説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】メモリセルアレイ領域と周辺回路領域との間に生じる層間絶縁膜の段差を解消し、歩留まりの向上を図ることができる半導体装置を提供すること。
【解決手段】半導体基板1上で素子分離用絶縁膜2a、2bによって素子分離された複数の第1の素子10が形成された第1の領域4と、半導体基板1上で第1の領域4に隣接して配されるとともに、素子分離用絶縁膜2b、2cによって素子分離された複数の第2の素子20が形成され、第2の素子20の高さが第1の素子10の高さよりも低い第2の領域5と、第2の領域5にある素子分離用絶縁膜2b、2cの少なくとも一部の領域上に配設されたダミー絶縁膜6c、6dと、第1の領域4及び第2の領域5にわたって形成された層間絶縁膜7と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板上にメモリセルアレイ領域及び周辺回路領域を有する半導体装置及びその製造方法に関し、特に、メモリセルアレイ領域と周辺回路領域との間の段差を解消できる半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置においては、半導体基板上に、メモリセルがマトリックス状に配置してなるメモリセルアレイ領域と、当該メモリセルアレイ領域の周囲に配置された周辺回路領域とを有する。メモリセルアレイ領域では、メモリセルが半導体基板の上に複数のポリシリコン層や絶縁層を積み上げて高く突出した構造となっており、メモリセルアレイ領域全体として密集して隆起している。一方、周辺回路領域では、センスアンプやワード線ドライバ等の集積回路で構成されるが、これらの集積回路は主にMOS(Metal Oxide Semiconductor)等で構成されており、MOSのゲート電極が散在して低く突出しているにすぎない。そのため、メモリセルアレイ領域および周辺回路領域上に成膜された層間絶縁膜の表面において、メモリセルアレイ領域と周辺回路領域との間の境界部に大きな段差(グローバル段差)が発生する。グローバル段差を有する層間絶縁膜上に配線を形成すると、配線工程のプロセスマージン(特に、フォトリソグラフィにおけるフォーカスマージン)の縮小によって、配線が断線または短絡しやすくなるといった問題がある。
【0003】
このような問題を解決するために、特許文献1では、メモリセルアレイ領域と周辺回路領域との間の境界部付近での層間絶縁膜のグローバル段差を緩和するべく、当該境界部付近のフィールド酸化膜上にポリシリコン膜を設けている。これにより、配線工程において、当該境界部付近の層間絶縁膜のグローバル段差がなだらかで高低差が小さいため、フォトリソグラフィ時のフォトレジストの露光ないし加工を設計パターン通りに行え、層間絶縁膜上に形成される各配線間の短絡や断線を生じないとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−284494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下の分析は、本発明の視点からなされるものである。
しかしながら、特許文献1に記載の半導体装置では、メモリセルアレイ領域と周辺回路領域との間の境界部のフィールド酸化膜上にポリシリコン膜を配置することによって、当該境界部付近の急峻な層間絶縁膜の段差が局所的に緩和されるものの、グローバル段差自体は残ったままである。そのため、当該境界部のフィールド酸化膜上にポリシリコン膜を配置するか否かにかかわらず、露光時のメモリセルアレイ領域上のフォトレジストと周辺回路領域上のフォトレジストとで焦点深度が合わず、フォーカスマージンが小さいままであり、配線の断線または短絡を完全に回避することは困難である。
【0006】
また、特許文献1に記載の半導体装置では、層間絶縁膜がアニールによって平坦化されているが、アニール後のメモリセルアレイ領域上の層間絶縁膜の膜厚(基板表面からの膜厚)と周辺回路領域上の層間絶縁膜の膜厚(基板表面からの膜厚)とが異なるため、層間絶縁膜にコンタクトビア(プラグ用の下穴)を形成する際、メモリセルアレイ領域と周辺回路領域での最適なエッチング時間も異なってくる。そのため、メモリセルアレイ領域および周辺回路領域で同時にコンタクトビアを形成するためのエッチングを行うと、メモリセルアレイ領域ではエッチングが不足してコンタクトオープン不良が発生しやすい状況になり、周辺回路領域ではエッチングが過剰となってコンタクトリーク不良が発生しやすい状況になる。
【0007】
なお、エッチング時間を調整する方法としてエッチングストッパ膜を用いることが考えられるが、同一のエッチング工程でメモリセルアレイ領域および周辺回路領域でコンタクトビアを形成するためには、層間絶縁膜とエッチングストッパ膜とのエッチング選択比を十分に設定しなければならず、プロセス条件としては難易度が高まる。また、CMP(Chemical Mechanical Polishing;化学機械研磨)によって層間絶縁膜を平坦化することが考えられるが、グローバル段差を有する層間絶縁膜では、CMPを行うとメモリセルアレイ領域の中央で高く周辺で低い湾曲ないし傾斜した面となり、メモリセルアレイ領域上の層間絶縁膜の膜厚(基板表面からの膜厚)と周辺回路領域上の層間絶縁膜の膜厚(基板表面からの膜厚)とが異なるだけでなく、メモリセルアレイ領域内又は周辺回路領域内においても層間絶縁膜の膜厚(基板表面からの膜厚)が不均一になるおそれがある。
【0008】
本発明の主な課題は、メモリセルアレイ領域と周辺回路領域との間に生じる層間絶縁膜の段差を解消し、リソグラフィ時及びエッチング時のプロセスマージンを拡大し、歩留まりの向上を図ることができる半導体装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の視点においては、半導体装置において、半導体基板上で素子分離用絶縁膜によって素子分離された複数の第1の素子が形成された第1の領域と、前記半導体基板上で前記第1の領域に隣接して配されるとともに、前記素子分離用絶縁膜によって素子分離された複数の第2の素子が形成され、前記第2の素子の高さが前記第1の素子の高さよりも低い第2の領域と、前記第2の領域にある前記素子分離用絶縁膜の少なくとも一部の領域上に配設されたダミー絶縁膜と、前記第1の領域及び前記第2の領域にわたって形成された層間絶縁膜と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の前記半導体装置において、前記層間絶縁膜の表面は、前記第1の領域及び前記第2の領域にわたって平坦化されていることが好ましい。
【0011】
本発明の前記半導体装置において、前記ダミー絶縁膜の高さは、前記第1の素子の高さ以下に設定されていることが好ましい。
【0012】
本発明の前記半導体装置において、前記ダミー絶縁膜の高さは、前記第1の素子の高さの−10%以内に設定されていることが好ましい。
【0013】
本発明の前記半導体装置において、前記第2の領域では、前記第2の素子とは別の領域に前記第1の素子の高さよりも低い第3の素子が形成され、前記第3の素子の一部は、シリサイドブロッキング絶縁膜で覆われており、前記ダミー絶縁膜は、前記シリサイドブロッキング絶縁膜と同じ材質で同じ工程で形成される絶縁膜であることが好ましい。
【0014】
本発明の第2の視点においては、半導体装置の製造方法において、互いに隣接する第1の領域及び第2の領域にわたって半導体基板上に素子分離用絶縁膜を形成する工程と、前記第1の領域の前記半導体基板上に複数の第1の素子を形成する工程と、前記第2の領域の前記半導体基板上に前記第1の素子の高さよりも低い複数の第2の素子を形成する工程と、前記第2の領域にある前記素子分離用絶縁膜の少なくとも一部の領域上にダミー絶縁膜を形成する工程と、前記ダミー絶縁膜を形成した後、前記第1の領域及び前記第2の領域にわたって層間絶縁膜を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の前記半導体装置の製造方法において、前記層間絶縁膜の表面を、前記第1の領域及び前記第2の領域にわたって平坦化する工程を含むことが好ましい。
【0016】
本発明の前記半導体装置の製造方法において、前記ダミー絶縁膜を形成する工程では、前記ダミー絶縁膜の高さが前記第1の素子の高さ以下になるように前記ダミー絶縁膜を形成することが好ましい。
【0017】
本発明の前記半導体装置の製造方法において、前記ダミー絶縁膜を形成する工程では、前記ダミー絶縁膜の高さが前記第1の素子の高さの−10%以内となるように前記ダミー絶縁膜を形成することが好ましい。
【0018】
本発明の前記半導体装置の製造方法において、前記第2の素子を形成する工程では、前記第2の領域における前記第2の素子とは別の領域に前記第1の素子の高さよりも低い第3の素子を形成し、前記ダミー絶縁膜を形成する工程では、前記第3の素子の一部を覆うシリサイドブロッキング絶縁膜を形成すると同時に前記ダミー絶縁膜を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、周辺回路領域にある素子分離絶縁膜上に段差緩和用のダミー絶縁膜を形成することで、両領域間のグローバル段差が解消され、コンタクトビア形成工程および配線形成工程におけるリソグラフィにおいてフォーカスマージンが拡大し、コンタクトエッチングのプロセスマージンが拡大し、コンタクトビアのオープン不良/リーク不良が低減され、配線の断線/短絡が低減され、歩留まりを向上させることができ、製品の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1に係る半導体装置の構成を模式的に示した(図2のX−X´間の)部分断面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る半導体装置の構成を模式的に示した部分平面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法を模式的に示した第1の工程断面図である。
【図4】本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法を模式的に示した第2の工程断面図である。
【図5】本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法を模式的に示した第3の工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態に係る半導体装置では、半導体基板(図1の1)上で素子分離用絶縁膜(図1の2a、2b)によって素子分離された複数の第1の素子(図1の10)が形成された第1の領域(図1の4)と、前記半導体基板上で前記第1の領域に隣接して配されるとともに、前記素子分離用絶縁膜(図1の2b、2c)によって素子分離された複数の第2の素子(図1の20)が形成され、前記第2の素子の高さが前記第1の素子の高さよりも低い第2の領域(図1の5)と、前記第2の領域にある前記素子分離用絶縁膜の少なくとも一部の領域上に配設されたダミー絶縁膜(図1の6c、6d)と、前記第1の領域及び前記第2の領域にわたって形成された層間絶縁膜(図1の7)と、を備える。
【0022】
本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法では、互いに隣接する第1の領域(図3の4)及び第2の領域(図3の5)にわたって半導体基板(図3の1)上に素子分離用絶縁膜(図3の2a、2b、2c)を形成する工程(図3(A))と、前記第1の領域の前記半導体基板上に複数の第1の素子(図3の10)を形成する工程(図3(C))と、前記第2の領域の前記半導体基板上に前記第1の素子の高さよりも低い複数の第2の素子(図3の20)を形成する工程(図3(D))と、前記第2の領域にある前記素子分離用絶縁膜の少なくとも一部の領域上にダミー絶縁膜(図4の6c、6d)を形成する工程(図4(A))と、前記ダミー絶縁膜を形成した後、前記第1の領域及び前記第2の領域にわたって層間絶縁膜(図4の7)を形成する工程(図4(C))と、を含む。
【実施例1】
【0023】
本発明の実施例1に係る半導体装置について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施例1に係る半導体装置の構成を模式的に示した(図2のX−X´間の)部分断面図である。図2は、本発明の実施例1に係る半導体装置の構成を模式的に示した部分平面図である。
【0024】
実施例1に係る半導体装置は、半導体基板1(例えば、シリコン基板)上に、メモリセルアレイ領域4と、当該メモリセルアレイ領域4の周囲に配置された周辺回路領域5とを有する不揮発性半導体記憶装置である。
【0025】
メモリセルアレイ領域4では、メモリセル10がマトリックス状に配置されている。メモリセル10は、ゲート12、14を積層したスタックゲート型のメモリセルであるが、ゲートが横方向に分割されたスプリットゲート型のメモリセルであってもよい。メモリセル10では、半導体基板1上のフィールド絶縁膜2a、2b(例えば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)酸化膜)で囲まれた領域において、半導体基板1上にウェル3(例えば、p型ウェル)が形成されており、ウェル3におけるチャネル領域上にトンネル絶縁膜11(例えば、ONO膜)を介して電荷蓄積層となるフローティングゲート12(例えば、ポリシリコン膜)が形成され、フローティングゲート12上に絶縁膜13(例えば、シリコン酸化膜)を介してコントロールゲート14(例えば、ポリシリコン膜)が形成され、ウェル3におけるチャネル領域の両側にソース領域15(例えば、n+不純物領域)及びドレイン領域16(例えば、n+不純物領域)が形成され、コントロールゲート14上にシリサイド領域36a(例えば、TiSi)が形成され、ソース領域15上にシリサイド領域35d(例えば、TiSi)が形成され、ドレイン領域16上にシリサイド領域35e(例えば、TiSi)が形成されている。メモリセル10の高さ(コントロールゲート14の頂面までの高さ)は、選択素子20の高さ(ゲート電極22の頂面までの高さ)、及び、保護素子30の高さ(ゲート電極32の頂面までの高さ)よりも高くなる。
【0026】
メモリセル10上には、層間絶縁膜7(例えば、シリコン酸化膜)が形成されており、層間絶縁膜7においてシリサイド領域35dに通ずる下穴が形成され当該下穴にコンタクトビア8a(例えば、タングステン)が埋め込まれており、層間絶縁膜7においてシリサイド領域35eに通ずる下穴が形成され当該下穴にコンタクトビア8b(例えば、タングステン)が埋め込まれており、層間絶縁膜7上の所定の位置にコンタクトビア8aと接続された配線9aが形成され、層間絶縁膜7上の所定の位置にコンタクトビア8bと接続された配線9bが形成されている。コントロールゲート14は、シリサイド領域36a、コンタクトビア(図示せず)及び配線(図示せず)を含むワード線(図2のWLに相当)を介して周辺回路領域5におけるワード線ドライバ(図示せず)に電気的に接続される。ソース領域15は、シリサイド領域35d、コンタクトビア8a及び配線9aを含む共通ソース線(図示せず)を介して周辺回路領域5におけるソース線ドライバ(図示せず)に電気的に接続される。ドレイン領域16は、シリサイド領域35e、コンタクトビア8b及び配線9bを含むビット線(図2のBLに相当)を介して周辺回路領域5におけるセンスアンプ(図示せず)に電気的に接続される。なお、メモリセルアレイ領域4におけるフィールド絶縁膜2a上にはダミー絶縁膜が形成されていない。
【0027】
周辺回路領域5では、フィールド絶縁膜2b、2c(例えば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)酸化膜)で囲まれた領域において、選択素子20及び保護素子30を有する。周辺回路領域5におけるフィールド絶縁膜2b、2c上の少なくとも一部(全部でも可)には、保護素子30においてドレイン領域34の所定の領域(シリサイドブロッキング領域)のシリサイド化をブロックするためのシリサイドブロッキング絶縁膜6a、6b(例えば、シリコン酸化膜)と同時に形成される段差緩和用のダミー絶縁膜6c、6d(例えば、シリコン酸化膜)が形成されている。ダミー絶縁膜6c、6dをシリサイドブロッキング絶縁膜6a、6bと同時に形成することで、ダミー絶縁膜6c、6dを形成するのに追加工程が必要でなく、また、高さを自由に設定することができる。シリサイドブロッキング絶縁膜6a、6b及びダミー絶縁膜6c、6dの高さは、メモリセル10の高さ(コントロールゲート14の頂面までの高さ)と同じ、又はそれ以下に設定され、メモリセル10の高さの−10%以内とする。
【0028】
選択素子20は、メモリセル10を制御するワード線ドライバ(図示せず)、ソース線ドライバ(図示せず)、センスアンプ(図示せず)等の回路に含まれるトランジスタである。選択素子20は、周辺回路領域5における半導体基板1上のフィールド絶縁膜2b、2c(例えば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)酸化膜)で囲まれた所定の領域において、半導体基板1上にウェル3(例えば、p型ウェル)が形成されており、ウェル3におけるチャネル領域上にゲート絶縁膜21(例えば、シリコン酸化膜)を介してゲート電極22(例えば、ポリシリコン膜)が形成され、ウェル3におけるチャネル領域の両側にソース領域23(例えば、n+不純物領域)及びドレイン領域24(例えば、n+不純物領域)が形成され、ゲート電極22上にシリサイド領域36b(例えば、TiSi)が形成され、ソース領域23上にシリサイド領域35f(例えば、TiSi)が形成され、ドレイン領域24上にシリサイド領域35g(例えば、TiSi)が形成されている。
【0029】
選択素子20上には、層間絶縁膜7(例えば、シリコン酸化膜)が形成されており、層間絶縁膜7においてシリサイド領域35fに通ずる下穴が形成され当該下穴にコンタクトビア8c(例えば、タングステン)が埋め込まれており、層間絶縁膜7においてシリサイド領域35gに通ずる下穴が形成され当該下穴にコンタクトビア8d(例えば、タングステン)が埋め込まれており、層間絶縁膜7上の所定の位置にコンタクトビア8cと接続された配線9cが形成され、層間絶縁膜7上の所定の位置にコンタクトビア8dと接続された配線9dが形成されている。選択素子20の高さ(ゲート電極22の頂面までの高さ)は、メモリセル10の高さ(コントロールゲート14の頂面までの高さ)よりも低く、保護素子30の高さ(ゲート電極32の頂面までの高さ)と同じである。
【0030】
保護素子30は、静電気放電による損傷および誤動作発生から周辺回路領域5における所定の部分を保護するESD(Electro-Static-Discharge;静電気放電)保護素子である。保護素子30は、周辺回路領域5における半導体基板1上のフィールド絶縁膜2a、2b(例えば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)酸化膜)で囲まれた所定の領域において、半導体基板1上にウェル3(例えば、p型ウェル)が形成されており、ウェル3におけるチャネル領域上にゲート絶縁膜31(例えば、シリコン酸化膜)を介してゲート電極32(例えば、ポリシリコン膜)が形成され、ウェル3におけるチャネル領域の両側にソース領域33(例えば、n+不純物領域)及びドレイン領域34(例えば、n+不純物領域)が形成され、ドレイン領域34上の所定の領域(シリサイドブロッキング領域)にシリサイドブロッキング絶縁膜6a、6bが形成され、ゲート電極32上にシリサイド領域36c(例えば、TiSi)が形成され、ソース領域33上にシリサイド領域35a(例えば、TiSi)が形成され、ドレイン領域34上におけるシリサイドブロッキング絶縁膜6a、6bで覆われていない部分にシリサイド領域35b、35c(例えば、TiSi)が形成されている。ドレイン領域34におけるシリサイドブロッキング絶縁膜6a、6b下のシリサイドブロッキング領域は、バラスト抵抗(拡散層抵抗)となる。
【0031】
保護素子30上には、層間絶縁膜7(例えば、シリコン酸化膜)が形成されており、層間絶縁膜7においてシリサイド領域35aに通ずる下穴が形成され当該下穴にコンタクトビア8e(例えば、タングステン)が埋め込まれており、層間絶縁膜7においてシリサイドブロッキング絶縁膜6a、6b間の部分にてシリサイド領域35cに通ずる下穴が形成され当該下穴にコンタクトビア8f(例えば、タングステン)が埋め込まれており、層間絶縁膜7上の所定の位置にコンタクトビア8eと接続された配線9eが形成され、層間絶縁膜7上の所定の位置にコンタクトビア8fと接続された配線9fが形成されている。ソース領域33は、周辺回路領域5における所定の部分(例えば、電流を多く消費する部分)と電気的に接続される。ゲート電極32及びドレイン領域34は、グランドに電気的に接続される。保護素子30の高さ(ゲート電極32の頂面までの高さ)は、メモリセル10の高さ(コントロールゲート14の頂面までの高さ)よりも低く、選択素子20の高さ(ゲート電極22の頂面までの高さ)と同じである。
【0032】
なお、図1では保護素子30を用いた例を示しているが、保護素子30の代わりに、ポリシリコンを用いた抵抗素子のようにシリサイドブロッキング絶縁膜を用いた素子を用いたものにも適用することができる。
【0033】
層間絶縁膜7は、メモリセルアレイ領域4及び周辺回路領域5を含む全領域で、頂面がCMP(Chemical Mechanical Polishing;化学機械研磨)により平坦化されている。層間絶縁膜7の頂面が平坦化されることで、コンタクト工程および配線工程におけるリソグラフィにおいてフォーカスマージが拡大し、コンタクトエッチングのプロセスマージンが拡大する。また、層間絶縁膜7の頂面から、シリサイド領域35a、35c、35d、35e、35f、35gまでの長さ(深さ)が均一化され、コンタクトのオープン不良/リーク不良が低減され、コンタクトビア8a〜8fに係る配線抵抗を均一化させることができる。なお、層間絶縁膜7の平坦化は、CMPだけでなくエッチバックやアニールによって行ってもよい。
【0034】
次に、本発明の実施例1に係る半導体装置におけるメモリセルの動作について説明する。
【0035】
書き込み動作では、半導体基体1、ソース領域15、及びドレイン領域16を接地電位とし、コントロールゲート14に正の電圧を印加する。これにより、半導体基体1側の電子がフローティングゲート12に注入される。
【0036】
消去動作では、コントロールゲート14を接地電位とし、半導体基体1に正の電圧を印加する。これにより、フローティングゲート12に蓄積されていた電子が半導体基体1へと放出される。
【0037】
読み出し動作では、コントロールゲート14に正の電圧を印加することで、フローティングゲート12に電子が注入されている場合にはソース領域15からドレイン領域16に電流が流れてオン状態になり、フローティングゲート12から電子が放出されている場合にはソース領域15からドレイン領域16に電流が流れずオフ状態になる。メモリセル10の外部で電流の有無を検知することで読み出しが行われる。
【0038】
次に、本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法について図面を用いて説明する。
図3〜図5は、本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法を模式的に示した工程断面図である。
【0039】
まず、半導体基板1(例えば、シリコン基板)上の所定の部分にフィールド絶縁膜2a、2b、2c(例えば、シリコン酸化膜)を形成する(ステップA1;図3(A)参照)。なお、フィールド絶縁膜2a、2b、2cは、フィールド絶縁膜2a、2b、2cを形成しない部分にシリコン窒化膜(図示せず)を形成し、当該シリコン窒化膜をマスクとして、フィールド絶縁膜2a、2b、2cを形成する部分を選択酸化(熱酸化)し、その後、当該シリコン窒化膜(その表面の酸化物を含む)を除去することで形成できる。さらに、フィールド絶縁膜2a、2b、2cの他の形態として、半導体基板1に溝を形成して、当該溝内に絶縁体を埋め込んだ形態としてもよい。
【0040】
次に、半導体基板1上にウェル3(例えば、p型ウェル)を形成する(ステップA2;図3(B)参照)。なお、ウェル3は、不純物(例えば、リン)イオン注入とアニールによって形成することができる。
【0041】
次に、メモリセルアレイ領域4にメモリセル10を形成する(ステップA3;図3(C)参照)。メモリセル10の形成では、例えば、ウェル3上にトンネル絶縁膜11(例えば、シリコン酸化膜)を形成し、トンネル絶縁膜11及びフィールド絶縁膜2a、2b、2c上にフローティングゲート12(例えば、ポリシリコン膜)を形成し、フローティングゲート12上に絶縁膜13(例えば、ONO膜)を形成し、絶縁膜13上にコントロールゲート14(例えば、ポリシリコン膜)を形成し、コントロールゲート14上に所定パターンの開口を有するゲート形成用フォトレジスト(図示せず)を形成し、ゲート形成用フォトレジストをマスクとしてウェル3が表れるまでコントロールゲート14、絶縁膜13、フローティングゲート12、及びトンネル絶縁膜11をエッチングし、ゲート形成用フォトレジストを除去し、ソースドレイン形成用フォトレジスト(図示せず)を形成し、ウェル3上にソース領域15及びドレイン領域16を形成し、その後、ソースドレイン形成用フォトレジストを除去する。
【0042】
次に、周辺回路領域5に選択素子20及び保護素子30を形成する(ステップA4;図3(D)参照)。選択素子20及び保護素子30の形成では、ウェル3上にゲート絶縁膜21、31(例えば、シリコン酸化膜)を形成し、ゲート絶縁膜21、31及びフィールド絶縁膜2b、2c上にゲート電極22、32(例えば、ポリシリコン膜)を形成し、ゲート電極22、32上に所定パターンの開口を有するゲート形成用フォトレジスト(図示せず)を形成し、ゲート形成用フォトレジストをマスクとしてウェル3が表れるまでゲート電極22、32及びゲート絶縁膜21、31をエッチングし、ゲート形成用フォトレジストを除去し、ソースドレイン形成用フォトレジスト(図示せず)を形成し、ウェル3上にソース領域23、33及びドレイン領域24、34を形成し、その後、ソースドレイン形成用フォトレジストを除去する。
【0043】
次に、保護素子30のドレイン領域34上の所定の部分にシリサイドブロッキング絶縁膜6a、6b(例えば、シリコン酸化膜)を形成すると同時に、周辺回路領域5のフィールド絶縁膜2b、2c上の少なくとも一部(全部でも可)にダミー絶縁膜6c、6d(例えば、シリコン酸化膜)を形成する(ステップA5;図4(A)参照)。なお、シリサイドブロッキング絶縁膜6a、6b及びダミー絶縁膜6c、6dの形成では、例えば、シリサイドブロッキング絶縁膜6a、6b及びダミー絶縁膜6c、6dとなるシリコン酸化膜を成膜し、シリコン酸化膜上にシリサイドブロッキング絶縁膜6a、6b及びダミー絶縁膜6c、6dを形成するためのフォトレジストを形成し、当該フォトレジストをマスクとしてソース領域23、33及びドレイン領域24、34が表れるまでシリコン酸化膜をエッチングし、その後、フォトレジストを除去する。
【0044】
次に、シリサイドブロッキング絶縁膜6a、6bをマスクとして、保護素子30のドレイン領域34上のシリサイドブロッキング絶縁膜6a、6bで覆われていない部分にシリサイド領域35b、35c(例えば、TiSi)を形成すると同時に、保護素子30のゲート電極32及びソース領域33上にシリサイド領域36c、35aを形成し、メモリセル10のコントロールゲート14、ソース領域15及びドレイン領域16上にシリサイド領域36a、35d、35eを形成し、選択素子20のゲート電極22、ソース領域23及びドレイン領域24上にシリサイド領域36b、35f、35gを形成する(ステップA6;図4(B)参照)。なお、シリサイド領域35a〜35g、36a〜36cは、例えば、Tiをスパッタ処理することで形成できる。
【0045】
次に、メモリセルアレイ領域4及び周辺回路領域5を含む基板全面に層間絶縁膜7(例えば、シリコン酸化膜)を形成する(ステップA7;図4(C)参照)。なお、層間絶縁膜7は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によりシリコン酸化膜を成膜することで形成できる。
【0046】
次に、層間絶縁膜7の表面を平坦化する(ステップA8;図4(D)参照)。なお、層間絶縁膜7は、CMP(Chemical Mechanical Polishing;化学機械研磨)により平坦化することができる。
【0047】
次に、層間絶縁膜7に、シリサイド領域35a、35c、35d、35e、35f、35gに通ずる下穴7a〜7fを形成する(ステップA9;図5(A)参照)。なお、ステップA9では、図示されていないが、シリサイド領域36a、36b、36cに通ずる下穴も形成する。下穴7a〜7fの形成では、層間絶縁膜7上に下穴形成用フォトレジストを形成し、下穴形成用フォトレジストをマスクとして、シリサイド領域35a、35c、35d、35e、35f、35gが表れるまで層間絶縁膜7をエッチングし、その後、下穴形成用フォトレジストを除去する。
【0048】
次に、下穴7a〜7fにコンタクトビア8a〜8f(例えば、タングステン)を埋め込む(ステップA10;図5(B)参照)。なお、ステップA10では、図示されていないが、シリサイド領域36a、36b、36cに通ずる下穴にもコンタクトビアが埋め込まれる。コンタクトビア8a〜8fの埋め込みでは、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によりタングステンを成膜し、層間絶縁膜7が表れるまでタングステンをCMP(Chemical Mechanical Polishing;化学機械研磨)又はエッチバックする。
【0049】
その後、コンタクトビア8a〜8fを含む層間絶縁膜7上に配線9a〜9fを形成する(ステップA11;図5(C)参照)。なお、ステップA11では、図示されていないが、コンタクトビアを介してシリサイド領域36a、36b、36cと接続される配線も形成する。配線9a〜9fの形成では、例えば、配線となる金属(例えば、Cu)を成膜し、当該金属上に配線形成用フォトレジストを形成し、配線形成用フォトレジストをマスクとして層間絶縁膜7が表れるまで金属をエッチングし、その後、配線形成用フォトレジストを除去する。また、ステップA11の後、必要に応じて、層間絶縁膜、下穴、コンタクトビア、及び配線を形成して多層配線化してもよい。
【0050】
実施例1によれば、周辺回路領域5にある素子分離用のフィールド絶縁膜2b、2c上に段差緩和用のダミー絶縁膜6c、6dを配設することで、メモリセルアレイ領域4と周辺回路領域5との間のグローバル段差が解消され、コンタクトビア形成工程(ステップA10;図5(B)参照)および配線形成工程(ステップA11;図5(C)参照)におけるリソグラフィ(フォトレジストの形成)においてフォーカスマージンが拡大し、コンタクトエッチング(下穴形成)のプロセスマージンが拡大し、コンタクトビアのオープン不良/リーク不良が低減され、配線の断線/短絡が低減され、歩留まりを向上させることができ、製品の信頼性を高めることができる。また、ダミー絶縁膜6c、6dはシリサイドブロッキング絶縁膜6a、6bと同時に形成されるので、従来フローに対して工程追加がなく、コストが上がることがない。また、ダミー絶縁膜6c、6dがシリサイドブロッキング絶縁膜6a、6bと同時に形成されるので、高さを自由に設定することができる。さらに、コンタクトビア(特に、シリサイド領域35a、35c、35d、35e、35f、35gに通ずるコンタクトビア8a〜8f)の長さが均一化され、配線抵抗が均一化される。
【符号の説明】
【0051】
1 半導体基板
2a、2b、2c フィールド絶縁膜(素子分離用絶縁膜)
3 ウェル
4 メモリセルアレイ領域
5 周辺回路領域
6a、6b シリサイドブロッキング絶縁膜
6c、6d ダミー絶縁膜
7 層間絶縁膜
7a、7b、7c、7d、7e、7f 下穴
8a、8b、8c、8d、8e、8f コンタクトビア
9a、9b、9c、9d、9e、9f 配線
10 メモリセル(第1の素子)
11 トンネル絶縁膜
12 フローティングゲート
13 絶縁膜
14 コントロールゲート
15 ソース領域
16 ドレイン領域
20 選択素子(第2の素子)
21 ゲート絶縁膜
22 ゲート電極
23 ソース領域
24 ドレイン領域
30 保護素子(第3の素子)
31 ゲート絶縁膜
32 ゲート電極
33 ソース領域
34 ドレイン領域
35a、35b、35c、35d、35e、35f、35g シリサイド領域
36a、36b、36c シリサイド領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上で素子分離用絶縁膜によって素子分離された複数の第1の素子が形成された第1の領域と、
前記半導体基板上で前記第1の領域に隣接して配されるとともに、前記素子分離用絶縁膜によって素子分離された複数の第2の素子が形成され、前記第2の素子の高さが前記第1の素子の高さよりも低い第2の領域と、
前記第2の領域にある前記素子分離用絶縁膜の少なくとも一部の領域上に配設されたダミー絶縁膜と、
前記第1の領域及び前記第2の領域にわたって形成された層間絶縁膜と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記層間絶縁膜の表面は、前記第1の領域及び前記第2の領域にわたって平坦化されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ダミー絶縁膜の高さは、前記第1の素子の高さ以下に設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ダミー絶縁膜の高さは、前記第1の素子の高さの−10%以内に設定されていることを特徴とする請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2の領域では、前記第2の素子とは別の領域に前記第1の素子の高さよりも低い第3の素子が形成され、
前記第3の素子の一部は、シリサイドブロッキング絶縁膜で覆われており、
前記ダミー絶縁膜は、前記シリサイドブロッキング絶縁膜と同じ材質で同じ工程で形成される絶縁膜であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項6】
互いに隣接する第1の領域及び第2の領域にわたって半導体基板上に素子分離用絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の領域の前記半導体基板上に複数の第1の素子を形成する工程と、
前記第2の領域の前記半導体基板上に前記第1の素子の高さよりも低い複数の第2の素子を形成する工程と、
前記第2の領域にある前記素子分離用絶縁膜の少なくとも一部の領域上にダミー絶縁膜を形成する工程と、
前記ダミー絶縁膜を形成した後、前記第1の領域及び前記第2の領域にわたって層間絶縁膜を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記層間絶縁膜の表面を、前記第1の領域及び前記第2の領域にわたって平坦化する工程を含むことを特徴とする請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記ダミー絶縁膜を形成する工程では、前記ダミー絶縁膜の高さが前記第1の素子の高さ以下になるように前記ダミー絶縁膜を形成することを特徴とする請求項6又は7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記ダミー絶縁膜を形成する工程では、前記ダミー絶縁膜の高さが前記第1の素子の高さの−10%以内となるように前記ダミー絶縁膜を形成することを特徴とする請求項8記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2の素子を形成する工程では、前記第2の領域における前記第2の素子とは別の領域に前記第1の素子の高さよりも低い第3の素子を形成し、
前記ダミー絶縁膜を形成する工程では、前記第3の素子の一部を覆うシリサイドブロッキング絶縁膜を形成すると同時に前記ダミー絶縁膜を形成することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−49402(P2011−49402A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197270(P2009−197270)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】