面である。ここで、図1A、図2A、図2C及び図3A乃至図3Eは、配線の接触構造を示す配置図であり、図1B、図2B及び図2Dは、各々図1A、図2A及び図3CのIb-Ib’、IIb-IIb’及びIId-IId’線に沿った断面図である。
【0022】
半導体装置、特に信号を伝達する配線として信号の遅延を最少化するためには、15μΩcm以下の低い比抵抗を有するアルミニウムやアルミニウム合金の金属物質が適する。この時、配線は外部から信号を受けたり、外部に信号を伝達するために他の導電層と連結されるが、製造過程で他の導電物質との接触抵抗が小さいことが要求される。このために、本発明の実施例による配線の接触構造製造方法では、図1A及び図1Bのように、基板10上にモリブデンやモリブデン合金またはクロムなどのようにIZOと低い接触抵抗を有する導電物質の下部膜111と、低抵抗を有するアルミニウムやアルミニウム合金からなる上部膜112を含む第1導電層11を積層しパターニングし、配線を形成し、配線11を覆う絶縁膜12を積層する。次に、絶縁膜12をパターニングして配線11を露出する接触孔13を形成し、絶縁膜12の上に接触孔13を通じて配線11と直接連結され、IZOからなる第2導電層14を形成する。この時、絶縁膜12の接触孔13は、配線11の側壁境界面、特に下部膜111の側壁境界面が十分露出されるように形成し、IZO膜14と下部膜111が十分に接するように接触部を形成する。ここで、接触孔13を通じて配線11と連結される第2導電層14が、接触孔13の段差または配線11下部のアンダーカット現象によって断線されることを防止できるように、接触孔13から露出された配線11の境界線とこれに隣接した接触孔13の境界線との間の間隔(d)が2μm範囲を超えないように接触孔13を形成することが好ましい。
【0023】
また、本発明の他の実施例による配線の接触構造及びその製造方法では、図2A及び図2Bのように、第1導電層の配線11の上部膜112に少なくとも一つ以上の開口部15を形成し、配線11を覆う絶縁膜12をパターニングし、開口部15を露出して接触孔13を形成する。次に、開口部15で配線11の下部膜111と接触する第2導電層14を形成する。この時、開口部15の面積は4×4μm以下で形成するのが好ましい。このように開口部15を小さく形成すれば、上部膜112と下部膜111を一つのマスクで形成できる。つまり、互いに異なるパターンの上部膜112と下部膜111をパターニングする時、まず写真エッチング工程で感光膜パターンをエッチングマスクとして、上部膜112を形成する。次いで、残った感光膜パターンまたは上部膜112をエッチングマスクとして下部膜111をエッチングする。この時、開口部15の面積は4×4μm以下と非常に小さいため、開口部15におけるエッチング速度が非常に遅く、下部膜111は完全に除去されず残る。こうして、互いに異なる模様の上部膜112と下部膜111を一つの感光膜パターンを用いる写真エッチング工程で形成できる。
【0024】
さらに、本発明の他の実施例による配線の接触構造及びその製造方法において、下部膜111と第2導電層14の接触面積を確保するために、図2C及び図2Dのように、上部膜112の周囲外部に下部膜111の上部面が露出するように形成し、配線11の側面を階段構造に形成することもできる。この時、互いに異なるパターンの上部膜112と下部膜111を一つの感光膜パターンでパターニングする方法として、スリットパターンまたは半透明膜を用いたり、リフロー工程を用いて、周縁が他の部分より薄い配線用感光膜パターンを形成した後、二重でエッチングする方法が挙げられる。これに関しては、後に4枚マスクを用いた薄膜トランジスタアレイ基板の製造工程で具体的に説明する。
【0025】
一方、図3A乃至図3Dのように、配線11と接触孔13の誤整列マージンを有することができるように配線11または接触孔13を多様に変形でき、図3Eのように、配線11の開口部15を多数形成できる。
【0026】
このような配線の接触構造及びその製造方法は、液晶表示装置用薄膜トランジスタ及びその製造方法にも適用できる。
【0027】
以下、このような本発明による配線の接触構造を含む液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板及び製造方法について図面を参照して詳細に説明する。まず、図4及び図5を参照して本発明の第1の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板の構造について詳細に説明する。
【0028】
図4は、本発明の第1の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板であり、図5は、図4に示した薄膜トランジスタ基板のV-V’線に沿った断面図である。
【0029】
絶縁基板10上に、低抵抗を有するアルミニウムやアルミニウム合金の金属物質からなるゲート配線が形成されている。ゲート配線は横方向に延びているゲート線22、ゲート線22の端に連結され外部からのゲート信号の印加を受けてゲート線に伝達するゲートパッド24及びゲート線22に連結されている薄膜トランジスタのゲート電極26を含む。
【0030】
基板10上には、窒化ケイ素(SiNx)などからなるゲート絶縁膜30がゲート配線22、24、26を覆っている。
【0031】
ゲート電極26のゲート絶縁膜30上には、非晶質シリコンなどの半導体からなる半導体層40が島状に形成されており、半導体層40の上には、シリサイドまたはn型不純物が高濃度にドーピングされているn+水素化非晶質シリコンなどの物質で作られた抵抗接触層55、56が各々形成されている。
【0032】
抵抗接触層55、56及びゲート絶縁膜30上には、アルミニウム(Al)やアルミニウム合金(Al alloy)、モリブデン(Mo)やモリブデン-タングステン(MoW)合金、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、チタニウム(Ti)などの金属または導電体からなるデータ配線62、65、66、68が形成されている。データ配線は縦方向に形成され、ゲート線22と交差して画素領域を定義するデータ線62、データ線62に連結され抵抗接触層54の上部まで延びているソース電極65、データ線62の一端に連結され外部からの画像信号の印加を受けるデータパッド68、ソース電極65と分離されゲート電極26に対してソース電極65の反対側の抵抗接触層56上に形成されているドレーン電極66を含む。
【0033】
データ配線62、65、66、68は、アルミニウムやアルミニウム合金の単一膜で形成するのが好ましいが、二重層以上で形成しても良い。二重層以上で形成する場合には、一つの層は低抵抗物質で形成し、他の層は別の物質、特にIZOと低い接触抵抗を有する物質で作製することが好ましい。例として、Al(またはAl合金)/CrまたはAl(またはAl合金)/Mo(またはMo合金)などが挙げられ、本発明の実施例でデータ配線62、65、66、68は、クロムの下部膜601とアルミニウム-ネオジム合金の上部膜602の二重膜で形成されている。
【0034】
データ配線62、65、66、68及びこれらで覆われない半導体層40上には窒化ケイ素からなる保護膜70が形成されている。
【0035】
保護膜70には、ドレーン電極66及びデータパッド68を各々露出する接触孔76、78が形成されており、ゲート絶縁膜30と共にゲートパッド24を露出する接触孔74が形成されている。ここで、接触孔76はドレーン電極66の境界線が露出されるように形成され、ドレーン電極68の下部膜601と上部膜602の側壁が全て接触孔76を通じて露出されている。この時、接触孔76及びデータ配線66は、図3A乃至図3Eのように様々な形になることができ、特にドレーン電極66を露出する接触孔76は10μm×10μm以下、4μm×4μm以上であるのが好ましい。また、パッド24、68を露出する接触孔74、78もパッドの境界線が露出されるように形成することができ、接触部の接触抵抗を最少化するために接触孔76より大きく形成することが好ましい。
【0036】
保護膜70上には、接触孔76を通じてドレーン電極66と電気的に連結され画素に位置する画素電極82が形成されている。ここで、画素電極82は、接触孔76から露出されたドレーン電極66の側壁、特にドレーン電極66の下部膜601の側壁と十分に接触している。このような本発明の実施例による構造において、接触部の接触抵抗は良好なものと測定されている。これに関しては次の製造方法の記載で具体的に説明する。
【0037】
また、保護膜70上には、接触孔74、78を通じて各々ゲートパッド24及びデータパッド68と連結されている補助ゲートパッド86及び補助データパッド88が形成されている。画素電極82と補助ゲート及びデータパッド86、88はIZOで形成されている。ここで、画素電極82は図4及び図5のように、ゲート線22と重なって維持蓄電器を構成し、保持容量が不足した場合にはゲート配線22、24、26と同一層に保持容量用配線を追加することもできる。
【0038】
以下、このような本発明の第1の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板の製造方法について図4及び図5、図6A乃至図9Bを参照して詳細に説明する。
【0039】
まず、図6A及び6Bに示すように、基板10上に低抵抗を有するアルミニウムやアルミニウム合金のうち、2at%のNdを含むAl-Ndを含む標的を利用して2,500Å程度の膜厚に150℃程度でスパッタリングで積層しパターニングして、ゲート線22、ゲート電極26及びゲートパッド24を含み、テーパ構造を有する横方向のゲート配線を形成する。
【0040】
次に、図7A及び図7Bに示すように、窒化ケイ素からなるゲート絶縁膜30、非晶質シリコンからなる半導体層40、ドーピングされた非晶質シリコン層50の3層膜を連続積層し、マスクを用いたパターニング工程で半導体層40とドーピングされた非晶質シリコン層50をパターニングして、ゲート電極26と対向するゲート絶縁膜30上に半導体層40と抵抗接触層50を形成する。ここで、ゲート絶縁膜30は、窒化ケイ素を250〜400℃の温度範囲、2,000〜5,000Å程度の膜厚に積層して形成することが好ましい。
【0041】
次に、図8A乃至図8Bに示すように、モリブデンやモリブデン合金またはクロムなどからなる下部膜601を500Å程度の膜厚に、低抵抗を有するアルミニウムやアルミニウム合金のうち、2at%のNdを含むAl-Nd合金の標的を利用して上部膜602を150℃程度で2,500Å程度の膜厚さにスパッタリングで順次に積層する。その後、マスクを用いた写真工程でパターニングして、テーパ構造を有するデータ配線を形成する。データ配線としては、ゲート線22と交差するデータ線62、データ線62と連結されゲート電極26上部まで延びているソース電極65、データ線62は一側端に連結されているデータパッド68及びソース電極64と分離されており、ゲート電極26を中心にソース電極65と対向するドレーン電極66を含む。ここで、上部膜602及び下部膜601は、両方湿式エッチングでエッチングすることができる。また、上部膜602は湿式エッチングで、下部膜601は乾式エッチングでエッチングすることもでき、下部膜601がモリブデンやモリブデン合金膜である場合には、上部膜602と一つのエッチング条件でパターニングすることができる。また、ドレーン電極66の上部膜602にのみ開口部を形成し、最終的に図2A及び図2Bのような接触構造を形成することもできる。この開口部の面積を4μm×4μm以下と小さく形成し、マスクを用いる写真エッチング工程を別途追加しないことが好ましい。
【0042】
そして、この後形成されるIZO膜と下部膜601とが十分に接触できるように下部膜601が上部膜602の下部にアンダーカットされることを防止することや、下部膜601が上部膜602の外に出るように形成することが好ましい。このために、モリブテンやモリブデン合金で下部膜601を形成する場合には、下部膜601と上部膜602の膜厚の比を1:5以上で積層し、DIPモードで実施して電池反応を最適化し、下部膜がアンダーカットされることを防止する。また、下部膜601をクロムで形成する場合には、下部膜601を500Å以下の膜厚さで積層し、洗浄工程または感光膜を除去する工程でアルミニウムやアルミニウム合金の上部膜602一部を除去する条件を適用し、クロムの下部膜601を上部膜602の外に出るように形成する。
【0043】
次に、データ配線62、65、66、68で覆われないドーピングされた非晶質シリコン層パターン50をエッチングしてゲート電極26を中心に両側に分離する一方、両側のドーピングされた非晶質シリコン層55、56の間の半導体層パターン40を露出させる。次いで、露出された半導体層40の表面を安定化するために酸素プラズマ処理を実施することが好ましい。
【0044】
次に、図9A及び図9Bのように、窒化ケイ素のような無機絶縁膜を250〜400℃の範囲で積層して保護膜70を形成し、マスクを用いた写真エッチング工程でゲート絶縁膜30と共に乾式エッチングでパターニングし、ゲートパッド24、ドレーン電極66及びデータパッド68を各々露出する接触孔74、76、78を形成する。ここで、接触孔74、76、78を形成する時のエッチング条件は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の金属膜がエッチングされない条件を適用するのが好ましく、エッチング気体としてはF系の気体を使用できる。接触孔76は、ドレーン電極66の境界線及び上部膜601と下部膜601の側壁が露出されるように、また接触孔76からドレーン電極66の境界線が露出されるように形成する。この時、ドレーン電極66の外に位置する接触孔76の境界線とこれと隣接したドレーン電極66の境界線の間隔は、2μm以内の範囲になるように形成することが好ましい。これは、この後形成される画素電極82とドレーン電極66との間の接触抵抗を最少化し、接触孔76形成時にドレーン電極66の下部にアンダーカット現象が発生することを防止するためである。つまり、ドレーン電極66の外に位置する接触孔76の境界線とこれと隣接したドレーン電極66の境界線の間隔を3μm以上にして接触孔76を大きく形成すると、接触孔76を形成する時にドレーン電極66の下部でゲート絶縁膜30が過度にエッチングされ、アンダーカット現象が発生する。そうすると、ゲート絶縁膜30の段差によって、この後形成される画素電極82がドレーン電極66の下部で断線されるおそれがあり、これで接触部の接触抵抗が増加することになる。しかし、本発明の実施例のように、ドレーン電極66の外に位置する接触孔76の境界線と、これと隣接したドレーン電極66の境界線の間隔を2μm以内の範囲で接触孔76を形成すれば、ドレーン電極66の下部でゲート絶縁膜30が過度にエッチングされることなく、ドレーン電極66側壁の傾斜面を完全に露出させることができる。勿論、ここでパッド24、68を露出する接触孔74、78もパッド24、68の境界線が露出されるように形成し、図1A及び図1Bのように接触部を形成することもできる。
【0045】
最後に、図4及び5に示すように、IZO膜をスパッタリングで積層してマスクを用いたパターニングを実施し、接触孔76を通じてドレーン電極66と連結される画素電極82と接触孔74、78を通じてゲートパッド24及びデータパッド68と各々連結される補助ゲートパッド86及び補助データパッド88を各々形成する。この時、画素電極82は、ドレーン電極66の下部でアンダーカット現象が発生しないので断線されない。また、IZO膜と低い接触抵抗を有する下部膜601と十分に接しているので、接触部の接触抵抗を最少化することができる。本発明の実施例で、IZO膜82、86、88を形成するための標的は、出光(idemitsu)社のIDIXO(商品名:indium x-metal oxide)を使用し、標的はIn2O3及びZnOを含み、In+ZnでZnの含有量が15〜20at%の範囲であることが好ましい。また、IZO膜は、接触抵抗を最少化するために250℃以下の範囲で積層するのが好ましい。
【0046】
このような本発明の実施例による製造工程で、画素の集合からなる表示領域の外の周辺領域に、画素領域に形成されている構造と同様なテストパターンで接触構造を形成し、接触部の接触抵抗を測定する。三つの場合に対してそれぞれ測定した。即ち、テストパターンは、接触孔76をドレーン電極66上に形成する第1の場合と、ドレーン電極66の外に位置する接触孔76の境界線とこれと隣接したドレーン電極66の境界線の間隔が3μm以上になるように接触孔を大きく形成する第2の場合、及び本発明の接触構造のようにドレーン電極66の外に位置する接触孔76の境界線とこれと隣接したドレーン電極66の境界線の間隔が2μm以内の範囲になるように形成する第3の場合に対するテストパターンを形成し、200個のテストパターンの接触抵抗を測定した。その結果、第1及び第2の場合は、接触抵抗がE7Ω以上と大きいものと測定されており、第3の場合はE6Ω以下と良好であった。
【0047】
さらに、製造工程の時の様々な工程条件に対する接触部の接触抵抗をテストパターンを通じて測定した。
【0048】
図10は、本発明の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板の周辺領域に形成されたテストパターンの接触抵抗を測定した結果を示す表である。
【0049】
前記テストパターンは、表示領域の外の周辺部に形成し、図1A及び図1Bのようにデータ配線用金属層であるクロムの下部膜とアルミニウム合金の上部膜からなる配線、接触孔を有し窒化ケイ素からなる絶縁膜及びIZO膜からなる3層膜の構造に単純化し、200個の接触部を形成して接触抵抗を測定した。ここで、第1パターンは、接触孔の境界線が配線の上部にのみ位置するように接触部を形成しており、第2パターンは本発明の実施例のように配線側壁の傾斜面とIZO膜が接触するように接触部を形成している。絶縁膜は235℃、310℃の温度、2,000Å、3,000Åの膜厚の各々異なる条件で保護膜及びゲート絶縁膜を積層し、配線は150℃、50℃の温度で各々アルミニウム合金膜を積層する場合に対して接触抵抗を測定した。さらに、配線を1,500Å、3,000Åの抵抗性接触層をエッチングする気体に対して露出させた第1の場合と、63秒、68秒の間PEモードで絶縁膜をエッチングして接触孔を形成する第2の場合、1,000W、400WのICPモードで絶縁膜をエッチングして接触孔を形成する第3の場合、接触孔を通じて露出された配線を洗浄しない場合及び70秒間洗浄を行った第4の場合に対して各々接触抵抗を測定した。
【0050】
図10に示すように、接触孔を10μm×10μmに形成した場合、第1のパターンの接触抵抗は5.3MΩ〜4.0GΩの範囲と大きく、第2のパターンの接触抵抗は14KΩ〜515KΩの範囲でE5Ω以下と良好なものと測定された。さらに、第1のパターンで接触抵抗が60KΩと良好に測定されたケースについて詳しく検討した結果、第1のパターンの接触構造が、第2のパターンの接触構造のように配線の境界線が接触孔から露出するように形成され、IZO膜と配線側壁、特に下部膜と十分に接触される構造であることが分かった。
【0051】
そして、接触孔を7μm×7μmに形成した場合は、第1のパターンの接触抵抗は12MΩ〜7.9GΩの範囲と大きく、第2のパターンの接触抵抗は18KΩ〜664KΩの範囲でE5Ω以下と良好なものと測定された。また、接触孔を4μm×4μmに形成した場合、第1のパターンの接触抵抗は48MΩ〜85GΩの範囲と大きく、第2のパターンの接触抵抗は30KΩ〜1.2MΩの範囲と良好な測定結果が出た。
【0052】
このような本発明の実施例による薄膜トランジスタアレイ基板の構造は、ゲート配線22、24、26及びデータ配線62、64、66、68が、低抵抗を有するアルミニウムやアルミニウム合金の導電膜を含むと同時に接触部、特にデータ配線とIZO膜の画素電極82の接触抵抗を最少化することができるので、大画面、高精細の液晶表示装置に適用することができる。
【0053】
このような方法は、前述のように、5枚のマスクを用いる製造方法に適用できるが、4枚のマスクを用いる液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板の製造方法にも同様に適用できる。これについて図面を参照して詳細に説明する。
【0054】
まず、図11乃至図13を参照して、本発明の実施例による4枚のマスクを用いて完成した液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板の単位画素構造について詳細に説明する。図11は、本発明の第2の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板の配置図であり、図12及び図13は、各々図8に示す薄膜トランジスタ基板のXII-XII’線及びXIII-XIII’線に沿った断面図である。
【0055】
絶縁基板10上には、第1の実施例と同様にアルミニウムまたはアルミニウム合金の低抵抗導電物質からなるゲート線22、ゲートパッド24及びゲート電極26を含むゲート配線が形成されている。そして、ゲート配線は、基板10上にゲート線22と平行し、上板の共通電極に入力される共通電極電圧などの電圧印加を外部から受ける維持電極28を含む。維持電極28は、後述する画素電極82と連結された維持蓄電器用導電体パターン68と重なり、画素の電荷保存能力を向上させる維持蓄電器を構成し、後述する画素電極82とゲート線22の重畳で発生する保持容量が十分な場合は形成しないこともある。
【0056】
同様に、ゲート配線22、24、26、28は、アルミニウムやアルミニウム合金からなる単一層でも形成できるが、IZOと低い接触抵抗を有するクロムまたはモリブデンやモリブデン合金またはタンタルまたはチタニウムからなる下部膜201と、アルミニウムやアルミニウム合金からなる上部膜202を含む二重膜で形成されている。
【0057】
ゲート配線22、24、26、28上には、窒化ケイ素(SiNx)などからなるゲート絶縁膜30が形成され、ゲート配線22、24、26、28を覆っている。
【0058】
ゲート絶縁膜30上には、水素化非晶質シリコンなどの半導体からなる半導体パターン42、48が形成されており、半導体パターン42、48上には、リン(P)などのn型不純物として高濃度でドーピングされている非晶質シリコンなどからなる抵抗性接触層パターンまたは中間層パターン55、56、58が形成されている。
【0059】
抵抗性接触層パターン55、56、58上には、低抵抗を有するアルミニウムやアルミニウム合金の導電物質からなる導電膜を含むデータ配線が形成されている。データ配線は、縦方向に形成されているデータ線62、データ線62の一端に連結され外部からの画像信号の印加を受けるデータパッド68、そしてデータ線62の分枝である薄膜トランジスタのソース電極65からなるデータ線部を含む。さらに、データ線部62、68、65と分離され、ゲート電極26または薄膜トランジスタのチャンネル部(C)に対してソース電極65の反対側に位置する薄膜トランジスタのドレーン電極66と維持電極28上に位置している維持蓄電器用導電体パターン64も含む。維持電極28を形成しない場合、維持蓄電器用導電体パターン64も形成しない。
【0060】
データ配線62、64、65、66、68もゲート配線22、24、26、28と同様に、アルミニウムやアルミニウム合金の金属からなる単一層で形成できるが、第1の実施例と同様にクロムまたはモリブデンやモリブデン合金またはタンタルまたはチタニウムからなる下部膜601と、アルミニウムやアルミニウム合金からなる上部膜602を含む二重膜で形成されている。
【0061】
接触層パターン55、56、58は、その下部の半導体パターン42、48とその上部のデータ配線62、64、65、66、68の接触抵抗を小さくする役割をし、データ配線62、64、65、66、68と完全に同じ形態を有する。即ち、データ線部中間層パターン55はデータ線部62、68、65と同じであり、ドレーン電極用中間層パターン56はドレーン電極66と同じであり、維持蓄電器用中間層パターン58は維持蓄電器用導電体パターン64と同じである。
【0062】
一方、半導体パターン42、48は、薄膜トランジスタのチャンネル部(C)を除けばデータ配線62、64、65、66、68及び抵抗性接触層パターン55、56、58と同じ形態である。具体的には、維持蓄電器用半導体パターン48と維持蓄電器用導電体パターン64及び維持蓄電器用接触層パターン58は同じ形態であるが、薄膜トランジスタ用半導体パターン42はデータ配線及び接触層パターンの他の部分と少し異なる。即ち、薄膜トランジスタのチャンネル部(C)でデータ線部62、68、65、特にソース電極65とドレーン電極66が分離されており、データ線部中間層55とドレーン電極用接触層パターン56も分離されているが、薄膜トランジスタ用半導体パターン42はここで切れることなく連結され、薄膜トランジスタのチャンネルを生成する。
【0063】
データ配線62、64、65、66、68上には、窒化ケイ素からなる保護膜70が形成されている。保護膜70は、ドレーン電極66、データパッド68及び維持蓄電器用導電体パターン64を露出する接触孔76、78、72を有し、また、ゲート絶縁膜30と共にゲートパッド24を露出する接触孔74を有している。ここで、全ての接触孔72、74、76、78は、維持蓄電器用導電体パターン64、ゲートパッド24、ドレーン電極66、データパッド68の側壁、特にそれぞれのIZOと低い接触抵抗を有する下部膜201、601が露出するように形成されている。
【0064】
保護膜70上には、薄膜トランジスタから画像信号を受けて上板の電極と共に電場を生成する画素電極82が形成されている。画素電極82は、IZOなどの透明な導電物質で形成され、接触孔76を通じてドレーン電極66と物理的・電気的に連結され画像信号の伝達を受ける。さらに、画素電極82は、隣接するゲート線22及びデータ線62と重なって開口率を高くしているが、重ならないこともある。また、画素電極82は、接触孔72を通じて維持蓄電器用導電体パターン64とも連結され導電体パターン64に画像信号を伝達する。一方、ゲートパッド24及びデータパッド68上には、接触孔74、78を通じて各々これらと連結される補助ゲートパッド86及び補助データパッド88が形成されており、これらはパッド24、68と外部回路装置との接着性を補完し、パッドを保護する役割をするもので必須ではなく、これらの適用の要否は選択的である。ここでも、接触部でIZO膜82、86、88は、維持蓄電器用導電体パターン64、ゲートパッド24、ドレーン電極66、データパッド68の側壁、特にIZOと低い接触抵抗を有する下部膜201、601と接触されている。
【0065】
ここでは、画素電極82の材料の例として透明なIZOを挙げたが、透明な導電性ポリマーなどで形成することもでき、反射型液晶表示装置の場合、不透明な導電物質を用いても構わない。
【0066】
以下、図11乃至図13の構造を有する液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板を4枚のマスクを用いて製造する方法について図11乃至図13、図14A乃至図21Cを参照して詳細に説明する。
【0067】
まず、図14A乃至14Cに示したように、アルミニウムよりIZOと低い接触抵抗を有するモリブデンやモリブデン合金またはクロムなどからなる下部膜201と、低抵抗を有するアルミニウムやアルミニウム合金のうち、2at%のNdを含むAl-Nd合金の標的を利用して上部膜202をスパッタリングで順次に積層した後、1枚のマスクを用いた写真エッチング工程で基板10上にゲート線22、ゲートパッド24、ゲート電極26及び維持電極28を含むゲート配線をテーパ構造で形成する。ここでも、以後形成されるIZO膜と下部膜201とが十分に接触するように下部膜201が上部膜202の下部にアンダーカットされることを防止したり、下部膜が上部膜の外に出るように形成するのが好ましい。このために、モリブデンやモリブデン合金で下部膜201を形成する場合には、下部膜201と上部膜202の膜厚比を1:5以上に積層し、基板全体をエッチング液に浸してエッチングを行うDIPモードで電池反応を最適化し、下部膜がアンダーカットされることを防止する。また、下部膜201をクロムで形成する場合には、下部膜201を500Å以下の膜厚に積層し、洗浄工程または感光膜を除去する工程でアルミニウムやアルミニウム合金の上部膜202の一部を除去する条件を適用し、クロムの下部膜201が上部膜202の外に出るように形成する。
【0068】
次に、図15A及び15Bに示したように、窒化ケイ素からなるゲート絶縁膜30、半導体層40、中間層50を化学気相蒸着法を利用して各々1,500Å乃至5,000Å、500Å乃至2,000Å、300Å乃至600Åの膜厚に連続蒸着し、次いで低抵抗を有するアルミニウムやアルミニウム合金からなる上部膜601と、クロムまたはモリブデンやモリブデン合金からなる下部膜601を含む導電体層60をスパッタリングなどの方法で1,500Å乃至3,000Åの膜厚に蒸着した後、その上に感光膜110を1μm乃至2μmの膜厚に塗布する。
【0069】
その後、第2マスクを通じて感光膜110に光を照射し現像して、図16B及び16Cに示したように、感光膜パターンの第2部分112、第1部分114を形成する。ここで、感光膜パターン112、114の中で薄膜トランジスタのチャンネル部(C)、つまり、ソース電極65とドレーン電極66の間に位置した第1部分114の厚さは、データ配線部(A)、つまり、データ配線62、64、65、66、68が形成される部分に位置した第2部分112の厚さより薄く形成し、その他の部分(B)の感光膜は全て取り除く。この時、チャンネル部(C)に残っている感光膜114の膜厚とデータ配線部(A)に残っている感光膜112の膜厚の比は後述するエッチング工程の工程条件によって異ならせる必要があり、第1部分114の厚さを第2部分112の厚さの1/2以下にするのが好ましく、例えば、4,000Å以下であることが好ましい。
【0070】
このように、位置によって感光膜の膜厚を異ならせる方法としては様々なものがあり、A領域の光透過量を調節するために主にスリット(slit)や格子状のパターンを形成したり半透明膜を用いる。この時、スリットの間に位置したパターンの線幅やパターン間の間隔、即ちスリットの幅は、露光時使用する露光器の分解能より小さいのが好ましく、半透明膜を利用する場合には、マスク作製時に透過率を調節するために異なる透過率を有する薄膜を利用したり、異なる膜厚の薄膜を用いることができる。
【0071】
このようなマスクを通じて感光膜に光を照射すれば、光に直接露出される部分では高分子が完全分解され、スリットパターンや半透明膜が形成されている部分では光の照射量が少ないため高分子が不完全分解の状態となり、遮光膜で遮った部分では高分子がほとんど分解されない。次いで、感光膜を現像すると、分子が分解されなかった高分子部分だけが残され、照射光が少ない中央部分には光に全く照射されない部分より厚さの薄い感光膜を残すことができる。この時、露光時間を長くすれば全ての分子が分解されてしまうため、そうならないように注意する必要がある。
【0072】
このような厚さの薄い感光膜114は、リフローが可能な物質からなる感光膜を用いて、光が完全に透過される部分と光が完全に透過されない部分に分けられた通常のマスクで露光した後、現像しリフローさせて感光膜が残留しない部分に感光膜の一部を流すことにより形成することもできる。
【0073】
次に、感光膜パターン114及びその下部の膜など、即ち導電体層60、中間層50及び半導体層40に対するエッチングを行う。この時、データ配線部(A)にデータ配線及びその下部の膜などがそのまま残されることと、チャンネル部(C)に半導体層のみ残される必要があり、残りの部分(B)には前記三つの層である導電体層60、中間層50、半導体層40が全て除去され、ゲート絶縁膜30が露出されることが必要である。
【0074】
図14A及び14Bに示すように、その他の部分(B)の露出されている導電体層60を除去し、その下部の中間層50を露出させる。この過程では乾式エッチングや湿式エッチング方法を両方利用できる。この時、導電体層60はエッチングされ、感光膜パターン112、114はほとんどエッチングされない条件下で行うのが良い。しかし、乾式エッチングの場合、導電体層60のみをエッチングし、感光膜パターン112、114はエッチングされない条件を見つけ難いため、感光膜パターン112、114も一緒にエッチングされる条件下で行うこともできる。この場合には、湿式エッチングの場合より第1部分114の厚さを厚くし、この過程で感光膜パターンの第1部分114が除去され下部の導電体層60が露出されることがないようにする。
【0075】
導電体層60がMoやMoW合金、AlやAl合金、Taのいずれかを含む場合には、乾式エッチングや湿式エッチングのいずれの方法でも良い。しかし、Crは乾式エッチングでは除去されないため、導電体層60がCrである場合は湿式エッチングのみを利用するのが良い。導電体層60がCrである湿式エッチングの場合には、エッチング液としてCeNHO3を使用でき、導電体層60がMoやMoWである乾式エッチングのエッチング気体としては、CF4とHClの混合気体やCF4とO2の混合気体を用いることができる。後者の場合、感光膜に対するエッチング比もほぼ同一である。
【0076】
このようにすると、図17A及び図17Bに示すように、チャンネル部(C)及びデータ配線部(A)、(B)の導電体層、つまり、ソース/ドレーン用導電体パターン67と維持蓄電器用導電体パターン64だけ残され、その他の部分(B)の導電体層60は全て除去され、その下部の中間層50が露出される。残された導電体パターン67、64は、ソース及びドレーン電極65、66が分離されず連結されていることを除けば、データ配線62、64、65、66、68の形態と同一である。また、乾式エッチングを使用した場合、感光膜パターン112、114もある程度の厚さがエッチングされる。
【0077】
図18A及び18Bに示すように、その他の部分(B)の露出された中間層50及びその下部の半導体層40を感光膜の第1部分114と共に乾式エッチング方法で同時に除去する。この時のエッチングは、感光膜パターン112、114と中間層50及び半導体層40(半導体層と中間層はエッチング選択性がほとんど無い)が同時にエッチングされ、ゲート絶縁膜30はエッチングされない条件下で行う必要がある。特に、感光膜パターン112、114と半導体層40に対するエッチング比がほとんど同一な条件下でエッチングすることが好ましい。例えば、SF6とHClの混合気体やSF6とO2の混合気体を使用すれば、ほとんど同一な膜厚に二つの膜をエッチングすることができる。感光膜パターン112、114と半導体層40に対するエッチング比が同一な場合、第1部分114の厚さは、半導体層40と中間層50の厚さを合せたものと同じであるか、それより小さい必要がある。
【0078】
このようにして、図18A及び18Bに示したように、チャンネル部(C)の第1部分114が除去されソース/ドレーン用導電体パターン67が露出され、その他の部分(B)の中間層50及び半導体層40が除去されその下部のゲート絶縁膜30が露出される。一方、データ配線部(A)の第2部分112もエッチングされるので厚さが薄くなる。そして、この工程で半導体パターン42、48が完成する。図面符号57と58は、各々ソース/ドレーン用導電体パターン67下部の中間層パターンと維持蓄電器用導電体パターン64下部の中間層パターンを示す。
【0079】
次いで、アッシング(ashing)を通じてチャンネル部(C)のソース/ドレーン用導電体パターン67表面の残留感光膜を除去する。
【0080】
図19A及び19Bに示すように、チャンネル部(C)のソース/ドレーン用導電体パターン67及びその下部のソース/ドレーン用中間層パターン57をエッチングして除去する。この時、エッチングはソース/ドレーン用導電体パターン67及び中間層パターン57の両方に対して乾式エッチングのみで行うことができる。ソース/ドレーン用導電体パターン67に対しては湿式エッチングで、中間層パターン57に対しては乾式エッチングで行うこともできる。前者の場合、ソース/ドレーン用導電体パターン67及び中間層パターン57のエッチング選択比が大きい条件下でエッチングを行うことが好ましい。これは、エッチング選択比の大きくない場合、エッチング終了点を見つけ難くチャンネル部(C)に残る半導体パターン42の膜厚を調節することが容易ではないためである。例えば、SF6とO2の混合気体を用いてソース/ドレーン用導電体パターン67をエッチングする方法を挙げられる。湿式エッチングと乾式エッチングを入れ替えて行う後者の場合には、湿式エッチングされるソース/ドレーン用導電体パターン67の側面はエッチングされるが、乾式エッチングされる中間層パターン57はほとんどエッチングされないため階段状に形成される。中間層パターン57及び半導体パターン42のエッチング時に使用するエッチング気体の例としては、既に言及したCF4とHClの混合気体やCF4とO2の混合気体があり、CF4とO2を使用すれば、半導体パターン42を均一な膜厚に残すことができる。この時、図19Bに示すように、半導体パターン42の一部が除去され厚さが薄くなることもあり、感光膜パターンの第2部分112もこの時ある程度の厚さがエッチングされる。この時のエッチングはゲート絶縁膜30がエッチングされない条件で行う必要があり、第2部分112がエッチングされその下部のデータ配線62、64、65、66、68が露出されることがないように感光膜パターンの厚いことが良いのは勿論である。
【0081】
このようにして、ソース電極65とドレーン電極66が分離されながらデータ配線62、64、65、66、68とその下部の接触層パターン55、56、58が完成する。
【0082】
最後に、データ配線部(A)に残っている感光膜第2部分112を除去する。しかし、第2部分112の除去は、チャンネル部(C)ソース/ドレーン用導電体パターン67を除去した後、その下の中間層パターン57を除去する前に行われることもできる。
【0083】
前述のように、湿式エッチングと乾式エッチングを入れ替えて実施したり、乾式エッチングのみ用いることができる。後者の場合には、一種類のエッチングを使用するので工程が比較的に簡便であるが、適当なエッチング条件を見つけ出すことが難しい。前者の場合には、エッチング条件の検索は比較的に簡単であるが、後者に比べて工程が面倒な点がある。
【0084】
このようにしてデータ配線62、64、65、66、68を形成した後、図20A及び図20Bに示す第1の実施例のように、窒化ケイ素をCVD方法で250〜400℃の範囲で蒸着して保護膜70を形成する。第3マスクを利用して保護膜70をゲート絶縁膜30と共にエッチングし、ドレーン電極66、ゲートパッド24、データパッド68及び維持蓄電器用導電体パターン64の下部膜201、601を各々露出する接触孔76、74、78、72を形成する。
【0085】
最後に、図11乃至図13のように、第1の実施例のような方法で厚さが400Å乃至500ÅであるIZO層をスパッタリング方法で蒸着し、第4マスクを使用してエッチングし、ドレーン電極66及び維持蓄電器用導電体パターン64と連結された画素電極82、ゲートパッド24と連結された補助ゲートパッド86及びデータパッド68と連結された補助データパッド88を形成する。IZOをパターニングするためのエッチング液は、クロム(Cr)の金属膜をエッチングするとき使用するクロムエッチング液を使用するが、これはアルミニウムを腐蝕させないので、データ配線とゲート配線が腐食することを防止できる。エッチング液として(HNO3/(NH4)2Ce(NO3)6/H2O)などが挙げられる。
【0086】
このような本発明の第2の実施例では、第1の実施例による効果だけでなく、さらに、データ配線62、64、65、66、68とその下部の接触層パターン55、56、58及び半導体パターン42、48を一つのマスクを用いて形成し、この過程でソース電極65とドレーン電極66が分離され、製造工程を単純化できる。
【0087】
本発明の第1及び第2の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタアレイ基板及びその製造方法では、図1A及び図1Bの接触構造を適用して説明したが、図2A乃至図3Eに示した接触構造も同様に適用できる。図1A乃至図3Eに示した接触構造は、他の半導体素子及びその製造方法に同様に適用できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線の接触構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に半導体装置の配線は信号を伝達する手段として用いられるため、信号遅延を最少化することが要求される。ここで、信号遅延を防止するために、配線は低抵抗を有する金属物質、特にアルミニウム(Al)やアルミニウム合金(Al alloy)などのようなアルミニウム系金属物質を使用することが一般的である。しかし、アルミニウムやアルミニウム合金の配線は物理的、化学的特性が脆いため、他の導電物質と連結される際に接触部で腐蝕が発生し、半導体素子の特性を低下させる問題がある。特に、液晶表示装置のように、透明な導電物質であるITOを使用して画素電極を形成する場合に、ITOとアルミニウムやアルミニウム合金の配線と接する接触部でアルミニウムやアルミニウム合金の配線が腐食する。このような問題を解決するために、ITOの代わりにアルミニウム系の配線と接しても腐蝕が発生しないIZOを画素電極として形成する技術が開発されているが、IZOの場合は接触部における接触抵抗が増加する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が目的とする技術的課題は、低抵抗物質からなると同時に低抵抗の接触特性を有する配線の接触構造及びその製造方法の提供にある。本発明の他の課題は、接触特性の良い配線の接触構造を含む薄膜トランジスタ基板及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような問題点を解決するために、本発明では、配線にアルミニウムやアルミニウム合金の導電膜を含めて形成し、接触部で接触孔を通じて側壁が露出されるように形成するか、または二重膜のうち一つに開口部を形成して他の膜を露出させる。この時、接触孔を通じて配線と連結されるIZOの導電層が、接触孔での段差によって断線しないように接触孔の境界線とこれと隣接した配線の境界線との間隔が2μm範囲を超えないことが好ましい。
【0005】
まず、本発明による配線の接触構造及びその製造方法において、基板上部に第1導電層により配線を形成し、その上部に絶縁膜を積層する。次に、絶縁膜をパターニングして配線の側壁を露出する接触孔を形成し、絶縁膜上に接触孔を通じて配線の側壁と接触する第2導電層を形成する。この時、第1導電層は低抵抗を有するアルミニウムやアルミニウム合金の上部膜と、IZOと低い接触抵抗を有するモリブデンやモリブデン合金またはクロムの下部膜とで形成されることが好ましい。第2導電層はIZOで形成することが好ましい。
【0006】
また、配線の外に位置する接触孔の境界線とこれと隣接した配線の境界線との間隔は2μm以内であるように接触孔を形成するのが好ましい。
【0007】
また、本発明による他の配線の接触構造及びその製造方法において、基板上に開口部を有する配線を形成し、配線を覆う絶縁膜を積層する。次に、絶縁膜をパターニングして開口部を露出する接触孔を形成し、絶縁膜上に接触孔を通じて配線と接触する第1導電層を形成する。ここで、配線は、アルミニウムやアルミニウム合金の上部膜とモリブデンやモリブデン合金またはクロムの下部膜からなる第2導電層で形成し、第1導電層はIZOで形成するのが好ましい。この時、開口部は上部膜にのみ形成し、開口部は4μm×4μm以下の面積を有するように形成することが良い。
【0008】
上部膜及び下部膜は、一つの感光膜パターンを用いた写真エッチング工程で形成できる。
【0009】
このような本発明による配線の接触構造及びその製造方法は、薄膜トランジスタ基板及びその製造方法に適用することができる。
【0010】
本発明による薄膜トランジスタ基板には、絶縁基板上にゲート配線が形成されており、ゲート配線を覆うゲート絶縁膜及びその上に半導体層が形成されている。ゲート絶縁膜上にはデータ配線が形成され、その上部には半導体層を覆う保護膜が形成されている。ゲート絶縁膜または保護膜上には、少なくともゲート配線またはデータ配線の外に一部の境界線が位置し、ゲート配線またはデータ配線の側壁を露出するゲート絶縁膜または保護膜の第1接触孔を通じてゲート配線またはデータ配線の側壁と接触している透明導電膜パターンが形成されている。
【0011】
ここで、ゲート配線またはデータ配線は、クロムまたはモリブデンやモリブデン合金の下部膜とアルミニウムやアルミニウム合金の上部膜からなり、ゲート絶縁膜及び保護膜は窒化ケイ素からなり、透明導電膜パターンはIZOからなることが好ましい。
【0012】
ゲート配線は横方向に延びているゲート線、ゲート線と連結されているゲート電極及び外部から走査信号の伝達を受けてゲート線に伝達するゲートパッドを含み、データ配線は縦方向に延びているデータ線、データ線と連結されているソース電極、ソース電極と分離されゲート電極を中心にソース電極と対向し、第1接触孔を通じて側壁が露出されているドレーン電極及び外部から映像信号の伝達を受けてデータ線に伝達するデータパッドを含む。
【0013】
この時、保護膜は、データパッドを露出する第2接触孔及びゲート絶縁膜と共にゲートパッドを露出させる第3接触孔を有し、第1乃至第3接触孔の大きさは4μm×4μm以上、10μm×10μm以下であるのが好ましい。透明導電膜パターンは、ドレーン電極の側壁と接触される。そして、画素電極は、第2及び第3接触孔を通じてデータパッド及びゲートパッドと各々連結されている補助データパッドまたは補助ゲートパッドと接触されている。この時、第2または第3接触孔では、データパッドまたはゲートパッドの側壁が露出されており、補助データパッドまたは補助ゲートパッドは少なくともデータパッド及びゲートパッドの側壁と接触されているのが好ましい。
【0014】
このような本発明による薄膜トランジスタ基板の製造方法において、まず、絶縁基板上にゲート線、ゲート線と連結されているゲート電極を含むゲート配線を形成する。次に、ゲート配線を覆うゲート絶縁膜及びその上に半導体層を順次に形成し、ゲート線と交差するデータ線、データ線と連結され、ゲート電極に隣接するソース電極及びゲート電極に対してソース電極の対向側に位置するドレーン電極を含むデータ配線を形成する。次いで、保護膜を積層しパターニングして、少なくともドレーン電極の外に境界線が位置しドレーン電極の側壁を露出する第1接触孔を形成し、保護膜上に少なくともドレーン電極の側壁と接触する画素電極を形成する。
【0015】
ここで、データ配線及び半導体層は、部分的に厚さが異なる感光膜パターンを用いた写真エッチング工程で共に形成でき、感光膜パターンは第1の厚さを有する第1部分、第1の厚さより厚い第2部分、厚さを有しない第3部分を含むことが好ましい。
【0016】
写真エッチング工程で感光膜パターンは、第1領域、第1領域より低い透過率を有する第2領域及び第1領域より高い透過率を有する第3領域を含む光マスクを用いて形成される。そして、写真エッチング工程において、第1部分はソース電極とドレーン電極との間、第2部分はデータ配線上に位置するように形成することが好ましい。
【0017】
第1乃至第3領域の透過率を異ならせて調節するために、光マスクには半透明膜または露光器の分解能より小さいスリットパターンが形成されており、第1部分の厚さは第2部分の厚さに対して1/2以下にすることが好ましい。半導体層とデータ配線との間に抵抗性接触層を形成でき、データ配線と接触層及び半導体層を一つのマスクを用いて形成できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、接触部から配線の側壁傾斜面を露出させ、IZO膜との接触抵抗が低い導電膜とIZO膜とを接触させて、配線とIZO膜の接触抵抗を最少化し、接触部の信頼性を確保できる。また、低抵抗のアルミニウムやアルミニウム合金を含む導電膜を含む配線を形成することで、大画面、高精細の製品特性を向上させることができる。そして、製造工程を単純化して液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板を製造するので、製造工程を単純化し、製造費用を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】本発明の実施例における配線の接触構造を示すものである(1)。
【図1B】本発明の実施例における配線の接触構造を示すものである(2)。
【図2A】本発明の実施例における配線の接触構造を示すものである(3)。
【図2B】本発明の実施例における配線の接触構造を示すものである(4)。
【図2C】本発明の実施例における配線の接触構造を示すものである(5)。
【図2D】本発明の実施例における配線の接触構造を示すものである(6)。
【図3A】本発明の実施例における配線の接触構造を示すものである(7)。
【図3B】本発明の実施例における配線の接触構造を示すものである(8)。
【図3C】本発明の実施例における配線の接触構造を示すものである(9)。
【図3D】本発明の実施例における配線の接触構造を示すものである(10)。
【図3E】本発明の実施例における配線の接触構造を示すものである(11)。
【図4】本発明の第1の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板を示すものである。
【図5】図4に示した薄膜トランジスタ基板のIV-IV線に沿った断面図である。
【図6A】本発明の第1の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板を製造する中間過程をその工程順によって示した薄膜トランジスタ基板の配置図である。
【図6B】図6AのVIb-VIb’線に沿った断面図である。
【図7A】本発明の第1の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板を製造する中間過程をその工程順によって示した薄膜トランジスタ基板の配置図である。
【図7B】図7AのVIIb-VIIb’線に沿った断面図で、図6Bの次の工程を示すものである。
【図8A】本発明の第1の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板を製造する中間過程をその工程順によって示した薄膜トランジスタ基板の配置図である。
【図8B】図8AのVIIIb-VIIIb’線に沿った断面図で、図7Bの次の工程を示すものである。
【図9A】本発明の第1の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板を製造する中間過程をその工程順によって示した薄膜トランジスタ基板の配置図である。
【図9B】図9AのIXb-IXb’線に沿った断面図で、図8Bの次の工程を示すものである。
【図10】本発明の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板の周辺領域に形成されたテストパターンの接触抵抗を測定した結果を示す表である。
【図11】本発明の第2の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板の配置図である。
【図12】図11に示した薄膜トランジスタ基板のXII-XII’線に沿った断面図である。
【図13】図11に示した薄膜トランジスタ基板のXIII-XIII’線に沿った断面図である。
【図14A】本発明の第2の実施例によって製造する初工程での薄膜トランジスタ基板の配置図である。
【図14B】図14AのXIVb-XIVb’線に沿った断面図である。
【図14C】図14AのXIVc-XIVc’線に沿った断面図である。
【図15A】図14AのXIVb-XIVb’線に沿った断面図で、図14Bの次の工程を示す。
【図15B】図14AのXIVc-XIVc’線に沿った断面図で、図14C次の工程を示す。
【図16A】図15A及び15Bの次の工程の薄膜トランジスタ基板の配置図である。
【図16B】図16AのXVIb-XVIb’線に沿った断面図である。
【図16C】図16AのXVIc-XVIc’線に沿った断面図である。
【図17A】図16AのXVIb-XVIb’線に沿った断面図で、図16Bの次の工程を工程順によって示すものである。
【図17B】図16Aの及びXVIc-XVIc’線に沿った断面図で、16Cの次の工程を工程順によって示すものである。
【図18A】図16AのXVIb-XVIb’線に沿った断面図で、図17Bの次の工程を工程順によって示すものである。
【図18B】図16Aの及びXVIc-XVIc’線に沿った断面図で、17Cの次の工程を工程順によって示すものである。
【図19A】図16AのXVIb-XVIb’線に沿った断面図で、図18Bの次の工程を工程順によって示すものである。
【図19B】図16Aの及びXVIc-XVIc’線に沿った断面図で、18Cの次の工程を工程順によって示すものである。
【図20A】図19A及び図19Bの次の工程の薄膜トランジスタ基板の配置図である。
【図20B】図20AのXXb-XXb’線に沿った断面図である。
【図20C】図20AのXXc-XXc’線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付した図面を参照して本発明の実施例よる配線の接触構造及びその製造方法と、これを含む薄膜トランジスタ基板及びその製造方法に対して本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。
【0021】
図1A乃至図3Eは、本発明の実施例に配線の接触構造を示した図面である。ここで、図1A、図2A、図2C及び図3A乃至図3Eは、配線の接触構造を示す配置図であり、図1B、図2B及び図2Dは、各々図1A、図2A及び図3CのIb-Ib’、IIb-IIb’及びIId-IId’線に沿った断面図である。
【0022】
半導体装置、特に信号を伝達する配線として信号の遅延を最少化するためには、15μΩcm以下の低い比抵抗を有するアルミニウムやアルミニウム合金の金属物質が適する。この時、配線は外部から信号を受けたり、外部に信号を伝達するために他の導電層と連結されるが、製造過程で他の導電物質との接触抵抗が小さいことが要求される。このために、本発明の実施例による配線の接触構造製造方法では、図1A及び図1Bのように、基板10上にモリブデンやモリブデン合金またはクロムなどのようにIZOと低い接触抵抗を有する導電物質の下部膜111と、低抵抗を有するアルミニウムやアルミニウム合金からなる上部膜112を含む第1導電層11を積層しパターニングし、配線を形成し、配線11を覆う絶縁膜12を積層する。次に、絶縁膜12をパターニングして配線11を露出する接触孔13を形成し、絶縁膜12の上に接触孔13を通じて配線11と直接連結され、IZOからなる第2導電層14を形成する。この時、絶縁膜12の接触孔13は、配線11の側壁境界面、特に下部膜111の側壁境界面が十分露出されるように形成し、IZO膜14と下部膜111が十分に接するように接触部を形成する。ここで、接触孔13を通じて配線11と連結される第2導電層14が、接触孔13の段差または配線11下部のアンダーカット現象によって断線されることを防止できるように、接触孔13から露出された配線11の境界線とこれに隣接した接触孔13の境界線との間の間隔(d)が2μm範囲を超えないように接触孔13を形成することが好ましい。
【0023】
また、本発明の他の実施例による配線の接触構造及びその製造方法では、図2A及び図2Bのように、第1導電層の配線11の上部膜112に少なくとも一つ以上の開口部15を形成し、配線11を覆う絶縁膜12をパターニングし、開口部15を露出して接触孔13を形成する。次に、開口部15で配線11の下部膜111と接触する第2導電層14を形成する。この時、開口部15の面積は4×4μm以下で形成するのが好ましい。このように開口部15を小さく形成すれば、上部膜112と下部膜111を一つのマスクで形成できる。つまり、互いに異なるパターンの上部膜112と下部膜111をパターニングする時、まず写真エッチング工程で感光膜パターンをエッチングマスクとして、上部膜112を形成する。次いで、残った感光膜パターンまたは上部膜112をエッチングマスクとして下部膜111をエッチングする。この時、開口部15の面積は4×4μm以下と非常に小さいため、開口部15におけるエッチング速度が非常に遅く、下部膜111は完全に除去されず残る。こうして、互いに異なる模様の上部膜112と下部膜111を一つの感光膜パターンを用いる写真エッチング工程で形成できる。
【0024】
さらに、本発明の他の実施例による配線の接触構造及びその製造方法において、下部膜111と第2導電層14の接触面積を確保するために、図2C及び図2Dのように、上部膜112の周囲外部に下部膜111の上部面が露出するように形成し、配線11の側面を階段構造に形成することもできる。この時、互いに異なるパターンの上部膜112と下部膜111を一つの感光膜パターンでパターニングする方法として、スリットパターンまたは半透明膜を用いたり、リフロー工程を用いて、周縁が他の部分より薄い配線用感光膜パターンを形成した後、二重でエッチングする方法が挙げられる。これに関しては、後に4枚マスクを用いた薄膜トランジスタアレイ基板の製造工程で具体的に説明する。
【0025】
一方、図3A乃至図3Dのように、配線11と接触孔13の誤整列マージンを有することができるように配線11または接触孔13を多様に変形でき、図3Eのように、配線11の開口部15を多数形成できる。
【0026】
このような配線の接触構造及びその製造方法は、液晶表示装置用薄膜トランジスタ及びその製造方法にも適用できる。
【0027】
以下、このような本発明による配線の接触構造を含む液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板及び製造方法について図面を参照して詳細に説明する。まず、図4及び図5を参照して本発明の第1の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板の構造について詳細に説明する。
【0028】
図4は、本発明の第1の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板であり、図5は、図4に示した薄膜トランジスタ基板のV-V’線に沿った断面図である。
【0029】
絶縁基板10上に、低抵抗を有するアルミニウムやアルミニウム合金の金属物質からなるゲート配線が形成されている。ゲート配線は横方向に延びているゲート線22、ゲート線22の端に連結され外部からのゲート信号の印加を受けてゲート線に伝達するゲートパッド24及びゲート線22に連結されている薄膜トランジスタのゲート電極26を含む。
【0030】
基板10上には、窒化ケイ素(SiNx)などからなるゲート絶縁膜30がゲート配線22、24、26を覆っている。
【0031】
ゲート電極26のゲート絶縁膜30上には、非晶質シリコンなどの半導体からなる半導体層40が島状に形成されており、半導体層40の上には、シリサイドまたはn型不純物が高濃度にドーピングされているn+水素化非晶質シリコンなどの物質で作られた抵抗接触層55、56が各々形成されている。
【0032】
抵抗接触層55、56及びゲート絶縁膜30上には、アルミニウム(Al)やアルミニウム合金(Al alloy)、モリブデン(Mo)やモリブデン-タングステン(MoW)合金、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、チタニウム(Ti)などの金属または導電体からなるデータ配線62、65、66、68が形成されている。データ配線は縦方向に形成され、ゲート線22と交差して画素領域を定義するデータ線62、データ線62に連結され抵抗接触層54の上部まで延びているソース電極65、データ線62の一端に連結され外部からの画像信号の印加を受けるデータパッド68、ソース電極65と分離されゲート電極26に対してソース電極65の反対側の抵抗接触層56上に形成されているドレーン電極66を含む。
【0033】
データ配線62、65、66、68は、アルミニウムやアルミニウム合金の単一膜で形成するのが好ましいが、二重層以上で形成しても良い。二重層以上で形成する場合には、一つの層は低抵抗物質で形成し、他の層は別の物質、特にIZOと低い接触抵抗を有する物質で作製することが好ましい。例として、Al(またはAl合金)/CrまたはAl(またはAl合金)/Mo(またはMo合金)などが挙げられ、本発明の実施例でデータ配線62、65、66、68は、クロムの下部膜601とアルミニウム-ネオジム合金の上部膜602の二重膜で形成されている。
【0034】
データ配線62、65、66、68及びこれらで覆われない半導体層40上には窒化ケイ素からなる保護膜70が形成されている。
【0035】
保護膜70には、ドレーン電極66及びデータパッド68を各々露出する接触孔76、78が形成されており、ゲート絶縁膜30と共にゲートパッド24を露出する接触孔74が形成されている。ここで、接触孔76はドレーン電極66の境界線が露出されるように形成され、ドレーン電極68の下部膜601と上部膜602の側壁が全て接触孔76を通じて露出されている。この時、接触孔76及びデータ配線66は、図3A乃至図3Eのように様々な形になることができ、特にドレーン電極66を露出する接触孔76は10μm×10μm以下、4μm×4μm以上であるのが好ましい。また、パッド24、68を露出する接触孔74、78もパッドの境界線が露出されるように形成することができ、接触部の接触抵抗を最少化するために接触孔76より大きく形成することが好ましい。
【0036】
保護膜70上には、接触孔76を通じてドレーン電極66と電気的に連結され画素に位置する画素電極82が形成されている。ここで、画素電極82は、接触孔76から露出されたドレーン電極66の側壁、特にドレーン電極66の下部膜601の側壁と十分に接触している。このような本発明の実施例による構造において、接触部の接触抵抗は良好なものと測定されている。これに関しては次の製造方法の記載で具体的に説明する。
【0037】
また、保護膜70上には、接触孔74、78を通じて各々ゲートパッド24及びデータパッド68と連結されている補助ゲートパッド86及び補助データパッド88が形成されている。画素電極82と補助ゲート及びデータパッド86、88はIZOで形成されている。ここで、画素電極82は図4及び図5のように、ゲート線22と重なって維持蓄電器を構成し、保持容量が不足した場合にはゲート配線22、24、26と同一層に保持容量用配線を追加することもできる。
【0038】
以下、このような本発明の第1の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板の製造方法について図4及び図5、図6A乃至図9Bを参照して詳細に説明する。
【0039】
まず、図6A及び6Bに示すように、基板10上に低抵抗を有するアルミニウムやアルミニウム合金のうち、2at%のNdを含むAl-Ndを含む標的を利用して2,500Å程度の膜厚に150℃程度でスパッタリングで積層しパターニングして、ゲート線22、ゲート電極26及びゲートパッド24を含み、テーパ構造を有する横方向のゲート配線を形成する。
【0040】
次に、図7A及び図7Bに示すように、窒化ケイ素からなるゲート絶縁膜30、非晶質シリコンからなる半導体層40、ドーピングされた非晶質シリコン層50の3層膜を連続積層し、マスクを用いたパターニング工程で半導体層40とドーピングされた非晶質シリコン層50をパターニングして、ゲート電極26と対向するゲート絶縁膜30上に半導体層40と抵抗接触層50を形成する。ここで、ゲート絶縁膜30は、窒化ケイ素を250〜400℃の温度範囲、2,000〜5,000Å程度の膜厚に積層して形成することが好ましい。
【0041】
次に、図8A乃至図8Bに示すように、モリブデンやモリブデン合金またはクロムなどからなる下部膜601を500Å程度の膜厚に、低抵抗を有するアルミニウムやアルミニウム合金のうち、2at%のNdを含むAl-Nd合金の標的を利用して上部膜602を150℃程度で2,500Å程度の膜厚さにスパッタリングで順次に積層する。その後、マスクを用いた写真工程でパターニングして、テーパ構造を有するデータ配線を形成する。データ配線としては、ゲート線22と交差するデータ線62、データ線62と連結されゲート電極26上部まで延びているソース電極65、データ線62は一側端に連結されているデータパッド68及びソース電極64と分離されており、ゲート電極26を中心にソース電極65と対向するドレーン電極66を含む。ここで、上部膜602及び下部膜601は、両方湿式エッチングでエッチングすることができる。また、上部膜602は湿式エッチングで、下部膜601は乾式エッチングでエッチングすることもでき、下部膜601がモリブデンやモリブデン合金膜である場合には、上部膜602と一つのエッチング条件でパターニングすることができる。また、ドレーン電極66の上部膜602にのみ開口部を形成し、最終的に図2A及び図2Bのような接触構造を形成することもできる。この開口部の面積を4μm×4μm以下と小さく形成し、マスクを用いる写真エッチング工程を別途追加しないことが好ましい。
【0042】
そして、この後形成されるIZO膜と下部膜601とが十分に接触できるように下部膜601が上部膜602の下部にアンダーカットされることを防止することや、下部膜601が上部膜602の外に出るように形成することが好ましい。このために、モリブテンやモリブデン合金で下部膜601を形成する場合には、下部膜601と上部膜602の膜厚の比を1:5以上で積層し、DIPモードで実施して電池反応を最適化し、下部膜がアンダーカットされることを防止する。また、下部膜601をクロムで形成する場合には、下部膜601を500Å以下の膜厚さで積層し、洗浄工程または感光膜を除去する工程でアルミニウムやアルミニウム合金の上部膜602一部を除去する条件を適用し、クロムの下部膜601を上部膜602の外に出るように形成する。
【0043】
次に、データ配線62、65、66、68で覆われないドーピングされた非晶質シリコン層パターン50をエッチングしてゲート電極26を中心に両側に分離する一方、両側のドーピングされた非晶質シリコン層55、56の間の半導体層パターン40を露出させる。次いで、露出された半導体層40の表面を安定化するために酸素プラズマ処理を実施することが好ましい。
【0044】
次に、図9A及び図9Bのように、窒化ケイ素のような無機絶縁膜を250〜400℃の範囲で積層して保護膜70を形成し、マスクを用いた写真エッチング工程でゲート絶縁膜30と共に乾式エッチングでパターニングし、ゲートパッド24、ドレーン電極66及びデータパッド68を各々露出する接触孔74、76、78を形成する。ここで、接触孔74、76、78を形成する時のエッチング条件は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の金属膜がエッチングされない条件を適用するのが好ましく、エッチング気体としてはF系の気体を使用できる。接触孔76は、ドレーン電極66の境界線及び上部膜601と下部膜601の側壁が露出されるように、また接触孔76からドレーン電極66の境界線が露出されるように形成する。この時、ドレーン電極66の外に位置する接触孔76の境界線とこれと隣接したドレーン電極66の境界線の間隔は、2μm以内の範囲になるように形成することが好ましい。これは、この後形成される画素電極82とドレーン電極66との間の接触抵抗を最少化し、接触孔76形成時にドレーン電極66の下部にアンダーカット現象が発生することを防止するためである。つまり、ドレーン電極66の外に位置する接触孔76の境界線とこれと隣接したドレーン電極66の境界線の間隔を3μm以上にして接触孔76を大きく形成すると、接触孔76を形成する時にドレーン電極66の下部でゲート絶縁膜30が過度にエッチングされ、アンダーカット現象が発生する。そうすると、ゲート絶縁膜30の段差によって、この後形成される画素電極82がドレーン電極66の下部で断線されるおそれがあり、これで接触部の接触抵抗が増加することになる。しかし、本発明の実施例のように、ドレーン電極66の外に位置する接触孔76の境界線と、これと隣接したドレーン電極66の境界線の間隔を2μm以内の範囲で接触孔76を形成すれば、ドレーン電極66の下部でゲート絶縁膜30が過度にエッチングされることなく、ドレーン電極66側壁の傾斜面を完全に露出させることができる。勿論、ここでパッド24、68を露出する接触孔74、78もパッド24、68の境界線が露出されるように形成し、図1A及び図1Bのように接触部を形成することもできる。
【0045】
最後に、図4及び5に示すように、IZO膜をスパッタリングで積層してマスクを用いたパターニングを実施し、接触孔76を通じてドレーン電極66と連結される画素電極82と接触孔74、78を通じてゲートパッド24及びデータパッド68と各々連結される補助ゲートパッド86及び補助データパッド88を各々形成する。この時、画素電極82は、ドレーン電極66の下部でアンダーカット現象が発生しないので断線されない。また、IZO膜と低い接触抵抗を有する下部膜601と十分に接しているので、接触部の接触抵抗を最少化することができる。本発明の実施例で、IZO膜82、86、88を形成するための標的は、出光(idemitsu)社のIDIXO(商品名:indium x-metal oxide)を使用し、標的はIn2O3及びZnOを含み、In+ZnでZnの含有量が15〜20at%の範囲であることが好ましい。また、IZO膜は、接触抵抗を最少化するために250℃以下の範囲で積層するのが好ましい。
【0046】
このような本発明の実施例による製造工程で、画素の集合からなる表示領域の外の周辺領域に、画素領域に形成されている構造と同様なテストパターンで接触構造を形成し、接触部の接触抵抗を測定する。三つの場合に対してそれぞれ測定した。即ち、テストパターンは、接触孔76をドレーン電極66上に形成する第1の場合と、ドレーン電極66の外に位置する接触孔76の境界線とこれと隣接したドレーン電極66の境界線の間隔が3μm以上になるように接触孔を大きく形成する第2の場合、及び本発明の接触構造のようにドレーン電極66の外に位置する接触孔76の境界線とこれと隣接したドレーン電極66の境界線の間隔が2μm以内の範囲になるように形成する第3の場合に対するテストパターンを形成し、200個のテストパターンの接触抵抗を測定した。その結果、第1及び第2の場合は、接触抵抗がE7Ω以上と大きいものと測定されており、第3の場合はE6Ω以下と良好であった。
【0047】
さらに、製造工程の時の様々な工程条件に対する接触部の接触抵抗をテストパターンを通じて測定した。
【0048】
図10は、本発明の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板の周辺領域に形成されたテストパターンの接触抵抗を測定した結果を示す表である。
【0049】
前記テストパターンは、表示領域の外の周辺部に形成し、図1A及び図1Bのようにデータ配線用金属層であるクロムの下部膜とアルミニウム合金の上部膜からなる配線、接触孔を有し窒化ケイ素からなる絶縁膜及びIZO膜からなる3層膜の構造に単純化し、200個の接触部を形成して接触抵抗を測定した。ここで、第1パターンは、接触孔の境界線が配線の上部にのみ位置するように接触部を形成しており、第2パターンは本発明の実施例のように配線側壁の傾斜面とIZO膜が接触するように接触部を形成している。絶縁膜は235℃、310℃の温度、2,000Å、3,000Åの膜厚の各々異なる条件で保護膜及びゲート絶縁膜を積層し、配線は150℃、50℃の温度で各々アルミニウム合金膜を積層する場合に対して接触抵抗を測定した。さらに、配線を1,500Å、3,000Åの抵抗性接触層をエッチングする気体に対して露出させた第1の場合と、63秒、68秒の間PEモードで絶縁膜をエッチングして接触孔を形成する第2の場合、1,000W、400WのICPモードで絶縁膜をエッチングして接触孔を形成する第3の場合、接触孔を通じて露出された配線を洗浄しない場合及び70秒間洗浄を行った第4の場合に対して各々接触抵抗を測定した。
【0050】
図10に示すように、接触孔を10μm×10μmに形成した場合、第1のパターンの接触抵抗は5.3MΩ〜4.0GΩの範囲と大きく、第2のパターンの接触抵抗は14KΩ〜515KΩの範囲でE5Ω以下と良好なものと測定された。さらに、第1のパターンで接触抵抗が60KΩと良好に測定されたケースについて詳しく検討した結果、第1のパターンの接触構造が、第2のパターンの接触構造のように配線の境界線が接触孔から露出するように形成され、IZO膜と配線側壁、特に下部膜と十分に接触される構造であることが分かった。
【0051】
そして、接触孔を7μm×7μmに形成した場合は、第1のパターンの接触抵抗は12MΩ〜7.9GΩの範囲と大きく、第2のパターンの接触抵抗は18KΩ〜664KΩの範囲でE5Ω以下と良好なものと測定された。また、接触孔を4μm×4μmに形成した場合、第1のパターンの接触抵抗は48MΩ〜85GΩの範囲と大きく、第2のパターンの接触抵抗は30KΩ〜1.2MΩの範囲と良好な測定結果が出た。
【0052】
このような本発明の実施例による薄膜トランジスタアレイ基板の構造は、ゲート配線22、24、26及びデータ配線62、64、66、68が、低抵抗を有するアルミニウムやアルミニウム合金の導電膜を含むと同時に接触部、特にデータ配線とIZO膜の画素電極82の接触抵抗を最少化することができるので、大画面、高精細の液晶表示装置に適用することができる。
【0053】
このような方法は、前述のように、5枚のマスクを用いる製造方法に適用できるが、4枚のマスクを用いる液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板の製造方法にも同様に適用できる。これについて図面を参照して詳細に説明する。
【0054】
まず、図11乃至図13を参照して、本発明の実施例による4枚のマスクを用いて完成した液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板の単位画素構造について詳細に説明する。図11は、本発明の第2の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板の配置図であり、図12及び図13は、各々図8に示す薄膜トランジスタ基板のXII-XII’線及びXIII-XIII’線に沿った断面図である。
【0055】
絶縁基板10上には、第1の実施例と同様にアルミニウムまたはアルミニウム合金の低抵抗導電物質からなるゲート線22、ゲートパッド24及びゲート電極26を含むゲート配線が形成されている。そして、ゲート配線は、基板10上にゲート線22と平行し、上板の共通電極に入力される共通電極電圧などの電圧印加を外部から受ける維持電極28を含む。維持電極28は、後述する画素電極82と連結された維持蓄電器用導電体パターン68と重なり、画素の電荷保存能力を向上させる維持蓄電器を構成し、後述する画素電極82とゲート線22の重畳で発生する保持容量が十分な場合は形成しないこともある。
【0056】
同様に、ゲート配線22、24、26、28は、アルミニウムやアルミニウム合金からなる単一層でも形成できるが、IZOと低い接触抵抗を有するクロムまたはモリブデンやモリブデン合金またはタンタルまたはチタニウムからなる下部膜201と、アルミニウムやアルミニウム合金からなる上部膜202を含む二重膜で形成されている。
【0057】
ゲート配線22、24、26、28上には、窒化ケイ素(SiNx)などからなるゲート絶縁膜30が形成され、ゲート配線22、24、26、28を覆っている。
【0058】
ゲート絶縁膜30上には、水素化非晶質シリコンなどの半導体からなる半導体パターン42、48が形成されており、半導体パターン42、48上には、リン(P)などのn型不純物として高濃度でドーピングされている非晶質シリコンなどからなる抵抗性接触層パターンまたは中間層パターン55、56、58が形成されている。
【0059】
抵抗性接触層パターン55、56、58上には、低抵抗を有するアルミニウムやアルミニウム合金の導電物質からなる導電膜を含むデータ配線が形成されている。データ配線は、縦方向に形成されているデータ線62、データ線62の一端に連結され外部からの画像信号の印加を受けるデータパッド68、そしてデータ線62の分枝である薄膜トランジスタのソース電極65からなるデータ線部を含む。さらに、データ線部62、68、65と分離され、ゲート電極26または薄膜トランジスタのチャンネル部(C)に対してソース電極65の反対側に位置する薄膜トランジスタのドレーン電極66と維持電極28上に位置している維持蓄電器用導電体パターン64も含む。維持電極28を形成しない場合、維持蓄電器用導電体パターン64も形成しない。
【0060】
データ配線62、64、65、66、68もゲート配線22、24、26、28と同様に、アルミニウムやアルミニウム合金の金属からなる単一層で形成できるが、第1の実施例と同様にクロムまたはモリブデンやモリブデン合金またはタンタルまたはチタニウムからなる下部膜601と、アルミニウムやアルミニウム合金からなる上部膜602を含む二重膜で形成されている。
【0061】
接触層パターン55、56、58は、その下部の半導体パターン42、48とその上部のデータ配線62、64、65、66、68の接触抵抗を小さくする役割をし、データ配線62、64、65、66、68と完全に同じ形態を有する。即ち、データ線部中間層パターン55はデータ線部62、68、65と同じであり、ドレーン電極用中間層パターン56はドレーン電極66と同じであり、維持蓄電器用中間層パターン58は維持蓄電器用導電体パターン64と同じである。
【0062】
一方、半導体パターン42、48は、薄膜トランジスタのチャンネル部(C)を除けばデータ配線62、64、65、66、68及び抵抗性接触層パターン55、56、58と同じ形態である。具体的には、維持蓄電器用半導体パターン48と維持蓄電器用導電体パターン64及び維持蓄電器用接触層パターン58は同じ形態であるが、薄膜トランジスタ用半導体パターン42はデータ配線及び接触層パターンの他の部分と少し異なる。即ち、薄膜トランジスタのチャンネル部(C)でデータ線部62、68、65、特にソース電極65とドレーン電極66が分離されており、データ線部中間層55とドレーン電極用接触層パターン56も分離されているが、薄膜トランジスタ用半導体パターン42はここで切れることなく連結され、薄膜トランジスタのチャンネルを生成する。
【0063】
データ配線62、64、65、66、68上には、窒化ケイ素からなる保護膜70が形成されている。保護膜70は、ドレーン電極66、データパッド68及び維持蓄電器用導電体パターン64を露出する接触孔76、78、72を有し、また、ゲート絶縁膜30と共にゲートパッド24を露出する接触孔74を有している。ここで、全ての接触孔72、74、76、78は、維持蓄電器用導電体パターン64、ゲートパッド24、ドレーン電極66、データパッド68の側壁、特にそれぞれのIZOと低い接触抵抗を有する下部膜201、601が露出するように形成されている。
【0064】
保護膜70上には、薄膜トランジスタから画像信号を受けて上板の電極と共に電場を生成する画素電極82が形成されている。画素電極82は、IZOなどの透明な導電物質で形成され、接触孔76を通じてドレーン電極66と物理的・電気的に連結され画像信号の伝達を受ける。さらに、画素電極82は、隣接するゲート線22及びデータ線62と重なって開口率を高くしているが、重ならないこともある。また、画素電極82は、接触孔72を通じて維持蓄電器用導電体パターン64とも連結され導電体パターン64に画像信号を伝達する。一方、ゲートパッド24及びデータパッド68上には、接触孔74、78を通じて各々これらと連結される補助ゲートパッド86及び補助データパッド88が形成されており、これらはパッド24、68と外部回路装置との接着性を補完し、パッドを保護する役割をするもので必須ではなく、これらの適用の要否は選択的である。ここでも、接触部でIZO膜82、86、88は、維持蓄電器用導電体パターン64、ゲートパッド24、ドレーン電極66、データパッド68の側壁、特にIZOと低い接触抵抗を有する下部膜201、601と接触されている。
【0065】
ここでは、画素電極82の材料の例として透明なIZOを挙げたが、透明な導電性ポリマーなどで形成することもでき、反射型液晶表示装置の場合、不透明な導電物質を用いても構わない。
【0066】
以下、図11乃至図13の構造を有する液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板を4枚のマスクを用いて製造する方法について図11乃至図13、図14A乃至図21Cを参照して詳細に説明する。
【0067】
まず、図14A乃至14Cに示したように、アルミニウムよりIZOと低い接触抵抗を有するモリブデンやモリブデン合金またはクロムなどからなる下部膜201と、低抵抗を有するアルミニウムやアルミニウム合金のうち、2at%のNdを含むAl-Nd合金の標的を利用して上部膜202をスパッタリングで順次に積層した後、1枚のマスクを用いた写真エッチング工程で基板10上にゲート線22、ゲートパッド24、ゲート電極26及び維持電極28を含むゲート配線をテーパ構造で形成する。ここでも、以後形成されるIZO膜と下部膜201とが十分に接触するように下部膜201が上部膜202の下部にアンダーカットされることを防止したり、下部膜が上部膜の外に出るように形成するのが好ましい。このために、モリブデンやモリブデン合金で下部膜201を形成する場合には、下部膜201と上部膜202の膜厚比を1:5以上に積層し、基板全体をエッチング液に浸してエッチングを行うDIPモードで電池反応を最適化し、下部膜がアンダーカットされることを防止する。また、下部膜201をクロムで形成する場合には、下部膜201を500Å以下の膜厚に積層し、洗浄工程または感光膜を除去する工程でアルミニウムやアルミニウム合金の上部膜202の一部を除去する条件を適用し、クロムの下部膜201が上部膜202の外に出るように形成する。
【0068】
次に、図15A及び15Bに示したように、窒化ケイ素からなるゲート絶縁膜30、半導体層40、中間層50を化学気相蒸着法を利用して各々1,500Å乃至5,000Å、500Å乃至2,000Å、300Å乃至600Åの膜厚に連続蒸着し、次いで低抵抗を有するアルミニウムやアルミニウム合金からなる上部膜601と、クロムまたはモリブデンやモリブデン合金からなる下部膜601を含む導電体層60をスパッタリングなどの方法で1,500Å乃至3,000Åの膜厚に蒸着した後、その上に感光膜110を1μm乃至2μmの膜厚に塗布する。
【0069】
その後、第2マスクを通じて感光膜110に光を照射し現像して、図16B及び16Cに示したように、感光膜パターンの第2部分112、第1部分114を形成する。ここで、感光膜パターン112、114の中で薄膜トランジスタのチャンネル部(C)、つまり、ソース電極65とドレーン電極66の間に位置した第1部分114の厚さは、データ配線部(A)、つまり、データ配線62、64、65、66、68が形成される部分に位置した第2部分112の厚さより薄く形成し、その他の部分(B)の感光膜は全て取り除く。この時、チャンネル部(C)に残っている感光膜114の膜厚とデータ配線部(A)に残っている感光膜112の膜厚の比は後述するエッチング工程の工程条件によって異ならせる必要があり、第1部分114の厚さを第2部分112の厚さの1/2以下にするのが好ましく、例えば、4,000Å以下であることが好ましい。
【0070】
このように、位置によって感光膜の膜厚を異ならせる方法としては様々なものがあり、A領域の光透過量を調節するために主にスリット(slit)や格子状のパターンを形成したり半透明膜を用いる。この時、スリットの間に位置したパターンの線幅やパターン間の間隔、即ちスリットの幅は、露光時使用する露光器の分解能より小さいのが好ましく、半透明膜を利用する場合には、マスク作製時に透過率を調節するために異なる透過率を有する薄膜を利用したり、異なる膜厚の薄膜を用いることができる。
【0071】
このようなマスクを通じて感光膜に光を照射すれば、光に直接露出される部分では高分子が完全分解され、スリットパターンや半透明膜が形成されている部分では光の照射量が少ないため高分子が不完全分解の状態となり、遮光膜で遮った部分では高分子がほとんど分解されない。次いで、感光膜を現像すると、分子が分解されなかった高分子部分だけが残され、照射光が少ない中央部分には光に全く照射されない部分より厚さの薄い感光膜を残すことができる。この時、露光時間を長くすれば全ての分子が分解されてしまうため、そうならないように注意する必要がある。
【0072】
このような厚さの薄い感光膜114は、リフローが可能な物質からなる感光膜を用いて、光が完全に透過される部分と光が完全に透過されない部分に分けられた通常のマスクで露光した後、現像しリフローさせて感光膜が残留しない部分に感光膜の一部を流すことにより形成することもできる。
【0073】
次に、感光膜パターン114及びその下部の膜など、即ち導電体層60、中間層50及び半導体層40に対するエッチングを行う。この時、データ配線部(A)にデータ配線及びその下部の膜などがそのまま残されることと、チャンネル部(C)に半導体層のみ残される必要があり、残りの部分(B)には前記三つの層である導電体層60、中間層50、半導体層40が全て除去され、ゲート絶縁膜30が露出されることが必要である。
【0074】
図14A及び14Bに示すように、その他の部分(B)の露出されている導電体層60を除去し、その下部の中間層50を露出させる。この過程では乾式エッチングや湿式エッチング方法を両方利用できる。この時、導電体層60はエッチングされ、感光膜パターン112、114はほとんどエッチングされない条件下で行うのが良い。しかし、乾式エッチングの場合、導電体層60のみをエッチングし、感光膜パターン112、114はエッチングされない条件を見つけ難いため、感光膜パターン112、114も一緒にエッチングされる条件下で行うこともできる。この場合には、湿式エッチングの場合より第1部分114の厚さを厚くし、この過程で感光膜パターンの第1部分114が除去され下部の導電体層60が露出されることがないようにする。
【0075】
導電体層60がMoやMoW合金、AlやAl合金、Taのいずれかを含む場合には、乾式エッチングや湿式エッチングのいずれの方法でも良い。しかし、Crは乾式エッチングでは除去されないため、導電体層60がCrである場合は湿式エッチングのみを利用するのが良い。導電体層60がCrである湿式エッチングの場合には、エッチング液としてCeNHO3を使用でき、導電体層60がMoやMoWである乾式エッチングのエッチング気体としては、CF4とHClの混合気体やCF4とO2の混合気体を用いることができる。後者の場合、感光膜に対するエッチング比もほぼ同一である。
【0076】
このようにすると、図17A及び図17Bに示すように、チャンネル部(C)及びデータ配線部(A)、(B)の導電体層、つまり、ソース/ドレーン用導電体パターン67と維持蓄電器用導電体パターン64だけ残され、その他の部分(B)の導電体層60は全て除去され、その下部の中間層50が露出される。残された導電体パターン67、64は、ソース及びドレーン電極65、66が分離されず連結されていることを除けば、データ配線62、64、65、66、68の形態と同一である。また、乾式エッチングを使用した場合、感光膜パターン112、114もある程度の厚さがエッチングされる。
【0077】
図18A及び18Bに示すように、その他の部分(B)の露出された中間層50及びその下部の半導体層40を感光膜の第1部分114と共に乾式エッチング方法で同時に除去する。この時のエッチングは、感光膜パターン112、114と中間層50及び半導体層40(半導体層と中間層はエッチング選択性がほとんど無い)が同時にエッチングされ、ゲート絶縁膜30はエッチングされない条件下で行う必要がある。特に、感光膜パターン112、114と半導体層40に対するエッチング比がほとんど同一な条件下でエッチングすることが好ましい。例えば、SF6とHClの混合気体やSF6とO2の混合気体を使用すれば、ほとんど同一な膜厚に二つの膜をエッチングすることができる。感光膜パターン112、114と半導体層40に対するエッチング比が同一な場合、第1部分114の厚さは、半導体層40と中間層50の厚さを合せたものと同じであるか、それより小さい必要がある。
【0078】
このようにして、図18A及び18Bに示したように、チャンネル部(C)の第1部分114が除去されソース/ドレーン用導電体パターン67が露出され、その他の部分(B)の中間層50及び半導体層40が除去されその下部のゲート絶縁膜30が露出される。一方、データ配線部(A)の第2部分112もエッチングされるので厚さが薄くなる。そして、この工程で半導体パターン42、48が完成する。図面符号57と58は、各々ソース/ドレーン用導電体パターン67下部の中間層パターンと維持蓄電器用導電体パターン64下部の中間層パターンを示す。
【0079】
次いで、アッシング(ashing)を通じてチャンネル部(C)のソース/ドレーン用導電体パターン67表面の残留感光膜を除去する。
【0080】
図19A及び19Bに示すように、チャンネル部(C)のソース/ドレーン用導電体パターン67及びその下部のソース/ドレーン用中間層パターン57をエッチングして除去する。この時、エッチングはソース/ドレーン用導電体パターン67及び中間層パターン57の両方に対して乾式エッチングのみで行うことができる。ソース/ドレーン用導電体パターン67に対しては湿式エッチングで、中間層パターン57に対しては乾式エッチングで行うこともできる。前者の場合、ソース/ドレーン用導電体パターン67及び中間層パターン57のエッチング選択比が大きい条件下でエッチングを行うことが好ましい。これは、エッチング選択比の大きくない場合、エッチング終了点を見つけ難くチャンネル部(C)に残る半導体パターン42の膜厚を調節することが容易ではないためである。例えば、SF6とO2の混合気体を用いてソース/ドレーン用導電体パターン67をエッチングする方法を挙げられる。湿式エッチングと乾式エッチングを入れ替えて行う後者の場合には、湿式エッチングされるソース/ドレーン用導電体パターン67の側面はエッチングされるが、乾式エッチングされる中間層パターン57はほとんどエッチングされないため階段状に形成される。中間層パターン57及び半導体パターン42のエッチング時に使用するエッチング気体の例としては、既に言及したCF4とHClの混合気体やCF4とO2の混合気体があり、CF4とO2を使用すれば、半導体パターン42を均一な膜厚に残すことができる。この時、図19Bに示すように、半導体パターン42の一部が除去され厚さが薄くなることもあり、感光膜パターンの第2部分112もこの時ある程度の厚さがエッチングされる。この時のエッチングはゲート絶縁膜30がエッチングされない条件で行う必要があり、第2部分112がエッチングされその下部のデータ配線62、64、65、66、68が露出されることがないように感光膜パターンの厚いことが良いのは勿論である。
【0081】
このようにして、ソース電極65とドレーン電極66が分離されながらデータ配線62、64、65、66、68とその下部の接触層パターン55、56、58が完成する。
【0082】
最後に、データ配線部(A)に残っている感光膜第2部分112を除去する。しかし、第2部分112の除去は、チャンネル部(C)ソース/ドレーン用導電体パターン67を除去した後、その下の中間層パターン57を除去する前に行われることもできる。
【0083】
前述のように、湿式エッチングと乾式エッチングを入れ替えて実施したり、乾式エッチングのみ用いることができる。後者の場合には、一種類のエッチングを使用するので工程が比較的に簡便であるが、適当なエッチング条件を見つけ出すことが難しい。前者の場合には、エッチング条件の検索は比較的に簡単であるが、後者に比べて工程が面倒な点がある。
【0084】
このようにしてデータ配線62、64、65、66、68を形成した後、図20A及び図20Bに示す第1の実施例のように、窒化ケイ素をCVD方法で250〜400℃の範囲で蒸着して保護膜70を形成する。第3マスクを利用して保護膜70をゲート絶縁膜30と共にエッチングし、ドレーン電極66、ゲートパッド24、データパッド68及び維持蓄電器用導電体パターン64の下部膜201、601を各々露出する接触孔76、74、78、72を形成する。
【0085】
最後に、図11乃至図13のように、第1の実施例のような方法で厚さが400Å乃至500ÅであるIZO層をスパッタリング方法で蒸着し、第4マスクを使用してエッチングし、ドレーン電極66及び維持蓄電器用導電体パターン64と連結された画素電極82、ゲートパッド24と連結された補助ゲートパッド86及びデータパッド68と連結された補助データパッド88を形成する。IZOをパターニングするためのエッチング液は、クロム(Cr)の金属膜をエッチングするとき使用するクロムエッチング液を使用するが、これはアルミニウムを腐蝕させないので、データ配線とゲート配線が腐食することを防止できる。エッチング液として(HNO3/(NH4)2Ce(NO3)6/H2O)などが挙げられる。
【0086】
このような本発明の第2の実施例では、第1の実施例による効果だけでなく、さらに、データ配線62、64、65、66、68とその下部の接触層パターン55、56、58及び半導体パターン42、48を一つのマスクを用いて形成し、この過程でソース電極65とドレーン電極66が分離され、製造工程を単純化できる。
【0087】
本発明の第1及び第2の実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタアレイ基板及びその製造方法では、図1A及び図1Bの接触構造を適用して説明したが、図2A乃至図3Eに示した接触構造も同様に適用できる。図1A乃至図3Eに示した接触構造は、他の半導体素子及びその製造方法に同様に適用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に開口部を有する配線を形成する工程、
前記配線を覆う絶縁膜を積層する工程、
前記絶縁膜をパターニングし前記開口部を露出する接触孔を形成する工程、及び
前記絶縁膜上に前記接触孔を通じて前記配線と接触する第1導電層を形成する工程を含む配線の接触構造形成方法。
【請求項2】
前記配線はアルミニウムやアルミニウム合金の上部膜と、モリブデンやモリブデン合金またはクロムの下部膜からなる第2導電層で形成される請求項1に記載の配線の接触構造形成方法。
【請求項3】
前記開口部は上部膜にのみ形成されている請求項2に記載の配線の接触構造形成方法。
【請求項4】
前記開口部は4μm×4μm以下の面積で形成される請求項1から3のいずれか1つに記載の配線の接触構造形成方法。
【請求項5】
前記上部膜及び下部膜は、一つの感光膜パターンを用いた写真エッチング工程で形成する請求項2から4のいずれか1つに記載の配線の接触構造形成方法。
【請求項6】
前記第1導電層はIZOで形成する請求項1から5のいずれか1つに記載の配線の接触構造形成方法。
【請求項7】
基板上部に形成されており、開口部を有する配線、
前記配線を覆い、少なくとも前記開口部を露出する接触孔を有する絶縁膜、
前記絶縁膜上にIZOで形成され、前記接触孔及び前記開口部を通じて前記配線と接触している導電層を含む配線の接触構造。
【請求項8】
前記配線はクロムまたはモリブデンやモリブデン合金の下部膜とアルミニウムやアルミニウム合金の上部膜からなる請求項7に記載の配線の接触構造。
【請求項9】
前記開口部は前記上部膜にのみ形成されている請求項8に記載の配線の接触構造。
【請求項10】
前記開口部は4μm×4μm以下の面積で形成されている請求項7又は8に記載の配線の接触構造。
【請求項1】
基板上に開口部を有する配線を形成する工程、
前記配線を覆う絶縁膜を積層する工程、
前記絶縁膜をパターニングし前記開口部を露出する接触孔を形成する工程、及び
前記絶縁膜上に前記接触孔を通じて前記配線と接触する第1導電層を形成する工程を含む配線の接触構造形成方法。
【請求項2】
前記配線はアルミニウムやアルミニウム合金の上部膜と、モリブデンやモリブデン合金またはクロムの下部膜からなる第2導電層で形成される請求項1に記載の配線の接触構造形成方法。
【請求項3】
前記開口部は上部膜にのみ形成されている請求項2に記載の配線の接触構造形成方法。
【請求項4】
前記開口部は4μm×4μm以下の面積で形成される請求項1から3のいずれか1つに記載の配線の接触構造形成方法。
【請求項5】
前記上部膜及び下部膜は、一つの感光膜パターンを用いた写真エッチング工程で形成する請求項2から4のいずれか1つに記載の配線の接触構造形成方法。
【請求項6】
前記第1導電層はIZOで形成する請求項1から5のいずれか1つに記載の配線の接触構造形成方法。
【請求項7】
基板上部に形成されており、開口部を有する配線、
前記配線を覆い、少なくとも前記開口部を露出する接触孔を有する絶縁膜、
前記絶縁膜上にIZOで形成され、前記接触孔及び前記開口部を通じて前記配線と接触している導電層を含む配線の接触構造。
【請求項8】
前記配線はクロムまたはモリブデンやモリブデン合金の下部膜とアルミニウムやアルミニウム合金の上部膜からなる請求項7に記載の配線の接触構造。
【請求項9】
前記開口部は前記上部膜にのみ形成されている請求項8に記載の配線の接触構造。
【請求項10】
前記開口部は4μm×4μm以下の面積で形成されている請求項7又は8に記載の配線の接触構造。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【公開番号】特開2009−182343(P2009−182343A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114497(P2009−114497)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【分割の表示】特願2002−586379(P2002−586379)の分割
【原出願日】平成14年4月2日(2002.4.2)
【出願人】(503447036)サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド (2,221)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【分割の表示】特願2002−586379(P2002−586379)の分割
【原出願日】平成14年4月2日(2002.4.2)
【出願人】(503447036)サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド (2,221)
【Fターム(参考)】
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