説明

半導体装置、スイッチング電源用制御ICおよびスイッチング電源装置

【課題】ブラウンアウト機能を有するスイッチング電源装置の部品コストや組み立てコストの低減と、小型化を図ること。
【解決手段】制御IC31を、電源の起動時に起動電流を流す起動回路41と、1次側電圧を検出するために1次側電圧を抵抗分圧する2つのブラウンアウト抵抗51,52からなる直列抵抗回路を同一半導体基板内に集積した構成とする。起動回路41には、1次側電圧に基づく起動電流を流す第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタと、第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタに接続されたスイッチ用トランジスタと、スイッチ用トランジスタを制御するための信号を出力する第2の高耐圧電界効果型接合トランジスタと、ブラウンアウト抵抗51,52に1次側電圧を検出するための電圧を供給する第3の高耐圧電界効果型接合トランジスタを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置、スイッチング電源用制御ICおよびスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチング電源用制御ICは、個別の高耐圧スイッチングトランジスタを制御するための専用ICである。このICは、動作状態においては、高耐圧スイッチングトランジスタを動作させることにより自身の電源を形成するが、起動時においては、起動回路からの起動電流の供給を必要とする。通常、起動回路は、スイッチング電源用制御ICと同一の半導体基板に集積されており、それによって、部品点数の削減と電源システムの簡素化が実現されている。
【0003】
起動電流は、入力交流信号AC100〜240Vを整流したものであり、これを起動回路に供給するため、起動回路上流のノーマリオン型素子には、450V以上の耐圧が必要である。このノーマリオン型素子は、スイッチング電源用制御ICとモノリシック化されるため、横型高耐圧電界効果型接合トランジスタ(電界効果型接合トランジスタ:JFET)として実現される。この素子の電流駆動能力によって、スイッチング電源装置の設計仕様が決定される。
【0004】
図10または図11は、従来のスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。図10に示す構成は、AC入力を整流平滑してスイッチング電源用制御IC(以下、制御ICとする)231の高耐圧入力端子(以下、VH端子とする)232に供給するようにしたものである。図11に示す構成は、AC入力を半波整流してVH端子232に供給するようにしたものである。
【0005】
図10または図11に示すように、スイッチング電源装置は、商用電源などのAC入力を整流器202で全波整流し、その直流電圧により電源コンデンサ203を充電する。そして、トランス205の一次コイル206に接続されたスイッチング素子となるMOSFET219のオン/オフを、制御IC231により制御することによって、電源コンデンサ203の電圧に基づいた電圧をトランス205の二次コイル208に誘起させ、これを整流平滑化して、図示しない負荷にDC出力を供給する。
【0006】
スイッチング電源装置のプラグがコンセントから抜かれ、AC入力からの電圧供給がなくなると、一次側の入力電圧が低下する。この状態で、スイッチング電源装置が動作し続けると、MOSFET219のオン時間が長くなり、MOSFET219が発熱する。この問題を防ぐため、スイッチング電源装置には、入力電圧が低下したときに電源のスイッチング動作を停止するブラウンアウト機能が設けられている。
【0007】
ブラウンアウト機能を実現するため、従来のスイッチング電源装置では、図10または図11に示すように、制御IC231に、電源の一次側電圧を検出する端子としてブラウンアウト入力端子(以下、BO端子とする)262が設けられている。このBO端子262は、電源コンデンサ203に並列に接続された2つのブラウンアウト抵抗251,252からなる直列抵抗回路の中間ノードに接続されている。
【0008】
一次側の入力電圧は、ブラウンアウト抵抗251,252により抵抗分圧され、BO端子262を介してブラウンアウトコンパレータ(以下、BOコンパレータとする)244に入力され、そこで所定の電圧と比較される。そして、BO端子262からの入力電圧が所定の電圧よりも低くなると、ブラウンアウト機能が働き、ドライバ回路246によるMOSFET219のスイッチング動作が停止する。
【0009】
図12は、従来のスイッチング電源装置に用いられる起動回路の構成を示す回路図である。図12に示すように、従来の起動回路241は、VH端子(高耐圧入力端子)261、オン/オフ信号入力端子(以下、on/off端子とする)263および電源電圧端子(以下、VCC端子とする)264を備えている。起動回路241の起動素子265は、電源の起動時にVCC端子264を介して制御IC231のVCC端子(電源電圧端子)235へ電流を流す第1のJFET281と、その電流経路に設けられたNMOSトランジスタ268をオン状態に保持する第2のJFET282からなる。
【0010】
ところで、過電流検出用比較器に入力させる参照信号を入力電圧検出回路の出力電圧の変化に応じて変化させる構成によって、入力電圧変動時または入力電圧レンジ切り換え時の過電流検出精度を向上させるようにしたスイッチング電源装置が公知である(例えば、特許文献1参照。)。
【0011】
【特許文献1】特開2005−94835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した従来のスイッチング電源装置では、制御ICにブラウンアウト抵抗を外付けする必要があるため、部品コストと組み立てコストがかさむという問題点や、スイッチング電源装置の小型化が妨げられるという問題点がある。また、前記特許文献1に開示されたスイッチング電源装置は、過電流保護のために入力電圧検出回路と過電流保護検出用比較器を有するものであるが、これら入力電圧検出回路および過電流保護検出用比較器は、ブラウンアウト機能を実現するためのものではない。また、特許文献1に開示されたスイッチング電源装置では、入力電圧検出用に高耐圧抵抗が必要となり構造が複雑になることや、面積が大きくなってしまう問題点がある。
【0013】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、部品コストや組み立てコストの低減と、小型化を図ることができるブラウンアウト機能を有するスイッチング電源装置を提供することを目的とする。また、そのようなスイッチング電源装置を実現するための半導体装置およびスイッチング電源用制御ICを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる半導体装置は、第1導電型の半導体基板の表面層に選択的に形成された第1導電型のゲート領域と、前記ゲート領域に接して入り込み前記半導体基板の表面層に複数形成された第2導電型のソース領域と、前記半導体基板の表面層に前記ソース領域と対向し同ソース領域と等間隔に形成された第2導電型のドレイン領域と、前記ソース領域と前記ドレイン領域に挟まれ同両領域と接し前記半導体基板の表面層に形成された第2導電型のドリフト領域と、前記ゲート領域と接続されたゲート電極と、前記ドレイン領域と接続されたドレイン電極と、複数の前記ソース領域のうちの1つ以上のソース領域からなる第1ソース領域群に含まれるソース領域に接続された第1のソース電極と、複数の前記ソース領域のうちの残りのソース領域からなる第2ソース領域群に含まれるソース領域に接続された第2のソース電極と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項2の発明にかかる半導体装置は、第1導電型の半導体基板の表面層に選択的に形成された第1導電型のゲート領域と、前記ゲート領域に接して入り込み前記半導体基板の表面層に複数形成された第2導電型のソース領域と、前記半導体基板の表面層に前記ソース領域と対向し同ソース領域と等間隔に形成された第2導電型のドレイン領域と、前記ソース領域と前記ドレイン領域に挟まれ同両領域と接し前記半導体基板の表面層に形成された第2導電型のドリフト領域と、前記ゲート領域と接続されたゲート電極と、前記ドレイン領域と接続されたドレイン電極と、複数の前記ソース領域のうちの1つ以上のソース領域からなる第1ソース領域群に含まれるソース領域に接続された第1のソース電極と、複数の前記ソース領域のうちの別の1つ以上のソース領域からなる第2ソース領域群に含まれるソース領域に接続された第2のソース電極と、複数の前記ソース領域のうちの残りのソース領域からなる第3ソース領域群に含まれるソース領域に接続された第3のソース電極と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項3の発明にかかるスイッチング電源用制御ICは、ドレイン端子に外部から1次側電圧が印加され、ゲート端子が接地され、ソース端子から前記ドレイン端子に印加される1次側電圧に基づく電流を流す第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタ、前記第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタのソース端子に接続されたスイッチ用トランジスタ、およびドレイン端子に外部から1次側電圧が印加され、ゲート端子が接地され、ソース端子から前記スイッチ用トランジスタを制御するための信号を出力する第2の高耐圧電界効果型接合トランジスタ、を含む起動回路と、前記第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタのソース端子に接続され、該ソース端子の電圧を抵抗分圧する2つのブラウンアウト抵抗からなる直列抵抗回路と、を備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項4の発明にかかるスイッチング電源用制御ICは、ドレイン端子に外部から1次側電圧が印加され、ゲート端子が接地され、ソース端子から前記ドレイン端子に印加される1次側電圧に基づく電流を流す第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタ、前記第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタのソース端子に接続されたスイッチ用トランジスタ、およびドレイン端子に外部から1次側電圧が印加され、ゲート端子が接地され、ソース端子から前記スイッチ用トランジスタを制御するための信号を出力する第2の高耐圧電界効果型接合トランジスタ、を含む起動回路と、前記第2の高耐圧電界効果型接合トランジスタのソース端子に接続され、該ソース端子の電圧を抵抗分圧する2つのブラウンアウト抵抗からなる直列抵抗回路と、を備えることを特徴とする。
【0018】
また、請求項5の発明にかかるスイッチング電源用制御ICは、ドレイン端子に外部から1次側電圧が印加され、ゲート端子が接地され、ソース端子から前記ドレイン端子に印加される1次側電圧に基づく電流を流す第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタ、前記第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタのソース端子に接続されたスイッチ用トランジスタ、ドレイン端子に外部から1次側電圧が印加され、ゲート端子が接地され、ソース端子から前記スイッチ用トランジスタを制御するための信号を出力する第2の高耐圧電界効果型接合トランジスタ、およびドレイン端子に外部から1次側電圧が印加され、ゲート端子が接地された第3の高耐圧電界効果型接合トランジスタ、を含む起動回路と、前記第3の高耐圧電界効果型接合トランジスタのソース端子に接続され、該ソース端子の電圧を抵抗分圧する2つのブラウンアウト抵抗からなる直列抵抗回路と、を備えることを特徴とする。
【0019】
また、請求項6の発明にかかるスイッチング電源用制御ICは、請求項3または4に記載の発明において、前記第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタおよび前記第2の高耐圧電界効果型接合トランジスタが前記請求項1に記載の半導体装置により構成されており、前記第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタのドレイン端子、ゲート端子およびソース端子が、それぞれ、前記半導体装置のドレイン電極、ゲート電極および第1のソース電極に接続されており、前記第2の高耐圧電界効果型接合トランジスタのドレイン端子、ゲート端子およびソース端子が、それぞれ、前記半導体装置のドレイン電極、ゲート電極および第2のソース電極に接続されていることを特徴とする。
【0020】
また、請求項7の発明にかかるスイッチング電源用制御ICは、請求項5に記載の発明において、前記第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタ、前記第2の高耐圧電界効果型接合トランジスタおよび前記第3の高耐圧電界効果型接合トランジスタが前記請求項2に記載の半導体装置により構成されており、前記第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタのドレイン端子、ゲート端子およびソース端子が、それぞれ、前記半導体装置のドレイン電極、ゲート電極および第1のソース電極に接続されており、前記第2の高耐圧電界効果型接合トランジスタのドレイン端子、ゲート端子およびソース端子が、それぞれ、前記半導体装置のドレイン電極、ゲート電極および第2のソース電極に接続されており、前記第3の高耐圧電界効果型接合トランジスタのドレイン端子、ゲート端子およびソース端子が、それぞれ、前記半導体装置のドレイン電極、ゲート電極および第3のソース電極に接続されていることを特徴とする。
【0021】
また、請求項8の発明にかかるスイッチング電源用制御ICは、請求項3〜7のいずれか一つに記載の発明において、前記起動回路および前記2つのブラウンアウト抵抗が同一半導体基板内に集積されていることを特徴とする。
【0022】
また、請求項9の発明にかかるスイッチング電源装置は、前記請求項3〜8のいずれか一つに記載のスイッチング電源用制御ICを有することを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、ブラウンアウト抵抗を内蔵するスイッチング電源用制御IC、特に、同一半導体基板内にブラウンアウト抵抗が集積されたスイッチング電源用制御ICが得られる。また、ブラウンアウト抵抗に電圧を供給するための専用の高耐圧電界効果型接合トランジスタ(第3の高耐圧電界効果型接合トランジスタ)を有することによって、電源の動作状態の影響を受けずに、安定した電圧の検出が可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明にかかる半導体装置、スイッチング電源用制御ICおよびスイッチング電源装置によれば、ブラウンアウト機能を有するスイッチング電源装置の部品コストや組み立てコストの低減と、小型化を図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置、スイッチング電源用制御ICおよびスイッチング電源装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1にかかるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。図1に示すように、実施の形態1のスイッチング電源装置は、制御IC31に、AC入力電圧の低下を検出するための抵抗(以下、ブラウンアウト抵抗とする)51,52を内蔵したものである。
【0027】
制御IC31は、例えば500V程度のVH端子(高耐圧入力端子)32、フィードバック入力端子(以下、FB端子とする)33、電流センス入力端子(以下、IS端子とする)34、制御IC31の電源電圧端子(以下、VCC端子とする)35、MOSFET19のゲート駆動端子(以下、OUT端子とする)36、および接地端子(以下、GND端子とする)37を有する。VH端子32は、電源起動時にVCC端子35に電流を供給する端子である。実施の形態1では、AC入力電圧を整流平滑した電圧がVH端子32に印加される。GND端子37は、接地されている。
【0028】
AC入力は、AC入力端子1を介して整流器2に供給される。整流器2は、AC入力端子1に接続されており、AC入力を全波整流する。電源コンデンサ3は、整流器2の出力端子に並列に接続されており、整流器2から出力される直流電圧により充電される。充電された電源コンデンサ3は、トランス5の一次コイル6に直流電圧を供給する直流電源となる。また、電源コンデンサ3には、ツェナーダイオード4のカソード端子が接続されている。ツェナーダイオード4のアノード端子は、制御IC31のVH端子32に接続されている。
【0029】
一次コイル6は、電源コンデンサ3と、スイッチング素子として機能するMOSFET19のドレイン端子との間に接続されている。MOSFET19のソース端子は、制御IC31のIS端子34と、抵抗20の一端に接続されている。抵抗20の他端は、接地されている。この抵抗20により、MOSFET19を流れる電流が電圧に変換され、その電圧がIS端子34に印加される。MOSFET19のゲート端子は、制御IC31のOUT端子36に接続されている。
【0030】
トランス5の補助コイル7の一端は、整流ダイオード17のアノード端子に並列に接続されている。補助コイル7の他端は、接地されている。補助コイル7には、MOSFET19のスイッチング動作により誘起された電流が流れる。整流ダイオード17は、補助コイル7を流れる電流を整流し、そのカソード端子に接続された平滑コンデンサ18を充電する。平滑コンデンサ18は、制御IC31のVCC端子35に接続されており、MOSFET19のスイッチング動作を継続させるための直流電源となる。
【0031】
トランス5の二次コイル8には、MOSFET19のスイッチング動作により、電源コンデンサ3の電圧に基づいた電圧が誘起される。二次コイル8の一端は、整流ダイオード9のアノード端子に接続されている。整流ダイオード9のカソード端子および二次コイル8の他端は、DC出力端子12に接続されている。また、整流ダイオード9のカソード端子と二次コイル8の他端との間には、平滑コンデンサ10が接続されている。整流ダイオード9は、二次コイル8を流れる電流を整流し、平滑コンデンサ10を充電する。充電された平滑コンデンサ10は、DC出力端子12に接続される図示しない負荷に、所望の直流電圧値になるように制御された直流出力(DC出力)を供給する。
【0032】
また、整流ダイオード9のアノード端子とDC出力端子12の接続ノードには、2つの抵抗15,16からなる直列抵抗回路と、抵抗11の一端が接続されている。抵抗11の他端は、フォトカプラを構成するフォトダイオード13のアノード端子に接続されている。フォトダイオード13のカソード端子は、シャントレギュレータ14のカソード端子に接続されている。シャントレギュレータ14のアノード端子は、接地されている。これら抵抗11,15,16、フォトダイオード13およびシャントレギュレータ14は、平滑コンデンサ10の両端の直流出力電圧を検出し、この直流出力電圧を調整する電圧検出・フィードバック回路を構成している。
【0033】
フォトダイオード13からは、シャントレギュレータ14での設定値に基づいて平滑コンデンサ10の両端の直流出力電圧を所定の直流電圧値に調整するように、光信号が出力される。その光信号は、フォトダイオード13とともにフォトカプラを構成するフォトトランジスタ22により受信され、制御IC31へのフィードバック信号となる。フォトトランジスタ22は、制御IC31のFB端子33に接続されており、フィードバック信号は、このFB端子33に入力される。また、フォトトランジスタ22には、コンデンサ21が接続されている。このコンデンサ21は、フィードバック信号に対するノイズフィルタとなる。
【0034】
制御IC31には、起動回路41、低電圧停止回路(UVLO:Under−Voltage−Lock−Out)42、レギュレータ43、BOコンパレータ44、発振器45、ドライバ回路46、出力アンプ47、パルス幅変調コンパレータ(以下、PWMコンパレータとする)48、ラッチ回路49、基準電源50、および2つのブラウンアウト抵抗51,52からなる直列抵抗回路を備えている。起動回路41は、VH端子32、VCC端子35、およびブラウンアウト抵抗51,52からなる直列抵抗回路に接続されている。起動回路41は、電源の起動時に、VCC端子35に電流を供給する。
【0035】
低電圧停止回路42は、VCC端子35および起動回路41に接続されている。低電圧停止回路42は、起動回路41から供給される電流によりVCC端子35の電圧が制御IC31の動作に必要な電圧まで上昇すると、起動回路41からVCC端子35への電流の供給を停止させる。その後のVCC端子35への電流供給は、補助コイル7から行われる。レギュレータ43は、VCC端子35に接続されおり、VCC端子35の電圧に基づいて、制御IC31の各部の動作に必要な基準電圧を生成する。電源が起動した後、制御IC31は、レギュレータ43から出力される基準電圧により駆動される。
【0036】
PWMコンパレータ48の反転入力端子および非反転入力端子は、それぞれ、IS端子34およびFB端子33に接続されている。PWMコンパレータ48は、反転入力端子の電圧と非反転入力端子の電圧の大小関係により、出力を反転させる。PWMコンパレータ48の出力は、ドライバ回路46に入力される。
【0037】
ドライバ回路46には、発振器45が接続されており、発振器45から発振信号が入力される。発振器45からドライバ回路46にターンオン信号が入力され、かつPWMコンパレータ48の非反転入力端子の電圧(すなわち、FB端子33の電圧)が反転入力端子の電圧(すなわち、IS端子34の電圧)よりも大きいときに、ドライバ回路46の出力信号は、Hi状態になる。出力アンプ47は、ドライバ回路46から出力されるHi状態の信号を増幅し、OUT端子36を介してMOSFET19のゲートを駆動する。
【0038】
一方、PWMコンパレータ48の反転入力端子の電圧が非反転入力端子の電圧よりも大きくなると、PWMコンパレータ48が反転し、ドライバ回路46の出力信号は、Low状態になる。出力アンプ47は、ドライバ回路46から出力されるLow状態の信号を増幅し、OUT端子36を介してMOSFET19のゲートに供給する。従って、MOSFET19はオフ状態となり、MOSFET19に電流が流れなくなる。このように、2次側の出力電圧に応じてPWMコンパレータ48のスレッシュレベルを変化させて、MOSFET19のオン期間を可変制御することにより、2次側の出力電圧が安定化する。
【0039】
また、2つのブラウンアウト抵抗51,52の中間ノードは、BOコンパレータ44の非反転入力端子に接続されている。BOコンパレータ44の反転入力端子は、基準電源50に接続されている。BOコンパレータ44は、非反転入力端子の電圧と反転入力端子の電圧の大小関係により、出力を反転させる。BOコンパレータ44には、ブラウンアウト抵抗51,52で抵抗分圧された低い電圧の信号が入力されるので、BOコンパレータ44を低耐圧MOSにより構成することができる。BOコンパレータ44の出力は、ドライバ回路46に入力される。
【0040】
ドライバ回路46からHi状態の信号が出力されている状態で、BOコンパレータ44の非反転入力端子の電圧が反転入力端子の電圧よりも大きいときには、ドライバ回路46の出力信号は、Hi状態のままである。AC入力からの電圧供給がなくなり、一次側の入力電圧が低下すると、BOコンパレータ44の非反転入力端子の電圧が反転入力端子の電圧よりも小さくなる。そうすると、ドライバ回路46の出力信号が反転してLow状態となり、MOSFET19のスイッチング動作が停止し、ブラウンアウト機能が働くことになる。
【0041】
ラッチ回路49は、ドライバ回路46に接続されている。ラッチ回路49は、二次側出力電圧の上昇、制御IC31の発熱、または二次側出力電圧の低下などの異常状態が検出されたときに、過電圧保護、過熱保護または過電流保護のためドライバ回路46の出力を強制LOW状態とし、二次側出力への電力供給を停止する。この状態は、VCC電源電圧が低下し、制御IC31がリセットされるまで保持される。
【0042】
特に限定しないが、例えば、制御IC31の各回路等を構成する素子は、同一半導体基板上に形成される。この場合、ブラウンアウト抵抗51,52は、他の素子とともに、半導体基板上に形成される層間絶縁膜の間にポリシリコンやCrSi等により形成される。ブラウンアウト抵抗51,52の抵抗値は、特に限定しないが、1MΩ以上であり、その抵抗値の上限は特にないが、IC内に作成可能な抵抗値の上限以下である。例えば、10MΩ程度以下である。
【0043】
図2は、起動回路の構成を示す回路図である。図2に示すように、起動回路41は、VH端子(高耐圧入力端子)61、BO端子(ブラウンアウト入力端子)62、on/off端子(オン/オフ信号入力端子)63およびVCC端子(電源電圧端子)64を備えている。VH端子61およびVCC端子64は、それぞれ、制御IC31のVH端子32およびVCC端子35に接続されている。BO端子62は、2つのブラウンアウト抵抗51,52からなる直列抵抗回路に接続されている。on/off端子63は、低電圧停止回路42に接続されている。
【0044】
また、起動回路41は、起動素子65を備えている。起動素子65は、3つの高耐圧JFET81,82,83を備えている。これら3つのJFET81,82,83は、ノーマリオン型の電界効果型接合トランジスタであり、それらのゲート端子は、接地されている。また、これら3つのJFET81,82,83のドレイン端子は、VH端子61に共通接続されている。第1のJFET81のソース端子は、第1のPMOSトランジスタ67のソース端子および第2のPMOSトランジスタ69のソース端子に接続されている。
【0045】
第1のPMOSトランジスタ67のゲート端子は、第2のPMOSトランジスタ69のゲート端子およびドレイン端子に共通接続されている。第2のPMOSトランジスタ69のドレイン端子は、負荷70に接続されている。第1のPMOSトランジスタ67のドレイン端子とVCC端子64の間には、第1のNMOSトランジスタ68が接続されている。
【0046】
第1のNMOSトランジスタ68のゲート端子は、抵抗66を介して第2のJFET82のソース端子に接続されている。また、第1のNMOSトランジスタ68のゲート端子は、第2のNMOSトランジスタ71のドレイン端子に接続されている。第2のNMOSトランジスタ71のゲート端子は、on/off端子63に接続されている。第2のNMOSトランジスタ71のソース端子は、接地されている。また、第2のNMOSトランジスタ71のゲート端子は、抵抗72を介して接地されている。第3のJFET83のソース端子は、BO端子62に接続されている。
【0047】
このような構成の起動回路41では、第2のPMOSトランジスタ69の電圧電流特性と負荷70のインピーダンスによって、第2のPMOSトランジスタ69に流れる電流が決まる。第2のPMOSトランジスタ69と第1のPMOSトランジスタ67はカレントミラー接続になっている。そして、第2のPMOSトランジスタ69のW/Lの値が1であるのに対して、第1のPMOSトランジスタ67のW/Lの値は100である。従って、第1のPMOSトランジスタ67には、第2のPMOSトランジスタ69の100倍の電流が流れる。なお、WおよびLは、それぞれ、チャネル幅およびチャネル長である。
【0048】
第1のNMOSトランジスタ68は、on/off端子63を介して低電圧停止回路42から供給されるオン/オフ信号に基づいて、オン状態とオフ状態が切り替わるスイッチとして機能する。オン/オフ信号がLow状態の場合には、第2のNMOSトランジスタ71がオフ状態となり、第1のNMOSトランジスタ68のゲート端子に高い電圧が入力されるので、スイッチがオン状態となる。このスイッチがオン状態になることによって、上述した電源の起動時に、起動回路41から制御IC31のVCC端子35に電流が供給される。
【0049】
一方、オン/オフ信号がHi状態の場合には、第2のNMOSトランジスタ71がオン状態となり、第1のNMOSトランジスタ68のゲート電圧がゼロになるので、スイッチがオフ状態となる。従って、VH端子61とVCC端子64の間の電流経路が遮断されるので、起動回路41からVCC端子35への電流の供給が停止する。
【0050】
ここで、起動回路41を構成するJFET81,82,83が30V程度でピンチオフする特性を有する場合、制御IC31のVH端子32の検出可能な電圧範囲は、30V以下になる。電源コンデンサ3の、ブラウンアウト機能によりMOSFET19のオン/オフ動作を停止させたい電圧が30V以下である場合には、前記ツェナーダイオード4を介さずに、電源コンデンサ3にVH端子32を直接接続することができる。
【0051】
30Vよりも高い電圧で、ブラウンアウト機能により、MOSFET19のオン/オフ動作を停止させたい場合には、図1に示すように、電源コンデンサ3とVH端子32の間にツェナーダイオード4を挿入して電圧を調整する必要がある。なお、電源コンデンサ3とVH端子32の間のツェナーダイオード4を使わずに、電源コンデンサ3に直列抵抗回路を接続し、その直列抵抗回路により電源コンデンサ3の電圧を抵抗分圧してVH端子32に印加するような構成としてもよい。
【0052】
図3は、この発明の実施の形態1にかかる半導体装置の要部を示す平面図である。また、図4および図5は、それぞれ、図3に示す半導体装置を切断線X−X'およびY−Y'で切断した断面図である。なお、図3では、半導体装置の特徴を明瞭に示すため、金属配線、層間絶縁膜およびLOCOS酸化膜を省略して示す。この半導体装置は、前記起動素子65を構成する。
【0053】
図3〜図5に示すように、ゲート領域102となるpウェル領域が、p基板101の表面層に選択的に形成されている。また、p基板101の表面層には、ドリフト領域103となる低濃度のnウェル領域が、ゲート領域102の一部に所定の幅で入り込むように選択的に形成されている。さらに、p基板101の表面層の、ドリフト領域103の入り込んだ箇所には、ソース領域104となる高濃度のnウェル領域が選択的に例えば8個形成されている。なお、ソース領域104は、ドリフト領域103の入り込んだ箇所のすべて、例えばドリフト領域103の入り込んだ8箇所のすべてに形成されていてもよいし、ドリフト領域103の入り込んだ一部の箇所、例えばドリフト領域103の入り込んだ8箇所のうちの7箇所以下に形成されていてもよい。
【0054】
ドレイン領域105となる高濃度のnウェル領域は、ソース領域104と対向して、p基板101の表面層の、ソース領域104から離れた箇所に選択的に形成されている。ソース領域104は、ドレイン領域105から等間隔となる円周上に形成されている。ソース領域104とドレイン領域105は、拡散により同時に形成される。
【0055】
ドリフト領域103がゲート領域102に接する箇所には、ゲートポリシリコン電極107がゲート領域102とドリフト領域103に跨がるように形成されている。ソース領域104が形成されている箇所では、ゲートポリシリコン電極107は、ドリフト領域103上のLOCOS酸化膜108上に形成されている。LOCOS酸化膜108、ゲートポリシリコン電極107、ゲート領域102、ソース領域104およびドレイン領域105の上には、層間絶縁膜109が設けられている。
【0056】
層間絶縁膜109の上には、ゲート電極配線106となる金属配線、ドレイン電極配線110となる金属配線、第1のソース電極配線111となる金属配線、第2のソース電極配線112となる金属配線、および第3のソース電極配線113となる金属配線が形成されている。ゲート電極配線106は、ドレイン領域105、ドリフト領域103およびソース領域104を取り囲むように、ゲート領域102の上に形成されている。
【0057】
ゲート電極配線106は、層間絶縁膜109を貫通するゲートコンタクト部114およびポリシリコンコンタクト部115を介してゲート領域102およびゲートポリシリコン電極107に電気的に接続されている。ゲート電極配線106は、常に接地される。ドレイン電極配線110は、層間絶縁膜109を貫通するドレインコンタクト部116を介してドレイン領域105に電気的に接続されている。ドレイン領域105は、第1のJFET81、第2のJFET82および第3のJFET83に共通のドレイン領域であり、ドレイン電極配線110は、起動回路41のVH端子61に接続される。
【0058】
第1のソース電極配線111は、層間絶縁膜109を貫通するソースコンタクト部117を介して例えば6個のソース領域104に電気的に接続されている。第1のソース電極配線111が電気的に接続された6個のソース領域104は、前記第1のJFET81のソース領域となる。第2のソース電極配線112は、層間絶縁膜109を貫通するソースコンタクト部118を介して例えば別の1個のソース領域104に電気的に接続されている。第2のソース電極配線112が電気的に接続された1個のソース領域104は、前記第2のJFET82のソース領域となる。
【0059】
第3のソース電極配線113は、層間絶縁膜109を貫通するソースコンタクト部119を介して例えばさらに別の1個のソース領域104に電気的に接続されている。第3のソース電極配線113が電気的に接続された1個のソース領域104は、前記第3のJFET83のソース領域となる。なお、ここでは、8個のソース領域104を6個と1個と1個に分けたが、これに限らず、どのような組み合わせであってもよい。起動電流を確保するためには、第1のJFET81のソース領域の数が、第2のJFET82のソース領域の数よりも多いことが望ましい。また、ソース領域104の数も8個に限らない。
【0060】
上述した構成の起動素子65では、高耐圧化のための構造をゲート領域102とドリフト領域103の接合が担当し、大電流のための構造をソース領域104が担当するように役割分担しているので、高耐圧化と低オン抵抗化を両立することができる。ドレイン領域105に電圧が印加されるとドレイン電流が放射状に流れる。ソース領域104が正電位にバイアスされ、この電位が上昇してある電位になるとドリフト領域103が空乏層によりカットオフされ、ドレイン電流が遮断される。この実施の形態では、ドレイン−ソース間は、主にゲート領域102とドリフト領域103の接合により、例えば500V以上の耐圧を持つように設計される。
【0061】
以下ブラウンアウト抵抗51の形成方法について示す。p型基板101の上に、層間絶縁膜として厚さ6000ÅのLOCOS、厚さ1000ÅのCVD酸化膜を順次形成した上に適宜不純物を導入したポリシリコンを堆積およびパターニングしてブラウンアウト抵抗51を形成する。また、このブラウンアウト抵抗51の上に層間絶縁膜として厚さ約10000ÅのCVD酸化膜を形成し、その上にさらに配線層が形成されている。ブラウンアウト抵抗51の耐圧は、起動素子65を介してVH端子に接続された素子や配線層などと同様に、起動素子がカットオフした際のソース電圧(カットオフ電圧)より大きければよい。
【0062】
このように、ブラウンアウト抵抗51を、起動素子65を介してVH端子と接続する構成とすることにより、ブラウンアウト抵抗51の耐圧を小さくできる。また、ブラウンアウト抵抗51の耐圧を小さくできるため、上記のような通常の半導体プロセスによりブラウンアウト抵抗51を形成できる。また、ブラウンアウト抵抗51の上に層間絶縁膜を介して配線層などを形成することが可能であるため、ブラウンアウト抵抗51用に素子面積を大きくする必要がない。
【0063】
(実施の形態2)
図6は、この発明の実施の形態2にかかるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。図6に示すように、実施の形態2のスイッチング電源装置では、AC入力電圧を半波整流した電圧が制御IC31のVH端子32に入力される。この場合には、AC入力電圧がゼロになった場合でもVH端子32の電圧がゼロにならないようにするために、例えば、次のような構成の平滑回路が必要となる。
【0064】
実施の形態2では、実施の形態1のスイッチング電源装置の構成に、逆流防止用のダイオード23、コンデンサ24および2個の抵抗25,26が追加されている。また、実施の形態2では、VH端子32に接続されたツェナーダイオード4のカソード端子の接続先が、実施の形態1と異なる。その他の構成は、実施の形態1と同じであるので、重複する説明を省略する。また、起動回路とその中の起動素子の構成は、実施の形態1と同じであるので、説明を省略する。
【0065】
ダイオード23のアノード端子は、一方のAC入力端子1に接続されている。ダイオード23のカソード端子は、第1の抵抗25の一端に接続されている。第1の抵抗25の他端は、VH端子32に接続されたツェナーダイオード4のカソード端子と、第2の抵抗26の一端に接続されている。第2の抵抗26の他端は接地されている。コンデンサ24は、第2の抵抗26に並列に接続されており、AC入力からの電圧供給がない場合の電圧低下を抑える機能を有する。
【0066】
第2の抵抗26は、コンデンサ24の放電用の抵抗であり、AC入力からの電圧供給がなくなった後にコンデンサ24に高い電圧が残るのを防ぐ。第1の抵抗25は、コンデンサ24とともにローパスフィルタを構成しており、AC入力により電圧が急上昇するのを抑える。また、第1の抵抗25は、第2の抵抗26との間で抵抗分圧し、VH端子32に入力される電圧を調整する分圧抵抗となっている。実施の形態1と同様に、第1および第2の抵抗25,26の中間ノードとVH端子32の間のツェナーダイオード4を使わずに、第1および第2の抵抗25,26の中間ノードにVH端子32を直接接続する構成としてもよい。
【0067】
(実施の形態3)
図7は、この発明の実施の形態3にかかる起動回路の一例の構成を示す回路図である。図8は、この発明の実施の形態3にかかる起動回路の他の例の構成を示す回路図である。図7に示すように、実施の形態3の起動回路41では、起動素子85に、実施の形態1には設けられていた第3のJFET83がなく、第1のJFET81と第2のJFET82の2つの高耐圧JFETが設けられている。そして、図7に示す例では、第1のJFET81のソース端子がBO端子62に接続されている。
【0068】
第1のJFET81のソース端子の電圧は、制御IC31のVH端子32の電圧に連動する。従って、第1のJFET81のソース端子の電圧をBO端子62から出力させ、その電圧をブラウンアウト抵抗51,52により抵抗分圧するようにしても、ブラウンアウト機能を働かせることができる。また、図8に示す例のように、BO端子62を、第1のJFET81のソース端子の代わりに、第2のJFET82のソース端子に接続する構成としてもよい。起動回路41のその他の構成は、実施の形態1と同じである。
【0069】
図9は、この発明の実施の形態3にかかる半導体装置の要部を、金属配線、層間絶縁膜およびLOCOS酸化膜を省略して示す平面図である。この半導体装置は、前記起動素子85を構成する。図9に示すように、第1のソース電極配線111は、ソースコンタクト部117を介して、例えば8個のソース領域104のうちの例えば7個のソース領域104に電気的に接続されている。第1のソース電極配線111が電気的に接続された7個のソース領域104は、前記第1のJFET81のソース領域となる。
【0070】
また、第2のソース電極配線112は、ソースコンタクト部118を介して、例えば8個のソース領域104のうちの残り(例えば1個)のソース領域104に電気的に接続されている。第2のソース電極配線112が電気的に接続された1個のソース領域104は、前記第2のJFET82のソース領域となる。なお、ここでは、8個のソース領域104を6個と1個と1個に分けたが、これに限らず、どのような組み合わせであってもよい。起動電流を確保するためには、第1のJFET81のソース領域の数が、第2のJFET82のソース領域の数よりも多いことが望ましい。また、ソース領域104の数も8個に限らない。
【0071】
以上説明したように、実施の形態1〜3によれば、同一半導体基板内にブラウンアウト抵抗51,52が集積されているので、ブラウンアウト抵抗51,52を内蔵する制御IC31が得られる。従って、制御IC31に外付けする部品の数が減るので、部品コストや組み立てコストの低減と、小型化を図ることができる。また、実施の形態1によれば、ブラウンアウト抵抗51,52に電圧を供給するための専用の第3のJFET83を有するので、実施の形態3に対して次のような利点を有する。すなわち、電源起動時にVCC端子64へ供給する起動電流が変化すると、それに応じて第1のJFET81のソース端子または第2のJFET82のソース端子の電圧も変化する。
【0072】
そのため、起動電流が多く流れている場合と、少ない場合とで、第1のJFET81のソース端子または第2のJFET82のソース端子の電圧が異なるため、実施の形態3では、状態により1次側電圧の検出値に大きな差が出ることがある。それに対して、実施の形態1では、起動電流が変化しても、第3のJFET83にはブラウンアウト抵抗51,52により決まる一定の電流しか流れないので、第3のJFET83のソース端子の電圧は、常に一定となる。従って、電源の動作状態の影響を受けずに、安定して電圧を検出することができる。
【0073】
また、実施の形態1によれば、ブラウンアウト抵抗51,52の合成抵抗を数MΩと大きくすることによって、第3のJFET83には数十μAの電流しか流れないので、第3のJFET83の内部インピーダンスによる電圧降下が少ない。従って、VH端子61の電圧と第3のJFET83のソース端子の電圧がほぼ同じになるので、1次側電圧を正確に検出することができるという効果が得られる。
【0074】
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、種々変更可能である。例えば、実施の形態中に記載した数値は一例であり、本発明はそれらの値に限定されるものではない。また、第1のJFET81、第2のJFET82および第3のJFET83は、ゲート領域やドレイン領域が共通化された構成としたが、ゲート領域やドレイン領域を独立して有する素子としてもよい。さらに、半導体装置の説明においては第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としたが、本発明は第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としても同様に成り立つ。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上のように、本発明にかかる半導体装置、スイッチング電源用制御ICおよびスイッチング電源装置は、スイッチング電源装置に有用であり、特に、ブラウンアウト機能を有するスイッチング電源装置に適している。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】この発明の実施の形態1にかかるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図2】図1に示すスイッチング電源装置の起動回路の構成を示す回路図である。
【図3】この発明の実施の形態1にかかる半導体装置の要部を示す平面図である。
【図4】図3に示す半導体装置を切断線X−X'で切断した断面図である。
【図5】図3に示す半導体装置を切断線Y−Y'で切断した断面図である。
【図6】この発明の実施の形態2にかかるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図7】この発明の実施の形態3にかかる起動回路の一例の構成を示す回路図である。
【図8】この発明の実施の形態3にかかる起動回路の他の例の構成を示す回路図である。
【図9】この発明の実施の形態3にかかる半導体装置の要部を示す平面図である。
【図10】従来のスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図11】従来のスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図12】従来のスイッチング電源装置に用いられる起動回路の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0077】
31 制御IC
41 起動回路
51,52 ブラウンアウト抵抗
68 NMOSトランジスタ
81 第1のJFET
82 第2のJFET
83 第3のJFET
101 p基板
102 ゲート領域
103 ドリフト領域
104 ソース領域
105 ドレイン領域
106 ゲート電極配線
107 ゲートポリシリコン電極
110 ドレイン電極配線
111 第1のソース電極配線
112 第2のソース電極配線
113 第3のソース電極配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体基板の表面層に選択的に形成された第1導電型のゲート領域と、
前記ゲート領域に接して入り込み前記半導体基板の表面層に複数形成された第2導電型のソース領域と、
前記半導体基板の表面層に前記ソース領域と対向し同ソース領域と等間隔に形成された第2導電型のドレイン領域と、
前記ソース領域と前記ドレイン領域に挟まれ同両領域と接し前記半導体基板の表面層に形成された第2導電型のドリフト領域と、
前記ゲート領域と接続されたゲート電極と、
前記ドレイン領域と接続されたドレイン電極と、
複数の前記ソース領域のうちの1つ以上のソース領域からなる第1ソース領域群に含まれるソース領域に接続された第1のソース電極と、
複数の前記ソース領域のうちの残りのソース領域からなる第2ソース領域群に含まれるソース領域に接続された第2のソース電極と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
第1導電型の半導体基板の表面層に選択的に形成された第1導電型のゲート領域と、
前記ゲート領域に接して入り込み前記半導体基板の表面層に複数形成された第2導電型のソース領域と、
前記半導体基板の表面層に前記ソース領域と対向し同ソース領域と等間隔に形成された第2導電型のドレイン領域と、
前記ソース領域と前記ドレイン領域に挟まれ同両領域と接し前記半導体基板の表面層に形成された第2導電型のドリフト領域と、
前記ゲート領域と接続されたゲート電極と、
前記ドレイン領域と接続されたドレイン電極と、
複数の前記ソース領域のうちの1つ以上のソース領域からなる第1ソース領域群に含まれるソース領域に接続された第1のソース電極と、
複数の前記ソース領域のうちの別の1つ以上のソース領域からなる第2ソース領域群に含まれるソース領域に接続された第2のソース電極と、
複数の前記ソース領域のうちの残りのソース領域からなる第3ソース領域群に含まれるソース領域に接続された第3のソース電極と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
ドレイン端子に外部から1次側電圧が印加され、ゲート端子が接地され、ソース端子から前記ドレイン端子に印加される1次側電圧に基づく電流を流す第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタ、前記第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタのソース端子に接続されたスイッチ用トランジスタ、およびドレイン端子に外部から1次側電圧が印加され、ゲート端子が接地され、ソース端子から前記スイッチ用トランジスタを制御するための信号を出力する第2の高耐圧電界効果型接合トランジスタ、を含む起動回路と、
前記第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタのソース端子に接続され、該ソース端子の電圧を抵抗分圧する2つのブラウンアウト抵抗からなる直列抵抗回路と、
を備えることを特徴とするスイッチング電源用制御IC。
【請求項4】
ドレイン端子に外部から1次側電圧が印加され、ゲート端子が接地され、ソース端子から前記ドレイン端子に印加される1次側電圧に基づく電流を流す第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタ、前記第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタのソース端子に接続されたスイッチ用トランジスタ、およびドレイン端子に外部から1次側電圧が印加され、ゲート端子が接地され、ソース端子から前記スイッチ用トランジスタを制御するための信号を出力する第2の高耐圧電界効果型接合トランジスタ、を含む起動回路と、
前記第2の高耐圧電界効果型接合トランジスタのソース端子に接続され、該ソース端子の電圧を抵抗分圧する2つのブラウンアウト抵抗からなる直列抵抗回路と、
を備えることを特徴とするスイッチング電源用制御IC。
【請求項5】
ドレイン端子に外部から1次側電圧が印加され、ゲート端子が接地され、ソース端子から前記ドレイン端子に印加される1次側電圧に基づく電流を流す第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタ、前記第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタのソース端子に接続されたスイッチ用トランジスタ、ドレイン端子に外部から1次側電圧が印加され、ゲート端子が接地され、ソース端子から前記スイッチ用トランジスタを制御するための信号を出力する第2の高耐圧電界効果型接合トランジスタ、およびドレイン端子に外部から1次側電圧が印加され、ゲート端子が接地された第3の高耐圧電界効果型接合トランジスタ、を含む起動回路と、
前記第3の高耐圧電界効果型接合トランジスタのソース端子に接続され、該ソース端子の電圧を抵抗分圧する2つのブラウンアウト抵抗からなる直列抵抗回路と、
を備えることを特徴とするスイッチング電源用制御IC。
【請求項6】
前記第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタおよび前記第2の高耐圧電界効果型接合トランジスタが前記請求項1に記載の半導体装置により構成されており、
前記第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタのドレイン端子、ゲート端子およびソース端子が、それぞれ、前記半導体装置のドレイン電極、ゲート電極および第1のソース電極に接続されており、
前記第2の高耐圧電界効果型接合トランジスタのドレイン端子、ゲート端子およびソース端子が、それぞれ、前記半導体装置のドレイン電極、ゲート電極および第2のソース電極に接続されていることを特徴とする請求項3または4に記載のスイッチング電源用制御IC。
【請求項7】
前記第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタ、前記第2の高耐圧電界効果型接合トランジスタおよび前記第3の高耐圧電界効果型接合トランジスタが前記請求項2に記載の半導体装置により構成されており、
前記第1の高耐圧電界効果型接合トランジスタのドレイン端子、ゲート端子およびソース端子が、それぞれ、前記半導体装置のドレイン電極、ゲート電極および第1のソース電極に接続されており、
前記第2の高耐圧電界効果型接合トランジスタのドレイン端子、ゲート端子およびソース端子が、それぞれ、前記半導体装置のドレイン電極、ゲート電極および第2のソース電極に接続されており、
前記第3の高耐圧電界効果型接合トランジスタのドレイン端子、ゲート端子およびソース端子が、それぞれ、前記半導体装置のドレイン電極、ゲート電極および第3のソース電極に接続されていることを特徴とする請求項5に記載のスイッチング電源用制御IC。
【請求項8】
前記起動回路および前記2つのブラウンアウト抵抗が同一半導体基板内に集積されていることを特徴とする請求項3〜7のいずれか一つに記載のスイッチング電源用制御IC。
【請求項9】
前記請求項3〜8のいずれか一つに記載のスイッチング電源用制御ICを有することを特徴とするスイッチング電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−130733(P2008−130733A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312756(P2006−312756)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【出願人】(503361248)富士電機デバイステクノロジー株式会社 (1,023)
【Fターム(参考)】