説明

不揮発性プログラマブルロジックスイッチおよび半導体集積回路

【課題】回路サイズを減少させることを可能にする。
【解決手段】素子分離領域102によって分離された、隣接する第1導電型の第1半導体領域101aおよび第2導電型の第2半導体領域101cと、第1半導体領域101a上に設けられた不揮発性メモリセルトランジスタ10と、第2半導体領域101c上に設けられ、第1半導体領域101aに設けられた第1ドレイン領域10bと電気的に接続されたゲート電極20C2とを有するパストランジスタ20と、第1半導体領域101aに設けられ第1半導体領域に基板バイアスを印加する第1電極8と、第2半導体領域101cに設けられ第2半導体領域に基板バイアスを印加する第2電極9と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、不揮発性プログラマブルロジックスイッチおよび半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
プログラマブルロジックスイッチは、保持されたデータに応じてロジックスイッチのオン/オフを制御する素子である。一般的に、論理演算回路や配線回路を再構成する必要のあるFPGA(Field Programmable Gate Array)などに用いられている。
【0003】
FPGAに用いられるプログラマブルロジックスイッチは、メモリに、SRAMなどの揮発性メモリを用いている。SRAMはデータを保持するフリップフロップ部と、ワードラインのバイアス条件に応じてビットラインからフリップフロップ部へ情報を伝達したり、または保持したりする機能を持つNMOSトランジスタで構成されている。SRAMに保持された情報に応じて、パストランジスタのオン、オフが制御される。しかしながら、SRAMは揮発性メモリであるために、保存されたデータは一度電源を切ると消失してしまう。そのため、再度電源を投入した際は別に設けたメモリ領域からデータを読み込み、SRAMに情報を改めて書き込む必要があった。このようにSRAMで構成されるプログラマブルロジックスイッチには、SRAM自身の回路サイズ、プログラマブルロジックスイッチとは別に設ける必要があるメモリ領域による回路サイズの肥大化という課題がある。このような課題は、プログラマブルロジックスイッチが多用されるFPGAにて、特に顕著であった。
【0004】
不揮発性メモリを用いた不揮発性プログラマブルロジックスイッチが提案されている。例えば、pMOS型不揮発性メモリとnMOSトランジスタとを直列に接続し、これらとスイッチ素子(nMOSトランジスタ)を組み合わせた少なくとも3つのトランジスタを有する不揮発性プログラマブルロジックスイッチが提案されている。不揮発性メモリに書き込む情報に応じてパストランジスタのゲート電極に転送される電位が定まり、それよりスイッチ素子のオン状態、オフ状態が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許公表2009−509460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、回路サイズを減少させることのできる不揮発性プログラマブルロジックスイッチおよびこの不揮発性プログラマブルロジックスイッチを含む半導体集積回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッチは、半導体基板に設けられた素子分離領域と、前記半導体基板に設けられ前記素子分離領域によって互いに分離された、第1導電型の第1半導体領域および前記第1半導体領域に接する第2導電型の第2半導体領域と、前記第1半導体領域に離間して設けられた第2導電型の第1ソース領域および第1ドレイン領域と、前記第1ソース領域と前記第1ドレイン領域との間の前記第1半導体領域上に設けられた第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜上に設けられた電荷蓄積膜と、前記電荷蓄積膜上に形成された第2絶縁膜と、前記第2絶縁膜上に設けられた制御ゲートと、を有するメモリセルトランジスタと、前記第2半導体領域に離間して設けられた第1導電型の第2ソース領域および第2ドレイン領域と、前記第2ソース領域と前記第2ドレイン領域との間の前記第2半導体領域上に設けられた第3絶縁膜と、前記第3絶縁膜上に設けられ、前記第1ドレイン領域と電気的に接続されたゲート電極と、を有するパストランジスタと、前記第1半導体領域に設けられ前記第1半導体領域に基板バイアスを印加する第1電極と、前記第2半導体領域に設けられ前記第2半導体領域に基板バイアスを印加する第2電極と、を備えていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッチを示す回路図。
【図2】第1実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッチを示す断面図。
【図3】第1実施形態の消去動作時のバイアス条件を説明する図。
【図4】第1実施形態の書き込み動作時のバイアス条件を説明する図。
【図5】第1実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッチに外部回路が接続した時のバイアス条件を説明する図。
【図6】第1実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッチに外部回路が接続し、パストランジスタがオフする時のバイアス条件を説明する図。
【図7】第1実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッチに外部回路が接続し、パストランジスタがオンする時のバイアス条件を説明する図。
【図8】外部信号に変動があってもパストランジスタが誤動作しないことを説明する図。
【図9】外部信号に変動があってもパストランジスタが誤動作しないことを説明する図。
【図10】ユニットセルを説明する図。
【図11】ユニットセルがアレイ状に配列された半導体集積回路を示す図。
【図12】第1実施形態のユニットセルを備えた半導体集積回路のレイアウトの一具体例を示す図。
【図13】第1実施形態のユニットセルを備えた半導体集積回路のレイアウトの他の具体例を示す図。
【図14】第1実施形態のロジックスイッチの製造方法を示す断面図。
【図15】第1実施形態のロジックスイッチの製造方法を示す断面図。
【図16】第1実施形態のロジックスイッチの製造方法を示す断面図。
【図17】第1実施形態のロジックスイッチの製造方法を示す断面図。
【図18】第1実施形態のロジックスイッチの製造方法を示す断面図。
【図19】第1実施形態のロジックスイッチの製造方法を示す断面図。
【図20】第2実施形態のロジックスイッチを示す回路図。
【図21】第1乃至第2実施形態のロジックスイッチの書き込みおよび消去条件を示す図。
【図22】第3実施形態のロジックスイッチを示す回路図。
【図23】第4実施形態のロジックスイッチを示す回路図。
【図24】第3乃至第4実施形態のロジックスイッチの書き込みおよび消去条件を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッチは、半導体基板に設けられた素子分離領域と、前記半導体基板に設けられ前記素子分離領域によって互いに分離された、第1導電型の第1半導体領域および前記第1半導体領域に接する第2導電型の第2半導体領域と、前記第1半導体領域に離間して設けられた第2導電型の第1ソース領域および第1ドレイン領域と、前記第1ソース領域と前記第1ドレイン領域との間の前記第1半導体領域上に設けられた第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜上に設けられた電荷蓄積膜と、前記電荷蓄積膜上に形成された第2絶縁膜と、前記第2絶縁膜上に設けられた制御ゲートと、を有するメモリセルトランジスタと、前記第2半導体領域に離間して設けられた第1導電型の第2ソース領域および第2ドレイン領域と、前記第2ソース領域と前記第2ドレイン領域との間の前記第2半導体領域上に設けられた第3絶縁膜と、前記第3絶縁膜上に設けられ、前記第1ドレイン領域と電気的に接続されたゲート電極と、を有するパストランジスタと、前記第1半導体領域に設けられ前記第1半導体領域に基板バイアスを印加する第1電極と、前記第2半導体領域に設けられ前記第2半導体領域に基板バイアスを印加する第2電極と、を備えている。
【0010】
以下、図面を参照しながら本実施形態について詳細に説明をする。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態による不揮発性プログラマブルロジックスイッチ(以下、単にロジックスイッチとも云う)の回路図を図1に示し、断面図を図2に示す。この実施形態のロジックスイッチ1は、メモリセルトランジスタ10と、ダイオード15と、ダイオード17と、パストランジスタ20とを備え、メモリセルトランジスタ10、およびパストランジスタ20は同一の半導体基板100のnウェル領域101a、およびpウェル領域101cにそれぞれ形成される。nウェル領域101bには、p型不純物領域8が設けられ、このp型不純物領域8は、メモリセルトランジスタ10に基板バイアスを印加するために用いられる端子の役割も担っている。また、pウェル領域101dには、n型不純物領域9が設けられ、このn型不純物領域9はパストランジスタ20に基板バイアスを印加するために用いられる端子の役割も担っている。つまり、p型不純物領域8およびn型不純物領域9は電極の機能が果たせればよいので、代わりにNiシリサイド等の金属化合物を用いてもかまわない。本実施形態のロジックスイッチは、メモリセルトランジスタ10と、パストランジスタ20とを備えたセルを構成する。
【0012】
ウェル領域101a、101b、101c、および101dは絶縁体からなる素子分離領域102によって互いに素子分離される。ここで、上記ウェル領域は半導体領域であり、半導体基板の一部の領域であってもよい。また、SOI(Silicon On Insulator)基板のSOI層であってもよい。
【0013】
メモリセルトランジスタ10は、nウェル領域101aに離間して形成されたp型のソース領域10aおよびドレイン領域10bを有している。そして、ソース領域10aとドレイン領域10bとの間のチャネルとなるnウェル領域101a上に、トンネル絶縁膜10c、電荷蓄積膜10c、ブロック絶縁膜10c、および制御ゲート10cがこの順序で積層された積層構造を有するゲート構造10cが設けられている。電荷蓄積膜10cは、本実施形態においては、ポリシリコン膜を有し、この場合、浮遊ゲートとも云う。なお、電荷蓄積膜10cは、電荷をトラップすることのできる絶縁体、例えばシリコン窒化膜を有する電荷トラップ膜であってもよい。nウェル領域101aと、p型ドレイン領域10bとによってダイオード15が形成される。そして、不純物領域8を介して、メモリセルトランジスタ10には、基板バイアスが印加される。
【0014】
また、パストランジスタ20は、pウェル領域101cに離間して形成されたn型のソース領域20aおよびドレイン領域20bを有している。更に、ソース領域20aとドレイン領域20bとの間のチャネルとなるpウェル領域101c上に、ゲート絶縁膜20c、ゲート電極20cがこの順序で積層された積層構造のゲート構造20cを有している。
【0015】
メモリセルトランジスタ10のドレイン10bは、配線30を介してパストランジスタ
20のゲート電極20cに電気的に接続される。nウェル領域101aとpウェル領域101cとによってダイオード17が形成される。そして、不純物領域9を介して、パストランジスタ20には、基板バイアスが印加される。
【0016】
本実施形態においては、パストランジスタ20はゲート20cの長さが50nm、ゲート絶縁膜20cの厚さが1.5nmのnチャネルFETであり、メモリセルトランジスタ10はゲート10cの長300nm、トンネル絶縁膜10cの厚さが8.0nmのpチャネルFETで構成されている。メモリセルトランジスタ10の浮遊ゲート10c及び制御ゲート10cはn型ポリシリコンであり、メモリセルトランジスタ10への書き込み、消去動作はFN(Fowler-Nordheim)電流を用いて行う。ここでは浮遊ゲートや制御ゲートがポリシリコン、ゲート絶縁膜や層間絶縁膜がシリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜の場合について議論する。しかし、浮遊ゲートや制御ゲートがメタルゲート(Ti、Ta、Mo、W、Rnなどの窒化物や炭化物)でもよく、またゲート絶縁膜や層間絶縁膜がHigh−k膜(SiOよりも誘電率の高い絶縁膜(例えば、シリコン窒化膜、またはHf、Zr等の金属を含む金属酸化膜もしくは金属酸窒化膜))の構造であっても良い。これによりEOT(Equivalent Oxide Thickness)を薄くできるので、より高性能な不揮発性プログラマブルロジックスイッチを実現することができる。
【0017】
次に、本実施形態のロジックスイッチの動作を説明する。
【0018】
本実施形態では、最初にメモリセルトランジスタ10を過消去状態にしてから、必要に応じて浮遊ゲート10cに電子を注入して書き込み状態にする。図3に、本実施形態における消去動作時のバイアス条件を示す。メモリセルトランジスタ10の制御ゲート10c4にVCG=0Vを印加し、基板バイアス電極(端子8)に印加する電圧VSUBを消去電圧VER(>0)とし、ソース領域10a(端子10a)を浮遊状態(フローティング状態)にすることでトンネル絶縁膜10cの電界が強くなり、浮遊ゲート10cから電子が引き抜かれる。すなわち、浮遊ゲート10cから基板(ウェル領域)へFN電流を流す。これにより、メモリセルトランジスタ10は過消去状態になり、浮遊ゲート10cの電位VFGは実効的に正の電位となる(VFG>0V)。同時に、パストランジスタ20の基板バイアス電極(端子9)に印加する電圧VSUBも消去電圧VERとすることで、パストランジスタ20のゲート絶縁膜20cが破壊されることを防ぐことができる。端子9に電圧を印加して過消去状態とするため、図1に示す本実施形態のロジックスイッチ1の構造を単位ユニットセルとするセルアレイ全体に対して過消去動作を行うことができる。なお、端子20a(ソース領域20a)と端子20b(ドレイン領域20b)は浮遊状態、もしくは端子20aと端子20bに接続される外部回路の基板電位を浮遊状態にすることが望ましい。これは電位VERが外部回路に影響を及ぼすことを防ぐためである。
【0019】
図4に、本実施形態における書き込み動作時のバイアス条件を示す。メモリセルトランジスタ10の端子8および端子10aと、パストランジスタ20の端子9に印加する電圧を0Vとし、制御ゲート10cには書き込み電圧VPGM(>0)を印加する。すると、浮遊ゲート10cへ電子が注入される(nウェル領域から浮遊ゲート10cへFN電流が流れる)ことによって、浮遊ゲート10cの電位VFGは実効的に負の電位となる(VFG<0V)。なお、端子20aと端子20bは浮遊状態、もしくは端子20aと端子20bに接続される外部回路の基板電位を浮遊状態にすることが望ましい。この動作は、セルアレイ中においてデータ書き込みが必要な単位ユニットセルに対してのみ行われる。
【0020】
このように、メモリセルトランジスタ10にデータを書き込んだ後、パストランジスタ20と外部回路を接続して不揮発性プログラマブルロジックスイッチとして動作させる。図5に、本実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッチ1に印加される電圧と外部回路との接続方法を示す。図5に示すように、端子8には駆動電位VDDを印加し、端子9には0Vを印加し、端子10aには0Vを印加し、制御ゲート10cに電位VCGを印加する。なお電位VCGは明記していないが、設計に応じて適切な電圧を設定すればよい。このようにすれば、メモリセルトランジスタ10に書き込んだデータに応じてパストランジスタ20がオン/オフ状態(導通/非導通状態)となり、端子20aと端子20bに接続した外部回路を電気的に接続したり、非道通状態にしたりすることが可能になる。
【0021】
メモリセルトランジスタ10の浮遊ゲート10cに電子を書き込んだ後に、本実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッチ1の様子を図6に示す。浮遊ゲート10cは電子によって負に帯電するので、pチャネルFETであるメモリセルトランジスタ10はオン状態となる。その結果、端子10aに印加されている電位0Vがパストランジスタ20のゲート20cに転送され、端子20aと端子20bに接続される外部回路は電気的に非導通状態になる。
【0022】
一方、メモリセルトランジスタ10を過消去状態にしたまま、本実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッチ1の様子を図7に示す。電子を引き抜くことで浮遊ゲート10cは正に帯電するので、pチャネルFETであるメモリセルトランジスタ10はオフ状態になる。そのため、端子10aの電位0Vはパストランジスタ20のゲート電極20cには転送されない。代わりに、メモリセルトランジスタ10の基板バイアス電極(端子8)と、ドレイン10b(端子10b)、すなわちパストランジスタ20のゲート電極との間にあるpnダイオード15を介して、端子8に印加される電位VDDをパストランジスタ20のゲート電極20cに電位VDDが転送される。また、浮遊ゲート10cも正に帯電しているので、浮遊ゲート10cとメモリセルトランジスタ10の不純物領域10b間の容量結合によってもパストランジスタ20のゲート20cの電位を正に保つことができるようになる。これによりパストランジスタ20はオン状態となり、端子20aと端子20bに接続される外部回路は電気的に導通状態になる。
【0023】
図7に示す場合においては、メモリセルトランジスタ10がオフ状態であるため、パストランジスタ20のゲート電極20cは浮遊状態である。そのため、端子20aに入力される外部信号との容量結合によって端子10bの電位が変動し、パストランジスタ20が誤作動することが一般的には懸念される。しかし、本実施形態では下記理由によって誤作動は起こらない。
【0024】
理解を容易にするために、メモリセルトランジスタ10がオン状態の場合から再度考えることとする。図8(a)は、パストランジスタ20のゲート20cに電位0Vが転送された状態を示している。また、図8(b)はパストランジスタ20のスイッチング特性を明示的に示したものであり、○印はt=0におけるゲート電位を示している。なお、t>0において、外部信号が端子20aまたは端子20bに入力されるものとする。図6で説明したように、パストランジスタ20のゲート20cの電位は0Vに接続されているため、端子20aまたは端子20bから外部信号が入力されても容量結合によるゲート電位の変動は起こらない。
【0025】
図9(a)はメモリセルトランジスタ10がオフ状態となって、パストランジスタ20のゲート20cに電位VDDが転送された状態を示している。また、図9(b)はパストランジスタ20のスイッチング特性を明示的に示したものであり、○印はt=0におけるゲート20cの電位を示している。パストランジスタ20のゲート20cは浮遊状態なので、外部信号によっては容量結合で±ΔVだけ電位が変動する。仮に閾値電圧VthがVDDに近い値であれば、電位変動によってパストランジスタ20のゲート20cの電位VがV(=VDD−ΔV)<Vthとなることが懸念される。すなわち、ユーザーが端子20aと端子20bを電気的に接続するようにメモリセルトランジスタ10にデータを書き込んだとしても、外部信号によって電位変動が起こり、時間の経過とともにパストランジスタ20がオフ状態となってしまう。しかしながら、閾値電圧Vthは一般的にVDDより十分低くなるように設計される。そのため、図9(b)に示すように、電位変動が起きたとしてもVDD−ΔV>Vthとなってパストランジスタの誤作動は防ぐことができる。この特徴は、閾値電圧VthがVDDに対して低いほど、メリットとして発揮される。したがって、本実施形態においては、閾値電圧Vthの低い高速系デバイスがパストランジスタとして用いられることが好ましい。
【0026】
本実施形態のロジックスイッチにおいては、最初にメモリセルトランジスタ10を過消去状態にしてから、必要に応じてメモリセルトランジスタ10への書き込みを行ってメモリセルトランジスタ10を書き込み状態にする。メモリセルトランジスタ10の書き込み状態(浮遊ゲートの電荷蓄積状態)によってメモリセルトランジスタ10のオン/オフ状態(導通/非導通状態)が定まるので、ソース領域10aに駆動電圧VDDを印加すれば、パストランジスタ20の制御が可能となる。
【0027】
本実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッチは、図2に示すように、メモリセルトランジスタ10が形成されるnウェル領域101aと、パストランジスタ20が形成されるpウェル領域101cが隣接してpn接合17を形成している。メモリセルトランジスタ10とパストランジスタ20との間の距離が十分に離れていても、図1に示す回路レイアウトは実現できる。しかし、この場合、不揮発性プログラマブルロジックとして機能させることは容易ではない。これは距離が離れるほど、寄生容量によって端子10bに電位VDDを転送するのが困難になるためである。
【0028】
また、上記pn接合17には次のようなメリットもある。図2に示す本実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッチでは、消去動作の際に、図3に示すように、メモリセルトランジスタ10とパストランジスタ20にそれぞれ基板バイアスVERを端子8と端子9を介して印加する必要がある。これはパストランジスタ20のゲート絶縁膜を絶縁破壊から保護するためである。そのため、絶縁破壊防止の効果を得るためには端子8と端子9への電圧の印加タイミングは可能な限り同時であることが望ましい。
【0029】
図2に示すように、本実施形態ではメモリセルトランジスタ10が形成されるnウェル領域101aと、パストランジスタ20が形成されるpウェル領域101cが隣接している。そのため、端子8と端子9に印加される電圧にタイムラグがあったとしても、nウェル領域101aとpウェル領域101cのpn接合17を介しても電位が伝播するためタイムラグの影響を最小限に留めることができる。これに対して、メモリセルトランジスタ10とパストランジスタ20との距離が離れている場合、例えば、それぞれが別個のアレイとしてレイアウトされている場合は、nウェル領域とpウェル領域に実効的に電圧が印加されるタイミングは、基板コンタクトからの距離にも強く依存する。そのため、メモリセルトランジスタ10とパストランジスタ20の位置によってはタイムラグが強まる方向に作用してしまう。
【0030】
上述した本実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッチ1は、図10(a)、10(b)に示すように、メモリセルトランジスタ10とパストランジスタ20とを備えた最小構成要素であるユニットセル1として機能する。メモリセルトランジスタ10の制御ゲート10cにはビット線BLが接続され、ソース10aにはワード線WLが接続される。また、パストランジスタ20のソース端子20a、ドレイン端子20bは、それぞれノードA、ノードBとなる。そして、このユニットセル1を、図11に示すように、アレイ状(マトリクス状)に配置した半導体集積回路を構成することができる。その際、メモリセルトランジスタ10の基板バイアス電極8とパストランジスタ20の基板バイアス電極9は他のユニットセルと共通化することができる。したがって、図2では一つのユニットセル1に基板バイアス電極が2つ(端子8と端子9)があるように見えるが、実際は共通化できるので回路サイズの縮減に大きな効果を得ることができる。なお、図11に示すように、各ワード線WLはデコーダ30に接続され、各ビット線BLはデコーダ35に接続される。デコーダ30はアドレス信号をデコードして少なくとも1本のワード線WLを選択し、デコーダ35はアドレス信号をデコードして少なくとも1本のビット線BLを選択する。これにより、選択されたワード線WLと、選択されたビット線BLとの交差領域近傍に存在するユニットセル1が選択される。
【0031】
次に、本実施形態のユニットセル1を備えた半導体集積回路のレイアウトの一具体例を図12に示す。この具体例においては、複数のユニットセル1は、マトリクス状に配列され、同じ行のユニットセル1のメモリセルトランジスタ10はゲート10cを共有するように配置されている。また、各ユニットセル1のパストランジスタ20は、同じユニットセル内のメモリセルトランジスタ10と、同一の列となるように配置されている。そして、メモリセルトランジスタ10とパストランジスタ20との間には、例えばSiOからなる絶縁膜40が形成されている。
【0032】
この図12に示す一具体例のレイアウトにおいては、メモリセルトランジスタ10とパストランジスタ20は、同じゲート幅Wを有している。一般に、不揮発性プログラマブルロジックスイッチにおける信号のRC遅延を抑制するために、パストランジスタ20のオン抵抗値が低いことが望ましい。このような場合には、図13に示す他の具体例のレイアウトのように、パストランジスタ20として、ソース20aおよびドレイン20bの一方を共有するとともにゲート20cが共通に接続された隣接する複数個(図13では5個)のMOSFETで構成すれば、このパストランジスタ20は、ゲート幅が5Wとなり、メモリセルトランジスタ10のゲート幅Wの5倍となって、オン抵抗値を低くすることができる。この他の具体例においては、複数のユニットセル1は、マトリクス状に配列され、同じ列のユニットセル1のメモリセルトランジスタ10はゲート10cを共有するように配置されている。また、各ユニットセル1のパストランジスタ20は、同じユニットセル内のメモリセルトランジスタ10と、同一の行となるように配置されている。なお、この図13に示すレイアウトは、後述する第2実施形態のように、メモリセルトランジスタ10がnチャネルFETで、パストランジスタ20がpチャネルFETである場合には、特に好ましい。これは、pチャネルFETは同じサイズのnチャネルFETに比べてオン電流が小さい、すなわちオン抵抗値が高いので、図13に示すレイアウトのように、デバイス幅を大きくすることにより、オン電流を大きなものとすることができる。
次に、本実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッチの製造方法について図14(a)乃至図19(b)を参照して説明する。
【0033】
以下の説明では、不純物濃度5×1015cm−3程度の面方位(100)p型Si基板に対してデバイスを作成することを想定している。
【0034】
まず、p型Si基板100に対して、素子分離領域102となるSTI(Shallow Trench Isolation)の形成のためのパターニングを行い、深さ200nm程度の溝(図示せず)をSi基板100上に形成する。この溝にTEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)膜を堆積することでSTI102を形成する。その後、熱酸化工程にてSiOからなる犠牲酸化膜201をSi基板100の表面上に作成する(図14(a))。図14(a)に示すSi基板100の左半分がメモリセルトランジスタの形成領域、右半分がパストランジスタの形成領域となる。続いて、レジストを基板100上に塗布し、パターニングすることによりパストランジスタの形成領域上にレジストが残置するレジストパターン202を形成する。このレジストパターン202をマスクとして、n型不純物、例えば、P(燐)、As(ヒ素)などをイオン注入することにより、nウェル領域101aを形成する(図14(a))。
【0035】
次に、レジストパターン202を除去した後、nウェル領域101aを覆うレジストパターン203を形成する。そして、このレジストパターン203をマスクとして、p型不純物、例えば、B(ボロン)をイオン注入し、pウェル領域101cを形成する(図14(b))。続いて、レジストパターン203を除去した後、熱工程によって、nウェル領域101a、101b、およびpウェル領域101c、101dの不純物を活性化させる。
【0036】
続いて、犠牲酸化膜201を剥離し、パストランジスタ用のゲート絶縁膜として数nm程度の厚さの酸化膜20c1を形成する(図15(a))。
【0037】
本実施形態では、メモリセルトランジスタとパストランジスタでは必要なゲート絶縁膜の厚さが異なる。そこで、まずメモリセルトランジスタを形成する領域、すなわちnウェル領域101aが底部として露出する開口を有するレジストパターン204を形成する。このレジストパターン204をマスクとして、nウェル領域101a上のパストランジスタ用ゲート絶縁膜20cを剥離する。続いて、nウェル領域101aに厚さが8nm程度の例えばSiOからなるトンネル絶縁膜10cを形成する(図15(b))。これにより、図15(b)に示すように、厚さの異なるトンネル絶縁膜10cおよびゲート絶縁膜20cを形成することができる。なお、ここではトンネル絶縁膜10cおよびゲート絶縁膜20cがSiOであるとして説明を行ったが、NOやNHなどで窒化したシリコン窒化膜であっても、High−k膜であってもよい。
【0038】
第1実施形態では、メモリセルトランジスタとパストランジスタとではゲート電極の構造が異なる。すなわち、メモリセルトランジスタは制御ゲートの他に浮遊ゲートがあるのに対し、パストランジスタは通常のゲート電極だけを持つ構造である。このような構造は、以下のようなプロセスを用いれば、領域ごとに異なるゲートを有するトランジスタを作成することができる。
【0039】
まず、レジストパターン204を除去した後、図16(a)に示すように、ゲート絶縁膜10c、20cを覆うように全面にポリシリコン膜206を堆積した後、ポリシリコン膜206にPなどのn型不純物をイオン注入する。なお、n型不純物が導入されたポリリコン膜の形成は、ポリシリコン膜206を堆積した後にn型不純物をイオン注入したが、n型不純物が導入されたポリシリコン膜を堆積してもよい。続いて、ポリシリコン膜206上に、例えば、SiO、Si、Al等からなる絶縁膜208を形成する(図16(b))。この絶縁膜208は、メモリセルトランジスタのブロック絶縁膜となる。
【0040】
次に、図17(a)に示すように、パストランジスタのゲート電極が形成される個所の絶縁膜208の一部をエッチングにて除去し、ポリシリコン膜206に達する開口209を形成する。続いて、絶縁膜208を覆うようにn型不純物、例えばPが導入されたポリリコン膜210を形成する(図17(b))。このポリシリコン膜210は、メモリセルトランジスタのコントロールゲートとなるとともに、パストランジスタのゲート電極となる。
【0041】
次に、ポリシリコン膜210を覆うように例えば、Siからなるハードマスク材料膜212を堆積する(図18(a))。その後、リソグラフィー技術を用いてハードマスク材料層212をパターニングして、メモリセルトランジスタの制御ゲートおよびパストランジスタのゲートの形状を有するハードマスク212aを形成する。そして、このハードマスク212aを用いて、ポリシリコン膜210、絶縁膜208、ポリシリコン膜206、トンネル絶縁膜10c、およびゲート絶縁膜20cをパターニングし、メモリセルトランジスタのゲート構造10cおよびパストランジスタのゲート構造20cを形成する(図18(b))。ゲート構造10cは、トンネル絶縁膜10c、浮遊ゲート10c、ブロック絶縁膜(または電極間絶縁膜)10c、および制御ゲート10cを有し、ゲート構造20cは、ゲート絶縁膜20cおよびゲート電極20cを有している。
【0042】
次に、ハードマスク212aをマスクとして用いて、nウェル領域101a、101bにp不純物領域214を形成し、pウェル領域101c、101dにn不純物領域216を形成する(図19(a))。続いて、ハードマスク212aを除去した後、ゲート構造10c、20cの側部に絶縁体からなるゲート側壁217をそれぞれ形成する。続いて、ゲート構造10c、20c、およびゲート側壁217をマスクとして、nウェル領域101a、101bにp不純物領域218を形成し、pウェル領域101c、101dにn不純物領域220を形成する(図19(b))。nウェル領域101aのp不純物領域214、p不純物領域218がメモリセルトランジスタのソースおよびドレインとなり、nウェル領域101bのp不純物領域218が、nウェル領域101a、101bに基板バイアス電圧を印加するための端子となる。また、pウェル領域101cのn不純物領域216、n不純物領域220がパストランジスタのソースおよびドレインとなり、pウェル領域101dのn不純物領域220が、pウェル領域101c、101dに基板バイアス電圧を印加するための端子となる。なお、p不純物領域214、p不純物領域218、n不純物領域216、およびn不純物領域220は、形成後、熱処理することにより、活性化しておく。
【0043】
その後、層間絶縁膜222を堆積し、この層間絶縁膜222に開口(図示せず)を形成し、開口を金属で埋め込み、メモリセルトランジスタ10のドレインと、パストランジスタ20のゲートとを接続する配線(図示せず)を形成する。これにより、本実施形態の本実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッチが完成する。
【0044】
また、本実施形態では、制御ゲートと浮遊ゲートがともにn型ポリシリコンで形成されていたが、浮遊ゲートがn型ポリシリコンでかつ制御ゲートがp型ポリシリコンまたはメタルゲートであってもよい。この場合、製造方法は本実施形態のものに比べて多少複雑となる。
【0045】
なお、本実施形態においては、パストランジスタ20の動作時において、メモリセルトランジスタ10の不純物領域10aにパストランジスタ20をオフさせる電圧0Vが印加される(図6参照)。また、メモリセルトランジスタ10の基板または浮遊ゲートと、上述のパストランジスタ20のゲート電極と接続された不純物領域との間の容量結合によって、パストランジスタ20のゲート電位をパストランジスタがオンする電位VDDに保つことができる(図7参照)。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、メモリセルトランジスタおよびパストランジスタという2つのトランジスタを備えたセルユニットを最小構成要素としているので、
回路サイズを減少させることができる。
【0047】
なお、本実施形態においては、浮遊ゲートにn型ポリシリコンを用いているので、書き込みおよび消去時間が短い。本実施形態では浮遊ゲートにn型ポリシリコンを用いて、電子電流による書き込み、消去動作を行う。これは一般的なメモリセルと同じであるので、信頼性の高い不揮発性プログラマブルロジックスイッチを実現することができる。また、書き込み、消去電圧に正の電圧を用いることができる。
【0048】
(変形例)
第1実施形態の変形例による不揮発性プログラマブルロジックスイッチを説明する。第1実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッチは、メモリセルトランジスタ10の浮遊ゲート10cおよび制御ゲート10cがn型ポリシリコンであった。この変形例の不揮発性プログラマブルロジックスイッチは、第1実施形態のメモリセルトランジスタ10の浮遊ゲート10cをp型ポリシリコンで形成した構成となっている。なお、第1実施形態と同様に、メモリセルトランジスタ10はpチャネルMOSFETであり、パストランジスタ20はnチャネルMOSFETである。
【0049】
この変形例においては、メモリセルトランジスタ10の書き込み動作および消去動作条件のみが第1実施形態の場合と異なっているが、パストランジスタ20の動作条件は図6および図7に示す第1実施形態と同じとなっている。
【0050】
この変形例において、メモリセルトランジスタ10の書き込み動作は、メモリセルトランジスタ10の制御ゲートに電圧VCG(<0)を印加するとともに、基板バイアス電極8に印加する電圧VSUBを0Vにし、メモリセルトランジスタ10のチャネルに生じる反転層から浮遊ゲート10cに正孔を注入する。
【0051】
また、消去動作は、メモリセルトランジスタ10の制御ゲートの電圧VCGを0Vにするとともに、基板バイアス電極8に印加する電圧VSUBを負電圧とし、浮遊ゲート10cに電子を注入して正孔を消去する。
【0052】
なお、この変形例においても第1実施形態と同様に、パストランジスタ20の動作時において、メモリセルトランジスタ10の不純物領域10aにパストランジスタ20をオフさせる電圧0Vが印加される。また、メモリセルトランジスタ10の基板または浮遊ゲートと、上述のパストランジスタ20のゲート電極と接続された不純物領域10bとの間の容量結合によって、パストランジスタのゲート電位をパストランジスタがオンする電位VDDに保つことができる(図7参照)。
【0053】
この変形例も第1実施形態と同様に、メモリセルトランジスタおよびパストランジスタという2つのトランジスタを備えたセルユニットを最小構成要素としているので、
回路サイズを減少させることができる。
【0054】
なお、この変形例においては、浮遊ゲートがp型ポリシリコンであるので、プロセス上の制約が第1実施形態に比べて低い。この変形例においては、浮遊ゲートにp型ポリシリコンを用いている。これはメモリセルの拡散層と同型(拡散層もp型)であるので、セルフアラインで不揮発性プログラマブルロジックスイッチを実現することができる。
【0055】
(第2実施形態)
第2実施形態による不揮発性プログラマブルロジックスイッチを図20に示す。この第2実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッ1Aは、図1に示す第1実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッ1のpチャネルメモリセルトランジスタ10、nチャネルパストランジスタ20をそれぞれ、nチャネルメモリセルトランジスタ10A、pチャネルパストランジスタ20Aに置き換えた構成となっている。したがって、メモリセルトランジスタ10Aはpウェル領域に形成され、パストランジスタ20Aはnウェル領域に形成される。このため、pn接合15、17はそれぞれpn接合15A、17Aとなり、p型不純物領域8およびn型不純物領域9はそれぞれ、n型不純物領域8Aおよびp型不純物領域9Aとなる。
【0056】
メモリセルトランジスタ10Aは、ソース10Aaおよびドレイン10Abと、ゲート構造10Acとを備えている。ゲート構造10Acは、ソース10Aaとドレイン10Abとの間のチャネルとなるpウェル領域に形成されたトンネル絶縁膜10Acと、n型ポリシリコンからなる浮遊ゲート10Acと、電極間絶縁膜10Acと、n型ポリシリコンからなる制御ゲート10Acとを備えている。
【0057】
また、パストランジスタ20Aは、ソース20Aaおよびドレイン20Abと、ゲート構造20Acとを備えている。ゲート構造20Acは、ゲート絶縁膜20Acと、ゲート電極20Acとを備えている。そして、ゲート電極20Acは、メモリセルトランジスタ10Aのドレイン10Abに接続されている。
【0058】
この第2実施形態においては、メモリセルトランジスタ10Aの書き込み動作は、メモリセルトランジスタ10Aの制御ゲートに電圧VCG(>0)を印加するとともに、基板バイアス電極8に印加する電圧VSUBを0Vにし、メモリセルトランジスタ10Aのチャネルに生じる反転層から浮遊ゲート10Acに電子を注入する。
【0059】
また、消去動作は、メモリセルトランジスタ10Aの制御ゲートの電圧VCGを0Vにするとともに、基板バイアス電極8に印加する電圧VSUBを正の電圧とし、浮遊ゲート10Acから電子を消去する。
【0060】
また、この第2実施形態においては、パストランジスタ20Aの動作時において、メモリセルトランジスタ10Aの不純物領域10Aaにパストランジスタ20Aをオフさせる電圧VDDが印加される。また、メモリセルトランジスタ10Aの基板(ウェル領域)または浮遊ゲートと、上述のパストランジスタ20Aのゲート電極と接続された不純物領域との間の容量結合によって、パストランジスタ20Aのゲート電位をパストランジスタ20Aがオンする電位(=0V)に保つことができる。
【0061】
この第2実施形態も第1実施形態と同様に、メモリセルトランジスタおよびパストランジスタという2つのトランジスタを備えたセルユニットを最小構成要素としているので、
回路サイズを減少させることができる。
【0062】
なお、この第2実施形態においては、浮遊ゲートがn型ポリシリコンであるので、プロセス上の制約が低い。本実施形態では浮遊ゲートにn型ポリシリコンを用いて、反転層から電子電流による書き込み、消去動作を行う。これは一般的なメモリセルと同じプロセス、動作原理であるので、信頼性の高い不揮発性プログラマブルロジックスイッチを実現することができる。また、書き込み、消去電圧に正の電圧を用いることができる。
【0063】
(変形例)
第2実施形態の変形例による不揮発性プログラマブルロジックスイッチを説明する。第2実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッチは、メモリセルトランジスタ10Aの浮遊ゲート10Acおよび制御ゲート10cがn型ポリシリコンであった。この変形例の不揮発性プログラマブルロジックスイッチは、第2実施形態のメモリセルトランジスタ10Aの浮遊ゲート10Acをp型ポリシリコンで形成した構成となっている。なお、第2実施形態と同様に、メモリセルトランジスタ10AはnチャネルMOSFETであり、パストランジスタ20AはpチャネルMOSFETである。
【0064】
この変形例においては、メモリセルトランジスタ10Aの書き込み動作は、メモリセルトランジスタ10Aの制御ゲート10Acに電圧VCG(<0)を印加するとともに、基板バイアス電極8に印加する電圧VSUBを0Vにし、pウェル領域から浮遊ゲート10Acに正孔を注入する。
【0065】
また、消去動作は、メモリセルトランジスタ10Aの制御ゲート10Acの電圧VCGを0Vにするとともに、基板バイアス電極8に電圧VSUB(<0)を印加し、浮遊ゲート10Acに電子を注入し、正孔を消去する。
【0066】
なお、この変形例においても第1実施形態と同様に、パストランジスタ20Aの動作時において、メモリセルトランジスタ10Aの不純物領域10Aaにパストランジスタ20Aをオフさせる電圧0Vが印加される。また、メモリセルトランジスタ10Aの基板または浮遊ゲートと、上述のパストランジスタ20Aのゲート電極と接続された不純物領域との間の容量結合によって、パストランジスタ20Aのゲート電位をパストランジスタ20Aがオンする電位VDDに保つことができる(図7参照)。
【0067】
この変形例も第2実施形態と同様に、メモリセルトランジスタおよびパストランジスタという2つのトランジスタを備えたセルユニットを最小構成要素としているので、
回路サイズを減少させることができる。
【0068】
なお、この変形例においては、浮遊ゲートがp型ポリシリコンであるので、プロセス上の制約が第1実施形態に比べて低い。この変形例においては、浮遊ゲートにn型ポリシリコンを用いている。これはメモリセルの拡散層と同型(拡散層もn型)であるので、セルフアラインで不揮発性プログラマブルロジックスイッチを実現することができる。
【0069】
なお、参考までに、上記第1および第2実施形態およびその変形例におけるメモリセルトランジスタの書き込み電圧および消去電圧の一覧を図21に示す。図21において、VCGはメモリセルトランジスタ10、10Aの制御ゲートに印加する電圧、VSUBはメモリセルトランジスタ10、10Aの基板バイアス電極8、8Aに印加する電圧を示す。
【0070】
(第3実施形態)
第3実施形態による不揮発性プログラマブルロジックスイッチを図22に示す。図1に示す第1実施形態または図20に示す第2実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッチにおいては、メモリセルトランジスタの電荷蓄積膜10cは浮遊ゲートであった。この第3実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッチ1Bは、図1に示す第1実施形態におけるメモリセルトランジスタの電荷蓄積膜として例えば、窒化膜を含む電荷トラップ膜に置き換えた構成となっている。すなわち、第3実施形態のメモリセルトランジスタは、MONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Semiconductor)ゲート構造を有している。
すなわち、この第3実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッチ1Bは、pチャネルメモリセルトランジスタ10Bと、nチャネルパストランジスタ20とを備えている。メモリセルトランジスタ10Bは、ソース領域10Baおよびドレイン領域10Bbと、ゲート構造10Bcとを備えている。ゲート構造10Bcは、ソース領域10Baとドレイン領域10Bbとの間のチャネルとなるnウェル領域に形成されたトンネル絶縁膜10Bcと、電荷トラップ膜10Bcと、ブロック絶縁膜10Bcと、n型ポリシリコンからなる制御ゲート10Bcとを備えている。なお、パストランジスタ20は、第1実施形態で説明したものと同一の構成となっている。
【0071】
この第3実施形態においては、メモリセルトランジスタ10BがpチャネルMOSFETであるので、書き込み動作は、メモリセルトランジスタ10Bの制御ゲート10Bcに電圧VCG(<0)を印加し、基板バイアス電極8に印加する電圧VSUBを0Vにし、nウェル領域に生じる反転層から電荷トラップ膜10Bcに正孔を注入する。
【0072】
また、消去動作は、メモリセルトランジスタ10Bの制御ゲート10Bcの電圧VCGを0Vにするとともに、基板バイアス電極8に電圧VSUB(<0)を印加し、電荷トラップ膜10Bcに電子を注入し、正孔を消去する。
【0073】
なお、この第3実施形態においても第1実施形態と同様に、パストランジスタ20を非導通状態にするためにメモリセルトランジスタ10Bの不純物領域10Baに電圧0Vが印加され、パストランジスタ20を導通状態にするためにメモリセルトランジスタ10Bの不純物領域10Baに駆動電圧VDDが印加される。
【0074】
この第3実施形態も第1実施形態と同様に、メモリセルトランジスタおよびパストランジスタという2つのトランジスタを備えたセルユニットを最小構成要素としているので、
回路サイズを減少させることができる。
【0075】
(第4実施形態)
第4実施形態による不揮発性プログラマブルロジックスイッチを図23に示す。この第4実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッチ1Cは、図20に示す第2実施形態におけるメモリセルトランジスタの電荷蓄積膜として例えば、窒化膜を含む電荷トラップ膜に置き換えた構成となっている。すなわち、第4実施形態のメモリセルトランジスタは、MONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Semiconductor)ゲート構造を有している。
すなわち、この第4実施形態の不揮発性プログラマブルロジックスイッチ1Cは、nチャネルメモリセルトランジスタ10Cと、pチャネルパストランジスタ20Aとを備えている。メモリセルトランジスタ10Cは、ソース領域10Caおよびドレイン領域10Cbと、ゲート構造10Ccとを備えている。ゲート構造10Ccは、ソース領域10Caとドレイン領域10Cbとの間のチャネルとなるpウェル領域に形成されたトンネル絶縁膜10Ccと、電荷トラップ膜10Ccと、ブロック絶縁膜10Ccと、n型ポリシリコンからなる制御ゲート10Ccとを備えている。なお、パストランジスタ20Aは、第2実施形態で説明したものと同一の構成となっている。
【0076】
この第4実施形態においては、メモリセルトランジスタ10CがnチャネルMOSFETであるので、書き込み動作は、メモリセルトランジスタ10Cの制御ゲート10Ccに電圧VCG(>0)を印加し、基板バイアス電極8Aに印加する電圧VSUBを0Vにし、pウェル領域に生じる反転層から電荷トラップ膜10Ccに電子を注入する。
【0077】
また、消去動作は、メモリセルトランジスタ10Cの制御ゲート10Ccの電圧VCGを0Vにするとともに、基板バイアス電極8Aに電圧VSUB(>0)を印加し、電荷トラップ膜10Ccから電子を消去する。
【0078】
なお、この第4実施形態においても第2実施形態と同様に、パストランジスタ20Aを非導通状態にするためにメモリセルトランジスタ10Cの不純物領域10Caに駆動電圧VDDが印加され、パストランジスタ20Aを導通状態にするためにメモリセルトランジスタ10Cの不純物領域10Caに電圧0Vが印加される。
【0079】
この第4実施形態も第2実施形態と同様に、メモリセルトランジスタおよびパストランジスタという2つのトランジスタを備えたセルユニットを最小構成要素としているので、
回路サイズを減少させることができる。
【0080】
なお、参考までに、上記第3および第4実施形態におけるメモリセルトランジスタの書き込み電圧および消去電圧の一覧を図24に示す。図24において、VCGはメモリセルトランジスタ10B、10Cの制御ゲートに印加する電圧、VSUBはメモリセルトランジスタ10B、10Cの基板バイアス電極8、8Aに印加する電圧を示す。
【0081】
また、第2実施形態およびその変形例、第3実施形態、第4実施形態のいずれかに記載の不揮発性プログラマブルロジックスイッチも、第1実施形態で説明したと同様に、ユニットセルとして、複数のユニットセルをマトリクス状に配列した半導体集積回路を構成してもよい。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0083】
1 不揮発性プログラマブルロジックスイッチ(ユニットセル)
8 端子(基板バイアス電極)
9 端子(基板バイアス電極)
10 メモリセルトランジスタ
10a ソース領域
10b ドレイン領域
10c ゲート構造
10c トンネル絶縁膜
10c 浮遊ゲート
10c 電極間絶縁膜(ブロック絶縁膜)
10c 制御ゲート
15 pn接合
17 pn接合
20 パストランジスタ
20a ソース領域
20b ドレイン領域
20c ゲート構造
20c ゲート絶縁膜
20c ゲート電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に設けられた素子分離領域と、
前記半導体基板に設けられ前記素子分離領域によって互いに分離された、第1導電型の第1半導体領域および前記第1半導体領域に接する第2導電型の第2半導体領域と、
前記第1半導体領域に離間して設けられた第2導電型の第1ソース領域および第1
ドレイン領域と、
前記第1ソース領域と前記第1ドレイン領域との間の前記第1半導体領域上に設け
られた第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に設けられた電荷蓄積膜と、
前記電荷蓄積膜上に形成された第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜上に設けられた制御ゲートと、
を有するメモリセルトランジスタと、
前記第2半導体領域に離間して設けられた第1導電型の第2ソース領域および第2
ドレイン領域と、
前記第2ソース領域と前記第2ドレイン領域との間の前記第2半導体領域上に設け
られた第3絶縁膜と、
前記第3絶縁膜上に設けられ、前記第1ドレイン領域と電気的に接続されたゲート
電極と、
を有するパストランジスタと、
前記第1半導体領域に設けられ前記第1半導体領域に基板バイアスを印加する第1電極と、
前記第2半導体領域に設けられ前記第2半導体領域に基板バイアスを印加する第2電極と、
を備えていることを特徴とする不揮発性プログラマブルロジックスイッチ。
【請求項2】
前記パストランジスタを動作させるときに、前記パストランジスタを導通または非導通にする電源が前記メモリセルトランジスタの前記第1ソース領域に接続されることを特徴とする請求項1記載の不揮発性プログラマブルロジックスイッチ。
【請求項3】
前記電荷蓄積膜は第2導電型のポリシリコンであることを特徴とする請求項1または2記載の不揮発性プログラマブルロジックスイッチ。
【請求項4】
前記電荷蓄積膜は第1導電型のポリシリコンであることを特徴とする請求項1または2記載の不揮発性プログラマブルロジックスイッチ。
【請求項5】
前記電荷蓄積膜は電荷トラップ膜であることを特徴とする請求項1または2記載の不揮発性プログラマブルロジックスイッチ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の不揮発性プログラマブルロジックスイッチをユニットセルとし、前記ユニットセルが複数個マトリクス状に配列されていることを特徴とする半導体集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−60005(P2012−60005A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203126(P2010−203126)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】