説明

TFTアレイ基板の製造方法

【課題】簡単な工程で画素電極とコンタクトホールとを形成するTFTアレイ基板の製造方法を提供する。
【解決手段】絶縁膜を成膜する工程と、絶縁膜の上に導電膜を成膜する工程と、導電膜をパターニングして開口が設けられた画素電極を形成する工程と、開口が設けられた画素電極をエッチングマスクとしてエッチング法により絶縁膜に開口と連通するコンタクトホールを形成する工程と、を有することを特徴とするTFTアレイ基板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TFTアレイ基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に平板型の表示装置においては液晶、有機EL、電気泳動などを利用した素子を用いて表示媒体を形成している。またこうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度などを確保するために、駆動素子として薄膜トランジスタ(TFT)により構成されたアクティブ駆動素子を用いる技術が主流になっている。
【0003】
ここでTFT素子は、通常、ガラス基板上に、主にa−Si(アモルファスシリコン)、p−Si(ポリシリコン)などの半導体薄膜や、ソース、ドレイン、ゲート電極などの金属薄膜を基板上に順次形成していくことで製造される。このTFT素子を用いるフラットパネルディスプレイの製造には通常、CVD、スパッタリングなどの真空系設備や高温処理工程を要する薄膜形成工程に加え、精度の高いフォトリソグラフィ工程が必要とされ、設備コスト、ランニングコストの負荷が非常に大きい。さらに、近年のディスプレイの大画面化のニーズに伴い、それらのコストは非常に膨大なものとなっている。
【0004】
近年、従来のTFT素子のデメリットを補う技術として、有機半導体材料を用いた有機TFT素子の研究開発が盛んに進められている(特許文献1、非特許文献1等参照)。
【0005】
一方、ディスプレイの開口率向上のためには、画素上に絶縁層を形成し、さらにこの上に画素電極を設けたPixcel on Passivation構造にすることが有効である(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
従来、このような構造にするためには、まずTFT素子が形成された基板の最上層に絶縁層を形成した後、絶縁層の全面にフォトレジストを塗布し、この絶縁層上にコンタクトホールの形状にパターニングしたマスクでパターン露光した後、現像してレジスト層を形成する。次に、ドライエッチングにより絶縁層にコンタクトホールを設けた後、フォトレジストを除去していた。
【0007】
次に、このようにして形成したコンタクトホールを設けた絶縁層の上層とコンタクトホールの側壁とにスパッタを用いて導電膜を形成する。さらに、導電膜の上に例えばスピンコート法でフォトレジストを塗布し、画素電極の形状にパターニングしたマスクでパターン露光し、現像、エッチング、フォトレジスト除去を行って画素電極を形成していた。
【0008】
このように従来の製造工程ではフォトリソグラフィ工程を繰り返し行う必要があり、基板作製のコストアップになっていた。
【0009】
このような問題点を解決するため、TFT素子が形成された絶縁性基板上に、絶縁層を形成して、コンタクトホールを形成する際のフォトレジストの塗布工程やレジスト除去工程を省く方法が提案されている。(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平10−190001号公報
【非特許文献1】Advanced Material誌 2002年 第2号 99頁(レビュー)
【特許文献2】特開平4−68318号公報
【特許文献3】特開平10−221712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献3では、画素電極層形成時の工程削減に関する開示はなく、画素電極層形成に、上述したような従来の方法を用いれば、フォトリソグラフィ工程が追加されることになるので、基板作製コストを十分に下げることはできない。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、画素電極層形成工程まで含めた形で基板作製コストを下げ、簡単な工程で画素電極とコンタクトホールを形成するTFTアレイ基板の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
1.基板の上に形成された駆動素子の上に絶縁膜と画素電極とを順に形成し、前記絶縁層に設けたコンタクトホールにより前記駆動素子の電極と前記画素電極とを電気的に接続するTFTアレイ基板の製造方法において、
絶縁膜を成膜する工程と、
前記絶縁膜の上に導電膜を成膜する工程と、
前記導電膜をパターニングして開口が設けられた画素電極を形成する工程と、
前記開口が設けられた画素電極をエッチングマスクとしてエッチング法により前記絶縁膜に前記開口と連通するコンタクトホールを形成する工程と、
を有することを特徴とするTFTアレイ基板の製造方法。
【0013】
2.前記開口が設けられた画素電極を形成する工程は、
前記導電膜の上に感光性有機樹脂材料を塗布する工程と、
前記開口が設けられた画素電極のパターンを前記感光性有機樹脂材料に露光する工程と、
前記感光性有機樹脂材料を現像する工程と、
前記導電膜の上に残った前記感光性有機樹脂材料をエッチングマスクとして前記導電膜をエッチングする工程と、
から成り、
前記絶縁膜を成膜する工程で有機材料を用いて前記絶縁膜を成膜し、前記コンタクトホールを形成する工程で前記導電膜の上に残った前記感光性有機樹脂材料を前記絶縁膜の一部とともに除去することを特徴とする前記1記載のTFTアレイ基板の製造方法。
【0014】
3.前記電極と前記コンタクトホールと前記画素電極との間に導電材料を塗布する工程を含むことを特徴とする前記1または2に記載のTFTアレイ基板の製造方法。
【0015】
4.前記コンタクトホールを形成する工程の後に、前記絶縁膜が除去された部位に絶縁材料を塗布する工程を行うことを特徴とする前記1乃至3の何れか1項に記載のTFTアレイ基板の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、TFT素子が形成された基板の上に絶縁膜を成膜し、絶縁膜の上に導電膜を成膜し、さらに、導電膜をパターニングしてコンタクトホール用の開口が設けられた画素電極を形成し、画素電極をエッチングマスクとしてエッチング法により絶縁膜に開口と連通するコンタクトホールを形成する。このようにすると、絶縁膜にTFT素子の半導体材料を劣化させない材料を用いながら、絶縁膜をパターニングする際のフォトレジストの塗布工程やレジスト除去工程を省くことができる。
【0017】
したがって、TFT素子の特性を劣化させることなく、簡単な工程で画素電極とコンタクトホールとを形成するTFTアレイ基板の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、実施形態により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】
本発明のTFTアレイ基板は、マトリックス型液晶表示装置やマトリックス型有機EL表示装置に用いられ、対向基板との間に液晶や有機ELなどの表示材料を挟持し、この表示材料に対して、画素ごとに選択的に電圧が印加されるように構成されている。TFTアレイ基板は、ガラスなどからなる絶縁性基板上に各画素ごとにマトリックス状にTFTおよび画素電極などが設けられ、ゲート配線やソース配線などの信号線が設けられている。
【0020】
図1は、本発明に係わるTFTアレイ基板の製造方法の概略を説明するための工程図、図2は、本発明に係わるTFTアレイ基板の製造方法の概略を説明するための説明図である。図1、図2を用いて、図1の工程の順に説明する。図2(1−a)〜図2(6−a)は、基板1を上面から見た平面図であり、図2(1−b)〜図2(6−b)は基板1を図2(1−a)〜図2(6−a)の断面A−A’で切断した断面図である。
【0021】
S10・・・・・TFT素子を形成する工程。
【0022】
基板1上に駆動素子としてTFT素子を形成する工程である。図2(1−b)の断面図のように、本実施形態では、基板1上にゲート電極2を設け、更にゲート絶縁層7、ソース電極8とドレイン電極9とを形成し半導体層10を設けたボトムゲートボトムコンタクト型のTFTを例示している。
【0023】
図2(1−a)は、基板1上にマトリックス状に形成された1画素の平面図であり、透明な絶縁膜20の下層に形成されているTFT素子のゲート電極2、ソース電極8、ドレイン電極9、半導体層10が図2(1−a)に図示されている。ソース電極8はソース電極線8aにより他の画素のソース電極8と結線されている。
【0024】
ゲート電極2は、Cr、Alなどの導電材料を基板1上に蒸着して形成する。ゲート絶縁層7は、例えば、蒸着、スパッタリング、CVD法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスで形成する。ゲート絶縁層7としては、特に材料は限定されず種々の絶縁膜を用いることができるが、無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物、及びポリマーを含む材料から選定することが好ましい。
【0025】
ソース電極8、ドレイン電極9は、例えば、金など金属材料をスパッタにより成膜することにより形成する。または、塗布材料としてPEDOT/PSSに代表される導電性有機材料、金属ナノ粒子を分散させた塗布材料を用いることもできる。
【0026】
次に、ソース電極8、ドレイン電極9と電気的に接合し、かつゲート絶縁層7に接するように半導体層10を成膜する。半導体材料は、a−Si、Poly−SiのようなSi系材料、あるいはペンタセン誘導体、ペンタセン前駆体、オリゴチオフェン前駆体、ポルフィリン前駆体などの有機材料を用いることができる。
【0027】
本実施形態では、以降ボトムゲートボトムコンタクト型のTFTを例に説明するが、本発明の適用は特に限定されるものではなく、ボトムゲートトップコンタクト型やトップゲートボトムコンタクト型、トップゲートトップコンタクト型のTFTにも適用できる。
【0028】
S11・・・・・絶縁膜を成膜する工程。
【0029】
TFT素子を作成後、図2(1−b)のように絶縁膜20を基板1の全面に形成する。絶縁膜20は、例えば、CVD法、TEOS CVD法、蒸着、スパッタリングなどの方法で形成する。絶縁膜20の材料は、良好な絶縁性を持ち、成膜時にTFT素子の半導体材料を劣化させないものが適用可能である。
【0030】
半導体材料がa−Si、Poly−Siの場合は、酸化ケイ素等の無機酸化物や、窒化ケイ素等の無機窒化物が適用できる。あるいは、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、アクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、シアノエチルプルラン、パリレン等の有機化合物が適用可能である。
【0031】
半導体材料が有機材料の場合は、ポリビニルアルコールやパリレンなどパラキシリレン系樹脂等の有機材料が適用可能である。さらには、ガスバリア性や電気絶縁性、成膜工程における半導体材料への影響を考慮して、有機材料と無機材料の複数層の重ね合わせとしてもよい。
【0032】
S12・・・・・導電膜を成膜する工程。
【0033】
導電膜29を図2(2−a)、図2(2−b)のように絶縁膜20の上に全面に成膜する。導電膜29は、例えば、蒸着、スパッタリングなどのドライプロセスで形成する。絶縁膜20の材料は、例えばCu、Au、Al、Ag、Pt、Pd、Crなど各種金属材料やITO(Indium Tin Oxide)などの透明電極材料を用いることができる。
【0034】
S13・・・・・導電膜をパターニングする工程。
【0035】
導電膜29をフォトリソグラフィ法などを用いてパターニングし、図2(3−a)、図2(3−b)のように後の工程でコンタクトホール40の一部となる開口39が設けられた画素電極30と遮光膜31とを形成する。導電膜29が不透明の材料で形成されている場合は、遮光膜31によりTFT素子に光が照射して誤動作するのを防止することができる。
【0036】
本工程の詳細は後に説明する。
【0037】
S14・・・・・絶縁膜をパターニングする工程。
【0038】
ステップS13でパターニングされた導電膜29をエッチングマスクとして、絶縁膜20の導電膜29に覆われていない部分をエッチング法によりパターニングする。エッチング後、画素電極30によりエッチングマスクされた領域の絶縁膜20は、図2(4−b)のように画素電極30と略同じ形状の部分が残り、開口39の部分にはコンタクトホール40が形成される。
【0039】
このように、本発明では開口39が設けられた画素電極30をエッチングマスクとして、開口39と連通するコンタクトホール40を形成している。そのため、従来の絶縁膜20をパターニングする工程で必要だったレジスト塗布工程、パターン露光工程、現像工程、レジスト除去工程を省略することができる。また、これらの工程の削減により、生産コストを下げることができる。
【0040】
S15・・・・・導電材料を塗布する工程。
【0041】
ドレイン電極9とコンタクトホール40と導電膜29とに導電材料を塗布し、図2(5−a)、(5−b)のように、ドレイン電極9と導電膜29とを電気的に接続する配線部41を形成する。配線部41の形成方法は、導電材料の塗布と同時にパターン形成可能な方法であれば特に制限がなく、インクジェット法、ディスペンサ法、スクリーン印刷、マイクロコンタクトプリントなどの塗布方法が本発明に適用可能である。導電材料としてPEDOT/PSSに代表される導電性有機材料、金属ナノ粒子を分散させた導電材料を用いることもできる。
【0042】
このように本発明では塗布法を用いるので、簡単な工程で配線部41を形成できる。
【0043】
本工程の詳細は後に説明する。
【0044】
S16・・・・・絶縁材料を塗布する工程。
【0045】
図2(6−a)、(6−b)のように、露出しているソース電極8、ソース電極線8a、ドレイン電極9を覆うように絶縁材料50を塗布する工程である。絶縁材料50の塗布と同時にパターン形成可能な方法であれば特に制限がなく、インクジェット法、ディスペンサ法、スクリーン印刷、マイクロコンタクトプリントなどの塗布方法が本発明に適用可能である。絶縁材料としては、例えばポリビニルアルコールなどの各種樹脂材料を用いることができる。
【0046】
ステップS14の工程で絶縁膜20が除去された箇所のうち、必要な個所に絶縁材料を塗布し、TFTアレイ基板の長期信頼性を確保する。
【0047】
TFTアレイ基板の製造方法の概略の説明は以上である。
【0048】
次に、図3、図4、図5を用いて導電膜をパターニングする工程と絶縁膜をパターニングする工程とを詳しく説明する。図3は、第1の実施形態の導電膜をパターニングする工程と絶縁膜をパターニングする工程とを説明するための説明図である。図4は、第2の実施形態の導電膜をパターニングする工程と絶縁膜をパターニングする工程とを説明するための説明図である。図5は、第3の実施形態の導電膜をパターニングする工程と絶縁膜をパターニングする工程とを説明するための説明図である。
【0049】
図3、図4、図5は、図2(1−b)〜図2(6−b)と同様に基板1を図2(1−a)〜図1(6−a)の断面A−A’で切断した断面図である。
【0050】
最初に、図3の第1の実施形態の導電膜をパターニングする工程と絶縁膜をパターニングする工程を説明する。
【0051】
図3(a)は、ステップS12の導電膜を成膜する工程を終えた図2(2−b)と同じ状態である。図3(b)〜図3(f)が第1の実施形態の導電膜をパターニングする工程であり、図3(g)は、ステップS14の絶縁膜をパターニングする工程を終えた図2(4−b)と同じ状態である。
【0052】
ステップS13の導電膜をパターニングする工程は、本実施形態ではステップS100〜S104の各工程からなる。
【0053】
S100・・・・・フォトレジストを塗布する工程。
【0054】
図3(b)は、導電膜29の上にフォトレジスト材を塗布しフォトレジスト35を形成する工程である。
【0055】
S101・・・・・パターン露光する工程。
【0056】
図3(c)のように、矢印で示す光をマスク36を介してフォトレジスト35に照射し、マスク36のパターンをフォトレジスト35に露光する。なお、本実施形態ではポジ型のフォトレジスト35を用いる例で説明するが、ネガ型を用いても良い。
【0057】
S102・・・・・フォトレジストを現像する工程
現像液で基板1を現像し、図3(d)のようにフォトレジスト35の露光した部分を除去する。
【0058】
S103・・・・・導電膜をエッチングする工程
図3(e)のように、導電膜29のフォトレジスト35に覆われていない部分をエッチングにより除去する。
【0059】
S104・・・・・フォトレジストを除去する工程
図3(f)のように、溶剤を用いてフォトレジスト35を除去する。
【0060】
S14・・・・・絶縁膜をパターニングする工程。
【0061】
RIE(Reactive Ion Etching)法などのドライエッチング法を用いて絶縁膜20の導電膜29(画素電極30、遮光膜31)に覆われていない部分をエッチングし、図3(g)の状態にする。
【0062】
第1の実施形態の導電膜をパターニングする工程と絶縁膜をパターニングする工程の説明は以上である。
【0063】
次に、図4の第2の実施形態の導電膜をパターニングする工程と絶縁膜をパターニングする工程を説明する。
【0064】
絶縁膜20がパリレンなど有機材料により形成されている場合は、絶縁膜をパターニングする工程で同時にフォトレジスト35を除去することができる。本実施形態ではこの点に着目し、第1の実施形態で説明したフォトレジストを除去する工程を省略し、工程を簡略にしている。
【0065】
図4(a)は、ステップS12の導電膜を成膜する工程を終えた図2(2−b)と同じ状態である。図4(b)〜図4(e)が第2の実施形態の導電膜をパターニングする工程であり、図4(f)は、ステップS14の絶縁膜をパターニングする工程を終えた図2(4−b)と同じ状態である。
【0066】
ステップS13の導電膜をパターニングする工程は、本実施形態ではステップS100〜S103の各工程からなり、フォトレジストの除去はステップS14の絶縁膜をパターニングする工程で同時に行われる。
【0067】
S100・・・・・フォトレジストを塗布する工程。
【0068】
図4(b)は、導電膜29の上に感光性有機樹脂材料を塗布しフォトレジスト35を形成する工程である。
【0069】
S101・・・・・パターン露光する工程。
【0070】
図4(c)のように、矢印で示す光をマスク36を介してフォトレジスト35に照射し、マスク36のパターンをフォトレジスト35に露光する。なお、本実施形態ではポジ型のフォトレジスト35を用いる例で説明するが、ネガ型を用いても良い。
【0071】
S102・・・・・フォトレジストを現像する工程
現像液で基板1を現像し、図4(d)のように感光性有機樹脂材料からなるフォトレジスト35の露光した部分を除去する。
【0072】
S103・・・・・導電膜をエッチングする工程
図4(e)のように、導電膜29のフォトレジスト35に覆われていない部分をエッチングにより除去する。
【0073】
S14・・・・・絶縁膜をパターニングする工程。
【0074】
アッシング法を用いて感光性有機樹脂材料からなるフォトレジスト35と有機材料からなる絶縁膜20の導電膜29に覆われていない部分とをエッチングし、図4(f)の状態にする。
【0075】
第2の実施形態の導電膜をパターニングする工程と絶縁膜をパターニングする工程の説明は以上である。
【0076】
次に、図5の第3の実施形態の導電膜をパターニングする工程と絶縁膜をパターニングする工程を説明する。
【0077】
図5(a)〜図5(e)が第3の実施形態の導電膜をパターニングする工程であり、図5(f)は、ステップS14の絶縁膜をパターニングする工程を終えた図2(4−b)と同じ状態である。
【0078】
本実施形態では第1の実施形態と同様にステップS100〜S102の工程を行った後、導電膜29を成膜しリフトオフして導電膜をパターニングしている。
【0079】
S100・・・・・フォトレジストを塗布する工程。
【0080】
図5(a)は、絶縁層20の上にフォトレジスト35を塗布する工程である。
【0081】
S101・・・・・パターン露光する工程。
【0082】
図5(b)のように、矢印で示す光をマスク36を介してフォトレジスト35に照射し、マスク36のパターンをフォトレジスト35に露光する。なお、本実施形態ではポジ型のフォトレジスト35を用いる例で説明するが、ネガ型を用いても良い。
【0083】
S102・・・・・フォトレジストを現像する工程
現像液で基板1を現像し、図5(c)のようにフォトレジスト35の露光した部分を除去する。
【0084】
S113・・・・・導電膜を成膜する工程
蒸着法などを用いて導電膜29を図5(d)のように成膜する。
【0085】
S114・・・・・導電膜をパターニングする工程
導電膜29の成膜されたフォトレジスト35を溶剤で除去し、図5(e)のように導電膜29をパターニングする。
【0086】
S14・・・・・絶縁膜をパターニングする工程。
【0087】
アッシング法、RIE(Reactive Ion Etching)法などのドライエッチング法を用いて絶縁膜20の導電膜29に覆われていない部分をエッチングし、図5(f)の状態にする。
【0088】
第3の実施形態では第1の実施形態と同じ工程数で導電膜をパターニングできる。
【0089】
第3の実施形態の導電膜をパターニングする工程と絶縁膜をパターニングする工程の説明は以上である。
【0090】
次に、図6、図7を用いて導電材料塗布工程を詳しく説明する。図6は、第4の実施形態の導電材料塗布工程を説明するための説明図、図7は、第5の実施形態の導電材料塗布工程を説明するための説明図である。図6(a)、図7(a)は、図2(4−b)と同じ断面図であり、図6(c)、図7(c)は、図2(5−b)と同じ断面図であり説明を省略する。
【0091】
図6(b)の第4の実施形態の導電材料塗布工程を説明する。
【0092】
第4の実施形態ではインクジェット法を用いて導電材料を塗布している。図6(b)に示すように、インクジェット装置のヘッド80からAgナノインクの液滴をコンタクトホール40に滴下する。滴下後、加熱処理を行って図6(c)に示すようにドレイン電極9とコンタクトホール40と画素電極30とを電気的に接続する。
【0093】
次に、図7(b)の第5の実施形態の導電材料塗布工程を説明する。
【0094】
第5の実施形態ではマイクロコンタクトプリント法を用いて導電材料を塗布している。
【0095】
コンタクトホール40に挿入可能な突起部を有する版85は、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)から成り、モールド法により成型されている。版深は例えば2μmである。版85の表面には、導電性高分子材料(PEDOT/PSS)の水溶液86が例えばスピンコートにより図7(b)に示すように塗布されている。
【0096】
マイクロコンタクトプリンタを用いて、版85の突起部を図7(a)の絶縁膜パターニング工程まで終了した基板1のコンタクトホール40に重ね、接触加圧し、導電性高分子材料の水溶液86を版85からコンタクトホール40に転写する。
【0097】
転写後、真空中で加熱処理を行って乾燥させ、図7(c)に示すようにドレイン電極9とコンタクトホール40と画素電極30とを電気的に接続する。
【0098】
このように本発明の導電材料塗布工程は塗布法を用いるので、簡単な工程でドレイン電極9とコンタクトホール40と画素電極30とを電気的に接続することができる。
【実施例】
【0099】
以下、本発明の効果を確認するために行った実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0100】
[実施例1]
〔TFTアレイ基板の作製〕
図1で説明したS10〜S16の工程と図3で説明したS100〜S104の工程で作製したので、各工程の番号を付して順に説明し、共通する点は説明を省略する。
【0101】
S10・・・・・TFT素子を形成する工程。
【0102】
基板1は、導電性薄膜2としてAl膜を表面に130nm形成した150mm×150mmの大きさの住友ベークライト製ポリエーテルスルホン(PES)基板を用いた。図2(1−b)の断面図のように、ボトムゲートボトムコンタクト型のTFT素子を形成した。半導体層10はペンタセン誘導体溶液を塗布して形成した。
【0103】
S11・・・・・絶縁膜を成膜する工程。
【0104】
TEOS CVD法にて、SiOを100nm堆積し絶縁膜20を成膜した。
【0105】
S12・・・・・導電膜を成膜する工程。
【0106】
ITOをスパッタで50nm堆積し導電膜29を成膜した。
【0107】
S13・・・・・導電膜をパターニングする工程。
【0108】
導電膜29をパターニングする工程は、図3で説明した下記工程で行った。
【0109】
S100・・・・・フォトレジストを塗布する工程。
【0110】
導電膜29の上にポジ型のOFPR−800(商品名)を塗布し、フォトレジスト35を2μm厚に成膜した。
【0111】
S101・・・・・パターン露光する工程。
【0112】
図3(c)のように、矢印で示す光をマスク36を介してフォトレジスト35に照射し、マスク36のパターンをフォトレジスト35に露光した。
【0113】
S102・・・・・フォトレジストを現像する工程
現像液で基板1を現像し、図3(d)のようにフォトレジスト35の露光した部分を除去した。
【0114】
S103・・・・・導電膜をエッチングする工程
図3(e)のように、導電膜29のフォトレジスト35に覆われていない部分をエッチングにより除去した。本工程により孔径10μmの円形の開口40が設けられた画素電極30を形成した。
【0115】
S104・・・・・フォトレジストを除去する工程
図3(f)のように、溶剤を用いてフォトレジスト35を除去した。
【0116】
S14・・・・・絶縁膜をパターニングする工程。
【0117】
導電膜29をエッチングマスクとして、絶縁膜20の導電膜29に覆われていない部分をCHFガスを用いたRIE法によりパターニングした。基板1を載置した減圧容器内の圧力は2.9Pa、CHFガスの流量は0.135Pa・m/sec、プラズマ出力は90Wとした。本工程により絶縁膜20をパターニングして、開口40と連通する孔径10μmのコンタクトホール40を形成した。
【0118】
S15・・・・・導電材料を塗布する工程。
【0119】
インクジェット装置を用いて、コンタクトホール40にAgインクを塗布した後、加熱処理を行って配線部41を形成した。インクジェット装置の滴下するAgインクの液滴量は約1plである。
【0120】
S16・・・・・絶縁材料を塗布する工程。
【0121】
インクジェット装置を用いてポリビニルアルコールを絶縁材料50として露出している電極の上に塗布し、加熱処理を施して固化させた。
【0122】
実施例1のTFTアレイ基板を作製する工程は以上である。
【0123】
[実施例2]
〔TFTアレイ基板の作製〕
図1で説明したS10〜S16の工程と図4で説明したS100〜S102、S113、S114の工程で作製したので、各工程の番号を付して順に説明し、共通する点は説明を省略する。
【0124】
実施例1との違いは、導電膜29の材料をパリレンとし、絶縁膜20をパターニングする工程でOアッシング法を用いてフォトレジスト35も除去する点である。
【0125】
S10・・・・・TFT素子を形成する工程。
【0126】
基板1は、導電性薄膜2としてAl膜を表面に130nm形成した150mm×150mmの大きさの住友ベークライト製ポリエーテルスルホン(PES)基板を用いた。図2(1−b)の断面図のように、ボトムゲートボトムコンタクト型のTFT素子を形成した。半導体層10はペンタセン誘導体溶液を塗布して形成した。
【0127】
S11・・・・・絶縁膜を成膜する工程。
【0128】
CVD法にて、パリレンを100nm堆積し絶縁膜20を成膜した。
【0129】
S12・・・・・導電膜を成膜する工程。
【0130】
ITOをスパッタで50nm堆積し導電膜29を成膜した。
【0131】
S13・・・・・導電膜をパターニングする工程。
【0132】
導電膜29をパターニングする工程は、図3で説明した下記工程で行った。
【0133】
S100・・・・・フォトレジストを塗布する工程。
【0134】
導電膜29の上にポジ型のOFPR−800(商品名)を塗布しフォトレジスト35を2μm厚に成膜した。
【0135】
S101・・・・・パターン露光する工程。
【0136】
図4(c)のように、矢印で示す光をマスク36を介してフォトレジスト35に照射し、マスク36のパターンをフォトレジスト35に露光した。
【0137】
S102・・・・・フォトレジストを現像する工程
現像液で基板1を現像し、図4(d)のようにフォトレジスト35の露光した部分を除去した。
【0138】
S103・・・・・導電膜をエッチングする工程
図4(e)のように、導電膜29のフォトレジスト35に覆われていない部分をエッチングにより除去した。本工程により孔径10μmの円形の開口40が設けられた画素電極30を形成した。
【0139】
S14・・・・・絶縁膜をパターニングする工程。
【0140】
導電膜29をエッチングマスクとして、絶縁膜20の導電膜29に覆われていない部分をOガスを用いたOアッシング法によりパターニングした。基板1を載置した減圧容器内の圧力は5.3Pa、Oガスの流量は0.101Pa・m/sec、プラズマ出力は100Wとした。本工程によりフォトレジスト35を除去し、絶縁膜20をパターニングして開口40と連通する孔径10μmのコンタクトホール40を形成した。
【0141】
S15・・・・・導電材料を塗布する工程。
【0142】
インクジェット装置を用いて、コンタクトホール40にAgインクを塗布した後、加熱処理を行って配線部41を形成した。インクジェット装置の滴下するAgインクの液滴量は約1plである。
【0143】
S16・・・・・絶縁材料を塗布する工程。
【0144】
インクジェット装置を用いてポリビニルアルコールを絶縁材料50として露出している電極の上に塗布し、加熱処理を施して固化させた。
【0145】
実施例2のTFTアレイ基板を作製する工程は以上である。
【0146】
実施例1、実施例2で作製したTFTアレイ基板の画素電極30の中央にそれぞれネマティック液晶を適量塗布し、対向基板との間に挟持させて液晶表示装置を作成したところ、各画素は仕様通り動作し、従来の製法による液晶表示装置と同等以上の表示画質が得られることが確認できた。また、液晶表示装置を40℃の環境下で3000時間連続運転し、耐久試験を行った結果、表示画質の劣化は確認できなかった。
【0147】
以上このように、本発明によれば、簡単な工程で画素電極とコンタクトホールとを形成するTFTアレイ基板の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】本発明に係わるTFTアレイ基板の製造方法の概略を説明するための工程図である。
【図2】本発明に係わるTFTアレイ基板の製造方法の概略を説明するための説明図である。
【図3】第1の実施形態の導電膜をパターニングする工程と絶縁膜をパターニングする工程とを説明するための説明図である。
【図4】第2の実施形態の導電膜をパターニングする工程と絶縁膜をパターニングする工程とを説明するための説明図である。
【図5】第3の実施形態の導電膜をパターニングする工程と絶縁膜をパターニングする工程とを説明するための説明図である。
【図6】第4の実施形態の導電材料塗布工程を説明するための説明図である。
【図7】第5の実施形態の導電材料塗布工程を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0149】
1 基板
2 ゲート電極
7 ゲート絶縁層
8 ソース電極
9 ドレイン電極
10 半導体層
20 絶縁膜
29 導電膜
30 画素電極
35 フォトレジスト
39 開口
40 コンタクトホール
41 配線部
80 ヘッド
85 版
86 水溶液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上に形成された駆動素子の上に絶縁膜と画素電極とを順に形成し、前記絶縁層に設けたコンタクトホールにより前記駆動素子の電極と前記画素電極とを電気的に接続するTFTアレイ基板の製造方法において、
絶縁膜を成膜する工程と、
前記絶縁膜の上に導電膜を成膜する工程と、
前記導電膜をパターニングして開口が設けられた画素電極を形成する工程と、
前記開口が設けられた画素電極をエッチングマスクとしてエッチング法により前記絶縁膜に前記開口と連通するコンタクトホールを形成する工程と、
を有することを特徴とするTFTアレイ基板の製造方法。
【請求項2】
前記開口が設けられた画素電極を形成する工程は、
前記導電膜の上に感光性有機樹脂材料を塗布する工程と、
前記開口が設けられた画素電極のパターンを前記感光性有機樹脂材料に露光する工程と、
前記感光性有機樹脂材料を現像する工程と、
前記導電膜の上に残った前記感光性有機樹脂材料をエッチングマスクとして前記導電膜をエッチングする工程と、
から成り、
前記絶縁膜を成膜する工程で有機材料を用いて前記絶縁膜を成膜し、前記コンタクトホールを形成する工程で前記導電膜の上に残った前記感光性有機樹脂材料を前記絶縁膜の一部とともに除去することを特徴とする請求項1記載のTFTアレイ基板の製造方法。
【請求項3】
前記電極と前記コンタクトホールと前記画素電極との間に導電材料を塗布する工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のTFTアレイ基板の製造方法。
【請求項4】
前記コンタクトホールを形成する工程の後に、前記絶縁膜が除去された部位に絶縁材料を塗布する工程を行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のTFTアレイ基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−39097(P2010−39097A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200514(P2008−200514)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】