説明

支持されたゲート電極を備えるトランジスタの作製方法およびそれに関連するデバイス

【課題】貫通する開口を備える保護層を基板上に形成し、さらにこの開口の中にゲート電極を形成することによって、トランジスタを作製する。
【解決手段】ゲート電極の第1の部分は、開口の外側に存在する保護層の表面部分で横方向に延在し、ゲート電極の第2の部分は、保護層から間隔を空けて配置され、第1の部分を越えて横方向に延在する。関連したデバイスおよび作製方法も述べられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスに関し、より詳細には、トランジスタおよびそれに関連するデバイスを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン(Si)およびガリウム砒素(GaAs)等の材料は、比較的低電力用途の半導体デバイスに、また、Siの場合には比較的低周波用途の半導体デバイスに広く応用されている。しかし、これらの比較的一般的な半導体材料は、例えば比較的小さなバンドギャップ(例えば、室温で、Siの場合に1.12eV、GaAsの場合に1.42eV)および/または比較的小さな破壊電圧のために、大電力用途および/または高周波用途に十分に適していない可能性がある。
【0003】
SiおよびGaAsで生じた問題を考慮して、大電力、高温および/または高周波用途およびデバイスに対する関心は、炭化珪素(アルファSiCの場合、室温で2.996eV)およびIII族窒化物(例えば、GaNの場合、室温で3.36eV)のようなワイドバンドギャップの半導体材料に向いている。これらの材料は一般に、ガリウム砒素および/またはシリコンに比べて高い電界破壊強度および高い電子飽和速度を有している可能性がある。
【0004】
大電力および/または高周波用途において特に関心のあるデバイスは、高電子移動度トランジスタ(HEMT)であり、これは変調ドープ型電界効果トランジスタ(MODFET)としても知られている。HEMTデバイスでは、異なるバンドギャップエネルギーを有する2つの半導体材料のヘテロ接合に2次元電子ガス(2DEG)に形成することができる。より小さいバンドギャップの材料は、より広いバンドギャップの材料よりも高い電子親和力を有する可能性がある。2DEGは、アンドープの(「非意図的にドープされた」)より小さなバンドギャップ材料内の蓄積層であり、例えば1013キャリア/cmを超える比較的高いシート電子濃度を含むことができる。さらに、より広いバンドギャップの半導体で生じた電子が2DEGに移動して、イオン化不純物散乱の減少のために比較的高い電子移動度を可能にすることができる。比較的高いキャリア濃度と比較的高いキャリア移動度のこの組合せは、HEMTに比較的大きなトランスコンダクタンスを与えることができ、金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)に優る性能上の利点を高周波用途にもたらすことができる。
【0005】
窒化ガリウム/窒化アルミニウムガリウム(GaN/AlGaN)材料系で作製された高電子移動度トランジスタは、比較的高い破壊電界、比較的広いバンドギャップ、比較的大きな伝導帯オフセット、および/または比較的高い飽和電子ドリフト速度等の材料特性の組合せのために、大量のRF電力を生成することができる。2DEG中の電子の大部分は、AlGaNの分極に帰することができる。
【0006】
GaN/AlGaN系のHEMTは、すでに実証されている。例えば、特許文献1および2には、AlGaN/GaNのHEMT構造および製造方法が記載されている。さらに特許文献3には、半絶縁性炭化珪素基板、この基板上の窒化アルミニウム緩衝層、この緩衝層上の絶縁性窒化ガリウム層、この窒化ガリウム層上の窒化アルミニウムガリウム障壁層、およびこの窒化アルミニウムガリウム活性構造上のパシベーション層を備えるHEMTデバイスが記載されている、特許文献3は、参照して本明細書に組み込まれる。さらに、参照して本明細書に組み込まれる特許文献4には、保護層を備えるHEMTデバイス、および/または、デバイスのオーミックコンタクトのアニール中に生じうるトランジスタのゲート領域の半導体に対する損傷を減少させることができる低損傷リセス(recess)作製技術を記載している。
【0007】
HEMTデバイスの作製における1つのステップは、ゲート電極の形成である。従来のゲート電極形成方法は、誘電体を堆積するステップと、マスクおよび/またはその他の犠牲層を使用して誘電体を貫通してエッチングするステップと、この誘電体のエッチングされた部分の中に(「Tゲート」と呼ばれる)T型ゲート電極を堆積するステップを含むことがある。しかし、そのような従来の方法では、誘電体エッチングの等方性のために、誘電体の縁とゲート電極との間に隙間が形成されることがある。このことは、デバイス動作にとって有害であることがある。というのは、この隙間によって露出する不動態化されていない半導体表面は、デバイス内で電流崩壊(current collapse)および/またはドリフトを引き起こすことがあるからである。さらに、ゲート形成後にこの隙間にパシベーション層を形成することができるが、そのようなゲート後(post−gate)パシベーション層のパシベーション特性は、初期のゲート前(pre−gate)誘電体のパシベーション特性よりも劣っていることがある。これは、ゲート前誘電体を比較的高温で形成できることに起因する可能性があり、この高温形成は、いったんゲートメタライゼーションが堆積されてしまうと実施可能でなくなる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5192987号明細書
【特許文献2】米国特許第5296395号明細書
【特許文献3】米国特許第6316793号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第US2005/0170574号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2002/0066908A1号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2002/0167023A1号明細書
【特許文献7】米国特許出願第10/617,843号明細書
【特許文献8】米国特許第Re.34,861号明細書
【特許文献9】米国特許第4,946,547号明細書
【特許文献10】米国特許第5,200,022号明細書
【特許文献11】米国特許第6,218,680号明細書
【特許文献12】米国特許第5,210,051号明細書
【特許文献13】米国特許第5,393,993号明細書
【特許文献14】米国特許第5,523,589号明細書
【特許文献15】米国特許第5,292,501号明細書
【特許文献16】米国特許公開第2003/0102482A1号明細書
【特許文献17】米国仮特許出願第60/337,687号明細書
【特許文献18】米国特許出願第11/286,805号明細書
【特許文献19】米国特許第6,498,111号明細書
【特許文献20】米国特許出願第11/302,062号明細書
【特許文献21】米国特許出願第11/434,853号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Yu et al., “Schottky barrier engineering in III−V nitrides via the piezoelectric effect,” Applied Physics Letters, Vol. 73, No. 13, 1998
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、そのような隙間の形成を防ぐために、ゲート電極形成の他の方法が開発されてきた。例えば、誘電体のエッチングされた部分にゲート電極を形成するよりも前に、誘電体から、マスクおよび/またはその他の犠牲層を除去することができる。したがって、ゲート電極は誘電体のエッチングされた部分を完全に埋めることができ、誘電体表面の上に直接にゲート電極の「ウィング」またはサイドローブを形成することができる。そのようなゲート電極は、誘電的に支持された(dielectrically−supported)Tゲートまたは「ガンマ」ゲートと呼ばれる。しかし、誘電体の部分がサイドローブと活性チャネルとの間にサンドイッチ状に挟まれることがあるので、ゲート−ドレインキャパシタンス(cdg)および/またはゲート−ソースキャパシタンス(cgs)が増加することがあり、これがデバイス性能に有害な影響を及ぼすことがある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のいくつかの実施形態によると、トランジスタを作製する方法は、基板上に保護層を形成することを含むことができる。保護層は、貫通する開口を備えることができる。ゲート電極は、この開口の中において、例えば保護層の対向する側壁に直接形成してもよい。ゲート電極の第1の部分は、開口の外側に存在する保護層の表面部分に横方向に延在してもよく、ゲート電極の第2の部分は、保護層から間隔を空けて配置してもよく、かつ第1の部分を越えて横方向に延在してもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、ゲート電極が形成される前に、保護層上に第2の層が形成されてもよい。この第2の層は、前記第1の開口よりも広い、貫通する第2の開口を備えることができる。ゲート電極は、ゲート電極の第2の部分が、第2の開口の外側に存在する第2の層の表面部分に横方向に延在するように、第2の開口に形成されてもよい。
【0013】
他の実施形態では、第2の層は、保護層よりも小さな誘電率を有する材料であってもよい。
いくつかの実施形態では、第2の層は、保護層上に形成されてもよく、かつ第2の層を貫通するリセスを含んでもよい。このリセスは、保護層の一部を露出させることができる。第2の層のリセスは、第1の開口を露出させ、かつ第1の開口の相対する側に保護層の表面部分を露出させる第2の開口を画定するように広くされてもよい。
【0014】
他の実施形態では、保護層および第2の層は、異なる材料で形成されてもよい。第2の層のリセスを広げる前に、保護層を貫通する第1の開口を形成するために、保護層は、第2の層をマスクとして使用してパターニングされてもよい。第2の層のリセスは、第2の層のリセスを対称的に拡大することによって広くされてもよい。そのようなものとして、第2の開口と第1の開口は、自己整合される可能性がある。
【0015】
いくつかの実施形態では、第2の層は、フォトレジスト層であってもよい。第2の層のリセスは、酸素プラズマを使用して第2の層をアッシング(aashing)することによって、かつ/または基板をハードベークすること(hard baking)によって、広くされてもよい。他の実施形態では、第2の層は、ポリイミド層であってもよい。
【0016】
他の実施形態では、第2の層は、犠牲層であってもよい。そのようなものとして、第2の層は、ゲート電極を形成した後で除去されてもよい。第2の層を除去した後で、パシベーション層が保護層およびゲート電極上に形成されてもよい。
【0017】
さらに他の実施形態では、チャネル層が基板上に形成されてもよく、さらに、このチャネル層上に障壁層が形成されてもよい。保護層が障壁層上に形成されてもよい。ゲート電極は、保護層の開口を貫通して延在し、障壁層に接触するように形成されてもよい。チャネル層と障壁層の間の接合は、ヘテロ接合を画定してもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、チャネル層は、障壁層よりも小さなバンドギャップを有してもよい。
【0019】
他の実施形態では、第1と第2のオーミックコンタクト領域が、保護層に近接しかつ保護層から離間して障壁層上に形成されてもよい。そのようなものとして、保護層は、第1と第2のオーミックコンタクト領域の間にある可能性がある。障壁層の一部を露出させるように保護層をパターニングして、パターニングされた保護層に近接しかつパターニングされた保護層から離間されたオーミック金属領域を障壁層の露出された部分の上に形成し、さらにオーミック金属領域をアニールすることによって、第1と第2のオーミックコンタクト領域が形成されてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、障壁層は、III族窒化物層で形成されてもよく、チャネル層は、アンドープIII族窒化物層で形成されてもよい。例えば、障壁層は、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)で形成されてもよく、チャネル層は窒化ガリウム(GaN)で形成されてもよい。保護層は、窒化珪素(SiN)、窒化アルミニウム(AlN)、および/または二酸化珪素(SiO)などの誘電体材料であってもよい。
【0021】
本発明のさらなる実施形態によると、トランジスタを作製する方法は、基板上に第1の層を形成することを含むことができる。第1の層は、誘電体材料であってもよい。この第1の層の上に第2の層が形成されてもよい。第2の層は、第1の層の一部を露出させる孔を備えてもよい。第1の層を貫通する第1の開口が、第2の層をマスクとして使用して形成されてもよい。第1の開口を形成した後で、第2の層の孔は、第2の開口を形成するように広くされてもよい。第2の開口は、第1の開口の相対する側の第1の層の表面部分に加えて、第1の開口も露出させることができる。ゲート電極が、第1および第2の開口に形成されてもよい。例えば、ゲート電極は、第1の開口の対向する側壁に直接に形成されてもよい。ゲート電極の第1の部分は、第1の開口の外側に存在する第1の層の表面部分に延在してもよく、ゲート電極の第2の部分は、第2の開口の外側に存在する第2の層の表面部分に延在してもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、ゲート電極の第1の部分は、開口の外側に存在する第1の層の表面部分で横方向に延在してもよい。ゲート電極の第2の部分は、第2の開口の外側に存在する第2の層の表面部分で、ゲート電極の第1の部分を越えて横方向に延在してもよい。
【0023】
他の実施形態では、第1の層および第2の層は、異なる材料で形成されてもよい。例えば、第1の層は、窒化珪素、窒化アルミニウム、および/または二酸化珪素などの誘電体材料で形成されてもよい。第2の層は、第1の層よりも小さな誘電率を有する材料で形成されてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、第2の層の孔は、第2の開口と第1の開口が自己整合されるように第2の層の孔を対称的に拡大することによって広くされてもよい。
【0025】
他の実施形態では、第2の層は、フォトレジスト層であってもよい。第2の層の孔は、酸素プラズマを使用して第2の層をアッシングすることによって、かつ/または基板をハードベークすることによって、広くされてもよい。さらに他の実施形態では、第2の層は、ポリイミド層であってもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1の層は、孔によって露出された第1の層の部分を、低損傷エッチング技術を使用して選択的にエッチングすることによって、第1の開口を形成するようにパターニングされてもよい。
【0027】
他の実施形態では、第2の層の孔は、ウェットエッチングを使用して第2の層を選択的にエッチングすることによって、第2の開口を形成するように広くされてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、チャネル層が基板上に形成されてもよく、さらに障壁層がチャネル層上に形成されてもよい。第1の層は、障壁層上に形成されてもよい。ゲート電極は、第1の層の第1の開口を貫通して延在し、障壁層に接触するように形成されもよい。チャネル層と障壁層との間の接合は、ヘテロ接合を画定してもよい。
【0029】
本発明の他の実施形態によると、トランジスタは、基板と、基板上の保護層と、ゲート電極とを備えることができる。保護層は、貫通する開口を備えてもよく、ゲート電極がこの開口の中にあってもよい。例えば、ゲート電極は、保護層の開口の対向する側壁に直接に接していてもよい。例えば、ゲート電極は、開口の外側に存在する保護層の表面部分で横方向に延在する第1の部分と、保護層から離間され第1の部分を越えて横方向に延在する第2の部分とを備えることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、トランジスタは、保護層上に第2の層を備えることができる。例えば、第2の層は、犠牲層であってもよい。第2の層は、保護層よりも小さな誘電率を有してもよい。第2の層は、第1の開口よりも広い貫通する第2の開口を備えてもよい。ゲート電極は、第2の開口の中にあってもよく、ゲート電極の第2の部分は、第2の開口の外側に存在する第2の層の部分で横方向に延在してもよい。第1および第2の開口は、階段状外形を画定してもよい。
【0031】
他の実施形態では、トランジスタは、保護層およびゲート電極上にパシベーション層を備えることができる。保護層およびパシベーション層は、同じ材料で形成されてもよい。
【0032】
さらに他の実施形態では、トランジスタは、基板上にチャネル層を、さらにチャネル層上に障壁層を備えることができる。保護層は障壁層上にあってもよい。ゲート電極は、障壁層に接触するように保護層の開口を貫通して延在してもよい。チャネル層および障壁層は、高電子移動度トランジスタ(HEMT)を実現するように構成されてもよい。例えば、チャネル層と障壁層は異なる格子定数を有し、そのようなものとして、擬似格子整合HEMTを形成してもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、トランジスタは、第1および第2のオーミックコンタクト領域を障壁層上に備えることができる。第1および第2のオーミックコンタクト領域は、ゲート電極の相対する側に保護層から離間して配置されてもよい。
【0034】
保護層は、オーミックコンタクト領域の厚さと少なくともほぼ同じ厚さを有してもよい。
【0035】
他の実施形態では、障壁層はIII族窒化物層であってもよく、チャネル層はアンドープIII族窒化物層であってもよい。例えば、障壁層は、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)であってもよく、チャネル層は窒化ガリウム(GaN)であってもよい。保護層は誘電体材料であってもよい。例えば、保護層は、窒化珪素、窒化アルミニウム、および/または二酸化珪素であってもよい。他の実施形態では、基板は炭化珪素であってもよい。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態によると、トランジスタを作製する方法は、貫通する第1の開口を備える保護層を形成することを含むことができる。誘電体層が保護層の上に形成されてもよい。この誘電体層は、第1の開口よりも広い貫通する第2の開口を備えてもよい。ゲート電極の第1の部分が、第1の開口の外側に存在する保護層の表面部分で横方向に延在し、かつゲート電極の第2の部分が、第2の開口の外側に存在する誘電体層の部分で第1の部分を越えて横方向に延在するように、ゲート電極は、第1および第2の開口に形成されてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、誘電体層は、保護層よりも小さな誘電率を有してもよい。例えば、誘電体層は、酸化物層であってもよい。より詳細には、誘電体層は、高温酸化物(HTO)層であってもよく、保護層は、高純度窒化物(HPN)層であってもよい。例えば、保護層は化学量論的窒化珪素であってもよく、誘電体層は二酸化珪素であってもよい。
【0038】
他の実施形態では、誘電体層は、高品質酸化物層であってもよい。高品質酸化物層は、約1.5未満の誘電率を有していてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、誘電体層は、保護層の厚さよりも大きな厚さを有してもよい。例えば、誘電体層は、約500オングストローム(Å)から約3000Åの厚さを有してもよく、保護層は約200Åから約2000Åの厚さを有してもよい。誘電体層の厚さ及び/又は誘電率は、デバイスのゲート・ドレイン間キャパシタンス及び/又はゲート・ソース間キャパシタンスを低減するのに十分であってもよい。
【0040】
他の実施形態では、誘電体層の形成は、化学気相成長(CVD)プロセスを使用して保護層上に酸化物層を堆積させることを含んでもよい。酸化物層は、約500℃を超える温度で堆積されてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、貫通する第2の開口を備える誘電体層の形成は、保護層の上に貫通するリセスを含む誘電体層を形成することを含んでもよい。このリセスは、保護層の一部を露出させてもよい。誘電体層内のリセスは、第2の開口を画定するように広くされてもよい。第2の開口は、第1の開口を露出させてもよく、さらに、第1の開口の相対する側に保護層の表面部分を露出させてもよい。
【0042】
他の実施形態では、保護層および誘電体層は、異なる材料で形成されてもよい。したがって、誘電体層のリセスを拡大する前に、保護層を貫通する第1の開口を形成するために、誘電体層をマスクとして使用して保護層がパターニングされてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、誘電体層のリセスは、第2の開口と第1の開口が自己整合されるように、誘電体層のリセスを対称的に拡大することによって広くされてもよい。例えば、緩衝酸化物エッチング液(BOE)などの保護層に対して選択的なウェット酸化物エッチング液を使用して誘電体層をエッチングすることによって、リセスが対称的に拡大されてもよい。
【0044】
他の実施形態では、トランジスタを作製する方法は、チャネル層を形成することと、チャネル層上に障壁層を形成することとを含むことができる。保護層が障壁層の上に形成されてもよい。ゲート電極は、障壁層に接触するように保護層の第1の開口を貫通して形成されてもよい。チャネル層と障壁層の接合は、ヘテロ接合を画定してもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1と第2のオーミックコンタクト領域は、保護層が第1と第2のオーミックコンタクト領域の間にあるように、保護層に近接しかつ保護層から離間して障壁層上に形成されてもよい。より詳細には、誘電体層および保護層は、障壁層の第1および第2の部分を露出させるようにパターニングされてもよい。誘電体層および保護層をパターニングした後で、第1および第2のオーミックコンタクト領域が、パターニングされた保護層に近接しかつこの保護層から離間して障壁層の第1および第2の部分にそれぞれ形成されてもよい。第1および第2のオーミック金属領域をアニールして、第1および第2のオーミックコンタクトを形成してもよい。
【0046】
他の実施形態では、誘電体層を形成する前に、障壁層の第1および第2の部分を露出させるように保護層がパターニングされてもよい。誘電体層は、保護層の上に、および障壁層の第1および第2の部分の上に形成されてもよい。障壁層の第1および第2の部分をそれぞれ露出させる第1および第2のリセスを誘電体層に画定するように、誘電体層がパターニングされてもよい。さらに、誘電体層の第1および第2のリセスは、緩衝酸化物エッチング液(BOE)などのウェット酸化物エッチング液を使用して対称的に拡大されてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、誘電体層は、保護層の第1および第2の部分を露出させるようにパターニングされてもよい。保護層は、障壁層の第1および第2の部分を露出させるために、誘電体層をマスクとして使用してパターニングされてもよい。
【0048】
他の実施形態では、ゲート電極は、第1の開口の中の保護層の対向する側壁に直接形成されてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、第1の開口の中の保護層の対向する側壁に誘電体ライナ(liner)が形成されてもよい。例えば、誘電体ライナは、二酸化珪素ライナまたは窒化物ライナであってもよい。誘電体ライナを形成した後で、ゲート電極が、第1の開口の中の誘電体ライナに直接に形成されてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、障壁層は、III族窒化物層で形成されてもよく、チャネル層は、アンドープIII族窒化物層で形成されてもよい。例えば、障壁層は、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)で形成されてもよく、チャネル層は窒化ガリウム(GaN)で形成されてもよい。保護層は、窒化珪素(SiN)、窒化アルミニウム(AlN)、および/または二酸化珪素(SiO)などの誘電体材料であってもよい。
【0051】
本発明のさらなる実施形態によると、トランジスタは、貫通する第1の開口を備える保護層と、保護層上の誘電体層とを備えることができる。誘電体層は、第1の開口よりも広い貫通する第2の開口を備えてもよい。トランジスタはまた、第1および第2の開口にゲート電極を含んでもよい。ゲート電極は、第1の開口の外側に存在する保護層の表面部分で横方向に延在する第1の部分と、第2の開口の外側に存在する誘電体層の部分で第1の部分を越えて横方向に延在する第2の部分とを含んでもよい。例えば、第1および第2の開口は、階段状外形を画定してもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、誘電体層と保護層は異なる材料で形成されてもよい。誘電体層は、保護層よりも小さな誘電率を有してもよい。例えば、誘電体層は、酸化物層であってもよい。より詳細には、誘電体層は、高温酸化物(HTO)層であってもよく、保護層は、高純度窒化物(HPN)層であってもよい。例えば、保護層は化学量論的窒化珪素であってもよく、誘電体層は二酸化珪素であってもよい。
【0053】
他の実施形態では、誘電体層は、高品質酸化物層であってもよい。高品質酸化物層は、約1.5未満の誘電率を有してもよい。
【0054】
さらに他の実施形態では、誘電体層は、保護層の厚さよりも大きな厚さを有してもよい。例えば、誘電体層は、約500オングストローム(Å)から約3000Åの厚さを有してもよく、保護層は約200Åから約2000Åの厚さを有してもよい。誘電体層の厚さおよび/または誘電率は、デバイスのゲート−ドレインおよび/またはゲート−ソースキャパシタンスを減少させるのに十分であってもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、トランジスタは、チャネル層と、チャネル層上の障壁層とをさらに備えることができる。保護層は障壁層上にあってもよく、ゲート電極は、保護層の第1の開口を貫通して障壁層に接触してもよい。チャネル層および障壁層は、高電子移動度トランジスタ(HEMT)を実現するように構成されてもよい。例えば、チャネル層と障壁層は異なる格子定数を有し、そのようなものとして、擬似格子整合HEMTを実現してもよい。
【0056】
他の実施形態では、トランジスタは、ゲート電極の相対する側の障壁層上に保護層から間隔を空けて配置された第1および第2のオーミックコンタクト領域を備えることができる。例えば、誘電体層は、第1および第2のオーミックコンタクト領域と保護層との間に延在することがある。
【0057】
いくつかの実施形態では、ゲート電極は、保護層の第1の開口の対向する側壁に直接に接してもよい。
他の実施形態では、誘電体ライナは、第1の開口の中で、保護層の側壁とゲート電極との間に延在してもよい。ゲート電極は、誘電体ライナに直接接していてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、障壁層は、III族窒化物層であってもよく、チャネル層は、アンドープIII族窒化物層であってもよい。例えば、障壁層は、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)であってもよく、チャネル層は窒化ガリウム(GaN)であってもよい。保護層は、また、誘電体材料であってもよい。例えば、保護層は、窒化珪素、窒化アルミニウム、および/または二酸化珪素であってもよい。他の実施形態では、基板は炭化珪素であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明のいくつかの実施形態に従ったトランジスタデバイスを作製する作業の中間作製ステップを示す断面図である。
【図2】本発明のいくつかの実施形態に従ったトランジスタデバイスを作製する作業の中間作製ステップを示す断面図である。
【図3】本発明のいくつかの実施形態に従ったトランジスタデバイスを作製する作業の中間作製ステップを示す断面図である。
【図4】本発明のいくつかの実施形態に従ったトランジスタデバイスを作製する作業の中間作製ステップを示す断面図である。
【図5】本発明のいくつかの実施形態に従ったトランジスタデバイスを作製する作業の中間作製ステップを示す断面図である。
【図6】本発明のいくつかの実施形態に従ったトランジスタデバイスを作製する作業の中間作製ステップを示す断面図である。
【図7】本発明のいくつかの実施形態に従ったトランジスタデバイスを作製する作業の中間作製ステップを示す断面図である。
【図8】本発明のいくつかの実施形態に従ったトランジスタデバイスを作製する作業の中間作製ステップを示す断面図である。
【図9】本発明のいくつかの実施形態に従ったトランジスタデバイスを作製する作業の中間作製ステップを示す断面図である。
【図10】本発明のいくつかの実施形態に従ったトランジスタデバイスを示す断面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に従ったトランジスタデバイスを作製する作業の中間作製ステップを示す断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態に従ったトランジスタデバイスを作製する作業の中間作製ステップを示す断面図である。
【図13】本発明の他の実施形態に従ったトランジスタデバイスを作製する作業の中間作製ステップを示す断面図である。
【図14】本発明の他の実施形態に従ったトランジスタデバイスを作製する作業の中間作製ステップを示す断面図である。
【図15】本発明の他の実施形態に従ったトランジスタデバイスを作製する作業の中間作製ステップを示す断面図である。
【図16】本発明の他の実施形態に従ったトランジスタデバイスを作製する作業の中間作製ステップを示す断面図である。
【図17】本発明の他の実施形態に従ったトランジスタデバイスを作製する作業の中間作製ステップを示す断面図である。
【図18】本発明の他の実施形態に従ったトランジスタデバイスを作製する作業の中間作製ステップを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
ここで、本発明の実施形態が示される添付の図面を参照して、以下で本発明がより完全に説明される。しかし、この発明は、本明細書に記載される実施形態に限定されるものと解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が徹底的で、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。図面では、層および領域の厚さが、はっきりさせるために誇張されている。同様の番号は、全体を通して同様の要素を参照する。
【0061】
理解されることであろうが、層、領域または基板のような要素が、別の要素の「上に」存在する又は「上に」延在すると言われるとき、その要素は、他方の要素の直ぐ上にあってもよく、または他の要素の直ぐ上へ延びてもよく、または、介在要素が存在してもよい。対照的に、ある要素が、別の要素の「直ぐ上に」存在する又は「直ぐ上に」延在すると言われるとき、介在する要素は存在しない。また、理解されることであろうが、ある要素が、別の要素に「接続」または「結合」されていると言われるとき、その要素は、他方の要素に直接に接続または結合されていてもよく、または介在要素が存在してもよい。対照
的に、ある要素が、別の要素に「直接に接続」または「直接に結合」されていると言われるとき、介在要素は存在しない。
【0062】
また理解されることであろうが、第1、第2などの用語は、本明細書で、様々な要素を記述するために使用されることがあるが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきでない。これらの用語は、1つの要素を別の要素と区別するために使用されだけである。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、第1の要素は第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素は第1の要素と呼ぶことができたものである。
【0063】
さらに、「より下の」または「最下部の」および「より上の」または「最上部の」などの相対的な用語が、図示されるように別の要素に対する1つの要素の関係を記述するために本明細書で使用されることがある。理解されることであろうが、相対的な用語は、図示された位置付けのほかに、デバイスの異なる位置付けを包含する意図である。例えば、1つの図のデバイスがひっくり返されると、他の要素の「より下の」側にあると記述された要素は、そのとき、他の要素の「より上の」側に位置付けされるだろう。したがって、「より下の」という例示的用語は、図の特定の位置付けに応じて、「より下の」と「より上の」の両方の位置付けを包含することができる。同様に、1つの図のデバイスがひっくり返されると、そのとき、他の要素「の下の」または「の真下の」と記述された要素は、他の要素「の上に」位置付けされるだろう。したがって、「の下の」または「の真下の」という例示的用語は、上と下の両方の位置付けを包含することができる。
【0064】
本明細書において本発明の説明で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定する意図ではない。本発明の説明および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形(「a」、「an」、「the」)は、文脈が明らかにそうではないと示さない限り、複数形も含むことが意図されている。また理解されることであろうが、本明細書で使用される用語「および/または」は、関連付けて列挙された項目の1つまたは複数の可能なすべての組み合わせを言及し、かつ包含する。さらに理解されることであろうが、用語「備える」、「含む」(「comprise」)は、この明細書で使用されるとき、述べられた形体、完全体(integer)、ステップ、作業、要素、および/または部品の存在を明示するが、1つまたは複数の他の形体、完全体、ステップ、作業、要素、部品および/またはそれらのグループの存在または追加を排除しない。
【0065】
本発明の実施形態は、本明細書で、本発明の理想化された実施形態(および中間構造(intermedeiate structure))の模式図である断面図を参照して説明される。そのようなものとして、例えば製造技術および/または公差の結果としての図示の形からの変化は、予想されることである。したがって、本発明の実施形態は、本明細書に図示された領域の特定の形に限定されるように解釈されるべきでなく、例えば製造に起因する形のずれを含むものである。例えば、長方形として図示された注入領域は、一般に、注入領域から非注入領域への2値的な変化ではなく、縁部に、円形の若しくは湾曲した形体および/または注入濃度の勾配を有している。同様に、注入によって形成された埋め込み領域は、埋め込み領域と注入が行われた表面との間の領域にいくらかの注入をもたらす可能性がある。したがって、図示された領域は、本質的に模式的なものであり、それの形は、デバイスの領域の実際の形を図示する意図でなく、さらに、本発明の範囲を限定する意図でない。
【0066】
別段の定めがない限り、技術的および科学的用語を含む、本発明の実施形態の開示で使用されるすべての用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有し、本発明が説明される時に知られている特定の定義に必ずしも限定されない。したがって、これらの用語は、そのような時の後でつくられる同等な用語を含むことができる。さらに理解されることであろうが、一般に使用される辞書で定義されるものなどの用語は、本明細書および関連技術の文脈での意味と一致した意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書でそうであると明確に定義されなければ、理想化された
意味、または過度に形式的な意味で解釈されないだろう。本明細書で言及されるすべての出版物、特許出願、特許、その他の文献は、その全体が参照して組み込まれる。
【0067】
本発明の実施形態は、III族窒化物ベースのデバイスなどの窒化物ベースのHEMTで使用するのに特に適している可能性がある。本明細書で使用されるとき、「III族窒化物」という用語は、窒素と周期律表のIII族の元素、通常アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、および/またはインジウム(In)との間で形成される半導体化合物を意味する。また、この用語は、AlGaNおよびAlInGaNのような三元および四元化合物も意味する。当業者がよく理解しているように、III族元素は、二元(例えば、GaN)、三元(例えば、AlGaN、AlInN)、および四元(例えば、AlInGaN)化合物を形成するように窒素と結合することができる。これらの化合物は、すべて、1モルの窒素が合計1モルのIII族元素と結合される実験式を有している可能性がある。したがって、AlGa1−xN(0≦x≦1)のような式がこれらの化合物を記述するために使用されることがある。
【0068】
本発明の実施形態を利用することができるGaNベースのHEMTの適切な構造は、特許文献3、および5〜7に記載されており、これらの開示は、参照してその全体が本明細書に組み込まれる。
【0069】
(例えば、X帯域周波数範囲より高い)比較的高周波で動作するデバイス、特にミリ波無線周波(RF)デバイスには、最高電界および/または表面関連捕獲の最小化と、比較的小さなキャパシタンス値の維持との間にトレードオフが存在することがあるという認識から、本発明のいくつかの実施形態が生じる可能性がある。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、(比較的小さなゲート抵抗および/または比較的小さなcgdおよびcgsなどの)Tゲートの優れた側面のいくつかと、(ゲート前パシベーションおよび/または最高電界減少など)ガンマゲートの優れた特性のいくつかとを兼ね備えるトランジスタデバイスを提供する。
【0070】
図1から9は、本発明のいくつかの実施形態に従ってトランジスタデバイスを作製する方法における例示的な中間作製ステップを示す断面図である。ここで図1を参照すると、トランジスタデバイスがその上に形成されてもよい基板10が用意される。チャネル層20が基板10上に形成され、障壁層22がチャネル層20上に形成されている。基板10は、例えば4Hポリタイプの炭化珪素であってもよい半絶縁性炭化珪素(SiC)基板であることがある。他の炭化珪素候補のポリタイプには、3C、6H、および15Rポリタイプがある可能性がある。用語「半絶縁性」は、絶対的な意味ではなく、本明細書では記述的に使用される。本発明のいくつかの実施形態では、炭化珪素バルク結晶は、室温で約1×10Ω−cm以上の抵抗率を有することができる。
【0071】
炭化珪素は、III族窒化物デバイス用の一般的な基板材料である可能性のあるサファイア(Al)よりも(チャネル層20および/または障壁層22で使用されることがある)III族窒化物に対して遥かに近い結晶格子整合を有している。より近い格子整合によって、一般にサファイア上で利用可能なものよりも高品質のIII族窒化物膜がもたらされる。炭化珪素は、また、比較的高い熱伝導率を有し、そのようなものとして、炭化珪素上に形成されたIII族窒化物デバイスの全出力電力は、サファイアおよび/またはシリコン上に形成された同様なデバイスほど基板の熱散逸によって制限されない可能性がある。また、半絶縁性炭化珪素基板は、デバイス分離および寄生キャパシタンスの減少を可能にする可能性がある。本発明のいくつかの実施形態で使用されてもよい例示的SiC基板は、本件特許出願人によって製造され、そのような基板を製造する方法は、例えば、特許文献8〜11に記載され、これらの開示はその全体が参照して本明細書に組み込まれる。同様に、III族窒化物のエピタキシャル成長の技術は、例えば、特許文献12〜15に開示されており、これらの開示は、また、参照してその全体が本明細書に組み込まれる。
【0072】
理解されるべきことであるが、炭化珪素が基板として使用されてもよいが、本発明の実施形態は、サファイア(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、窒化ガリウム(GaN)、シリコン(Si)、ガリウム砒素(GaAs)、LGO、酸化亜鉛(ZnO)、LAO、インジウム燐(InP)などの基板10に適したどんな基板でも利用することができる。
【0073】
随意の緩衝層、核形成層および/または遷移層(図示せず)もまた基板10上に形成されてもよい。例えば、炭化珪素基板とデバイスの残りの部分との間に適切な結晶構造遷移を提供するためにAlN緩衝層を設けてもよい。さらに、特許文献16及び17に記載されているように、歪み平衡遷移層(strain balancing transition layer)がまた設けられてもよい。これらの開示は、あたかも本明細書で完全に述べられたかのように参照して本明細書に組み込まれる。
【0074】
依然として図1を参照すると、チャネル層20が基板10上に設けられている。チャネル層20は、上で説明されたように緩衝層、遷移層および/または核形成層を使用して基板10上に堆積されてもよい。チャネル層20は圧縮歪みを受けていることがある。さらに、チャネル層20および/または緩衝層、核形成層および/または遷移層は、有機金属化学気相成長法(MOCVD)によって、または分子線ビームエピタキシ(MBE)および/または水素化物気相エピタキシ(HVPE)などの当業者に知られている他の技術によって堆積されてもよい。本発明のいくつかの実施形態では、チャネル層20は、GaNなどのIII族窒化物層であってもよい。チャネル層20はまた、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGaN)などの他のIII族窒化物層を含んでもよい。チャネル層20は、アンドープ(すなわち、「非意図的にドープされた」)であってもよく、約20Åを超える厚さに成長されてもよい。チャネル層20はまた、GaN、AlGaNなどの超格子または組み合わせなどの多層構造であってもよい。
【0075】
さらに図1に示されるように、障壁層22がチャネル層20上に形成される。例えば、障壁層22は、チャネル層20上に堆積されてもよい。障壁層22は、AlGa1−xN(0<x<1)などのIII族窒化物層であってもよい。障壁層22は、また、AlInGaN、AlNおよび/またはこれらの層の組み合わせなどの他のIII族窒化物層も含んでもよい。障壁層22は、例えば、厚さが約0.1nmから約100nmであってもよいが、亀裂(cracking)または実質的な欠陥形成を生じさせるほど厚くてはいけない。本発明のある特定の実施形態では、障壁層22は、高濃度ドープn型層であることがある。例えば、障壁層22は、約1019cm−3未満の濃度にドープされることがある。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態は、高電子移動度トランジスタ(HEMT)に応用可能である可能性がある。より詳細には、チャネル層20および障壁層22は、チャネル層と障壁層との間の界面がヘテロ接合を画定するように異なるバンドギャップを有する材料から形成されてもよい。例えば、チャネル層20は、障壁層22のバンドギャップよりも小さなバンドギャップであってもよい。そのようなものとして、チャネル層20の伝導帯端のエネルギーは、チャネル層20と障壁層22との間の接合での障壁層22の伝導帯端のエネルギーよりも小さい可能性があり、さらにチャネル層20は、障壁層22よりも大きな電子親和力を有する可能性がある。例えば、チャネル層20と障壁層22の両方がIII族窒化物層で形成される場合、チャネル層20はGaN層であってもよく、障壁層22はAlGaN層であってもよい。
【0077】
本発明のある特定の実施形態に従った層の例は、特許文献6に記載されており、この開示は、あたかも本明細書で完全に述べられたかのように参照して本明細書に組み込まれる。本発明の特定の実施形態では、障壁層22は、障壁層22がオーミックコンタクト金属の下に埋め込まれているときに、チャネル層20と障壁層22との間の界面に分極効果によってかなりのキャリア濃度を誘起するのに十分な厚さ、Al成分、および/またはドーピングを有することができる。また、障壁層22は、障壁層22とその後で形成される保護層との間の界面に堆積されたイオン化不純物によるチャネル中の電子の散乱を減少させるか、または最小限にすることができるほど十分に厚くてもよい。
【0078】
さらに、本発明の他の実施形態では、チャネル層20および障壁層22は、異なる格子定数を有してもよい。例えば、これら2つの層の間の界面で障壁層22が「伸びる(strech)」ように、障壁層22は、チャネル層20よりも小さな格子定数を有する比較的薄い層であってもよい。したがって、擬似格子整合HEMT(pHEMT)デバイスが実現されることがある。
【0079】
図2は、障壁層22上の保護層24の形成を示している。保護層24は、窒化珪素(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、二酸化珪素(SiO)、および/または他の適切な保護材料などの誘電体材料であってもよい。また、他の材料が保護層24に利用されてもよい。例えば、保護層24は、また、酸化マグネシウム、酸化スカンジウム、酸化アルミニウムおよび/または酸窒化アルミニウムを含んでもよい。さらに、保護層24は、単層であってもよく、または、均一組成および/または不均一組成の多層を含んでもよい。
【0080】
保護層24は、障壁層22の上に一面に形成されてもよい。例えば、保護層24は、高品質スパッタリングおよび/またはプラズマ増速化学気相成長法(PECVD)によって形成された窒化珪素(SiN)層であってもよい。保護層24は、約30nmの厚さである可能性があるが、他の厚さの層も利用されてもよい。例えば、保護層は、オーミックコンタクトの後のアニール中に下にある層を保護するように十分に厚くてもよい。そのような目的のために、2または3の単分子層程度の薄い層で十分である可能性がある。しかし、一般に、保護層24は、約10nmから約500nmの厚さを有する可能性がある。また、高品質SiN保護層は、III族窒化物層のMOCVD成長と共にその場(in−situ)成長されてもよい。
【0081】
本発明の特定の実施形態では、保護層24はSiNであってもよい。SiN保護層は、PVDおよび/またはCVDによって形成されてもよく、圧縮または引っ張り歪みのために非化学量論的である可能性がある。例えば、SiN保護層は、約−100MPaから約100MPaの応力を受ける可能性がある。本発明のある特定の実施形態では、SiN保護層は、633nm波長で約1.6から約2.2の屈折率を有することがある。特定の実施形態では、SiN保護層の屈折率は、1.98±0.05であることがある。
【0082】
図3は、障壁層22上へのオーミックコンタクト領域30の形成を示している。ここで図3を参照すると、保護層24は、障壁層22の部分を露出させるようにパターニングされ、第1および第2のオーミックコンタクト領域30が障壁層22上に形成される。例えば、下にある障壁層22を露出させるために、保護層24に窓がエッチングされてもよい。この窓は、パターニングされたマスクと障壁層22に対する低損傷エッチングとを利用して、エッチングされてもよい。低損傷エッチング技術の例には、誘導結合プラズマ、電子サイクロトロン共鳴(ECR)またはプラズマに対してDC成分のない下流プラズマエッチング(downstream plasma etching)などの、反応性イオンエッチング以外のエッチング技術が挙げられる。例えば、SiO障壁層に対しては、緩衝フッ化水素酸を用いたウェットエッチングが使用されてもよい。ITO、SCO、MgOなどのエッチング停止層に対するSiNおよび/またはSiOの選択エッチング、およびこれに続くエッチング停止層の低損傷除去が、行われてもよい。SiN障壁層の場合、SiOがエッチング停止層として使用されてもよい。そのような実施形態では、保護層24は、エッチング停止層だけでなくSiN層、AlN層、および/またはSiO層を含んでもよい。このように、本発明のある特定の実施形態では、保護層24は多層を含むことができる。
【0083】
依然として図3を参照すると、引き続いてフォトリソグラフィステップおよび蒸着を使用して、障壁層22の露出部分にオーミック金属が形成される。オーミック金属は、保護層24の窓よりも小さくなるようにパターニングされ、オーミック金属は第1および第2のオーミックコンタクト領域30を形成するようにアニールされる。そのようなものとして、オーミックコンタクト領域30の縁は近接した保護層24から間隔を空けて配置される可能性がある。
【0084】
アニールは、比較的高温のアニールであってもよい。例えば、アニールは、約900℃を超える温度で行われてもよい。そのようなオーミックコンタクトアニールを使用することによって、オーミックコンタクト領域30の抵抗は、比較的高抵抗から例えば約1Ω−mm未満に減少させることができる。したがって、本明細書で使用されるとき、用語「オーミックコンタクト」は、約1Ω−mm未満の接触抵抗を有する非整流性コンタクトを意味することができる。高温プロセスステップ中に保護層24が存在することで、そのようなステップで生じることがある障壁層22の損傷が減少し、かつ/または抑制されることがある。したがって、例えば、高温オーミックコンタクトアニール後のゲート領域21(すなわち、オーミックコンタクト領域30間のチャネルの長さ)のシート抵抗は、成長されたまま(すなわち、コンタクトアニール前)のゲート領域21のシート抵抗と実質的に同じである可能性がある。
【0085】
オーミックコンタクト領域30は、オーミックコンタクト金属の形成および/またはパターニングでの位置合わせ不整合公差(misalignment torelance)を許容するのに十分な距離だけ保護層24から間隔を空けて配置される可能性がある。例えば、オーミックコンタクト領域30の端は、約0.1マイクロメートル(μm)から約0.2μmの距離だけ保護層24から間隔を空けて配置されることがある。その後の加熱ステップ中に金属が保護層24に拡散する可能性を減少させるために、オーミック金属と保護層24との接触を防ぐことが望ましい可能性があり、この金属拡散は、ゲートコンタクトとオーミックコンタクト領域30との間のショートをもたらすことがある。しかし、オーミックコンタクト領域30と保護層24との間の隙間は、保護層24の保護目的を駄目にするほど(かつ/またはデバイスの性能を実質的に悪くするほど)大きい必要はないが、オーミック材料と保護層24との間の接触のおそれがあるほど小さくてはいけない。したがって、本発明のある特定の実施形態では、この隙間は、約0.1マイクロメートル(μm)から約0.5μmの範囲であってもよい。
【0086】
図4は、オーミックコンタクト領域30および保護層24の上への第2の層31の形成を示している。第2の層31は、保護層24よりも小さな誘電率を有する誘電体層であってもよい。例えば、第2の層31は、高温酸化物(HTO)層などの高品質酸化物層であってもよい。また、第2の層31は犠牲層であってもよく、この犠牲層は、後のステップで除去される可能性がある。例えば、第2の層31は、フォトレジスト層であってもよい。また、第2の層31は、ポリイミド層であってもよい。図4に示されるように、第2の層31は、第2の層31を貫通して保護層24の一部を露出させる孔またはリセス3を含む。例えば、第2の層31は、リセス3を形成するようにフォトリソグラフィでパターニングされてもよい。
【0087】
図5は、保護層24への開口または「窓」の形成を示し、その後のステップで、ここにゲート電極が形成されてもよい。図5に示されるように、開口4は、保護層24を貫通して障壁層22の一部を露出させるように形成される。より詳細には、開口4を形成するために、第2の層31をマスクとして使用して保護層24の露出部分がパターニングされる。障壁層22の露出表面への低漏れショットキーゲートコンタクトの形成を容易にするために、上述のように、第2の層31のリセス3によって露出された保護層24の部分を、低損傷エッチング技術を使用して選択的にエッチングすることによって、開口4が形成されてもよい。留意されたいことであるが、保護層24の開口4は、エッチングの等方性(すなわち、アンダーカット)のために第2の層31のリセス3よりも広くなる可能性がある。特定の実施形態では、オーミックコンタクト30はソースコンタクト及びドレインコンタクトを与えることができ、開口4が、したがってゲートコンタクトが、ドレインコンタクトよりもソースコンタクトに近くなるように、開口4がソースコンタクトとドレインコンタクトとの間で片寄っていることがある。
【0088】
ここで図6を参照すると、第2の層31のリセス3は、第1の開口4よりも広い第2の開口5を画定するように広くされる。そのようなものとして、第2の開口5は、第1の開口4と、第1の開口4の相対する側の保護層24の表面部を露出させる。第2の層31のリセス3は、第2の開口5と第1の開口4が自己整合されるように対称的に拡大されてもよい。例えば、第2の層31が保護層24と異なる材料で形成されている場合、第2の層31のリセス3は、ウェットエッチング技術を使用して第2の層31を選択的にエッチングすることによって広くされてもよい。より詳細には、第2の層31が酸化物層である場合、リセス3は、緩衝酸化物エッチング液(BOE)を使用して第2の層31を選択的にエッチングして広くされてもよい。その上または代替的に、第2の層31がフォトレジスト層である場合、酸素プラズマを使用して第2の層31をアッシングし、かつ/または、例えば摂氏100度(C)より高いが150度Cより低い温度で、デバイスをハードベークすることによって、このリセスが広くされてもよい。
【0089】
したがって、図5および6に示されるように、第1の開口4を形成するために第2の層31をマスクとして使用して、保護層24が選択的にエッチングされてもよく、第2の層31のリセス3は、第2の開口5を形成するように第1の開口4のまわりで選択的に広くされてもよい。そのようなものとして、第1の開口4と第2の開口5は自己整合される可能性がある。いくつかの実施形態では、第2の層31は、保護層24に対して選択的にエッチング可能などんな材料であってもよい。
【0090】
図7は、ゲート電極32の形成を示している。図7に示されるように、ゲート電極32は、第2の開口5および第1の開口4に形成され、保護層24を貫通して延在し、障壁層22の露出部分に接触する。ゲート電極32は、ゲート電極32と保護層24との間に隙間が形成されないように、保護層24の対向する側壁に直接に接して第1の開口4に形成されてもよい。適切なゲート材料は、障壁層24の組成に依存する可能性がある。しかし、ある特定の実施形態では、Ni、Pt、NiSi、Cu、Pd、Cr、TaN、Wおよび/またはWSiNなどの、窒化物ベースの半導体材料に対してショットキーコンタクトを作ることができる従来の材料が使用されてもよい。
【0091】
依然として図7を参照すると、ゲート電極32の第1の部分6(「ウィング」または「サイドローブ」とも呼ばれる。)は、第1の開口4の外側に存在する保護層24の表面部分で横方向に延在し、さらに、保護層24から縦方向に間隔を空けて配置されたゲート電極32の第2の部分7は、第2の開口5の外側に存在する第2の層31の表面部分で横方向に延在している。本明細書で使用されるとき、用語「横方向」は、基板の表面に対して実質的に平行な方向を意味する。ゲート電極32の第2の部分7は、第1の部分6を越えて横方向に延在してもよい。第1の開口4と第2の開口5は、これまで説明されたプロセスによって自己整合される可能性があるので、ゲート電極32の第1の部分6が保護層24上に延在する長さは、制御される可能性がある。そのようなものとして、本発明のいくつかの実施形態によると、ゲート電極32の保護層24上での延長によって生じる可能性があるトランジスタデバイスのゲート−ドレインキャパシタンス(cgd)および/またはゲート−ソースキャパシタンス(cgs)は、また、制御される可能性がある。したがって、自己整合サイドローブ6を備える修正ガンマゲート32が形成される可能性がある。
【0092】
図8は、犠牲的な第2の層31の除去を示している。図8に示されるように、第2の層31は、ゲート電極32が形成された後に除去される。第2の層31は、第2の層31の組成に応じて従来の技術を使用して形成されてもよい。
【0093】
図9は、パシベーション層34の形成を示している。パシベーション層34は、トランジスタデバイスのための環境保護を行うことができる。例えば、パシベーション層34は、比較的厚い窒化物または比較的ローkの封入層であってもよく、保護層24の被覆率を改善するために形成されることがある。パシベーション層34は、第2の層31の除去後に、図8の構造の上に一面に堆積されてもよい。そのようなものとして、ゲート電極32の第2の部分7は、パシベーション層34の部分の上で横方向に延在する。特定の実施形態では、パシベーション層34は、保護層24とオーミックコンタクト30との間の隙間を実質的に埋めるように堆積されることがある。本発明のある特定の実施形態では、パシベーション層34は、窒化珪素、窒化アルミニウム、二酸化珪素、および/または酸窒化物であってもよい。さらに、パシベーション層34は、均一組成および/または不均一組成の単層または多層であってもよい。
【0094】
図10は、本発明のさらなる実施形態に従った高電子移動度トランジスタ(HEMT)デバイス100を示す断面図である。図10に示されるように、HEMTデバイス100のゲート電極32は、保護層24を貫通して延在し、障壁層22に接触している。ゲート電極32は、開口の外側に存在する保護層24の表面部分で横方向に延在する第1の部分6と、パシベーション層34によって保護層24から縦方向に間隔を空けて配置され、かつパシベーション層34の部分の上で第1の部分6を越えて横方向に延在する第2の部分7とを備える。言い換えると、ゲート電極32の第1および第2の部分6および7は、階段状外形を画定している。ゲート電極32の第2の部分7は、保護層24から約1000オングストローム(Å)から約6000Åだけ間隔を空けて配置されてもよい。ゲート電極32は、また、ゲート電極32と保護層24との間に隙間が存在しないように、保護層24の開口の対向する側壁に直接に接して延びている。ゲート電極32の第1の部分6は、また、保護層24上に直接に形成されてもよい。
【0095】
その上、(保護層24の中の)第1の開口および(図6の第2の層31の中の)第2の開口は、上述のプロセスによって自己整合される可能性があるので、第2の開口の幅(LG2として示される)は、第1の開口の幅のまわりに自己整合され、かつ対称である可能性があり、この第1の開口の幅がゲート長LG1を画定する。そのようなものとして、保護層24の開口の形成に基づいて関心のある動作周波数を得るように、ゲート長LG1が調整されてもよい。例えば、ゲート長LG1は、約0.05マイクロメートル(μm)から約2.0μmであってもよい。その上、ゲート電極32の第1の部分6が保護層24の上に延在する長さΔLは、また、上述のように犠牲的な第2の層の開口を広くすることによって制御されてもよい。ピークゲート−ドレイン電圧VGDに確実に耐え、かつゲート−ドレインキャパシタンスcgdおよびゲート−ソースキャパシタンスcgsを最小限にし、かつ/または減少させるように、保護層24の厚さdおよびゲート電極32の第1の部分の長さΔLが最適化されてもよい。例えば、長さΔLは約0.1マイクロメートル(μm)から約0.6μmであってもよく、厚さdは約300オングストローム(Å)から約5000Åであってもよい。その上、第1の開口を画定する保護層24の側壁の角度Φは、また、例えば、約45度から約90度の間で最適化されてもよい。
【0096】
上述のように、いくつかの実施形態では、保護層24はSiNであってもよく、障壁層22はAlGaNであってもよく、さらにチャネル層20はGaNであってもよい。上でも述べられたように、トランジスタ100は、また、基板10とチャネル層20の間に核形成層15を備える。
【0097】
また、図10は、オーミックコンタクト領域がソース/ドレインコンタクト領域30であってもよいことを示している。保護層24は、オーミックコンタクト領域と少なくともほぼ同じくらいの厚さに形成されてもよい。例えば、保護層24は、約500オングストローム(Å)から約5000Åの範囲の厚さに形成されてもよい。その上、パシベーション層34は、保護層24とソース/ドレイン領域30との間の隙間を実質的に埋めることができる。本発明のある特定の実施形態では、パシベーション層34は、保護層24と同じ材料で形成されてもよい。そのようなものとして、パシベーション層34は、窒化珪素、窒化アルミニウム、二酸化珪素および/または酸窒化物であってもよい。さらに、パシベーション層34は、均一組成および/または不均一組成の単層または多層であってもよい。
【0098】
本発明の他の実施形態では、第2の層31は犠牲層でなくてもよい。そのようなものとして、第2の層31は除去されなくてもよく、パシベーション層34は形成されなくてもよい。したがって、図7は、本発明の他の実施形態に従った高電子移動度トランジスタ(HEMT)デバイスを示している。例えば、上で言及されたように、第2の層31は誘電体層であってもよい。より詳細には、第2の層31は、HTO層および/または他の高品質酸化物層などの酸化物層であってもよく、さらに保護層24は、高純度窒化物(HPN)層などの窒化物層、および/または酸化物層に対して選択的にエッチング可能な他の保護層であってもよい。そのような酸化物層は、パシベーション層34に比較して低不純物濃度および/または他の改善された電気的特性を実現することができる。したがって、本発明のさらなる実施形態は、図11から18を参照して説明される。
【0099】
図11から18は、本発明のさらなる実施形態に従ったトランジスタデバイスを作製する方法における中間(intermediate)作製ステップの例を示す断面図である。ここで図11を参照すると、図1を参照して上で説明されたように、トランジスタデバイスが形成されてもよい基板10に障壁層22およびチャネル層20が形成されてもよい。例えば、基板10は、半絶縁性炭化珪素(SiC)基板であってもよい。例えば、炭化珪素基板とデバイスの残りの部分との間に適切な結晶構造遷移をもたらすために、随意の緩衝層、核形成層および/または遷移層(図示せず)が基板10上に形成されてもよい。チャネル層20は、超格子等の単層または多層III族窒化物層であってもよい。障壁層22は、AlGa1−xN(0<x<1)などのIII族窒化物層であってもよい。障壁層22は、また、AlInGaN、AlNおよび/またはこれらの層の組み合わせなどの他のIII族窒化物層も備えてもよい。
【0100】
チャネル層20および障壁層22は、チャネル層と障壁層との間の界面がヘテロ接合を画定するように、異なるバンドギャップを有する材料で形成されてもよい。より詳細には、チャネル層20は、障壁層22のバンドギャップよりも小さなバンドギャップを有してもよい。例えば、チャネル層20及び障壁層22の両方がIII族窒化物層で形成されている場合、チャネル層20はGaN層であってもよく、障壁層22はAlGaN層であってもよい。さらに、チャネル層20および障壁層22は、異なる格子定数を有してもよい。例えば、それら2つの層の間の界面で障壁層22が「伸びる」ように、障壁層22は、チャネル層20よりも小さな格子定数を有する比較的薄い層であってもよい。したがって、擬似格子整合HEMT(pHEMT)デバイスが形成される可能性がある。
【0101】
依然として図11を参照すると、保護層24が障壁層22上に形成されている。保護層24は、窒化珪素(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、二酸化珪素(SiO)、および/または他の適切な保護材料などの誘電体材料であってもよい。保護層24は、単層であってもよく、または、均一組成および/または不均一組成の多層を含んでもよい。また、他の材料が保護層24に利用されてもよい。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態では、保護層24は高純度窒化物(HPN)層であってもよい。本明細書で説明されるように、HPN層は、いくつかの他の窒化物層に比べてかなり低い全不純物レベルを有する窒化物層を意味することができる。より詳細には、HPN層の不純物レベルは、一般に、PECVDおよび/またはスパッタリングによって成長された窒化物層の不純物レベルよりも1桁から3桁小さい可能性がある。例えば、HPNは、Si層と下の層との界面だけでなく、Si層自体に比較的低い不純物濃度を有するほぼ化学量論的な窒化珪素(すなわち、Si)を意味することができる。これは、下の層と同じ反応炉でHPN層を堆積し、かつ本明細書でさらに述べられる条件を使用することによって、達成される可能性がある。
【0103】
例えば、保護層24は、特許文献18に記載されるような高純度SiN層を含んでもよく、この開示は、あたかも本明細書で完全に述べられたかのように参照して本明細書に組み込まれる。SiN層は、例えば、減圧化学気相成長法(LPCVD)および/または有機金属化学気相成長法(MOCVD)によって形成されてもよい。特に、本発明のある特定の実施形態に従って、SiN保護層24は、III族窒化物層のMOCVD成長と共にその場で(例えば、約700℃より高い)比較的高温で成長されてもよい。例えば、チャネル層20がGaNである場合、保護層24は、III族窒化物層の成長温度から基板10を冷やすことなくGaNエピタキシャル反応炉で成長されてもよい。特定の実施形態では、SiN層は、約900℃から約1000℃の範囲の温度で成長されてもよい。そのような高温成長はまた、SiN層の不純物レベル、およびIII族窒化物層とSiN層との間の界面の不純物レベルの減少を助長することができる。その上、SiN層に組み込まれるバックグラウンド反応炉不純物(background reactor impurity)のレベルの減少を助長することができる高成長速度が使用されてもよい。
【0104】
SiN層のその場形成は、また、一番上のIII族窒化物層の上面および/またはSiN層自体に組み込まれる不純物のレベルを減少させることができる。特に、デバイスが反応炉から取り出され、さらにSiN層が、例えばスパッタリングまたはPECVDのようなMOCVD後の成長プロセスによって形成されるとき、いくつかの異なるメカニズムで不純物が導入される可能性がある。例えば、特許文献19に詳細に述べられているように、III族窒化物層の成長中にMOCVD反応炉に水素が存在すると、成長に続く反応炉の冷却中に水素がIII族窒化物層に混入する傾向がある可能性がある。同様に、反応炉から取り出してすぐにデバイスを大気にさらすと、酸素原子の混入が可能になる場合がある。さらに、デバイスの取り扱いおよび/またはデバイスの化学洗浄の結果として、特にデバイスの外側表面の近接に、様々な他の不純物が取り込まれる可能性がある。ウェットエッチング、電極堆積、アニーリングステップなどの成長後処理が、SiN保護/パシベーション層の堆積前に行われる場合には、また、不純物が追加される可能性がある。望ましくない、かつ/または制御/再現し難い可能性のあるやり方で、これらの不純物は、III族窒化物層とSiN層との間の界面の表面状態を変える可能性がある。例えば、不純物が存在することで、SiN層と下のIII族窒化物層との間の界面での捕獲(trapping)が増加し、それによってチャネルのシート抵抗が高くなることがある。
【0105】
本発明のある特定の実施形態では、窒化珪素層は、高純度シリコンガス(例えば、純度99.99%)供給源を使用して形成されてもよい。例えば、高純度シラン(SiH)が、SiN層の成長で供給源ガスとして使用されてもよい。当業者には知られているように、シランは、n型ドープIII族窒化物層の成長において、シリコンドーパントの供給源としてしばしば使用される。一般に、希釈シランガスは、純粋シランよりも高価でなくかつ使用し易いので、そのような用途に使用され、純粋シランは非常に燃えやすい可能性がある。そのような純粋シランを使用することで、例えば、III族窒化物層とSiN層との界面および/またはSiN層中の不純物のレベルを減少させることが容易になる可能性があり、このことは、ある特定の環境で、デバイスの性能および/または再現性を改善する可能性がある。特に、より高品質の(すなわち、より純粋な)SiN層は、絶縁層の本体中の捕獲を減少させ、または最小限にするのに役立ち、それによってより高い破壊臨界電界を可能にする可能性がある。純粋ジシラン(Si)または他の純粋シリコンガス供給源が、高純度シラン(SiH)の代わりに使用されてもよい。そのような純粋シランガス供給源が反応炉に含まれるとき、例えばn型ドープまたはコドープ(co−doped)III族窒化物層の成長中に希釈シランガスをドーパントガス供給源として使用することができるように、希釈シラン供給源も含むことがいっそう望ましい可能性がある。
【0106】
いくつかの実施形態では、高純度SiN層24は、化学量論的である可能性がある。用語「化学量論」は、化学量論的化合物中の元素のモル比を意味することができる。そのような化学量論的化合物では、モル比は整数である。例えば、Siにおけるシリコンおよび窒素の化学量論は、約3:4である。SiN層の化学量論は、また、この層の屈折率に影響を及ぼす可能性がある。本発明のある特定の実施形態では、SiN保護層24は、633nmの波長で約1.6から約2.2の屈折率を有することがある。化学量論的SiNは、また、緩衝酸化物エッチング液(BOE)で比較的小さなエッチング速度を特徴とする可能性がある。例えば、化学量論的SiNのBOEでのエッチング速度は、約10オングストローム/分よりも小さいことがある。対照的に、PECVD窒化珪素は、約100オングストローム/分のオーダのBOEエッチング速度を有することがあり、スパッタ窒化珪素は、約1000オングストローム/分以上のオーダのBOEエッチング速度を有することがある。SiN層の化学量論は、例えば、CVDプロセスにおいてSiHおよびNHの供給源ガスの相対的な流速を調整することによって、調整されてもよい。さらに、比較的高温で形成されるとき、CVD成長のSiNは化学量論的である傾向がある。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態では、保護層24は、その後の高温プロセスステップ時の障壁層22への損傷を減少させ、かつ/または妨げるように、十分に厚いHPN層を含んでもよい。例えば、HPN層22は、約200オングストローム(Å)から約2000Åの厚さを有してもよい。さらに、保護層24は、HPNおよび二酸化珪素(SiO)および/またはプラズマ化学気相成長(PECVD)窒化珪素(SiN)の多層を含んでもよい。理解されることであろうが、用語「Si」、「SiN」および「窒化珪素」は、本明細書では、化学量論的窒化珪素と非化学量論的窒化珪素の両方を意味するように交換可能に使用される。しかし、本発明の実施形態は、これらの例によって限定されず、例えば、どんなHPNでも高品質誘電体保護層24として使用されることがある。もっと一般的に、保護層24の材料は、適切な界面特性を持つべきであり、比較的高温に耐えることができるべきであり、さらに、下にある障壁層22を大きく損傷することなく除去可能であるべきである。
【0108】
図12は、保護層24上への酸化物層33などの誘電体層の形成を示している。例えば、酸化物層33は、約500℃を超える温度の化学気相成長(CVD)プロセスを使用して保護層24上に堆積されてもよい。その上かつ/または代わりに、酸化物層33は、その場形成されてもよい。酸化物層33は、保護層24の厚さよりも大きな厚さに形成されてもよい。例えば、酸化物層33は、約300オングストローム(Å)から約5000Åの厚さを有してもよい。
【0109】
酸化物層33はまた、保護層24よりも小さな誘電率を有する可能性がある。例えば、酸化物層33は、高温酸化物(HTO)層等の高品質酸化物層であってもよい。高品質酸化物層33は、約1.5未満の誘電定数または誘電率を有する可能性がある。さらに、高品質酸化物層33は比較的低不純物濃度を有する可能性があり、これは例えば、二次イオン質量スペクトロスコピー(SIMS)分析によって測定されることがある。そのようなものとして、本発明のいくつかの実施形態に従った高品質酸化物層は、図10のゲート後パシベーション層34などのPECVDプロセスによって形成された層に比べて改善された電気特性を有している可能性がある。
【0110】
例えば、いくつかの実施形態では、HTO層は、約900℃の温度のLPCVDプロセスで堆積された二酸化珪素(SiO)層であってもよい。この堆積のLPCVDの性質によって、下の半導体層に及ぼすマイナスの影響を減らしながら、かつ/または最小限にしながら酸化物層33を形成することができるようになることがある。さらに、堆積が比較的高温であることで、約8〜9MV/cmの測定絶縁耐力(measured dielectric strength)(すなわち、SiOの理論値の約80〜90%)を有する比較的高密度の酸化物層33の形成が可能になることがある。
【0111】
本発明のある実施形態では、酸化物層33は、化学量論的SiOであってもよい。このSiO層は、633nmの波長で約1.36から約1.56の屈折率を有することがある。特定の実施形態では、SiO保護層の屈折率は、偏光解析法で測定された場合に1.46±0.03であることがある。さらに、このSiO層は、電荷、トラップ、および他の電気的に活性な非理想的性質(不純物)のレベルの減少を実現することができ、これは、ある特定の環境で、デバイスの性能および/または再現性を改善する可能性がある。特に、高品質の(すなわち、いっそう純粋な)SiO層は、絶縁層の本体中の捕獲を減少させるか、最小限にするのに役立ち、それによっていっそう高い破壊臨界電界を可能にする可能性がある。もっと一般的に、酸化物層33は、HEMTデバイスのゲート−ドレインおよび/またはゲート−ソースキャパシタンスを減少させるのに十分である可能性のある厚さ、不純物濃度、誘電率および/または他の特性を与えるように選ばれてもよい。
【0112】
ここで図13を参照すると、酸化物層33および保護層24は、障壁層22の部分を露出させるようにパターニングされている。例えば、保護層24の第1および第2の部分を露出させるリセス9を画定するために、パターンニングされたマスク(図示せず)を利用して酸化物層33がパターニングされてもよく、さらに、障壁層22の部分を露出させる窓8を画定するために、酸化物層33をマスクとして利用して保護層24がパターニングされてもよい。より詳細には、酸化物層33にリセス9を画定するためにドライエッチングプロセスが使用されてもよく、窓8を画定するように保護層24を選択的にエッチングするために、低損傷ウェットエッチングプロセスが使用されてもよい。ITO、SCO、MgOなどのエッチング停止層までの保護層24の選択エッチング、その後に続くエッチング停止層の低損傷除去が、また、行われてもよい。そのような実施形態では、保護層24は、エッチング停止層だけでなくSiN層、AlN層、および/またはSiO層を含むことがある。あるいは、層33と24の両方が堆積された状態で、酸化物層33と保護層24の両方を通して単一ステップでエッチングするために、低損傷ドライエッチングが使用されてもよい。そのような低損傷エッチング技術の例には、誘導結合プラズマエッチングまたは電子サイクロトロン共鳴(ECR)エッチングまたはプラズマに対してDC成分のない下流プラズマエッチングなどの反応性イオンエッチング以外のエッチング技術がある可能性がある。
【0113】
また、いくつかの実施形態では、保護層24は、酸化物層33を形成する前に、障壁層22の部分を露出させる窓8を画定するようにパターニングされてもよい。そのようなものとして、酸化物層は、保護層24の上に、さらに障壁層22の第1および第2の部分の上に形成されてもよい。酸化物層は、次に、障壁層22の部分を露出させるリセス9を画定するようにパターニングされてもよい。リセス9は、保護層24にエッチングされた窓8よりも狭くてもよい。そのようなものとして、保護層24の窓8の側壁に沿って酸化物層33の部分が残っている可能性がある。したがって、次のステップで、オーミックコンタクト領域が障壁層22に形成されたとき、オーミックコンタクト領域と保護層24との間に酸化物層33が存在するために、オーミックコンタクト領域の縁は、近接した保護層24から間隔を空けて配置されている可能性がある。
【0114】
図14は、障壁層24へのオーミックコンタクト30の形成を示している。ここで図14を参照すると、障壁層22にオーミック金属領域を形成するために、窓8およびリセス9によって露出された障壁層22の部分に、蒸着によって金属が堆積されもよい。適切な金属には、チタン(Ti)、タングステン(W)、チタンタングステン(TiW)、シリコン(Si)、窒化チタンタングステン(TiWN)、タングステンシリサイド(WSi)、レニウム(Re)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、金(Au)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケルシリサイド(NiSi)、チタンシリサイド(TiSi)、窒化チタン(TiN)、窒化タングステンシリコン(WSiN)、白金(Pt)などの耐熱金属がある可能性がある。どんな不要な金属も、例えば溶媒を使用して除去されてもよい。オーミック金属領域は、保護層24の窓よりも小さくなるようにパターニングされてもよく、さらに、第1および第2のオーミックコンタクト領域30を形成するようにアニールされてもよい。そのようなものとして、オーミックコンタクト領域30は、オーミックコンタクト金属の形成および/またはパターニングでの位置合わせ不良公差(misalignment tolerance)を許容するのに十分な距離だけ保護層24から間隔を空けて配置される可能性がある。例えば、オーミックコンタクト領域30の縁は、約0.1マイクロメートル(μm)から約0.5μmの距離だけ保護層24から間隔を空けて配置されてもよい。
【0115】
依然として図14を参照すると、アニールは比較的高温のアニールであってもよい。例えば、アニールは、約900℃を超える温度で行われてもよい。そのようなオーミックコンタクトアニールを使用することによって、オーミックコンタクト領域30の抵抗は、比較的高い抵抗から例えば約1Ω−mm未満に減少することがある。したがって、本明細書で使用されるとき、用語「オーミックコンタクト」は、約1Ω−mm未満の接触抵抗を有する非整流性コンタクトを意味することができる。高温プロセスステップ中に保護層24が存在することで、そのようなステップで生じることがある障壁層22への損傷が減少し、かつ/または妨げられる可能性がある。したがって、例えば、高温オーミックコンタクトアニール後のゲート領域21(すなわち、オーミックコンタクト領域30間のチャネル長さ)のシート抵抗は、成長されたまま(すなわち、コンタクトアニール前)のゲート領域21のシート抵抗と実質的に同じである可能性がある。
【0116】
理解されることであろうが、いくつかの実施形態では、オーミックコンタクト30を形成するために、堆積された金属をアニールすることは必要でないことがある。例えば、障壁層22の注入ソース/ドレイン領域にオーミックコンタクト30が形成される場合、金属は、堆積されたままでオーミックであることがある。コンタクトアニールは必要でない可能性があるので、オーミックコンタクト30の金属が保護層24に接触することは許容できることがある。したがって、本発明のいくつかの実施形態では、オーミックコンタクト30が保護層24から確実に間隔を空けて配置されるようにするために、さもなれれば、必要とされることがあるリソグラフィステップは、障壁層22中への不純物注入の結果として、回避される可能性がある。その上、オーミックコンタクト30は、注入領域に形成されてもよいので、このオーミックコンタクトは、非注入領域に形成されたオーミックコンタクトよりも低い抵抗率を有している可能性がある。したがって、本発明のいくつかの実施形態に従って形成されたデバイスのオン抵抗は、小さくなる可能性がある。さらに、本発明のいくつかの実施形態は、特許文献20及び21に述べられているような半導体作製方法を使用することができる。これらの開示は、参照してその全体が本明細書に組み込まれる。
【0117】
図15は、酸化物層33への孔またはリセス3の形成を示している。より詳細には、オーミックコンタクト30および酸化物層33の上にマスク(図示せず)が形成され、リセス3を形成するように酸化物層33がパターニングされる。酸化物層33は、例えば、上述のエッチング技術の1つによって選択的にパターニングされてもよい。リセス3は、酸化物層33を貫通して延在し、保護層24の一部を露出させる。
【0118】
図16は、次のステップでゲート電極が形成されてもよい保護層24の開口または「窓」の形成を示している。図16に示されるように、開口4は、障壁層22の一部を露出させるように保護層24を貫通して形成される。より詳細には、開口4を形成するために、酸化物層33をマスクとして使用して保護層24の露出部分がパターニングされる。酸化物層33のリセス3によって露出された保護層24の部分を、上述のように低損傷エッチング技術を使用して選択的にエッチングすることによって、開口4は形成され、それによって、障壁層22の露出表面への低漏れ(low−leakage)ショットキーゲートコンタクトの形成を容易にすることができる。留意されたいことであるが、このエッチングの等方性(すなわち、アンダーカット)のために、保護層24の開口4は、酸化物層33のリセス3よりも広くなる可能性がある。特定の実施形態では、オーミックコンタクト30は、ソースコンタクトおよびドレインコンタクトを与えることができ、開口4が、また後でゲートコンタクトが、ドレインコンタクトよりもソースコンタクトに近くなるように、開口4は、ソースコンタクトとドレインコンタクトの間で片寄っていてもよい。
【0119】
理解されるべきことであるが、いくつかの実施形態では、障壁層22を露出させるように酸化物層33のリセス3および保護層24の開口4を画定するために、酸化物層33と保護層24の両方を通して単一ステップでエッチングするように低損傷ドライエッチングが使用されてもよい。その上、いくつかの実施形態では、酸化物層33および保護層24は、単一マスクを使用してリセス3および9ならびに開口4および8を画定するようにパターニングされてもよい。もっと一般的には、いくつかのステップは、特定の中間作製ステップを参照して図示され、説明されたが、本発明の特定の実施形態では、組み合わされ、分割され、かつ/または削除されてもよい。
【0120】
ここで図17を参照すると、酸化物層33のリセス3は、第1の開口4よりも広い第2の開口5を画定するように広くされている。そのようなものとして、第2の開口5は、第1の開口4と、第1の開口4の相対する側の保護層24の表面部分を露出させる。酸化物層33のリセス3は、第2の開口5と第1の開口4が自己整合されるように対称的に広げられてもよい。例えば、酸化物層33のリセス3は、緩衝酸化物エッチング液(BOE)を使用して酸化物層33を選択的にエッチングすることによって広くされてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、オーミックコンタクト30の形成で使用される酸化物層33のリセス9は、また、緩衝酸化物エッチング液(BOE)によって対称的に広げられてもよい。
【0121】
したがって、図16および17に示されるように、保護層24は、第1の開口4を形成するために酸化物層33をマスクとして使用して選択的にエッチングされてもよく、酸化物層33のリセス3は、第2の開口5を形成するように第1の開口4のまわりに選択的に広くされてもよい。そのようなものとして、第1の開口4と第2の開口5は、自己整合される可能性がある。いくつかの実施形態では、酸化物層33は、保護層24に対して選択的にエッチングされる可能性のある他の高品質誘電体材料で形成されてもよい。
【0122】
図18は、本発明のさらなる実施形態に従った高電子移動度トランジスタ(HEMT)デバイス200を実現するためのゲート電極32の形成を示している。図18に示されるように、オーミックコンタクト領域は、ソース/ドレインコンタクト領域30であることがある。また、ゲート電極32は、第2の開口5および第1の開口4に形成され、保護層24を貫通して障壁層22の露出部分に接触している。ゲート電極32は、保護層24とゲート電極32の間に隙間が形成されないように、第1の開口の中の保護層24の対向する側壁に直接に形成されてもよい。その上および/または代わりに、高品質二酸化珪素ライナまたは窒化物ライナなどの誘電体ライナ(図示せず)が、第1の開口の中の保護層24の対向する側壁に形成されてもよい。金属−絶縁体−半導体(MIS)HEMTデバイスを形成するように、ゲート電極32が誘電体ライナに直接に形成されてもよい。
【0123】
適切なゲート材料は、障壁層24の組成に依存する可能性がある。しかし、ある特定の実施形態では、窒化物ベースの半導体材料に対してショットキーコンタクトを作ることができる従来の材料、Ni、Pt、NiSi、Cu、Pd、Cr、TaN、Wおよび/またはWSiNなどが、使用されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、ゲート材料は、また、ゲート電極32の形成中にソース/ドレインコンタクト領域30に堆積されてもよい。より詳細には、ゲート材料は、保護層24の第1の開口4の中に、および酸化物層33の第2の開口5およびリセス9の中に堆積されてもよい。次に、ゲート材料は、ゲート材料の部分がリセス9のソース/ドレインコンタクト領域30上に残ったままになるようなやり方でゲート電極32を画定するように、パターニングされてもよい。ソース/ドレインコンタクト領域30上にゲート材料(または、他の導電材料)を形成することで、例えばプローブアクセス(probe access)および/またはワイヤボンディングのために、比較的小さなソース/ドレインコンタクト領域30への接触が容易になる可能性がある。
【0124】
依然として図18を参照すると、ゲート電極32の第1の部分6(「ウィング」または「サイドローブ」とも呼ばれる。)は、第1の開口4の外側に存在する保護層24の表面部分で横方向に延在し、さらに保護層24から縦方向に間隔を空けて配置されたゲート電極32の第2の部分7は、第2の開口5の外側に存在する酸化物層33の部分の上で横方向に延在している。本明細書で使用されるとき、用語「横方向」は、基板の表面に対して実質的に平行な方向を意味する。ゲート電極32の第2の部分7は、第1の部分6を越えて横方向に延在してもよい。言い換えると、ゲート電極32の第1および第2の部分6および7は、階段状外形を画定する。したがって、自己整合(self−aligned)サイドローブ6を有する(modified)修正ガンマゲート32が形成される可能性がある。
【0125】
また、図18に示されるように、上述のように酸化物層33の開口を広くすることによって、第1の開口4と第2の開口5は自己整合される可能性があるので、ゲート電極32の第1の部分6が保護層24上に延在する長さΔLは制御される可能性がある。さらに、ゲート電極32の第2の部分7は、酸化物層33の厚さに基づいて、保護層24から間隔を空けて配置される可能性がある。そのようなものとして、本発明のいくつかの実施形態によると、ゲート電極32の保護層24上への延長によって生じる可能性があるトランジスタデバイスのゲート−ドレインキャパシタンス(cgd)および/またはゲート−ソースキャパシタンス(cgs)もまた、制御される可能性がある。高品質酸化物層33の比較的小さな誘電率は、ゲート−ドレインおよび/またはゲート−ソースキャパシタンスの減少にさらに寄与する可能性がある。
【0126】
ピークゲート−ドレイン電圧VGDに確実に耐えるように、かつ/またはゲート−ドレインキャパシタンスcgdおよび/またはゲート−ソースキャパシタンスcgsを最小限にしかつ/または減少させるように、保護層24の厚さdおよびゲート電極32の第1の部分の長さΔLが、また、最適化されてもよい。例えば、長さΔLは、約0.1マイクロメートル(μm)から約0.6μmであってもよく、厚さdは約200オングストローム(Å)から約2000Åであってもよい。さらに、酸化物層33の厚さdは、約500オングストローム(Å)から約3000Åであってもよい。第1の開口を画定する保護層24の側壁の角度φは、また、例えば約45度から約90度の間で、最適化されてもよい。また、(LG2として示されている)第2の開口の幅は、ゲート長LG1を画定する第1の開口の幅のまわりに自己整合され、対称である。そのようなものとして、ゲート長LG1は、保護層24への開口の形成に基づいて、関心のある動作周波数を得るように調整されてもよい。例えば、ゲート長LG1は、約0.05マイクロメートル(μm)から約2.0μmであってもよい。
【0127】
したがって、本発明のいくつかの実施形態は、Tゲートの肯定的特性の多くを誘電的に支持されたゲート電極、またはガンマゲートの肯定的特性と組み合わせることができる。したがって、自己整合ウィング/サイドローブを有する修正ガンマゲート構造が、比較的小さなゲート抵抗、比較的小さなゲート−ドレインおよび/またはゲート−ソースキャパシタンス、および比較的高い利得を有するように実現される。さらに、ゲート電極と保護層との間の隙間は、減少され、かつ/または生じないようにされる可能性があり、ピーク電界は減少される可能性がある。
【0128】
本発明の実施形態を特定のHEMT構造を参照して本明細書で説明したが、本発明は、そのような構造に限定されるものと解釈すべきでなく、擬似格子整合HEMT(pHEMT)(GaAs/AlGaAs pHEMTを含む)および/またはGaN MESFETなどの多くの異なるトランジスタ構造のゲート電極の形成に応用してもよい。より一般的に、ゲート電極が形成される可能性があり、かつ/または成長されたままの表面特性の維持が絶対必要である可能性がある電子デバイスのいずれにおいても、本発明の実施形態を応用してもよい。例えば、窒化珪素および/またはその他の除去可能な封入剤を、AlGaN金属−半導体−金属(MSM)検出器、RFリミッタダイオード構造、および/または電力スイッチングショットキーダイオードの作製シーケンスにおいて使用することが可能である。
【0129】
また、依然として本発明の教示の恩恵を受けながら、トランジスタデバイスに追加の層が含まれることがある。そのような追加の層には、例えば、非特許文献1または特許文献5に記載されるようなGaNキャップ層がある可能性があり、これらの開示は、あたかも本明細書で完全に述べられたかのように参照して組み込まれる。いくつかの実施形態では、SiNxのような絶縁層、または比較的高品質のAlNが、MISHEMTを作るために、かつ/または表面にパシベーション膜を被せるために、堆積されることがある。これらの追加の層は、また、1つまたは複数の組成傾斜遷移層を含むことがある。さらに、上述の障壁層22は多層を含むことがある。したがって、本発明の実施形態は、障壁層を単一層に限定するように解釈されるべきでなく、例えば、GaN層、AlGaN層および/またはAlN層の組み合わせを有する障壁層を含むことができる。例えば、GaN、AlN構造が、合金散乱を減少させ、または防ぐために利用されることがある。
【0130】
図面および明細書で本発明の代表的な実施形態が開示され、また、特定の用語が使用されたが、これらの用語は、一般的な記述的な意味でだけ使用され、限定する目的に使用されていない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護層を形成するステップであって、前記保護層は、貫通して延在する開口を有するステップと、
ゲート電極の第1の部分が、前記開口の外側に存在する前記保護層の表面部分で横方向に延在するように、かつ、前記保護層から間隔を空けて配置された前記ゲート電極の第2の部分が、前記第1の部分を越えて横方向に延在するように、前記開口内に前記ゲート電極を形成するステップと
を含むことを特徴とするトランジスタを作製する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−58774(P2013−58774A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−237917(P2012−237917)
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【分割の表示】特願2008−551316(P2008−551316)の分割
【原出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(592054856)クリー インコーポレイテッド (468)
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
【Fターム(参考)】