説明

表面検査装置および表面検査方法

【課題】 最上層を検査する装置条件(検査条件)を容易に設定可能な表面検査装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係る表面検査装置1は、ウェハ100に照明光を照射する照明機構部10と、照明光が照射されたウェハ100の像を撮像する撮像機構部19と、ウェハ100の表面の一部を変化させる溶剤供給手段30と、ウェハ100において溶剤供給手段30により変化した部分を撮像可能な条件で撮像したウェハ100の画像からウェハ100を検査する画像処理検査装置25とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面検査装置および表面検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICチップや液晶表示パネルは、ウェハ表面に種々の異なる回路パターンを何層にも積み重ねて構成されている。このような回路パターンは、フォトリソグラフィー行程等を用いてウェハ上に一層ずつ積み重ねるようにして形成される。
【0003】
ウェハ上に回路パターンを多層に重ねるときに、各層毎に形成された回路パターンに欠陥、異常等が発生していないか否かについての表面検査が行われる。この検査は、例えば、レジスト層による回路パターンが形成された時点で行われる。この検査において欠陥、異常等が発見されたときには、レジストが剥離されて、再びレジスト層の塗布および露光が行われ、この回路パターン層の再生処理が行われる。
【0004】
なお、レジストの現像処理段階で見つかった欠陥については、レジストを除去して再度レジスト塗布工程からやり直して再生処理をすることが可能である。しかしながら、エッチング処理が行われて酸化層等に回路パターンが形成された段階では、欠陥、異常等が発見されてもこの部分は再生処理不可能である。このように、レジストの現像処理段階での表面検査で見つかった表面欠陥についてのみ、レジストパターン層を除去してパターンの再生処理が可能であり、レジストパターン形成段階での表面検査が特に重要である。
【0005】
この表面検査においては、回路パターンの形状不良、レジスト層の膜厚ムラ、傷等といった表面欠陥もしくは異常等が検査される。従来の表面検査として、種々の検査用照明光を様々な角度から被検物(ウェハ)表面に照射し、被検物を回転もしくは揺動させながら被検物からの光を検査員が直接的に目視により観察して行うものがある。
【0006】
このような検査方法は一般的にマクロ検査と称される。このマクロ検査を検査員の目視により行う場合には、検査員の判断の相違、技量の相違等により検査結果にばらつきが出るおそれがある。また、検査員の負担も大きい。そこで、マクロ検査を自動化することが検討されていおり、種々の自動マクロ検査装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。例えば、被検物の表面に検査用照明光を照射して、被検物の表面に形成された繰り返しパターンからの回折光、若しくは反射光を撮像装置により受光して画像を取り込み、画像処理を行って表面検査を自動で行うようにした装置がある。
【特許文献1】特開2003−139718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の表面検査装置では、被検物の画像をモニタに表示し、検査員がモニタ上の画像を見ながら装置条件を最適条件に設定することが行われているが、最適な装置条件を検査員が判断することは難しく、検査員の能力や熟練を要するという問題があった。
【0008】
特に、検査対象が多層構造である場合、検査対象外である下層からの情報の混入によって検査対象となる上層の情報を得るのが困難な場合がある。一般にレジスト層では光学的に透明であるために下層からの情報の影響を受けやすい。そのため、検査する装置条件を上層に合わせることが困難になる場合があった。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、最上層を検査する装置条件(検査条件)を容易に設定可能な表面検査装置および表面検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的達成のため、本発明に係る表面検査装置は、被検物体に照明光を照射する照明光学系と、照明光が照射された被検物体の像を撮像する撮像手段と、被検物体の表面の一部を変化させるマーキング手段と、被検物体においてマーキング手段により変化した部分を撮像可能な条件で撮像した被検物体の画像から被検物体を検査する検査手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る表面検査装置において、表面検査装置において被検物体の像を撮像する条件を設定する条件設定手段と、条件設定手段により条件を変化させて、撮像手段で被検物体の像を撮像し、被検物体においてマーキング手段により変化した部分を撮像可能な条件を求める処理手段とを有することが好ましい。
【0012】
さらに、本発明に係る表面検査装置において、検査手段は、被検物体の欠陥を検出することが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る表面検査装置において、マーキング手段が、物理的処理により被検物体の表面の一部を変化させることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明に係る表面検査装置において、マーキング手段が、化学的処理により被検物体の表面の一部を変化させるようにしてもよい。
【0015】
また、本発明に係る表面検査装置において、被検物体においてマーキング手段により変化した部分が、被検物体における所定の検査領域の外側に位置していることが好ましい。
【0016】
さらに、本発明に係る表面検査方法は、被検物体に照明光を照射し、照明光が照射された被検物体の像を撮像し、被検物体の表面の一部をマーキング手段で変化させ、被検物体においてマーキング手段により変化した部分を撮像可能な条件で被検物体を撮像し、撮像した被検物体の画像から被検物体を検査することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る表面検査方法において、マーキング手段により表面の一部を予め変化させた被検物体に対し、検査が行われるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、最上層を検査する装置条件(検査条件)を容易に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明に係る第1実施形態の表面検査装置1を図1に示しており、この装置により半導体ウェハ100の表面欠陥を検査する。第1実施形態の表面検査装置1は、ウェハ(被検物体)100を載置保持するウェハホルダ部5を有して構成され、不図示の搬送装置によって搬送されてくるウェハ100を、ウェハホルダ部5の上に載置させるとともに真空吸着等によって固定保持するようになっている。ウェハホルダ部5には回転機構部6およびチルト機構部7が設けられており、この回転機構部6およびチルト機構部7により、ウェハホルダ部5が、ウェハホルダ部5に固定保持されるウェハ100の表面に垂直な軸Ax1を中心として回転(ウェハの表面内での回転)可能で、且つ、ウェハ100の表面を通る軸Ax2を中心としてチルト(傾動)可能に構成されている。
【0020】
この表面検査装置1はさらに、ウェハホルダ部5に固定保持されたウェハ100の表面に照射可能な検査用照明光を出射する照明機構部(照明光学系)10と、照明機構部10から出射された検査用照明光をウェハ100に収束する照明光収束機構部15と、検査用照明光の照射を受けたときのウェハ100からの反射光、回折光等を集光する戻り光収束機構部17と、戻り光収束機構部17により集光された光を受けてウェハ100の表面の像を撮像する撮像機構部(撮像手段)19とを有して構成される。
【0021】
照明機構部10の内部には、照明光を発生させる光源11と、光源11からの光の波長を選択するフィルタ12と、出射光量を調節する調光機構13とが備えられており、さらに照明機構部10には、光源11からフィルタ12および調光機構13を透過した照明光を先端部14aから出射する光ファイバ14が備えられている。照明光収束機構部15は、照明機構部10の光ファイバ14の先端部14aから出射された発散光束(照明光)を受ける第1凹面鏡16を有して構成され、この第1凹面鏡16からほぼその焦点距離だけ離れた位置に光ファイバ14の先端部14aが配設される。
【0022】
このため、光ファイバ14の先端部14aから第1凹面鏡16に発散照射された照明光は、第1凹面鏡16によって平行光束となってウェハホルダ部5に保持されたウェハ100の表面に照射される。このときウェハ100の表面に照射される照明光束は、ウェハ100の表面と垂直な軸Ax1(鉛直軸)に対して角度θiを有して照射され、ウェハ100からの光が角度θrを有して出射される。これら入射角θiと出射角θrとの関係は、軸Ax2を中心としてウェハホルダ部5をチルト(傾動)させることにより調整可能である。すなわち、ウェハホルダ部5のチルトによりウェハ100の載置角度を変化させて、入射角θiと出射角θrとの関係を調整可能である。
【0023】
なお、反射光を用いる場合には入射角θiと出射角θrとを等しくし、回折光を用いる場合にはチルトにより出射角θrを調節することによって、ウェハ100の表面からの出射光を戻り光収束機構部17に入射させることが可能になる。
【0024】
そして、ウェハ100の表面からの出射光は戻り光収束機構部17により集光される。この戻り光収束機構部17は、鉛直軸Ax1に対して角度θrを有した方向に対向して配設された第2凹面鏡18を有して構成され、この第2凹面鏡18によってウェハ100の像が結像される位置に撮像機構部19が配設される。撮像機構部19は、ウェハ100の表面の像を撮像可能なCCDカメラ20を有して構成されており、第2凹面鏡18により集光された光はCCDカメラ20のCCD撮像素子(図示せず)で結像され、この結果、ウェハ100の表面の像がCCD撮像素子の受像面に形成されるようになっている。
【0025】
CCDカメラ20は、CCD撮像素子の受像面に形成されたウェハ100の表面の像を光電変換して画像信号を生成し、画像処理検査装置(検査手段)25に送る。画像処理検査装置25の内部には、制御部26と、メモリ(記憶装置)27と、ウェハ100の表面の像を撮像する際の装置条件を設定する条件制御部(条件設定手段)28と、ウェハ100の欠陥を検出する欠陥検出部29を有した画像処理部(処理手段)35とが設けられている。
【0026】
制御部26は、回転機構部6によるウェハホルダ部5の回転制御や、チルト機構部7によるウェハホルダ部5のチルト制御等を行う。さらに、制御部26は、CCDカメラ20から得られるウェハ100の画像を所定ビット(例えば8ビット)のディジタル画像に変換する。メモリ27には、制御部26からのディジタル画像とそのときの装置条件が記憶される。メモリ27に記憶されたディジタル画像は、画像処理部35に出力される。
【0027】
条件制御部28には、外部操作等によりウェハ100の表面の像を撮像する際の装置条件が設定入力されるようになっており、条件制御部28に入力された装置条件に基づいて、制御部26が回転機構部6やチルト機構部7等の作動を制御するようになっている。ここで、設定される装置条件は、照明光学系(照明機構部10)の光量、波長、ウェハ100の表面への照明光の入射角度、ウェハ100の載置角度(チルト角度)、ウェハ100の設置方位角、照明光の波長、撮像機構部19(CCDカメラ20)の露出時間、および撮像機構部19の電気的な感度等である。
【0028】
画像処理部35に構成される欠陥検出部29は、ウェハ100の欠陥検出に当たって、メモリ27に記憶されたウェハ100のディジタル画像を取り込み、画像処理を行うとともに、画像の光量をモニタし、画像の明暗に基づいてウェハ100の膜厚むら、パターン形状の異常、傷等の欠陥箇所を特定する。具体的には、例えば、撮像機構部19(CCDカメラ20)からの画像信号により得られるウェハ100の表面の画像と、予め記憶されている良品ウェハの表面の画像(検査基準画像)とのパターンマッチング等を行い、予め学習させておいた検査基準画像の特徴との相違点の有無検査を行う。
【0029】
検査対象となるウェハ100にデフォーカスによる膜厚むら、パターン形状の異常、傷等の欠陥が存在する場合には、その部分には例えば検査基準画像との明暗差や特徴の相違が検出されるため、欠陥が存在することが検出される。このようにして、撮像機構部19により撮像されたウェハ100の表面の画像から表面欠陥の有無の検査(すなわち、ウェハ100の表面検査)を行う。これにより、表面検査を自動で行うことができる。なお、検査基準画像に限らず、ウェハ100の表面において検査対象となる画像の部分と隣接する部分の画像を用いて、パターンマッチング等を行うようにしてもよい。
【0030】
ところで、被検物体であるウェハ100の表面には周期的に繰り返される線配列形状の回路パターンが形成されており、ウェハ100の表面に種々の異なる回路パターンが何層にも積み重ねて構成されている。一般に、撮像されたウェハ100の表面の画像には、ウェハ100の表面が光学的に透明な多層膜の場合、検査対象外である下層部分の(回路パターンの)情報も含まれている。そこで、第1実施形態の表面検査装置1には、ウェハ100表面の検査対象となる上層の一部を物理的に変化(形状変化)させる溶剤供給手段(マーキング手段)30が設けられている。
【0031】
溶剤供給手段30は、例えば、スポイト状に形成されて装置内に配設されたアーム部31に変位可能に保持されており、ウェハ100の表面に有機溶剤であるシンナーを滴下可能に構成されている。滴下するのは、トルエンやキシレン、アセトンでもよく、ウェハ100の表面において滴下された部分のレジストパターンに変化を生じさせるものであればよい。ただし、有機溶剤の種類は、図2に示すように、ウェハ100の表面部分の上層部101のみを変化させ、下層部102の状態を変化させないものが好ましい。また、シンナーが滴下される部分の面積は、検査装置の識別分解能より大きければよいが、ウェハ100上に形成される製品(IC等)の1チップ分の面積を超えないことが好ましい。これにより、歩留まりの低下を最小限に抑えることができる。
【0032】
このような構成の表面検査装置1を用いたウェハ100の表面検査方法について、以下に説明する。まず、表面検査を行うウェハ100をウェハホルダ部5の上に載置させる。次に、アーム部31を用いて溶剤供給手段30を所定の退避位置からウェハ100上方の所定箇所に変位させ、溶剤供給手段30によりウェハ100の表面に所定量のシンナーを滴下させる。
【0033】
このとき、図2に示すように、ウェハ100の表面においてシンナーが滴下された部分の上層部101のレジストがシンナーの溶解反応により形状変化(物理的に変化)し、溶解した部分に欠陥部103が形成される。なお、シンナーの滴下後、溶剤供給手段30はアーム部31により検査の邪魔にならない退避位置に変位させる。
【0034】
続いて、条件制御部28を用いて装置条件を変化させて、撮像機構部19(CCDカメラ20)によりウェハ100の表面の像を撮像する。このとき、検査対象となるウェハ100の表面部分の上層部101を撮像するのに適した装置条件では、図2に示すように、通常は照明光が上層部101で反射もしくは回折するが、シンナーが滴下された部分では形状変化した欠陥部103で照明光が反射もしくは回折するため、上層部101で反射もしくは回折して撮像機構部19に入射するはずの光が入射せず、ウェハ100の画像において欠陥部103が形成される部分の明るさが変化する。一方、検査対象でない下層部102を撮像するのに適した装置条件では、照明光が下層部102で反射もしくは回折するため、シンナーが滴下された欠陥部103における形状(回路パターン)の変化は画像に現れない。
【0035】
またこのとき、画像処理部35で形状変化(物理的変化)を生じさせた部分(欠陥部103)に着目して画像の変化を捉えることにより、検査対象であるウェハ100の上層部101に最も適した装置条件を選択することができる。そして、欠陥部103の像、すなわち、ウェハ100の表面において溶剤供給手段30のシンナー滴下により変化した部分の像を撮像機構部19により撮像可能な装置条件を求め、このときの装置条件を、表面検査を行う際の装置条件と決定する。
【0036】
このようにして決定した装置条件により、照明機構部10を用いてウェハ100の表面に照明光を照射し、照明光が照射されたウェハ100の表面の像を撮像機構部19により撮像する。そして、画像処理検査装置25を用いて、撮像機構部19により撮像されたウェハ100の表面の画像から表面欠陥の有無の検査(すなわち、ウェハ100の表面検査)を行う。
【0037】
この結果、第1実施形態の表面検査装置1および表面検査方法によれば、溶剤供給手段30によりウェハ100の表面の一部を変化させることによって、上層部101(すなわち、ウェハ100の最上層)を検査する装置条件(検査条件)を容易に設定することができるため、常に良好な画像処理(すなわち表面検査)を行うことができる。これにより、欠陥検出をより正確に行うことができるため、欠陥検出率の向上と疑似欠陥の低減が可能になる。そのため、半導体プロセスでの歩留まりの向上が図られるとともに、無駄な戻り作業を低減させ、半導体の製造コストを削減することが可能になる。なお、溶剤供給手段30によりウェハ100の表面の一部を変化させることで、ウェハ100の表面の一部に欠陥を形成することになるため、ウェハ100の表面欠陥を検出する表面検査装置1では、本実施形態を用いてより最適な装置条件を選択することが可能になる。
【0038】
また、有機溶剤の溶解反応を利用した化学的処理により、ウェハ100の表面の一部を変化させることで、大がかりな装置を用いる必要がなく、ウェハ100の表面の一部を変化させるマーキング手段としての装置構成をシンプルにすることができる。
【0039】
なお、上述の第1実施形態において、有機溶剤の溶解反応を利用した化学的処理により、ウェハ100の表面の一部を変化させているが、これに限られるものではなく、例えば、酸やアルカリ等を用いた化学的処理でもよい。
【0040】
次に、表面検査装置の第2実施形態について図3を参照しながら説明する。第2実施形態の表面検査装置51は、上述した第1実施形態の表面検査装置1に対してマーキング手段である溶剤供給手段30の装置構成のみ異なり、他の装置構成は同様の構成となっている。そこで、同じ構成の部位に同一番号を付して重複説明を省略する。
【0041】
第2実施形態におけるマーキング手段であるレーザー照射手段60は、例えば、装置内に配設されたアーム部61に変位可能に保持されており、ウェハ100の表面にレーザーを照射可能に構成されている。レーザーの波長および強度は、ウェハ100の表面部分の上層部101のみを変化させ(図2を参照)、下層部102の状態を変化させないものが好ましい。また、レーザーが照射される部分の面積は、検査装置の識別分解能より大きければよいが、ウェハ100上に形成される製品(IC等)の1チップ分の面積を超えないことが好ましい。これにより、歩留まりの低下を最小限に抑えることができる。
【0042】
このような第2実施形態の表面検査装置51を用いても、第1実施形態の表面検査装置1と同様にしてウェハ100の表面検査を行うことができる。具体的には、まず、表面検査を行うウェハ100をウェハホルダ部5の上に載置させる。次に、アーム部61を用いてレーザー照射手段60をウェハ100上方の所定箇所に変位させ、レーザー照射手段60によりウェハ100の表面にレーザーを照射する。
【0043】
このとき、ウェハ100の表面においてレーザーが照射された部分の上層部101が加熱燃焼により形状変化(物理的に変化)し、第1実施形態の場合と同様に、レーザー照射により燃焼した部分に欠陥部103が形成される(図2を参照)。なお、レーザーの照射後、レーザー照射手段60はアーム部61により検査の邪魔にならない退避位置に変位させる。
【0044】
続いて、条件制御部28を用いて装置条件を変化させて、撮像機構部19(CCDカメラ20)によりウェハ100の表面の像を撮像する。そして、第1実施形態の場合と同様に、欠陥部103の像、すなわち、ウェハ100の表面においてレーザー照射手段60のレーザー照射により変化した部分の像を撮像機構部19により撮像可能な装置条件を求め、このときの装置条件を、表面検査を行う際の装置条件と決定する。このように装置条件を決定することで、第1実施形態の表面検査装置1と同様にしてウェハ100の表面検査を行うことができる。
【0045】
この結果、第2実施形態の表面検査装置51によれば、第1実施形態の表面検査装置1と同様の効果を得ることができる。また、レーザーを用いた(加熱による)物理的処理により、ウェハ100の表面の一部を変化させることで、所望の形状にウェハ100の表面の一部を変化させることが可能である。
【0046】
なお、上述の第2実施形態において、レーザーを用いた加熱による物理的処理により、ウェハ100の表面の一部を変化させているが、これに限られるものではなく、例えば、針や刃物、ヤスリ等(除去加工等)を用いた物理的処理でもよい。
【0047】
また、上述の各実施形態において、表面検査装置内に、本発明に係るマーキング手段である溶剤供給手段30やレーザー照射手段60が設けられているが、これに限られるものではなく、表面検査装置と別個に設けたマーキング手段(レーザー照射手段等)により表面の一部を予め変化させたウェハを、表面検査装置で表面検査するようにしてもよい。このようにすれば、表面検査装置自体を小型化することができる。
【0048】
さらに、上述の各実施形態において、ウェハ100においてマーキング手段(溶剤供給手段30やレーザー照射手段60)により変化する部分が、例えば、欠陥部103a(図2を参照)のようにウェハ100の外縁部近傍等、ウェハ100の表面における所定の検査領域S(図2を参照)の外側に位置していてもよい。このようにすれば、ウェハ100の表面検査が行われる部分、すなわち製品となる部分を変化させることがないため、歩留まりが減少するのを防止することができる。
【0049】
また、上述の各実施形態において、表面検査装置内に配設されたアーム部に、本発明に係るマーキング手段である溶剤供給手段30やレーザー照射手段60が変位可能に保持されているが、これに限られるものではなく、表面検査装置内で固定されていてもよい。なおこのとき、マーキング手段は、表面検査の邪魔にならない位置(例えば、ウェハのアライメントを行う位置の上方等)に固定される。
【0050】
さらに、上述の各実施形態において、ウェハ100の表面の像を撮像する際の装置条件を設定する条件制御部28が画像処理検査装置25の内部に設けられているが、これに限られるものではなく、画像処理検査装置25と別体に設けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る表面検査装置の第1実施形態を示す正面図である。
【図2】ウェハの表面部分の側断面図である。
【図3】第2実施形態の表面検査装置を示す正面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 表面検査装置(第1実施形態)
10 照明機構部(照明光学系) 19 撮像機構部(撮像手段)
25 画像処理検査装置(検査手段) 26 制御部
28 条件制御部(条件設定手段) 29 欠陥検出部
30 溶剤供給手段(マーキング手段) 35 画像処理部(処理手段)
51 表面検査装置(第2実施形態)
60 レーザー照射手段(マーキング手段)
100 ウェハ(被検物体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検物体に照明光を照射する照明光学系と、
前記照明光が照射された前記被検物体の像を撮像する撮像手段と、
前記被検物体の表面の一部を変化させるマーキング手段と、
前記被検物体において前記マーキング手段により変化した部分を撮像可能な条件で撮像した前記被検物体の画像から前記被検物体を検査する検査手段とを有することを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
前記表面検査装置において前記被検物体の像を撮像する条件を設定する条件設定手段と、
前記条件設定手段により前記条件を変化させて、前記撮像手段で前記被検物体の像を撮像し、前記被検物体において前記マーキング手段により変化した部分を撮像可能な前記条件を求める処理手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項3】
前記検査手段は、前記被検物体の欠陥を検出することを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記マーキング手段が、物理的処理により前記被検物体の表面の一部を変化させることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の表面検査装置。
【請求項5】
前記マーキング手段が、化学的処理により前記被検物体の表面の一部を変化させることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の表面検査装置。
【請求項6】
前記被検物体において前記マーキング手段により変化した部分が、前記被検物体における所定の検査領域の外側に位置していることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の表面検査装置。
【請求項7】
被検物体に照明光を照射し、
前記照明光が照射された前記被検物体の像を撮像し、
前記被検物体の表面の一部をマーキング手段で変化させ、
前記被検物体において前記マーキング手段により変化した部分を撮像可能な条件で前記被検物体を撮像し、
前記撮像した前記被検物体の画像から前記被検物体を検査することを特徴とする表面検査方法。
【請求項8】
前記マーキング手段により前記表面の一部を予め変化させた前記被検物体に対し、前記検査が行われることを特徴とする請求項7に記載の表面検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−17395(P2007−17395A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−201767(P2005−201767)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】