説明

内燃機関装置およびその制御方法

【課題】吸気弁の開閉タイミングを所定の開閉タイミングとしてより迅速に且つより確実に内燃機関を停止する。
【解決手段】エンジンの運転を停止するときには、スロットル開度を停止準備開度THstopに保持すると共にエンジンの回転数Neを停止準備回転数Nstopで保持した状態で吸気バルブの開閉タイミングを遅角させ(S100〜S170)、モータMG1のトルク指令Tm1*が閾値Tstop以上に至ったときに吸気バルブの開閉タイミングが最遅角に至ったと判定して(S180)、エンジンを制御するエンジンECUにエンジンの運転停止指示を送信してエンジンの運転を停止する(S200)。これにより、吸気バルブの開閉タイミングを最遅角としてより迅速に且つより確実にエンジンの運転を停止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関装置およびその制御方法に関に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の内燃機関装置としては、エンジンの吸気弁作動時期を変化させる可変動弁装置と、吸気弁作動時期を検出するカム位置検出センサとを備え、エンジン停止指令時には可変動弁装置により吸気弁作動時期を最遅角時期とし、そのときにカム位置検出センサにより検出された位置を学習するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、こうした学習によりエンジン停止時に吸気弁作動時期をより確実に最遅角時期にしている。
【特許文献1】特開2001−263117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の内燃機関装置では、カム位置検出センサからの検出結果を用いるから、カム位置検出センサに異常が発生したときには対処することができない。また、主制御系とエンジン制御系とが通信しており、カム位置検出センサからの検出信号の入力先がエンジン制御系のときには、主制御系は吸気弁作動時期が最遅角時期となったのをエンジン制御系からの通信により得るため、主制御系によるエンジン停止処理が遅れ、その分燃費が悪化するものとなる。
【0004】
本発明の内燃機関装置およびその制御方法は、吸気弁の開閉タイミングを所定の開閉タイミングとしてより迅速に内燃機関を停止することを目的の一つとする。また、本発明の内燃機関装置およびその制御方法は、吸気弁の開閉タイミングを所定の開閉タイミングとしてより確実に内燃機関を停止することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の内燃機関装置およびその制御方法は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の内燃機関装置は、
内燃機関を有する内燃機関装置であって、
前記内燃機関の吸気弁の開閉タイミングを変更可能な吸気弁開閉タイミング変更手段と、
前記内燃機関の出力軸へのトルクの入出力を伴って該内燃機関の回転数を調整可能な電動機と、
前記内燃機関を運転停止するときには、前記電動機による前記内燃機関の回転数が所定回転数となる調整と前記内燃機関の所定の運転条件の維持を伴って前記吸気弁の開閉タイミングを遅らせ、前記電動機による調整に基づいて前記吸気弁の開閉タイミングが所定の開閉タイミングになるのを判定したときに前記内燃機関の運転が停止されるよう前記内燃機関と前記吸気弁開閉タイミング変更手段と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0007】
この本発明の内燃機関装置では、内燃機関を運転停止するときには、電動機による内燃機関の回転数が所定回転数となる調整と内燃機関の所定の運転条件の維持を伴って吸気弁の開閉タイミングを遅らせ、電動機による内燃機関の回転数の調整に基づいて吸気弁の開閉タイミングが所定の開閉タイミングになるのを判定し、その判定がなされたときに内燃機関の運転を停止する。これにより、吸気弁の開閉タイミングを所定の開閉タイミングとしてより迅速に且つより確実に内燃機関を停止することができる。しかも、電動機による内燃機関の回転数の調整に基づいて吸気弁の開閉タイミングが所定の開閉タイミングになるのを判定するから、吸気弁の開閉タイミングを検出するセンサを設ける必要がない。ここで、「所定の運転条件」は、所定のスロットル開度や所定の燃料噴射量とする条件であるものとすることもできる。さらに、所定の運転条件として所定の点火時期とする条件を加えることもできる。
【0008】
こうした本発明の内燃機関装置において、前記制御手段は、前記電動機から出力しているトルクが所定トルクに至ったときに前記吸気弁の開閉タイミングが前記所定の開閉タイミングに至ったと判定する手段であるものとすることもできる。これは、吸気弁の開閉タイミングの変更に伴って吸入空気量が変化することにより内燃機関から出力されるトルクが変化し、この内燃機関から出力されるトルクに応じてその回転数を調整する電動機のトルクも変化することに基づく。
【0009】
また、本発明の内燃機関装置において、前記制御手段は、前記電動機を制御する主制御手段と、前記主制御手段と通信可能に接続され前記内燃機関と前記吸気弁開閉タイミング変更手段とを制御する機関制御手段と、を有し、前記主制御手段は、前記内燃機関を運転停止するときには、前記機関制御手段に対して前記内燃機関の所定の運転条件の維持を伴って前記吸気弁の開閉タイミングを遅らせる停止準備指示を送信すると共に前記電動機による調整に基づいて前記吸気弁の開閉タイミングが所定の開閉タイミングになるのを判定したときに前記内燃機関の運転を停止する停止指示を送信する手段であり、前記機関制御手段は、前記停止準備指示を受信したときに前記内燃機関の所定の運転条件の維持を伴って前記吸気弁の開閉タイミングを遅らせるよう前記吸気弁開閉タイミング変更手段を制御し、前記停止指示を受信したときに前記内燃機関が運転停止するよう該内燃機関を制御する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、主制御手段は、機関制御手段からの通信なしに吸気弁の開閉タイミングが所定の開閉タイミングに至ったのを判定して内燃機関の運転停止を指示することができる。この結果、吸気弁の開閉タイミングを所定の開閉タイミングとしてより迅速に且つより確実に内燃機関を停止することができる。
【0010】
さらに、本発明の内燃機関装置において、前記内燃機関の出力軸と前記電動機の回転軸と駆動軸との3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段を備えるものとすることもできる。この場合、前記駆動軸に動力を入出力可能な第2の電動機と、前記電動機および前記第2の電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、前記駆動軸に出力すべき要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、を備え、前記制御手段は、前記内燃機関を運転停止する最中に前記設定された要求駆動力に基づく駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記電動機と前記第2の電動機とを制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関を運転する最中であっても駆動軸に要求される要求駆動力に基づく駆動力を駆動軸に出力することができる。
【0011】
本発明の車両は、上述のいずれかの態様の本発明の内燃機関装置、即ち、基本的には、内燃機関を有する内燃機関装置であって、前記内燃機関の吸気弁の開閉タイミングを変更可能な吸気弁開閉タイミング変更手段と、前記内燃機関の出力軸へのトルクの入出力を伴って該内燃機関の回転数を調整可能な電動機と、前記内燃機関を運転停止するときには、前記電動機による前記内燃機関の回転数が所定回転数となる調整と前記内燃機関の所定の運転条件の維持を伴って前記吸気弁の開閉タイミングを遅らせ、前記電動機による調整に基づいて前記吸気弁の開閉タイミングが所定の開閉タイミングになるのを判定したときに前記内燃機関の運転が停止されるよう前記内燃機関と前記吸気弁開閉タイミング変更手段と前記電動機とを制御する制御手段と、を備える内燃機関装置を動力源の一つとして搭載することを要旨とする。
【0012】
この本発明の車両は、上述のいずれかの態様の本発明の内燃機関装置を搭載するから、本発明の内燃機関装置が奏する効果、例えば、吸気弁の開閉タイミングを所定の開閉タイミングとしてより迅速に且つより確実に内燃機関を停止することができる効果と同様な効果を奏することができる。
【0013】
本発明の第1の内燃機関装置の制御方法は、
内燃機関と、前記内燃機関の吸気弁の開閉タイミングを変更可能な吸気弁開閉タイミング変更手段と、前記内燃機関の出力軸へのトルクの入出力を伴って該内燃機関の回転数を調整可能な電動機と、を備える内燃機関装置の制御方法であって、
前記内燃機関を運転停止するときには、前記電動機による前記内燃機関の回転数が所定回転数となる調整と前記内燃機関の所定の運転条件の維持を伴って前記吸気弁の開閉タイミングを遅らせ、前記電動機による調整に基づいて前記吸気弁の開閉タイミングが所定の開閉タイミングになるのを判定したときに前記内燃機関の運転が停止されるよう前記内燃機関と前記吸気弁開閉タイミング変更手段と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする。
【0014】
この本発明の内燃機関装置の制御方法では、内燃機関を運転停止するときには、電動機による内燃機関の回転数が所定回転数となる調整と内燃機関の所定の運転条件の維持を伴って吸気弁の開閉タイミングを遅らせ、電動機による内燃機関の回転数の調整に基づいて吸気弁の開閉タイミングが所定の開閉タイミングになるのを判定し、その判定がなされたときに内燃機関の運転を停止する。これにより、吸気弁の開閉タイミングを所定の開閉タイミングとしてより迅速に且つより確実に内燃機関を停止することができる。しかも、電動機による内燃機関の回転数の調整に基づいて吸気弁の開閉タイミングが所定の開閉タイミングになるのを判定するから、吸気弁の開閉タイミングを検出するセンサを設ける必要がない。
【0015】
本発明の第2の内燃機関装置の制御方法は、
内燃機関と、前記内燃機関の吸気弁の開閉タイミングを変更可能な吸気弁開閉タイミング変更手段と、前記内燃機関の出力軸へのトルクの入出力を伴って該内燃機関の回転数を調整可能な電動機と、前記電動機を制御する主制御手段と、前記内燃機関と前記吸気弁開閉タイミング変更手段とを制御する機関制御手段と、を備える内燃機関装置における内燃機関の運転を停止する際の制御方法であって、
前記主制御手段により、前記内燃機関の所定の運転条件の維持を伴って前記吸気弁の開閉タイミングを遅らせる停止準備指示を前記機関制御手段に送信すると共に前記内燃機関の回転数が所定回転数に調整されるよう前記電動機を制御し、前記電動機による調整に基づいて前記吸気弁の開閉タイミングが所定の開閉タイミングになるのを判定し、該所定の開閉タイミングになるのを判定したときに前記内燃機関の運転を停止する停止指示を前記機関制御手段に送信し、
前記機関制御手段により、前記停止準備指示を受信したときに前記内燃機関の所定の運転条件の維持を伴って前記吸気弁の開閉タイミングを遅らせるよう前記吸気弁開閉タイミング変更手段を制御し、前記停止指示を受信したときに前記内燃機関が運転停止するよう該内燃機関を制御する
ことを特徴とする。
【0016】
この本発明の第2の内燃機関装置の制御方法では、内燃機関の運転を停止するときには、主制御手段が、内燃機関の所定の運転条件の維持を伴って吸気弁の開閉タイミングを遅らせる停止準備指示を機関制御手段に送信すると共に内燃機関の回転数が所定回転数に調整されるよう前記電動機を制御する。機関制御手段は、主制御手段からの停止準備指示を受信すると、内燃機関の所定の運転条件の維持を伴って吸気弁の開閉タイミングを遅らせるよう吸気弁開閉タイミング変更手段を制御する。こうした制御を実行している最中に、主制御手段は、電動機による内燃機関の回転数の調整に基づいて吸気弁の開閉タイミングが所定の開閉タイミングになるのを判定し、この所定の開閉タイミングになるのを判定したときに内燃機関の運転を停止する停止指示を機関制御手段に送信する。機関制御手段は、この停止指示を受信すると、内燃機関の運転を停止する。即ち、主制御手段は、機関制御手段からの通信なしに吸気弁の開閉タイミングが所定の開閉タイミングに至ったのを判定して内燃機関の運転停止を指示することができる。この結果、吸気弁の開閉タイミングを所定の開閉タイミングとしてより迅速に且つより確実に内燃機関を停止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、本発明の一実施例である動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、動力出力装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
【0019】
エンジン22は、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力可能な内燃機関として構成されており、図2に示すように、エアクリーナ122により清浄された空気をスロットルバルブ124を介して吸入すると共に燃料噴射弁126からガソリンを噴射して吸入された空気とガソリンとを混合し、この混合気を吸気バルブ128を介して燃料室に吸入し、点火プラグ130による電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト26の回転運動に変換する。エンジン22からの排気は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化装置(三元触媒)134を介して外気へ排出される。
【0020】
また、エンジン22は、吸気バルブ128の開閉タイミングを連続的に変更可能な可変バルブタイミング機構150を備える。図3および図4に、可変バルブタイミング機構150の構成の概略を示す構成図を示す。可変バルブタイミング機構150は、図示するように、クランクシャフト26にタイミングチェーン162を介して接続されたタイミングギヤ164に固定されたハウジング部152aと吸気バルブ128を開閉するインテークカムシャフト129に固定されたベーン部152bとからなるベーン式のVVTコントローラ152と、VVTコントローラ152の進角室および遅角室に油圧を作用させるオイルコントロールバルブ156とを備え、オイルコントロールバルブ156を介してVVTコントローラ152の進角室および遅角室に作用させる油圧を調節することによりハウジング部152aに対してベーン部152bを相対的に回転させて吸気バルブ128の開閉タイミングにおけるインテークカムシャフト129の角度を連続的に変更する。インテークカムシャフト129の角度を進角させたときの吸気バルブ128の開閉タイミングおよびインテークカムシャフト129の角度を遅角させたときの吸気バルブ128の開閉タイミングの一例を図5に示す。実施例では、エンジン22から効率よく動力が出力される吸気バルブ128の開閉タイミングにおけるインテークカムシャフト129の角度を基準角とし、インテークカムシャフト129の角度をその基準角よりも進角させることによりエンジン22から高トルクが出力可能な運転状態とすることができ、インテークカムシャフト129の角度を最遅角させることによりエンジン22の気筒内の圧力変動を小さくしてエンジン22の運転の停止や始動に適した運転状態とすることができるよう構成されている。
【0021】
また、VVTコントローラ152のベーン部152bには、ハウジング部152aとベーン部152bとの相対回転を固定するロックピン154が取り付けられている。図6にロックピン154の構成の概略を示す構成図を示す。ロックピン154は、図示するようにロックピン本体154aと、ロックピン本体154aがハウジング部152aの方向に付勢されるよう取り付けられたスプリング154bとを備え、インテークカムシャフト129の角度が最遅角に位置されたときにスプリング154bのスプリング力によりハウジング部152aに形成された溝158に嵌合しベーン部152bをハウジング部152aに固定する。また、ロックピン154は、油路159を介してスプリング154bのスプリング力に打ち勝つ油圧を作用させることにより溝158に嵌合されたロックピン本体154aを引き抜くことができるよう図示しない油圧式のアクチュエータが設けられている。
【0022】
エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により制御されている。エンジンECU24は、CPU24aを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU24aの他に処理プログラムを記憶するROM24bと、データを一時的に記憶するRAM24cと、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。エンジンECU24には、エンジン22の状態を検出する種々のセンサからの信号、クランクシャフト23の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140からのクランクポジションやエンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温,燃焼室内に取り付けられた圧力センサ143からの筒内圧力Pin,燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブ128のインテークカムシャフト129や排気バルブを開閉するエキゾーストカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144からのカムポジション,スロットルバルブ124のポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサ146からのスロットルポジション,吸気管に取り付けられたエアフローメータ148からのエアフローメータ信号AF,同じく吸気管に取り付けられた温度センサ149からの吸気温,空燃比センサ135aからの空燃比AF,酸素センサ135bからの酸素信号などが入力ポートを介して入力されている。また、エンジンECU24からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号、例えば、燃料噴射弁126への駆動信号や、スロットルバルブ124のポジションを調節するスロットルモータ136への駆動信号、イグナイタと一体化されたイグニッションコイル138への制御信号、吸気バルブ128の開閉タイミングの変更可能な可変バルブタイミング機構150への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータを出力する。
【0023】
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
【0024】
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
【0025】
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
【0026】
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0027】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
【0028】
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特にエンジン22の運転を停止する際の動作について説明する。図7は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるエンジン停止時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【0029】
エンジン停止時駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、エンジンECU24に対してスロットルバルブ124の開度(スロットル開度)THが予め設定された停止準備開度THstopを維持した状態で吸気バルブ128の開閉タイミングが最遅角となるようエンジン停止準備指示を送信する(ステップS100)。ここで、停止準備開度THstopは、後述する停止準備時回転数Nstopで通常の吸気バルブ128の開閉タイミングでエンジン22を安定して運転する際のスロットル開度THとして設定されている。エンジン停止準備指示を受信したエンジンECU24は、スロットル開度THが停止準備開度THstopとなるようスロットルモータ136を駆動すると共にオイルコントロールバルブ156を駆動してVVTコントローラ152の遅角室に油圧を作用させる。なお、遅角室に油圧の作用を開始しても直ちに吸気バルブ128の開閉タイミングは最遅角にはならない。
【0030】
続いて、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accやブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,エンジン22の回転数Ne,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の入出力制限Win,Woutなど制御に必要なデータを入力する(ステップS110)。ここで、エンジン22の回転数Neはクランクシャフト26に取り付けられたクランクポジションセンサ140からの信号に基づいて計算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されるモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて計算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。さらに、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、温度センサ51により検出されたバッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量(SOC)とに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
【0031】
データを入力すると、入力したアクセル開度AccやブレーキペダルポジションBP,車速Vに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定する(ステップS120)。要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度AccやブレーキペダルポジションBP,車速V,要求トルクTr*の関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度AccやブレーキペダルポジションBP,車速Vが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図8に要求トルク設定用マップの一例を示す。
【0032】
次に、エンジン22の回転数Neが予め設定された停止準備時回転数Nstopで回転するよう次式(1)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する(ステップS130)。式(1)は、エンジン22を停止準備時回転数Nstopで回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(1)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。
【0033】
Tm1*=k1(Nstop-Ne)+k2∫(Nstop-Ne)dt (1)
【0034】
こうしてモータMG1のトルク指令Tm1*を計算すると、バッテリ50の入出力制限Win,Woutと計算したモータMG1のトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との偏差をモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tmin,Tmaxを次式(2)および式(3)により計算すると共に(ステップS140)、要求トルクTr*とトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρを用いてモータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを式(4)により計算し(ステップS150)、計算したトルク制限Tmin,Tmaxで仮モータトルクTm2tmpを制限した値としてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する(ステップS160)。このようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定することにより、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力する要求トルクTr*を、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で制限したトルクとして設定することができる。動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図9に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示す。式(1)は、この共線図を用いれば容易に導くことができる。なお、R軸上の2つの太線矢印は、エンジン22を目標回転数Ne*および目標トルクTe*の運転ポイントで定常運転したときにエンジン22から出力されるトルクTe*がリングギヤ軸32aに伝達されるトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2*が減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。式(4)は、この共線図から容易に導き出すことができる。
【0035】
Tmin=(Win-Tm1*・Nm1)/Nm2 (2)
Tmax=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 (3)
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (4)
【0036】
こうしてモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する(ステップS170)。トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
【0037】
そして、設定したモータMG1のトルク指令Tm1*を閾値Tstopと比較し(ステップS180)、トルク指令Tm1*が閾値Tstop未満のときにはステップS110のデータ入力処理に戻り、トルク指令Tm1*が閾値Tstop以上となるまでステップS110〜S180の処理を繰り返す。ここで、閾値Tstopは、スロットル開度THを停止準備開度THstopとすると共に吸気バルブ128の開閉タイミングを最遅角としてエンジン22を停止準備回転数Nstopで運転したときにエンジン22から出力するトルクに伴ってサンギヤ31に作用するトルクをキャンセルするトルクより若干大きなトルクとして設定されている。スロットル開度THを停止準備開度THstopとしてエンジン22を停止準備回転数Nstopで運転したときの吸気バルブ128の開閉タイミングとエンジン22から出力するトルクとの関係の一例を図10に示す。閾値Tstopは、吸気バルブ128の開閉タイミングが最遅角のときのエンジントルクTestopに動力分配統合機構30のギヤ比ρを考慮したもの(即ち、Testop・ρ/(1+ρ))の符号を反転させて若干大きく(絶対値として小さく)したものとなる。従って、トルク指令Tm1*が閾値Tstop以上となることを判定することにより、吸気バルブ128の開閉タイミングが最遅角に至ったのを判定することができる。
【0038】
ステップS180でトルク指令Tm1*が閾値Tstop以上と判定されると、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共に設定したトルク指令Tm1*をモータECU40に送信し(ステップS190)、エンジンECU24にエンジン22の運転を停止する指示を送信して(ステップS200)、本ルーチンを終了する。エンジン22の運転停止の指示を受信したエンジンECU24は、燃料噴射を停止してエンジン22の運転を停止する。
【0039】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、エンジン22の運転を停止するときには、スロットル開度THを停止準備開度THstopに保持すると共にエンジン22の回転数Neを停止準備回転数Nstopで保持した状態で吸気バルブ128の開閉タイミングを遅角させ、エンジン22の回転数Neを停止準備回転数Nstopで保持するためのモータMG1のトルク指令Tm1*が閾値Tstop以上に至ったときに吸気バルブ128の開閉タイミングが最遅角に至ったと判定してエンジン22を制御するエンジンECU24にエンジン22の運転停止指示を送信してエンジン22の運転を停止することにより、吸気バルブ128の開閉タイミングを最遅角としてより迅速に且つより確実にエンジン22の運転を停止することができる。この結果、エンジン22を不要に運転することによる燃費の悪化を回避することができる。しかも、吸気バルブ128の開閉タイミングが最遅角に至った判定をモータMG1のトルク指令Tm1*に基づいて行なうから、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24との通信を介して吸気バルブ128の開閉タイミングが最遅角に至ったのを入力するものに比して、迅速にエンジン22の運転停止の指示を行なうことができる。もとより、エンジン22の運転を停止するときでも要求トルクTr*に基づくトルクを駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力して走行することができる。
【0040】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の運転を停止するときには、スロットル開度THを停止準備開度THstopに保持すると共にエンジン22の回転数Neを停止準備回転数Nstopで保持した状態で吸気バルブ128の開閉タイミングを遅角させるものとしたが、この際、燃料噴射量や点火時期も変化しないよう一定に保持するものとするのが好ましい。なお、エンジン22としてディーゼルエンジンを用いる場合には、点火時期については考慮する必要がない。
【0041】
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図11の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図11における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
【0042】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪63a,63bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図12の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪63a,63bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
【0043】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の運転を停止するときには吸気バルブ128の開閉タイミングを最遅角としてからエンジン22の運転を停止するものとしたが、吸気バルブ128の開閉タイミングを最遅角とは異なる予め設定されたクランク角としてからエンジン22の運転を停止するものとしてもよい。
【0044】
実施例では、エンジン22を搭載するハイブリッド自動車20として説明したが、吸気弁の開閉タイミングを変更可能な内燃機関とこの内燃機関の回転数を調整可能な電動機とを備え、内燃機関の運転を停止するときに吸気弁の開閉タイミングを予め設定したタイミングに変更してから内燃機関の運転を停止するものとすればよいから、ハイブリッド自動車以外の自動車や列車などの車両としてもよく、内燃機関と電動機とを備える内燃機関装置としてもよい。この内燃機関装置の形態の場合、車両以外の船舶や航空機などの移動体に搭載されるものとしてもよく、建設設備などの移動しない設備に組み込まれるものとしてもよい。また、こうした内燃機関装置における内燃機関を停止する際の制御方法の形態としても構わない。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、動力出力装置や車両の製造産業などに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】エンジン22の構成の概略を示す構成図である。
【図3】可変バルブタイミング機構150の外観構成を示す外観構成図である。
【図4】可変バルブタイミング機構150の構成の概略を示す構成図である。
【図5】インテークカムシャフト129の角度を進角させたときの吸気バルブ128の開閉タイミングおよびインテークカムシャフト129の角度を遅角させたときの吸気バルブ128の開閉タイミングの一例を示す説明図である。
【図6】ロックピン154の構成の概略を示す構成図である。
【図7】実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図8】要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。
【図9】動力分配統合機構30の回転要素を力学的に説明するための共線図の一例を示す説明図である。
【図10】スロットル開度THを停止準備開度THstopとしてエンジン22を停止準備回転数Nstopで運転したときの吸気バルブ128の開閉タイミングとエンジン22から出力するトルクとの関係の一例を示す説明図である。
【図11】変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【図12】変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
【符号の説明】
【0048】
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、24a CPU、24b ROM、24c RAM、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、122 エアクリーナ、124 スロットルバルブ、126 燃料噴射弁、128 吸気バルブ、129 インテークカムシャフト、130 点火プラグ、132 ピストン、134 浄化装置、136,スロットルモータ、138 イグニッションコイル、140 クランクポジションセンサ、142 水温センサ、143 圧力センサ、144 カムポジションセンサ、146 スロットルバルブポジションセンサ、148 エアフローメータ、149 温度センサ、150 可変バルブタイミング機構、152 VVTコントローラ、152a ハウジング部、152b ベーン部、154 ロックピン、154a ロックピン本体、154b スプリング、156 オイルコントロールバルブ、158 溝、159 油路、162 タイミングチェーン、164 タイミングギヤ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関を有する内燃機関装置であって、
前記内燃機関の吸気弁の開閉タイミングを変更可能な吸気弁開閉タイミング変更手段と、
前記内燃機関の出力軸へのトルクの入出力を伴って該内燃機関の回転数を調整可能な電動機と、
前記内燃機関を運転停止するときには、前記電動機による前記内燃機関の回転数が所定回転数となる調整と前記内燃機関の所定の運転条件の維持を伴って前記吸気弁の開閉タイミングを遅らせ、前記電動機による調整に基づいて前記吸気弁の開閉タイミングが所定の開閉タイミングになるのを判定したときに前記内燃機関の運転が停止されるよう前記内燃機関と前記吸気弁開閉タイミング変更手段と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備える内燃機関装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記電動機から出力しているトルクが所定トルクに至ったときに前記吸気弁の開閉タイミングが前記所定の開閉タイミングに至ったと判定する手段である請求項1記載の内燃機関装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の内燃機関装置であって、
前記制御手段は、
前記電動機を制御する主制御手段と、
前記主制御手段と通信可能に接続され、前記内燃機関と前記吸気弁開閉タイミング変更手段とを制御する機関制御手段と、
を有し、
前記主制御手段は、前記内燃機関を運転停止するときには、前記機関制御手段に対して前記内燃機関の所定の運転条件の維持を伴って前記吸気弁の開閉タイミングを遅らせる停止準備指示を送信すると共に前記電動機による調整に基づいて前記吸気弁の開閉タイミングが所定の開閉タイミングになるのを判定したときに前記内燃機関の運転を停止する停止指示を送信する手段であり、
前記機関制御手段は、前記停止準備指示を受信したときに前記内燃機関の所定の運転条件の維持を伴って前記吸気弁の開閉タイミングを遅らせるよう前記吸気弁開閉タイミング変更手段を制御し、前記停止指示を受信したときに前記内燃機関が運転停止するよう該内燃機関を制御する手段である、
内燃機関装置。
【請求項4】
前記所定の運転条件は、所定のスロットル開度および/または所定の燃料噴射量とする条件である請求項1ないし3いずれか記載の内燃機関装置。
【請求項5】
前記内燃機関の出力軸と前記電動機の回転軸と駆動軸との3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段を備える請求項1ないし4いずれか記載の内燃機関装置。
【請求項6】
請求項5記載の内燃機関装置であって、
前記駆動軸に動力を入出力可能な第2の電動機と、
前記電動機および前記第2の電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
前記駆動軸に出力すべき要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記内燃機関を運転停止する最中に前記設定された要求駆動力に基づく駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記電動機と前記第2の電動機とを制御する手段である
内燃機関装置。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれか記載の内燃機関装置を動力源の一つとして搭載する車両。
【請求項8】
内燃機関と、前記内燃機関の吸気弁の開閉タイミングを変更可能な吸気弁開閉タイミング変更手段と、前記内燃機関の出力軸へのトルクの入出力を伴って該内燃機関の回転数を調整可能な電動機と、を備える内燃機関装置の制御方法であって、
前記内燃機関を運転停止するときには、前記電動機による前記内燃機関の回転数が所定回転数となる調整と前記内燃機関の所定の運転条件の維持を伴って前記吸気弁の開閉タイミングを遅らせ、前記電動機による調整に基づいて前記吸気弁の開閉タイミングが所定の開閉タイミングになるのを判定したときに前記内燃機関の運転が停止されるよう前記内燃機関と前記吸気弁開閉タイミング変更手段と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする内燃機関装置の制御方法。
【請求項9】
内燃機関と、前記内燃機関の吸気弁の開閉タイミングを変更可能な吸気弁開閉タイミング変更手段と、前記内燃機関の出力軸へのトルクの入出力を伴って該内燃機関の回転数を調整可能な電動機と、前記電動機を制御する主制御手段と、前記内燃機関と前記吸気弁開閉タイミング変更手段とを制御する機関制御手段と、を備える内燃機関装置における内燃機関の運転を停止する際の制御方法であって、
前記主制御手段により、前記内燃機関の所定の運転条件の維持を伴って前記吸気弁の開閉タイミングを遅らせる停止準備指示を前記機関制御手段に送信すると共に前記内燃機関の回転数が所定回転数に調整されるよう前記電動機を制御し、前記電動機による調整に基づいて前記吸気弁の開閉タイミングが所定の開閉タイミングになるのを判定し、該所定の開閉タイミングになるのを判定したときに前記内燃機関の運転を停止する停止指示を前記機関制御手段に送信し、
前記機関制御手段により、前記停止準備指示を受信したときに前記内燃機関の所定の運転条件の維持を伴って前記吸気弁の開閉タイミングを遅らせるよう前記吸気弁開閉タイミング変更手段を制御し、前記停止指示を受信したときに前記内燃機関が運転停止するよう該内燃機関を制御する
ことを特徴とする内燃機関装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−153232(P2007−153232A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−353814(P2005−353814)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】