説明

改善されたしきい電圧およびフラットバンド電圧の安定性を有する相補型金属酸化膜半導体(CMOS)構造およびそれを形成する方法(高k誘電体によるCMOSデバイス形成におけるしきい電圧制御を達成するためのバリア層の選択的実装)

【課題】 改善されたしきい電圧およびフラットバンド電圧の安定性を有するCMOS構造を形成する方法およびそれにより生産されたデバイスを提供することにある。
【解決手段】 発明の方法は、nFET領域とpFET領域とを有する半導体基板を設けるステップと、高k誘電体の上に絶縁中間層を含む誘電体スタックを半導体基板の上に形成するステップと、pFET領域から絶縁中間層を除去せずに、nFET領域から絶縁中間層を除去するステップと、pFET領域内に少なくとも1つのゲート・スタックを設け、nFET領域内に少なくとも1つのゲート・スタックを設けるステップとを含む。絶縁中間層はAlNまたはAlOxNyにすることができる。高k誘電体は、HfO2、ハフニウム・シリケート、またはハフニウム酸窒化シリコンにすることができる。絶縁中間層は、HCl/H2O2過酸化水素溶液を含むウェット・エッチングによりnFET領域から除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、半導体デバイスに関し、詳細には、nFETデバイス領域とpFETデバイス領域とを有し、nFETデバイス領域内に絶縁中間層を取り入れずにpFETデバイス領域の少なくとも1つのpFETデバイス内のゲート導体と高kゲート誘電体との間に絶縁中間層を取り入れ、絶縁中間層がnFETデバイス領域内のデバイスのしきい電圧(threshold voltage)Vtおよびフラットバンド電圧(flatband voltage)Vfbに実質的に影響を与えずにpFETデバイスのしきい電圧Vtおよびフラットバンド電圧Vfbを安定化する、相補型金属酸化膜半導体(CMOS:complementary metal oxide semiconductor)構造に関する。
【背景技術】
【0002】
標準的なシリコン相補型金属酸化膜半導体(CMOS)技術では、p型電界効果トランジスタ(pFET:p-type field effect transistor)は、二酸化シリコンまたは酸窒化シリコンのゲート酸化膜層の上に付着させたゲート導体としてホウ素(またはその他の受容体)をドーピングしたp型ポリシリコン層を使用する。ゲート酸化膜層の下のn型シリコン内に反転チャネル(inversion channel)を形成するために、このポリシリコン層を介してゲート電圧が印加される。
【0003】
pFETが適切に動作するためには、この反転は、ポリシリコン(poly−Si)ゲート導体にわずかに負の電圧が印加されたときに発生し始めなければならない。これは、図1に描写されているゲート・スタック構造用のバンド・アライメント(band alignment)の結果として発生する。具体的には、図1は、ゲート・バイアスがゼロのときに典型的なpFET内のpoly−Si/ゲート酸化膜ゲート・スタック全域の近似バンド・アライメントを示している。図1のEc、Ev、およびEfは、それぞれ、シリコン内の伝導帯域端(conduction band edge)、価電子帯域端(valence band edge)、およびフェルミ準位(Fermi level)である。poly−Si/ゲート酸化膜/n型シリコン・スタックは、(基板ドーピング次第で)0V付近で反転し始め、+1V付近で蓄積し始めるキャパシタを形成する。しきい電圧Vtは、反転が発生し始める電圧と解釈することができ、したがって、約0Vであり、フラットバンド電圧Vfbは、キャパシタが蓄積し始める電圧を超えたばかりの電圧であり、約+1Vである。しきい電圧Vtおよびフラットバンド電圧Vfbの正確な値は、シリコン基板内のドーピング・レベルに対する依存性を有し、適切な基板ドーピング・レベルを選択することによってある程度変更することができる。
【0004】
今後の技術では、二酸化シリコンまたは酸窒化シリコン誘電体は、より高い誘電率を有するゲート材料に置き換えられることになる。このような材料は「高k(high k)」材料として知られ、「高k」という用語は、その誘電率が4.0を上回り、好ましくは約7.0を上回る絶縁材を示す。本明細書で言及する誘電率は、特に指定がない限り、真空に関するものである。様々な可能性のうち、酸化ハフニウム、ハフニウム・シリケート、またはハフニウム酸窒化シリコンは、高温におけるその優れた熱安定性のために、従来のゲート誘電体には最も適した置換え候補である可能性がある。
【0005】
残念なことに、酸化ハフニウムまたはハフニウム・シリケートなどの誘電体を使用して、p型電界効果トランジスタを形成する場合、デバイスのフラットバンド電圧Vfbが約+1Vに近いその理想的な位置から約0+/−300mVにシフトすることは周知の問題である。このフラットバンド電圧Vfbのシフトについては、2003 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical PapersにおけるC. Hobbs他による「Fermi Level Pinning at the Poly−Si/Metal Oxide Interface」に公表されている。その結果として、デバイスのしきい電圧Vtは約−1Vにシフトする。このしきい電圧Vtのシフトは、Hfベースのゲート酸化膜層とポリシリコン層との密接な相互作用の結果であると考えられている。あるモデル(たとえば、C. Hobbs他の同文献を参照)では、このような相互作用がポリシリコン/ゲート酸化膜の界面のシリコン・バンド・ギャップ内に状態密度(density of states)の増加を引き起こし、「フェルミ準位ピン止め」に至ると推測している。したがって、しきい電圧Vtは「正しい」場所にはなく、すなわち、使用可能なCMOS(相補型金属酸化膜半導体)技術には高すぎるものである。
【0006】
高kゲート誘電体を取り入れたことにより発生するしきい電圧Vtシフトは、高k誘電体(HfSiO)とポリシリコン・ゲート導体との間に窒化アルミニウム(AlN)などの薄い(5〜15Å)絶縁中間層を使用してかなり制御できることが最近、明らかになった。図2は、参照番号1で示すように2.5nmの厚さのSiO2誘電体層(対照)を有するpFETデバイス、参照番号2で示すように1.0nmのSiO2誘電体層の上に3.0nmのHfSiO高k誘電体を有するpFETデバイス、および参照番号3で示すように1.0nmのSiO2誘電体層の上の3.0nmのHfSiO高k誘電体の上にAlN絶縁中間層を有するpFETデバイスのキャパシタンス対電圧のグラフを描写している。
【0007】
さらに図2を参照すると、1.0nmのSiO2誘電体層の上に3.0nmのHfSiO高k誘電体を有するpFETに関するキャパシタンス対電圧のグラフと1.0nmのSiO2誘電体層の上の3.0nmのHfSiO高k誘電体の上にAlN絶縁中間層を有するpFETデバイスに関するキャパシタンス対電圧のグラフとの比較により、AlN絶縁中間層を取り入れたPFETデバイスのしきい電圧Vtおよびフラットバンド電圧Vfbにおいて約400mVの正のシフトが明らかになり、その場合、しきい電圧Vtおよびフラットバンド電圧Vfbはそれぞれの動作値に向かってシフトしている。
【0008】
しかし、本出願人は、図3に図示するように、nFETデバイス内のポリシリコン・ゲート導体と高k誘電体との間のAlN絶縁中間層が存在することにより、不都合なことに、正のしきい電圧Vtシフトが発生すると判断している。図3は、参照番号1′で示すように2.5nmの厚さのSiO2誘電体層(対照)を有するnFETデバイス、参照番号2′で示すように1.0nmのSiO2誘電体層の上に3.0nmのHfSiO高k誘電体を有するnFETデバイス、および参照番号3′で示すように1.0nmのSiO2誘電体層の上の3.0nmのHfSiO高k誘電体の上にAlN絶縁中間層を有するnFETデバイスに関するキャパシタンス対電圧の曲線を描写している。
【0009】
1.0nmのSiO2誘電体層の上の3.0nmのHfSiO高k誘電体の上にAlN絶縁中間層を有するnFETデバイスに関するキャパシタンス対電圧のグラフと2.5nmの厚さのSiO2誘電体層(対照)を有するnFETに関するキャパシタンス対電圧のグラフとの比較により、2.5nmの厚さのSiO2誘電体層(対照)を有するnFETに関するキャパシタンス対電圧のグラフから約400mV程度のしきい電圧Vtの正のシフトが明らかになる。nFETデバイス内にAlN絶縁中間層を取り入れたことによるしきい電圧Vtの正のシフトは、AlN絶縁中間層のないpFETデバイスのしきい電圧Vtの元の負のシフトと同様に好ましくない特性である。
【0010】
下にあるnFETデバイス領域表面を破壊するかまたはpFETデバイス領域からAlN絶縁層を除去せずに、nFETデバイス領域からAlN絶縁層を除去するための従来の方法は知られていない。KOHなどの従来のエッチング液またはドライ反応性エッチング技法は、下にある高k誘電体に及ぼすその有害な影響のために望ましくない。
【0011】
しきい電圧Vtおよびフラットバンド電圧Vfbのシフトの制御に関する前述の問題を考慮すると、nFETデバイスとpFETデバイスの両方についてしきい電圧Vtおよびフラットバンド電圧Vfbを同時に安定化することができる高kゲート誘電体CMOS技術を開発することはほぼ不可能であった。このため、高k誘電体を含むゲート・スタックを含有するnFETデバイスとpFETデバイスの両方についてしきい電圧Vtおよびフラットバンド電圧Vfbを安定化することができる方法および構造が必要である。
【特許文献1】米国特許第6451079号
【非特許文献1】2003 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical PapersにおけるC. Hobbs他による「Fermi Level Pinning at the Poly−Si/Metal Oxide Interface」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の一目的は、nFETデバイスとpFETデバイスの両方についてしきい電圧Vtおよびフラットバンド電圧Vfbを安定化するCMOS構造を提供することにある。本発明の他の目的は、pFETデバイス内にのみ存在する絶縁中間層、たとえば、AlNを有するCMOS構造であって、その絶縁中間層がnFETデバイスのしきい電圧およびフラットバンド電圧の安定性を低下させずにpFETデバイスのしきい電圧Vtおよびフラットバンド電圧Vfbを安定化するCMOS構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、高k誘電体とゲート導体との間に絶縁中間層を設けることにより、pFETデバイス内のしきい電圧Vtおよびフラットバンド電圧Vfbを有利に安定化し、その絶縁中間層は空間分離により高kゲート誘電体とゲート導体との相互作用を防止する。nFETデバイス内に絶縁中間層を取り入れたことによるしきい電圧Vtおよびフラットバンド電圧Vfbのシフトは、nFETデバイスにエッチングを施すかまたはpFETデバイス領域から絶縁中間層を除去せずに、nFETデバイスから絶縁中間層を除去することによって安定化される。大まかに言うと、高k誘電体のpFETおよびnFETデバイスを有するCMOS構造を提供するための発明の方法は、
第1のデバイス領域と第2のデバイス領域とを有する半導体基板を設けるステップと、
前記第1のデバイス領域と前記第2のデバイス領域とを含む前記半導体基板の上に誘電体スタックを形成するステップであって、前記誘電体スタックが高k誘電体の上に絶縁中間層を有するステップと、
前記第2のデバイス領域から前記絶縁中間層を除去せずに、前記第1のデバイス領域から前記絶縁中間層を除去するステップと、
前記第2のデバイス領域内の前記絶縁中間層および前記第1のデバイス領域内の前記高k誘電体の上にゲート導体を形成するステップと、
前記ゲート導体、前記絶縁中間層、および前記高k誘電体にエッチングを施して、前記第2のデバイス領域内に少なくとも1つのゲート・スタックを設け、前記第1のデバイス領域内に少なくとも1つのゲート・スタックを設けるステップと、
を含む。
【0014】
本発明により、第1のデバイス領域はnFETデバイスが形成される領域であり、第2のデバイス領域はpFETデバイスが形成される領域である。本発明で使用される絶縁中間層は、空間分離により高kゲート誘電体とゲート導体との相互作用を防止することができる任意の絶縁材である。そのうえ、本発明で使用される絶縁中間層は、その追加によりゲート・キャパシタンスの減少(直列キャパシタンス効果(series capacitance effect)による)が最小限になるように十分に高い誘電率(約4.0またはそれ以上程度)を有する。本発明の絶縁中間層は、実質的に、下にある高kゲート誘電体に対して非反応性であり、したがって、シリサイドを形成する高kゲート誘電体と反応しない。また、本発明の絶縁中間層は、上にあるゲート導体に対しても非反応性である。
【0015】
発明の絶縁中間層のもう1つの特有の特徴は、シリコンがそれを還元できないように化学的に安定していることである。発明の絶縁中間層の何らかの解離(dissociation)が発生する可能性がある場合、発明の絶縁中間層は、シリコンに対するn型ドーパントであってはならない。むしろ、デバイスのパフォーマンスが悪影響を受けないように、発明の絶縁中間層はp型ドーパントまたは中性ドーパントのいずれかにすることができる。また、本発明で使用される絶縁中間層は、高温(標準的なCMOS処理に特有の約1000℃)に耐えられる耐火化合物でなければならない。
【0016】
前述の基準に適合し、したがって、本発明の絶縁中間層として使用される絶縁材は、任意選択でそこに酸素を含むことができる任意の絶縁窒化金属、すなわち、窒化金属含有材料を含む。絶縁中間層の例としては、窒化アルミニウム(AlN)、酸窒化アルミニウム(AlOxy)、窒化ホウ素(BN)、酸窒化ホウ素(BOxy)、窒化ガリウム(GaN)、酸窒化ガリウム(GaON)、窒化インジウム(InN)、酸窒化インジウム(InON)、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。絶縁中間層は、高kゲート誘電体とゲート導体との間に位置する薄い中間層である。典型的には、絶縁中間層は約1〜約25Åの範囲内の厚さを有し、約2〜約15Åの厚さがより典型的である。絶縁中間層は付着または熱成長によって形成される。この付着は、めっき、スパッタリング、原子層化学的気相堆積(ALCVD:atomic layer chemical vapor deposition)、または有機金属化学的気相堆積(MOCVD:metal organic chemical vapor deposition)を含む。
【0017】
高k誘電体は、4.0を上回り、好ましくは7.0を上回る誘電率を有する任意の誘電体材料を含む。本発明の非常に好ましい一実施形態では、高k誘電体は、HfO2、ハフニウム・シリケート、またはハフニウム酸窒化シリコンを含む。高k誘電体は付着または熱成長によって形成される。熱成長は、酸化、窒化、または酸窒化、あるいはこれらの組み合わせを含むことができる。付着は、化学的気相堆積(CVD)、プラズマ・エンハンスCVD(PECVD:plasma-enhanced CVD)、有機金属化学的気相堆積(MOCVD)、高密度化学的気相堆積(HDCVD:high-density chemical vapor deposition)、めっき、スパッタリング、蒸着、または化学溶液付着、あるいはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0018】
第2のデバイス領域から絶縁中間層を除去せずに、第1のデバイス領域から絶縁中間層を除去することは、第1のデバイス領域が露出される第2のデバイス領域の上にブロック・マスクを形成することと、第1のデバイス領域から絶縁中間層にエッチングを施すことを含むことができる。絶縁中間層には、第2のデバイス領域内に位置決めされたブロック・マスクと第1のデバイス領域内の絶縁中間層の下に位置決めされた高k誘電体の部分とに実質的にエッチングを施さずに絶縁中間層を除去するエッチング化学(etch chemistry)によってエッチングを施すことができる。
【0019】
本発明の他の態様は、上記の方法によって提供されるCMOS構造である。大まかに言うと、本発明は、
第1のデバイス領域と第2のデバイス領域とを有する半導体基板を含み、
前記第1のデバイス領域が、第1の高kゲート誘電体と第1のゲート導体とを含む少なくとも1つの第1のゲート・スタックを含み、
前記第2のデバイス領域が、第2の高k誘電体と、前記高kゲートの上の絶縁中間層と、前記絶縁層の上の第2のゲート導体とを含む少なくとも1つの第2のゲート・スタックを含み、前記絶縁中間層が、前記第1のデバイス領域のしきい電圧およびフラットバンド電圧をシフトせずに、前記第2のデバイス領域のしきい電圧およびフラットバンド電圧を安定化することができる、
CMOS構造を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、nFETデバイス内に絶縁中間層を取り入れずに少なくとも1つのpFETデバイスの高kゲート誘導体とゲート導体との間に絶縁中間層(たとえば、AlN中間層)を有し、絶縁中間層の位置決めによりpFETデバイスとnFETデバイスの両方についてしきい電圧Vtおよびフラットバンド電圧Vfbを安定化するCMOS構造と、それを形成する方法とを提供する本発明について、より詳細に説明する。「絶縁中間層」という用語は、窒化金属材料および酸窒化金属材料を含むことができる窒化金属含有中間層を示す。
【0021】
図4を参照すると、同図は、本発明のCMOS構造10を示す図表現(断面図によるもの)である。具体的には、CMOS構造10は、分離領域30によって分離されたpFETデバイス領域15とnFETデバイス領域25とを有する半導体基板12を含む。図面では1つの基板12上に2つの電界効果トランジスタ(FET)のみが存在することを示しているが、複数のFETも本発明の範囲内である。
【0022】
pFETデバイス領域15は、p型ソース/ドレイン領域13を有する少なくとも1つのpFETを含む。それぞれのpFETは、高k誘電体20の上の絶縁中間層22の上にゲート導体24を有するゲート領域18を含む。少なくとも1組の側壁スペーサ6は、ゲート導体24に隣接して位置決めされている。
【0023】
nFETデバイス領域25は、n型ソース/ドレイン領域14を有する少なくとも1つのnFETを含む。それぞれのnFETは、高k誘電体20の上にゲート導体24を含むゲート領域18をさらに含み、ゲート導体24には少なくとも1組の側壁スペーサ6が隣接している。
【0024】
図4に描写されている構造の1つの態様は、nFETデバイスのしきい電圧Vtおよびフラットバンド電圧VfbをシフトせずにpFETデバイス内のしきい電圧Vtおよびフラットバンド電圧Vfbを安定化するように絶縁中間層22が位置決めされ、それにより、適切なしきい電圧およびフラットバンド電圧を有するCMOSトランジスタの形成に対する解決策を提供することである。
【0025】
本発明で使用される絶縁中間層22は、(i)空間分離により高kゲート誘電体20とゲート導体24との相互作用を防止できること、(ii)その追加によりゲート・キャパシタンスの減少(直列キャパシタンス効果による)が最小限になるように十分に高い誘電率(約4.0またはそれ以上程度)を有すること、(iii)pFETデバイス領域15内のゲート導体24の近界面Si含有材料のp型動作を保証するために近界面層内でp型ドーパントの供給を可能にするために少なくとも部分的に解離できること、(iv)高kゲート誘導体20からゲート導体24への原子の外方拡散を防止できること、および(v)ゲート導体24の下の酸化を防止できることという特性のうち少なくとも1つを有する。
【0026】
絶縁中間層22の例としては、窒化アルミニウム(AlN)、酸窒化アルミニウム(AlOxy)、窒化ホウ素(BN)、酸窒化ホウ素(BOxy)、窒化ガリウム(GaN)、酸窒化ガリウム(GaON)、窒化インジウム(InN)、酸窒化インジウム(InON)、およびこれらの組み合わせを含む。非常に好ましい一実施形態では、絶縁中間層22はAlNである。次に、図4に図示されている構造の様々な構成要素ならびにそれを形成する際に使用できるプロセスについて、図5〜図8を参照してより詳細に説明する。
【0027】
図5を参照すると、初期処理ステップ中に、高k誘電体20および絶縁中間層22からなるブランケット層が半導体基板12の表面上に形成される。本発明によれば、高k誘電体20は絶縁中間層22と半導体基板12との間に位置する。
【0028】
本発明で使用される半導体基板12は、Si、Ge、SiGe、SiC、SiGeC、Ga、GaAs、InAs、InP、およびその他のすべてのIII/VまたはII/VIの化合物半導体を含むが、これらに限定されない任意の半導体材料を含む。また、半導体基板12は、Si/SiGe、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、またはSiGeオン・インシュレータ(SGOI)などの有機半導体または層状半導体も含むことができる。本発明のいくつかの実施形態では、半導体基板12がSi含有半導体材料、すなわち、シリコンを含む半導体材料から構成されることが好ましい。半導体基板12は、ドープありであるか、ドープなしであるか、またはドープあり領域およびドープなし領域をそこに含むことができる。
【0029】
また、半導体基板12は、第1のドープ(nまたはp)領域と第2のドープ(nまたはp)領域とを含むこともできる。明瞭にするため、本出願の図面にはドープ領域が具体的に図示されていない。第1のドープ領域と第2のドープ領域は、同じである場合もあれば、異なる導電率またはドーピング濃度あるいはその両方を有する場合もある。これらのドープ領域は「ウェル(well)」として知られている。
【0030】
次に、典型的には、少なくとも1つの分離領域30が半導体基板12内に形成される。分離領域30は、トレンチ分離領域またはフィールド酸化膜分離領域にすることができる。トレンチ分離領域は、当業者にとって周知の従来のトレンチ分離プロセスを使用して形成される。たとえば、トレンチ分離領域を形成する際に、リソグラフィ、エッチング、およびトレンチ誘電体によるトレンチ充填を使用することができる。任意選択で、トレンチ充填の前にトレンチ内にライナを形成することができ、トレンチ充填後に焼き締め(densification)ステップを実行することができ、トレンチ充填後に平坦化プロセスを続けることもできる。フィールド酸化膜は、いわゆる選択酸化(local oxidation of silicon)プロセスを使用して形成することができる。少なくとも1つの分離領域が隣接ゲート領域間の分離を可能にし、典型的には、隣接ゲートが反対方向の導電性を有するときに必要であることに留意されたい。隣接ゲート領域は同じ導電性(すなわち、いずれもn型またはp型)を有することができるか、あるいは異なる導電性(すなわち、一方がn型でもう一方がp型)を有することもできる。
【0031】
半導体基板12内に少なくとも1つの分離領域30を形成した後、その構造の表面上に高kゲート誘電体20が形成される。高kゲート誘電体20は、たとえば、酸化、窒化、または酸窒化などの熱成長プロセスによって形成することができる。代わって、高kゲート誘電体20は、たとえば、化学的気相堆積(CVD)、プラズマ利用(plasma-assisted)CVD、有機金属化学的気相堆積(MOCVD)、原子層付着(ALD)、蒸着、反応スパッタリング、化学溶液付着、およびその他の同様の付着プロセスなどの付着プロセスによって形成することができる。また、高kゲート誘電体20は、上記のプロセスの任意の組み合わせを使用して形成することもできる。
【0032】
高kゲート誘電体20は、約4.0を上回り、好ましくは7.0を上回る誘電率を有する絶縁材からなる。具体的には、本発明で使用される高kゲート誘電体20は、酸化物、窒化物、酸窒化物、または、金属シリケートおよび窒化金属シリケートを含むシリケート、あるいはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。一実施形態では、ゲート誘電体20は、たとえば、HfO2、ZrO2、Al23、TiO2、La23、SrTiO3、LaAlO3、Y23、およびこれらの混合物などの酸化物から構成されることが好ましい。高k誘電体20の非常に好ましい例としては、HfO2、ハフニウム・シリケート、およびハフニウム酸窒化シリコンを含む。
【0033】
高kゲート誘電体20の物理的厚さは変化する可能性があるが、典型的には、高kゲート誘電体20は約0.5〜約10nmの厚さを有し、約0.5〜約3nmの厚さがより典型的である。これは、まず基板の上に付着される酸化シリコンまたは酸窒化シリコンの薄い層(約0.1〜約1.5nm程度)の上に付着させることができる。
【0034】
本発明の一実施形態では、高k誘電体は、当技術の範囲内で知られているブロック・マスクを使用して、基板の複数部分の上に選択的に付着させることができる。この実施形態では、nFETなどの第1のデバイス・タイプ用の第1の高k誘電体を設けるために基板の第1の部分を処理することができ、pFETなどの第2のデバイス・タイプ用の第2の高k誘電体を設けるために基板の第2の部分を処理することができる。
【0035】
次に、高kゲート誘電体20のブランケット層の上に絶縁中間層22が形成される。本発明の絶縁中間層22は、高kゲート誘電体20とその後形成されるゲート導体24との相互作用を防止する化学的中間層である。本発明の絶縁中間層22は、下にある高kゲート誘電体20に対して実質的に非反応性であり(それがドーパント源として作用するときなどに、わずかなまたは部分的な分解が発生する可能性がある)、したがって、高kゲート誘電体20と反応してシリサイドを形成することはない。発明の絶縁中間層22のもう1つの特有の特徴は、シリコンがその発明の絶縁中間層22を還元できないことである。発明の中間層22の何らかの解離が発生する可能性がある場合、発明の中間層22は、デバイス・パフォーマンスが悪影響を受けないように、p型ドーパントまたは中性ドーパントのいずれかでなければならない。好ましくは、p型ドーパントは、nFETデバイスがその後形成されるデバイスの部分内に解離しない。また、本発明で使用される絶縁中間層22は、高温(標準的なCMOS処理に特有の約1000℃)に耐えられる耐火化合物でなければならない。
【0036】
前述の基準に適合し、したがって、本発明の絶縁中間層22として使用される絶縁材は、任意選択でそこに酸素を含むことができる任意の絶縁窒化金属を含む。絶縁中間層の例としては、窒化アルミニウム(AlN)、酸窒化アルミニウム(AlOxy)、窒化ホウ素(BN)、酸窒化ホウ素(BOxy)、窒化ガリウム(GaN)、酸窒化ガリウム(GaON)、窒化インジウム(InN)、酸窒化インジウム(InON)、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。本発明の好ましい一実施形態では、絶縁中間層22はAlNまたはAlOxyである。絶縁中間層22は、典型的には、約1〜約25Åの厚さを有し、約2〜約15Åの厚さがより典型的である、薄い層である。
【0037】
絶縁中間層22は、たとえば、化学的気相堆積(CVD)、プラズマ利用CVD、アルミニウムおよび窒素ベースの前駆物質を使用する原子層付着(ALD)、原子または分子の窒素(任意選択で励起種(excited species)にすることができるもの)および任意選択で酸素のビームまたは環境とともに金属が蒸着される物理的気相堆積または分子線蒸着、有機金属化学的気相堆積(MOCVD)、原子層付着、スパッタリングなどの様々な付着プロセスによって形成することができる。代わって、絶縁中間層22は、前に付着させた絶縁金属層の熱窒化または酸窒化によって形成することができる。代わって、金属の酸窒化物は、まず、窒化金属を付着させ、次に酸窒化物を形成するために適切な酸素環境で部分酸化を行うことによって形成することができる。
【0038】
中間絶縁層22を形成する1つの好ましい方法は、抵抗加熱された標準的なAl噴出セル(effusion cell)からのAlを高真空下で蒸着させ、窒素、または商用無線周波数(RF)の原子の窒素からの酸素および窒素ビーム、あるいは窒素および酸素源を使用することによって行われる。窒化物のみの付着の場合、単一RF窒素源で十分である。酸窒化物の場合、第2のRF酸素源を使用することもできる。代わって、酸素は、RF源なしに単純に分子線として送達することができる。高真空下で蒸着させるプロセスは、たとえば、米国特許第6451079号に記載されている。噴出セルは、典型的には、蒸着プロセス中に約1000℃〜1200℃の温度を有する。蒸着プロセスは、典型的には、約200〜450Wの電力と、約1〜3sccmの流量とを有するRF源を使用して実行される。これらの数字も、問題なしに規定された境界から広く変化させることができる。基板温度は、典型的には、付着中に150℃〜650℃の範囲に保持される。また、付着温度も規定された範囲外に変更させることができる。基本真空チャンバ圧力は、典型的には、約5×10-10〜2×10-9トルである。
【0039】
これを形成する際に使用される技法にもかかわらず、本発明で形成される絶縁中間層22は、高kゲート誘電体20の上に存在する連続的で均一な層である。「連続的」とは、絶縁中間層22が実質的な断絶または空隙あるいはその両方をまったく含まないことを意味し、「均一」とは、絶縁中間層22がその構造全域にわたって、付着させた通りにほぼ同じ厚さを有することを意味する。絶縁中間層22はアモルファスにすることができ、特定の結晶構造を欠く可能性があることを意味する。絶縁中間層22は、使用される材料ならびにこれを形成する際に使用される技法次第で、アモルファスに加えてその他の相で存在することもできる。
【0040】
図6を参照すると、絶縁中間層22の形成後に、基板12のうち、その後pFETが形成される部分を保護するブロック・マスク50が形成される。基板のこの部分は、以下、pFETデバイス領域15という。ブロック・マスクによって保護されていない基板の露出部分は、その後、nFETデバイスを提供するように処理され、以下、nFETデバイス領域25という。
【0041】
ブロック・マスク50は、従来のソフトマスク材料またはハードマスク材料あるいはその両方を含むことができ、付着、フォトリソグラフィ、およびエッチングを使用して形成することができる。好ましい一実施形態では、ブロック・マスク50はフォトレジストを含む。フォトレジスト・ブロック・マスク50は、フォトレジスト層を基板12の表面に施し、フォトレジスト層を放射パターンにさらし、次に従来のレジスト現像剤を使用してフォトレジスト層内にパターンを現像することによって形成することができる。
【0042】
代わって、ブロック・マスク50はハードマスク材料にすることができる。ハードマスク材料は、化学的気相堆積(CVD)および関連方法によって付着させることができる誘電体システムを含む。典型的には、ハードマスクの組成としては、酸化シリコン、炭化シリコン、窒化シリコン、炭窒化シリコンなどを含む。シルセキオキサン(silsequioxane)、シロキサン、ボロリン酸シリケート・ガラス(BPSG:boron phosphate silicate glass)を含むが、これらに限定されないスピン・オン誘電体(spin-on dielectrics)もハードマスク材料として使用することができる。ハードマスク材料を含むブロック・マスク50は、ハードマスク材料の層をブランケット付着させ、ハードマスク材料の層の上にパターン付きフォトレジストを設け、次にハードマスク材料の層にエッチングを施して、pFETデバイス領域15を保護するブロック・マスク50を形成することによって形成することができ、そのエッチングはパターン付きフォトレジストとnFETデバイス領域25の表面に対して高い選択性を有するエッチング化学を含む。
【0043】
さらに図6を参照すると、次のプロセス・ステップでは、高度に選択的なエッチング・プロセスを使用して、nFETデバイス領域25から絶縁中間層22の露出部分が除去される。この高度に選択的なエッチングは、好ましくは、下にある高k誘電体20またはpFETデバイス領域15を保護するブロック・マスク50に実質的にエッチングを施さずに、nFETデバイス領域25から絶縁中間層22の露出部分を除去するエッチング化学を含む。
【0044】
好ましくは、ウェット・エッチングにより、下にある高k誘電体20またはブロック・マスク50にエッチングを施さずに、nFETデバイス領域25から絶縁中間層22を除去する。好ましい一実施形態では、このエッチング化学により、下にあるハフニウム・シリケート高k誘電体20に実質的にエッチングを施さずに、AlN絶縁中間層22を除去する。
【0045】
従来のエッチング方法では、下にある高k誘電体20にエッチングを施さずに、AlNを選択的に除去することができない。たとえば、KOHなどのウェット・エッチング液またはRIEなどのドライ・エッチング技法は、下にある高k誘電体20に有害な影響を及ぼす。
【0046】
本発明の好ましい一実施形態では、ウェット・エッチング化学はHClおよび過酸化水素の溶液を含み、好ましい濃度はHCl:H22が3:1である。HCl/過酸化水素の溶液に加えて、エッチング化学が高k誘電体20を攻撃しない限り、その他の無機酸および酸化剤によって同じ結果をもたらすことができることが提案されている。酸化剤としては、過酸化水素、硝酸塩、亜硝酸塩、過塩素酸塩、塩素酸塩、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、過硫酸塩、またはこれらの組み合わせを含むことができる。無機酸としては、硫酸、リン酸、またはこれらの組み合わせを含むことができる。エッチング速度は、エッチング化学のpHの影響を受ける可能性がある。エッチング化学のpHは、約1〜約8の範囲にすることができ、好ましくは約2〜約6の範囲であり、最も好ましくは約2.8である。エッチング配合物は発熱反応中に混合することができる。ウェット・エッチングは、酸素含有環境で行うことができ、室温または高温で行うことができる。好ましくは、エッチング温度は15℃〜80℃である。エッチング後、ブロック・マスク50は化学的剥離(chemical strip)を使用して除去され、基板12は脱イオン水ですすぎ洗いされ、N2環境で乾燥される。
【0047】
次に図7を参照すると、次のプロセス・ステップでは、pFETデバイス領域15およびnFETデバイス領域25に少なくとも1つのゲート導体24が形成される。ゲート導体24は、当業者に知られている任意の導電材料を含むことができる。たとえば、ゲート導体材料は、ポリシリコンを含むことができるが、SiGe、SiGeC、金属シリサイド、金属窒化物、金属(たとえば、W、Ir、Re、Ru、Ti、Ta、Hf、Mo、Nb、Ni、Al)、または上記のものの組み合わせから構成することもできる。少なくとも1つのゲート導体は、化学的気相堆積(CVD)、プラズマ・エンハンス化学的気相堆積(PECVD)、高密度化学的気相堆積(HDCVD)、めっき、スパッタリング、蒸着、または化学溶液付着を使用して付着させることができる。
【0048】
pFETデバイス領域15およびnFETデバイス領域25に形成されたゲート導体24は、同じ材料または異なる材料にすることができる。両方のゲート導体24が異なる材料を含む実施形態では、ブロック・マスクを使用して、pFETデバイス領域15およびnFETデバイス領域25内のゲート導体24の材料を選択的に処理することができる。
【0049】
ゲート導体がSi含有材料を含む本発明の一実施形態では、物理的気相堆積、CVD、または蒸着を含むがこれらに限定されない既知の付着プロセスを使用して、pFETデバイス領域15内の絶縁中間層22の上およびnFETデバイス領域25内の高k誘電体20の上にSi含有材料のブランケット層が形成される。
【0050】
ゲート導体24を形成する際に使用されるSi含有材料は、単結晶、多結晶、またはアモルファスの形のSiまたはSiGe合金層を含む。本明細書では前述のSi含有材料の組み合わせも企図されている。Si含有材料のブランケット層はドープありまたはドープなしにすることができる。ドープありの場合、これを形成する際にその部位でのドーピング付着プロセスを使用することができる。
【0051】
代わって、ドープありSi含有層は、付着、イオン注入、およびアニーリングによって形成することができる。Si含有層のドーピングは、形成されるゲート導体24の仕事関数をシフトすることになる。ドーパント・イオンの例示的な例としては、As、P、B、Sb、Bi、In、Al、Ga、またはこれらの混合物を含み、好ましくはPである。本発明のこの時点で付着されるSi含有層の厚さ、すなわち、高さは、使用される付着プロセス次第で変化する可能性がある。典型的には、Si含有層は、約20〜約180nmの垂直厚さを有し、約40〜約150nmの厚さがより典型的である。
【0052】
ゲート導体材料のブランケット層の付着後、たとえば、物理的気相堆積または化学的気相堆積などの付着プロセスを使用して、ゲート導体材料のブランケット層の上に誘電体キャップ層(図示せず)を形成することができる。誘電体キャップ層は、酸化物、窒化物、酸窒化物、またはこれらの任意の組み合わせにすることができる。誘電体キャップ層の厚さ、すなわち、高さは、約20〜約180nmであり、約30〜約140nmの厚さがより典型的である。
【0053】
次に、nFETデバイス領域25およびpFETデバイス領域15内に少なくとも1つのパターン付きゲート・スタック18を設けるために、リソグラフィおよびエッチングにより、pFETデバイス領域15内の誘電体キャップ(存在する場合)、ブランケット・ゲート導体層、および任意選択で絶縁中間層22、高kゲート誘電体20と、nFETデバイス領域25内の高kゲート誘電体にパターン形成する。複数のパターン付きゲート・スタック18が形成される場合、ゲート・スタック18は同じ寸法、すなわち、長さを有する場合もあれば、デバイス・パフォーマンスを改善するために可変寸法を有する場合もある。本発明のこの時点での各パターン付きゲート・スタック18は少なくともゲート導体24を含む。
【0054】
リソグラフィ・ステップは、ブランケット層構造の上面にフォトレジストを施すことと、フォトレジストを所望の放射パターンにさらすことと、従来のレジスト現像剤を使用して露出したフォトレジストを現像することを含む。次に、1つまたは複数のドライ・エッチング・ステップを使用して、その構造にフォトレジストのパターンを転写する。いくつかの実施形態では、ブランケット層構造の層の1つにパターンが転写された後、パターン付きフォトレジストを除去することができる。他の実施形態では、エッチングが完了した後にパターン付きフォトレジストが除去される。
【0055】
パターン付きゲート・スタックを形成する際に本発明で使用できる適切なドライ・エッチング・プロセスは、反応性イオン・エッチング、イオン・ビーム・エッチング、プラズマ・エッチング、またはレーザ・アブレーションを含むが、これらに限定されない。使用されるドライ・エッチング・プロセスは、典型的には、nFETデバイス領域25内の下にある高k誘電体20およびpFETデバイス領域15内の絶縁中間層22に対して選択的なものであるが、必ずそうであるわけではない。したがって、このエッチング・ステップは、典型的には、絶縁中間層22および高k誘電体20の露出部分を除去するわけではない。しかし、いくつかの実施形態では、このエッチング・ステップを使用して、高k誘電体20および絶縁中間層22のうち、前にエッチングが施され、ゲート導体24によって保護されていない部分を除去することもできる。
【0056】
図8を参照すると、典型的には、各パターン付きゲート・スタック18の露出した側面上に少なくとも1組のスペーサ6が形成されるが、必ずそうであるわけではない。少なくとも1組のスペーサ6は、酸化物、窒化物、酸窒化物、またはこれらの任意の組み合わせなどの絶縁体から構成される。少なくとも1組のスペーサ6は、付着およびエッチングによって形成される。
【0057】
少なくとも1つのスペーサ6の幅は、ソースおよびドレイン・シリサイド接点(その後形成される)がゲート・スタックの両端の下に侵入しないように、十分広くなければならない。典型的には、少なくとも1つのスペーサの幅が、底面で測定した場合に約20〜約80nmであるときに、ソース/ドレイン・シリサイドはゲート・スタックの両端の下に侵入しない。
【0058】
また、ゲート・スタック18を熱酸化、窒化、または酸窒化プロセスにかけることにより、本発明のこの時点でゲート・スタック18を不動態化することもできる。この不動態化ステップは、ゲート・スタックの周りに不動態化材料の薄い層を形成する。このステップは、前のスペーサ形成ステップの代わりにまたはそれとともに使用することができる。スペーサ形成ステップとともに使用する場合、スペーサ形成は、ゲート・スタック不動態化プロセス後に行われる。
【0059】
次に、基板内にソース/ドレイン拡散領域13、14(スペーサの有無は問わない)が形成される。ソース/ドレイン拡散領域13、14は、イオン注入およびアニーリング・ステップを使用して形成される。pFETデバイス領域15内にp型ソース/ドレイン拡散領域13が形成され、nFETデバイス領域25内にn型ソース/ドレイン拡散領域14が形成される。アニーリング・ステップは、前の注入ステップによって注入されたドーパントを活性化する働きをする。イオン注入およびアニーリングの条件は当業者には周知のものである。
【0060】
ソース/ドレイン拡散領域13、14は拡張注入領域も含むことができ、これは、対応するソース/ドレイン拡散領域と同じドーパント型を有する従来の拡張注入を使用して、ソース/ドレイン注入の前に形成される。拡張注入に続いて活性化アニールを行うか、代わって、拡張注入中にドーパントを注入することができ、同じ活性化アニール・サイクルを使用してソース/ドレイン注入を活性化することができる。また、本明細書ではハロー注入も企図されている。
【0061】
次に、前に除去されていない場合、高度に選択的な化学エッチング・プロセスを使用して、nFETデバイス領域25から高k誘電体20の露出部分が除去され、pFETデバイス領域15から絶縁中間層22および高k誘電体20が除去される。このエッチング・ステップは半導体基板12の上面で停止する。高k誘電体20および絶縁中間層22の露出部分を除去する際に任意の化学エッチング液を使用することができるが、一実施形態では、希フッ化水素酸(DHF:dilute hydrofluoric acid)が使用される。
【0062】
上述の様々な組み合わせおよび実施形態のうち、本発明の特定の好ましいCMOS構造は、高kゲート誘電体20がHfO2、ハフニウム・シリケート、またはハフニウム酸窒化シリコンから構成され、絶縁中間層22がAlNから構成され、それが任意選択で何らかの酸素をそこに含むことができるものである。本明細書では特に好ましい構造のその他の変形例および置換例も企図されており、これらは除外すべきではない。
【0063】
シリサイド化接点(ソース/ドレインおよびゲート)の形成ならびに金属相互接続とのBEOL(バックエンド・オブ・ザ・ライン)相互接続レベルの形成などの追加のCMOS処理は、当業者にとって周知の処理ステップを使用して形成することができる。
【0064】
以下の実施例は、発明の絶縁中間層22がpFETデバイス内のみに位置決めされ、nFETデバイスから除去されている、CMOS構造の重要性を実証するための例示のために提供されている。
【0065】
実施例1
この実施例では、pFETデバイス領域からnFETデバイス領域を分離する分離領域により事前パターン形成されたシリコン基板上にHf酸化物またはシリケート層(高k誘電体)を成長させた。有機金属化学的気相堆積(MOCVD)および原子層化学的気相堆積(ALCVD)を使用して、Hf酸化物およびシリケートを付着させた。Hf酸化物およびシリケート層の厚さは約2nm〜約4nmの範囲であり、シリケートの場合、その組成はおおよそHfxSiy4であり、y/(x+y)は約0.2〜0.3であった。0.3nm〜1.2nmの厚さの酸化シリコンまたは酸窒化シリコンのコーティングを有するn型シリコン・ウェハ上にこれらの酸化物を付着させた。この酸化シリコンまたは酸窒化シリコンのコーティングの存在は任意選択である。
【0066】
Hf酸化物およびシリケートの付着後に、窒化アルミニウム付着(絶縁中間層)のための超高真空付着チャンバ内にウェハを装填した。抵抗加熱された標準的なAl噴出セルからのAlを蒸着し、商用無線周波数原子窒素源からの窒素ビームを使用することにより、窒化アルミニウムを付着させた。この噴出セルは動作中に1000℃〜1200℃の温度であった。200〜450Wの範囲で1〜3sccmの窒素流量で原子窒素源を動作させた。付着中に基板温度を150℃〜650℃の間に保持した。基本真空チャンバ圧力は約5×10-10〜2×10-9トルであった。AlN付着中に圧力は1×10-5トルの範囲まで上昇した。約0.5nm〜約2.0nmの範囲の厚さまでAlN層を付着させた。
【0067】
次に基板を取り出し、HCl:H22過酸化水素溶液でエッチングを施してAlN層を除去し、外部熱は一切供給しなかった。このエッチング液の濃度は1を上回るHClと1.5を上回るH22とを含み、酸性溶液を用意した。好ましい濃度はHCl:H22が3:1である。上述の濃度の選択によるpHがエッチング速度に影響を及ぼすことは留意すべきである。エッチング後、基板を脱イオン水ですすぎ洗いし、N2環境で乾燥させて、Hf酸化物表面を有する基板を用意した。
【0068】
次に、標準的な手順を使用する化学的気相堆積を使用して、約150nmの厚さまで基板表面の上にアモルファス・シリコン層(ゲート導体層)を付着させた。次に、アモルファス・シリコン層にリンをイオン注入し、同じく標準的な半導体処理手順に従って約950℃〜約1000℃のアニーリングによってドーパントを活性化した。場合によっては、SiO2/Si(100)の界面準位不動態化のためにフォーミング・ガス・アニール(forming gas anneal)を実行した。
【0069】
次に、化学的気相堆積およびエッチング使用して、上記の構造からnMOSテスト・キャパシタを形成し、約20×20平方ミクロン程度のパッド形状を画定した。上述の方法を使用して、nMOSテスト・キャパシタ構造にエッチングを施してAlN層を除去し、リン・ドープのポリシリコン層と、約2nm〜約4nmの範囲の厚さを有するHfシリケートまたはHfO2の層と、約0.3nm〜約1.2nmの範囲の厚さを有するSiO2またはSiON層とを含む構造と、シリコン(100)基板とを用意した。比較のために、AlN層が取り入れられていないかまたはエッチングで除去されているポリシリコン/HfシリケートまたはHfO2/SiONのnMOS対照キャパシタを用意した。
【0070】
次に、図9に描写されているキャパシタンス対電圧のグラフを提供するために、キャパシタを電気的にテストした。ゲート誘電体としてHfシリケートまたはHfO2を有し、AlN層がそこに付着され、その後、本発明の選択エッチングによって除去されているnMOSテスト・キャパシタに関するキャパシタンス/電圧曲線は参照番号55で示されている。対照キャパシタに関するキャパシタンス/電圧曲線は参照番号60で示されている。キャパシタに関するキャパシタンス/電圧曲線のフラットバンド電圧Vfbはトランジスタのしきい電圧Vtと同等のものである。
【0071】
さらに図9を参照すると、テスト・キャパシタと対照キャパシタとのフラットバンド電圧Vfbの比較により、テスト・キャパシタのフラットバンド電圧Vfbが対照キャパシタから70mVの範囲内であったことが示されている。したがって、デバイスのフラットバンド電圧Vfbを実質的に低下させずに、テスト・キャパシタの表面からAlNを除去することができるので、本発明のエッチング化学により、下にあるHfシリケートまたはHfO2の高k誘電体にエッチングを施すか、HfシリケートまたはHfO2の高k誘電体の電気的性質に不利な影響を及ぼさずに、AlNを有利に除去することができる。
【0072】
次に図10を参照すると、3:1の割合のHCl:H22溶液を含み、15分間のエッチング化学によりハフニウム・シリケート表面からエッチングで除去されたブランケットAlN膜のXPSスペクトルが示されている。図10を参照すると、HCl/過酸化水素エッチング表面のXPSスペクトルは参照番号75で示され、AlN対照表面のXPSスペクトルは参照番号80で示されている。図10に描写されているXPSスペクトルに示されているように、AlN対照表面から検出されたAl 2Pピークは、HCl/過酸化水素溶液によってハフニウム表面からエッチングで除去されたAlN膜には存在しない。ハフニウム・シリケートに対する選択性は偏光解析測定を使用して確認したが、その偏光解析測定ではハフニウム・シリケート膜の厚さにいかなる変化も見られなかった。
【0073】
その好ましい諸実施形態に関して本発明を詳細に示し説明してきたが、当業者であれば、本発明の精神および範囲を逸脱せずに、形式および詳細について上記その他の変更を行うことができることが分かるであろう。したがって、本発明は、記載され例示された正確な形式および詳細に限定されず、特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】ゲート・バイアスがゼロのとき、すなわち、Vg=0Vであるときに典型的なpFET内の従来技術のゲート・スタック全域の近似バンド・アライメントを示す概略図である。EcおよびEvという数量は、それぞれ、シリコン基板内およびポリシリコン・ゲート内の伝導帯域端および価電子帯域端を示している。Efは、ゲート・バイアスがゼロのときのシリコン基板内およびポリシリコン・ゲート内のフェルミ準位位置(点線)を示している。
【図2】3つのタイプのpFETデバイスに関するキャパシタンス/電圧曲線を示すグラフである。このキャパシタンス/電圧曲線は、1nmのSiO2誘電体層の上の3nmのHfSiO高k誘電体の上にAlNしきい値絶縁中間層を有するpFET、1nmのSiO2誘電体層の上に3nmのHfSiO高k誘電体を有するpFET、および2.5nmの厚さのSiO2誘電体層を有するpFETに関するグラフを含む。
【図3】3つのタイプのnFETデバイスに関するキャパシタンス/電圧曲線を示すグラフである。このキャパシタンス/電圧曲線は、1nmのSiO2誘電体層の上の3nmのHfSiO高k誘電体の上にAlNしきい値絶縁中間層を有するnFET、1nmのSiO2誘電体層の上に3nmのHfSiO高k誘電体を有するnFET、および2.5nmの厚さのSiO2誘電体層を有するnFETに関するグラフを含む。
【図4】高kゲート誘電体とpoly−Siゲート導体との間の絶縁中間層を安定化するしきい電圧Vtを有するpFETデバイス領域と、本発明の選択エッチング・プロセスを使用して絶縁中間層が除去されたnFETデバイス領域とを含む発明のCMOS構造の図表現(断面図によるもの)である。
【図5】図4に描写されているCMOS構造を提供する発明の方法のプロセス・ステップの図表現(断面図によるもの)である。
【図6】図4に描写されているCMOS構造を提供する発明の方法のプロセス・ステップの図表現(断面図によるもの)である。
【図7】図4に描写されているCMOS構造を提供する発明の方法のプロセス・ステップの図表現(断面図によるもの)である。
【図8】図4に描写されているCMOS構造を提供する発明の方法のプロセス・ステップの図表現(断面図によるもの)である。
【図9】nFETデバイスから絶縁中間層が除去されている発明のCMOS構造のキャパシタンス/電圧特性を示すグラフである。
【図10】発明の選択エッチング・プロセス後のAlN含有量を描写するXPSスペクトルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のデバイス領域と第2のデバイス領域とを有する半導体基板を含み、
前記第1のデバイス領域が、第1の高kゲート誘電体と第1のゲート導体とを含む少なくとも1つの第1のゲート・スタックを含み、
前記第2のデバイス領域が、第2の高kゲート誘電体と、前記高kゲート誘電体の上の絶縁中間層と、前記絶縁中間層の上の第2のゲート導体とを含む少なくとも1つの第2のゲート・スタックを含み、前記絶縁中間層が、前記第1のデバイス領域のしきい電圧およびフラットバンド電圧をシフトせずに、前記第2のデバイス領域のしきい電圧およびフラットバンド電圧を安定化することができる、
相補型金属酸化膜半導体(CMOS)構造。
【請求項2】
前記第1のデバイス領域がnFETデバイスを含み、前記第2のデバイス領域がpFETデバイスを含む、請求項1に記載のCMOS構造。
【請求項3】
前記半導体基板が、Si、Ge、SiGe、SiC、SiGeC、Ga、GaS、InAs、InP、その他のIII/VまたはII/VIの化合物半導体、有機半導体、または層状半導体を含む、請求項1に記載のCMOS構造。
【請求項4】
前記半導体基板が、Si、SiGe、シリコン・オン・インシュレータ、またはシリコン・ゲルマニウム・オン・インシュレータを含む、請求項1に記載のCMOS構造。
【請求項5】
前記第1のデバイス領域が、前記基板のうち、前記少なくとも1つの第1のゲート・スタックに隣接するn型ドープ・ソース/ドレイン部分をさらに含み、前記第2のデバイス領域が、前記基板のうち、前記少なくとも1つの第2のゲート・スタックに隣接するp型ソース/ドレイン部分をさらに含む、請求項1に記載のCMOS構造。
【請求項6】
前記第1の高kゲート誘電体および前記第2の高kゲート誘電体が同じ材料を含む、請求項1に記載のCMOS構造。
【請求項7】
前記第1の高kゲート誘電体および前記第2の高kゲート誘電体が異なる材料を含む、請求項1に記載のCMOS構造。
【請求項8】
前記第1の高kゲート誘電体および前記第2の高kゲート誘電体が、酸化物、窒化物、酸窒化物、またはシリケートを含む、請求項1に記載のCMOS構造。
【請求項9】
前記第1の高kゲート誘電体および前記第2の高kゲート誘電体が、HfO2、ZrO2、Al23、TiO2、La23、SrTiO3、LaAlO3、Y23、SiO2、窒化SiO2またはシリケート、その窒化物または窒化シリケートを含む、請求項1に記載のCMOS構造。
【請求項10】
前記絶縁中間層が絶縁窒化金属を含む、請求項1に記載のCMOS構造。
【請求項11】
前記絶縁窒化金属が酸素をさらに含む、請求項10に記載のCMOS構造。
【請求項12】
前記絶縁中間層が、窒化アルミニウム(AlN)、酸窒化アルミニウム(AlOxy)、窒化ホウ素(BN)、酸窒化ホウ素(BOxy)、窒化ガリウム(GaN)、酸窒化ガリウム(GaON)、窒化インジウム(InN)、酸窒化インジウム(InON)、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のCMOS構造。
【請求項13】
前記絶縁中間層がAlNまたはAlOxyを含む、請求項1に記載のCMOS構造。
【請求項14】
前記絶縁中間層が約1〜約25Åの厚さを有する、請求項1に記載のCMOS構造。
【請求項15】
前記第1のゲート導体および前記第2のゲート導体が同じ材料を含む、請求項1に記載のCMOS構造。
【請求項16】
前記第1のゲート導体および前記第2のゲート導体が異なる材料を含む、請求項1に記載のCMOS構造。
【請求項17】
前記第1のゲート導体および前記第2のゲート導体が、Si、Ge、SiGe、SiGeC、W、Ir、Re、Ru、Ti、Ta、Hf、Mo、Nb、Ni、Al、金属シリサイド、金属窒化物、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のCMOS構造。
【請求項18】
前記第2のゲート導体が少なくともホウ素でドーピングされたポリシリコンを含み、前記第1のゲート導体が少なくともリンでドーピングされたポリシリコンを含む、請求項1に記載のCMOS構造。
【請求項19】
nFETデバイス領域とpFETデバイス領域とを有する半導体基板と、
前記nFETデバイス領域内の少なくとも1つのnFETデバイスであって、前記少なくとも1つのnFETデバイスが、nFETデバイス・チャネルと前記nFETデバイス・チャネルの上の少なくとも1つの第1のゲート・スタックによって分離されたn型ソースおよびドレイン領域を含み、前記少なくとも1つのゲート・スタックがハフニウム含有高kゲート誘電体とゲート導体とを含む、少なくとも1つのnFETデバイスと、
前記pFETデバイス領域内の少なくとも1つのpFETデバイスであって、前記少なくとも1つのpFETデバイスが、pFETデバイス・チャネルと前記pFETデバイス・チャネルの上の少なくとも1つの第2のゲート・スタックによって分離されたp型ソースおよびドレイン領域を含み、前記少なくとも1つのゲート・スタックがハフニウム含有高kゲート誘電体と、窒化アルミニウム含有絶縁中間層と、ゲート導体とを含み、前記窒化アルミニウム含有絶縁中間層が前記ハフニウム含有高kゲート誘電体と前記ゲート導体との間に位置する、少なくとも1つのpFETデバイスと、
を含む、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)構造。
【請求項20】
前記半導体基板が、Si、Ge、SiGe、SiC、SiGeC、Siオン・インシュレータ、SiGeオン・インシュレータ、Ga、GaS、InAs、InP、その他のIII/VまたはII/VIの化合物半導体、有機半導体、または層状半導体を含む、請求項19に記載のCMOS構造。
【請求項21】
前記窒化アルミニウム含有絶縁中間層が酸素をさらに含む、請求項19に記載のCMOS構造。
【請求項22】
前記ハフニウム含有高kゲート誘電体が、HfO2、ハフニウム・シリケート、またはハフニウム酸窒化シリコンである、請求項19に記載のCMOS構造。
【請求項23】
前記窒化アルミニウム含有絶縁中間層が約1〜約25Åの厚さを有する、請求項19に記載のCMOS構造。
【請求項24】
前記第1のゲート導体および前記第2のゲート導体(スタック)が同じ材料を含む、請求項19に記載のCMOS構造。
【請求項25】
前記第1のゲート導体および前記第2のゲート導体(スタック)が異なる材料を含む、請求項19に記載のCMOS構造。
【請求項26】
前記第1のゲート導体および前記第2のゲート導体(スタック)が、Si、Ge、SiGe、SiGeC、W、Ir、Re、Ru、Ti、Ta、Hf、Mo、Nb、Ni、Al、金属シリサイド、金属窒化物、またはこれらの組み合わせを含む、請求項19に記載のCMOS構造。
【請求項27】
前記第2のゲート導体(スタック)が少なくともホウ素でドーピングされたポリシリコンを含み、前記第1のゲート導体(スタック)が少なくともリンでドーピングされたポリシリコンを含む、請求項19に記載のCMOS構造。
【請求項28】
改善されたしきい電圧およびフラットバンド電圧の安定性を有する相補型金属酸化膜半導体(CMOS)構造を形成する方法であって、
第1のデバイス領域と第2のデバイス領域とを有する半導体基板を設けるステップと、
前記第1のデバイス領域と前記第2のデバイス領域とを含む前記半導体基板の上に誘電体スタックを形成するステップであって、前記誘電体スタックが高k誘電体の上に絶縁中間層を有するステップと、
前記第2のデバイス領域から前記絶縁中間層を除去せずに、前記第1のデバイス領域から前記絶縁中間層を除去するステップと、
前記第2のデバイス領域内の前記絶縁中間層および前記第1のデバイス領域内の前記高k誘電体の上にゲート導体を形成するステップと、
前記ゲート導体、前記絶縁中間層、および前記高k誘電体にエッチングを施して、前記第2のデバイス領域内に少なくとも1つのゲート・スタックを設け、前記第1のデバイス領域内に少なくとも1つのゲート・スタックを設けるステップと、
を含む方法。
【請求項29】
前記絶縁中間層が絶縁窒化金属を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記絶縁窒化金属が酸素をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記絶縁中間層が、窒化アルミニウム(AlN)、酸窒化アルミニウム(AlOxy)、窒化ホウ素(BN)、酸窒化ホウ素(BOxy)、窒化ガリウム(GaN)、酸窒化ガリウム(GaON)、窒化インジウム(InN)、酸窒化インジウム(InON)、またはこれらの組み合わせを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記絶縁中間層がAlNまたはAlOxyを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記高k誘電体が、HfO2、ハフニウム・シリケート、またはハフニウム酸窒化シリコンを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記絶縁中間層が付着または熱成長によって形成される、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記付着が、めっき、スパッタリング、原子層化学的気相堆積(ALCVD)、または有機金属化学的気相堆積(MOCVD)を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記高k誘電体が付着または熱成長によって形成される、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記付着が、化学的気相堆積(CVD)、プラズマCVD(PECVD)、有機金属化学的気相堆積(MOCVD)、高密度化学的気相堆積(HDCVD)、めっき、スパッタリング、蒸着、または化学溶液付着を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記熱成長が酸化、窒化、または酸窒化を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記ゲート導体が、Si、Ge、SiGe、SiGeC、W、Ir、Re、Ru、Ti、Ta、Hf、Mo、Nb、Ni、Al、金属シリサイド、金属窒化物、またはこれらの組み合わせを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項40】
前記第2のデバイス領域から前記絶縁中間層を除去せずに、前記第1のデバイス領域から前記絶縁中間層を除去する前記ステップが、
前記第2のデバイス領域の上にブロック・マスクを形成するステップであって、前記第1のデバイス領域が露出されるステップと、
前記第1のデバイス領域から前記絶縁中間層にエッチングを施すステップであって、前記エッチングが、前記ブロック・マスクおよび前記第1のデバイス領域内の前記高k誘電体に実質的にエッチングを施さずに、前記絶縁中間層を除去するエッチング化学を含むステップと、
をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項41】
前記ブロック・マスクがパターン付きフォトレジスト層を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記ブロック・マスクを形成する前記ステップが、
前記半導体基板の上にフォトレジスト層をブランケット付着させるステップと、
前記フォトレジスト層を放射パターンにさらすステップと、
前記フォトレジスト層内に前記パターンを現像して、前記第2のデバイス領域の上に重なる前記ブロック・マスクを設けるステップと、
を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記ブロック・マスクが、酸化シリコン、炭化シリコン、窒化シリコン、炭窒化シリコン、シルセキオキサン、シロキサン、およびボロリン酸シリケート・ガラス(BPSG)からなるグループから選択された誘電体を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記エッチング化学が、HClと酸化剤とを含むウェット・エッチングである、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記エッチング化学が約1〜約7の範囲のpHを有する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記エッチング化学が約2〜約6の範囲のpHを有する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記エッチング化学が3:1のHCl/H22過酸化水素溶液を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
半導体構造を形成する方法であって、
半導体基板を設けるステップと、
ハフニウム・シリケート層の上に窒化アルミニウム含有絶縁層を含む誘電体スタックを前記半導体基板の上に形成するステップと、
前記ハフニウム・シリケート層に実質的にエッチングを施さずに、前記窒化アルミニウム含有絶縁層に選択的にエッチングを施すステップと、
を含む方法。
【請求項49】
前記エッチングが、HClと酸化剤とを含むウェット・エッチングを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記エッチングが約1〜約7の範囲のpHを有する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記エッチングが約2〜約6の範囲のpHを有する、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記エッチングが3:1のHCl/H22過酸化水素溶液を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記エッチングの前に、前記誘電体スタックの一部分の上にブロック・マスクを形成し、前記誘電体スタックの残存部分を露出したままにするステップをさらに含み、前記ウェット・エッチングが、前記ブロック・マスクまたは前記ハフニウム・シリケート層に実質的にエッチングを施さずに、前記誘電体スタックの前記残存部分から窒化アルミニウム含有絶縁層を除去する、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
前記ブロック・マスクが、フォトレジスト、酸化シリコン、炭化シリコン、窒化シリコン、炭窒化シリコン、シルセキオキサン、シロキサン、またはボロリン酸シリケート・ガラス(BPSG)を含む、請求項53に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−511971(P2008−511971A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515066(P2007−515066)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/010825
【国際公開番号】WO2005/122286
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】