説明

半導体装置の製造方法

【課題】 微細且つ電気的特性に優れた半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 層間絶縁膜10をマスクとしたストッパー膜9のドライエッチングによって、拡散層領域8に至るコンタクトホール11を形成する。この際、ストッパー膜9のオーバーエッチングによって、コンタクトホール11の底面をシリコン基板1の表面よりリセスする。続いて、シリコン基板1の表面を洗浄した後、コンタクトホール11の内面を覆うようにして層間絶縁膜10の上にポリシリコン膜12を形成する。ポリシリコン膜12の膜厚は、コンタクトホール11の底面がシリコン基板1の表面に対してリセスした深さより大きく、シリサイド化で消費されるシリコンの厚さより小さくなるようにする。これにより、オーバーエッチングおよびシリサイド化によってシリコン基板1から消失するシリコンの量を低減させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、より詳しくは、拡散層領域に金属シリサイド層を有する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の微細化とともに、ソース・ドレインとなる拡散層の接合深さは浅くなる傾向にある。しかし、拡散層が浅くなると拡散層抵抗が増大し、デバイス特性に与える寄生抵抗の影響が無視できなくなる。そこで、このような拡散層の極浅化に伴う抵抗の増大に対処するために、金属シリサイド層を形成することが行われている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
【0003】
例えば、シリコン基板上に形成された層間絶縁膜にコンタクトホールを形成した後、洗浄工程を経てから、Ti(チタン)などの金属をコンタクトホールの内部を含む全面に堆積する。次に、熱処理を行うと、シリコンと金属とが反応して金属シリサイド層が形成される。その後、バリアメタル膜を介して、コンタクトホールの内部にW(タングステン)などの導電層を充填することにより、コンタクトプラグを形成することができる。
【0004】
【特許文献1】特開平3−285330号公報
【特許文献2】特開平6−85083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、さらなる微細化に伴ってソース・ドレインの浅接合化が進むと、次のような問題が生じる。
【0006】
第1に、シリコン基板の縦方向に接合リーク電流が増大するという問題がある。すなわち、コンタクトホールを形成する際のシリコン基板へのオーバーエッチングによって、コンタクトホールの底部は、シリコン基板の表面に対してリセスした(窪んだ)構造となる。このため、浅いソース・ドレインに対して、シリコン基板の深いところでコンタクトホールがシリコン基板と接合し、シリコン基板の縦方向に接合リークが起こる。
【0007】
第2に、導電層がシリコンと反応することによって、シリコン基板に欠陥が生じるという問題がある。すなわち、シリコン基板へのオーバーエッチングや、洗浄工程でのウェットエッチングによって、コンタクトホールの底部にはサイドエッチングが生じる。ここで、サイドエッチングが生じた部分には、バリアメタル膜が薄い膜厚でしか形成されないので、そのバリア性は不十分なものとなる。一方、タングステン膜を成膜する際には、原料ガスとしてWFが使用される。バリアメタル膜のバリア性が十分でないと、WF中のFとSiとの間で反応が起こる。生成したSiFは気化してしまうので、結果として、Siが消費されてシリコン基板に欠陥が発生する。
【0008】
第3に、シリコン基板の横方向にも接合リーク電流が増大するという問題がある。すなわち、シリサイド化反応は等方的に進行するために、シリコン基板のオーバーエッチングによりコンタクトホールがシリコン基板と接合して、シリコン基板の横方向に接合リークが起こる。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、微細且つ電気的特性に優れた半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の第1の発明は、シリコン基板に不純物をイオン注入して拡散層領域を形成する工程と、このシリコン基板の上に層間絶縁膜を形成する工程と、所定のマスクを用いて層間絶縁膜をドライエッチングし、拡散層領域に至るコンタクトホールを形成するとともに、層間絶縁膜のオーバーエッチングによって、コンタクトホールの底面をシリコン基板の表面よりリセスする工程と、コンタクトホールの内面を覆うようにして層間絶縁膜の上にポリシリコン膜を形成する工程と、このポリシリコン膜の上に金属膜を形成する工程と、この金属膜の上にバリアメタル膜を形成する工程と、熱処理によって金属膜をシリサイド化して、拡散層領域の上に金属シリサイド層を形成する工程と、コンタクトホールの内部に導電層を埋め込んで、拡散層領域に電気的に接続するコンタクトプラグを形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法に関する。
【0012】
また、本願の第2の発明は、シリコン基板に不純物をイオン注入して拡散層領域を形成する工程と、シリコン基板の上にストッパー膜を形成する工程と、このストッパー膜の上に層間絶縁膜を形成する工程と、所定のマスクを用いて層間絶縁膜をドライエッチングし、ストッパー膜に至る開口部を形成する工程と、層間絶縁膜をマスクとしたストッパー膜のドライエッチングによって、拡散層領域に至るコンタクトホールを形成するとともに、ストッパー膜のオーバーエッチングによって、コンタクトホールの底面をシリコン基板の表面よりリセスする工程と、コンタクトホールの内面を覆うようにして層間絶縁膜の上にポリシリコン膜を形成する工程と、このポリシリコン膜の上に金属膜を形成する工程と、この金属膜の上にバリアメタル膜を形成する工程と、熱処理によって金属膜をシリサイド化して、拡散層領域の上に金属シリサイド層を形成する工程と、コンタクトホールの内部に導電層を埋め込んで、拡散層領域に電気的に接続するコンタクトプラグを形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法に関する。
【0013】
さらに、本願の第3の発明は、シリコン基板の上にゲート絶縁膜を形成する工程と、このゲート絶縁膜の上にゲート電極を形成する工程と、このゲート電極をマスクとしてシリコン基板に不純物をイオン注入し、エクステンション領域を形成する工程と、ゲート電極の側壁部にサイドウォールを形成する工程と、このサイドウォールの形成されたゲート電極をマスクとしてシリコン基板に不純物をイオン注入し、拡散層領域を形成する工程と、シリコン基板と、サイドウォールの形成されたゲート電極との上にストッパー膜を形成する工程と、このストッパー膜の上に層間絶縁膜を形成する工程と、所定のマスクを用いて層間絶縁膜をドライエッチングし、ストッパー膜に至る開口部を形成する工程と、層間絶縁膜をマスクとしたストッパー膜のドライエッチングによって、拡散層領域に至るコンタクトホールを形成するとともに、ストッパー膜のオーバーエッチングによって、コンタクトホールの底面をシリコン基板の表面よりリセスする工程と、コンタクトホールを形成した後のシリコン基板の表面を洗浄する工程と、洗浄後のコンタクトホールの内面を覆うようにして層間絶縁膜の上にポリシリコン膜を形成する工程と、このポリシリコン膜の上に金属膜を形成する工程と、この金属膜の上にバリアメタル膜を形成する工程と、熱処理によって金属膜をシリサイド化して、拡散層領域の上に金属シリサイド層を形成する工程と、コンタクトホールの内部に導電層を埋め込んで、拡散層領域に電気的に接続するコンタクトプラグを形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0014】
以上述べたように、本願発明によれば、コンタクトホールの形成とその後の洗浄工程を終えた後にポリシリコン膜を形成するので、オーバーエッチングおよびシリサイド化によってシリコン基板から消失するシリコンの量を低減することができる。したがって、微細且つ電気的特性に優れた半導体装置を製造することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実施の形態1.
図1〜図11を用いて、本実施の形態にかかる半導体装置の製造方法を説明する。尚、これらの図において、同じ符号を用いた部分は同じものであることを示している。
【0016】
まず、半導体基板として、シリコン基板1を準備する。次に、シリコン基板1の表面に絶縁膜を埋め込んで素子分離領域2を形成した後、n型またはp型の不純物を注入して拡散層3を形成する。その後、ゲート絶縁膜4をシリコン基板1の上に形成して、図1の構造とする。ゲート絶縁膜4としては、例えば、熱酸化法により形成したシリコン酸化膜(SiO膜)を用いることができる。
【0017】
次に、ゲート絶縁膜4の上に、ゲート電極5となるポリシリコン膜を形成する。次いで、フォトリソグラフィ法を用いて、ポリシリコン膜およびゲート絶縁膜4を加工し、図2に示す構造とする。
【0018】
次に、イオン注入法を用いてエクステンション領域6を形成する。例えば、p型拡散層に対しては、ゲート電極5をマスクとしてAs(ヒ素)を注入する。次いで、サイドウォール7となるシリコン窒化膜(SiN膜)を全面に形成した後、反応性イオンエッチングによって、ゲート電極5の側壁部を除いてシリコン窒化膜を除去する。続いて、イオン注入法を用いて拡散層領域8を形成する。例えば、サイドウォール7の形成されたゲート電極5をマスクとして、選択的にp型拡散層の領域にAsをイオン注入する。その後、熱処理による活性化を行うことによって、n型の拡散層領域を形成することができる。例えば、注入エネルギーが10keVである場合、接合の深さは30nm〜40nm程度になる。以上の工程によって、図3に示す構造が得られる。
【0019】
次に、ストッパー膜9としてシリコン窒化膜を形成した後、ストッパー膜9の上に層間絶縁膜10を形成する(図4)。ストッパー膜9を形成することによって、後述するオーバーエッチングによって、高精度にシリコン基板のリセス量を制御することができる。層間絶縁膜10としては、例えば、シリコン酸化膜などを用いることができる。層間絶縁膜10を形成した後は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって表面を平坦化する。尚、ストッパー膜9としてはシリコン窒化膜以外のものを用いることもできるが、層間絶縁膜10とのエッチング選択比の大きい材料からなる膜を使用する。
【0020】
次に、拡散層領域と電気的に接続するコンタクトプラグを形成するために、層間絶縁膜10にコンタクトホール11を設ける(図5)。
【0021】
具体的には、フォトリソグラフィ法を用いて、所定のパターンを有するレジスト膜(図示せず)を層間絶縁膜10の上に形成した後、このレジスト膜をマスクとして層間絶縁膜10をドライエッチングし、ストッパー膜9に至る開口部を設ける。次に、レジスト膜を除去した後、層間絶縁膜10をマスクとしてストッパー膜9をドライエッチングし、シリコン基板1に至るコンタクトホール11を形成する。この際、ストッパー膜9が残存することのないようにオーバーエッチングを行い、シリコン基板1が表面に完全に露出するようにする。
【0022】
ストッパー膜9のオーバーエッチングによって、図5に示すように、コンタクトホール11の底面は、シリコン基板1の表面から数nm〜数十nm程度リセスする。
【0023】
コンタクトホール11の形成を終えた後は、エッチング残渣などを除去するための洗浄を行う。具体的には、バッファードフッ酸などの薬液を用いて表面をウェットエッチングする。すると、ストッパー膜9のオーバーエッチングと、洗浄工程での等方的なウェットエッチングとによって、コンタクトホール11の底部には、図6に示すようにサイドエッチングが入る。
【0024】
本実施の形態においては、図6のコンタクトホール11の内面および層間絶縁膜10の上に、ポリシリコン膜12を堆積することを特徴としている。ここで、ポリシリコン膜12の膜厚は、コンタクトホール11の底面がシリコン基板1の表面に対してリセスした深さより大きくなるようにする。例えば、リセスした深さをストッパー膜9の膜厚と同程度(50Å〜200Å)とすると、ポリシリコン膜12の膜厚はストッパー膜9の膜厚より大きくなるようにする。このようにすることによって、図7に示すように、シリコン基板1のオーバーエッチングにより消失した部分をポリシリコン膜12で完全に補充することができる。
【0025】
また、ポリシリコン膜12の膜厚は、後工程で行うシリサイド化によって消費されるシリコンの厚さより小さくなるようにする。これによって、シリサイド化の後に、未反応のポリシリコン膜12が残存しなくなる。
【0026】
例えば、TiSiを形成する際に消費されるSiの量は、Tiを1とすると2.27程度である。したがって、膜厚300Å程度のチタン膜を成膜すると、シリサイド化で消費されるシリコンの膜厚は600Å以上になる。また、CoSiを形成する際に消費されるSiの量は、Coを1とすると3.64程度である。したがって、膜厚300Å程度のコバルト膜を成膜すると、シリサイド化で消費されるシリコンの量は950Å以上になる。
【0027】
シリサイド化で消費されるシリコンの厚さは、一般に、コンタクトホール11の底面がリセスした深さよりも大きい。したがって、シリサイド化の後に未反応のポリシリコン膜12が残存することのないように、ポリシリコン膜12の膜厚をシリサイド化で消費されるシリコンの厚さより小さいものとした上で、このシリコンの厚さに略等しい膜厚のポリシリコン膜を成膜すれば、図6でオーバーエッチングされた部分のシリコン基板を補完できるとともに、シリサイド化によって消費されるシリコン基板1の一部にポリシリコン膜12を充てることができる。換言すると、シリサイド化で消費されるシリコン基板1の厚さを、ポリシリコン膜12を設けない場合に消費されるシリコン基板1の一部に留めることが可能となる。
【0028】
例えば、シリサイド化によって消費されるシリコンの厚さをaとし、コンタクトホールの底面がシリコン基板の表面に対してリセスした深さをbとすると、これらの間にはa>bの関係がある。従来法によれば、シリサイド化で消費されるシリコンはシリコン基板のみから供給されていたので、シリサイド化後に消失するシリコン基板の厚さは(a+b)であった。一方、本実施の形態によれば、膜厚c(但し、a>c>b)のポリシリコン膜を設けることによって、オーバーエッチングにより消失したシリコン基板をポリシリコン膜で完全に補うことができるとともに、シリサイド化で消費されるシリコン基板の厚さを(a−c)に留めることが可能となる。ここで、(a−c)は300Å以下となるようにすることが好ましい。これにより、拡散層領域の接合がより浅くなった場合であっても電気的特性に優れた半導体装置を製造することが可能になる。
【0029】
ポリシリコン膜12を形成した後は、接続する拡散層領域8と同じ極性を持つイオン種をポリシリコン膜12およびシリコン基板1にイオン注入する(図8)。その後、注入したイオン種を活性化するための熱処理を行う。これにより、コンタクト抵抗および接合リーク電流を低減することが可能となる。
【0030】
但し、ポリシリコン膜12として、コンタクトホール11が接合する拡散層領域8と同じ極性のイオン種がドープされたものを使用する場合には、上記のイオン注入工程は不要である。この場合、ポリシリコン膜12を形成した後に熱処理を行い、ドープされているイオン種をシリコン基板1に拡散させることによって、同様にコンタクト抵抗および接合リーク電流を低減することが可能となる。
【0031】
尚、本実施の形態においては、シリサイド化反応によってポリシリコン膜12は全て消費されるので、成膜後のポリシリコン膜12はドープおよびアンドープのいずれであってもよい。
【0032】
次に、金属シリサイド膜を形成するために、Tiなどの金属膜13と、TiNなどのバリアメタル膜14とをこの順にCVD(Chemical Vapor Deposition)法で形成する(図9)。本実施の形態によれば、ポリシリコン膜12によってオーバーエッチングされた部分を被覆しているので、バリアメタル膜14を均一な膜厚で成膜することができる。
【0033】
次に、数百度程度の温度で熱処理を行い、金属膜13をポリシリコン膜12およびシリコン基板1と反応させて、図10に示す金属シリサイド層15を形成する。金属膜13としてTi膜を形成した場合には、金属シリサイド層15としてTiSi層が形成される。また、金属膜13としてCo(コバルト)膜を形成した場合には、金属シリサイド層15としてCoSi層が形成される。本実施の形態によれば、シリコン基板1の消費を従来より少なくすることができるので、シリコン基板1の浅いところでコンタクトホール11とシリコン基板1とを接合することが可能になる。
【0034】
尚、図10(a)では、コンタクトホール11の側壁部に、金属シリサイド層15とバリアメタル膜14が形成されている。一方、金属膜13およびバリアメタル膜14をスパッタ法で形成した場合には、これらは側壁部に薄い膜厚で成膜されるので、未反応のポリシリコン膜12が側壁部に残存して図10(b)のようになる。本実施の形態においてはいずれの構造であってもよいが、スパッタ法ではバリアメタル膜14が側壁部で局所的に薄くなるおそれがあるので、CVD法による方が好ましい。
【0035】
シリサイド化反応を終えた後は、コンタクトホール11の内部を埋め込むようにして、Wなどの導電層16を形成する。その後、CMP法を用いて、不要の導電層16およびバリアメタル膜14などを除去してコンタクトプラグを形成する。続いて、アルミニウムなどの金属配線17を形成することによって、図11の構造を得ることができる。
【0036】
本実施の形態によれば、コンタクトホールの形成とその後の洗浄工程を終えた後に、ポリシリコン膜を形成するので、オーバーエッチングおよびシリサイド化によってシリコン基板から消失するシリコンの量を低減することができる。したがって、シリコン基板の浅いところでコンタクトホールがシリコン基板と接合できるので、コンタクトの接触抵抗を低く保てるとともに、シリコン基板の縦方向における接合リークを抑制することが可能になる。また、シリコン基板へのオーバーエッチングや、洗浄工程でのウェットエッチングによってサイドエッチングが生じた部分をポリシリコン膜で被覆するので、バリアメタル膜が局所的に薄くなることがなく、所望の膜厚で形成することができる。したがって、WF中のFとSiとの反応を抑制してシリコン基板に欠陥が発生するのを防ぐことが可能になる。さらに、サイドエッチングが生じた部分をポリシリコン膜で被覆するので、シリコン基板の横方向に接合リークが起こるのを防ぐこともできる。
【0037】
実施の形態2.
図12〜図22を用いて、本実施の形態にかかる半導体装置の製造方法を説明する。尚、これらの図において、同じ符号を用いた部分は同じものであることを示している。
【0038】
半導体基板として、シリコン基板21を準備する。次に、シリコン基板21の表面に絶縁膜を埋め込んで素子分離領域22を形成した後、n型またはp型の不純物を注入して拡散層23を形成する。その後、ゲート絶縁膜24をシリコン基板21の上に形成して、図12の構造とする。ゲート絶縁膜24としては、例えば、熱酸化法により形成したシリコン酸化膜(SiO膜)を用いることができる。
【0039】
次に、ゲート絶縁膜24の上に、ゲート電極25となるポリシリコン膜を形成する。次いで、フォトリソグラフィ法を用いて、ポリシリコン膜およびゲート絶縁膜24を加工し、図13に示す構造とする。
【0040】
次に、イオン注入法を用いてエクステンション領域26を形成する。例えば、p型拡散層に対しては、ゲート電極25をマスクとしてAs(ヒ素)を注入する。次いで、サイドウォール27となるシリコン窒化膜(SiON膜)を全面に形成した後、反応性イオンエッチングによって、ゲート電極25の側壁部を除いてシリコン窒化膜を除去する。続いて、イオン注入法を用いて拡散層領域28を形成する。例えば、サイドウォール27の形成されたゲート電極25をマスクとして、選択的にp型拡散層の領域にAsをイオン注入する。その後、熱処理による活性化を行うことによって、n型の拡散層領域を形成することができる。例えば、注入エネルギーが10keVである場合、接合の深さは30nm〜40nm程度になる。以上の工程によって、図14に示す構造が得られる。
【0041】
次に、ストッパー膜29としてシリコン窒化膜を形成した後、ストッパー膜29の上に層間絶縁膜30を形成する(図15)。層間絶縁膜30としては、例えば、シリコン酸化膜などを用いることができる。層間絶縁膜30を形成した後は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって表面を平坦化する。尚、ストッパー膜29としてはシリコン窒化膜以外のものを用いることもできるが、層間絶縁膜30とのエッチング選択比の大きい材料からなる膜を使用する。
【0042】
次に、拡散層領域28と電気的に接続するコンタクトプラグを形成するために、層間絶縁膜30にコンタクトホールを設ける。
【0043】
具体的には、フォトリソグラフィ法を用いて、所定のパターンを有するレジスト膜(図示せず)を層間絶縁膜30の上に形成した後、このレジスト膜をマスクとして層間絶縁膜30をドライエッチングし、ストッパー膜29に至る開口部を設ける。次に、レジスト膜を除去した後、層間絶縁膜30をマスクとしてストッパー膜29をドライエッチングし、シリコン基板21に至るコンタクトホール31を形成する(図16)。この際、ストッパー膜29が残存することのないようにオーバーエッチングを行い、シリコン基板21が完全に表面に露出するようにする。
【0044】
ストッパー膜29のオーバーエッチングによって、図16に示すように、コンタクトホール31の底面は、シリコン基板21の表面から数nm〜数十nm程度リセスする。
【0045】
コンタクトホール31の形成を終えた後は、エッチング残渣などを除去するための洗浄を行う。具体的には、バッファードフッ酸などの薬液を用いて表面をウェットエッチングする。これにより、ストッパー膜29のオーバーエッチングと、洗浄工程での等方的なウェットエッチングとによって、コンタクトホール31の底部には、図17に示すようにサイドエッチングが入る。
【0046】
次に、図17のコンタクトホール31の内面および層間絶縁膜30の上に、ポリシリコン膜32を堆積する。本実施の形態においては、ポリシリコン膜32の膜厚を、後工程で行うシリサイド化によって消費されるシリコンの厚さより大きくなるようにすることを特徴としている。このようにすることによって、図18に示すように、オーバーエッチングされた部分をポリシリコン膜32で完全に被覆することができる。
【0047】
本実施の形態においては、ポリシリコン膜32がシリサイド化後も残存するので、後工程で形成する導電層36はポリシリコン膜32と接合する。したがって、実施の形態1と異なり、ポリシリコン膜32に不純物がドープされていることを必要とする。具体的には、ポリシリコン膜32としてアンドープトポリシリコンを用いる場合には、ポリシリコン膜32の形成後に、接続する拡散層領域28と同じ極性のイオン種をポリシリコン膜32およびシリコン基板21にイオン注入する(図19)。その後、ドープされたイオン種を活性化するための熱処理を行う。これにより、コンタクト抵抗および接合リーク電流を低減することが可能となる。
【0048】
尚、ポリシリコン膜32として、コンタクトホール31が接合する拡散層領域28と同じ極性のイオン種がドープされたものを使用する場合には、上記のイオン注入工程は不要である。この場合、ポリシリコン膜32を形成した後に熱処理を行い、ドープされているイオン種をシリコン基板21に拡散させることによって、同様にコンタクト抵抗および接合リーク電流を低減することが可能となる。
【0049】
次に、金属シリサイド膜を形成するために、Tiなどの金属膜33と、TiNなどのバリアメタル膜34とをこの順にCVD(Chemical Vapor Deposition)法で形成する(図20)。本実施の形態によれば、ポリシリコン膜32によってサイドエッチングが生じた部分を被覆しているので、バリアメタル膜34を均一な膜厚で成膜することができる。
【0050】
次に、数百度程度の温度で熱処理を行い、金属膜33をポリシリコン膜32と反応させて、図21に示す金属シリサイド層35を形成する。金属膜33としてTi膜を形成した場合には、金属シリサイド層35としてTiSi層が形成される。また、金属膜33としてCo(コバルト)膜を形成した場合には、金属シリサイド層35としてCoSi層が形成される。本実施の形態においては、ポリシリコン膜32の膜厚が、シリサイド化によって消費されるシリコンの厚さより大きくなるようにしているので、金属シリサイド層35の下に未反応のポリシリコン膜32が残存する。
【0051】
尚、図21では、コンタクトホール31の側壁部に、ポリシリコン膜32、金属シリサイド層35およびバリアメタル膜34が形成されている。一方、金属膜33およびバリアメタル膜34をスパッタ法で形成した場合には、これらは側壁部に薄い膜厚で成膜されるので、図21の例より多くの未反応のポリシリコン膜32が側壁部に残存する。本実施の形態においてはいずれの構造であってもよいが、スパッタ法ではバリアメタル膜34が側壁部で局所的に薄くなるおそれがあるので、CVD法による方が好ましい。
【0052】
シリサイド化反応を終えた後は、コンタクトホール31の内部を埋め込むようにして、Wなどの導電層36を形成する。その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて、不要の導電層36およびバリアメタル膜34などを除去してコンタクトプラグを形成する。続いて、アルミニウムなどの金属配線37を形成することによって、図22の構造を得ることができる。
【0053】
本実施の形態によれば、シリサイド化によって消費されるシリコンの厚さ以上の膜厚でポリシリコン膜を形成するので、シリコン基板のオーバーエッチングされた部分を補完できるとともに、シリサイド化によって消費されるシリコンの全てをポリシリコン膜によって賄うことができる。また、コンタクトホールは、残存したポリシリコン膜と接合することになるので、シリコン基板の縦方向における接合リークを抑制することが可能になる。また、シリコン基板へのオーバーエッチングや、洗浄工程でのウェットエッチングによってサイドエッチングが生じた部分をポリシリコン膜で被覆するので、バリアメタル膜を所望の膜厚で形成することができる。したがって、WF中のFとSiとの反応を抑制してシリコン基板に欠陥が発生するのを防ぐことが可能になる。さらに、サイドエッチングが生じた部分をポリシリコン膜で被覆するので、シリコン基板の横方向に接合リークが起こるのを防ぐこともできる。
【0054】
尚、本実施の形態においては、金属シリサイド層の下にポリシリコン膜が残存するので、実施の形態1に比較して抵抗が大きくなる。しかしながら、コンタクトホールの側壁部に形成されるポリシリコン膜の膜厚は実施の形態1よりも大きくなるので、側壁に未反応のTiが残留することがない。また、仮にバリアメタル膜に膜厚の薄い部分があっても、WF中のFとTiとの反応によって起こり、ホール側壁部の体積膨張に起因するバリアメタル膜の剥がれを、より効果的に抑制することが可能となる。特に、バリアメタル膜をスパッタ法で形成した場合には、コンタクトホールの側壁部におけるバリアメタル膜の膜厚が、CVD法により形成した場合に比較して薄くなるものの、未反応のTiが残留するおそれはさらに低くなるので上記問題を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図2】実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図3】実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図4】実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図5】実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図6】実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図7】実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図8】実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図9】実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図10】実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法を説明する図であり、(a)は金属膜およびバリアメタル膜をCVD法で形成した場合、(b)はこれらの膜をスパッタ法で形成した場合である。
【図11】実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図12】実施の形態2にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図13】実施の形態2にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図14】実施の形態2にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図15】実施の形態2にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図16】実施の形態2にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図17】実施の形態2にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図18】実施の形態2にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図19】実施の形態2にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図20】実施の形態2にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図21】実施の形態2にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図22】実施の形態2にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0056】
1,21 シリコン基板
2,22 素子分離領域
3,23 拡散層
4,24 ゲート絶縁膜
5,25 ゲート電極
6,26 エクステンション領域
7,27 サイドウォール
8,28 拡散層領域
9,29 ストッパー膜
10,30 層間絶縁膜
11,31 コンタクトホール
12,32 ポリシリコン膜
13,33 金属膜
14,34 バリアメタル膜
15,35 金属シリサイド層
16,36 導電層
17,37 金属配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板に不純物をイオン注入して拡散層領域を形成する工程と、
前記シリコン基板の上に層間絶縁膜を形成する工程と、
所定のマスクを用いて前記層間絶縁膜をドライエッチングし、前記拡散層領域に至るコンタクトホールを形成するとともに、前記層間絶縁膜のオーバーエッチングによって、該コンタクトホールの底面を前記シリコン基板の表面よりリセスする工程と、
前記コンタクトホールの内面を覆うようにして前記層間絶縁膜の上にポリシリコン膜を形成する工程と、
前記ポリシリコン膜の上に金属膜を形成する工程と、
前記金属膜の上にバリアメタル膜を形成する工程と、
熱処理によって前記金属膜をシリサイド化して、前記拡散層領域の上に金属シリサイド層を形成する工程と、
前記コンタクトホールの内部に導電層を埋め込んで、前記拡散層領域に電気的に接続するコンタクトプラグを形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
シリコン基板に不純物をイオン注入して拡散層領域を形成する工程と、
前記シリコン基板の上にストッパー膜を形成する工程と、
前記ストッパー膜の上に層間絶縁膜を形成する工程と、
所定のマスクを用いて前記層間絶縁膜をドライエッチングし、前記ストッパー膜に至る開口部を形成する工程と、
前記層間絶縁膜をマスクとした前記ストッパー膜のドライエッチングによって、前記拡散層領域に至るコンタクトホールを形成するとともに、前記ストッパー膜のオーバーエッチングによって、該コンタクトホールの底面を前記シリコン基板の表面よりリセスする工程と、
前記コンタクトホールの内面を覆うようにして前記層間絶縁膜の上にポリシリコン膜を形成する工程と、
前記ポリシリコン膜の上に金属膜を形成する工程と、
前記金属膜の上にバリアメタル膜を形成する工程と、
熱処理によって前記金属膜をシリサイド化して、前記拡散層領域の上に金属シリサイド層を形成する工程と、
前記コンタクトホールの内部に導電層を埋め込んで、前記拡散層領域に電気的に接続するコンタクトプラグを形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
シリコン基板の上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜の上にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極をマスクとして前記シリコン基板に不純物をイオン注入し、エクステンション領域を形成する工程と、
前記ゲート電極の側壁部にサイドウォールを形成する工程と、
前記サイドウォールの形成された前記ゲート電極をマスクとして前記シリコン基板に不純物をイオン注入し、拡散層領域を形成する工程と、
前記シリコン基板と、前記サイドウォールの形成された前記ゲート電極との上にストッパー膜を形成する工程と、
前記ストッパー膜の上に層間絶縁膜を形成する工程と、
所定のマスクを用いて前記層間絶縁膜をドライエッチングし、前記ストッパー膜に至る開口部を形成する工程と、
前記層間絶縁膜をマスクとした前記ストッパー膜のドライエッチングによって、前記拡散層領域に至るコンタクトホールを形成するとともに、前記ストッパー膜のオーバーエッチングによって、該コンタクトホールの底面を前記シリコン基板の表面よりリセスする工程と、
前記コンタクトホールを形成した後の前記シリコン基板の表面を洗浄する工程と、
前記洗浄後の前記コンタクトホールの内面を覆うようにして前記層間絶縁膜の上にポリシリコン膜を形成する工程と、
前記ポリシリコン膜の上に金属膜を形成する工程と、
前記金属膜の上にバリアメタル膜を形成する工程と、
熱処理によって前記金属膜をシリサイド化して、前記拡散層領域の上に金属シリサイド層を形成する工程と、
前記コンタクトホールの内部に導電層を埋め込んで、前記拡散層領域に電気的に接続するコンタクトプラグを形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記ポリシリコン膜を形成する工程は、ノンドープトポリシリコン膜を形成する工程であって、
該ノンドープトポリシリコン膜を形成する工程の後に、前記拡散層領域と同じ極性のイオン種を、前記ノンドープトポリシリコン膜および該ノンドープトポリシリコン膜の下にある前記シリコン基板とに注入する工程と、
注入した前記イオン種を熱処理によって活性化させる工程とをさらに有する請求項1〜3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記ポリシリコン膜を形成する工程は、前記拡散層領域と同じ極性のイオン種を含むドープトポリシリコン膜を形成する工程であって、
該ドープトポリシリコン膜を形成する工程の後に、熱処理によって、前記イオン種を前記ドープトポリシリコン膜の下にある前記シリコン基板に拡散させる工程をさらに有する請求項1〜3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記ポリシリコン膜の膜厚は、前記コンタクトホールの底面が前記シリコン基板の表面に対してリセスした深さより大きい請求項1〜5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記ポリシリコン膜の膜厚は、前記金属膜のシリサイド化で消費されるシリコンの厚さより小さく、
前記金属シリサイド層を形成する工程は、前記金属膜が前記ポリシリコン膜および前記シリコン基板と反応する工程である請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記金属膜と反応する前記シリコン基板の厚さは300Å以下である請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記ポリシリコン膜の膜厚は、前記金属膜のシリサイド化で消費されるシリコンの厚さより大きく、
前記金属シリサイド層を形成する工程は、前記金属膜が前記ポリシリコン膜の一部と反応する工程である請求項6に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−108452(P2006−108452A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−294207(P2004−294207)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】