不揮発性記憶装置および半導体集積回路装置
【課題】標準C−MOSプロセスの製造工程を変更せずに製造可能であり、ゲート酸化膜厚の影響を受けない廉価な不揮発性メモリを提供する。
【解決手段】負荷トランジスタT11,T21と記憶トランジスタT12,T22との直列回路一対を有して、それらをスタティックラッチ形態に接続してフリップフロップを構成し、このフリップフロップの入出力部P1,P2とビットラインBLT,BLBとの間にトランスファゲートT13,T23を接続し、さらにフリップフロップの2つの入出力部P1,P2にバッファ回路であるC−MOSインバータINV1,INV2を接続する。また、フリップフロップの2つの負荷トランジスタT11,T21のソースと電源ラインVCCとの間にリーク電流遮断素子T16,T26を設け、書き込み時にT16,T26を遮断する。
【解決手段】負荷トランジスタT11,T21と記憶トランジスタT12,T22との直列回路一対を有して、それらをスタティックラッチ形態に接続してフリップフロップを構成し、このフリップフロップの入出力部P1,P2とビットラインBLT,BLBとの間にトランスファゲートT13,T23を接続し、さらにフリップフロップの2つの入出力部P1,P2にバッファ回路であるC−MOSインバータINV1,INV2を接続する。また、フリップフロップの2つの負荷トランジスタT11,T21のソースと電源ラインVCCとの間にリーク電流遮断素子T16,T26を設け、書き込み時にT16,T26を遮断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に消去および書き込み可能な不揮発性記憶装置およびそれを備えた半導体集積回路装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば内蔵SRAMの容量の増大に伴うリダンダンシ(冗長化)の必要性や、LCDドライバ等のボード実装後に個別のチューニングを実施する必要性や、個人識別情報(IDコード、暗号解読用キー、ICカードの番号等)の多様な用途拡大に伴って低コストなヒューズの必要性が高まってきている。
【0003】
従来、標準C−MOSプロセスで形成可能なヒューズ素子として、ポリシリコンや配線メタル層をレーザや電流で溶断するもの、絶縁ゲート膜等を電圧で破壊するもの、等があった。しかし、このような溶断や絶縁破壊等によるものでは一度しかプログラムできないため上述の用途には適さない。
【0004】
一方、C−MOSプロセスで形成できるフローティングゲート型の不揮発性素子を利用するものであれば、電気的に消去・書込みが可能なヒューズが実現できるが、トランジスタに不揮発性を持たせるために従来のフラッシュメモリのような特別なプロセスを導入するのはコスト的観点から見合わない。また、標準C−MOSプロセスでのフローティングゲート型素子については、高集積化に伴い絶縁膜が薄くなるとデータ保持特性が悪くなるという問題があった。
【0005】
そこで、例えば特許文献1・特許文献2には、標準C−MOSプロセスで製造可能な不揮発性記憶装置や特別なフローティングゲートを持たない不揮発性記憶装置が示されている。
【特許文献1】米国特許第6,518,614号公報
【特許文献2】特開2004−56095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなC−MOSプロセスで製造する不揮発性半導体記憶装置のデータ保持特性の不安定性を解消するために、S−RAMのように、負荷トランジスタと記憶トランジスタ(不揮発性素子)の直列回路を一対設け、それらをスタティックラッチ形態に接続してフリップフロップを構成することが有効である。
【0007】
一方、ウエルに対するドレイン側の接合部を、不純物濃度の低い低濃度領域を有するLDD構造とし、ウエルに対するソース側の接合部を、上記低濃度領域が形成されていない構造とすることによって、C−MOSプロセスで作成するトランジスタであるにも拘わらず不揮発性をもたせることができる。
【0008】
ところが、第1導電型の負荷トランジスタと第2導電型の記憶トランジスタの直列回路をクロスカップリッグして、且つ上記記憶トランジスタに上記オフセットを持たせたLDD構造を採用すると、後述するように記憶トランジスタの書込・消去時に不要なリーク電流が流れるという問題が生じる。
【0009】
ここで上記リーク電流の問題について図1を参照して説明する。
この不揮発性メモリは、負荷トランジスタT11,T21と記憶トランジスタT12,T22との直列回路を一対有し、それらをスタティックラッチ形態に接続したものである。記憶トランジスタT12,T22は半導体基板上のP型ウエルWPに構成されたN型MOSトランジスタである。負荷トランジスタT11,T21は半導体基板上のN型ウエルWNに構成されたP型MOSトランジスタである。このフリップフロップの入出力部と2つのビットラインBLT,BLBとの間にトランスファゲートT13,T23をそれぞれ接続している。
【0010】
いま、記憶トランジスタT12に書き込みを行う場合、たとえばビットラインBLTを0V、BLBを6Vに定め、トランスファゲートT13,T23をそれぞれ導通させると、電源電圧VCCがビットラインBLBから供給される高電圧より低いため、書き込み電流CP1が記憶トランジスタT12→トランスファゲートT13→ビットラインBLTに流れるだけでなく、ビットラインBLB→トランスファゲートT23→負荷トランジスタT21→VCCの経路でリーク電流CP2が流れてしまう。
【0011】
その結果、所望の書き込みトランジスタT12に対して十分な電圧を供給することができず、また高電圧のリークパスが、書き込みを行うトランジスタT12以外にも存在することになり、不要な電流供給が必要となってしまう。
【0012】
そこで、この発明の目的は、前述の標準C−MOSプロセスで形成する不揮発性メモリの問題と記憶トランジスタに対する書き込み時の問題を解消した不揮発性記憶装置およびそれを備えた半導体集積回路装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明の代表的な構成は次のとおりである。
(1)標準C−MOSプロセスで記憶トランジスタを構成し、記憶トランジスタの消去時にゲート電極に印加する負電位の絶対値を小さくするために(低電圧動作のために)、第2導電型の半導体基板に第1導電型の深いウエルを備えるとともに、その深いウエル内に第2導電型のウエルを備え、不揮発性メモリは、負荷トランジスタと記憶トランジスタとの直列回路を一対有して、それらをスタティックラッチ形態に接続してなるフリップフロップを備えたものとし、記憶トランジスタは、第2導電型のウエル内に第1導電型のソース・ドレインを有し、ソース・ドレイン間のチャンネルの上部にゲート絶縁膜を介してゲート電極を有し、ゲート電極の側部に絶縁膜サイドスペーサを有し、ドレイン側の第2導電型ウエルに対する接合部が不純物濃度の低い低濃度領域を有するLDD構造であり、ソース側の第2導電型ウエルに対する接合部がLDD構造部分の低濃度領域が形成されていない構造(非LDD構造)とする。
【0014】
そして、不揮発性メモリを駆動する駆動回路は、記憶トランジスタのドレインに対してゲート電極およびソースに正電圧を印加し、絶縁膜サイドスペーサにチャンネルホットエレクトロンを注入して情報の書き込みを行い、ソースに対してゲート電極に負電圧を印加し、第1導電型のウエルに正電圧を印加して絶縁膜サイドスペーサにアバランシェホットホールを注入して情報の消去を行う回路とする。
【0015】
そして、書き込み時に負荷トランジスタを介してフリップフロップの電源側へリーク電流が流れるのを遮断するリーク電流遮断素子を備える。
【0016】
(2)前記フリップフロップの入出力と書き込み信号ライン(ビットライン)との間に書き込み選択用のトランスファゲートを設けるとともに、フリップフロップの入出力部にC−MOSインバータを含むバッファ回路を設ける。
【0017】
(3)前記フリップフロップを構成する、スタティックラッチ形態に接続した前記2つの直列回路の回路構成を非対称にして不揮発性メモリに書き込み・消去が行われていない状態でのフリップフロップの差動動作点を予め偏位させておく。
【発明の効果】
【0018】
本願において開示される発明のうち代表的な効果は次のとおりである。
〔1〕通常のC−MOSプロセスで形成されるトランジスタの片側だけをオフセット構造にすることにより得られる不揮発性素子の特性は安定性・再現性が悪く、動作不良になる可能性が高いが、本発明によれば、4トランジスタによるフリップフロップ動作・構造によって動作安定性が飛躍的に向上する。
【0019】
〔2〕不揮発性素子が形成されている第2導電型ウエルを第1導電型の深いウエル(ボトムウエル)で囲んだことによって、記憶トランジスタが半導体基板に対して電気的に分離され、不揮発性素子の書込み・消去動作において第2導電型ウエルに電位を印加することが可能となり、動作特性が向上する。
【0020】
〔3〕不揮発性メモリに対する書き込み時に負荷トランジスタを介してフリップフロップの電源側へ不要なリーク電流が流れることがなく、書き込むべき記憶トランジスタのゲートに対して十分な電圧を供給でき、また不要な電流供給が不必要となって、安定した不揮発性記憶制御が可能となる。
【0021】
〔4〕前記フリップフロップの入出力部にC−MOSインバータを含むバッファ回路を設けたことにより、不揮発性メモリに記憶されている状態が常時(セレクト信号等によって選択することなく)出力されるため、いわゆるヒューズとして用いることができる。
【0022】
〔5〕フリップフロップを構成するスタティックラッチ形態に接続した2つの直列回路の回路構成を非対称にして不揮発性メモリに書き込み消去が行われていない状態でのフリップフロップの差動動作点を予め偏位させておくことにより、書き込み・消去を行う初期状態で所定の状態をとることができ、この不揮発性記憶装置を用いる制御プログラム処理が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置およびそれを備えた半導体集積回路装置について図2〜図6を参照して説明する。
図2−1,図2−2は不揮発性記憶装置の不揮発性メモリ部分の回路図である。(A)はこの発明に係る不揮発性メモリ部分の回路図、(B)はその比較例としての不揮発性メモリ部分の回路図である。
【0024】
(A)に示すように、負荷トランジスタT11,T21と記憶トランジスタT12,T22との直列回路を一対有し、それらをスタティックラッチ形態に接続してフリップフロップを構成している。記憶トランジスタT12,T22はそれぞれ他のN型MOSトランジスタとは別の、P型ウエル内に構成したN型MOSトランジスタである。フリップフロップの電源側と電源ラインVCCとの間には、P型MOSトランジスタであるリーク電流遮断素子T6を設けている。このリーク電流遮断素子T6のゲートにはゲート制御信号PGATEのラインを接続している。またフリップフロップの記憶トランジスタ側にはセレクトラインSLを接続している。
【0025】
上記フリップフロップの2つの入出力部と2つのビットラインBLT(BitLine-True),BLB(BitLine-Bar)との間にN型(またはP型)MOSトランジスタであるトランスファゲートT13,T23をそれぞれ設けている。これらのトランスファゲートT13,T23のゲートにはワードラインWLを接続している。
【0026】
上記フリップフロップの2つの入出力部にはP型MOSトランジスタT14,T24とN型MOSトランジスタT15,T25からなるC−MOSインバータINV1,INV2をそれぞれ接続している。これらのインバータの電源側に電源ラインVCCを接続していて、一方のインバータINV2からこの不揮発性記憶装置の記憶状態の出力信号を取り出している。
【0027】
この図2−1,図2−2に表れているN型MOSトランジスタはすべてP型ウエルWPに設け、このP型ウエルをN型ウエルで囲んで電気的に独立であるように構成し、MWELに接続している。
図2−2は図2−1に示したリーク電流遮断素子T3を設けない場合の構成例である。
【0028】
図3は図2−1に示した不揮発性記憶装置のブロック図である。図2−1に示した記憶トランジスタT12,T22は不揮発性記憶手段B1を構成し、負荷トランジスタT11,T21は検出手段B2を構成している。リーク電流遮断素子T3はリーク電流遮断手段B3を構成している。トランスファゲートT13,T23は選択手段B4,B5を構成している。そして、インバータINV1,INV2は読出手段B6,B7をそれぞれ構成している。この不揮発性記憶手段B1と検出手段B2とでフリップフロップを構成している。
【0029】
図15は、図2−1,図2−2に示した各信号ラインに印加する電圧の例を示している。この図2−1,図2−2に示す構成で、記憶トランジスタT12に書き込みを行う場合、この図15および図2−1,図2−2の図中に示すように電圧を各信号ラインに印加する。
【0030】
図2−2(A)に示すように、リーク電流遮断素子T6を設けない場合、書込時にSL→T12→T13→BLTの経路で電流が流れ、書き込みトランジスタT12のドレインから絶縁膜サイドスペーサにチャンネルホットエレクトロンが注入されて書き込みが行われる。(このチャンネルホットエレクトロンの注入については後述。)しかし、これとともにBLB→T23→T21→VCCの経路に不要なリークパスが生じ、BLBから供給される高電圧がVCCにリークして、記憶トランジスタT12のゲートに対して十分な電圧が供給できない。また、不要な電流供給が必要となってしまう。
【0031】
また、図2−2(B)に示すように、リーク電流遮断素子T6を設けない場合、消去時には、VCC(3V)→負荷トランジスタT11→トランスファゲートT13→BLT(−3V)の経路、およびVCC(3V)→負荷トランジスタT21→トランスファゲートT23→BLB(−3V)の経路にそれぞれ不要なリークパスが生じる。そのため、BLB,BLTの−3Vが記憶トランジスタT12,T22のゲートに供給できず確実な消去が行えない。
【0032】
これに対して図2−1に示したようにフリップフロップの負荷トランジスタT11,T21と電源VCCとの間にリーク電流遮断素子T6を設け、書込・消去時にはゲート信号PGATEに高電圧(6V)を印加してリーク電流遮断素子T6をOFF状態とする。このことにより上記不要なリークパスをすべて遮断することができる。
【0033】
図4〜図6は記憶トランジスタの半導体基板上における構成を示す主要部の断面図である。
図4において、抵抗率10ΩcmのP型シリコン基板101の表面領域に、深さ2μm、平均リン濃度1×1017cm-3の深いN型ウエル103を配置し、深いN型ウエル103の内部に深さ0.8μm、平均ボロン濃度2×1017cm-3のP型ウエル104を配置している。このP型ウエル104には、深さ250nmのトレンチ(素子分離)102によって分離した記憶素子であるNチャンネル型トランジスタを構成している。このNチャンネル型トランジスタは、膜厚5nmのゲート酸化膜105、膜厚200nmでリン濃度2×1020cm-3のポリシリコン膜からなる長さ0.3μmのゲート電極106、平均砒素濃度5×1018cm-3のドレインエクステンション107、それぞれ平均砒素濃度1×1020cm-3のドレイン109,ソース115、膜厚50nmの絶縁膜サイドスペーサ108から構成している。また、前記深いN型ウエル103へ接続するための平均砒素濃度1×1020cm-3のN型拡散層110と、前記P型ウエル104へ接続するための平均ボロン濃度1×1020cm-3のP型拡散層111をそれぞれ配置している。
【0034】
この記憶トランジスタであるNチャンネル型トランジスタには、そのソース側にエクステンションを形成していないため、初期しきい電圧は1.2Vである。この初期しきい値電圧はトランジスタの特殊な構造によるものでありバラツキが大きい。
【0035】
この図4は書込み時の電圧配置を示している。書込み動作は、N型ドレイン線VDへ0Vを印加し、N型ソース線VSへ接合耐圧以下の正電圧(6V)を印加してチャンネルホットエレクトロンHEを前記絶縁膜サイドスペーサ108へ注入して、トラップされた電子によりしきい電圧を上昇させる(すなわち書込み状態を得る)ことにより行う。この書込状態のしきい値電圧もトランジスタの特殊な構造に依存し、バラツキが大きい。
【0036】
図5は読出時の電圧配置の例を示している。読出動作は、N型ソース線VSを0Vとし、ゲート線VGに対して書き込み状態のしきい値を下回る電圧1.8Vを印加した時のN型ドレイン線(VD)の電圧を読み取ることによって行う。すなわちドレイン線VDが1.8Vのとき書き込み状態、0Vのとき非書き込み状態(消去状態)と見なす。
【0037】
図6は消去時の電圧配置を示している。消去動作は、N型ソース線VSへ接合耐圧以下の正電圧(6V)を印加し、ゲート線VGに負電圧(−3V)を印加して、N型ソースからアバランシェホットホールHHを絶縁膜サイドスペーサ108へ注入することによって、前記トラップされているホットエレクトロンを中和してしきい値電圧を低下させることによって行う。
【0038】
次に、第2の実施形態に係る不揮発性記憶装置の他の構成を、回路図として図7に示す。図2−1に示した例では2つの負荷トランジスタT11,T21のソース側を共通接続して1つのリーク電流遮断素子T6を介して電源ラインVCCに接続したが、この図7に示す例では、2つのリーク電流遮断素子T16,T26を設けている。またPチャンネル型トランジスタT16,T26,T11,T21,T14,T24をそれぞれに共通のN型ウエルに構成してそのN型ウエルに電圧6V(VP6)を印加するようにしている。
このようにリーク電流遮断素子を2つ設けてもよい。
【0039】
次に、第3の実施形態に係る不能揮発性記憶装置の構成を、図8〜図11を基に説明する。
図2−1または図7に示した例では、フリップフロップに接続される回路の構成を対称にしたが、図8〜図11に示すそれぞれの例ではこれを非対称にして、不揮発性メモリ(フリップフロップ)に書き込みも消去を行っていない状態でフリップフロップの差動動作点を予め偏位させておく。
【0040】
図8に示す例では、図中Vで示すように、図7におけるC−MOSインバータINV1に相当する回路を設けていない。このことによりフリップフロップの図中左右方向の入出力部の負荷の重さがアンバランスとなり、フリップフロップの差動動作点が予め偏位することになる。すなわち2つの記憶トランジスタT12,T22のいずれにも書き込み・消去を行っていない状態で電源を投入すると、フリップフロップの第1の入出力部P1より第2の入出力部P2に繋がっている容量が大きいため、P2に比べてP1の電位が速やかに上昇してT11,T22がON状態、T12,T21がOFF状態となって安定する。
【0041】
図9に示す例では、2つの負荷トランジスタT11,T21のチャンネル幅をアンバランスにしている。この例では負荷トランジスタT11のチャンネル幅を負荷トランジスタ21のチャンネル幅の2倍にして、負荷トランジスタT11のON時の抵抗値をT21に比べて1/2としている。そのため、記憶トランジスタT12,T22の両方が記憶・消去されていない状態で電源が投入されると、P2に比べてP1の電位上昇が速くなって、図8の場合と同様に、T11,T22がON状態、T12,T21がOFF状態となって安定する。なお、上記のチャンネル幅をアンバランスに代わりにチャンネル長をアンバランスにしてもよい。
【0042】
図10に示す例では、フリップフロップの2つの入出力部P1,P2にそれぞれキャパシタを接続した例である。この例では、P1と電源ラインVCCとの間にキャパシタC11を設け、P2とグランドとの間にキャパシタC22を設けている。これらのキャパシタの容量は例えば50fF程度である。
【0043】
これにより、2つの記憶トランジスタT12,T22のいずれにも書き込み・消去を行っていない状態で電源を投入すると、電源投入直後のP1点の電位上昇は速くなり、P2点の電位上昇は遅くなるので、T11,T22がON状態、T12,T21がOFF状態となって安定する。
【0044】
この図10に示した例では、P1,P2のいずれにもキャパシタを接続したが、一方にのみ接続してもフリップフロップに接続される回路の構成を非対称にできる。
【0045】
図11に示す例では、2つの負荷トランジスタT11,T21のソース側を共通接続することなく、リーク電流遮断素子T16,T26のチャンネル幅をアンバランスにした例である。この例では、T26に比べてT16のチャンネル幅を2倍にして、そのON時の抵抗値を1/2としている。したがって2つの記憶トランジスタT12,T22のいずれにも書き込み・消去を行っていない状態で電源を投入すると、電源投入直後のP1点に比べてP1点の電位上昇が速くなるので、T11,T22がON状態、T12,T21がOFF状態となって安定する。なお、上記のチャンネル幅をアンバランスに代わりにチャンネル長をアンバランスにしてもよい。
【0046】
次に、第4の実施形態に係る不揮発性記憶装置の構成を回路図として図12に示す。この第4の実施形態も、フリップフロップに接続される回路の構成を非対称とした例を示すものである。図12(A)の例では、フリップフロップの一方の入出力部P1にC−MOSインバータを接続することなく、P1とグランドとの間にキャパシタC12を設け、他方の入出力部P2にC−MOSインバータINV2を接続するとともに電源ラインVCCとの間にキャパシタC21を設けている。
【0047】
このように第3の実施形態で示した非対称構造を組み合わせてもよい。そのことによって非対称性の相乗効果によってフリップフロッフの差動動作点を予め大きく偏位させることができる。
【0048】
また、図12(B)に示す例は、図12(A)のトランスファゲートT13,T23を共にPチャンネル型トランジスタで構成したものである。
【0049】
トランスファゲートT13,T23が図12(A)のようにNチャンネル型トランジスタであれば、そのしきい値電圧分、電源投入後のP1,P2点の電位上昇が遅れるが、この図12(B)のように、トランスファゲートT13,T23をPチャンネル型トランジスタで構成すれば、T13,T23はビットラインBLT,BLBに印加される6Vをフリップフロップの入出力部P1,P2にそのまま通すので、電源投入後のP1,P2点の電位上昇を早めることができ、電源投入直後から適正な出力が得られるまでの時間を短縮化できる。
【0050】
次に、第5の実施形態に係るRFIDチップの構成を、図13を参照して説明する。
図13は、本発明に係る不揮発性記憶装置を搭載したRFIDチップの回路ブロックである。パッドP1,P2には、外部のリーダから発信されたRF信号を受信するために、チップ外部に配置されたアンテナLを接続する。前記パッドP1−P2間には容量120pFの電源キャパシタCT、電圧クランプ回路(Voltage Clamp)、電源モジュレータ(Modulator)、およびブリッジ整流器(Bridge Rectifier)をそれぞれ接続している。ブリッジ整流器の出力には電源安定化キャパシタCFを接続し、出力電圧を検出するための電圧レギュレータ(Regulator)の制御信号を前記電圧クランプ回路へフィードバックして電源電圧の安定化が図っている。また、前記ブリッジ整流器の出力には、内部電源電圧(Vcc)を発生するVcc検出回路(Vcc Detector)、Vcc以外の各種電圧を発生する昇圧回路(Vpp Generator)をそれぞれ接続している。また、前記ブリッジ整流器の出力には、前記ブリッジ整流器により受信したRF信号に含まれる動作モードを検出する回路(Mode Selector)、クロック検出回路(Clock Extractor)、および不揮発性記憶装置のモジュール(EEPROM)への書込みデータを取り出す回路(Data Modulator)を設けている。コントローラ(Controller)は動作モードのデータを受けて不揮発性記憶装置のモジュール(EEPROM)の動作を制御する。
【0051】
このRFIDチップに搭載された不揮発性記憶装置のモジュール(EEPROM)には、チップ認証のためのID番号、宅配便用の住所、バーコードを代替する商品情報(価格、生産日、生産地、生産者、成分情報等)、航空貨物タグの必要情報(便名、所有者名、搭乗地、目的地等)等を書き込む。
【0052】
次に、第6の実施形態に係るシステムLSI救済用不揮発性メモリの構成を、図14を参照して説明する。
図14は本発明に係る半導体集積回路装置の一例であるシステムLSIの概略チップ平面図である。同図に示されるシステムLSIは、特に制限されないが、半導体基板の周縁に多数のボンディングパッド等の外部接続電極120を配置し、その内側に外部入出力回路121、アナログ入出力回路122を設けている。外部入出力回路121およびアナログ入出力回路122は3.3Vのような相対的にレベルの高い外部電源を動作電源とする。レベルシフト回路123は前記外部電源を1.8Vのような内部電源電圧に降圧する。レベルシフト回路123の内側には、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)124、中央処理装置(CPU)125、キャッシュメモリ(CACH)126、ロジック回路(Logic)127、フェーズ・ロックド・ループ回路(PLL)128、アナログ・ディジタル変換回路(ADC)129、およびディジタル・アナログ変換回路(DAC)130、システムコントローラ(SYSC)131を有する。132、133、134で示されるものはそれぞれ電気的に消去および書き込みが可能な不揮発性メモリ(EEPROM)であり、本発明の不揮発性記憶装置を所定容量分備えたものである。
【0053】
前記不揮発性メモリ132はSRAM124の救済情報(欠陥メモリセルを冗長メモリセルに置き換える為の制御情報)の格納に利用する。
【0054】
また、不揮発性メモリ133は、アナログ回路の回路定数を調整する定数トリミング回路の前記回路定数を特定するための情報の格納のために、またはアナログ回路の発振周波数のトリミングデータの格納のために、さらにまたは電圧トリミング回路の前記参照電圧を特定するための情報の記憶に利用するものであり、ヒューズによる救済用プログラム回路に代えて搭載している。
【0055】
また、前記不揮発性メモリ134は、メモリ容量256ビットを搭載しており、チップのID情報、チップの動作モード情報、および所望のデータの格納に利用する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】従来技術による不揮発性記憶装置の構成を示す図である。
【図2−1】第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の回路図である。
【図2−2】第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の比較例としての不揮発性記憶装置の回路図である。
【図3】図2−1に示した不揮発性記憶装置のブロック図である。
【図4】同不揮発性記憶装置に用いる記憶トランジスタの半導体基板上の構成を示す部分断面図であり、書き込み時の電圧配置を示す図である。
【図5】同不揮発性記憶装置に用いる記憶トランジスタの半導体基板上の構成を示す部分断面図であり、読出し時の電圧配置を示す図である。
【図6】同不揮発性記憶装置に用いる記憶トランジスタの半導体基板上の構成を示す部分断面図であり、消去時の電圧配置を示す図である。
【図7】第2の実施形態に係る不揮発性記憶装置の構成を示す回路図である。
【図8】第3の実施形態に係る不揮発性記憶装置の構成を示す回路図である。
【図9】第3の実施形態に係る不揮発性記憶装置の他の構成を示す回路図である。
【図10】第3の実施形態に係る不揮発性記憶装置の他の構成を示す回路図である。
【図11】第3の実施形態に係る不揮発性記憶装置の他の構成を示す回路図である。
【図12】第4の実施形態に係る不揮発性記憶装置の構成を示す回路図である。
【図13】第5の実施形態に係るRFIDチップの構成を示す図である。
【図14】第6の実施形態に係るシステムLSIチップの概略平面図である。
【図15】図2−1,図2−2に示した各信号ラインに印加する電圧の例を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
101−P型シリコン基板(第2導電型の半導体基板)
102−トレンチ
103−深いN型ウエル(第1導電型の深いウエル)
104−P型ウエル(第2導電型のウエル)
105−ゲート酸化膜
106−ゲート電極
107−ドレインエクステンション
108−絶縁膜サイドスペーサ
109−ドレイン
110−N型拡散層
111−P型拡散層
115−ソース
T11,T21−負荷トランジスタ
T12,T22−記憶トランジスタ
T13,T23−トランスファゲート
INV1,INV2−インバータ(バッファ回路)
T6,T16,T26−リーク電流遮断素子
WP−P型ウエル
WN−N型ウエル
HE−チャンネルホットエレクトロン
HH−アバランシェホットホール
VDN−深いN型ウエル線
VS−ソース線
VD−ドレイン線
VG−ゲート線
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に消去および書き込み可能な不揮発性記憶装置およびそれを備えた半導体集積回路装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば内蔵SRAMの容量の増大に伴うリダンダンシ(冗長化)の必要性や、LCDドライバ等のボード実装後に個別のチューニングを実施する必要性や、個人識別情報(IDコード、暗号解読用キー、ICカードの番号等)の多様な用途拡大に伴って低コストなヒューズの必要性が高まってきている。
【0003】
従来、標準C−MOSプロセスで形成可能なヒューズ素子として、ポリシリコンや配線メタル層をレーザや電流で溶断するもの、絶縁ゲート膜等を電圧で破壊するもの、等があった。しかし、このような溶断や絶縁破壊等によるものでは一度しかプログラムできないため上述の用途には適さない。
【0004】
一方、C−MOSプロセスで形成できるフローティングゲート型の不揮発性素子を利用するものであれば、電気的に消去・書込みが可能なヒューズが実現できるが、トランジスタに不揮発性を持たせるために従来のフラッシュメモリのような特別なプロセスを導入するのはコスト的観点から見合わない。また、標準C−MOSプロセスでのフローティングゲート型素子については、高集積化に伴い絶縁膜が薄くなるとデータ保持特性が悪くなるという問題があった。
【0005】
そこで、例えば特許文献1・特許文献2には、標準C−MOSプロセスで製造可能な不揮発性記憶装置や特別なフローティングゲートを持たない不揮発性記憶装置が示されている。
【特許文献1】米国特許第6,518,614号公報
【特許文献2】特開2004−56095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなC−MOSプロセスで製造する不揮発性半導体記憶装置のデータ保持特性の不安定性を解消するために、S−RAMのように、負荷トランジスタと記憶トランジスタ(不揮発性素子)の直列回路を一対設け、それらをスタティックラッチ形態に接続してフリップフロップを構成することが有効である。
【0007】
一方、ウエルに対するドレイン側の接合部を、不純物濃度の低い低濃度領域を有するLDD構造とし、ウエルに対するソース側の接合部を、上記低濃度領域が形成されていない構造とすることによって、C−MOSプロセスで作成するトランジスタであるにも拘わらず不揮発性をもたせることができる。
【0008】
ところが、第1導電型の負荷トランジスタと第2導電型の記憶トランジスタの直列回路をクロスカップリッグして、且つ上記記憶トランジスタに上記オフセットを持たせたLDD構造を採用すると、後述するように記憶トランジスタの書込・消去時に不要なリーク電流が流れるという問題が生じる。
【0009】
ここで上記リーク電流の問題について図1を参照して説明する。
この不揮発性メモリは、負荷トランジスタT11,T21と記憶トランジスタT12,T22との直列回路を一対有し、それらをスタティックラッチ形態に接続したものである。記憶トランジスタT12,T22は半導体基板上のP型ウエルWPに構成されたN型MOSトランジスタである。負荷トランジスタT11,T21は半導体基板上のN型ウエルWNに構成されたP型MOSトランジスタである。このフリップフロップの入出力部と2つのビットラインBLT,BLBとの間にトランスファゲートT13,T23をそれぞれ接続している。
【0010】
いま、記憶トランジスタT12に書き込みを行う場合、たとえばビットラインBLTを0V、BLBを6Vに定め、トランスファゲートT13,T23をそれぞれ導通させると、電源電圧VCCがビットラインBLBから供給される高電圧より低いため、書き込み電流CP1が記憶トランジスタT12→トランスファゲートT13→ビットラインBLTに流れるだけでなく、ビットラインBLB→トランスファゲートT23→負荷トランジスタT21→VCCの経路でリーク電流CP2が流れてしまう。
【0011】
その結果、所望の書き込みトランジスタT12に対して十分な電圧を供給することができず、また高電圧のリークパスが、書き込みを行うトランジスタT12以外にも存在することになり、不要な電流供給が必要となってしまう。
【0012】
そこで、この発明の目的は、前述の標準C−MOSプロセスで形成する不揮発性メモリの問題と記憶トランジスタに対する書き込み時の問題を解消した不揮発性記憶装置およびそれを備えた半導体集積回路装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明の代表的な構成は次のとおりである。
(1)標準C−MOSプロセスで記憶トランジスタを構成し、記憶トランジスタの消去時にゲート電極に印加する負電位の絶対値を小さくするために(低電圧動作のために)、第2導電型の半導体基板に第1導電型の深いウエルを備えるとともに、その深いウエル内に第2導電型のウエルを備え、不揮発性メモリは、負荷トランジスタと記憶トランジスタとの直列回路を一対有して、それらをスタティックラッチ形態に接続してなるフリップフロップを備えたものとし、記憶トランジスタは、第2導電型のウエル内に第1導電型のソース・ドレインを有し、ソース・ドレイン間のチャンネルの上部にゲート絶縁膜を介してゲート電極を有し、ゲート電極の側部に絶縁膜サイドスペーサを有し、ドレイン側の第2導電型ウエルに対する接合部が不純物濃度の低い低濃度領域を有するLDD構造であり、ソース側の第2導電型ウエルに対する接合部がLDD構造部分の低濃度領域が形成されていない構造(非LDD構造)とする。
【0014】
そして、不揮発性メモリを駆動する駆動回路は、記憶トランジスタのドレインに対してゲート電極およびソースに正電圧を印加し、絶縁膜サイドスペーサにチャンネルホットエレクトロンを注入して情報の書き込みを行い、ソースに対してゲート電極に負電圧を印加し、第1導電型のウエルに正電圧を印加して絶縁膜サイドスペーサにアバランシェホットホールを注入して情報の消去を行う回路とする。
【0015】
そして、書き込み時に負荷トランジスタを介してフリップフロップの電源側へリーク電流が流れるのを遮断するリーク電流遮断素子を備える。
【0016】
(2)前記フリップフロップの入出力と書き込み信号ライン(ビットライン)との間に書き込み選択用のトランスファゲートを設けるとともに、フリップフロップの入出力部にC−MOSインバータを含むバッファ回路を設ける。
【0017】
(3)前記フリップフロップを構成する、スタティックラッチ形態に接続した前記2つの直列回路の回路構成を非対称にして不揮発性メモリに書き込み・消去が行われていない状態でのフリップフロップの差動動作点を予め偏位させておく。
【発明の効果】
【0018】
本願において開示される発明のうち代表的な効果は次のとおりである。
〔1〕通常のC−MOSプロセスで形成されるトランジスタの片側だけをオフセット構造にすることにより得られる不揮発性素子の特性は安定性・再現性が悪く、動作不良になる可能性が高いが、本発明によれば、4トランジスタによるフリップフロップ動作・構造によって動作安定性が飛躍的に向上する。
【0019】
〔2〕不揮発性素子が形成されている第2導電型ウエルを第1導電型の深いウエル(ボトムウエル)で囲んだことによって、記憶トランジスタが半導体基板に対して電気的に分離され、不揮発性素子の書込み・消去動作において第2導電型ウエルに電位を印加することが可能となり、動作特性が向上する。
【0020】
〔3〕不揮発性メモリに対する書き込み時に負荷トランジスタを介してフリップフロップの電源側へ不要なリーク電流が流れることがなく、書き込むべき記憶トランジスタのゲートに対して十分な電圧を供給でき、また不要な電流供給が不必要となって、安定した不揮発性記憶制御が可能となる。
【0021】
〔4〕前記フリップフロップの入出力部にC−MOSインバータを含むバッファ回路を設けたことにより、不揮発性メモリに記憶されている状態が常時(セレクト信号等によって選択することなく)出力されるため、いわゆるヒューズとして用いることができる。
【0022】
〔5〕フリップフロップを構成するスタティックラッチ形態に接続した2つの直列回路の回路構成を非対称にして不揮発性メモリに書き込み消去が行われていない状態でのフリップフロップの差動動作点を予め偏位させておくことにより、書き込み・消去を行う初期状態で所定の状態をとることができ、この不揮発性記憶装置を用いる制御プログラム処理が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置およびそれを備えた半導体集積回路装置について図2〜図6を参照して説明する。
図2−1,図2−2は不揮発性記憶装置の不揮発性メモリ部分の回路図である。(A)はこの発明に係る不揮発性メモリ部分の回路図、(B)はその比較例としての不揮発性メモリ部分の回路図である。
【0024】
(A)に示すように、負荷トランジスタT11,T21と記憶トランジスタT12,T22との直列回路を一対有し、それらをスタティックラッチ形態に接続してフリップフロップを構成している。記憶トランジスタT12,T22はそれぞれ他のN型MOSトランジスタとは別の、P型ウエル内に構成したN型MOSトランジスタである。フリップフロップの電源側と電源ラインVCCとの間には、P型MOSトランジスタであるリーク電流遮断素子T6を設けている。このリーク電流遮断素子T6のゲートにはゲート制御信号PGATEのラインを接続している。またフリップフロップの記憶トランジスタ側にはセレクトラインSLを接続している。
【0025】
上記フリップフロップの2つの入出力部と2つのビットラインBLT(BitLine-True),BLB(BitLine-Bar)との間にN型(またはP型)MOSトランジスタであるトランスファゲートT13,T23をそれぞれ設けている。これらのトランスファゲートT13,T23のゲートにはワードラインWLを接続している。
【0026】
上記フリップフロップの2つの入出力部にはP型MOSトランジスタT14,T24とN型MOSトランジスタT15,T25からなるC−MOSインバータINV1,INV2をそれぞれ接続している。これらのインバータの電源側に電源ラインVCCを接続していて、一方のインバータINV2からこの不揮発性記憶装置の記憶状態の出力信号を取り出している。
【0027】
この図2−1,図2−2に表れているN型MOSトランジスタはすべてP型ウエルWPに設け、このP型ウエルをN型ウエルで囲んで電気的に独立であるように構成し、MWELに接続している。
図2−2は図2−1に示したリーク電流遮断素子T3を設けない場合の構成例である。
【0028】
図3は図2−1に示した不揮発性記憶装置のブロック図である。図2−1に示した記憶トランジスタT12,T22は不揮発性記憶手段B1を構成し、負荷トランジスタT11,T21は検出手段B2を構成している。リーク電流遮断素子T3はリーク電流遮断手段B3を構成している。トランスファゲートT13,T23は選択手段B4,B5を構成している。そして、インバータINV1,INV2は読出手段B6,B7をそれぞれ構成している。この不揮発性記憶手段B1と検出手段B2とでフリップフロップを構成している。
【0029】
図15は、図2−1,図2−2に示した各信号ラインに印加する電圧の例を示している。この図2−1,図2−2に示す構成で、記憶トランジスタT12に書き込みを行う場合、この図15および図2−1,図2−2の図中に示すように電圧を各信号ラインに印加する。
【0030】
図2−2(A)に示すように、リーク電流遮断素子T6を設けない場合、書込時にSL→T12→T13→BLTの経路で電流が流れ、書き込みトランジスタT12のドレインから絶縁膜サイドスペーサにチャンネルホットエレクトロンが注入されて書き込みが行われる。(このチャンネルホットエレクトロンの注入については後述。)しかし、これとともにBLB→T23→T21→VCCの経路に不要なリークパスが生じ、BLBから供給される高電圧がVCCにリークして、記憶トランジスタT12のゲートに対して十分な電圧が供給できない。また、不要な電流供給が必要となってしまう。
【0031】
また、図2−2(B)に示すように、リーク電流遮断素子T6を設けない場合、消去時には、VCC(3V)→負荷トランジスタT11→トランスファゲートT13→BLT(−3V)の経路、およびVCC(3V)→負荷トランジスタT21→トランスファゲートT23→BLB(−3V)の経路にそれぞれ不要なリークパスが生じる。そのため、BLB,BLTの−3Vが記憶トランジスタT12,T22のゲートに供給できず確実な消去が行えない。
【0032】
これに対して図2−1に示したようにフリップフロップの負荷トランジスタT11,T21と電源VCCとの間にリーク電流遮断素子T6を設け、書込・消去時にはゲート信号PGATEに高電圧(6V)を印加してリーク電流遮断素子T6をOFF状態とする。このことにより上記不要なリークパスをすべて遮断することができる。
【0033】
図4〜図6は記憶トランジスタの半導体基板上における構成を示す主要部の断面図である。
図4において、抵抗率10ΩcmのP型シリコン基板101の表面領域に、深さ2μm、平均リン濃度1×1017cm-3の深いN型ウエル103を配置し、深いN型ウエル103の内部に深さ0.8μm、平均ボロン濃度2×1017cm-3のP型ウエル104を配置している。このP型ウエル104には、深さ250nmのトレンチ(素子分離)102によって分離した記憶素子であるNチャンネル型トランジスタを構成している。このNチャンネル型トランジスタは、膜厚5nmのゲート酸化膜105、膜厚200nmでリン濃度2×1020cm-3のポリシリコン膜からなる長さ0.3μmのゲート電極106、平均砒素濃度5×1018cm-3のドレインエクステンション107、それぞれ平均砒素濃度1×1020cm-3のドレイン109,ソース115、膜厚50nmの絶縁膜サイドスペーサ108から構成している。また、前記深いN型ウエル103へ接続するための平均砒素濃度1×1020cm-3のN型拡散層110と、前記P型ウエル104へ接続するための平均ボロン濃度1×1020cm-3のP型拡散層111をそれぞれ配置している。
【0034】
この記憶トランジスタであるNチャンネル型トランジスタには、そのソース側にエクステンションを形成していないため、初期しきい電圧は1.2Vである。この初期しきい値電圧はトランジスタの特殊な構造によるものでありバラツキが大きい。
【0035】
この図4は書込み時の電圧配置を示している。書込み動作は、N型ドレイン線VDへ0Vを印加し、N型ソース線VSへ接合耐圧以下の正電圧(6V)を印加してチャンネルホットエレクトロンHEを前記絶縁膜サイドスペーサ108へ注入して、トラップされた電子によりしきい電圧を上昇させる(すなわち書込み状態を得る)ことにより行う。この書込状態のしきい値電圧もトランジスタの特殊な構造に依存し、バラツキが大きい。
【0036】
図5は読出時の電圧配置の例を示している。読出動作は、N型ソース線VSを0Vとし、ゲート線VGに対して書き込み状態のしきい値を下回る電圧1.8Vを印加した時のN型ドレイン線(VD)の電圧を読み取ることによって行う。すなわちドレイン線VDが1.8Vのとき書き込み状態、0Vのとき非書き込み状態(消去状態)と見なす。
【0037】
図6は消去時の電圧配置を示している。消去動作は、N型ソース線VSへ接合耐圧以下の正電圧(6V)を印加し、ゲート線VGに負電圧(−3V)を印加して、N型ソースからアバランシェホットホールHHを絶縁膜サイドスペーサ108へ注入することによって、前記トラップされているホットエレクトロンを中和してしきい値電圧を低下させることによって行う。
【0038】
次に、第2の実施形態に係る不揮発性記憶装置の他の構成を、回路図として図7に示す。図2−1に示した例では2つの負荷トランジスタT11,T21のソース側を共通接続して1つのリーク電流遮断素子T6を介して電源ラインVCCに接続したが、この図7に示す例では、2つのリーク電流遮断素子T16,T26を設けている。またPチャンネル型トランジスタT16,T26,T11,T21,T14,T24をそれぞれに共通のN型ウエルに構成してそのN型ウエルに電圧6V(VP6)を印加するようにしている。
このようにリーク電流遮断素子を2つ設けてもよい。
【0039】
次に、第3の実施形態に係る不能揮発性記憶装置の構成を、図8〜図11を基に説明する。
図2−1または図7に示した例では、フリップフロップに接続される回路の構成を対称にしたが、図8〜図11に示すそれぞれの例ではこれを非対称にして、不揮発性メモリ(フリップフロップ)に書き込みも消去を行っていない状態でフリップフロップの差動動作点を予め偏位させておく。
【0040】
図8に示す例では、図中Vで示すように、図7におけるC−MOSインバータINV1に相当する回路を設けていない。このことによりフリップフロップの図中左右方向の入出力部の負荷の重さがアンバランスとなり、フリップフロップの差動動作点が予め偏位することになる。すなわち2つの記憶トランジスタT12,T22のいずれにも書き込み・消去を行っていない状態で電源を投入すると、フリップフロップの第1の入出力部P1より第2の入出力部P2に繋がっている容量が大きいため、P2に比べてP1の電位が速やかに上昇してT11,T22がON状態、T12,T21がOFF状態となって安定する。
【0041】
図9に示す例では、2つの負荷トランジスタT11,T21のチャンネル幅をアンバランスにしている。この例では負荷トランジスタT11のチャンネル幅を負荷トランジスタ21のチャンネル幅の2倍にして、負荷トランジスタT11のON時の抵抗値をT21に比べて1/2としている。そのため、記憶トランジスタT12,T22の両方が記憶・消去されていない状態で電源が投入されると、P2に比べてP1の電位上昇が速くなって、図8の場合と同様に、T11,T22がON状態、T12,T21がOFF状態となって安定する。なお、上記のチャンネル幅をアンバランスに代わりにチャンネル長をアンバランスにしてもよい。
【0042】
図10に示す例では、フリップフロップの2つの入出力部P1,P2にそれぞれキャパシタを接続した例である。この例では、P1と電源ラインVCCとの間にキャパシタC11を設け、P2とグランドとの間にキャパシタC22を設けている。これらのキャパシタの容量は例えば50fF程度である。
【0043】
これにより、2つの記憶トランジスタT12,T22のいずれにも書き込み・消去を行っていない状態で電源を投入すると、電源投入直後のP1点の電位上昇は速くなり、P2点の電位上昇は遅くなるので、T11,T22がON状態、T12,T21がOFF状態となって安定する。
【0044】
この図10に示した例では、P1,P2のいずれにもキャパシタを接続したが、一方にのみ接続してもフリップフロップに接続される回路の構成を非対称にできる。
【0045】
図11に示す例では、2つの負荷トランジスタT11,T21のソース側を共通接続することなく、リーク電流遮断素子T16,T26のチャンネル幅をアンバランスにした例である。この例では、T26に比べてT16のチャンネル幅を2倍にして、そのON時の抵抗値を1/2としている。したがって2つの記憶トランジスタT12,T22のいずれにも書き込み・消去を行っていない状態で電源を投入すると、電源投入直後のP1点に比べてP1点の電位上昇が速くなるので、T11,T22がON状態、T12,T21がOFF状態となって安定する。なお、上記のチャンネル幅をアンバランスに代わりにチャンネル長をアンバランスにしてもよい。
【0046】
次に、第4の実施形態に係る不揮発性記憶装置の構成を回路図として図12に示す。この第4の実施形態も、フリップフロップに接続される回路の構成を非対称とした例を示すものである。図12(A)の例では、フリップフロップの一方の入出力部P1にC−MOSインバータを接続することなく、P1とグランドとの間にキャパシタC12を設け、他方の入出力部P2にC−MOSインバータINV2を接続するとともに電源ラインVCCとの間にキャパシタC21を設けている。
【0047】
このように第3の実施形態で示した非対称構造を組み合わせてもよい。そのことによって非対称性の相乗効果によってフリップフロッフの差動動作点を予め大きく偏位させることができる。
【0048】
また、図12(B)に示す例は、図12(A)のトランスファゲートT13,T23を共にPチャンネル型トランジスタで構成したものである。
【0049】
トランスファゲートT13,T23が図12(A)のようにNチャンネル型トランジスタであれば、そのしきい値電圧分、電源投入後のP1,P2点の電位上昇が遅れるが、この図12(B)のように、トランスファゲートT13,T23をPチャンネル型トランジスタで構成すれば、T13,T23はビットラインBLT,BLBに印加される6Vをフリップフロップの入出力部P1,P2にそのまま通すので、電源投入後のP1,P2点の電位上昇を早めることができ、電源投入直後から適正な出力が得られるまでの時間を短縮化できる。
【0050】
次に、第5の実施形態に係るRFIDチップの構成を、図13を参照して説明する。
図13は、本発明に係る不揮発性記憶装置を搭載したRFIDチップの回路ブロックである。パッドP1,P2には、外部のリーダから発信されたRF信号を受信するために、チップ外部に配置されたアンテナLを接続する。前記パッドP1−P2間には容量120pFの電源キャパシタCT、電圧クランプ回路(Voltage Clamp)、電源モジュレータ(Modulator)、およびブリッジ整流器(Bridge Rectifier)をそれぞれ接続している。ブリッジ整流器の出力には電源安定化キャパシタCFを接続し、出力電圧を検出するための電圧レギュレータ(Regulator)の制御信号を前記電圧クランプ回路へフィードバックして電源電圧の安定化が図っている。また、前記ブリッジ整流器の出力には、内部電源電圧(Vcc)を発生するVcc検出回路(Vcc Detector)、Vcc以外の各種電圧を発生する昇圧回路(Vpp Generator)をそれぞれ接続している。また、前記ブリッジ整流器の出力には、前記ブリッジ整流器により受信したRF信号に含まれる動作モードを検出する回路(Mode Selector)、クロック検出回路(Clock Extractor)、および不揮発性記憶装置のモジュール(EEPROM)への書込みデータを取り出す回路(Data Modulator)を設けている。コントローラ(Controller)は動作モードのデータを受けて不揮発性記憶装置のモジュール(EEPROM)の動作を制御する。
【0051】
このRFIDチップに搭載された不揮発性記憶装置のモジュール(EEPROM)には、チップ認証のためのID番号、宅配便用の住所、バーコードを代替する商品情報(価格、生産日、生産地、生産者、成分情報等)、航空貨物タグの必要情報(便名、所有者名、搭乗地、目的地等)等を書き込む。
【0052】
次に、第6の実施形態に係るシステムLSI救済用不揮発性メモリの構成を、図14を参照して説明する。
図14は本発明に係る半導体集積回路装置の一例であるシステムLSIの概略チップ平面図である。同図に示されるシステムLSIは、特に制限されないが、半導体基板の周縁に多数のボンディングパッド等の外部接続電極120を配置し、その内側に外部入出力回路121、アナログ入出力回路122を設けている。外部入出力回路121およびアナログ入出力回路122は3.3Vのような相対的にレベルの高い外部電源を動作電源とする。レベルシフト回路123は前記外部電源を1.8Vのような内部電源電圧に降圧する。レベルシフト回路123の内側には、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)124、中央処理装置(CPU)125、キャッシュメモリ(CACH)126、ロジック回路(Logic)127、フェーズ・ロックド・ループ回路(PLL)128、アナログ・ディジタル変換回路(ADC)129、およびディジタル・アナログ変換回路(DAC)130、システムコントローラ(SYSC)131を有する。132、133、134で示されるものはそれぞれ電気的に消去および書き込みが可能な不揮発性メモリ(EEPROM)であり、本発明の不揮発性記憶装置を所定容量分備えたものである。
【0053】
前記不揮発性メモリ132はSRAM124の救済情報(欠陥メモリセルを冗長メモリセルに置き換える為の制御情報)の格納に利用する。
【0054】
また、不揮発性メモリ133は、アナログ回路の回路定数を調整する定数トリミング回路の前記回路定数を特定するための情報の格納のために、またはアナログ回路の発振周波数のトリミングデータの格納のために、さらにまたは電圧トリミング回路の前記参照電圧を特定するための情報の記憶に利用するものであり、ヒューズによる救済用プログラム回路に代えて搭載している。
【0055】
また、前記不揮発性メモリ134は、メモリ容量256ビットを搭載しており、チップのID情報、チップの動作モード情報、および所望のデータの格納に利用する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】従来技術による不揮発性記憶装置の構成を示す図である。
【図2−1】第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の回路図である。
【図2−2】第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の比較例としての不揮発性記憶装置の回路図である。
【図3】図2−1に示した不揮発性記憶装置のブロック図である。
【図4】同不揮発性記憶装置に用いる記憶トランジスタの半導体基板上の構成を示す部分断面図であり、書き込み時の電圧配置を示す図である。
【図5】同不揮発性記憶装置に用いる記憶トランジスタの半導体基板上の構成を示す部分断面図であり、読出し時の電圧配置を示す図である。
【図6】同不揮発性記憶装置に用いる記憶トランジスタの半導体基板上の構成を示す部分断面図であり、消去時の電圧配置を示す図である。
【図7】第2の実施形態に係る不揮発性記憶装置の構成を示す回路図である。
【図8】第3の実施形態に係る不揮発性記憶装置の構成を示す回路図である。
【図9】第3の実施形態に係る不揮発性記憶装置の他の構成を示す回路図である。
【図10】第3の実施形態に係る不揮発性記憶装置の他の構成を示す回路図である。
【図11】第3の実施形態に係る不揮発性記憶装置の他の構成を示す回路図である。
【図12】第4の実施形態に係る不揮発性記憶装置の構成を示す回路図である。
【図13】第5の実施形態に係るRFIDチップの構成を示す図である。
【図14】第6の実施形態に係るシステムLSIチップの概略平面図である。
【図15】図2−1,図2−2に示した各信号ラインに印加する電圧の例を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
101−P型シリコン基板(第2導電型の半導体基板)
102−トレンチ
103−深いN型ウエル(第1導電型の深いウエル)
104−P型ウエル(第2導電型のウエル)
105−ゲート酸化膜
106−ゲート電極
107−ドレインエクステンション
108−絶縁膜サイドスペーサ
109−ドレイン
110−N型拡散層
111−P型拡散層
115−ソース
T11,T21−負荷トランジスタ
T12,T22−記憶トランジスタ
T13,T23−トランスファゲート
INV1,INV2−インバータ(バッファ回路)
T6,T16,T26−リーク電流遮断素子
WP−P型ウエル
WN−N型ウエル
HE−チャンネルホットエレクトロン
HH−アバランシェホットホール
VDN−深いN型ウエル線
VS−ソース線
VD−ドレイン線
VG−ゲート線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷トランジスタと記憶トランジスタとの直列回路を一対有し、それらをスタティックラッチ形態に接続して成るフリップフロップを備えた不揮発性メモリと、該不揮発性メモリを駆動する駆動回路とを半導体基板上に設けた不揮発性記憶装置であって、
前記半導体基板は第2導電型であり、該半導体基板に第1導電型の深いウエルを備えるとともに、該第1導電型の深いウエル内に第2導電型のウエルを備え、
前記記憶トランジスタは、前記第2導電型のウエル内に第1導電型のソース・ドレインを有し、前記ソース・ドレイン間のチャンネルの上部にゲート絶縁膜を介してゲート電極を有し、該ゲート電極の側部に絶縁膜サイドスペーサを有し、且つ、前記ドレイン側の前記第2導電型のウエルに対する接合部が不純物濃度の低い低濃度領域を有するLDD構造であり、前記ソース側の前記第2導電型のウエルに対する接合部が前記LDD構造部分の低濃度領域が形成されてない構造であり、
前記駆動回路は、前記記憶トランジスタのドレインに対して前記ゲート電極および前記ソースに正電圧を印加して、前記絶縁膜サイドスペーサにチャンネルホットエレクトロンを注入して情報の書込みを行い、前記ソースに対して前記ゲート電極に負電圧を印加し、前記第1導電型のウエルに正電圧を印加して、前記絶縁膜サイドスペーサにアバランシェホットホールを注入して情報の消去を行う回路を備え、
前記不揮発性メモリは、書込・消去時に前記負荷トランジスタを介して前記フリップフロップの電源側へリーク電流が流れる電流経路に接続したリーク電流遮断素子を備えたことを特徴とする不揮発性記憶装置。
【請求項2】
前記フリップフロップの入出力部と書込信号ラインとの間に書込選択用のトランスファゲートトランジスタを設けるとともに、前記フリップフロップの入出力部にC−MOSインバータを含むバッファ回路を設けた請求項1に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項3】
前記フリップフロップに接続される回路の構成を非対称にして、前記不揮発性メモリに書き込みも消去も行われていない状態での前記フリップフロップの差動動作点を予め偏位させた請求項1または2に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項4】
前記バッファ回路を前記フリップフロップの2つの入出力部のうち一方にのみ設けることによって前記フリップフロップの差動動作点を偏位させた請求項3に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項5】
前記一対の直列回路のそれぞれに含まれる負荷トランジスタのチャンネルの長さまたは幅をアンバランスにすることによって前記フリップフロップの差動動作点を偏位させた請求項3に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項6】
前記フリップフロップの2つの入出力に対する付加容量をアンバランスにすることによって前記フリップフロップの差動動作点を偏位させた請求項3に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項7】
前記リーク電流遮断素子を前記一対の直列回路に含まれる負荷トランジスタにそれぞれ接続するとともに、該リーク電流遮断素子のチャンネルの長さまたは幅をアンバランスにすることによって前記フリップフロップの差動動作点を偏位させた請求項3に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項8】
請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の不揮発性記憶装置と、被救済回路と、該被救済回路を代替する救済回路とを含み、前記不揮発性記憶装置を、前記救済回路で代替すべき被救済回路を特定する救済情報の記憶回路とした半導体集積回路装置。
【請求項9】
前記被救済回路はRAMに内蔵されたメモリセルアレイである請求項8に記載の半導体集積回路装置。
【請求項10】
請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の不揮発性記憶装置と、アナログ回路と、その回路定数を調整する定数トリミング回路とを含み、前記不揮発性記憶回路を、前記定数トリミング回路の前記回路定数を特定するための情報の記憶回路とした半導体集積回路装置。
【請求項11】
請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の不揮発性記憶装置と、発振回路と、その発振周波数を調整する周波数トリミング回路とを含み、前記不揮発性記憶回路を、前記周波数トリミング回路の前記発振周波数を特定するための情報の記憶回路とした半導体集積回路装置。
【請求項12】
請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の不揮発性記憶装置と、参照電圧発生回路と、その発生した参照電圧を調整する電圧トリミング回路とを含み、前記不揮発性記憶回路を、前記電圧トリミング回路の前記参照電圧を特定するための情報の記憶回路とした半導体集積回路装置。
【請求項13】
請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の不揮発性記憶装置と、チップを特定するためのセキュリティ回路を含み、前記不揮発性記憶回路を、前記セキュリティ回路のチップを特定するための情報の記憶回路とした半導体集積回路装置。
【請求項1】
負荷トランジスタと記憶トランジスタとの直列回路を一対有し、それらをスタティックラッチ形態に接続して成るフリップフロップを備えた不揮発性メモリと、該不揮発性メモリを駆動する駆動回路とを半導体基板上に設けた不揮発性記憶装置であって、
前記半導体基板は第2導電型であり、該半導体基板に第1導電型の深いウエルを備えるとともに、該第1導電型の深いウエル内に第2導電型のウエルを備え、
前記記憶トランジスタは、前記第2導電型のウエル内に第1導電型のソース・ドレインを有し、前記ソース・ドレイン間のチャンネルの上部にゲート絶縁膜を介してゲート電極を有し、該ゲート電極の側部に絶縁膜サイドスペーサを有し、且つ、前記ドレイン側の前記第2導電型のウエルに対する接合部が不純物濃度の低い低濃度領域を有するLDD構造であり、前記ソース側の前記第2導電型のウエルに対する接合部が前記LDD構造部分の低濃度領域が形成されてない構造であり、
前記駆動回路は、前記記憶トランジスタのドレインに対して前記ゲート電極および前記ソースに正電圧を印加して、前記絶縁膜サイドスペーサにチャンネルホットエレクトロンを注入して情報の書込みを行い、前記ソースに対して前記ゲート電極に負電圧を印加し、前記第1導電型のウエルに正電圧を印加して、前記絶縁膜サイドスペーサにアバランシェホットホールを注入して情報の消去を行う回路を備え、
前記不揮発性メモリは、書込・消去時に前記負荷トランジスタを介して前記フリップフロップの電源側へリーク電流が流れる電流経路に接続したリーク電流遮断素子を備えたことを特徴とする不揮発性記憶装置。
【請求項2】
前記フリップフロップの入出力部と書込信号ラインとの間に書込選択用のトランスファゲートトランジスタを設けるとともに、前記フリップフロップの入出力部にC−MOSインバータを含むバッファ回路を設けた請求項1に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項3】
前記フリップフロップに接続される回路の構成を非対称にして、前記不揮発性メモリに書き込みも消去も行われていない状態での前記フリップフロップの差動動作点を予め偏位させた請求項1または2に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項4】
前記バッファ回路を前記フリップフロップの2つの入出力部のうち一方にのみ設けることによって前記フリップフロップの差動動作点を偏位させた請求項3に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項5】
前記一対の直列回路のそれぞれに含まれる負荷トランジスタのチャンネルの長さまたは幅をアンバランスにすることによって前記フリップフロップの差動動作点を偏位させた請求項3に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項6】
前記フリップフロップの2つの入出力に対する付加容量をアンバランスにすることによって前記フリップフロップの差動動作点を偏位させた請求項3に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項7】
前記リーク電流遮断素子を前記一対の直列回路に含まれる負荷トランジスタにそれぞれ接続するとともに、該リーク電流遮断素子のチャンネルの長さまたは幅をアンバランスにすることによって前記フリップフロップの差動動作点を偏位させた請求項3に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項8】
請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の不揮発性記憶装置と、被救済回路と、該被救済回路を代替する救済回路とを含み、前記不揮発性記憶装置を、前記救済回路で代替すべき被救済回路を特定する救済情報の記憶回路とした半導体集積回路装置。
【請求項9】
前記被救済回路はRAMに内蔵されたメモリセルアレイである請求項8に記載の半導体集積回路装置。
【請求項10】
請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の不揮発性記憶装置と、アナログ回路と、その回路定数を調整する定数トリミング回路とを含み、前記不揮発性記憶回路を、前記定数トリミング回路の前記回路定数を特定するための情報の記憶回路とした半導体集積回路装置。
【請求項11】
請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の不揮発性記憶装置と、発振回路と、その発振周波数を調整する周波数トリミング回路とを含み、前記不揮発性記憶回路を、前記周波数トリミング回路の前記発振周波数を特定するための情報の記憶回路とした半導体集積回路装置。
【請求項12】
請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の不揮発性記憶装置と、参照電圧発生回路と、その発生した参照電圧を調整する電圧トリミング回路とを含み、前記不揮発性記憶回路を、前記電圧トリミング回路の前記参照電圧を特定するための情報の記憶回路とした半導体集積回路装置。
【請求項13】
請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の不揮発性記憶装置と、チップを特定するためのセキュリティ回路を含み、前記不揮発性記憶回路を、前記セキュリティ回路のチップを特定するための情報の記憶回路とした半導体集積回路装置。
【図1】
【図2−1】
【図2−2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2−1】
【図2−2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−157183(P2007−157183A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−346671(P2005−346671)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(503291439)株式会社GENUSION (33)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(503291439)株式会社GENUSION (33)
【Fターム(参考)】
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