車両用制御装置および車両用制御方法
【課題】アクセルペダルの踏み込み量の増加に対して応答性よく車両に発生する駆動力を増加させる。
【解決手段】ECUは、2WDモードでないと(S100にてNO)、4WDモードに対応する出力特性を選択するステップ(S104)と、走行状態を判定するステップ(S106)と、4WDモード選択時に車両に要求されるトルクを算出するステップ(S108)と、リアモータに要求されるトルクを算出するステップ(S110)と、第2のオルタネータに要求される発電電力を算出するステップ(S112)と、第2のオルタネータに対する制御出力を算出するステップ(S114)と、リアモータの出力トルクを推定するステップ(S116)と、第2のオルタネータの負荷を算出するステップ(S118)と、変速比の目標値を算出するステップ(S120)と、エンジンに対して要求される出力を算出するステップ(S122)と、エンジン対して要求される駆動力を修正するステップ(S124)とを含む、プログラムを実行する。
【解決手段】ECUは、2WDモードでないと(S100にてNO)、4WDモードに対応する出力特性を選択するステップ(S104)と、走行状態を判定するステップ(S106)と、4WDモード選択時に車両に要求されるトルクを算出するステップ(S108)と、リアモータに要求されるトルクを算出するステップ(S110)と、第2のオルタネータに要求される発電電力を算出するステップ(S112)と、第2のオルタネータに対する制御出力を算出するステップ(S114)と、リアモータの出力トルクを推定するステップ(S116)と、第2のオルタネータの負荷を算出するステップ(S118)と、変速比の目標値を算出するステップ(S120)と、エンジンに対して要求される出力を算出するステップ(S122)と、エンジン対して要求される駆動力を修正するステップ(S124)とを含む、プログラムを実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の駆動輪を駆動する内燃機関と車両の前後方向で異なる位置に設けられる第2の駆動輪を駆動するモータとが搭載された車両の制御に関し、特に、内燃機関とモータとを用いて第1および第2の駆動輪を駆動する場合におけるアクセル操作に対する車両の駆動力の応答性を向上する制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、前輪をエンジンにより駆動し、後輪をモータにより駆動する4輪駆動車が公知である。このような車両においては、4輪駆動走行時においては、エンジンのトルクを用いて発電機を駆動するため、エンジンストールを防止するためにエンジンの作動により生じるトルクに余剰トルクが発生させる技術が公知である。
【0003】
たとえば、特開2004−104971号公報(特許文献1)は、いわゆるモータ4輪駆動車両において、エンジンストールを確実に防止する4輪駆動車両の制御装置を開示する。この4輪駆動車両の制御装置は、一方の車輪駆動軸がエンジンにより駆動され、他方の車輪駆動軸が電動モータにより駆動される4輪駆動車両の制御装置である。電動モータは、エンジンにより駆動される発電機の発電電力の供給を受けて作動する。この制御装置は、エンジンが発生するトルクを算出するエンジン発生トルク算出手段と、エンジンの回転駆動を維持できる回転維持トルクを算出する回転維持トルク算出手段と、エンジン発生トルクから回転維持トルクを減算して余剰トルクを算出する余剰トルク算出手段と、余剰トルクに基づいて、電動モータの作動電力を得るための発電機の駆動トルクを設定する発電機駆動トルク設定手段と、を備えることを特徴とする。
【0004】
上述した公報に開示された4輪駆動車両の制御装置によると、4輪駆動走行時において、発電機を駆動する際のエンジン負荷によってエンジンストールに至る事態を確実に防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−104971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した車両の4輪駆動走行時においては、車両に発生する駆動力は、エンジンの駆動による2輪駆動走行時よりも発電機が作動することによる発電ロス等の分だけ低下する。そのため、4輪駆動走行時においては、2輪駆動走行時よりも運転者が要求する車両の駆動力に対してエンジンの出力を上昇させる必要がある。
【0007】
しかしながら、運転者が要求する車両の駆動力が大きい場合においては、2輪駆動走行時に比べて、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対して車両に発生する駆動力の増加が発電ロスにより早期に頭打ちとなるため、運転者が車両の加速感を得られないという問題がある。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対して応答性よく車両に発生する駆動力を増加させる車両用制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明に係る車両用制御装置は、内燃機関とモータとを駆動源とする車両に搭載される車両用制御装置である。車両は、内燃機関によって駆動される第1の駆動輪と、内燃機関の動力を用いて発電する発電機と、第1の駆動輪とは車両の前後方向に対して異なる位置に設けられ、発電機によって発電された電力を用いてモータによって駆動される第2の駆動輪と、車両に対して駆動力を要求するためのアクセルペダルとを含む。この車両用制御装置は、アクセルペダルの踏み込み量を検出するための踏み込み量検出手段と、第1および第2の駆動輪をそれぞれ駆動させる場合に、踏み込み量検出手段によって検出されたアクセルペダルの踏み込み量が第1の量である場合の第2の駆動輪に対する駆動力の配分比よりも、アクセルペダルの踏み込み量が第1の量よりも大きい第2の量である場合の第2の駆動輪に対する駆動力の配分比が小さくなるように、第1の駆動輪および第2の駆動輪に対する駆動力の配分比を設定するための配分比設定手段と、配分比設定手段によって設定された第1の駆動輪および第2の駆動輪に対する駆動力の配分比に基づいて内燃機関およびモータを制御するための駆動力制御手段とを含む。第5の発明に係る車両用制御方法は、第1の発明に係る車両用制御装置と同様の特徴を有する。
【0010】
第1の発明によると、踏み込み量が第1の量である場合の第2の駆動輪に対する駆動力の配分比よりも、踏み込み量が第2の量である場合の第2の駆動輪に対する駆動力の配分比を小さくすることにより、アクセルペダルの踏み込み量が大きくなるほど、内燃機関により駆動する第1の駆動輪に対する駆動力の配分比が高くなり、車両の駆動状態は、内燃機関により第1の駆動輪を駆動させる駆動状態に近づくこととなる。そのため、発電ロス等による車両に発生する駆動力の低下量が小さくなるため、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対して車両に発生する駆動力を増加させることができる。その結果、運転者は車両の加速感を得られることとなる。したがって、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対して応答性良く車両に発生する駆動力を増加させる車両用制御装置を提供することができる。
【0011】
第2の発明に係る車両用制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、配分比設定手段は、アクセルペダルの踏み込み量が第1の量以下の場合に、予め定められた値を第2の駆動輪に対する駆動力の配分比として設定し、アクセルペダルの踏み込み量が第1の量よりも大きい場合に、アクセルペダルの踏み込み量と第1の量との差分に応じた値だけ予め定められた値から減じた値を第2の駆動輪に対する駆動力の配分比として設定する。第6の発明に係る車両用制御方法は、第2の発明に係る車両用制御装置と同様の特徴を有する。
【0012】
第2の発明によると、踏み込み量が第1の量以下の場合に、予め定められた値を第2の駆動輪に対する駆動力の配分比として設定し、踏み込み量が第1の量よりも大きい場合に、踏み込み量と第1の量との差分に応じた値だけ予め定められた値から減じた値を第2の駆動輪に対する駆動力の配分比として設定することにより、アクセルペダルの踏み込み量が第1の量よりも大きい場合には、アクセルペダルの踏み込み量が大きくなるほど、内燃機関により駆動する第1の駆動輪に対する駆動力の配分比が高くなり、車両の駆動状態は、内燃機関により第1の駆動輪を駆動させる駆動状態に近づくこととなる。そのため、発電ロス等による車両に発生する駆動力の低下量が小さくなるため、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対して車両に発生する駆動力を増加させることができる。その結果、運転者は車両の加速感を得られることとなる。
【0013】
第3の発明に係る車両用制御装置においては、第1または2の発明の構成に加えて、内燃機関には、内燃機関に吸入される空気の流量を調整するための電子スロットルが設けられる。車両用制御装置は、踏み込み量検出手段によって検出されたアクセルペダルの踏み込み量に基づいてスロットル開度を設定するための開度設定手段と、開度設定手段によって設定されたスロットル開度になるように電子スロットルを制御するためのスロットル制御手段とをさらに含む。開度設定手段は、内燃機関およびモータを用いて第1および第2の駆動輪をそれぞれ駆動させる場合に、踏み込み量検出手段によって検出されたアクセルペダルの踏み込み量に対応するスロットル開度が、モータの駆動を停止させて、内燃機関を用いて第1の駆動輪を駆動させる場合に、アクセルペダルの踏み込み量に対応して設定されるスロットル開度よりも小さくなるようにスロットル開度を設定する。第7の発明に係る車両用制御方法は、第3の発明に係る車両用制御装置と同様の特徴を有する。
【0014】
第3の発明によると、内燃機関およびモータを用いて第1および第2の駆動輪をそれぞれ駆動させる場合の踏み込み量に対応するスロットル開度が、内燃機関を用いて第1の駆動輪を駆動させる場合に踏み込み量に対応して設定されるスロットル開度よりも小さくなるようにスロットル開度を設定することにより、アクセルペダルの踏み込み量が大きい領域において、スロットル開度の増加分が確保することができる。そのため、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対してスロットル開度を増加させることにより、車両に発生する駆動力を頭打ちすることなく増加させることができる。その結果、運転者は車両の加速感を得られることとなる。
【0015】
第4の発明に係る車両用制御装置は、第1〜3のいずれかの発明の構成に加えて、車両は、内燃機関に連結される自動変速機をさらに含む。車両用制御装置は、車両の走行状態に基づいて変速比の目標値を設定するための目標設定手段と、目標設定手段によって設定された変速比の目標値になるように自動変速機を制御するための変速制御手段とをさらに含む。目標設定手段は、内燃機関およびモータを用いて第1および第2の駆動輪をそれぞれ駆動させる第1の駆動状態である場合に設定される変速比の目標値が、モータの駆動を停止させて、内燃機関を用いて第1の駆動輪を駆動させる第2の駆動状態である場合に第1の駆動状態と同一走行条件下で設定される変速比の目標値よりも大きくなるように変速比の目標値を設定する。第8の発明に係る車両用制御方法は、第4の発明に係る車両用制御装置と同様の特徴を有する。
【0016】
第4の発明によると、変速比の目標値が大きくなるように設定されることにより、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対して車両に発生する駆動力を増加させることができる。そのため、特にアクセルペダルの踏み込み量が大きい領域において、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対して車両に発生する駆動力を増加させることにより、運転者は車両の加速感を得られることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態に係る車両の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】2WDモード選択時および4WDモード選択時におけるエンジンの出力トルクの構成を示す図である。
【図3】スロットル開度とトータル軸トルクとの関係を示す図である。
【図4】アクセルペダルの踏み込み量とトータル軸トルクとの関係を示す図(その1)である。
【図5】本実施の形態に係る車両用制御装置であるECUの機能ブロック図である。
【図6】アクセルペダルの踏み込み量とスロットル開度との関係を示す図である。
【図7】アクセルペダルの踏み込み量と後輪の駆動力配分比との関係を示す図である。
【図8】本実施の形態に係る車両用制御装置であるECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図9】アクセルペダルの踏み込み量とトータル軸トルクとの関係を示す図(その2)である。
【図10】アクセルペダルの踏み込み量とトータル軸トルクとの関係を示す図(その3)である。
【図11】アクセルペダルの踏み込み量とトータル軸トルクとの関係を示す図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態において、車両10は、エンジン20と、第1のオルタネータ24と、第2のオルタネータ30と、無段変速機40と、補機バッテリ50と、前輪72と、後輪74と、後輪駆動装置90と、ECU(Electronic Control Unit)100と、アクセルペダル150と、アクセルポジションセンサ300と、車輪速センサ302と、切換スイッチ304とを含む。なお、車両10は、特に4輪の車両に限定されるものではなく、少なくとも車両の前後方向について異なる位置に設けられる2以上の駆動軸を有する車両であればよい。
【0020】
エンジン20は、第1の駆動輪を駆動する内燃機関である。本実施の形態において「第1の駆動輪」は、前輪72であるが、後輪74であってもよい。エンジン20は、ガソリンエンジンであってもよいし、ディーゼルエンジンであってもよく、特に限定されるものではない。
【0021】
エンジン20には、電子スロットル42が設けられる。電子スロットル42は、スロットルバルブ44と、スロットルモータ(図示せず)と、スロットルポジションセンサ46とを含む。スロットルモータは、ECU100からの制御信号に基づいてスロットルバルブ44の開度(以下、スロットル開度という)を変更する。スロットルポジションセンサ46は、スロットル開度を検出する。スロットルポジションセンサ46は、検出したスロットル開度を示す信号をECU100に送信する。
【0022】
無段変速機40は、エンジン20の出力軸に連結される。無段変速機40は、エンジン20からの動力を変速して前輪72に伝達する。無段変速機40は、ベルト式無段変速機であってもよいし、トロイダル式無段変速機であってもよく、特に限定されるものではない。
【0023】
第1のオルタネータ24および第2のオルタネータ30は、エンジン20の動力を用いて発電する。第1のオルタネータ24および第2のオルタネータ30の発電量は、ECU100により制御される。
【0024】
第1のオルタネータ24は、発電した電力を補機バッテリ50に供給する。第1のオルタネータ24により発電された電力により補機バッテリ50が充電される。
【0025】
第1のオルタネータ24の入力軸には、プーリ26が連結される。プーリ26は、エンジン20の出力軸に連結されたプーリ22とベルト28を用いて連結される。そのため、エンジン20の作動によりプーリ22の回転力は、ベルト28を経由してプーリ26に伝達される。そのため、エンジン20の作動により第1のオルタネータ24が作動することとなる。
【0026】
第2のオルタネータ30は、発電した電力をインバータ60に供給する。これにより、第2のオルタネータ30により発電された電力により後述するリアモータ80が駆動する。
【0027】
第2のオルタネータ30の入力軸には、プーリ32が連結される。プーリ32は、エンジン20の出力軸に連結されたプーリ22とベルト28により連結される。そのため、エンジン20の作動によりプーリ22の回転力は、ベルト28を経由してプーリ32に伝達される。そのため、エンジン20の作動により第2のオルタネータ30が作動することとなる。
【0028】
補機バッテリ50は、ECU100、モータECU200あるいは車両に搭載される電気機器等に電力を供給する。補機バッテリ50は、たとえば、12Vのバッテリである。
【0029】
後輪駆動装置90は、モータECU200と、インバータ60と、リアモータ80と、トランスアクスル70とを含む。
【0030】
インバータ60は、第2のオルタネータ30により発電された電力をリアモータ80を作動させる電力の形式に変換してリアモータ80に供給する。たとえば、インバータ60は、第2のオルタネータ30により発電された直流電力を交流電力に変換してリアモータ80に供給する。インバータ60からリアモータ80に対して供給される電力は、モータECU200により制御される。リアモータ80は、インバータ60から供給される電力により第2の駆動輪を駆動する。第2の駆動輪は、第1の駆動輪と車両の前後方向に対して異なる位置に設けられる。本実施の形態において、「第2の駆動輪」は、後輪74であるが前輪72であってもよい。すなわち、リアモータ80の回転力は、トランスアクスル70を経由して後輪74に伝達される。
【0031】
アクセルポジションセンサ300は、アクセルペダル150の踏み込み量を検出する。アクセルポジションセンサ300は、検出したアクセルペダル150の踏み込み量を示す信号をECU100に送信する。
【0032】
車輪速センサ302は、前輪72の車輪速を検出する。車輪速センサ302は、検出した車輪速を示す信号をECU100に送信する。ECU100は、受信した車輪速を示す信号に基づいて車両の速度を算出する。
【0033】
切換スイッチ304は、運転者が車両の走行モードを選択するためのスイッチである。本実施の形態において車両の走行モードとは、エンジン20により前輪72を駆動して、リアモータ80により後輪74を駆動する4輪駆動走行モード(以下、4WDモードと記載する)と、エンジン20により前輪72を駆動して、リアモータ80を停止する2輪駆動走行モード(以下、2WDモードと記載する)とを含む。切換スイッチ304は、運転者により走行モードを選択する操作が行なわれると、選択された走行モードに対応する切換信号をECU100に送信する。
【0034】
ECU100は、エンジン20、無段変速機40およびモータECU200を経由してインバータ60等の機器類の作動を制御する。ECU100は、アクセルペダル150の踏み込み量に基づいてスロットル開度、点火時期および燃料噴射量等のエンジン20の制御量を決定し、決定された制御量に対応する制御信号をエンジン20に送信する。
【0035】
ECU100は、車両の走行状態に応じて、無段変速機40の変速比を制御する。車両の走行状態とは、たとえば、車両の速度と、アクセルペダル150の踏み込み量とである。ECU100は、車両の走行状態に基づいて変速比の目標値を決定する。ECU100は、無段変速機40の変速比が決定された変速比の目標値になるように無段変速機40を制御する。
【0036】
さらに、ECU100は、切換スイッチ304からの切換信号に基づいてエンジン20およびリアモータ80により車両を駆動させたり、エンジン20により車両を駆動させたりする。
【0037】
具体的には、ECU100は、4WDモードが選択されている場合には、エンジン20を用いて前輪72を駆動し、リアモータ80を用いて後輪74を駆動するように車両10に搭載された機器類を制御する。また、ECU100は、2WDモードが選択されている場合には、リアモータ80の駆動を停止し、後輪をフリーにした状態で、エンジン20を用いて前輪72を駆動するように車両10に搭載された機器類を制御する。
【0038】
なお、リアモータ80を用いた後輪74の駆動は、車両10の発進時、予め定められた速度以下あるいは前輪72が空転を開始した場合に行なわれるようにしてもよい。前輪72の空転は、車輪速センサ302により検出される車輪速に基づいて検出すればよい。
【0039】
以上のような構成を有する車両において、4WDモード選択時においては、第2のオルタネータ30の作動による発電ロスが生じる。そのため、4WDモード選択時において車両に発生する駆動力は、同じエンジン出力である場合、2WDモード選択時の駆動力よりも低下する。そのため、4WDモード選択時においては、2WDモード選択時よりも運転者が要求する車両の駆動力に対してエンジン20の出力トルクを上昇させる必要がある。
【0040】
しかしながら、運転者が要求する車両の駆動力が大きい場合においては、2WDモード選択時に比べて、アクセルペダル150の踏み込み量の増加に対して車両に発生する駆動力の増加が発電ロスにより早期に頭打ちとなるため、運転者が車両の加速感を得られない場合がある。
【0041】
図2に示すように、2WDモード選択時においては、前輪72の軸トルクのみにより目標駆動トルクが達成される。エンジン20は、目標駆動トルクに対して補機(第1のオルタネータ24あるいはエアコンディショナコンプレッサー等)の負荷トルクが上乗せされたトルクが出力されるように制御される。
【0042】
一方、4WDモード選択時においては、前輪72の軸トルクと、後輪74の軸トルクとの和により目標駆動トルクが達成される。また、後輪74の軸トルクは、エンジン20の動力を第2のオルタネータにより電力に変換し、変換した電力をリアモータ80に供給して駆動させることにより発生する。そのため、エンジン20は、目標駆動トルクに対して補機の負荷トルクに加えて発電ロス等の電気効率分が上乗せされたトルクが出力されるように制御される。
【0043】
そのため、4WDモード選択時においては、2WDモード選択時よりも運転者が要求する車両の駆動力(目標駆動トルク)に対してエンジン20の出力トルクを上昇させる必要がある。
【0044】
図3に車両10のトータル軸トルクの変化とスロットル開度の変化との関係を示す。なお、図3および図4は、アクセルペダル150の踏み込み量の増加に対して車両に発生する駆動力の増加が発電ロスにより早期に頭打ちとなる状態を説明するための図である。車両10のトータル軸トルクは、上述したように4WDモード選択時においては、前輪72の軸トルクと後輪74の軸トルクとの和であり、2WDモード選択時においては、前輪72の軸トルクである。図3の縦軸は、トータル軸トルクを示し、図3の横軸は、スロットル開度を示す。
【0045】
図3に示すように、4WDモード選択時においては、2WDモード選択時と同一のトータル軸トルクを発生させる場合においても、発電ロス等の電気効率の分だけスロットル開度を増加させて、エンジン20の出力を上昇させる必要がある。
【0046】
たとえば、2WDモード選択時においては、スロットル開度をTH(0)とすることにより、トータル軸トルクTt(0)が発生するのに対して、4WDモード選択時においては、スロットル開度をTH(0)よりも大きいTH’(0)とする必要がある。同様に、2WDモード選択時においては、スロットル開度TH(1)とすることにより、トータル軸トルクTt(1)が発生するのに対して、4WDモード選択時においては、スロットル開度をTH(1)よりも大きいTH’(1)とする必要がある。
【0047】
図4にトータル軸トルクとアクセルペダル150の踏み込み量との関係を示す。図4の縦軸は、トータル軸トルクを示し、図4の横軸は、アクセルペダル150の踏み込み量を示す。
【0048】
図4の破線に示すように、アクセルペダル150の踏み込み量がA(0)よりも大きい領域においては、図3に示したように発電ロス等の電気効率分の増加によりスロットル開度の増加余裕がなくなるため、2WDモード選択時の車両の駆動力の増加と比較して(図4の実線)、アクセルペダル150の踏み込み量の増加に対して車両の駆動力の増加が頭打ちになり、運転者が車両の加速感を得られないこととなる。
【0049】
そこで、本実施の形態においては、ECU100が、4WDモード選択時に、アクセルペダル150の踏み込み量が第1の量である場合の後輪74に対する駆動力の配分比よりも、アクセルペダル150の踏み込み量が第1の量よりも大きい第2の量である場合の後輪74に対する駆動力の配分比が小さくなるように、前輪72に対する駆動力の配分比と、後輪74に対する駆動力の配分比とを設定し、設定された前輪72および後輪74の配分比のそれぞれに基づいてエンジン20およびリアモータ80を制御する点に特徴を有する。
【0050】
具体的には、ECU100は、アクセルペダル150の踏み込み量が第1の量以下の場合に、予め定められた値B(1)を後輪74の駆動力配分比として設定し、アクセルペダル150の踏み込み量が第1の量よりも大きい場合に、アクセルペダル150の踏み込み量と第1の量との差分に応じた値だけ予め定められた値B(1)から減じた値を後輪74の駆動力配分比として設定する。
【0051】
さらに、本実施の形態においてECU100は、4WDモード選択時にアクセルペダル150の踏み込み量に対応するスロットル開度が、2WDモード選択時の同一のアクセルペダル150の踏み込み量に対応するスロットル開度よりも小さくなるようにスロットル開度を設定する。
【0052】
さらに、本実施の形態においてECU100は、4WDモード選択時における変速比の目標値が、2WDモード選択時において同一走行条件下で設定される変速比の目標値よりも大きくなるように(減速側に変速するように)変速比の目標値を設定する。
【0053】
図5に、本実施の形態に係る車両用制御装置であるECU100の機能ブロック図を示す。ECU100は、モード判定部102と、出力特性選択部104と、配分比設定部106と、変速制御部108と、エンジン制御部110と、モータ制御部112とを含む。
【0054】
モード判定部102は、2WDモード選択時であるか否かを判定する。本実施の形態において、モード判定部102は、切換信号に基づいて2WDモードが選択されているか否かを判定する。なお、モード判定部102は、たとえば、2WDモードが選択されていないと判定した場合に4WDモード判定フラグをオンするようにしてもよい。
【0055】
出力特性選択部104は、2WDモードおよび4WDモードのうちのいずれか選択された一方のモードに対応した出力特性を選択する。すなわち、出力特性選択部104は、4WDモードが選択されている場合には、4WDモードに対応した出力特性を選択し、2WDモードが選択されている場合には、2WDモードに対応した出力特性を選択する。
【0056】
ここで出力特性とは、アクセルペダル150の踏み込み量とスロットル開度との関係に基づく特性である。図6にアクセルペダル150の踏み込み量とスロットル開度との関係を示す。図6の縦軸は、スロットル開度を示し、図6の横軸は、アクセルペダル150の踏み込み量を示す。
【0057】
本実施の形態において、2WDモード選択時におけるアクセルペダル150の踏み込み量とスロットル開度との関係(図6の実線)は、4WDモード選択時におけるアクセルペダル150の踏み込み量とスロットル開度との関係(図6の破線)と比較して、同一のアクセルペダル150の踏み込み量に対してスロットル開度が大きい。
【0058】
たとえば、2WDモード選択時においては、アクセルペダル150の踏み込み量A(1)に対してTH(2)がスロットル開度として決定される。一方、4WDモード選択時においては、アクセルペダル150の踏み込み量A(1)に対してTH(2)よりも小さいTH(3)がスロットル開度として決定される。
【0059】
なお、出力特性選択部104は、たとえば、4WDモード判定フラグがオンである場合には、4WDモードに対応した出力特性を選択し、4WDモード判定フラグがオフである場合に、2WDモードに対応した出力特性を選択するようにしてもよい。
【0060】
配分比設定部106は、4WDモードが選択されている場合に、車両10の走行状態に基づいて後輪74の駆動力配分比を設定する。配分比設定部106は、4WDモード選択時においては、アクセルペダル150の踏み込み量が第1の量である場合の後輪74の駆動力配分比よりも、アクセルペダル150の踏み込み量が第1の量よりも大きい第2の量である場合の後輪74の駆動力配分比が小さくなるように前輪72の駆動力配分比と、後輪74の駆動力配分比とを設定する。
【0061】
具体的には、配分比設定部106は、図7に示すように後輪74の駆動力配分比を設定する。図7の縦軸は、後輪74の駆動力配分比を示し、図7の横軸は、アクセルペダル150の踏み込み量を示す。
【0062】
図7に示すように、配分比設定部106は、4WDモード選択時においては、アクセルペダル150の踏み込み量がA(2)である場合の後輪74の駆動力配分比B(1)よりも、アクセルペダル150の踏み込み量がA(2)よりも大きいA(3)である場合の後輪74の駆動力配分比B(2)が小さくなるように後輪74の駆動力配分比を設定する。配分比設定部106は、設定された後輪74の駆動力配分比に基づいて前輪72の駆動力配分比を設定する。
【0063】
本実施の形態においては、図7に示すように、配分比設定部106は、アクセルペダル150の踏み込み量がA(2)以下の場合には、予め定められた値B(1)を後輪74の駆動力配分比として設定する。また、配分比設定部106は、アクセルペダル150の踏み込み量がA(2)よりも大きい場合に、A(2)とアクセルポジションセンサ300によって検出されるアクセルペダル150の踏み込み量との差分に応じた値だけ予め定められた値B(1)から減じた値を後輪74の駆動力配分比として設定する。
【0064】
たとえば、アクセルペダル150の踏み込み量がA(2)よりも大きいA(3)である場合には、予め定められた値B(1)からA(3)−A(2)に応じた値ΔBだけ減じた値B(2)を後輪74の駆動力配分比として設定する。
【0065】
本実施の形態においては、配分比設定部106は、アクセルペダル150の踏み込み量がA(2)以上となった場合に、アクセルペダル150の踏み込み量の変化に対して後輪74の駆動力配分比を線形で変化するように設定するものとして説明するが、特に線形で変化することに限定されるものではなく、たとえば、非線形で変化するようにしてもよい。
【0066】
また、本実施の形態においては、アクセルペダル150の踏み込み量に基づいて前輪72および後輪74の駆動力配分比を設定するとして説明したが、アクセルペダル150の踏み込み量に加えて、車両の速度等の車両の走行状態に基づいて前輪72および後輪74の駆動力配分比を設定するようにしてもよい。
【0067】
なお、配分比設定部106は、たとえば、4WDモード判定フラグがオンである場合にアクセルペダル150の踏み込み量に基づいて後輪74の駆動力配分比を設定するようにしてもよい。
【0068】
変速制御部108は、車両の走行状態に応じて変速比の目標値を設定し、変速比が目標値になるように無段変速機40を制御する。
【0069】
変速制御部108は、4WDモード選択時における変速比の目標値が、2WDモード選択時である場合に同一走行条件下で設定される変速比の目標値よりも大きくなるように変速比の目標値を設定する。ただし、変速制御部108は、変更した変速比の目標値が上限値を越える場合には、2WDモード選択時と同様の変速比の目標値を設定する。なお、変速比は、たとえば、無段変速機40の入力軸回転数と出力軸回転数との比により算出される。
【0070】
なお、変速制御部108は、たとえば、4WDモード判定フラグがオンである場合には、車両の速度とアクセルペダル150の踏み込み量とに基づいて4WDモードに対応した変速比の目標値を設定し、4WDモード判定フラグがオフである場合には、車両の速度とアクセルペダル150の踏み込み量とに基づいて2WDモードに対応した変速比の目標値を設定するようにしてもよい。変速制御部108は、設定された変速比の目標値に基づいて変速制御信号を生成し、無段変速機40に送信する。無段変速機40においては、受信した変速制御信号に基づいて無段変速機40の変速比が設定された目標値になるように変速制御が実行される。
【0071】
エンジン制御部110は、アクセルペダル150の踏み込み量と、出力特性選択部104にて選択された出力特性と、第2のオルタネータ30における負荷と、変速制御部108において設定された変速比の目標値とに基づいてスロットル開度を決定する。エンジン制御部110は、決定されたスロットル開度になるように電子スロットル42を制御する。エンジン制御部110は、後述するモータ制御部112から第2のオルタネータ30の負荷に関する情報を取得する。また、エンジン制御部110は、変速制御部108から設定された変速比の目標値に関する情報を取得する。エンジン制御部110は、取得した各種情報に基づいて運転者の要求に対応した目標駆動トルクを達成し、かつ、補機の負荷および発電ロス等の電気効率分を上乗せしたエンジン20の出力トルクを決定し、決定された出力トルクが発生するスロットル開度を決定する。
【0072】
エンジン制御部110は、決定されたスロットル開度に基づいてエンジン制御信号を生成し、エンジン20の電子スロットル42に送信する。
【0073】
なお、エンジン制御部110は、たとえば、4WDモード判定フラグがオンである場合には、上述したように第2のオルタネータ30の発電ロス等の電気効率分を上乗せした4WDモードに対応したスロットル開度を決定し、4WDモード判定フラグがオフである場合には、2WDモードに対応したスロットル開度を決定するようにしてもよい。
【0074】
モータ制御部112は、4WDモードが選択されている場合に、配分比設定部106によって設定された後輪74の駆動力配分比に基づいて第2のオルタネータ30およびリアモータ80を制御する。
【0075】
モータ制御部112は、車両10の走行状態に基づいて車両10に要求される目標駆動トルク(目標駆動力)を設定する。車両10の走行状態とは、たとえば、アクセルペダル150の踏み込み量、車両の速度および前輪72の空転の有無等である。
【0076】
モータ制御部112は、目標駆動トルクと、配分比設定部106によって設定された駆動力配分比とに基づいて後輪74の駆動力を算出し、算出された後輪74の駆動力に基づいてリアモータ80に対して要求されるトルクを算出する。
【0077】
モータ制御部112は、算出されたリアモータ80に対して要求されるトルクに基づいて第2のオルタネータ30において必要とされる発電電力を算出する。モータ制御部112は、算出された発電電力に基づいてオルタネータ制御信号を生成して、第2のオルタネータ30に送信する。また、モータ制御部112は、算出されたリアモータ80に対して要求されるトルクに基づいてモータ制御信号を生成して、モータECU200に送信する。なお、必要とされる発電電力がエンジン20の作動状態に基づいて第2のオルタネータ30において発電可能な電力を超える場合は、モータ制御部112は、発電可能な電力に基づいてオルタネータ制御信号を生成して第2のオルタネータ30に送信し、発電可能な電力に基づいてモータ制御信号を生成して、モータECU200に送信する。モータECU200は、ECU100から受信したモータ制御信号に基づいてインバータ60を制御しリアモータ80を駆動させる。
【0078】
モータ制御部112は、リアモータ80の出力トルクを推定し、第2のオルタネータ30の負荷を算出する。モータ制御部112は、第2のオルタネータ30の負荷に関する情報をエンジン制御部110に送信する。
【0079】
本実施の形態において、モード判定部102と、出力特性選択部104と、配分比設定部106と、変速制御部108と、エンジン制御部110と、モータ制御部112とは、いずれもECUのCPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される、ソフトウェアとして機能するものとして説明するが、ハードウェアにより実現されるようにしてもよい。なお、このようなプログラムは記憶媒体に記録されて車両に搭載される。
【0080】
図8を参照して、本実施の形態に係る車両用制御装置であるECU100で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
【0081】
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、ECU100は、切換スイッチ304の状態に基づいて2WDモードであるか否かを判定する。2WDモードである場合(S100にてYES)、処理はS102に移される。もしそうでない場合(S100にてNO)、処理はS104に移される。
【0082】
S102にて、ECU100は、2WDモードに対応した出力特性を選択する。S104にて、ECU100は、4WDモードに対応した出力特性を選択する。なお、2WDモードおよび4WDモードに対応した出力特性について図6および7等で説明したとおりである。そのため、その詳細な説明は繰返さない。
【0083】
S106にて、ECU100は、車両10の走行状態を判定する。具体的には、ECU100は、車輪速センサ302により検出した前輪72の車輪速に基づいて前輪72が空転しているか否かを判定する。
【0084】
S108にて、ECU100は、4WDモード選択時において車両に対して要求されるトータル軸トルクを算出する。車両に要求されるトルクは、アクセルペダル150の踏み込み量に基づく目標駆動トルクである。S110にて、ECU100は、リアモータ80に対して要求されるトルクである。ECU100は、アクセルペダル150の踏み込み量に基づいて後輪74の駆動力配分比を設定し、設定された駆動力配分比と、前述の車両に要求されるトータル軸トルクとに基づいてリアモータ80に対して要求されるトルクを算出する。
【0085】
S112にて、ECU100は、第2のオルタネータ30に要求される発電電力を算出する。ECU100は、リアモータ80に対して要求されるトルクに基づいて第2のオルタネータ30に要求される発電電力を算出する。
【0086】
S114にて、ECU100は、算出された発電電力に基づいて第2のオルタネータ30に対する制御出力を算出する。なお、ECU100は、算出された発電電力がエンジン20の作動状態に基づく第2のオルタネータ30の発電可能な上限値を越える場合は、当該上限値の発電電力が発電するように第2のオルタネータ30に対する制御出力を算出し、算出された発電電力が当該上限値を超えない場合は、算出された発電電力が発電するように第2のオルタネータ30に対する制御出力を算出する。
【0087】
S116にて、ECU100は、算出された制御出力に基づいてリアモータ80において出力されるトルクを推定する。S118にて、ECU100は、第2のオルタネータ30の作動による負荷を算出する。
【0088】
なお、第2のオルタネータ30の制御出力とリアモータ80の出力トルクとの関係および第2のオルタネータ30の制御出力と第2のオルタネータ30の負荷との関係については、予めマップ等としてメモリに記憶しておき、ECU100が算出された制御出力とマップ等とに基づいてリアモータ80において出力されるトルクと第2のオルタネータ30の作動による負荷とを算出するようにしてもよい。
【0089】
S120にて、ECU100は、変速比の目標値を算出する。このとき、ECU100は、通常設定される変速比から減速側への変速が可能である場合には、予め定められた値あるいは車両の走行状態(車両の速度、アクセルペダル150の踏み込み量等)に応じた値だけ通常設定される変速比よりも大きい値(減速側の変速比の値)を目標値として算出する。なお、通常設定される変速比から減速側への変速が可能であるか否かは、たとえば、車両の走行状態(車両の速度、アクセルペダル150の踏み込み量等)が予め定められた条件(車両の速度および/またはアクセルペダル150の踏み込み量等についての条件)が成立するか否かにより判断すればよい。
【0090】
S122にて、ECU100は、エンジン20に対して要求される出力を算出する。S124にて、ECU100は、エンジン20に対して要求される出力トルクを修正する。具体的には、ECU100は、算出された目標駆動トルクに補機の負荷分および第2のオルタネータ30の負荷分を上乗せしたトルクをエンジン20に対して要求される出力トルクとする。また、ECU100は、アクセルペダル150の踏み込み量と4WDモードに対応する出力特性とに基づいてスロットル開度を算出し、電子スロットル42を制御する。
【0091】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る車両用制御装置であるECU100の動作について説明する。
【0092】
運転者が切換スイッチ304を操作することにより4WDモードが選択されている場合(S100にてNO)、4WDモードに対応した出力特性が選択される(S104)。車両10の走行状態が判定され(S106)、4WDモード選択時において車両に要求されるトータル軸トルクが算出される(S108)。さらに、リアモータ80に対して要求されるトルクが算出され(S110)、第2のオルタネータ30に要求される発電電力が算出され(S112)、第2のオルタネータ30に対する制御出力が算出される(S114)。
【0093】
算出された制御出力に基づいて、リアモータ80において出力されるトルクが推定されて(S116)、第2のオルタネータ30における負荷が算出される(S118)。変速比の目標値が算出されて(S120)、エンジン20に対して要求される出力が算出され(S122)、エンジン20に対して要求される出力トルクを修正する(S124)。なお、2WDモードが選択されている場合(S100にてYES)、2WDモードに対応した出力特性が選択される(S102)。そのため、アクセルペダル150の踏み込み量と2WDモードに対応する出力特性とに基づいてスロットル開度が算出され、電子スロットル42が制御される。
【0094】
4WDモード選択時に4WDモードに対応した出力特性が選択される。4WDに対応した出力特性は、図6で説明したように、同一のアクセルペダル150の踏み込み量に対応するスロットル開度が2WDモード選択時のスロットル開度よりも小さい。
【0095】
そのため、図9のアクセルペダル150の踏み込み量とトータル軸トルクとの関係に示すように、4WDモード選択時のトータル軸トルク(図9の破線)は、同一のアクセルペダル150の踏み込み量に対応する2WDモード選択時のトータル軸トルク(図9の実線)よりも小さくなる。なお、図9の縦軸は、トータル軸トルクを示し、図9の横軸は、アクセルペダル150の踏み込み量を示す。
【0096】
しかしながら、4WDモード選択時においてスロットル開度の増加余裕を大きくすることにより、発電ロス等の電気効率分をスロットル開度の増加で補いつつ、アクセルペダル150の踏み込み量の増加に対するトータル軸トルクの増加の態様を2WDモードと4WDモードとで同様にすることができる。
【0097】
そのため、4WDモード選択時においてアクセルペダル150の踏み込み量の増加に対してトータル軸トルクの増加が頭打ちになることが回避される。その結果、運転者は車両の加速感を得られることとなる。
【0098】
さらに、4WDモード選択時の変速比の目標値を2WDモード選択時と同一走行条件下で設定される変速比の目標値よりも大きくすることができる場合のアクセルペダル150の踏み込み量とトータル軸トルクとの関係を図10に示す。なお、図10の縦軸は、トータル軸トルクを示し、図10の横軸は、アクセルペダル150の踏み込み量を示す。
【0099】
また、図10の細破線は、通常の変速比の目標値が設定された場合の、アクセルペダル150の踏み込み量の増加に対するトータル軸トルクの増加の態様を示す。図10の太破線は、通常設定される変速比の目標値よりも大きい目標値を設定された場合の、アクセルペダル150の踏み込み量の増加に対するトータル軸トルクの増加の態様を示す。両者を比較すると、通常設定される変速比の目標値よりも大きい目標値を設定した場合の方が、同一走行条件下においては、同一のアクセルペダル150の踏み込み量に対してトータル軸トルクを増加させることができる。
【0100】
そのため、4WDモード選択時においてアクセルペダル150の踏み込み量の変化に対するトータル軸トルクの変化の態様を2WDに近づけることができるため、2WDモード選択時と比較してトータル軸トルクを低下させることなく、運転者は車両の加速感を得られることとなる。
【0101】
あるいは、4WDモード選択時において変速比の目標値をより大きくすることができなかった場合であっても、アクセルペダル150の踏み込み量がA(2)以上になる場合には、図7を用いて説明したように後輪74の駆動力配分比が減少する。そのため、図11のアクセルペダル150の車両の駆動状態は、4輪駆動状態から2輪駆動状態に近づくこととなる。後輪の駆動力配分比が減少することにより、発電ロス等の電気効率分が減少する。その結果、トータル軸トルク(図11の太破線)は、同一のアクセルペダル150の踏み込み量に対応する、駆動力配分比を変更しない場合のトータル軸トルク(図11の細破線)よりも増加することとなる。
【0102】
以上のようにして、本実施の形態に係る車両用制御装置によると、アクセルペダルの踏み込み量が第1の量である場合の後輪の駆動力配分比よりも、踏み込み量が第2の量である場合の後輪の駆動力配分比を小さくすることにより、アクセルペダルの踏み込み量が大きくなるほど、前輪の駆動力配分比が大きくなるため、車両の駆動状態は、2輪駆動状態に近づく。そのため、発電ロス等による車両に発生する駆動力の低下量が小さくなるため、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対して車両に発生する駆動力を増加させることができる。その結果、運転者は車両の加速感を得られることとなる。したがって、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対して応答性良く車両に発生する駆動力を増加させる車両用制御装置を提供することができる。
【0103】
4WDモード選択時におけるアクセルペダルの踏み込み量に対応するスロットル開度が、2WDモード選択時におけるアクセルペダルの踏み込み量に対応するスロットル開度よりも小さくなるように設定することにより、アクセルペダルの踏み込み量が大きい領域において、スロットル開度の増加余裕を確保することができる。そのため、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対してスロットル開度を増加させることにより、頭打ちすることなく車両に発生する駆動力を増加させることができる。その結果、運転者は車両の加速感を得られることとなる。
【0104】
さらに、4WDモード選択時における変速比の目標値が2WDモード選択時に同一走行条件下で設定される変速比の目標値よりも大きくなるように設定されることにより、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対して車両に発生する駆動力を増加させることができる。そのため、特にアクセルペダルの踏み込み量が大きい領域において、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対して車両に発生する駆動力を増加させることにより、運転者は車両の加速感を得られることとなる。
【0105】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0106】
10 車両、20 エンジン、22,26,32 プーリ、24,30 オルタネータ、28 ベルト、40 無段変速機、42 電子スロットル、44 スロットルバルブ、46 スロットルポジションセンサ、50 補機バッテリ、60 インバータ、70 トランスアクスル、72 前輪、74 後輪、80 リアモータ、90 後輪駆動装置、100 ECU、102 モード判定部、104 出力特性選択部、106 配分比設定部、108 変速制御部、110 エンジン制御部、112 モータ制御部、150 アクセルペダル、200 モータECU、300 アクセルポジションセンサ、302 車輪速センサ、304 切換スイッチ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の駆動輪を駆動する内燃機関と車両の前後方向で異なる位置に設けられる第2の駆動輪を駆動するモータとが搭載された車両の制御に関し、特に、内燃機関とモータとを用いて第1および第2の駆動輪を駆動する場合におけるアクセル操作に対する車両の駆動力の応答性を向上する制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、前輪をエンジンにより駆動し、後輪をモータにより駆動する4輪駆動車が公知である。このような車両においては、4輪駆動走行時においては、エンジンのトルクを用いて発電機を駆動するため、エンジンストールを防止するためにエンジンの作動により生じるトルクに余剰トルクが発生させる技術が公知である。
【0003】
たとえば、特開2004−104971号公報(特許文献1)は、いわゆるモータ4輪駆動車両において、エンジンストールを確実に防止する4輪駆動車両の制御装置を開示する。この4輪駆動車両の制御装置は、一方の車輪駆動軸がエンジンにより駆動され、他方の車輪駆動軸が電動モータにより駆動される4輪駆動車両の制御装置である。電動モータは、エンジンにより駆動される発電機の発電電力の供給を受けて作動する。この制御装置は、エンジンが発生するトルクを算出するエンジン発生トルク算出手段と、エンジンの回転駆動を維持できる回転維持トルクを算出する回転維持トルク算出手段と、エンジン発生トルクから回転維持トルクを減算して余剰トルクを算出する余剰トルク算出手段と、余剰トルクに基づいて、電動モータの作動電力を得るための発電機の駆動トルクを設定する発電機駆動トルク設定手段と、を備えることを特徴とする。
【0004】
上述した公報に開示された4輪駆動車両の制御装置によると、4輪駆動走行時において、発電機を駆動する際のエンジン負荷によってエンジンストールに至る事態を確実に防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−104971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した車両の4輪駆動走行時においては、車両に発生する駆動力は、エンジンの駆動による2輪駆動走行時よりも発電機が作動することによる発電ロス等の分だけ低下する。そのため、4輪駆動走行時においては、2輪駆動走行時よりも運転者が要求する車両の駆動力に対してエンジンの出力を上昇させる必要がある。
【0007】
しかしながら、運転者が要求する車両の駆動力が大きい場合においては、2輪駆動走行時に比べて、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対して車両に発生する駆動力の増加が発電ロスにより早期に頭打ちとなるため、運転者が車両の加速感を得られないという問題がある。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対して応答性よく車両に発生する駆動力を増加させる車両用制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明に係る車両用制御装置は、内燃機関とモータとを駆動源とする車両に搭載される車両用制御装置である。車両は、内燃機関によって駆動される第1の駆動輪と、内燃機関の動力を用いて発電する発電機と、第1の駆動輪とは車両の前後方向に対して異なる位置に設けられ、発電機によって発電された電力を用いてモータによって駆動される第2の駆動輪と、車両に対して駆動力を要求するためのアクセルペダルとを含む。この車両用制御装置は、アクセルペダルの踏み込み量を検出するための踏み込み量検出手段と、第1および第2の駆動輪をそれぞれ駆動させる場合に、踏み込み量検出手段によって検出されたアクセルペダルの踏み込み量が第1の量である場合の第2の駆動輪に対する駆動力の配分比よりも、アクセルペダルの踏み込み量が第1の量よりも大きい第2の量である場合の第2の駆動輪に対する駆動力の配分比が小さくなるように、第1の駆動輪および第2の駆動輪に対する駆動力の配分比を設定するための配分比設定手段と、配分比設定手段によって設定された第1の駆動輪および第2の駆動輪に対する駆動力の配分比に基づいて内燃機関およびモータを制御するための駆動力制御手段とを含む。第5の発明に係る車両用制御方法は、第1の発明に係る車両用制御装置と同様の特徴を有する。
【0010】
第1の発明によると、踏み込み量が第1の量である場合の第2の駆動輪に対する駆動力の配分比よりも、踏み込み量が第2の量である場合の第2の駆動輪に対する駆動力の配分比を小さくすることにより、アクセルペダルの踏み込み量が大きくなるほど、内燃機関により駆動する第1の駆動輪に対する駆動力の配分比が高くなり、車両の駆動状態は、内燃機関により第1の駆動輪を駆動させる駆動状態に近づくこととなる。そのため、発電ロス等による車両に発生する駆動力の低下量が小さくなるため、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対して車両に発生する駆動力を増加させることができる。その結果、運転者は車両の加速感を得られることとなる。したがって、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対して応答性良く車両に発生する駆動力を増加させる車両用制御装置を提供することができる。
【0011】
第2の発明に係る車両用制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、配分比設定手段は、アクセルペダルの踏み込み量が第1の量以下の場合に、予め定められた値を第2の駆動輪に対する駆動力の配分比として設定し、アクセルペダルの踏み込み量が第1の量よりも大きい場合に、アクセルペダルの踏み込み量と第1の量との差分に応じた値だけ予め定められた値から減じた値を第2の駆動輪に対する駆動力の配分比として設定する。第6の発明に係る車両用制御方法は、第2の発明に係る車両用制御装置と同様の特徴を有する。
【0012】
第2の発明によると、踏み込み量が第1の量以下の場合に、予め定められた値を第2の駆動輪に対する駆動力の配分比として設定し、踏み込み量が第1の量よりも大きい場合に、踏み込み量と第1の量との差分に応じた値だけ予め定められた値から減じた値を第2の駆動輪に対する駆動力の配分比として設定することにより、アクセルペダルの踏み込み量が第1の量よりも大きい場合には、アクセルペダルの踏み込み量が大きくなるほど、内燃機関により駆動する第1の駆動輪に対する駆動力の配分比が高くなり、車両の駆動状態は、内燃機関により第1の駆動輪を駆動させる駆動状態に近づくこととなる。そのため、発電ロス等による車両に発生する駆動力の低下量が小さくなるため、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対して車両に発生する駆動力を増加させることができる。その結果、運転者は車両の加速感を得られることとなる。
【0013】
第3の発明に係る車両用制御装置においては、第1または2の発明の構成に加えて、内燃機関には、内燃機関に吸入される空気の流量を調整するための電子スロットルが設けられる。車両用制御装置は、踏み込み量検出手段によって検出されたアクセルペダルの踏み込み量に基づいてスロットル開度を設定するための開度設定手段と、開度設定手段によって設定されたスロットル開度になるように電子スロットルを制御するためのスロットル制御手段とをさらに含む。開度設定手段は、内燃機関およびモータを用いて第1および第2の駆動輪をそれぞれ駆動させる場合に、踏み込み量検出手段によって検出されたアクセルペダルの踏み込み量に対応するスロットル開度が、モータの駆動を停止させて、内燃機関を用いて第1の駆動輪を駆動させる場合に、アクセルペダルの踏み込み量に対応して設定されるスロットル開度よりも小さくなるようにスロットル開度を設定する。第7の発明に係る車両用制御方法は、第3の発明に係る車両用制御装置と同様の特徴を有する。
【0014】
第3の発明によると、内燃機関およびモータを用いて第1および第2の駆動輪をそれぞれ駆動させる場合の踏み込み量に対応するスロットル開度が、内燃機関を用いて第1の駆動輪を駆動させる場合に踏み込み量に対応して設定されるスロットル開度よりも小さくなるようにスロットル開度を設定することにより、アクセルペダルの踏み込み量が大きい領域において、スロットル開度の増加分が確保することができる。そのため、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対してスロットル開度を増加させることにより、車両に発生する駆動力を頭打ちすることなく増加させることができる。その結果、運転者は車両の加速感を得られることとなる。
【0015】
第4の発明に係る車両用制御装置は、第1〜3のいずれかの発明の構成に加えて、車両は、内燃機関に連結される自動変速機をさらに含む。車両用制御装置は、車両の走行状態に基づいて変速比の目標値を設定するための目標設定手段と、目標設定手段によって設定された変速比の目標値になるように自動変速機を制御するための変速制御手段とをさらに含む。目標設定手段は、内燃機関およびモータを用いて第1および第2の駆動輪をそれぞれ駆動させる第1の駆動状態である場合に設定される変速比の目標値が、モータの駆動を停止させて、内燃機関を用いて第1の駆動輪を駆動させる第2の駆動状態である場合に第1の駆動状態と同一走行条件下で設定される変速比の目標値よりも大きくなるように変速比の目標値を設定する。第8の発明に係る車両用制御方法は、第4の発明に係る車両用制御装置と同様の特徴を有する。
【0016】
第4の発明によると、変速比の目標値が大きくなるように設定されることにより、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対して車両に発生する駆動力を増加させることができる。そのため、特にアクセルペダルの踏み込み量が大きい領域において、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対して車両に発生する駆動力を増加させることにより、運転者は車両の加速感を得られることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態に係る車両の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】2WDモード選択時および4WDモード選択時におけるエンジンの出力トルクの構成を示す図である。
【図3】スロットル開度とトータル軸トルクとの関係を示す図である。
【図4】アクセルペダルの踏み込み量とトータル軸トルクとの関係を示す図(その1)である。
【図5】本実施の形態に係る車両用制御装置であるECUの機能ブロック図である。
【図6】アクセルペダルの踏み込み量とスロットル開度との関係を示す図である。
【図7】アクセルペダルの踏み込み量と後輪の駆動力配分比との関係を示す図である。
【図8】本実施の形態に係る車両用制御装置であるECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図9】アクセルペダルの踏み込み量とトータル軸トルクとの関係を示す図(その2)である。
【図10】アクセルペダルの踏み込み量とトータル軸トルクとの関係を示す図(その3)である。
【図11】アクセルペダルの踏み込み量とトータル軸トルクとの関係を示す図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態において、車両10は、エンジン20と、第1のオルタネータ24と、第2のオルタネータ30と、無段変速機40と、補機バッテリ50と、前輪72と、後輪74と、後輪駆動装置90と、ECU(Electronic Control Unit)100と、アクセルペダル150と、アクセルポジションセンサ300と、車輪速センサ302と、切換スイッチ304とを含む。なお、車両10は、特に4輪の車両に限定されるものではなく、少なくとも車両の前後方向について異なる位置に設けられる2以上の駆動軸を有する車両であればよい。
【0020】
エンジン20は、第1の駆動輪を駆動する内燃機関である。本実施の形態において「第1の駆動輪」は、前輪72であるが、後輪74であってもよい。エンジン20は、ガソリンエンジンであってもよいし、ディーゼルエンジンであってもよく、特に限定されるものではない。
【0021】
エンジン20には、電子スロットル42が設けられる。電子スロットル42は、スロットルバルブ44と、スロットルモータ(図示せず)と、スロットルポジションセンサ46とを含む。スロットルモータは、ECU100からの制御信号に基づいてスロットルバルブ44の開度(以下、スロットル開度という)を変更する。スロットルポジションセンサ46は、スロットル開度を検出する。スロットルポジションセンサ46は、検出したスロットル開度を示す信号をECU100に送信する。
【0022】
無段変速機40は、エンジン20の出力軸に連結される。無段変速機40は、エンジン20からの動力を変速して前輪72に伝達する。無段変速機40は、ベルト式無段変速機であってもよいし、トロイダル式無段変速機であってもよく、特に限定されるものではない。
【0023】
第1のオルタネータ24および第2のオルタネータ30は、エンジン20の動力を用いて発電する。第1のオルタネータ24および第2のオルタネータ30の発電量は、ECU100により制御される。
【0024】
第1のオルタネータ24は、発電した電力を補機バッテリ50に供給する。第1のオルタネータ24により発電された電力により補機バッテリ50が充電される。
【0025】
第1のオルタネータ24の入力軸には、プーリ26が連結される。プーリ26は、エンジン20の出力軸に連結されたプーリ22とベルト28を用いて連結される。そのため、エンジン20の作動によりプーリ22の回転力は、ベルト28を経由してプーリ26に伝達される。そのため、エンジン20の作動により第1のオルタネータ24が作動することとなる。
【0026】
第2のオルタネータ30は、発電した電力をインバータ60に供給する。これにより、第2のオルタネータ30により発電された電力により後述するリアモータ80が駆動する。
【0027】
第2のオルタネータ30の入力軸には、プーリ32が連結される。プーリ32は、エンジン20の出力軸に連結されたプーリ22とベルト28により連結される。そのため、エンジン20の作動によりプーリ22の回転力は、ベルト28を経由してプーリ32に伝達される。そのため、エンジン20の作動により第2のオルタネータ30が作動することとなる。
【0028】
補機バッテリ50は、ECU100、モータECU200あるいは車両に搭載される電気機器等に電力を供給する。補機バッテリ50は、たとえば、12Vのバッテリである。
【0029】
後輪駆動装置90は、モータECU200と、インバータ60と、リアモータ80と、トランスアクスル70とを含む。
【0030】
インバータ60は、第2のオルタネータ30により発電された電力をリアモータ80を作動させる電力の形式に変換してリアモータ80に供給する。たとえば、インバータ60は、第2のオルタネータ30により発電された直流電力を交流電力に変換してリアモータ80に供給する。インバータ60からリアモータ80に対して供給される電力は、モータECU200により制御される。リアモータ80は、インバータ60から供給される電力により第2の駆動輪を駆動する。第2の駆動輪は、第1の駆動輪と車両の前後方向に対して異なる位置に設けられる。本実施の形態において、「第2の駆動輪」は、後輪74であるが前輪72であってもよい。すなわち、リアモータ80の回転力は、トランスアクスル70を経由して後輪74に伝達される。
【0031】
アクセルポジションセンサ300は、アクセルペダル150の踏み込み量を検出する。アクセルポジションセンサ300は、検出したアクセルペダル150の踏み込み量を示す信号をECU100に送信する。
【0032】
車輪速センサ302は、前輪72の車輪速を検出する。車輪速センサ302は、検出した車輪速を示す信号をECU100に送信する。ECU100は、受信した車輪速を示す信号に基づいて車両の速度を算出する。
【0033】
切換スイッチ304は、運転者が車両の走行モードを選択するためのスイッチである。本実施の形態において車両の走行モードとは、エンジン20により前輪72を駆動して、リアモータ80により後輪74を駆動する4輪駆動走行モード(以下、4WDモードと記載する)と、エンジン20により前輪72を駆動して、リアモータ80を停止する2輪駆動走行モード(以下、2WDモードと記載する)とを含む。切換スイッチ304は、運転者により走行モードを選択する操作が行なわれると、選択された走行モードに対応する切換信号をECU100に送信する。
【0034】
ECU100は、エンジン20、無段変速機40およびモータECU200を経由してインバータ60等の機器類の作動を制御する。ECU100は、アクセルペダル150の踏み込み量に基づいてスロットル開度、点火時期および燃料噴射量等のエンジン20の制御量を決定し、決定された制御量に対応する制御信号をエンジン20に送信する。
【0035】
ECU100は、車両の走行状態に応じて、無段変速機40の変速比を制御する。車両の走行状態とは、たとえば、車両の速度と、アクセルペダル150の踏み込み量とである。ECU100は、車両の走行状態に基づいて変速比の目標値を決定する。ECU100は、無段変速機40の変速比が決定された変速比の目標値になるように無段変速機40を制御する。
【0036】
さらに、ECU100は、切換スイッチ304からの切換信号に基づいてエンジン20およびリアモータ80により車両を駆動させたり、エンジン20により車両を駆動させたりする。
【0037】
具体的には、ECU100は、4WDモードが選択されている場合には、エンジン20を用いて前輪72を駆動し、リアモータ80を用いて後輪74を駆動するように車両10に搭載された機器類を制御する。また、ECU100は、2WDモードが選択されている場合には、リアモータ80の駆動を停止し、後輪をフリーにした状態で、エンジン20を用いて前輪72を駆動するように車両10に搭載された機器類を制御する。
【0038】
なお、リアモータ80を用いた後輪74の駆動は、車両10の発進時、予め定められた速度以下あるいは前輪72が空転を開始した場合に行なわれるようにしてもよい。前輪72の空転は、車輪速センサ302により検出される車輪速に基づいて検出すればよい。
【0039】
以上のような構成を有する車両において、4WDモード選択時においては、第2のオルタネータ30の作動による発電ロスが生じる。そのため、4WDモード選択時において車両に発生する駆動力は、同じエンジン出力である場合、2WDモード選択時の駆動力よりも低下する。そのため、4WDモード選択時においては、2WDモード選択時よりも運転者が要求する車両の駆動力に対してエンジン20の出力トルクを上昇させる必要がある。
【0040】
しかしながら、運転者が要求する車両の駆動力が大きい場合においては、2WDモード選択時に比べて、アクセルペダル150の踏み込み量の増加に対して車両に発生する駆動力の増加が発電ロスにより早期に頭打ちとなるため、運転者が車両の加速感を得られない場合がある。
【0041】
図2に示すように、2WDモード選択時においては、前輪72の軸トルクのみにより目標駆動トルクが達成される。エンジン20は、目標駆動トルクに対して補機(第1のオルタネータ24あるいはエアコンディショナコンプレッサー等)の負荷トルクが上乗せされたトルクが出力されるように制御される。
【0042】
一方、4WDモード選択時においては、前輪72の軸トルクと、後輪74の軸トルクとの和により目標駆動トルクが達成される。また、後輪74の軸トルクは、エンジン20の動力を第2のオルタネータにより電力に変換し、変換した電力をリアモータ80に供給して駆動させることにより発生する。そのため、エンジン20は、目標駆動トルクに対して補機の負荷トルクに加えて発電ロス等の電気効率分が上乗せされたトルクが出力されるように制御される。
【0043】
そのため、4WDモード選択時においては、2WDモード選択時よりも運転者が要求する車両の駆動力(目標駆動トルク)に対してエンジン20の出力トルクを上昇させる必要がある。
【0044】
図3に車両10のトータル軸トルクの変化とスロットル開度の変化との関係を示す。なお、図3および図4は、アクセルペダル150の踏み込み量の増加に対して車両に発生する駆動力の増加が発電ロスにより早期に頭打ちとなる状態を説明するための図である。車両10のトータル軸トルクは、上述したように4WDモード選択時においては、前輪72の軸トルクと後輪74の軸トルクとの和であり、2WDモード選択時においては、前輪72の軸トルクである。図3の縦軸は、トータル軸トルクを示し、図3の横軸は、スロットル開度を示す。
【0045】
図3に示すように、4WDモード選択時においては、2WDモード選択時と同一のトータル軸トルクを発生させる場合においても、発電ロス等の電気効率の分だけスロットル開度を増加させて、エンジン20の出力を上昇させる必要がある。
【0046】
たとえば、2WDモード選択時においては、スロットル開度をTH(0)とすることにより、トータル軸トルクTt(0)が発生するのに対して、4WDモード選択時においては、スロットル開度をTH(0)よりも大きいTH’(0)とする必要がある。同様に、2WDモード選択時においては、スロットル開度TH(1)とすることにより、トータル軸トルクTt(1)が発生するのに対して、4WDモード選択時においては、スロットル開度をTH(1)よりも大きいTH’(1)とする必要がある。
【0047】
図4にトータル軸トルクとアクセルペダル150の踏み込み量との関係を示す。図4の縦軸は、トータル軸トルクを示し、図4の横軸は、アクセルペダル150の踏み込み量を示す。
【0048】
図4の破線に示すように、アクセルペダル150の踏み込み量がA(0)よりも大きい領域においては、図3に示したように発電ロス等の電気効率分の増加によりスロットル開度の増加余裕がなくなるため、2WDモード選択時の車両の駆動力の増加と比較して(図4の実線)、アクセルペダル150の踏み込み量の増加に対して車両の駆動力の増加が頭打ちになり、運転者が車両の加速感を得られないこととなる。
【0049】
そこで、本実施の形態においては、ECU100が、4WDモード選択時に、アクセルペダル150の踏み込み量が第1の量である場合の後輪74に対する駆動力の配分比よりも、アクセルペダル150の踏み込み量が第1の量よりも大きい第2の量である場合の後輪74に対する駆動力の配分比が小さくなるように、前輪72に対する駆動力の配分比と、後輪74に対する駆動力の配分比とを設定し、設定された前輪72および後輪74の配分比のそれぞれに基づいてエンジン20およびリアモータ80を制御する点に特徴を有する。
【0050】
具体的には、ECU100は、アクセルペダル150の踏み込み量が第1の量以下の場合に、予め定められた値B(1)を後輪74の駆動力配分比として設定し、アクセルペダル150の踏み込み量が第1の量よりも大きい場合に、アクセルペダル150の踏み込み量と第1の量との差分に応じた値だけ予め定められた値B(1)から減じた値を後輪74の駆動力配分比として設定する。
【0051】
さらに、本実施の形態においてECU100は、4WDモード選択時にアクセルペダル150の踏み込み量に対応するスロットル開度が、2WDモード選択時の同一のアクセルペダル150の踏み込み量に対応するスロットル開度よりも小さくなるようにスロットル開度を設定する。
【0052】
さらに、本実施の形態においてECU100は、4WDモード選択時における変速比の目標値が、2WDモード選択時において同一走行条件下で設定される変速比の目標値よりも大きくなるように(減速側に変速するように)変速比の目標値を設定する。
【0053】
図5に、本実施の形態に係る車両用制御装置であるECU100の機能ブロック図を示す。ECU100は、モード判定部102と、出力特性選択部104と、配分比設定部106と、変速制御部108と、エンジン制御部110と、モータ制御部112とを含む。
【0054】
モード判定部102は、2WDモード選択時であるか否かを判定する。本実施の形態において、モード判定部102は、切換信号に基づいて2WDモードが選択されているか否かを判定する。なお、モード判定部102は、たとえば、2WDモードが選択されていないと判定した場合に4WDモード判定フラグをオンするようにしてもよい。
【0055】
出力特性選択部104は、2WDモードおよび4WDモードのうちのいずれか選択された一方のモードに対応した出力特性を選択する。すなわち、出力特性選択部104は、4WDモードが選択されている場合には、4WDモードに対応した出力特性を選択し、2WDモードが選択されている場合には、2WDモードに対応した出力特性を選択する。
【0056】
ここで出力特性とは、アクセルペダル150の踏み込み量とスロットル開度との関係に基づく特性である。図6にアクセルペダル150の踏み込み量とスロットル開度との関係を示す。図6の縦軸は、スロットル開度を示し、図6の横軸は、アクセルペダル150の踏み込み量を示す。
【0057】
本実施の形態において、2WDモード選択時におけるアクセルペダル150の踏み込み量とスロットル開度との関係(図6の実線)は、4WDモード選択時におけるアクセルペダル150の踏み込み量とスロットル開度との関係(図6の破線)と比較して、同一のアクセルペダル150の踏み込み量に対してスロットル開度が大きい。
【0058】
たとえば、2WDモード選択時においては、アクセルペダル150の踏み込み量A(1)に対してTH(2)がスロットル開度として決定される。一方、4WDモード選択時においては、アクセルペダル150の踏み込み量A(1)に対してTH(2)よりも小さいTH(3)がスロットル開度として決定される。
【0059】
なお、出力特性選択部104は、たとえば、4WDモード判定フラグがオンである場合には、4WDモードに対応した出力特性を選択し、4WDモード判定フラグがオフである場合に、2WDモードに対応した出力特性を選択するようにしてもよい。
【0060】
配分比設定部106は、4WDモードが選択されている場合に、車両10の走行状態に基づいて後輪74の駆動力配分比を設定する。配分比設定部106は、4WDモード選択時においては、アクセルペダル150の踏み込み量が第1の量である場合の後輪74の駆動力配分比よりも、アクセルペダル150の踏み込み量が第1の量よりも大きい第2の量である場合の後輪74の駆動力配分比が小さくなるように前輪72の駆動力配分比と、後輪74の駆動力配分比とを設定する。
【0061】
具体的には、配分比設定部106は、図7に示すように後輪74の駆動力配分比を設定する。図7の縦軸は、後輪74の駆動力配分比を示し、図7の横軸は、アクセルペダル150の踏み込み量を示す。
【0062】
図7に示すように、配分比設定部106は、4WDモード選択時においては、アクセルペダル150の踏み込み量がA(2)である場合の後輪74の駆動力配分比B(1)よりも、アクセルペダル150の踏み込み量がA(2)よりも大きいA(3)である場合の後輪74の駆動力配分比B(2)が小さくなるように後輪74の駆動力配分比を設定する。配分比設定部106は、設定された後輪74の駆動力配分比に基づいて前輪72の駆動力配分比を設定する。
【0063】
本実施の形態においては、図7に示すように、配分比設定部106は、アクセルペダル150の踏み込み量がA(2)以下の場合には、予め定められた値B(1)を後輪74の駆動力配分比として設定する。また、配分比設定部106は、アクセルペダル150の踏み込み量がA(2)よりも大きい場合に、A(2)とアクセルポジションセンサ300によって検出されるアクセルペダル150の踏み込み量との差分に応じた値だけ予め定められた値B(1)から減じた値を後輪74の駆動力配分比として設定する。
【0064】
たとえば、アクセルペダル150の踏み込み量がA(2)よりも大きいA(3)である場合には、予め定められた値B(1)からA(3)−A(2)に応じた値ΔBだけ減じた値B(2)を後輪74の駆動力配分比として設定する。
【0065】
本実施の形態においては、配分比設定部106は、アクセルペダル150の踏み込み量がA(2)以上となった場合に、アクセルペダル150の踏み込み量の変化に対して後輪74の駆動力配分比を線形で変化するように設定するものとして説明するが、特に線形で変化することに限定されるものではなく、たとえば、非線形で変化するようにしてもよい。
【0066】
また、本実施の形態においては、アクセルペダル150の踏み込み量に基づいて前輪72および後輪74の駆動力配分比を設定するとして説明したが、アクセルペダル150の踏み込み量に加えて、車両の速度等の車両の走行状態に基づいて前輪72および後輪74の駆動力配分比を設定するようにしてもよい。
【0067】
なお、配分比設定部106は、たとえば、4WDモード判定フラグがオンである場合にアクセルペダル150の踏み込み量に基づいて後輪74の駆動力配分比を設定するようにしてもよい。
【0068】
変速制御部108は、車両の走行状態に応じて変速比の目標値を設定し、変速比が目標値になるように無段変速機40を制御する。
【0069】
変速制御部108は、4WDモード選択時における変速比の目標値が、2WDモード選択時である場合に同一走行条件下で設定される変速比の目標値よりも大きくなるように変速比の目標値を設定する。ただし、変速制御部108は、変更した変速比の目標値が上限値を越える場合には、2WDモード選択時と同様の変速比の目標値を設定する。なお、変速比は、たとえば、無段変速機40の入力軸回転数と出力軸回転数との比により算出される。
【0070】
なお、変速制御部108は、たとえば、4WDモード判定フラグがオンである場合には、車両の速度とアクセルペダル150の踏み込み量とに基づいて4WDモードに対応した変速比の目標値を設定し、4WDモード判定フラグがオフである場合には、車両の速度とアクセルペダル150の踏み込み量とに基づいて2WDモードに対応した変速比の目標値を設定するようにしてもよい。変速制御部108は、設定された変速比の目標値に基づいて変速制御信号を生成し、無段変速機40に送信する。無段変速機40においては、受信した変速制御信号に基づいて無段変速機40の変速比が設定された目標値になるように変速制御が実行される。
【0071】
エンジン制御部110は、アクセルペダル150の踏み込み量と、出力特性選択部104にて選択された出力特性と、第2のオルタネータ30における負荷と、変速制御部108において設定された変速比の目標値とに基づいてスロットル開度を決定する。エンジン制御部110は、決定されたスロットル開度になるように電子スロットル42を制御する。エンジン制御部110は、後述するモータ制御部112から第2のオルタネータ30の負荷に関する情報を取得する。また、エンジン制御部110は、変速制御部108から設定された変速比の目標値に関する情報を取得する。エンジン制御部110は、取得した各種情報に基づいて運転者の要求に対応した目標駆動トルクを達成し、かつ、補機の負荷および発電ロス等の電気効率分を上乗せしたエンジン20の出力トルクを決定し、決定された出力トルクが発生するスロットル開度を決定する。
【0072】
エンジン制御部110は、決定されたスロットル開度に基づいてエンジン制御信号を生成し、エンジン20の電子スロットル42に送信する。
【0073】
なお、エンジン制御部110は、たとえば、4WDモード判定フラグがオンである場合には、上述したように第2のオルタネータ30の発電ロス等の電気効率分を上乗せした4WDモードに対応したスロットル開度を決定し、4WDモード判定フラグがオフである場合には、2WDモードに対応したスロットル開度を決定するようにしてもよい。
【0074】
モータ制御部112は、4WDモードが選択されている場合に、配分比設定部106によって設定された後輪74の駆動力配分比に基づいて第2のオルタネータ30およびリアモータ80を制御する。
【0075】
モータ制御部112は、車両10の走行状態に基づいて車両10に要求される目標駆動トルク(目標駆動力)を設定する。車両10の走行状態とは、たとえば、アクセルペダル150の踏み込み量、車両の速度および前輪72の空転の有無等である。
【0076】
モータ制御部112は、目標駆動トルクと、配分比設定部106によって設定された駆動力配分比とに基づいて後輪74の駆動力を算出し、算出された後輪74の駆動力に基づいてリアモータ80に対して要求されるトルクを算出する。
【0077】
モータ制御部112は、算出されたリアモータ80に対して要求されるトルクに基づいて第2のオルタネータ30において必要とされる発電電力を算出する。モータ制御部112は、算出された発電電力に基づいてオルタネータ制御信号を生成して、第2のオルタネータ30に送信する。また、モータ制御部112は、算出されたリアモータ80に対して要求されるトルクに基づいてモータ制御信号を生成して、モータECU200に送信する。なお、必要とされる発電電力がエンジン20の作動状態に基づいて第2のオルタネータ30において発電可能な電力を超える場合は、モータ制御部112は、発電可能な電力に基づいてオルタネータ制御信号を生成して第2のオルタネータ30に送信し、発電可能な電力に基づいてモータ制御信号を生成して、モータECU200に送信する。モータECU200は、ECU100から受信したモータ制御信号に基づいてインバータ60を制御しリアモータ80を駆動させる。
【0078】
モータ制御部112は、リアモータ80の出力トルクを推定し、第2のオルタネータ30の負荷を算出する。モータ制御部112は、第2のオルタネータ30の負荷に関する情報をエンジン制御部110に送信する。
【0079】
本実施の形態において、モード判定部102と、出力特性選択部104と、配分比設定部106と、変速制御部108と、エンジン制御部110と、モータ制御部112とは、いずれもECUのCPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される、ソフトウェアとして機能するものとして説明するが、ハードウェアにより実現されるようにしてもよい。なお、このようなプログラムは記憶媒体に記録されて車両に搭載される。
【0080】
図8を参照して、本実施の形態に係る車両用制御装置であるECU100で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
【0081】
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、ECU100は、切換スイッチ304の状態に基づいて2WDモードであるか否かを判定する。2WDモードである場合(S100にてYES)、処理はS102に移される。もしそうでない場合(S100にてNO)、処理はS104に移される。
【0082】
S102にて、ECU100は、2WDモードに対応した出力特性を選択する。S104にて、ECU100は、4WDモードに対応した出力特性を選択する。なお、2WDモードおよび4WDモードに対応した出力特性について図6および7等で説明したとおりである。そのため、その詳細な説明は繰返さない。
【0083】
S106にて、ECU100は、車両10の走行状態を判定する。具体的には、ECU100は、車輪速センサ302により検出した前輪72の車輪速に基づいて前輪72が空転しているか否かを判定する。
【0084】
S108にて、ECU100は、4WDモード選択時において車両に対して要求されるトータル軸トルクを算出する。車両に要求されるトルクは、アクセルペダル150の踏み込み量に基づく目標駆動トルクである。S110にて、ECU100は、リアモータ80に対して要求されるトルクである。ECU100は、アクセルペダル150の踏み込み量に基づいて後輪74の駆動力配分比を設定し、設定された駆動力配分比と、前述の車両に要求されるトータル軸トルクとに基づいてリアモータ80に対して要求されるトルクを算出する。
【0085】
S112にて、ECU100は、第2のオルタネータ30に要求される発電電力を算出する。ECU100は、リアモータ80に対して要求されるトルクに基づいて第2のオルタネータ30に要求される発電電力を算出する。
【0086】
S114にて、ECU100は、算出された発電電力に基づいて第2のオルタネータ30に対する制御出力を算出する。なお、ECU100は、算出された発電電力がエンジン20の作動状態に基づく第2のオルタネータ30の発電可能な上限値を越える場合は、当該上限値の発電電力が発電するように第2のオルタネータ30に対する制御出力を算出し、算出された発電電力が当該上限値を超えない場合は、算出された発電電力が発電するように第2のオルタネータ30に対する制御出力を算出する。
【0087】
S116にて、ECU100は、算出された制御出力に基づいてリアモータ80において出力されるトルクを推定する。S118にて、ECU100は、第2のオルタネータ30の作動による負荷を算出する。
【0088】
なお、第2のオルタネータ30の制御出力とリアモータ80の出力トルクとの関係および第2のオルタネータ30の制御出力と第2のオルタネータ30の負荷との関係については、予めマップ等としてメモリに記憶しておき、ECU100が算出された制御出力とマップ等とに基づいてリアモータ80において出力されるトルクと第2のオルタネータ30の作動による負荷とを算出するようにしてもよい。
【0089】
S120にて、ECU100は、変速比の目標値を算出する。このとき、ECU100は、通常設定される変速比から減速側への変速が可能である場合には、予め定められた値あるいは車両の走行状態(車両の速度、アクセルペダル150の踏み込み量等)に応じた値だけ通常設定される変速比よりも大きい値(減速側の変速比の値)を目標値として算出する。なお、通常設定される変速比から減速側への変速が可能であるか否かは、たとえば、車両の走行状態(車両の速度、アクセルペダル150の踏み込み量等)が予め定められた条件(車両の速度および/またはアクセルペダル150の踏み込み量等についての条件)が成立するか否かにより判断すればよい。
【0090】
S122にて、ECU100は、エンジン20に対して要求される出力を算出する。S124にて、ECU100は、エンジン20に対して要求される出力トルクを修正する。具体的には、ECU100は、算出された目標駆動トルクに補機の負荷分および第2のオルタネータ30の負荷分を上乗せしたトルクをエンジン20に対して要求される出力トルクとする。また、ECU100は、アクセルペダル150の踏み込み量と4WDモードに対応する出力特性とに基づいてスロットル開度を算出し、電子スロットル42を制御する。
【0091】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る車両用制御装置であるECU100の動作について説明する。
【0092】
運転者が切換スイッチ304を操作することにより4WDモードが選択されている場合(S100にてNO)、4WDモードに対応した出力特性が選択される(S104)。車両10の走行状態が判定され(S106)、4WDモード選択時において車両に要求されるトータル軸トルクが算出される(S108)。さらに、リアモータ80に対して要求されるトルクが算出され(S110)、第2のオルタネータ30に要求される発電電力が算出され(S112)、第2のオルタネータ30に対する制御出力が算出される(S114)。
【0093】
算出された制御出力に基づいて、リアモータ80において出力されるトルクが推定されて(S116)、第2のオルタネータ30における負荷が算出される(S118)。変速比の目標値が算出されて(S120)、エンジン20に対して要求される出力が算出され(S122)、エンジン20に対して要求される出力トルクを修正する(S124)。なお、2WDモードが選択されている場合(S100にてYES)、2WDモードに対応した出力特性が選択される(S102)。そのため、アクセルペダル150の踏み込み量と2WDモードに対応する出力特性とに基づいてスロットル開度が算出され、電子スロットル42が制御される。
【0094】
4WDモード選択時に4WDモードに対応した出力特性が選択される。4WDに対応した出力特性は、図6で説明したように、同一のアクセルペダル150の踏み込み量に対応するスロットル開度が2WDモード選択時のスロットル開度よりも小さい。
【0095】
そのため、図9のアクセルペダル150の踏み込み量とトータル軸トルクとの関係に示すように、4WDモード選択時のトータル軸トルク(図9の破線)は、同一のアクセルペダル150の踏み込み量に対応する2WDモード選択時のトータル軸トルク(図9の実線)よりも小さくなる。なお、図9の縦軸は、トータル軸トルクを示し、図9の横軸は、アクセルペダル150の踏み込み量を示す。
【0096】
しかしながら、4WDモード選択時においてスロットル開度の増加余裕を大きくすることにより、発電ロス等の電気効率分をスロットル開度の増加で補いつつ、アクセルペダル150の踏み込み量の増加に対するトータル軸トルクの増加の態様を2WDモードと4WDモードとで同様にすることができる。
【0097】
そのため、4WDモード選択時においてアクセルペダル150の踏み込み量の増加に対してトータル軸トルクの増加が頭打ちになることが回避される。その結果、運転者は車両の加速感を得られることとなる。
【0098】
さらに、4WDモード選択時の変速比の目標値を2WDモード選択時と同一走行条件下で設定される変速比の目標値よりも大きくすることができる場合のアクセルペダル150の踏み込み量とトータル軸トルクとの関係を図10に示す。なお、図10の縦軸は、トータル軸トルクを示し、図10の横軸は、アクセルペダル150の踏み込み量を示す。
【0099】
また、図10の細破線は、通常の変速比の目標値が設定された場合の、アクセルペダル150の踏み込み量の増加に対するトータル軸トルクの増加の態様を示す。図10の太破線は、通常設定される変速比の目標値よりも大きい目標値を設定された場合の、アクセルペダル150の踏み込み量の増加に対するトータル軸トルクの増加の態様を示す。両者を比較すると、通常設定される変速比の目標値よりも大きい目標値を設定した場合の方が、同一走行条件下においては、同一のアクセルペダル150の踏み込み量に対してトータル軸トルクを増加させることができる。
【0100】
そのため、4WDモード選択時においてアクセルペダル150の踏み込み量の変化に対するトータル軸トルクの変化の態様を2WDに近づけることができるため、2WDモード選択時と比較してトータル軸トルクを低下させることなく、運転者は車両の加速感を得られることとなる。
【0101】
あるいは、4WDモード選択時において変速比の目標値をより大きくすることができなかった場合であっても、アクセルペダル150の踏み込み量がA(2)以上になる場合には、図7を用いて説明したように後輪74の駆動力配分比が減少する。そのため、図11のアクセルペダル150の車両の駆動状態は、4輪駆動状態から2輪駆動状態に近づくこととなる。後輪の駆動力配分比が減少することにより、発電ロス等の電気効率分が減少する。その結果、トータル軸トルク(図11の太破線)は、同一のアクセルペダル150の踏み込み量に対応する、駆動力配分比を変更しない場合のトータル軸トルク(図11の細破線)よりも増加することとなる。
【0102】
以上のようにして、本実施の形態に係る車両用制御装置によると、アクセルペダルの踏み込み量が第1の量である場合の後輪の駆動力配分比よりも、踏み込み量が第2の量である場合の後輪の駆動力配分比を小さくすることにより、アクセルペダルの踏み込み量が大きくなるほど、前輪の駆動力配分比が大きくなるため、車両の駆動状態は、2輪駆動状態に近づく。そのため、発電ロス等による車両に発生する駆動力の低下量が小さくなるため、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対して車両に発生する駆動力を増加させることができる。その結果、運転者は車両の加速感を得られることとなる。したがって、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対して応答性良く車両に発生する駆動力を増加させる車両用制御装置を提供することができる。
【0103】
4WDモード選択時におけるアクセルペダルの踏み込み量に対応するスロットル開度が、2WDモード選択時におけるアクセルペダルの踏み込み量に対応するスロットル開度よりも小さくなるように設定することにより、アクセルペダルの踏み込み量が大きい領域において、スロットル開度の増加余裕を確保することができる。そのため、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対してスロットル開度を増加させることにより、頭打ちすることなく車両に発生する駆動力を増加させることができる。その結果、運転者は車両の加速感を得られることとなる。
【0104】
さらに、4WDモード選択時における変速比の目標値が2WDモード選択時に同一走行条件下で設定される変速比の目標値よりも大きくなるように設定されることにより、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対して車両に発生する駆動力を増加させることができる。そのため、特にアクセルペダルの踏み込み量が大きい領域において、アクセルペダルの踏み込み量の増加に対して車両に発生する駆動力を増加させることにより、運転者は車両の加速感を得られることとなる。
【0105】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0106】
10 車両、20 エンジン、22,26,32 プーリ、24,30 オルタネータ、28 ベルト、40 無段変速機、42 電子スロットル、44 スロットルバルブ、46 スロットルポジションセンサ、50 補機バッテリ、60 インバータ、70 トランスアクスル、72 前輪、74 後輪、80 リアモータ、90 後輪駆動装置、100 ECU、102 モード判定部、104 出力特性選択部、106 配分比設定部、108 変速制御部、110 エンジン制御部、112 モータ制御部、150 アクセルペダル、200 モータECU、300 アクセルポジションセンサ、302 車輪速センサ、304 切換スイッチ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関とモータとを駆動源とする車両に搭載される車両用制御装置であって、前記車両は、前記内燃機関によって駆動される第1の駆動輪と、前記内燃機関の動力を用いて発電する発電機と、前記第1の駆動輪とは前記車両の前後方向に対して異なる位置に設けられ、前記発電機によって発電された電力を用いて前記モータによって駆動される第2の駆動輪と、前記車両に対して駆動力を要求するためのアクセルペダルとを含み、
前記アクセルペダルの踏み込み量を検出するための踏み込み量検出手段と、
前記第1および第2の駆動輪をそれぞれ駆動させる場合に、前記踏み込み量検出手段によって検出された前記アクセルペダルの踏み込み量が第1の量である場合の前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比よりも、前記アクセルペダルの踏み込み量が前記第1の量よりも大きい第2の量である場合の前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比が小さくなるように、前記第1の駆動輪および前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比を設定するための配分比設定手段と、
前記配分比設定手段によって設定された前記第1の駆動輪および前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比に基づいて前記内燃機関および前記モータを制御するための駆動力制御手段とを含む、車両用制御装置。
【請求項2】
前記配分比設定手段は、前記アクセルペダルの踏み込み量が第1の量以下の場合に、予め定められた値を前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比として設定し、前記アクセルペダルの踏み込み量が前記第1の量よりも大きい場合に、前記アクセルペダルの踏み込み量と前記第1の量との差分に応じた値だけ前記予め定められた値から減じた値を前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比として設定する、請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記内燃機関には、前記内燃機関に吸入される空気の流量を調整するための電子スロットルが設けられ、
前記車両用制御装置は、
前記踏み込み量検出手段によって検出された前記アクセルペダルの踏み込み量に基づいて前記スロットル開度を設定するための開度設定手段と、
前記開度設定手段によって設定された前記スロットル開度になるように前記電子スロットルを制御するためのスロットル制御手段とをさらに含み、
前記開度設定手段は、前記内燃機関および前記モータを用いて前記第1および第2の駆動輪をそれぞれ駆動させる場合に、前記踏み込み量検出手段によって検出された前記アクセルペダルの踏み込み量に対応する前記スロットル開度が、前記モータの駆動を停止させて、前記内燃機関を用いて前記第1の駆動輪を駆動させる場合に、前記アクセルペダルの踏み込み量に対応して設定されるスロットル開度よりも小さくなるように前記スロットル開度を設定する、請求項1または2に記載の車両用制御装置。
【請求項4】
前記車両は、前記内燃機関に連結される自動変速機をさらに含み、
前記車両用制御装置は、
前記車両の走行状態に基づいて変速比の目標値を設定するための目標設定手段と、
前記目標設定手段によって設定された前記変速比の目標値になるように前記自動変速機を制御するための変速制御手段とをさらに含み、
前記目標設定手段は、前記内燃機関および前記モータを用いて前記第1および第2の駆動輪をそれぞれ駆動させる第1の駆動状態である場合に設定される変速比の目標値が、前記モータの駆動を停止させて、前記内燃機関を用いて前記第1の駆動輪を駆動させる第2の駆動状態である場合に前記第1の駆動状態と同一走行条件下で設定される変速比の目標値よりも大きくなるように前記変速比の目標値を設定する、請求項1〜3のいずれかに記載の車両用制御装置。
【請求項5】
内燃機関とモータとを駆動源とする車両に用いられる車両用制御方法であって、前記車両は、前記内燃機関によって駆動される第1の駆動輪と、前記内燃機関の動力を用いて発電する発電機と、前記第1の駆動輪とは前記車両の前後方向に対して異なる位置に設けられ、前記発電機によって発電された電力を用いて前記モータによって駆動される第2の駆動輪と、前記車両に対して駆動力を要求するためのアクセルペダルとを含み、
前記アクセルペダルの踏み込み量を検出するステップと、
前記第1および第2の駆動輪をそれぞれ駆動させる場合に、前記アクセルペダルの踏み込み量が第1の量である場合の前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比よりも、前記アクセルペダルの踏み込み量が前記第1の量よりも大きい第2の量である場合の前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比が小さくなるように、前記第1の駆動輪および前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比を設定するステップと、
前記第1の駆動輪および前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比に基づいて前記内燃機関および前記モータを制御するステップとを含む、車両用制御方法。
【請求項6】
前記配分比を設定するステップは、前記アクセルペダルの踏み込み量が第1の量以下の場合に、予め定められた値を前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比として設定し、前記アクセルペダルの踏み込み量が前記第1の量よりも大きい場合に、前記アクセルペダルの踏み込み量と前記第1の量との差分に応じた値だけ前記予め定められた値から減じた値を前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比として設定する、請求項5に記載の車両用制御方法。
【請求項7】
前記内燃機関には、前記内燃機関に吸入される空気の流量を調整するための電子スロットルが設けられ、
前記車両用制御方法は、
前記アクセルペダルの踏み込み量に基づいて前記スロットル開度を設定するステップと、
前記スロットル開度を設定するステップにて設定された前記スロットル開度になるように前記電子スロットルを制御するステップとをさらに含み、
前記スロットル開度を設定するステップは、前記内燃機関および前記モータを用いて前記第1および第2の駆動輪をそれぞれ駆動させる場合に、前記アクセルペダルの踏み込み量に対応する前記スロットル開度が、前記モータの駆動を停止させて、前記内燃機関を用いて前記第1の駆動輪を駆動させる場合に、前記アクセルペダルの踏み込み量に対応して設定されるスロットル開度よりも小さくなるように前記スロットル開度を設定する、請求項5または6に記載の車両用制御方法。
【請求項8】
前記車両は、前記内燃機関に連結される自動変速機をさらに含み、
前記車両用制御方法は、
前記車両の走行状態に基づいて変速比の目標値を設定するステップと、
前記変速比の目標値になるように前記自動変速機を制御するステップとをさらに含み、
前記変速比の目標値を設定するステップは、前記内燃機関および前記モータを用いて前記第1および第2の駆動輪をそれぞれ駆動させる第1の駆動状態である場合に設定される変速比の目標値が、前記モータの駆動を停止させて、前記内燃機関を用いて前記第1の駆動輪を駆動させる第2の駆動状態である場合に前記第1の駆動状態と同一走行条件下で設定される変速比の目標値よりも大きくなるように前記変速比の目標値を設定する、請求項5〜7のいずれかに記載の車両用制御方法。
【請求項1】
内燃機関とモータとを駆動源とする車両に搭載される車両用制御装置であって、前記車両は、前記内燃機関によって駆動される第1の駆動輪と、前記内燃機関の動力を用いて発電する発電機と、前記第1の駆動輪とは前記車両の前後方向に対して異なる位置に設けられ、前記発電機によって発電された電力を用いて前記モータによって駆動される第2の駆動輪と、前記車両に対して駆動力を要求するためのアクセルペダルとを含み、
前記アクセルペダルの踏み込み量を検出するための踏み込み量検出手段と、
前記第1および第2の駆動輪をそれぞれ駆動させる場合に、前記踏み込み量検出手段によって検出された前記アクセルペダルの踏み込み量が第1の量である場合の前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比よりも、前記アクセルペダルの踏み込み量が前記第1の量よりも大きい第2の量である場合の前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比が小さくなるように、前記第1の駆動輪および前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比を設定するための配分比設定手段と、
前記配分比設定手段によって設定された前記第1の駆動輪および前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比に基づいて前記内燃機関および前記モータを制御するための駆動力制御手段とを含む、車両用制御装置。
【請求項2】
前記配分比設定手段は、前記アクセルペダルの踏み込み量が第1の量以下の場合に、予め定められた値を前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比として設定し、前記アクセルペダルの踏み込み量が前記第1の量よりも大きい場合に、前記アクセルペダルの踏み込み量と前記第1の量との差分に応じた値だけ前記予め定められた値から減じた値を前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比として設定する、請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記内燃機関には、前記内燃機関に吸入される空気の流量を調整するための電子スロットルが設けられ、
前記車両用制御装置は、
前記踏み込み量検出手段によって検出された前記アクセルペダルの踏み込み量に基づいて前記スロットル開度を設定するための開度設定手段と、
前記開度設定手段によって設定された前記スロットル開度になるように前記電子スロットルを制御するためのスロットル制御手段とをさらに含み、
前記開度設定手段は、前記内燃機関および前記モータを用いて前記第1および第2の駆動輪をそれぞれ駆動させる場合に、前記踏み込み量検出手段によって検出された前記アクセルペダルの踏み込み量に対応する前記スロットル開度が、前記モータの駆動を停止させて、前記内燃機関を用いて前記第1の駆動輪を駆動させる場合に、前記アクセルペダルの踏み込み量に対応して設定されるスロットル開度よりも小さくなるように前記スロットル開度を設定する、請求項1または2に記載の車両用制御装置。
【請求項4】
前記車両は、前記内燃機関に連結される自動変速機をさらに含み、
前記車両用制御装置は、
前記車両の走行状態に基づいて変速比の目標値を設定するための目標設定手段と、
前記目標設定手段によって設定された前記変速比の目標値になるように前記自動変速機を制御するための変速制御手段とをさらに含み、
前記目標設定手段は、前記内燃機関および前記モータを用いて前記第1および第2の駆動輪をそれぞれ駆動させる第1の駆動状態である場合に設定される変速比の目標値が、前記モータの駆動を停止させて、前記内燃機関を用いて前記第1の駆動輪を駆動させる第2の駆動状態である場合に前記第1の駆動状態と同一走行条件下で設定される変速比の目標値よりも大きくなるように前記変速比の目標値を設定する、請求項1〜3のいずれかに記載の車両用制御装置。
【請求項5】
内燃機関とモータとを駆動源とする車両に用いられる車両用制御方法であって、前記車両は、前記内燃機関によって駆動される第1の駆動輪と、前記内燃機関の動力を用いて発電する発電機と、前記第1の駆動輪とは前記車両の前後方向に対して異なる位置に設けられ、前記発電機によって発電された電力を用いて前記モータによって駆動される第2の駆動輪と、前記車両に対して駆動力を要求するためのアクセルペダルとを含み、
前記アクセルペダルの踏み込み量を検出するステップと、
前記第1および第2の駆動輪をそれぞれ駆動させる場合に、前記アクセルペダルの踏み込み量が第1の量である場合の前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比よりも、前記アクセルペダルの踏み込み量が前記第1の量よりも大きい第2の量である場合の前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比が小さくなるように、前記第1の駆動輪および前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比を設定するステップと、
前記第1の駆動輪および前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比に基づいて前記内燃機関および前記モータを制御するステップとを含む、車両用制御方法。
【請求項6】
前記配分比を設定するステップは、前記アクセルペダルの踏み込み量が第1の量以下の場合に、予め定められた値を前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比として設定し、前記アクセルペダルの踏み込み量が前記第1の量よりも大きい場合に、前記アクセルペダルの踏み込み量と前記第1の量との差分に応じた値だけ前記予め定められた値から減じた値を前記第2の駆動輪に対する駆動力の配分比として設定する、請求項5に記載の車両用制御方法。
【請求項7】
前記内燃機関には、前記内燃機関に吸入される空気の流量を調整するための電子スロットルが設けられ、
前記車両用制御方法は、
前記アクセルペダルの踏み込み量に基づいて前記スロットル開度を設定するステップと、
前記スロットル開度を設定するステップにて設定された前記スロットル開度になるように前記電子スロットルを制御するステップとをさらに含み、
前記スロットル開度を設定するステップは、前記内燃機関および前記モータを用いて前記第1および第2の駆動輪をそれぞれ駆動させる場合に、前記アクセルペダルの踏み込み量に対応する前記スロットル開度が、前記モータの駆動を停止させて、前記内燃機関を用いて前記第1の駆動輪を駆動させる場合に、前記アクセルペダルの踏み込み量に対応して設定されるスロットル開度よりも小さくなるように前記スロットル開度を設定する、請求項5または6に記載の車両用制御方法。
【請求項8】
前記車両は、前記内燃機関に連結される自動変速機をさらに含み、
前記車両用制御方法は、
前記車両の走行状態に基づいて変速比の目標値を設定するステップと、
前記変速比の目標値になるように前記自動変速機を制御するステップとをさらに含み、
前記変速比の目標値を設定するステップは、前記内燃機関および前記モータを用いて前記第1および第2の駆動輪をそれぞれ駆動させる第1の駆動状態である場合に設定される変速比の目標値が、前記モータの駆動を停止させて、前記内燃機関を用いて前記第1の駆動輪を駆動させる第2の駆動状態である場合に前記第1の駆動状態と同一走行条件下で設定される変速比の目標値よりも大きくなるように前記変速比の目標値を設定する、請求項5〜7のいずれかに記載の車両用制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−6015(P2011−6015A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153618(P2009−153618)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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