作業車の走行制御装置
【課題】本発明は、トロイダル変速機構を搭載した作業車で、変速比を一定にして走行を維持する定車速モードで走行している場合に、旋回操作を行えば急激な走行速度の低下を防止して速やかな旋回を行わせ、作業能率を低下させない作業車を提供することが課題である。
【解決手段】エンジンEが適宜回転数でトロイダル変速機構4の変速比を一定に固定して走行する定車速モードと左右走行装置8の旋回角を検出する旋回角検出手段130を設け、設定速度を定速度T1に設定して定車速モードで走行中に旋回を行うときにおいて、旋回内側のブレーキ作動が始まる直前の前旋回角αで設定速度を増速度T2に変更し、旋回内側のブレーキ作動が終了する直前の終旋回角βで設定速度を元の定速度T1に変更するように制御してなる作業車の走行制御装置の構成とする。
【解決手段】エンジンEが適宜回転数でトロイダル変速機構4の変速比を一定に固定して走行する定車速モードと左右走行装置8の旋回角を検出する旋回角検出手段130を設け、設定速度を定速度T1に設定して定車速モードで走行中に旋回を行うときにおいて、旋回内側のブレーキ作動が始まる直前の前旋回角αで設定速度を増速度T2に変更し、旋回内側のブレーキ作動が終了する直前の終旋回角βで設定速度を元の定速度T1に変更するように制御してなる作業車の走行制御装置の構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタや乗用芝刈り機や乗用管理機等の作業車における走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車は、搭乗するオペレータが作業車の操縦運転とロータリ耕耘装置等作業機の作業状態調整を行わなければならないために操縦操作や作業機操作で運転作業が煩雑になる。このオペレータの運転作業を楽にするために、自動変速機構を用いたトランスミッションが走行装置の駆動力伝動に採用されている。
【0003】
例えば、特開2004−114783号公報には、トロイダル変速機構を用いたトランスミッションがトラクタの変速装置として採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−114783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業車の作業時旋回走行は、圃場内での小回りによる作業性を良くするために、旋回内側の走行輪やクローラ等の回転を停止して旋回する急旋回によって旋回半径を小さくするようにしている。この急旋回を走行速度が速い路上走行で行うと操縦席のオペレータが振り落とされそうになるために、前記のトラクタの変速装置では、ブレーキペダルとクラッチペダルの少なくとも一方が踏み込まれるとトロイダル変速を減速させるかその出力軸側の回転を停止させて安全に旋回するように制御している。
【0006】
しかし、低速で作業している場合において、旋回する度に走行速度がさらに低速になって旋回すると、もたつき感が有り実際に作業能率も低下して、オペレータにストレスを与えることになる。
【0007】
そこで、本発明は、一定低速走行を維持する定車速モードで走行している場合に、旋回操作を行えば急激な走行速度の低下をせずに速やかな旋回となって作業能率を低下させない作業車の走行制御装置を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、エンジンEが適宜回転数でトロイダル変速機構4の変速比を一定に固定して走行する定車速モードと左右走行装置8の旋回角を検出する旋回角検出手段130を設け、設定速度を定速度T1に設定して定車速モードで走行中に旋回を行うときにおいて、旋回内側のブレーキ作動が始まる直前の前旋回角αで設定速度を増速度T2に変更し、旋回内側のブレーキ作動が終了する直前の終旋回角βで設定速度を元の定速度T1に変更するように制御してなる作業車の走行制御装置とした。
【0009】
この走行制御は、例えば、走行速度を一定の定速度T1に設定して走行中に旋回操作を開始した場合に、旋回角が前旋回角α(30°)になると増速度T2(T2=T1×1.1)程度に増速し、旋回角が35°で内側ブレーキが作用して急旋回を開始し、旋回が終了に近づいて旋回角が終旋回角β(40°)になると設定速度を元の定速度T1に戻し、旋回角が35°で内側ブレーキが解除されて急旋回を終了する。
【発明の効果】
【0010】
走行速度を定速度T1に設定して作業走行中に急旋回を行えば、旋回内側の走行装置8にブレーキがかかって車体が急旋回となって走行速度が急に遅くなろうとするが、急旋回開始前の前旋回角αで走行速度の設定を増速度T2に変更して旋回し、旋回終了まえの終旋回角βで走行速度の設定を定速度T1に戻すので、急旋回時に走行速度が急低下することが無く、作業を迅速に行える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を実施した農業用トラクタ。
【図2】本発明を実施したミッションケースの側断面図。
【図3】ミッションケース内の動力伝動系統図。
【図4】本発明主要部の油圧駆動系統図。
【図5】ミッションケースの一部拡大側面図。
【図6】ミッションケースの正断面図。
【図7】トロイダル変速部の一部拡大側面図。
【図8】トロイダル変速部の一部拡大背面図。
【図9】トロイダル変速部の一部拡大断面図。
【図10】トロイダル変速部の一部拡大側面図。
【図11】トロイダル変速部の一部拡大側断面図。
【図12】トロイダル変速部の一部拡大側面図。
【図13】トロイダル変速部の一部拡大斜視図。
【図14】トロイダル変速部の一部拡大断面図。
【図15】トロイダル変速部の斜視図。
【図16】トロイダル変速部の斜視図。
【図17】ミッションケースの拡大斜視図
【図18】トロイダル変速部の斜視図。
【図19】車速とバリエータ比との関係図。
【図20】別実施例のミッションケース内の動力伝動系統図。
【図21】全体の制御ブロック図。
【図22】旋回制御のフローチャート図。
【図23】旋回制御のフローチャート図。
【図24】PTOクラッチの制御フローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて、本発明を農業用トラクタを作業車として実施した形態について説明する。
図1は、農業用トラクタの全体側面図で、機体前部のボンネット120内に搭載したエンジンEの動力を後に詳しく説明するミッションケース1内のトロイダル変速機構4で適宜に変速して走行装置8を構成する前輪20と後輪35の両方或は後輪35のみを駆動し、機体上に設けるキャビン125内の座席121に座ったオペレータが機体の略中央に立設するステアリングハンドル122を回動操作して前輪20を操向しながら走行する。機体の後方へ突出するヒッチ123には、ロータリ耕運機などの作業機124を装着し、ミッションケース1から後方へ向かって突出するPTO出力軸41で作業機124を駆動する。なお、この図面には省略しているが、前輪20の車体前方に対する角度すなわち旋回角を検出する旋回角センサ130(図21参照)を設けている。
【0013】
次に、ミッションケース1の内部構造及びトロイダル変速機構4について図2以降で詳細に説明する。
ミッションケース1は、図2に示すように、前からフロントケース1a、ミドルケース1b、リアケース1cの三つの中空ケースを連結して一体に構成している。
【0014】
フロントケース1aは、前隔壁2と後隔壁3とを有し、その内部に溜めるオイルはトロイダル変速機構4用の専用オイルでミドルケース1bとリアケース1cに溜めるオイルとは異ならせている。このように、トロイダル変速機構4に用いるオイルを一般的に使うミッションケース1内に溜めるオイルと分離して溜めることで、オイル循環でトロイダル変速機構4を効果的に冷却できる。
【0015】
このフロントケース1a内に、上からバリエータ軸10、走行駆動入力軸11、PTO入力軸12、前輪駆動軸13を軸支している。バリエータ軸10の前方で軸心線上には、エンジンEの出力軸と直結するメイン入力軸14を軸架し、このメイン入力軸14に固着しているギヤ15に対して、バリエータ軸10の前端部を遊嵌支持している。
【0016】
メイン入力軸14に前隔壁2の内側で固着したギヤ15は、下位の走行駆動入力軸11に固着した大小ギヤ16、43の大径ギヤ16に噛み合って増速伝動し、この大小ギヤ16、43の小径ギヤ部43が同時に回転する。この小径ギヤ43は、さらに下位のPTO入力軸12に固着したギヤ18に噛み合って減速伝動している。PTO入力軸12はミドルケース1b内の中継軸42に設けたPTO軸変速機構44に繋がるが、このPTO軸変速機構44の伝動前側でミドルケース1b内において、ワンウエイクラッチ29を設けており、エンジン停止時のゆり戻しによる逆回転を防止している。
【0017】
最下位の前輪駆動軸13は、後述するミドルケース1b側からの伝動により前側のフロントデフ軸17へ動力を伝動している。フロントデフ軸17は、フロントデフギヤ装置19を介して左右の前輪20を駆動する。(図3参照)
前記バリエータ軸10に装着したトロイダル変速機構4について説明する。バリエータ軸10と一体回転する2つの出力ディスク4a,4aと、両出力ディスク4a,4aの中央側に位置して下方の走行駆動入力軸11に固着したギヤ21に中継ギヤ22を介して噛み合うギヤ23と共に回転する入力ディスク4b,4bを設けている。そして、前記出力ディスク4a,4aと入力ディスク4b,4bとの間に摩擦ローラ支持アーム69の先端部に枢支した摩擦ローラ5を片側三個ずつ軸支する構成(バリエータ機構)としている。
【0018】
摩擦ローラ支持アーム69はフルクラムプレート68に構成している作動シリンダ6内を往復移動するピストン96のピストンロッド7に連結している。また、摩擦ローラ5はローラ支持部材51で支持され、このローラ支持部材51と摩擦ローラ支持アーム69との間は球面ベアリングBで支持されている。(図9参照)
また、フルクラムプレート68に対する作動シリンダ6のシリンダ孔55の配置を図12に示している。
【0019】
この片側三個ずつの摩擦ローラ5の位置を油圧操作で変更することにより摩擦ローラ5の傾倒角が変更され、前記入力ディスク4b,4bから出力ディスク4a,4aへ伝わる動力伝達比が変更されてバリエータ軸10の回転を変速する構成となっている。この変速伝動効率は約80〜90%と良く、特に低速での伝動効率が高いのが特徴である。
【0020】
なお、トロイダル変速機構4の詳細な構造は、後述する。
バリエータ軸10の回転は、後隔壁3のミドルケース1b側でバリエータ軸10に連結した入力クラッチ軸25にスプライン嵌合したギヤ26とワンウエイクラッチ60を駆動すると共に、遊星機構61のサンギヤ61aを駆動する。一方、前記走行駆動入力軸11は、後続の延長軸62、この延長軸62上のギヤ63、このギヤ63と噛みあう前記入力クラッチ軸25に遊嵌させたギヤ28を介して、遊星機構61のプラネタリギヤ61bを支持するキャリア61cを、サンギヤ61aの周りに公転駆動する。
【0021】
また、前記入力クラッチ軸25の終端側には、油圧クラッチ形態の高速側クラッチ64を設け、これに隣接して同様に油圧クラッチ形態の低速側クラッチ65を配置する。なお、高速側クラッチ64は、そのクラッチ入りによって入力クラッチ軸25と出力クラッチ軸66を接続する。また、低速側クラッチ65は、遊星機構61のリングギヤ61dと出力クラッチ軸66とを接続する構成としている。これら高速側クラッチ64と低速側クラッチ65とによって高・低クラッチ30を構成する。
【0022】
高・低クラッチ30の高速側クラッチ64が入りとなり、低速側クラッチ65が切りの状態では、変速されたバリエータ軸10の回転、即ち入力クラッチ軸25の回転が高速側クラッチ64と伝動ドラム67を経由して出力クラッチ軸66に伝達され、その回転はバリエータ軸10が低速の正転から高速の正転まで変速回転(「ハイレジウム」という)する。
【0023】
また高・低クラッチ30の低速側クラッチ65が入りとなり、高速側クラッチ64が切りの状態では、変速されたバリエータ軸10の回転がサンギヤ61aに伝達され、一方延長軸62の回転は、ギヤ63、ギヤ28、プラネタリギヤ61bを介して遊星機構61のキャリア61cを駆動するため、サンギヤ61aとキャリア61cの回転との合成回転でリングギヤ61dを回転駆動し、このリングギヤ61dと一体回転するケーシング61eの回転が、低速側クラッチ65と伝動ドラム67を経由して出力クラッチ軸66に伝達する。この場合の出力クラッチ軸66の回転は、低速の逆転から零回転を通過して低速の正転まで変速回転(「ローレジウム」という)する。
【0024】
また、走行駆動入力軸11の延長軸62には、入力クラッチ軸25にスプライン嵌合しているギヤ26と噛み合うワンウエイクラッチ27の外ギヤ27aを設けている。
また、入力クラッチ軸25のワンウエイクラッチ60の外ギヤ28と噛み合うギヤ63を、延長軸62にスプライン嵌合して動力を伝動している。このような遊星機構61のプラネタリギヤ61dとサンギヤ61aの駆動構成でリングギヤ61dが変速駆動される。
【0025】
なお、ワンウエイクラッチ60に外ギヤ28を形成し、直接伝動することで伝動構成を単純化しローレジウムからハイレジウムへの変速伝動を段差無く円滑に行える。
以上の構成で、低速側クラッチ65を繋げば、出力クラッチ軸66は低速の逆転から零回転を通過して低速の正転まで変速され、さらに正転で増速するには高速側クラッチ64を繋いで摩擦ローラ5の傾きを変えていくことになる。この低速側クラッチ65と高速クラッチ64の断続タイミング、いわゆるローレジウムからハイレジウムへの引継ぎが低速側クラッチ65と高速側クラッチ64とから構成される高・低クラッチ30の断続で制御されて、低速逆転から零回転を通過して高速正転へ滑らかに変速されることになる。
【0026】
この高・低クラッチ30の出力クラッチ軸66の後端にスプライン嵌合したギヤ31は、リアデフギヤ装置34のデフ軸32にスプライン嵌合しているギヤ33と噛み合っているので、出力クラッチ軸66の回転はデフ軸32を駆動する。デフ軸32の回転はリアデフギヤ装置34を介して左右の後輪35へ伝動される。
【0027】
デフ軸32の回転は、ギヤ37からPTO出力軸41に遊嵌した二連ギヤ36a、36bを介して前輪駆動延長軸39にスプライン嵌合しているギヤ38に伝動され、このギヤ38が回転することで前輪駆動延長軸39を駆動する。
【0028】
前輪駆動延長軸39には、図3に示す如く、トラクタの旋回時に前輪を同速回転、或いは増速回転して駆動させる前輪増速クラッチ40を装着している。さらにこの前輪駆動延長軸39に中継軸48を介して、前輪駆動軸13に伝動すべく連結している。前輪増速クラッチ40については、油圧クラッチを切り換えて軸40aを経由して中継軸48を駆動する場合が増速である。
【0029】
図20は、バリエータ軸10の入力側にメイン入力軸14のギヤ15と係脱する副クラッチ126を設けて、トロイダル変速機構4が故障した時にこの副クラッチ126を入れてギヤ15から大径ギヤ16を介して走行駆動入力軸11に直接エンジンEの動力を伝動するようにして、故障時の機体移動を可能にした実施例である。
【0030】
次に、トロイダル変速機構4の詳細な説明を図4以降で説明する。
トロイダル変速機構4の概要は、前記の如く、バリエータ軸10に装着した入力ディスク4b、4bと出力ディスク4a、4aの間に摩擦ローラ5を設け、この摩擦ローラ5の傾倒角を変更することで入力ディスク4bの回転が摩擦ローラ5で加減速されて出力ディスク4aに伝動する構成である。
【0031】
図7に示すように、摩擦ローラ5は、ミッションケース1の一部を構成するフロントケース1aの右側面に取り付けたフルクラムプレート68に設ける摩擦ローラ支持アーム69の先端に枢支している。そして、前側の入出力ディスク4a,4bと後側の入出力ディスク4a,4bとの間にそれぞれ三個ずつ円周等配で設けている。
【0032】
図9に示すように、摩擦ローラ支持アーム69の一端側は球面ベアリングBを介してローラ支持部材51を支持しており、このローラ支持部材51で摩擦ローラ5を支持軸52で回転可能に支持している構成である。摩擦ローラ支持アーム69の他端側にはピストンロッド7が連結している。ピストンロッド7はフルクラムプレート68内のピストン96とともに往復移動する。
【0033】
フルクラムプレート68は、摩擦ローラ支持アーム69を枢支するボス部68aをフロントケース1a内に向けて突設すると共に、フルクラムプレート68の内部に摩擦ローラ支持アーム69を回動する作動シリンダ6を設け、この作動シリンダ6のピストン96に連結しているピストンロッド7を摩擦ローラ支持アーム69に枢着軸7aで枢着している。(図9を参照)
シリンダ孔55の部屋55a(図9参照)に油を送油すると、ピストン96とピストンロッド7は矢印96a方向に移動する。すると、摩擦ローラ支持アーム69と共に摩擦ローラ5が枢支軸72を支点として矢印96a方向に回転する。シリンダ孔55の部屋55bに油を送油すると逆の動きをする。
【0034】
図11のシリンダ孔55に対するピストン96の位置は、ギヤドニュートラル(GN)を示している。即ち、トロイダル変速機構4が回転を伝達しない位置であり、前進側と後進側の境界位置を示している。ピストン96が矢印P方向に移動すると、機体は後進する。また、ピストン96が矢印Q方向に移動すると、機体は低速前進する。このとき低速クラッチ65は入り状態のローレジウムである。
【0035】
ピストン96がフルクラムプレート68の端部68aまできた状態がローレジウムの最高回転数であるので、さらに機体を高速状態にしたい場合には、高速クラッチ64を入り状態としてハイレジウムにする。そして、ピストン96をS方向に移動していくと、高速の正転状態で加速していく構成である。
【0036】
トロイダル変速機構4の複数の摩擦ローラ5は同時に同じ方向へ傾くという変速動作をするので、フルクラムプレート68の表裏のいずれか一方側にピストンロッド7を伸び出しする前記油圧供給部屋55aを構成し、他方側にピストンロッド7を退避する前記油圧供給部屋55bを構成することで、オイル供給回路の構成を単純化できる。
【0037】
フルクラムプレート68の外側には作動シリンダ6のシリンダ孔55を塞ぐスペーサプレート70を取り付け、さらに、このスペーサプレート70の上側に油圧ブロック71を取り付けている。これらの部材をミッションケース1の側壁に重ねることで、ミッションケース1の下部に装着するものに比べて、機体後部に装着する作業機を駆動するPTO軸や、前輪駆動用の軸などへの配置に影響を与えることを防止できる。また、圃場面との距離が長くなるので、飛び跳ねてくる泥や石等の影響が少なくなる。
【0038】
図12は、フルクラムプレート68のスペーサプレート70との接合面を表し、この接合面側から加工したシリンダ孔55を囲んでオイルシールリング56,57を嵌め込む溝を形成している。図示の如く、接近した二つのシリンダ孔55を囲む溝は楕円形にして一個のオイルシールリング57でシールしている。また、シリンダ孔55の周囲にはスペーサプレート70との締付けに用いるボルトを捻じ込むネジ孔58を設けてオイルシールリング56,57の近くを締付けてシール性を良くしている。
【0039】
図13は、スペーサプレート70のフルクラムプレート68との接合面を表し、前記シリンダ孔55に対応する位置に、ピストンロッド7とピストン96を連結するボルト95の頭を逃がす逃し孔93を設けている。また、前記のネジ孔58に対応して締付けネジを貫通するネジ貫通孔59を逃し孔93の周囲に設けている。
【0040】
フルクラムプレート68のボス部68aに枢支軸72で枢支した摩擦ローラ支持アーム69の先端にジョイント73でローラ支持部材51を回動可能に支持している。このローラ支持部材51に支持軸52を介して摩擦ローラ5を回動可能に取付ける。
【0041】
図9に示す如く、ローラ支持部材51には、摩擦ローラ支持アーム69の枢支軸72へ供給されるオイルを油路54からジョイント73の導入油路53を通って流れ出る吐出口51aに通じる油路51bを設け、この油路51bから支持軸52と摩擦ローラ5の全周について潤滑する。54aはプラグである。
【0042】
図14は、作動シリンダ6の拡大図で、シリンダロッド7を摩擦ローラ支持アーム69に連結してシリンダロッド7の出入作動で摩擦ローラ支持アーム69を回動しているので、シリンダロッド7が出入作動に伴って僅かな首振りを行うので、シリンダロッド7に外嵌したシールリング106がシリンダ孔55に内嵌したシールリング受105に対して僅かな横スライドを許容するようにしている。
【0043】
上記構成の複数の摩擦ローラ5は、入出力ディスク4a,4bの対向面によって形成されるフルトロイダルキャビティ内でその進退位置を複数の作動シリンダ6によって調節することにより、複数の摩擦ローラ5の転動面の傾倒角に応じた変速比で無段変速伝動を行うのであるが、各摩擦ローラ支持アーム69の形状と長さ及びシリンダロッド7の長さは、シリンダロッド7の伸長及び短縮側への同一動作量で摩擦ローラ5が同じ傾倒角になるように決められている。
【0044】
また、ローラ支持部材51は、図10に示すように、ローラシュラウド50をねじ止めにより取付ける。このローラシュラウド50は、入出力ディスク4a,4bの間で進退動作に支障のない範囲で摩擦ローラ5・・・を覆うことにより、対向するディスク4a,4bの転動面を集中的に効率よく潤滑することができるようにオイルを導く。
【0045】
各摩擦ローラ5・・・の下側に油圧ポンプ74を設け、下方へ延ばした吸引パイプ75の先端に取り付けたサクションフィルタ76からオイルを吸引し、吐出パイプ77からフルクラムプレート68の内面に取り付けた油路78へオイルを供給し、油路78で各摩擦ローラ支持アーム69の枢支軸72へオイルを供給する。この吸引パイプ75は、図6に示す如く、フロントケース1aの底部に位置するサクションフィルタ76からPTO入力軸12と前輪駆動軸13を迂回して油圧ポンプ74に繋ぎ、吐出パイプ77を油路78(分配パイプ)に差し込んでいる。
【0046】
以上の構成で、前記エンジンEの回転をトロイダル変速機構4へ伝達し、このトロイダル変速機構4で変速する回転を高・低クラッチ30に伝動する。そしてこの高・低クラッチ30の低速クラッチを接続してトロイダル変速機構4の摩擦ローラ5の傾きを変更すると、出力回転を低速域内で逆転から正転に亘って無段階で変速する。この変速は作業車を対地作業に適した低速度で前後進する走行条件に適している。また高・低クラッチ30を高速にしてトロイダル変速機構4の摩擦ローラ5の傾きを変更すると、出力回転を高速域内で正転から逆転に亘って無段階で変速する。この変速は作業車が路上を移動する走行条件に適している。
【0047】
対地作業機を駆動するPTO出力軸41は、次のように伝動している。
前後隔壁2,3の内部で、前記トロイダル変速機構4の下部に軸架した走行駆動走行駆動入力軸11に固着した小径ギヤ部43をPTO入力軸12に固着したギヤ18と噛み合わせて、このPTO入力軸12の回転を後隔壁3の後部に設けるPTO軸変速機構44とPTOクラッチ45を介してPTO出力軸41に伝動している。PTO出力軸41の回転は、リアケース1c内に設けるPTO軸第二変速機構46で適宜の回転数に変速してPTO出力軸47に伝動する。また、PTO入力軸12に固着したギヤ115と油圧ポンプ74の入力軸に固着したギヤ116を噛み合わせて油圧ポンプ74を駆動している。
【0048】
トロイダル変速機構4の油圧制御系は、図4のシステム系統図に示すように、各摩擦ローラ5・・・を進退駆動する複動型の作動シリンダ6・・・を備え、かつ、それぞれの摩擦ローラ支持アーム69・・・に形成した油路54を介して専用オイルを摩擦ローラ5・・・へ供給し、入力ディスク4bと出力ディスク4aとの間の摩擦伝動を確保しつつ潤滑と冷却を行うとともに、各作動シリンダ6・・・による摩擦ローラ5・・・の進退駆動とバリエータ軸10の軸端入力によるエンドロード圧とを制御する。これらのオイルはフロントケース1a内に溜めたトロイダル変速専用オイルで循環して使用する。これにより、トロイダル変速機構4に用いるオイルを一般的に使うミッションケース1内に溜めるオイルと分離して溜めることが出来て、オイル循環でトロイダル変速機構4を効果的に冷却できるようになる。
【0049】
詳細には、複数の摩擦ローラ5の複数の作動シリンダ6は、すべてを並列に油圧接続してフルクラムプレート68のピストンロッド7の伸び出し側および退避側の作用油圧をそれぞれ制御する2つの油圧供給制御部を有する。このように、複数の作動シリンダ6のピストンロッド7を同時に伸び出し及び退避させるように駆動する油圧供給路を構成するにあたり、フルクラムプレート68の表裏のいずれか一方側に伸び出し側の供給路を構成し、他方側に退避側の供給路を構成する。これにより、複数の摩擦ローラ5を同時に同じ方向へ傾けるような変速動作の場合について、圧力オイル供給回路の構成を単純化できるようになる。
【0050】
サクションフィルタ76を通ってポンプ74で吸引されたオイルは再度目の細かいフィルタ85を通って鉄粉などの異物を除かれて、メインリリーフ弁9aで圧を調整され、前記の油圧制御部へ送られる流れと、摩擦ローラ5の潤滑と電磁バルブ97への流れに分岐する。
【0051】
電磁バルブ97への流れは、リリーフ弁99とアキュムレータ98で圧を一定に保持されて摩擦ローラ5の潤滑と冷却に使われる。
油圧制御部へ送られる流れは、チェック弁86を通って、アキュムレータ84で圧を安定して作動シリンダ6の伸長側および短縮側の制御部と入出力ディスク4a,4bの圧力制御用に分岐される。
【0052】
作動シリンダ6の伸長側油圧回路は、変速比によって電流値で制御される電磁減圧弁90と送油方向を切換えるパイロット弁89とアキュムレータ92と圧油の脈動を吸収して流量を絞るモード1ダンパ101で構成され、作動シリンダ6の短縮側油圧回路は、同じく、電磁減圧弁88とパイロット弁87とアキュムレータ91とモード1ダンパ100で構成されている。各作動シリンダ6の供給直前にモード3ダンパ107を設けてさらに油圧の安定を図っている。
【0053】
作動シリンダ6の短縮側の圧力S1は電磁バルブ88とチェック弁87で調整され、作動シリンダ6の伸長側の圧力S2は電磁バルブ90とチェック弁98で調整される。こちら側にもモード3ダンパ108を設けてさらに油圧の安定を図っている。
【0054】
また、入出力ディスク4a,4bの圧力制御用回路にはリリーフ弁104と二つのシャトル弁79,80により直接の圧力と前記短縮側圧力S1と伸長側の圧力S2の高い方の流れを変速部のエンドロード圧としてディスク圧供給部117へ供給するように構成することにより、摩擦ローラ5・・・の傾斜動作による速度変更と対応してエンドロード圧を制御して各摩擦ローラ5・・・の転動接触圧を調整する。
【0055】
さらに、各作動シリンダ6には伸長側と短縮側のエアー抜き路109,110を設けて、このエアー抜き路109,110をフロントケース1aの前記フルクラムプレート68の取付側と反対側の底部に設けるエアーパージ弁102とアンチキャビテーションチェック弁103に繋いでいる。
【0056】
54bは潤滑回路であり、図9に示す油路54に油を送って潤滑する構成としている。
なお、図5において、82はブレーキペダルとブレーキを繋ぐリンクの中継アームでスペーサプレート70に枢支する支軸83で支持している。
【0057】
図19は、車速とバリエータ比との関係を示している。横軸が車速(kph)であり、縦軸がバリエータ比である。Lは前述したローレジウムであり、低速側クラッチ65が入り状態の速度範囲を示している。Hは前述したハイレジウムであり、高速側クラッチ64が入り状態の速度範囲を示している。GNはギヤドニュートラルであり、速度がゼロの位置である。Sはシンク位置であり、低速側クラッチ65と高速側クラッチ64の切り換え点である。このシンクS位置でのクラッチを切り換える直前において、油圧回路内に背圧をかけることでクラッチの切換ショックを防止できるようになる。この背圧のレベルは、低速側クラッチ65又は高速側クラッチ64の大きさに比例して決定するようにする。
【0058】
機体を停車するときにはギヤドニュートラルGNに制御するが、トラクタが一定時間走行しない場合は低速側クラッチ65への油圧を送らないようにすることで、機体停止中の無駄なエネルギ消費を抑制できる。車速センサからの信号により機体が停止しない場合には、再度ギヤドニュートラルGN制御で機体を停止させるようにする。
【0059】
尚、バリエータ比は、エンジン回転数によってその変化率を異にしている。
図21に自動制御のセンサ信号の読み込みとトロイダル変速機構4等への制御出力信号を示す。
【0060】
本機コントローラ126への入力信号は、旋回角センサ130から前輪20の車体前方に対する傾きすなわち旋回角、アクセルペダルの踏み込み程度を検出するアクセルペダルセンサ128の信号、車速設定ダイヤル129の走行速度設定値、アキュムレータ91とアキュムレータ92とアキュムレータ98の蓄積圧、クラッチペダルセンサ131の踏み込み信号、油温センサ132からのミッションケース1内のオイル温度、作動シリンダ6の短縮側シリンダ圧力センサ133と伸長側シリンダ圧力センサ134の検出圧力、クラッチH圧力センサ135による高速側クラッチ64の圧力、クラッチL圧力センサ136による低速側クラッチ65の圧力である。
【0061】
さらに、本機コントローラ126への入力信号は、リニアレバーセンサ137から前後進切換信号、左右ブレーキペダルセンサ138からブレーキ踏み込み信号、作業モード切換スイッチ139から設定作業モード、緊急停止スイッチ140から停止信号、パーキングスイッチ141から停止信号、ブレーキ連結スイッチ142から左右ブレーキペダルの連結信号、PTOスイッチ143からPTO出力軸47のオン・オフ信号、増減速スイッチ144から走行速度の増減速信号、走行モード切換スイッチ145から設定走行モード信号、スロットルセンサ146からスロットルの開閉信号、エンジン回転センサ147からエンジンEの回転数、バリエータ入力回転センサ149からトロイダル変速機構4の入力ディスク4bの回転数、バリエータ出力回転センサ148からトロイダル変速機構4の出力ディスク4aの回転数、車速センサ150からトラクタの走行速度、PTO回転センサ151からPTO出力軸47の回転数がそれぞれ入力する。
【0062】
本機コントローラ126からの出力制御信号は、表示器154への設定走行速度と設定旋回速度等、短縮側シリンダソレノイド155と伸長側シリンダソレノイド156への伸縮信号、高・低クラッチ30を作動するHクラッチソレノイド157とLクラッチソレノイド158への作動信号、PTOクラッチソレノイド159へのオン・オフ信号である。
【0063】
また、作業機コントローラ127とのデータ交信が行われる。なお、本機コントローラ126が故障で制御を停止した場合には、この作業機コントローラ127も本機コントローラ126に連動して制御を停止するようにする。
【0064】
図22は、車速設定ダイヤル129で車速を定常設定速度S1に設定してトロイダル変速機構4を一定変速比に設定する定車速オモードにした場合の制御フローチャートで、ステップS1で作業走行中に、ステップS2で旋回操作を行って、ステップS3で定車速モードであるかの判定を行い、YESであればステップS4でタイヤの旋回角度が前旋回角(30°)以上になったかを判定し、前旋回角(30°)以上であればステップS5で設定車速を増加設定速度S2(5km/h)に変更し、前旋回角(30°)以上でなければステップS6で設定車速を定常設定速度S1のままにする。この制御で、急旋回時に走行速度が急激に低下してもたつくのを防ぐことが出来る。
【0065】
図23は、定車速モードで旋回戻し操作を行った場合の制御フローチャートで、ステップS11で前記の旋回操作を行った後で、ステップS12で旋回戻し操作を行って、ステップS13で定車速モードであるかの判定を行い、YESであればステップS14でタイヤの旋回角度が40°以下になったかを判定し、40°以下であればステップS15で設定車速を定常設定速度S1に変更し、40°以下でなければステップS16で設定車速を増加設定速度S2のままとする。この制御で、急旋回が終了して急加速で直進するのを防ぐことが出来る。
【0066】
旋回時に設定車速を上昇させる手段として、急旋回が開始されると設定車速を一定時間増加設定速度S2に上昇してその後に元の定常設定速度S1に戻すようにすることも出来る。
【0067】
旋回時の増加設定速度S2は、前記の如く一定の速度以外に、旋回直前の走行速度に対して一定割合で増加させても良く、オペレータが任意の車速に設定できるようにしても良い。
【0068】
尚、定車速モードで旋回を検出する手段として作業機の上昇で判定し、作業機を上昇させると増加設定速度S2に上昇し、一定時間後或いはステアリングハンドル122の切れ角が戻るに従って、設定車速を元の定常設定速度S1に戻すようにすることも出来る。
【0069】
制御フローチャートの表示を省略するが、作業モード切換スイッチ139でロータリモードを選択した場合で後進中にクラッチペダルの踏み込みをクラッチペダルセンサ131が感知すると、クラッチペダルの踏み込みを深くすると走行速度を減速するようにして、枕地でのロータリ位置合わせを容易にする。
【0070】
また、作業モード切換スイッチ139でロータリモードを選択した場合、作業機昇降レバーの位置或いはリフトアームの位置で作業機の上昇に比例して走行速度を速くする制御を行って、枕地でのロータリ位置合わせを容易にする。
【0071】
また、左右ブレーキペダルセンサ138でブレーキペダルの踏み込み速度を検出して、踏み込み速度が速いほど減速を速くし、作業モードであればモードをキャンセルして停止する制御を行う。ブレーキペダルの踏み込み速度は、ブレーキロッドに設ける動歪センサやブレーキシリンダの圧力センサで検出し、減速は制動トルクを生じさせる。なお、左右ブレーキペダルセンサ138の踏み込み時間を検出して踏み込み時間が長くなるほど制動トルクを強くしても良い。
【0072】
アクセルペダルセンサ128は、アクセルペダルの踏み込み程度と踏み込み速度を検出し、走行モードの選択時に、エンジン回転とトロイダル変速機構4の変速を行うようにする。アクセルペダルを踏み続けて制限速度に達すると、エンジン回転を低下させてトロイダル変速機構4を高速に変速させて制限速度を維持するようにする。
【0073】
定速制御時には、アクセルペダルの踏み込み時間に応じて大きく二次関数的に増速率を変化させ、発進ショックを少なくする。
定速制御時には、急旋回が行われたり、左右ブレーキペダルセンサ138の両方或はどちらかが踏み込みを検出したりすると、通常のブレーキ作用よりも強くブレーキ作用が働くようにする。
【0074】
尚、定速制御時に左右ブレーキペダルセンサ138を同時に踏み込むと、踏み込み中は設定車速を零にして走行を停止する。
定速制御時には、リニアレバーセンサ137で前後進レバーが中立になったことを検出すると、低速側クラッチ65の接続を維持し、設定車速を零にして、前後進レバーの前後進が迅速に行われるようにする。
【0075】
トルク制御時に、アクセルペダルの踏み込みに対する速度増加率で牽引負荷を検出して記憶し、アクセルペダルの戻し時に速度増加率と同じ割合で速度を低下させることで、エンジンブレーキ的な作用を生じさせる。この時に、車体の前後傾斜角を検出し、下り傾斜走行時にその時の車体傾斜角で算出される牽引負荷を加味して、速度低下率を変更しても良い。
【0076】
図24は、作業機の昇降とトラクタの走行を関連させた自動制御で、ステップS20でPTO自動モードであるかを判定し、YESであればステップS21で作業機下降制御であるかを判定し、YESであればステップS22で低速側クラッチ65がオンであるかを判定し、YESであればステップS23でPTOクラッチ45をオンして作業走行を行う。ステップS20とステップS21とステップS22の判定がNOであればPTOクラッチ45をオンしない。この制御で、トラクタをニュートラルモードしているときに作業機が降下して突然走行するタ゛ッシングを防止出来る。
【0077】
トレーラ等の重量の重いものを牽引している場合や下り坂等では車速が速くなって、バリエータ比が追従できないところまでバリエータ比が変化して、高・低クラッチ30が切り換えられなくなる場合がある。このような場合には、図19のバリエータ比の限界値(OD値)でバリエータ比を止める信号を出し、ブザーや警告表示で警報を出力する。また、ローレジウムで加速するとき、sync値にくるとハイレジウムに切り替えてsync値を元の方向に戻すようにするが、故障などで元の方向に戻らずにそのまま直線の延長線上に向って行ってしまうことがあると、バリエータ比をsync値で保留する。また、ハイレジウムから減速する場合も同様に制御する。
【0078】
また、前記の車速が速くなってバリエータ比が追従できないところまでバリエータ比が変化する場合には、バリエータ比が追従可能なエンジン回転数までエンジンEの回転を上昇させる制御を行うことも出来る。この場合に、エンジン回転を上昇させるかどうかを選択するスイッチを設けて、オペレータが任意に選択できるようにする。
【0079】
さらに、後進時には、オーバードライブ減速比と現在の減速比との差を算出し、その差に応じてギヤドニュートラル側への油圧力を所定減速比まで比例的に増やして滑らかに増速させ、その後油圧力を減らしてバリエータの変速を停止する。なお、このギヤドニュートラル側への油圧力増加は、アクセルペダルの踏み込み速度によって変え、早く踏み込むと最初に増加率を大きくするようにしても良い。
【符号の説明】
【0080】
E エンジン
8 走行装置
130 旋回角センサ
T1 定速度
T2 増速度
α 前旋回角
β 終旋回角
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタや乗用芝刈り機や乗用管理機等の作業車における走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車は、搭乗するオペレータが作業車の操縦運転とロータリ耕耘装置等作業機の作業状態調整を行わなければならないために操縦操作や作業機操作で運転作業が煩雑になる。このオペレータの運転作業を楽にするために、自動変速機構を用いたトランスミッションが走行装置の駆動力伝動に採用されている。
【0003】
例えば、特開2004−114783号公報には、トロイダル変速機構を用いたトランスミッションがトラクタの変速装置として採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−114783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業車の作業時旋回走行は、圃場内での小回りによる作業性を良くするために、旋回内側の走行輪やクローラ等の回転を停止して旋回する急旋回によって旋回半径を小さくするようにしている。この急旋回を走行速度が速い路上走行で行うと操縦席のオペレータが振り落とされそうになるために、前記のトラクタの変速装置では、ブレーキペダルとクラッチペダルの少なくとも一方が踏み込まれるとトロイダル変速を減速させるかその出力軸側の回転を停止させて安全に旋回するように制御している。
【0006】
しかし、低速で作業している場合において、旋回する度に走行速度がさらに低速になって旋回すると、もたつき感が有り実際に作業能率も低下して、オペレータにストレスを与えることになる。
【0007】
そこで、本発明は、一定低速走行を維持する定車速モードで走行している場合に、旋回操作を行えば急激な走行速度の低下をせずに速やかな旋回となって作業能率を低下させない作業車の走行制御装置を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、エンジンEが適宜回転数でトロイダル変速機構4の変速比を一定に固定して走行する定車速モードと左右走行装置8の旋回角を検出する旋回角検出手段130を設け、設定速度を定速度T1に設定して定車速モードで走行中に旋回を行うときにおいて、旋回内側のブレーキ作動が始まる直前の前旋回角αで設定速度を増速度T2に変更し、旋回内側のブレーキ作動が終了する直前の終旋回角βで設定速度を元の定速度T1に変更するように制御してなる作業車の走行制御装置とした。
【0009】
この走行制御は、例えば、走行速度を一定の定速度T1に設定して走行中に旋回操作を開始した場合に、旋回角が前旋回角α(30°)になると増速度T2(T2=T1×1.1)程度に増速し、旋回角が35°で内側ブレーキが作用して急旋回を開始し、旋回が終了に近づいて旋回角が終旋回角β(40°)になると設定速度を元の定速度T1に戻し、旋回角が35°で内側ブレーキが解除されて急旋回を終了する。
【発明の効果】
【0010】
走行速度を定速度T1に設定して作業走行中に急旋回を行えば、旋回内側の走行装置8にブレーキがかかって車体が急旋回となって走行速度が急に遅くなろうとするが、急旋回開始前の前旋回角αで走行速度の設定を増速度T2に変更して旋回し、旋回終了まえの終旋回角βで走行速度の設定を定速度T1に戻すので、急旋回時に走行速度が急低下することが無く、作業を迅速に行える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を実施した農業用トラクタ。
【図2】本発明を実施したミッションケースの側断面図。
【図3】ミッションケース内の動力伝動系統図。
【図4】本発明主要部の油圧駆動系統図。
【図5】ミッションケースの一部拡大側面図。
【図6】ミッションケースの正断面図。
【図7】トロイダル変速部の一部拡大側面図。
【図8】トロイダル変速部の一部拡大背面図。
【図9】トロイダル変速部の一部拡大断面図。
【図10】トロイダル変速部の一部拡大側面図。
【図11】トロイダル変速部の一部拡大側断面図。
【図12】トロイダル変速部の一部拡大側面図。
【図13】トロイダル変速部の一部拡大斜視図。
【図14】トロイダル変速部の一部拡大断面図。
【図15】トロイダル変速部の斜視図。
【図16】トロイダル変速部の斜視図。
【図17】ミッションケースの拡大斜視図
【図18】トロイダル変速部の斜視図。
【図19】車速とバリエータ比との関係図。
【図20】別実施例のミッションケース内の動力伝動系統図。
【図21】全体の制御ブロック図。
【図22】旋回制御のフローチャート図。
【図23】旋回制御のフローチャート図。
【図24】PTOクラッチの制御フローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて、本発明を農業用トラクタを作業車として実施した形態について説明する。
図1は、農業用トラクタの全体側面図で、機体前部のボンネット120内に搭載したエンジンEの動力を後に詳しく説明するミッションケース1内のトロイダル変速機構4で適宜に変速して走行装置8を構成する前輪20と後輪35の両方或は後輪35のみを駆動し、機体上に設けるキャビン125内の座席121に座ったオペレータが機体の略中央に立設するステアリングハンドル122を回動操作して前輪20を操向しながら走行する。機体の後方へ突出するヒッチ123には、ロータリ耕運機などの作業機124を装着し、ミッションケース1から後方へ向かって突出するPTO出力軸41で作業機124を駆動する。なお、この図面には省略しているが、前輪20の車体前方に対する角度すなわち旋回角を検出する旋回角センサ130(図21参照)を設けている。
【0013】
次に、ミッションケース1の内部構造及びトロイダル変速機構4について図2以降で詳細に説明する。
ミッションケース1は、図2に示すように、前からフロントケース1a、ミドルケース1b、リアケース1cの三つの中空ケースを連結して一体に構成している。
【0014】
フロントケース1aは、前隔壁2と後隔壁3とを有し、その内部に溜めるオイルはトロイダル変速機構4用の専用オイルでミドルケース1bとリアケース1cに溜めるオイルとは異ならせている。このように、トロイダル変速機構4に用いるオイルを一般的に使うミッションケース1内に溜めるオイルと分離して溜めることで、オイル循環でトロイダル変速機構4を効果的に冷却できる。
【0015】
このフロントケース1a内に、上からバリエータ軸10、走行駆動入力軸11、PTO入力軸12、前輪駆動軸13を軸支している。バリエータ軸10の前方で軸心線上には、エンジンEの出力軸と直結するメイン入力軸14を軸架し、このメイン入力軸14に固着しているギヤ15に対して、バリエータ軸10の前端部を遊嵌支持している。
【0016】
メイン入力軸14に前隔壁2の内側で固着したギヤ15は、下位の走行駆動入力軸11に固着した大小ギヤ16、43の大径ギヤ16に噛み合って増速伝動し、この大小ギヤ16、43の小径ギヤ部43が同時に回転する。この小径ギヤ43は、さらに下位のPTO入力軸12に固着したギヤ18に噛み合って減速伝動している。PTO入力軸12はミドルケース1b内の中継軸42に設けたPTO軸変速機構44に繋がるが、このPTO軸変速機構44の伝動前側でミドルケース1b内において、ワンウエイクラッチ29を設けており、エンジン停止時のゆり戻しによる逆回転を防止している。
【0017】
最下位の前輪駆動軸13は、後述するミドルケース1b側からの伝動により前側のフロントデフ軸17へ動力を伝動している。フロントデフ軸17は、フロントデフギヤ装置19を介して左右の前輪20を駆動する。(図3参照)
前記バリエータ軸10に装着したトロイダル変速機構4について説明する。バリエータ軸10と一体回転する2つの出力ディスク4a,4aと、両出力ディスク4a,4aの中央側に位置して下方の走行駆動入力軸11に固着したギヤ21に中継ギヤ22を介して噛み合うギヤ23と共に回転する入力ディスク4b,4bを設けている。そして、前記出力ディスク4a,4aと入力ディスク4b,4bとの間に摩擦ローラ支持アーム69の先端部に枢支した摩擦ローラ5を片側三個ずつ軸支する構成(バリエータ機構)としている。
【0018】
摩擦ローラ支持アーム69はフルクラムプレート68に構成している作動シリンダ6内を往復移動するピストン96のピストンロッド7に連結している。また、摩擦ローラ5はローラ支持部材51で支持され、このローラ支持部材51と摩擦ローラ支持アーム69との間は球面ベアリングBで支持されている。(図9参照)
また、フルクラムプレート68に対する作動シリンダ6のシリンダ孔55の配置を図12に示している。
【0019】
この片側三個ずつの摩擦ローラ5の位置を油圧操作で変更することにより摩擦ローラ5の傾倒角が変更され、前記入力ディスク4b,4bから出力ディスク4a,4aへ伝わる動力伝達比が変更されてバリエータ軸10の回転を変速する構成となっている。この変速伝動効率は約80〜90%と良く、特に低速での伝動効率が高いのが特徴である。
【0020】
なお、トロイダル変速機構4の詳細な構造は、後述する。
バリエータ軸10の回転は、後隔壁3のミドルケース1b側でバリエータ軸10に連結した入力クラッチ軸25にスプライン嵌合したギヤ26とワンウエイクラッチ60を駆動すると共に、遊星機構61のサンギヤ61aを駆動する。一方、前記走行駆動入力軸11は、後続の延長軸62、この延長軸62上のギヤ63、このギヤ63と噛みあう前記入力クラッチ軸25に遊嵌させたギヤ28を介して、遊星機構61のプラネタリギヤ61bを支持するキャリア61cを、サンギヤ61aの周りに公転駆動する。
【0021】
また、前記入力クラッチ軸25の終端側には、油圧クラッチ形態の高速側クラッチ64を設け、これに隣接して同様に油圧クラッチ形態の低速側クラッチ65を配置する。なお、高速側クラッチ64は、そのクラッチ入りによって入力クラッチ軸25と出力クラッチ軸66を接続する。また、低速側クラッチ65は、遊星機構61のリングギヤ61dと出力クラッチ軸66とを接続する構成としている。これら高速側クラッチ64と低速側クラッチ65とによって高・低クラッチ30を構成する。
【0022】
高・低クラッチ30の高速側クラッチ64が入りとなり、低速側クラッチ65が切りの状態では、変速されたバリエータ軸10の回転、即ち入力クラッチ軸25の回転が高速側クラッチ64と伝動ドラム67を経由して出力クラッチ軸66に伝達され、その回転はバリエータ軸10が低速の正転から高速の正転まで変速回転(「ハイレジウム」という)する。
【0023】
また高・低クラッチ30の低速側クラッチ65が入りとなり、高速側クラッチ64が切りの状態では、変速されたバリエータ軸10の回転がサンギヤ61aに伝達され、一方延長軸62の回転は、ギヤ63、ギヤ28、プラネタリギヤ61bを介して遊星機構61のキャリア61cを駆動するため、サンギヤ61aとキャリア61cの回転との合成回転でリングギヤ61dを回転駆動し、このリングギヤ61dと一体回転するケーシング61eの回転が、低速側クラッチ65と伝動ドラム67を経由して出力クラッチ軸66に伝達する。この場合の出力クラッチ軸66の回転は、低速の逆転から零回転を通過して低速の正転まで変速回転(「ローレジウム」という)する。
【0024】
また、走行駆動入力軸11の延長軸62には、入力クラッチ軸25にスプライン嵌合しているギヤ26と噛み合うワンウエイクラッチ27の外ギヤ27aを設けている。
また、入力クラッチ軸25のワンウエイクラッチ60の外ギヤ28と噛み合うギヤ63を、延長軸62にスプライン嵌合して動力を伝動している。このような遊星機構61のプラネタリギヤ61dとサンギヤ61aの駆動構成でリングギヤ61dが変速駆動される。
【0025】
なお、ワンウエイクラッチ60に外ギヤ28を形成し、直接伝動することで伝動構成を単純化しローレジウムからハイレジウムへの変速伝動を段差無く円滑に行える。
以上の構成で、低速側クラッチ65を繋げば、出力クラッチ軸66は低速の逆転から零回転を通過して低速の正転まで変速され、さらに正転で増速するには高速側クラッチ64を繋いで摩擦ローラ5の傾きを変えていくことになる。この低速側クラッチ65と高速クラッチ64の断続タイミング、いわゆるローレジウムからハイレジウムへの引継ぎが低速側クラッチ65と高速側クラッチ64とから構成される高・低クラッチ30の断続で制御されて、低速逆転から零回転を通過して高速正転へ滑らかに変速されることになる。
【0026】
この高・低クラッチ30の出力クラッチ軸66の後端にスプライン嵌合したギヤ31は、リアデフギヤ装置34のデフ軸32にスプライン嵌合しているギヤ33と噛み合っているので、出力クラッチ軸66の回転はデフ軸32を駆動する。デフ軸32の回転はリアデフギヤ装置34を介して左右の後輪35へ伝動される。
【0027】
デフ軸32の回転は、ギヤ37からPTO出力軸41に遊嵌した二連ギヤ36a、36bを介して前輪駆動延長軸39にスプライン嵌合しているギヤ38に伝動され、このギヤ38が回転することで前輪駆動延長軸39を駆動する。
【0028】
前輪駆動延長軸39には、図3に示す如く、トラクタの旋回時に前輪を同速回転、或いは増速回転して駆動させる前輪増速クラッチ40を装着している。さらにこの前輪駆動延長軸39に中継軸48を介して、前輪駆動軸13に伝動すべく連結している。前輪増速クラッチ40については、油圧クラッチを切り換えて軸40aを経由して中継軸48を駆動する場合が増速である。
【0029】
図20は、バリエータ軸10の入力側にメイン入力軸14のギヤ15と係脱する副クラッチ126を設けて、トロイダル変速機構4が故障した時にこの副クラッチ126を入れてギヤ15から大径ギヤ16を介して走行駆動入力軸11に直接エンジンEの動力を伝動するようにして、故障時の機体移動を可能にした実施例である。
【0030】
次に、トロイダル変速機構4の詳細な説明を図4以降で説明する。
トロイダル変速機構4の概要は、前記の如く、バリエータ軸10に装着した入力ディスク4b、4bと出力ディスク4a、4aの間に摩擦ローラ5を設け、この摩擦ローラ5の傾倒角を変更することで入力ディスク4bの回転が摩擦ローラ5で加減速されて出力ディスク4aに伝動する構成である。
【0031】
図7に示すように、摩擦ローラ5は、ミッションケース1の一部を構成するフロントケース1aの右側面に取り付けたフルクラムプレート68に設ける摩擦ローラ支持アーム69の先端に枢支している。そして、前側の入出力ディスク4a,4bと後側の入出力ディスク4a,4bとの間にそれぞれ三個ずつ円周等配で設けている。
【0032】
図9に示すように、摩擦ローラ支持アーム69の一端側は球面ベアリングBを介してローラ支持部材51を支持しており、このローラ支持部材51で摩擦ローラ5を支持軸52で回転可能に支持している構成である。摩擦ローラ支持アーム69の他端側にはピストンロッド7が連結している。ピストンロッド7はフルクラムプレート68内のピストン96とともに往復移動する。
【0033】
フルクラムプレート68は、摩擦ローラ支持アーム69を枢支するボス部68aをフロントケース1a内に向けて突設すると共に、フルクラムプレート68の内部に摩擦ローラ支持アーム69を回動する作動シリンダ6を設け、この作動シリンダ6のピストン96に連結しているピストンロッド7を摩擦ローラ支持アーム69に枢着軸7aで枢着している。(図9を参照)
シリンダ孔55の部屋55a(図9参照)に油を送油すると、ピストン96とピストンロッド7は矢印96a方向に移動する。すると、摩擦ローラ支持アーム69と共に摩擦ローラ5が枢支軸72を支点として矢印96a方向に回転する。シリンダ孔55の部屋55bに油を送油すると逆の動きをする。
【0034】
図11のシリンダ孔55に対するピストン96の位置は、ギヤドニュートラル(GN)を示している。即ち、トロイダル変速機構4が回転を伝達しない位置であり、前進側と後進側の境界位置を示している。ピストン96が矢印P方向に移動すると、機体は後進する。また、ピストン96が矢印Q方向に移動すると、機体は低速前進する。このとき低速クラッチ65は入り状態のローレジウムである。
【0035】
ピストン96がフルクラムプレート68の端部68aまできた状態がローレジウムの最高回転数であるので、さらに機体を高速状態にしたい場合には、高速クラッチ64を入り状態としてハイレジウムにする。そして、ピストン96をS方向に移動していくと、高速の正転状態で加速していく構成である。
【0036】
トロイダル変速機構4の複数の摩擦ローラ5は同時に同じ方向へ傾くという変速動作をするので、フルクラムプレート68の表裏のいずれか一方側にピストンロッド7を伸び出しする前記油圧供給部屋55aを構成し、他方側にピストンロッド7を退避する前記油圧供給部屋55bを構成することで、オイル供給回路の構成を単純化できる。
【0037】
フルクラムプレート68の外側には作動シリンダ6のシリンダ孔55を塞ぐスペーサプレート70を取り付け、さらに、このスペーサプレート70の上側に油圧ブロック71を取り付けている。これらの部材をミッションケース1の側壁に重ねることで、ミッションケース1の下部に装着するものに比べて、機体後部に装着する作業機を駆動するPTO軸や、前輪駆動用の軸などへの配置に影響を与えることを防止できる。また、圃場面との距離が長くなるので、飛び跳ねてくる泥や石等の影響が少なくなる。
【0038】
図12は、フルクラムプレート68のスペーサプレート70との接合面を表し、この接合面側から加工したシリンダ孔55を囲んでオイルシールリング56,57を嵌め込む溝を形成している。図示の如く、接近した二つのシリンダ孔55を囲む溝は楕円形にして一個のオイルシールリング57でシールしている。また、シリンダ孔55の周囲にはスペーサプレート70との締付けに用いるボルトを捻じ込むネジ孔58を設けてオイルシールリング56,57の近くを締付けてシール性を良くしている。
【0039】
図13は、スペーサプレート70のフルクラムプレート68との接合面を表し、前記シリンダ孔55に対応する位置に、ピストンロッド7とピストン96を連結するボルト95の頭を逃がす逃し孔93を設けている。また、前記のネジ孔58に対応して締付けネジを貫通するネジ貫通孔59を逃し孔93の周囲に設けている。
【0040】
フルクラムプレート68のボス部68aに枢支軸72で枢支した摩擦ローラ支持アーム69の先端にジョイント73でローラ支持部材51を回動可能に支持している。このローラ支持部材51に支持軸52を介して摩擦ローラ5を回動可能に取付ける。
【0041】
図9に示す如く、ローラ支持部材51には、摩擦ローラ支持アーム69の枢支軸72へ供給されるオイルを油路54からジョイント73の導入油路53を通って流れ出る吐出口51aに通じる油路51bを設け、この油路51bから支持軸52と摩擦ローラ5の全周について潤滑する。54aはプラグである。
【0042】
図14は、作動シリンダ6の拡大図で、シリンダロッド7を摩擦ローラ支持アーム69に連結してシリンダロッド7の出入作動で摩擦ローラ支持アーム69を回動しているので、シリンダロッド7が出入作動に伴って僅かな首振りを行うので、シリンダロッド7に外嵌したシールリング106がシリンダ孔55に内嵌したシールリング受105に対して僅かな横スライドを許容するようにしている。
【0043】
上記構成の複数の摩擦ローラ5は、入出力ディスク4a,4bの対向面によって形成されるフルトロイダルキャビティ内でその進退位置を複数の作動シリンダ6によって調節することにより、複数の摩擦ローラ5の転動面の傾倒角に応じた変速比で無段変速伝動を行うのであるが、各摩擦ローラ支持アーム69の形状と長さ及びシリンダロッド7の長さは、シリンダロッド7の伸長及び短縮側への同一動作量で摩擦ローラ5が同じ傾倒角になるように決められている。
【0044】
また、ローラ支持部材51は、図10に示すように、ローラシュラウド50をねじ止めにより取付ける。このローラシュラウド50は、入出力ディスク4a,4bの間で進退動作に支障のない範囲で摩擦ローラ5・・・を覆うことにより、対向するディスク4a,4bの転動面を集中的に効率よく潤滑することができるようにオイルを導く。
【0045】
各摩擦ローラ5・・・の下側に油圧ポンプ74を設け、下方へ延ばした吸引パイプ75の先端に取り付けたサクションフィルタ76からオイルを吸引し、吐出パイプ77からフルクラムプレート68の内面に取り付けた油路78へオイルを供給し、油路78で各摩擦ローラ支持アーム69の枢支軸72へオイルを供給する。この吸引パイプ75は、図6に示す如く、フロントケース1aの底部に位置するサクションフィルタ76からPTO入力軸12と前輪駆動軸13を迂回して油圧ポンプ74に繋ぎ、吐出パイプ77を油路78(分配パイプ)に差し込んでいる。
【0046】
以上の構成で、前記エンジンEの回転をトロイダル変速機構4へ伝達し、このトロイダル変速機構4で変速する回転を高・低クラッチ30に伝動する。そしてこの高・低クラッチ30の低速クラッチを接続してトロイダル変速機構4の摩擦ローラ5の傾きを変更すると、出力回転を低速域内で逆転から正転に亘って無段階で変速する。この変速は作業車を対地作業に適した低速度で前後進する走行条件に適している。また高・低クラッチ30を高速にしてトロイダル変速機構4の摩擦ローラ5の傾きを変更すると、出力回転を高速域内で正転から逆転に亘って無段階で変速する。この変速は作業車が路上を移動する走行条件に適している。
【0047】
対地作業機を駆動するPTO出力軸41は、次のように伝動している。
前後隔壁2,3の内部で、前記トロイダル変速機構4の下部に軸架した走行駆動走行駆動入力軸11に固着した小径ギヤ部43をPTO入力軸12に固着したギヤ18と噛み合わせて、このPTO入力軸12の回転を後隔壁3の後部に設けるPTO軸変速機構44とPTOクラッチ45を介してPTO出力軸41に伝動している。PTO出力軸41の回転は、リアケース1c内に設けるPTO軸第二変速機構46で適宜の回転数に変速してPTO出力軸47に伝動する。また、PTO入力軸12に固着したギヤ115と油圧ポンプ74の入力軸に固着したギヤ116を噛み合わせて油圧ポンプ74を駆動している。
【0048】
トロイダル変速機構4の油圧制御系は、図4のシステム系統図に示すように、各摩擦ローラ5・・・を進退駆動する複動型の作動シリンダ6・・・を備え、かつ、それぞれの摩擦ローラ支持アーム69・・・に形成した油路54を介して専用オイルを摩擦ローラ5・・・へ供給し、入力ディスク4bと出力ディスク4aとの間の摩擦伝動を確保しつつ潤滑と冷却を行うとともに、各作動シリンダ6・・・による摩擦ローラ5・・・の進退駆動とバリエータ軸10の軸端入力によるエンドロード圧とを制御する。これらのオイルはフロントケース1a内に溜めたトロイダル変速専用オイルで循環して使用する。これにより、トロイダル変速機構4に用いるオイルを一般的に使うミッションケース1内に溜めるオイルと分離して溜めることが出来て、オイル循環でトロイダル変速機構4を効果的に冷却できるようになる。
【0049】
詳細には、複数の摩擦ローラ5の複数の作動シリンダ6は、すべてを並列に油圧接続してフルクラムプレート68のピストンロッド7の伸び出し側および退避側の作用油圧をそれぞれ制御する2つの油圧供給制御部を有する。このように、複数の作動シリンダ6のピストンロッド7を同時に伸び出し及び退避させるように駆動する油圧供給路を構成するにあたり、フルクラムプレート68の表裏のいずれか一方側に伸び出し側の供給路を構成し、他方側に退避側の供給路を構成する。これにより、複数の摩擦ローラ5を同時に同じ方向へ傾けるような変速動作の場合について、圧力オイル供給回路の構成を単純化できるようになる。
【0050】
サクションフィルタ76を通ってポンプ74で吸引されたオイルは再度目の細かいフィルタ85を通って鉄粉などの異物を除かれて、メインリリーフ弁9aで圧を調整され、前記の油圧制御部へ送られる流れと、摩擦ローラ5の潤滑と電磁バルブ97への流れに分岐する。
【0051】
電磁バルブ97への流れは、リリーフ弁99とアキュムレータ98で圧を一定に保持されて摩擦ローラ5の潤滑と冷却に使われる。
油圧制御部へ送られる流れは、チェック弁86を通って、アキュムレータ84で圧を安定して作動シリンダ6の伸長側および短縮側の制御部と入出力ディスク4a,4bの圧力制御用に分岐される。
【0052】
作動シリンダ6の伸長側油圧回路は、変速比によって電流値で制御される電磁減圧弁90と送油方向を切換えるパイロット弁89とアキュムレータ92と圧油の脈動を吸収して流量を絞るモード1ダンパ101で構成され、作動シリンダ6の短縮側油圧回路は、同じく、電磁減圧弁88とパイロット弁87とアキュムレータ91とモード1ダンパ100で構成されている。各作動シリンダ6の供給直前にモード3ダンパ107を設けてさらに油圧の安定を図っている。
【0053】
作動シリンダ6の短縮側の圧力S1は電磁バルブ88とチェック弁87で調整され、作動シリンダ6の伸長側の圧力S2は電磁バルブ90とチェック弁98で調整される。こちら側にもモード3ダンパ108を設けてさらに油圧の安定を図っている。
【0054】
また、入出力ディスク4a,4bの圧力制御用回路にはリリーフ弁104と二つのシャトル弁79,80により直接の圧力と前記短縮側圧力S1と伸長側の圧力S2の高い方の流れを変速部のエンドロード圧としてディスク圧供給部117へ供給するように構成することにより、摩擦ローラ5・・・の傾斜動作による速度変更と対応してエンドロード圧を制御して各摩擦ローラ5・・・の転動接触圧を調整する。
【0055】
さらに、各作動シリンダ6には伸長側と短縮側のエアー抜き路109,110を設けて、このエアー抜き路109,110をフロントケース1aの前記フルクラムプレート68の取付側と反対側の底部に設けるエアーパージ弁102とアンチキャビテーションチェック弁103に繋いでいる。
【0056】
54bは潤滑回路であり、図9に示す油路54に油を送って潤滑する構成としている。
なお、図5において、82はブレーキペダルとブレーキを繋ぐリンクの中継アームでスペーサプレート70に枢支する支軸83で支持している。
【0057】
図19は、車速とバリエータ比との関係を示している。横軸が車速(kph)であり、縦軸がバリエータ比である。Lは前述したローレジウムであり、低速側クラッチ65が入り状態の速度範囲を示している。Hは前述したハイレジウムであり、高速側クラッチ64が入り状態の速度範囲を示している。GNはギヤドニュートラルであり、速度がゼロの位置である。Sはシンク位置であり、低速側クラッチ65と高速側クラッチ64の切り換え点である。このシンクS位置でのクラッチを切り換える直前において、油圧回路内に背圧をかけることでクラッチの切換ショックを防止できるようになる。この背圧のレベルは、低速側クラッチ65又は高速側クラッチ64の大きさに比例して決定するようにする。
【0058】
機体を停車するときにはギヤドニュートラルGNに制御するが、トラクタが一定時間走行しない場合は低速側クラッチ65への油圧を送らないようにすることで、機体停止中の無駄なエネルギ消費を抑制できる。車速センサからの信号により機体が停止しない場合には、再度ギヤドニュートラルGN制御で機体を停止させるようにする。
【0059】
尚、バリエータ比は、エンジン回転数によってその変化率を異にしている。
図21に自動制御のセンサ信号の読み込みとトロイダル変速機構4等への制御出力信号を示す。
【0060】
本機コントローラ126への入力信号は、旋回角センサ130から前輪20の車体前方に対する傾きすなわち旋回角、アクセルペダルの踏み込み程度を検出するアクセルペダルセンサ128の信号、車速設定ダイヤル129の走行速度設定値、アキュムレータ91とアキュムレータ92とアキュムレータ98の蓄積圧、クラッチペダルセンサ131の踏み込み信号、油温センサ132からのミッションケース1内のオイル温度、作動シリンダ6の短縮側シリンダ圧力センサ133と伸長側シリンダ圧力センサ134の検出圧力、クラッチH圧力センサ135による高速側クラッチ64の圧力、クラッチL圧力センサ136による低速側クラッチ65の圧力である。
【0061】
さらに、本機コントローラ126への入力信号は、リニアレバーセンサ137から前後進切換信号、左右ブレーキペダルセンサ138からブレーキ踏み込み信号、作業モード切換スイッチ139から設定作業モード、緊急停止スイッチ140から停止信号、パーキングスイッチ141から停止信号、ブレーキ連結スイッチ142から左右ブレーキペダルの連結信号、PTOスイッチ143からPTO出力軸47のオン・オフ信号、増減速スイッチ144から走行速度の増減速信号、走行モード切換スイッチ145から設定走行モード信号、スロットルセンサ146からスロットルの開閉信号、エンジン回転センサ147からエンジンEの回転数、バリエータ入力回転センサ149からトロイダル変速機構4の入力ディスク4bの回転数、バリエータ出力回転センサ148からトロイダル変速機構4の出力ディスク4aの回転数、車速センサ150からトラクタの走行速度、PTO回転センサ151からPTO出力軸47の回転数がそれぞれ入力する。
【0062】
本機コントローラ126からの出力制御信号は、表示器154への設定走行速度と設定旋回速度等、短縮側シリンダソレノイド155と伸長側シリンダソレノイド156への伸縮信号、高・低クラッチ30を作動するHクラッチソレノイド157とLクラッチソレノイド158への作動信号、PTOクラッチソレノイド159へのオン・オフ信号である。
【0063】
また、作業機コントローラ127とのデータ交信が行われる。なお、本機コントローラ126が故障で制御を停止した場合には、この作業機コントローラ127も本機コントローラ126に連動して制御を停止するようにする。
【0064】
図22は、車速設定ダイヤル129で車速を定常設定速度S1に設定してトロイダル変速機構4を一定変速比に設定する定車速オモードにした場合の制御フローチャートで、ステップS1で作業走行中に、ステップS2で旋回操作を行って、ステップS3で定車速モードであるかの判定を行い、YESであればステップS4でタイヤの旋回角度が前旋回角(30°)以上になったかを判定し、前旋回角(30°)以上であればステップS5で設定車速を増加設定速度S2(5km/h)に変更し、前旋回角(30°)以上でなければステップS6で設定車速を定常設定速度S1のままにする。この制御で、急旋回時に走行速度が急激に低下してもたつくのを防ぐことが出来る。
【0065】
図23は、定車速モードで旋回戻し操作を行った場合の制御フローチャートで、ステップS11で前記の旋回操作を行った後で、ステップS12で旋回戻し操作を行って、ステップS13で定車速モードであるかの判定を行い、YESであればステップS14でタイヤの旋回角度が40°以下になったかを判定し、40°以下であればステップS15で設定車速を定常設定速度S1に変更し、40°以下でなければステップS16で設定車速を増加設定速度S2のままとする。この制御で、急旋回が終了して急加速で直進するのを防ぐことが出来る。
【0066】
旋回時に設定車速を上昇させる手段として、急旋回が開始されると設定車速を一定時間増加設定速度S2に上昇してその後に元の定常設定速度S1に戻すようにすることも出来る。
【0067】
旋回時の増加設定速度S2は、前記の如く一定の速度以外に、旋回直前の走行速度に対して一定割合で増加させても良く、オペレータが任意の車速に設定できるようにしても良い。
【0068】
尚、定車速モードで旋回を検出する手段として作業機の上昇で判定し、作業機を上昇させると増加設定速度S2に上昇し、一定時間後或いはステアリングハンドル122の切れ角が戻るに従って、設定車速を元の定常設定速度S1に戻すようにすることも出来る。
【0069】
制御フローチャートの表示を省略するが、作業モード切換スイッチ139でロータリモードを選択した場合で後進中にクラッチペダルの踏み込みをクラッチペダルセンサ131が感知すると、クラッチペダルの踏み込みを深くすると走行速度を減速するようにして、枕地でのロータリ位置合わせを容易にする。
【0070】
また、作業モード切換スイッチ139でロータリモードを選択した場合、作業機昇降レバーの位置或いはリフトアームの位置で作業機の上昇に比例して走行速度を速くする制御を行って、枕地でのロータリ位置合わせを容易にする。
【0071】
また、左右ブレーキペダルセンサ138でブレーキペダルの踏み込み速度を検出して、踏み込み速度が速いほど減速を速くし、作業モードであればモードをキャンセルして停止する制御を行う。ブレーキペダルの踏み込み速度は、ブレーキロッドに設ける動歪センサやブレーキシリンダの圧力センサで検出し、減速は制動トルクを生じさせる。なお、左右ブレーキペダルセンサ138の踏み込み時間を検出して踏み込み時間が長くなるほど制動トルクを強くしても良い。
【0072】
アクセルペダルセンサ128は、アクセルペダルの踏み込み程度と踏み込み速度を検出し、走行モードの選択時に、エンジン回転とトロイダル変速機構4の変速を行うようにする。アクセルペダルを踏み続けて制限速度に達すると、エンジン回転を低下させてトロイダル変速機構4を高速に変速させて制限速度を維持するようにする。
【0073】
定速制御時には、アクセルペダルの踏み込み時間に応じて大きく二次関数的に増速率を変化させ、発進ショックを少なくする。
定速制御時には、急旋回が行われたり、左右ブレーキペダルセンサ138の両方或はどちらかが踏み込みを検出したりすると、通常のブレーキ作用よりも強くブレーキ作用が働くようにする。
【0074】
尚、定速制御時に左右ブレーキペダルセンサ138を同時に踏み込むと、踏み込み中は設定車速を零にして走行を停止する。
定速制御時には、リニアレバーセンサ137で前後進レバーが中立になったことを検出すると、低速側クラッチ65の接続を維持し、設定車速を零にして、前後進レバーの前後進が迅速に行われるようにする。
【0075】
トルク制御時に、アクセルペダルの踏み込みに対する速度増加率で牽引負荷を検出して記憶し、アクセルペダルの戻し時に速度増加率と同じ割合で速度を低下させることで、エンジンブレーキ的な作用を生じさせる。この時に、車体の前後傾斜角を検出し、下り傾斜走行時にその時の車体傾斜角で算出される牽引負荷を加味して、速度低下率を変更しても良い。
【0076】
図24は、作業機の昇降とトラクタの走行を関連させた自動制御で、ステップS20でPTO自動モードであるかを判定し、YESであればステップS21で作業機下降制御であるかを判定し、YESであればステップS22で低速側クラッチ65がオンであるかを判定し、YESであればステップS23でPTOクラッチ45をオンして作業走行を行う。ステップS20とステップS21とステップS22の判定がNOであればPTOクラッチ45をオンしない。この制御で、トラクタをニュートラルモードしているときに作業機が降下して突然走行するタ゛ッシングを防止出来る。
【0077】
トレーラ等の重量の重いものを牽引している場合や下り坂等では車速が速くなって、バリエータ比が追従できないところまでバリエータ比が変化して、高・低クラッチ30が切り換えられなくなる場合がある。このような場合には、図19のバリエータ比の限界値(OD値)でバリエータ比を止める信号を出し、ブザーや警告表示で警報を出力する。また、ローレジウムで加速するとき、sync値にくるとハイレジウムに切り替えてsync値を元の方向に戻すようにするが、故障などで元の方向に戻らずにそのまま直線の延長線上に向って行ってしまうことがあると、バリエータ比をsync値で保留する。また、ハイレジウムから減速する場合も同様に制御する。
【0078】
また、前記の車速が速くなってバリエータ比が追従できないところまでバリエータ比が変化する場合には、バリエータ比が追従可能なエンジン回転数までエンジンEの回転を上昇させる制御を行うことも出来る。この場合に、エンジン回転を上昇させるかどうかを選択するスイッチを設けて、オペレータが任意に選択できるようにする。
【0079】
さらに、後進時には、オーバードライブ減速比と現在の減速比との差を算出し、その差に応じてギヤドニュートラル側への油圧力を所定減速比まで比例的に増やして滑らかに増速させ、その後油圧力を減らしてバリエータの変速を停止する。なお、このギヤドニュートラル側への油圧力増加は、アクセルペダルの踏み込み速度によって変え、早く踏み込むと最初に増加率を大きくするようにしても良い。
【符号の説明】
【0080】
E エンジン
8 走行装置
130 旋回角センサ
T1 定速度
T2 増速度
α 前旋回角
β 終旋回角
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(E)が適宜回転数でトロイダル変速機構(4)の変速比を一定に固定して走行する定車速モードと左右走行装置(8)の旋回角を検出する旋回角検出手段(130)を設け、設定速度を定速度(T1)に設定して定車速モードで走行中に旋回を行うときにおいて、旋回内側のブレーキ作動が始まる直前の前旋回角(α)で設定速度を増速度(T2)に変更し、旋回内側のブレーキ作動が終了する直前の終旋回角(β)で設定速度を元の定速度(T1)に変更するように制御してなる作業車の走行制御装置。
【請求項1】
エンジン(E)が適宜回転数でトロイダル変速機構(4)の変速比を一定に固定して走行する定車速モードと左右走行装置(8)の旋回角を検出する旋回角検出手段(130)を設け、設定速度を定速度(T1)に設定して定車速モードで走行中に旋回を行うときにおいて、旋回内側のブレーキ作動が始まる直前の前旋回角(α)で設定速度を増速度(T2)に変更し、旋回内側のブレーキ作動が終了する直前の終旋回角(β)で設定速度を元の定速度(T1)に変更するように制御してなる作業車の走行制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2010−254139(P2010−254139A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106643(P2009−106643)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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