説明

半導体装置及びその製造方法、並びに液晶表示装置

【課題】光センサーと遮光膜を有する半導体装置において、段切れや膜剥がれに起因にする歩留まりの低下を防止することができるとともに、暗電流の増大を防止して光センサーの性能の低下を防止することができる半導体装置及びその製造方法、並びに液晶表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】フォトダイオード15を構成するポリシリコン膜を形成する部分Bの非晶質シリコン膜30の厚みW1が、遮光膜28の周縁に対応した部分Aの非晶質シリコン膜30の厚みW2より薄くなるように、非晶質シリコン膜30を薄膜化する。そして、非晶質シリコン膜30にレーザー光を走査して、非晶質シリコン膜30を多結晶化させてポリシリコン膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法、並びに液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置においては、半導体膜として、アモルファスシリコン膜等の非晶質シリコン膜を多結晶化したポリシリコン膜が広く使用されている。
【0003】
また、近年、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)やフォトダイオード等の光センサーといった半導体素子を備えた液晶表示装置では、TFTや光センサーの半導体膜として、上述のポリシリコン膜が使用されている。
【0004】
アモルファスシリコン膜を多結晶化する方法として、アモルファスシリコン膜に対してレーザー光を照射して、アモルファスシリコン膜を多結晶化させてポリシリコン膜へと変化させる方法が提案されている。一般に、レーザーとしては、エキシマレーザー等のパルスレーザーが使用され、線状に形成したレーザー光を複数回重ねながらアモルファスシリコン膜に照射することによって、結晶粒径が0.5μm程度のポリシリコン膜を形成することができる。最近では、CWレーザーや疑似CWレーザーによる多結晶化やパルスレーザーを用いたSLS法などといった技術もあり、レーザー光の走査方向に延びる長さ数十μmの細長い結晶を成長(即ち、ラテラル成長)させることができる。
【0005】
また、一般に、TFTや光センサーといった半導体素子を備えた液晶表示装置においては、バックライトからの照射光が半導体素子を構成するポリシリコン膜のチャネル領域に入射することによって発生するオフ電流の増加を防止して、半導体装置の誤作動を防止するために、ポリシリコン膜のチャネル領域への光の入射を抑制するための遮光膜が設けられている。
【0006】
より具体的には、図30(b)に示すように、ガラス基板等の透明な絶縁性基板61と、絶縁性基板61上に形成され、Mo等の金属からなる遮光膜62と、遮光膜62上に形成され、酸化シリコン膜等からなる絶縁膜63と、絶縁膜63上に形成されたアモルファスシリコン膜69に対してレーザー光Lを照射して、アモルファスシリコン膜69を多結晶化させることにより形成されたポリシリコン膜64とを備えた液晶表示装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−284594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、レーザーを用いた多結晶化方法の場合、アモルファスシリコン膜がレーザー光Lにより完全に溶融された状態(即ち、完全に液化した状態)で、レーザー光Lの走査方向に引き延ばされて結晶成長が生じるため、ポリシリコン膜64の下方に遮光膜62があると、レーザー光Lの走査方向において、結晶成長が困難になる。従って、溶融したアモルファスシリコン膜が固化する際に、図30(a)及び(b)に示すように、ポリシリコン膜64における遮光膜62の周縁に対応して形成された段差部分65において、ポリシリコン膜64の膜厚が極端に薄くなり、段切れ66が発生することがあり、レーザーのパワーが大きくなって段切れ66が進行すると、膜剥がれが発生する場合がある。また、図30(a)及び(b)に示すように、ポリシリコン膜64における遮光膜62の周縁に対応して形成された段差部分67において、ポリシリコン膜64の膜厚が大きくなり出っ張り68が発生したり、結晶化が十分に進行せず、段切れ66が発生する場合がある。そして、このような段切れ66や膜剥がれが発生すると、フォトリソグラフィー及びエッチング等により、ポリシリコン膜64をパターニングすることにより半導体膜を形成する際に、段切れ66や膜剥がれに起因して、パターン欠け等が生じる場合がある。また、スピンコート法等により、パターニングしたポリシリコン膜64上にレジスト塗布を行う際に、段切れ66や膜剥がれ、及び出っ張り68に起因して、塗布ムラが生じる場合がある。その結果、液晶表示装置の歩留まりが低下するという問題があった。
【0009】
また、上述の段切れ66や膜剥がれを防止するために、ポリシリコン膜64の膜厚を厚くする(即ち、絶縁膜63上に形成されるアモルファスシリコン膜69の膜厚を厚くする)ことも考えられるが、このようにポリシリコン膜64の膜厚を厚くすると、ポリシリコン膜64により構成される光センサーであるフォトダイオードにおいて暗電流が増大してしまい、トレードオフの発生により、フォトダイオードの性能が低下してしまうという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、光センサーと遮光膜とを有する半導体装置において、段切れや膜剥がれに起因にする歩留まりの低下を防止することができるとともに、暗電流の増大を防止して光センサーの性能の低下を防止することができる半導体装置及びその製造方法、並びに液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、基板と、基板上に形成されたベースコート膜と、ベースコート膜上に形成された遮光膜と、遮光膜を覆うようにベースコート膜上に形成された絶縁膜と、絶縁膜上に形成され、光センサー及び薄膜トランジスタを構成する半導体膜とを備える半導体装置であって、光センサーを構成する半導体膜において、遮光膜の周縁に対応した部分の厚みが、遮光膜の周縁以外に対応した部分の厚みよりも厚いことを特徴とする。
【0012】
同構成によれば、光センサーを構成する前記半導体膜において、前記遮光膜の周縁に対応した部分の厚みが、前記遮光膜の周縁以外に対応した部分の厚みよりも厚く構成されている。従って、例えば、非晶質シリコン膜にレーザー光を走査して多結晶化することにより、光センサーを構成する半導体膜を形成するポリシリコン膜を形成する場合に、ポリシリコン膜の下方に遮光膜を設けた場合であっても、遮光膜の周縁に対応した部分のポリシリコン膜の厚みが厚いため、ポリシリコン膜における遮光膜の周縁に対応して形成された段差部分において、ポリシリコン膜の膜厚が薄くなることを防止することができる。従って、非晶質シリコン膜をレーザー光により完全に溶融させた状態で、レーザー光の走査方向に引き延ばしてラテラル結晶成長させてポリシリコン膜を形成する場合であっても、ポリシリコン膜における段切れや膜剥がれの発生を確実に防止することができる。その結果、歩留まりの低下を防止できる半導体装置を提供することが可能になる。
【0013】
また、また、光センサーを構成する半導体膜において、遮光膜の周縁以外に対応した部分の厚みが薄いため、光センサーにおける暗電流の増大を効果的に抑制して、トレードオフの発生を防止することができる。従って、光センサーの性能を向上させることが可能になる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の半導体装置であって、半導体膜は薄膜トランジスタのアクティブ層を構成するとともに、薄膜トランジスタは、半導体膜を覆うように絶縁膜上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とを備えることを特徴とする。
【0015】
同構成によれば、光センサーとトップゲート構造を有する薄膜トランジスタを備える半導体装置において、歩留まりの低下を防止できる半導体装置を提供することが可能になる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の半導体装置であって、半導体膜は薄膜トランジスタのアクティブ層を構成するとともに、絶縁膜はゲート絶縁膜として用いられ、薄膜トランジスタは、ベースコート膜上に形成されたゲート電極を備え、ゲート電極は、絶縁膜に覆われていることを特徴とする。
【0017】
同構成によれば、光センサーとボトムゲート構造を有する薄膜トランジスタを備える半導体装置において、歩留まりの低下を防止できる半導体装置を提供することが可能になる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の半導体装置であって、薄膜トランジスタのチャネル領域を構成する半導体膜の厚みが、薄膜トランジスタのソース領域及びドレイン領域を構成する半導体膜の厚みよりも薄いことを特徴とする。
【0019】
同構成によれば、薄膜トランジスタのチャネル領域を構成する半導体膜の厚みが、薄膜トランジスタのソース領域及びドレイン領域を構成する半導体膜の厚みよりも薄い構成としている。従って、薄膜トランジスタのリーク電流を低減することが可能になる。また、工程数を増やすことなく、トップゲート構造またはボトムゲート構造を有する薄膜トランジスタとフォトダイオードとを備える低消費電力の半導体装置を提供することが可能になる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置を備えた液晶表示装置である。同構成によれば、性能に優れた高感度な光センサーを備えた半導体装置を液晶表示装置に好適に使用することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の液晶表示装置であって、半導体装置が、画素内に配置されていることを特徴とする。同構成によれば、表示領域に配置された光センサーにより、手やペンで触れた位置を高感度に検出することが可能になるため、高性能なタッチパネルディスプレイを提供することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の液晶表示装置であって、光センサーが、1つまたは複数の画素毎に配置されていることを特徴とする。同構成によれば、表示領域に配置された光センサーにより手やペンで触れた位置を高感度に検出することが可能になるとともに、必要な検出精度に応じて配置する光センサーの数を減らせるため、より高開口率で明るいタッチパネルディスプレイを提供することができる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、光センサーを備える半導体装置の製造方法であって、基板上にベースコート膜を形成するベースコート膜形成工程と、ベースコート膜上に遮光膜を形成する遮光膜形成工程と、遮光膜を覆うようにベースコート膜上に絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、絶縁膜上であって、遮光膜の上方に、非晶質シリコン膜を形成する非晶質シリコン膜形成工程と、光センサーを構成するポリシリコン膜を形成する非晶質シリコン膜において、遮光膜の周縁以外に対応した部分の厚みが、遮光膜の周縁に対応した部分の厚みより薄くなるように、非晶質シリコン膜を薄膜化するシリコン膜薄膜化工程と、非晶質シリコン膜にレーザー光を走査して、非晶質シリコン膜を多結晶化させてポリシリコン膜を形成するポリシリコン膜形成工程とを少なくとも含むことを特徴とする。
【0024】
同構成によれば、非晶質シリコン膜にレーザー光を走査して多結晶化することにより、光センサーを構成するポリシリコン膜を形成する場合に、ポリシリコン膜の下方に遮光膜を設けた場合であっても、遮光膜の周縁に対応した部分のポリシリコン膜の厚みが厚いため、ポリシリコン膜における遮光膜の周縁に対応して形成された段差部分において、ポリシリコン膜の膜厚が薄くなることを防止することができる。従って、非晶質シリコン膜をレーザー光により完全に溶融させた状態で、レーザー光の走査方向に引き延ばしてラテラル結晶成長させてポリシリコン膜を形成する場合であっても、ポリシリコン膜における段切れや膜剥がれの発生を確実に防止することができる。その結果、歩留まりの低下を防止できる半導体装置を提供することが可能になる。
【0025】
また、光センサーを構成するポリシリコン膜の厚みが薄いため、光センサーにおける暗電流の増大を効果的に抑制して、トレードオフの発生を防止することができる。従って、光センサーの性能を向上させることが可能になる。
【0026】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の半導体装置の製造方法であって、ポリシリコン膜は、薄膜トランジスタのアクティブ層を構成するとともに、ポリシリコン膜形成工程の後、ポリシリコン膜を覆うように、絶縁膜上にゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜形成工程と、ゲート絶縁膜上に薄膜トランジスタ用のゲート電極を形成するゲート電極形成工程とを更に備えることを特徴とする。
【0027】
同構成によれば、光センサーとトップゲート構造を有する薄膜トランジスタを備える半導体装置において、歩留まりの低下を防止できる半導体装置を提供することが可能になる。
【0028】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の半導体装置の製造方法であって、ポリシリコン膜は、薄膜トランジスタのアクティブ層を構成するとともに、ベースコート膜上に、薄膜トランジスタ用のゲート電極を形成するゲート電極形成工程を更に備え、遮光膜形成工程とゲート電極形成工程とが同時に行われることを特徴とする。
【0029】
同構成によれば、光センサーとボトムゲート構造を有する薄膜トランジスタを備える半導体装置において、歩留まりの低下を防止できる半導体装置を提供することが可能になる。また、遮光膜の形成とゲート電極の形成とが同時に行われ、ゲート電極と遮光膜とを同一の製造工程で形成することが可能になるため、製造工程数を削減することが可能になる。
【0030】
請求項11に記載の発明は、請求項9または請求項10に記載の半導体装置の製造方法であって、シリコン膜薄膜化工程において、薄膜トランジスタのチャネル領域を構成するポリシリコン膜を形成する部分の非晶質シリコン膜を薄膜化することを特徴とする。
【0031】
同構成によれば、非晶質シリコン膜にレーザー光を走査照射して多結晶化することにより、薄膜トランジスタのチャネル領域を構成するポリシリコン膜を形成する場合に、ポリシリコン膜の厚みが薄いため、薄膜トランジスタのリーク電流を低減することが可能になる。また、工程数を増やすことなく、トップゲート構造またはボトムゲート構造を有する薄膜トランジスタとフォトダイオードとを備える低消費電力の半導体装置を製造することが可能になる。
【0032】
請求項12に記載の発明は、請求項8〜請求項11のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法であって、レーザー光がCWレーザー光または疑似CWレーザー光であることを特徴とする。
【0033】
同構成によれば、エキシマレーザー等に比べて大粒径の結晶粒が得られるため、より高移動度を有する薄膜トランジスタを得ることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、シリコン膜にレーザー光を照射して多結晶化することにより、ポリシリコン膜を形成する際に、ポリシリコン膜における段切れや膜剥がれの発生を確実に防止することができる。従って、歩留まりの低下を防止できる半導体装置を提供することが可能になる。また、光センサーにおける暗電流の増大を効果的に抑制して、トレードオフの発生を防止することができるため、光センサーの性能を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】(a)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置を備える液晶表示装置の構成を示す概略図であり、(b)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置を備える液晶表示装置の構成を示す断面図である。また、(c)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。
【図3】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置における非晶質シリコン膜薄膜化工程を説明するための図であり、(c)及び(d)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置におけるポリシリコン膜形成工程を説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図12】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図13】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図14】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図17】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図18】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図19】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図20】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図21】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図22】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図23】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図24】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図25】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。
【図26】(a)及び(b)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置における非晶質シリコン膜薄膜化工程を説明するための図であり、(c)及び(d)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置におけるポリシリコン膜形成工程を説明するための図である。
【図27】本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。
【図28】(a)及び(b)は、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置における非晶質シリコン膜薄膜化工程を説明するための図であり、(c)及び(d)は、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置におけるポリシリコン膜形成工程を説明するための図である。
【図29】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の変形例を示す概略図である。
【図30】(a)及び(b)は、従来の液晶表示装置におけるポリシリコン膜形成工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0037】
(第1の実施形態)
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置を備える液晶表示装置の構成を示す概略図であり、図1(b)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置を備える液晶表示装置の構成を示す断面図である。また、図1(c)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す概略図である。また、図2は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。また、図3(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置における非晶質シリコン膜薄膜化工程を説明するための図であり、図3(c)及び(d)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置におけるポリシリコン膜形成工程を説明するための図である。
【0038】
なお、本実施形態においては、半導体素子として、能動素子であるTFTと光センサーであるフォトダイオードを例に挙げて説明するとともに、半導体装置として、TFTとフォトダイオードを有するTFT基板について説明する。
【0039】
図1(a),(b)に示すように、液晶表示装置50は、素子基板であるTFT基板1と、TFT基板1に対向して配置された対向基板35と、対向基板35及びTFT基板1の間に設けられた表示媒体層である液晶層45とを備えている。また、図1(b)に示すように、液晶表示装置50の背面側(図1(b)において下側)には、バックライト46が設けられている。このバックライト46は、光源47と導光板48とを備えている。そして、光源47から照射された照射光49は導光板48の端面から導光板48内に入射するように構成されており、光源47から導光板48に入射した照射光49は、導光板48内において導光され、導光板48の主面から略均一な面状光として出射され、液晶表示装置50に入射する構成となっている。
【0040】
対向基板35には、図示省略のカラーフィルタ、共通電極及びブラックマトリクス等が形成されている。一方、TFT基板1は、いわゆるアクティブマトリクス基板に構成されている。TFT基板1には、表示に寄与する表示領域36と、表示領域36の周りに形成されて表示に寄与しない額縁領域37とを有している。また、図1(c)に示すように、表示領域36には、複数の画素40がマトリクス状に配置されている。各画素40には、液晶層45を駆動するための画素電極(図示省略)と、画素電極をスイッチング駆動するTFT12と、光センサーであるフォトダイオード15がそれぞれ設けられている。
【0041】
また、例えば、TFT基板1及び対向基板35は、それぞれ矩形状に形成され、対向基板35はTFT基板1より一回り小さく形成されている。そして、TFT基板1と対向基板35とが互いに重なっている領域に表示領域36が矩形状に形成されている。なお、TFT基板1、対向基板35、及び表示領域36の形状は、矩形状に限定されず、他の形状であっても良い。額縁領域37のうち対向基板35の一辺に沿った領域には、ゲートドライバ部38が形成されている。また、対向基板35の他の一辺に沿った額縁領域37には、ソースドライバ部39が形成されている。これらゲートドライバ部38及びソースドライバ部39には、ロジック回路である駆動回路が形成され、配線を介して各画素のTFTに接続されている。
【0042】
また、図2に示すように、TFT基板1に設けられ、画素または駆動回路に形成されるTFT12は、半導体膜5の上方にゲート電極7を設けた、いわゆるトップゲート構造を有するTFTであって、基板2上に、ベースコート膜3、ベース絶縁膜4、半導体膜5,20、ゲート絶縁膜6、ゲート電極7及び層間絶縁膜8がこの順に積層された構造を有するものである。
【0043】
より具体的には、図2に示すように、TFT基板1は、基板2の表面上に形成されたベースコート膜3と、ベースコート膜3を覆うようにベースコート膜3上に積層されたベース絶縁膜4と、ベース絶縁膜4の表面上に形成された半導体膜5,20と、半導体膜5,20を覆うようにベース絶縁膜4の表面上に形成されたゲート絶縁膜6と、ゲート絶縁膜6の表面上に形成された電極層であるゲート電極7と、ゲート電極7を覆うようにゲート絶縁膜6上に積層された層間絶縁膜8とを有している。また、TFT基板1は、半導体膜20の下方に配置されるとともに、ベースコート膜3の表面上に形成された遮光膜28を有しており、ベース絶縁膜4は、遮光膜28を覆うようにベースコート膜3上に積層されている。
【0044】
なお、図2に示すように、ゲート電極7は、ゲート絶縁膜6を介して半導体膜5に対向して配設されている。また、半導体膜5は、ゲート電極7に対向する領域がチャネル領域22として形成され、チャネル領域22の側方に隣接する一方の領域がソース領域23として形成されるとともに、他方の領域がドレイン領域24として形成されている。また、図示はしないが、TFT12は、チャネル領域22とソース領域23の間、及びチャネル領域22とドレイン領域24の間に、各々低濃度不純物領域を設けたLDD構造のTFTとしても良い。
【0045】
また、図2に示すように、ゲート絶縁膜6と層間絶縁膜8には、半導体膜5におけるソース領域23の一部が露出するように形成されたコンタクトホール9と、半導体膜5におけるドレイン領域24の一部が露出するように形成されたコンタクトホール10が形成されている。なお、これらのコンタクトホール9,10の各々には、導電性部材11が充填されている。
【0046】
また、図2に示すように、TFT12は、ソース電極13、及びドレイン電極14を有している。より具体的には、層間絶縁膜8の表面には、ソース電極13、及びドレイン電極14が形成されており、ソース電極13は、コンタクトホール9を介して半導体膜5のソース領域23に電気的に接続されており、ドレイン電極14は、コンタクトホール10を介して半導体膜5のドレイン領域24に電気的に接続されている。
【0047】
また、図2に示すように、TFT基板1には、光センサーであるフォトダイオード15が設けられている。このフォトダイオード15は、各画素領域において、TFT12に隣接して設けられており、半導体膜20により構成されている。より具体的には、このフォトダイオード15は、P型半導体膜25と、N型半導体膜26と、P型半導体膜25とN型半導体膜26との間に配置された真性半導体で形成される高比抵抗領域であるI(Intrinsic)層27の3層からなる横型構造を有するPINフォトダイオードである。
【0048】
また、図2に示すように、ゲート絶縁膜6と層間絶縁膜8には、半導体膜20におけるP型半導体膜25の一部が露出するように形成されたコンタクトホール16と、半導体膜20におけるN型半導体膜26の一部が露出するように形成されたコンタクトホール17が形成されている。なお、これらのコンタクトホール16,17、及び上述のコンタクトホール9,10は、エッチングにより同時に形成され、これらのコンタクトホール16,17の各々には、導電性部材11が充填されている。
【0049】
また、図2に示すように、層間絶縁膜8の表面には、アノード電極18、及びカソード電極19が形成されており、アノード電極18は、コンタクトホール16を介して半導体膜20のP型半導体膜25に電気的に接続されており、カソード電極19は、コンタクトホール17を介して半導体膜20のN型半導体膜26に電気的に接続されている。
【0050】
そして、このフォトダイオード15は、上述の対向基板35上に載置された対象物(例えば、紙、指、ペン等)の有無や濃淡を検知するために使用される。より具体的には、図1(b)に示すように、液晶表示装置50の背面側に設けられたバックライト46の光源47から照射された照射光49が、上述の対象物42により反射され、その反射光43がフォトダイオード15に入射すると、フォトダイオード15において、入射した反射光43の強度に対応した光リーク電流が流れ、この光リーク電流に基づいて、対象物42の有無や濃淡が検知される構成となっている。
【0051】
基板2を構成する材料としては、絶縁材料からなるものが好ましく、かかる絶縁材料としては、例えば、ガラス、石英、プラスチック(アクリル樹脂)等の透明な材料が挙げられる。また、基板2の厚みは、0.3〜1.1mmが好ましい。
【0052】
ベースコート膜3を構成する材料としては、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiNx(xは正数))、シリコンオキシナイトライド(SiNO)等の材料が挙げられる。なお、ベースコート膜3は、これらの材料による積層構造としても良い。また、ベースコート膜3の厚みは、50〜300nmが好ましい。
【0053】
ベース絶縁膜4を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiNx(xは正数))、シリコンオキシナイトライド(SiNO)等が挙げられる。なお、ベース絶縁膜4の厚みは、50〜300nm以下が好ましい。
【0054】
半導体膜5,20は、ポリシリコン膜からなり、半導体膜5,20を構成するポリシリコン膜は、アモルファスシリコン膜等のシリコン膜にレーザー光を照射して多結晶化したものである。また、半導体膜5,20は、膜面内方向に結晶がラテラル成長したものであり、細長の短冊状にパターンニングされている。半導体膜5は、TFT12のアクティブ層を構成しており、このアクティブ層は、一端側が高濃度にリンやボロン等の不純物がドープされたソース領域23と、他端側が同じく高濃度に不純物がドープされたドレイン領域24と、それらの間の中間部分のチャネル領域22により構成されている。また、半導体膜20は、フォトダイオード15を構成しており、一端側が高濃度にボロン等の不純物がドープされたP型半導体膜25、他端側が同じく高濃度にリン等の不純物がドープされたN型半導体膜26、そして、それらの中間部分が真性半導体で形成される高比抵抗領域であるI層27として構成されている。なお、半導体膜5,20の厚みは、20〜100nmが好ましい。
【0055】
ゲート絶縁膜6を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、酸化シリコン(SiO)や、SiOF、SiOC等の酸化シリコンよりも誘電率が低い材料、四窒化三ケイ素(Si)等の窒化シリコン(SiNx(xは正数))、シリコンオキシナイトライド(SiNO)、二酸化チタン(TiO)、三酸化二アルミニウム(Al)、五酸化二タンタル(Ta)等の酸化タンタル、二酸化ハフニウム(HfO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)等の酸化シリコンよりも誘電率が高い材料が挙げられる。なお、ベース絶縁膜4及びゲート絶縁膜6を構成する材料は、同一であってもよいし、異なってもよい。また、ベース絶縁膜4及びゲート絶縁膜6は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。また、ゲート絶縁膜6の厚みは、30〜150nmが好ましい。
【0056】
ゲート電極7を構成する材料としては、高融点を有しているものが好ましく、例えば、モリブテン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)等の高融点金属や、モリブデンシリサイド等の高融点シリサイドが好適に使用される。なお、ゲート電極7の厚みは、100〜500nmが好ましい。また、導電性部材11を構成する材料としては、上述のゲート電極7を構成する材料と同様のものを使用することができる。
【0057】
層間絶縁膜8を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiNx(xは正数))等が挙げられる。なお、層間絶縁膜19の厚みは、500〜2000nm以下が好ましい。
【0058】
遮光膜28は、図1(b)に示すように、フォトダイオード15への光(バックライト46の光源47からの照射光)の入射を防止して、上述の対象物42により反射された反射光43のみがフォトダイオード15に入射されるようにするためのものである。遮光膜28を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、モリブテン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)等の高融点金属や、これらの高融点金属を主成分とする合金材料もしくは化合物材料が好適に使用される。なお、遮光膜28の厚みは、50〜300nmが好ましい。
【0059】
ここで、本実施形態においては、図3(a)及び(b)に示すように、アモルファスシリコン膜等の非晶質シリコン膜30にレーザー光を走査照射して多結晶化することにより、半導体膜20(即ち、フォトダイオード15)を構成するポリシリコン膜を形成する際に、フォトダイオード15を構成するポリシリコン膜を形成する非晶質シリコン膜30において、遮光膜28の周縁に対応した部分Aの厚みWが、遮光膜28の周縁以外に対応した部分Bの厚みWより厚い(即ち、W<W)点に特徴がある。
【0060】
このような構成により、図3(c)及び(d)に示すように、アモルファスシリコン膜等の非晶質シリコン膜30にレーザー光Lを走査照射して多結晶化することにより、フォトダイオード20(即ち、半導体膜20)を構成するポリシリコン膜29を形成する場合に、当該ポリシリコン膜29の下方に遮光膜28を設けた場合であっても、遮光膜28の周縁に対応した部分Aのポリシリコン膜29の厚みが厚いため、ポリシリコン膜29における遮光膜28の周縁に対応して形成された段差部分において、ポリシリコン膜29の膜厚が薄くなることを防止することができる。従って、アモルファスシリコン膜をレーザー光Lにより完全に溶融させた状態で、レーザー光Lの走査方向に引き延ばしてラテラル結晶成長させてポリシリコン膜29を形成する場合であっても、ポリシリコン膜29における段切れや膜剥がれの発生を確実に防止することができる。その結果、後述のごとく、フォトリソグラフィー及びエッチングにより、ポリシリコン膜29をパターニングする際に、段切れや膜剥がれに起因するパターン欠け等の発生を防止することができ、また、パターニングしたポリシリコン膜29上に、スピンコート法等により、レジスト塗布を行う際に、段切れや膜剥がれに起因する塗布ムラの発生を防止することができる。
【0061】
そして、この様な構成により、図2に示すように、光センサーであるフォトダイオード15を構成する半導体膜20において、遮光膜28の周縁に対応した部分Dの厚みWが、遮光膜28の周縁以外に対応した部分Eの厚みWよりも厚いTFT基板1を備えた液晶表示装置50を得ることが可能になる。
【0062】
また、フォトダイオード15を構成する半導体膜20を形成するポリシリコン膜29の厚みが薄い(即ち、フォトダイオード15を構成する半導体膜20において、遮光膜28の周縁以外に対応した部分Eの厚みWが薄い)ため、フォトダイオード15における暗電流の増大を効果的に抑制して、トレードオフの発生を防止することができる。従って、フォトダイオード15の性能を向上させることが可能になる。
【0063】
次に、液晶表示装置50の製造方法の一例について説明する。図4〜図14は、本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【0064】
<ベースコート膜形成工程>
まず、図4に示すように、ガラス基板やプラスチック基板等の基板2上に、CVD法等の方法により、例えば、酸化シリコンからなるベースコート膜3を形成する。
【0065】
<遮光膜形成工程>
次いで、図5に示すように、ベースコート膜3上に、スパッタ法、または陽極酸化法により、タングステン(W)等の金属材料を製膜して導電膜70を製膜した後、フォトリソグラフィー及びエッチングで導電膜70をパターニングすることにより、図6に示すように、ベースコート膜3の表面上に、例えば、膜厚が50〜300nm程度の遮光膜28を形成する。なお、導電膜70のパターニングをドライエッチングにより行い、図6に示すように、テーパ形状を有する遮光膜28を形成しても良いし、導電膜70のパターニングをウェットエッチングにより行い、逆テーパ形状を有する遮光膜を形成しても良い。
【0066】
<ベース絶縁膜形成工程>
次いで、図7に示すように、遮光膜28を覆うように、ベースコート膜3上に、例えば、CVD法により、酸化シリコンからなるベース絶縁膜4を形成し、遮光膜28を被覆する。
【0067】
<シリコン膜形成工程>
次いで、図8に示すように、ベース絶縁膜4上であって、遮光膜28の上方に、プラズマCVD法、またはLPCVD(Low Pressure CVD)法により、非晶質シリコン膜(例えば、アモルファスシリコン膜)30を形成する。この時、後工程のポリシリコン膜形成工程のレーザー走査照射において、遮光膜28の周縁部の段差部分でポリシリコン膜の段切れが起こらないように、全面に予め厚く非晶質シリコン膜30を形成しておく。なお、非晶質シリコン膜30の厚みは、例えば、50〜200nmである。
【0068】
<シリコン膜薄膜化工程>
次いで、図9に示すように、フォトダイオード15を構成するポリシリコン膜を形成する非晶質シリコン膜30において、遮光膜28の周縁以外に対応した部分Bの厚みWが、遮光膜28の周縁に対応した部分Aの厚みWより薄く(即ち、W<W)なるように、フォトリソグラフィー及びエッチングで予め全面に厚く形成した非晶質シリコン膜30の一部を薄膜化する。なお、厚みWとしては、例えば、20〜100nmとすることができる。
【0069】
<ポリシリコン膜形成工程>
次いで、非晶質シリコン膜30に対し、上述の図3(c)及び(d)に示すように、線状のレーザー光Lを走査照射して、非晶質シリコン膜30を多結晶化させてポリシリコン膜29を形成する。非晶質シリコン膜30は、レーザー光Lの走査方向に沿ってラテラル結晶成長し、ポリシリコン膜29が得られる。なお、レーザーのパワーを下げて照射することで、非晶質シリコン膜30を微結晶化し、ポリシリコン膜29の代わりに微結晶シリコン膜を形成する構成としても良い。
【0070】
この際、上述のごとく、ポリシリコン膜29の下方に遮光膜28を設けた場合であっても、遮光膜28の周縁に対応した部分Aのポリシリコン膜29の厚みWが厚いため、ポリシリコン膜29における遮光膜28の周縁に対応して形成された段差部分において、ポリシリコン膜29の膜厚が薄くなることを防止することができる。従って、ポリシリコン膜29における段切れや膜剥がれの発生を確実に防止することができる。
【0071】
また、使用するレーザーとしては、例えば、UVレーザー、可視レーザー、赤外レーザー、エキシマレーザー等が挙げられる。レーザー光Lは、CWレーザー光、疑似CWレーザー光及びパルスレーザー光のいずれであっても良いが、容易、かつ確実に、非晶質シリコン膜30をレーザー光Lの走査方向にラテラル結晶成長させるとの観点から、CW光又は疑似CW光を用いるのが好ましい。疑似CW光とは、モードロックレーザー等の周波数が10MHz以上のパルスレーザーであり、溶融した非晶質シリコン膜30が凝固する前に、次のパルス光を照射するものであり、効果の観点からCW光と同一視し得るものである。線状のレーザー光Lは、例えば、長さが0.05〜100mm、幅が5〜50μm、パワーが5〜100Wである。また、走査速度は、例えば、10〜2000mm/secである。
【0072】
次いで、図10に示すように、フォトリソグラフィー及びエッチングにより、ポリシリコン膜29をパターニングする。この際、上述のごとく、ポリシリコン膜29における段切れや膜剥がれの発生が確実に防止されるため、段切れや膜剥がれに起因するパターン欠け等の発生を防止することができる。
【0073】
なお、図10に示すパターニングを行う際に、ポリシリコン膜29において、遮光膜28の周縁に対応した部分Aを完全に除去することにより、フォトダイオード15を構成する半導体膜20において、厚みが均一(即ち、上述した遮光膜28の周縁に対応した部分Dの厚みWと、遮光膜28の周縁以外に対応した部分Eの厚みWが同じ)になることがあり得る。
【0074】
<ゲート絶縁膜形成工程>
次いで、図11に示すように、ポリシリコン膜29を覆うように、ベース絶縁膜4上に、例えば、CVD法により、例えば、酸化シリコンからなる膜厚が30〜150nm程度のゲート絶縁膜6を形成する。
【0075】
<チャネル領域形成工程>
次いで、TFT12の閾値電圧を制御するとの観点から、イオン注入法またはイオンドーピング法により、ゲート絶縁膜6を介して、TFT12のアクティブ層を構成する半導体膜5を形成するポリシリコン膜29に不純物イオンをドーピングして、チャネル領域22を形成する。
【0076】
<ゲート電極形成工程>
次いで、図12に示すように、モリブテン(Mo)等の金属材料により、ゲート絶縁膜6上に、ゲート電極7をパターン形成する。ゲート電極7の形成方法としては、スパッタ法で金属材料やシリサイドを成膜した後、フォトリソグラフィー及びエッチングでパターニングする方法等が挙げられる。
【0077】
<半導体膜形成工程>
次いで、パターニングしたポリシリコン膜29上(即ち、ゲート絶縁膜6の表面上)に、スピンコート法等により、レジスト塗布を行い、ゲート電極7、及びレジストをマスクとして、イオン注入法またはイオンドーピング法により、ポリシリコン膜29にリンやボロン等の不純物をドーピングした後に、熱アニール処理やエキシマレーザー処理等の加熱処理によってその不純物を活性化させる。その結果、図13に示すように、チャネル領域22、ソース領域23、及びドレイン領域24として構成され、TFT12のアクティブ層を構成する半導体膜5が形成されるとともに、P型半導体膜25、N型半導体膜26、及びI層27として構成され、フォトダイオード15を構成する半導体膜20が形成される。
【0078】
この際、上述のごとく、ポリシリコン膜29における段切れや膜剥がれの発生が確実に防止されるため、段切れや膜剥がれに起因するレジストの塗布ムラの発生を防止することができる。また、図示は省略するが、上述のシングルドレイン構造のTFT作成方法以外に、一般的な方法で、チャネル領域22とソース領域23の間、及びチャネル領域22とドレイン領域24の間に、各々低濃度不純物領域を設けたLDD構造のTFTとしても良い。具体的には、ソース領域23とドレイン領域24を形成する前に、ゲート電極7及びレジストをマスクとして低濃度のイオンドーピングを行い、ゲート両端近傍に低濃度不純物領域を形成し、その後、新たなレジストをマスクとして低濃度領域の外側に高濃度のイオンドーピングを行ってソース領域23とドレイン領域を形成することで、チャネル領域22とソース領域23の間、及びチャネル領域22とドレイン領域24の間に、各々低濃度不純物領域を設けたLDD構造のTFTを形成することができる。
【0079】
<層間絶縁膜形成工程>
次いで、図14に示すように、ゲート電極7を覆うように、ゲート絶縁膜6上に、例えば、CVD法により、酸化シリコンからなる層間絶縁膜8を形成し、ゲート電極7を被覆する。
【0080】
<コンタクトホール・電極形成工程>
次いで、ゲート絶縁膜6と層間絶縁膜8に対して、エッチングを行うことにより、コンタクトホール9,10,16,17を同時に形成する。より具体的には、ゲート絶縁膜6と層間絶縁膜8に対して、半導体膜5の上方位置に、当該半導体膜5におけるソース領域23の一部が露出するようにコンタクトホール9が形成されるとともに、半導体膜5におけるドレイン領域24の一部が露出するようにコンタクトホール10が形成される。また、ゲート絶縁膜6と層間絶縁膜8に対して、半導体膜20の上方位置に、当該半導体膜20におけるP型半導体膜25の一部が露出するようにコンタクトホール16が形成されるとともに、半導体膜20におけるN型半導体膜26の一部が露出するようにコンタクトホール17が形成される。そして、コンタクトホール9,10,16,17の各々の内部に導電性材料を充填して導電性部材11を形成するとともに、層間絶縁膜8の表面に、導電性材料を積層させて形成し、当該導電性材料をフォトリソグラフィー及びエッチングによりパターニングすることによって、コンタクトホール9,10,16,17を介して、半導体膜5,20の各々に接続されるソース電極13、ドレイン電極14、アノード電極18、及びカソード電極19が形成され、図2に示すTFT基板1が製造されることになる。なお、上述の導電性材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)等の低抵抗金属、またはこれらの低抵抗金属を主成分とする合金材料や化合物材料を使用することができる。
【0081】
<貼合体形成工程>
そして、製造したTFT基板1と対向基板35を、シール部材(不図示)及び液晶層45を介して互いに貼り合わせることにより、図1(a),(b)に示す液晶表示装置50が製造されることになる。
【0082】
なお、対向基板35の製造方法としては、図示は省略するが、まず、例えば、ガラス基板、またはプラスチック基板等の透明基板に、カラーフィルタや遮光膜等をフォトリソグラフィー法等により所定の形状に形成し、次いで、透明な共通電極をITO等により一様に形成する。その後、配向膜(不図示)を上述した共通電極等を覆うように形成することにより製造される。
【0083】
以上に説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0084】
(1)本実施形態においては、シリコン膜薄膜化工程において、フォトダイオード15を構成するポリシリコン膜を形成する非晶質シリコン膜30において、遮光膜28の周縁に対応した部分Aの厚みWが、遮光膜28の周縁以外に対応した部分Bの厚みWより厚くなるように、予め全面に厚く形成した非晶質シリコン膜30の一部を薄膜化する構成としている。同構成によれば、非晶質シリコン膜30にレーザー光Lを走査して多結晶化することにより、フォトダイオード15を構成するポリシリコン膜29を形成する場合に、ポリシリコン膜29の下方に遮光膜28を設けた場合であっても、遮光膜28の周縁に対応した部分Aのポリシリコン膜29の厚みが厚いため、ポリシリコン膜29における遮光膜28の周縁に対応して形成された段差部分において、ポリシリコン膜29の膜厚が薄くなることを防止することができる。従って、非晶質シリコン膜30をレーザー光Lにより完全に溶融させた状態で、レーザー光Lの走査方向に引き延ばしてラテラル結晶成長させてポリシリコン膜29を形成する場合であっても、ポリシリコン膜29における段切れや膜剥がれの発生を確実に防止することができる。その結果、歩留まりの低下を防止できる液晶表示装置50を提供することが可能になる。
【0085】
(2)また、フォトダイオード15を構成するポリシリコン膜29の厚みが薄い(即ち、フォトダイオード15を構成する半導体膜20において、遮光膜28の周縁以外に対応した部分Eの厚みWが薄い)ため、フォトダイオード15における暗電流の増大を効果的に抑制して、トレードオフの発生を防止することができる。従って、フォトダイオード15の性能を向上させることが可能になる。
【0086】
(3)本実施形態においては、ポリシリコン膜29がTFT12のアクティブ層を構成し、ポリシリコン膜を形成した後、ポリシリコン膜29を覆うように、ベース絶縁膜4上にゲート絶縁膜6を形成し、ゲート絶縁膜6上にTFT12用のゲート電極7を形成する構成としている。従って、フォトダイオード15とトップゲート構造を有するTFT12を備える液晶表示装置50において、歩留まりの低下を防止できる液晶表示装置50を提供することが可能になる。
【0087】
(4)本実施形態においては、レーザー光LとしてCWレーザー光または疑似CWレーザー光を使用する構成としている。従って、エキシマレーザー等に比べて大粒径の結晶粒が得られるため、より高移動度を有する薄膜トランジスタを得ることができる。
【0088】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図15は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。なお、上記第1の実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。また、半導体装置については、上述の第1の実施形態において説明したものと同様であるため、ここでは詳しい説明を省略する。また、本実施形態においても、半導体素子として、能動素子であるTFTと光センサーであるフォトダイオードを例に挙げて説明するとともに、半導体装置として、TFTとフォトダイオードを有する液晶表示装置について説明する。
【0089】
本実施形態においては、図15に示すように、液晶表示装置50のTFT基板1に設けられたTFT12は、半導体膜5の下方にゲート電極7を設けた、いわゆるボトムゲート構造を有するTFTであって、基板2上に、ベースコート膜3、ゲート電極7、ゲート絶縁膜6、半導体膜5,20、及び層間絶縁膜8がこの順に積層された構造を有するものである。なお、図示はしないが、TFT12は、チャネル領域22とソース領域23の間、及びチャネル領域22とドレイン領域24の間に、各々低濃度不純物領域を設けたLDD構造のTFTとしても良い。
【0090】
より具体的には、図15に示すように、TFT基板1は、基板2の表面上に形成されたベースコート膜3と、ベースコート膜3上に形成されたゲート電極7及び遮光膜28と、ゲート電極7及び遮光膜28を覆うようにベースコート膜3上に積層されたゲート絶縁膜6と、ゲート絶縁膜6の表面上に形成された電極層である半導体膜5,20と、半導体膜5,20を覆うようにゲート絶縁膜6の表面上に形成された層間絶縁膜8とを有している。また、ゲート電極7は半導体膜5の下方に配置され、遮光膜28は半導体膜20の下方に配置されている。
【0091】
そして、本実施形態においても、上述の図3(a)及び(b)に示すように、アモルファスシリコン膜等の非晶質シリコン膜30にレーザー光を走査照射して多結晶化することにより、半導体膜20を構成するポリシリコン膜を形成する際に、フォトダイオード15を構成するポリシリコン膜を形成する非晶質シリコン膜30において、遮光膜28の周縁に対応した部分Aの厚みWが、遮光膜28の周縁以外に対応した部分Bの厚みWより厚い(即ち、W<W)点に特徴がある。
【0092】
このような構成により、上述の図3(c)及び(d)において説明したように、アモルファスシリコン膜等の非晶質シリコン膜30にレーザー光Lを走査照射して多結晶化することにより、半導体膜20を構成するポリシリコン膜29を形成する場合に、当該ポリシリコン膜29の下方に遮光膜28を設けた場合であっても、遮光膜28の周縁に対応した部分Aのポリシリコン膜29の厚みが厚いため、ポリシリコン膜29における遮光膜28の周縁に対応して形成された段差部分において、ポリシリコン膜29の膜厚が薄くなることを防止することができる。従って、上述の第1の実施形態の場合と同様に、アモルファスシリコン膜をレーザー光Lにより完全に溶融させた状態で、レーザー光Lの走査方向に引き延ばしてラテラル結晶成長させてポリシリコン膜29を形成する場合であっても、ポリシリコン膜29における段切れや膜剥がれの発生を確実に防止することができる。
【0093】
また、フォトダイオード15を構成する半導体膜20を形成するポリシリコン膜29の厚みが薄い(即ち、フォトダイオード15を構成する半導体膜20において、遮光膜28の周縁以外に対応した部分Eの厚みWが薄い)ため、フォトダイオード15における暗電流の増大を効果的に抑制して、トレードオフの発生を防止することができる。
【0094】
また、本実施形態においては、TFT12は、半導体膜5の下方にゲート電極7を設けた、いわゆるボトムゲート構造を有するTFTであるため、ゲート電極7と遮光膜28とを同一の製造工程で形成することが可能になる。従って、上述の第1の実施形態において説明したトップゲート構造を有するTFT12を備える液晶表示装置を製造する場合に比し、製造工程数を削減することが可能になる。
【0095】
次に、液晶表示装置50の製造方法の一例について説明する。図16〜図24は、本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【0096】
<ベースコート膜形成工程>
まず、図16に示すように、ガラス基板やプラスチック基板等の基板2上に、CVD法等の方法により、例えば、酸化シリコンからなるベースコート膜3を形成する。
【0097】
<遮光膜・ゲート電極形成工程>
次いで、図17に示すように、ベースコート膜3上に、スパッタ法、または陽極酸化法により、タングステン(W)等の金属材料を製膜して導電膜70を製膜した後、フォトリソグラフィー及びエッチングで導電膜70をパターニングすることにより、図18に示すように、ベースコート膜3の表面上に、例えば、膜厚が50〜300nm程度の遮光膜28を形成するとともに、例えば、膜厚が50〜300nm程度のゲート電極7を形成する。
【0098】
このように本実施形態においては、遮光膜28の形成とゲート電極7の形成とが同時に行われ、ゲート電極7と遮光膜28とを同一の製造工程で形成することが可能になるため、製造工程数を削減することが可能になる。
【0099】
なお、上述の第1の実施形態に場合と同様に、導電膜70のパターニングをドライエッチングにより行い、図18に示すように、テーパ形状を有する遮光膜28を形成しても良いし、導電膜70のパターニングをウェットエッチングにより行い、逆テーパ形状を有する遮光膜を形成しても良い。
【0100】
<ゲート絶縁膜形成工程>
次いで、図19に示すように、遮光膜28とゲート電極7を覆うように、ベースコート膜3上に、例えば、CVD法により、酸化シリコンからなる膜厚が30〜150nm程度のゲート絶縁膜6を形成し、遮光膜28とゲート電極7を被覆する。
【0101】
<シリコン膜形成工程>
次いで、図20に示すように、ゲート絶縁膜6上であって、遮光膜28及びゲート電極7の上方に、プラズマCVD法、またはLPCVD(Low Pressure CVD)法により、非晶質シリコン膜(例えば、アモルファスシリコン膜)30を形成する。この時、後工程のポリシリコン膜形成工程のレーザー走査照射において、遮光膜28の周縁部の段差部分でポリシリコン膜の段切れが起こらないように、全面に予め厚く非晶質シリコン膜30を形成しておく。なお、非晶質シリコン膜30の厚みは、例えば、50〜200nmである。
【0102】
<シリコン膜薄膜化工程>
次いで、図21に示すように、フォトダイオード15を構成するポリシリコン膜を形成する非晶質シリコン膜30において、遮光膜28の周縁以外に対応した部分Bの厚みWが、遮光膜28の周縁に対応した部分Aの厚みWより薄く(即ち、W<W)なるように、フォトリソグラフィー及びエッチングを用い、予め全面に厚く形成した非晶質シリコン膜30の一部を薄膜化する。なお、厚みWとしては、例えば、20〜100nmとすることができる。
【0103】
<ポリシリコン膜形成工程>
次いで、非晶質シリコン膜30に対し、上述の図3(c)及び(d)に示すように、線状のレーザー光Lを走査照射して、非晶質シリコン膜30を多結晶化させてポリシリコン膜29を形成する。非晶質シリコン膜30は、レーザー光Lの走査方向に沿ってラテラル結晶成長し、ポリシリコン膜29が得られる。なお、レーザーのパワーを下げて照射することで、非晶質シリコン膜30を微結晶化し、ポリシリコン膜29の代わりに微結晶シリコン膜を形成する構成としても良い。
【0104】
この際、上述のごとく、ポリシリコン膜29の下方に遮光膜28を設けた場合であっても、遮光膜28の周縁に対応した部分Aのポリシリコン膜29の厚みWが厚いため、ポリシリコン膜29における遮光膜28の周縁に対応して形成された段差部分において、ポリシリコン膜29の膜厚が薄くなることを防止することができる。従って、ポリシリコン膜29における段切れや膜剥がれの発生を確実に防止することができる。
【0105】
次いで、図22に示すように、フォトリソグラフィー及びエッチングにより、ポリシリコン膜29をパターニングする。この際、上述のごとく、ポリシリコン膜29における段切れや膜剥がれの発生が確実に防止されるため、段切れや膜剥がれに起因するパターン欠け等の発生を防止することができる。
【0106】
なお、図22に示すパターニングを行う際に、ポリシリコン膜29において、遮光膜28の周縁に対応した部分Aを完全に除去することにより、フォトダイオード15を構成する半導体膜20において、厚みが均一(即ち、上述した遮光膜28の周縁に対応した部分Dの厚みWと、遮光膜28の周縁以外に対応した部分Eの厚みWが同じ)になることがあり得る。
【0107】
<半導体膜形成工程>
次いで、上述の第1の実施形態に場合と同様に、TFT12のアクティブ層を構成する半導体膜5を形成するポリシリコン膜29に不純物イオンをドーピングして、閾値が制御されたチャネル領域22を形成する。次に、ソース領域、ドレイン領域を形成するために、フォトリソグラフィー法により形成したレジストをマスクとして、ポリシリコン膜29に不純物をドーピングした後、加熱処理によってその不純物を活性化させる。その結果、図23に示すように、チャネル領域22、ソース領域23、及びドレイン領域24として構成され、TFT12のアクティブ層を構成する半導体膜5が形成されるとともに、P型半導体膜25、N型半導体膜26、及びI層27として構成され、フォトダイオード15を構成する半導体膜20が形成される。また、上述の第1の実施形態の場合と同様に、図示は省略するが、上述のシングルドレイン構造のTFT作成方法以外に、一般的な方法で、チャネル領域22とソース領域23の間、及びチャネル領域22とドレイン領域24の間に、各々低濃度不純物領域を設けたLDD構造のTFTとしても良い。具体的には、ソース領域23とドレイン領域24を形成する前に、レジストをマスクとして低濃度のイオンドーピングを行い、ゲート両端近傍に低濃度不純物領域を形成し、その後、新たなレジストをマスクとして低濃度領域の外側に高濃度のイオンドーピングを行ってソース領域23とドレイン領域を形成することで、チャネル領域22とソース領域23の間、及びチャネル領域22とドレイン領域24の間に、各々低濃度不純物領域を設けたLDD構造のTFTを形成することができる。
【0108】
<層間絶縁膜形成工程>
次いで、図24に示すように、半導体膜5,20を覆うように、ゲート絶縁膜6上に、例えば、CVD法により、酸化シリコンからなる層間絶縁膜8を形成し、半導体膜5,20を被覆する。
【0109】
<コンタクトホール・電極形成工程>
次いで、層間絶縁膜8に対して、エッチングを行うことにより、コンタクトホール9,10,16,17を同時に形成し、コンタクトホール9,10,16,17の各々の内部に導電性材料を充填して導電性部材11を形成するとともに、層間絶縁膜8の表面に積層させて形成した導電性材料をパターニングすることによって、コンタクトホール9,10,16,17を介して、半導体膜5,20の各々に接続されるソース電極13、ドレイン電極14、アノード電極18、及びカソード電極19が形成され、図15に示すTFT基板1が製造されることになる。
【0110】
<貼合体形成工程>
そして、製造したTFT基板1と対向基板35を、シール部材(不図示)及び液晶層45を介して互いに貼り合わせることにより、図1(a),(b)に示す液晶表示装置50が製造されることになる。
【0111】
以上に説明した本実施形態によれば、上述の(1)〜(2)、及び(4)の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0112】
(5)本実施形態においては、ベースコート膜3上にTFT12用のゲート電極7を形成するゲート電極形成工程を更に備え、遮光膜形成工程とゲート電極形成工程とを同時に行う構成としている。従って、フォトダイオード15とボトムゲート構造を有するTFT12を備える液晶表示装置50の製造方法において、歩留まりの低下を防止できる液晶表示装置50を提供することが可能になる。
【0113】
(6)また、遮光膜28の形成とゲート電極7の形成とが同時に行われ、ゲート電極7と遮光膜28とを同一の製造工程で形成することが可能になるため、製造工程数を削減することが可能になる。
【0114】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図25は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。また、図26(a)及び(b)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置における非晶質シリコン膜薄膜化工程を説明するための図であり、図26(c)及び(d)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置におけるポリシリコン膜形成工程を説明するための図である。
【0115】
なお、上記第1の実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。また、半導体装置については、上述の第1の実施形態において説明したものと同様であるため、ここでは詳しい説明を省略する。また、本実施形態においても、半導体素子として、能動素子であるTFTと光センサーであるフォトダイオードを例に挙げて説明するとともに、半導体装置として、TFTとフォトダイオードを有する液晶表示装置について説明する。
【0116】
本実施形態においては、図25に示すように、液晶表示装置50のTFT基板1に設けられたTFT12が、上述の第1の実施形態の場合と同様に、半導体膜5の上方にゲート電極7を設けた、いわゆるトップゲート構造を有するTFTであって、TFT基板1の構造は、上述の第1の実施形態における図2に示したTFT基板1と同様である。
【0117】
そして、本実施形態においては、図26(a)及び(b)に示すように、フォトダイオード15を構成するポリシリコン膜を形成する非晶質シリコン膜30において、遮光膜28の周縁に対応した部分Aの厚みWが、遮光膜28の周縁以外に対応した部分Bの厚みWより厚いとともに、TFT12のチャネル領域22を構成するポリシリコン膜を形成する部分Cの非晶質シリコン膜30を薄膜化する構成としている。即ち、図25に示すように、TFT12のチャネル領域22を構成する半導体膜5の厚みを、TFT12のソース領域23及びドレイン領域24を構成する半導体膜5の厚みよりも薄くする構成としている。なお、TFT12のチャネル領域22を構成するポリシリコン膜を形成する部分Cの非晶質シリコン膜30の厚みWは、例えば、フォトダイオード15を構成するポリシリコン膜を形成する部分Bの非晶質シリコン膜30の厚みWと同じ(W=W)構成とすることができる。
【0118】
このような構成により、図26(c)及び(d)に示すように、上述の第1の実施形態の場合と同様に、アモルファスシリコン膜等の非晶質シリコン膜30にレーザー光Lを走査照射して多結晶化することにより、半導体膜20を構成するポリシリコン膜29を形成する場合に、当該ポリシリコン膜29の下方に遮光膜28を設けた場合であっても、遮光膜28の周縁に対応した部分Aのポリシリコン膜29の厚みが厚いため、ポリシリコン膜29における遮光膜28の周縁に対応して形成された段差部分において、ポリシリコン膜29の膜厚が薄くなることを防止することができる。従って、アモルファスシリコン膜をレーザー光Lにより完全に溶融させた状態で、レーザー光Lの走査方向に引き延ばしてラテラル結晶成長させてポリシリコン膜29を形成する場合であっても、ポリシリコン膜29における段切れや膜剥がれの発生を確実に防止することができる。
【0119】
また、フォトダイオード15を構成する半導体膜20を形成するポリシリコン膜29の厚みが薄い(即ち、フォトダイオード15を構成する半導体膜20において、遮光膜28の周縁以外に対応した部分Eの厚みWが薄い)ため、フォトダイオード15における暗電流の増大を効果的に抑制して、トレードオフの発生を防止することができる。
【0120】
また、TFT12のチャネル領域22を構成するポリシリコン膜を形成する部分Cの薄膜化と、フォトダイオード15を構成するポリシリコン膜を形成する部分Bの薄膜化を同時に行うことができるので、工程数を増やすことなく、TFT12とフォトダイオード15を有する低消費電力の液晶表示装置1を製造することが可能になる。
【0121】
次に、液晶表示装置50の製造方法の一例について説明する。
【0122】
まず、上述の第1の実施形態における図4〜図8と同様の工程を行い、ベースコート膜3、遮光膜28、ベース絶縁膜4、及び非晶質シリコン膜30を順次形成する。この時、後工程のポリシリコン膜形成工程のレーザー走査照射において、遮光膜28の周縁部の段差部分でポリシリコン膜の段切れが起こらないように、全面に予め厚く非晶質シリコン膜30を形成しておく。
【0123】
次いで、上述の図26(b)に示すように、フォトリソグラフィー及びエッチングを用い、フォトダイオード15を構成するポリシリコン膜を形成する非晶質シリコン膜30における遮光膜28の周縁以外に対応した部分B、及びTFT12のチャネル領域22を構成するポリシリコン膜を形成する部分Cの非晶質シリコン膜30を薄膜化する。ここで、フォトダイオード15を構成するポリシリコン膜を形成する非晶質シリコン膜30において、遮光膜28の周縁以外に対応した部分Bの厚みWが、遮光膜28の周縁に対応した部分Aの厚みWより薄く(即ち、W<W)なるように、予め全面に厚く形成した非晶質シリコン膜30の一部を薄膜化する。なお、厚みW、Wとしては、例えば、20〜100nmとすることができる。また、部分B及び部分Cは同時に薄膜化しても良いし、各々最適な膜厚になるように別個に薄膜化しても良い。
【0124】
<ポリシリコン膜形成工程>
次いで、非晶質シリコン膜30に対し、上述の図26(c)及び(d)に示すように、線状のレーザー光Lを走査照射して、非晶質シリコン膜30を多結晶化させてポリシリコン膜29を形成する。非晶質シリコン膜30は、レーザー光Lの走査方向に沿ってラテラル結晶成長し、ポリシリコン膜29が得られる。
【0125】
この際、上述のごとく、ポリシリコン膜29の下方に遮光膜28を設けた場合であっても、遮光膜28の周縁に対応した部分Aのポリシリコン膜29の厚みWが厚いため、ポリシリコン膜29における遮光膜28の周縁に対応した部分Aに段差が形成されない。従って、ポリシリコン膜29における段切れや膜剥がれの発生を確実に防止することができる。
【0126】
その後、上述の第1の実施形態における図10〜図14と同様の工程を行うとともに、第1の実施形態において説明したコンタクトホール・電極形成工程を行うことにより、図25に示すTFT基板1が製造されることになる。
【0127】
なお、本実施形態においても、上述の第1の実施形態の場合と同様に、図10に示すパターニングを行う際に、ポリシリコン膜29において、遮光膜28の周縁に対応した部分Aを完全に除去することにより、フォトダイオード15を構成する半導体膜20において、厚みが均一(即ち、上述した遮光膜28の周縁に対応した部分Dの厚みWと、遮光膜28の周縁以外に対応した部分Eの厚みWが同じ)になることがあり得る。
【0128】
そして、製造したTFT基板1と対向基板35を、シール部材(不図示)及び液晶層45を介して互いに貼り合わせることにより、図1(a),(b)に示す液晶表示装置50が製造されることになる。
【0129】
以上に説明した本実施形態によれば、上述の(1)〜(4)の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0130】
(7)本実施形態においては、TFT12のチャネル領域22を構成するポリシリコン膜29を形成する部分Cの非晶質シリコン膜30を薄膜化する構成としている。従って、非晶質シリコン膜30にレーザー光Lを走査照射して多結晶化することにより、TFT12のチャネル領域22を構成するポリシリコン膜29を形成する場合に、当該ポリシリコン膜29の厚みが薄いため、TFT12のリーク電流を低減することが可能になる。また、TFT12のチャネル領域22を構成するポリシリコン膜を形成する部分Cの薄膜化と、フォトダイオード15を構成するポリシリコン膜を形成する部分Bの薄膜化を同時に行うことができるので、工程数を増やすことなく、トップゲート構造を有するTFT12とフォトダイオード15とを備える低消費電力の液晶表示装置1を製造することが可能になる。
【0131】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図27は、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。また、図28(a)及び(b)は、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置における非晶質シリコン膜薄膜化工程を説明するための図であり、図28(c)及び(d)は、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置におけるポリシリコン膜形成工程を説明するための図である。
【0132】
なお、上記第2の実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。また、半導体装置については、上述の第1の実施形態において説明したものと同様であるため、ここでは詳しい説明を省略する。また、本実施形態においても、半導体素子として、能動素子であるTFTと光センサーであるフォトダイオードを例に挙げて説明するとともに、半導体装置として、TFTとフォトダイオードを有する液晶表示装置について説明する。
【0133】
本実施形態においては、図27に示すように、液晶表示装置50のTFT基板1に設けられたTFT12が、上述の第2の実施形態の場合と同様に、半導体膜5の下方にゲート電極7を設けた、いわゆるボトムゲート構造を有するTFTであって、TFT基板1の構造は、上述の第2の実施形態における図15に示したTFT基板1と同様である。
【0134】
そして、本実施形態においては、図28(a)及び(b)に示すように、フォトダイオード15を構成するポリシリコン膜を形成する非晶質シリコン膜30において、遮光膜28の周縁以外に対応した部分Bの厚みWを、遮光膜28の周縁に対応した部分Aの厚みWより薄くするとともに、TFT12のチャネル領域22を構成するポリシリコン膜を形成する部分Cの非晶質シリコン膜30を薄膜化する構成としている。即ち、図27に示すように、TFT12のチャネル領域22を構成する半導体膜5の厚みを、TFT12のソース領域23及びドレイン領域24を構成する半導体膜5の厚みよりも薄くする構成としている。なお、TFT12のチャネル領域22を構成するポリシリコン膜を形成する部分Cの非晶質シリコン膜30の厚みWは、例えば、フォトダイオード15を構成するポリシリコン膜を形成する部分Bの非晶質シリコン膜30の厚みWと同じ(W=W)構成とすることができる。
【0135】
このような構成により、図28(c)及び(d)に示すように、上述の第1の実施形態の場合と同様に、アモルファスシリコン膜等の非晶質シリコン膜30にレーザー光Lを走査照射して多結晶化することにより、半導体膜20を構成するポリシリコン膜29を形成する場合に、当該ポリシリコン膜29の下方に遮光膜28を設けた場合であっても、遮光膜28の周縁に対応した部分Aのポリシリコン膜29の厚みが厚いため、ポリシリコン膜29における遮光膜28の周縁に対応して形成された段差部分において、ポリシリコン膜29の膜厚が薄くなることを防止することができる。従って、アモルファスシリコン膜をレーザー光Lにより完全に溶融させた状態で、レーザー光Lの走査方向に引き延ばしてラテラル結晶成長させてポリシリコン膜29を形成する場合であっても、ポリシリコン膜29における段切れや膜剥がれの発生を確実に防止することができる。
【0136】
また、フォトダイオード15を構成する半導体膜20を形成するポリシリコン膜29の厚みが薄い(即ち、フォトダイオード15を構成する半導体膜20において、遮光膜28の周縁以外に対応した部分Eの厚みWが薄い)ため、フォトダイオード15における暗電流の増大を効果的に抑制して、トレードオフの発生を防止することができる。
【0137】
また、TFT12のチャネル領域22を構成するポリシリコン膜29を形成する部分Cの厚みWが薄いため、TFT12のリーク電流を低減することが可能になる。
【0138】
また、TFT12のチャネル領域22を構成するポリシリコン膜を形成する部分Cの薄膜化と、フォトダイオード15を構成するポリシリコン膜を形成する部分Bの薄膜化を同時に行うことができるので、工程を増やすことなく、TFT12とフォトダイオード15を有する低消費電力の液晶表示装置1を製造することが可能になる。
【0139】
次に、液晶表示装置50の製造方法の一例について説明する。
【0140】
まず、上述の第2の実施形態における図16〜図20と同様の工程を行い、ベースコート膜3、遮光膜28、ゲート絶縁膜6、及び非晶質シリコン膜30を順次形成する。この時、後工程のポリシリコン膜形成工程のレーザー走査照射において、遮光膜28の周縁部の段差部分でポリシリコン膜の段切れが起こらないように、全面に予め厚く非晶質シリコン膜30を形成しておく。
【0141】
次いで、上述の図28(b)に示すように、フォトリソグラフィー及びエッチングを用い、フォトダイオード15を構成するポリシリコン膜を形成する非晶質シリコン膜30における遮光膜28の周縁以外に対応した部分B、及びTFT12のチャネル領域22を構成するポリシリコン膜を形成する部分Cの非晶質シリコン膜30を薄膜化する。ここで、フォトダイオード15を構成するポリシリコン膜を形成する非晶質シリコン膜30において、遮光膜28の周縁以外に対応した部分Bの厚みWが、遮光膜28の周縁に対応した部分Aの厚みWより薄く(即ち、W<W)なるように、予め全面に厚く形成した非晶質シリコン膜30の一部を薄膜化する。なお、厚みW、Wとしては、例えば、20〜100nmとすることができる。また、部分B及び部分Cは同時に薄膜化しても良いし、各々最適な膜厚になるように別個に薄膜化しても良い。
【0142】
<ポリシリコン膜形成工程>
次いで、非晶質シリコン膜30に対し、上述の図28(c)及び(d)に示すように、線状のレーザー光Lを走査照射して、非晶質シリコン膜30を多結晶化させてポリシリコン膜29を形成する。非晶質シリコン膜30は、レーザー光Lの走査方向に沿ってラテラル結晶成長し、ポリシリコン膜29が得られる。
【0143】
この際、上述のごとく、ポリシリコン膜29の下方に遮光膜28を設けた場合であっても、遮光膜28の周縁に対応した部分Aのポリシリコン膜29の厚みWが厚いため、ポリシリコン膜29における遮光膜28の周縁に対応した部分Aに段差が形成されない。従って、ポリシリコン膜29における段切れや膜剥がれの発生を確実に防止することができる。
【0144】
その後、上述の第2の実施形態における図22〜図24と同様の工程を行うとともに、第1の実施形態において説明したコンタクトホール・電極形成工程を行うことにより、図27に示すTFT基板1が製造されることになる。
【0145】
なお、本実施形態においても、上述の第2の実施形態の場合と同様に、図22に示すパターニングを行う際に、ポリシリコン膜29において、遮光膜28の周縁に対応した部分Aを完全に除去することにより、フォトダイオード15を構成する半導体膜20において、厚みが均一(即ち、上述した遮光膜28の周縁に対応した部分Dの厚みWと、遮光膜28の周縁以外に対応した部分Eの厚みWが同じ)になることがあり得る。
【0146】
そして、製造したTFT基板1と対向基板2を、シール部材(不図示)及び液晶層45を介して互いに貼り合わせることにより、図1(a),(b)に示す液晶表示装置50が製造されることになる。
【0147】
以上に説明した本実施形態によれば、上述の(1)〜(2)、(4)〜(6)の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0148】
(8)本実施形態においては、TFT12のチャネル領域22を構成するポリシリコン膜を形成する部分Cの非晶質シリコン膜30を薄膜化する構成としている。従って、非晶質シリコン膜30にレーザー光Lを走査照射して多結晶化することにより、TFT12のチャネル領域22を構成するポリシリコン膜29を形成する場合に、当該ポリシリコン膜29の厚みが薄いため、TFT12のリーク電流を低減することが可能になる。また、TFT12のチャネル領域22を構成するポリシリコン膜を形成する部分Cの薄膜化と、フォトダイオード15を構成するポリシリコン膜を形成する部分Bの薄膜化を同時に行うことができるので、工程数を増やすことなく、ボトムゲート構造を有するTFT12とフォトダイオード15を有する低消費電力の液晶表示装置1を製造することが可能になる。
【0149】
なお、上記実施形態は以下のように変更しても良い。
【0150】
・上記実施形態においては、各画素40毎にフォトダイオード15を配置する構成としたが、図29に示すように、フォトダイオード15を複数(図29においては4個)の画素40毎に1個ずつ配置する構成としても良い。また、フォトダイオード15を表示領域36ではなく、額縁領域37に配置する構成としても良い。
【0151】
・上記実施形態において、層間絶縁膜8上に、例えば、スピンコート法により、感光性アクリル樹脂からなる有機膜を形成する構成としても良い。
【0152】
・上記実施形態においては、1つの遮光膜28の上方に1つのフォトダイオード15を設ける構成としたが、本発明はこれに限定されず、1つの遮光膜28の上方に複数のフォトダイオードを設ける構成としても良い。
【0153】
・上記実施形態においては、半導体素子として、トップゲート構造、及びボトムゲート構造を有するTFT12を例に挙げて説明したが、本発明の半導体素子はこれに限定されず、例えば、半導体膜を上下2つのゲート電極で挟んだダブルゲート構造を有するTFTであっても良い。
【0154】
・上記実施形態においては、半導体装置として、液晶表示装置を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、有機EL表示装置等の他の半導体装置にも同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0155】
以上に説明したように、本発明は、遮光膜を有する液晶表示装置等の半導体装置の製造方法及びその方法により製造された半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0156】
1 TFT基板(半導体装置)
2 基板
3 ベースコート膜
4 ベース絶縁膜
5 半導体膜
6 ゲート絶縁膜
7 ゲート電極
12 TFT(薄膜トランジスタ)
15 フォトダイオード(光センサー)
20 半導体膜
22 TFT基板のチャネル領域
28 遮光膜
29 ポリシリコン膜
30 非晶質シリコン膜
50 液晶表示装置
L レーザー光
W1 非晶質シリコン膜の厚み
W2 非晶質シリコン膜の厚み
W3 非晶質シリコン膜の厚み
W4 半導体膜の厚み
W5 半導体膜の厚み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成されたベースコート膜と、
前記ベースコート膜上に形成された遮光膜と、
前記遮光膜を覆うように前記ベースコート膜上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成され、光センサー及び薄膜トランジスタを構成する半導体膜と
を備える半導体装置であって、
前記光センサーを構成する前記半導体膜において、前記遮光膜の周縁に対応した部分の厚みが、前記遮光膜の周縁以外に対応した部分の厚みよりも厚いことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記半導体膜は前記薄膜トランジスタのアクティブ層を構成するとともに、
前記薄膜トランジスタは、前記半導体膜を覆うように前記絶縁膜上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体膜は前記薄膜トランジスタのアクティブ層を構成するとともに、前記絶縁膜はゲート絶縁膜として用いられ、
前記薄膜トランジスタは、前記ベースコート膜上に形成されたゲート電極を備え、前記ゲート電極は、前記絶縁膜に覆われていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記薄膜トランジスタのチャネル領域を構成する前記半導体膜の厚みが、前記薄膜トランジスタのソース領域及びドレイン領域を構成する前記半導体膜の厚みよりも薄いことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置を備えた液晶表示装置。
【請求項6】
前記半導体装置が、画素内に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記光センサーが、1つまたは複数の画素毎に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
光センサーを備える半導体装置の製造方法であって、
基板上にベースコート膜を形成するベースコート膜形成工程と、
前記ベースコート膜上に遮光膜を形成する遮光膜形成工程と、
前記遮光膜を覆うように前記ベースコート膜上に絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、
前記絶縁膜上であって、前記遮光膜の上方に、非晶質シリコン膜を形成する非晶質シリコン膜形成工程と、
前記光センサーを構成するポリシリコン膜を形成する前記非晶質シリコン膜において、前記遮光膜の周縁以外に対応した部分の厚みが、前記遮光膜の周縁に対応した部分の厚みより薄くなるように、前記非晶質シリコン膜を薄膜化するシリコン膜薄膜化工程と、
前記非晶質シリコン膜にレーザー光を走査して、非晶質シリコン膜を多結晶化させて前記ポリシリコン膜を形成するポリシリコン膜形成工程と
を少なくとも含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記ポリシリコン膜は、薄膜トランジスタのアクティブ層を構成するとともに、
前記ポリシリコン膜形成工程の後、前記ポリシリコン膜を覆うように、前記絶縁膜上にゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜形成工程と、
前記ゲート絶縁膜上に前記薄膜トランジスタ用のゲート電極を形成するゲート電極形成工程と
を更に備えることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記ポリシリコン膜は、薄膜トランジスタのアクティブ層を構成するとともに、
前記ベースコート膜上に、前記薄膜トランジスタ用のゲート電極を形成するゲート電極形成工程を更に備え、
前記遮光膜形成工程と前記ゲート電極形成工程とが同時に行われることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記シリコン膜薄膜化工程において、前記薄膜トランジスタのチャネル領域を構成する前記ポリシリコン膜を形成する部分の前記非晶質シリコン膜を薄膜化することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記レーザー光がCWレーザー光または疑似CWレーザー光であることを特徴とする請求項8〜請求項11のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2010−287593(P2010−287593A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137897(P2009−137897)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】