説明

CMOSトランジスタにおけるドーパントプロフィールの改善のためのシステム及び方法

【課題】CMOSトランジスタにおけるドーパントプロフィールの改善のためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態によると、半導体装置を形成する方法は、半導体本体(14)の外面上にゲートスタック(22)を形成する段階を含む。第1及び第2の側壁本体(34)が、ゲートスタックの対向する側に形成される。ゲートスタックのゲート導電体(24)の外面に第1の凹部(36a)が形成され、この第1の凹部が形成された後にゲートスタックの中に第1のドーパント(40)が注入される。第1のドーパントは、第1の凹部を形成するゲートスタックの外面から内向きに拡散する。第1のドーパントは、ゲートスタックと半導体本体の間のインタフェースに向って拡散する。第1の凹部は、インタフェースにおいて第1のドーパントの濃度を増加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に半導体装置に関し、より具体的には、CMOSトランジスタにおけるドーパントプロフィールの改善のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ある一定の種類の半導体装置の作製中に、半導体本体の表面上にゲートスタックを形成することができる。ゲートスタックの下に置かれる半導体本体の区域は、選択的導電チャンネル領域を形成する。半導体装置における様々な導電領域は、半導体装置の層の中への1つ又はそれよりも多くのドーパントの注入によって形成することができる。例えば、ドーパントは、半導体本体内のゲートスタックのいずれの側にも注入することができ、ソース及びドレーン領域が形成される。これに加えて、ゲートスタックの導電性を改善するために、ドーパントをゲートスタックの中に注入し、かつゲートスタックを通じて拡散させることができる。具体的には、ドーパントは、ゲートスタック内のインタフェースに向って実質的に垂直方向にゲートスタックを通って移動する。しかし、半導体製造業者が半導体装置のスケールを低減し続けるので、ゲートスタックを通るドーパントの拡散はより困難になる。望ましいインタフェースでのドーパント濃度が低すぎると、ゲートスタックの導電体としての信頼性が低下する場合があり、チャンネルの導電性を制御するゲートスタックの機能が阻害される可能性がある。
【発明の開示】
【0003】
本発明により、従来の半導体作製に関連する問題に対処する半導体装置を形成するためのシステム及び方法を提供する。
本発明の一実施形態によると、半導体装置を形成する方法は、半導体本体の外面上にゲートスタックを形成する段階を含む。第1及び第2の側壁本体が、ゲートスタックの対向する側に形成される。ゲートスタックの外面に第1の凹部が形成され、この第1の凹部が形成された後にゲートスタックの中に第1のドーパントが注入される。第1のドーパントは、第1の凹部を形成するゲートスタックの外面から内向きに拡散する。第1のドーパントは、ゲートスタックと半導体本体の間のインタフェースに向って拡散する。第1の凹部は、インタフェースにおいて第1のドーパントの濃度を増加させる。
【0004】
本発明のいくつかの実施例は、1つ又はそれよりも多くの技術的利点を提供することができる。本発明の1つの例示的な実施形態の技術的利点は、ゲートスタックを通るドーパントの拡散を改善することができることである。特に、ゲート導電体層とゲート絶縁体層のインタフェースにおけるドーパント濃度を増加させることができる。別の技術的利点は、半導体装置に関連する駆動電流及び/又は基板静電容量を改善することができることであろう。その結果、半導体装置は、より高い信頼性を有し、より効率的な方法で作動すると考えられる。
他の技術的利点は、本明細書で示して説明する例示的な実施形態から当業者には直ちに明らかであろう。
本発明並びにその特徴及び利点のより完全な理解のために、同じ参照番号が同じ要素を指す添付図面と共に以下の例示的な実施形態の説明を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
電界効果トランジスタのような集積回路装置を形成するために、一般的には様々な導電及び非導電層を半導体本体又は他の外側半導体層上に堆積又は成長させる。図1A〜1Hは、半導体本体14の外面上への複数の層の形成中の半導体構造10の断面図である。半導体構造10は、バイポーラ接合トランジスタ、NMOSトランジスタ、PMOSトランジスタ、CMOSトランジスタ、ダイオード、コンデンサ、又は他の半導体ベースの装置のような様々な半導体装置のいずれの形成のための基礎としても用いることができる。本明細書を通じて示す実施例及び寸法は、単に例示目的を意図しており、本発明の開示の範囲を制限するように意図していない。更に、図1A〜1Gにおける図解は、縮尺通りを意図していない。下記により詳細に説明することになるが、半導体ベース装置の形成のための従来の半導体作製技術は、一般的に1つ又はそれよりも多くの活性区域を形成するために半導体構造の様々な層のドーピングを含む。ドーパントが半導体装置の様々な層を通る拡散から阻止される場合には、半導体構造は、接合静電容量の増加、ダイオード漏出、及び/又はソース、ゲート、及びドレーン静電容量の増加を示す場合がある。しかし、様々な実施形態によると、そのような欠陥は、大幅に低減するか又は実質的に制限することができる。
【0006】
図1Aは、半導体本体14上における複数の層の形成後の半導体構造10の断面図である。半導体本体14は、半導体構造作製で用いられるあらゆる適切な材料を含むことができる。例えば、特定的な実施形態では、半導体本体は、シリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、又は他の適切な半導体材料を含むことができる。
例示している実施形態では、ゲート誘電体層16は、半導体本体14の外面18から外に向けて形成される。ゲート誘電体層16は、二酸化珪素、窒化珪素、又はこれらの組合せの層を含むことができる。他の実施形態では、ゲート誘電体層16は、他種のゲート誘電体(高k誘電体のような)を含むことができる。ゲート誘電体層16は、様々な処理のいずれかを用いて半導体本体14の外面18上に形成することができる。例えば、ゲート誘電体層16は、酸化物又は窒化酸化物の層の成長によって形成することができる。特定的な実施形態では、ゲート誘電体層16は、約1から3ナノメートル(nm)程度の厚みとすることができ、一部の例示的な実施形態では、約1.2nmの厚みとすることができる。酸化処理に続き、望ましい場合はプラズマ又は熱窒化を通じて窒素をゲート誘電体層16の中に混入させることができる。ゲート誘電体層16及び半導体本体14は、これらの間に界面層を伴わずに形成されるように示しているが、代替的に、本発明の開示の範囲から逸脱せずにそのような界面層を形成することができる。
【0007】
ゲート誘電体層16の形成に続き、次にゲート誘電体層16の表面上に導電ゲート層20を形成することができる。導電ゲート層20は、アモルファスシリコン又は合金、多結晶シリコン又は合金、又は半導体構造作製で用いられる他の適切な導電材料の層を含むことができる。導電ゲート層20は、化学気相蒸着法(CVD)及び物理蒸着法(PVD)を含む様々な技術のいずれかによって形成することができる。例えば、導電ゲート層20は、望ましい量の多結晶シリコンをゲート誘電体層16上に堆積させることによって形成することができる。特定的な実施形態では、導電ゲート層20が90〜160nm程度の厚みのものであることが望ましい。例えば、導電ゲート層20は、約120nmの厚みまで堆積させることができる。ゲート誘電体層16及び導電ゲート層20は、これらの間に界面層を伴わずに形成されるように示しているが、本発明の開示の範囲から逸脱することなくそのような界面層を形成することができる。
【0008】
図1Bは、半導体本体14の表面上におけるゲートスタック22の形成後の半導体構造10の断面図である。ゲートスタック22は、導電ゲート層20及びゲート誘電体層16から形成することができる。従って、ゲートスタック22は、ゲート導電体24及びゲート絶縁体26を含むことができる。半導体ゲートスタック22は、様々な処理のいずれかを通じて達成することができる。例えば、半導体ゲートスタック22は、フォトレジストマスク及びエッチング技術を含む適切なフォトリソグラフィ法を用いてゲート導電体層20及びゲート絶縁体層16をパターン化することによって形成することができる。特定的な実施形態では、ゲートスタック22は25nmから10μm程度の幅及び約90nmから約170nmの高さを有することができる。しかし、ゲートスタック22は、半導体構造作製に適するあらゆる適切な寸法のものとすることができることが認識される。
【0009】
図1Cでは、ゲートスタック22の対向する側におけるオフセットスペーサ28の形成後の半導体構造10を例示している。オフセットスペーサ28は、窒化物、窒化珪素、酸化物、酸化窒化物、又はこれらの材料のいずれかの組合せ、又は半導体作製で用いられる他の適切な材料を含むことができる。オフセットスペーサ28は、様々な半導体処理のいずれかによって形成することができる。例えば、オフセットスペーサ28は、酸化物層を熱成長又は堆積させることによって形成することができる。特定的な実施形態では、オフセットスペーサ28は、1nmから12nm程度の厚みの二酸化珪素を含み、一部の例示的な実施形態では、約5nmの厚みの二酸化珪素を含む。オフセットスペーサ28は、単一の層を含むように示しているが、オフセットスペーサ28は、上述の材料のあらゆる適数の層を含むことができることが分る。例えば、特定的な実施形態では、オフセットスペーサ28は、互いに対して選択的にエッチングが可能な少なくとも2つの層を含むことができる。
【0010】
何らかの時点で、半導体構造10の導電領域を、そのような領域をドープしてこれらの領域を導電性にすることによって形成することができる。導電領域は、例えば、ソースドレーン領域又はソースドレーン拡張領域を含むことができる。図1Dは、ゲートスタック22の対向する側におけるソースドレーン領域30の形成後の半導体構造10を示している。PMOS装置に関連する特定的な実施形態では、ソースドレーン領域30は、p型ソースドレーン領域を含むことができる。そのような実施形態では、ソースドレーン領域30を形成するために、ボロンのようなp型ドーパントを用いることができる。NMOS装置に関連する他の実施形態では、ソースドレーン領域30は、n型ソースドレーン領域を含むことができ、ソースドレーン領域30を形成するために、亜リン酸及び/又はヒ素のようなn型ドーパントを用いることができる。1つの共通の尺度により、ソースドレーン領域30の深度は、接合深度の関数として測定される。接合深度は、ドーパント濃度が約1から3E+17イオン/立方センチメートルである半導体本体14内の点に対応する。例えば、特定的な実施形態では、ソースドレーン領域30の接合深度は、15から45nm程度とすることができ、一部の実施形態では、約30nmとすることができる。
【0011】
ソースドレーン領域30は、低又は高エネルギイオン注入、低又は高エネルギ拡散、又は半導体本体14をドープするための他のあらゆる適切な技術によって形成することができる。ソースドレーン領域30の形成に向けて半導体本体14をドープするために用いられるエネルギは、ソースドレーン領域30がNMOS活性範囲又はPMOS活性範囲を含むか否かに依存するであろう。例えば、ソースドレーン領域30がNMOS活性範囲である場合には、ソースドレーン30の形成は、1つ又はそれよりも多くの高エネルギ又は高照射量イオン注入又は拡散によるものとすることができる。特定的な実施形態では、NMOSソースドレーン領域30は、約2E+15イオン/平方センチメートル程度の照射量及び約15から約30keV程度の注入エネルギでのn型ヒ素ドーパントの高照射量注入によって形成することができる。高照射量注入の後に、約2E+15イオン/平方センチメートル程度の照射量及び約20から約45keV程度の注入エネルギで亜リン酸ドーパントの高照射量注入を続けて行うか、又は前者を後者で置換することができる。しかし、ソースドレーン領域30を形成するための上述の注入パラメータは、NMOSソースドレーン領域30の形成のための単に1つの注入処理例に過ぎない。NMOS型ソースドレーン領域30の形成においては、あらゆる適切なn型ドーパントをあらゆる高エネルギ又は高照射量濃度で用いることができることが認識される。
【0012】
逆に、ソースドレーン領域30がp型導電範囲を含むPMOS装置では、ソースドレーン30の形成は、p型ドーパントの高照射量注入に続いてp型ドーパントの高エネルギ注入によるものとすることができる。例えば、特定的な実施形態では、PMOSソースドレーン領域30の形成は、約1E+15から5E+15イオン/平方センチメートル程度の照射量、及び約1から約4keV程度の注入エネルギでのp型ボロンドーパントの高照射量注入によるものとすることができる。高照射量注入の後に、約1E+13から1E+14イオン/平方センチメートル程度の照射量、及び約3から約11keV程度の注入エネルギでのp型ボロンドーパントの高エネルギ注入を続けて行うことができる。しかし、ソースドレーン領域30の形成のための上述の注入パラメータは、PMOSソースドレーン領域30の形成のための単に1つの注入処理例に過ぎない。PMOS型ソースドレーン領域30の形成において、あらゆる適切なp型ドーパントをあらゆる高エネルギ又は高照射量濃度で用いることができることが認識される。
【0013】
ソースドレーン領域30は、一般的にオフセットスペーサ28の形成の後に形成される。オフセットスペーサ28形成後のソースドレーン領域30の形成は、半導体本体14内の注入チャネリングを実質的に阻止することによって、ソースドレーン領域30の形成から生じる半導体本体14への損傷を最小にすることにおいて有利であろう。オフセットスペーサ28形成後のソースドレーン領域30形成の結果、オフセットスペーサ28の外縁に対する注入ドーパントの自己整合が生じる。従って、ソースドレーン領域30は、オフセットスペーサ28の外縁にほぼ対応する半導体本体14内の点から始まる。ソースドレーン領域30は、半導体本体14内に同様に形成されるチャンネル領域32によって分離される。形成後の何らかの時点において、半導体構造10をアニールすることによってソースドレーン領域30を活性化することができる。アニール段階は、急速熱アニール(RTA)処理のような様々な処理を用いて達成することができる。アニール及び他の高温処理の結果、対向するソースドレーン領域30に向う各ソースドレーン領域30の横方向の移動を生じさせることができる。従って、ソースドレーン領域30は、図1Dに示しているように、ゲートスタック22の下で互いに向って移動させることができる。その結果、半導体作製処理中の何らかの時点において、ソースドレーン領域30は、オフセットスペーサ28の外縁と整列しない場合があり、チャンネルがゲートに対応するようにチャンネル32の距離を短縮することができる。
【0014】
図1Eは、ゲートスタック22の対向する側における側壁本体34の形成後の半導体構造10の断面図である。側壁本体34は、酸化物、酸化窒化物、二酸化珪素、窒化物、又はこれらの材料のいずれかの組合せ、又は半導体作製で用いられる他の適切な材料を含むことができる絶縁材料を含む。側壁本体34は、様々な半導体処理のいずれかによって形成することができる。一般的に、側壁本体34を形成する材料は、半導体構造10上にほぼコンフォーマルに堆積され、ゲートスタック22の上及び活性区域の上の絶縁材料を除去してソースドレーン領域30を少なくとも部分的に形成するために非等方性エッチングを実質的に受ける。他の実施形態では、側壁本体34は、酸化物を熱成長させることによって形成することができる。例えば、特定的な実施形態では、側壁本体34は、25から110nm程度の厚みまで成長した二酸化珪素を含むことができる。特定的な実施形態では、二酸化珪素の側壁本体34は、約70nm程度の厚みのものとすることができる。側壁本体34は、単層を含むように示しているが、側壁本体34は、上述の材料のあらゆる組合せのあらゆる適数の層を含むことができることが認識される。
【0015】
図1Fは、半導体構造10の様々な層における凹部36形成後の半導体構造10の断面図である。具体的には、第1の凹部36aをゲートスタック22の外面に形成することができる。ゲートスタック22の対向する側にあるソースドレーン領域30を含んでいた領域の少なくとも一部分に付加的に第2及び第3の凹部36b及び36cを形成することができる。凹部36は、乾式エッチング、プラズマエッチング、プラズマ支援エッチング、又は湿式エッチングを含むエッチング処理を用いて形成することができる。ソースドレーン領域30とゲート導電体24の一部分がエッチング処理によって除去されるように、エッチングは、ソースドレーン領域30及びゲート導電体24を構成する材料に対して選択可能にすることができる。特定的な実施形態では、凹部36aは、約10から100nm程度の深度まで形成することができ、一部の例示的な実施形態では、約30nmの深度まで形成することができる。凹部36b及び36cは、約20から70nm程度の深度まで形成することができ、一部の例示的な実施形態では、約30nmの深度まで形成することができる。
【0016】
凹部36の形成に続き、1つ又はそれよりも多くの導電領域を形成するために、半導体構造10をドープすることができる。図1Gは、ソースドレーン拡張領域38形成後の半導体構造10の断面図である。特定的な実施形態では、ソースドレーン拡張領域38は、PMOS領域に形成されたp型ソースドレーン拡張領域を含むことができる。従って、ソースドレーン拡張領域38を形成するために、ボロンのようなp型ドーパントを用いることができる。他の実施形態では、ソースドレーン拡張領域38は、NMOS領域に形成されたn型ソースドレーン拡張領域を含むことができ、ソースドレーン拡張領域38を形成するために、亜リン酸及び/又はヒ素のようなn型ドーパントを用いることができる。ソースドレーン領域30と同様に、ソースドレーン拡張領域38の深度は、接合深度の関数として測定することができる。ソースドレーン拡張領域38の接合深度は、ドーパント濃度が約1から5E+17イオン/立方センチメートルである半導体本体14内の点に対応するものとすることができる。例えば、特定的な実施形態では、ソースドレーン拡張領域38の接合深度は、約80から170nm程度のものとすることができ、一部の実施形態では、約100nmとすることができる。
【0017】
ソースドレーン拡張領域38は、低又は高エネルギ注入、低又は高エネルギ拡散、又は半導体本体14をドープするための他のあらゆる適切な技術によって形成することができる。ソースドレーン拡張領域38の形成に向けて半導体本体14をドープするために用いられるエネルギレベルは、ソースドレーン拡張領域38がNMOS活性区域又はPMOS活性区域を含むか否かに依存するであろう。例えば、ソースドレーン拡張領域38がNMOS活性区域である場合には、ソースドレーン拡張領域38の形成は、1つ又はそれよりも多くの高エネルギイオン注入又は拡散によるものとすることができる。従って、特定的な実施形態では、NMOSソースドレーン拡張領域38は、約2E+15イオン/平方センチメートル程度の照射量及び約15から約30keVの注入エネルギでのn型ヒ素ドーパントの高照射量注入によって形成することができる。高照射量注入の後に、約2E+15イオン/平方センチメートル程度の照射量及び約20から約45keV程度の注入エネルギでの亜リン酸の注入を続けて行うか、又は前者を後者で置換することができる。しかし、ソースドレーン拡張領域38の形成のための上述の注入パラメータは、NMOSソースドレーン拡張領域38の形成のための単に1つの注入処理例に過ぎない。NMOS型ソースドレーン拡張領域38の形成においてあらゆる適切なn型ドーパントをあらゆる高エネルギ又は高照射量濃度で用いることができることが認識される。
【0018】
逆に、ソースドレーン拡張領域38がp型領域を含む場合には、ソースドレーン拡張領域38の形成は、p型ドーパントの高照射量注入、及びそれに続くp型ドーパントの高エネルギ注入によるものとすることができる。例えば、特定的な実施形態では、PMOSソースドレーン拡張領域38の形成は、約1から5E+15イオン/平方センチメートル程度の照射量及び約1から約4keV程度の注入エネルギでのp型ボロンドーパントの高照射量注入によるものとすることができる。高照射量注入に続き、約1E+13から1E+14イオン/平方センチメートル程度の照射量、及び約3から約11keV程度の注入エネルギでのp型ボロンドーパントの高エネルギ注入を行うことができる。しかし、ソースドレーン拡張領域38の形成のための上述の注入パラメータは、PMOSソースドレーン拡張領域38の形成のための単に1つの注入処理例に過ぎない。PMOS型ソースドレーン拡張領域38の形成においてあらゆる適切なp型ドーパントをあらゆる高エネルギ又は高照射量濃度で用いることができることが認識される。
【0019】
側壁本体34形成後のソースドレーン拡張領域38の形成は、ソースドレーン拡張領域38の形成中の半導体本体14への損傷を最小にする。従って、側壁本体34は、半導体本体14内の注入チャネリングを実質的に阻止することによって、ゲートスタック22から内向きに配置されたソースドレーン拡張領域38を保護する。側壁本体34形成後のソースドレーン拡張領域38形成の結果、側壁本体34の外縁に対する注入ドーパントの自己整合が生じる。従って、ソースドレーン拡張領域38は、側壁本体34の外縁にほぼ対応する半導体本体14内の点から始まる。ソースドレーン領域30と同様に、ソースドレーン拡張領域38は、半導体本体14に形成されるチャンネル領域32によって分離される。更に、ソースドレーン領域30と同様に、ソースドレーン拡張領域38は、半導体構造10をアニールすることによって形成した後の何らかの時点において活性化することができる。アニール及び他の高温処理の結果、対向するソースドレーン拡張領域38に向う各ソースドレーン拡張領域38の横方向の移動を生じさせることができる。従って、ソースドレーン拡張領域38は、ゲートスタック22の下で互いに向って移動させることができる。その結果、半導体作製処理中の何らかの時点において、図1Gに示すように、ソースドレーン拡張領域38は、側壁本体34の外縁と整列しない場合があり、チャンネル32の距離を短縮することができる。
【0020】
ソースドレーン拡張領域38の形成に向けた半導体構造10のドープの結果、ゲートスタック22のゲート導電体24のドープを生じさせることができ、それによってゲートスタック22の導電性が改善される。ゲートスタック22内にドーパント40を注入するために、ドーパント40は、凹部36aによって形成されたゲート導電体24の外面上に注入される。ドーパント40は、ゲート導電体24を通じて実質的に垂直方向に拡散し、ゲート導電体24のゲート絶縁体26に近接する部分に到達する。ゲート導電体24の中を通るドーパント40の拡散は、ゲート絶縁体26をわたって伝わる電界強度に影響を与える。ゲート導電体24の厚みは、ゲートスタック22を通じて拡散するドーパント40の機能に影響を与える。ゲート導電体24が肉厚な場合には、ゲート導電体24とゲート絶縁体26の間のインタフェースにおけるドーパント40の濃度は、望ましい濃度よりも低い場合がある。しかし、ソースドレーン拡張領域38及びゲート導電体24の活性化に向けたドーパント40拡散前の凹部36aの形成は、ゲート導電体24とゲート絶縁体26の間のインタフェースにおけるドーパント40の濃度を最終的に増加させる。具体的には、ゲート導電体24の全体的な深度が減少するので、ドーパント40は、ゲート導電体24を通じてインタフェースに到達するまでにより短い距離を進まねばならない。従って、インタフェース近くのドーパントの均一性を改善することができる。結果として生成される電界強度もまた改善することができる。ゲートスタック22のドープの前に形成された凹部36aを含むゲートスタック22におけるドーパントの深度のプロフィールの改善は、図2に注目しながら以下でより詳細に説明する。
【0021】
凹部36の形成及びその後の上述のドープ段階に続いて、シリコンゲルマニウム層44を凹部36に形成することができる。特定的な実施形態では、シリコンゲルマニウム層44は、ジクロロシラン及びゲルマンを原料ガスとして用いた低圧化学気相蒸着処理(LPCVD)のような選択的エピタキシャル堆積処理を用いて形成することができる。いかなる一実施形態にも限定されないことを意図するが、凹部36b及び36cにおけるシリコンゲルマニウム層44は、シリコン本体格子と同じ構造を備えた格子を有する合金を形成するであろう。しかし、シリコンゲルマニウム層44の格子は、より大きな間隔を有する。結果的に、特定的な実施形態では、凹部36b及び36cにおけるシリコンゲルマニウム層44は、拡大する傾向を有することになり、それによって半導体本体のチャンネル32内に圧縮応力を発生させると考えられている。
【0022】
一部の実施形態では、シリコンゲルマニウム層44には、p型注入(例えば、ボロンを用いて)を受けさせることができ、p型シリコンゲルマニウム材料が形成される。他の実施形態では、かつより好ましくは、シリコンゲルマニウム層44は、選択的エピタキシャル堆積処理中に、このCVD処理においてp型ドーパント反応剤を組み込むことによって原位置でドープすることができる。例えば、ジボラン又は他の種類の反応剤を用いることができ、凹部にボロンがドープされたシリコンゲルマニウム材料が形成される(又は、認めることができるように、シリコンゲルマニウム層44内の他のp型ドーパント)。原位置でドープされたボロンは、シリコンゲルマニウム層44の中に注入された場合よりも高度に活性化され、従って、より低い拡張領域抵抗を有利にもたらすと考えられているので、シリコンゲルマニウム層44の原位置でのボロンドープが好ましい。
【0023】
シリコンゲルマニウム層44が原位置でドープされない場合には、ドーパントを凹部36内のシリコンゲルマニウム材料中に導入するために、上述のように拡張領域の注入を行うことができる。例えば、ソースドレーン領域内で少量、中量、又は多量にドープされる拡張領域注入を行うことができる。凹部36(この時点で、シリコンゲルマニウムで満たされている)及び拡張領域注入部は、側壁本体34の形成後に形成されるために、両方とも側壁本体34に対して自己整合し、それによって両方の領域は、ゲートスタック22の横方向の縁部近くの半導体本体14内に置かれる。この後、拡張領域のドーパントを活性化するために、急速熱アニールのような熱処理を用いることができ、これは、拡張領域をチャンネル32に向ってオフセットスペーサ28の少し下で横方向に拡散させる。
【0024】
シリコンゲルマニウム層44の形成に続いて、装置上に金属層(示していない)を形成するためにケイ化処理を用いることができる。ケイ化処理は、熱処理に続いて行うことができ、金属とシリコンのインタフェースが反応してケイ化物を形成する(ゲートスタック22の上、ソースドレーン領域30及びソースドレーン拡張領域38において)。次に、未反応金属は剥離され、層間誘電体及び金属化層の形成のような後処理が行われ、半導体装置形成が完了する。
【0025】
図2は、半導体本体14の活性化に先立つゲートスタック22における凹部36a形成の効果を例示するドーパントのプロフィール200である。概略図のy軸202は、x軸204によって表されているゲートスタック22にわたる様々な深度におけるドーパント濃度を表している。具体的には、線2Aは、ドーパントがゲートスタックの中に注入される前に形成した凹部36aを含まない従来のゲートスタックに関するドーパント深度プロフィールを表している。逆に、線2Bは、ドーパントがゲートスタック22の中に注入される前に形成した凹部36aを含むゲートスタック22のドーパント深度プロフィールを表している。
【0026】
図2に例示しているように、凹部36aの形成は、ドーパントプロフィールをx軸204の下方にシフトさせる。このシフトは、ドーパント40の高濃度が、ゲート導電体24とゲート絶縁体26とのインタフェース近くに存在することを示している。シフト量は、凹部36aの深度、従って、ゲートスタック22の高さの減少に等しい。例えば、凹部を伴わずに形成されたゲートスタックでは、ドーパントの最高濃度は、ゲートスタックの上部から測定する時に30から70nm程度の深度に存在させることができる。逆に、ゲートスタック22が、30から100nm程度の深度を有する凹部36aを伴って形成され、従って、ゲートスタック22の深度がその量だけ減少する場合には、ドーパント40の最高濃度は、凹部36aによって形成されたゲートスタック22の上部から測定した時に60から120nm程度の深度に存在させることができる。高濃度は、ドーパント40が、ゲート導電体24を通じてインタフェースに到達するまでにより短い距離を進まねばならないという結果である。従って、インタフェース近くのドーパント40の濃度を改善することができる。更に、インタフェース近くのドーパント40の均一性を改善することができ、生成される電界を強化することができる。
【0027】
上述のように、ソースドレーン拡張領域38及びゲート導電体24を活性化するために、一般的にアニールが行われる。アニールは、ソースドレーン拡張領域38及びゲート導電体24の特性を修正する働きをする。例えば、アニールは、ゲート導電体24とゲート絶縁体26のインタフェース近くにドーパントのより高濃度を分布させるという働きをすることができる。線2Cは、アニール段階が行われた後のゲートスタックの上面での凹部の形成を含まない従来のゲートスタックのドーパントの深度プロフィールを表している。しかし、線2Cは、アニールが行われた後も、ゲート導電体24とゲート絶縁体26のインタフェース近くのドーパント濃度が、依然として望ましい濃度よりも低く留まることを示している。対照的に、線2Dは、アニールが行われた後の凹部36aの形成を含むゲートスタック22のドーパント深度プロフィールを表している。線2Dは、ゲート導電体24とゲート絶縁体26のインタフェース近くでのドーパント濃度が、実質的に増加することを示している。その結果、ゲート絶縁体26にわたって生成される電界の強度及び均一性を改善することができる。
本発明を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、説明した実施形態に様々な追加、置換、及び修正を行うことができることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】本発明の一実施形態による半導体本体の外面上の複数の層の形成を示す断面図である。
【図1B】本発明の一実施形態による半導体本体の外面上の複数の層の形成を示す断面図である。
【図1C】本発明の一実施形態による半導体本体の外面上の複数の層の形成を示す断面図である。
【図1D】本発明の一実施形態による半導体本体の外面上の複数の層の形成を示す断面図である。
【図1E】本発明の一実施形態による半導体本体の外面上の複数の層の形成を示す断面図である。
【図1F】本発明の一実施形態による半導体本体の外面上の複数の層の形成を示す断面図である。
【図1G】本発明の一実施形態による半導体本体の外面上の複数の層の形成を示す断面図である。
【図1H】本発明の一実施形態による半導体本体の外面上の複数の層の形成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態による半導体本体の活性化に先立つゲートスタックにおける凹部形成の効果を例示するドーパント深度プロフィールの図である。
【符号の説明】
【0029】
10 半導体構造
22 ゲートスタック
24 ゲート導電体
34 側壁本体
38 ソースドレーン拡張領域
40 ドーパント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置を形成する方法であって、
ゲート導電体を含むゲートスタックを半導体本体の外面上に形成する段階と、
前記ゲートスタックの対向する側に第1及び第2の側壁本体を形成する段階と、
前記ゲート導電体の外面に第1の凹部を形成する段階と、
第1のドーパントを、該第1の凹部が形成された後に該ゲート導電体の中に注入する段階と、を含み、
該第1のドーパントは、前記第1の凹部を形成する前記ゲート導電体の前記外面から内向きに拡散し、かつ前記ゲートスタックと前記半導体本体の間のインタフェースに向って拡散することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の凹部を形成する段階は、前記ゲートスタックの前記ゲート導電体層の一部分を除去するためにエッチングを行う段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のドーパントが前記半導体本体の中に注入されて、第1のソースドレーン領域を形成し、
前記第1及び第2の側壁本体を形成する前に、前記ゲートスタックの前記対向する側に第1及び第2のオフセットスペーサを形成する段階と、
第2のドーパントを前記半導体本体の中に注入して、前記第1のソースドレーン領域の形成の前に形成される第2のソースドレーン領域を形成する段階と、
熱処理を行って前記第2のドーパントを横方向に拡散させ、前記第2のソースドレーン領域を前記ゲートスタックに向けて前記第1及び第2のオフセットスペーサの下で拡張させる段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
各々が前記ゲートスタックの前記対向する側の一方と実質的に整列する第2及び第3の凹部を前記第2のソースドレーン領域を形成する前記半導体本体の領域に形成する段階を更に含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ又は複数の凹部にシリコンゲルマニウムを形成する段階を更に含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の方法に従って作られた半導体装置。
【請求項7】
半導体本体の外面上に形成され、第1の凹部を形成する外面を含み、かつ該半導体本体にチャンネルを形成するゲートスタックと、
前記ゲートスタックの対向する側に形成された第1及び第2の側壁本体と、
前記ゲートスタックに、かつ該ゲートスタックと前記半導体本体の間のインタフェースに近接して形成され、かつ前記第1の凹部を形成する前記外面から該ゲートスタックを通じて内向きに拡散した第1のドーパントを含む活性領域と、
を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
前記チャンネルの対向する側に形成されてその間の距離が前記ゲートスタックの幅によって判断される第1及び第2の部分を含む、前記半導体本体に形成された第1のソースドレーン領域と、
前記ゲートスタックの前記対向する側に形成され、かつ前記第1及び第2の側壁本体と該ゲートスタックの該対向する側との間に形成された第1及び第2のオフセットスペーサと、
前記半導体本体に形成され、かつ前記ゲートスタックに向って前記第1及び第2のオフセットスペーサの下で拡張する第2のソースドレーン領域と、
を更に含むことを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2のソースドレーン領域を形成する前記半導体本体の領域に形成され、かつ各々が前記ゲートスタックの前記対向する側の一方に実質的に整列した第2及び第3の凹部を更に含むことを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記1つ又は複数の凹部に形成されたシリコンゲルマニウム層を更に含むことを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の半導体装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−520115(P2008−520115A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541478(P2007−541478)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/041613
【国際公開番号】WO2006/053338
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(502293614)テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】