説明

半導体装置の製造方法

【課題】ゲート電極断線の確率を下げる。
【解決手段】半導体装置1の製造方法は、シリコン基板2の主面に絶縁体ピラー6を形成する工程と、絶縁体ピラー6の側面に保護膜12を形成する工程と、シリコン基板2の主面にシリコンピラー4を形成する工程と、シリコンピラー4の側面にゲート絶縁膜10を形成する工程と、それぞれシリコンピラー4及び絶縁体ピラー6の側面を覆い、互いに接する第1及び第2のゲート電極11,13を形成する工程とを備える。本製造方法によれば、ダミーピラーとしての絶縁体ピラー6の側面に保護膜12を形成しているので、チャネル用のシリコンピラー4をトランジスタとして加工する際にダミーピラーが削られてしまうことが防止される。したがって、ゲート電極断線の確率を下げることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特にトランジスタのゲート電極を横方向に延長するためのダミーピラーをシリコン酸化膜によって構成する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置、特にメモリデバイスのチップサイズは、低コストの観点から年々縮小されている。これに応じ、DRAM(Dynamic Random Access Memory)では、セルトランジスタ用として4F構造を有する縦型トランジスタの採用が進められている。周辺回路のトランジスタ用としては、セルトランジスタほど縮小化の要請がないことから、従来のプレーナー型トランジスタが引き続き採用されているが、セルと周辺回路とでトランジスタの構造が異なると工程数が大幅に増大してしまうことから、最近では、周辺回路のトランジスタにも4F構造を有する縦型トランジスタの採用することが検討されている(特許文献1参照)。
【0003】
周辺回路に設置される縦型トランジスタでは、特許文献1に記載されているように、近接する2本のシリコンピラーが用いられる。一方のシリコンピラーはチャネルとして用いられるもので、上部及び下部それぞれに不純物拡散層が設けられ、側面はゲート絶縁膜を介してゲート電極に覆われている。他方のシリコンピラーは、ゲート電極の長さを横方向に延長するためのダミーピラーであり、延長された部分を利用してゲートコンタクトプラグが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−288391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、ダミーピラーをシリコン酸化膜などの絶縁膜で形成する技術が考案されている。この技術は、シリコン基板とゲートコンタクトプラグのショート防止を目的とするもので、その点ではよく機能する。しかし一方で、この技術には、ゲート電極断線の確率が大きいという問題がある。
【0006】
ダミーピラーをシリコン酸化膜で構成する場合を例に取って詳しく説明すると、チャネル用のシリコンピラーをトランジスタとして加工する際の工程には、シリコン酸化膜のウエットエッチングやリン酸やフッ酸による洗浄(酸洗浄)といった、シリコン酸化膜を意図的又は偶発的に浸食する工程が含まれる。ダミーピラーがシリコン酸化膜で形成されていると、これらの工程によってダミーピラーが浸食されてしまう。その結果、ダミーピラーの径が細くなってシリコンピラーの表面とダミーピラーの表面との間の距離が増し、それぞれの側面を覆うゲート電極が十分に一体化できなくなってしまうのである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による半導体装置の製造方法は、シリコン基板の主面に絶縁体ピラーを形成する工程と、前記絶縁体ピラーの側面に保護膜を形成する工程と、前記シリコン基板の主面にシリコンピラーを形成する工程と、前記シリコンピラーの側面にゲート絶縁膜を形成する工程と、それぞれ前記シリコンピラー及び前記絶縁体ピラーの側面を覆い、互いに接する第1及び第2のゲート電極を形成する工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ダミーピラーとしての絶縁体ピラーの側面に保護膜を形成しているので、チャネル用のシリコンピラーをトランジスタとして加工する際にダミーピラーが浸食されてしまうことが防止される。したがって、ゲート電極断線の確率を下げることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態による半導体装置の製造方法によって製造された半導体装置1の構造を示す図であり、(a)は略上面図、(b)は(a)のA−A'線断面に対応する略断面図である。
【図2】本発明の実施の形態による半導体装置1の製造方法を説明するための工程図である。
【図3】本発明の実施の形態による半導体装置1の製造方法を説明するための工程図である。
【図4】本発明の実施の形態による半導体装置1の製造方法を説明するための工程図である。
【図5】本発明の実施の形態による半導体装置1の製造方法を説明するための工程図である。
【図6】本発明の実施の形態による半導体装置1の製造方法を説明するための工程図である。
【図7】本発明の実施の形態による半導体装置1の製造方法を説明するための工程図である。
【図8】本発明の実施の形態による半導体装置1の製造方法を説明するための工程図である。
【図9】本発明の実施の形態による半導体装置1の製造方法を説明するための工程図である。
【図10】本発明の比較例による半導体装置1の製造途中における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態による半導体装置の製造方法によって製造された半導体装置1の構造を示す図であり、(a)は略上面図、(b)は(a)のA−A'線断面に対応する略断面図である。図1(a)では、半導体装置1の構成要素の一部を透過的に現している。
【0012】
図1(a)及び(b)に示すように、半導体装置1は、シリコン基板2と、シリコン基板2の表面に設けられた一次シリコンピラー3と、一次シリコンピラー3の上面に設けられた二次シリコンピラー4と、一次シリコンピラー3の周囲に設けられた素子分離領域(STI領域)5と、STI領域5の上面に設けられたシリコン酸化膜ピラー6(絶縁体ピラー)とを備えている。各ピラーはいずれも、シリコン基板2の主面に対して垂直に設けられている。
【0013】
図1(a)及び(b)には、DRAMの周辺回路に用いられる縦型MOS(Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタを示している。二次シリコンピラー4はこの縦型MOSトランジスタのチャネルを構成し、シリコン酸化膜ピラー6は、このMOSトランジスタのゲート電極を横方向に延長するためのダミーピラーを構成する。STI領域5は、STI法(Shallow Trench Isolation法)によって活性領域を区画するために設けられており、シリコン酸化膜によって構成される。
【0014】
二次シリコンピラー4の側面はゲート絶縁膜10で覆われており、このゲート絶縁膜10のさらに外側は第1のゲート電極11で覆われている。一方、シリコン酸化膜ピラー6の側面は保護膜12で覆われており、このゲート絶縁膜10のさらに外側は第2のゲート電極13で覆われている。第1のゲート電極11と第2のゲート電極13とは二次シリコンピラー4とシリコン酸化膜ピラー6の間の領域で接して一体化しており、MOSトランジスタのゲート電極を構成している。保護膜12の詳細については、後に詳しく説明する。
【0015】
二次シリコンピラー4の上面には、保護用の薄いシリコン酸化膜14を介してシリコン窒化膜15が設けられている。シリコン窒化膜15はシリコン酸化膜ピラー6の上面にも設けられ、シリコン酸化膜ピラー6の上面全体を覆っている。このシリコン窒化膜15は、二次シリコンピラー4及びシリコン酸化膜ピラー6を形成する際にハードマスクとして用いるシリコン窒化膜が残留しているものである。
【0016】
二次シリコンピラー4上面のシリコン酸化膜14及びシリコン窒化膜15には二次シリコンピラー4の上面を露出させるスルーホールが設けられており、このスルーホールの内部には、二次シリコンピラー4の上部と接する上部拡散層16が形成されている。上部拡散層16は、二次シリコンピラー4の上面にシリコンを選択的エピタキシャル成長させ、その内部にシリコン基板2中の不純物と反対の導電型を有する不純物をイオン注入することによって形成される。
【0017】
二次シリコンピラー4周辺の一次シリコンピラー3の上面には、二次シリコンピラー4の下部と接する下部拡散層17が形成されている。下部拡散層17は、二次シリコンピラー4周辺の一次シリコンピラー3の上面に形成されたシリコン酸化膜18を介して、シリコン基板2中の不純物とは反対の導電型を有する不純物をイオン注入することによって形成される。
【0018】
二次シリコンピラー4、シリコン酸化膜ピラー6、並びに第1及び第2のゲート電極11,13は、シリコン酸化膜20,21からなる層間絶縁膜で覆われている。この層間絶縁膜には3つのコンタクトホール20a〜20cが設けられており、それぞれの底面には第2のゲート電極13、上部拡散層16、及び下部拡散層17が露出している。コンタクトプラグ20a〜20cの内部には導電材料が埋め込まれており、それぞれゲートコンタクトプラグ22a、上部拡散層コンタクトプラグ22b、下部拡散層コンタクトプラグ22cを構成している。
【0019】
以上の構造により、上部拡散層16はMOSトランジスタのソース及びドレインの一方として機能し、下部拡散層17はMOSトランジスタのソース及びドレインの他方として機能する。MOSトランジスタのチャネルは、上部拡散層16と下部拡散層17の間に位置する二次シリコンピラー4の内部に形成される。トランジスタのゲート/ソース/ドレインは、コンタクトプラグ22a〜22cによって図示しない上層の配線パターンに引き出される。
【0020】
縦型MOSトランジスタのオンオフ制御は、ゲートコンタクトプラグ22a及び第2のゲート電極13を通じて第1のゲート電極11に与える電界により行われる。ゲートコンタクトプラグ22aに縦型MOSトランジスタの閾値電圧以上の電圧を与えると、二次シリコンピラー4内にチャネルが形成されて上部拡散層16と下部拡散層17とが電気的に接続され、縦型MOSトランジスタはオン状態となる。一方、ゲートコンタクトプラグ22aにMOSトランジスタの閾値未満の電圧を与えると、二次シリコンピラー4内のチャネルが消滅して上部拡散層16と下部拡散層17とが電気的に切り離され、縦型MOSトランジスタはオフ状態となる。
【0021】
次に、保護膜12について詳しく説明する。保護膜12は、シリコン酸化膜とはエッチング条件の異なる膜である。具体的には、シリコン酸化膜に比べてリン酸やフッ酸による浸食に強く(浸食の度合いが小さく)、かつ、シリコン酸化膜のウエットエッチングによっても削られない材料(シリコン酸化膜のウエットエッチングに対するエッチングレートがシリコン酸化膜に比べて小さい材料)によって保護膜12を構成することが好ましい。このような材料として具体的には、シリコン窒化膜などシリコン酸化膜以外の絶縁膜や、ポリシリコン又はタングステンなどの導電膜が挙げられる。
【0022】
詳しくは後述するが、半導体装置1の製造工程には、意図的又は偶発的にシリコン酸化膜を浸食する工程が含まれる。意図的な浸食の例としてはシリコン酸化膜のウエットエッチングが挙げられ、偶発的な浸食の例としてはリン酸やフッ酸による洗浄(酸洗浄)が挙げられる。従来の半導体装置では、これらの工程でダミーピラーとしてのシリコン酸化膜ピラーが浸食されてしまい、結果として第1のゲート電極11と第2のゲート電極13とが接触しなくなり、ゲート電極が断線してしまうことがあった。これに対して半導体装置1では、シリコン酸化膜ピラー6の側面を保護膜12で覆っていることから上記工程におけるシリコン酸化膜ピラー6の浸食が防止されており、したがって、ゲート電極断線の確率が小さくなっている。
【0023】
以下、本実施の形態による半導体装置1の製造方法について詳細に説明する。
【0024】
図2〜図9は、本実施の形態による半導体装置1の製造方法を説明するための工程図である。各図は、図1(a)のA−A'線断面に対応する半導体装置1の略断面図である。
【0025】
半導体装置1の製造では、まずシリコン基板2を用意し、このシリコン基板2の主面に、図2に示す一次シリコンピラー3を形成する。一次シリコンピラー3の高さは300nm程度とすることが好ましい。
【0026】
一次シリコンピラー3の形成は、シリコン基板2の主面のうち一次シリコンピラー3の形成領域以外の領域をドライエッチングによって切削することにより行う。このときのエッチング条件は、一次シリコンピラー3の側面がテーパ状になるように設定する。テーパの角度θ(一次シリコンピラー3の側面と水平面とがなす角)は、後述する保護膜12の異方性エッチバックで、一次シリコンピラー3側面の保護膜12が十分に除去される程度に設定する。具体的には、角度θを85°以上88°以下とすることが好ましい。なお、角度θの下限値85°は、ダミーピラーをシリコン酸化膜によって構成した本来の主旨、すなわちシリコン基板2とゲートコンタクトプラグ22aのショート防止の観点から決定されたものである。このような角度θを実現するためのエッチング条件としては、例えばCI系ガスによるプラズマエッチングとすることが好適である。
【0027】
次に、シリコン基板2の全面に薄いシリコン酸化膜を約1000℃の熱酸化により形成し、その後、シリコン基板2の全面に400〜500nmの厚みを有するシリコン酸化膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって堆積させる。そして、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により表面を平坦化し、シリコン酸化膜の上面高さを一次シリコンピラー3の上面に揃える。ここまでの工程で、図2に示すように、一次シリコンピラー3の周囲に、シリコン酸化膜(絶縁膜)からなるSTI領域5が形成される。
【0028】
次に、シリコン基板2の全面に保護用のシリコン酸化膜14を薄く成膜し、その上面にシリコン窒化膜15を形成する。特に限定されるものではないが、シリコン酸化膜14及びシリコン窒化膜15はCVD法で形成することができ、シリコン酸化膜14の膜厚は約5nm、シリコン窒化膜15の膜厚は約120nmであることが好ましい。
【0029】
さらに、シリコン酸化膜14及びシリコン窒化膜15をパターニングし、二次シリコンピラー4及びシリコン酸化膜ピラー6の形成領域以外の領域にあるこれらの膜を除去する(図3)。そして、シリコン窒化膜15をマスクパターンとしてシリコン酸化膜を選択的にエッチングすることにより、図3に示すように、シリコン酸化膜ピラー6を形成する。
【0030】
シリコン酸化膜ピラー6の側面の水平面に対する傾きは、可能な限り垂直に近づけることが好ましい。これは、後述する保護膜12の異方性エッチバックで、シリコン酸化膜ピラー6の側面に形成された保護膜12が除去されないようにするためである。また、シリコン酸化膜ピラー6の高さは100nm程度とすることが好ましい。さらに、ここで形成するシリコン酸化膜ピラー6と、後に形成する二次シリコンピラー4との間の距離は、表面間の最短距離で50μm程度とすることが好ましい。この距離は、後に形成する第1及び第2のゲート電極11,13の膜厚を考慮し、これらが十分に一体化する程度に設定される。
【0031】
次に、図4に示すように、シリコン基板2の全面に保護膜12を成膜する。保護膜12の成膜量は、シリコン酸化膜ピラー6の側面に形成された部分の膜厚が5nm程度となるように設定することが好ましい。保護膜12の構成材料は、上述したようにシリコン酸化膜とはエッチング条件の異なる膜であり、具体的にはシリコン窒化膜などの絶縁膜やポリシリコンなどの導電膜である。
【0032】
次に、ドライエッチングにより保護膜12に異方性エッチバックを施すことで、平坦部に形成された保護膜12を除去する。これにより、図5に示すように、サイドウォール状の保護膜12が形成される。半導体装置1では、一次シリコンピラー3の側面をテーパ状に加工しているので、このとき一次シリコンピラー3の側面に保護膜12が残留することはない。図10は、半導体装置1の比較例であり、一次シリコンピラー3を形成する際に、その側面を垂直(θ=90°)とした例を示している。同図に示すように、一次シリコンピラー3の側面をテーパ状としなければ、一次シリコンピラー3の側面にも保護膜12が残留することになる。
【0033】
次に、シリコン窒化膜15をマスクパターンとしてシリコンを選択的にエッチングすることにより、二次シリコンピラー4を形成する(図6)。二次シリコンピラー4の下面の位置は、シリコン酸化膜ピラー6と同じ程度とすることが好ましい。なお、本実施の形態によれば、このときのエッチング条件を適切に設定することで図6に示すように垂直な側面を有する二次シリコンピラー4を形成することも可能となるが、図10に示した比較例のように一次シリコンピラー3の側面にも保護膜12が残留していると、エッチャントがうまく回らないため、二次シリコンピラー4の側面を垂直とすることが難しくなる。
【0034】
二次シリコンピラー4を形成したら、リン酸又はフッ酸を用いてシリコン基板2の全体を洗浄し、エッチング残渣などの異物を除去する(不図示)。リン酸やフッ酸はシリコン酸化膜を浸食する性質を有するが、半導体装置1ではシリコン酸化膜ピラー6の側面に保護膜12が設けられているので、この酸洗浄によりシリコン酸化膜ピラー6が浸食されてしまうことはない。
【0035】
次に、図7に示すように、二次シリコンピラー4の側面に保護用のシリコン酸化膜30を形成する。シリコン酸化膜30の具体的な形成方法としては、CVD法及び異方性エッチバックを用いてもよいし、熱酸化及び異方性エッチバックを用いてもよい。CVD法を用いる場合には、図7に示すように、シリコン酸化膜ピラー6の側面にもシリコン酸化膜30が形成される。
【0036】
さらに、CVD法によりシリコン基板2の全面にシリコン窒化膜を成膜し、異方性エッチバックを行うことによって、二次シリコンピラー4及びシリコン酸化膜ピラー6の各側面にシリコン窒化膜からなるサイドウォール絶縁膜31を形成する(図7)。
【0037】
サイドウォール絶縁膜31を形成したら、シリコンの露出面を熱酸化する。これにより、図7に示すように、一次シリコンピラー3の上面のうち二次シリコンピラー4が形成されていない部分に、シリコン酸化膜18が形成される。特に限定されるものではないが、シリコン酸化膜18の膜厚は約30nmであることが好ましい。
【0038】
シリコン酸化膜18を形成したら、シリコン酸化膜18を介して、シリコン基板2中の不純物とは反対の導電型を有する不純物を一次シリコンピラー3内にイオン注入する。これにより、シリコン酸化膜18の下側に、二次シリコンピラー4の下部に接する下部拡散層17が形成される。
【0039】
次に、サイドウォール絶縁膜31及びシリコン酸化膜30を順次ウェットエッチングにより除去する。これにより、図8に示すように、二次シリコンピラー4の側面が露出した状態となる。保護膜12は、ここで行われるシリコン酸化膜のウェットエッチングによる浸食からもシリコン酸化膜ピラー6を保護する。
【0040】
次に、二次シリコンピラー4の側面にゲート絶縁膜10を形成し、さらに、ポリシリコン膜からなる第1及び第2のゲート電極11,13を形成する(図9)。ゲート絶縁膜10は熱酸化により形成することが好適であり、その膜厚は約5nmであることが好ましい。第1及び第2のゲート電極11,13は、シリコン基板2の全面に約30nmの膜厚を有するポリシリコン膜をCVD法により形成した後、異方性ドライエッチングによって、ポリシリコン膜をエッチバックすることにより形成することが好適である。なお、第1及び第2のゲート電極11,13の材料には、ポリシリコン膜の他に、例えばタングステンなどの金属材料を用いることも可能である。
【0041】
最後に、図1に示したように、上部拡散層16を形成し、さらに全面を層間絶縁膜20で覆い、層間絶縁膜20の内部にコンタクトプラグ22a〜22cを設けることによって、一連の製造工程が完了する。以下、これらの工程について、まとめて説明する。
【0042】
まず、HDP(High Density Plasma)法によりシリコン基板2の全面にシリコン酸化膜を成膜し、その表面をCMP法により研磨して平坦化することにより、シリコン酸化膜20を形成する。このとき、シリコン窒化膜15がストッパとしての役割を果たすようにすることで、シリコン酸化膜20の膜厚を確実に制御することが可能になる。
【0043】
次に、シリコン酸化膜20の上面にマスクパターン(不図示)を形成する。このマスクパターンは、二次シリコンピラー4の上に形成されたシリコン窒化膜15の上面を露出させ、他の部分を覆うように形成されるが、上面すべてを露出させるのではなく、外周から一定幅の部分はマスクパターンで覆われるようにする。このようにする目的は、シリコン窒化膜15及びシリコン酸化膜14により、上部拡散層16と第1のゲート電極11の絶縁を確保する点にある。マスクパターンは、CVD法により約5nmの膜厚で成膜したシリコン酸化膜することが好適である。
【0044】
マスクパターンを形成したら、異方性のドライエッチング又は異方性のウェットエッチングにより、露出したシリコン窒化膜15を除去する。そして、シリコン窒化膜15を除去してできたスルーホールの底面に残るシリコン酸化膜14を介して、二次シリコンピラー4の上部にLDD(lightly doped drain)領域(不図示)を形成する。このLDD領域は、二次シリコンピラー4の上面にシリコン基板2中の不純物と逆の導電型を有する低濃度の不純物を、浅くイオン注入することにより形成する。
【0045】
次に、希フッ酸によりスルーホール底面のシリコン酸化膜14を除去し、その後、スルーホール内にシリコンを選択的エピタキシャル成長させる。そして、形成されたシリコンエピタキシャル層に、シリコン基板2中の不純物と逆の導電型を有する高濃度の不純物をイオン注入することにより、図1に示すような上部拡散層16を形成する。
【0046】
次に、マスクパターンを除去したうえで、シリコン基板2の全面にシリコン酸化膜を堆積し、CMPにより表面を平坦化することで、シリコン酸化膜21を形成する。そして、パターニングにより、シリコン酸化膜20,21に第1〜第3のコンタクトホール(スルーホール)20a〜20cを形成する(図1)。第1のコンタクトホール20aは、シリコン酸化膜ピラー6の側面のうち、シリコン酸化膜ピラー6を挟んで二次シリコンピラー4と反対側の部分の真上であって、かつ第2のゲート電極13を露出させる位置に形成され、シリコン酸化膜20,21を貫通して第2のゲート電極13に達している。第2のコンタクトホール20bは、二次シリコンピラー4の真上に形成され、シリコン酸化膜21を貫通して上部拡散層16に達している。第3のコンタクトホール20cは、二次シリコンピラー4の隣に設けられた一次シリコンピラー3上面の空き領域に形成され、シリコン酸化膜20,21,18を貫通して下部拡散層17に達している。
【0047】
次に、第1〜第3のコンタクトホール20a〜20c内に窒化チタン及びタングステンをこの順で埋め込むことにより、それぞれ窒化チタンとタングステンの積層膜からなる3つのコンタクトプラグ22a〜22cを形成する(図1)。その後、さらに上層に図示しない配線パターンを形成し、半導体装置1が完成する。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態による半導体装置の製造方法によれば、ダミーピラーとしてのシリコン酸化膜ピラー6の側面に保護膜12を形成しているので、製造中におけるシリコン酸化膜ピラー6の浸食が防止されている。したがって、ゲート電極断線の確率を下げることが可能になっている。
【0049】
また、保護膜12を導電膜で形成することも可能であり、そのようにした場合には、シリコン窒化膜などの絶縁膜により保護膜12を形成した場合に比べ、第2のゲート電極13の直流抵抗を下げることができるという効果も得られる。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0051】
例えば、上記実施の形態では、シリコンピラーとダミーピラーが一対一で設けられる例を取り上げて説明したが、本発明は、複数のシリコンピラーに対して1つのダミーピラーが共通に設けられる例にも適用可能である。つまり、共通のダミーピラーの側面を保護膜12で覆えばよい。このようなダミーピラーの具体的な例としては、DRAMのメモリセル領域においてワード線延長用に用いられるダミーピラーが挙げられる。
【0052】
また、上記実施の形態では、STI領域5及び絶縁体ピラー6がシリコン酸化膜によって構成される例を取り上げて説明したが、本発明は、STI領域5及び絶縁体ピラー6がシリコン酸化膜以外の絶縁材料によって構成される例にも適用可能である。この場合、保護膜12は、この絶縁材料とはエッチング条件の異なる膜とすることが好ましい。つまり、半導体装置の製造中においてこの絶縁材料より浸食されにくい材料を保護膜12として用いることが好ましい。
【0053】
また、本発明は、DRAM以外の半導体装置にも広く適用可能である。すなわち、本発明は、ダミーピラーを用いてゲート電極の長さを延長するトランジスタに広く適用可能である
【符号の説明】
【0054】
1 半導体装置
2 シリコン基板
3 一次シリコンピラー
4 二次シリコンピラー
5 STI領域(素子分離領域)
6 シリコン酸化膜ピラー(絶縁体ピラー、ダミーピラー)
10 ゲート絶縁膜
11 第1のゲート電極
12 保護膜
13 第2のゲート電極
14,18,30 シリコン酸化膜
15 シリコン窒化膜
16 上部拡散層
17 下部拡散層
20,21 層間絶縁膜(シリコン酸化膜)
20a〜20c コンタクトホール
22a ゲートコンタクトプラグ
22b 上部拡散層コンタクトプラグ
22c 下部拡散層コンタクトプラグ
31 サイドウォール絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板の主面に絶縁体ピラーを形成する工程と、
前記絶縁体ピラーの側面に保護膜を形成する工程と、
前記主面にシリコンピラーを形成する工程と、
前記シリコンピラーの側面にゲート絶縁膜を形成する工程と、
それぞれ前記シリコンピラー及び前記絶縁体ピラーの側面を覆い、互いに接する第1及び第2のゲート電極を形成する工程と
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記絶縁体ピラーは、シリコン酸化膜からなるシリコン酸化膜ピラーであり、
前記保護膜は、前記シリコン酸化膜とはエッチング条件の異なる材料によって構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記シリコン基板の全面を酸洗浄する工程をさらに備え、
前記保護膜は、前記シリコン酸化膜に比べて前記酸洗浄による浸食の度合いが小さい材料によって構成される
ことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記保護膜を形成した後に、前記シリコン酸化膜のウエットエッチングを行う工程をさらに備え、
前記保護膜は、前記ウエットエッチングに対するエッチングレートが前記シリコン酸化膜に比べて小さい材料によって構成される
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記保護膜はシリコン窒化膜である
ことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記保護膜は導電膜である
ことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記シリコン基板の主面をエッチングし、一次シリコンピラーを形成する工程と、
前記一次シリコンピラーの周囲に、絶縁膜からなる素子分離領域を形成する工程とをさらに備え、
前記絶縁体ピラーは、前記素子分離領域をエッチングすることによって形成され、
前記シリコンピラーは、前記一次シリコンピラーの上面をエッチングすることによって形成される二次シリコンピラーである
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記保護膜を形成する工程は、
前記保護膜の構成材料により前記シリコン基板の全面を覆う工程と、
前記絶縁体ピラーの側面に形成された部分を残して前記保護膜の前記構成材料を除去する工程とを含む
ことを特徴とする請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記保護膜の前記構成材料を除去する工程は、異方性エッチバックにより前記保護膜の前記構成材料を除去し、
前記一次シリコンピラーの側面の水平面に対する傾きは、該側面に形成された前記保護膜の前記構成材料が前記異方性エッチバックによって除去されるよう設定され、
前記絶縁体ピラーの側面の水平面に対する傾きは、該側面に形成された前記保護膜の前記構成材料が前記異方性エッチバックによって除去されないよう設定される
ことを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記シリコンピラーの下部に接する下部拡散層を形成する工程と、
前記シリコンピラーの上部に接する上部拡散層を形成する工程と、
前記シリコン基板の全面を覆う層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜に、それぞれ前記第2のゲート電極、前記上部拡散層、及び前記下部拡散層を露出させる3つのコンタクトホールを形成する工程と、
前記3つのコンタクトホール内にそれぞれコンタクトプラグを形成する工程と
を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−89772(P2012−89772A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237012(P2010−237012)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】