半導体装置及びそれを用いた電子機器
【課題】高機能化、多機能化及び付加価値化を実現した半導体装置の提供を課題とする。
【解決手段】基板上に、正確な周波数の信号を出力する回路(フェーズ・ロックド・ループ回路、PLL回路)を設けた半導体装置を提供する。PLL回路は、供給される信号を基に、一定の倍率の周波数の信号を出力する回路である。PLL回路は、位相比較器、ループフィルタ、電圧制御発振器及び分周器を含む。基板上にPLL回路を設けることにより、高機能化、多機能化及び高付加価値化を実現することができる。
【解決手段】基板上に、正確な周波数の信号を出力する回路(フェーズ・ロックド・ループ回路、PLL回路)を設けた半導体装置を提供する。PLL回路は、供給される信号を基に、一定の倍率の周波数の信号を出力する回路である。PLL回路は、位相比較器、ループフィルタ、電圧制御発振器及び分周器を含む。基板上にPLL回路を設けることにより、高機能化、多機能化及び高付加価値化を実現することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に設けられた薄膜トランジスタを含む半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、同一の絶縁表面上に様々な回路が集積された半導体装置の開発が進められている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−247373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、高機能化、多機能化及び付加価値化を実現した半導体装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、基板上に、正確な周波数の信号を出力する回路を設けた半導体装置を提供する。正確な周波数の信号を出力する回路は、例えば、フェーズ・ロックド・ループ回路(Phase Locked Loop回路、以下PLL回路と表記することがある)がある。PLL回路は、供給される信号を基に、一定の倍率の周波数の信号を出力する機能がある。このようなPLL回路を基板上に設ける本発明は、高機能化、多機能化及び高付加価値化を実現することができる。
【0005】
本発明の半導体装置は、基板上に、電圧制御発振器が設けられている。そして、電圧制御発振器は、直列に接続された第1のNチャネル型薄膜トランジスタ及び第1のPチャネル型薄膜トランジスタを複数含む第1の回路と、第1のNチャネル型薄膜トランジスタと直列に接続された第2のNチャネル型薄膜トランジスタを複数含む第2の回路と、第1のPチャネル型薄膜トランジスタと直列に接続された第2のPチャネル型薄膜トランジスタを複数含む第3の回路と、直列に接続された第3のNチャネル型薄膜トランジスタ及び第3のPチャネル型薄膜トランジスタを含む第4の回路を有する。
【0006】
上記の構成の半導体装置において、第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。第3のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、第3のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。
【0007】
また、上記の構成の半導体装置において、第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と第3のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、低電位電源に接続されている。第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と第3のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、高電位電源に接続されている。つまり、第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と第3のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、一定の電位(低電位)に保たれている。第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と第3のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、一定の電位(高電位)に保たれている。
【0008】
また、上記の構成の半導体装置において、第1の回路、第2の回路及び第3の回路には、Pチャネル型薄膜トランジスタとNチャネル型薄膜トランジスタの一方又は両方が複数設けられているが、本発明はその構成に制約されず、各回路に、Pチャネル型薄膜トランジスタとNチャネル型薄膜トランジスタの一方又は両方をそれぞれ1つ設けてもよい。
【0009】
上記の構成の半導体装置において、第2のNチャネル型薄膜トランジスタは、第1のNチャネル型薄膜トランジスタと低電位電源との導通を制御し、第2のPチャネル型薄膜トランジスタは、第1のPチャネル型薄膜トランジスタと高電位電源との導通を制御する。第2のNチャネル型薄膜トランジスタと第3のNチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧は、第1のNチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも低い。そして、第2のNチャネル型薄膜トランジスタのゲートと第3のNチャネル型薄膜トランジスタのゲートに第1の信号が入力されると、第1のNチャネル型薄膜トランジスタと第1のPチャネル型薄膜トランジスタの互いに接続されたノードから第2の信号を出力する。
【0010】
なお、薄膜トランジスタのノードとは、ゲート、ソース、ドレインの3つのノードを指す。第1のNチャネル型薄膜トランジスタと第1のPチャネル型トランジスタの互いに接続されたノードとは、第1のNチャネル型薄膜トランジスタのソースと第1のPチャネル型薄膜トランジスタのドレインに相当する。また、第1のNチャネル型薄膜トランジスタと第1のPチャネル型薄膜トランジスタの互いに接続されたノードとは、第1のNチャネル型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方と第1のPチャネル型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に相当する。
【0011】
上記の構成の半導体装置において、第2のN型トランジスタと第3のN型トランジスタのチャネル長は、第1のN型トランジスタのチャネル長よりも小さい(短い)。また、第2のN型トランジスタと第3のN型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域における、N型を付与する不純物元素の濃度は、第1のN型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域における濃度よりも高い。また、第2のN型トランジスタと第3のN型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域における、P型を付与する不純物元素の濃度は、第1のN型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域における濃度よりも低い。
【0012】
本発明の半導体装置は、基板上に、電圧制御発振器が設けられている。そして、電圧制御発振器は、直列に接続された第1のNチャネル型薄膜トランジスタ及びPチャネル型薄膜トランジスタを複数含む第1の回路と、第1のNチャネル型薄膜トランジスタと直列に接続された第2のNチャネル型薄膜トランジスタを複数含む第2の回路を有する。
【0013】
上記の構成の半導体装置において、第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、P型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。
【0014】
また、上記の構成の半導体装置において、第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、低電位電源に接続されている。また、P型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、高電位電源に接続されている。つまり、第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、一定の電位(低電位)に保たれている。P型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、一定の電位(高電位)に保たれている。
【0015】
また、上記の構成の半導体装置において、第1の回路と第2の回路には、Pチャネル型薄膜トランジスタとNチャネル型薄膜トランジスタの一方又は両方が複数設けられているが、本発明はその構成に制約されず、各回路に、Pチャネル型薄膜トランジスタとNチャネル型薄膜トランジスタの一方又は両方をそれぞれ1つ設けてもよい。
【0016】
上記の構成の半導体装置において、第2のNチャネル型薄膜トランジスタは、第1のNチャネル型薄膜トランジスタと低電位電源との導通を制御する。第2のNチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧は、第1のNチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも低い。そして、第2のNチャネル型薄膜トランジスタのゲートに第1の信号が入力されると、第1のNチャネル型薄膜トランジスタとPチャネル型薄膜トランジスタの互いに接続されたノードから第2の信号を出力する。
【0017】
上記の構成の半導体装置において、第2のN型トランジスタのチャネル長は、第1のN型トランジスタのチャネル長よりも小さい(短い)。また、第2のN型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域におけるN型を付与する不純物元素の濃度は、第1のN型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域における濃度よりも高い。また、第2のN型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域におけるP型を付与する不純物元素の濃度は、第1のN型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域における濃度よりも低い。
【0018】
本発明の半導体装置は、基板上に、電圧制御発振器が設けられている。そして、電圧制御発振器は、直列に接続された第1のNチャネル型薄膜トランジスタ及び第1のPチャネル型薄膜トランジスタを複数含む第1の回路と、第1のNチャネル型薄膜トランジスタと直列に接続された第2のNチャネル型薄膜トランジスタを複数含む第2の回路と、第1のPチャネル型薄膜トランジスタと直列に接続された第2のPチャネル型薄膜トランジスタを複数含む第3の回路と、直列に接続された第3のNチャネル型薄膜トランジスタ及び第3のPチャネル型薄膜トランジスタを含む第4の回路を有する。
【0019】
上記構成の半導体装置において、第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。第3のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、第3のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。
【0020】
上記構成の半導体装置において、第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と第3のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、低電位電源に接続されている。第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と第3のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、高電位電源に接続されている。つまり、第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と第3のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、一定の電位(低電位)に保たれている。第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と第3のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、一定の電位(高電位)に保たれている。
【0021】
また、上記の構成の半導体装置において、第1の回路、第2の回路及び第3の回路には、Pチャネル型薄膜トランジスタとNチャネル型薄膜トランジスタの一方又は両方が複数設けられているが、本発明はその構成に制約されず、各回路に、Pチャネル型薄膜トランジスタとNチャネル型薄膜トランジスタの一方又は両方をそれぞれ1つ設けてもよい。
【0022】
上記の構成の半導体装置において、第2のNチャネル型薄膜トランジスタは、第1のNチャネル型薄膜トランジスタと低電位電源との導通を制御し、第2のPチャネル型薄膜トランジスタは、第1のPチャネル型薄膜トランジスタと高電位電源との導通を制御する。第2のPチャネル型薄膜トランジスタと第3のPチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧は、第1のPチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも高い。そして、第2のPチャネル型薄膜トランジスタのゲートと第3のPチャネル型薄膜トランジスタのゲートに第1の信号が入力されると、第1のNチャネル型薄膜トランジスタと第1のPチャネル型薄膜トランジスタの互いに接続されたノードから第2の信号を出力する。
【0023】
上記の構成の半導体装置において、第2のP型トランジスタと第3のP型トランジスタのチャネル長は、第1のP型トランジスタのチャネル長よりも小さい(短い)。また、第2のP型トランジスタと第3のP型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域におけるP型を付与する不純物元素の濃度は、第1のP型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域における濃度よりも高い。また、第2のP型トランジスタと第3のP型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域の、N型を付与する不純物元素の濃度は、第1のP型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域における濃度よりも低い。
【0024】
本発明の半導体装置は、基板上に、電圧制御発振器が設けられており、電圧制御発振器は、直列に接続されたNチャネル型薄膜トランジスタ及び第1のPチャネル型薄膜トランジスタを複数含む第1の回路と、第1のPチャネル型薄膜トランジスタと直列に接続された第2のPチャネル型薄膜トランジスタを複数含む第2の回路を有する。
【0025】
上記構成の半導体装置において、第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、N型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。
【0026】
上記構成の半導体装置において、第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、高電位電源に接続されている。N型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、低電位電源に接続されている。つまり、第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、一定の電位に保たれている。N型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、一定の電位に保たれている。
【0027】
また、上記の構成の半導体装置において、第1の回路と第2の回路には、Pチャネル型薄膜トランジスタとNチャネル型薄膜トランジスタの一方又は両方が複数設けられているが、本発明はその構成に制約されず、各回路に、Pチャネル型薄膜トランジスタとNチャネル型薄膜トランジスタの一方又は両方をそれぞれ1つ設けてもよい。
【0028】
上記の構成の半導体装置において、第2のPチャネル型薄膜トランジスタは、第1のPチャネル型薄膜トランジスタと高電位電源との導通を制御する。第2のPチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧は、第1のPチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも高い。第2のPチャネル型薄膜トランジスタのゲートに第1の信号が入力されると、第1のNチャネル型薄膜トランジスタと第1のPチャネル型薄膜トランジスタの互いに接続されたノードから第2の信号を出力する。
【0029】
上記の構成の半導体装置において、第2のP型トランジスタのチャネル長は、第1のP型トランジスタのチャネル長よりも小さい(短い)。また、第2のP型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域におけるP型を付与する不純物元素の濃度は、第1のP型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域における濃度よりも高い。また、第2のP型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域におけるN型を付与する不純物元素の濃度は、第1のP型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域における濃度よりも低い。
【0030】
上記の構成において、本発明の半導体装置が含む基板は、ガラス又はプラスチックからなる。基板がガラスからなる場合、単結晶基板を用いる場合と比較すると、大量生産を可能とし、費用を削減することができる。また、基板がプラスチックからなる場合、薄型、軽量で、曲げることが可能であるためデザイン性に優れ、なおかつ、フレキシブルな形状への加工が容易である。
【0031】
また、本発明の半導体装置が含む基板上には、位相比較器、ループフィルタ及び分周器が設けられている。
【0032】
また、本発明の半導体装置が含む基板上には、アンテナが設けられている。従って、アンテナを活用して、電磁波の送信、受信又は送受信を行う半導体装置を提供することができる。
【0033】
また、本発明の半導体装置が含む基板上には、複数の画素を含む画素部が設けられており、複数の画素の各々は、液晶素子又は発光素子を有する。従って、画像を表示する機能をし、高機能化、多機能化及び高付加価値化を実現した半導体装置を提供することができる。
【0034】
また、本発明は、上記のいずれかの構成の半導体装置を用いた電子機器を提供する。
【0035】
なお、Nチャネル型薄膜トランジスタは、N型薄膜トランジスタと表記することがある。また、Pチャネル型薄膜トランジスタは、P型薄膜トランジスタと表記することがある。
【発明の効果】
【0036】
供給される信号の周波数を一定に保つ機能や供給される信号の周波数を制御する機能を有するPLL回路を基板上に設ける本発明は、高機能化、多機能化及び高付加価値化を実現した半導体装置を提供することができる。PLL回路の機能を活用することにより、例えば、入力される信号の周波数を高速化し、その高速化した周波数の信号を他の回路に供給すれば、他の回路の動作を高速にすることができる。また、PLL回路は、入力される信号の周波数が正確でない場合においても、平均周波数に同期させることによって、正確な周波数の信号を出力する機能を有しており、この機能を活用すれば、回路の動作エラーを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる。
【0038】
本発明の半導体装置の構成について、図1を参照して説明する。本発明の半導体装置は、位相比較器11、ループフィルタ12、電圧制御発振器(Voltage Controlled Oscillator、単にVCOともよぶ)13及び分周器14を有する。
【0039】
位相比較器11は、外部から入力される信号Fsと分周器14から入力される信号Fo/Nとの位相を比較する。ループフィルタ12は、位相比較器11から供給される信号から、交流成分を取り除いた信号を生成する。電圧制御発振器13は、ループフィルタ12から入力される信号Vinに基づき、信号Foを出力する。分周器14は、電圧制御発振器13から入力される信号FoをN分の1に分周した信号Fo/Nを出力する。
【0040】
なお、本発明の半導体装置は、電圧制御発振器13を有し、位相比較器11、ループフィルタ12及び分周器14は、用途に応じて、適宜設けられるものである。また、本発明の半導体装置は、その他の構成要素を有していてもよく、例えば、水晶発振器、プリスケーラ、スワローカウンタ等を有していてもよい。
【0041】
位相比較器11、ループフィルタ12、電圧制御発振器13及び分周器14は、同一の基板上に設けられている。位相比較器11、電圧制御発振器13及び分周器14は、少なくとも、薄膜トランジスタ、容量素子及び抵抗素子から選択された1つ又は複数を含む。ループフィルタ12は、少なくとも、抵抗素子と容量素子の一方又は両方を含む。
【0042】
基板は、ガラス又プラスチックからなる。基板がガラスからなる場合、単結晶基板を用いる場合と比較すると、大量生産を可能とし、費用を削減することができる。これは、単結晶基板は、円形で最大でも直径30センチ程度であり、ガラス基板などと比較すると高価であるためである。また、基板がプラスチックからなる場合、薄型、軽量で、曲げることが可能であるためデザイン性に優れ、フレキシブルな形状への加工が容易である。また、耐衝撃性に優れ、様々な物品に貼り付けたり、埋め込んだりすることが容易であり、多種多様な分野で活用することができる。なお、プラスチックとは、有機高分子物質の総称であり、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルアミド、ポリエーテルスルホン、アクリル、ポリ塩化ビニルデンなどである。
【0043】
次に、上記構成の半導体装置の等価回路について、図2を参照して説明する。位相比較器11は、単位回路21を有する。ループフィルタ12は、抵抗素子22、23と容量素子24、25を有する。図示するループフィルタ12は、ラグリードフィルタであるが、本発明はこの構成に制約されず、例えば、ラグフィルタなどの他の構成を用いてもよい。分周器14は、3つの単位回路26を有し、8分周回路である。なお、分周器14が有する単位回路26の個数は特に制約されない。
【0044】
なお、ラグリードフィルタとは、2つの抵抗素子と1つの容量素子で構成されたフィルタである。また、ラグフィルタとは、1つの抵抗素子と1つの容量素子で構成されたフィルタである。
【0045】
電圧制御発振器13は、直列に接続された第1のN型トランジスタ及び第1のP型トランジスタを複数含む回路120(第1の回路ともいう)、第1のN型トランジスタと直列に接続された第2のN型トランジスタを複数含む回路121(第2の回路ともいう)、第1のP型トランジスタと直列に接続された第2のP型トランジスタを複数含む回路122(第3の回路ともいう)、直列に接続された第3のN型トランジスタ及び第3のP型トランジスタを含む回路123(第4の回路ともいう)を有する。
【0046】
図示する構成では、回路120は、直列に接続された第1のN型トランジスタ141及び第1のP型トランジスタ131、直列に接続された第1のN型トランジスタ142及び第1のP型トランジスタ132、直列に接続された第1のN型トランジスタ143及び第1のP型トランジスタ133、直列に接続された第1のN型トランジスタ144及び第1のP型トランジスタ134、直列に接続された第1のN型トランジスタ145及び第1のP型トランジスタ135を有する。
【0047】
また、回路121は複数の第2のN型トランジスタ112〜116を有し、回路122は複数の第2のP型トランジスタ102〜106を有する。複数の第2のN型トランジスタ112〜116は、第1のN型トランジスタ141〜145と低電位電源(VSS)との導通を制御する。また、複数の第2のP型トランジスタ102〜106は、第1のP型トランジスタ131〜135と高電位電源(VDD)との導通を制御する。
【0048】
また、回路123は、第3のP型トランジスタ101と第3のN型トランジスタ111を有する。回路123は、ループフィルタ12と、回路121、122との導通を制御する回路である。
【0049】
なお、上記構成において、第2のP型トランジスタ102、第1のP型トランジスタ131、第1のN型トランジスタ141及び第2のN型トランジスタ112の直列に接続された4つのトランジスタを1段とすると、上記の構成は、5段の場合である。しかしながら、本発明は、この構成に制約されない。電圧制御発振器13は、3段以上の奇数段の構成とすればよい。
【0050】
また、第3のP型トランジスタ101のゲートと、第3のP型トランジスタ101のソース又はドレインの一方は互いに接続されており、第3のP型トランジスタ101のソース又はドレインの他方は高電位電源(VDD)に接続されている。また、第3のN型トランジスタ111のゲートは、ループフィルタ12に接続され、第3のN型トランジスタ111のソース又はドレインの一方は低電位電源(VSS)に接続されている。
【0051】
上記構成において、第2のN型トランジスタ112〜116と第3のN型トランジスタ111のしきい値電圧は、第1のN型トランジスタ141〜145や他の回路のN型トランジスタのしきい値電圧よりも低い。他の回路のN型トランジスタとは、位相比較器11と分周器14が含むN型トランジスタである。
【0052】
このように、第2のN型トランジスタ112〜116と第3のN型トランジスタ111のしきい値電圧が、第1のN型トランジスタ141〜145や他の回路のN型トランジスタのしきい値電圧よりも低くするためには、チャネル長を適当な値に設計する。具体的には、第2のN型トランジスタ112〜116と第3のN型トランジスタ111のチャネル長が、第1のN型トランジスタ141〜145や他の回路のN型トランジスタのチャネル長よりも小さく(短く)なるように設計する。
【0053】
または、第2のN型トランジスタ112〜116と第3のN型トランジスタ111の半導体層のチャネル形成領域の、N型を付与する不純物元素の濃度を、第1のN型トランジスタ141〜145や他の回路のN型トランジスタの半導体層のチャネル形成領域の濃度よりも高くなるように作製する。なお、N型を付与する不純物元素とは、リン(P)や砒素(As)に相当する。
【0054】
または、第2のN型トランジスタ112〜116と第3のN型トランジスタ111の半導体層のチャネル形成領域の、P型を付与する不純物元素の濃度を、第1のN型トランジスタ141〜145や他の回路のN型トランジスタの半導体層のチャネル形成領域の不純物元素の濃度よりも低くなるように作製する。なお、P型を付与する不純物元素とは、具体的には、ボロン(B)に相当する。
【0055】
上記構成を有する本発明では、電圧制御発振器13の性能を向上させることができる。具体的には、上記の電圧制御発振器13は、第2のN型トランジスタ112〜116、第3のN型トランジスタ111に信号Vinが入力されると、第1のN型トランジスタ145のソース又はドレインの一方と、第1のP型トランジスタ135のソース又はドレインの一方から、信号Foを出力する回路である。そして、本発明により、有効な信号Vinの範囲を拡大することができる。以下に、この効果について、電圧制御発振器13に入力される信号Vinと、電圧制御発振器13から出力される信号Foの関係のグラフを示す図6を参照して説明する。
【0056】
電圧制御発振器13に入力される信号Vinは、0〜VDD(VDDは高電位電源の電位とする)まで変化する。また、電圧制御発振器13に入力される信号Vinは、第2のN型トランジスタ112〜116と第3のN型トランジスタ111のゲート電極に入力される。従って、仮に、第2のN型トランジスタ112〜116と第3のN型トランジスタ111のしきい値電圧(VTH1)よりも、信号Vinの電圧値が小さい(低い)場合、出力信号が発振されないことがある(図6(B)参照)。また、電圧Vin(信号Vin)と信号Foの関係を示すグラフにおいて、特性の曲線に、傾きが急な部分ができてしまう。特性の曲線に、傾きが急な部分があると、出力する信号の周波数にバラツキが生じ易く、正常に動作しない場合が生じてしまう。
【0057】
このような不具合は、電圧制御発振器13が薄膜トランジスタにより構成される点、電圧制御発振器13がアナログの信号を処理する回路である点に起因する。つまり、薄膜トランジスタは、その特性(しきい値電圧や移動度など)にバラツキが生じる場合があるが、位相比較器11と分周器14は、デジタルの信号により制御されるため、薄膜トランジスタの特性のバラツキによる影響は受けにくい。しかしながら、電圧制御発振器13は、アナログの信号により制御されるため、薄膜トランジスタの特性のバラツキによる影響を受けやすい。
【0058】
そこで、上記構成を有する本発明では、第2のN型トランジスタ112〜116と第3のN型トランジスタ111のしきい値電圧が、他のトランジスタのしきい値電圧よりも低いことを特徴とする。つまり、上記構成を有する本発明では、第2のN型トランジスタ112〜116と第3のN型トランジスタ111のしきい値電圧(VTH2)が、信号Vinの電圧値よりも小さい(低い)ため、有効な信号Vinの範囲を拡大することができる(図6(A)参照)。また、特性の曲線に、傾きの急な部分がなくなり、出力する信号の周波数にバラツキが生じにくくなる。従って、電圧制御発振器13の性能の向上という優れた効果を奏する。
【0059】
続いて、上記の構成とは異なる電圧制御発振器13について、図3を参照して説明する。電圧制御発振器13は、回路120(第1の回路ともいう)と回路121(第2の回路ともいう)を有する。図2に示した構成と比較すると、第2のP型トランジスタ102〜106、第3のP型トランジスタ101及び第3のN型トランジスタ111を省略した構成としたものである。この構成は、素子の個数を少なくすることができるため、素子の占有面積の縮小による小型化や軽量化、素子数の削減による歩留まりの向上を実現することができる。
【0060】
次に、上記構成とは異なる電圧制御発振器13について、図4を参照して説明する。電圧制御発振器13は、回路120(第1の回路ともいう)、回路121(第2の回路ともいう)、回路123(第3の回路ともいう)を有する。図2に示した構成と比較すると、ループフィルタ12から供給される信号が、第2のP型トランジスタ102〜106と第3のP型トランジスタ101に入力されている点、第3のN型トランジスタ111のゲート電極とドレイン電極が互いに接続されている点が異なっている。
【0061】
次に、上記構成とは異なる電圧制御発振器13について、図5を参照して説明する。電圧制御発振器13は、回路120(第1の回路ともいう)と回路122(第2の回路ともいう)を有する。図4に示した構成と比較すると、第2のN型トランジスタ112〜116と第3のN型トランジスタ111を省略した構成としたものである。この構成は、素子の個数を少なくすることができるため、素子の占有面積の縮小による小型化や軽量化、素子数の削減による歩留まりの向上を実現することができる。
【0062】
上記の図4、5に示す構成において、第2のP型トランジスタ102〜106と第3のP型トランジスタ101のしきい値電圧は、第1のP型トランジスタ131〜135や他の回路のP型トランジスタのしきい値電圧よりも高いことを特徴とする。なお、他の回路のP型トランジスタとは、位相比較器11と分周器14が含むP型トランジスタである。
【0063】
このように、第2のP型トランジスタ102〜106と第3のP型トランジスタ101のしきい値電圧が、第1のP型トランジスタ131〜135や他の回路のP型トランジスタのしきい値電圧よりも高くするためには、チャネル長を適当な値に設計する。具体的には、第2のP型トランジスタ102〜106と第3のP型トランジスタ101のチャネル長が、第1のP型トランジスタ131〜135や他の回路のP型トランジスタのチャネル長よりも小さく(短く)なるように設計する。
【0064】
または、第2のP型トランジスタ102〜106と第3のP型トランジスタ101の半導体層が含むチャネル形成領域が含む不純物元素の濃度が、第1のP型トランジスタ131〜135や他の回路のP型トランジスタの半導体層が含むチャネル形成領域が含む不純物元素の濃度よりも高くなるように作製する。なお、不純物元素とは、P型を付与する元素であり、具体的には、ボロン(B)に相当する。
【0065】
または、第2のP型トランジスタ102〜106と第3のP型トランジスタ101の半導体層が含むチャネル形成領域が含む不純物元素の濃度が、第1のP型トランジスタ131〜135や他の回路のP型トランジスタの半導体層が含むチャネル形成領域が含む不純物元素の濃度よりも低くなるように作製する。なお、不純物元素とは、N型を付与する元素であり、具体的には、リン、砒素に相当する。
【0066】
なお、電圧制御発振器13が含むトランジスタは、高電位電源(VDD)と低電位電源(VSS)に接続されている。高電位電源と低電位電源は、電圧制御発振器13が設けられた基板と同じ基板上に設けられたものでもよいし、また、異なる基板上に設けられたものでもよい。なお、第1のNチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧が、第2のNチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも低いとは、第1のNチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧の絶対値が、第2のNチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧の絶対値よりも小さいことを指す。また、第1のPチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧が、第2のPチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも低いとは、第1のNチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧の絶対値が、第2のNチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧の絶対値よりも小さいことを指す。
【0067】
本実施の形態は、下記の実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例1】
【0068】
以下には、位相比較器11が含む単位回路21の構成について、図7を参照して説明する。単位回路21は、NOR回路221、トランジスタ222〜227を有する。また、単位回路21は、2つの入力端子(図面では1、2と表記)と1つの出力端子(図面では3と表記)を有する。
【0069】
単位回路21は、入力端子1と入力端子2の各々に同じ信号が入力されると、出力端子3から、Hレベルの信号を出力する。また、入力端子1と入力端子2の各々に異なる信号が入力されると、出力端子3から、Lレベルの信号を出力する。
【0070】
つまり、単位回路21は、入力端子1に入力される信号と入力端子2に入力される信号の位相を比較し、その結果に基づき、出力端子3から信号を出力する。なお、単位回路21の構成はこの構成に制約されず、他の公知の構成のものを用いてもよい。
【0071】
次に、分周器14が含む単位回路26の構成について、図8を参照して説明する。単位回路26は、インバータ回路200、NAND回路201〜207、インバータ回路208、209を有する。また、単位回路26は、4つの入力端子(図面では1、2、3、4と表記)と2つの出力端子(図面では5、6と表記)を有する。
【0072】
単位回路26は、NAND回路202、203からなるラッチ、NAND回路204、205からなるラッチ、NAND回路206、207からなるラッチの、合わせて3つのラッチを有する。そして、入力端子1からセット信号が入力され、入力端子2からデータ信号が入力され、入力端子3からクロック信号が入力され、入力端子4からリセット信号が入力されると、出力端子5からデータ信号を出力し、出力端子6からデータ信号を出力する。なお、上記の構成は、セット/リセット型のDフリップフロップ回路であるが、本発明はこの構成に制約されず、例えば、JKフリップフロップ回路、Tフリップフロップ回路を用いてもよい。
【0073】
なお、フリップフロップ(上記のようにフリップフロップ回路ともいう)は、RSフリップフロップ、Dフリップフロップ、JKフリップフロップ、Tフリップフロップ等がある。RSフリップフロップは、入力端子であるR端子及びS端子、出力端子であるQ端子を有する。Dフリップフロップは、入力端子であるD端子、出力端子であるQ端子を有する。JKフリップフロップは、入力端子であるJ端子及びK端子、出力端子であるQ端子を有する。Tフリップフロップは、入力端子であるT端子、出力端子であるQ端子を有する。
【実施例2】
【0074】
本発明の半導体装置の作製方法について、図面を参照して説明する。以下には、電圧制御発振器を構成する薄膜トランジスタだけでなく、記憶素子及びアンテナを含む半導体装置の構成について説明する。
【0075】
基板701(基体ともよぶ)の一表面に、剥離層702を形成する(図9(A)参照)。基板701は、絶縁表面を有する。基板701は、ガラス又はプラスチックからなる。基板701がガラスからなる場合は、その面積や形状に大きな制限はない。そのため、基板701として、例えば、1辺が1メートル以上であって、矩形状のものを用いれば、生産性を格段に向上させることができる。このような利点は、円形の単結晶シリコン基板を用いる場合と比較すると、大きな優位点である。また、基板701がプラスチックからなる場合、薄型、軽量で、曲げることが可能であるためデザイン性に優れ、フレキシブルな形状への加工が容易である。また、耐衝撃性に優れ、様々な物品に貼り付けたり、埋め込んだりすることが容易であり、多種多様な分野で活用することができる。また、基板701がプラスチックからなる場合、作製工程の処理温度に耐えうる耐熱性のプラスチックを用いる必要がある。後述するが、好適には、ガラスからなる基板701上に薄膜トランジスタを設けた後、当該薄膜トランジスタを剥離して、剥離した薄膜トランジスタをプラスチックからなる基板上に設けるとよい。
【0076】
上記の工程では、剥離層702は、基板701の全面に設けているが、必要に応じて、基板701の全面に剥離層702を設けた後に、フォトリソグラフィ法によりパターン加工して、選択的に設けてもよい。また、基板701に接するように剥離層702を形成しているが、必要に応じて、基板701に接するように下地となる絶縁層を形成し、当該絶縁層に接するように剥離層702を形成してもよい。
【0077】
剥離層702は、公知の手段(スパッタリング法やプラズマCVD法等)により、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、珪素(Si)から選択された元素または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる層を、単層又は積層して形成する。珪素を含む層の結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれの場合でもよい。
【0078】
次に、剥離層702を覆うように、下地となる絶縁層703を形成する。絶縁層703は、公知の手段(スパッタリング法やプラズマCVD法等)により、珪素の酸化物又は珪素の窒化物を含む層を、単層又は積層で形成する。珪素の酸化物材料とは、珪素(Si)と酸素(O)を含む物質であり、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素等が該当する。珪素の窒化物材料とは、珪素と窒素(N)を含む物質であり、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素等が該当する。下地となる絶縁層703は、基板701からの不純物の侵入を防止するブロッキング膜として機能する。
【0079】
次に、絶縁層703上に、非晶質半導体層704を形成する。非晶質半導体層704は、公知の手段(スパッタリング法、LPCVD法、プラズマCVD法等)により形成する。続いて、非晶質半導体層704を公知の結晶化法(レーザ結晶化法、RTA又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法とレーザ結晶化法を組み合わせた方法等)により結晶化して、結晶質半導体層を形成する。その後、得られた結晶質半導体層を所望の形状にパターン加工して、結晶質半導体層706〜710を形成する(図9(B)参照)。
【0080】
結晶質半導体層706〜710の作成工程の一例について、以下に説明する。まず、プラズマCVD法を用いて、非晶質半導体層を形成する。次に、結晶化を助長する金属元素であるニッケルを含む溶液を非晶質半導体層上に保持させた後、非晶質半導体層に脱水素化の処理(500℃、1時間)と、熱結晶化の処理(550℃、4時間)を行って結晶質半導体層を形成する。その後、必要に応じてレーザ光を照射し、フォトリソグラフィ法を用いたパターン加工処理によって結晶質半導体層706〜710を形成する。レーザ結晶化法で結晶質半導体層706〜710を形成する場合、連続発振またはパルス発振の気体レーザ又は固体レーザを用いる。
【0081】
なお、結晶化を助長する金属元素を用いて非晶質半導体層の結晶化を行うと、低温で短時間の結晶化が可能となるうえ、結晶の方向が揃うという利点がある一方、金属元素が結晶質半導体層に残存するためにオフ電流が上昇し、特性が安定しないという欠点がある。そこで、結晶質半導体層上に、ゲッタリングサイトとして機能する非晶質半導体層を形成するとよい。ゲッタリングサイトとなる非晶質半導体層には、リンやアルゴンの不純物元素を含有させる必要があるため、好適には、アルゴンを高濃度に含有させることが可能なスパッタリング法で形成するとよい。その後、加熱処理(RTA法やファーネスアニール炉を用いた熱アニール等)を行って、非晶質半導体層中に金属元素を拡散させ、続いて、当該金属元素を含む非晶質半導体層を除去する。そうすると、結晶質半導体層中の金属元素の含有量を低減又は除去することができる。
【0082】
次に、結晶質半導体層706〜710を覆うゲート絶縁層705を形成する。ゲート絶縁層705は、公知の手段(プラズマCVD法やスパッタリング法)により、珪素の酸化物又は珪素の窒化物を含む層を、単層又は積層して形成する。具体的には、酸化珪素を含む層、酸化窒化珪素を含む層、窒化酸化珪素を含む層を、単層又は積層して形成する。
【0083】
次に、ゲート絶縁層705上に、第1の導電層と第2の導電層を積層して形成する。第1の導電層は、公知の手段(プラズマCVD法やスパッタリング法)により、20〜100nmの厚さで形成する。第2の導電層は、公知の手段により、100〜400nmの厚さで形成する。
【0084】
第1の導電層と第2の導電層は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等から選択された元素又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成する。または、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素に代表される半導体材料により形成する。
【0085】
第1の導電層と第2の導電層の組み合わせの例を挙げると、窒化タンタル(TaN、タンタル(Ta)と窒素(N)の組成比は制約されない)層とタングステン(W)層、窒化タングステン(WN、タングステン(W)と窒素(N)の組成比は制約されない)層とタングステン層、窒化モリブデン(MoN、モリブデン(Mo)と窒素(N)の組成比は制約されない)層とモリブデン(Mo)層等が挙げられる。タングステンや窒化タンタルは、耐熱性が高いため、第1の導電層と第2の導電層を形成した後に、熱活性化を目的とした加熱処理を行うことができる。また、2層構造ではなく、3層構造の場合は、モリブデン層とアルミニウム層とモリブデン層の積層構造を採用するとよい。
【0086】
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスクを形成し、ゲート電極とゲート線を形成するためのエッチング処理を行って、ゲート電極として機能する導電層(ゲート電極層とよぶことがある)716〜725を形成する。
【0087】
次に、フォトリソグラフィ法により、レジストからなるマスクを形成して、結晶質半導体層706、708〜710に、イオンドープ法又はイオン注入法により、N型を付与する不純物元素を低濃度に添加して、N型不純物領域711、713〜715とチャネル形成領域780、782〜784を形成する。N型を付与する不純物元素は、15族に属する元素を用いれば良く、例えばリン(P)、砒素(As)を用いる。
【0088】
次に、フォトリソグラフィ法によりレジストからなるマスクを形成して、結晶質半導体層707に、P型を付与する不純物元素を添加して、P型不純物領域712とチャネル形成領域781を形成する。P型を付与する不純物元素は、例えばボロン(B)を用いる。
【0089】
次に、ゲート絶縁層705と導電層716〜725を覆うように、絶縁層を形成する。絶縁層は、公知の手段(プラズマCVD法やスパッタリング法)により、珪素、珪素の酸化物又は珪素の窒化物の無機材料を含む層や、有機樹脂などの有機材料を含む層を、単層又は積層して形成する。次に、絶縁層を、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングして、導電層716〜725の側面に接する絶縁層(サイドウォールともよばれる)739〜743を形成する(図9(C)参照)。また、絶縁層739〜743の作成と同時に、絶縁層705がエッチングされた絶縁層734〜738を形成する。絶縁層739〜743は、後にLDD(Lightly Doped drain)領域を形成する際のドーピング用のマスクとして用いる。
【0090】
次に、フォトリソグラフィ法により形成したレジストからなるマスクと、絶縁層739〜743をマスクとして用いて、結晶質半導体層706、708〜710にN型を付与する不純物元素を添加して、第1のN型不純物領域(LDD領域ともよぶ)727、729、731、733と、第2のN型不純物領域726、728、730、732とを形成する。第1のN型不純物領域727、729、731、733の不純物元素の濃度は、第2のN型不純物領域726、728、730、732の不純物元素の濃度よりも低い。上記工程を経て、N型の薄膜トランジスタ744、746〜748と、P型の薄膜トランジスタ745が完成する。
【0091】
なお、LDD領域を形成するためには、ゲート電極を2層以上の積層構造として、ゲート電極にエッチングや異方性エッチングを行って、当該ゲート電極を構成する下層の導電層をマスクとして用いる手法と、サイドウォールの絶縁層をマスクとして用いる手法がある。後者のサイドウォールの絶縁層をマスクとして用いる手法は、LDD領域の幅の制御が容易であり、また、LDD領域を確実に形成することができる。
【0092】
続いて、薄膜トランジスタ744〜748を覆うように、絶縁層を単層又は積層して形成する(図10(A)参照)。薄膜トランジスタ744〜748を覆う絶縁層は、公知の手段(SOG法、液滴吐出法等)により、珪素の酸化物や珪素の窒化物等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ、シロキサン等の有機材料等により、単層又は積層で形成する。シロキサンとは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。また、置換基として、フルオロ基を用いてもよい。また、置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
【0093】
例えば、薄膜トランジスタ744〜748を覆う絶縁層が3層構造の場合、1層目の絶縁層749として酸化珪素を含む層を形成し、2層目の絶縁層750として樹脂を含む層を形成し、3層目の絶縁層751として窒化珪素を含む層を形成するとよい。
【0094】
なお、絶縁層749〜751を形成する前、又は絶縁層749〜751のうちの1つ又は複数の薄膜を形成した後に、半導体層の結晶性の回復や半導体層に添加された不純物元素の活性化、半導体層の水素化を目的とした加熱処理を行ってもよい。加熱処理には、熱アニール、レーザアニール法又はRTA法などを適用するとよい。
【0095】
次に、フォトリソグラフィ法により絶縁層749〜751をエッチングして、第2のN型不純物領域726、728、730、732、P型不純物領域785を露出させる開口部を形成する。続いて、開口部を充填するように、導電層を形成し、当該導電層をパターン加工して、ソース配線又はドレイン配線として機能する導電層752〜761を形成する。
【0096】
導電層752〜761は、公知の手段(プラズマCVD法やスパッタリング法)により、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ネオジウム(Nd)等から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。アルミニウムを主成分とする合金材料とは、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素と珪素の一方又は両方とを含む合金材料に相当する。導電層752〜761は、例えば、バリア層とアルミニウムシリコン(Al−Si)層とバリア層の積層構造、バリア層とアルミニウムシリコン(Al−Si)層と窒化チタン(TiN、チタン(Ti)と窒素(N)の組成比は制約されない)層とバリア層の積層構造を採用するとよい。アルミニウムシリコンが含むシリコンは、0.1〜5wt%位とする。また、バリア層とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン、又はモリブデンの窒化物からなる薄膜に相当する。アルミニウムやアルミニウムシリコンは抵抗値が低く、安価であるため、導電層752〜761を形成する材料として最適である。また、上層と下層のバリア層を設けると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生を防止することができる。また、還元性の高い元素であるチタンからなるバリア層を形成すると、結晶質半導体層上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この自然酸化膜を還元して、結晶質半導体層とバリア層を、良好に接続させることができる。
【0097】
次に、導電層752〜761を覆うように、絶縁層762を形成する(図10(B)参照)。絶縁層762は、公知の手段(SOG法、液滴吐出法等)を用いて、無機材料又は有機材料により、単層又は積層で形成する。絶縁層762は、好適には、0.75μm〜3μmの厚さで形成する。
【0098】
続いて、フォトリソグラフィ法により絶縁層762をエッチングして、導電層757、759、761を露出させる開口部を形成する。続いて、開口部を充填するように、導電層を形成する。導電層は、公知の手段(プラズマCVD法やスパッタリング法)を用いて、導電性材料により形成する。次に、導電層をパターン加工して、導電層763〜765を形成する。
【0099】
導電層763〜765は、記憶素子が含む一対の導電層のうちの一方の導電層となる。従って、好適には、導電層763〜765は、チタン、又はチタンを主成分とする合金材料若しくは化合物材料により、単層又は積層で形成するとよい。チタンは、抵抗値が低いため、記憶素子のサイズの縮小につながり、高集積化を実現することができる。また、導電層763〜765を形成するためのフォトリソグラフィ工程においては、下層の薄膜トランジスタ744〜748にダメージを与えないために、ウエットエッチング加工を行うとよく、エッチング剤にはフッ化水素又はアンモニア過水を用いるとよい。
【0100】
次に、導電層763〜765を覆うように、絶縁層766を形成する。絶縁層766は、公知の手段(SOG法、液滴吐出法等)を用いて、無機材料又は有機材料により、単層又は積層で形成する。また、絶縁層766は、好適には、0.75μm〜3μmの厚さで形成する。続いて、フォトリソグラフィ法により、絶縁層766をエッチングして、導電層763〜765を露出させる開口部767〜769を形成する。
【0101】
次に、導電層765に接するように、アンテナとして機能する導電層786を形成する(図11(A)参照)。導電層786は、公知の手段(プラズマCVD法、スパッタリング法、印刷法、液滴吐出法)を用いて、導電性材料により形成する。好ましくは、導電層786は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。
【0102】
具体的には、導電層786は、スクリーン印刷法により、銀を含むペーストを用いて形成し、その後、50〜350度の加熱処理を行って形成する。又は、スパッタリング法によりアルミニウム層を形成し、当該アルミニウム層をパターン加工することにより形成する。アルミニウム層のパターン加工は、ウエットエッチング加工を用いるとよく、ウエットエッチング加工後は200〜300℃の加熱処理を行うとよい。
【0103】
次に、導電層763、764に接するように有機化合物を含む層787を形成する(図11(B)参照)。有機化合物を含む層787は、公知の手段(液滴吐出法や蒸着法等)により形成する。続いて、有機化合物を含む層787に接するように、導電層771を形成する。導電層771は、公知の手段(スパッタリング法や蒸着法等)により形成する。
【0104】
以上の工程を経て、導電層763、有機化合物を含む層787及び導電層771の積層体からなる記憶素子789と、導電層764、有機化合物を含む層787及び導電層771の積層体からなる記憶素子790が完成する。
【0105】
なお、上記の作成工程では、有機化合物を含む層787の耐熱性が強くないため、アンテナとして機能する導電層786を形成する工程の後に、有機化合物を含む層787を形成する工程を行うことを特徴とする。
【0106】
次に、記憶素子789、790、アンテナとして機能する導電層786を覆うように、公知の手段(SOG法、液滴吐出法等)により、保護層として機能する絶縁層772を形成する。絶縁層772は、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)などの炭素を含む層、窒化珪素を含む層、窒化酸化珪素を含む層、有機材料により形成し、好ましくはエポキシ樹脂により形成する。
【0107】
次に、剥離層702が露出するように、フォトリソグラフィ法により絶縁層703、749、750、751、762、766をエッチングして、開口部773、774を形成する(図12(A)参照)。
【0108】
次に、開口部773、774にエッチング剤を導入して、剥離層702を除去する(図12(B)参照)。エッチング剤は、フッ化ハロゲン又はハロゲン間化合物を含む気体又は液体を使用する。例えば、三フッ化塩素(ClF3)、三フッ化窒素(NF3)、三フッ化臭素(BrF3)、フッ化水素(HF)がある。なお、フッ化水素を使用する場合は、剥離層702として、酸化珪素からなる層を用いる。
【0109】
上記工程を経て、薄膜集積回路791は、基板701から剥離された状態となる。薄膜集積回路791は、薄膜トランジスタ744〜748、記憶素子789、790の素子群と、アンテナとして機能する導電層786をよぶ。つまり、上記のように、基板から剥離した複数の素子を薄膜集積回路とよぶことがある。
【0110】
薄膜集積回路791が剥離された基板701は、コストの削減のために、再利用するとよい。また、絶縁層772は、剥離層702を除去した後に、薄膜集積回路791が飛散しないように、設けたものである。薄膜集積回路791は小さく薄く軽いために、剥離層702を除去した後は、基板701に密着していないために飛散しやすい。しかしながら、薄膜集積回路791上に絶縁層772を形成することで、薄膜集積回路791に重みが付き、基板701からの飛散を防止することができる。また、薄膜集積回路791単体では薄くて軽いが、絶縁層772を形成することで、巻かれた形状になることがなく、ある程度の強度を確保することができる。
【0111】
次に、薄膜集積回路791の一方の面を、第1の基板776に接着させて、基板701から完全に剥離する(図13参照)。続いて、薄膜集積回路791の他方の面を、第2の基板775に接着させ、その後加熱処理と加圧処理の一方又は両方を行って、薄膜集積回路791を、第1の基板776と第2の基板775により封止する。
【0112】
第1の基板776と第2の基板775は、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなるフィルム、繊維質な材料からなる紙、基材フィルム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム、紙類等)と接着性合成樹脂フィルム(アクリル系合成樹脂、エポキシ系合成樹脂等)との積層フィルムなどに相当する。フィルムは、加熱処理と加圧処理により、被処理体と接着処理が行われるものである。加熱処理と加圧処理を行う際には、フィルムの最表面に設けられた接着層か、又は最外層に設けられた層(接着層ではない)を加熱処理によって溶かし、加圧により接着する。
【0113】
また、第1の基板776と第2の基板775の表面には接着層が設けられていてもよいし、接着層が設けられていなくてもよい。接着層は、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、酢酸ビニル樹脂系接着剤、ビニル共重合樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、ゴム系接着剤、アクリル樹脂系接着剤等の接着剤を含む層に相当する。
【0114】
上記の構成において、記憶素子789、790は、一対の導電層間に、有機化合物を含む層が設けられた素子である。データの書き込みは、記憶素子789、790の一対の導電層間を短絡させることにより行う。また、データの読み出しは、記憶素子789、790の抵抗値の相違を読み取ることにより行う。このような記憶素子789、790は、不揮発性である点、データの書き換えが不可能である点、データの書き込みを行っていない記憶素子がある限り、データの追記が可能である点を特徴とする。また、3層の積層体からなるため、作製が簡単である点を特徴とする。また、3層の積層体からなるため、積層部分の面積を縮小することにより、高集積化が容易に実現する点を特徴とする。
【実施例3】
【0115】
本発明の半導体装置の作製方法について、図14、15を参照して説明する。
【0116】
基板701上に、薄膜トランジスタ744〜748、記憶素子789、790及びアンテナとして機能する導電層786が設けられている(図14(A)参照)。ここまでの工程は、薄膜トランジスタ744のソース又はドレインに電気的に接続されている導電層801、802、薄膜トランジスタ745のソース又はドレインに電気的に接続されている導電層803、804が新たに設けられている以外は、図9〜図11(B)までに示す工程と同様であるため、説明を省略する。
【0117】
次に、複数の素子を覆うように、絶縁層805を形成する。続いて、導電層802、804の一部が露出するように、絶縁層805を選択的に除去する。
【0118】
次に、剥離層702が露出するように、フォトリソグラフィ法により絶縁層703、749、750、751、762、766、805をエッチングして、開口部773、774を形成する(図14(B)参照)。続いて、開口部773、774にエッチング剤を導入して、剥離層702を除去する。
【0119】
次に、薄膜集積回路791を、異方性導電ペースト806を用いて、導電層807、808が設けられた基板809に接着させると共に、基板701から、薄膜集積回路791を剥離する(図15参照)。
【0120】
なお、薄膜集積回路791を基板809に接着する際、導電層802と導電層807、導電層804と導電層808が電気的に接続されるようにする。基板809には、例えば、画像を表示する画素部や、他の演算回路が設けられており、導電層807、808は、画素部や他の演算回路と電気的に接続されている。
【実施例4】
【0121】
本発明の半導体装置の作製方法について、図16、17を参照して説明する。
【0122】
基板701上に、薄膜トランジスタ744〜748、記憶素子789、790、アンテナとして機能する導電層786が設けられている。ここまでの工程は、導電層821、822を新たに設ける以外は、図9〜図11(B)までに示す工程と同様であるため、説明を省略する(図16(A)参照)。導電層821は、薄膜トランジスタ744のソース又はドレインに接続し、なおかつ基板701に接している。また、導電層822は、薄膜トランジスタ745のソース又はドレインに接続し、なおかつ基板701に接している。
【0123】
次に、剥離層702が露出するように、フォトリソグラフィ法により絶縁層703、749、750、751、762、766、772をエッチングして、開口部773、774を形成する(図16(B)参照)。続いて、開口部773、774にエッチング剤を導入して、剥離層702を除去する。
【0124】
次に、薄膜集積回路791の一方の面に、基板825を貼り付けて、基板701から薄膜集積回路791を剥離する(図17(A)参照)。次に薄膜集積回路791の他方の面を、異方性導電ペースト806を介して、導電層807、808が設けられた基板809に貼り付ける(図17(B)参照)。基板809には、例えば、画像を表示する画素部や、他の演算回路が設けられており、導電層807、808は、画素部や他の演算回路と電気的に接続されている。
【実施例5】
【0125】
本発明の半導体装置の一形態であるICカード、パネルについて、図18、19を参照して説明する。
【0126】
まず、ICカードについて説明する(図18(A)参照)。ICカードは、アンテナとして機能する導電層612が設けられた基板610上に、薄膜集積回路611が貼り付けられている。基板610上の導電層612と、薄膜集積回路611を構成する薄膜トランジスタ614に接続された導電層615とは、異方性導電ペースト616を介して、電気的に接続されている(図18(C)(D)参照)。基板610には、プラスチックからなる基板を用いることが好適である。そうすると、薄型、軽量で、曲げることが可能であるためデザイン性に優れ、フレキシブルな形状への加工が容易である(図18(B)参照)。また、耐衝撃性に優れたICカードを提供することができる。
【0127】
薄膜集積回路611には、上記の実施の形態において説明したPLL回路の他、演算処理回路、記憶回路、電源回路、復調回路、変調回路から選択された1つ又は複数を設けるとよい。
【0128】
また、ICカードは、アンテナとして機能する導電層612を介して、リーダ/ライタと、電磁波の送信又は受信を行う。このような、電磁波の送信又は受信の動作について、以下に簡単に説明する。
【0129】
まず、リーダ/ライタが電磁波を送信すると、その電磁波は、アンテナとして機能する導電層612において交流の電気信号に変換される。電源回路は、交流の電気信号を用いて電源電圧を生成し、各回路に電源電圧を供給する。また、復調回路は、交流の電気信号を復調し、復調した信号を、演算処理回路に供給する。演算処理回路は、入力される信号に基づき、各種演算処理を行って、記憶回路等に制御信号を出力する。変調回路は、演算処理回路から供給される信号に基づき、アンテナとして機能する導電層612に負荷変調を加える。リーダ/ライタは、アンテナに加えられた負荷変調を、電磁波として受信する。このように、ICカードは、リーダ/ライタから電磁波を受信し、受信した電磁波を基に、電源電圧を生成する。
【0130】
次に、パネルについて説明する(図19(A)(B)参照)。パネルは、画像を表示する機能がある画素部623が設けられた基板620上に、本発明の薄膜集積回路624、625が貼り付けられたものである。また、接続フィルム626、627上に、薄膜集積回路628、629が貼り付けられたものである。
【0131】
基板620と基板621は、シール材630により貼り合わされている。画素部623と薄膜集積回路624とは、電気的に接続されている。具体的には、画素部623に接続された導電層631と、薄膜集積回路624が含む薄膜トランジスタ655に接続された導電層656とが、異方性導電ペースト640を介して電気的に接続されている。
【0132】
また、基板620上の様々な回路と接続フィルム626の導電層635は電気的に接続されている。具体的には、基板620上の導電層634と、接続フィルム626上の導電層635とが、異方性導電ペースト657を介して、電気的に接続されている。また、接続フィルム626の導電層635と薄膜集積回路628は電気的に接続されており、具体的には、接続フィルム626上の導電層635と、薄膜集積回路628が含む薄膜トランジスタ651に接続された導電層652とが、異方性導電ペースト653を介して電気的に接続されている。
【0133】
なお、本発明の半導体装置の一形態として、上記のような、ICカード、パネルに制約されない。本発明の半導体装置は、CPU、各種プロセッサなどになりうる。
【実施例6】
【0134】
本発明の半導体装置であって、基板上にアンテナが設けられているものは、アンテナを用いて、電磁波の送信、受信又は送受信を行うことができる。従って、半導体装置51の用途は広範にわたる。半導体装置51は、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類(運転免許証や住民票等、図20(A)参照)、包装用容器類(包装紙やボトル等、図20(B)参照)、記録媒体(DVDソフトやビデオテープ等、図20(C)参照)、乗物類(自転車等、図20(D)参照)、装身具(鞄や眼鏡等、図20(E)参照)、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に貼り付けて使用することができる。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(テレビ、テレビ受像機、テレビジョン受像機とも呼ぶ)、携帯端末等を指す。
【0135】
半導体装置は、物品の表面に貼ったり、物品に埋め込んだりすることにより、物品に固定される。例えば、本なら表紙の厚紙に埋め込んだり、包装紙なら包装紙を構成する有機樹脂内に埋め込む。また、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類なら、表面に貼り付けたり、埋め込む。上記に挙げた物品のうち、例えば、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に半導体装置を設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。
【0136】
また、半導体装置を、物の管理や流通のシステムに活用することで、システムの多機能化を図ることができる。例えば、表示部を含む携帯端末にリーダライタを設けて、物品に半導体装置を設ければ、リーダライタに半導体装置をかざすと、表示部に物品の原材料や原産地、流通過程の履歴等が表示されるシステムが実現する。そして、システムの多機能化、高付加価値化を図ることができる。また、別の例として、ベルトコンベアの脇にリーダライタを設けて、物品に半導体装置を設ければ、物品の検品を簡単に行うことができる。そして、システムの多機能化を図ることができる。本実施例は、他の実施の形態、実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例7】
【0137】
本発明の半導体装置であって、基板上に複数の画素を含む画素部が設けられているものは、画素部を用いて、画像を表示することができる。従って、電子機器に用いることが好適であり、以下には、その一例について説明する。
【0138】
携帯電話装置は、筐体2700、2706、パネル2701、ハウジング2702、プリント配線基板2703、操作ボタン2704及びバッテリ2705を含む(図21参照)。パネル2701は、複数の画素がマトリクス状に配置された画素部2709と機能回路部2710を有し、これらの回路は、一対の基板により封止されている。パネル2701はハウジング2702に脱着自在に組み込まれ、ハウジング2702はプリント配線基板2703に嵌着される。ハウジング2702はパネル2701が組み込まれる電子機器に合わせて、形状や寸法が適宜変更される。プリント配線基板2703には、中央処理回路(CPU)、コントローラ回路、電源回路、バッファアンプ、ソースドライバ、ゲートドライバから選択された一つ又は複数に相当する複数のICチップが実装される。モジュールとは、パネルにプリント配線基板2703が実装された状態に相当する。
【0139】
機能回路部2710は、画素部2709を制御する駆動回路の他、上記の実施の形態において説明したPLL回路が設けられる。PLL回路は、供給される信号の周波数を一定に保つ機能や供給される信号の周波数を制御する機能がある。例えば、PLL回路において、信号の周波数を高速化し、その高速化した周波数の信号を駆動回路に供給すれば、駆動回路の動作を高速にすることができる。また、PLL回路は、入力される信号の周波数が正確でない場合においても、平均周波数に同期させることにより正確な周波数の信号を出力することができる。従って、入力される信号の周波数が正確でない場合においても、画素部2709や駆動回路には正確な周波数の信号を供給することが可能となり、画素部2709において、所望の画像を表示することができる。従って、高機能化、多機能化及び高付加価値化を実現することができる。
【0140】
パネル2701は、接続フィルム2708を介して、プリント配線基板2703と接続される。パネル2701、ハウジング2702、プリント配線基板2703は、操作ボタン2704やバッテリ2705と共に、筐体2700、2706の内部に収納される。パネル2701が含む画素部2709は、筐体2700に設けられた開口窓から視認できるように配置されている。
【0141】
なお、筐体2700、2706は、携帯電話装置の外観形状を一例として示したものであり、本実施例に係る電子機器は、その機能や用途に応じて様々な態様に変容しうる。従って、以下に、電子機器の態様の一例について、図22を参照して説明する。
【0142】
携帯端末である携帯電話装置は、画素部9102等を含む(図22(A)参照)。携帯端末である携帯型ゲーム装置は、画素部9801等を含む(図22(B)参照)。デジタルビデオカメラは、画素部9701、9702等を含む(図22(C)参照)。携帯情報端末であるPDA(personal digital assistant)は、画素部9201等を含む(図22(D)参照)。テレビジョン装置は、画素部9301等を含む(図22(E)参照)。モニター装置は、画素部9401等を含む(図22(F)参照)。
【0143】
本発明は、携帯端末である携帯電話装置(携帯電話機、単に携帯電話ともよぶ)、PDA、電子手帳及び携帯型ゲーム機や、テレビジョン装置(テレビ、テレビジョン受信機ともよぶ)、ディスプレイ(モニター装置ともよぶ)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、カーオーディオ等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の様々な電子機器に適用することができる。本実施例は、他の実施の形態、実施例と自由に組み合わせることができる。
【0144】
以上、電圧制御発振器を構成する素子として薄膜トランジスタを用いて説明したが、 電圧制御発振器を構成する素子は薄膜トランジスタに限定されず、MOSトランジスタを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図2】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図3】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図4】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図5】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図6】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図7】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図8】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図9】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図10】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図11】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図12】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図13】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図14】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図15】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図16】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図17】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図18】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図19】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図20】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図21】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図22】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に設けられた薄膜トランジスタを含む半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、同一の絶縁表面上に様々な回路が集積された半導体装置の開発が進められている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−247373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、高機能化、多機能化及び付加価値化を実現した半導体装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、基板上に、正確な周波数の信号を出力する回路を設けた半導体装置を提供する。正確な周波数の信号を出力する回路は、例えば、フェーズ・ロックド・ループ回路(Phase Locked Loop回路、以下PLL回路と表記することがある)がある。PLL回路は、供給される信号を基に、一定の倍率の周波数の信号を出力する機能がある。このようなPLL回路を基板上に設ける本発明は、高機能化、多機能化及び高付加価値化を実現することができる。
【0005】
本発明の半導体装置は、基板上に、電圧制御発振器が設けられている。そして、電圧制御発振器は、直列に接続された第1のNチャネル型薄膜トランジスタ及び第1のPチャネル型薄膜トランジスタを複数含む第1の回路と、第1のNチャネル型薄膜トランジスタと直列に接続された第2のNチャネル型薄膜トランジスタを複数含む第2の回路と、第1のPチャネル型薄膜トランジスタと直列に接続された第2のPチャネル型薄膜トランジスタを複数含む第3の回路と、直列に接続された第3のNチャネル型薄膜トランジスタ及び第3のPチャネル型薄膜トランジスタを含む第4の回路を有する。
【0006】
上記の構成の半導体装置において、第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。第3のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、第3のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。
【0007】
また、上記の構成の半導体装置において、第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と第3のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、低電位電源に接続されている。第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と第3のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、高電位電源に接続されている。つまり、第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と第3のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、一定の電位(低電位)に保たれている。第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と第3のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、一定の電位(高電位)に保たれている。
【0008】
また、上記の構成の半導体装置において、第1の回路、第2の回路及び第3の回路には、Pチャネル型薄膜トランジスタとNチャネル型薄膜トランジスタの一方又は両方が複数設けられているが、本発明はその構成に制約されず、各回路に、Pチャネル型薄膜トランジスタとNチャネル型薄膜トランジスタの一方又は両方をそれぞれ1つ設けてもよい。
【0009】
上記の構成の半導体装置において、第2のNチャネル型薄膜トランジスタは、第1のNチャネル型薄膜トランジスタと低電位電源との導通を制御し、第2のPチャネル型薄膜トランジスタは、第1のPチャネル型薄膜トランジスタと高電位電源との導通を制御する。第2のNチャネル型薄膜トランジスタと第3のNチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧は、第1のNチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも低い。そして、第2のNチャネル型薄膜トランジスタのゲートと第3のNチャネル型薄膜トランジスタのゲートに第1の信号が入力されると、第1のNチャネル型薄膜トランジスタと第1のPチャネル型薄膜トランジスタの互いに接続されたノードから第2の信号を出力する。
【0010】
なお、薄膜トランジスタのノードとは、ゲート、ソース、ドレインの3つのノードを指す。第1のNチャネル型薄膜トランジスタと第1のPチャネル型トランジスタの互いに接続されたノードとは、第1のNチャネル型薄膜トランジスタのソースと第1のPチャネル型薄膜トランジスタのドレインに相当する。また、第1のNチャネル型薄膜トランジスタと第1のPチャネル型薄膜トランジスタの互いに接続されたノードとは、第1のNチャネル型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方と第1のPチャネル型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に相当する。
【0011】
上記の構成の半導体装置において、第2のN型トランジスタと第3のN型トランジスタのチャネル長は、第1のN型トランジスタのチャネル長よりも小さい(短い)。また、第2のN型トランジスタと第3のN型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域における、N型を付与する不純物元素の濃度は、第1のN型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域における濃度よりも高い。また、第2のN型トランジスタと第3のN型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域における、P型を付与する不純物元素の濃度は、第1のN型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域における濃度よりも低い。
【0012】
本発明の半導体装置は、基板上に、電圧制御発振器が設けられている。そして、電圧制御発振器は、直列に接続された第1のNチャネル型薄膜トランジスタ及びPチャネル型薄膜トランジスタを複数含む第1の回路と、第1のNチャネル型薄膜トランジスタと直列に接続された第2のNチャネル型薄膜トランジスタを複数含む第2の回路を有する。
【0013】
上記の構成の半導体装置において、第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、P型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。
【0014】
また、上記の構成の半導体装置において、第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、低電位電源に接続されている。また、P型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、高電位電源に接続されている。つまり、第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、一定の電位(低電位)に保たれている。P型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、一定の電位(高電位)に保たれている。
【0015】
また、上記の構成の半導体装置において、第1の回路と第2の回路には、Pチャネル型薄膜トランジスタとNチャネル型薄膜トランジスタの一方又は両方が複数設けられているが、本発明はその構成に制約されず、各回路に、Pチャネル型薄膜トランジスタとNチャネル型薄膜トランジスタの一方又は両方をそれぞれ1つ設けてもよい。
【0016】
上記の構成の半導体装置において、第2のNチャネル型薄膜トランジスタは、第1のNチャネル型薄膜トランジスタと低電位電源との導通を制御する。第2のNチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧は、第1のNチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも低い。そして、第2のNチャネル型薄膜トランジスタのゲートに第1の信号が入力されると、第1のNチャネル型薄膜トランジスタとPチャネル型薄膜トランジスタの互いに接続されたノードから第2の信号を出力する。
【0017】
上記の構成の半導体装置において、第2のN型トランジスタのチャネル長は、第1のN型トランジスタのチャネル長よりも小さい(短い)。また、第2のN型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域におけるN型を付与する不純物元素の濃度は、第1のN型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域における濃度よりも高い。また、第2のN型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域におけるP型を付与する不純物元素の濃度は、第1のN型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域における濃度よりも低い。
【0018】
本発明の半導体装置は、基板上に、電圧制御発振器が設けられている。そして、電圧制御発振器は、直列に接続された第1のNチャネル型薄膜トランジスタ及び第1のPチャネル型薄膜トランジスタを複数含む第1の回路と、第1のNチャネル型薄膜トランジスタと直列に接続された第2のNチャネル型薄膜トランジスタを複数含む第2の回路と、第1のPチャネル型薄膜トランジスタと直列に接続された第2のPチャネル型薄膜トランジスタを複数含む第3の回路と、直列に接続された第3のNチャネル型薄膜トランジスタ及び第3のPチャネル型薄膜トランジスタを含む第4の回路を有する。
【0019】
上記構成の半導体装置において、第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。第3のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、第3のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。
【0020】
上記構成の半導体装置において、第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と第3のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、低電位電源に接続されている。第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と第3のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、高電位電源に接続されている。つまり、第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と第3のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、一定の電位(低電位)に保たれている。第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と第3のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、一定の電位(高電位)に保たれている。
【0021】
また、上記の構成の半導体装置において、第1の回路、第2の回路及び第3の回路には、Pチャネル型薄膜トランジスタとNチャネル型薄膜トランジスタの一方又は両方が複数設けられているが、本発明はその構成に制約されず、各回路に、Pチャネル型薄膜トランジスタとNチャネル型薄膜トランジスタの一方又は両方をそれぞれ1つ設けてもよい。
【0022】
上記の構成の半導体装置において、第2のNチャネル型薄膜トランジスタは、第1のNチャネル型薄膜トランジスタと低電位電源との導通を制御し、第2のPチャネル型薄膜トランジスタは、第1のPチャネル型薄膜トランジスタと高電位電源との導通を制御する。第2のPチャネル型薄膜トランジスタと第3のPチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧は、第1のPチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも高い。そして、第2のPチャネル型薄膜トランジスタのゲートと第3のPチャネル型薄膜トランジスタのゲートに第1の信号が入力されると、第1のNチャネル型薄膜トランジスタと第1のPチャネル型薄膜トランジスタの互いに接続されたノードから第2の信号を出力する。
【0023】
上記の構成の半導体装置において、第2のP型トランジスタと第3のP型トランジスタのチャネル長は、第1のP型トランジスタのチャネル長よりも小さい(短い)。また、第2のP型トランジスタと第3のP型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域におけるP型を付与する不純物元素の濃度は、第1のP型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域における濃度よりも高い。また、第2のP型トランジスタと第3のP型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域の、N型を付与する不純物元素の濃度は、第1のP型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域における濃度よりも低い。
【0024】
本発明の半導体装置は、基板上に、電圧制御発振器が設けられており、電圧制御発振器は、直列に接続されたNチャネル型薄膜トランジスタ及び第1のPチャネル型薄膜トランジスタを複数含む第1の回路と、第1のPチャネル型薄膜トランジスタと直列に接続された第2のPチャネル型薄膜トランジスタを複数含む第2の回路を有する。
【0025】
上記構成の半導体装置において、第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、N型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続されている。
【0026】
上記構成の半導体装置において、第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、高電位電源に接続されている。N型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、低電位電源に接続されている。つまり、第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、一定の電位に保たれている。N型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、一定の電位に保たれている。
【0027】
また、上記の構成の半導体装置において、第1の回路と第2の回路には、Pチャネル型薄膜トランジスタとNチャネル型薄膜トランジスタの一方又は両方が複数設けられているが、本発明はその構成に制約されず、各回路に、Pチャネル型薄膜トランジスタとNチャネル型薄膜トランジスタの一方又は両方をそれぞれ1つ設けてもよい。
【0028】
上記の構成の半導体装置において、第2のPチャネル型薄膜トランジスタは、第1のPチャネル型薄膜トランジスタと高電位電源との導通を制御する。第2のPチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧は、第1のPチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも高い。第2のPチャネル型薄膜トランジスタのゲートに第1の信号が入力されると、第1のNチャネル型薄膜トランジスタと第1のPチャネル型薄膜トランジスタの互いに接続されたノードから第2の信号を出力する。
【0029】
上記の構成の半導体装置において、第2のP型トランジスタのチャネル長は、第1のP型トランジスタのチャネル長よりも小さい(短い)。また、第2のP型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域におけるP型を付与する不純物元素の濃度は、第1のP型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域における濃度よりも高い。また、第2のP型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域におけるN型を付与する不純物元素の濃度は、第1のP型トランジスタが含む半導体層のチャネル形成領域における濃度よりも低い。
【0030】
上記の構成において、本発明の半導体装置が含む基板は、ガラス又はプラスチックからなる。基板がガラスからなる場合、単結晶基板を用いる場合と比較すると、大量生産を可能とし、費用を削減することができる。また、基板がプラスチックからなる場合、薄型、軽量で、曲げることが可能であるためデザイン性に優れ、なおかつ、フレキシブルな形状への加工が容易である。
【0031】
また、本発明の半導体装置が含む基板上には、位相比較器、ループフィルタ及び分周器が設けられている。
【0032】
また、本発明の半導体装置が含む基板上には、アンテナが設けられている。従って、アンテナを活用して、電磁波の送信、受信又は送受信を行う半導体装置を提供することができる。
【0033】
また、本発明の半導体装置が含む基板上には、複数の画素を含む画素部が設けられており、複数の画素の各々は、液晶素子又は発光素子を有する。従って、画像を表示する機能をし、高機能化、多機能化及び高付加価値化を実現した半導体装置を提供することができる。
【0034】
また、本発明は、上記のいずれかの構成の半導体装置を用いた電子機器を提供する。
【0035】
なお、Nチャネル型薄膜トランジスタは、N型薄膜トランジスタと表記することがある。また、Pチャネル型薄膜トランジスタは、P型薄膜トランジスタと表記することがある。
【発明の効果】
【0036】
供給される信号の周波数を一定に保つ機能や供給される信号の周波数を制御する機能を有するPLL回路を基板上に設ける本発明は、高機能化、多機能化及び高付加価値化を実現した半導体装置を提供することができる。PLL回路の機能を活用することにより、例えば、入力される信号の周波数を高速化し、その高速化した周波数の信号を他の回路に供給すれば、他の回路の動作を高速にすることができる。また、PLL回路は、入力される信号の周波数が正確でない場合においても、平均周波数に同期させることによって、正確な周波数の信号を出力する機能を有しており、この機能を活用すれば、回路の動作エラーを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる。
【0038】
本発明の半導体装置の構成について、図1を参照して説明する。本発明の半導体装置は、位相比較器11、ループフィルタ12、電圧制御発振器(Voltage Controlled Oscillator、単にVCOともよぶ)13及び分周器14を有する。
【0039】
位相比較器11は、外部から入力される信号Fsと分周器14から入力される信号Fo/Nとの位相を比較する。ループフィルタ12は、位相比較器11から供給される信号から、交流成分を取り除いた信号を生成する。電圧制御発振器13は、ループフィルタ12から入力される信号Vinに基づき、信号Foを出力する。分周器14は、電圧制御発振器13から入力される信号FoをN分の1に分周した信号Fo/Nを出力する。
【0040】
なお、本発明の半導体装置は、電圧制御発振器13を有し、位相比較器11、ループフィルタ12及び分周器14は、用途に応じて、適宜設けられるものである。また、本発明の半導体装置は、その他の構成要素を有していてもよく、例えば、水晶発振器、プリスケーラ、スワローカウンタ等を有していてもよい。
【0041】
位相比較器11、ループフィルタ12、電圧制御発振器13及び分周器14は、同一の基板上に設けられている。位相比較器11、電圧制御発振器13及び分周器14は、少なくとも、薄膜トランジスタ、容量素子及び抵抗素子から選択された1つ又は複数を含む。ループフィルタ12は、少なくとも、抵抗素子と容量素子の一方又は両方を含む。
【0042】
基板は、ガラス又プラスチックからなる。基板がガラスからなる場合、単結晶基板を用いる場合と比較すると、大量生産を可能とし、費用を削減することができる。これは、単結晶基板は、円形で最大でも直径30センチ程度であり、ガラス基板などと比較すると高価であるためである。また、基板がプラスチックからなる場合、薄型、軽量で、曲げることが可能であるためデザイン性に優れ、フレキシブルな形状への加工が容易である。また、耐衝撃性に優れ、様々な物品に貼り付けたり、埋め込んだりすることが容易であり、多種多様な分野で活用することができる。なお、プラスチックとは、有機高分子物質の総称であり、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルアミド、ポリエーテルスルホン、アクリル、ポリ塩化ビニルデンなどである。
【0043】
次に、上記構成の半導体装置の等価回路について、図2を参照して説明する。位相比較器11は、単位回路21を有する。ループフィルタ12は、抵抗素子22、23と容量素子24、25を有する。図示するループフィルタ12は、ラグリードフィルタであるが、本発明はこの構成に制約されず、例えば、ラグフィルタなどの他の構成を用いてもよい。分周器14は、3つの単位回路26を有し、8分周回路である。なお、分周器14が有する単位回路26の個数は特に制約されない。
【0044】
なお、ラグリードフィルタとは、2つの抵抗素子と1つの容量素子で構成されたフィルタである。また、ラグフィルタとは、1つの抵抗素子と1つの容量素子で構成されたフィルタである。
【0045】
電圧制御発振器13は、直列に接続された第1のN型トランジスタ及び第1のP型トランジスタを複数含む回路120(第1の回路ともいう)、第1のN型トランジスタと直列に接続された第2のN型トランジスタを複数含む回路121(第2の回路ともいう)、第1のP型トランジスタと直列に接続された第2のP型トランジスタを複数含む回路122(第3の回路ともいう)、直列に接続された第3のN型トランジスタ及び第3のP型トランジスタを含む回路123(第4の回路ともいう)を有する。
【0046】
図示する構成では、回路120は、直列に接続された第1のN型トランジスタ141及び第1のP型トランジスタ131、直列に接続された第1のN型トランジスタ142及び第1のP型トランジスタ132、直列に接続された第1のN型トランジスタ143及び第1のP型トランジスタ133、直列に接続された第1のN型トランジスタ144及び第1のP型トランジスタ134、直列に接続された第1のN型トランジスタ145及び第1のP型トランジスタ135を有する。
【0047】
また、回路121は複数の第2のN型トランジスタ112〜116を有し、回路122は複数の第2のP型トランジスタ102〜106を有する。複数の第2のN型トランジスタ112〜116は、第1のN型トランジスタ141〜145と低電位電源(VSS)との導通を制御する。また、複数の第2のP型トランジスタ102〜106は、第1のP型トランジスタ131〜135と高電位電源(VDD)との導通を制御する。
【0048】
また、回路123は、第3のP型トランジスタ101と第3のN型トランジスタ111を有する。回路123は、ループフィルタ12と、回路121、122との導通を制御する回路である。
【0049】
なお、上記構成において、第2のP型トランジスタ102、第1のP型トランジスタ131、第1のN型トランジスタ141及び第2のN型トランジスタ112の直列に接続された4つのトランジスタを1段とすると、上記の構成は、5段の場合である。しかしながら、本発明は、この構成に制約されない。電圧制御発振器13は、3段以上の奇数段の構成とすればよい。
【0050】
また、第3のP型トランジスタ101のゲートと、第3のP型トランジスタ101のソース又はドレインの一方は互いに接続されており、第3のP型トランジスタ101のソース又はドレインの他方は高電位電源(VDD)に接続されている。また、第3のN型トランジスタ111のゲートは、ループフィルタ12に接続され、第3のN型トランジスタ111のソース又はドレインの一方は低電位電源(VSS)に接続されている。
【0051】
上記構成において、第2のN型トランジスタ112〜116と第3のN型トランジスタ111のしきい値電圧は、第1のN型トランジスタ141〜145や他の回路のN型トランジスタのしきい値電圧よりも低い。他の回路のN型トランジスタとは、位相比較器11と分周器14が含むN型トランジスタである。
【0052】
このように、第2のN型トランジスタ112〜116と第3のN型トランジスタ111のしきい値電圧が、第1のN型トランジスタ141〜145や他の回路のN型トランジスタのしきい値電圧よりも低くするためには、チャネル長を適当な値に設計する。具体的には、第2のN型トランジスタ112〜116と第3のN型トランジスタ111のチャネル長が、第1のN型トランジスタ141〜145や他の回路のN型トランジスタのチャネル長よりも小さく(短く)なるように設計する。
【0053】
または、第2のN型トランジスタ112〜116と第3のN型トランジスタ111の半導体層のチャネル形成領域の、N型を付与する不純物元素の濃度を、第1のN型トランジスタ141〜145や他の回路のN型トランジスタの半導体層のチャネル形成領域の濃度よりも高くなるように作製する。なお、N型を付与する不純物元素とは、リン(P)や砒素(As)に相当する。
【0054】
または、第2のN型トランジスタ112〜116と第3のN型トランジスタ111の半導体層のチャネル形成領域の、P型を付与する不純物元素の濃度を、第1のN型トランジスタ141〜145や他の回路のN型トランジスタの半導体層のチャネル形成領域の不純物元素の濃度よりも低くなるように作製する。なお、P型を付与する不純物元素とは、具体的には、ボロン(B)に相当する。
【0055】
上記構成を有する本発明では、電圧制御発振器13の性能を向上させることができる。具体的には、上記の電圧制御発振器13は、第2のN型トランジスタ112〜116、第3のN型トランジスタ111に信号Vinが入力されると、第1のN型トランジスタ145のソース又はドレインの一方と、第1のP型トランジスタ135のソース又はドレインの一方から、信号Foを出力する回路である。そして、本発明により、有効な信号Vinの範囲を拡大することができる。以下に、この効果について、電圧制御発振器13に入力される信号Vinと、電圧制御発振器13から出力される信号Foの関係のグラフを示す図6を参照して説明する。
【0056】
電圧制御発振器13に入力される信号Vinは、0〜VDD(VDDは高電位電源の電位とする)まで変化する。また、電圧制御発振器13に入力される信号Vinは、第2のN型トランジスタ112〜116と第3のN型トランジスタ111のゲート電極に入力される。従って、仮に、第2のN型トランジスタ112〜116と第3のN型トランジスタ111のしきい値電圧(VTH1)よりも、信号Vinの電圧値が小さい(低い)場合、出力信号が発振されないことがある(図6(B)参照)。また、電圧Vin(信号Vin)と信号Foの関係を示すグラフにおいて、特性の曲線に、傾きが急な部分ができてしまう。特性の曲線に、傾きが急な部分があると、出力する信号の周波数にバラツキが生じ易く、正常に動作しない場合が生じてしまう。
【0057】
このような不具合は、電圧制御発振器13が薄膜トランジスタにより構成される点、電圧制御発振器13がアナログの信号を処理する回路である点に起因する。つまり、薄膜トランジスタは、その特性(しきい値電圧や移動度など)にバラツキが生じる場合があるが、位相比較器11と分周器14は、デジタルの信号により制御されるため、薄膜トランジスタの特性のバラツキによる影響は受けにくい。しかしながら、電圧制御発振器13は、アナログの信号により制御されるため、薄膜トランジスタの特性のバラツキによる影響を受けやすい。
【0058】
そこで、上記構成を有する本発明では、第2のN型トランジスタ112〜116と第3のN型トランジスタ111のしきい値電圧が、他のトランジスタのしきい値電圧よりも低いことを特徴とする。つまり、上記構成を有する本発明では、第2のN型トランジスタ112〜116と第3のN型トランジスタ111のしきい値電圧(VTH2)が、信号Vinの電圧値よりも小さい(低い)ため、有効な信号Vinの範囲を拡大することができる(図6(A)参照)。また、特性の曲線に、傾きの急な部分がなくなり、出力する信号の周波数にバラツキが生じにくくなる。従って、電圧制御発振器13の性能の向上という優れた効果を奏する。
【0059】
続いて、上記の構成とは異なる電圧制御発振器13について、図3を参照して説明する。電圧制御発振器13は、回路120(第1の回路ともいう)と回路121(第2の回路ともいう)を有する。図2に示した構成と比較すると、第2のP型トランジスタ102〜106、第3のP型トランジスタ101及び第3のN型トランジスタ111を省略した構成としたものである。この構成は、素子の個数を少なくすることができるため、素子の占有面積の縮小による小型化や軽量化、素子数の削減による歩留まりの向上を実現することができる。
【0060】
次に、上記構成とは異なる電圧制御発振器13について、図4を参照して説明する。電圧制御発振器13は、回路120(第1の回路ともいう)、回路121(第2の回路ともいう)、回路123(第3の回路ともいう)を有する。図2に示した構成と比較すると、ループフィルタ12から供給される信号が、第2のP型トランジスタ102〜106と第3のP型トランジスタ101に入力されている点、第3のN型トランジスタ111のゲート電極とドレイン電極が互いに接続されている点が異なっている。
【0061】
次に、上記構成とは異なる電圧制御発振器13について、図5を参照して説明する。電圧制御発振器13は、回路120(第1の回路ともいう)と回路122(第2の回路ともいう)を有する。図4に示した構成と比較すると、第2のN型トランジスタ112〜116と第3のN型トランジスタ111を省略した構成としたものである。この構成は、素子の個数を少なくすることができるため、素子の占有面積の縮小による小型化や軽量化、素子数の削減による歩留まりの向上を実現することができる。
【0062】
上記の図4、5に示す構成において、第2のP型トランジスタ102〜106と第3のP型トランジスタ101のしきい値電圧は、第1のP型トランジスタ131〜135や他の回路のP型トランジスタのしきい値電圧よりも高いことを特徴とする。なお、他の回路のP型トランジスタとは、位相比較器11と分周器14が含むP型トランジスタである。
【0063】
このように、第2のP型トランジスタ102〜106と第3のP型トランジスタ101のしきい値電圧が、第1のP型トランジスタ131〜135や他の回路のP型トランジスタのしきい値電圧よりも高くするためには、チャネル長を適当な値に設計する。具体的には、第2のP型トランジスタ102〜106と第3のP型トランジスタ101のチャネル長が、第1のP型トランジスタ131〜135や他の回路のP型トランジスタのチャネル長よりも小さく(短く)なるように設計する。
【0064】
または、第2のP型トランジスタ102〜106と第3のP型トランジスタ101の半導体層が含むチャネル形成領域が含む不純物元素の濃度が、第1のP型トランジスタ131〜135や他の回路のP型トランジスタの半導体層が含むチャネル形成領域が含む不純物元素の濃度よりも高くなるように作製する。なお、不純物元素とは、P型を付与する元素であり、具体的には、ボロン(B)に相当する。
【0065】
または、第2のP型トランジスタ102〜106と第3のP型トランジスタ101の半導体層が含むチャネル形成領域が含む不純物元素の濃度が、第1のP型トランジスタ131〜135や他の回路のP型トランジスタの半導体層が含むチャネル形成領域が含む不純物元素の濃度よりも低くなるように作製する。なお、不純物元素とは、N型を付与する元素であり、具体的には、リン、砒素に相当する。
【0066】
なお、電圧制御発振器13が含むトランジスタは、高電位電源(VDD)と低電位電源(VSS)に接続されている。高電位電源と低電位電源は、電圧制御発振器13が設けられた基板と同じ基板上に設けられたものでもよいし、また、異なる基板上に設けられたものでもよい。なお、第1のNチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧が、第2のNチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも低いとは、第1のNチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧の絶対値が、第2のNチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧の絶対値よりも小さいことを指す。また、第1のPチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧が、第2のPチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも低いとは、第1のNチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧の絶対値が、第2のNチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧の絶対値よりも小さいことを指す。
【0067】
本実施の形態は、下記の実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例1】
【0068】
以下には、位相比較器11が含む単位回路21の構成について、図7を参照して説明する。単位回路21は、NOR回路221、トランジスタ222〜227を有する。また、単位回路21は、2つの入力端子(図面では1、2と表記)と1つの出力端子(図面では3と表記)を有する。
【0069】
単位回路21は、入力端子1と入力端子2の各々に同じ信号が入力されると、出力端子3から、Hレベルの信号を出力する。また、入力端子1と入力端子2の各々に異なる信号が入力されると、出力端子3から、Lレベルの信号を出力する。
【0070】
つまり、単位回路21は、入力端子1に入力される信号と入力端子2に入力される信号の位相を比較し、その結果に基づき、出力端子3から信号を出力する。なお、単位回路21の構成はこの構成に制約されず、他の公知の構成のものを用いてもよい。
【0071】
次に、分周器14が含む単位回路26の構成について、図8を参照して説明する。単位回路26は、インバータ回路200、NAND回路201〜207、インバータ回路208、209を有する。また、単位回路26は、4つの入力端子(図面では1、2、3、4と表記)と2つの出力端子(図面では5、6と表記)を有する。
【0072】
単位回路26は、NAND回路202、203からなるラッチ、NAND回路204、205からなるラッチ、NAND回路206、207からなるラッチの、合わせて3つのラッチを有する。そして、入力端子1からセット信号が入力され、入力端子2からデータ信号が入力され、入力端子3からクロック信号が入力され、入力端子4からリセット信号が入力されると、出力端子5からデータ信号を出力し、出力端子6からデータ信号を出力する。なお、上記の構成は、セット/リセット型のDフリップフロップ回路であるが、本発明はこの構成に制約されず、例えば、JKフリップフロップ回路、Tフリップフロップ回路を用いてもよい。
【0073】
なお、フリップフロップ(上記のようにフリップフロップ回路ともいう)は、RSフリップフロップ、Dフリップフロップ、JKフリップフロップ、Tフリップフロップ等がある。RSフリップフロップは、入力端子であるR端子及びS端子、出力端子であるQ端子を有する。Dフリップフロップは、入力端子であるD端子、出力端子であるQ端子を有する。JKフリップフロップは、入力端子であるJ端子及びK端子、出力端子であるQ端子を有する。Tフリップフロップは、入力端子であるT端子、出力端子であるQ端子を有する。
【実施例2】
【0074】
本発明の半導体装置の作製方法について、図面を参照して説明する。以下には、電圧制御発振器を構成する薄膜トランジスタだけでなく、記憶素子及びアンテナを含む半導体装置の構成について説明する。
【0075】
基板701(基体ともよぶ)の一表面に、剥離層702を形成する(図9(A)参照)。基板701は、絶縁表面を有する。基板701は、ガラス又はプラスチックからなる。基板701がガラスからなる場合は、その面積や形状に大きな制限はない。そのため、基板701として、例えば、1辺が1メートル以上であって、矩形状のものを用いれば、生産性を格段に向上させることができる。このような利点は、円形の単結晶シリコン基板を用いる場合と比較すると、大きな優位点である。また、基板701がプラスチックからなる場合、薄型、軽量で、曲げることが可能であるためデザイン性に優れ、フレキシブルな形状への加工が容易である。また、耐衝撃性に優れ、様々な物品に貼り付けたり、埋め込んだりすることが容易であり、多種多様な分野で活用することができる。また、基板701がプラスチックからなる場合、作製工程の処理温度に耐えうる耐熱性のプラスチックを用いる必要がある。後述するが、好適には、ガラスからなる基板701上に薄膜トランジスタを設けた後、当該薄膜トランジスタを剥離して、剥離した薄膜トランジスタをプラスチックからなる基板上に設けるとよい。
【0076】
上記の工程では、剥離層702は、基板701の全面に設けているが、必要に応じて、基板701の全面に剥離層702を設けた後に、フォトリソグラフィ法によりパターン加工して、選択的に設けてもよい。また、基板701に接するように剥離層702を形成しているが、必要に応じて、基板701に接するように下地となる絶縁層を形成し、当該絶縁層に接するように剥離層702を形成してもよい。
【0077】
剥離層702は、公知の手段(スパッタリング法やプラズマCVD法等)により、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、珪素(Si)から選択された元素または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる層を、単層又は積層して形成する。珪素を含む層の結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれの場合でもよい。
【0078】
次に、剥離層702を覆うように、下地となる絶縁層703を形成する。絶縁層703は、公知の手段(スパッタリング法やプラズマCVD法等)により、珪素の酸化物又は珪素の窒化物を含む層を、単層又は積層で形成する。珪素の酸化物材料とは、珪素(Si)と酸素(O)を含む物質であり、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素等が該当する。珪素の窒化物材料とは、珪素と窒素(N)を含む物質であり、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素等が該当する。下地となる絶縁層703は、基板701からの不純物の侵入を防止するブロッキング膜として機能する。
【0079】
次に、絶縁層703上に、非晶質半導体層704を形成する。非晶質半導体層704は、公知の手段(スパッタリング法、LPCVD法、プラズマCVD法等)により形成する。続いて、非晶質半導体層704を公知の結晶化法(レーザ結晶化法、RTA又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法とレーザ結晶化法を組み合わせた方法等)により結晶化して、結晶質半導体層を形成する。その後、得られた結晶質半導体層を所望の形状にパターン加工して、結晶質半導体層706〜710を形成する(図9(B)参照)。
【0080】
結晶質半導体層706〜710の作成工程の一例について、以下に説明する。まず、プラズマCVD法を用いて、非晶質半導体層を形成する。次に、結晶化を助長する金属元素であるニッケルを含む溶液を非晶質半導体層上に保持させた後、非晶質半導体層に脱水素化の処理(500℃、1時間)と、熱結晶化の処理(550℃、4時間)を行って結晶質半導体層を形成する。その後、必要に応じてレーザ光を照射し、フォトリソグラフィ法を用いたパターン加工処理によって結晶質半導体層706〜710を形成する。レーザ結晶化法で結晶質半導体層706〜710を形成する場合、連続発振またはパルス発振の気体レーザ又は固体レーザを用いる。
【0081】
なお、結晶化を助長する金属元素を用いて非晶質半導体層の結晶化を行うと、低温で短時間の結晶化が可能となるうえ、結晶の方向が揃うという利点がある一方、金属元素が結晶質半導体層に残存するためにオフ電流が上昇し、特性が安定しないという欠点がある。そこで、結晶質半導体層上に、ゲッタリングサイトとして機能する非晶質半導体層を形成するとよい。ゲッタリングサイトとなる非晶質半導体層には、リンやアルゴンの不純物元素を含有させる必要があるため、好適には、アルゴンを高濃度に含有させることが可能なスパッタリング法で形成するとよい。その後、加熱処理(RTA法やファーネスアニール炉を用いた熱アニール等)を行って、非晶質半導体層中に金属元素を拡散させ、続いて、当該金属元素を含む非晶質半導体層を除去する。そうすると、結晶質半導体層中の金属元素の含有量を低減又は除去することができる。
【0082】
次に、結晶質半導体層706〜710を覆うゲート絶縁層705を形成する。ゲート絶縁層705は、公知の手段(プラズマCVD法やスパッタリング法)により、珪素の酸化物又は珪素の窒化物を含む層を、単層又は積層して形成する。具体的には、酸化珪素を含む層、酸化窒化珪素を含む層、窒化酸化珪素を含む層を、単層又は積層して形成する。
【0083】
次に、ゲート絶縁層705上に、第1の導電層と第2の導電層を積層して形成する。第1の導電層は、公知の手段(プラズマCVD法やスパッタリング法)により、20〜100nmの厚さで形成する。第2の導電層は、公知の手段により、100〜400nmの厚さで形成する。
【0084】
第1の導電層と第2の導電層は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等から選択された元素又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成する。または、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素に代表される半導体材料により形成する。
【0085】
第1の導電層と第2の導電層の組み合わせの例を挙げると、窒化タンタル(TaN、タンタル(Ta)と窒素(N)の組成比は制約されない)層とタングステン(W)層、窒化タングステン(WN、タングステン(W)と窒素(N)の組成比は制約されない)層とタングステン層、窒化モリブデン(MoN、モリブデン(Mo)と窒素(N)の組成比は制約されない)層とモリブデン(Mo)層等が挙げられる。タングステンや窒化タンタルは、耐熱性が高いため、第1の導電層と第2の導電層を形成した後に、熱活性化を目的とした加熱処理を行うことができる。また、2層構造ではなく、3層構造の場合は、モリブデン層とアルミニウム層とモリブデン層の積層構造を採用するとよい。
【0086】
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスクを形成し、ゲート電極とゲート線を形成するためのエッチング処理を行って、ゲート電極として機能する導電層(ゲート電極層とよぶことがある)716〜725を形成する。
【0087】
次に、フォトリソグラフィ法により、レジストからなるマスクを形成して、結晶質半導体層706、708〜710に、イオンドープ法又はイオン注入法により、N型を付与する不純物元素を低濃度に添加して、N型不純物領域711、713〜715とチャネル形成領域780、782〜784を形成する。N型を付与する不純物元素は、15族に属する元素を用いれば良く、例えばリン(P)、砒素(As)を用いる。
【0088】
次に、フォトリソグラフィ法によりレジストからなるマスクを形成して、結晶質半導体層707に、P型を付与する不純物元素を添加して、P型不純物領域712とチャネル形成領域781を形成する。P型を付与する不純物元素は、例えばボロン(B)を用いる。
【0089】
次に、ゲート絶縁層705と導電層716〜725を覆うように、絶縁層を形成する。絶縁層は、公知の手段(プラズマCVD法やスパッタリング法)により、珪素、珪素の酸化物又は珪素の窒化物の無機材料を含む層や、有機樹脂などの有機材料を含む層を、単層又は積層して形成する。次に、絶縁層を、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングして、導電層716〜725の側面に接する絶縁層(サイドウォールともよばれる)739〜743を形成する(図9(C)参照)。また、絶縁層739〜743の作成と同時に、絶縁層705がエッチングされた絶縁層734〜738を形成する。絶縁層739〜743は、後にLDD(Lightly Doped drain)領域を形成する際のドーピング用のマスクとして用いる。
【0090】
次に、フォトリソグラフィ法により形成したレジストからなるマスクと、絶縁層739〜743をマスクとして用いて、結晶質半導体層706、708〜710にN型を付与する不純物元素を添加して、第1のN型不純物領域(LDD領域ともよぶ)727、729、731、733と、第2のN型不純物領域726、728、730、732とを形成する。第1のN型不純物領域727、729、731、733の不純物元素の濃度は、第2のN型不純物領域726、728、730、732の不純物元素の濃度よりも低い。上記工程を経て、N型の薄膜トランジスタ744、746〜748と、P型の薄膜トランジスタ745が完成する。
【0091】
なお、LDD領域を形成するためには、ゲート電極を2層以上の積層構造として、ゲート電極にエッチングや異方性エッチングを行って、当該ゲート電極を構成する下層の導電層をマスクとして用いる手法と、サイドウォールの絶縁層をマスクとして用いる手法がある。後者のサイドウォールの絶縁層をマスクとして用いる手法は、LDD領域の幅の制御が容易であり、また、LDD領域を確実に形成することができる。
【0092】
続いて、薄膜トランジスタ744〜748を覆うように、絶縁層を単層又は積層して形成する(図10(A)参照)。薄膜トランジスタ744〜748を覆う絶縁層は、公知の手段(SOG法、液滴吐出法等)により、珪素の酸化物や珪素の窒化物等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ、シロキサン等の有機材料等により、単層又は積層で形成する。シロキサンとは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。また、置換基として、フルオロ基を用いてもよい。また、置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
【0093】
例えば、薄膜トランジスタ744〜748を覆う絶縁層が3層構造の場合、1層目の絶縁層749として酸化珪素を含む層を形成し、2層目の絶縁層750として樹脂を含む層を形成し、3層目の絶縁層751として窒化珪素を含む層を形成するとよい。
【0094】
なお、絶縁層749〜751を形成する前、又は絶縁層749〜751のうちの1つ又は複数の薄膜を形成した後に、半導体層の結晶性の回復や半導体層に添加された不純物元素の活性化、半導体層の水素化を目的とした加熱処理を行ってもよい。加熱処理には、熱アニール、レーザアニール法又はRTA法などを適用するとよい。
【0095】
次に、フォトリソグラフィ法により絶縁層749〜751をエッチングして、第2のN型不純物領域726、728、730、732、P型不純物領域785を露出させる開口部を形成する。続いて、開口部を充填するように、導電層を形成し、当該導電層をパターン加工して、ソース配線又はドレイン配線として機能する導電層752〜761を形成する。
【0096】
導電層752〜761は、公知の手段(プラズマCVD法やスパッタリング法)により、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ネオジウム(Nd)等から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。アルミニウムを主成分とする合金材料とは、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素と珪素の一方又は両方とを含む合金材料に相当する。導電層752〜761は、例えば、バリア層とアルミニウムシリコン(Al−Si)層とバリア層の積層構造、バリア層とアルミニウムシリコン(Al−Si)層と窒化チタン(TiN、チタン(Ti)と窒素(N)の組成比は制約されない)層とバリア層の積層構造を採用するとよい。アルミニウムシリコンが含むシリコンは、0.1〜5wt%位とする。また、バリア層とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン、又はモリブデンの窒化物からなる薄膜に相当する。アルミニウムやアルミニウムシリコンは抵抗値が低く、安価であるため、導電層752〜761を形成する材料として最適である。また、上層と下層のバリア層を設けると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生を防止することができる。また、還元性の高い元素であるチタンからなるバリア層を形成すると、結晶質半導体層上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この自然酸化膜を還元して、結晶質半導体層とバリア層を、良好に接続させることができる。
【0097】
次に、導電層752〜761を覆うように、絶縁層762を形成する(図10(B)参照)。絶縁層762は、公知の手段(SOG法、液滴吐出法等)を用いて、無機材料又は有機材料により、単層又は積層で形成する。絶縁層762は、好適には、0.75μm〜3μmの厚さで形成する。
【0098】
続いて、フォトリソグラフィ法により絶縁層762をエッチングして、導電層757、759、761を露出させる開口部を形成する。続いて、開口部を充填するように、導電層を形成する。導電層は、公知の手段(プラズマCVD法やスパッタリング法)を用いて、導電性材料により形成する。次に、導電層をパターン加工して、導電層763〜765を形成する。
【0099】
導電層763〜765は、記憶素子が含む一対の導電層のうちの一方の導電層となる。従って、好適には、導電層763〜765は、チタン、又はチタンを主成分とする合金材料若しくは化合物材料により、単層又は積層で形成するとよい。チタンは、抵抗値が低いため、記憶素子のサイズの縮小につながり、高集積化を実現することができる。また、導電層763〜765を形成するためのフォトリソグラフィ工程においては、下層の薄膜トランジスタ744〜748にダメージを与えないために、ウエットエッチング加工を行うとよく、エッチング剤にはフッ化水素又はアンモニア過水を用いるとよい。
【0100】
次に、導電層763〜765を覆うように、絶縁層766を形成する。絶縁層766は、公知の手段(SOG法、液滴吐出法等)を用いて、無機材料又は有機材料により、単層又は積層で形成する。また、絶縁層766は、好適には、0.75μm〜3μmの厚さで形成する。続いて、フォトリソグラフィ法により、絶縁層766をエッチングして、導電層763〜765を露出させる開口部767〜769を形成する。
【0101】
次に、導電層765に接するように、アンテナとして機能する導電層786を形成する(図11(A)参照)。導電層786は、公知の手段(プラズマCVD法、スパッタリング法、印刷法、液滴吐出法)を用いて、導電性材料により形成する。好ましくは、導電層786は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。
【0102】
具体的には、導電層786は、スクリーン印刷法により、銀を含むペーストを用いて形成し、その後、50〜350度の加熱処理を行って形成する。又は、スパッタリング法によりアルミニウム層を形成し、当該アルミニウム層をパターン加工することにより形成する。アルミニウム層のパターン加工は、ウエットエッチング加工を用いるとよく、ウエットエッチング加工後は200〜300℃の加熱処理を行うとよい。
【0103】
次に、導電層763、764に接するように有機化合物を含む層787を形成する(図11(B)参照)。有機化合物を含む層787は、公知の手段(液滴吐出法や蒸着法等)により形成する。続いて、有機化合物を含む層787に接するように、導電層771を形成する。導電層771は、公知の手段(スパッタリング法や蒸着法等)により形成する。
【0104】
以上の工程を経て、導電層763、有機化合物を含む層787及び導電層771の積層体からなる記憶素子789と、導電層764、有機化合物を含む層787及び導電層771の積層体からなる記憶素子790が完成する。
【0105】
なお、上記の作成工程では、有機化合物を含む層787の耐熱性が強くないため、アンテナとして機能する導電層786を形成する工程の後に、有機化合物を含む層787を形成する工程を行うことを特徴とする。
【0106】
次に、記憶素子789、790、アンテナとして機能する導電層786を覆うように、公知の手段(SOG法、液滴吐出法等)により、保護層として機能する絶縁層772を形成する。絶縁層772は、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)などの炭素を含む層、窒化珪素を含む層、窒化酸化珪素を含む層、有機材料により形成し、好ましくはエポキシ樹脂により形成する。
【0107】
次に、剥離層702が露出するように、フォトリソグラフィ法により絶縁層703、749、750、751、762、766をエッチングして、開口部773、774を形成する(図12(A)参照)。
【0108】
次に、開口部773、774にエッチング剤を導入して、剥離層702を除去する(図12(B)参照)。エッチング剤は、フッ化ハロゲン又はハロゲン間化合物を含む気体又は液体を使用する。例えば、三フッ化塩素(ClF3)、三フッ化窒素(NF3)、三フッ化臭素(BrF3)、フッ化水素(HF)がある。なお、フッ化水素を使用する場合は、剥離層702として、酸化珪素からなる層を用いる。
【0109】
上記工程を経て、薄膜集積回路791は、基板701から剥離された状態となる。薄膜集積回路791は、薄膜トランジスタ744〜748、記憶素子789、790の素子群と、アンテナとして機能する導電層786をよぶ。つまり、上記のように、基板から剥離した複数の素子を薄膜集積回路とよぶことがある。
【0110】
薄膜集積回路791が剥離された基板701は、コストの削減のために、再利用するとよい。また、絶縁層772は、剥離層702を除去した後に、薄膜集積回路791が飛散しないように、設けたものである。薄膜集積回路791は小さく薄く軽いために、剥離層702を除去した後は、基板701に密着していないために飛散しやすい。しかしながら、薄膜集積回路791上に絶縁層772を形成することで、薄膜集積回路791に重みが付き、基板701からの飛散を防止することができる。また、薄膜集積回路791単体では薄くて軽いが、絶縁層772を形成することで、巻かれた形状になることがなく、ある程度の強度を確保することができる。
【0111】
次に、薄膜集積回路791の一方の面を、第1の基板776に接着させて、基板701から完全に剥離する(図13参照)。続いて、薄膜集積回路791の他方の面を、第2の基板775に接着させ、その後加熱処理と加圧処理の一方又は両方を行って、薄膜集積回路791を、第1の基板776と第2の基板775により封止する。
【0112】
第1の基板776と第2の基板775は、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなるフィルム、繊維質な材料からなる紙、基材フィルム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム、紙類等)と接着性合成樹脂フィルム(アクリル系合成樹脂、エポキシ系合成樹脂等)との積層フィルムなどに相当する。フィルムは、加熱処理と加圧処理により、被処理体と接着処理が行われるものである。加熱処理と加圧処理を行う際には、フィルムの最表面に設けられた接着層か、又は最外層に設けられた層(接着層ではない)を加熱処理によって溶かし、加圧により接着する。
【0113】
また、第1の基板776と第2の基板775の表面には接着層が設けられていてもよいし、接着層が設けられていなくてもよい。接着層は、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、酢酸ビニル樹脂系接着剤、ビニル共重合樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、ゴム系接着剤、アクリル樹脂系接着剤等の接着剤を含む層に相当する。
【0114】
上記の構成において、記憶素子789、790は、一対の導電層間に、有機化合物を含む層が設けられた素子である。データの書き込みは、記憶素子789、790の一対の導電層間を短絡させることにより行う。また、データの読み出しは、記憶素子789、790の抵抗値の相違を読み取ることにより行う。このような記憶素子789、790は、不揮発性である点、データの書き換えが不可能である点、データの書き込みを行っていない記憶素子がある限り、データの追記が可能である点を特徴とする。また、3層の積層体からなるため、作製が簡単である点を特徴とする。また、3層の積層体からなるため、積層部分の面積を縮小することにより、高集積化が容易に実現する点を特徴とする。
【実施例3】
【0115】
本発明の半導体装置の作製方法について、図14、15を参照して説明する。
【0116】
基板701上に、薄膜トランジスタ744〜748、記憶素子789、790及びアンテナとして機能する導電層786が設けられている(図14(A)参照)。ここまでの工程は、薄膜トランジスタ744のソース又はドレインに電気的に接続されている導電層801、802、薄膜トランジスタ745のソース又はドレインに電気的に接続されている導電層803、804が新たに設けられている以外は、図9〜図11(B)までに示す工程と同様であるため、説明を省略する。
【0117】
次に、複数の素子を覆うように、絶縁層805を形成する。続いて、導電層802、804の一部が露出するように、絶縁層805を選択的に除去する。
【0118】
次に、剥離層702が露出するように、フォトリソグラフィ法により絶縁層703、749、750、751、762、766、805をエッチングして、開口部773、774を形成する(図14(B)参照)。続いて、開口部773、774にエッチング剤を導入して、剥離層702を除去する。
【0119】
次に、薄膜集積回路791を、異方性導電ペースト806を用いて、導電層807、808が設けられた基板809に接着させると共に、基板701から、薄膜集積回路791を剥離する(図15参照)。
【0120】
なお、薄膜集積回路791を基板809に接着する際、導電層802と導電層807、導電層804と導電層808が電気的に接続されるようにする。基板809には、例えば、画像を表示する画素部や、他の演算回路が設けられており、導電層807、808は、画素部や他の演算回路と電気的に接続されている。
【実施例4】
【0121】
本発明の半導体装置の作製方法について、図16、17を参照して説明する。
【0122】
基板701上に、薄膜トランジスタ744〜748、記憶素子789、790、アンテナとして機能する導電層786が設けられている。ここまでの工程は、導電層821、822を新たに設ける以外は、図9〜図11(B)までに示す工程と同様であるため、説明を省略する(図16(A)参照)。導電層821は、薄膜トランジスタ744のソース又はドレインに接続し、なおかつ基板701に接している。また、導電層822は、薄膜トランジスタ745のソース又はドレインに接続し、なおかつ基板701に接している。
【0123】
次に、剥離層702が露出するように、フォトリソグラフィ法により絶縁層703、749、750、751、762、766、772をエッチングして、開口部773、774を形成する(図16(B)参照)。続いて、開口部773、774にエッチング剤を導入して、剥離層702を除去する。
【0124】
次に、薄膜集積回路791の一方の面に、基板825を貼り付けて、基板701から薄膜集積回路791を剥離する(図17(A)参照)。次に薄膜集積回路791の他方の面を、異方性導電ペースト806を介して、導電層807、808が設けられた基板809に貼り付ける(図17(B)参照)。基板809には、例えば、画像を表示する画素部や、他の演算回路が設けられており、導電層807、808は、画素部や他の演算回路と電気的に接続されている。
【実施例5】
【0125】
本発明の半導体装置の一形態であるICカード、パネルについて、図18、19を参照して説明する。
【0126】
まず、ICカードについて説明する(図18(A)参照)。ICカードは、アンテナとして機能する導電層612が設けられた基板610上に、薄膜集積回路611が貼り付けられている。基板610上の導電層612と、薄膜集積回路611を構成する薄膜トランジスタ614に接続された導電層615とは、異方性導電ペースト616を介して、電気的に接続されている(図18(C)(D)参照)。基板610には、プラスチックからなる基板を用いることが好適である。そうすると、薄型、軽量で、曲げることが可能であるためデザイン性に優れ、フレキシブルな形状への加工が容易である(図18(B)参照)。また、耐衝撃性に優れたICカードを提供することができる。
【0127】
薄膜集積回路611には、上記の実施の形態において説明したPLL回路の他、演算処理回路、記憶回路、電源回路、復調回路、変調回路から選択された1つ又は複数を設けるとよい。
【0128】
また、ICカードは、アンテナとして機能する導電層612を介して、リーダ/ライタと、電磁波の送信又は受信を行う。このような、電磁波の送信又は受信の動作について、以下に簡単に説明する。
【0129】
まず、リーダ/ライタが電磁波を送信すると、その電磁波は、アンテナとして機能する導電層612において交流の電気信号に変換される。電源回路は、交流の電気信号を用いて電源電圧を生成し、各回路に電源電圧を供給する。また、復調回路は、交流の電気信号を復調し、復調した信号を、演算処理回路に供給する。演算処理回路は、入力される信号に基づき、各種演算処理を行って、記憶回路等に制御信号を出力する。変調回路は、演算処理回路から供給される信号に基づき、アンテナとして機能する導電層612に負荷変調を加える。リーダ/ライタは、アンテナに加えられた負荷変調を、電磁波として受信する。このように、ICカードは、リーダ/ライタから電磁波を受信し、受信した電磁波を基に、電源電圧を生成する。
【0130】
次に、パネルについて説明する(図19(A)(B)参照)。パネルは、画像を表示する機能がある画素部623が設けられた基板620上に、本発明の薄膜集積回路624、625が貼り付けられたものである。また、接続フィルム626、627上に、薄膜集積回路628、629が貼り付けられたものである。
【0131】
基板620と基板621は、シール材630により貼り合わされている。画素部623と薄膜集積回路624とは、電気的に接続されている。具体的には、画素部623に接続された導電層631と、薄膜集積回路624が含む薄膜トランジスタ655に接続された導電層656とが、異方性導電ペースト640を介して電気的に接続されている。
【0132】
また、基板620上の様々な回路と接続フィルム626の導電層635は電気的に接続されている。具体的には、基板620上の導電層634と、接続フィルム626上の導電層635とが、異方性導電ペースト657を介して、電気的に接続されている。また、接続フィルム626の導電層635と薄膜集積回路628は電気的に接続されており、具体的には、接続フィルム626上の導電層635と、薄膜集積回路628が含む薄膜トランジスタ651に接続された導電層652とが、異方性導電ペースト653を介して電気的に接続されている。
【0133】
なお、本発明の半導体装置の一形態として、上記のような、ICカード、パネルに制約されない。本発明の半導体装置は、CPU、各種プロセッサなどになりうる。
【実施例6】
【0134】
本発明の半導体装置であって、基板上にアンテナが設けられているものは、アンテナを用いて、電磁波の送信、受信又は送受信を行うことができる。従って、半導体装置51の用途は広範にわたる。半導体装置51は、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類(運転免許証や住民票等、図20(A)参照)、包装用容器類(包装紙やボトル等、図20(B)参照)、記録媒体(DVDソフトやビデオテープ等、図20(C)参照)、乗物類(自転車等、図20(D)参照)、装身具(鞄や眼鏡等、図20(E)参照)、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に貼り付けて使用することができる。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(テレビ、テレビ受像機、テレビジョン受像機とも呼ぶ)、携帯端末等を指す。
【0135】
半導体装置は、物品の表面に貼ったり、物品に埋め込んだりすることにより、物品に固定される。例えば、本なら表紙の厚紙に埋め込んだり、包装紙なら包装紙を構成する有機樹脂内に埋め込む。また、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類なら、表面に貼り付けたり、埋め込む。上記に挙げた物品のうち、例えば、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に半導体装置を設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。
【0136】
また、半導体装置を、物の管理や流通のシステムに活用することで、システムの多機能化を図ることができる。例えば、表示部を含む携帯端末にリーダライタを設けて、物品に半導体装置を設ければ、リーダライタに半導体装置をかざすと、表示部に物品の原材料や原産地、流通過程の履歴等が表示されるシステムが実現する。そして、システムの多機能化、高付加価値化を図ることができる。また、別の例として、ベルトコンベアの脇にリーダライタを設けて、物品に半導体装置を設ければ、物品の検品を簡単に行うことができる。そして、システムの多機能化を図ることができる。本実施例は、他の実施の形態、実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例7】
【0137】
本発明の半導体装置であって、基板上に複数の画素を含む画素部が設けられているものは、画素部を用いて、画像を表示することができる。従って、電子機器に用いることが好適であり、以下には、その一例について説明する。
【0138】
携帯電話装置は、筐体2700、2706、パネル2701、ハウジング2702、プリント配線基板2703、操作ボタン2704及びバッテリ2705を含む(図21参照)。パネル2701は、複数の画素がマトリクス状に配置された画素部2709と機能回路部2710を有し、これらの回路は、一対の基板により封止されている。パネル2701はハウジング2702に脱着自在に組み込まれ、ハウジング2702はプリント配線基板2703に嵌着される。ハウジング2702はパネル2701が組み込まれる電子機器に合わせて、形状や寸法が適宜変更される。プリント配線基板2703には、中央処理回路(CPU)、コントローラ回路、電源回路、バッファアンプ、ソースドライバ、ゲートドライバから選択された一つ又は複数に相当する複数のICチップが実装される。モジュールとは、パネルにプリント配線基板2703が実装された状態に相当する。
【0139】
機能回路部2710は、画素部2709を制御する駆動回路の他、上記の実施の形態において説明したPLL回路が設けられる。PLL回路は、供給される信号の周波数を一定に保つ機能や供給される信号の周波数を制御する機能がある。例えば、PLL回路において、信号の周波数を高速化し、その高速化した周波数の信号を駆動回路に供給すれば、駆動回路の動作を高速にすることができる。また、PLL回路は、入力される信号の周波数が正確でない場合においても、平均周波数に同期させることにより正確な周波数の信号を出力することができる。従って、入力される信号の周波数が正確でない場合においても、画素部2709や駆動回路には正確な周波数の信号を供給することが可能となり、画素部2709において、所望の画像を表示することができる。従って、高機能化、多機能化及び高付加価値化を実現することができる。
【0140】
パネル2701は、接続フィルム2708を介して、プリント配線基板2703と接続される。パネル2701、ハウジング2702、プリント配線基板2703は、操作ボタン2704やバッテリ2705と共に、筐体2700、2706の内部に収納される。パネル2701が含む画素部2709は、筐体2700に設けられた開口窓から視認できるように配置されている。
【0141】
なお、筐体2700、2706は、携帯電話装置の外観形状を一例として示したものであり、本実施例に係る電子機器は、その機能や用途に応じて様々な態様に変容しうる。従って、以下に、電子機器の態様の一例について、図22を参照して説明する。
【0142】
携帯端末である携帯電話装置は、画素部9102等を含む(図22(A)参照)。携帯端末である携帯型ゲーム装置は、画素部9801等を含む(図22(B)参照)。デジタルビデオカメラは、画素部9701、9702等を含む(図22(C)参照)。携帯情報端末であるPDA(personal digital assistant)は、画素部9201等を含む(図22(D)参照)。テレビジョン装置は、画素部9301等を含む(図22(E)参照)。モニター装置は、画素部9401等を含む(図22(F)参照)。
【0143】
本発明は、携帯端末である携帯電話装置(携帯電話機、単に携帯電話ともよぶ)、PDA、電子手帳及び携帯型ゲーム機や、テレビジョン装置(テレビ、テレビジョン受信機ともよぶ)、ディスプレイ(モニター装置ともよぶ)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、カーオーディオ等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の様々な電子機器に適用することができる。本実施例は、他の実施の形態、実施例と自由に組み合わせることができる。
【0144】
以上、電圧制御発振器を構成する素子として薄膜トランジスタを用いて説明したが、 電圧制御発振器を構成する素子は薄膜トランジスタに限定されず、MOSトランジスタを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図2】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図3】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図4】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図5】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図6】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図7】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図8】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図9】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図10】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図11】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図12】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図13】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図14】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図15】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図16】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図17】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図18】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図19】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図20】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図21】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【図22】本発明の半導体装置の構成を説明するための図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられた電圧制御発振器を有し、
前記電圧制御発振器は、第1の回路、第2の回路、第3の回路及び第4の回路を有し、
前記第1の回路は、第1のN型薄膜トランジスタと第1のP型薄膜トランジスタを有し、
前記第2の回路は、第2のN型薄膜トランジスタを有し、
前記第3の回路は、第2のP型薄膜トランジスタを有し、
前記第4の回路は、第3のN型薄膜トランジスタと第3のP型薄膜トランジスタを有し、
前記第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第3のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第3のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と前記第3のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、低電位電源に接続され、
前記第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と前記第3のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、高電位電源に接続され、
前記第2のN型薄膜トランジスタのしきい値電圧は、前記第1のN型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも低く、
前記第3のN型薄膜トランジスタのしきい値電圧は、前記第1のN型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも低く、
前記第2のN型薄膜トランジスタのゲートと前記第3のN型薄膜トランジスタのゲートに第1の信号が入力され、
前記第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方と前記第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方から第2の信号を出力することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
基板上に設けられた電圧制御発振器を有し、
前記電圧制御発振器は、第1の回路と第2の回路を有し、
前記第1の回路は、第1のN型薄膜トランジスタとP型薄膜トランジスタを有し、
前記第2の回路は、第2のN型薄膜トランジスタを有し、
前記第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、前記P型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、低電位電源に接続され、
前記P型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、高電位電源に接続され、
前記第2のN型薄膜トランジスタのしきい値電圧は、前記第1のN型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも低く、
前記第2のN型薄膜トランジスタのゲートに第1の信号が入力され、
前記第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方と前記P型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方から第2の信号を出力することを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
基板上に設けられた電圧制御発振器を有し、
前記電圧制御発振器は、第1の回路、第2の回路、第3の回路及び第4の回路を有し、
前記第1の回路は、第1のN型薄膜トランジスタと第1のP型薄膜トランジスタを有し、
前記第2の回路は、第2のN型薄膜トランジスタを有し、
前記第3の回路は、第2のP型薄膜トランジスタを有し、
前記第4の回路は、第3のN型薄膜トランジスタと第3のP型薄膜トランジスタを有し、
前記第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第3のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第3のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と前記第3のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、低電位電源に接続され、
前記第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と前記第3のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、高電位電源に接続され、
前記第2のP型薄膜トランジスタのしきい値電圧は、前記第1のP型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも高く、
前記第3のP型薄膜トランジスタのしきい値電圧は、前記第1のP型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも高く、
前記第2のP型薄膜トランジスタのゲートと前記第3のP型薄膜トランジスタのゲートに第1の信号が入力され、
前記第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方と前記第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方から第2の信号を出力することを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
基板上に設けられた電圧制御発振器を有し、
前記電圧制御発振器は、第1の回路と第2の回路を有し、
前記第1の回路は、N型薄膜トランジスタと第1のP型薄膜トランジスタを有し、
前記第2の回路は、第2のP型薄膜トランジスタを有し、
前記第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、前記N型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、低電位電源に接続され、
前記N型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、高電位電源に接続され、
前記第2のP型薄膜トランジスタのしきい値電圧は、前記第1のP型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも高く、
前記第2のP型薄膜トランジスタのゲートに第1の信号が入力され、
前記N型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方と前記第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインから第2の信号を出力することを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記第2のN型薄膜トランジスタのチャネル長は、前記第1のN型薄膜トランジスタのチャネル長よりも短く、
と前記第3のN型薄膜トランジスタのチャネル長は、前記第1のN型薄膜トランジスタのチャネル長よりも短いことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記第1のN型薄膜トランジスタは、第1のチャネル形成領域を含む第1の半導体層を有し、
前記第2のN型薄膜トランジスタは、第2のチャネル形成領域を含む第2の半導体層を有し、
前記第3のN型薄膜トランジスタは、第3のチャネル形成領域を含む第3の半導体層を有し、
前記第2のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度よりも高く、
前記第3のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記第1のN型薄膜トランジスタは、第1のチャネル形成領域を含む第1の半導体層を有し、
前記第2のN型薄膜トランジスタは、第2のチャネル形成領域を含む第2の半導体層を有し、
前記第3のN型薄膜トランジスタは、第3のチャネル形成領域を含む第3の半導体層を有し、
前記第2のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度よりも低く、
前記第3のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度よりも低いことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1又は請求項3において、
前記第1の回路は、前記第1のN型薄膜トランジスタと前記第1のP型薄膜トランジスタをそれぞれ複数有し、
前記第2の回路は、前記第2のN型薄膜トランジスタを複数有し、
前記第3の回路は、前記第2のP型薄膜トランジスタを複数有することを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項2において、
前記第2のN型薄膜トランジスタのチャネル長は、前記第1のN型薄膜トランジスタのチャネル長よりも短いことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項2において、
前記第1のN型薄膜トランジスタは、第1のチャネル形成領域を含む第1の半導体層を有し、
前記第2のN型薄膜トランジスタは、第2のチャネル形成領域を含む第2の半導体層を有し、
前記第2のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項2において、
前記第1のN型薄膜トランジスタは、第1のチャネル形成領域を含む第1の半導体層を有し、
前記第2のN型薄膜トランジスタは、第2のチャネル形成領域を含む第2の半導体層を有し、
前記第2のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度よりも低いことを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項2において、
前記第1の回路は、前記第1のN型薄膜トランジスタと前記P型薄膜トランジスタをそれぞれ複数有し、
前記第2の回路は、前記第2のN型薄膜トランジスタを複数有することを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項3において、
前記第2のP型薄膜トランジスタのチャネル長は、前記第1のP型薄膜トランジスタのチャネル長よりも短く、
前記第3のP型薄膜トランジスタのチャネル長は、前記第1のP型薄膜トランジスタのチャネル長よりも短いことを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項3において、
前記第1のP型薄膜トランジスタは、第1のチャネル形成領域を含む第1の半導体層を有し、
前記第2のP型薄膜トランジスタは、第2のチャネル形成領域を含む第2の半導体層を有し、
前記第3のP型薄膜トランジスタは、第3のチャネル形成領域を含む第3の半導体層を有し、
前記第2のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度よりも高く、
前記第3のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項3において、
前記第1のP型薄膜トランジスタは、第1のチャネル形成領域を含む第1の半導体層を有し、
前記第2のP型薄膜トランジスタは、第2のチャネル形成領域を含む第2の半導体層を有し、
前記第3のP型薄膜トランジスタは、第3のチャネル形成領域を含む第3の半導体層を有し、
前記第2のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度よりも低く、
前記第3のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度よりも低いことを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項4において、
前記第2のP型薄膜トランジスタのチャネル長は、前記第1のP型薄膜トランジスタのチャネル長よりも短いことを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
請求項4において、
前記第1のP型薄膜トランジスタは、第1のチャネル形成領域を含む第1の半導体層を有し、
前記第2のP型薄膜トランジスタは、第2のチャネル形成領域を含む第2の半導体層を有し、
前記第2のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
請求項4において、
前記第1のP型薄膜トランジスタは、第1のチャネル形成領域を含む第1の半導体層を有し、
前記第2のP型薄膜トランジスタは、第2のチャネル形成領域を含む第2の半導体層を有し、
前記第2のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度よりも低いことを特徴とする半導体装置。
【請求項19】
請求項4において、
前記第1の回路は、前記N型薄膜トランジスタと前記第1のP型薄膜トランジスタをそれぞれ複数有し、
前記第2の回路は、前記第2のP型薄膜トランジスタを複数有することを特徴とする半導体装置。
【請求項20】
請求項1乃至請求項19のいずれか1項において、
前記基板上に設けられた位相比較器、ループフィルタ及び分周器を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項21】
請求項1乃至請求項19のいずれか1項において、
前記基板上に設けられた位相比較器、ループフィルタ及び分周器を有し、
前記第1の信号は、前記ループフィルタが生成する信号であり、
前記第2の信号は、前記分周器に供給されることを特徴とする半導体装置。
【請求項22】
請求項1乃至請求項19のいずれか1項において、
前記基板は、ガラス又はプラスチックからなることを特徴とする半導体装置。
【請求項23】
請求項1乃至請求項19のいずれか1項において、
前記基板上に設けられたアンテナを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項24】
請求項1乃至請求項19のいずれか1項において、
前記基板上に設けられた複数の画素を含む画素部を有し、
前記複数の画素の各々は、液晶素子又は発光素子を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項25】
請求項1乃至請求項24のいずれか一項に記載の前記半導体装置を用いた電子機器。
【請求項1】
基板上に設けられた電圧制御発振器を有し、
前記電圧制御発振器は、第1の回路、第2の回路、第3の回路及び第4の回路を有し、
前記第1の回路は、第1のN型薄膜トランジスタと第1のP型薄膜トランジスタを有し、
前記第2の回路は、第2のN型薄膜トランジスタを有し、
前記第3の回路は、第2のP型薄膜トランジスタを有し、
前記第4の回路は、第3のN型薄膜トランジスタと第3のP型薄膜トランジスタを有し、
前記第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第3のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第3のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と前記第3のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、低電位電源に接続され、
前記第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と前記第3のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、高電位電源に接続され、
前記第2のN型薄膜トランジスタのしきい値電圧は、前記第1のN型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも低く、
前記第3のN型薄膜トランジスタのしきい値電圧は、前記第1のN型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも低く、
前記第2のN型薄膜トランジスタのゲートと前記第3のN型薄膜トランジスタのゲートに第1の信号が入力され、
前記第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方と前記第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方から第2の信号を出力することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
基板上に設けられた電圧制御発振器を有し、
前記電圧制御発振器は、第1の回路と第2の回路を有し、
前記第1の回路は、第1のN型薄膜トランジスタとP型薄膜トランジスタを有し、
前記第2の回路は、第2のN型薄膜トランジスタを有し、
前記第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、前記P型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、低電位電源に接続され、
前記P型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、高電位電源に接続され、
前記第2のN型薄膜トランジスタのしきい値電圧は、前記第1のN型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも低く、
前記第2のN型薄膜トランジスタのゲートに第1の信号が入力され、
前記第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方と前記P型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方から第2の信号を出力することを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
基板上に設けられた電圧制御発振器を有し、
前記電圧制御発振器は、第1の回路、第2の回路、第3の回路及び第4の回路を有し、
前記第1の回路は、第1のN型薄膜トランジスタと第1のP型薄膜トランジスタを有し、
前記第2の回路は、第2のN型薄膜トランジスタを有し、
前記第3の回路は、第2のP型薄膜トランジスタを有し、
前記第4の回路は、第3のN型薄膜トランジスタと第3のP型薄膜トランジスタを有し、
前記第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第3のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第3のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第2のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と前記第3のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、低電位電源に接続され、
前記第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方と前記第3のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、高電位電源に接続され、
前記第2のP型薄膜トランジスタのしきい値電圧は、前記第1のP型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも高く、
前記第3のP型薄膜トランジスタのしきい値電圧は、前記第1のP型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも高く、
前記第2のP型薄膜トランジスタのゲートと前記第3のP型薄膜トランジスタのゲートに第1の信号が入力され、
前記第1のN型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方と前記第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方から第2の信号を出力することを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
基板上に設けられた電圧制御発振器を有し、
前記電圧制御発振器は、第1の回路と第2の回路を有し、
前記第1の回路は、N型薄膜トランジスタと第1のP型薄膜トランジスタを有し、
前記第2の回路は、第2のP型薄膜トランジスタを有し、
前記第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方は、前記N型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第2のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、低電位電源に接続され、
前記N型薄膜トランジスタのソース又はドレインの他方は、高電位電源に接続され、
前記第2のP型薄膜トランジスタのしきい値電圧は、前記第1のP型薄膜トランジスタのしきい値電圧よりも高く、
前記第2のP型薄膜トランジスタのゲートに第1の信号が入力され、
前記N型薄膜トランジスタのソース又はドレインの一方と前記第1のP型薄膜トランジスタのソース又はドレインから第2の信号を出力することを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記第2のN型薄膜トランジスタのチャネル長は、前記第1のN型薄膜トランジスタのチャネル長よりも短く、
と前記第3のN型薄膜トランジスタのチャネル長は、前記第1のN型薄膜トランジスタのチャネル長よりも短いことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記第1のN型薄膜トランジスタは、第1のチャネル形成領域を含む第1の半導体層を有し、
前記第2のN型薄膜トランジスタは、第2のチャネル形成領域を含む第2の半導体層を有し、
前記第3のN型薄膜トランジスタは、第3のチャネル形成領域を含む第3の半導体層を有し、
前記第2のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度よりも高く、
前記第3のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記第1のN型薄膜トランジスタは、第1のチャネル形成領域を含む第1の半導体層を有し、
前記第2のN型薄膜トランジスタは、第2のチャネル形成領域を含む第2の半導体層を有し、
前記第3のN型薄膜トランジスタは、第3のチャネル形成領域を含む第3の半導体層を有し、
前記第2のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度よりも低く、
前記第3のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度よりも低いことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1又は請求項3において、
前記第1の回路は、前記第1のN型薄膜トランジスタと前記第1のP型薄膜トランジスタをそれぞれ複数有し、
前記第2の回路は、前記第2のN型薄膜トランジスタを複数有し、
前記第3の回路は、前記第2のP型薄膜トランジスタを複数有することを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項2において、
前記第2のN型薄膜トランジスタのチャネル長は、前記第1のN型薄膜トランジスタのチャネル長よりも短いことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項2において、
前記第1のN型薄膜トランジスタは、第1のチャネル形成領域を含む第1の半導体層を有し、
前記第2のN型薄膜トランジスタは、第2のチャネル形成領域を含む第2の半導体層を有し、
前記第2のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項2において、
前記第1のN型薄膜トランジスタは、第1のチャネル形成領域を含む第1の半導体層を有し、
前記第2のN型薄膜トランジスタは、第2のチャネル形成領域を含む第2の半導体層を有し、
前記第2のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度よりも低いことを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項2において、
前記第1の回路は、前記第1のN型薄膜トランジスタと前記P型薄膜トランジスタをそれぞれ複数有し、
前記第2の回路は、前記第2のN型薄膜トランジスタを複数有することを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項3において、
前記第2のP型薄膜トランジスタのチャネル長は、前記第1のP型薄膜トランジスタのチャネル長よりも短く、
前記第3のP型薄膜トランジスタのチャネル長は、前記第1のP型薄膜トランジスタのチャネル長よりも短いことを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項3において、
前記第1のP型薄膜トランジスタは、第1のチャネル形成領域を含む第1の半導体層を有し、
前記第2のP型薄膜トランジスタは、第2のチャネル形成領域を含む第2の半導体層を有し、
前記第3のP型薄膜トランジスタは、第3のチャネル形成領域を含む第3の半導体層を有し、
前記第2のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度よりも高く、
前記第3のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項3において、
前記第1のP型薄膜トランジスタは、第1のチャネル形成領域を含む第1の半導体層を有し、
前記第2のP型薄膜トランジスタは、第2のチャネル形成領域を含む第2の半導体層を有し、
前記第3のP型薄膜トランジスタは、第3のチャネル形成領域を含む第3の半導体層を有し、
前記第2のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度よりも低く、
前記第3のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度よりも低いことを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項4において、
前記第2のP型薄膜トランジスタのチャネル長は、前記第1のP型薄膜トランジスタのチャネル長よりも短いことを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
請求項4において、
前記第1のP型薄膜トランジスタは、第1のチャネル形成領域を含む第1の半導体層を有し、
前記第2のP型薄膜トランジスタは、第2のチャネル形成領域を含む第2の半導体層を有し、
前記第2のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のP型を付与する不純物元素の濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
請求項4において、
前記第1のP型薄膜トランジスタは、第1のチャネル形成領域を含む第1の半導体層を有し、
前記第2のP型薄膜トランジスタは、第2のチャネル形成領域を含む第2の半導体層を有し、
前記第2のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度は、前記第1のチャネル形成領域のN型を付与する不純物元素の濃度よりも低いことを特徴とする半導体装置。
【請求項19】
請求項4において、
前記第1の回路は、前記N型薄膜トランジスタと前記第1のP型薄膜トランジスタをそれぞれ複数有し、
前記第2の回路は、前記第2のP型薄膜トランジスタを複数有することを特徴とする半導体装置。
【請求項20】
請求項1乃至請求項19のいずれか1項において、
前記基板上に設けられた位相比較器、ループフィルタ及び分周器を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項21】
請求項1乃至請求項19のいずれか1項において、
前記基板上に設けられた位相比較器、ループフィルタ及び分周器を有し、
前記第1の信号は、前記ループフィルタが生成する信号であり、
前記第2の信号は、前記分周器に供給されることを特徴とする半導体装置。
【請求項22】
請求項1乃至請求項19のいずれか1項において、
前記基板は、ガラス又はプラスチックからなることを特徴とする半導体装置。
【請求項23】
請求項1乃至請求項19のいずれか1項において、
前記基板上に設けられたアンテナを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項24】
請求項1乃至請求項19のいずれか1項において、
前記基板上に設けられた複数の画素を含む画素部を有し、
前記複数の画素の各々は、液晶素子又は発光素子を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項25】
請求項1乃至請求項24のいずれか一項に記載の前記半導体装置を用いた電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2006−270945(P2006−270945A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51585(P2006−51585)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]