説明

半導体装置

【課題】本発明は、不純物拡散層と半導体基板との間に形成される空乏層中におけるGIDLを抑制することのできる半導体装置を提供することを課題とする。
【解決手段】半導体基板11の表面11aが部分的にエッチングされて形成された第2の溝32と、少なくとも第2の溝32の側面32aを覆うゲート絶縁膜38と、ゲート絶縁膜38を介して、第2の溝32の側面32aに形成され、その上端面45aが半導体基板11の表面11aより低い位置にあってゲート電極39となる第1の導電膜45と、第1の導電膜45に形成され、その上端面46aが第1の導電膜45の上端面45bよりも高く、かつ半導体基板11の表面11aより低い位置にあってゲート電極39となる第2の導電膜46と、第1の導電膜45の上端面45b、及び第1の導電膜45の上端面45bから突出した第2の導電膜46を覆うように、第2の溝32内に設けられた第2の絶縁膜と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体基板に形成された溝と、溝に形成されたゲート絶縁膜と、溝に設けられたゲート電極(埋め込み型ゲート電極)と、半導体基板の表面まで達するように、ゲート電極が形成された溝を埋め込む絶縁膜と、半導体基板に形成され、溝の一方の側に配置された第1の不純物拡散層と、半導体基板に形成され、溝の他方の側に配置された第2の不純物拡散層と、を有したMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記構成とされたMOSトランジスタでは、ドレイン領域として機能する一方の不純物拡散層にドレイン電圧を印加し、ソース領域として機能する他方の不純物拡散層をソース電圧にした状態で、ゲート電極にON電位を与えることにより溝の側壁及び底部にチャネル領域が形成されてMOSトランジスタが動作する。
【0004】
ところで、近年の微細化に伴い、ゲート電極の低抵抗化が望まれており、ゲート電極を低抵抗化するための材料として、金属、金属シリサイド、及び金属窒化物等の導電材料が用いられるようになってきた。
また、MOSトランジスタのしきい値電圧の制御性を向上させる観点から、ゲート電極の材料として、所定の仕事関数を有した金属、金属シリサイド、及び金属窒化物等の導電材料が用いられるようになってきた。
【0005】
金属膜で構成されたゲート電極の代表的な例として、例えば、ゲート絶縁膜に接するように形成された窒化チタン膜と、窒化チタン膜の表面に形成され、溝の一部を埋め込むタングステン膜とにより構成されたゲート電極がある。
窒化チタン膜は、仕事関数が4.75eV程度でシリコンバンド構造のミッドギャップ付近となる膜である。窒化チタン膜は、抵抗率が若干高いものの、タングステン膜からのタングステン原子がゲート絶縁膜に達することを抑制する機能を有する。また、タングステン膜は抵抗率が5μΩcmと低く、ゲート電極の低抵抗化に大きな役割を果たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−210801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、埋め込み型ゲート電極を、ゲート絶縁膜に接する窒化チタン膜及び低抵抗化を担うタングステン膜で構成し、しきい値電圧の制御とゲート電極の低抵抗化を実現しようとすると以下のような課題がある。
図35は、埋め込み型ゲート電極を備えた従来の半導体装置の主要部を示す断面図である。図35では、半導体装置の一例としてDRAM(Dynamic Random Access Memory)の断面図を示す。
ここで、図35を参照して、従来の半導体装置300の構成を説明し、その後、従来の半導体装置300の課題について説明する。
図35を参照するに、従来の半導体装置300は、溝302が形成された半導体基板301と、溝302の内壁に設けられたゲート絶縁膜303と、ゲート絶縁膜303を介して、溝302に埋め込まれ、第1及び第2の導電膜321,322により構成されたゲート電極304と、ゲート電極304が形成された溝302を埋め込む絶縁膜306と、半導体基板301に形成された第1及び第2の不純物拡散層307,308と、第1及び第2の不純物拡散層307,308及び絶縁膜306を覆う層間絶縁膜309と、第1のコンタクトプラグ311と、第2のコンタクトプラグ312と、キャパシタ313と、ビット線314とを有する。
【0008】
第1の不純物拡散層307は、ソース領域として機能する不純物拡散層である。第1の不純物拡散層307は、第1のコンタクトプラグ311を介して、キャパシタ313の下部電極316と電気的に接続されている。
第2の不純物拡散層308は、ドレイン領域として機能する不純物拡散層である。第2の不純物拡散層308は、第2のコンタクトプラグ312を介して、ビット線314と電気的に接続されている。
第1及び第2の不純物拡散層307,308の深さは、ゲート電極304に対して第1及び第2の不純物拡散層307,308がオフセット構造とならないように、ゲート電極304の表面304aよりも深くなるように構成されている。チャネル領域317は、トランジスタがON(オン)する際、溝302の側面及び底面に対応する半導体基板301に形成される。
第1のコンタクトプラグ311は、層間絶縁膜309を貫通しており、一方の端部が第1の不純物拡散層307と接触し、他方の端部がキャパシタ313の下部電極316と電気的に接続されている。
第2のコンタクトプラグ312は、層間絶縁膜309を貫通しており、一方の端部が第2の不純物拡散層308と接触し、他方の端部がビット線314と電気的に接続されている。
【0009】
ところで、上記金属、金属シリサイド、及び金属窒化物等の導電材料よりなる第1及び第2の導電膜321,322を一括してエッチングすることで、ゲート電極304を形成する場合、第1の導電膜321よりも厚さの厚い第2の導電膜322に形成された結晶粒界の影響により、エッチング速度にばらつきが生じ、ゲート電極304の表面304a(エッチング面)に凹凸が形成されてしまう。
このため、ゲート電極304には、第1の不純物拡散層307の側面と対向する部分と、第1の不純物拡散層307の側面と対向しない部分とが必然的に存在し、第1の不純物拡散層307の側面と対向する部分では、電界強度が強くなるため、GIDL(Gate−Induced−Drain−Leakage)が大きくなってしまう。
DRAMの重要な特性である情報保持特性は、キャパシタ313の下部電極316と電気的に接続される第1の不純物拡散層307と半導体基板301との間に形成される空乏層中の接合リーク電流が多くなると劣化してしまい、この接合リーク電流はゲート電界の影響を受けたGIDLによるところが大きい。
そのため、第1の不純物拡散層307と半導体基板301との接合位置318がゲート電極304の表面304aよりも深い位置にある場合、ゲート電界の影響を受けたGIDLを無視することができないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一観点によれば、半導体基板の主面が部分的にエッチングされて形成され、縦壁面を含む内面によって区画された凹部と、前記凹部の前記内面のうち少なくとも前記縦壁面を覆うゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜を介して、前記縦壁面に形成され、その上端面が前記半導体基板の主面より低い位置にあってゲート電極となる第1の導電膜と、前記第1の導電膜に形成され、その上端面が前記第1の導電膜の上端面より高く、かつ前記半導体基板の主面より低い位置にあって前記ゲート電極となる第2の導電膜と、前記第1の導電膜の上端面、及び前記第1の導電膜の上端面から突出した前記第2の導電膜を覆うように、前記凹部内に設けられた絶縁膜と、を有することを特徴とする半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の半導体装置によれば、ゲート絶縁膜を介して、縦壁面に形成され、その上端面が半導体基板の主面より低い位置にあってゲート電極となる第1の導電膜と、第1の導電膜に形成され、その上端面が第1の導電膜の上端面より高く、かつ半導体基板の主面より低い位置にあってゲート電極となる第2の導電膜と、第1の導電膜の上端面、及び第1の導電膜の上端面から突出した第2の導電膜を覆うように、凹部内に設けられた絶縁膜とを有することにより、第1の導電膜の上端面上に形成される隙間(ゲート絶縁膜と第2の導電膜との間に形成される隙間)に配置される絶縁膜がゲート絶縁膜の一部として機能するため、GIDL(Gate−Induced−Drain−Leakage)の発生する領域の実効的なゲート絶縁膜の厚さを厚くすることが可能となる。
これにより、ゲート電界の影響を受けにくくなるため、不純物拡散層と半導体基板との間に形成される空乏層中におけるGIDLを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の主要部を示す断面図である。
【図2】図1に示す半導体装置のA−A線方向の断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の第1変形例に係る半導体装置の主要部を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その1)である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その2)である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その3)である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その4)である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その5)である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その6)である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その7)である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その8)である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その9)である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その10)である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その11)である。
【図15】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その12)である。
【図16】本発明の第1の実施の形態の第2変形例に係る半導体装置の主要部を示す断面図である。
【図17】本発明の第1の実施の形態の第2変形例に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その1)である。
【図18】本発明の第1の実施の形態の第2変形例に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その2)である。
【図19】本発明の第1の実施の形態の第2変形例に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その3)である。
【図20】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の主要部を示す断面図である。
【図21】図20に示す半導体装置のB−B線方向の断面図である。
【図22】図20に示す半導体装置のC−C線方向の断面図である。
【図23】図20に示す半導体装置のD−D線方向の断面図である。
【図24】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その1)である。
【図25】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その2)である。
【図26】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その3)である。
【図27】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その4)である。
【図28】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その5)である。
【図29】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その6)である。
【図30】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その7)である。
【図31】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その8)である。
【図32】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その9)である。
【図33】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その10)である。
【図34】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その11)である。
【図35】埋め込み型ゲート電極を備えた従来の半導体装置の主要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の半導体装置の寸法関係とは異なる場合がある。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の主要部を示す断面図であり、図2は、図1に示す半導体装置のA−A線方向の断面図である。図1及び図2では、半導体装置10の一例として、DRAM(Dynamic Random Access Memory)の構成を図示する。図1及び図2において、Z−Z方向は第2の溝32の深さ方向、X−X方向はZ−Z方向と直交する方向、Y−Y方向は同一平面内においてX−X方向と直交する方向をそれぞれ示している。また、図2において、図1と同一構成部分には、同一符号を付す。
なお、図2では、1つのトランジスタ15のみを図示しているが、実際には、半導体装置10には、複数のトランジスタ15が設けられている。
【0015】
図1及び図2を参照するに、第1の実施の形態の半導体装置10は、半導体基板11と、第1の絶縁膜12と、素子分離領域13と、トランジスタ15と、第2の絶縁膜16(絶縁膜)と、層間絶縁膜17と、第1のコンタクトプラグ21と、第2のコンタクトプラグ22と、第3のコンタクトプラグ23と、キャパシタ25と、ビット線26と、プレート電極27とを有する。
半導体基板11は、板状とされた基板である。半導体基板11には、素子分離領域13が形成される第1の溝31と、X−X方向に延在する凹部である第2の溝32とが形成されている。第2の溝32は、縦壁面である側面32aと、側面32aと対向する他の縦壁面である32bと、底面32cとよりなる内面によって区画されている。第2の溝32は、半導体基板11の表面11a(主面)が部分的にエッチングされることで形成される溝である。
第2の溝32深さDは、第1の溝31の深さよりも浅い。半導体基板11の表面11aを基準としたときの第2の溝32の深さDは、例えば、120nmとすることができる。
また、第2の溝32の幅Wは、例えば、50nmとすることができる。なお、第2の溝32の幅Wは、トランジスタ15の所望の特性に応じて適宜選択することができ、上記数値に限定されない。
【0016】
半導体基板11としては、例えば、P型のシリコン基板を用いることができる。この場合、半導体基板11に含まれるP型不純物であるボロンの濃度は、例えば、1.0×1017atoms/cmとすることができるが、所定のしきい値電圧となるようにボロンの濃度を調整してもよい。
第1の絶縁膜12は、半導体基板11の表面11aを覆うように設けられている。第1の絶縁膜12としては、例えば、厚さ10nmのシリコン酸化膜(SiO膜)を用いることができる。
素子分離領域13は、第1の溝31を埋め込むように設けられている。素子分離領域13は、絶縁膜(例えば、シリコン酸化膜(SiO膜))により構成されている。
【0017】
トランジスタ15は、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタであり、第1の不純物拡散層34と、第2の不純物拡散層35と、チャネル領域37と、ゲート絶縁膜38と、ゲート電極39と、隙間41,42とを有する。
第1及び第2の不純物拡散層34,35は、半導体基板11がP型のシリコン基板の場合、半導体基板11の表面11aにN型不純物をイオン注入することで形成する。第1及び第2の不純物拡散層34,35の表面34a,35aは、半導体基板11の表面11aに対して面一とされている。
第1の不純物拡散層34は、ソース領域として機能する不純物拡散層であり、第2の溝32の側面32a側に配置されている。第1の不純物拡散層34の側面34bは、第2の溝32に接している。第1の不純物拡散層34は、第1のコンタクトプラグ21の下端と接触している。第1の不純物拡散層34は、第1のコンタクトプラグ21を介して、キャパシタ25の下部電極51と電気的に接続されている。
【0018】
第2の不純物拡散層35は、ドレイン領域として機能する不純物拡散層であり、第2の溝32の側面32b(第2の溝32の側面32aと対向する側面)側に設けられている。第2の不純物拡散層35は、第1の不純物拡散層34と対向するように配置されている。第2の不純物拡散層35の側面35bは、第2の溝32に接している。第2の不純物拡散層35は、第2のコンタクトプラグ22の下端と接触している。第2の不純物拡散層35は、第2のコンタクトプラグ22を介して、ビット線26と電気的に接続されている。
半導体基板11の表面11aを基準としたときの第1の不純物拡散層34の深さDは、半導体基板11の表面11aを基準としたときの第2の不純物拡散層35の深さDと同じ深さとされている。第1及び第2の不純物拡散層34,35の深さD,Dは、例えば、40nmとすることができる。
【0019】
チャネル領域37は、トランジスタ15がONする際に第2の溝32の側面32a,32b及び底面32cに対応する半導体基板11に形成される領域である。
ゲート絶縁膜38は、第2の溝32の側面32a,38b及び底面32c、第1の不純物拡散層34の側面34b、及び第2の不純物拡散層35の側面35bを覆うように設けられている。ゲート絶縁膜38としては、例えば、単層のシリコン酸化膜(SiO膜)、シリコン酸化膜を窒化した膜(SiON膜)、積層されたシリコン酸化膜(SiO膜)、シリコン酸化膜(SiO膜)上にシリコン窒化膜(SiN膜)を積層させた積層膜等を用いることができる。
ゲート絶縁膜38として単層のシリコン酸化膜(SiO膜)を用いる場合、ゲート絶縁膜38の厚さは、例えば、4nmとすることができる。
【0020】
ゲート電極39は、第2の溝32に埋め込まれた電極であり、第1の導電膜45と、第2の導電膜46とを有する。第1の導電膜45は、トランジスタ15のしきい値電圧の決定を担う膜であると共に、第2の導電金属35に含まれ、半導体基板11に拡散することでトランジスタ15の特性に悪影響を及ぼす重金属原子(具体的には、第2の導電金属35がタングステン膜の場合、タングステン原子)がゲート絶縁膜38に到達することを防止するバリア膜として機能する膜である。
第1の導電膜45は、第2の溝32のうち、第1の不純物拡散層34と半導体基板11とが接合される第1の接合位置43、及び第2の不純物拡散層35と半導体基板11とが接合される第2の接合位置44よりも第2の溝32の底面32c側に位置する部分を覆うように設けられている。
【0021】
第1の導電膜45は、エッチングされた上端面45b,45cを有する。第1の導電膜45の上端面45bは、第1の接合位置43よりも第2の溝32の底面32c側に配置されている。第1の導電膜45の第2の端面45cは、第2の接合位置44よりも第2の溝32の底面32c側に配置されている。
第1の導電膜45は、第2の導電膜46よりも厚さの薄い膜である。そのため、第1の導電膜45は、第2の導電膜46をエッチングする場合と比較して、エッチング時に結晶粒界の影響を受けにくく、エッチング量のばらつきを小さくすることが可能な膜である。
したがって、第1の導電膜45を選択的にエッチングすることで、上端面45b,45cを略平坦な面にすることができる。言い換えれば、第1の導電膜45は、選択的にエッチングすることで、第2の溝32の深さ方向における上端面45b,45cの位置を制御しやすい膜である。
第1の導電膜45の上端面45cは、第1の導電膜45の上端面45bに対して面一とされている。これにより、半導体基板11の表面11aから第1の導電膜45の上端面45bまでの深さDは、半導体基板11の表面11aから第1の導電膜45の上端面45cまでの深さDと同じ深さとされている。上記上端面45b,45cの深さD,Dは、例えば、50nmとすることができる。
【0022】
第1の導電膜45としては、所定の仕事関数を有し、しきい値電圧の制御が容易で、薄い厚さでの成膜が可能で、かつ容易にエッチングすることが可能な膜を用いるとよい。
具体的には、第1の導電膜45としては、ドーパント不純物(P型或いはN型)を含んだ多結晶シリコン膜、窒化チタン膜、窒化タンタル膜、窒化モリブデン膜、コバルトシリサイド膜、ニッケルシリサイド膜よりなる群のうち、少なくともいずれか1つの膜、或いは上記膜のうち、2つ以上の膜を積層させた積層膜を用いるとよい。
第1の導電膜45として窒化チタン膜(仕事関数が4.75eV)を用いた場合、基板の平面上に形成される第1の導電膜45の厚さは、例えば、5nmとすることができる。
【0023】
第2の導電膜46は、第1の導電膜45の表面45aに形成されており、第1の導電膜45が形成された第2の溝32の一部を埋め込むように設けられている。
第2の導電膜46は、第1及び第2の不純物拡散層34,35の一部と対向するように(言い換えれば、第1及び第2の不純物拡散層34,35に対してオフセット構造とならないように)、第1の導電膜45の上端面45b,45cから突出している。
これにより、第1の導電膜45の上端面45b上には、第1の導電膜45の上端面45b、第2の導電膜46、及びゲート絶縁膜38で囲まれた隙間41が形成され、第1の導電膜45の上端面45c上には、第1の導電膜45の上端面45c、第2の導電膜46、及びゲート絶縁膜38で囲まれた隙間42が形成される。隙間41,42は、X−X方向に延在する幅の狭い溝である。
【0024】
隙間42の幅は、隙間41の幅Wと等しく、隙間41の幅Wは第1の導電膜45の厚さの値と等しい。第1の導電膜45の厚さが5nmの場合、隙間41の幅Wは、例えば、5nmとすることができる。
第2の導電膜46の上端面46aは、半導体基板11の表面11aから第1の接合位置43までの間に配置されている。半導体基板11の表面11aを基準としたときの第2の導電膜46の上端面46aまでの深さDは、例えば、30nmとすることができる。
実際には、第2の導電膜46の上端面46aは、第2の導電膜46の結晶粒界の影響によるエッチングばらつきにより、凹凸が形成されるが図1及び図2ではその図示を省略する。
【0025】
第2の導電膜46は、結晶粒界を有する膜であり、かつ第1の導電膜45よりも抵抗値が低く、第1の導電膜45よりも厚さの厚い膜である。第2の導電膜46は、ゲート電極39の抵抗値を低減するための膜である。
第2の導電膜46は、コバルトシリサイド膜、ニッケルシリサイド膜、タングステン膜、モリブデン膜、コバルト膜、ニッケル膜、銅膜、アルミニウム膜よりなる群のうち、いずれか1つの膜により構成することができる。
第2の導電膜46としてタングステン膜を用いた場合、基板の平面上に形成される第2の導電膜46の厚さは、例えば、30nmとすることができる。
【0026】
第1の絶縁膜12は、半導体基板11の表面11a(第1及び第2の不純物拡散層34,35の表面34a,35aも含む)に設けられている。第1の絶縁膜12としては、例えば、厚さ10nmのシリコン酸化膜(例えば、SiO2膜)を用いることができる。
【0027】
第2の絶縁膜16は、隙間41,42、及びゲート電極39が形成された第2の溝32を埋め込むように設けられている。これにより、第2の絶縁膜16は、第1の導電膜45のう上端面45b,45cから突出した第2の導電膜46を覆っている。第2の絶縁膜16の表面16aは、第1の絶縁膜12の表面12aに対して略面一とされている。
隙間41に形成された第2の絶縁膜16の厚さTは、隙間41の幅Wの値と等しい。隙間41の幅Wが5nmの場合、第2の絶縁膜16の厚さTは、5nmとすることができる。
【0028】
このように、ゲート絶縁膜38上に形成され、上端面45bが第1の接合位置43よりも低い位置にあってゲート電極39となる第1の導電膜45と、第1の導電膜45に形成され、上端面46aが第1の導電膜45の上端面45bより高く、かつ半導体基板11の表面11aより低い位置にあってゲート電極39となる第2の導電膜46と、第1の導電膜45の上端面45b、及び第1の導電膜45の上端面45bから突出した第2の導電膜46を覆うように、第2の溝32内に設けられた第2の絶縁膜16と、を有することにより、第1の導電膜45の上端面45b上に位置するゲート絶縁膜38と第2の導電膜46との隙間41を充填する第2の絶縁膜16がゲート絶縁膜38の一部として機能するため、GIDL(Gate−Induced−Drain−Leakage)の発生する領域の実効的なゲート絶縁膜の厚さを厚くすることが可能となる。
【0029】
これにより、ゲート電界の影響を受けにくくなるため、キャパシタ25の下部電極51と電気的に接続される第1の不純物拡散層34と半導体基板11との間に形成される空乏層中におけるGIDLを抑制することができる。
よって、第1の実施の形態の半導体装置10としてDRAMを用いた場合、ゲート電界の影響を受けたGILDに起因する情報保持特性の劣化を抑制することができる。
また、第1の導電膜45から突出した第2の導電膜46を第2の絶縁膜16で覆うことで、第2の導電膜46に含まれ、半導体基板11に悪影響を及ぼす重金属原子(例えば、タングステン原子)がゲート絶縁膜38に到達することを抑制できる。
【0030】
層間絶縁膜17は、第1の絶縁膜12の表面12a及び第2の絶縁膜16の表面16aに設けられている。層間絶縁膜17としては、例えば、厚さが100nmのシリコン酸化膜(SiO膜)を用いることができる。
第1のコンタクトプラグ21は、層間絶縁膜17を貫通するように設けられている。第1のコンタクトプラグ21の下端は、第1の不純物拡散層34と接触している。第1のコンタクトプラグ21の上端は、キャパシタ25の下部電極51と電気的に接続されている。
第2のコンタクトプラグ22は、層間絶縁膜17を貫通するように設けられている。第2のコンタクトプラグ22の下端は、第2の不純物拡散層35と接触している。第2のコンタクトプラグ22の上端は、ビット線26と電気的に接続されている。
第3のコンタクトプラグ23は、第2の絶縁膜16及び層間絶縁膜17を貫通するように設けられている。第3のコンタクトプラグ23の下端は、第2の導電膜46の上端面46a側と接続されている。これにより、第3のコンタクトプラグ23は、ゲート電極39と電気的に接続されている。
【0031】
キャパシタ25は、下部電極51と、容量絶縁膜と、上部電極52とが順次積層された構成とされており、第1のコンタクトプラグ21の上方に配置されている。下部電極51は、第1のコンタクトプラグ21と電気的に接続されている。
ビット線26は、ゲート電極39と交差する配線であり、Y,Y方向に延在している。 ビット線26は、第2のコンタクトプラグ22と電気的に接続されている。プレート電極27は、上部電極52と電気的に接続されている。
【0032】
ここで、半導体基板11の電位が−0.4V、キャパシタ25の上部電極52の電位(プレート電位)が0.5Vの場合を例に挙げて、第1の実施の形態の半導体装置10に設けられたトランジスタ15の動作と本願の効果ついて説明する。
ゲート電極39(ワード線)に印加される電圧をON(オン)状態にし、この状態でビット線26と電気的に接続された第2の不純物拡散層35にデータEの電位として1Vを与えると、チャネルがON状態となり、第1の不純物拡散層34はデータEの電位(1V)となる。
すなわち、キャパシタ25には、データEの情報が書き込まれる。次いで、十分な書き込みをした後、ゲート電極39の電位をOFF(オフ)状態にする。ゲート電極39の電位をOFF(オフ)にした時点からデータEの情報を保持しているが、第1の不純物拡散層34と半導体基板11とよりなる接合の空乏化領域においてGIDLが増加すると、保持している電位情報が徐々に低下してデータEの情報をセンスすることができなくなる。その結果、従来の半導体装置(DRAM)では、情報保持特性が劣化してしまう。
【0033】
一方、第1の実施の形態の半導体装置10によれば、キャパシタ25の下部電極51と電気的に接続される第1の不純物拡散層34と半導体基板11とが接合される第1の接合位置43と第2の導電膜46との間に隙間41を設け、第2の絶縁膜16により隙間41を埋め込むことにより、隙間41に形成された第2の絶縁膜16がゲート絶縁膜として機能するため、ゲート電界の影響を受けたGIDLの発生する領域の実効的なゲート絶縁膜の厚さを厚くすることが可能となる。
これにより、ゲート電界の影響を受けにくくなるため、第1の不純物拡散層34と半導体基板11との間に形成される空乏層中におけるGIDLが減少し、電位情報の低下を抑制することができる。したがって、半導体装置10としてDRAMを用いた場合、DRAMの情報保持特性の劣化を抑制することができる。
【0034】
図3は、本発明の第1の実施の形態の第1変形例に係る半導体装置の主要部を示す断面図である。図3において、図2に示す第1の実施の形態の半導体装置10と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
図3を参照するに、第1の実施の形態の第1変形例に係る半導体装置55は、第1の実施の形態の半導体装置10に設けられたゲート電極39の替わりに、ゲート電極56を設けた以外は、半導体装置10と同様に構成される。
ゲート電極56は、第1の導電膜45と、第1の導電膜45とは異なる種類の導電膜である第2の導電膜46との間に、第3の導電膜57を設けた以外は、先に説明したゲート電極39と同様な構成とされている。
【0035】
第3の導電膜57は、U字型形状とされている。第3の導電膜57の一方の端面57aは、第1の導電膜45の上端面45bに対して略面一とされている。また、第3の導電膜57の他方の端面57bは、第1の導電膜45の上端面45cに対して略面一とされている。
第3の導電膜57は、第1の導電膜45と第2の導電膜46との反応を防止するための膜であり、このような膜を設けることは、第1の導電膜45と第2の導電膜46との反応を防止したい場合に有効である。
第3の導電膜57は、窒化チタン膜、窒化タンタル膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜よりなる群のうち、いずれか1つの膜により構成することができる。
【0036】
具体的には、例えば、第1の導電膜45としてN型多結晶シリコン膜を用い、第2の導電膜46としてタングステン膜を用いた場合、N型多結晶シリコン膜とタングステン膜との間に、第3の導電膜57として窒化チタン膜(例えば、厚さ2nm)を設けることで、N型多結晶シリコン膜とタングステン膜との反応を防止することができる。
このように、第1乃至第3の導電膜45,46,57によりゲート電極56を構成した場合、隙間41の幅Wは、第1の導電膜45の厚さと第3の導電膜57の厚さとの合計の値に等しい。
例えば、第1の導電膜45として厚さ5nmのN型多結晶シリコン膜を用い、第3の導電膜57として厚さ2nmの窒化チタン膜を用いた場合、隙間41の幅Wは、7nmとすることができる。
上記構成とされた第1の実施の形態の第1変形例に係る半導体装置55は、第1の実施の形態の半導体装置10と同様な効果を得ることができる。
【0037】
図4〜図15は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。図4〜図15は、図2に示す半導体装置10の切断面に対応する断面図である。図4〜図15において、半導体装置10と同一構成部分には同一符号を付す。また、図4〜図15に示す構造体の切断面では、図1に示す素子分離領域13及び第1の溝31を図示することは困難なため、その図示を省略する。
さらに、図9〜図11では、説明の便宜上、図9〜図11に示す工程ではまだ形成されていない第1及び第2の不純物拡散層34,35、並びに第1及び第2の接合位置43,44を図示する。
【0038】
図4〜図15を参照して、第1の実施の形態の半導体装置10の製造方法について説明する。
始めに、図4に示す工程では、半導体基板11として、例えば、P型不純物であるボロンの濃度が1.0×1017atoms/cmのP型シリコン基板を準備する。次いで、半導体基板11に、第1の溝31(図示せず)を形成し、次いで、第1の溝31を絶縁膜(例えば、シリコン酸化膜(SiO膜))で埋め込むことで、素子分離領域13(図示していない)を形成する。
なお、上記P型シリコン基板のボロンの濃度は、上記数値に限定されない。P型シリコン基板のボロンの濃度は、所定のしきい値電圧となるように調整してもよい。
【0039】
次いで、半導体基板11の表面11aに、第1の絶縁膜12と、第3の絶縁膜61とを順次積層する。具体的には、例えば、第1の絶縁膜12として厚さが10nmのシリコン酸化膜(SiO膜)を形成し、その後、第3の絶縁膜61として厚さが100nmのシリコン窒化膜(SiN膜)を形成する。
次いで、第3の絶縁膜61の表面61aに、パターニングされたホトレジスト(図示せず)を形成し、このホトレジストを介した異方性エッチング(例えば、ドライエッチング)により、第1及び第3の絶縁膜12,61をエッチングすることで、半導体基板11の表面11aを露出する貫通溝62を形成する。ホトレジスト(図示せず)は、貫通溝62を形成後に除去する。貫通溝62の幅Wは、例えば、50nmとすることができるが、貫通溝62の幅Wは、所望のトランジスタ特性に応じて適宜選択することができる。
【0040】
次いで、図5に示す工程では、貫通溝62を有した第3の絶縁膜61をマスクとする異方性エッチング(例えば、ドライエッチング)により、貫通溝62の下方に位置する部分の半導体基板11をエッチングすることで、第2の溝32を形成する。
このとき、貫通溝62の下方に素子分離領域13(図示せず)が存在する場合には、この部分の素子分離領域13(図示せず)にも第2の溝32を形成する。また、素子分離領域13(図示せず)に形成される第2の溝32の深さは、半導体基板11に形成される第2の溝32の深さと同じでもよいし、異なっていてもよい。
素子分離領域13(図示せず)に形成される第2の溝32の深さと、半導体基板11に形成される第2の溝32の深さDとを異ならせる場合、エッチングガスを調整して、半導体基板11をエッチングする速度と素子分離領域13を構成する絶縁膜(シリコン酸化膜(SiO膜))をエッチングする速度とを異ならせることで第2の溝32を形成する。
第2の溝32の深さDは、例えば、120nmとすることができる。また、貫通溝62の幅Wが50nmの場合、第2の溝32の幅Wは、50nmとすることができるが、第2の溝32の幅Wは、トランジスタ15の所望の特性に応じて適宜選択するとよい。なお、第2の溝32の深さD及び幅Wは、上記数値に限定されない。
【0041】
次いで、図6に示す工程では、第2の溝32の側面32a,32b及び底面32c(コーナー部32d含む)を覆うようにゲート絶縁膜38を形成する。ゲート絶縁膜38としては、例えば、熱酸化法により形成された単層のシリコン酸化膜(SiO膜)用いることができる。ゲート絶縁膜38として単層のシリコン酸化膜(SiO膜)を用いる場合、ゲート絶縁膜38の厚さは、例えば、4nmとすることができる。
なお、熱酸化法によりゲート絶縁膜38を形成した場合、第2の溝32の底面32c(コーナー部32dを含む)に形成されるシリコン酸化膜の厚さは、第2の溝32の側面32a,32bに形成されるシリコン酸化膜の厚さよりも薄くなる。
【0042】
そこで、ゲート絶縁膜38のゲート耐圧を向上させたい場合、熱酸化法により形成された単層のシリコン酸化膜(SiO膜)と、絶縁膜(例えば、シリコン酸化膜(SiO膜)やシリコン窒化膜(SiN膜)とを積層させることでゲート絶縁膜38を形成するとよい。
また、熱酸化法により形成されたシリコン酸化膜(SiO膜)上に形成される絶縁膜は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成することができる。また、ゲート絶縁膜38の酸化膜換算膜厚を増やしたくない場合、熱酸化法により形成されたシリコン酸化膜(SiO膜)上に、CVD法により、誘電率の高い膜(図示せず)を形成するとよい。
【0043】
次いで、図7に示す工程では、ゲート絶縁膜38の表面38a、貫通溝62の側面、及び第3の絶縁膜61の表面61aを覆うように第1の導電膜45を成膜する。
図7に示す第1の導電膜45は、エッチングされる前の第1の導電膜45であり、エッチングされることで、図2に示す上端面45b,45cを有した第1の導電膜45となる。第1の導電膜45は、例えば、CVD法により成膜することができる。
図7に示す工程では、第1の導電膜45の厚さが、第2の導電膜46の厚さよりも薄くなるように第1の導電膜45を形成する。
このように、第1の導電膜45の厚さを薄くすることで、第1の導電膜45を選択的にエッチングする際に、第1の導電膜45のエッチング量のばらつきが大きくなることを抑制できる。
これにより、後述する図10に示す工程において、第1の導電膜45を選択的にエッチングする際、第1の導電膜45のエッチング面(上端面45b,45c)を平坦な面に加工することができると共に、第2の溝32の深さ方向(Z−Z方向)における第1の導電膜45のエッチング量の制御を容易に行うことができる。
【0044】
第1の導電膜45は、トランジスタ15のしきい値電圧を担う膜であると共に、第2の導電膜46に含まれ、トランジスタ15の特性に悪影響を及ぼす重金属原子(例えば、タングステン原子)が半導体基板11に拡散することを防止する膜である。
第1の導電膜45としては、トランジスタ15のしきい値電圧の制御が容易で、薄い厚さでの成膜が可能で、かつ容易にエッチングすることが可能な膜を用いるとよい。
具体的には、第1の導電膜45としては、ドーパント不純物を含んだ多結晶シリコン膜、窒化チタン膜、窒化タンタル膜、窒化モリブデン膜、コバルトシリサイド膜、ニッケルシリサイド膜よりなる群のうち、少なくとも1つの膜、或いは、これらの膜のうち、少なくとも2つの膜を積層させた積層膜を用いるとよい。
第1の導電膜45として窒化チタン膜を形成した場合、第3の絶縁膜61の表面61aに形成される第1の導電膜45の厚さは、例えば、5nmとすることができる。
【0045】
次いで、第1の導電膜45の表面45aに、第2の溝32及び貫通溝62を埋め込む第2の導電膜46を成膜する。このとき、第3の絶縁膜61の表面61aに形成された第1の導電膜45上にも第2の導電膜46が成膜される。第2の導電膜46は、例えば、CVD法により成膜する。
また、図7に示す第2の導電膜46は、エッチングされる前の第2の導電膜46であり、エッチングされることで、図2に示す第2の導電膜46となる。
第2の導電膜46は、第1の導電膜45よりも抵抗値の低い膜である。つまり、第2の導電膜46は、結晶粒界を有する膜であり、ゲート電極39の抵抗を低くするための膜である。第2の導電膜46は、第2の溝32及び貫通溝62を埋め込む必要があるため、第1の導電膜45よりも厚さが厚くなるように形成する。
【0046】
第2の導電膜46としては、コバルトシリサイド膜、ニッケルシリサイド膜、タングステン膜、モリブデン膜、コバルト膜、ニッケル膜、銅膜、アルミニウム膜よりなる群のうち、いずれか1つの膜を用いることができる。
第2の導電膜46としてタングステン膜を用いた場合、基板の平面上に形成される第2の導電膜46の厚さは、例えば、30nmとすることができる。
【0047】
次いで、図8に示す工程では、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により、図7に示す第1及び第2の導電膜45,46のうち、第3の絶縁膜61の表面61aよりも上方に位置する部分を除去することで、図8に示す構造体の表面を平坦化する。このとき、第3の絶縁膜61(シリコン窒化膜(SiN膜))を研磨のストッパー膜として利用する。
【0048】
次いで、図9に示す工程では、第1及び第2の不純物拡散層34,35の深さD,Dよりもエッチバック後の第2の導電膜46の上端面46aの深さDが浅くなるように、異方性エッチング法(例えば、ドライエッチング法)により、第1及び第2の導電膜45,46をエッチバックする。
つまり、図9に示す工程では、第1及び第2の不純物拡散層34,35に対して、図9に示す第1及び第2の導電膜45,46がオフセット構造とならないように、第1及び第2の導電膜45,46をエッチバックする。上記エッチバック処理を行うことで、第2の導電膜46の上端面46aには図示していない凹凸が形成される。
第1及び第2の不純物拡散層34,35の深さD,Dが40nmの場合、第2の導電膜46の上端面46aの深さDは、例えば、30nmとすることができる。
【0049】
次いで、図10に示す工程では、第1の導電膜45の上端面45bの位置が、第1の接合位置43よりも第2の溝32の底面32c側に配置されると共に、第1の導電膜45の上端面45cの位置が、第2の接合位置44よりも第2の溝32の底面32c側に配置されるように、図9に示す第1の導電膜45の上端部を選択的にエッチングする。
これにより、第1の導電膜45の上端面45b上には、第1の導電膜45の上端面45b、第2の導電膜46、及びゲート絶縁膜38で囲まれた隙間41が形成され、第1の導電膜45の上端面45c上には、第1の導電膜45の上端面45c、第2の導電膜46、及びゲート絶縁膜38で囲まれた隙間42が形成される。隙間41の幅Wは、第1の導電膜45の厚さと等しく、例えば、5nmとすることができる。隙間42の幅は、隙間41の幅Wと等しい。
図10に示す工程のエッチングでは、上端面45cは、上端面45bに対して面一となる。この場合、第2の導電膜46の上端面46aを基準としたときの上端面45bの深さDは、例えば、20nmとすることができ、第2の導電膜46の上端面46aを基準としたときの上端面45cの深さDは、例えば、20nmとすることができる。
第2の導電膜46の上端面46aの深さDが30nmの場合、半導体基板11の表面11aを基準としたときの上端面45b,45cの深さD,Dは、例えば、50nmとすることができる。
なお、図10に示す工程のエッチングにより、第1及び第2の導電膜45,46を備えたゲート電極39が形成される。
【0050】
次いで、図11に示す工程では、隙間41,42、ゲート電極39が形成された第2の溝32、及び貫通溝62を埋め込むように、第2の絶縁膜16(例えば、厚さ50nmのシリコン酸化膜(SiO膜))を成膜した後、第2の絶縁膜16をエッチバックすることで、第1の絶縁膜12の表面12aに対して略面一とされた表面16aを有する第2の絶縁膜16を形成する。隙間41に形成される第2の絶縁膜16の厚さTは、第1の導電膜45の厚さと等しい。第1の導電膜45の厚さが5nmの場合、隙間41に形成される第2の絶縁膜16の厚さTは、5nmとすることができる。
【0051】
このように、隙間41を第2の絶縁膜16で埋め込むことで、隙間41に埋め込まれた第2の絶縁膜16がゲート絶縁膜の一部として機能するため、ゲート電界の影響を受けたGIDLの発生する領域の実効的なゲート絶縁膜の厚さを厚くすることが可能となる。
これにより、ゲート電界の影響を受けにくくなるため、キャパシタ25の下部電極51と電気的に接続される第1の不純物拡散層34と半導体基板11との間に形成される空乏層中におけるGIDLを抑制することができる。
よって、第1の実施の形態の半導体装置10としてDRAMを用いた場合、ゲート電界の影響を受けたGILDに起因する情報保持特性の劣化を抑制することができる。
【0052】
また、第1の導電膜45から突出した第2の導電膜46を第2の絶縁膜16で覆うことにより、第2の導電膜46に含まれ、トランジスタ15の特性に悪影響を及ぼす重金属原子(第2の導電膜46がタングステン膜の場合にはタングステン原子)がゲート絶縁膜38に到達することを防止できる。
【0053】
次いで、図12に示す工程では、図11に示す第3の絶縁膜61を除去する。次いで、半導体基板11の表面11aに、N型不純物をイオン注入することで、第1及び第2の不純物拡散層34,35を形成する。
具体的には、例えば、25KeVのエネルギーで砒素を5.0×1013atmos/cmの注入量で、半導体基板11の表面11aにイオン注入し、その後、注入損傷回復のために900℃で30秒の熱処理を行うことで、第1及び第2の不純物拡散層34,35を形成する。第1の不純物拡散層34の深さDは、例えば、40nmとすることができる。この場合、第2の不純物拡散層35の深さDは、例えば、40nmとすることができる。
これにより、第1及び第2の不純物拡散層34,35、チャネル領域37、ゲート絶縁膜38、及びゲート電極39と備えたトランジスタ15が形成される。
なお、図12では、1つのトランジスタ15のみを図示したが、実際には、半導体基板11に複数のトランジスタ15が形成される。
【0054】
次いで、図13に示す工程では、図12に示す第1の絶縁膜12の表面12a及び第2の絶縁膜16の表面16aを覆う層間絶縁膜17を形成する。具体的には、図12に示す構造体の表面に、例えば、厚さが100nmのシリコン酸化膜(SiO膜)を成膜することで層間絶縁膜17を形成する。
次いで、層間絶縁膜17上にパターニングされたホトレジスト(図示せず)を形成し、該ホトレジストを介して、層間絶縁膜17をエッチングすることで、第1の不純物拡散層34の表面34aを露出する開口部65と、第2の不純物拡散層35の表面35aを露出する開口部66とを一括形成し、その後、ホトレジストを除去する。
【0055】
次いで、層間絶縁膜17上にパターニングされたホトレジスト(図示せず)を形成し、該ホトレジストを介して、第2の絶縁膜16及び層間絶縁膜17をエッチングすることで、第3のコンタクトプラグ23が配置される開口部(図示せず)を形成する。
次いで、図14に示す工程では、開口部65,66及び第3のコンタクトプラグ23が配置される開口部(図示せず)に導電膜を埋め込むことで、第1乃至第3のコンタクトプラグ21〜23を一括形成する。
【0056】
次いで、図15に示す工程では、周知の手法により、図14に示す構造体上に、第1乃至第3のコンタクトプラグ21〜23のそれぞれに対して配線(図示せず)を形成し、その後、層間絶縁膜(図示せず)、コンタクトプラグ(図示せず)、他の配線(図示せず)、キャパシタ25、ビット線26、プレート電極27等を形成する。これにより、第1の実施の形態の半導体装置10が製造される。
【0057】
第1の実施の形態の半導体装置の製造方法によれば、下部電極51と電気的に接続される第1の不純物拡散層34と半導体基板11とが接合される第1の接合位置43に対応する部分のゲート絶縁膜38と第2の導電膜32との間に形成された隙間41を第2の絶縁膜16で埋め込むことにより、隙間41に形成された第2の絶縁膜16がゲート絶縁膜38の一部として機能するため、ゲート電界の影響を受けにくくなる。
これにより、第1の不純物拡散層34と半導体基板11との間に形成される空乏層中におけるGIDLを減少させることができる。
その結果、第1の実施の形態の半導体装置10としてDRAMを用いた場合、ゲート電界の影響を受けたGILDに起因する情報保持特性の低下を抑制することができる。
【0058】
なお、先に説明した第1の実施の形態の第1変形例に係る半導体装置55は、第1の導電膜45を成膜する工程と第2の導電膜46を成膜する工程との間に、図3に示す第3の導電膜57を成膜する工程を設け、その後、図8に示す工程で第1の導電膜45と共に、第3の導電膜57を研磨し、その後、図9及び図10に示す工程において第1の導電膜45と共に、第3の導電膜57をエッチングすることで製造できる。
【0059】
図16は、本発明の第1の実施の形態の第2変形例に係る半導体装置の主要部を示す断面図である。図16において、第1の実施の形態の半導体装置10(図2参照)と同一構成部分には同一符号を付す。
図16を参照するに、第1の実施の形態の第2変形例に係る半導体装置70は、第1の実施の形態の半導体装置10に設けられたゲート電極39の替わりにゲート電極71を設けた以外は、半導体装置10と同様な構成とされている。
ゲート電極71は、第1の導電膜45の上端面45c(他の上端面)が第2の導電膜46の上端面46aに対して略面一とされていること以外は、図2に示すゲート電極39と同様な構成とされている。隙間41は、第2の絶縁膜16により埋め込まれている。
【0060】
上記構成とされた第1の実施の形態の第2変形例に係る半導体装置70は、第1の実施の形態の半導体装置10と同様な効果を得ることができる。
このように、キャパシタ25の下部電極51が接続される第1の不純物拡散層34側に配置された第1の導電膜45の上端面45bのみ第1の接合位置43の下方(第2の溝32の底面32c側)に配置すればよく、第1の導電膜45の上端面45cは、第2の導電膜46の上端面46aと面一にしてもよい。
【0061】
図17〜図19は、本発明の第1の実施の形態の第2変形例に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。図17〜図19は、図16に示す半導体装置70の切断面に対応する断面図である。図17〜図19において、半導体装置70と同一構成部分には同一符号を付す。
【0062】
次に、主に図17〜図19を参照して、第1の実施の形態の第2変形例に係る半導体装置70の製造方法について説明する。
始めに、先に説明した図4〜図9に示す工程と同様な処理を行うことで、図9に示す構造体を形成する。次いで、図17に示す工程では、図9に示す構造体の上面側に、第1の導電膜45のうち、隙間41の形成領域に対応する部分を露出する溝状の開口部76を有したホトレジスト膜75を形成する。
【0063】
次いで、図18に示す工程では、ホトレジスト膜75の開口部76から露出された第1の導電膜45を選択的にエッチングすることで隙間41を形成する。
次いで、図19に示す工程では、図18に示すホトレジスト膜75を除去する。その後、先に説明した図11〜図15に示す工程の処理を行うことで、第1の実施の形態の第2変形例に係る半導体装置70が製造される。
【0064】
(第2の実施の形態)
図20は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の主要部を示す断面図であり、図21は、図20に示す半導体装置のB−B線方向の断面図である。図22は、図20に示す半導体装置のC−C線方向の断面図であり、図23は、図20に示す半導体装置のD−D線方向の断面図である。
図20〜図23において、第1の実施の形態の半導体装置10と同一構成部分には同一符号を付す。また、図20及び図23では、1つの縦型トランジスタ87のみを図示しているが、実際には、半導体基板11には、複数の縦型トランジスタ87が形成されている。
また、図20〜図23において、Z−Z方向は凹部103の深さ方向を示しており、X−X方向はZ−Z方向と直交する方向であり、Y−Y方向は同一平面内においてX−X方向と直交する方向をそれぞれ示している。
【0065】
図20〜図23を参照するに、第2の実施の形態の半導体装置80は、半導体基板11と、キャパシタ25と、ビット線26と、プレート電極27と、複数のピラー状の凸部であるピラー82,83と、第1の絶縁膜84と、第2の絶縁膜85と、縦型トランジスタ87と、第3の絶縁膜88(絶縁膜)と、層間絶縁膜92と、第1のコンタクトプラグ93と、第2のコンタクトプラグ94と、第3のコンタクトプラグ95とを有する。
半導体基板11には、半導体基板11の表面11a(主面)を部分的にエッチングすることで形成される凹部103が形成されている。凹部103は、縦壁面を含む内面によって区画されている。半導体基板11の表面11aを基準としたときの凹部103の深さDは、例えば、120nmとすることができる。
【0066】
ピラー82,83は、半導体基板11に凹部103を加工することで形成されるピラー状の凸部である。ピラー82,83は、凹部103の縦壁面に対応する外周側面82b,83b(ピラー82,83の側壁面)を有する。
図20及び図22では、それぞれ1つのピラー82,83のみ図示したが、実際には、ピラー82,83は、所定の狭い間隔で複数配置されている。
具体的には、半導体装置80が6Fセル構造を有したDRAMの場合、6Fセル構造となるように複数のピラー82,83を配置する。
【0067】
第1の絶縁膜84は、ピラー83の端面83a、及び第1の不純物拡散層34の表面に設けられている。第1の絶縁膜84としては、例えば、厚さ10nmのシリコン酸化膜(SiO膜)を用いることができる。
第2の絶縁膜85は、第1の絶縁膜84上に設けられている。第2の絶縁膜85は、平坦な表面85aを有する。第2の絶縁膜85は、ピラー82,83を形成する際のマスクとなる膜である。第2の絶縁膜85としては、例えば、厚さが100nmのシリコン窒化膜(SiN膜)を用いることができる。
【0068】
縦型トランジスタ87は、縦型MOSトランジスタであり、ピラー83と、第1の不純物拡散層34と、第2の不純物拡散層35と、チャネル領域97と、ゲート絶縁膜98と、ゲート電極99と、隙間101,102とを有する。
なお、縦型トランジスタ87の構成要素のうち、第1の実施の形態で説明したトランジスタ15と同じ構成要素については、その材料及び厚さの説明を省略する。
第1の不純物拡散層34は、半導体基板11の表面11a側に位置するピラー83の端部に形成されている。第1の不純物拡散層34の表面34aは、半導体基板11の表面11aに対して面一とされている。第1の不純物拡散層34は、第1のコンタクトプラグ93を介して、キャパシタ25の下部電極51と電気的に接続されている。半導体基板11の表面11aを基準としたときの第1の不純物拡散層34の深さD10は、例えば、40nmにすることができる。
第2の不純物拡散層35は、凹部103の底面103aに対応する部分の半導体基板11に形成されている。第2の不純物拡散層35は、第2のコンタクトプラグ94を介して、ビット線26と電気的に接続されている。
【0069】
チャネル領域97は、縦型トランジスタ87がONしたときに半導体基板11に形成される領域である。チャネル領域97は、第1の不純物拡散層34と第2の不純物拡散層35との間に位置するピラー82に形成される。
ゲート絶縁膜98は、第1の不純物拡散層34の側面34b、凹部103の底面103a、及びピラー82,83の外周側面82b,83bを覆うように設けられている。
ゲート絶縁膜98は、第1の不純物拡散層34の側面34b及びピラー82,83の外周側面82b,83bに形成されたゲート絶縁膜98と比較して、凹部103の底面103aに形成されたゲート絶縁膜98の厚さが厚くなるように構成されている。ゲート絶縁膜98としては、例えば、シリコン酸化膜(SiO膜)を用いることができる。
【0070】
ゲート電極99は、複数のピラー82,83に対して共通の電極であり、凹部103に埋め込まれている。ゲート電極99は、第1の導電膜45及び第2の導電膜46により構成されている。
第1の導電膜45は、第1の不純物拡散層34と半導体基板11とが接合される第1の接合位置43よりも下方に位置するピラー82,83の外周側面82b,83b、及び凹部103の底面103aを連続的して覆うように設けられている。
これにより、第1の導電膜45の上端面45b,45cは、第1の接合位置43よりも凹部103の底面103a側に配置される。また、第1の導電膜45の上端面45cは、上端面45bに対して面一とされている。
第1の不純物拡散層34の深さD10が40nmの場合、半導体基板11の表面11aから第1の導電膜45の上端面45bまでの深さD11は、例えば、50nmとすることができる。この場合、半導体基板11の表面11aから第1の導電膜45の上端面45cまでの深さD12は、例えば、50nmとすることができる。
【0071】
第1の導電膜45は、所定の仕事関数を有し、しきい値電圧の制御が容易な膜を用いるとよい。第1の導電膜45としては、ドーパント不純物(P型或いはN型)を含んだ多結晶シリコン膜、窒化チタン膜、窒化タンタル膜、窒化モリブデン膜、コバルトシリサイド膜、ニッケルシリサイド膜よりなる群のうち、少なくともいずれか1つの膜、或いは上記膜のうち、2つ以上の膜を積層させた積層膜を用いるとよい。具体的には、第1の導電膜45としては、例えば、厚さが5nmのN型多結晶シリコン膜を用いることができる。
【0072】
第2の導電膜46は、第1の導電膜45の表面45aに形成されており、第1の導電膜45よりも厚さが厚く、抵抗値の低い膜である。第2の導電膜46の上端部は、第1の不純物拡散層34に対してゲート電極39がオフセット構造とならないように、第1の不純物拡散層34の一部と対向している。第2の導電膜46の上端面46aは、第1の導電膜45の上端面45b,45cから上方に突出しており、第1の不純物拡散層34の表面34aと第1の接合位置43との間に配置されている。
【0073】
第2の導電膜46は、コバルトシリサイド膜、ニッケルシリサイド膜、タングステン膜、モリブデン膜、コバルト膜、ニッケル膜、銅膜、アルミニウム膜よりなる群のうち、いずれか1つの膜により構成することができる。第2の導電膜46としてタングステン膜を用いた場合、第2の導電膜46は、例えば、平面上に形成される第2の導電膜46の厚さが30nmとなるように形成する。半導体基板11の表面11aを基準としたときの第2の導電膜46の上端面46aまでの深さD13は、例えば、30nmとすることができる。
【0074】
隙間101は、第1の導電膜45の上端面45b、第2の導電膜46、及びゲート絶縁膜38で囲まれた幅の狭いリング状の溝である。隙間101は、第1の不純物拡散層34を囲むように配置されている。
隙間102は、第1の導電膜45の上端面45c、第2の導電膜46、及びゲート絶縁膜38で囲まれた幅の狭いリング状の溝である。隙間101は、ピラー83を囲むように配置されている。隙間102の幅は、隙間101の幅Wと等しい。また、図20〜図23に示す構造の場合、隙間101の幅Wの値は、第1の導電膜45の厚さの値と等しい。第1の導電膜45の厚さが5nmの場合、隙間101の幅Wは、例えば、5nmとすることができる。
【0075】
また、第1の導電膜45としてN型多結晶シリコン膜(例えば、厚さ5nm)を用いると共に、第2の導電膜46としてタングステン膜を用いた場合には、第1の導電膜45と第2の導電膜46との反応を防止するために、第1の導電膜45と第2の導電膜46との間に、先に説明した図3に示す第3の導電膜57を設けるとよい。
この場合、第3の導電膜57としては、例えば、厚さが2nmの窒化チタン膜を用いることができる。この場合、隙間101の幅Wの値は、第1の導電膜45の厚さと第3の導電膜57の厚さとの合計の値と等しく、例えば、7nmとすることができる。
なお、第3の導電膜57は、先に説明したように、窒化チタン膜、窒化タンタル膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜よりなる群のうち、いずれか1つの膜により構成することができる。
【0076】
第3の絶縁膜88は、隙間101,102、及びゲート電極99が形成された凹部103を埋め込むと共に、第2の絶縁膜85の側面85bを覆うように配置されている。第3の絶縁膜88の表面88aは、平坦な面とされており、第2の絶縁膜85の表面85aに対して面一とされている。隙間101に設けられた第3の絶縁膜88の厚さTは、隙間101の幅Wの値と等しく、例えば、7nmとすることができる。
【0077】
このように、第1の不純物拡散層34とピラー82(半導体基板11)とが接合される第1の接合位置43と第1の不純物拡散層34の表面34aとの間に、第2の導電膜46の上端面46aを配置すると共に、第1の不純物拡散層34側に位置する第1の導電膜45の上端面45bを第1の接合位置43よりも凹部103の底面103a側に配置し、キャパシタ25の下部電極51と電気的に接続された第1の不純物拡散層34を囲む隙間101を第3の絶縁膜88で埋め込むことにより、隙間101に埋め込まれた第3の絶縁膜88がゲート絶縁膜の一部として機能するため、GIDLの発生する領域の実効的なゲート絶縁膜の厚さを厚くすることが可能となる。
これにより、ゲート電界の影響を受けにくくなるため、第1の不純物拡散層34と半導体基板11との間に形成される空乏層中におけるGIDLを減少させることができる。
よって、第2の実施の形態の半導体装置80としてDRAMを用いた場合、ゲート電界の影響を受けたGILDに起因する情報保持特性の低下を抑制することができる。
【0078】
また、ゲート電極99が形成された凹部103を第3の絶縁膜88で埋め込むことにより、第2の導電膜46が第3の絶縁膜88で覆われるため、第2の導電膜46に含まれる半導体基板11に悪影響を及ぼす重金属原子(例えば、タングステン原子)がゲート絶縁膜98に到達することを抑制できる。
第3の絶縁膜88は、第1の不純物拡散層34の表面34a、及びゲート絶縁膜98の上端面を露出する開口部105を有する。第3の絶縁膜88としては、例えば、厚さが200nmのシリコン酸化膜(SiO膜)を用いることができる。
層間絶縁膜92は、開口部105の一部を埋め込むように、第2及び第3の絶縁膜85,88の表面85a,88aに設けられている。層間絶縁膜92は、第1の不純物拡散層34の表面34aを露出する開口部106を有する。層間絶縁膜92としては、例えば、シリコン酸化膜(SiO膜)を用いることができる。
【0079】
第1のコンタクトプラグ93は、層間絶縁膜92に形成された開口部106に設けられている。第1のコンタクトプラグ93の下端は、第1の不純物拡散層34と接触している。第1のコンタクトプラグ93の上端は、キャパシタ25の下部電極51と電気的に接続されている。これにより、第1のコンタクトプラグ93は、キャパシタ25と第1の不純物拡散層34とを電気的に接続している。
第2のコンタクトプラグ94は、第3の絶縁膜88及び層間絶縁膜92を貫通する開口部107内に設けられている。第2のコンタクトプラグ94の下端は、第2の不純物拡散層35と接触している。第2のコンタクトプラグ94の上端は、ビット線26と電気的に接続されている。これにより、第2のコンタクトプラグ94は、ビット線26と第2の不純物拡散層35とを電気的に接続している。
第3のコンタクトプラグ95は、ゲート電極99上に位置する第3の絶縁膜88及び層間絶縁膜92を貫通する開口部108内に設けられている。第3のコンタクトプラグ95の下端は、ゲート電極99を構成する第1及び第2の導電膜45,46と接続されている。
【0080】
第2の実施の形態の半導体装置によれば、キャパシタ25の下部電極51と電気的に接続された第1の不純物拡散層34を囲む隙間101を第3の絶縁膜88で埋め込むことにより、隙間101に埋め込まれた第3の絶縁膜88がゲート絶縁膜の一部として機能するため、GIDLの発生する領域の実効的なゲート絶縁膜の厚さを厚くすることが可能となる。
これにより、ゲート電界の影響を受けにくくなるため、第1の不純物拡散層34と半導体基板11との間に形成される空乏層中におけるGIDLを減少させることができる。
よって、第2の実施の形態の半導体装置80としてDRAMを用いた場合、ゲート電界の影響を受けたGILDに起因する情報保持特性の低下を抑制することができる。
【0081】
図24〜図34は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。図24〜図34は、図21に示す半導体装置80の切断面に対応する断面図である。図24〜図34において、半導体装置80と同一構成部分には同一符号を付す。また、図24〜図34に示す構造体の切断面では、図22及び図23に示すピラー83及び第2の絶縁膜85と、図23に示す第3のコンタクトプラグ95及び開口部108とを図示することが困難なため、図24〜図34ではこれらの図示を省略する。
【0082】
図24〜図34を参照して、第2の実施の形態の半導体装置80の製造方法について説明する。
始めに、図24に示す工程では、半導体基板11として、例えば、P型不純物であるボロンの濃度が1.0×1017atoms/cmのP型シリコン基板を準備する。次いで、半導体基板11の表面11aに、第1の絶縁膜84(例えば、厚さ10nmのシリコン酸化膜(SiO膜))と、第2の絶縁膜85(例えば、厚さ100nmのシリコン窒化膜(SiN膜))とを順次積層する。
【0083】
次いで、第2の絶縁膜85の表面85aに、パターニングされたホトレジスト(図示せず)を形成し、該ホトレジストをマスクとして、第1及び第2の絶縁膜84,85をエッチングすることで、図24に示すパターニングされた第1及び第2の絶縁膜84,85を形成する。その後、ホトレジスト(図示せず)を除去する。
パターニングされた第2の絶縁膜85の直径Rは、例えば、50nmとすることができる。第2の絶縁膜85の直径Rは、縦型トランジスタ87の所望の特性に応じて適宜選択すればよく、上記数値に限定されない。
なお、図24に示す工程では、周知の手法により、図示していない素子分離領域を形成する。
【0084】
次いで、図25に示す工程では、第2の絶縁膜85をマスクとする異方性エッチング(例えば、ドライエッチング)により、半導体基板11をエッチングすることで、凹部103に囲まれた複数のピラー82,83を形成する。
このとき、素子分離領域(図示せず)上に、パターニングされた第1及び第2の絶縁膜84,85を形成し、これをマスクとするエッチングにより、素子分離領域(図示せず)を構成する絶縁膜(例えば、シリコン酸化膜(SiO膜))をパターニングすることで、絶縁膜よりなるピラー(図示せず)を形成してもよい。
半導体基板11の表面11aを基準としたときの凹部103の深さDは、例えば、120nmとすることができる。ピラー82,83の直径は、第2の絶縁膜85の直径Rと等しい。第2の絶縁膜85の直径Rが50nmの場合、ピラー82,83の直径は、50nmとすることができる。
【0085】
次いで、図26に示す工程では、複数のピラー82の外周側面82b、複数のピラー83の外周側面83b(図示せず)、及び凹部103の底面103aを覆うように、図示していない厚さ5nmのシリコン酸化膜(SiO膜)を形成し、次いで、該シリコン酸化膜を介して、砒素を20KeVのエネルギーにより1.0×1015atmos/cmの濃度で半導体基板11にイオン注入し、その後、半導体基板11を900℃の温度で10秒加熱することで、凹部103の底面103aに第2の不純物拡散層35を形成する。
次いで、第2の不純物拡散層35上に、HDP(High Density Plasma)法により、厚さ20nmのシリコン酸化膜(SiO膜)を形成する。
【0086】
次いで、図示していない厚さ5nmのシリコン酸化膜(SiO膜)を除去し、次いで、複数のピラー82,83の外周側面82b,83bに厚さ5nmの熱酸化膜(SiO膜)を形成する。これにより、厚さ5nmの熱酸化膜(SiO膜)、及び厚さ20nmの酸化シリコン膜よりなり、凹部103の底面103cに形成されるSiO膜の厚さが厚いゲート絶縁膜98が形成される。
このように、凹部103の底面103cのゲート絶縁膜98の厚さを厚くすることで、後述する図29に示す工程において、第2の導電膜46をエッチングしたときに、ゲート絶縁膜98の下方に配置された第2の不純物拡散層35がエッチングされることを防止できる。
なお、ゲート絶縁膜98の厚さを厚くしたい場合には、厚さ5nmの熱酸化膜(SiO膜)を形成後に、例えば、CVD法によりシリコン酸化膜(SiO膜)を堆積させてもよい。
【0087】
次いで、図27に示す工程では、ゲート絶縁膜98の表面98a及び第2の絶縁膜85を覆うように第1の導電膜45を成膜する。図27に示す第1の導電膜45は、エッチングされる前の第1の導電膜45であり、エッチングされることで、図21に示す第1の導電膜45となる。第1の導電膜45は、例えば、CVD法により形成することができる。
第1の導電膜45としては、バリア膜としての機能を有し、しきい値電圧の制御が容易な膜で、かつ薄膜形成が可能で、エッチングしやすい膜を用いるとよい。
具体的には、第1の導電膜45としては、ドーパント不純物を含んだ多結晶シリコン膜、窒化チタン膜、窒化タンタル膜、窒化モリブデン膜、コバルトシリサイド膜、ニッケルシリサイド膜よりなる群のうち、少なくとも1つの膜、或いは、これらの膜のうち、少なくとも2つの膜を積層させた積層膜を用いるとよい。
【0088】
次いで、第1の導電膜45の表面45aを覆う第2の導電膜46を成膜する。このとき、第2の導電膜46は、第1の導電膜45よりも厚さが厚くなるように成膜する。第2の導電膜46は、例えば、CVD法により形成することができる。また、図27に示す第2の導電膜46は、エッチングされる前の第2の導電膜46であり、エッチングされることで、図21に示す第2の導電膜46となる。第2の導電膜46は、第1の導電膜45よりも抵抗値が低く、ゲート電極99の抵抗を低くするための膜である。
第2の導電膜46としては、コバルトシリサイド膜、ニッケルシリサイド膜、タングステン膜、モリブデン膜、コバルト膜、ニッケル膜、銅膜、アルミニウム膜よりなる群のうち、いずれか1つの膜を用いることができる。
【0089】
なお、第1の導電膜45と第2の導電膜46との反応を防止したい場合、第1の導電膜を成膜する工程と第2の導電膜を成膜する工程との間に、第1の導電膜45の表面45aに図3に示す第3の導電膜57を成膜する工程を設けてもよい。
例えば、第1の導電膜45として仕事関数が4.05eVのN型多結晶シリコン膜(例えば、砒素が2.0×1020atmos/cmドープされ、厚さが5nmのN型多結晶シリコン膜)を成膜すると共に、第2の導電膜46としてタングステン膜(例えば、厚さが20nm)を成膜する場合、第3の導電膜57(図示せず)として窒化チタン膜(例えば、厚さ2nm)を成膜する。
なお、N型多結晶シリコン膜の替わりに、第1の導電膜45としてP型多結晶シリコン膜を用いてもよい。
【0090】
次いで、図28に示す工程では、異方性エッチング(例えば、ドライエッチング)により、第1及び第2の導電膜45,46をエッチバックする。このとき、第2の導電膜46の上端面46a(エッチングされた面)が、半導体基板11の表面11aと第1の接合位置43との間に位置するようにエッチバックを行う。これにより、図21に示す第2の導電膜46が形成される。
また、上記エッチバックにより、第2の導電膜46の上端面46aには図示していない凹凸が形成される。第1の不純物拡散層34の深さD10が40nmの場合、半導体基板11の表面11aから第2の導電膜46の上端面46aまでの深さD13は、例えば、30nmとすることができる。
【0091】
次いで、図29に示す工程では、第1の導電膜45の上端部を選択的にエッチングする。このとき、第1の導電膜45の上端面45b、及び第1の導電膜45の上端面45c(図示せず)の位置が、第1の接合位置43よりも凹部103の底面103a側に位置するように、第1の導電膜45のエッチングを行う。
第1の導電膜34のエッチングとしては、等方性エッチング、或いは異方性エッチングを用いることができる。等方性エッチングとしては、例えば、ウエットエッチング、或いはドライエッチングを用いることができる。また、異方性エッチングとしては、例えば、ドライエッチングを用いることができる。
これにより、第1の導電膜45の上端面45b上には、第1の導電膜45の上端面45b、第2の導電膜46、及びゲート絶縁膜98で囲まれた隙間101が形成され、第1の導電膜45の上端面45c上には、第1の導電膜45の上端面45c、第2の導電膜46、及びゲート絶縁膜98で囲まれた隙間102が形成される。隙間101,102は、リング状の幅の狭い溝である。
【0092】
半導体基板11の表面11aを基準としたときの第1の導電膜45の上端面45cの深さは、半導体基板11の表面11aを基準としたときの第1の導電膜45の上端面45bの深さD12と等しい。
第1の不純物拡散層34の深さD10が40nmの場合、第1の導電膜45の上端面45bの深さD12は、例えば、50nmとすることができる。
なお、第1の導電膜45として厚さ5nmのN型多結晶シリコン膜を形成すると共に、第2の導電膜46としてタングステン膜を形成し、第1の導電膜45と第2の導電膜46の間に図3に示す第3の導電膜57として厚さが2nmの窒化チタン膜を形成した場合、隙間101の幅Wの値は、第1の導電膜45の厚さと第3の導電膜57の厚さとの合計の値と等しく、例えば、7nmとすることができる。また、図示していない隙間102の幅は、隙間101の幅Wと等しい。
なお、第3の導電膜57は、窒化チタン膜、窒化タンタル膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜よりなる群のうち、いずれか1つの膜により構成することができる。
【0093】
次いで、図30に示す工程では、隙間101,102、及びゲート電極99が形成された凹部103を埋め込むように、図29に示す構造体の上面側に第3の絶縁膜88を成膜する。その後、CMP法により、第3の絶縁膜88のうち、第2の絶縁膜85の表面85aから突出した部分を研磨することにより、図21に示す平坦な表面88aを有した第3の絶縁膜88を形成する。第3の絶縁膜88の表面88aは、第2の絶縁膜85の表面85aに対して面一とされている。隙間101に形成される第3の絶縁膜88の厚さTは、隙間101の幅Wと等しく、例えば、7nmとすることができる。
【0094】
このように、キャパシタ25の下部電極51と電気的に接続される第1の不純物拡散層34を囲む隙間101を第3の絶縁膜88で埋め込むことにより、隙間101に埋め込まれた第3の絶縁膜88がゲート絶縁膜の一部をとして機能するため、第1の不純物拡散層34と半導体基板11との間に形成される空乏層中におけるGIDLを減少させることが可能となる。
これにより、第2の実施の形態の半導体装置80としてDRAMを用いた場合、ゲート電界の影響を受けたGILDに起因する情報保持特性の低下を抑制することができる。
【0095】
次いで、図31に示す工程では、図30に示す第2の絶縁膜85を除去することで、第1の絶縁膜84を露出する開口部85を形成する。次いで、第1の絶縁膜84を介して、図30に示すピラー82の端面82a(半導体基板11の表面11a)に、砒素をイオン注入(例えば、エネルギーが20Kev、注入量が1.0×1015atmos/cm)し、その後、注入損傷回復のために、半導体基板11を900℃の温度で10秒加熱することで、ピラー82に第2の導電膜46の上端と対向する第1の不純物拡散層34を形成する。
このとき、第1の不純物拡散層34と半導体基板11とが接合される第1の接合位置43が、第1の導電部45の上端面45bと第2の導電膜46の上端面46aとの間に配置されるように第1の不純物拡散層34を形成する。
半導体基板11の表面11aを基準としたときの第1の不純物拡散層34の深さD10は、例えば、40nmとすることができる。これにより、縦型トランジスタ87が形成される。
なお、図31では、1つの縦型トランジスタ87のみ図示したが、実際には、半導体基板11に複数の縦型トランジスタ87が形成される。
また、図31に示す工程において、上記砒素をイオン注入後に、砒素がイオン注入された半導体基板11の表面11aに、適量のボロンをイオン注入することで、縦型トランジスタ87のしきい値電圧を調整してもよい。
【0096】
次いで、図32に示す工程では、開口部105を埋め込むように、第3の絶縁膜88の表面88aに層間絶縁膜92を形成する。層間絶縁膜92は、例えば、CVD法により形成することができる。層間絶縁膜92としては、例えば、厚さが100nmとされたシリコン酸化膜(SiO膜)を用いることができる。
次いで、層間絶縁膜92の表面92aに、パターニングされたホトレジスト(図示せず)を形成し、次いで、該ホトレジストをマスクとして開口部105に配置された第1及び第4の絶縁膜84,92をエッチングすることで、第1の不純物拡散層34を露出する開口部106を形成する。その後、ホトレジストを除去する。
【0097】
次いで、開口部106を形成した方法と同様な手法により、第3の絶縁膜88及び層間絶縁膜92をエッチングすることで、第2の不純物拡散層35を露出する開口部107を形成する。次いで、開口部106を形成した方法と同様な手法により、第3の絶縁膜88及び層間絶縁膜92をエッチングすることで、ゲート電極99を露出する開口部108(図示せず)を形成する。
次いで、図33に示す工程では、開口部106〜108を導電膜で埋め込むことで、第1乃至第3のコンタクトプラグ93〜95を形成する。
【0098】
次いで、図34に示す工程では、周知の手法により、層間絶縁膜(図示せず)、配線(図示せず)、コンタクトプラグ(図示せず)、キャパシタ25、ビット線26、及びプレート電極27等を形成する。このとき、キャパシタ25は、第1のコンタクトプラグ93及びプレート電極27と電気的に接続されるように形成する。また、ビット線26は、第2のコンタクトプラグ94と電気的に接続されるように形成する。これにより、第2の実施の形態の半導体装置80が製造される。
【0099】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
なお、第1及び第2の実施の形態では、半導体装置の一例としてDRAMを例に挙げたが、本発明は、埋め込み型ゲート電極、或いは、縦型トランジスタを備えたDRAM以外の半導体装置にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、半導体装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0101】
10,55,70,80…半導体装置、11…半導体基板、11a,12a,16a,38a,45a,61a,85a,88a,92a,98a…表面、12,84…第1の絶縁膜、13…素子分離領域、15…トランジスタ、16,85…第2の絶縁膜、17,92…層間絶縁膜、21,93…第1のコンタクトプラグ、22,94…第2のコンタクトプラグ、23,95…第3のコンタクトプラグ、25…キャパシタ、26…ビット線、27…プレート電極、31…第1の溝、32…第2の溝、32a,32b,34b,35b,38a,38b,85b…側面、32c,103a…底面、32d…コーナー部、34…第1の不純物拡散層、35…第2の不純物拡散層、37,97…チャネル領域、38,98…ゲート絶縁膜、39,56,71,99…ゲート電極、41,42,101,102…隙間、43…第1の接合位置、44…第2の接合位置、45…第1の導電膜、45b,45c,46a…上端面、46…第2の導電膜、51…下部電極、52…上部電極、57…第3の導電膜、57a,57b,83a…端面、61…第3の絶縁膜、62…貫通溝、65,66,76,105〜108…開口部、75…ホトレジスト膜、82,83…ピラー、82b,83b…外周側面、87…縦型トランジスタ、88…第3の絶縁膜、103…凹部、103a…底面、D,D,D,D,D,D,D,D,D,D10,D11,D12,D13…深さ、R…直径、T,T…厚さ、W,W,W,W…幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の主面が部分的にエッチングされて形成され、縦壁面を含む内面によって区画された凹部と、
前記凹部の前記内面のうち少なくとも前記縦壁面を覆うゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜を介して、前記縦壁面に形成され、その上端面が前記半導体基板の主面より低い位置にあってゲート電極となる第1の導電膜と、
前記第1の導電膜に形成され、その上端面が前記第1の導電膜の上端面より高く、かつ前記半導体基板の主面より低い位置にあって前記ゲート電極となる第2の導電膜と、
前記第1の導電膜の上端面、及び前記第1の導電膜の上端面から突出した前記第2の導電膜を覆うように、前記凹部内に設けられた絶縁膜と、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記凹部は、溝であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記凹部によって形成されたピラー状の凸部を有し、
前記ピラーの側壁面が前記縦壁面に対応することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記溝は、前記縦壁面と、該縦壁面と対向する他の縦壁面と、を有しており、
前記他の縦壁面側に配置された前記第1の導電膜の他の上端面を、前記第2の導電膜の端面に対して面一にしたことを特徴とする請求項1又は2記載の半導体装置。
【請求項5】
前記凹部の周囲に形成され、前記半導体基板の主面から前記第2の導電膜の上端面より深く、かつ前記第1の導電膜の上端面よりも浅い不純物拡散層を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のうち、いずれか1項記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1の導電膜は、しきい値電圧を担う膜であることを特徴とする請求項1乃至5のうち、いずれか1項記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1の導電膜は、ドーパント不純物を含んだ多結晶シリコン膜、窒化チタン膜、窒化タンタル膜、窒化モリブデン膜、コバルトシリサイド膜、ニッケルシリサイド膜よりなる群のうち、少なくともいずれか1つの膜により構成されることを特徴とする請求項1乃至6のうち、いずれか1項記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2の導電膜は、結晶粒界を有する膜であり、かつ前記第1の導電膜よりも抵抗値の低い膜であることを特徴とする請求項1乃至7のうち、いずれか1項記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2の導電膜は、コバルトシリサイド膜、ニッケルシリサイド膜、タングステン膜、モリブデン膜、コバルト膜、ニッケル膜、銅膜、アルミニウム膜よりなる群のうち、いずれか1つの膜により構成されることを特徴とする請求項1乃至8のうち、いずれか1項記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1の導電膜は、前記第2の導電膜とは異なる種類の導電膜であり、
前記第1の導電膜と前記第2の導電膜との間に、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜との反応を防止する第3の導電膜を設けたことを特徴とする請求項1乃至9のうち、いずれか1項記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第3の導電膜は、窒化チタン膜、窒化タンタル膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜よりなる群のうち、いずれか1つの膜により構成されることを特徴とする請求項10項記載の半導体装置。
【請求項12】
前記ピラー状の凸部を複数備え、
前記ゲート電極を、前記ゲート絶縁膜を介して、複数の前記ピラー状の凸部の外周側面と、前記凹部の底面のうち、複数の前記ピラー状の凸部間に位置する部分とを連続的に覆うように配置したことを特徴とする請求項3乃至11のうち、いずれか1項記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2011−233582(P2011−233582A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100084(P2010−100084)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】