説明

半導体素子およびその製造方法

【課題】MOSトランジスタに十分な応力(ストレス)が加える半導体素子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体素子は、半導体基板100と、半導体基板100上に備えられたゲート電極114およびゲート電極114の側壁面に備えられたスペーサ116を含むゲート構造物110と、ゲート構造物110の両側の半導体基板100内に形成されたソース/ドレーン領域102と、ゲート構造物110上エッチング停止膜130と、を含み、エッチング停止膜130は、スペーサ116上の第1領域130_1およびゲート電極の上面上の第2領域130_2を含み、第1領域130_1の厚さは、第2領域130_2の厚さの85%以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体素子およびその製造方法に関するものであって、より詳細にはトランジスタのチャネルに応力(ストレス)が印加される半導体素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の高集積化および高速化にともないその限界を克服し、より優秀な性能を有するMOSトランジスタを形成するための多様な方法が研究されている。特に、高性能のMOSトランジスタの具現のため、多数キャリア(電子または正孔)の移動度(mobility)を向上させるための方法が多く開発されている。
【0003】
電子または正孔の移動度を向上させる方法として、チャネル領域に物理的な応力(ストレス)(stress)を加える方法が研究されている。代表的な方法は、MOSトランジスタ上に応力(ストレス)膜を形成することである。しかし、電子と正孔は応力(ストレス)膜の応力(ストレス)の種類−引張または圧縮−により移動度が相異なるため、NMOSトランジスタの電子移動度を向上させる応力(ストレス)膜が直ちにPMOSトランジスタの正孔移動度を向上させることではない。したがって、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタ別に別途の応力(ストレス)を加えるための方案が摸索されている。
【特許文献1】米国特許第2006−249794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、引張応力膜を適用する場合、選択的にNMOSトランジスタ上にのみ形成されるのが望ましい。これのため、PMOSトランジスタ上の引張応力膜は選択的に除去される。引張応力膜の選択的除去のためのパターニングを精密に行うため、引張応力膜の形成の前にエッチング停止膜を形成することもある。しかし、エッチング停止膜形成の結果、NMOSトランジスタと引張応力膜との間にエッチング停止膜が介在すれば、引張応力膜からNMOSトランジスタに加わる応力(ストレス)効果が弱まる。したがって、十分な電子移動度の向上効果は期待しにくい。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、MOSトランジスタ上にエッチング停止膜を適用した場合にもMOSトランジスタに十分な応力(ストレス)を加える半導体素子を提供することにある。
【0006】
本発明が解決しようとする他の課題は、MOSトランジスタ上にエッチング停止膜を形成しつつも、MOSトランジスタに十分な応力(ストレス)を加える半導体素子の製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、上述した技術的課題に制限されない。上述していない他の課題は以下の記載から当業者であれば明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題を解決するために、本発明に係る半導体素子は、半導体基板と、前記半導体基板上に備えられたゲート電極および前記ゲート電極の側壁面に備えられたスペーサを含むゲート構造物と、前記ゲート構造物の両側の前記半導体基板内に形成されたソース/ドレーン領域と、前記ゲート構造物上に備えられたエッチング停止膜と、を含み、前記エッチング停止膜は、前記スペーサ上の第1領域および前記ゲート電極の上面上の第2領域を含み、前記第1領域の厚さは、前記第2領域の厚さの85%以下である。
【0009】
また、本発明に係る他の半導体素子は、NMOSトランジスタ領域およびPMOSトランジスタ領域を含む半導体基板と、前記半導体基板の前記NMOSトランジスタ領域上に備えられた第1ゲート電極、および前記第1ゲート電極の側壁面に備えられた第1スペーサを含む第1ゲート構造物と、前記第1ゲート構造物の両側の前記半導体基板内に形成された第1ソース/ドレーン領域と、前記半導体基板の前記PMOSトランジスタ領域上に備えられた第2ゲート電極、および前記第2ゲート電極の側壁面に備えられた第2スペーサを含む第2ゲート構造物と、前記第2ゲート構造物の両側の前記半導体基板内に形成された第2ソース/ドレーン領域と、前記第1および前記第2ゲート構造物上に備えられたエッチング停止膜と、を含み、前記エッチング停止膜は、前記第1および第2スペーサ上のそれぞれの第1領域および前記第1および第2ゲート電極の上面上のそれぞれの第2領域を含み、前記第1および第2スペーサ上のそれぞれの第1領域の厚さは、前記第1および第2スペーサ上のそれぞれの第2領域の厚さの85%以下である。
【0010】
また、本発明に係る半導体素子の製造方法は、半導体基板を提供し、前記半導体基板上にゲート電極、および前記ゲート電極の側壁面にスペーサを備えるゲート構造物を形成し、前記ゲート構造物の両側の前記半導体基板内にソース/ドレーン領域を形成し、前記ゲート構造物上にエッチング停止膜を形成し、前記エッチング停止膜上に引張応力膜を形成することを含み、前記エッチング停止膜は、前記スペーサ上の第1領域および前記ゲート電極の上面上の第2領域を含み、前記第1領域の厚さは、前記第2領域の厚さの85%以下である。
【0011】
本発明に係る他の半導体素子の製造方法は、NMOSトランジスタ領域およびPMOSトランジスタ領域を含む半導体基板を提供し、NMOSトランジスタ領域の前記半導体基板上に第1ゲート電極、および前記第1ゲート電極の側壁面に第1スペーサを備える第1ゲート構造物を形成し、PMOSトランジスタ領域の前記半導体基板上に第2ゲート電極、および前記第2ゲート電極の側壁面に第2スペーサを備える第2ゲート構造物を形成し、前記第1ゲート構造物の両側の前記半導体基板内に第1ソース/ドレーン領域を形成し、前記第2ゲート構造物の両側の前記半導体基板内に第2ソース/ドレーン領域を形成し、前記第1および前記第2ゲート構造物上にエッチング停止膜を形成し、前記エッチング停止膜上に引張応力膜を形成することを含み、前記エッチング停止膜は、前記第1および第2スペーサ上のそれぞれの第1領域および前記第1および第2ゲート電極の上面上のそれぞれの第2領域を含み、前記第1および第2スペーサ上のそれぞれの第1領域の厚さは、前記第1および第2スペーサ上のそれぞれの第2領域の厚さの85%以下である。
【0012】
その他実施形態の具体的な事項は詳細な説明および図に含まれている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る半導体素子およびその製造方法によれば、NMOSトランジスタ上にエッチング停止膜を形成し、その上に応力(ストレス)膜を形成しても、電子移動度向上のため、主な方向への応力(ストレス)膜とNMOSトランジスタとの間に介在するエッチング停止膜を最小化または少なくとも一部の厚さを0にすることによって、NMOSトランジスタ側に十分な応力(ストレス)を伝達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付図面を参照して詳細に説明される実施形態により明確になるであろう。しかし、本発明は以下の説明により開示される実施形態に限定されるものではなく、異なる多様な実施形態によっても具現される。以下説明する実施形態は、本発明を十分開示し、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範囲を十分理解できるようにするために提供されるものであり、本発明の範囲は特許請求の範囲により定められる。
【0015】
なお、いくつかの実施形態において、公知の工程、段階、構造及び技術は、本発明が不明瞭に解釈されるのを避けるために、説明を省略する。
【0016】
本明細書において使用される用語は実施形態を説明するために用いられたものであり、本発明を制限しようとするものではない。明細書で使用される「含む」は、言及した構成要素、段階、動作および/または素子以外の一つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない意味で使用する。
【0017】
本発明の実施形態に係る半導体素子はチャネルに応力(ストレス)(stress)を加え多数キャリア(major carrier)の移動度が変化するMOSトランジスタを含む。MOSトランジスタはNMOSトランジスタおよびPMOSトランジスタを含む。
【0018】
以下、添付した図面を参考して本発明に係る半導体素子について詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の実施形態に係る半導体素子の断面図である。図2は本発明の実施形態に係る半導体素子の斜視図であって、図1のエッチング停止膜および応力(ストレス)膜を省略した場合を図示する。図3および図4は、本発明の変形実施形態に係る半導体素子の断面図である。
【0020】
図1および図2を参照すれば、本発明の実施形態に係る半導体素子は、半導体基板100上に形成されたMOSトランジスタを含む。MOSトランジスタはゲート構造物110とソース/ドレーン領域102を含む。
【0021】
ゲート構造物110は、半導体基板100上に形成されたゲート絶縁膜112、ゲート絶縁膜112上に形成されたゲート電極114およびゲート電極114側壁上に形成されたスペーサ116を含む。
【0022】
ゲート絶縁膜112ではシリコン酸化膜や高誘電率膜が適用されうる。
【0023】
ゲート電極114は導電型物質で形成される。例えば、n型またはp型不純物がドーピングされたポリシリコン膜、金属膜、金属シリサイド膜、金属窒化膜などの単一膜またはこれらの積層膜で形成されうる。
【0024】
本発明の実施形態に係るゲート電極114は、ポリシリコン膜で形成されるが、n型またはp型不純物以外に非晶質化物質をさらに含みうる。非晶質化物質はイオン注入されたものでありうる。注入された非晶質化物質の例としては、Ge、Xe、C、Fまたはこれらの組み合わせを含む。望ましい例としてGeを挙げることができる。本発明の実施形態でゲート電極114を構成するポリシリコン膜は、非晶質化物質の注入によって非晶質化され、後続熱処理などによって再結晶化(recrystallization)される。再結晶の際、ポリシリコン膜は後続熱処理の状態の変化によって所定の応力(ストレス)を保存し、これはMOSトランジスタのチャネルに所定の応力(ストレス)を加える。
【0025】
本発明の他の実施形態ではゲート電極114は非晶質化物質を含まない。この場合、MOSトランジスタに加える応力(ストレス)は、MOSトランジスタを覆う残留する応力(ストレス)膜140による。したがって、ゲート電極114の非晶質化物質を含むかの可否はチャネルに応力(ストレス)を加えるための応力(ストレス)膜140の残留の可否と密接な関係がある。
【0026】
スペーサ116はゲート電極114の側壁に形成される。スペーサ116は例えば、シリコン窒化膜で形成される。図面に示していないが、ゲート電極114上にはハードマスク膜がさらに具備されうる。
【0027】
本発明の変形実施形態では図3に示すように、ゲート構造物(110m)がスペーサ116とゲート電極114との間に介在した自然酸化膜115をさらに含み得る。本発明のまた他の変形実施形態は図3の自然酸化膜115がL型のスペーサで置換された場合を含む。
【0028】
また図1および図2を参照すれば、ソース/ドレーン領域102はゲート構造物110の両側の半導体基板100内にn型不純物またはp型不純物がドーピングされて形成される。ソース/ドレーン領域102にドーピングされた不純物の導電型によって、MOSトランジスタはNMOSトランジスタまたはPMOSトランジスタとなる。図1には示していないが、本発明の他の実施形態に係るソース/ドレーン領域102は上面が金属シリサイドで形成されていることもある。
【0029】
ゲート電極114の場合と類似にソース/ドレーン領域102の場合にも非晶質化物質をさらに含むこともあり、含まないこともある。ゲート構造物110を中心に離隔されているソース/ドレーン領域102の間の空間はMOSトランジスタのチャネル領域となる。ソース/ドレーン領域102の外側は、半導体基板100内に形成された素子分離領域108によって限定される。素子分離領域108は、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)工程またはLOCOS(LOCal Oxidation of Silcon)工程によって形成された酸化膜で形成されうる。
【0030】
ゲート構造物110が形成された半導体基板100上にはエッチング停止膜130が位置する。エッチング停止膜130は、ゲート構造物110およびソース/ドレーン領域102を覆う。
【0031】
エッチング停止膜130は、ゲート構造物110のスペーサ116上に位置する第1領域130_1、ゲート電極114の上面上に位置する第2領域130_2、およびソース/ドレーン領域102上に位置する第3領域130_3を含む。エッチング停止膜130はシリコン酸化膜などで形成されうる。
【0032】
応力(ストレス)膜140は、エッチング停止膜130上に形成されてMOSトランジスタのチャネルに引張応力(tensile stress)または圧縮応力(compressive stress)を加える。応力(ストレス)膜140は例えば、シリコン窒化膜でありうる。同様に『シリコン窒化膜』と称されるとしても、シリコン、窒素、水素などの組成比または製造工程時の工程条件などによってシリコン窒化膜は引張応力膜となり得、圧縮応力膜ともなりうる。より具体的な内容は本技術分野の当業者に公知されているため、それに対する不必要な説明は省略する。
【0033】
ゲート電極114とソース/ドレーン領域102が非晶質化物質を含む場合には、応力(ストレス)膜140は除去されて残留しないこともある。ゲート電極114とソース/ドレーン領域102が非晶質化物質を含まない場合、応力(ストレス)膜140の残留が望ましい。
【0034】
MOSトランジスタのチャネルに加える応力(ストレス)は、MOSトランジスタの種類、応力(ストレス)の種類、応力(ストレス)の方向などによってチャネルに流れる多数キャリアの移動度を向上させる。多数キャリアの移動度が向上されると、MOSトランジスタの性能(performance)が良好となるものと解釈される。前記記述した各変化の要素間の具体的な関係を表1に整理した。
【0035】
【表1】

【0036】
前記表1においてX軸、Y軸、Z軸は、図2で定義されている3次元方向を意味する。また、+は、多数キャリアの移動度が良好であることを示し、++は、多数キャリアの移動度がさらに良好であることを示し、−は、多数キャリアの移動度が不良であることを示し、−−は、多数キャリアの移動度がさらに不良であることをそれぞれ示す。
【0037】
表1を参照すれば、引張応力膜はX軸とZ軸方向にチャネルに引張応力を加えるが、Y軸方向には圧縮応力を加える。圧縮応力膜はX軸とZ軸の方向に圧縮応力を加えるが、Y軸方向には引張応力を加える。そして、表1に示すようにNMOSトランジスタの場合、主にY軸方向への圧縮応力によって、多数キャリア(電子)の移動度が高まり、PMOSトランジスタの場合には、主にX軸方向への圧縮応力によって多数キャリア(正孔)の移動度が向上される。
【0038】
このような多数キャリアの移動度を向上させる応力(ストレス)は、MOSトランジスタを覆う応力(ストレス)膜140によって加わる(例えば、NMOSトランジスタの場合は、引張応力膜によってY軸方向の圧縮応力が加わり、PMOSトランジスタの場合は、圧縮応力膜によってX軸方向の圧縮応力が加わることもある)。ゲート電極114などに非晶質化物質が含まれており、再結晶時に応力(ストレス)が保存されており、最終構造物に応力(ストレス)膜140が残留しないとしても、少なくとも再結晶時には応力(ストレス)膜140が具備されて応力(ストレス)を加える。
【0039】
図5は、MOSトランジスタと応力(ストレス)膜間にエッチング停止膜が介在した場合の相対的な応力(ストレス)の値を示すグラフである。応力(ストレス)膜140による応力(ストレス)の効果は、応力(ストレス)膜140と応力(ストレス)が加わる地点との間の密着性または離隔距離などに少なくとも部分的に依存する。例えば、応力(ストレス)膜140がMOSトランジスタと直接接せず、他の構造物を介在する場合応力(ストレス)効果が低下する。介在する構造物の厚さが厚くなるほど応力(ストレス)効果はさらに低下する。図5のグラフに示すようにエッチング停止膜130の厚さが約200Åである場合、エッチング停止膜130が介在しない場合に比べて約70%の応力(ストレス)効果しか示すことができない。
【0040】
MOSトランジスタとしてNMOSトランジスタが適用された場合を例にして説明すれば、十分な電子移動度を得るためにはY軸方向に十分な圧縮応力を加えなければならず、このためにY軸方向に応力(ストレス)が加わる領域では介在するエッチング停止膜130の厚さが薄い方が望ましい。
【0041】
図1で、Y軸方向に応力(ストレス)が加わる領域はスペーサ116が形成されている領域である。したがって、スペーサ116上に位置するエッチング停止膜130の第1領域130_1の厚さは薄い方が望ましい。
【0042】
一方、エッチング停止膜130は、応力(ストレス)膜140のパターニングなどの工程で下部構造物の過度なエッチングを防止するために提供されたものであって、特に第2領域130_2と第3領域130_3は、例えばそれぞれゲート電極114上の端子およびソース/ドレーン領域102上の端子が形成される領域である。したがって、エッチング停止膜130の本来の機能を十分に発揮するためには第2領域130_2と第3領域130_3は所定の厚さを確保しなければならない。例えば、第2領域130_2と第3領域130_3との厚さは約50Å〜1000Åでありうる。他の実施形態によれば、第2領域130_2と第3領域130_3との厚さは約300Å〜500Åでありうる。
【0043】
反面、第1領域130_1は端子が形成されておらず、パターニングの境界となる領域でもないため、実質的にエッチング停止膜130の機能とは関係がない領域である。したがって、エッチング停止膜130の第1領域130_1は所定の厚さの第2領域130_2と第3領域130_3よりさらに薄い厚さで形成されてもよい。
【0044】
前記の観点から、エッチング停止膜130の第2領域130_2と第3領域130_3との厚さは実質的に同一であるが、第1領域130_1は第2領域130_2および第3領域130_3より厚さが薄いこともある。例えば、第1領域130_1の厚さ(d1)は第2領域130_2および第3領域130_3の厚さ(d2、d3)の約85%以下でありうる。さらに、第1領域130_1の厚さ(d1)は第2領域130_2および第3領域130_3の厚さの約75%以下でありうる。極端的には第1領域130_1の少なくとも一部はその厚さ(d1)が0でありうる。すなわち、図4に図示すようにスペーサ116上でエッチング停止膜230の少なくとも一部が全く形成されなかったり、形成後に除去されたりしてスペーサ116と応力(ストレス)膜140が直接接触することができる。図4の例示的な実施形態のようにエッチング停止膜230の第2領域230_2、および第3領域230_3は、たとえ所定の厚さを有しているとしても、エッチング停止膜230の第1領域230_1の厚さが0となれば、図5に示す観点からNMOSトランジスタの多数キャリア移動度の向上を最大化することができる。
【0045】
エッチング停止膜130の領域別に異なる厚さはエッチング停止膜130の積層方法、等方性エッチングの可否、およびこれらの組み合わせなどによって具現される。図1から分かるように、エッチング停止膜130の第2領域130_2および第3領域130_3は平たい下部構造物上に位置するが、第1領域130_1は傾斜しているスペーサ116上に位置する。したがって、段差塗布性(step coverage)が不良な積層方法、例えばプラズマ化学気相蒸着法(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition:PECVD)法によってエッチング停止膜130を蒸着すれば、傾斜している第1領域130_1は相対的に薄い厚さで蒸着することができる。このような観点から、エッチング停止膜130は、例えばPE−TEOS(TetraEthyl OrthoSilicate)膜で形成されうる。PE−TEOS膜は、TEOS(テトラ・エチル・オルソシリケート)を用いたプラズマCVD法により形成された層間絶縁膜である。また、エッチング停止膜130を等方性エッチングすれば、すべての領域において実質的に同一な厚さでエッチングされるので、第2領域130_2および第3領域130_3の厚さに対する第1領域130_1の厚さの比がさらに減少され得、さらに、図4に図示すようにエッチング停止膜230の第1領域230_1は完全に除去されうる(厚さが0である場合)。
【0046】
前述した本発明の実施形態に係る半導体素子のより具体的な内容とその他の変形実施形態は以下で説明する本発明の実施形態に係る半導体素子の製造方法と共に説明する。以下、半導体素子として、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタを含む場合を例示する。
【0047】
図6Aないし図6Hは、本発明の実施形態に係る半導体素子の製造方法を示す断面図であって、応力(ストレス)保存技術(Stress Memorization Technique)が適用される例示的な方法を図示す。
【0048】
図6Aを参照すれば、NMOSトランジスタ領域(I)とPMOSトランジスタ領域を含む半導体基板100を提供する。半導体基板100は、単結晶シリコンと同じ結晶質シリコンからなる基板であって、例えばp型不純物がドーピングされているP型シリコン基板でありうる。
【0049】
NMOSトランジスタ領域(I)は、NMOSトランジスタが形成される領域であって、活性領域にn型不純物がドーピングされる領域である。PMOSトランジスタ領域(II)は、PMOSトランジスタが形成される領域であって、活性領域にp型不純物がドーピングされる領域である。半導体基板100の提供時にはNMOSトランジスタ領域(I)とPMOSトランジスタ領域(II)が物理的に区別されないが、設計された後続工程による仮想の境界を有しうる。NMOSトランジスタ領域(I)とPMOSトランジスタ領域(II)との区分は、後続に形成されるトランジスタの種類によって明確となる。
【0050】
続いて、半導体基板100を多数の活性領域で区分するための素子分離領域108を形成する。素子分離領域108は例えばシリコン酸化膜で形成する。具体的に、STI(Shallow Trench Isolation)工程によるSTI酸化膜またはLOCOS(LOCal Oxidation of Silcon)工程によるLOCOS酸化膜を適用することができる。
【0051】
図6Bを参照すれば、半導体基板100の全面に熱酸化工程などを用いゲート絶縁膜用酸化膜を形成する。続いて、ゲート絶縁膜用酸化膜上にポリシリコンなどの結晶質シリコンや非晶質シリコンなどからなるゲート導電層を形成する。ゲート導電層の形成は本技術分野の公知の多様な方法を用いる。また、ゲート導電層およびゲート絶縁膜用酸化膜を順次にパターニングしてゲート電極114_1、114_2とゲート絶縁膜112を形成する。前記パターニングのためのエッチングマスクではフォトレジスト膜またはハードマスク膜が適用されうる。ここで、半導体基板100のNMOSトランジスタ領域(I)上に形成されるゲート電極は第1ゲート電極114_1と、PMOSトランジスタ領域(II)上に形成されたゲート電極は第2ゲート電極114_2と称する。
【0052】
次に、第1ゲート電極114_1の側壁に第1スペーサ116_1を、第2ゲート電極の側壁に第2スペーサ116_2をそれぞれ形成する。第1スペーサ116_1および第2スペーサ116_2はシリコン窒化膜などで形成される。これらを形成する多様な方法は本技術分野に広く公知されているために具体的な説明は省略する。第1スペーサ116_1は第1ゲート電極114_1、ゲート絶縁膜112と共に第1ゲート構造物(110_1)を構成し、第2スペーサ116_2は第2ゲート電極114_2、ゲート絶縁膜112と共に第2ゲート構造物110_2を構成する。
【0053】
図6Cを参照すれば、半導体基板100のPMOSトランジスタ領域(II)は覆うものの、NMOSトランジスタ領域(I)は露出させる第1イオンマスク(図示せず)を用いて第1不純物をイオン注入する。第1不純物はn型不純物および非晶質化物質を含む。
【0054】
n型不純物はNMOSトランジスタ領域(I)の半導体基板100内に第1ソース/ドレーン領域102_1を形成するためのものである。n型不純物は第1イオンマスクで覆われていない半導体基板100のNMOSトランジスタ領域(I)上にすべて注入されるので、第1ゲート電極114_1および第1スペーサ116_1にも一部注入されうる。ただし、半導体基板100の立場からは第1イオンマスクだけではなく、第1ゲート電極114_1および第1スペーサ116_1もドーピングマスクとして認識される。したがって、n型不純物は第1ゲート電極114_1の下部には注入されない。その結果、NMOSトランジスタ領域(I)の半導体基板100内には第1ゲート電極114_1を中心に互いに離隔された一対の第1ソース/ドレーン領域102_1が形成される。
【0055】
非晶質化物質はNMOSトランジスタ領域(I)の半導体基板100および/または第1ゲート電極114_1を非晶質化するためのものである。すなわち、半導体基板100と第1ゲート電極114_1が結晶質シリコンで形成されたとしても、非晶質化物質をイオン注入すれば、結晶が破壊され非晶質化を誘発する。非晶質化イオンの例はGe、Xe、C、F、またはこれらの組み合わせを含む。望ましい例としてGeがある。
【0056】
n型不純物と非晶質化物質のイオン注入の順序は多様に選択されうる。例えば、n型不純物を先にイオン注入して第1ソース/ドレーン領域102_1を形成した後、非晶質化物質をイオン注入し、これらの領域を非晶質化することもでき、非晶質化物質をイオン注入して非晶質化領域を限定した後、n型不純物をイオン注入し、非晶質化された第1ソース/ドレーン領域102_1を形成することもできる。さらに、n型不純物イオンおよび非晶質化イオンを同時に注入することもできる。
【0057】
次に、半導体基板100のNMOSトランジスタ領域(I)は覆うものの、PMOSトランジスタ領域(II)は露出させる第2イオンマスク(図示せず)を用いて第2不純物をイオン注入する。第2不純物はp型不純物および非晶質化物質を含む。第2不純物のイオン注入はn型不純物の代わりにp型不純物をイオン注入すること以外は第1不純物のイオン注入と実質的に同様である。第2不純物の注入結果、PMOSトランジスタ領域(II)の半導体基板100内に第2ゲート電極114_2を中心に互いに離隔された一対の第2ソース/ドレーン領域102_2が形成されて、第2ゲート電極114_2と第2ソース/ドレーン領域は非晶質化される。
【0058】
一方、第1不純物のイオン注入および第2不純物のイオン注入順序は前述したものと反対に行うこともできる。
【0059】
また、非晶質化物質の注入はn型不純物およびp型不純物のイオン注入とは別途に、これらを注入する前、または注入した後にNMOSトランジスタ領域(I)およびPMOSトランジスタ領域(II)に一括的に行うこともできる。この場合、別途のイオンマスクは必要ではない。
【0060】
図6Dを参照すれば、図6Cの結果の全面にエッチング停止膜130を形成する。すなわち、エッチング停止膜130は第1ゲート構造物(110_1)、第1ソース/ドレーン領域102_1と第2ゲート構造物110_2、第2ソース/ドレーン領域102_2とを覆うように形成される。形成されたエッチング停止膜130は第1および第2スペーサ116_1、116_2上の第1領域130_1、第1および第2ゲート電極114_1、114_2上の第2領域130_2、および第1および第2ソース/ドレーン領域102_1、102_2上の第3領域130_3を含む。ここで、第2領域130_2および第3領域130_3の厚さは実質的に同一であるが、第1領域130_1の厚さは第2領域130_2および第3領域130_3の厚さより小さいように形成される。例えば、第2領域130_2と第3領域130_3の厚さは約50Å〜1000Åの範囲を有するように形成される。他の実施形態によれば第2領域130_2と第3領域130_3の厚さは約100Å〜500Åの厚さで形成される。第1領域130_1は第2領域130_2および第3領域130_3より約85%以下の厚さを有するように形成される。実施形態によれば、第1領域130_1は第2領域130_2および第3領域130_3より約75%以下の厚さを有するように形成される。
【0061】
前記のような領域別に異なる厚さのエッチング停止膜130を形成するためには段差塗布性が不良な積層方法が用いられる。すなわち、第2領域130_2と第3領域130_3が位置する下部構造物は平たい上面を有する反面、第1領域130_1が位置する下部構造物(すなわち、第1および第2スペーサ)は傾斜した表面を有するため、段差塗布性が不良な方法でエッチング停止膜130を形成すれば、傾斜している第1および第2スペーサ116_2上に蒸着されるエッチング停止膜130の厚さが他の領域に比べて薄くなる。例えば、エッチング停止膜130を、プラズマ化学気相蒸着法を用いたPE−TEOS膜で形成すれば、第1領域130_1の厚さが第2領域130_2および第3領域130_3の厚さの約85%以下、さらに約75%以下まで容易に調節することができる。
【0062】
図6Eを参照すれば、エッチング停止膜130上にカバー膜として、例えば引張応力膜142aを形成する。引張応力膜142aは例えばシリコン窒化膜で形成される。
【0063】
図6Fを参照すれば、PMOSトランジスタ領域(II)上の引張応力膜142aを選択的に除去してNMOSトランジスタ領域(I)にのみ引張応力膜142を残留させる。引張応力膜142aの選択的な除去は写真エッチング工程で行われ、この時、下部のエッチング停止膜130は下部構造物まで過エッチングされることを防ぐエッチング阻止機能をする。
【0064】
図6Gを参照すれば、図6Fに関する工程後に熱処理する。具体的な例としては、窒素、アルゴン、水素またはこれらの混合機体の雰囲気で約900〜1200℃の温度条件で急速熱処理をする。熱処理の結果、非晶質化された領域での再結晶化(recrystallization)が成される。したがって、第1ゲート電極114_1、第1ソース/ドレーン領域102_1と第2ゲート電極114_2、および第2ソース/ドレーン領域102_2が前述した非晶質化物質のイオン注入によって非晶質化されたとしても、前記熱処理によって例えばポリシリコンなどで再結晶化される。
【0065】
再結晶化でNMOSトランジスタ領域(I)上の第1ゲート電極114_1と第1ソース/ドレーン領域102_1は引張応力膜142による応力(ストレス)が保存(記憶)される。すなわち、NMOSトランジスタ領域(I)は引張応力膜142によって覆われているため、X軸およびZ軸方向には引張応力を、Y軸方向には圧縮応力を受ける。したがって、NMOSトランジスタ領域(I)上の第1ゲート電極114_1と第1ソース/ドレーン領域102_1は引張応力膜142によって加われたX軸、Z軸方向の引張応力およびY軸方向の圧縮応力を保存(記憶)しつつ再結晶化される。この時、第1ゲート電極114_1はエッチング停止膜130を介在して引張応力膜142によって応力(ストレス)が加わるが、少なくともY軸方向に対して介在するエッチング停止膜130の第1領域130_1は他の領域に比べて厚さが薄いため、エッチング停止膜130介在による応力(ストレス)減少の効果が低い。すなわち、第1ゲート電極114_1にNMOSトランジスタ多数キャリアの移動度を向上させるための主な応力(ストレス)であるY軸方向の応力(ストレス)の伝達の効率が高い。このように高い効率で第1ゲート電極114_1に伝達されたY軸方向応力(ストレス)は、第1ゲート電極114_1の再結晶化と共に保存されてチャネルでの電子移動度を十分に向上させることができるようになる。
【0066】
一方、PMOSトランジスタ領域(II)の場合には引張応力膜142が除去されているので、熱処理工程による再結晶化を経ても第2ゲート電極114_2および第1ソース/ドレーン領域102_1に応力(ストレス)が保存されない。表1を参照して説明した通り、PMOSトランジスタ領域(II)の場合、引張応力膜による応力(ストレス)が加われば、多数キャリア(正孔)移動度が全般的に低下するが、前記した通り、PMOSトランジスタ領域(II)には引張応力膜による応力(ストレス)が保存されないため、多数キャリア移動度は低下しない。
【0067】
前記再結晶化によってNMOSトランジスタの特性が改善された半導体素子が完成される。
【0068】
図6Hを参照すれば、選択的に(optionally)、NMOSトランジスタ領域(I)を覆っている引張応力膜142を除去する。引張応力膜142の除去は、湿式エッチングまたはその他の公知された多様な方法で行うことができる。引張応力膜142を除去してもNMOSトランジスタ領域(I)の第1ゲート電極114_1および第1ソース/ドレーン領域102_1には引張応力膜142による応力(ストレス)(X軸、Z軸方向の引張応力およびY軸方向の圧縮応力)が保存されているので、NMOSトランジスタのチャネルには相変らず電子移動度を改善する応力(ストレス)を加えることができる。したがって、NMOSトランジスタの電子移動度は引張応力膜142を除去した後にも同等な水準で維持することができる。
【0069】
また、選択的に(optionally)、本段階と同時にまたは本段階の後にエッチング停止膜130を除去することをさらに含むこともできる。また、図面に示していないが、後続工程で第1ゲート電極114_1、第1ソース/ドレーン領域102_1、第2ゲート電極114_2、第2ソース/ドレーン領域102_2の表面にサリサイド(Salicide)工程を行い、金属シリサイド層を形成することをさらに行うことができる。また、NMOSトランジスタおよびPMOSトランジスタ上に層間絶縁膜を形成して、層間絶縁膜内に端子を形成して、層間絶縁膜上に配線を形成することができる。なお、実施形態において、公知の工程、段階、構造及び技術は、本発明が不明瞭に解釈されるのを避けるために、説明を省略する。
【0070】
図7Aおよび図7Bは本発明の他の実施形態に係る半導体素子の製造方法を示す断面図であって、特に図4に図示されている構造を具現する例示的な方法を説明するための図である。
【0071】
先に、図6Aないし図6Cを参照して説明したものと同様の方法で、半導体基板100のNMOSトランジスタ領域(I)上にNMOSトランジスタを形成して、PMOSトランジスタ領域(II)上にPMOSトランジスタを形成する。続いて、図7Aを参照すれば、半導体基板100の全面に予備エッチング停止膜230aを形成する。予備エッチング停止膜230aの形成は図6Dの段階と実質的に同様の方法で行われる。すなわち、予備エッチング停止膜230aは第1および第2スペーサ116_1、116_2上の第1領域230a_1、第1および第2ゲート電極114_1、114_2上の第2領域230a_2、および第1および第2ソース/ドレーン領域102_1、102_2上の第3領域230a_3を含むように形成するが、第1領域230a_1の厚さが第2領域230a_2および第3領域230a_3の厚さより薄くなるように形成する。ただし、望ましくは、予備エッチング停止膜230aは図6Cの段階で形成されるエッチング停止膜130より全体的に厚く形成する。
【0072】
図7Bを参照すれば、予備エッチング停止膜230aを湿式エッチングなどの方法で等方性エッチングする。等方性エッチングによって予備エッチング停止膜230aは第1領域230a_1、第2領域230a_2および第3領域230a_3の領域には関係なく同一な厚さぐらい減少する。その結果、完成されたエッチング停止膜230は第2領域230_2および第3領域230_3に対する第1領域230_1の厚さの比が予備エッチング停止膜230aの場合よりさらに減少する。
【0073】
本発明の実施形態では本段階で相対的に小さい第1領域230_1をすべて除去するが、相対的に厚い第2領域230_2と第3領域230_3はエッチング停止膜230として十分に機能できる所定の厚さで残留させる。例えば、予備エッチング停止膜230aの第2領域230a_2および第3領域230a_3の厚さが500Åであり、第1領域230a_1がその80%である400Åの場合、等方性エッチングによって完成されたエッチング停止膜230の第2領域230_2と第3領域230_3の厚さは約100Åであり、第1領域230_1の厚さは0でありうる。
【0074】
後続工程はエッチング停止膜230の第1領域230_1の厚さが相対的にさらに減少していること、またはさらに完全に除去されていることを除いては図6Dないし図6Gを参照したものと実質的に同様である。
【0075】
図8Aないし図8Dは、本発明のまた他の実施形態に係る半導体素子の製造方法を示す断面図である。図8Aないし図8Dは応力(ストレス)保存技術(Stress Memorization Technique)を適用せずに応力(ストレス)膜でチャネルに応力(ストレス)を加える場合を例示的に図示す。
【0076】
図8Aを参照すれば、半導体基板100のNMOSトランジスタ領域(I)内に第1ソース/ドレーン領域102_1を形成して、PMOSトランジスタ領域(II)内にPMOSトランジスタを形成する。本段階は非晶質化物質をイオン注入することを除いては図6Aないし図6Cを参照して説明したものと実質的に同様の方法で行われる。
【0077】
図8Bを参照すれば、図8Aの工程後である全面に図6Dを参照して説明したものと実質的に同様の方法でエッチング停止膜130を形成する。
【0078】
図8Cを参照すれば、エッチング停止膜130上に引張応力膜を形成してパターニングしてPMOSトランジスタ領域(II)上の引張応力膜を選択的に除去する。前記パターニング時、エッチング停止膜130はエッチング阻止機能をする。前記パターニングの結果、NMOSトランジスタ領域(I)上にのみ引張応力膜142が残留されて、第1ゲート構造物110_1および第1ソース/ドレーン領域102_1を覆う。したがって、NMOSトランジスタのチャネルのX軸およびZ軸方向に引張応力を、Y軸方向に圧縮応力を加えて電子移動度を改善する。この時、Y軸方向に介在しているエッチング停止膜130の第1領域130_1の厚さが相対的に薄く、効果的な応力(ストレス)が伝達できることは前述した通りである。本段階は前述した図7Aおよび図7Bの方法で代替されることもできる。
【0079】
一方、図6Aないし図6Gの実施形態とは異に、本実施形態では第1ゲート電極114_1および第1ソース/ドレーン領域102_1に応力(ストレス)を保存する段階を含まないため、引張応力膜142は後続工程で除去されない。
【0080】
図8Dを参照すれば、図8Cの結果物の全面に圧縮応力膜を形成してパターニングしてNMOSトランジスタ領域(I)上の圧縮応力膜を選択的に除去する。その結果、PMOSトランジスタ領域(II)上にのみ圧縮応力膜144が残留されて、第2ゲート構造物110_2および第2ソース/ドレーン領域102_2を覆う。
【0081】
一方、前記段階で引張応力膜142および圧縮応力膜144の形成順序は変わりうる。また、図8Cのエッチング停止膜130代りに、または図8Cのエッチング停止膜130とは別途に引張応力膜142の形成と圧縮応力膜144を形成との間にエッチング停止膜(図示せず)が形成されうる。また、圧縮応力膜144の形成は省略されうる。
【0082】
以上添付された図面を参照し、本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明を、その技術的思想や必須の特徴を変更しない範囲で、他の具体的な形態において実施されうることを理解することができる。したがって、上記実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施形態に係る半導体素子の断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る半導体素子の斜視図である。
【図3】本発明の変形実施形態に係る半導体素子の断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る半導体素子の断面図である。
【図5】MOSトランジスタと応力(ストレス)膜間にエッチング停止膜が介在した場合の相対的な応力(ストレス)の値を示すグラフである。
【図6A】本発明の実施形態に係る半導体素子の製造方法を示す断面図である。
【図6B】本発明の実施形態に係る半導体素子の製造方法を示す断面図である。
【図6C】本発明の実施形態に係る半導体素子の製造方法を示す断面図である。
【図6D】本発明の実施形態に係る半導体素子の製造方法を示す断面図である。
【図6E】本発明の実施形態に係る半導体素子の製造方法を示す断面図である。
【図6F】本発明の実施形態に係る半導体素子の製造方法を示す断面図である。
【図6G】本発明の実施形態に係る半導体素子の製造方法を示す断面図である。
【図6H】本発明の実施形態に係る半導体素子の製造方法を示す断面図である。
【図7A】本発明の他の実施形態に係る半導体素子の製造方法を示す断面図である。
【図7B】本発明の他の実施形態に係る半導体素子の製造方法を示す断面図である。
【図8A】本発明のまた他の実施形態に係る半導体素子の製造方法を示す断面図である。
【図8B】本発明のまた他の実施形態に係る半導体素子の製造方法を示す断面図である。
【図8C】本発明のまた他の実施形態に係る半導体素子の製造方法を示す断面図である。
【図8D】本発明のまた他の実施形態に係る半導体素子の製造方法を示す断面図である。
【符号の説明】
【0084】
100 半導体基板、
102 ソース/ドレーン領域、
110 ゲート構造物、
112 ゲート絶縁膜、
114 ゲート電極、
116 スペーサ、
130 エッチング停止膜、
140 応力(ストレス)膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に備えられたゲート電極および前記ゲート電極の側壁面に備えられたスペーサを含むゲート構造物と、
前記ゲート構造物の両側の前記半導体基板内に形成されたソース/ドレーン領域と、
前記ゲート構造物上に備えられたエッチング停止膜と、
を含み、
前記エッチング停止膜は、前記スペーサ上の第1領域および前記ゲート電極の上面上の第2領域を含み、
前記第1領域の厚さは、前記第2領域の厚さの85%以下であることを特徴とする半導体素子。
【請求項2】
前記エッチング停止膜は、前記ソース/ドレーン領域上にまで延長された第3領域をさらに含み、
前記第1領域の厚さは、前記第3領域の厚さの85%以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。
【請求項3】
前記エッチング停止膜を介在して、前記ゲート構造物を覆う引張応力膜をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。
【請求項4】
前記ゲート構造物および前記ソース/ドレーン領域はNMOSトランジスタを構成することを特徴とする請求項3に記載の半導体素子。
【請求項5】
前記エッチング停止膜は、PE−TEOS膜で形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。
【請求項6】
前記第1領域の少なくとも一部は、厚さが0であることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。
【請求項7】
前記ゲート電極および前記ソース/ドレーン領域はGe、Xe、C、F、またはこれらの組み合わせを含む非晶質化物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。
【請求項8】
NMOSトランジスタ領域およびPMOSトランジスタ領域を含む半導体基板と、
前記半導体基板の前記NMOSトランジスタ領域上に備えられた第1ゲート電極、および前記第1ゲート電極の側壁面に備えられた第1スペーサを含む第1ゲート構造物と、
前記第1ゲート構造物の両側の前記半導体基板内に形成された第1ソース/ドレーン領域と、
前記半導体基板の前記PMOSトランジスタ領域上に備えられた第2ゲート電極、および前記第2ゲート電極の側壁面に備えられた第2スペーサを含む第2ゲート構造物と、
前記第2ゲート構造物の両側の前記半導体基板内に形成された第2ソース/ドレーン領域と、
前記第1および前記第2ゲート構造物上に備えられたエッチング停止膜と、
を含み、
前記エッチング停止膜は、前記第1および第2スペーサ上のそれぞれの第1領域および前記第1および第2ゲート電極の上面上のそれぞれの第2領域を含み、
前記第1および第2スペーサ上のそれぞれの第1領域の厚さは、前記第1および第2スペーサ上のそれぞれの第2領域の厚さの85%以下であることを特徴とする半導体素子。
【請求項9】
前記エッチング停止膜は、前記第1ソース/ドレーン領域および前記第2ソース/ドレーン領域上にまで延長された第3領域をさらに含み、
前記第1領域の厚さは、前記第3領域の厚さの85%以下であることを特徴とする請求項8に記載の半導体素子。
【請求項10】
前記エッチング停止膜を介在して、前記NMOSトランジスタ上の前記第1ゲート構造物を覆う引張応力膜をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の半導体素子。
【請求項11】
前記エッチング停止膜を介在して、前記PMOSトランジスタ上の前記第2ゲート構造物を覆う圧縮応力膜をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の半導体素子。
【請求項12】
前記エッチング停止膜はPE−TEOS膜で形成されることを特徴とする請求項8に記載の半導体素子。
【請求項13】
前記第1領域の少なくとも一部は厚さが0であることを特徴とする請求項8に記載の半導体素子。
【請求項14】
前記ゲート電極および前記ソース/ドレーン領域はGe、Xe、C、F、またはこれらの組み合わせを含む非晶質化物質を含むことを特徴とする請求項8に記載の半導体素子。
【請求項15】
半導体基板を提供し、
前記半導体基板上にゲート電極、および前記ゲート電極の側壁面にスペーサを備えるゲート構造物を形成し、
前記ゲート構造物の両側の前記半導体基板内にソース/ドレーン領域を形成し、
前記ゲート構造物上にエッチング停止膜を形成し、
前記エッチング停止膜上に引張応力膜を形成することを含み、
前記エッチング停止膜は、前記スペーサ上の第1領域および前記ゲート電極の上面上の第2領域を含み、
前記第1領域の厚さは、前記第2領域の厚さの85%以下であることを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項16】
前記エッチング停止膜は、前記ソース/ドレーン領域上にまで延長された第3領域をさらに含み、
前記第1領域の厚さは、前記第3領域の厚さの85%以下であることを特徴とする請求項15に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項17】
前記エッチング停止膜は、PECVD法で形成されることを特徴とする請求項15に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項18】
前記エッチング停止膜を形成することは、
前記ゲート構造物上に予備エッチング停止膜を形成し、
前記予備エッチング停止膜を等方性エッチングする際に、前記第2領域は残し、前記第1領域は少なくとも一部が完全に除去されるようにエッチングすることを含むことを特徴とする請求項15に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項19】
前記ゲート電極を非晶質化することをさらに含み、
前記引張応力膜を形成した後、非晶質化された前記第1ゲート電極再結晶化することをさらに含む請求項15に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項20】
前記非晶質化することは、
前記ゲート電極にGe、Xe、C、F、またはこれらの組み合わせを含む非晶質化物質をイオン注入することを含み、
前記再結晶化することは、非晶質化された前記ゲート電極を熱処理することを含むことを特徴とする請求項19に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項21】
NMOSトランジスタ領域およびPMOSトランジスタ領域を含む半導体基板を提供し、
NMOSトランジスタ領域の前記半導体基板上に第1ゲート電極、および前記第1ゲート電極の側壁面に第1スペーサを備える第1ゲート構造物を形成し、
PMOSトランジスタ領域の前記半導体基板上に第2ゲート電極、および前記第2ゲート電極の側壁面に第2スペーサを備える第2ゲート構造物を形成し、
前記第1ゲート構造物の両側の前記半導体基板内に第1ソース/ドレーン領域を形成し、
前記第2ゲート構造物の両側の前記半導体基板内に第2ソース/ドレーン領域を形成し、
前記第1および前記第2ゲート構造物上にエッチング停止膜を形成し、
前記エッチング停止膜上に引張応力膜を形成することを含み、
前記エッチング停止膜は、前記第1および第2スペーサ上のそれぞれの第1領域および前記第1および第2ゲート電極の上面上のそれぞれの第2領域を含み、
前記第1および第2スペーサ上のそれぞれの第1領域の厚さは、前記第1および第2スペーサ上のそれぞれの第2領域の厚さの85%以下であることを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項22】
前記エッチング停止膜は、前記第1ソース/ドレーン領域および前記第2ソース/ドレーン領域上にまで延長された第3領域をさらに含み、
前記第1領域の厚さは、前記第3領域の厚さの85%以下であることを特徴とする請求項21に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項23】
前記エッチング停止膜は、PECVD法で形成されることを特徴とする請求項21に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項24】
前記エッチング停止膜を形成することは、
前記第1ゲート構造物および前記第2ゲート構造物上に予備エッチング停止膜を形成し、
前記予備エッチング停止膜を等方性エッチングする際に、前記第2領域は残し、前記第1領域は少なくとも一部が完全除去されるようにエッチングすることを含むことを特徴とする請求項21に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項25】
前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極を非晶質化することを含み、
前記引張応力膜を形成した後、非晶質化された前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極を再結晶化することをさらに含むことを特徴とする請求項21に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項26】
前記非晶質化することは、
前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極にGe、Xe、C、F、またはこれらの組み合わせを含む非晶質化物質をイオン注入することを含み、
前記再結晶化することは非晶質化された前記第1ゲート電極、および前記第2ゲート電極を熱処理することを含む請求項25に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項27】
前記再結晶化前に、前記PMOSトランジスタ領域上の前記引張応力膜を選択的に除去することをさらに含むことを特徴とする請求項26に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項28】
前記PMOSトランジスタ領域上の前記引張応力膜を選択的に除去し、
前記NMOS領域上の残留する前記引張応力膜および前記PMOS領域上のエッチング停止膜上に圧縮応力膜を形成し、
前記NMOS領域上の前記圧縮応力膜を選択的に除去することをさらに含む請求項21に記載の半導体素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図6H】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【公開番号】特開2009−33173(P2009−33173A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−192141(P2008−192141)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】