説明

プログラマブルロジックデバイス

【課題】電源電圧の供給を停止しても論理回路の結線状態を保持可能なプログラマブルロジックデバイスにおける処理速度の向上及び低消費電力化を図ることを目的の一とする。
【解決手段】論理状態を切り替え可能な複数の演算回路と、演算回路の論理状態を切り替えるコンフィグレーション状態切り替え回路と、演算回路の電源電圧の供給または停止を切り替える電源制御回路と、複数の演算回路の論理状態及び電源電圧の状態を記憶する状態記憶回路と、状態記憶回路の記憶情報に応じて、コンフィグレーション状態切り替え回路及び電源制御回路の制御を行う演算状態制御回路と、を有し、演算回路とコンフィグレーション状態切り替え回路との間に、酸化物半導体層にチャネル形成領域が形成されるトランジスタが設け、電源制御回路からの電源電圧の停止時に該トランジスタの導通状態を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電源の供給が停止しても結線形態の保持が可能なプログラマブルロジックデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
プログラマブルロジックデバイス(PLD:Programmable Logic Device)は、製品出荷後にユーザーによる内部の論理回路の設計変更が可能なことから、試作品から量産品に至るまで利用が進んでいる。
【0003】
PLDとしては、代表的にFPGA(Field Programmable Gate Array)がある。FPGAは複数の論理回路を有し、メモリ部に格納されたデータ(コンフィギュレーションデータ)により、論理回路間の結線状態を切り替えるスイッチのオン又はオフを制御することで、製造後における内部の論理状態の変更を可能にしている。
【0004】
近年では、電源電圧が停止しても、論理回路の結線状態を保持可能なプログラマブルロジックデバイスについて、研究開発が非常に活発である(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−312701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の構成では、プログラマブルロジックデバイスにおいてコンフィグレーションデータを保持するメモリ部に、強誘電体材料を用いた記憶素子が用いられている。
【0007】
しかしながら、強誘電体材料を用いた記憶素子は、コンフィグレーションデータの書き込み時において構造の変化を促す必要があり、書き換え回数に限度がある。従って、コンフィグレーションデータの繰り返しの書き換えに伴う記憶素子の劣化が問題となる。
【0008】
そこで本発明の一態様では、コンフィグレーションデータの繰り返しの書き換えに伴う記憶素子の劣化を低減でき、且つ電源電圧の供給を停止しても論理回路の結線状態を保持可能なプログラマブルロジックデバイスを提供することを課題の一とする。
【0009】
また本発明の一態様は、電源電圧の供給の停止と電源電圧の供給の復帰とを切り替える際のプログラマブルロジックデバイスにおける、処理速度の向上及び低消費電力化を図ることのできるプログラマブルロジックデバイスを提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、コンフィグレーションデータにより切り替えトランジスタの導通状態を切り替えることで、論理状態を切り替え可能な、複数の演算回路と、演算回路のコンフィグレーションデータを書き換えることで論理状態を切り替えるコンフィグレーション状態切り替え回路と、演算回路の電源電圧の供給または停止を切り替える電源制御回路と、複数の演算回路の記憶データを記憶する状態記憶回路と、記憶データをもとに、コンフィグレーション状態切り替え回路及び電源制御回路の制御を行う演算状態制御回路と、を有し、演算回路とコンフィグレーション状態切り替え回路との間には、切り替えトランジスタのゲートに接続された、酸化物半導体層にチャネル形成領域が形成されるトランジスタが設けられており、電源制御回路からの電源電圧の停止時に、切り替えトランジスタのゲートにコンフィグレーションデータを保持するプログラマブルロジックデバイスである。
【0011】
本発明の一態様は、コンフィグレーションデータにより切り替えトランジスタの導通状態を切り替えることで、論理状態を切り替え可能な、複数の演算回路と、演算回路のコンフィグレーションデータを書き換えることで論理状態を切り替えるコンフィグレーション状態切り替え回路と、演算回路の電源電圧の供給または停止を切り替える電源制御回路と、複数の演算回路のコンフィグレーション状態、電源状態、使用頻度及び最終使用時を記憶する状態記憶回路と、コンフィグレーション状態、電源状態、使用頻度及び最終使用時をもとに、コンフィグレーション状態切り替え回路及び電源制御回路の制御を行う演算状態制御回路と、を有し、演算回路とコンフィグレーション状態切り替え回路との間には、切り替えトランジスタのゲートに接続された、酸化物半導体層にチャネル形成領域が形成されるトランジスタが設けられており、電源制御回路からの電源電圧の停止時に、切り替えトランジスタのゲートにコンフィグレーションデータを保持するプログラマブルロジックデバイスである。
【0012】
本発明の一態様において、最終使用時は、演算状態制御回路が有するタイマー回路をもとに更新されるプログラマブルロジックデバイスが好ましい。
【0013】
本発明の一態様において、コンフィグレーション状態切り替え回路は、コンフィグレーション状態をもとに複数の演算回路の論理状態を検索し、該検索の結果をもとにコンフィグレーションデータを書き換えるプログラマブルロジックデバイスが好ましい。
【0014】
本発明の一態様において、電源制御回路は、電源状態をもとに複数の演算回路の電源状態を検索し、該検索の結果をもとに演算回路への電源電圧の供給を制御するプログラマブルロジックデバイスが好ましい。
【0015】
本発明の一態様において、コンフィグレーション状態切り替え回路は、使用頻度及び最終使用時をもとに、コンフィグレーションデータを書き換えるプログラマブルロジックデバイスが好ましい。
【0016】
本発明の一態様において、電源制御回路は、使用頻度及び最終使用時をもとに、演算回路への電源電圧の供給を制御するプログラマブルロジックデバイスが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様により、コンフィグレーションデータの繰り返しの書き換えに伴う記憶素子の劣化を低減できる。また、電源電圧の供給を停止しても論理回路の結線状態を保持できる。
【0018】
また本発明の一態様により、電源電圧の供給の停止と電源電圧の供給の復帰とを切り替える際のプログラマブルロジックデバイスにおいて、処理速度の向上及び低消費電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】記憶回路のブロック図。
【図2】演算状態制御回路のブロック図。
【図3】状態記憶回路のブロック図。
【図4】コンフィグレーション状態切り替え回路のブロック図。
【図5】電源制御回路のブロック図。
【図6】記憶回路の回路構成を説明する図。
【図7】プログラマブルロジックデバイスの動作を説明するフローチャート図。
【図8】プログラマブルロジックデバイスの動作を説明するフローチャート図。
【図9】プログラマブルロジックデバイスの動作を説明するフローチャート図。
【図10】プログラマブルロジックデバイスの作製工程を示す図。
【図11】プログラマブルロジックデバイスの作製工程を示す図。
【図12】プログラマブルロジックデバイスの作製工程を示す図。
【図13】プログラマブルロジックデバイスの作製工程を示す図。
【図14】本発明の一態様に係る酸化物材料の構造を説明する図。
【図15】本発明の一態様に係る酸化物材料の構造を説明する図。
【図16】本発明の一態様に係る酸化物材料の構造を説明する図。
【図17】計算によって得られた移動度のゲート電圧依存性を説明する図。
【図18】計算によって得られたドレイン電流と移動度のゲート電圧依存性を説明する図。
【図19】計算によって得られたドレイン電流と移動度のゲート電圧依存性を説明する図。
【図20】計算によって得られたドレイン電流と移動度のゲート電圧依存性を説明する図。
【図21】計算に用いたトランジスタの断面構造を説明する図。
【図22】測定に用いたトランジスタの断面構造を説明する図。
【図23】酸化物半導体膜を用いたトランジスタ特性のグラフ。
【図24】試料A及び試料BのXRDスペクトルを示す図。
【図25】トランジスタのオフ電流と測定時基板温度との関係を示す図。
【図26】Ids及び電界効果移動度のVgs依存性を示す図。
【図27】基板温度としきい値電圧の関係及び基板温度と電界効果移動度の関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明の構成は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じ物を指し示す符号は異なる図面間において共通とする。
【0021】
なお、各実施の形態の図面等において示す各構成の、大きさ、層の厚さ、信号波形、又は領域は、明瞭化のために誇張されて表記している場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0022】
なお、AとBとが接続されている、と明示的に記載する場合は、AとBとが電気的に接続されている場合と、AとBとが機能的に接続されている場合と、AとBとが直接接続されている場合とを含むものとする。
【0023】
なお本明細書にて用いる第1、第2、第3、乃至第N(Nは自然数)という用語は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
【0024】
(実施の形態1)
本実施の形態では、開示する発明の一態様に係るプログラマブルロジックデバイスの回路構成について、図1乃至図5を参照して説明する。
【0025】
図1(A)にプログラマブルロジックデバイスの構成を示す。プログラマブルロジックデバイス100は、演算状態制御回路101、状態記憶回路102、コンフィグレーション状態切り替え回路103、電源制御回路104及び演算回路部105を有する。
【0026】
演算状態制御回路101は、コマンドデコーダ回路106からの命令信号(コマンド信号)及び状態記憶回路102の記憶データをもとに、コンフィグレーション状態切り替え回路103及び電源制御回路104を制御するための回路である。なおコマンドデコーダ回路106は、プログラマブルロジックデバイス100の外部からの信号を解析して、演算状態制御回路101に送信する回路である。
【0027】
状態記憶回路102は、演算回路部105が有する複数の演算回路109(ALU回路ともいう。ALU:Arithmetic and Logic Unit)が状態を記憶するための回路である。例えば複数の演算回路109のそれぞれにおけるコンフィグレーション状態、電源状態、使用頻度及び最終使用時に関する状態を記憶データとして記憶する回路である。
【0028】
なおコンフィグレーション状態とは、演算回路109に書き込まれたコンフィグレーションデータに基づく回路の論理状態のことをいう。また電源状態とは、各演算回路109に電源電圧が供給されているか否かに関する状態のことをいう。また使用頻度とは、演算回路109の論理状態が切り替わってから該演算回路109を用いて演算がなされた回数をカウントしたカウント数をいう。また最終使用時に関する状態は、演算回路109の論理状態が切り替わってから該演算回路109を最後に用いた時間を記憶するものである。
【0029】
コンフィグレーション状態切り替え回路103は、各演算回路109に書き込むコンフィグレーションデータを演算状態制御回路101の制御に応じて書き換えるための回路である。具体的にコンフィグレーション状態切り替え回路103は、演算回路109がとりえる論理状態に切替可能なコンフィグレーションデータを記憶しておき演算状態制御回路101の制御信号に応じて必要なコンフィグレーションデータを所定の演算回路に出力するための回路である。
【0030】
電源制御回路104は、電源回路107からの電源電圧を演算状態制御回路101の制御に応じて、各演算回路109に供給するか停止するかを制御するための回路である。なお電源電圧を供給するか停止するかについては、状態記憶回路102の記憶データに応じて切り替えが制御されることとなる。
【0031】
演算回路部105には、データ入出力バス108を介して入力データ及び出力データが入出力される。また演算回路部105は複数の演算回路109を有する。複数の演算回路109は、コンフィグレーション状態切り替え回路103からのコンフィグレーションデータを各演算回路109に入力するためのコンフィグレーションデータバス110に接続されている。また複数の演算回路109は、電源制御回路104からの電源電圧を各演算回路109に入力するための電源電圧バス111に接続されている。
【0032】
演算回路109は、コンフィグレーションデータを記憶可能な記憶回路112、及び記憶回路112に記憶されたコンフィグレーションデータに応じて導通状態が切替可能な切り替えトランジスタにより、論理状態が切り替え可能な切替演算回路113を有する。
【0033】
なお演算回路109はマトリクス状に設けられ、複数の演算回路の間を行方向または列方向に延設してコンフィグレーションデータバス110及び電源電圧バス111を設ける構成とすればよい。なお、演算回路109は必ずしもマトリクス状に設ける必要はなく、例えば、行方向または列方向に隣接させて設け、コンフィグレーションデータバス110及び電源電圧バス111を行方向または列方向に延設して設けても良い。
【0034】
次いで図1(B)に図1(A)に示した演算回路109の詳細な構成について示す。図1(B)に示す演算回路109は、複数の記憶回路112及び複数の切替演算回路113を有する。図1(B)では、記憶回路112_1及び記憶回路112_2並びに切替演算回路113_1及び切替演算回路113_2を有する構成について示している。またコンフィグレーションデータバス110は、記憶回路112_1及び記憶回路112_2毎に異なるコンフィグレーションデータが入力されるよう複数の配線を有する。また切替演算回路113_1及び切替演算回路113_2には、データ入出力バス108を介して入力データが入力され、切替演算回路113_1及び切替演算回路113_2による論理状態に応じた出力データを出力する。
【0035】
記憶回路112_1及び記憶回路112_2は、酸化物半導体層にチャネル形成領域が形成されるトランジスタ121を有している。また切替演算回路113_1及び切替演算回路113_2は、複数の論理回路122、及びトランジスタ121毎に設けられた切り替えトランジスタ123を有する。切り替えトランジスタ123は、導通状態を制御することで論理回路122間の結線状態を制御することができる。結線状態を制御することで、切替演算回路113_1及び切替演算回路113_2は論理状態を切り替えることができる。
【0036】
なお記憶回路112_1及び記憶回路112_2が有するトランジスタ121は、トランジスタのオフ電流を低減することにより、切り替えトランジスタ123のゲート電位の保持が可能となる。従って図1(B)の構成により、電源電圧の供給を停止しても論理回路122間の結線状態を保持できる。
【0037】
また図1(B)の構成では、トランジスタのオフ電流を低減することで切り替えトランジスタのゲート電位を保持する構成とすることにより、電位を保持することでコンフィグレーションデータの保持を可能にするものである。従って図1(B)のトランジスタの導通状態と非導通状態を切り替えてコンフィグレーションデータの書き換え及び保持を行う構成は、構造変化の繰り返しによりコンフィグレーションデータを書き換え及び保持を行う構成に比べて、記憶素子の劣化を低減することができる。
【0038】
なお本明細書で説明するオフ電流とは、トランジスタが非導通状態のときに、ソースとドレインの間に流れる電流をいう。nチャネル型のトランジスタ(例えば、閾値電圧が0乃至2V程度)では、ゲートとソースとの間に印加される電圧が負の電圧の場合に、ソースとドレインとの間を流れる電流のことをいう。
【0039】
本実施の形態では、記憶回路112_1及び記憶回路112_2が有するトランジスタ121のオフ電流を極力低減するための構成として、酸化物半導体層にチャネル形成領域が形成されるトランジスタを用いる。なお図面において、図1(B)に示すように、トランジスタ121には、酸化物半導体層にチャネル形成領域が形成されるトランジスタであることを示すために、OSの符号を付している。
【0040】
酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有することが好ましい。
【0041】
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種あるいは複数種を有してもよい。
【0042】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。また、上記酸化物半導体に酸化シリコンを含んでもよい。ここで、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)を主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。このとき、上記酸化物半導体においては、化学量論比に対し、酸素を過剰にすると好ましい。酸素を過剰にすることで酸化物半導体膜の酸素欠損に起因するキャリアの生成を抑制することができる。
【0043】
また、酸化物半導体として、InMO(ZnO)(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素を示す。また、酸化物半導体として、InSnO(ZnO)(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
【0044】
これらに限られず、必要とする半導体特性(移動度、しきい値電圧、ばらつき等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする半導体特性を得るために、キャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間結合距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0045】
例えば、In−Sn−Zn系酸化物では比較的容易に高い移動度が得られる。しかしながら、In−Ga−Zn系酸化物でも、バルク内欠陥密度を低減することにより移動度を上げることができる。
【0046】
酸化物半導体は単結晶でも、非単結晶でもよい。非単結晶の場合、アモルファスより高い電界効果移動度が見込める多結晶であることが好ましい。また非単結晶の場合、アモルファスでも良い。また、アモルファス中に結晶性を有する部分を含む構造でもよい。すなわち、酸化物半導体は、アモルファスでも良く、トランジスタにおける電界効果移動度の向上や信頼性を高めるためには酸化物半導体中に結晶成分を含む非アモルファスであることがより好ましい。
【0047】
なお酸化物半導体は、表面が平坦であることが好ましい。表面が平坦である酸化物半導体膜を用いてトランジスタを作製した際、界面散乱を低減でき、比較的容易に、比較的高い移動度を得ることができる。
【0048】
表面の平坦性を高めるためには、平坦な表面上に酸化物半導体を形成することが好ましく、具体的には、平均面粗さ(Ra)が1nm以下、好ましくは0.3nm以下、より好ましくは0.1nm以下の表面上に形成するとよい。
【0049】
なお、Raとは、JIS B 0601:2001(ISO4287:1997)で定義されている算術平均粗さを曲面に対して適用できるよう三次元に拡張したものであり、「基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値」で表現でき、数式(1)にて定義される。
【0050】
【数1】

【0051】
ここで、指定面とは、粗さ計測の対象となる面であり、座標((x1,y1,f(x1,y1))(x1,y2,f(x1,y2))(x2,y1,f(x2,y1))(x2,y2,f(x2,y2))の4点で表される四角形の領域とし、指定面をxy平面に投影した長方形の面積をS0、基準面の高さ(指定面の平均の高さ)をZ0とする。Raは原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)にて測定可能である。
【0052】
酸化物半導体内の水素を徹底的に排除することで高純度化された酸化物半導体層にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、そのオフ電流密度を100zA/μm以下、好ましくは10zA/μm以下、更に好ましくは1zA/μm以下にすることができる。よって、このオフ電流が、結晶性を有するシリコンを用いたトランジスタのオフ電流に比べて著しく低い。その結果、トランジスタ121が非導通状態である時、切り替えトランジスタ123のゲート電位を長期間にわたり保持することができる。
【0053】
なお、酸化物半導体において、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度は、1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは2×1016atoms/cm以下であることが望ましい。アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアが生成されることがあり、トランジスタのオフ電流の上昇の原因となるためである。
【0054】
また、酸化物半導体には、5×1018atoms/cm以下の窒素が含まれてもよい。
【0055】
なお、上記において、酸化物半導体材料の代わりに酸化物半導体材料と同等のオフ電流特性が実現できる材料を用いても良い。例えば、炭化シリコンをはじめとするワイドギャップ材料(より具体的には、例えば、エネルギーギャップEgが3eVより大きい半導体材料)などを適用することができる。また、トランジスタの代わりにMEMSスイッチ等を用いて配線間の接続を切り離すことにより、切り替えトランジスタ123のゲート電位の保持を実現する構成としてもよい。
【0056】
次いで図2に図1(A)に示した演算状態制御回路101の詳細な構成について示す。図2に示す演算状態制御回路101は、入出力部131、制御回路部132、タイマー回路133及び状態記憶回路読み出し書き込み制御回路134を有する。
【0057】
入出力部131は、コマンドデコーダ回路106からの命令信号が入力され、制御回路部132に命令信号を出力する回路である。
【0058】
制御回路部132は、入出力部131からの命令信号、及び状態記憶回路読み出し書き込み制御回路134を介した状態記憶回路102の記憶データをもとに、コンフィグレーション状態切り替え回路103及び電源制御回路104を制御するための回路である。例えば制御回路部132は、命令信号が入力データの論理和を出力データとして出力する命令である場合、状態記憶回路102の記憶データをもとに該当する論理和の演算が可能な演算回路109が演算回路部105にあるか、該演算回路に電源電圧が供給されているか等の記憶データと併せて、コンフィグレーション状態切り替え回路103及び電源制御回路104を制御する回路である。
【0059】
タイマー回路133は、各演算回路109が最後に演算を行った時間についての最終使用時を検出するための回路である。タイマー回路133はカウンター回路等を用いて構成すればよい。
【0060】
状態記憶回路読み出し書き込み制御回路134は、コンフィグレーション状態切り替え回路103及び電源制御回路104を制御するための記憶データを状態記憶回路102から読み出し、且つ命令信号に応じた演算回路109での最終使用時をタイマー回路133をもとに書き込むための回路である。
【0061】
次いで図3に図1(A)に示した状態記憶回路102の詳細な構成について示す。図3に示す状態記憶回路102は、入出力部141、及び複数の記憶回路142_1乃至142_N(Nは自然数)を有する。なお図3では複数の記憶回路142_1乃至142_Nに分けて示しているが、一つの記憶回路内の記憶領域を複数の領域に分けて複数の記憶回路142_1乃至142_Nと同様の機能を得る構成であってもよい。
【0062】
入出力部141は、制御回路部132からの書き込み信号が入力され、制御回路部132に記憶データを出力するための回路である。
【0063】
状態記憶回路102は、演算回路部105が有する複数の演算回路109の状態を記憶するため、複数の記憶回路142_1乃至142_Nを複数の演算回路109に対応して有している。複数の記憶回路142_1乃至142_Nは、それぞれ複数の演算回路109のコンフィグレーション状態を記憶する領域143、電源状態を記憶する領域144、使用頻度を記憶する領域145、及び最終使用時に関する情報を記憶する領域146を有する。各領域143乃至領域146に記憶される情報は、記憶データとして演算状態制御回路101より書き込まれ、演算状態制御回路101に読み出される。
【0064】
なおコンフィグレーション状態を記憶する領域143には、演算回路109に書き込まれたコンフィグレーションデータに基づく回路の論理状態の情報が記憶される。また電源状態を記憶する領域144には、各演算回路109に電源電圧が供給されているか否かに関する情報が記憶される。また使用頻度を記憶する領域145には、演算回路109の論理状態が切り替わってから該演算回路109を用いて演算がなされた回数をカウントしたカウント数に関する情報が記憶される。また最終使用時に関する情報を記憶する領域146は、演算回路109の論理状態が切り替わってから該演算回路109を用いた時間に関する情報が記憶される。
【0065】
次いで図4に図1(A)に示したコンフィグレーション状態切り替え回路103の詳細な構成について示す。図4に示すコンフィグレーション状態切り替え回路103は、入出力部151、コンフィグレーションデータ書込制御回路152及びコンフィグレーションデータ記憶回路153を有する。
【0066】
入出力部151は、演算状態制御回路101からの制御信号が入力され、当該制御信号をコンフィグレーションデータ書込制御回路152に出力する回路である。
【0067】
コンフィグレーションデータ書込制御回路152は、演算状態制御回路101からの制御信号に応じて、演算回路109がとりえる論理状態に切替可能なコンフィグレーションデータを記憶するコンフィグレーションデータ記憶回路153よりコンフィグレーションデータを読み出し、演算回路部105の所定の演算回路109にコンフィグレーションデータバス110を介して出力する回路である。
【0068】
コンフィグレーションデータ記憶回路153は、演算回路109がとりえる論理状態に切替可能なコンフィグレーションデータを記憶するための記憶領域154を有する回路である。そしてコンフィグレーションデータ記憶回路153は、コンフィグレーションデータ書込制御回路152の制御に応じて所定のコンフィグレーションデータの読み出し、コンフィグレーションデータ書込制御回路152に出力する回路である。
【0069】
次いで図5に図1(A)に示した電源制御回路104の詳細な構成について示す。図5に示す電源制御回路104は、入出力部161及び電源切替回路162を有する。
【0070】
入出力部161は、演算状態制御回路101からの制御信号が入力され、当該制御信号を電源切替回路162に出力する回路である。
【0071】
電源切替回路162は、演算状態制御回路101の制御信号に応じて電源回路107からの電源電圧を演算回路部105が有する各演算回路109に供給するか停止するかを制御するための回路である。電源切替回路162は、各演算回路109に供給する電源電圧を個別に制御するためのスイッチ等の導通状態を切り替え、電源電圧バス111を介して電源電圧の供給または停止を制御することとなる。
【0072】
次いで図6(A)に図1(B)に示した記憶回路112_1及び切替演算回路113_1の演算回路部105の具体的な構成について示す。
【0073】
図6(A)に示す一例では、切替演算回路113_1が有する切り替えトランジスタ123としてアナログスイッチを有するセレクタ回路123_1乃至123_4を設ける構成とする。そして各セレクタ回路内のアナログスイッチの導通状態を制御するための信号は、3組のトランジスタ121を設け、それぞれコンフィグレーションデータとしてD0乃至D2及びDB0乃至DB2として供給される例を説明する。またトランジスタ121の導通状態を制御するための信号としてゲート選択制御信号GSEが供給される例を説明する。
【0074】
なおコンフィグレーションデータD0乃至D2及びDB0乃至DB2、並びにゲート選択制御信号GSEは、図1(A)で説明したコンフィグレーションデータバス110を介して供給される信号である。なおいずれの信号もHレベルの電位による信号(H信号)またはLレベルの電位の信号(L信号)が供給される。なおL信号はグラウンド電位の信号であることが好ましい。
【0075】
図6(B)にはセレクタ回路123_1の回路構成例を示している。図6(B)に示すセレクタ回路123_1はアナログスイッチ171_1及びアナログスイッチ171_2を有する。アナログスイッチ171_1及びアナログスイッチ171_2はnチャネル型トランジスタ及びpチャネル型を組み合わせて構成される。そのため図6(A)に示す一例では、記憶回路112_1にはセレクタ回路123_1に、1組のトランジスタ121を設ける構成となる。そしてトランジスタ121のソース及びドレインの一方よりコンフィグレーションデータD0及びDB0が供給され、アナログスイッチ171_1またはアナログスイッチ171_2を導通状態とすることで入力端子IN1または入力端子IN2の信号を出力端子OUTに出力する。
【0076】
また図6(A)に示す一例では、切替演算回路113_1が有する論理回路として、論理積を演算する論理回路122_1、論理和を演算する論理回路122_2、排他的論理和を演算する論理回路122_3、加算演算する論理回路122_4を有する例を示す。また図6(A)に示す一例では、論理回路122_4の入力端子側にはインバータ回路170を設け論理回路122_4で減算演算する構成について示している。なお論理回路122_4に入力される信号Cinは加算演算の際の桁上がりによる信号であり、桁上がりがあれば、信号Coutを出力するものとして示している。
【0077】
図6(A)に示す一例では、コンフィグレーションデータD0乃至D2及びDB0乃至DB2を表1のように切り替えて、結線状態を切り替えることで論理状態を切り替えることができる。なお表1において、「1」はH信号、「0」はL信号を表す。表1に示すようにコンフィグレーションデータを切り替えることで切り替えトランジスタとなるセレクタ回路の導通状態を切り替え、論理状態を切り替えることができる。そして入力端子A,Bからの入力データを出力端子Yからの出力データとして得ることができる。
【0078】
【表1】

【0079】
なお図6(B)で示したアナログスイッチ171_1及びアナログスイッチ171_2が有するトランジスタ(例えばnチャネル型トランジスタ及びpチャネル型トランジスタ)をトランジスタ171_A及びトランジスタ171_Bとすると、トランジスタ121は図6(C)に示すようにトランジスタ171_A及びトランジスタ171_Bのゲートに接続される。上述したように本実施の形態においては、記憶回路112_1が有するトランジスタ121として、トランジスタのオフ電流を低減したトランジスタを用いる。そのため図6(C)に示すトランジスタ171_A及びトランジスタ171_Bのゲート電位の保持(図6(C)中のノード172)が可能となる。従って図6(A)の構成により、電源電圧の供給が停止した状態であっても、トランジスタ121を非導通状態とすることで、論理回路122間の結線状態を保持できる。
【0080】
また図6(C)の構成では、トランジスタ121のオフ電流を低減することでトランジスタ171_A及びトランジスタ171_Bのゲート電位を保持する構成とすることにより、電位を保持することでコンフィグレーションデータの保持を可能にするものである。従って図6(A)のトランジスタの導通状態と非導通状態を切り替えてコンフィグレーションデータの書き換え及び保持を行う構成は、構造変化の繰り返しによりコンフィグレーションデータを書き換え及び保持を行う構成に比べて、記憶素子の劣化を低減することができる。
【0081】
次いで図1(A)に示すプログラマブルロジックデバイス100の動作について、図7乃至図9のフローチャートを用いて説明する。図7に示すフローチャートでは、使用頻度が低い演算回路109の電源電圧の供給を停止して、低消費電力化を図る動作について説明する。
【0082】
なお本明細書における信号または電源電圧の供給の停止とは、信号または電源電圧を供給する配線に、信号または電源電圧の供給を行わないことをいう。また本明細書における信号または電源電圧の供給の復帰とは、信号または電源電圧を供給する配線に、信号または電源電圧の供給を停止していた状態から再度供給を再開することをいう。
【0083】
まず、状態記憶回路102中に記憶された演算回路109に関する使用頻度数、及び最終使用時について検索する(ステップ801)。
【0084】
次いで検索した演算回路109に関する使用頻度数、及び最終使用時が、任意のしきい値以下であるか判断する(ステップ802)。なおしきい値は演算回路部105の使用状況に応じて可変する構成であってもよい。該しきい値は、使用頻度の低いまたは使用頻度が間欠的である演算回路を検出し、当該演算回路の電源電圧を停止するためのものである。
【0085】
次いでステップ802で該当する演算回路109がある場合、該演算回路109の電源電圧を停止する(ステップ803)。なおステップ802で該当する演算回路109がない場合、終了する。
【0086】
次いでステップ802で該当する演算回路109の電源状態について、状態記憶回路102中の記憶データを書き換える処理を行う(ステップ804)。
【0087】
以上が、プログラマブルロジックデバイスにおける、使用頻度が低い演算回路109の電源電圧の供給を停止する動作の説明である。本実施の一態様は、電源電圧の供給の停止と電源電圧の供給の復帰とを切り替える際のプログラマブルロジックデバイスにおいて、低消費電力化を図ることができる。
【0088】
次に図8に示すフローチャートでは、電源電圧が供給された演算回路109、電源電圧の供給が停止した演算回路109が演算回路部105に混在する状態で所定の演算処理を行うための動作について説明する。
【0089】
まず、状態記憶回路102中に記憶された記憶データから、演算回路109のコンフィグレーション状態(図8中、コンフィグ状態と略記)を検索する(ステップ811)。
【0090】
次いで該当するコンフィグレーション状態が演算回路109から検出されたかを判断する(ステップ812)。なおステップ812は、例えば入力データを論理和で演算したい場合に、演算回路109中に論理和の結線状態にある演算回路109があるか否かを検出するためのステップである。従って該当するコンフィグレーション状態が演算回路109から検出されるか否かにより処理が分岐する。
【0091】
まずステップ812で該当するコンフィグレーション状態が演算回路109から検出された場合について説明する。この場合、状態記憶回路102中の記憶データから、該演算回路109の電源状態に関する記憶データを検索する(ステップ813)。
【0092】
次いで該当する演算回路109の電源電圧の供給状態が供給されているか否かを判断する(ステップ814)。なおステップ814で、該当する演算回路109の電源電圧の供給状態が供給されていない場合は、状態記憶回路102中の該当する演算回路109の電源状態を供給状態に変更し(ステップ815)、該当する演算回路109に電源電圧を供給する(ステップ816)。
【0093】
該当する演算回路109に電源電圧が供給された状態として、次いで状態記憶回路102中の該当する演算回路109の使用頻度をインクリメントし、最終使用時を更新する(ステップ817)。
【0094】
次いで該当する演算回路に入力データを入力し、所定の演算処理を行う(ステップ818)。
【0095】
またステップ812で該当する演算回路109が検出されない場合について説明する。この場合、状態記憶回路102中の演算回路109に関する使用頻度数、及び最終使用時を検索し、使用頻度が小さいまたは最終使用時からの時間の経過が長い演算回路109を検索する(ステップ819)。
【0096】
次いでステップ819で該当する演算回路109の電源電圧の供給状態が供給されているか否かを判断する(ステップ820)。なおステップ820で、該当する演算回路109の電源電圧の供給状態が供給されていない場合は、状態記憶回路102中の該当する演算回路109の電源状態を供給状態に変更し(ステップ821)、該当する演算回路109に電源電圧を供給する(ステップ822)。
【0097】
ステップ819で該当する演算回路109に電源電圧が供給された状態として、次いで状態記憶回路102中の該当する演算回路109のコンフィグレーション状態に関する記憶データを、ステップ811に該当するコンフィグレーション状態に変更する(ステップ823)。ステップ823でコンフィグレーション状態を変更した演算回路109は、状態記憶回路102中の該当する演算回路109に関する使用頻度及び最終使用時をリセットする(ステップ824)。
【0098】
次いでステップ819で該当する演算回路109を、ステップ811に該当するコンフィグレーション状態にするためのコンフィグレーションデータを書き込む(ステップ825)。
【0099】
次いで該当する演算回路に入力データを入力し、所定の演算処理を行う(ステップ818)。
【0100】
以上が、プログラマブルロジックデバイスにおける、電源電圧が供給された演算回路109、電源電圧の供給が停止した演算回路109が演算回路部105に混在する状態で所定の演算処理を行うための動作の説明である。本実施の一態様は、電源電圧の供給を停止と電源電圧の供給の復帰とを切り替えて効率的に演算処理を行うことができ、低消費電力化を図ることができる。
【0101】
次に図9に示すフローチャートでは、同じ演算処理が繰り返し行われる場合、同じコンフィグレーション状態の演算回路109を構成することで演算処理を並列化し、処理速度の向上を計る動作について説明する。
【0102】
まず、状態記憶回路102中に記憶された演算回路109に関する使用頻度数、及び最終使用時について検索し、使用頻度が大きいまたは最終使用時が短い演算回路109について検出する(ステップ831)。
【0103】
次いでステップ831で該当する演算回路109が存在すると判断される場合と、ステップ831で該当する演算回路が存在しないと判断される場合に分岐する(ステップ832)。なお該当する演算回路109が存在しないと判断される場合には、処理は終了となる。
【0104】
次いでステップ831で該当する演算回路109が存在すると判断される場合、状態記憶回路102中の演算回路109に関する使用頻度数、及び最終使用時を検索し、使用頻度が小さいまたは最終使用時からの時間の経過が長い演算回路109を検索する(ステップ833)。
【0105】
次いでステップ833で該当する演算回路109が存在すると判断される場合と、ステップ833で該当する演算回路が存在しないと判断される場合に分岐する(ステップ834)。なお該当する演算回路109が存在しないと判断される場合には、処理は終了となる。
【0106】
次いでステップ834で該当する演算回路109が存在する場合、ステップ832で該当する演算回路109のコンフィグレーション状態を、ステップ833で該当する演算回路109のコンフィグレーション状態にコピーする(ステップ835)。
【0107】
次いでステップ835でコンフィグレーション状態を変更した演算回路109は、状態記憶回路102中の該当する演算回路109に関する使用頻度及び最終使用時をリセットする(ステップ836)。
【0108】
次いでステップ835でコンフィグレーション状態を変更した演算回路109を、ステップ832に該当するコンフィグレーション状態にするためのコンフィグレーションデータを書き込む(ステップ837)。
【0109】
以上が、プログラマブルロジックデバイスにおける、同じ演算処理が繰り返し行われる場合、同じコンフィグレーション状態の演算回路109を構成することで演算処理を並列化し、処理速度の向上を計る動作の説明である。本実施の一態様は、電源電圧の供給の停止と電源電圧の供給の復帰とを切り替える際のプログラマブルロジックデバイスにおいて、処理速度の向上を図ることができる。
【0110】
以上説明したように、本発明の一態様は、電源電圧の供給の停止と電源電圧の供給を復帰とを切り替える際のプログラマブルロジックデバイスにおいて、処理速度の向上及び低消費電力化を図ることができる。
【0111】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0112】
(実施の形態2)
本実施の形態においては、実施の形態1に示すプログラマブルロジックデバイスが有する各トランジスタの作製方法について、図10乃至図13を用いて説明する。例として図6(C)に示す、トランジスタ121、トランジスタ171_A及びトランジスタ171_Bの作製方法について説明する。なお、図10乃至図13において、A−Bに示す断面図は、酸化物半導体にチャネル形成領域を有するトランジスタ121、n型チャネル型のトランジスタ171_A及びp型チャネル型のトランジスタ171_Bが形成される領域の断面図に相当し、C−Dに示す断面図は、酸化物半導体にチャネル形成領域を有するトランジスタ121のソース電極またはドレイン電極の一方とnチャネル型のトランジスタ171_Aのゲート電極とが接続されたノード172における断面図に相当する。なお、本実施の形態では、直接図示しないが、図6(C)に示すようにpチャネル型のトランジスタ171_Bのゲート電極もノード172と接続される。
【0113】
まず、図10(A)に示すように、n型の半導体基板201に素子分離領域203を形成した後、n型の半導体基板201の一部にpウェル領域205を形成する。
【0114】
n型の半導体基板201としては、n型の導電型を有する単結晶シリコン基板(シリコンウェハー)、化合物半導体基板(SiC基板、GaN基板等)を用いることができる。
【0115】
また、n型の半導体基板201の代わりに、SOI(Silicon On Insulator)基板として、鏡面研磨ウェハーに酸素イオンを注入した後、高温加熱することにより、表面から一定の深さに酸化層を形成させるとともに、表面層に生じた欠陥を消滅させて作られた所謂SIMOX(Separation by IMplanted OXygen)基板や、水素イオン注入により形成された微小ボイドの熱処理による成長を利用して半導体基板を劈開するスマートカット法や、ELTRAN法(Epitaxial Layer Transfer:キャノン社の登録商標)等を用いて形成したSOI基板を用いてもよい。
【0116】
素子分離領域203は、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法またはSTI(Shallow Trench Isolation)法等を用いて形成する。
【0117】
pウェル領域205は、ホウ素等のp型を付与する不純物元素が、5×1015cm−3〜1×1016cm−3程度の濃度で添加されている。pウェル領域205は、半導体基板201の一部にマスクを形成したのち、半導体基板201の一部にホウ素等のp型を付与する不純物元素を添加して、形成される。
【0118】
なお、ここでは、n型の半導体基板を用いているが、p型の半導体基板を用い、p型の半導体基板にn型を付与するリン、ヒ素等の不純物元素が添加されたnウェル領域を形成してもよい。
【0119】
次に、図10(B)に示すように、半導体基板201上にゲート絶縁膜207a、ゲート絶縁膜207b、ゲート電極209a及びゲート電極209bを形成する。
【0120】
熱処理を行い半導体基板201の表面を酸化した酸化シリコン膜を形成する。または、熱酸化法により酸化シリコン膜を形成した後に、窒化処理を行うことによって酸化シリコン膜の表面を窒化させることにより、酸化シリコン膜と酸素と窒素を有するシリコン膜(酸化窒化シリコン膜)との積層構造で形成する。次に、酸化シリコン膜または酸窒化シリコン膜の一部を選択的にエッチングして、ゲート絶縁膜207a及びゲート絶縁膜207bを形成する。若しくは、厚さ5〜50nmの酸化シリコン、酸化窒化シリコン、高誘電率物質(high−k材料ともいう)であるタンタル酸化物、酸化ハフニウム、酸化ハフニウムシリケート、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化チタンなどの金属酸化物、または酸化ランタンなどの希土類酸化物等を、CVD法、スパッタリング法等を用いて形成した後、選択的に一部をエッチングして、ゲート絶縁膜207a及びゲート絶縁膜207bを形成する。
【0121】
ゲート電極209a及びゲート電極209bは、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、クロム、ニオブ等から選択された金属、またはこれらの金属を主成分とする合金材料若しくは化合物材料を用いることが好ましい。また、リン等の不純物を添加した多結晶シリコンを用いることができる。また、金属窒化物膜と上記の金属膜の積層構造でゲート電極209a及びゲート電極209bを形成してもよい。金属窒化物としては、窒化タングステン、窒化モリブデン、窒化チタンを用いることができる。金属窒化物膜を設けることにより、金属膜の密着性を向上させることができ、剥離を防止することができる。
【0122】
ゲート電極209a及びゲート電極209bは、導電膜をスパッタリング法、CVD法等により形成した後、該導電膜の一部を選択的にエッチングして形成される。
【0123】
ここでは、熱処理を行い、半導体基板201上の表面を酸化した酸化シリコン膜を形成し、該酸化シリコン膜上に窒化タンタル膜及びタングステン膜が積層された導電膜をスパッタリング法により形成した後、酸化シリコン膜及び導電膜のそれぞれ一部を選択的にエッチングして、ゲート絶縁膜207a、ゲート絶縁膜207b、ゲート電極209a及びゲート電極209bを形成する。
【0124】
なお、高集積化を実現するためには、ゲート電極209a及びゲート電極209bの側面にサイドウォール絶縁層を有しない構成とすることが望ましい。一方で、トランジスタの特性を重視する場合には、ゲート電極209a及びゲート電極209bの側面にサイドウォール絶縁層を設けることもできる。
【0125】
次に、図10(C)に示すように、半導体基板201にp型を付与する不純物元素を添加してp型の不純物領域213a、p型の不純物領域213bを形成する。また、pウェル領域205にn型を付与する不純物元素を添加して、n型の不純物領域211a、n型の不純物領域211bを形成する。n型の不純物領域211a、n型の不純物領域211b、p型の不純物領域213a及びp型の不純物領域213bにおけるn型を付与する不純物元素及びp型を付与する不純物元素の濃度は、1×1019/cm以上1×1021/cm以下である。n型を付与する不純物元素及びp型を付与する不純物元素は、イオンドーピング法、イオン注入法等を適宜用いて、半導体基板201及びpウェル領域205に添加する。
【0126】
また、ゲート電極209a及びゲート電極209bの側面にサイドウォール絶縁層を設ける場合、当該サイドウォール絶縁層と重畳する領域に、n型の不純物領域211a、n型の不純物領域211b、p型の不純物領域213a及びp型の不純物領域213bとは異なる不純物濃度の不純物領域を形成することができる。
【0127】
次に、図10(D)に示すように、半導体基板201、素子分離領域203、ゲート絶縁膜207a、ゲート絶縁膜207b、ゲート電極209a及びゲート電極209b上に、スパッタリング法、CVD法等により、絶縁膜215及び絶縁膜217を形成する。
【0128】
絶縁膜215及び絶縁膜217は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよく、積層または単層で設ける。なお、絶縁膜215をCVD法により形成することで、絶縁膜215の水素含有量が高まる。このような絶縁膜215を用いて加熱処理を行うことにより、半導体基板を水素化し、水素によりダングリングボンドを終端させ、当該半導体基板中の欠陥を低減することができる。
【0129】
また、絶縁膜217として、BPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)などの無機材料、または、ポリイミド、アクリルなどの有機材料を用いて形成することで、絶縁膜217の平坦性を高めることができる。
【0130】
絶縁膜215または絶縁膜217を形成した後、n型の不純物領域211a、n型の不純物領域211b、p型の不純物領域213a、p型の不純物領域213bに添加された不純物元素を活性化するための熱処理を行う。
【0131】
以上の工程により、図10(D)に示すように、nチャネル型のトランジスタ171_A及びpチャネル型のトランジスタ171_Bを作製することができる。
【0132】
次に、絶縁膜215、217の一部を選択的にエッチングして、開口部を形成する。次に、開口部にコンタクトプラグ219a乃至コンタクトプラグ219dを形成する。代表的には、スパッタリング法、CVD法等により導電膜を形成した後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法やエッチングなどにより平坦化処理を行い、導電膜の不要な部分を除去して、コンタクトプラグ219a乃至コンタクトプラグ219dを形成する。
【0133】
コンタクトプラグ219a乃至コンタクトプラグ219dとなる導電膜は、WFガスとSiHガスからCVD法でタングステンシリサイドを形成し、開口部に埋め込むことで形成される。
【0134】
次に、絶縁膜217及びコンタクトプラグ219a乃至コンタクトプラグ219d上に、スパッタリング法、CVD法等により絶縁膜を形成した後、該絶縁膜の一部を選択的にエッチングし、溝部を有する絶縁膜221を形成する。次に、スパッタリング法、CVD法等により導電膜を形成した後、CMP法やエッチングなどにより平坦化処理を行い、該導電膜の不要な部分を除去して、配線223a乃至配線223cを形成する(図11(A)参照)。
【0135】
絶縁膜221は、絶縁膜215と同様の材料を用いて形成することができる。
【0136】
配線223a乃至配線223cとして、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンからなる単体金属、またはこれを主成分とする合金を単層構造または積層構造として用いる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、タングステン膜上にチタン膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上に重ねてアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造などがある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
【0137】
平坦化された絶縁膜221及び配線223a乃至配線223cを用いることで、後に形成する酸化物半導体にチャネル形成領域を有するトランジスタにおける電気特性のばらつきを低減することができる。また、歩留まり高く酸化物半導体にチャネル形成領域を有するトランジスタを形成することができる。
【0138】
次に、加熱処理またはプラズマ処理により、絶縁膜221及び配線223a乃至配線223cに含まれる水素を脱離させることが好ましい。この結果、後の加熱処理において、後に形成される絶縁膜及び酸化物半導体膜中に水素が拡散することを防ぐことができる。なお、加熱処理は、不活性雰囲気、減圧雰囲気または乾燥空気雰囲気にて、100℃以上基板の歪み点未満で行う。また、プラズマ処理は、希ガス、酸素、窒素または酸化窒素(亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素など)を用いる。
【0139】
次に、絶縁膜221及び配線223a乃至配線223c上に、スパッタリング法、CVD法等により、絶縁膜225を形成する。絶縁膜225としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウムを単層または積層して形成する。また、絶縁膜225として、加熱により酸素の一部が脱離する酸化絶縁膜を用いて形成することが好ましい。加熱により酸素の一部が脱離する酸化絶縁膜としては、化学量論比を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化絶縁膜を用いる。加熱により酸素の一部が脱離する酸化絶縁膜は、加熱により酸素が脱離するため、後の工程で行う加熱により酸化物半導体膜に酸素を拡散させることができる。
【0140】
また、絶縁膜225は、CMP処理などを行って平坦化を図ることが望ましい。CMP処理は、1回行ってもよいし、複数回行ってもよい。複数回に分けてCMP処理を行う場合は、高い研磨レートの一次研磨を行った後、低い研磨レートの仕上げ研磨を行うのが好ましい。このように研磨レートの異なる研磨を組み合わせることによって、絶縁膜225の表面の平坦性をさらに向上させることができる。
【0141】
また、絶縁膜225を平坦化させる処理としては、プラズマ処理を用いることもできる。プラズマ処理は、真空のチャンバーに不活性ガス、例えばアルゴンガスなどの希ガスを導入し、被処理面を陰極とする電界をかけて行う。その原理としてはプラズマドライエッチ法と同等であるが、不活性ガスを用いて行う。すなわち、このプラズマ処理は、被処理面に不活性ガスのイオンを照射して、スパッタリング効果により表面の微細な凹凸を平坦化する処理である。このことから、当該プラズマ処理を「逆スパッタ処理」と呼ぶこともできる。
【0142】
このプラズマ処理時、プラズマ中には電子とアルゴンの陽イオンが存在し、陰極方向にアルゴンの陽イオンが加速される。加速されたアルゴンの陽イオンは被処理面をスパッタする。このとき、該被処理面の凸部から優先的にスパッタされる。被処理面からスパッタされた粒子は、被処理面の別の場所に付着する。このとき、該被処理面の凹部に優先的に付着する。このように凸部を削り、凹部を埋めることで被処理面の平坦性が向上する。なお、プラズマ処理とCMP処理と併用することにより絶縁膜225のさらなる平坦化を図ることができる。
【0143】
なお、当該プラズマ処理によって、絶縁膜225表面に付着した水素、水分、有機物などの不純物をスパッタリングの効果で除去することも可能である。
【0144】
なお、酸化物半導体の成膜を行う前に、成膜室の加熱及び排気を行って、成膜室中の水素、水、水酸基、水素化物などの不純物を除去しておくことが好ましい。特に成膜室の内壁に吸着して存在するこれらの不純物を除去することが重要である。ここで、加熱処理は、例えば、100℃以上450℃以下で行えばよい。また、成膜室の排気は、ドライポンプなどの粗引きポンプと、スパッタイオンポンプ、ターボ分子ポンプ及びクライオポンプなどの高真空ポンプとを適宜組み合わせて行うとよい。ターボ分子ポンプは大きいサイズの分子の排気が優れる一方、水素や水の排気能力が低い。さらに、水の排気能力の高いクライオポンプまたは水素の排気能力の高いスパッタイオンポンプを組み合わせることが有効となる。またこのとき、不活性ガスを導入しながら不純物の除去を行うと、排気するだけでは脱離しにくい水などの脱離速度をさらに大きくすることができる。このような処理を行って酸化物半導体の成膜前に成膜室の不純物を除去することにより、酸化物半導体への水素、水、水酸基、水素化物などの混入を低減することができる。
【0145】
また、酸化物半導体膜をスパッタリング装置で成膜する前に、スパッタリング装置にダミー基板を搬入し、ダミー基板上に酸化物半導体膜を成膜して、ターゲット表面、または防着板に付着した水素、水分を取り除く工程を行ってもよい。
【0146】
次に、絶縁膜225上に、スパッタリング法、塗布法、印刷法、パルスレーザー蒸着法等を用いて酸化物半導体膜227を形成する(図11(B)参照)。ここでは、酸化物半導体膜227として、スパッタリング法により、1nm以上50nm以下、更に好ましくは3nm以上30nm以下の厚さで酸化物半導体膜を形成する。酸化物半導体膜227の厚さを上記厚さとすることで、トランジスタの微細化に伴って発生するおそれのある短チャネル効果を抑制することができる。
【0147】
酸化物半導体膜227に用いる酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有することが好ましい。
【0148】
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種あるいは複数種を有してもよい。
【0149】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。また、上記酸化物半導体に酸化シリコンを含んでもよい。ここで、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)を主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。このとき、上記酸化物半導体においては、化学量論比に対し、酸素を過剰にすると好ましい。酸素を過剰にすることで酸化物半導体膜の酸素欠損に起因するキャリアの生成を抑制することができる。
【0150】
また、酸化物半導体として、InMO(ZnO)(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素を示す。また、酸化物半導体として、InSnO(ZnO)(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
【0151】
なお、酸化物半導体膜227において、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度は、1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは2×1016atoms/cm以下であることが望ましい。アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアが生成されることがあり、トランジスタのオフ電流の上昇の原因となるためである。
【0152】
また、酸化物半導体膜227には、5×1018atoms/cm以下の窒素が含まれてもよい。
【0153】
なお、酸化物半導体膜227に用いることが可能な酸化物半導体は、シリコン半導体よりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコンよりも低い、ワイドバンドギャップ半導体とする。このように、エネルギーギャップの広い酸化物半導体を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0154】
酸化物半導体膜227は、単結晶構造であってもよいし、非単結晶構造であってもよい。後者の場合、アモルファス構造でも、多結晶構造でもよい。また、アモルファス中に結晶性を有する部分を含む構造でも、非アモルファス構造でもよい。
【0155】
アモルファス状態の酸化物半導体は、比較的容易に平坦な表面を得ることができるため、これを用いてトランジスタを作製した際の界面散乱を低減でき、比較的容易に、比較的高い移動度を得ることができる。
【0156】
また、結晶性を有する酸化物半導体では、よりバルク内欠陥を低減することができ、表面の平坦性を高めればアモルファス状態の酸化物半導体以上の移動度を得ることができる。表面の平坦性を高めるためには、平坦な表面上に酸化物半導体を形成することが好ましく、上述のように、絶縁膜225の表面の平均面粗さ(Ra)を、1nm以下、好ましくは0.3nm以下、より好ましくは0.1nm以下とし、その上に酸化物半導体膜227を形成することが好ましい。
【0157】
ここでは、酸化物半導体膜227をスパッタリング法により形成する。
【0158】
スパッタリング法に用いるターゲットとしては、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
【0159】
酸化物半導体としてIn−Ga−Zn系酸化物の材料を用いる場合、用いるターゲット中の金属元素の原子数比は、例えばIn:Ga:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)(モル数比に換算するとIn:Ga:ZnO=1:1:2)、In:Ga:Zn=2:2:1(=2/5:2/5:1/5)(モル数比に換算するとIn:Ga:ZnO=1:1:1)などとすればよい。このような原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物をターゲットとして用いることができる。
【0160】
また、酸化物半導体としてIn−Sn−Zn系酸化物の材料を用いる場合、用いるターゲット中の金属元素の原子数比は、例えばIn:Sn:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Sn:Zn=2:1:3(=1/3:1/6:1/2)、In:Sn:Zn=2:1:5(=1/4:1/8:5/8)、In:Sn:Zn=1:2:2(=1/5:2/5:2/5)、In:Sn:Zn=20:45:35などとすればよい。このような原子数比のIn−Sn−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物をターゲットとして用いることができる。
【0161】
酸化物半導体としてIn−Zn系酸化物の材料を用いる場合、用いるターゲット中の金属元素の原子数比は、例えばIn:Zn=50:1〜1:2(モル数比に換算するとIn:ZnO=25:1〜1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1〜1:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=10:1〜1:2)、さらに好ましくはIn:Zn=15:1〜1.5:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=15:2〜3:4)とする。例えば、In−Zn系酸化物半導体の形成に用いるターゲットは、原子数比がIn:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。このような原子数比のIn−Zn酸化物やその組成の近傍の酸化物をターゲットとして用いることができる。
【0162】
しかし、これらに限られず、必要とする半導体特性(移動度、しきい値、ばらつき等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする半導体特性を得るために、キャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間結合距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0163】
例えば、In−Sn−Zn系酸化物では比較的容易に高い移動度が得られる。しかしながら、In−Ga−Zn系酸化物でも、バルク内欠陥密度を低減することにより移動度を上げることができる。
【0164】
なお、例えば、In、Ga、Znの原子数比がIn:Ga:Zn=a:b:c(a+b+c=1)である酸化物の組成が、原子数比がIn:Ga:Zn=A:B:C(A+B+C=1)の酸化物の組成の近傍であるとは、a、b、cが、(a―A)+(b―B)+(c―C)≦rを満たすことをいい、rは、例えば、0.05とすればよい。他の酸化物でも同様である。
【0165】
なお、スパッタリングガスは、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気、酸素雰囲気、希ガス及び酸素の混合ガスを適宜用いる。なお、希ガス及び酸素の混合ガスの場合、希ガスに対して酸素のガス比を高めることが好ましい。また、スパッタリングガスは、酸化物半導体膜への水素、水、水酸基、水素化物などの混入を防ぐために、水素、水、水酸基、水素化物などの不純物が十分に除去された高純度ガスを用いた雰囲気とすることが望ましい。
【0166】
スパッタリング法において、プラズマを発生させるための電源装置は、RF電源装置、AC電源装置、DC電源装置等を適宜用いることができる。
【0167】
なお、酸化物半導体膜を成膜する処理室は、リークレートを1×10−10Pa・m/秒以下とすることが好ましく、それによりスパッタリング法により成膜する際、膜中への不純物の混入を低減することができる。このように、酸化物半導体膜の成膜工程において、更に好ましくは酸化絶縁膜の成膜工程において、処理室の圧力、処理室のリークレートなどにおいて、不純物の混入を極力抑えることによって、酸化物半導体膜に含まれる水素を含む不純物の混入を低減することができる。また、酸化絶縁膜から酸化物半導体膜への水素などの不純物の拡散を低減することができる。
【0168】
また、酸化物半導体膜227として、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜を用いてもよい。
【0169】
CAAC−OS膜は、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。CAAC−OS膜は、非晶質相に結晶部及び非晶質部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体膜である。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像では、CAAC−OS膜に含まれる非晶質部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には粒界(グレインバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜は、粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
【0170】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、c軸がCAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃い、かつab面に垂直な方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸及びb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
【0171】
なお、CAAC−OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶質化することもある。
【0172】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。なお、結晶部のc軸の方向は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向となる。結晶部は、成膜することにより、または成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
【0173】
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動を低減することが可能である。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
【0174】
CAAC−OS膜に含まれる結晶構造の一例について図14乃至図16を用いて詳細に説明する。なお、特に断りがない限り、図14乃至図16は上方向をc軸方向とし、c軸方向と直交する面をab面とする。なお、単に上半分、下半分という場合、ab面を境にした場合の上半分、下半分をいう。また、図14において、丸で囲まれたOは4配位のOを示し、二重丸で囲まれたOは3配位のOを示す。
【0175】
図14(A)に、1個の6配位のInと、Inに近接の6個の4配位の酸素原子(以下4配位のO)と、を有する構造を示す。ここでは、金属原子が1個に対して、近接の酸素原子のみ示した構造を小グループと呼ぶ。図14(A)の構造は、八面体構造をとるが、簡単のため平面構造で示している。なお、図14(A)の上半分及び下半分にはそれぞれ3個ずつ4配位のOがある。図14(A)に示す小グループは電荷が0である。
【0176】
図14(B)に、1個の5配位のGaと、Gaに近接の3個の3配位の酸素原子(以下3配位のO)と、Gaに近接の2個の4配位のOと、を有する構造を示す。3配位のOは、いずれもab面に存在する。図14(B)の上半分及び下半分にはそれぞれ1個ずつ4配位のOがある。また、Inも5配位をとるため、図14(B)に示す構造をとりうる。図14(B)に示す小グループは電荷が0である。
【0177】
図14(C)に、1個の4配位のZnと、Znに近接の4個の4配位のOと、を有する構造を示す。図14(C)の上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがある。または、図14(C)の上半分に3個の4配位のOがあり、下半分に1個の4配位のOがあってもよい。図14(C)に示す小グループは電荷が0である。
【0178】
図14(D)に、1個の6配位のSnと、Snに近接の6個の4配位のOと、を有する構造を示す。図14(D)の上半分には3個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがある。図14(D)に示す小グループは電荷が+1となる。
【0179】
図14(E)に、2個のZnを含む小グループを示す。図14(E)の上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には1個の4配位のOがある。図14(E)に示す小グループは電荷が−1となる。
【0180】
ここでは、複数の小グループの集合体を中グループと呼び、複数の中グループの集合体を大グループ(ユニットセルともいう。)と呼ぶ。
【0181】
ここで、これらの小グループ同士が結合する規則について説明する。図14(A)に示す6配位のInの上半分の3個のOは下方向にそれぞれ3個の近接Inを有し、下半分の3個のOは、上方向にそれぞれ3個の近接Inを有する。図14(B)に示す5配位のGaの上半分の1個のOは下方向に1個の近接Gaを有し、下半分の1個のOは上方向に1個の近接Gaを有する。図14(C)に示す4配位のZnの上半分の1個のOは下方向に1個の近接Znを有し、下半分の3個のOは上方向にそれぞれ3個の近接Znを有する。この様に、金属原子の上方向の4配位のOの数と、そのOの下方向にある近接金属原子の数は等しく、同様に金属原子の下方向の4配位のOの数と、そのOの上方向にある近接金属原子の数は等しい。Oは4配位なので、下方向にある近接金属原子の数と、上方向にある近接金属原子の数の和は4になる。従って、金属原子の上方向にある4配位のOの数と、別の金属原子の下方向にある4配位のOの数との和が4個のとき、金属原子を有する二種の小グループ同士は結合することができる。例えば、6配位の金属原子(InまたはSn)が下半分の4配位のOを介して結合する場合、4配位のOが3個であるため、5配位の金属原子(GaまたはIn)、または4配位の金属原子(Zn)のいずれかと結合することになる。
【0182】
これらの配位数を有する金属原子は、c軸方向において、4配位のOを介して結合する。また、このほかにも、層構造の合計の電荷が0となるように複数の小グループが結合して中グループを構成する。
【0183】
図15(A)に、In−Sn−Zn系酸化物の層構造を構成する中グループのモデル図を示す。図15(B)に、3つの中グループで構成される大グループを示す。なお、図15(C)は、図15(B)の層構造をc軸方向から観察した場合の原子配列を示す。
【0184】
図15(A)においては、簡単のため、3配位のOは省略し、4配位のOは個数のみ示し、例えば、Snの上半分及び下半分にはそれぞれ3個ずつ4配位のOがあることを丸枠の3として示している。同様に、図15(A)において、Inの上半分及び下半分にはそれぞれ1個ずつ4配位のOがあり、丸枠の1として示している。また、同様に、図15(A)において、下半分には1個の4配位のOがあり、上半分には3個の4配位のOがあるZnと、上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがあるZnとを示している。
【0185】
図15(A)において、In−Sn−Zn系酸化物の層構造を構成する中グループは、上から順に4配位のOが3個ずつ上半分及び下半分にあるSnが、4配位のOが1個ずつ上半分及び下半分にあるInと結合し、そのInが、上半分に3個の4配位のOがあるZnと結合し、そのZnの下半分の1個の4配位のOを介して4配位のOが3個ずつ上半分及び下半分にあるInと結合し、そのInが、上半分に1個の4配位のOがあるZn2個からなる小グループと結合し、この小グループの下半分の1個の4配位のOを介して4配位のOが3個ずつ上半分及び下半分にあるSnと結合している構成である。この中グループが複数結合して大グループを構成する。
【0186】
ここで、3配位のO及び4配位のOの場合、結合1本当たりの電荷はそれぞれ−0.667、−0.5と考えることができる。例えば、In(6配位または5配位)、Zn(4配位)、Sn(5配位または6配位)の電荷は、それぞれ+3、+2、+4である。従って、Snを含む小グループは電荷が+1となる。そのため、Snを含む層構造を形成するためには、電荷+1を打ち消す電荷−1が必要となる。電荷−1をとる構造として、図14(E)に示すように、2個のZnを含む小グループが挙げられる。例えば、Snを含む小グループが1個に対し、2個のZnを含む小グループが1個あれば、電荷が打ち消されるため、層構造の合計の電荷を0とすることができる。
【0187】
具体的には、図15(B)に示した大グループが繰り返されることで、In−Sn−Zn系酸化物の結晶(InSnZn)を得ることができる。なお、得られるIn−Sn−Zn系酸化物の層構造は、InSnZn(ZnO)(mは0または自然数。)とする組成式で表すことができる。
【0188】
また、このほかにも、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物や、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する。)、In−Al−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物や、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物や、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物や、In−Ga系酸化物、などを用いた場合も同様である。
【0189】
例えば、図16(A)に、In−Ga−Zn系酸化物の層構造を構成する中グループのモデル図を示す。
【0190】
図16(A)において、In−Ga−Zn系酸化物の層構造を構成する中グループは、上から順に4配位のOが3個ずつ上半分及び下半分にあるInが、4配位のOが1個上半分にあるZnと結合し、そのZnの下半分の3個の4配位のOを介して、4配位のOが1個ずつ上半分及び下半分にあるGaと結合し、そのGaの下半分の1個の4配位のOを介して、4配位のOが3個ずつ上半分及び下半分にあるInと結合している構成である。この中グループが複数結合して大グループを構成する。
【0191】
図16(B)に3つの中グループで構成される大グループを示す。なお、図16(C)は、図16(B)の層構造をc軸方向から観察した場合の原子配列を示している。
【0192】
ここで、In(6配位または5配位)、Zn(4配位)、Ga(5配位)の電荷は、それぞれ+3、+2、+3であるため、In、Zn及びGaのいずれかを含む小グループは、電荷が0となる。そのため、これらの小グループの組み合わせであれば中グループの合計の電荷は常に0となる。
【0193】
また、In−Ga−Zn系酸化物の層構造を構成する中グループは、図16(A)に示した中グループに限定されず、In、Ga、Znの配列が異なる中グループを組み合わせた大グループも取りうる。
【0194】
酸化物半導体膜227をCAAC−OS膜とする場合は、酸化物半導体膜227を成膜する際に、基板温度が200℃を超えて700℃以下、好ましくは300℃を超えて500℃以下、より好ましくは400℃以上450℃以下となるように、基板を加熱する。このように、基板を加熱しながら酸化物半導体膜227を成膜することにより、酸化物半導体膜227をCAAC−OS膜とすることができる。
【0195】
また、上記の温度範囲で加熱しながら、一原子層以上10nm以下、好ましくは2nm以上5nm以下の薄い膜厚の第1の酸化物半導体膜を成膜したのち、同様の方法で加熱しながらさらに厚い膜厚の第2の酸化物半導体膜を成膜し、第1の酸化物半導体膜と第2の酸化物半導体膜を積層して、CAAC−OS膜の酸化物半導体膜227を形成しても良い。
【0196】
また、酸化物半導体膜227を非晶質構造とする場合は、酸化物半導体膜227を成膜する際に、基板の加熱を行わない、または基板温度を200℃未満、より好ましくは180℃未満として基板を加熱する。このように、酸化物半導体膜227を成膜することにより、酸化物半導体膜227を非晶質構造とすることができる。
【0197】
また、上記の方法で酸化物半導体膜を非晶質構造として成膜した後、250℃以上700℃以下、好ましくは400℃以上、より好ましくは500℃、さらに好ましくは550℃以上の温度で加熱処理を行って、当該非晶質構造の酸化物半導体膜の少なくとも一部を結晶化し、CAAC−OS膜の酸化物半導体膜227を形成しても良い。なお、当該熱処理は不活性ガス雰囲気下で行うことができる。不活性ガス雰囲気としては、窒素、または希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン等)を主成分とする雰囲気であって、水、水素などが含まれない雰囲気を適用するのが望ましい。例えば、熱処理装置に導入する窒素や、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上(すなわち、不純物濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とする。また、当該熱処理は、後述する脱水化または脱水素化の熱処理などで兼ねることも可能である。
【0198】
酸化物半導体膜227形成後、酸化物半導体膜227に対して、熱処理(第1の熱処理)を行ってもよい。熱処理を行うことによって、酸化物半導体膜227中に含まれる水素原子を含む物質をさらに除去し、酸化物半導体膜227の構造を整え、エネルギーギャップ中の欠陥準位を低減することができる。当該熱処理は不活性ガス雰囲気下で行い、熱処理の温度は、300℃以上700℃以下、好ましくは450℃以上600℃以下、また、基板が歪み点を有する場合は基板の歪み点未満とする。不活性ガス雰囲気としては、窒素、または希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン等)を主成分とする雰囲気であって、水、水素などが含まれない雰囲気を適用するのが望ましい。例えば、熱処理装置に導入する窒素や、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上(すなわち、不純物濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とする。
【0199】
当該熱処理は、例えば、抵抗発熱体などを用いた電気炉に半導体基板201を導入し、窒素雰囲気下、450℃、1時間の条件で行うことができる。
【0200】
また、熱処理装置は電気炉に限られず、加熱されたガスなどの媒体からの熱伝導、または熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を用いても良い。例えば、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて熱処理を行う装置である。ガスとしては、アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、熱処理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられる。なお、加熱処理装置としてGRTA装置を用いる場合には、その熱処理時間が短いため、650℃〜700℃の高温に加熱した不活性ガス中で基板を加熱してもよい。
【0201】
また、上記熱処理で酸化物半導体膜227を加熱した後、同じ炉に高純度の酸素ガス、高純度のNOガス、又は超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)とすることが好ましい。特にこれらのガスには、水、水素などが含まれないことが好ましい。また、同じ炉に導入する酸素ガスまたはNOガスの純度を、6N以上好ましくは7N以上(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。酸素ガスまたはNOガスの作用によって、脱水化または脱水素化処理による不純物の排除工程で低減してしまった酸化物半導体を構成する主成分材料の一つである酸素を供給することができる。
【0202】
なお、上述の熱処理には水素や水などを除去する効果があるため、当該熱処理を、脱水化または脱水素化などと呼ぶこともできる。当該熱処理は、例えば、酸化物半導体層を島状に加工する前、ゲート絶縁膜の形成後などのタイミングにおいて行うことも可能である。また、このような脱水化または脱水素化の熱処理は、一回に限らず複数回行っても良い。
【0203】
次に、酸化物半導体膜227の一部を選択的にエッチングして、酸化物半導体膜229を形成する。それから、酸化物半導体膜229上に、スパッタリング法、CVD法等により絶縁膜231を形成する。そして、絶縁膜231上にゲート電極233を形成する(図12(A)参照)。
【0204】
絶縁膜231は、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa−Zn系酸化物膜などを用いればよく、積層または単層で設ける。また、絶縁膜231は、絶縁膜225に示すような、加熱により酸素が脱離する酸化絶縁膜を用いてもよい。絶縁膜231に加熱により酸素が脱離する膜を用いることで、後の加熱処理により酸化物半導体膜229に生じる酸素欠損を修復することができ、トランジスタの電気特性の劣化を抑制できる。
【0205】
また、絶縁膜231として、ハフニウムシリケート(HfSiO)、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSi)、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAl)、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh−k材料を用いることでゲート絶縁膜の厚さを薄くしてもゲートリークを低減できる。
【0206】
絶縁膜231の厚さは、10nm以上300nm以下、より好ましくは5nm以上50nm以下、より好ましくは10nm以上30nm以下とするとよい。
【0207】
ゲート電極233は、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金などを用いて形成することができる。また、マンガン、ジルコニウムのいずれか一または複数から選択された金属元素を用いてもよい。また、ゲート電極233は、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造などがある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素の膜、または複数組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を用いてもよい。
【0208】
また、ゲート電極233は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を適用することもできる。また、上記透光性を有する導電性材料と、上記金属元素の積層構造とすることもできる。
【0209】
ゲート電極233は、印刷法またはインクジェット法により形成される。若しくは、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等で導電膜を形成した後、該導電膜の一部を選択的にエッチングして、形成される。
【0210】
なお、ゲート電極233と絶縁膜231との間に、絶縁膜231に接する材料層として、窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜や、窒素を含むIn−Sn−O膜や、窒素を含むIn−Ga−O膜や、窒素を含むIn−Zn−O膜や、窒素を含むSn−O膜や、窒素を含むIn−O膜や、金属窒化膜(InN、ZnNなど)を設けることが好ましい。これらの膜は5eV、好ましくは5.5eV以上の仕事関数を有し、トランジスタの電気特性のしきい値電圧をプラスにすることができ、所謂ノーマリーオフのスイッチング素子を実現できる。例えば、窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜を用いる場合、少なくとも酸化物半導体膜229より高い窒素濃度、具体的には7原子%以上の窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜を用いる。
【0211】
この後、加熱処理を行うことが好ましい。当該加熱処理により、絶縁膜225及び絶縁膜231から酸化物半導体膜229に酸素を拡散させて、酸化物半導体膜229に含まれる酸素欠陥を補填し、酸素欠陥を低減することができる。
【0212】
なお、絶縁膜231の成膜後に、不活性ガス雰囲気下、または酸素雰囲気下で熱処理(第2の熱処理)を行ってもよい。熱処理の温度は、200℃以上450℃以下とするのが好ましく、250℃以上350℃以下とするのがより好ましい。このような熱処理を行うことによって、トランジスタの電気的特性のばらつきを軽減することができる。また、酸化物半導体膜229と接する絶縁膜231または絶縁膜225が酸素を含む場合、酸化物半導体膜229に酸素を供給し、該酸化物半導体膜229の酸素欠損を補填することもできる。このように、上述の熱処理には酸素を供給する効果があるため、当該熱処理を、加酸化(加酸素化)などと呼ぶこともできる。
【0213】
なお、本実施の形態では、絶縁膜231の形成後に加酸化の熱処理を行っているが、加酸化の熱処理のタイミングはこれに限定されず、絶縁膜231の形成後に適宜行えばよい。
【0214】
上述のように、脱水化または脱水素化の熱処理と加酸化の熱処理を適用し、酸化物半導体膜229中の不純物を低減し、酸素欠損を補填することで、酸化物半導体膜229を、その主成分以外の不純物が極力含まれないように高純度化することができる。
【0215】
次に、ゲート電極233をマスクとして、酸化物半導体膜229にドーパントを添加する処理を行う。この結果、図12(B)に示すように、ゲート電極233に覆われ、ドーパントが添加されない第1の領域235aと、ドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cを形成する。ゲート電極233をマスクにしてドーパントを添加するため、セルフアラインで、ドーパントが添加されない第1の領域235a、及びドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cを形成することができる。なお、ゲート電極233と重畳する第1の領域235aはチャネル領域として機能する。また、ドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cは、電界緩和領域として機能する。また、第1の領域235a、及びドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cを酸化物半導体膜235と示す。
【0216】
酸化物半導体膜235の第1の領域235aは、水素濃度を5×1018atoms/cm未満、好ましくは1×1018atoms/cm以下、より好ましくは5×1017atoms/cm以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm以下とすることが好ましい。酸化物半導体及び水素の結合により、水素の一部がドナーとなり、キャリアである電子が生じてしまう。これらのため、酸化物半導体膜235の第1の領域235a中の水素濃度を低減することで、しきい値電圧のマイナスシフトを低減することができる。
【0217】
ドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cに含まれるドーパントの濃度は、5×1018atoms/cm以上1×1022atoms/cm以下、好ましくは5×1018atoms/cm以上5×1019atoms/cm未満とする。
【0218】
ドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cはドーパントを含むため、キャリア密度または欠陥を増加させることができる。このため、ドーパントを含まない第1の領域235aと比較して導電性を高めることができる。なお、ドーパント濃度を増加させすぎると、ドーパントがキャリアの移動を阻害することになり、ドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cの導電性を低下させることになる。
【0219】
ドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cは、導電率が0.1S/cm以上1000S/cm以下、好ましくは10S/cm以上1000S/cm以下とすることが好ましい。
【0220】
酸化物半導体膜235において、ドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cを有することで、チャネル領域として機能する第1の領域235aの端部に加わる電界を緩和させることができる。このため、トランジスタの短チャネル効果を抑制することができる。
【0221】
酸化物半導体膜229にドーパントを添加する方法として、イオンドーピング法またはイオンインプランテーション法を用いることができる。また、添加するドーパントとしては、ホウ素、窒素、リン、及びヒ素の少なくとも一以上がある。または、ドーパントとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及びキセノンの少なくとも一以上がある。または、ドーパントとしては、水素がある。なお、ドーパントとして、ホウ素、窒素、リン、及びヒ素の一以上と、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及びキセノンの一以上と、水素とを適宜組み合わしてもよい。
【0222】
また、酸化物半導体膜229へのドーパントの添加は、酸化物半導体膜229を覆って、絶縁膜などが形成されている状態を示したが、酸化物半導体膜229が露出している状態でドーパントの添加を行ってもよい。
【0223】
さらに、上記ドーパントの添加はイオンドーピング法またはイオンインプランテーション法などによる注入する以外の方法でも行うことができる。例えば、添加する元素を含むガス雰囲気にてプラズマを発生させて、被添加物に対してプラズマ処理を行うことによって、ドーパントを添加することができる。上記プラズマを発生させる装置としては、ドライエッチング装置やCVD装置、高密度CVD装置などを用いることができる。
【0224】
この後、加熱処理を行ってもよい。当該加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上450℃以下、好ましくは250℃以上325℃以下とする。または、250℃から325℃まで徐々に温度上昇させながら加熱してもよい。
【0225】
当該加熱処理により、ドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cの抵抗を低減することができる。なお、当該加熱処理において、ドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cは、結晶状態でも非晶質状態でもよい。
【0226】
次に、図12(C)に示すように、ゲート電極233の側面にサイドウォール絶縁膜237、及びゲート絶縁膜239、並びに電極241a、電極241bを形成する。
【0227】
サイドウォール絶縁膜237は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよく、積層または単層で設ける。なお、サイドウォール絶縁膜237として、絶縁膜225と同様に、加熱により酸素の一部が脱離する酸化絶縁膜を用いて形成してもよい。
【0228】
ここで、サイドウォール絶縁膜237の形成方法について説明する。
【0229】
まず、絶縁膜231及びゲート電極233上に、後にサイドウォール絶縁膜237となる絶縁膜を形成する。絶縁膜は、スパッタリング法、CVD法等により形成する。また、当該絶縁膜の厚さは特に限定はないが、ゲート電極233の形状に応じる被覆性を考慮して、適宜選択すればよい。
【0230】
次に、絶縁膜をエッチングすることによりサイドウォール絶縁膜237を形成する。該エッチングは、異方性の高いエッチングであり、サイドウォール絶縁膜237は、絶縁膜に異方性の高いエッチング工程を行うことでセルフアラインに形成することができる。
【0231】
また、ドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cにおいて、電界緩和領域として機能する幅は、サイドウォール絶縁膜237の幅に対応し、またサイドウォール絶縁膜237の幅は、ゲート電極233の厚さにも対応することから、電界緩和領域の範囲が、所望の範囲となるように、ゲート電極233の厚さを決めればよい。
【0232】
また、サイドウォール絶縁膜237の形成工程と共に、異方性の高いエッチングを用いて絶縁膜231をエッチングし、酸化物半導体膜229を露出させることで、ゲート絶縁膜239を形成することができる。
【0233】
一対の電極241a、電極241bは配線223a乃至配線223cと同様の材料を適宜用いて形成することができる。なお、一対の電極241a、電極241bは配線としても機能させてもよい。
【0234】
一対の電極241a、電極241bは、印刷法またはインクジェット法を用いて形成される。または、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等で導電膜を形成した後、該導電膜の一部を選択的にエッチングして、一対の電極241a、電極241bを形成する。
【0235】
一対の電極241a、電極241bは、サイドウォール絶縁膜237及びゲート絶縁膜239の側面と接するように、形成されることが好ましい。即ち、トランジスタの一対の電極241a、電極241bの端部がサイドウォール絶縁膜237上に位置し、酸化物半導体膜235において、ドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cの露出部を全て覆っていることが好ましい。この結果、ドーパントが含まれる一対の第2の領域235b、第2の領域235cにおいて、一対の電極241a、電極241bと接する領域がソース領域及びドレイン領域として機能すると共に、サイドウォール絶縁膜237及びゲート絶縁膜239と重なる領域が電界緩和領域として機能する。また、サイドウォール絶縁膜237の長さにより電界緩和領域の幅が制御できるため、一対の電極241a、電極241bを形成するためのマスク合わせの精度を緩和することができる。よって、複数のトランジスタにおけるばらつきを低減することができる。
【0236】
なお、本実施の形態では、ゲート電極233の側面に接してサイドウォール絶縁膜237を設けたが、本発明はこれに限られるものではなく、サイドウォール絶縁膜237を設けない構成とすることもできる。また、本実施の形態では、一対の第2の領域235b、第2の領域235cを形成した後でサイドウォール絶縁膜237を設けたが、本発明はこれに限られるものではなく、サイドウォール絶縁膜237を設けた後で一対の第2の領域235b、第2の領域235cを形成しても良い。このような構成とすることにより、第1の領域235aをサイドウォール絶縁膜237と重畳する領域まで広げることができる。
【0237】
次に、図13(A)に示すように、スパッタリング法、CVD法、塗布法、印刷法等により、絶縁膜243及び絶縁膜245を形成する。
【0238】
絶縁膜243、絶縁膜245は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよく、積層または単層で設ける。なお、絶縁膜245として、外部への酸素の拡散を防ぐ絶縁膜を用いることで、絶縁膜243から脱離する酸素を酸化物半導体膜に供給することができる。外部への酸素の拡散を防ぐ絶縁膜の代表例としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム等がある。また、絶縁膜245として、外部からの水素の拡散を防ぐ絶縁膜を用いることで、外部から酸化物半導体膜への水素の拡散を低減することが可能であり、酸化物半導体膜の欠損を低減することができる。外部からの水素の拡散を防ぐ絶縁膜の代表例としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等がある。また、絶縁膜243を、加熱により酸素の一部が脱離する酸化絶縁膜、外部への酸素の拡散を防ぐ絶縁膜と、酸化絶縁膜との3層構造とすることで、効率よく酸化物半導体膜へ酸素を拡散すると共に、外部への酸素の脱離を抑制することが可能であり、温度及び湿度の高い状態でも、トランジスタの特性の変動を低減することができる。
【0239】
以上の工程により、図13(A)に示すように、酸化物半導体にチャネル形成領域を有するトランジスタ121を作製することができる。なお、上記トランジスタ121は、i型(真性半導体)またはi型に限りなく近い領域235aを含む酸化物半導体膜235を有するため、極めて優れた特性を示す。
【0240】
なお、本実施の形態でトランジスタ121をトップゲート構造としたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えばボトムゲート構造としても良い。また、本実施の形態でトランジスタ121は、一対の電極241a及び電極241bが、一対の第2の領域235b及び第2の領域235cの上面の少なくとも一部と接する構成としているが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、一対の第2の領域235b及び第2の領域235cが、一対の電極241a及び電極241bの少なくとも一部と接する構成としても良い。
【0241】
次に、絶縁膜215、絶縁膜217、絶縁膜221、絶縁膜225、絶縁膜243、絶縁膜245のそれぞれ一部を選択的にエッチングし、開口部を形成して、ゲート電極209a、電極241a及び電極241bのそれぞれ一部を露出する。次に、開口部に導電膜を成膜した後、該導電膜の一部を選択的にエッチングして、電極241aに接して配線249を、電極241bに接して配線250を形成する。配線249及び配線250は、コンタクトプラグ219a乃至コンタクトプラグ219dに示す材料を適宜用いることができる。
【0242】
以上の工程により、トランジスタ121、トランジスタ171_A及びトランジスタ171_Bを作成することができる。
【0243】
以上に示すように、トランジスタ121のオフ電流を十分に小さくすることができる、酸化物半導体のようなワイドバンドギャップ半導体を、記憶回路のトランジスタに用いることにより、電源電圧の供給を停止してもコンフィギュレーションデータを保持することができる。
【0244】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、本実施の形態に示す構成、方法どうしで組み合わせて用いることもできるし、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることもできる。
【0245】
(実施の形態3)
本実施の形態では、先の実施の形態で示した酸化物半導体にチャネル形成領域を有するトランジスタについて、電界効果移動度を理論的に導出し、当該電界効果移動度を用いてトランジスタ特性を導出する。
【0246】
酸化物半導体に限らず、実際に測定される絶縁ゲート型トランジスタの電界効果移動度は、さまざまな理由によって本来の移動度よりも低くなる。移動度を低下させる要因としては半導体内部の欠陥や半導体と絶縁膜との界面の欠陥があるが、Levinsonモデルを用いると、半導体内部に欠陥がないと仮定した場合の電界効果移動度を理論的に導き出せる。
【0247】
半導体本来の移動度をμ、測定される電界効果移動度をμとし、半導体中に何らかのポテンシャル障壁(粒界等)が存在すると仮定すると、次の式(2)で表現できる。
【0248】
【数2】

【0249】
ここで、Eはポテンシャル障壁の高さであり、kがボルツマン定数、Tは絶対温度である。また、ポテンシャル障壁が欠陥に由来すると仮定すると、Levinsonモデルでは、次の式(3)で表現できる。
【0250】
【数3】

【0251】
ここで、eは電気素量、Nはチャネル内の単位面積当たりの平均欠陥密度、εは半導体の誘電率、nは単位面積当たりのチャネルに含まれるキャリア数、Coxは単位面積当たりの容量、Vはゲート電圧、tはチャネルの厚さである。なお、厚さ30nm以下の半導体層であれば、チャネルの厚さは半導体層の厚さと同一として差し支えない。線形領域におけるドレイン電流Iは、次の式(4)で表現できる。
【0252】
【数4】

【0253】
ここで、Lはチャネル長、Wはチャネル幅であり、ここでは、L=W=10μmである。また、Vはドレイン電圧である。式(4)の両辺をVgで割り、更に両辺の対数を取ると、次の式(5)となる。
【0254】
【数5】

【0255】
式(5)の右辺はVの関数である。この式からわかるように、縦軸をln(Id/Vg)、横軸を1/Vgとする直線の傾きから欠陥密度Nが求められる。すなわち、トランジスタのI―V特性から、欠陥密度を評価できる。酸化物半導体としては、インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)の比率が、In:Sn:Zn=1:1:1のものでは欠陥密度Nは1×1012/cm程度である。
【0256】
このようにして求めた欠陥密度等をもとに式(2)及び式(3)よりμ=120cm/Vsが導出される。欠陥のあるIn−Sn−Zn酸化物で測定される移動度は40cm/Vs程度である。しかし、半導体内部及び半導体と絶縁膜との界面の欠陥が無い酸化物半導体の移動度μは120cm/Vsとなると予想できる。
【0257】
ただし、半導体内部に欠陥がなくても、チャネルとゲート絶縁物との界面での散乱によってトランジスタの輸送特性は影響を受ける。すなわち、ゲート絶縁物界面からxだけ離れた場所における移動度μは、次の式(6)で表現できる。
【0258】
【数6】

【0259】
ここで、Dはゲート方向の電界、B、lは定数である。B及びlは、実際の測定結果より求めることができ、上記の測定結果からは、B=4.75×10cm/s、l=10nm(界面散乱が及ぶ深さ)である。Dが増加する(すなわち、ゲート電圧が高くなる)と式(6)の第2項が増加するため、移動度μは低下することがわかる。
【0260】
半導体内部の欠陥が無い理想的な酸化物半導体をチャネルに用いたトランジスタの移動度μを計算した結果を図17に示す。なお、計算にはシノプシス社製デバイスシミュレーションソフト、Sentaurus Deviceを使用し、酸化物半導体のバンドギャップ、電子親和力、比誘電率、厚さをそれぞれ、2.8電子ボルト、4.7電子ボルト、15、15nmとした。これらの値は、スパッタリング法により形成された薄膜を測定して得られたものである。
【0261】
さらに、ゲート、ソース、ドレインの仕事関数をそれぞれ、5.5電子ボルト、4.6電子ボルト、4.6電子ボルトとした。また、ゲート絶縁物の厚さは100nm、比誘電率は4.1とした。チャネル長及びチャネル幅はともに10μm、ドレイン電圧Vは0.1Vである。
【0262】
図17で示されるように、ゲート電圧1V強で移動度100cm/Vs以上のピークをつけるが、ゲート電圧がさらに高くなると、界面散乱が大きくなり、移動度が低下する。なお、界面散乱を低減するためには、半導体層表面を原子レベルで平坦にすること(Atomic Layer Flatness)が望ましい。
【0263】
このような移動度を有する酸化物半導体を用いて微細なトランジスタを作製した場合の特性を計算した結果を図18乃至図20に示す。なお、計算に用いたトランジスタの断面構造を図21に示す。図21に示すトランジスタは酸化物半導体層にnの導電型を呈する第2の領域1103b及び第2の領域1103cを有する。第2の領域1103b及び第2の領域1103cの抵抗率は2×10−3Ωcmとする。
【0264】
図21(A)に示すトランジスタは、下地絶縁膜1101と、下地絶縁膜1101に埋め込まれるように形成された酸化アルミニウムよりなる埋め込み絶縁物1102の上に形成される。トランジスタは第2の領域1103b、第2の領域1103cと、それらに挟まれ、チャネル形成領域となる真性の第1の領域1103aと、ゲート電極1105を有する。ゲート電極1105の幅を33nmとする。
【0265】
ゲート電極1105と第1の領域1103aの間には、ゲート絶縁膜1104を有し、また、ゲート電極1105の両側面にはサイドウォール絶縁膜1106a及びサイドウォール絶縁膜1106b、ゲート電極1105の上部には、ゲート電極1105と他の配線との短絡を防止するための絶縁物1107を有する。サイドウォール絶縁膜の幅は5nmとする。また、第2の領域1103b及び第2の領域1103cに接して、ソース電極1108a及びドレイン電極1108bを有する。なお、このトランジスタにおけるチャネル幅を40nmとする。
【0266】
図21(B)に示すトランジスタは、下地絶縁膜1101と、酸化アルミニウムよりなる埋め込み絶縁物1102の上に形成され、第2の領域1103b、第2の領域1103cと、それらに挟まれた真性の第1の領域1103aと、幅33nmのゲート電極1105とゲート絶縁膜1104とサイドウォール絶縁膜1106a及びサイドウォール絶縁膜1106bと絶縁物1107とソース電極1108a及びドレイン電極1108bを有する点で図21(A)に示すトランジスタと同じである。
【0267】
図21(A)に示すトランジスタと図21(B)に示すトランジスタの相違点は、サイドウォール絶縁膜1106a及びサイドウォール絶縁膜1106bの下の半導体領域の導電型である。図21(A)に示すトランジスタでは、サイドウォール絶縁膜1106a及びサイドウォール絶縁膜1106bの下の半導体領域はnの導電型を呈する第2の領域1103b及び第2の領域1103cであるが、図21(B)に示すトランジスタでは、真性の第1の領域1103aである。すなわち、第2の領域1103b(第2の領域1103c)とゲート電極1105がLoffだけ重ならない領域ができている。この領域をオフセット領域といい、その幅Loffをオフセット長という。図から明らかなように、オフセット長は、サイドウォール絶縁膜1106a(サイドウォール絶縁膜1106b)の幅と同じである。
【0268】
その他の計算に使用するパラメータは上述の通りである。計算にはシノプシス社製デバイスシミュレーションソフト、Sentaurus Deviceを使用した。図18は、図21(A)に示される構造のトランジスタのドレイン電流(Id、実線)及び移動度(μ、点線)のゲート電圧(Vg、ゲートとソースの電位差)依存性を示す。ドレイン電流Idは、ドレイン電圧(ドレインとソースの電位差)を+1Vとし、移動度μはドレイン電圧を+0.1Vとして計算したものである。
【0269】
図18(A)はゲート絶縁膜の厚さを15nmとしたものであり、図18(B)は10nmとしたものであり、図18(C)は5nmとしたものである。ゲート絶縁膜が薄くなるほど、特にオフ状態でのドレイン電流Id(オフ電流)が顕著に低下する。一方、移動度μのピーク値やオン状態でのドレイン電流Id(オン電流)には目立った変化が無い。ゲート電圧1V前後で、ドレイン電流はメモリ素子等で必要とされる10μAを超えることが示された。
【0270】
図19は、図21(B)に示される構造のトランジスタで、オフセット長Loffを5nmとしたもののドレイン電流Id(実線)及び移動度μ(点線)のゲート電圧Vg依存性を示す。ドレイン電流Idは、ドレイン電圧を+1Vとし、移動度μはドレイン電圧を+0.1Vとして計算したものである。図19(A)はゲート絶縁膜の厚さを15nmとしたものであり、図19(B)は10nmとしたものであり、図19(C)は5nmとしたものである。
【0271】
また、図20は、図21(B)に示される構造のトランジスタで、オフセット長Loffを15nmとしたもののドレイン電流Id(実線)及び移動度μ(点線)のゲート電圧依存性を示す。ドレイン電流Idは、ドレイン電圧を+1Vとし、移動度μはドレイン電圧を+0.1Vとして計算したものである。図20(A)はゲート絶縁膜の厚さを15nmとしたものであり、図20(B)は10nmとしたものであり、図20(C)は5nmとしたものである。
【0272】
いずれもゲート絶縁膜が薄くなるほど、オフ電流が顕著に低下する一方、移動度μのピーク値やオン電流には目立った変化が無い。
【0273】
なお、移動度μのピークは、図18では80cm/Vs程度であるが、図19では60cm/Vs程度、図20では40cm/Vsと、オフセット長Loffが増加するほど低下する。また、オフ電流も同様な傾向がある。一方、オン電流にはオフセット長Loffの増加にともなって減少するが、オフ電流の低下に比べるとはるかに緩やかである。また、いずれもゲート電圧1V前後で、ドレイン電流はメモリ素子等で必要とされる10μAを超えることが示された。また、このように移動度の高いトランジスタを、先の実施の形態で示した記憶回路のトランジスタとして用いることにより、コンフィギュレーションデータの書き込みを高速でおこなうことができる。
【0274】
(実施の形態4)
本実施の形態では、先の実施の形態で示した酸化物半導体にチャネル形成領域を有するトランジスタについて、特にIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体にチャネル形成領域を有するトランジスタについて説明する。
【0275】
In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体をチャネル形成領域とするトランジスタは、該酸化物半導体を形成する際に基板を加熱して成膜すること、或いは酸化物半導体膜を形成した後に熱処理を行うことで良好な特性を得ることができる。なお、主成分とは組成比で5atomic%以上含まれる元素をいう。
【0276】
In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜の成膜後に基板を意図的に加熱することで、トランジスタの電界効果移動度を向上させることが可能となる。また、トランジスタのしきい値電圧をプラスシフトさせ、ノーマリ・オフ化させることが可能となる。以下、In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体にチャネル形成領域を有するトランジスタを作製して各種測定を行った結果について説明する。
【0277】
まず、本実施の形態で各種測定に用いたトランジスタの構造について図22を用いて説明する。図22(A)は、当該トランジスタの平面図であり、図22(B)は図22(A)の一点鎖線A−Bに対応する断面図である。
【0278】
図22(B)に示すトランジスタは、基板600と、基板600上に設けられた下地絶縁膜602と、下地絶縁膜602上に設けられた酸化物半導体膜606と、酸化物半導体膜606と接する一対の電極614と、酸化物半導体膜606及び一対の電極614上に設けられたゲート絶縁膜608と、ゲート絶縁膜608を介して酸化物半導体膜606と重畳して設けられたゲート電極610と、ゲート絶縁膜608及びゲート電極610を覆って設けられた層間絶縁膜616と、ゲート絶縁膜608及び層間絶縁膜616に設けられた開口部を介して一対の電極614と接続する配線618と、層間絶縁膜616及び配線618を覆って設けられた保護膜620と、を有する。ここで、一対の電極614は、当該トランジスタのソース電極及びドレイン電極として機能する。
【0279】
基板600としてはガラス基板を、下地絶縁膜602としては酸化シリコン膜を、酸化物半導体膜606としてはIn−Sn−Zn−O膜を、一対の電極614としてはタングステン膜を、ゲート絶縁膜608としては酸化シリコン膜を、ゲート電極610としては窒化タンタル膜とタングステン膜との積層構造を、層間絶縁膜616としては酸化窒化シリコン膜とポリイミド膜との積層構造を、配線618としてはチタン膜、アルミニウム膜、チタン膜がこの順で形成された積層構造を、保護膜620としてはポリイミド膜を、それぞれ用いた。
【0280】
なお、図22(A)に示す構造のトランジスタにおいて、ゲート電極610と一対の電極614との重畳する幅をLovと呼ぶ。同様に、酸化物半導体膜606に対する一対の電極614のはみ出しをdWと呼ぶ。
【0281】
図23(A)〜図23(C)は、図22に示すトランジスタにおいて、チャネル長Lが3μm、チャネル幅Wが10μmである酸化物半導体膜と、厚さ100nmのゲート絶縁膜を用いたトランジスタの特性である。なお、Vは10Vとした。
【0282】
図23(A)は基板を意図的に加熱せずにスパッタリング法でIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜を形成したときのトランジスタ特性である。このとき電界効果移動度は18.8cm/Vsecが得られている。一方、基板を意図的に加熱してIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜を形成すると電界効果移動度を向上させることが可能となる。図23(B)は基板を200℃に加熱してIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜を形成したときのトランジスタ特性を示すが、電界効果移動度は32.2cm/Vsecが得られている。
【0283】
電界効果移動度は、In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜を形成した後に熱処理をすることによって、さらに高めることができる。図23(C)は、In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜を200℃でスパッタリング成膜した後、650℃で熱処理をしたときのトランジスタ特性を示す。このとき電界効果移動度は34.5cm/Vsecが得られている。
【0284】
基板を意図的に加熱することでスパッタリング成膜中の水分が酸化物半導体膜中に取り込まれるのを低減する効果が期待できる。また、成膜後に熱処理をすることによっても、酸化物半導体膜から水素や水酸基若しくは水分を放出させ除去することができ、上記のように電界効果移動度を向上させることができる。このような電界効果移動度の向上は、脱水化・脱水素化による不純物の除去のみならず、高密度化により原子間距離が短くなるためとも推定される。また、酸化物半導体から不純物を除去して高純度化することで結晶化を図ることができる。このように高純度化された非単結晶酸化物半導体は、理想的には100cm/Vsecを超える電界効果移動度を実現することも可能になると推定される。
【0285】
In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体に酸素イオンを注入し、熱処理により該酸化物半導体に含まれる水素や水酸基若しくは水分を放出させ、その熱処理と同時に又はその後の熱処理により酸化物半導体を結晶化させても良い。このような結晶化若しくは再結晶化の処理により結晶性の良い非単結晶酸化物半導体を得ることができる。
【0286】
基板を意図的に加熱して成膜すること及び/又は成膜後に熱処理することの効果は、電界効果移動度の向上のみならず、トランジスタのノーマリ・オフ化を図ることにも寄与している。基板を意図的に加熱しないで形成されたIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜をチャネル形成領域としたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスシフトしてしまう傾向がある。しかし、基板を意図的に加熱して形成された酸化物半導体膜を用いた場合、このしきい値電圧のマイナスシフト化は解消される。つまり、しきい値電圧はトランジスタがノーマリ・オフとなる方向に動き、このような傾向は図23(A)と図23(B)の対比からも確認することができる。
【0287】
なお、しきい値電圧はIn、Sn及びZnの比率を変えることによっても制御することが可能であり、組成比としてIn:Sn:Zn=2:1:3とすることでトランジスタのノーマリ・オフ化を期待することができる。また、ターゲットの組成比をIn:Sn:Zn=2:1:3とすることで結晶性の高い酸化物半導体膜を得ることができる。
【0288】
意図的な基板加熱温度若しくは熱処理温度は、150℃以上、好ましくは200℃以上、より好ましくは400℃以上であり、より高温で成膜し或いは熱処理することでトランジスタのノーマリ・オフ化を図ることが可能となる。
【0289】
熱処理は酸素雰囲気中で行うことができるが、まず窒素若しくは不活性ガス、または減圧下で熱処理を行ってから酸素を含む雰囲気中で熱処理を行っても良い。最初に脱水化・脱水素化を行ってから酸素を酸化物半導体に加えることで、熱処理の効果をより高めることができる。また、後から酸素を加えるには、酸素イオンを電界で加速して酸化物半導体膜に注入する方法を適用しても良い。
【0290】
酸化物半導体中及び積層される膜との界面には、酸素欠損による欠陥が生成されやすいが、かかる熱処理により酸化物半導体中に酸素を過剰に含ませることにより、定常的に生成される酸素欠損を過剰な酸素によって補償することが可能となる。過剰酸素は主に格子間に存在する酸素であり、その酸素濃度は1×1016/cm以上2×1020/cm以下とすれば、結晶に歪み等を与えることなく酸化物半導体中に含ませることができる。
【0291】
また、熱処理によって酸化物半導体に結晶が少なくとも一部に含まれるようにすることで、より安定な酸化物半導体膜を得ることができる。例えば、組成比In:Sn:Zn=1:1:1のターゲットを用いて、基板を意図的に加熱せずにスパッタリング成膜した酸化物半導体膜は、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)でハローパタンが観測される。この成膜された酸化物半導体膜を熱処理することによって結晶化させることができる。熱処理温度は任意であるが、例えば650℃の熱処理を行うことで、X線回折により明確な回折ピークを観測することができる。
【0292】
実際に、In−Sn−Zn−O膜のXRD分析を行った。XRD分析には、Bruker AXS社製X線回折装置D8 ADVANCEを用い、Out−of−Plane法で測定した。
【0293】
XRD分析を行った試料として、試料A及び試料Bを用意した。以下に試料A及び試料Bの作製方法を説明する。
【0294】
脱水素化処理済みの石英基板上にIn−Sn−Zn−O膜を100nmの厚さで成膜した。
【0295】
In−Sn−Zn−O膜は、スパッタリング装置を用い、酸素雰囲気で電力を100W(DC)として成膜した。ターゲットは、In:Sn:Zn=1:1:1[原子数比]のIn−Sn−Zn−Oターゲットを用いた。なお、成膜時の基板加熱温度は200℃とした。このようにして作製した試料を試料Aとした。
【0296】
次に、試料Aと同様の方法で作製した試料に対し加熱処理を650℃の温度で行った。加熱処理は、はじめに窒素雰囲気で1時間の加熱処理を行い、温度を下げずに酸素雰囲気でさらに1時間の加熱処理を行っている。このようにして作製した試料を試料Bとした。
【0297】
図24に試料A及び試料BのXRDスペクトルを示す。試料Aでは、結晶由来のピークが観測されなかったが、試料Bでは、2θが35deg近傍及び37deg〜38degに結晶由来のピークが観測された。
【0298】
このように、In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体は成膜時に意図的に加熱すること及び/又は成膜後に熱処理することによりトランジスタの特性を向上させることができる。
【0299】
この基板加熱や熱処理は、酸化物半導体にとって悪性の不純物である水素や水酸基を膜中に含ませないようにすること、或いは膜中から除去する作用がある。すなわち、酸化物半導体中でドナー不純物となる水素を除去することで高純度化を図ることができ、それによってトランジスタのノーマリ・オフ化を図ることができ、酸化物半導体が高純度化されることによりオフ電流を1aA/μm以下にすることができる。ここで、上記オフ電流値の単位は、チャネル幅1μmあたりの電流値を示す。
【0300】
図25に、トランジスタのオフ電流と測定時の基板温度(絶対温度)の逆数との関係を示す。ここでは、簡単のため測定時の基板温度の逆数に1000を掛けた数値(1000/T)を横軸としている。
【0301】
具体的には、図25に示すように、基板温度が125℃の場合には0.1aA/μm(1×10−19A/μm)以下、85℃の場合には10zA/μm(1×10−20A/μm)以下であった。電流値の対数が温度の逆数に比例することから、室温(27℃)の場合には0.1zA/μm(1×10−22A/μm)以下であると予想される。従って、オフ電流を125℃において1aA/μm(1×10−18A/μm)以下に、85℃において100zA/μm(1×10−19A/μm)以下に、室温において1zA/μm(1×10−21A/μm)以下にすることができる。
【0302】
もっとも、酸化物半導体膜の成膜時に水素や水分が膜中に混入しないように、成膜室外部からのリークや成膜室内の内壁からの脱ガスを十分抑え、スパッタガスの高純度化を図ることが好ましい。例えば、スパッタガスは水分が膜中に含まれないように露点−70℃以下であるガスを用いることが好ましい。また、ターゲットそのものに水素や水分などの不純物が含まれていていないように、高純度化されたターゲットを用いることが好ましい。In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体は熱処理によって膜中の水分を除去することができるが、In、Ga、Znを主成分とする酸化物半導体と比べて水分の放出温度が高いため、好ましくは最初から水分の含まれない膜を形成しておくことが好ましい。
【0303】
また、酸化物半導体膜成膜後に650℃の加熱処理を行った試料のトランジスタにおいて、基板温度と電気的特性の関係について評価した。
【0304】
測定に用いたトランジスタは、チャネル長Lが3μm、チャネル幅Wが10μm、Lovが片側3μm(合計6μm)、dWが0μmである。なお、Vdsは10Vとした。なお、基板温度は−40℃、−25℃、25℃、75℃、125℃及び150℃で行った。ここで、トランジスタにおいて、ゲート電極と一対の電極との重畳する幅をLovと呼び、酸化物半導体膜に対する一対の電極のはみ出しをdWと呼ぶ。
【0305】
図26に、Ids(実線)及び電界効果移動度(点線)のVgs依存性を示す。また、図27(A)に基板温度としきい値電圧の関係を、図27(B)に基板温度と電界効果移動度の関係を示す。
【0306】
図27(A)より、基板温度が高いほどしきい値電圧は低くなることがわかる。なお、その範囲は−40℃〜150℃で1.09V〜−0.23Vであった。
【0307】
また、図27(B)より、基板温度が高いほど電界効果移動度が低くなることがわかる。なお、その範囲は−40℃〜150℃で36cm/Vs〜32cm/Vsであった。従って、上述の温度範囲において電気的特性の変動が小さいことがわかる。
【0308】
上記のようなIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体をチャネル形成領域とするトランジスタによれば、オフ電流を1aA/μm以下に保ちつつ、電界効果移動度を30cm/Vsec以上、好ましくは40cm/Vsec以上、より好ましくは60cm/Vsec以上とし、LSIで要求されるオン電流の値を満たすことができる。例えば、L/W=33nm/40nmのFETで、ゲート電圧2.7V、ドレイン電圧1.0Vのとき12μA以上のオン電流を流すことができる。
【0309】
このようにオフ電流の低いトランジスタを、先の実施の形態で示した記憶回路が有するトランジスタとして用いることにより、電源電圧の供給が停止したときでもコンフィギュレーションデータを保持することが可能となる。これにより、電源投入後のコンフィギュレーションデータの書き込みを省略することが可能となるので、演算回路の起動時間を短くすることができる。よって、ノーマリーオフの駆動方法を用いて、低消費電力化を図ることができるプログラマブルロジックデバイスを提供することができる。
【0310】
また、このように移動度の高いトランジスタを、先の実施の形態で示した記憶回路が有するトランジスタとして用いることにより、コンフィギュレーションデータの書き込みを高速でおこなうことができる。このような特性であれば、Si半導体で作られる集積回路の中に酸化物半導体で形成されるトランジスタを混載しても、動作速度を犠牲にすることのないプログラマブルロジックデバイスを提供することができる。
【0311】
ところで、不揮発性の記憶素子として磁気トンネル接合素子(MTJ素子)が知られている。MTJ素子は、絶縁膜を介して上下に配置している強磁性体膜の磁化の向きが平行であれば低抵抗状態、反平行であれば高抵抗状態となることで情報を記憶する素子である。したがって、本実施の形態で示す酸化物半導体を用いた記憶素子とは原理が全く異なっている。表2はMTJ素子と、本実施の形態に係る記憶素子との対比を示す。
【0312】
【表2】

【0313】
MTJ素子は磁性材料を使用するためキュリー温度以上にすると磁性が失われてしまうという欠点がある。また、MTJ素子は電流駆動であるため、シリコンのバイポーラデバイスと相性が良いが、バイポーラデバイスは集積化に不向きである。そして、MTJ素子は書き込み電流が微少とはいえメモリの大容量化によって消費電力が増大してしまうといった問題がある。
【0314】
原理的にMTJ素子は磁界耐性に弱く強磁界にさらされると磁化の向きが狂いやすい。また、MTJ素子に用いる磁性体のナノスケール化によって生じる磁化揺らぎを制御する必要がある。
【0315】
さらに、MTJ素子は希土類元素を使用するため、金属汚染を嫌うシリコン半導体のプロセスに組み入れるには相当の注意を要する。MTJ素子はビット当たりの材料コストから見ても高価であると考えられる。
【0316】
一方、本実施の形態で示す酸化物半導体を用いた記憶素子は、チャネルを形成する半導体材料が金属酸化物であること以外は、素子構造や動作原理がシリコンMOSFETと同様である。また、酸化物半導体を用いた記憶素子は磁界の影響を受けず、ソフトエラーも生じ得ないといった特質を有する。このことからシリコン集積回路と非常に整合性が良いといえる。
【符号の説明】
【0317】
100 プログラマブルロジックデバイス
101 演算状態制御回路
102 状態記憶回路
103 コンフィグレーション状態切り替え回路
104 電源制御回路
105 演算回路部
106 コマンドデコーダ回路
107 電源回路
108 データ入出力バス
109 演算回路
110 コンフィグレーションデータバス
111 電源電圧バス
112 記憶回路
112_1 記憶回路
112_2 記憶回路
113 切替演算回路
113_1 切替演算回路
113_2 切替演算回路
121 トランジスタ
122 論理回路
122_1 論理回路
122_2 論理回路
122_3 論理回路
122_4 論理回路
123 切り替えトランジスタ
123_1 セレクタ回路
123_2 セレクタ回路
123_3 セレクタ回路
123_4 セレクタ回路
131 入出力部
132 制御回路部
133 タイマー回路
134 制御回路
141 入出力部
142 記憶回路
142_1 記憶回路
143 領域
144 領域
145 領域
146 領域
151 入出力部
152 コンフィグレーションデータ書込制御回路
153 コンフィグレーションデータ記憶回路
154 記憶領域
161 入出力部
162 電源切替回路
170 インバータ回路
171 トランジスタ
171_1 アナログスイッチ
171_2 アナログスイッチ
171_A トランジスタ
171_B トランジスタ
172 ノード
201 半導体基板
203 素子分離領域
205 pウェル領域
215 絶縁膜
217 絶縁膜
221 絶縁膜
225 絶縁膜
227 酸化物半導体膜
229 酸化物半導体膜
231 絶縁膜
233 ゲート電極
235 酸化物半導体膜
237 サイドウォール絶縁膜
239 ゲート絶縁膜
243 絶縁膜
245 絶縁膜
249 配線
250 配線
600 基板
602 下地絶縁膜
606 酸化物半導体膜
608 ゲート絶縁膜
610 ゲート電極
614 電極
616 層間絶縁膜
618 配線
620 保護膜
801 ステップ
802 ステップ
803 ステップ
804 ステップ
811 ステップ
812 ステップ
813 ステップ
814 ステップ
815 ステップ
816 ステップ
817 ステップ
818 ステップ
819 ステップ
820 ステップ
821 ステップ
822 ステップ
823 ステップ
824 ステップ
825 ステップ
831 ステップ
832 ステップ
833 ステップ
834 ステップ
835 ステップ
836 ステップ
837 ステップ
1101 下地絶縁膜
1102 絶縁物
1104 ゲート絶縁膜
1105 ゲート電極
1107 絶縁物
207a ゲート絶縁膜
207b ゲート絶縁膜
209a ゲート電極
209b ゲート電極
211a 不純物領域
211b 不純物領域
213a 不純物領域
213b 不純物領域
219a コンタクトプラグ
219d コンタクトプラグ
223a 配線
223c 配線
235a 領域
235b 領域
235c 領域
241a 電極
241b 電極
1103a 領域
1103b 領域
1103c 領域
1106a サイドウォール絶縁膜
1106b サイドウォール絶縁膜
1108a ソース電極
1108b ドレイン電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンフィグレーションデータにより切り替えトランジスタの導通状態を切り替えることで、論理状態を切り替え可能な、複数の演算回路と、
前記演算回路のコンフィグレーションデータを書き換えることで前記論理状態を切り替えるコンフィグレーション状態切り替え回路と、
前記演算回路の電源電圧の供給または停止を切り替える電源制御回路と、
複数の前記演算回路の記憶データを記憶する状態記憶回路と、
前記記憶データをもとに、前記コンフィグレーション状態切り替え回路及び前記電源制御回路の制御を行う演算状態制御回路と、を有し、
前記演算回路と前記コンフィグレーション状態切り替え回路との間には、前記切り替えトランジスタのゲートに接続された、酸化物半導体層にチャネル形成領域が形成されるトランジスタが設けられており、電源制御回路からの電源電圧の停止時に、前記切り替えトランジスタのゲートに前記コンフィグレーションデータを保持するプログラマブルロジックデバイス。
【請求項2】
コンフィグレーションデータにより切り替えトランジスタの導通状態を切り替えることで、論理状態を切り替え可能な、複数の演算回路と、
前記演算回路のコンフィグレーションデータを書き換えることで前記論理状態を切り替えるコンフィグレーション状態切り替え回路と、
前記演算回路の電源電圧の供給または停止を切り替える電源制御回路と、
複数の前記演算回路のコンフィグレーション状態、電源状態、使用頻度及び最終使用時を記憶する状態記憶回路と、
前記コンフィグレーション状態、前記電源状態、前記使用頻度及び前記最終使用時をもとに、前記コンフィグレーション状態切り替え回路及び前記電源制御回路の制御を行う演算状態制御回路と、を有し、
前記演算回路と前記コンフィグレーション状態切り替え回路との間には、前記切り替えトランジスタのゲートに接続された、酸化物半導体層にチャネル形成領域が形成されるトランジスタが設けられており、電源制御回路からの電源電圧の停止時に、前記切り替えトランジスタのゲートに前記コンフィグレーションデータを保持するプログラマブルロジックデバイス。
【請求項3】
請求項2において、前記最終使用時は、演算状態制御回路が有するタイマー回路をもとに更新されるプログラマブルロジックデバイス。
【請求項4】
請求項2または請求項3において、前記コンフィグレーション状態切り替え回路は、前記コンフィグレーション状態をもとに前記複数の演算回路の論理状態を検索し、該検索の結果をもとに前記コンフィグレーションデータを書き換えるプログラマブルロジックデバイス。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれか一において、前記電源制御回路は、前記電源状態をもとに前記複数の演算回路の電源状態を検索し、該検索の結果をもとに前記演算回路への電源電圧の供給を制御するプログラマブルロジックデバイス。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5のいずれか一において、前記コンフィグレーション状態切り替え回路は、前記使用頻度及び前記最終使用時をもとに、前記コンフィグレーションデータを書き換えるプログラマブルロジックデバイス。
【請求項7】
請求項2乃至請求項6のいずれか一において、前記電源制御回路は、前記使用頻度及び前記最終使用時をもとに、前記演算回路への電源電圧の供給を制御するプログラマブルロジックデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−13067(P2013−13067A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−114200(P2012−114200)
【出願日】平成24年5月18日(2012.5.18)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】