説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】ソース抵抗をさらに低減する疑似SOI構造の半導体装置の提供。
【解決手段】第1および第2のゲート側壁絶縁膜23WA〜23WDをマスクに、前記側壁絶縁膜のそれぞれ外側に、第1および第2の凹部21TA〜21TDを形成する工程と、前記側壁絶縁膜のそれぞれ外側に、第1および第2のダミー側壁膜を形成する工程と、前記ダミー側壁膜23DA〜23DDをマスクに、前記シリコン基板のうち、前記凹部における露出部分を酸化し、それぞれ第1および第2のシリコン酸化膜を形成する工程と、前記凹部に第1および第2のシリコン膜を充填する工程と、前記シリコン膜上に金属膜を堆積し、熱処理することにより、シリサイド領域が側壁絶縁膜の外端を超えて、前記ゲート電極23A,23B直下の領域近傍にまで到達するようにシリサイド領域を形成する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に半導体装置に係り、特に疑似SOI(silicon-on-insulator)構造を有する半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微細化技術の進歩に伴い、今日ではゲート長が45nm以下の超微細化・超高速MOSトランジスタが実用化されつつある。
【0003】
このような超微細化・超高速MOSトランジスタでは、ゲート長の短縮およびソース/ドレイン領域における接合深さの低減により動作速度の向上が図られる。一方、このような短いゲート長および浅い接合深さを有する超微細化・超高速MOSトランジスタでは、ソース/ドレイン領域に生じる接合容量および接合リーク電流が、所望の超高速動作を妨げるように作用する。接合容量とは、シリコン基板と前記ソースあるいはドレイン領域を構成する逆導電型の拡散領域との接合面に形成される空乏層に伴う寄生容量である。
【0004】
かかる寄生容量および接合リーク電流を低減するため、特許文献1には、ソース/ドレイン領域をシリコン基板中に形成する際、シリコン基板中に前記ソース/ドレイン領域に対応してあらかじめ溝部を形成しておき、前記溝部の底面および側壁面をシリコン酸化膜などの絶縁膜で覆った後、かかる溝部を、不純物元素で高濃度にドープされたポリシリコン膜により充填し、ソース/ドレイン領域を形成する技術が提案されている。かかる構成によれば、ソース/ドレイン拡散領域の下部に絶縁膜が存在するため、従来の部分空乏化SOI基板と同様な接合容量および接合リーク電流の低減効果が得られる。本明細書では、このような構造を疑似SOI構造と称することにする。
【特許文献1】特開2004−319808号公報
【特許文献2】特開平11−186544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記特許文献1の技術では、前記溝部をポリシリコン膜で充填することでソース/ドレイン領域を形成しているため、ソース抵抗が高く、やはりゲート長の短縮に見合った半導体装置の動作速度の向上を達成することができない。
【0006】
従来、ソース/ドレイン領域の抵抗を低減するため、サリサイド法により、前記ソース/ドレイン領域を構成する拡散領域の表面に薄いシリサイド層を形成する、いわゆるメタルソース/ドレイン構造が知られており、広く使われている。このような従来のメタルソース/ドレイン構造では、シリサイド層が形成されるのは、かかる拡散領域のうち、ゲート電極側壁面に形成された側壁絶縁膜よりも外側の領域である。しかし、本発明が対象とするような、特にゲート長が30nm以下の超微細化・超高速トランジスタでは、接合深さが浅く、これに伴いシリサイド層も非常に薄くなり、十分なソース抵抗の低減を得ることができない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を、シリコン基板表面にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極の互いに対向する側壁面上に側壁絶縁膜を形成する工程と、前記側壁絶縁膜をマスクに、前記ゲート電極から見て前記側壁絶縁膜の外側の前記シリコン基板に凹部を形成する工程と、前記側壁絶縁膜の外側にダミー側壁膜を、前記ダミー側壁膜が、前記凹部のうち前記側壁絶縁膜に隣接する先端部分を覆うように形成する工程と、前記ダミー側壁膜をマスクに、前記シリコン基板のうち、前記凹部における露出部分を酸化し、シリコン酸化膜を形成する工程と、前記ダミー側壁膜を、前記側壁絶縁膜に対して選択的に除去し、前記凹部において前記先端部分を露出する工程と、前記凹部において前記シリコン酸化膜および前記先端部分を覆ってポリシリコンまたはアモルファスシリコンよりなるシリコン膜を充填する工程と、前記シリコン膜上に金属膜を堆積し、熱処理することにより、前記凹部を前記シリコン酸化膜を介して充填するシリサイド領域を、前記シリサイド領域の先端部が前記先端部分において、前記側壁絶縁膜の外端を超えて前記シリコン基板中、前記ゲート電極直下の領域近傍にまで到達するように、形成する工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法により、解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ソース/ドレイン領域をシリコン基板中にシリコン酸化膜を介して形成した疑似SOI構造を採用することにより、ソース/ドレイン領域の接合容量を低減することができる。また接合リーク電流が低減される。結果、半導体装置の動作速度が向上する。また前記ソース/ドレイン領域を、シリコン基板中に形成された凹部を充填するシリサイドにより形成することにより、ソース抵抗が低減される。その結果、半導体装置の動作速度がさらに向上する。その際本発明では、前記凹部を充填するシリサイド領域が前記先端部分において前記シリコン基板中を、前記シリコン基板表面直下において前記側壁絶縁膜の外端を超えてゲート電極直下のチャネル領域に向かって延在することに注意すべきである。これにより、ソース抵抗をさらに低減することが可能となり、半導体装置の動作速度がさらに向上する。
【0009】
また本発明では特に、前記ソース/ドレイン領域をシリサイドにより形成する際、最初に前記凹部を充填するシリコン層中にn型あるいはp型の不純物元素を導入しておく。これにより、これらの不純物元素が前記シリサイド領域で前記先端部分とシリコン基板との界面に偏析する。その結果、前記シリサイド領域とシリコン基板との接合面におけるショットキー障壁の高さが低減され、ソース抵抗がさらに低減され、半導体装置の動作速度がさらに向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置20の構成を示す。
【0011】
図1を参照するに、前記半導体装置20は素子分離領域21Iにより素子領域20N,20Pが画成された(100)面を主面とするシリコン基板21上に形成されており、前記素子領域20NにはnチャネルMOSトランジスタが、前記素子領域20PにはpチャネルMOSトランジスタが形成されている。
【0012】
より具体的には、前記素子領域20Nでは前記シリコン基板21上に、例えば厚さが1〜2nmのSiON膜よりなるゲート絶縁膜22Aを介してn型にドープされたポリシリコン膜よりなるゲート電極23Aが形成され、上面がシリコン酸化膜24Aにより覆われている。また前記ゲート電極23Aの第1の側壁面には、シリコン酸化膜よりなる第1の側壁絶縁膜23WAが、前記シリコン基板21と前記ゲート絶縁膜22Aとの界面における厚さが、5〜15nmとなるように形成されている。また前記第1の側壁面に対向する第2の側壁面には、シリコン酸化膜よりなる第2の側壁絶縁膜23WBが、前記シリコン基板21と前記ゲート絶縁膜22Aとの界面における厚さが、5〜15nmとなるように形成されている。
【0013】
さらに前記素子領域20Nでは前記シリコン基板21中、前記第1および第2の側壁絶縁膜23WAおよび23WBのそれぞれ外側に、例えばニッケルシリサイド(NiSi)よりなるシリサイド領域25A,25Bが、それぞれソースおよびドレイン領域として、平均して5〜20nmの厚さで埋設されている。また前記シリサイド領域25Aの下面と前記シリコン基板21との間には、厚さが例えば10nmの熱酸化膜21OAが、また前記シリサイド領域25Bと前記シリコン基板21との間には、同様な熱酸化膜21OBが形成されている。
【0014】
同様に前記素子領域20Pでは前記シリコン基板21上に、前記ゲート絶縁膜22Aと同様なゲート絶縁膜22Bを介してp型にドープされたポリシリコン膜よりなるゲート電極23Bが形成され、上面がシリコン酸化膜24Bにより覆われている。また前記ゲート電極23Bの第1の側壁面には、シリコン酸化膜よりなる第1の側壁絶縁膜23WCが、前記シリコン基板21と前記ゲート絶縁膜22Bとの界面における厚さが5〜15nmとなるように形成されている。また前記第1の側壁面に対向する第2の側壁面には、シリコン酸化膜よりなる第2の側壁絶縁膜23WDが、前記シリコン基板21と前記ゲート絶縁膜22Bとの界面における厚さが5〜15nmとなるように形成されている。
【0015】
さらに前記素子領域20Pでは前記シリコン基板21中、前記第1および第2の側壁絶縁膜23WCおよび23WDのそれぞれ外側に、例えばニッケルシリサイド(NiSi)よりなるシリサイド領域25C,25Dが、それぞれソースおよびドレイン領域として、前記シリサイド領域25A,25Bと同様に、平均して5〜20nmの厚さで埋設されている。また前記シリサイド領域25Cの下面と前記シリコン基板21との間には、厚さが例えば10nmの熱酸化膜21OCが形成されている。また前記シリサイド領域25Dと前記シリコン基板21との間には、同様な熱酸化膜21ODが形成されている。
【0016】
このように図1の半導体装置20では、nチャネルMOSトランジスタおよびpチャネルMOSトランジスタのソース/ドレイン領域にシリサイド層25A〜25Dが、平均して5〜20nmの厚さで形成されている。このため、前記素子領域20Nに形成されるnチャネルMOSトランジスタおよび前記素子領域20Pに形成されるpチャネルMOSトランジスタとも、ソース抵抗、すなわち寄生抵抗が低減される。また、前記シリサイド層25A〜25Dの下面に熱酸化膜21OA〜21ODがそれぞれ形成されている。このため、ソース/ドレイン領域における接合リーク電流が低減される。このため図1のnチャネルMOSトランジスタおよびpチャネルMOSトランジスタでは、ゲート長の短縮に見合った高速動作が得られる。
【0017】
ところで図1の半導体装置20では、前記素子領域20Nは、前記シリコン基板21中において、前記側壁絶縁膜23WAの外側に、前記ゲート電極23Aから遠ざかるにつれて深さが増大するような形状で形成されている。その際、前記シリサイド領域25Aのうち、前記ゲート電極23Aに近い側のシリサイド先端部25Aeは、前記シリコン基板21中を、前記側壁絶縁膜23WAの外端を超えて、前記シリコン基板21中の前記ゲート電極直下の部分に形成されるチャネル領域に向かって延在するように形成されていることに注意すべきである。同様に、前記シリサイド領域25Bのうち、前記ゲート電極23Aに近い側のシリサイド先端部25Beは、前記シリコン基板21中を、前記側壁絶縁膜23WBの外端を超えて、前記シリコン基板21中の前記ゲート電極直下の部分に形成されるチャネル領域に向かって延在するように形成されている。かかるシリサイド先端部25Ae,25Beは、シリコン基板21と直接に接して接合面を形成し、前記素子領域20Nに形成されるnチャネルMOSトランジスタのソース抵抗をさらに低減するのに寄与する。
【0018】
また前記シリサイド先端部25Aeと前記シリコン基板21との接合面には、AsやSbなどのn型不純物元素が偏析した偏析領域26A,26Bが形成されている。これにより前記シリサイド先端部25Aeあるいは25Beとシリコン基板21との界面に形成されるショットキー障壁の高さが低減され、ソース抵抗がさらに低減される。その結果、前記素子領域20Nに形成されるnチャネルMOSトランジスタの動作速度がさらに向上する。
【0019】
同様に図1の半導体装置20では、前記素子領域20Pは、前記シリコン基板21中において、前記側壁絶縁膜23WCの外側に、前記ゲート電極23Bから遠ざかるにつれて深さが増大するような形状で形成されている。その際、前記シリサイド領域25Cのうち、前記ゲート電極23Bに近い側のシリサイド先端部25Ceは、前記シリコン基板21中を、前記側壁絶縁膜23WCの外端を超えて、前記シリコン基板21中の前記ゲート電極直下のチャネル領域に向かって延在するように形成されていることに注意すべきである。同様に、前記シリサイド領域25Dのうち、前記ゲート電極23Bに近い側のシリサイド先端部25Deは、前記シリコン基板21中を、前記側壁絶縁膜23WDの外端を超えて、前記シリコン基板21中の前記ゲート電極直下の部分に形成されるチャネル領域に向かって延在するように形成されている。かかるシリサイド先端25Ce,25Deは、シリコン基板21と直接に接して接合面を形成し、前記素子領域20Pに形成されるpチャネルMOSトランジスタのソース抵抗をさらに低減するのに寄与する。
【0020】
また前記先端部25Ceと前記シリコン基板21との接合面には、BやInなどのp型不純物元素が偏析した偏析領域26C,26Dが形成されている。これにより前記シリサイド先端部25Ceあるいは25Deとシリコン基板21との界面に形成されるショットキー障壁の高さが低減され、ソース抵抗がさらに低減される。その結果、前記素子領域20Pに形成されるpチャネルMOSトランジスタの動作速度がさらに向上する。
【0021】
その際、十分なオン電流を確保し、同時にショートチャネル効果を抑制するため、本発明では前記シリサイド先端部25Ae,25Be,25Ce,25Deの深さhを、5〜20nmの範囲に制限している。前記深さhが5nmよりも小さくなると十分なオン電流を確保できなくなり、一方前記深さhが20nmを超えて増大するとショートチャネル効果の抑制が不十分となる。
【0022】
さらに図1の半導体装置では、ショートチャネル効果を抑制するため、前記素子領域20Nにおいては前記シリサイド先端部25Aeおよび25Beから、BやInなどのp型不純物元素によりp型にドープされたポケット領域26A,26Bがそれぞれ延在している。また前記素子領域20Pにおいては前記シリサイド先端部25Ceおよび25Deから、AsやSbなどのn型不純物元素によりn型にドープされたポケット領域26C,26Dがそれぞれ延在している。
【0023】
なお前記シリサイド先端部25Ae,25Be,25Ce,25Deの、基板面に平行な方向への侵入深さは、前記シリサイド先端部25Ae,25Be,25Ce,25Deが前記ゲート電極23A直下のチャネル領域に到達すると前記nチャネルMOSトランジスタあるいはpチャネルMOSトランジスタのしきい値特性が影響を受けるので、前記側壁絶縁膜23WA,23WB,23WC,23WD直下の領域を超えてゲート電極直下のチャネル領域に侵入しないようにシリサイド形成工程の時間が制御される。
【0024】
次に、前記図1の半導体装置20の製造工程を、図2A〜2Kを参照しながら説明する。
【0025】
図2Aを参照するに、前記シリコン基板21上には前記素子領域20Nおよび20Pが前記素子分離領域20Iにより画成されている。
【0026】
前記素子領域20Nにおいては前記シリコン基板21上に、例えば厚さが1〜2nmのSiON膜よりなるゲート絶縁膜22Aを介してn型にドープされたポリシリコン膜よりなるゲート電極23Aが形成されている。前記ゲート電極23Aの上面は、シリコン酸化膜24Aにより覆われている。また前記ゲート絶縁膜の第1の側壁面には、シリコン酸化膜よりなる第1の側壁絶縁膜23WAが、前記シリコン基板21と前記ゲート絶縁膜22Aとの界面における厚さが5〜15nmとなるように形成されている。また前記第1の側壁面に対向する第2の側壁面には、シリコン酸化膜よりなる第2の側壁絶縁膜23WBが、前記シリコン基板21と前記ゲート絶縁膜22Aとの界面における厚さが5〜15nmとなるように形成されている。
【0027】
同様に前記素子領域20Pにおいては前記シリコン基板21上に、前記ゲート絶縁膜22Aと同様なゲート絶縁膜22Bを介してp型にドープされたポリシリコン膜により前記ゲート電極23Bが形成されている。前記ゲート電極23Bの上面は前記シリコン酸化膜24Bにより覆われている。また前記ゲート電極23Bの第1の側壁面には、シリコン酸化膜よりなる第1の側壁絶縁膜23WCが、前記シリコン基板21と前記ゲート絶縁膜22Bとの界面における厚さが5〜15nmとなるように形成されている。また前記第1の側壁面に対向する第2の側壁面には、シリコン酸化膜よりなる第2の側壁絶縁膜23WDが、前記シリコン基板21と前記ゲート絶縁膜22Bとの界面における厚さが5〜15nmとなるように形成されている。
【0028】
次に図2Bに示すように前記シリコン基板21が、前記素子領域20Nにおいては前記側壁絶縁膜23WAおよび23WBおよびゲート電極23A、より正確には前記ゲート電極23A上の絶縁膜24Aをマスクに、例えば反応性イオンエッチングを等方性エッチング条件で実行することによりエッチングされる。その結果、前記シリコン基板21中には、前記ゲート電極23Aから見て前記側壁絶縁膜23WA,23WBのそれぞれ外側に、第1および第2の凹部21TA,21TBが、平均して例えば5〜20nmの深さに形成される。
【0029】
同様に前記素子領域20Pにおいては前記シリコン基板21が、前記側壁絶縁膜23WCおよび23WDおよびゲート電極23B、より正確には前記ゲート電極23B上の絶縁膜24Bをマスクに、例えばドライエッチング(反応性イオンエッチング)を等方性エッチング条件で実行することによりエッチングされる。その結果、前記シリコン基板21中には、前記ゲート電極23Bから見て前記側壁絶縁膜23WC,23WDのそれぞれ外側に、第1および第2の凹部21TC,21TDが、平均して例えば5〜20nmの深さに形成される。
【0030】
例えばこのような等方性ドライエッチングは、NF3およびCl2をエッチングガスとして使い、5mTorrの圧力下、200Wの高周波パワーを投入することにより実行することができる。その際前記凹部、例えば凹部23TAの底面と前記シリコン基板表面とのなす角度θを、10〜55°の範囲に制御することができる。あるいは、図2Bの工程の後、さらにウェットエッチングを行うことも可能である。このような実施形態については、後で説明する。
【0031】
次に図2Cに示すように、前記図2Bの構造上に、シリコンおよびシリコン酸化膜に対してエッチング選択性を示す例えばSiN膜を、CVD法により一様な膜厚に堆積する。さらにこれを前記シリコン基板21の表面に略垂直に作用する異方性エッチングにより、前記凹部21TA,21TB,21TC,21TDを構成するシリコン面が露出するまでエッチバックする。これにより、前記側壁絶縁膜23WA,23WBのそれぞれ外側にダミー側壁膜23DAおよび23DBを形成する。また前記側壁絶縁膜23WC,23WDのそれぞれ外側にダミー側壁膜23DCおよび23DDを形成する。
【0032】
図3は、前記図2C中、破線で囲んだ部分を概略的に示す図である。
【0033】
図3は、前記凹部21TAを画成する底面が前記シリコン基板21の面、より正確には前記シリコン基板21とゲート絶縁膜22Aの界面に対して角度θをなす場合を示す。この場合、前記ダミー側壁膜23DAとして厚さがwの膜を形成すると、前記ダミー側壁膜23DAは、前記凹部21TAの底面のうち、前記側壁絶縁膜23WA近傍の先端部分21aを、d=w・tanθで与えられる深さdの範囲で覆う。すなわち、図3あるいは図2Cにおいて、前記凹部21TA底面のうち前記ダミー側壁膜23DAで覆われる前記先端部分21aの深さdは、前記角度θが決まっていれば、前記ダミー側壁膜23DAの膜厚を制御することにより自在に制御することができる。
【0034】
本実施形態では、図1で説明したように、この前記凹部21TAの底面のうち、前記ダミー側壁膜23DAにより覆われる前記先端部分21aに、キャリアをチャネルに注入するシリサイド先端部25Aeが形成される事情から、ショートチャネル効果を抑制すべく、前記深さdは2〜5nmの範囲とする。またこれに伴って、前記ダミー側壁膜23DAの厚さwも、前記角度θが10°では、前記深さdを2nmとするならば11nm、前記深さdを5nmとするならば29nm、すなわち約30nm、また前記角度が55°では、前記深さdを2nmとするならば2.4nm、すなわち約2nm、前記深さdを5nmとするならば6nmと決定される。
【0035】
前記角度θが55°を超えると、前記ダミー側壁膜23DAの膜厚wの制御による前記先端部分21aの深さdの制御が困難となり、一方10°を下回ると、前記凹部23TAに形成されるシリサイド層25Aの厚さが薄くなり、所望の寄生抵抗の低減効果が減じられる。このため、前記角度θは10°以上55°以下とするのが好ましい。
【0036】
他の凹部21TB,21TC,21TD、および他のダミー側壁膜23DB,23DC,23DDについても同様である。すなわち前記ダミー側壁膜23DBは前記凹部21TBの先端部分21bを、幅wおよび深さdで覆う。前記ダミー側壁膜23DCは前記凹部21TCの先端部分21cを、幅wおよび深さdで覆う。前記ダミー側壁膜23DDは前記凹部21TDの先端部分21dを、幅wおよび深さdで覆う。
【0037】
このようなダミー側壁膜23DA〜23DDの膜厚の制御は、前記SiN膜など、エッチバックにより前記ダミー側壁膜23DA〜23DDを形成するもとの膜の平坦面上での膜厚を制御することにより、実行することができる。例えば前記SiN膜を平坦面上での厚さが5nmとなるように形成し、これをエッチバックすることにより、前記ダミー側壁膜23DA〜23DDの基部、すなわちシリコン基板21と接する部分での膜厚を、5nmとすることができる。
【0038】
次に図2Dに示すように、前記図2Cの構造を、例えば800°のウェット雰囲気中で熱酸化処理する。これにより、前記凹部21TA,21TB,21TC,21TDの底面に、それぞれ前記先端部分21a〜21dで露出されたシリコン面上に、前記シリコン酸化膜21OA,21OB,21OC,21ODが、例えば10nmの膜厚でそれぞれ形成される。
【0039】
次に前記ダミー側壁膜23DA〜23DDを選択的に除去し、図2Eに示すように前記凹部21TA,21TB,21TC,21TBのうち、前記先端部分21a,21b,21c,21dにおいてシリコン基板21を露出する。
【0040】
次に図2Fに示すように前記図2Eの構造上にアモルファスシリコンまたはポリシリコンよりなるシリコン膜31を堆積し、図2Gに示すようにこれを、前記素子分離領域21Iが露出するまでエッチバックし、前記凹部21TA,21TB,21TC,21TDを、それぞれシリコン領域31A,31B,31C,31Dにより埋め込む。
【0041】
次に図2Hの工程で前記素子領域21Pを図示しないレジストパターンで保護し、前記素子領域21NにAsあるいはSbなどのn型不純物元素を、典型的には1keVの加速電圧下、1.0×1015cm-2のドーズ量でイオン注入する。これにより、前記シリコン領域31A,31B,およびゲート電極23Aがn型にドープされる。
【0042】
さらに図2Iの工程で前記素子領域21Nを図示しないレジストパターンで保護し、前記素子領域21PにBやInなどのp型不純物元素を、典型的には1keVの加速電圧下、1.0×1015cm-2のドーズ量でイオン注入する。これにより前記シリコン領域31C,31D,およびゲート電極23Bをp型にドープされる。
【0043】
次に図2Jに示すように前記図2Iの構造上に金属膜、例えばNi膜32をスパッタなどにより形成する。さらにこれを最初に200〜300℃の温度で30秒間、続いて400℃の温度で1秒間、いずれも真空中あるいは窒素雰囲気中において熱処理する。これにより、図2Kに示すように前記金属膜32が前記シリコン領域31A〜31Dと反応し、ニッケルモノシリサイド(NiSi)に変換される。その結果、前記シリコン領域31A〜31Dにそれぞれ対応して、前記ニッケルシリサイド領域25A〜25Dが形成される。
【0044】
さらに前記図2Kの工程では、シリサイド形成が前記部分21a,21b,21c,21dにおいても進行する。その結果、前記シリサイド領域25A,25B,25C,25Dに、それぞれ前記先端部分21a,21b,21c,21dに対応して、前記シリサイド先端部25Ae,25Be,25Ce,25Deが、対応する側壁絶縁膜23WA,23WB,23WC,23WDの外端を超えて、先に図1で説明したように形成される。
【0045】
その際、先に図2Hおよび2Iの工程で導入された不純物元素は、前記シリサイド領域25A〜25Dの形成とともに前記シリコン領域31A〜31Dから析出する。析出した不純物元素は、さらに前記シリサイド先端部25Ae〜25Deの成長とともに、その先端のシリコン基板25との界面に濃集する。これにより、前記偏析領域26A〜26Dが形成される。
【0046】
さらに前記図2Kの構造から前記金属膜32がウェットエッチングにより除去され、図2Lに示す構造が得られる。
【0047】
さらに図2Lの構造に対し、斜めイオン注入によりポケット領域27A〜27Dを形成することにより、図1で説明した半導体装置40が得られる。

[第2の実施形態]
図4A〜4Lは、本発明の第2の実施形態による半導体装置の製造工程を示す。ただし図中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0048】
本実施形態では、図4Aから図4Bまでは、先に説明した図2A〜2Bの工程と同様に実行される。その結果、前記シリコン基板21中、素子領域20Nには凹部21TAおよび21TBが形成される。また素子領域20Pには凹部21TCおよび21TDが形成される。
【0049】
本実施形態ではさらに前記図4Bの構造に対し例えばKOHあるいはTMAHをエッチャントとしたウェットエッチングを適用する。これにより、前記凹部21TA〜21TDは、図4Cに示すように底面がSiの(100)面で、また側壁面が(111)面で画成された凹部41TA〜41TDにそれぞれ変化する。
【0050】
さらに本実施形態では、前記図4Cの構造に前記ダミー側壁膜4DA〜4DDを形成し、図4Dに示す構造を得る。
【0051】
さらに図4Dの構造を、例えば800℃の温度でウェット酸化処理し、図4Eに示すように前記凹部41TA,41TB,41TC,41TDの底面および側壁面に熱酸化膜21OA〜21ODを、それぞれ10nm程度の膜厚に形成する。先の実施形態と同様、前記凹部41TA〜41TDのうち、前記ダミー絶縁膜23DA〜23DDで覆われている部分には、前記熱酸化膜の形成は生じない。
【0052】
次に前記図4Eの構造から前記ダミー絶縁膜23DA〜23DDを除去し、図4Fに示す構造を得る。
【0053】
さらに図4Gに示すように、前記図4Fの構造上にアモルファスシリコンあるいはポリシリコンよりなるシリコン膜31が、前記図2Fの工程と同様に、前記凹部41TA〜41TDを充填するように形成される。さらに図4Hに示すように前記シリコン膜21をエッチバックし、前記凹部41TA〜41TDにそれぞれシリコン領域31A〜31Dを残す。
【0054】
次に図4Iに示すように前記素子領域21Pを図示しないレジストパターンで保護し、前記素子領域21NにAsあるいはSbなどのn型不純物元素を、典型的には1keVの加速電圧下、1.0×1015cm-2のドーズ量でイオン注入し、前記シリコン領域31A,31B,およびゲート電極23Aをn型にドープする。
【0055】
さらに図4Jの工程で前記素子領域21Nを図示しないレジストパターンで保護し、前記素子領域21PにBやInなどのp型不純物元素を、典型的には1keVの加速電圧下、1.0×1015cm-2のドーズ量でイオン注入する。これにより、前記シリコン領域31C,31D,およびゲート電極23Bがp型にドープされる。
【0056】
次に図4Kに示すように前記図2Iの構造上に金属膜、例えばNi膜32をスパッタなどにより形成する。さらにこれを最初に200〜300℃の温度で30秒間、続いて400℃の温度で1秒間、いずれも真空中あるいは窒素雰囲気中において熱処理する。これにより、図4Lに示すように前記金属膜32が前記シリコン領域31A〜31Dと反応してニッケルモノシリサイド(NiSi)に変換され、前記シリコン領域31A〜31Dにそれぞれ対応して、前記ニッケルシリサイド領域25A〜25Dが形成される。
【0057】
さらに前記図2Kの工程では、シリサイド形成が前記凹部41TA〜41TDの先端部分21a,21b,21c,21dにおいても進行する。その結果、前記シリサイド領域25A,25B,25C,25Dに、それぞれ前記先端部分21a,21b,21c,21dに対応して、前記シリサイド先端部25Ae,25Be,25Ce,25Deが、対応する側壁絶縁膜23WA,23WB,23WC,23WDに、先の実施形態と同様に形成される。
【0058】
その際、先に図4Iおよび4Jの工程で導入された不純物元素は、前記シリサイド領域25A〜25Dの形成とともに前記シリコン領域31A〜31Dから析出する。析出した不純物元素は、さらに前記シリサイド先端部25Ae〜25Deの成長とともに、その先端のシリコン基板25との界面に濃集し、前記偏析領域26A〜26Dが形成される。
【0059】
さらに前記図4Lの構造から前記金属膜32がウェットエッチングにより除去される。これにより、図4Mに示す構造が得られる。さらに、このようにして得られた図4Mの構造に、BやInなどのp型不純物元素、およびAsやSbなどのn型不純物元素を別々に、斜めイオン注入によりポケット領域27A〜27Dを形成することにより、図4Nにおいて、本発明第2実施形態による半導体装置40が得られる。
【0060】
本実施形態においても、前記ダミー側壁膜23DA〜23DDの膜厚を制御することにより、前記先端部分23a〜23d、従って前記シリサイド先端部25Ae〜25Deの深さを2〜5nmの範囲に制御することができる。その結果、疑似SOI構造を使いながらソース抵抗を低減し、同時にショートチャネル効果を抑制することができる。
【0061】
本実施形態では、前記凹部41TA〜41TDの側壁面がSiの(111)面となっているため、前記図3における角度θが54.7°に固定され、前記ダミー側壁膜23DA〜23DDの膜厚の制御のみにより、前記シリサイド先端部25Ae〜25Deの深さを容易に制御することができる。
【0062】
なお、本実施形態において前記図4Cの工程で他のエッチャントを使うことにより、前記角度θを他の値に設定することも可能である。
【0063】
なお、前記第1および第2の実施形態では、前記領域25A〜25Dおよびシリサイド先端部25Ae〜25Deをニッケルシリサイドにより形成したが、これをコバルトモノシリサイド(CoSi2)やニッケルプラチナシリサイド(NiPtSi)により形成することも、同様に可能である。
【0064】
また前記領域25A〜25Dおよびシリサイド先端部25Ae〜25Deを他のシリサイドにより形成することも可能である。特にnチャネルMOSトランジスタに対してイッテルビウムシリサイド(YbSi2)、またpチャネルMOSトランジスタに対して白金シリサイド(PtSi)を使った場合、シリコンとの接合面に形成されるショットキー障壁の高さが低減され、このため前記図2Hおよび2I、あるいは図4Iおよび4Jのような不純物の注入工程を省略することが可能となる。この場合、先に説明した不純物偏析領域26A〜26Dは形成されない。また同様な効果は、nチャネルMOSトランジスタに対してハフニウムシリサイド(HfSi),ジスプロシウムシリサイド(DySi),サマリウムシリサイド(SmSi),エルビウムシリサイド(ErSi)などを使うことでも得られる。
【0065】
本発明においてゲート電極23A,23Bは以上の説明ではポリシリコンとしたが、金属あるいは金属窒化物や金属シリサイドを使うことも可能である。
【0066】
また前記ゲート絶縁膜22A,22Bはシリコン酸化膜またはSiON膜であるとしたが、Al23やHfSiON,HfSiAlON,HfSiO4、ZrSiO4,LaAlOなどのいわゆる高k膜を使うことも可能である。
【0067】
以上、本発明を好ましい実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形・変更が可能である。
(付記1)
シリコン基板表面にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極の互いに対向する側壁面上に側壁絶縁膜を形成する工程と、
前記側壁絶縁膜をマスクに、前記ゲート電極から見て前記側壁絶縁膜の外側の前記シリコン基板に凹部を形成する工程と、
前記側壁絶縁膜の外側にダミー側壁膜を、前記ダミー側壁膜が、前記凹部のうち前記側壁絶縁膜に隣接する先端部分を覆うように形成する工程と、
前記ダミー側壁膜をマスクに、前記シリコン基板のうち、前記凹部における露出部分を酸化し、シリコン酸化膜を形成する工程と、
前記ダミー側壁膜を前記側壁絶縁膜に対して選択的に除去し、前記先端部分を露出する工程と、
前記凹部を、前記シリコン酸化膜および前記先端部分を覆ってポリシリコンまたはアモルファスシリコンよりなる第2のシリコン膜を、充填する工程と、
前記シリコン膜上に金属膜を堆積し、熱処理することにより、前記凹部を前記シリコン酸化膜を介して充填するシリサイド領域を、前記シリサイド領域の先端部が前記先端部分において、前記側壁絶縁膜の外端を超えて前記シリコン基板中、前記ゲート電極直下の領域近傍にまで到達するように形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記2)
さらに前記凹部を前記第1シリコン膜により充填する工程の後で、かつ前記シリサイド領域を形成する工程の前に、前記シリコン膜に不純物元素を導入する工程を含み、前記シリサイド領域を形成する際には前記不純物元素が前記先端部分と前記シリコン基板との界面に偏析することを特徴とする付記1記載の半導体装置の製造方法。
(付記3)
前記ダミー側壁膜は、前記凹部の前記先端部分を、前記シリコン基板と前記ゲート絶縁膜との界面から測った深さが2〜5nmとなるように形成されることを特徴とする付記1または2記載の半導体装置の製造方法。
(付記4)
前記ダミー側壁膜は、シリコンおよび前記側壁絶縁膜に対してエッチング選択性を示す材料よりなる膜を、平坦面上における膜厚が2〜30nmとなるように、前記側壁絶縁膜および前記ゲート電極を覆って堆積し、さらに前記膜を、前記シリコン基板表面に対して略垂直方向に作用する異方性エッチングにより、前記凹部において前記シリコン基板が露出するまでエッチングにより除去する工程により形成されることを特徴とする付記1〜3のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
(付記5)
前記凹部は、等方性エッチングにより形成されることを特徴とする付記1〜4のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
(付記6)
前記凹部は、反応性イオンエッチングにより形成されることを特徴とする付記5記載の半導体装置の製造方法。
(付記7)
前記凹部は、ウェットエッチングにより形成されることを特徴とする付記5記載の半導体装置の製造方法。
(付記8)
前記凹部は、前記先端部が、前記シリコン基板の表面に対し、10〜55°の角度をなすように形成されることを特徴とする付記1〜7のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
(付記9)
前記シリサイド領域は、ニッケルシリサイド(NiSi)、コバルトシリサイド(CoSi2)、イッテルビウムシリサイド(YbSi2)、白金シリサイド(PtSi)のいずれかよりなることを特徴とする付記1〜8のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
(付記10)
前記側壁絶縁膜はシリコン酸化膜よりなり、前記ダミー側壁膜はシリコン窒化膜よりなることを特徴とする付記1〜9のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
(付記11)
シリコン基板と、
前記シリコン基板表面にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極の互いに対向する第1および第2の側壁面上にそれぞれ形成された第1および第2の側壁絶縁膜と、
前記シリコン基板中、前記ゲート電極から見て前記第1の側壁絶縁膜および第2の側壁絶縁膜のそれぞれ外側に形成された第1および第2の凹部と、
前記第1および第2の凹部を、前記第1の凹部においては、前記第1の凹部のうち前記第1の側壁絶縁膜に隣接する第1の先端部分を除き、また前記第2の凹部においては、前記第2の凹部のうち前記第2の側壁絶縁膜に隣接する第2の先端部分を除き、それぞれ覆第1および第2のシリコン酸化膜と、
前記第1の凹部を、前記第1のシリコン酸化膜および前記第1の先端部分を覆って充填する第1のシリサイド領域と、
前記第2の凹部を、前記第2のシリコン酸化膜および前記第2の先端部分を覆って充填する第2のシリサイド領域と、
を含み、
前記第1のシリサイド領域は、前記第1の先端部分において、前記第1の側壁絶縁膜の外端を超えて延在し、前記シリコン基板中、前記ゲート電極直下の領域近傍にまで到達しており、
前記第2のシリサイド領域は、前記第2の先端部分において、前記第2の側壁絶縁膜の外端を超えて延在し、前記シリコン基板中、前記ゲート電極直下の領域近傍にまで到達しており、
前記第1の先端部分においては前記第1のシリサイド領域と前記シリコン基板との界面に、第1の導電型の第1の不純物元素が偏析しており、
前記第2の先端部分においては前記第2のシリサイド領域と前記シリコン基板との界面に、前記第1の導電型に対して逆導電型の第2の導電型の第2の不純物元素が偏析していることを特徴とする半導体装置。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施形態による半導体装置の構成を示す図である。
【図2A】図1の半導体装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図2B】図1の半導体装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図2C】図1の半導体装置の製造工程を示す図(その3)である。
【図2D】図1の半導体装置の製造工程を示す図(その4)である。
【図2E】図1の半導体装置の製造工程を示す図(その5)である。
【図2F】図1の半導体装置の製造工程を示す図(その6)である。
【図2G】図1の半導体装置の製造工程を示す図(その7)である。
【図2H】図1の半導体装置の製造工程を示す図(その8)である。
【図2I】図1の半導体装置の製造工程を示す図(その9)である。
【図2J】図1の半導体装置の製造工程を示す図(その10)である。
【図2K】図1の半導体装置の製造工程を示す図(その11)である。
【図2L】図1の半導体装置の製造工程を示す図(その12)である。
【図3】図2Cの工程を詳細に説明する図である。
【図4A】本発明の第1の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図4B】本発明の第1の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図4C】本発明の第1の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その3)である。
【図4D】本発明の第1の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その4)である。
【図4E】本発明の第1の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その5)である。
【図4F】本発明の第1の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その6)である。
【図4G】本発明の第1の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その7)である。
【図4H】本発明の第1の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その8)である。
【図4I】本発明の第1の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その9)である。
【図4J】本発明の第1の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その10)である。
【図4K】本発明の第1の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その11)である。
【図4L】本発明の第1の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その12)である。
【図4M】本発明の第1の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その13)である。
【図4N】本発明の第1の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その14)である。
【符号の説明】
【0069】
20,40 半導体装置
21 シリコン基板
21N,21P 素子領域
21I 素子分離領域
21TA〜21TD,41TA〜41TD 凹部
21OA〜21OD 熱酸化膜
21a〜21d 先端部分
22A,22B ゲート絶縁膜
23A,23B ゲート電極
23WA〜23WD ゲート側壁絶縁膜
23DA〜23DD ダミー側壁膜
24A,24B 絶縁膜
25A〜25D シリサイド領域
25Ae〜25De シリサイド先端部
26A〜26D 不純物元素偏析領域
27A〜27D ポケット注入領域
31 アモルファスシリコンまたはポリシリコン膜
31A〜31D シリコン領域
32 金属膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板表面にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極の互いに対向する側壁面上に側壁絶縁膜を形成する工程と、
前記側壁絶縁膜をマスクに、前記ゲート電極から見て前記側壁絶縁膜の外側の前記シリコン基板に凹部を形成する工程と、
前記側壁絶縁膜の外側にダミー側壁膜を、前記ダミー側壁膜が、前記凹部のうち前記側壁絶縁膜に隣接する先端部分を覆うように形成する工程と、
前記ダミー側壁膜をマスクに、前記シリコン基板のうち、前記凹部における露出部分を酸化し、シリコン酸化膜を形成する工程と、
前記ダミー側壁膜を、前記側壁絶縁膜に対して選択的に除去し、前記凹部において前記先端部分を露出する工程と、
前記凹部において前記シリコン酸化膜および前記先端部分を覆ってポリシリコンまたはアモルファスシリコンよりなるシリコン膜を充填する工程と、
前記シリコン膜上に金属膜を堆積し、熱処理することにより、前記凹部を、前記シリコン酸化膜を介して充填するシリサイド領域を、前記シリサイド領域の先端部が前記先端部分において、前記側壁絶縁膜の外端を超えて前記シリコン基板中、前記ゲート電極直下の領域近傍にまで到達するように、形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
さらに前記凹部を前記シリコン膜により充填する工程の後で、かつ前記シリサイド領域を形成する工程の前に、前記シリコン膜に不純物元素を導入する工程を含み、前記シリサイド領域を形成する際には前記不純物元素が前記先端部分と前記シリコン基板との界面に偏析することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記ダミー側壁膜は、前記凹部の前記先端部分を、前記シリコン基板と前記ゲート絶縁膜との界面から測った深さが2〜5nmとなるように形成されることを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記ダミー側壁膜は、シリコンおよび前記側壁絶縁膜に対してエッチング選択性を示す材料よりなる膜を、平坦面上における膜厚が2〜30nmとなるように、前記側壁絶縁膜および前記ゲート電極を覆って堆積し、さらに前記膜を、前記シリコン基板表面に対して略垂直方向に作用する異方性エッチングにより、前記凹部において前記シリコン基板が露出するまでエッチングにより除去する工程により形成されることを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記凹部は、前記先端部が、前記シリコン基板の表面に対し、10〜55°の角度をなすように形成されることを特徴とする請求項1〜4のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図2J】
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【図2K】
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【図2L】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【図4J】
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【図4K】
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【図4L】
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【図4M】
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【図4N】
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【公開番号】特開2009−188267(P2009−188267A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−28014(P2008−28014)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】