説明

III族窒化物基板、それを備える半導体デバイス、及び、表面処理されたIII族窒化物基板を製造する方法

【課題】 安定した表面を有するIII族窒化物基板を提供する。
【解決手段】 一実施形態に係るIII族窒化物基板は、表面層を有している。当該表面層は、3at.%の〜25at.%の炭素を含み、且つ、5×1010原子/cm〜200×1010原子/cmのp型金属元素を含んでいる。このIII族窒化物基板は、安定した表面を有するものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、III族窒化物基板、当該基板を備える半導体デバイス、及び、当該基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板としては、下記の特許文献1〜5に記載されたものが知られている。特許文献1には、所望の電気特性を得るように表面処理された半導体基板が開示されている。具体的に、特許文献1には、p型不純物原子をその表面に有するp型化合物半導体基板、n型不純物原子をその表面に有するn型化合物半導体基板、Fe原子又はC原子をその表面に有する半絶縁性の化合物半導体基板、及び、第2導電型不純物をその表面に有する第1導電型の化合物半導体基板が開示されている。
【0003】
特許文献2には、GaN基板上の汚染金属物質を10×1010原子/cm以下とすることが開示されている。また、特許文献3には、良好なエピタキシャル成長をIII族窒化物基板に形成するために、当該基板の表面においてSi原子を3×1013原子/cmとし、酸性物質の原子の個数を3×1014原子/cmとすることが開示されている。また、特許文献4には、欠陥や汚染のない基板を得るために、AlGaInN(0<y≦1,x+y+z=1)をCMPによりRMS0.15nmの表面粗さとすることが開示されている。このCMPにおいては、砥粒としてAl又はSiOが用いられ、研磨液に酸化剤を添加してpH調整を行うことが開示されている。また、特許文献5には、窒化ガリウム系化合物半導体のドライエッチングに、Si系ガス及びSi片を使用することが開示されている。
【特許文献1】特開2006−344911号公報
【特許文献2】国際公開第2005/041283号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2008/047627号パンフレット
【特許文献4】米国特許6488767号明細書
【特許文献5】特許第2599250号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、窒化物基板の表面が酸化すると、当該基板の表面上に形成したエピタキシャル成長層の品質が低下する。その結果、当該基板を用いたデバイスの特性が低下する。また、エピタキシャル成長層は基板表面に格子整合しつつ成長するので、基板表面の結晶品質は高品質であることが求められる。したがって、安定した表面を有する窒化物基板が求められている。
【0005】
本発明は、安定した表面を有するIII族窒化物基板を提供することを目的としている。また、本発明は、このようなIII族窒化物基板を備える半導体デバイスを提供することを目的としている。さらに、本発明は、このようなIII族窒化物基板、即ち、表面処理されたIII族窒化物基板を製造する方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のIII族窒化物基板は、表面層を有している。この表面層は、3at.%〜25at.%の炭素を含み、且つ、5×1010原子/cm〜200×1010原子/cmのp型金属元素を含んでいる。このIII族窒化物基板は、安定した表面を有している。表面層は、1×1010原子/cm〜100×1010原子/cmの絶縁性金属元素を更に含むことが好ましい。
【0007】
本発明の半導体デバイスは、このような表面層を有するIII族窒化物基板と、当該基板の表面層上に形成された少なくとも一層以上のエピタキシャル成長層と、を備えるものである。かかる半導体デバイスは、III族窒化物基板の表面が安定しているので、良好なデバイス特性を有しており、安定して製造可能である。
【0008】
本発明の化合物半導体基板は、エピタキシャル層付きIII族窒化物基板である。この化合物半導体基板は、III族窒化物基板とエピタキシャル層とを備えており、III族窒化物基板とエピタキシャル層との界面における1cm当たりのC原子の個数が2×1016個以上5×1017個以下であり、1cm当たりのp型金属元素の原子の個数が2×1016個以上1×1017個以下である。上記界面における1cm当たりのC原子の個数は5×1016個以上2×1017個以下であることがより好ましい。
【0009】
また、本発明の化合物半導体基板では、III族窒化物基板とエピタキシャル層との界面における1cm当たりのO原子の個数が2×1016個以上1×1018個以下であることが好ましく、5×1016個以上5×1017個以下であることがより好ましい。
【0010】
また、本発明の化合物半導体基板では、III族窒化物基板とエピタキシャル層との界面における1cm当たりのSi原子の個数が1×1015個以上1×1019個以下であることが好ましく、1×1015個以上5×1018個以下であることがより好ましい。
【0011】
本発明は、別の側面においては、(a)基板の表面をドライエッチングする工程と、(b)基板の表面をポリッシングする工程と、を含んでいる。ドライエッチングする工程では、チャンバ内において、混合ガスを用いて、III族窒化物基板の表面がドライエッチングされる。混合ガスは、炭素を含む第1のガスと塩素を含む第2のガスの混合ガスである。ドライエッチングする工程は、チャンバ内の圧力P(Pa)、混合ガスの流量Q(sccm)、及び、チャンバ容積V(l:リットル)が、0.05≦PV/Q≦3.0を満たすように行われる。ポリッシングする工程は、p型金属元素の酸化物を含む溶液であって、2(mPa・s)〜30(mPa・s)の粘度を有する当該溶液を用いて行われる。この製造方法によれば、3at.%の〜25at.%の炭素を含み、且つ、5×1010原子/cm〜200×1010原子/cmのp型金属元素を含む表面層を有するIII族窒化物基板を好適に製造することが可能である。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、安定した表面を有するIII族窒化物基板が提供され、また、このようなIII族窒化物基板を備える半導体デバイスが提供される。さらに、本発明によれば、このようなIII族窒化物基板を好適に製造する方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るIII族窒化物基板の断面図である。なお、以下では、 III族窒化物基板としてGaN基板を例にとって説明するが、本発明のIII族窒化物基板は、GaN基板に限定されるものではない。
【0015】
図1に示すGaN基板10は、表面層10aを備えている。この表面層10aは、3at.%の〜25at.%の炭素を含み、且つ、5×1010原子/cm〜200×1010原子/cmのp型金属元素を含んでいる。
【0016】
表面層10aは、3at.%以上の炭素を含むことにより、その抵抗を維持することが可能となり、また、25at.%以下の炭素を含むことにより、その抵抗を維持し、且つ当該表面層10a上に形成されるエピタキシャル成長層を高品位のものとすることができる。
【0017】
p型金属元素としては、Cu及びZnが例示される。表面層10aは、Cu及びZnの一方、又は、双方を含んでいてもよい。表面層10aは、5×1010原子/cm以上のp型金属元素を含むことにより、その抵抗を維持することが可能となり、また、200×1010原子/cm以下のp型金属元素を含むことにより、その抵抗を維持し、且つ当該表面層10a上に形成されるエピタキシャル成長層を高品位のものとすることができる。
【0018】
表面層10aは、更に、1×1010原子/cm〜100×1010原子/cmの絶縁性金属元素を含んでいてもよい。絶縁性金属元素としては、Fe及びNiが例示される。表面層10aは、Fe及びNiの一方、又は、双方を含んでいてもよい。このように絶縁性金属元素を含むことにより、表面層10aは、より安定した表面となる。
【0019】
III族窒化物基板には、表面の酸化や雰囲気からのSiの付着により、低抵抗層が形成される。本願発明者は、低抵抗層が形成されないようにするためには、III族窒化物基板の表面における酸素及びSiの量が少ないことが必要であることを見出している。表面層の酸素濃度は、3at.%〜15at.%であることが好ましく、5at.%〜10at.%であることがより好ましい。また、表面層のSi濃度は、500×1010原子/cm〜8000×1010原子/cmであることが好ましく、1000×1010原子/cm〜5000×1010原子/cmであることがより好ましい。このような酸素濃度及びSi濃度の表面層は、本実施形態における表面層10aによって実現される。
【0020】
なお、GaN基板10の表面層10aの表面粗さはRMS基準で3nm以下である必要があり、1nm以下であることが好ましく、0.1nm〜0.5nmであることがより好ましい。表面粗さはAFMを用いて10μm角の範囲を基準面積として測定する。表面粗さを3nm以下とすることで、GaN基板上にモフォロジー及び結晶性の良好なエピタキシャル層を形成することができる。また、GaN基板10の表面における加工変質層の厚みは50nm以下である必要があり、20nm以下であることが好ましく、1nm〜10nmであることがより好ましい。加工変質層は結晶表面の研削または研磨によって、結晶の表面領域に形成される結晶格子の乱れた層である。加工変質層は、結晶を劈開面で破断した断面のTEM観察により観察する。加工の影響を受ける表面領域と、加工の影響を受けない内部領域とを対比することにより、加工変質層の存在、およびその厚さを測定する。加工変質層の厚みを50nm以下とすることで、GaN基板上にモフォロジー及び結晶性の良好なエピタキシャル層を形成することができる。
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る半導体デバイスについて説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るIII族窒化物基板を備える半導体デバイスの一例を示す図である。図2に示すHEMTデバイス1は、上述したGaN基板10と、GaN基板10の表面層10a上に形成された一以上のエピタキシャル層を備えている。即ち、HEMTデバイス1は、GaN基板10とエピタキシャル層とを含む化合物半導体基板を備えている。
【0022】
具体的に、HEMTデバイス1は、GaN基板10、GaN層12、AlGaN層14、ゲート電極16、ソース電極18、及び、ドレイン電極20を備えている。
【0023】
HEMTデバイス1では、GaN基板10は、絶縁性のGaN基板である。GaN層12及びAlGaN層14は、表面層10a上に順に形成されている。GaN層12及びAlGaN層14は共にアンドープである。ゲート電極16、ソース電極18、及び、ドレイン電極20は、AlGaN層14上に形成されている。ゲート電極16は、ソース電極18とドレイン電極20の間に設けられている。
【0024】
このHEMTデバイス1は、表面層10aが高抵抗を維持することが可能であるので、リーク電流が少ない。また、このHEMTデバイス1は、安定した表面層10aを有するGaN基板10を用いて製造されるので、安定して製造可能である。
【0025】
図3は、本発明の一実施形態に係るIII族窒化物基板を備える半導体デバイスの別の一例を示す図である。図3に示すLED2は、上述したGaN基板10と、GaN基板10の表面層10a上に形成された一以上のエピタキシャル層を備えている。
【0026】
具体的に、LED2は、GaN基板10と、バッファ層22、第1のクラッド層24、活性層26、第2のクラッド層28、コンタクト層30、第1の電極32、及び、第2の電極34を備えている。
【0027】
LED2にでは、GaN基板10は、n型のGaN基板である。バッファ層22は、n型GaN層であり、表面層10a上に形成されている。バッファ層22は、Siをドーパントとして含むことができる。第1のクラッド層24は、n型AlGaN層であり、バッファ層22上に形成されている。第1のクラッド層24は、Siをドーパントとして含むことができる。
【0028】
活性層26は、第1のクラッド層24上に形成されている。活性層26には、例えば、GaN障壁層とGaInN井戸層を交互に形成することによって得られる多重量子井戸構造の活性層を用いることができる。
【0029】
第2のクラッド層28は、活性層26上に形成されている。第2のクラッド層28は、p型AlGaN層であり、Mgをドーパントとして含むことができる。コンタクト層30は、第2のクラッド層28上に形成されている。コンタクト層30は、p型GaN層であり、Mgをドーパントとして含むことができる。
【0030】
LED2では、GaN基板10の表面層10aと反対側の表面には、第1の電極32が形成されている。また、コンタクト層30上に第2の電極34が形成されている。
【0031】
このようなLED2は、上述した表面層10aを有するGaN基板10を用いているので、光出力が大きく、安定して製造可能である。
【0032】
以下、本発明の一実施形態に係るIII族窒化物基板の製造方法について説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る表面処理されたIII族窒化物基板を製造する方法の流れ図である。図4に示す製造方法は、上述した表面層10aを好適に得ることができる製造方法である。
【0033】
図4に示す表面処理が施されるIII族窒化物基板の元となる結晶は、GaN結晶の場合には、HVPE法、フラックス法、アモノサーマル法により成長させることができる。また、AlN結晶の場合には、HVPE法あるいは昇華法で成長させることができる。成長した結晶に、外周加工を行い窒化物結晶のインゴットを得る。インゴットをスライスしてIII族窒化物基板を得る。スライスは、ワイヤーソー、ブレードソーで実施することができる。基板の平坦化のために研削、ラッピング等の機械加工を行う。ラッピングに使用される硬質砥粒としては、ダイヤモンド、SiC、BN、Al、Cr23等がある。これらは機械的な作用から選定され、レート向上には高硬度、粒径の大きな砥粒が使用される。表面粗さを平滑にし、加工変質層を少なくするためには、低硬度、粒径の小さな砥粒が使用される。研磨時間を短縮して平滑な表面を得るためには、粒度の大きな砥粒から小さな砥粒へと多段階の研磨が行われる。粗さ低減、加工変質層除去のために表面仕上げ処理を行う。表面仕上げとして、機械研磨後に化学機械研磨(CMP)を行うことができる。ドライエッチングにより、加工変質層を除去することもできる。
【0034】
以下、図4を再び参照する。図4に示す製造方法は、ドライエッチング工程S1及びポリッシング工程S2を含んでいる。ドライエッチング工程S1では、III族窒化物基板の表面がドライエッチングされる。このドライエッチング工程S1には、例えば、図5に示すドライエッチング装置を用いることができる。なお、図5に示すドライエッチング装置は、RIE(反応性イオンエッチング)装置であるが、本発明のドライエッチング工程に用いることができるドライエッチングは、RIEに限定されるものではなく、誘導結合プラズマRIE(ICP−RIE)、ECR(電子サイクロトロン共鳴)−RIE、CAIBE(化学アシストイオンビームエッチング)、RIBE(反応性イオンビームエッチング)等であってもよい。
【0035】
ドライエッチング装置50は、チャンバ52を備えている。チャンバ52内には、上部電極54、下部電極56、及び、基板支持台58が設けられている。チャンバ52には、ガス源に接続されたガス供給口60が設けられており、また、真空ポンプに接続されたガス排気口62が設けられている。
【0036】
ドライエッチング装置50では、基板支持台58上にIII族窒化物基板10を搭載し、ガス供給口60からガスを供給し、高周波電源64から高周波電力を下部電極56に供給することにより、チャンバ52内にプラズマを発生することができる。これにより、ドライエッチング装置50は、III族窒化物基板10の表面をドライエッチングすることができる。
【0037】
本製造方法では、ドライエッチング工程S1において、チャンバ52内に炭素を含む第1のガス(炭素系ガス)と塩素を含む第2のガス(塩素系ガス)とを含む混合ガスが供給される。炭素系ガスとしては、メタン、エタン、プロパン、アセチレン等が例示される。塩素系ガスとしては、塩素、BCl、SiCl等が例示される。
【0038】
また、ドライエッチング工程S1は、チャンバ内の圧力P(Pa)、混合ガスの流量Q(sccm)、及び、チャンバ容積V(l:リットル)が、
0.05≦PV/Q≦3.0 …(1)
を満たすように行われる。この式(1)の条件を満たすことにより、上述した表面層10aの炭素濃度を好適に得ることが可能である。ここで、1sccmは、1.667×10−8/sである。
【0039】
なお、ドライエッチング工程S1において、平坦な表面層10aを得るためには、チャンバ52内に、Si系ガスやSi片を存在させることが有効である。しかしながら、Siの比率が多い場合には、ドライエッチング後に基板表面に付着するSiの量が増加するという問題が生じる。そこで、SiC、Si3N4、Si6−zAl8−z等のSi元素と、C、Nからなる群の少なくとも一つの元素とを含む化合物を、ドライエッチング工程S1において、チャンバ52内に存在させることができる。このような化合物は、基板支持台58を当該化合物製とするか、又は、基板支持台58上且つ基板10の付近に当該化合物を配置することによって、チャンバ52内に存在させることが可能である。これにより、平坦な表面層10aを得ることができ、且つ、表面層10aへのSiの付着を抑制することができる。
【0040】
次に、本製造方法においては、ポリッシング工程S2が行われる。ポリッシング工程S2は、例えば、図6に示すポリッシング装置70を用いて行うことができる。ポリッシング装置70は、定盤72と、ポリッシングパッド74、結晶ホルダ76、重り78、及び、スラリー液供給口80を備えている。
【0041】
ポリッシングパッド74は、定盤72上に搭載されている。定盤72及びポリッシングパッド74は、定盤72の中心軸線X1中心に回転可能である。結晶ホルダ76は、基板10をその下面に支持するための部品である。基板10には、重り78によって荷重が加えられる。結晶ホルダ76は、軸線X1と略平行であり、且つ、軸線X1から変位した位置に中心軸線X2を有しており、この中心軸線X2中心に回転可能である。スラリー液供給口80は、ポリッシングパッド74上にスラリーSを供給する。
【0042】
このポリッシング装置70によれば、定盤72及びポリッシングパッド74を回転させ、結晶ホルダ76を回転させ、スラリーSをポリッシングパッド74上に供給し、基板10の表面層10aをポリッシングパッド74に接触させることによって、基板10の表面層10aのポリッシングを行うことができる。
【0043】
本製造方法では、ポリッシング工程S2において、p型金属元素の酸化物を含む溶液がスラリーSとして供給される。p型金属元素の酸化物としては、例えば、CuO及びZnOの一方、又は、双方を用いることができる。また、この溶液の粘度は、2(mPa・s)〜30(mPa・s)である。なお、溶液の粘度は、エチレングリコール等の高粘度の有機化合物やベーマイトなどの無機化合物を添加することにより、調整可能である。
【0044】
このポリッシング工程S2によれば、酸化物のメカノケミカル効果により、基板10の表面層10aに、p型金属元素を結合させることができる。また、上述した粘度の溶液を用いることにより、基板10の表面層10aにおけるp型金属元素の濃度を、5×1010原子/cm〜200×1010原子/cmの範囲に制御することができる。
【0045】
なお、金属酸化物のメカノケミカル効果を促進するためには、溶液の溶媒に非極性溶媒を用いることが好ましい。非極性溶媒としては、炭化水素、四塩化炭素、ジエチルエーテル等が例示される。非極性溶媒を用いることにより、金属酸化物と基板の固体接触を促進して反応を促進することができ、効率よく基板表面の金属組成を制御することが可能となる。
【実施例】
【0046】
以下、本発明に係るIII族窒化物基板を製造する方法を用いて製造したIII族窒化物基板、及び、本発明に係るIII族窒化物基板に基づいて作成した半導体デバイスを実施例として、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0047】
<GaN基板の製造>
上記実施形態の製造方法によりGaN基板を製造した。まず、HVPE法により成長させた絶縁型GaN基板(ドーパント:Fe)を、(0001)面に平行な面でスライスして直径50mm×厚さ0.5mmのGaN基板を得た。
【0048】
このGaN基板(窒化物結晶)のN原子面側のc面((000−1)面)を、セラミックス製の結晶ホルダにワックスで貼り付けた。ラップ装置に直径380mmの定盤を設置し、スラリー供給口からダイヤモンドの砥粒が分散されたスラリーを定盤に供給しながら、定盤をその中心軸線中心に回転させ、結晶ホルダ上に重りを載せてGaN基板を定盤に押し付けながらGaN基板を結晶ホルダの中心軸線中心に回転させることにより、GaN結晶の表面(Ga原子面側のc面、(0001)面)のラッピングを行った。
【0049】
ここで、定盤としては銅定盤及び錫定盤を用いた。また、砥粒径が9μm、3μm、2μmの3種類のダイヤモンド砥粒を準備し、ラッピングの進行とともに、砥粒径を段階的に小さくしていった。研磨圧力は100g/cm2〜500g/cm2とし、GaN基板及び定盤の回転数は定盤及び結晶ホルダともに30回/min〜60回/minとした。かかるラッピングによりGaN結晶基板の表面は鏡面となった。
【0050】
次いで、ラッピング後のGaN基板を化学機械研磨(CMP)した。具体的には、ポリッシング装置に設置された直径380mmの定盤上にポリシングパッドを設置した。また、スラリー液供給口から砥粒が分散されたスラリーをポリシングパッドに供給しながら、中心軸線中心にポリシングパッドを回転させた。同時に、結晶ホルダ上に重りを載せることによりGaN基板をポリシングパッドに押し付けながら当該GaN基板を結晶ホルダの中心軸線中心に回転させた。これによって、GaN基板の表面(Ga原子面側のc面、(0001)面)の化学機械研磨(CMP)をおこなった。スラリーは、砥粒として粒径2μmのAl粒子を水に分散させてAl含有量を5質量%とし、pH調整剤としてHNO3を添加して、pHを2〜4に調整することにより作製した。また、ポリシングパッドとしては、ポリウレタンのスウェードパッドを用い、定盤としてはステンレス鋼定盤を用いた。ポリシング圧力は50g/cm2〜600g/cm2とし、GaN基板及びポリシングパッドの回転数はいずれも30回/min〜70回/minとした。
【0051】
次いで、CMPを行った後のGaN基板に対して、上述したドライエッチング工程S1に従い、炭素含有ガスと塩素含有ガスを用いて、ICP−RIE装置でドライエッチングを実施した。エッチングガスには、メタン(炭素系ガス)と塩素(塩素系ガス)との混合ガスを用いた。チャンバの容積V、チャンバ内の圧力P、混合ガスの流量Q、PV/Q、炭素系ガスと塩素系ガスの流量比、バイアス電力、アンテナ電力、基板支持台の材質は、表1に示す実施例1〜10の通りとした。また、参考のために、表1に示すように、これらパラメータを比較例1〜2の通りとした。
【0052】
以上の工程により得られたGaN基板の表面における炭素濃度をオージェ電子分光法(AES)により定量化した。各実施例及び各比較例のGaN基板の炭素濃度は、表1に示す通りであった。実施例1〜10、即ち、PV/Qが0.05以上3.0以下の場合には、炭素系ガスと塩素系ガスの流量比によらず、GaN基板の表面層における炭素濃度が3at.%〜25at.%となった。一方、PV/Qが0.05未満の場合(比較例1)の場合には、GaN基板の表面層における炭素濃度が3at.%未満となり、また、PV/Qが3より大きい場合(比較例2)の場合には、GaN基板の表面層における炭素濃度が25at.%より大きくなった。なお、表面処理で通常適用されるエッチング時間では、表面層の炭素濃度は影響されなかった。また、バイアス電力を50W〜200Wとし、アンテナ電力を100〜400Wとしても、これらの電力の範囲では、表面層の炭素濃度に影響はなかった。
【表1】



【0053】
次いで、上述したCMPと同等のポリッシング装置、即ち図6に示したポリッシング装置を用いて、ドライエッチング後のGaN基板の表面層をp型金属元素の酸化物を含む溶液でポリッシングした。具体的には、表2の実施例11〜21のパラメータでドライエッチング後のGaN基板の表面層のポリッシングを行った。即ち、表2の実施例11〜21の金属酸化物及び溶媒を含み、且つ、表2の実施例11〜21の粘度を有する溶液を用い、表2の実施例11〜21のGaN基板に対する圧力で、また、表2の実施例11〜21の定盤及び結晶ホルダの回転数で、GaN基板のポリッシングを行った。また、参考のために、表2の比較例3〜4の金属酸化物及び溶媒を含み、且つ、表2の比較例3〜4の粘度を有する溶液を用い、表2の比較例3〜4のGaN基板に対する圧力で、また、表2の比較例3〜4の定盤及び結晶ホルダの回転数で、GaN基板のポリッシングを行った。ポリシングパッドには、不織布パッド(圧縮率3.0%)を用い、定盤としては表面処理を実施したアルミ定盤を用いた。
【0054】
以上の工程により得られたGaN基板の表面におけるp型金属元素の濃度を全反射蛍光X線分析により定量化した。各実施例及び比較例のCu濃度及びZn濃度は表2に示す通りであった。表2のCu濃度及びZn濃度の加算値から明らかなように、実施例11〜21、即ち、p型金属元素の酸化物を含み、且つ、2(mPa・s)〜30(mPa・s)の粘度を有する溶液を用いることによって、GaN基板の表面層のp型金属元素の濃度を、ポリッシング時の圧力並びに定盤及び結晶ホルダの回転数に依らず、5×1010原子/cm〜200×1010原子/cmの範囲に制御できた。一方、溶液の粘度が2(mPa・s)未満の場合(比較例3)には、p型金属元素の濃度が200×1010原子/cmより大きくなり、溶液の粘度が30(mPa・s)より大きい場合(比較例4)には、p型金属元素の濃度が5×1010原子/cm未満となった。なお、ポリッシング溶液中の砥粒の粒径が大きいと、表面粗さが増加し、加工変質層の厚みが増加する傾向があり、砥粒の粒径が小さいと、表面改質の効果が小さいため、砥粒の粒径は50nm〜2000nmであることが好ましく、200nm〜1000nmであることがより好ましかった。このような砥粒の粒径の範囲では、GaN基板の表面におけるp型金属元素の濃度への影響はなかった。また、溶液中の砥粒の濃度が高いと、表面粗さが増加し、加工変質層の厚みが増加し、砥粒の濃度が低いと、表面改質の効果が小さいため、砥粒の濃度は、1wt.%〜10wt.%であることが好ましく、2wt.%〜5wt.%であることがより好ましかった。このような砥粒の濃度の範囲では、GaN基板の表面におけるp型金属元素の濃度への影響はなかった。また、ポリッシングパッドの圧縮率が小さいと、表面粗さが増加し、加工変質層の厚みが増加する傾向があり、当該圧縮率が大きいと、表面改質の効果が小さいため、ポリッシングパッドの圧縮率は、1%〜20%であることが好ましく、3%〜15%であることがより好ましかった。このようなポリッシングパッドの圧縮率の範囲では、GaN基板の表面におけるp型金属元素の濃度への影響はなかった。また、表面処理において通常適用されるポリッシング時間である3分〜30分では、GaN基板の表面におけるp型金属元素の濃度への影響はなかった。
【表2】



【0055】
<HEMTデバイスの評価>
上述した実施形態のGaN基板を用いて上述した実施形態のHEMTデバイスを作成した。HEMTデバイスは各実施例について200個準備した。具体的には、まず、実施例22〜28のHEMTデバイス用に、絶縁性のGaN基板(比抵抗1×10Ωcm)であって、表3の実施例22〜28の列に示した炭素濃度及びp型金属元素(Cu及びZn)の表面層を有するものを、各実施例について準備した。
【0056】
そして、これらGaN基板をOMVPE装置のリアクタに置き、水素、窒素、及びアンモニアを含むガスをリアクタ内に供給して、GaN基板の温度を1100℃として20分間の熱処理を行なった。
【0057】
次に、GaN基板の温度を1130℃に昇温させ、アンモニア及びトリメチルガリウム(TMG)をリアクタに供給して、厚さ1.5μmのGaN層をGaN基板上に成長させた。次いで、トリメチルアルミニウム(TMA)、TMG、及び、アンモニアをリアクタに供給して、厚さ30nm、Al組成20%のAlGaN層をGaN層上に成長させた。
【0058】
次いで、AlGaN層上にフォトリソグラフィ、EB蒸着、及び、リフトオフによって、ソース電極、及びドレイン電極を作製した。これら電極には、Ti/Al/Ti/Au(20/100/20/300nm)を用いた。リフトオフ後600℃、1分間の合金化熱処理を行なった。次に、ソース電極、及びドレイン電極の作製と同様の工程によりゲート電極を作製した。ゲート電極には、Ni/Au(50/500nm)を用いた。ゲート長は2μmとした。
【0059】
なお、参考のために、比較例5〜10のHEMTデバイス用に、表3の比較例5〜10の列に示す炭素濃度及びp型金属元素濃度の表面層を有するGaN基板を準備し、同様にHEMTデバイスを作製した。HEMTデバイスは各比較例について200個準備した。
【0060】
以上の通りに得たHEMTデバイスのゲートリーク電流を検査した。ここでは、5Vのゲート電圧を与えたときに、ゲート電流密度が1×10-6A/cmであったHEMTデバイスを良好なデバイス特性を有するものと判定する条件を採用した。各実施例及び比較例について、当該条件を満たすHEMTデバイスの歩留まりは、表3に示す通りであった。実施例22〜28、即ち、3at.%〜25at.%の炭素を含み、且つ、5×1010原子/cm〜200×1010原子/cmのp型金属元素を含む表面層を有するGaN基板を用いたHEMTデバイスの歩留は、65%以上であった。一方、比較例5〜10のHEMTデバイスの歩留は、65%を大きく下回った。なお、基板の表面粗さRMSは実施例、比較例とも1.5nmであり、加工変質層は実施例、比較例とも30nmであった。
【表3】



【0061】
上記の実施例22、実施例24、実施例26、比較例5、及び比較例10のHEMTデバイスにおけるIII族窒化物基板とエピタキシャル成長層との界面の組成、即ち、化合物半導体基板におけるIII族窒化物基板とエピタキシャル成長層との界面の組成を、SIMS分析によって調査した結果は、以下の通りであった。
実施例22では、1cm当たりのC原子の個数が2×1016個、1cm当たりのp型金属元素の原子の個数が2×1016個、1cm当たりのO原子の個数が1×1018個、Si原子の個数が1×1019個であった。
実施例24では、1cm当たりのC原子の個数が1×1017個、1cm当たりのp型金属元素の原子の個数が5×1016個、1cm当たりのO原子の個数が1×1017個、1cm当たりのSi原子の個数が5×1017個であった。
実施例26では、1cm当たりのC原子の個数が5×1017個、1cm当たりのp型金属元素の原子の個数が1×1017個、1cm当たりのO原子の個数が2×1016個、1cm当たりのSi原子の個数が2×1017個であった。
比較例5では、1cm当たりのC原子の個数が2×1015個、1cm当たりのp型金属元素の原子の個数が2×1016個、1cm当たりのO原子の個数が1×1019個、1cm当たりのSi原子の個数が1×1020個であった。
比較例10では、1cm当たりのC原子の個数が5×1018個、1cm当たりのp型金属元素の原子の個数が1×1018個、1cm当たりのO原子の個数が1×1016個、1cm当たりのSi原子の個数が2×1017個であった。
このように、化合物半導体基板における界面の組成が良好な実施例22、24、及び26では、HEMTデバイスの良好な歩留が得られた。一方、比較例5及び10のような化合物半導体基板における界面の組成の場合には、HEMTデバイスの歩留が低下した。
【0062】
次に、実施例29〜36のHEMTデバイス用に、絶縁性のGaN基板(比抵抗1×10Ωcm)であって、表4の実施例29〜36の列に示す炭素濃度、p型金属元素(Cu)濃度、及び絶縁性金属元素(Fe)濃度の表面層を有するものを準備した。そして、これらGaN基板を用いて、実施例22〜28と同様のHEMTデバイスを作成した。HEMTデバイスは各実施例について200個準備した。また、参考のために、比較例11〜15のHEMTデバイス用に、絶縁性のGaN基板(比抵抗1×10Ωcm)であって、表4の比較例11〜15の列に示した炭素濃度、p型金属元素(Cu)濃度、及び絶縁性金属元素(Fe)濃度の表面層を有するものを準備し、同様にHEMTデバイスを作成した。HEMTデバイスは各比較例について200個準備した。そして、実施例29〜36及び比較例11〜15のHEMTデバイスについて、上述した実施例22〜28及び比較例5〜10と同様の条件により歩留を求めた。表4に示すように、1×1010原子/cm〜100×1010原子/cmの絶縁性金属元素をGaN基板の表面層に含めることにより、HEMTデバイスの歩留りは、更に向上した。なお、基板の表面粗さRMSは実施例、比較例とも2.2nmであり、加工変質層は実施例、比較例とも40nmであった。
【表4】



【0063】
<LEDの評価>
上述した実施形態のGaN基板を用い、上述した実施形態のLEDを作成した。LEDは各実施例について200個準備した。具体的には、実施例37〜43のLED用に、比抵抗1×10−2Ωcm、キャリア密度3×1018/cmのn型GaN基板を準備した。n型GaN基板としては、表5の実施例37〜43の列に示す炭素濃度及びp型金属元素(Cu及びZn)の濃度をもつ表面層を有するものを、各実施例について準備した。
【0064】
これらn型GaN基板をMOCVD装置内に配置して、n型GaN基板の一方の主面((0001)面)側に、MOCVD法により、厚さ1μmのn型GaN層(ドーパント:Si)、厚さ150nmのn型Al0.1Ga0.9N層(ドーパント:Si)、活性層、厚さ20nmのp型Al0.2Ga0.8N層(ドーパント:Mg)、及び厚さ150nmのp型GaN層(ドーパント:Mg)を順次形成して、エピタキシャル成長層を得た。ここで、活性層は、厚さ10nmのGaN層で形成される4層の障壁層と、厚さ3nmのGa0.85In0.15N層で形成される3層の井戸層とが交互に積層された多重量子井戸構造とした。
【0065】
また、参考のために、比較例16〜21のLED用に、比抵抗1×10−2Ωcm、キャリア密度3×1018/cmのn型GaN基板であって、表5の比較例16〜21の列に示す炭素濃度及びp型金属元素(Cu及びZn)の濃度をもつ表面層を有するものを、各比較例について準備した。LEDは各比較例について200個準備した。そして、比較例16〜21についても、実施例37〜43と同様に、エピタキシャル成長層を得た。
【0066】
以上の通りに得たエピタキシャル成長層について、フォトルミネッセンス法(PL法)によりPL強度評価を行った。PL強度評価は、波長325nmのHe−Cdレーザーを励起光源に用い、レーザー光を試料に照射して励起された波長460nmの発光強度を評価した。その結果は、表5に示す通りであった。
【0067】
次に、実施例37〜43及び比較例16〜21ともに、n型のGaN結晶基板の他方の主面((000−1)面)側に第1の電極として、厚さ200nmのTi層、厚さ1000nmのAl層、厚さ200nmのTi層、厚さ2000nmのAu層から形成される積層構造を形成し、窒素雰囲気中で加熱することにより、直径100μmのn側電極を形成した。一方、p型GaN層上に第2の電極として、厚さ4nmのNi層、厚さ4nmのAu層から形成される積層構造を形成し、不活性ガス雰囲気中で加熱することにより、p側電極を形成した。以上の工程により製造した生産物を2mm角に加工することにより、実施例37〜43及び比較例16〜21のLEDを得た。
【0068】
以上の通りに得たLEDの光出力を、積分球を用いて注入電流4Aの条件で測定した。発光素子の光出力は、以下のように測定した。即ち、積分球内に載置された発光素子に所定の電流を注入し、その発光素子から集光された光を受けるディテクタによって光出力を測定した。そして、光出力が2W以上のLEDを良好な特性を有するLEDとする条件により、実施例37〜43及び比較例16〜21のLEDの歩留を求めた。結果は表5に示すとおりであった。
【0069】
表5に示すように、実施例37〜43のLED、即ち、表面層が、3at.%〜25at.%の炭素を含み、且つ、5×1010原子/cm〜200×1010原子/cmのp型金属元素を含むGaN基板を用いたLEDは、比較例16〜21のLEDに対して、PL強度及び歩留に優れていることが明らかとなった。なお、基板の表面粗さRMSは実施例、比較例とも0.9nmであり、加工変質層は実施例、比較例とも20nmであった。
【表5】



【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態に係るIII族窒化物基板を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るIII族窒化物基板を備える半導体デバイスの一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るIII族窒化物基板を備える半導体デバイスの別の一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る表面処理されたIII族窒化物基板を製造する方法の流れ図である。
【図5】ドライエッチング工程に用いることが可能な装置を示す図である。
【図6】ポリッシング工程に用いることが可能な装置を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1…HEMTデバイス、2…LED、10…III族窒化物基板(GaN基板)、10a…表面層、12…GaN層、14…AlGaN層、16…ゲート電極、18…ソース電極、20…ドレイン電極、22…バッファ層、24…第1のクラッド層、26…活性層、28…第2のクラッド層、30…コンタクト層、32…第1の電極、34…第2の電極、50…ドライエッチング装置、52…チャンバ、54…上部電極、56…下部電極、58…基板支持台、60…ガス供給口、62…ガス排気口、64…高周波電源、70…ポリッシング装置、72…定盤、74…ポリッシングパッド、76…結晶ホルダ、78…重り、80…スラリー液供給口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面層を有し、
前記表面層が、3at.%〜25at.%の炭素を含み、且つ、5×1010原子/cm〜200×1010原子/cmのp型金属元素を含む、
III族窒化物基板。
【請求項2】
前記表面層が、1×1010原子/cm〜100×1010原子/cmの絶縁性金属元素を更に含む、請求項1に記載のIII族窒化物基板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のIII族窒化物基板と、
前記基板の表面層上に形成された少なくとも一層以上のエピタキシャル成長層と、
を備える半導体デバイス。
【請求項4】
表面処理されたIII族窒化物基板を製造する方法であって、
チャンバ内において炭素を含む第1のガスと塩素を含む第2のガスとを含む混合ガスを用いて前記基板の表面をドライエッチングする工程であって、前記チャンバ内の圧力P(Pa)、前記混合ガスの流量Q(sccm)、及び、チャンバ容積V(l:リットル)が、
0.05≦PV/Q≦3.0
を満たすように行われる、該工程と、
p型金属元素の酸化物を含む溶液であって、2(mPa・s)〜30(mPa・s)の粘度を有する該溶液を用いて前記基板の表面をポリッシングする工程と、
を含む、方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−163307(P2010−163307A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5953(P2009−5953)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【特許番号】特許第4305574号(P4305574)
【特許公報発行日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】