半導体薄膜素子の製造方法並びに半導体ウエハ、及び、半導体薄膜素子
【課題】Si結晶層上に半導体素子を備えたSi以外の半導体単結晶層を備えた半導体薄膜素子の製造方法並びに半導体ウエハ、及び、半導体薄膜素子を提供する。
【解決手段】Si(111)基板(第1の基板)101の表面にバッファ層102と半導体単結晶層103とを順次形成する第1の工程と、半導体単結晶層101aとバッファ層102aとSi(111)基板の所定の厚さ部分102bとを含む分離島150を形成する第2の工程と、分離島の表面を覆う被覆層200を形成する第3の工程と、被覆層をマスクに前記Si(111)基板をSi(111)面に沿ってエッチングして剥離する第4の工程と、分離島の剥離面を別の基板(第2の基板)201の表面に接合する第5の工程とを備える。
【解決手段】Si(111)基板(第1の基板)101の表面にバッファ層102と半導体単結晶層103とを順次形成する第1の工程と、半導体単結晶層101aとバッファ層102aとSi(111)基板の所定の厚さ部分102bとを含む分離島150を形成する第2の工程と、分離島の表面を覆う被覆層200を形成する第3の工程と、被覆層をマスクに前記Si(111)基板をSi(111)面に沿ってエッチングして剥離する第4の工程と、分離島の剥離面を別の基板(第2の基板)201の表面に接合する第5の工程とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体薄膜素子の製造方法並びに半導体ウエハ、及び、半導体薄膜素子に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化物半導体デバイスやSiC半導体デバイスは、放熱性や優れた特性を目的として、Si基板上に形成されたものが開示されている。特許文献1には、Si基板(Si(100)基板)表面に多孔質Si層を形成し、多孔質Si層上にBPバッファ層を形成し、さらに、GaN/AlGaN層を形成し、最表面にAl/Tiを形成した後、最表面のAl/Ti層を別のSi基板に接合した後、多孔質Si層を境にSi基板から分離する技術が開示されている。さらに、BP層、GaN層を除去して最上層にTi/Al/Pt電極を形成する、技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−129876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記形態では、Si基板上に形成したAlGaN層上にAl/Ti層を形成し、Al/Ti層を別のSi基板に接合し、AlGaN層を形成したSi基板(成長基板〉を除去し、さらに、研磨によってバッファ層を除去し、電極を形成するため、別のSi基板上に接合する半導体層の層構造は、成長基板上の半導体の層構造と上下が反転する。
【0005】
したがって、この形態では、素子構造によっては素子形成ができない。さらに、この形態では、成長基板上に形成した素子を別の基板へ接合することも困難である。半導体層を別の基板に接合した後に、素子を形成する場合にも、素子形成プロセスで高温に加熱する工程がある場合には、例えば、Al/Ti層とSiとの間の接合で信頼性が確保できない。一方、窒化物半導体層やSiCでは材料の特性から、不純物を高濃度にドーピングしたとしても高い活性化率を得ることが困難なため金属電極層との低抵抗コンタクト形成が困難である。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、Si結晶層上に半導体素子を備えたSi以外の半導体単結晶層を備えた半導体薄膜素子の製造方法並びに半導体ウエハ、及び、半導体薄膜素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の半導体薄膜素子の製造方法は、Si(111)基板(第1の基板)の表面にバッファ層と半導体単結晶層とを順次形成する第1の工程と、前記半導体単結晶層と前記バッファ層と前記Si(111)基板の所定の厚さ部分とを含む分離島を形成する第2の工程と、前記分離島の表面を覆う被覆層を形成する第3の工程と、前記被覆層をマスクに前記Si(111)基板をSi(111)面に沿ってエッチングして剥離する第4の工程と、前記分離島の剥離面を別の基板(第2の基板)の表面に接合する第5の工程とを備えることを特徴とする。
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の半導体ウエハは、Si(111)面をその表裏とするSi(111)層とバッファ層と半導体単結晶層とが順次形成された積層体と、基板とが、前記Si(111)層の裏面で接合されていることを特徴とする。
【0009】
さらに、前記目的を達成するために、本発明の半導体薄膜素子は、Si(111)面をその表裏とするSi(111)層の表面に、半導体素子を備えたSi以外の半導体材料の半導体単結晶層を備え、前記Si(111)層の裏面を接合面として、基板の表面又は前記基板の表面に設けられた接合層の表面に接合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、Si結晶層上に半導体素子を備えたSi以外の半導体単結晶層を備えた半導体薄膜素子を提供することができる。
したがって、成長基板側の半導体層表面を分子間力接合によって別の基板上に接合することができる。また、成長基板側の半導体層表面を分子間力接合によって別の基板上に形成した金属層に直接密着させ接合し固定させ、接合した金属層と低抵抗コンタクトを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態における基板及び結晶成長層の構成を説明するための断面図である。
【図2】第1の実施形態の窒化物半導体層の具体的構成例(その1:発光デバイス)を説明するための断面図である。
【図3】第1の実施形態の窒化物半導体層の具体的構成例(その2:受光デバイス)を説明するための断面図である。
【図4】第1の実施形態の窒化物半導体層の具体的構成例(その3:電子デバイス)を説明するための断面図である。
【図5】第1の実施形態の窒化物半導体層の具体的構成例(その4:欠陥低減層)を説明するための断面図である。
【図6】第1の実施形態における分離島の形成工程乃至剥離工程を説明するための工程断面図である。
【図7】第1の実施形態における分離島の接合工程を説明するための工程断面図である。
【図8】第1の実施形態の製造方法を説明するための主な製造工程のフローチャートを示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態における基板及び結晶成長層の構成を説明するための断面図である。
【図10】第2の実施形態における分離島の形成工程、剥離工程、及び、接合工程を説明するための工程断面図である。
【図11】第2の実施形態における結晶成長層の構成に変形例(その1)を示す断面図である。
【図12】第2の実施形態における結晶成長層の構成に変形例(その2)を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の半導体薄膜素子の製造方法並びに半導体ウエハ、及び、半導体薄膜素子について、図1乃至図12を参照して、第1の実施形態乃至第2の実施形態を説明する。なお、これらの図は、本発明の実施形態を概略的に示したものであり、各構成部分の形状や寸法の関係等は、本発明の技術的範囲を何ら限定するものではない。また、実施形態を説明するにあたり、同様な構成又は機能を示す部位については、同様の符号を付し、その説明の重複を省略することもある。
【0013】
(第1の実施形態)
図1乃至図8は、本発明の第1の実施形態を示す図である。以下、これらの図を参照しながら本実施形態を説明する。
【0014】
図1(a)乃至図1(b)に示すように、第1の基板としてSi(111)基板101を用意する。そして、このSi(111)基板101の表面にバッファ層102、窒化物半導体層103を順次形成する。
【0015】
ここで、Si(111)基板とは、Si基板の主面の結晶面の面方位が(111)面であることを意味する。そして、本実施形態では、Si(111)基板101の主面の結晶面方位が厳密な(111)面(以下、(111)ジャスト面と称す)から傾斜している場合も含むことができる。
【0016】
まず、図1(a)に示すように、Si(111)基板101の表面に、窒化物半導体層103を形成するためのバッファ層102を形成する。バッファ層102は、AlxGa1−xN(0≦x≦1)、InxGa1−xN(0≦x≦1)、及び、AlxIn1−xN(0≦x≦1)から選択される半導体材料である。
【0017】
後記する分離島150を、第2の基板201上の接合層210の表面に接合する際に、分離島150の剥離面Aと接合層210の表面とがオーミック接触となるように形成させる場合には、第1の基板であるSi(111)基板101は、低抵抗基板であることが望ましい。また、バッファ層102は、高濃度の不純物がドーピングされるように形成することが望ましく、さらに、これらバッファ層102とSi(111)基板101の導電型は、同一であることが望ましい。
【0018】
ここで、低抵抗基板とは、基板の体積抵抗率値が0.01Ω・cm以下の基板であることを意味する。また、バッファ層102の不純物濃度が高濃度であるとは、例えば、不純物濃度が1×1018cm−3以上の不純物濃度あるいはキャリア濃度であることを意味する。
【0019】
そして、図1(b)に示すように、バッファ層102の表面に、半導体単結晶層である窒化物半導体層103を形成する。窒化物半導体層103は、窒化物発光デバイスや窒化物電子デバイスを形成する半導体単結晶層である。各デバイスを作製するための窒化物半導体層103の具体的構成の例を、図2乃至図5を参照して説明する。
【0020】
図2(a)乃至図2(c)は、発光デバイスの具体例であり、図3(a)及び図3(b)は、受光デバイスの具体例、図4(a)及び図4(b)は、電子デバイスの具体例、そして、図5は、基板と半導体層結晶成長層界面からデバイス動作層に貫通する結晶欠陥を低減させる構造を備える発光デバイスを説明するための構成例である。
【0021】
図2は、発光デバイスの具体例であって、図2(a)では、第1導電型GaN層502、第1導電型AlsGa1−sN(1≧s≧0)層503、多重量子井戸層504で、例えば、GayIn1−yN/GazIn1−zN/・・・/GaxIn1−xN/GayIn1−yN/GaxIn1−xN(1≧y>x≧0)、第2導電型AltGa1−tN(1≧t≧0)層505、第2導電型GaN層506とすることができる。第1導電型は、バッファ層102の導電型と同一の導電型とする。例えば、第1導電型をn型とし、第2導電型をp型とする。また、図2(b)のように、第1導電型AlsGa1−sN(1≧s≧0)層503を省略することもできる。また、図2(c)では、第1導電型GaN層602、GaxIn1−xN(1≧x≧0)層603、第2導電型AlyGa1−yN(1≧y≧0)層604、第2導電型GaN層605である。
【0022】
図3の受光デバイスの具体例として、図3(a)は、いわゆる、pinフォトダイオードの具体例で、第1導電型AlxGa1−xN(1≧x≧0)層702、i型AlyGa1−yN(1≧y≧0)層703、第2導電型AlxGa1−xN(1≧x≧0)層704である。そして、図3(b)は、フォトトランジスタの具体例で、n+型AlxGa1−xN(1≧x≧0)層802、n-型AlyGa1−yN(1≧y≧0)層803、p型GaN層804、p+型GaN層805である。
【0023】
図4の電子デバイスでは、図4(a)は、HEMT(High Electron Mobility Transistor:高電子移動度トランジスタ)の具体例で、アンドープGaN層902、AlxGa1−xN(1≧x≧0)層903、n型GaN層904である。そして、図4(b)は、MESFET(Meta1 Semiconductor Field Effect Transistor)の具体例で、アンドープGaN層1002、第1導電型GaN層1003である。
【0024】
さらに、図5に示すように、図2(a)乃至図2(b)の発光デバイスにおける窒化物半導体層103の構成に、SiO2やSiN等の島状パターン1110を設け、GaN層1120を形成した欠陥低減層1101を設けることによって、SiO2やSiN等の島状パターン1110を設けた領域よりも上層側の半導体層に欠陥を貫通させない構造を形成することができる。この欠陥低減層1101は、島状パターン1110上にGaN層1120をオーバグロースさせる横方向エピタキシにより、貫通転位を成長厚み方向に対して水平方向に向け上層の結晶層への転位の貫通を抑制して欠陥を低減させる効果を利用したものである。
【0025】
次に、図6(a)乃至図6(c)を参照して、Si(111)基板101の表面に形成した、バッファ層102aと窒化物半導体層103aと第1の基板であるSi(111)基板101の所定の厚さ部分101bとを含む分離島150を被覆層200で被覆し、露出しているSi(111)基板101をSi(111)面に沿ってエッチングして、分離島150をSi(111)基板101から剥離する工程について説明する。
【0026】
まず、図6(a)に示すように、窒化物半導体層103a、バッフファ層102a、及び、所定のSi基板101の表面側の所定の厚さの部分(101a、及び101b)とを含みパターン形成し、分離島150を形成する。この分離島150の形成は、ドライエッチング法を使うことができる。
【0027】
次に、図6(b)及び図6(c)に示すように、分離島150の下面のSi(111)基板101の表面側の一部101aを、Si(111)面に沿ってエッチングする。このエッチング工程でのエッチング特性を決定するSi(111)基板101の面方位が、前記した(111)ジャストから傾斜していてもよい。このエッチングの際には、分離島150は被覆層200で被覆されていることが好適である。Si(111)基板101を、(111)面に沿ってエッチングするために、異方性エッチング液に浸漬する。Si(111)基板101を異方性エッチング液に浸漬する工程に先立って、分離島150の第1の支持体、及び、各分離島150を連結する第2の支持体等を設けることもできる(図示せず)。
【0028】
エッチング液は、Si(111)基板101の異方性エッチング液を用いることが好適である。ここで、Siのエッチングの異方性とは、Siの結晶面の方位によってエッチング速度が異なるエッチングを意味する。本実施形態では、図6(b)の白矢印で示したように、Si(111)基板の面方位である(111)面に沿った水平方向のエッチング速度が、(111)面に対して垂直方向のエッチング速度がほとんど無視できる程度に、格段に速い速度でエッチングされる。この異方性エッチング液として、KOHやTMAH(Tetra-Methy1-Ammonium-Hydroxide)から選択される薬剤を含むエッチング液が好適である。また、好適ではないが、Si(111)面の異方性エッチング液として、EDP(エチレンジアミンピロテコール)を使うこともできる。
【0029】
また、分離島150を被覆する被覆層200は、絶縁膜で形成することができる。この被覆層200は、上記異方性エッチング液に対して、十分な耐性を備えることが望ましい。そして、被覆層200は、例えば、SiN膜、SiO2膜、SiON膜、A12O3膜、AlN膜、PSG膜、BSG膜から選択される1種類又は複数種類の材料とすることができる。これらの膜は、P−CVD法、CVD法、スパッタ法等の成膜方法を適宜選択することによって成膜することができる。さらに、これらの膜はスピン・オン・ガラス(SOG)等の塗布法やその他の印刷方法によって形成するものであってもよい。さらにまた、被覆層200は、無機材料の他、有機材料からなる膜を含んでいてもよい。被覆層200が有機材料膜を含む場合には、上記異方性エッチング液に対して耐性を持たせるため、その表面を前記無機絶縁膜材料でさらに被覆することができる。
【0030】
発明者は、Si(111)基板101をSi(111)面の異方性エッチング液を使ってSi(111)面に沿ってエッチングして、分離島150を剥離することによって、分離島150の剥離面A(図6(c)参照)において、平坦性に優れた平坦面が得られていることを、原子間力顕微鏡(AFM)を用いた測定結果により確認した。
【0031】
測定結果は、5μm平方の領域で、Si(111)基板101から剥離したSi(111)基板101の所定の厚さ部分101bの剥離面Aの平坦性(頂上−谷の粗さ(peak-to-valley粗さ):RPV)は、短周期の凹凸の高低さで、RPV≦0.5nm、長周期の凹凸の高低差でRPV≦1.6nm(凹凸の傾斜で1/2000以下)と、接合面同士をナノメータオーダで近接させることができるのに十分な平坦性であることを確認した。
【0032】
次に、図7(a)乃至図7(c)を参照して、Si(111)基板101から剥離した分離島150を第2の基板201の表面に接合する工程を説明する。
【0033】
図7(a)に示したように、表面に接合層210を形成した第2の基板201を用意する。この接合層210は、例えば、良好な接合状態を実現するための層である。ここで良好な接合状態とは、接合面内で接合強度が均一であり、接合界面にヴォイドの発生や、接合した場合に、接合面同士にクラックの発生がないことを意味している。
【0034】
本実施形態では、前記したように、接合する分離島150の剥離面Aと接合層210の表面との間で低抵抗なオーミック接触を形成する具体例を示している。接合する分離島150のSi(111)基板101の所定の厚さ部分101bと接合層210の間で低抵抗なオーミック接触を形成する場合には、接合する分離島150の剥離面Aが高濃度に不純物ドープされており、且つ、ドープされた不純物が電気的に活性化されていることが望ましい。
【0035】
一方、接合する分離島150の剥離面Aが窒化物半導体、例えば、AlN層のような窒化物半導体層の場合には、n型不純物(例えば、Si)を高濃度にドーピングしてもドーピングした不純物の活性化率が低いため、実効的なキャリア濃度を高くすることができず、低抵抗のオーミック接触を得る要件を満たさない。具体的には、例えば、n型のAlN層に不純物として、Siを1×1018cm−3以上の高濃度ドープをした場合であっても、キャリア濃度が高くならず、例えば、1×1017cm−3ということもあり得る。
【0036】
本実施形態では、接合する分離島150の構造は、前記したように、窒化物半導体層103とバッファ層102と、Si(111)基板の所定の厚さ部分101bとを備えて構成されている。したがって、Si(111)基板の所定の厚さ部分101bは、Si(111)基板から構成されていることから、例えば、Si(111)基板の所定の厚さ部分101bの体積抵抗率値を0.01Ω・cm以下と小さくすることは、所望の抵抗率を有するSi(111)基板を第1の基板として選定することにより容易に行うことができる。そのため、本実施形態では、低抵抗のオーミック接触を実現するために低い体積抵抗率値を有する、Si(111)基板の所定の厚さ部分101bを有する分離島150を備えることが特徴である。
【0037】
そして、接合工程として、接合層210を金属層とする場合、Ni、Ti、Cr、Pd、Al、Cuから選択される金属を含む単層、積層、合金層とすることができる。また、この接合層210を金属層としない形態とする場合には、例えば、SiN、SiON、SiO2、Al2O3、AlN等の絶縁膜材料層や、ダイモンドライクカーボン層等のCを含む材料層、ITO、ZnO等の酸化物材料層や透明導電性材料層、ポリイミド、BCB等の有機材料層や有機導電性材料層等とすることができる。
【0038】
第2の基板201は、Si基板、GaAs基板、GaP基板、InP基板等の化合物半導体基板、GaN基板、AlN基板、AlxGa1−xN(1≧x≧0)基板、InxGa1−xN(1≧x≧0)基板、AlxIn1−xN(1≧x≧0)基板等の窒化物半導体基板、ガラス基板、石英基板、 AlNやPBN等のセラミックス基板、サファイア基板、LiNb3、MgO、GaO3等の酸化物基板、PETやPEN等のプラスチック基板、ステンレス、ニッケル、銅、真鍮、アルミニウム等の金属基板、金属基板上にニッケルや銅をメッキしたメッキ金属基板、ダイヤモンド基板、ダイヤモンド・ライク・カーボン基板等である。
【0039】
また、第2の基板201の表面に接合層210を設けずに、直接接合する形態も可能である。この場合の接合では、接着剤を使わずに接合面同士を直接密着させ接合し固定する。例えば、接合面同士を少なくともナノメータオーダ、すなわち、10nm以内に近接させて、接合面間に働く分子間力を使った接合を行う。分子間力を使った接合の他、接合界面間で共有結合等の結合を形成する接合、静電的相互作用による接合、接合界面での合金形成等の原子再配列を伴う相互作用による接合、あるいは、接着剤を使った接合とすることもできる。接着剤として、例えば、半田ペースト、Agペースト、熱硬化接着剤、UV硬化接着剤、粘着剤、ポリイミド、BCB等の有機塗布材料を利用することもできる。
【0040】
また、分子間力を使った接合を実現するため、接合層210及び分離島150の接合表面のクリーニングや活性化表面処理を行った後に、分離島150を接合層210の表面に、分離島150を第2の基板201上の接合層210の表面に接合(B)する(図7(b)、図7(c))。接合する材料の特性にしたがって、加圧・密着させる際に加熱工程を備えることもできる。
【0041】
なお、図8に、本発明の第1の実施形態を説明するための主な製造工程のフローチャートを示す。主な製造工程は、Si(111)基板の表面にバッファ層と窒化物半導体層とを形成する(ステップS1)、窒化物半導体層とバッファ層とSi(111)基板の一部とを含む分離島を形成し、その表面を被覆層で被覆する(ステップS2)、Si(111)基板表面の露出領域を(111)面に沿ってエッチングして、分離島をSi(111)基板から剥離する(ステップS3)、そして、剥離した分離島を第2の基板の表面に接合する(ステップS4)、である。
【0042】
接合する分離島150の剥離面Aは、前記したように、RPV≦0.5nmと極めて平坦であるので、接合工程においては、接合面同士をナノメータオーダで近接させることができ、接合面間で作用する分子間力を大きくすることができる。本実施形態の接合工程では、接合面同士を直接密着させ強固に接合し固定することができる。例えば、接合面間に働く分子間力によって強固な接合を実現することができる。
【0043】
分離島150を、第2の基板201の表面に接合した後、適宜必要に応じて、支持体の除去、被覆層の除去等を行う。分離島150は、第1の基板であるSi(111)基板101から剥離する前に、所定のデバイス構造又は所定のデバイス構造の一部を備えていてもよい。分離島150を第2の基板に接合する前に、第2の基板上にデバイス構造や配線層等のデバイス要素を形成してあって、分離島150を第2の基板に接合した後に、第2の基板上のデバイスや配線層と電気的あるいは光学的に接続することによって集積素子を形成してもよい。また、複数の分離島150を第2の基板に接合して、相互配線によって接続することによって集積素子を構成してもよい。
【0044】
本発明の第1の実施形態によれば、第1の基板としてのSi(111)基板の表面にバッファ層と窒化物半導体層とを形成する工程と、そのバッファ層の下面のSi(111)基板の所定の厚さ部分とを含む分離島を形成する工程と、この分離島の表面を覆う被覆層を形成する工程と、この被覆層をマスクに分離島の下面をSi(111)面に沿ってエッチングして剥離する工程と、分離島の剥離面を第2の基板の表面に分子間力接合する工程を備えるので以下の効果を奏する。
(1)剥離するための犠牲層を設ける必要がないので、製造工程が簡略化できる。
(2)平坦性のよい剥離面が得られるので、分子間力接合が可能となる。
(3)接合する分離島の剥離面のキャリア濃度を高濃度にすることができるので、金属層上に接合することで、低抵抗のオーミック接触を容易に形成する行うことができる。
(4)Si(111)基板を再利用することができる。
【0045】
(第2の実施形態)
図9乃至図12は、本発明の第2の実施形態を説明する図である。第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、Si(111)基板101上に形成する半導体層の材料が異なる点にある。したがって、Si(111)基板101からの分離島350の剥離工程及び第2の基板への接合工程は、第1の実施形態と同様であるので、本実施形態が第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0046】
図9(a)及び図9(b)を参照して、本実施形態の基板構成を説明する。第1の基板であるSi(111)基板101の表面に、炭化層302及びSiC層である3C−SiC層303を順次形成する。まず、図9(a)に示すように、Si(111)基板101の表面に、炭化層302を形成する。この炭化層302は、例えば、炭素Cイオンのイオン注入によりSi(111)基板101の表面に形成してもよい。このイオン注入によって、炭化層302表面にイオン注入ダメージ層が形成された場合には、適宜このダメージ層をエッチング除去する。
【0047】
次に、図9(b)に示すように、炭化層302の表面にSiC層である3C−SiC層303を、例えば、プラズマCVD法により形成する。この3C−SiC層303は、好ましくは1000℃以下の温度、より好ましくは900℃以下の温度で形成する。900℃以下の温度で3C−SiC層303を形成することにより、Si(111)基板101と3C−SiC層303との熱膨張係数の差異による応力を低減し、欠陥の発生を低減することができる。
【0048】
次に、図10(a)乃至図10(c)を参照して、剥離工程及び接合工程について説明する。図10(a)及び図10(b)は、Si(111)基板の表面に、被覆層200で被覆された、3C−SiC層303aと炭化層302aとこの炭化層302aの下面のSi(111)基板の所定の厚さ部分101bとから構成される分離島350を、被覆層200をマスクにSi(111)基板101の表面の露出領域をSi(111)面に沿ってエッチングして分離島350が剥離される工程を示す断面図である。工程の詳細は、第1の実施形態と同様なのでここではその説明を省略する。なお、この実施形態でも第1の実施形態と同様に、剥離面Aは、Si(111)基板の所定の厚さ部分101bの表面である。
【0049】
そして、図10(c)は、剥離した分離島350の剥離面Aを第2の基板210の表面に形成された接合層210の表面に接合した工程を示す断面図である。剥離工程と同様に、この接合工程は第1に実施形態と同様なのでその説明を省略する。
【0050】
SiC層303aには、剥離工程以前に、所定のデバイス構造あるいは所定のデバイス構造の一部を備えていることが望ましい。これは、SiCデバイス形成プロセスにおける最高処理温度が高いため、すべての工程を、分離島350を第2の基板に分子間力接合した後には、できるだけ高温、例えば、1000℃に及ぶような高温を避けるためである。SiC層303aが備える素子は、例えば、MOSFET、SBD(Schottky Barrier Diode)、SIT(Static Induction Transistor)等である。
【0051】
本発明の第2の実施形態では、3C−SiC層と共にSi(111)層をSi(11 1)基板から剥離し、低抵抗のコンタクトをSi(111)層で形成するので、第1の実施形態で得られる効果に加えて、以下の効果を奏する。
(1)Siの熱伝導率よりも高い熱伝導率を持つ基板を備えた3C−SiCデバイスを形成できる。
(2)3C−SiCデバイスを薄膜配線で接続することによって第2の基板上に高密度に集積できる。
【0052】
(変形例)
図11及び図12に第2の実施形態の変形例を示す。
図11(a)及び図11(b)に示すように、本実施形態の構成要素のSiC層303の表面に窒化物半導体層403を形成して(図11(a))、前記手段によってSi(111)基板の所定の厚さ部分101bを含む分離島450をSi(111)基板101から剥離した後、分離島450を第2の基板201の表面に形成された接合層210の表面に接合した工程を備えるようにすることもできる(図11(a))。
【0053】
また、図12(a)及び図12(b)に示すように、図11に示す変形例に於いて、SiC層303を形成する工程を省略して、窒化物半導体層403を炭化層302の表面に形成し(、図12(a))、分離島451をすることもできる第2の基板201の表面に形成された接合層210の表面に接合した工程を備えるようにすることもできる(図12(b))。
【0054】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は、前記説明した実施形態の範囲に限らず、特許請求の範囲に記載した各請求項の技術的範囲に及ぶものである。
【符号の説明】
【0055】
101 Si(111)基板(第1の基板)
101a エッチングされるSi(111)基板の表面側の一部
101b 分離島のSi(111)基板の所定の厚さ部分
102 バッファ層
102a 分離島のバッファ層
103 窒化物半導体層(半導体単結晶層)
103a 分離島の窒化物半導体層
150 分離島
200 被覆層
201 第2の基板(別の基板)
202 接合層
302 炭化層
302a 分離島の炭化層
303 3C−SiC層(SiC層)
303a 分離島の3C−SiC層
350 分離島
403 窒化物半導体層
450、451 分離島
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体薄膜素子の製造方法並びに半導体ウエハ、及び、半導体薄膜素子に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化物半導体デバイスやSiC半導体デバイスは、放熱性や優れた特性を目的として、Si基板上に形成されたものが開示されている。特許文献1には、Si基板(Si(100)基板)表面に多孔質Si層を形成し、多孔質Si層上にBPバッファ層を形成し、さらに、GaN/AlGaN層を形成し、最表面にAl/Tiを形成した後、最表面のAl/Ti層を別のSi基板に接合した後、多孔質Si層を境にSi基板から分離する技術が開示されている。さらに、BP層、GaN層を除去して最上層にTi/Al/Pt電極を形成する、技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−129876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記形態では、Si基板上に形成したAlGaN層上にAl/Ti層を形成し、Al/Ti層を別のSi基板に接合し、AlGaN層を形成したSi基板(成長基板〉を除去し、さらに、研磨によってバッファ層を除去し、電極を形成するため、別のSi基板上に接合する半導体層の層構造は、成長基板上の半導体の層構造と上下が反転する。
【0005】
したがって、この形態では、素子構造によっては素子形成ができない。さらに、この形態では、成長基板上に形成した素子を別の基板へ接合することも困難である。半導体層を別の基板に接合した後に、素子を形成する場合にも、素子形成プロセスで高温に加熱する工程がある場合には、例えば、Al/Ti層とSiとの間の接合で信頼性が確保できない。一方、窒化物半導体層やSiCでは材料の特性から、不純物を高濃度にドーピングしたとしても高い活性化率を得ることが困難なため金属電極層との低抵抗コンタクト形成が困難である。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、Si結晶層上に半導体素子を備えたSi以外の半導体単結晶層を備えた半導体薄膜素子の製造方法並びに半導体ウエハ、及び、半導体薄膜素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の半導体薄膜素子の製造方法は、Si(111)基板(第1の基板)の表面にバッファ層と半導体単結晶層とを順次形成する第1の工程と、前記半導体単結晶層と前記バッファ層と前記Si(111)基板の所定の厚さ部分とを含む分離島を形成する第2の工程と、前記分離島の表面を覆う被覆層を形成する第3の工程と、前記被覆層をマスクに前記Si(111)基板をSi(111)面に沿ってエッチングして剥離する第4の工程と、前記分離島の剥離面を別の基板(第2の基板)の表面に接合する第5の工程とを備えることを特徴とする。
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の半導体ウエハは、Si(111)面をその表裏とするSi(111)層とバッファ層と半導体単結晶層とが順次形成された積層体と、基板とが、前記Si(111)層の裏面で接合されていることを特徴とする。
【0009】
さらに、前記目的を達成するために、本発明の半導体薄膜素子は、Si(111)面をその表裏とするSi(111)層の表面に、半導体素子を備えたSi以外の半導体材料の半導体単結晶層を備え、前記Si(111)層の裏面を接合面として、基板の表面又は前記基板の表面に設けられた接合層の表面に接合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、Si結晶層上に半導体素子を備えたSi以外の半導体単結晶層を備えた半導体薄膜素子を提供することができる。
したがって、成長基板側の半導体層表面を分子間力接合によって別の基板上に接合することができる。また、成長基板側の半導体層表面を分子間力接合によって別の基板上に形成した金属層に直接密着させ接合し固定させ、接合した金属層と低抵抗コンタクトを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態における基板及び結晶成長層の構成を説明するための断面図である。
【図2】第1の実施形態の窒化物半導体層の具体的構成例(その1:発光デバイス)を説明するための断面図である。
【図3】第1の実施形態の窒化物半導体層の具体的構成例(その2:受光デバイス)を説明するための断面図である。
【図4】第1の実施形態の窒化物半導体層の具体的構成例(その3:電子デバイス)を説明するための断面図である。
【図5】第1の実施形態の窒化物半導体層の具体的構成例(その4:欠陥低減層)を説明するための断面図である。
【図6】第1の実施形態における分離島の形成工程乃至剥離工程を説明するための工程断面図である。
【図7】第1の実施形態における分離島の接合工程を説明するための工程断面図である。
【図8】第1の実施形態の製造方法を説明するための主な製造工程のフローチャートを示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態における基板及び結晶成長層の構成を説明するための断面図である。
【図10】第2の実施形態における分離島の形成工程、剥離工程、及び、接合工程を説明するための工程断面図である。
【図11】第2の実施形態における結晶成長層の構成に変形例(その1)を示す断面図である。
【図12】第2の実施形態における結晶成長層の構成に変形例(その2)を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の半導体薄膜素子の製造方法並びに半導体ウエハ、及び、半導体薄膜素子について、図1乃至図12を参照して、第1の実施形態乃至第2の実施形態を説明する。なお、これらの図は、本発明の実施形態を概略的に示したものであり、各構成部分の形状や寸法の関係等は、本発明の技術的範囲を何ら限定するものではない。また、実施形態を説明するにあたり、同様な構成又は機能を示す部位については、同様の符号を付し、その説明の重複を省略することもある。
【0013】
(第1の実施形態)
図1乃至図8は、本発明の第1の実施形態を示す図である。以下、これらの図を参照しながら本実施形態を説明する。
【0014】
図1(a)乃至図1(b)に示すように、第1の基板としてSi(111)基板101を用意する。そして、このSi(111)基板101の表面にバッファ層102、窒化物半導体層103を順次形成する。
【0015】
ここで、Si(111)基板とは、Si基板の主面の結晶面の面方位が(111)面であることを意味する。そして、本実施形態では、Si(111)基板101の主面の結晶面方位が厳密な(111)面(以下、(111)ジャスト面と称す)から傾斜している場合も含むことができる。
【0016】
まず、図1(a)に示すように、Si(111)基板101の表面に、窒化物半導体層103を形成するためのバッファ層102を形成する。バッファ層102は、AlxGa1−xN(0≦x≦1)、InxGa1−xN(0≦x≦1)、及び、AlxIn1−xN(0≦x≦1)から選択される半導体材料である。
【0017】
後記する分離島150を、第2の基板201上の接合層210の表面に接合する際に、分離島150の剥離面Aと接合層210の表面とがオーミック接触となるように形成させる場合には、第1の基板であるSi(111)基板101は、低抵抗基板であることが望ましい。また、バッファ層102は、高濃度の不純物がドーピングされるように形成することが望ましく、さらに、これらバッファ層102とSi(111)基板101の導電型は、同一であることが望ましい。
【0018】
ここで、低抵抗基板とは、基板の体積抵抗率値が0.01Ω・cm以下の基板であることを意味する。また、バッファ層102の不純物濃度が高濃度であるとは、例えば、不純物濃度が1×1018cm−3以上の不純物濃度あるいはキャリア濃度であることを意味する。
【0019】
そして、図1(b)に示すように、バッファ層102の表面に、半導体単結晶層である窒化物半導体層103を形成する。窒化物半導体層103は、窒化物発光デバイスや窒化物電子デバイスを形成する半導体単結晶層である。各デバイスを作製するための窒化物半導体層103の具体的構成の例を、図2乃至図5を参照して説明する。
【0020】
図2(a)乃至図2(c)は、発光デバイスの具体例であり、図3(a)及び図3(b)は、受光デバイスの具体例、図4(a)及び図4(b)は、電子デバイスの具体例、そして、図5は、基板と半導体層結晶成長層界面からデバイス動作層に貫通する結晶欠陥を低減させる構造を備える発光デバイスを説明するための構成例である。
【0021】
図2は、発光デバイスの具体例であって、図2(a)では、第1導電型GaN層502、第1導電型AlsGa1−sN(1≧s≧0)層503、多重量子井戸層504で、例えば、GayIn1−yN/GazIn1−zN/・・・/GaxIn1−xN/GayIn1−yN/GaxIn1−xN(1≧y>x≧0)、第2導電型AltGa1−tN(1≧t≧0)層505、第2導電型GaN層506とすることができる。第1導電型は、バッファ層102の導電型と同一の導電型とする。例えば、第1導電型をn型とし、第2導電型をp型とする。また、図2(b)のように、第1導電型AlsGa1−sN(1≧s≧0)層503を省略することもできる。また、図2(c)では、第1導電型GaN層602、GaxIn1−xN(1≧x≧0)層603、第2導電型AlyGa1−yN(1≧y≧0)層604、第2導電型GaN層605である。
【0022】
図3の受光デバイスの具体例として、図3(a)は、いわゆる、pinフォトダイオードの具体例で、第1導電型AlxGa1−xN(1≧x≧0)層702、i型AlyGa1−yN(1≧y≧0)層703、第2導電型AlxGa1−xN(1≧x≧0)層704である。そして、図3(b)は、フォトトランジスタの具体例で、n+型AlxGa1−xN(1≧x≧0)層802、n-型AlyGa1−yN(1≧y≧0)層803、p型GaN層804、p+型GaN層805である。
【0023】
図4の電子デバイスでは、図4(a)は、HEMT(High Electron Mobility Transistor:高電子移動度トランジスタ)の具体例で、アンドープGaN層902、AlxGa1−xN(1≧x≧0)層903、n型GaN層904である。そして、図4(b)は、MESFET(Meta1 Semiconductor Field Effect Transistor)の具体例で、アンドープGaN層1002、第1導電型GaN層1003である。
【0024】
さらに、図5に示すように、図2(a)乃至図2(b)の発光デバイスにおける窒化物半導体層103の構成に、SiO2やSiN等の島状パターン1110を設け、GaN層1120を形成した欠陥低減層1101を設けることによって、SiO2やSiN等の島状パターン1110を設けた領域よりも上層側の半導体層に欠陥を貫通させない構造を形成することができる。この欠陥低減層1101は、島状パターン1110上にGaN層1120をオーバグロースさせる横方向エピタキシにより、貫通転位を成長厚み方向に対して水平方向に向け上層の結晶層への転位の貫通を抑制して欠陥を低減させる効果を利用したものである。
【0025】
次に、図6(a)乃至図6(c)を参照して、Si(111)基板101の表面に形成した、バッファ層102aと窒化物半導体層103aと第1の基板であるSi(111)基板101の所定の厚さ部分101bとを含む分離島150を被覆層200で被覆し、露出しているSi(111)基板101をSi(111)面に沿ってエッチングして、分離島150をSi(111)基板101から剥離する工程について説明する。
【0026】
まず、図6(a)に示すように、窒化物半導体層103a、バッフファ層102a、及び、所定のSi基板101の表面側の所定の厚さの部分(101a、及び101b)とを含みパターン形成し、分離島150を形成する。この分離島150の形成は、ドライエッチング法を使うことができる。
【0027】
次に、図6(b)及び図6(c)に示すように、分離島150の下面のSi(111)基板101の表面側の一部101aを、Si(111)面に沿ってエッチングする。このエッチング工程でのエッチング特性を決定するSi(111)基板101の面方位が、前記した(111)ジャストから傾斜していてもよい。このエッチングの際には、分離島150は被覆層200で被覆されていることが好適である。Si(111)基板101を、(111)面に沿ってエッチングするために、異方性エッチング液に浸漬する。Si(111)基板101を異方性エッチング液に浸漬する工程に先立って、分離島150の第1の支持体、及び、各分離島150を連結する第2の支持体等を設けることもできる(図示せず)。
【0028】
エッチング液は、Si(111)基板101の異方性エッチング液を用いることが好適である。ここで、Siのエッチングの異方性とは、Siの結晶面の方位によってエッチング速度が異なるエッチングを意味する。本実施形態では、図6(b)の白矢印で示したように、Si(111)基板の面方位である(111)面に沿った水平方向のエッチング速度が、(111)面に対して垂直方向のエッチング速度がほとんど無視できる程度に、格段に速い速度でエッチングされる。この異方性エッチング液として、KOHやTMAH(Tetra-Methy1-Ammonium-Hydroxide)から選択される薬剤を含むエッチング液が好適である。また、好適ではないが、Si(111)面の異方性エッチング液として、EDP(エチレンジアミンピロテコール)を使うこともできる。
【0029】
また、分離島150を被覆する被覆層200は、絶縁膜で形成することができる。この被覆層200は、上記異方性エッチング液に対して、十分な耐性を備えることが望ましい。そして、被覆層200は、例えば、SiN膜、SiO2膜、SiON膜、A12O3膜、AlN膜、PSG膜、BSG膜から選択される1種類又は複数種類の材料とすることができる。これらの膜は、P−CVD法、CVD法、スパッタ法等の成膜方法を適宜選択することによって成膜することができる。さらに、これらの膜はスピン・オン・ガラス(SOG)等の塗布法やその他の印刷方法によって形成するものであってもよい。さらにまた、被覆層200は、無機材料の他、有機材料からなる膜を含んでいてもよい。被覆層200が有機材料膜を含む場合には、上記異方性エッチング液に対して耐性を持たせるため、その表面を前記無機絶縁膜材料でさらに被覆することができる。
【0030】
発明者は、Si(111)基板101をSi(111)面の異方性エッチング液を使ってSi(111)面に沿ってエッチングして、分離島150を剥離することによって、分離島150の剥離面A(図6(c)参照)において、平坦性に優れた平坦面が得られていることを、原子間力顕微鏡(AFM)を用いた測定結果により確認した。
【0031】
測定結果は、5μm平方の領域で、Si(111)基板101から剥離したSi(111)基板101の所定の厚さ部分101bの剥離面Aの平坦性(頂上−谷の粗さ(peak-to-valley粗さ):RPV)は、短周期の凹凸の高低さで、RPV≦0.5nm、長周期の凹凸の高低差でRPV≦1.6nm(凹凸の傾斜で1/2000以下)と、接合面同士をナノメータオーダで近接させることができるのに十分な平坦性であることを確認した。
【0032】
次に、図7(a)乃至図7(c)を参照して、Si(111)基板101から剥離した分離島150を第2の基板201の表面に接合する工程を説明する。
【0033】
図7(a)に示したように、表面に接合層210を形成した第2の基板201を用意する。この接合層210は、例えば、良好な接合状態を実現するための層である。ここで良好な接合状態とは、接合面内で接合強度が均一であり、接合界面にヴォイドの発生や、接合した場合に、接合面同士にクラックの発生がないことを意味している。
【0034】
本実施形態では、前記したように、接合する分離島150の剥離面Aと接合層210の表面との間で低抵抗なオーミック接触を形成する具体例を示している。接合する分離島150のSi(111)基板101の所定の厚さ部分101bと接合層210の間で低抵抗なオーミック接触を形成する場合には、接合する分離島150の剥離面Aが高濃度に不純物ドープされており、且つ、ドープされた不純物が電気的に活性化されていることが望ましい。
【0035】
一方、接合する分離島150の剥離面Aが窒化物半導体、例えば、AlN層のような窒化物半導体層の場合には、n型不純物(例えば、Si)を高濃度にドーピングしてもドーピングした不純物の活性化率が低いため、実効的なキャリア濃度を高くすることができず、低抵抗のオーミック接触を得る要件を満たさない。具体的には、例えば、n型のAlN層に不純物として、Siを1×1018cm−3以上の高濃度ドープをした場合であっても、キャリア濃度が高くならず、例えば、1×1017cm−3ということもあり得る。
【0036】
本実施形態では、接合する分離島150の構造は、前記したように、窒化物半導体層103とバッファ層102と、Si(111)基板の所定の厚さ部分101bとを備えて構成されている。したがって、Si(111)基板の所定の厚さ部分101bは、Si(111)基板から構成されていることから、例えば、Si(111)基板の所定の厚さ部分101bの体積抵抗率値を0.01Ω・cm以下と小さくすることは、所望の抵抗率を有するSi(111)基板を第1の基板として選定することにより容易に行うことができる。そのため、本実施形態では、低抵抗のオーミック接触を実現するために低い体積抵抗率値を有する、Si(111)基板の所定の厚さ部分101bを有する分離島150を備えることが特徴である。
【0037】
そして、接合工程として、接合層210を金属層とする場合、Ni、Ti、Cr、Pd、Al、Cuから選択される金属を含む単層、積層、合金層とすることができる。また、この接合層210を金属層としない形態とする場合には、例えば、SiN、SiON、SiO2、Al2O3、AlN等の絶縁膜材料層や、ダイモンドライクカーボン層等のCを含む材料層、ITO、ZnO等の酸化物材料層や透明導電性材料層、ポリイミド、BCB等の有機材料層や有機導電性材料層等とすることができる。
【0038】
第2の基板201は、Si基板、GaAs基板、GaP基板、InP基板等の化合物半導体基板、GaN基板、AlN基板、AlxGa1−xN(1≧x≧0)基板、InxGa1−xN(1≧x≧0)基板、AlxIn1−xN(1≧x≧0)基板等の窒化物半導体基板、ガラス基板、石英基板、 AlNやPBN等のセラミックス基板、サファイア基板、LiNb3、MgO、GaO3等の酸化物基板、PETやPEN等のプラスチック基板、ステンレス、ニッケル、銅、真鍮、アルミニウム等の金属基板、金属基板上にニッケルや銅をメッキしたメッキ金属基板、ダイヤモンド基板、ダイヤモンド・ライク・カーボン基板等である。
【0039】
また、第2の基板201の表面に接合層210を設けずに、直接接合する形態も可能である。この場合の接合では、接着剤を使わずに接合面同士を直接密着させ接合し固定する。例えば、接合面同士を少なくともナノメータオーダ、すなわち、10nm以内に近接させて、接合面間に働く分子間力を使った接合を行う。分子間力を使った接合の他、接合界面間で共有結合等の結合を形成する接合、静電的相互作用による接合、接合界面での合金形成等の原子再配列を伴う相互作用による接合、あるいは、接着剤を使った接合とすることもできる。接着剤として、例えば、半田ペースト、Agペースト、熱硬化接着剤、UV硬化接着剤、粘着剤、ポリイミド、BCB等の有機塗布材料を利用することもできる。
【0040】
また、分子間力を使った接合を実現するため、接合層210及び分離島150の接合表面のクリーニングや活性化表面処理を行った後に、分離島150を接合層210の表面に、分離島150を第2の基板201上の接合層210の表面に接合(B)する(図7(b)、図7(c))。接合する材料の特性にしたがって、加圧・密着させる際に加熱工程を備えることもできる。
【0041】
なお、図8に、本発明の第1の実施形態を説明するための主な製造工程のフローチャートを示す。主な製造工程は、Si(111)基板の表面にバッファ層と窒化物半導体層とを形成する(ステップS1)、窒化物半導体層とバッファ層とSi(111)基板の一部とを含む分離島を形成し、その表面を被覆層で被覆する(ステップS2)、Si(111)基板表面の露出領域を(111)面に沿ってエッチングして、分離島をSi(111)基板から剥離する(ステップS3)、そして、剥離した分離島を第2の基板の表面に接合する(ステップS4)、である。
【0042】
接合する分離島150の剥離面Aは、前記したように、RPV≦0.5nmと極めて平坦であるので、接合工程においては、接合面同士をナノメータオーダで近接させることができ、接合面間で作用する分子間力を大きくすることができる。本実施形態の接合工程では、接合面同士を直接密着させ強固に接合し固定することができる。例えば、接合面間に働く分子間力によって強固な接合を実現することができる。
【0043】
分離島150を、第2の基板201の表面に接合した後、適宜必要に応じて、支持体の除去、被覆層の除去等を行う。分離島150は、第1の基板であるSi(111)基板101から剥離する前に、所定のデバイス構造又は所定のデバイス構造の一部を備えていてもよい。分離島150を第2の基板に接合する前に、第2の基板上にデバイス構造や配線層等のデバイス要素を形成してあって、分離島150を第2の基板に接合した後に、第2の基板上のデバイスや配線層と電気的あるいは光学的に接続することによって集積素子を形成してもよい。また、複数の分離島150を第2の基板に接合して、相互配線によって接続することによって集積素子を構成してもよい。
【0044】
本発明の第1の実施形態によれば、第1の基板としてのSi(111)基板の表面にバッファ層と窒化物半導体層とを形成する工程と、そのバッファ層の下面のSi(111)基板の所定の厚さ部分とを含む分離島を形成する工程と、この分離島の表面を覆う被覆層を形成する工程と、この被覆層をマスクに分離島の下面をSi(111)面に沿ってエッチングして剥離する工程と、分離島の剥離面を第2の基板の表面に分子間力接合する工程を備えるので以下の効果を奏する。
(1)剥離するための犠牲層を設ける必要がないので、製造工程が簡略化できる。
(2)平坦性のよい剥離面が得られるので、分子間力接合が可能となる。
(3)接合する分離島の剥離面のキャリア濃度を高濃度にすることができるので、金属層上に接合することで、低抵抗のオーミック接触を容易に形成する行うことができる。
(4)Si(111)基板を再利用することができる。
【0045】
(第2の実施形態)
図9乃至図12は、本発明の第2の実施形態を説明する図である。第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、Si(111)基板101上に形成する半導体層の材料が異なる点にある。したがって、Si(111)基板101からの分離島350の剥離工程及び第2の基板への接合工程は、第1の実施形態と同様であるので、本実施形態が第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0046】
図9(a)及び図9(b)を参照して、本実施形態の基板構成を説明する。第1の基板であるSi(111)基板101の表面に、炭化層302及びSiC層である3C−SiC層303を順次形成する。まず、図9(a)に示すように、Si(111)基板101の表面に、炭化層302を形成する。この炭化層302は、例えば、炭素Cイオンのイオン注入によりSi(111)基板101の表面に形成してもよい。このイオン注入によって、炭化層302表面にイオン注入ダメージ層が形成された場合には、適宜このダメージ層をエッチング除去する。
【0047】
次に、図9(b)に示すように、炭化層302の表面にSiC層である3C−SiC層303を、例えば、プラズマCVD法により形成する。この3C−SiC層303は、好ましくは1000℃以下の温度、より好ましくは900℃以下の温度で形成する。900℃以下の温度で3C−SiC層303を形成することにより、Si(111)基板101と3C−SiC層303との熱膨張係数の差異による応力を低減し、欠陥の発生を低減することができる。
【0048】
次に、図10(a)乃至図10(c)を参照して、剥離工程及び接合工程について説明する。図10(a)及び図10(b)は、Si(111)基板の表面に、被覆層200で被覆された、3C−SiC層303aと炭化層302aとこの炭化層302aの下面のSi(111)基板の所定の厚さ部分101bとから構成される分離島350を、被覆層200をマスクにSi(111)基板101の表面の露出領域をSi(111)面に沿ってエッチングして分離島350が剥離される工程を示す断面図である。工程の詳細は、第1の実施形態と同様なのでここではその説明を省略する。なお、この実施形態でも第1の実施形態と同様に、剥離面Aは、Si(111)基板の所定の厚さ部分101bの表面である。
【0049】
そして、図10(c)は、剥離した分離島350の剥離面Aを第2の基板210の表面に形成された接合層210の表面に接合した工程を示す断面図である。剥離工程と同様に、この接合工程は第1に実施形態と同様なのでその説明を省略する。
【0050】
SiC層303aには、剥離工程以前に、所定のデバイス構造あるいは所定のデバイス構造の一部を備えていることが望ましい。これは、SiCデバイス形成プロセスにおける最高処理温度が高いため、すべての工程を、分離島350を第2の基板に分子間力接合した後には、できるだけ高温、例えば、1000℃に及ぶような高温を避けるためである。SiC層303aが備える素子は、例えば、MOSFET、SBD(Schottky Barrier Diode)、SIT(Static Induction Transistor)等である。
【0051】
本発明の第2の実施形態では、3C−SiC層と共にSi(111)層をSi(11 1)基板から剥離し、低抵抗のコンタクトをSi(111)層で形成するので、第1の実施形態で得られる効果に加えて、以下の効果を奏する。
(1)Siの熱伝導率よりも高い熱伝導率を持つ基板を備えた3C−SiCデバイスを形成できる。
(2)3C−SiCデバイスを薄膜配線で接続することによって第2の基板上に高密度に集積できる。
【0052】
(変形例)
図11及び図12に第2の実施形態の変形例を示す。
図11(a)及び図11(b)に示すように、本実施形態の構成要素のSiC層303の表面に窒化物半導体層403を形成して(図11(a))、前記手段によってSi(111)基板の所定の厚さ部分101bを含む分離島450をSi(111)基板101から剥離した後、分離島450を第2の基板201の表面に形成された接合層210の表面に接合した工程を備えるようにすることもできる(図11(a))。
【0053】
また、図12(a)及び図12(b)に示すように、図11に示す変形例に於いて、SiC層303を形成する工程を省略して、窒化物半導体層403を炭化層302の表面に形成し(、図12(a))、分離島451をすることもできる第2の基板201の表面に形成された接合層210の表面に接合した工程を備えるようにすることもできる(図12(b))。
【0054】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は、前記説明した実施形態の範囲に限らず、特許請求の範囲に記載した各請求項の技術的範囲に及ぶものである。
【符号の説明】
【0055】
101 Si(111)基板(第1の基板)
101a エッチングされるSi(111)基板の表面側の一部
101b 分離島のSi(111)基板の所定の厚さ部分
102 バッファ層
102a 分離島のバッファ層
103 窒化物半導体層(半導体単結晶層)
103a 分離島の窒化物半導体層
150 分離島
200 被覆層
201 第2の基板(別の基板)
202 接合層
302 炭化層
302a 分離島の炭化層
303 3C−SiC層(SiC層)
303a 分離島の3C−SiC層
350 分離島
403 窒化物半導体層
450、451 分離島
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Si(111)基板の表面にバッファ層と半導体単結晶層とを順次形成する第1の工程と、
前記半導体単結晶層と前記バッファ層と前記Si(111)基板の所定の厚さ部分とを含む分離島を形成する第2の工程と、
前記分離島の表面を覆う被覆層を形成する第3の工程と、
前記被覆層をマスクに前記Si(111)基板をSi(111)面に沿ってエッチングして剥離する第4の工程と、
前記分離島の剥離面を別の基板の表面に接合する第5の工程と
を備えることを特徴とする半導体薄膜素子の製造方法。
【請求項2】
前記Si(111)基板は、0.01Ω・cm以下の体積抵抗率値を有し、
前記別の基板の最表面層は、Ni、Cr、Ti、Pd、Al、Cuから選択される一つ又は複数の元素を含む金属層を最表面層に備え、
前記第5の工程では、前記体積抵抗率値を有するSi(111)面と前記金属層の最表面とが接合される。
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体薄膜素子の製造方法。
【請求項3】
前記接合が少なくとも分子間力接合工程を含む工程によって形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体薄膜素子の製造方法。
【請求項4】
前記バッファ層が、AlxGa1−xN(1≧x≧0)であり、
前記半導体単結晶層は、AlxGa1−xN(1≧x≧0)、InxGa1−xN(1≧x≧0)、AlxIn1−xN(1≧x≧0)から選択される半導体単結晶層の単層又は積層を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体薄膜素子の製造方法。
【請求項5】
前記バッファ層は、SiとCとを含み、
前記半導体単結晶層が立方晶(3C−)SiC層を備える
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の半導体薄膜素子の製造方法。
【請求項6】
前記半導体単結晶層が前記立方晶SiC層に加えて、AlxGa1−xN(1≧x≧0)、InxGa1−xN(1≧x≧0)、AlxIn1−xN(1≧x≧0)から、選択される半導体単結晶層の単層又は積層を備える
ことを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の半導体薄膜素子の製造方法。
【請求項7】
前記バッファ層がSiとCを含み、
前記半導体単結晶層がAlxGal−xN(1≧x≧0)、InxGa1−xN(1≧x≧0)、AlxIn1−xN(1≧x≧0)から選択される半導体単結晶層の単層又は積層を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体薄膜素子の製造方法。
【請求項8】
Si(111)面をその表裏とするSi(111)層とバッファ層と半導体単結晶層とが順次形成された積層体と、基板とが、前記Si(111)層の裏面で接合されている
ことを特徴とする半導体ウエハ。
【請求項9】
前記Si(111)層の体積抵抗率値は、0.01Ω・cm以下であり、
前記基板の最表面層は、Ni、Cr、Ti、Pd、Al、Cuから選択される一つ又は複数の元素を含む金属層であり、
前記体積抵抗率値を有するSi(111)層の裏面と前記金属層の最表面とが接合されている
ことを特徴とする請求項8に記載の半導体ウエハ。
【請求項10】
前記接合が分子間力接合であることを特徴とする請求項8に記載の半導体ウエハ。
【請求項11】
前記バッファ層は、AlxGa1−xN(1≧x≧0)であり、
前記半導体単結晶層は、AlxGa1−xN(1≧x≧0)、InxGa1−xN(1≧x≧0)、AlxIn1−xN(1≧x≧0)から選択される半導体単結晶層の単層又は積層を備える
ことを特徴とする請求項8に記載の半導体ウエハ。
【請求項12】
前記バッファ層は、SiとCとを含み、
前記半導体単結晶層が立方晶(3C−)SiC層を備える
ことを特徴とする請求項8に記載の半導体ウエハ。
【請求項13】
前記半導体単結晶層が前記立方晶SiC層に加えて、AlxGa1−xN(1≧x≧0)、InxGa1−xN(1≧x≧0)、AlxIn1−xN(1≧x≧0)から、選択される半導体単結晶層の単層又は積層を備える
ことを特徴とする請求項8又は請求項12に記載の半導体ウエハ。
【請求項14】
前記バッファ層は、SiとCを含み、
前記半導体単結晶層は、AlxGal−xN(1≧x≧0)、InxGa1−xN(1≧x≧0)、AlxIn1−xN(1≧x≧0)から選択される半導体単結晶層の単層又は積層を備える
ことを特徴とする請求項8に記載の半導体ウエハ。
【請求項15】
Si(111)面をその表裏とするSi(111)層の表面に、半導体素子を備えたSi以外の半導体材料の半導体単結晶層を備え、
前記Si(111)層の裏面を接合面として、基板の表面又は前記基板の表面に設けられた接合層の表面に接合されている
ことを特徴とする半導体薄膜素子。
【請求項16】
前記接合は、直接密着され接合し固定されている
ことを特徴とする請求項15に記載の半導体薄膜素子。
【請求項17】
前記接合は、分子間力によって接合されている
ことを特徴とする請求項15に記載の半導体薄膜素子。
【請求項18】
前記接合面のSi(111)層の体積抵抗率値は、0.01Ω・cm以下であり、
前記基板又は接合層の最表面層は、Ni、Cr、Ti、Pd、Al、Cuから選択される一つ又は複数の元素を含む金属層である
ことを特徴とする請求項15に記載の半導体薄膜素子。
【請求項19】
前記半導体単結晶層の最上層に第1の電極を備え、
前記金属層を第2の電極として備える
ことを特徴とする請求項15又は請求項18の何れか一項に記載の半導体薄膜素子。
【請求項20】
前記半導体単結晶層は、AlxGal−xN(1≧x≧0)、InxGa1−xN(1≧x≧0)、AlxIn1−xN(1≧x≧0)、及び、SiCから選択される半導体材料を一つ又は複数の半導体材料層を備える
ことを特徴とする請求項15に記載の半導体薄膜素子。
【請求項1】
Si(111)基板の表面にバッファ層と半導体単結晶層とを順次形成する第1の工程と、
前記半導体単結晶層と前記バッファ層と前記Si(111)基板の所定の厚さ部分とを含む分離島を形成する第2の工程と、
前記分離島の表面を覆う被覆層を形成する第3の工程と、
前記被覆層をマスクに前記Si(111)基板をSi(111)面に沿ってエッチングして剥離する第4の工程と、
前記分離島の剥離面を別の基板の表面に接合する第5の工程と
を備えることを特徴とする半導体薄膜素子の製造方法。
【請求項2】
前記Si(111)基板は、0.01Ω・cm以下の体積抵抗率値を有し、
前記別の基板の最表面層は、Ni、Cr、Ti、Pd、Al、Cuから選択される一つ又は複数の元素を含む金属層を最表面層に備え、
前記第5の工程では、前記体積抵抗率値を有するSi(111)面と前記金属層の最表面とが接合される。
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体薄膜素子の製造方法。
【請求項3】
前記接合が少なくとも分子間力接合工程を含む工程によって形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体薄膜素子の製造方法。
【請求項4】
前記バッファ層が、AlxGa1−xN(1≧x≧0)であり、
前記半導体単結晶層は、AlxGa1−xN(1≧x≧0)、InxGa1−xN(1≧x≧0)、AlxIn1−xN(1≧x≧0)から選択される半導体単結晶層の単層又は積層を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体薄膜素子の製造方法。
【請求項5】
前記バッファ層は、SiとCとを含み、
前記半導体単結晶層が立方晶(3C−)SiC層を備える
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の半導体薄膜素子の製造方法。
【請求項6】
前記半導体単結晶層が前記立方晶SiC層に加えて、AlxGa1−xN(1≧x≧0)、InxGa1−xN(1≧x≧0)、AlxIn1−xN(1≧x≧0)から、選択される半導体単結晶層の単層又は積層を備える
ことを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の半導体薄膜素子の製造方法。
【請求項7】
前記バッファ層がSiとCを含み、
前記半導体単結晶層がAlxGal−xN(1≧x≧0)、InxGa1−xN(1≧x≧0)、AlxIn1−xN(1≧x≧0)から選択される半導体単結晶層の単層又は積層を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体薄膜素子の製造方法。
【請求項8】
Si(111)面をその表裏とするSi(111)層とバッファ層と半導体単結晶層とが順次形成された積層体と、基板とが、前記Si(111)層の裏面で接合されている
ことを特徴とする半導体ウエハ。
【請求項9】
前記Si(111)層の体積抵抗率値は、0.01Ω・cm以下であり、
前記基板の最表面層は、Ni、Cr、Ti、Pd、Al、Cuから選択される一つ又は複数の元素を含む金属層であり、
前記体積抵抗率値を有するSi(111)層の裏面と前記金属層の最表面とが接合されている
ことを特徴とする請求項8に記載の半導体ウエハ。
【請求項10】
前記接合が分子間力接合であることを特徴とする請求項8に記載の半導体ウエハ。
【請求項11】
前記バッファ層は、AlxGa1−xN(1≧x≧0)であり、
前記半導体単結晶層は、AlxGa1−xN(1≧x≧0)、InxGa1−xN(1≧x≧0)、AlxIn1−xN(1≧x≧0)から選択される半導体単結晶層の単層又は積層を備える
ことを特徴とする請求項8に記載の半導体ウエハ。
【請求項12】
前記バッファ層は、SiとCとを含み、
前記半導体単結晶層が立方晶(3C−)SiC層を備える
ことを特徴とする請求項8に記載の半導体ウエハ。
【請求項13】
前記半導体単結晶層が前記立方晶SiC層に加えて、AlxGa1−xN(1≧x≧0)、InxGa1−xN(1≧x≧0)、AlxIn1−xN(1≧x≧0)から、選択される半導体単結晶層の単層又は積層を備える
ことを特徴とする請求項8又は請求項12に記載の半導体ウエハ。
【請求項14】
前記バッファ層は、SiとCを含み、
前記半導体単結晶層は、AlxGal−xN(1≧x≧0)、InxGa1−xN(1≧x≧0)、AlxIn1−xN(1≧x≧0)から選択される半導体単結晶層の単層又は積層を備える
ことを特徴とする請求項8に記載の半導体ウエハ。
【請求項15】
Si(111)面をその表裏とするSi(111)層の表面に、半導体素子を備えたSi以外の半導体材料の半導体単結晶層を備え、
前記Si(111)層の裏面を接合面として、基板の表面又は前記基板の表面に設けられた接合層の表面に接合されている
ことを特徴とする半導体薄膜素子。
【請求項16】
前記接合は、直接密着され接合し固定されている
ことを特徴とする請求項15に記載の半導体薄膜素子。
【請求項17】
前記接合は、分子間力によって接合されている
ことを特徴とする請求項15に記載の半導体薄膜素子。
【請求項18】
前記接合面のSi(111)層の体積抵抗率値は、0.01Ω・cm以下であり、
前記基板又は接合層の最表面層は、Ni、Cr、Ti、Pd、Al、Cuから選択される一つ又は複数の元素を含む金属層である
ことを特徴とする請求項15に記載の半導体薄膜素子。
【請求項19】
前記半導体単結晶層の最上層に第1の電極を備え、
前記金属層を第2の電極として備える
ことを特徴とする請求項15又は請求項18の何れか一項に記載の半導体薄膜素子。
【請求項20】
前記半導体単結晶層は、AlxGal−xN(1≧x≧0)、InxGa1−xN(1≧x≧0)、AlxIn1−xN(1≧x≧0)、及び、SiCから選択される半導体材料を一つ又は複数の半導体材料層を備える
ことを特徴とする請求項15に記載の半導体薄膜素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−258352(P2010−258352A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109282(P2009−109282)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(500002571)株式会社沖デジタルイメージング (186)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(500002571)株式会社沖デジタルイメージング (186)
【Fターム(参考)】
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