説明

半導体装置の製造方法

【課題】活性層の表面の酸化を防止できる基板洗浄方法を提供する。
【解決手段】ソース領域およびドレイン領域の露出した表面上の自然酸化膜を、フッ酸を含有する洗浄液Aで洗浄除去する。二酸化炭素を超純水P中に溶解させた洗浄水Wでソース領域およびドレイン領域の表面を洗浄する。洗浄水W中の二酸化炭素が洗浄水Wの比抵抗を低下させる。洗浄水Wが供給配管48内を通過する際に生じる摩擦帯電を防止できる。洗浄水Wが帯電しなくなる。ソース領域およびドレイン領域の表面の帯電を防止できる。ソース領域およびドレイン領域の露出した表面の酸化が防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体層を有する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、この種の半導体装置の製造方法としては、半導体層としてのウェハの表面を、アンモニアと過酸化水素水と純水とを混合した薬液で洗浄して、このウェハの表面に付着している有機物を除去する。この後、このウェハの表面を、塩素とフッ酸と純水とからなる薬液で洗浄して、このウェハの表面に形成されている自然酸化膜を除去してから、酸性イオン水で洗浄して、このウェハの表面に付着している金属・イオン性不純物を除去するウェハの洗浄方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−111660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述のウェハの洗浄方法では、塩素とフッ酸と純水とからなる薬液で洗浄してから、酸性イオン水で洗浄している。このため、この塩素とフッ酸と純水とからなる薬液で洗浄して、ウェハの表面に形成されている自然酸化膜を除去したとしても、このウェハの表面の酸性イオン水による洗浄のときに、この酸性イオン水の帯電によってウェハの表面に電位差が生じて酸化されてしまう。したがって、このウェハの表面に酸化膜が形成されてしまうおそれがあるという問題を有している。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、半導体層の表面の酸化を防止できる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、絶縁基板上に半導体層を形成し、この半導体層上に絶縁層を形成し、この絶縁層に前記半導体層に導通する導通部を形成し、少なくともこの導通部にて導通した前記半導体層の表面を、抵抗値を低下させた洗浄水で洗浄し、前記導通部に電極層を形成するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、抵抗値を低下させた洗浄水とすることにより、この洗浄水の帯電を防止できる。このため、この洗浄水で少なくとも導通部にて導通した半導体層の表面を洗浄することにより、この洗浄水の帯電に伴う半導体層の表面の帯電を防止または少なくとも低下できるから、洗浄時の半導体層の表面の酸化を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の半導体装置の一実施の形態の構成を図2を参照して説明する。
【0008】
図2において、1は半導体装置としての液晶表示装置で、この液晶表示装置1は、例えば携帯電話機などのモニタとして用いられる平面表示装置としての液晶ディスプレイである。そして、この液晶表示装置1は、回路基板としての略矩形平板状のアクティブマトリクス型であるトップゲートタイプのアレイ基板2を備えている。
【0009】
このアレイ基板2は、略透明な矩形平板状の絶縁基板としての透光性基板であるガラス基板3を有している。このガラス基板3の一主面である表面上には、シリコン窒化膜(SiN)や酸化シリコン膜(SiO)などにて構成されたアンダーコート層4が積層されて成膜されている。このアンダーコート層4は、ガラス基板3上に形成される各素子への不純物の拡散を防止する。
【0010】
そして、このアンダーコート層4上には、スイッチング素子としての薄膜トランジスタ(TFT)5がマトリクス状に積層されて形成されている。これら薄膜トランジスタ5のそれぞれは、アンダーコート層4上に形成された半導体層としての活性層6を備えている。この活性層6は、多結晶半導体としてのポリシリコン(P−Si)にて構成されている。なお、このポリシリコンは、非晶質半導体としてのアモルファスシリコン(a−Si)に向けてプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法にてエキシマレーザ光Lを照射してレーザアニールして溶融再結晶化させることによって形成されている。
【0011】
そして、この活性層6は、この活性層6の中央部に設けられたチャネル領域7を有している。このチャネル領域7の両側には、ソース領域8およびドレイン領域9のそれぞれが対向して設けられている。これらソース領域8およびドレイン領域9は、引き出し部としてのコンタクト領域であって、活性層6のチャネル領域7となる部分の両側に、所定の低加速電圧にてリン(P)を不純物Dとして注入させたドーピングにて形成されている。
【0012】
さらに、アンダーコート層4上には、ゲート絶縁膜11が、各チャネル領域7、ソース領域8およびドレイン領域9のそれぞれを覆うように積層されている。このゲート絶縁膜11は、活性層6を含んだガラス基板3上に積層されている。さらに、このゲート絶縁膜11は、第1の絶縁層としてのゲート絶縁層であって、例えばテトラエトキシシラン(Tetraethoxysilane:TEOS)にて構成されている。
【0013】
また、各チャネル領域7に対向したゲート絶縁膜11上には、ゲート電極12が積層されて成膜されている。このゲート電極12は、チャネル領域7に離間対向して設けられている。また、このゲート電極12は、例えばモリブデン−タングステン(MoW)合金にて構成されている。さらに、このゲート電極12は、ゲート絶縁膜11を介して各薄膜トランジスタ5のチャネル領域7に対向しており、このチャネル領域7の幅寸法に略等しい幅寸法であるゲート長を有している。
【0014】
さらに、ゲート絶縁膜11上には、層間絶縁膜13が各薄膜トランジスタ5のゲート電極12それぞれを覆うように積層されている。この層間絶縁膜13は、第2の絶縁層であって、絶縁性を有する酸化シリコン(SiO)にて構成されている。
【0015】
そして、これら層間絶縁膜13およびゲート絶縁膜11には、これら層間絶縁膜13およびゲート絶縁膜11のそれぞれを貫通した導通部としての開口部である複数の第1のコンタクトホール14,15が開口されて設けられている。これら第1のコンタクトホール14,15は、いわゆるスルーホールであって、各薄膜トランジスタ5のゲート電極12の両側に設けられている。すなわち、これら第1のコンタクトホール14,15は、各薄膜トランジスタ5のソース領域8およびドレイン領域9に導通して設けられており、これらソース領域8およびドレイン領域9の少なくとも一部を開口させている。
【0016】
具体的に、第1のコンタクトホール14は、ソース領域8に導通し、このソース領域8の一部を開口させている。また、第1のコンタクトホール15は、ドレイン領域9に導通し、このドレイン領域9の一部を開口させている。すなわち、これら第1のコンタクトホール14,15は、ソース領域8およびドレイン領域9のそれぞれからソース電極16およびドレイン電極17を引き出すために設けられている。ここで、これらソース電極16およびドレイン電極17は、例えばアルミニウム(Al)などの導電性を有する金属膜52による電極層にて構成されている。
【0017】
さらに、この第1のコンタクトホール14上には、この第1のコンタクトホール14にて開口されたソース領域8を覆うようにソース電極16が積層されている。このソース電極16は、第1のコンタクトホール14内および層間絶縁膜13上に積層され、この第1のコンタクトホール14を介して薄膜トランジスタ5のソース領域8に電気的に接続されている。
【0018】
また、第1のコンタクトホール15上には、この第1のコンタクトホール15にて開口されたドレイン領域9を覆うようにドレイン電極17が積層されている。このドレイン電極17は、第1のコンタクトホール15内および層間絶縁膜13上に積層され、この第1のコンタクトホール15を介して薄膜トランジスタ5のドレイン領域9に電気的に接続されている。
【0019】
さらに、層間絶縁膜13上には、窒化シリコン(SiN)にて構成された保護膜としてのパッシベーション膜18が、各薄膜トランジスタ5のソース電極16およびドレイン電極17のそれぞれを覆うように積層されている。このパッシベーション膜18には、このパッシベーション膜18を貫通してドレイン電極17の少なくとも一部を開口させる導通部としての第2のコンタクトホール19が設けられている。この第2のコンタクトホール19は、薄膜トランジスタ5のドレイン電極17に連通している。
【0020】
さらに、このパッシベーション膜18上には、薄膜トランジスタ5にて制御される画素電極21が第2のコンタクトホール19を覆うように積層されている。すなわち、この画素電極21は、第2のコンタクトホール19を介して薄膜トランジスタ5のドレイン電極17に電気的に接続されて導通されている。また、パッシベーション膜18上には、配向膜22が画素電極を覆うように積層されている。
【0021】
一方、アレイ基板2に対向してコモン基板としての矩形平板状の対向基板31が配設されている。この対向基板31は、略透明な矩形平板状の絶縁性基板であるガラス基板32を備えている。このガラス基板32のアレイ基板2に対向した側の一主面には、コモン電極としての対向電極33が積層されて成膜されて設けられている。また、この対向電極33上には配向膜34が積層されて成膜されている。そして、この対向基板31の配向膜34とアレイ基板2の配向膜22との間には、所定の間隙として液晶封入領域35が設けられている。さらに、この液晶封入領域35には、光変調素子として液晶素子36が封入されて光変調層としての液晶層37が形成されている。
【0022】
さらに、アレイ基板2の対向基板31が対向して配設されている側の反対側には、背面光源としての図示しないバックライトが対向して配設されている。このバックライトは、面状の光をアレイ基板2に入射させて、このアレイ基板2上の薄膜トランジスタ5による画素電極21の制御によって、このアレイ基板2上に表示される画像を目視可能にさせる。
【0023】
次に、上記一実施の形態の液晶表示装置の製造装置を説明する。
【0024】
図1において、41は液晶表示装置の製造装置としてのスピン洗浄装置で、このスピン洗浄装置41は、第1のコンタクトホール14,15が形成された状態のガラス基板3の表面を洗浄して、これら第1のコンタクトホール14,15にて開口されたソース領域8およびドレイン領域9の表面を洗浄して、これらソース領域8およびドレイン領域9の表面に付着しているおそれのある洗浄液Aなどの付着物を除去してリンスする機能を備えた基板洗浄装置である。具体的に、このスピン洗浄装置41は、ガラス基板3が搬入される中空なチャンバ42を備えている。そして、このチャンバ42内には、ガラス基板3が水平に設置されて、このガラス基板3を水平に回転させてスピンさせながら、このガラス基板3の表面に溶解水としての洗浄水Wを吹き付けて、このガラス基板3の表面をスピン洗浄させる。
【0025】
ここで、この洗浄水Wは、水の抵抗値を下げる作用を有するとともに、活性層6を構成するポリシリコンに対する非腐食性を有する物質である二酸化炭素ガス(CO)を超純水P中に溶解させて、この超純水P中での水の電気分解を防止させつつ、この超純水P中にHO+CO⇔H+HCOのイオンを発生させたCO溶解水である。すなわち、この洗浄水Wは、超純水Pより十分に抵抗値が低いものであって、これら水素イオン(H)や重炭酸イオン(HCO)にて超純水Pの抵抗値である比抵抗を、例えば13×10Ω以上14×10Ω以下から0.3×10Ω以上0.5×10Ω以下程度、より好ましくは0.1×10Ω程度まで低下させて、この超純水Pの帯電を防止させたものである。ここで、超純水Pは、例えば13×10Ω以上14×10Ω以下程度の比抵抗を有する水である。
【0026】
そして、このスピン洗浄装置41には、このスピン洗浄装置41のチャンバ42内へと洗浄水Wを供給する洗浄液供給装置としてのCOバブラー装置43が取り付けられている。このCOバブラー装置43には、超純水Pが供給され、この超純水P中に二酸化炭素(CO)ガスを溶解させて洗浄水WとするCO溶解装置44を備えている。
【0027】
このCO溶解装置44には、二酸化炭素ガスが充填されたCOボンベ45が取り付けられており、このCOボンベ45から吐出された二酸化炭素ガスを、CO溶解装置44へと供給される超純水P中に散気してバブリングして、この超純水P中に溶解させて、この超純水Pを二酸化炭素水(CO水)としての洗浄水Wとする。
【0028】
さらに、このCO溶解装置44には、超純水P中へとバブリングされる単位質量当たりの二酸化炭素ガスの流量を測定する質量流量計としてのマスフロー46が取り付けられている。また、このマスフロー46には、二酸化炭素ガスがバブリングされた洗浄水Wの比抵抗値を測定する比抵抗計47が取り付けられており、このマスフロー46は、比抵抗計47にて測定された洗浄水Wの比抵抗値をフィードバックして、超純水P中への二酸化炭素ガスの単位質量当たりの供給量を調整させる。
【0029】
そして、このCO溶解装置44にて二酸化炭素が溶解された洗浄水Wは、管状の供給配管48を介してスピン洗浄装置41のチャンバ42内へと送られる。この供給配管48は、例えばテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂である超高純度用プラスチックにて構成されている。
【0030】
次に、上記一実施の形態の液晶表示装置の製造方法を説明する。
【0031】
まず、図3に示すように、ガラス基板3上にアンダーコート層4を形成し、引き続いてこのアンダーコート層4上にプラズマCVD法にて非晶質半導体層としてのアモルファスシリコン膜51を堆積する。
【0032】
この後、図4に示すように、このアモルファスシリコン膜51にエキシマレーザ光Lを照射してレーザアニールして、このアモルファスシリコン膜51を溶融再結晶化させてポリシリコンにしてから、図5に示すように、ドライエッチングにてパターニングして島状の活性層6とする。
【0033】
次いで、図6に示すように、このアンダーコート層4上の一面に、各活性層6を覆うようにプラズマCVD法などにてゲート絶縁膜11を形成する。
【0034】
この後、このゲート絶縁膜11上の一面に、例えばモリブデン−タングステン(MoW)合金をスパッタにて成膜してからドライエッチングにてパターニングして、図7に示すように、活性層6のチャネル領域7となる部分上にゲート電極12を形成する。
【0035】
この状態で、図8に示すように、このゲート電極12をマスクとして用いたセルフアライン方式にて、ソース領域8およびドレイン領域9となる部分のそれぞれに、例えばリン(P)などのドーパントである不純物Dをイオンドープ法にてイオンドーピングして薄膜トランジスタ4のソース領域8およびドレイン領域9を形成する。
【0036】
このとき、活性層6のソース領域8とドレイン領域9との間に位置する部分がチャネル領域7となる。
【0037】
次いで、これらソース領域8およびドレイン領域9中のそれぞれの不純物Dを熱アニールにて活性化する。
【0038】
この後、図9に示すように、ゲート絶縁膜11上の一面に、ゲート電極12を覆うようにプラズマCVD法にて層間絶縁膜13を成膜した後、この層間絶縁膜13およびゲート絶縁膜11に図示しないフォトマスクを用いて第1のコンタクトホール14,15を形成して、ソース領域8およびドレイン領域9の表面の一部を露出させる。
【0039】
この状態で、図10に示すように、これら第1のコンタクトホール14,15が形成されたガラス基板3の表面に、例えばフッ酸(HF)などの酸を含有する酸性の洗浄液Aを吹き付けて、このガラス基板3の表面を洗浄して、このガラス基板3の各第1のコンタクトホール14,15によって露出されているソース領域8およびドレイン領域9それぞれの表面に形成されているおそれがある自然酸化膜Bを除去する。
【0040】
次いで、これら第1のコンタクトホール14,15にて露出されているソース領域8およびドレイン領域上の自然酸化膜を除去したガラス基板3を、スピン洗浄装置41のチャンバ42内へと搬入させる。
【0041】
同時に、COバブラー装置43へと供給される超純水P中に、COボンベ45に充填されている二酸化炭素ガスをCO溶解装置44のマスフロー46にて単位質量当たりの供給量を調整しつつ散気して溶解させて、この超純水Pの比抵抗を低下させて帯電を防止させた洗浄水Wとする。
【0042】
このとき、この洗浄水Wの比抵抗が比抵抗計47にて測定され、この比抵抗計47にて測定された洗浄水Wの比抵抗値がマスフロー46へとフィードバックされて、このマスフロー46による二酸化炭素ガスの超純水Pへの単位質量当たりの供給量が調整され、洗浄水W中の二酸化炭素の溶解量が一定となるように調整される。
【0043】
そして、この洗浄水Wがスピン洗浄装置41のチャンバ42内へと供給配管48を介して供給され、図11に示すように、このチャンバ42内にてガラス基板3の表面に吹き付けて、このガラス基板3上の各第1のコンタクトホール14,15によって露出されているソース領域8およびドレイン領域9の表面を洗浄する。
【0044】
このとき、この洗浄水Wに二酸化炭素が溶解していることにより、この洗浄水Wの供給配管48内を流れる際に生じ得る摩擦帯電が防止され、この洗浄水Wの帯電が防止される。このため、この洗浄水Wが帯電している場合に生じ得る、ガラス基板3上の第1のコンタクトホール14,15にて露出されているソース領域8およびドレイン領域9の表面での酸化シリコン(SiO)にて構成された酸化層の形成が防止される。ここで、酸性の洗浄液Aによるガラス基板3の表面の洗浄と、洗浄液Wによるガラス基板3の表面の洗浄とは、同一のスピン洗浄装置41を用いても良いし、別個のスピン洗浄装置41を用いても良い。
【0045】
この後、図12に示すように、層間絶縁膜13上の一面に、各第1のコンタクトホール14,15を覆うように金属膜52を成膜してから、この金属膜52をパターニングしてソース電極16およびドレイン電極17のそれぞれを形成する。
【0046】
さらに、図13に示すように、層間絶縁膜13上の一面に、ソース電極16およびドレイン電極17それぞれを覆うようにパッシベーション膜18を形成してから、このパッシベーション膜18に第2のコンタクトホール19を形成して、薄膜トランジスタ5のドレイン電極17を露出させる。
【0047】
この状態で、図14に示すように、このパッシベーション膜18上に、第2のコンタクトホール19を覆うように画素電極21を形成して、この画素電極21をドレイン電極17に導通させてから、このパッシベーション膜18上に、画素電極21を覆うように配向膜22を形成してアレイ基板2とする。
【0048】
さらに、図2に示すように、このアレイ基板2の配向膜22側に、対向基板31の配向膜34側を対向させて取り付けてから、これらアレイ基板2の配向膜22と対向基板31の配向膜34との間の液晶封入領域35に液晶素子36を封入して封止させて、この液晶封入領域35に液晶層37を形成して液晶表示装置1とする。
【0049】
この後、この液晶表示装置1のアレイ基板2の裏面側にバックライトを取り付ける。
【0050】
ここで、図11に示すように、例えばフッ酸(HF)などの洗浄液Aでガラス基板3の表面を洗浄して、このガラス基板3の各第1のコンタクトホール14,15にて露出されたソース領域8およびドレイン領域9それぞれの表面に形成されている自然酸化膜Bを除去してから、これら露出しているソース領域8およびドレイン領域9の表面を超純水Pで洗浄してリンスした場合には、図15に示すように、この超純水Pが供給配管48内を流れる際に、この供給配管48内での摩擦によって超純水P中に摩擦帯電が発生する。そして、この摩擦帯電によって供給配管48の内壁面がプラス(+)に帯電することから、この供給配管48内を流れる超純水Pがマイナス(−)に帯電してしまう。
【0051】
このため、このマイナスに帯電した超純水Pをガラス基板3の表面に吹き付けて、このガラス基板3上の露出しているソース領域8およびドレイン領域9の表面を洗浄した際に、図16に示すように、この超純水Pがマイナスに帯電していることから、図17に示すように、これらソース領域8およびドレイン領域9の露出している表面がプラス(+)に帯電してしまい陽極となる。
【0052】
したがって、これらソース領域8およびドレイン領域9の露出している表面が陽極に帯電することから、これらソース領域8およびドレイン領域9の露出している表面に接触した超純水P中の水分子(HO)が電気分解される。このため、この水分子中の酸素(O)がソース領域8およびドレイン領域9の露出している表面から発生し、図18に示すように、この酸素によってソース領域8およびドレイン領域9の露出している表面が酸化されて酸化シリコン(SiO)にて構成された酸化層Cが形成されてしまう。
【0053】
そこで、上述した一実施の形態のように、ガラス基板3の各第1のコンタクトホール14,15によって露出されているソース領域8およびドレイン領域9それぞれの表面に形成されている自然酸化膜Bを、例えばフッ酸(HF)などの酸を含有する酸性の洗浄液Aで洗浄して除去した後に、これらソース領域8およびドレイン領域9それぞれの露出している表面を洗浄してリンスするための水として、超純水Pの抵抗値を低下させる作用を有する二酸化炭素ガスを超純水P中に溶解させた洗浄水Wを用いる構成とした。
【0054】
この結果、この洗浄水W中に溶解させた二酸化炭素によって、この洗浄水Wの比抵抗が、例えば0.3×10Ω以上0.5×10Ω以下程度に低下されるので、この洗浄水Wが供給配管48内を通過する際に生じるおそれがある摩擦帯電による帯電を防止または少なくとも低下できる。したがって、この洗浄水Wが帯電しなくまたは帯電しにくくなるので、帯電していないまたは帯電が少ない洗浄水Wでソース領域8およびドレイン領域9それぞれの露出している表面を洗浄してリンスできるから、これらソース領域8およびドレイン領域9それぞれの露出している表面を洗浄水Wで洗浄する際に、この洗浄水Wが帯電している場合に生じ得るソース領域8およびドレイン領域9それぞれの露出している表面の帯電を防止できる。
【0055】
よって、これらソース領域8およびドレイン領域9それぞれの露出している表面の帯電によって、これらソース領域8およびドレイン領域9それぞれの露出している表面が酸化されて酸化層Cが形成されることを防止でき、この酸化層Cの発生を低減できる。
【0056】
したがって、これらソース領域8およびドレイン領域9とソース電極16およびドレイン電極17との間に酸化層Cが介在して、これらソース領域8およびドレイン領域9とソース電極16およびドレイン電極17との間の電気的な抵抗値が大きくなることを防止できる。このため、これらソース領域8およびドレイン領域9とソース電極16およびドレイン電極17との間の電気的な抵抗値が大きくなることによって生じるおそれがある、液晶表示装置1の点欠陥や線欠陥などの画質不良の発生を防止できる。
【0057】
また、COバブラー装置43へと供給される超純水P中に、COボンベ45に充填されている二酸化炭素ガスをCO溶解装置44のマスフロー46にて単位質量当たりの供給量を調整しつつ散気して溶解させて、この超純水Pの比抵抗を低下させて帯電を防止させた洗浄水Wとする構成とした。そして、この洗浄水Wの比抵抗を比抵抗計47にて測定し、この比抵抗計47にて測定した洗浄水Wの比抵抗値をマスフロー46へとフィードバックして、このマスフロー46による二酸化炭素ガスの超純水Pへの単位質量当たりの供給量を調整する構成とした。この結果、このCOバブラー装置43からスピン洗浄装置41へと供給される洗浄水W中の二酸化炭素の溶解量を常に一定に調整できるので、このスピン洗浄装置41へと供給される洗浄水Wの帯電を常に安定して防止できる。したがって、このスピン洗浄装置41のチャンバ42内へと搬送されるガラス基板3を洗浄水Wで洗浄する際における、このガラス基板3のソース領域8およびドレイン領域9それぞれの露出している表面の酸化を常に安定して防止できる。
【0058】
なお、上記一実施の形態では、超純水Pの抵抗値を低下させる作用を有する物質として二酸化炭素(CO)を用いた構成としたが、この超純水Pの抵抗値を低下させる作用を有する物質であれば、例えば一酸化炭素(CO)などの酸化炭素やその他の物質あっても対応させて用いることができる。
【0059】
また、液晶表示装置1のアレイ基板2のガラス基板3上に積層されたソース領域8およびドレイン領域9の露出した部分の洗浄として、二酸化炭素を超純水P中に溶解させた洗浄水Wを用いたが、薄膜トランジスタ5以外のポリシリコンなどの半導体層の表面を洗浄する必要のある半導体装置などでも対応させて用いることができる。
【0060】
すなわち、液晶表示装置1のアレイ基板2に用いられる薄膜トランジスタ5以外に、光変調層として有機EL(ElectroLuminescence)素子を用いた有機ELディスプレイに用いられる薄膜トランジスタなどの半導体装置であっても、対応させて用いることができる。
【0061】
さらに、ソース領域8およびドレイン領域9へ注入する不純物Dを、例えばボロン(B)などとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の半導体装置の製造方法に用いる製造装置の一実施の形態を示す説明構成図である。
【図2】同上半導体装置を示す説明断面図である。
【図3】同上半導体装置の絶縁基板上に半導体層を形成した状態を示す説明断面図である。
【図4】同上半導体装置の半導体層をアニールする状態を示す説明断面図である。
【図5】同上半導体装置の半導体層を島状にした状態を示す説明断面図である。
【図6】同上半導体装置の半導体層上に絶縁層を形成した状態を示す説明断面図である。
【図7】同上半導体装置の絶縁層上にゲート電極を形成した状態を示す説明断面図である。
【図8】同上半導体装置の半導体層をドーピングする状態を示す説明断面図である。
【図9】同上半導体装置のゲート電極上に形成した絶縁層に導通部を形成した形態を示す説明断面図である。
【図10】同上半導体装置の導通部にて導通した半導体層の表面を酸で洗浄する状態を示す説明断面図である。
【図11】同上半導体装置の導通部にて導通した半導体層の表面を溶解水で洗浄する状態を示す説明断面図である。
【図12】同上半導体装置の絶縁層上に電極層を形成した状態を示す説明断面図である。
【図13】同上半導体装置の電極層上に形成したパッシベーション膜に導通部を形成した状態を示す説明断面図である。
【図14】同上半導体装置のパッシベーション膜の導通部上に画素電極を形成した状態を示す説明断面図である。
【図15】一比較例の半導体装置の製造装置の一部を示す説明構成図である。
【図16】同上半導体装置を超純水で洗浄する状態を示す説明断面図である。
【図17】同上半導体装置を超純水で洗浄して半導体層が帯電した状態を示す説明断面図である。
【図18】同上半導体装置の導通部を超純水で洗浄して半導体層上に酸化層が形成された状態を示す説明断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 半導体装置としての液晶表示装置
3 絶縁基板としてのガラス基板
6 半導体層としての活性層
11 絶縁層としてのゲート絶縁膜
13 絶縁層としての層間絶縁膜
14,15 導通部としての第1のコンタクトホール
16 電極層としてのソース電極
17 電極層としてのドレイン電極
A 酸としての洗浄液
P 水としての超純水
W 洗浄水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板上に半導体層を形成し、
この半導体層上に絶縁層を形成し、
この絶縁層に前記半導体層に導通する導通部を形成し、
少なくともこの導通部にて導通した前記半導体層の表面を、抵抗値を低下させた洗浄水で洗浄し、
前記導通部に電極層を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
水の抵抗値を下げる作用を有する物質を水に溶解させて洗浄水の抵抗値を低下させる
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
少なくとも導通部にて導通した半導体層の表面を、酸で洗浄してから洗浄水で洗浄する
ことを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
水の抵抗値を下げる作用を有する物質として、二酸化炭素(CO)を用いる
ことを特徴とする請求項2または3記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−49120(P2009−49120A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212737(P2007−212737)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】