半導体装置
【課題】トランジスタの集積化を妨げることなく、トランジスタの駆動力を向上させる半導体装置を提供する。
【解決手段】所定の結晶からなる半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、ゲート幅方向に凸部を有して前記半導体基板内に形成され、前記所定の結晶とは異なる格子定数を有するエピタキシャル結晶が埋め込まれたソース・ドレイン領域と、を具備するトランジスタと、前記凸部以外の前記ソース・ドレイン領域に接続されたコンタクトプラグと、を備えた半導体装置を提供する。
【解決手段】所定の結晶からなる半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、ゲート幅方向に凸部を有して前記半導体基板内に形成され、前記所定の結晶とは異なる格子定数を有するエピタキシャル結晶が埋め込まれたソース・ドレイン領域と、を具備するトランジスタと、前記凸部以外の前記ソース・ドレイン領域に接続されたコンタクトプラグと、を備えた半導体装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、半導体基板と、半導体基板の主面内に部分的に形成された素子分離絶縁膜と、素子分離絶縁膜によって規定される素子形成領域内において、半導体基板の主面上に部分的に形成されたゲート構造と、素子形成領域内において、半導体基板の主面内に形成され、ゲート構造の下方のチャネル形成領域を挟んで対を成すソース・ドレイン領域とを備え、素子形成領域の形状によって、ゲート構造が形成されている部分の半導体基板に加わるストレスが調整されることを特徴とする半導体装置の設計方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この半導体装置の素子形成領域は、外周に沿って凸部が形成された上面構造を有している。従って、凸部が形成されていない場合を基準として、素子分離絶縁膜から半導体基板に加わるストレスが変化する。そのため、ゲート構造が形成されている部分の半導体基板に加わるストレスを、凸部の形成によって微調整することができ、その結果、ゲート構造を有するMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)の電流駆動能力を所望の値に設定することが可能となる。
【特許文献1】特開2004―281631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、トランジスタの集積化を妨げることなく、トランジスタの駆動力を向上させる半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、所定の結晶からなる半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、ゲート幅方向に凸部を有して前記半導体基板内に形成され、前記所定の結晶とは異なる格子定数を有するエピタキシャル結晶が埋め込まれたソース・ドレイン領域と、を具備するトランジスタと、前記凸部以外の前記ソース・ドレイン領域に接続されたコンタクトプラグと、を備えた半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、トランジスタの集積化を妨げることなく、トランジスタの駆動力を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[第1の実施の形態]
(半導体装置の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の上面図であり、図2は、本発明の第1の実施の形態に係るトランジスタの図1のII−II線に対応する場所の断面図である。図1は、図2に示すトランジスタのゲート側壁、ゲートシリサイド層およびシリサイド層の図示を省略している。
【0008】
この半導体装置1は、図1および図2に示すように、半導体基板2と、半導体基板2に形成された素子分離領域3と、半導体基板2上に形成されたトランジスタ4と、を備えて概略構成されている。
【0009】
半導体基板2は、Si結晶やSiGe結晶等のSiを主成分とするSi系結晶(所定の結晶)からなる。本実施の形態を含め、以下に記載する各実施の形態における半導体基板2は、Si結晶からなるものとする。
【0010】
素子分離領域3は、STI(Shallow Trench Isolation)構造を有し、半導体基板2上に形成された所定のパターンを有する溝内に絶縁膜が埋め込まれたものである。この絶縁膜は、一例として、SiO2膜である。
【0011】
トランジスタ4は、図2に示すように、半導体基板2内に形成されたソース・ドレイン領域40と、ゲート電極43の下方に形成されたチャネル領域41と、半導体基板2上にゲート絶縁膜42を介して形成されたゲート電極43と、ゲート電極43の側面に形成されたゲート側壁44と、ソース・ドレイン領域40の上面に形成されたシリサイド層45と、ゲート電極43の上面に形成されたゲートシリサイド層46と、シリサイド層45を介してソース・ドレイン領域40と上層の配線等を電気的に接続するコンタクトプラグ47と、を備えて概略構成されている。以降の各実施の形態における上面図において、点線で図示されるコンタクトプラグ47は、図2に示すコンタクトプラグ47を垂直上方向からソース・ドレイン領域40に投影したものである。
【0012】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の図1のIII−III線に対応する場所の断面図である。ソース・ドレイン領域40は、図1および図3に示すように、ゲート幅方向に突出して形成された凸部400を有している。この凸部400は、ソース・ドレイン領域40に埋め込まれるエピタキシャル結晶と同じエピタキシャル結晶が埋め込まれる。
【0013】
ソース・ドレイン領域40は、半導体基板2を構成するSi結晶の格子定数と異なる格子定数のエピタキシャル結晶が埋め込まれる。凸部400が形成されたソース・ドレイン領域40は、凸部400が形成されないソース・ドレイン領域に比べ、より大きなチャネル方向の圧縮または引張歪みをチャネル領域41に発生させることができる。
【0014】
ここで、凸部400は、コンタクトプラグ47を形成する際の合わせずれによる接続不良を回避するために設けられたものではなく、チャネル領域41に歪みを発生させる目的でソース・ドレイン領域40に設けられるものであるため、コンタクトプラグ47は、凸部400に接続されない。すなわち、凸部400は、ソース・ドレイン電流の経路として用いられない。
【0015】
ソース・ドレイン領域40は、チャネル領域41のチャネル方位、およびトランジスタ4の導電型の組み合わせに基づいて埋め込まれるエピタキシャル結晶が異なる。例えば、チャネル方位が<110>であるとき、トランジスタ4の導電型がn型の場合は、チャネル方向に引張歪みが発生することによってトランジスタ4のキャリアの移動度が向上し、トランジスタ4の導電型がp型の場合は、チャネル方向に圧縮歪みが発生することによってトランジスタ4のキャリアの移動度が向上する。
【0016】
また、例えば、チャネル方位が<100>であるとき、トランジスタ4の導電型に関わらず、チャネル方向に引張歪みが発生することによって、トランジスタ4のキャリアの移動度が向上する。なお、<110>は、[110]、および[110]と等価な方向を表す。また、<100>は、[100]、および[100]と等価な方向を表す。
【0017】
チャネル領域41にチャネル方向の引張歪みを発生させるとき、ソース・ドレイン領域40には、半導体基板2を構成するSi結晶の格子定数より小さい格子定数を有するエピタキシャル結晶、例えば、SiC結晶等が埋め込まれる。また、チャネル領域41にチャネル方向の圧縮歪みを発生させるとき、ソース・ドレイン領域40には、半導体基板2を構成するSi結晶の格子定数より大きい格子定数を有するエピタキシャル結晶、例えば、SiGe結晶等が埋め込まれる。
【0018】
また、例えば、半導体基板2がSi系結晶であるSiGe結晶からなり、チャネル領域41にチャネル方向の引張歪みを発生させるとき、ソース・ドレイン領域40には、半導体基板2を構成するSiGe結晶の格子定数より小さい格子定数を有するエピタキシャル結晶、例えば、SiC結晶等が埋め込まれる。また、チャネル領域41にチャネル方向の圧縮歪みを発生させるとき、ソース・ドレイン領域40には、半導体基板2を構成するSiGe結晶の格子定数より大きい格子定数を有するエピタキシャル結晶、例えば、半導体基板2を構成するSiGe結晶よりもGe濃度を高くしたSiGe結晶等が埋め込まれる。
【0019】
ゲート絶縁膜42は、一例として、SiO2、SiN、SiON、または高誘電材料(例えば、HfSiON、HfSiO、HfO等のHf系材料、ZrSiON、ZrSiO、ZrO等のZr系材料、Y2O3等のY系材料)からなる。
【0020】
ゲート電極43は、一例として、導電型不純物を含む多結晶Si、または多結晶SiGeからなり、トランジスタ4の導電型がn型であるとき、導電型不純物としてAs、P等のn型不純物イオンが注入され、トランジスタ4の導電型がp型であるとき、導電型不純物としてB、BF2等のp型不純物イオンが注入される。なお、ゲート電極43は、W、Ta、Ti、Hf、Zr、Ru、Pt、Ir、Mo、Al等やこれらの化合物からなるメタルゲート電極であっても良い。
【0021】
ゲート側壁44は、SiN等の絶縁材料からなる。また、ゲート側壁44は、SiN、SiO2、TEOS(Tetraethoxysilane)等の複数種の絶縁材料からなる2層構造、更には3層以上の構造であっても良い。
【0022】
シリサイド層45およびゲートシリサイド層46は、一例として、Ni、Pt、Co、Er、Y、Yb、Ti、Pb、NiPt、CoNi等の金属とSiとの化合物からなる。なお、ゲートシリサイド層46は、ゲート電極43の上部をシリサイド化することにより形成されるが、ゲート電極43の全てをシリサイド化して、フルシリサイドゲート電極を形成しても良い。
【0023】
コンタクトプラグ47は、W、Ir、Pt等の電気抵抗率の低い金属材料からなる。
【0024】
間隔W1は、図1に示すように、ソース・ドレイン領域40のゲート幅方向の側部からゲート電極43の端部までの間隔である。この間隔W1は、半導体装置1のデザインルール(設計基準)およびプロセスマージンから設定されるものである。ここで、デザインルールとは、半導体装置の最小寸法に基づいて決定される、半導体素子(例えば、トランジスタ)の平面的寸法や相互の位置関係、半導体素子間の立体的位置関係、および素子分離領域の間隔等を定めた規則である。また、プロセスマージンとは、半導体装置の加工プロセスで生じる寸法変動を考慮した加工の余裕度を示すものであり、加工プロセスの特性の変動によって生産される半導体装置の品質が変動した場合でも、生産された半導体装置が良品の範囲内に収まるように設定される。
【0025】
幅W2は、図1に示すように、凸部400のゲート幅方向の幅である。この幅W2は、トランジスタの集積化を妨げることがないように設定され、一例として、間隔W1以下に設定される。なお、幅W2は、トランジスタの集積化を妨げることがない程度であれば、間隔W1よりも大きくて良い。
【0026】
間隔W3は、図1に示すように、ゲート電極43と凸部400の間隔である。この間隔W3は、半導体装置1のデザインルールおよびプロセスマージンから設定されるものである。半導体装置1は、ゲート電極43と凸部400の間隔としてW3を有するので、凸部400は、ゲート電極43の直下に形成されない。
【0027】
幅W4は、ソース・ドレイン領域40上に投影されたコンタクトプラグ47の最大幅である。本実施の形態におけるコンタクトプラグ47は、その断面が正方形状であるので、幅W4は、コンタクトプラグ47の一辺の長さとなる。
【0028】
(第1の実施の形態の効果)
上記した第1の実施の形態における半導体装置1によれば、凸部400が形成されたソース・ドレイン領域40は、凸部400が形成されないソース・ドレイン領域よりも大きな圧縮または引張歪みをチャネル領域41に発生させ、トランジスタ4の駆動力を向上させることができる。
【0029】
また、半導体装置1は、ソース・ドレイン領域40のゲート幅方向の側部からゲート電極43の端部までの間隔であるW1と、凸部400のゲート幅方向の幅であるW2とが、同程度の長さであるので、トランジスタの集積化を妨げることなく、トランジスタの駆動力を向上させることができる。
【0030】
さらに、半導体装置1のソース・ドレイン領域40は、チャネル領域41のチャネル方位、およびトランジスタ4の導電型の組み合わせに基づいて埋め込まれるエピタキシャル結晶が選択されるので、チャネル領域41に所望の大きさの圧縮または引張歪みを発生させることができ、トランジスタ4の駆動力をトランジスタ4の導電型にかかわらず向上させることができる。
【0031】
凸部400は、ソース・ドレイン電流の経路として用いられないので、コンタクトプラグ47を接続する必要がなく、幅W2と間隔W3の条件を満たす範囲で、その形状、および形成する位置を自由に設定することができ、チャネル領域41に所望の大きさの圧縮または引張歪みを発生させることができる。
【0032】
[第2の実施の形態]
(半導体装置の構成)
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。以降の各実施の形態における上面図において、素子分離領域、ゲート側壁、ゲートシリサイド層およびシリサイド層の図示を省略するものとする。また、以降の各実施の形態においては、主に、第1の実施の形態と異なる点について説明する。なお、以降の各実施の形態においては、部材の機能および構成等、第1の実施の形態と同様の点については、簡単のため、同一の符号を付し、その説明は省略するものとする。
【0033】
半導体装置1Aは、図4に示すように、一例として、同一の導電型を有する第1〜第3のトランジスタ4A〜4Cを有して概略構成されている。
【0034】
第1のトランジスタ4Aは、第1のゲート電極43aを有し、第2のトランジスタ4Bは、第2のゲート電極43bを有し、第3のトランジスタ4Cは、第3のゲート電極43cを有している。第1〜第3のゲート電極43a〜43cは、ソース・ドレイン領域40Aの上に、ゲート絶縁膜を介して形成されている。
【0035】
また、ソース・ドレイン領域40Aは、第1〜第3のゲート電極43a〜43cを境界とすることによって、図4に示すように、第1〜第4のソース・ドレイン領域401〜404の4つの区域に分けられる。
【0036】
第1のソース・ドレイン領域401は、第1のトランジスタ4Aに属し、第2のソース・ドレイン領域402は、第1および第2のトランジスタ4A、4Bに属し、第3のソース・ドレイン領域403は、第2および第3のトランジスタ4B、4Cに属し、第4のソース・ドレイン領域404は、第3のトランジスタ4Cに属している。
【0037】
この半導体装置1Aは、一例として、第3のソース・ドレイン領域403に、側部からゲート幅方向に突出する凸部400Aが形成されている。この第3のソース・ドレイン領域403は、コンタクトプラグ47が接続されていないことから、凸部400Aは、コンタクトプラグ47を接続する目的で形成されたものではないので、第1の実施の形態における幅W2と間隔W3の条件を満たす範囲で、その形状、および形成する位置が自由に設定される。よって凸部400Aが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、第2〜第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に所望の大きさの圧縮または引張歪みを発生させることができる。
【0038】
この凸部400Aが形成されたソース・ドレイン領域40Aは、第1の実施の形態と同様に、第1〜第3のトランジスタ4A〜4Cの導電型、およびチャネル方位に応じたエピタキシャル結晶が埋め込まれる。
【0039】
(第2の実施の形態の効果)
上記した第2の実施の形態における半導体装置1Aによれば、凸部400Aが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、凸部400Aが形成されないソース・ドレイン領域に比べて、大きな圧縮または引張歪みを第2および第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に発生させることができるので、第2および第3のトランジスタ4B、4Cの駆動力を向上させることができる。
【0040】
[第3の実施の形態]
図5は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。この半導体装置1Bは、一例として、第3のソース・ドレイン領域403に、側部からゲート幅方向に突出する凸部400Bが形成されている。また、この半導体装置1Bは、第3のソース・ドレイン領域403に、コンタクトプラグ47Bが、シリサイド層を介して電気的に接続されている。
【0041】
間隔W5は、図5に示すように、互いに最も近い、第3のソース・ドレイン領域403上に投影したコンタクトプラグ47Bの辺の延長線と、凸部400Bの辺の延長線と、の間隔を示しており、常に、凸部400Bの延長線は、点線で示すコンタクトプラグ47Bの外側にあるものとする。よって、凸部400Bは、コンタクトプラグ47Bを形成する際の合わせずれによる接続不良を回避するためや、コンタクトプラグ47Bを接続するために設けられたものではなく、チャネル領域に歪みを発生させる目的で第3のソース・ドレイン領域403に形成されているのが、明らかとなる。
【0042】
また、凸部400Bは、コンタクトプラグ47Bを接続する目的で形成されたものではないので、第1の実施の形態における幅W2、間隔W3、および本実施の形態における間隔W5の条件を満たす範囲で、その形状、および形成する位置が自由に設定される。よって凸部400Bが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、第2〜第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に所望の大きさの圧縮または引張歪みを発生させることができる。
【0043】
この凸部400Bが形成されたソース・ドレイン領域40Aは、第1の実施の形態と同様に、第1〜第3のトランジスタ4A〜4Cの導電型、およびチャネル方位に応じたエピタキシャル結晶が埋め込まれる。
【0044】
(第3の実施の形態の効果)
上記した第3の実施の形態における半導体装置1Bによれば、凸部400Bが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、凸部400Bが形成されないソース・ドレイン領域に比べて、大きな圧縮または引張歪みを第2および第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に発生させることができるので、第2および第3のトランジスタ4B、4Cの駆動力を向上させることができる。
【0045】
[第4の実施の形態]
図6は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。この半導体装置1Cは、一例として、第3のソース・ドレイン領域403に、側部からゲート幅方向に突出する凸部400Cが形成されている。また、この半導体装置1Cは、第3のソース・ドレイン領域403に、コンタクトプラグ47Cが、シリサイド層を介して電気的に接続されている。
【0046】
図6の斜線で示す領域403aは、凸部400C、および凸部400Cと第3のソース・ドレイン領域403の凸部400Cに対向する辺との間の領域を表している。
【0047】
凸部400Cは、第3のソース・ドレイン領域403に投影されたコンタクトプラグ47Cの投影像の全体が、この領域403aに含まれないような位置に形成される。言い換えるなら、凸部400Cは、領域403a上にコンタクトプラグ47Cの全体が含まれない位置に形成される。よって、凸部400Cは、コンタクトプラグ47Cを形成する際の合わせずれによる接続不良を回避するためや、コンタクトプラグ47Cを接続するために設けられたものではなく、チャネル領域に歪みを発生させる目的で第3のソース・ドレイン領域403に形成されているのが、明らかとなる。
【0048】
また、凸部400Cは、コンタクトプラグ47Cを接続する目的で形成されたものではないので、第1の実施の形態における幅W2、間隔W3、および本実施の形態におけるコンタクトプラグ47Cの投影像の全体が領域403aに含まれないという条件を満たす範囲で、その形状、および形成する位置が自由に設定される。よって凸部400Cが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、第2〜第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に所望の大きさの圧縮または引張歪みを発生させることができる。
【0049】
この凸部400Cが形成されたソース・ドレイン領域40Aは、第1の実施の形態と同様に、第1〜第3のトランジスタ4A〜4Cの導電型、およびチャネル方位に応じたエピタキシャル結晶が埋め込まれる。
【0050】
(第4の実施の形態の効果)
上記した第4の実施の形態における半導体装置1Cによれば、凸部400Cが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、凸部400Cが形成されないソース・ドレイン領域に比べて、大きな圧縮または引張歪みを第2および第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に発生させることができるので、第2および第3のトランジスタ4B、4Cの駆動力を向上させることができる。
【0051】
[第5の実施の形態]
図7は、本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。この半導体装置1Dは、一例として、第3のソース・ドレイン領域403に、側部からゲート幅方向に突出する凸部400Dが形成されている。また、この半導体装置1Dは、第3のソース・ドレイン領域403に、コンタクトプラグ47Dが、シリサイド層を介して電気的に接続されている。
【0052】
この凸部400Dは、ゲート長方向の一辺が幅W6となっており、この幅W6は、第3のソース・ドレイン領域403に投影したコンタクトプラグ47Dの一辺の幅W4よりも小さい。よって、凸部400Dは、コンタクトプラグ47Dを形成する際の合わせずれによる接続不良を回避するためや、コンタクトプラグ47Dを接続するために設けられたものではなく、チャネル領域に歪みを発生させる目的で第3のソース・ドレイン領域403に形成されているのが、明らかとなる。
【0053】
また、凸部400Dは、コンタクトプラグ47Dを接続する目的で形成されたものではないので、第1の実施の形態における幅W2、間隔W3、および本実施の形態における凸部400Dの幅W6の条件を満たす範囲で、その形状、および形成する位置が自由に設定される。よって凸部400Dが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、第2〜第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に所望の大きさの圧縮または引張歪みを発生させることができる。
【0054】
この凸部400Dが形成されたソース・ドレイン領域40Aは、第1の実施の形態と同様に、第1〜第3のトランジスタ4A〜4Cの導電型、およびチャネル方位に応じたエピタキシャル結晶が埋め込まれる。
【0055】
(第5の実施の形態の効果)
上記した第5の実施の形態における半導体装置1Dによれば、凸部400Dが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、凸部400Dが形成されないソース・ドレイン領域に比べて、大きな圧縮または引張歪みを第2および第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に発生させることができるので、第2および第3のトランジスタ4B、4Cの駆動力を向上させることができる。
【0056】
[第6の実施の形態]
図8は、本発明の第6の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。この半導体装置1Eは、一例として、第3のソース・ドレイン領域403に、側部からゲート幅方向に突出する凸部400Eが形成されている。
【0057】
この半導体装置1Eのソース・ドレイン領域40Aは、ゲート幅方向の幅がW7であり、この幅W7は、一例として、コンタクトプラグ47の幅W4の2倍以上あるものとする。つまり、コンタクトプラグ47は、第3のソース・ドレイン領域403の上方に十分形成することができるにも関わらず形成されていないことから、凸部400Eは、コンタクトプラグ47を接続する目的で形成されたものではないので、第1の実施の形態における幅W2と間隔W3の条件を満たす範囲で、その形状、および形成する位置が自由に設定される。よって凸部400Eが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、第2〜第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に所望の大きさの圧縮または引張歪みを発生させることができる。
【0058】
この凸部400Eが形成されたソース・ドレイン領域40Aは、第1の実施の形態と同様に、第1〜第3のトランジスタ4A〜4Cの導電型、およびチャネル方位に応じたエピタキシャル結晶が埋め込まれる。
【0059】
(第6の実施の形態の効果)
上記した第6の実施の形態における半導体装置1Eによれば、凸部400Eが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、凸部400Eが形成されないソース・ドレイン領域に比べて、大きな圧縮または引張歪みを第2および第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に発生させることができるので、第2および第3のトランジスタ4B、4Cの駆動力を向上させることができる。
【0060】
[第7の実施の形態]
図9は、本発明の第7の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。この半導体装置1Fは、一例として、第3のソース・ドレイン領域403に、側部からゲート幅方向に突出する凸部400Fが形成されている。
【0061】
ソース・ドレイン領域40Aは、ゲート幅方向の幅がW8であり、第2のゲート電極43bと第3のゲート電極43cの間の間隔はW9である。このW8およびW9は、一例として、コンタクトプラグ47の幅W4の2倍以上あるものとする。つまり、コンタクトプラグ47は、第3のソース・ドレイン領域403の上方に十分形成することができるにも関わらず形成されていないことから、凸部400Fは、コンタクトプラグ47を接続する目的で形成されたものではないので、第1の実施の形態における幅W2と間隔W3の条件を満たす範囲で、その形状、および形成する位置が自由に設定される。よって凸部400Fが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、第2〜第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に所望の大きさの圧縮または引張歪みを発生させることができる。
【0062】
この凸部400Fが形成されたソース・ドレイン領域40Aは、第1の実施の形態と同様に、第1〜第3のトランジスタ4A〜4Cの導電型、およびチャネル方位に応じたエピタキシャル結晶が埋め込まれる。
【0063】
(第7の実施の形態の効果)
上記した第7の実施の形態における半導体装置1Fによれば、凸部400Fが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、凸部400Fが形成されないソース・ドレイン領域に比べて、大きな圧縮または引張歪みを第2および第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に発生させることができるので、第2および第3のトランジスタ4B、4Cの駆動力を向上させることができる。
【0064】
[第8の実施の形態]
図10は、本発明の第8の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。この半導体装置1Gは、一例として、第3のソース・ドレイン領域403に、側部からゲート幅方向に突出する凸部400Gが形成されている。
【0065】
この第3のソース・ドレイン領域403は、その上方に2つのコンタクトプラグ47Gが形成されている。また、ソース・ドレイン領域40Aは、ゲート幅方向の幅がW8であり、第2のゲート電極43bと第3のゲート電極43cの間の間隔はW9である。このW8およびW9は、一例として、コンタクトプラグ47Gの幅W4の2倍以上あるものとする。つまり、コンタクトプラグ47Gは、凸部400Gの上方に十分形成することができるにも関わらず形成されていないことから、凸部400Gは、コンタクトプラグ47Gを接続する目的で形成されたものではないので、第1の実施の形態における幅W2と間隔W3の条件を満たす範囲で、その形状、および形成する位置が自由に設定される。よって凸部400Gが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、第2〜第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に所望の大きさの圧縮または引張歪みを発生させることができる。
【0066】
この凸部400Gが形成されたソース・ドレイン領域40Aは、第1の実施の形態と同様に、第1〜第3のトランジスタ4A〜4Cの導電型、およびチャネル方位に応じたエピタキシャル結晶が埋め込まれる。
【0067】
(第8の実施の形態の効果)
上記した第8の実施の形態における半導体装置1Gによれば、凸部400Gが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、凸部400Gが形成されないソース・ドレイン領域に比べて、大きな圧縮または引張歪みを第2および第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に発生させることができるので、第2および第3のトランジスタ4B、4Cの駆動力を向上させることができる。
【0068】
[第9の実施の形態]
図11は、本発明の第9の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。上記した各実施の形態における半導体装置は、ソース・ドレイン領域に1つの凸部を有する場合について説明したが、本実施の形態では、複数の凸部を有する場合について説明する。
【0069】
半導体装置1Hは、図11に示すように、トランジスタ4Hを有し、トランジスタ4Hは、ソース・ドレイン領域40Hと、ゲート電極43と、を有している。
【0070】
ソース・ドレイン領域40Hには、ゲート電極43を挟んで凸部400Hおよび凸部401Hが形成されている。
【0071】
凸部400Hは、ソース・ドレイン領域40Hのゲート幅方向の側部から突出するように形成され、凸部401Hは、ソース・ドレイン領域40Hのゲート幅方向の側部から、凸部400Hとは逆方向に突出して形成されている。
【0072】
この凸部400Hおよび401Hが形成されたソース・ドレイン領域40Hは、第1の実施の形態と同様に、トランジスタ4Hの導電型、およびチャネル方位に応じたエピタキシャル結晶が埋め込まれる。
【0073】
(第9の実施の形態の効果)
上記した第9の実施の形態における半導体装置1Hによれば、凸部400Hおよび401Hが形成されたソース・ドレイン領域40Hは、凸部400Hおよび401Hが形成されないソース・ドレイン領域に比べて、大きな圧縮または引張歪みを、トランジスタ4Hのチャネル領域に発生させることができるので、トランジスタ4Hの駆動力を向上させることができる。
【0074】
(他の実施の形態について)
本発明は、上記した実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々の変形および組み合わせが可能である。
【0075】
例えば、第1〜第8の実施の形態における凸部は、各ソース・ドレイン領域に1つ形成されたが、複数形成されても良く、また、第9の実施の形態に示したように、ソース・ドレイン領域の対向する側部だけでなく、同一の側部に複数形成されても良い。さらに、凸部は、これらの各実施の形態を組み合わせてソース・ドレイン領域に形成されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態に係るトランジスタの図1のII−II線に対応する場所の断面図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の図1のIII−III線に対応する場所の断面図である。
【図4】図4は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図5】図5は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図6】図6は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図7】図7は、本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図8】図8は、本発明の第6の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図9】図9は、本発明の第7の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図10】図10は、本発明の第8の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図11】図11は、本発明の第9の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【符号の説明】
【0077】
1、1A〜1H…半導体装置、2…半導体基板、4、4H…トランジスタ、4A〜4C…第1〜第3のトランジスタ、40、40A、40H…ソース・ドレイン領域、47、47B〜47D、47G…コンタクトプラグ、400、400A〜400H、401H…凸部、401〜404…第1〜第4のソース・ドレイン領域、403a…領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、半導体基板と、半導体基板の主面内に部分的に形成された素子分離絶縁膜と、素子分離絶縁膜によって規定される素子形成領域内において、半導体基板の主面上に部分的に形成されたゲート構造と、素子形成領域内において、半導体基板の主面内に形成され、ゲート構造の下方のチャネル形成領域を挟んで対を成すソース・ドレイン領域とを備え、素子形成領域の形状によって、ゲート構造が形成されている部分の半導体基板に加わるストレスが調整されることを特徴とする半導体装置の設計方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この半導体装置の素子形成領域は、外周に沿って凸部が形成された上面構造を有している。従って、凸部が形成されていない場合を基準として、素子分離絶縁膜から半導体基板に加わるストレスが変化する。そのため、ゲート構造が形成されている部分の半導体基板に加わるストレスを、凸部の形成によって微調整することができ、その結果、ゲート構造を有するMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)の電流駆動能力を所望の値に設定することが可能となる。
【特許文献1】特開2004―281631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、トランジスタの集積化を妨げることなく、トランジスタの駆動力を向上させる半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、所定の結晶からなる半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、ゲート幅方向に凸部を有して前記半導体基板内に形成され、前記所定の結晶とは異なる格子定数を有するエピタキシャル結晶が埋め込まれたソース・ドレイン領域と、を具備するトランジスタと、前記凸部以外の前記ソース・ドレイン領域に接続されたコンタクトプラグと、を備えた半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、トランジスタの集積化を妨げることなく、トランジスタの駆動力を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[第1の実施の形態]
(半導体装置の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の上面図であり、図2は、本発明の第1の実施の形態に係るトランジスタの図1のII−II線に対応する場所の断面図である。図1は、図2に示すトランジスタのゲート側壁、ゲートシリサイド層およびシリサイド層の図示を省略している。
【0008】
この半導体装置1は、図1および図2に示すように、半導体基板2と、半導体基板2に形成された素子分離領域3と、半導体基板2上に形成されたトランジスタ4と、を備えて概略構成されている。
【0009】
半導体基板2は、Si結晶やSiGe結晶等のSiを主成分とするSi系結晶(所定の結晶)からなる。本実施の形態を含め、以下に記載する各実施の形態における半導体基板2は、Si結晶からなるものとする。
【0010】
素子分離領域3は、STI(Shallow Trench Isolation)構造を有し、半導体基板2上に形成された所定のパターンを有する溝内に絶縁膜が埋め込まれたものである。この絶縁膜は、一例として、SiO2膜である。
【0011】
トランジスタ4は、図2に示すように、半導体基板2内に形成されたソース・ドレイン領域40と、ゲート電極43の下方に形成されたチャネル領域41と、半導体基板2上にゲート絶縁膜42を介して形成されたゲート電極43と、ゲート電極43の側面に形成されたゲート側壁44と、ソース・ドレイン領域40の上面に形成されたシリサイド層45と、ゲート電極43の上面に形成されたゲートシリサイド層46と、シリサイド層45を介してソース・ドレイン領域40と上層の配線等を電気的に接続するコンタクトプラグ47と、を備えて概略構成されている。以降の各実施の形態における上面図において、点線で図示されるコンタクトプラグ47は、図2に示すコンタクトプラグ47を垂直上方向からソース・ドレイン領域40に投影したものである。
【0012】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の図1のIII−III線に対応する場所の断面図である。ソース・ドレイン領域40は、図1および図3に示すように、ゲート幅方向に突出して形成された凸部400を有している。この凸部400は、ソース・ドレイン領域40に埋め込まれるエピタキシャル結晶と同じエピタキシャル結晶が埋め込まれる。
【0013】
ソース・ドレイン領域40は、半導体基板2を構成するSi結晶の格子定数と異なる格子定数のエピタキシャル結晶が埋め込まれる。凸部400が形成されたソース・ドレイン領域40は、凸部400が形成されないソース・ドレイン領域に比べ、より大きなチャネル方向の圧縮または引張歪みをチャネル領域41に発生させることができる。
【0014】
ここで、凸部400は、コンタクトプラグ47を形成する際の合わせずれによる接続不良を回避するために設けられたものではなく、チャネル領域41に歪みを発生させる目的でソース・ドレイン領域40に設けられるものであるため、コンタクトプラグ47は、凸部400に接続されない。すなわち、凸部400は、ソース・ドレイン電流の経路として用いられない。
【0015】
ソース・ドレイン領域40は、チャネル領域41のチャネル方位、およびトランジスタ4の導電型の組み合わせに基づいて埋め込まれるエピタキシャル結晶が異なる。例えば、チャネル方位が<110>であるとき、トランジスタ4の導電型がn型の場合は、チャネル方向に引張歪みが発生することによってトランジスタ4のキャリアの移動度が向上し、トランジスタ4の導電型がp型の場合は、チャネル方向に圧縮歪みが発生することによってトランジスタ4のキャリアの移動度が向上する。
【0016】
また、例えば、チャネル方位が<100>であるとき、トランジスタ4の導電型に関わらず、チャネル方向に引張歪みが発生することによって、トランジスタ4のキャリアの移動度が向上する。なお、<110>は、[110]、および[110]と等価な方向を表す。また、<100>は、[100]、および[100]と等価な方向を表す。
【0017】
チャネル領域41にチャネル方向の引張歪みを発生させるとき、ソース・ドレイン領域40には、半導体基板2を構成するSi結晶の格子定数より小さい格子定数を有するエピタキシャル結晶、例えば、SiC結晶等が埋め込まれる。また、チャネル領域41にチャネル方向の圧縮歪みを発生させるとき、ソース・ドレイン領域40には、半導体基板2を構成するSi結晶の格子定数より大きい格子定数を有するエピタキシャル結晶、例えば、SiGe結晶等が埋め込まれる。
【0018】
また、例えば、半導体基板2がSi系結晶であるSiGe結晶からなり、チャネル領域41にチャネル方向の引張歪みを発生させるとき、ソース・ドレイン領域40には、半導体基板2を構成するSiGe結晶の格子定数より小さい格子定数を有するエピタキシャル結晶、例えば、SiC結晶等が埋め込まれる。また、チャネル領域41にチャネル方向の圧縮歪みを発生させるとき、ソース・ドレイン領域40には、半導体基板2を構成するSiGe結晶の格子定数より大きい格子定数を有するエピタキシャル結晶、例えば、半導体基板2を構成するSiGe結晶よりもGe濃度を高くしたSiGe結晶等が埋め込まれる。
【0019】
ゲート絶縁膜42は、一例として、SiO2、SiN、SiON、または高誘電材料(例えば、HfSiON、HfSiO、HfO等のHf系材料、ZrSiON、ZrSiO、ZrO等のZr系材料、Y2O3等のY系材料)からなる。
【0020】
ゲート電極43は、一例として、導電型不純物を含む多結晶Si、または多結晶SiGeからなり、トランジスタ4の導電型がn型であるとき、導電型不純物としてAs、P等のn型不純物イオンが注入され、トランジスタ4の導電型がp型であるとき、導電型不純物としてB、BF2等のp型不純物イオンが注入される。なお、ゲート電極43は、W、Ta、Ti、Hf、Zr、Ru、Pt、Ir、Mo、Al等やこれらの化合物からなるメタルゲート電極であっても良い。
【0021】
ゲート側壁44は、SiN等の絶縁材料からなる。また、ゲート側壁44は、SiN、SiO2、TEOS(Tetraethoxysilane)等の複数種の絶縁材料からなる2層構造、更には3層以上の構造であっても良い。
【0022】
シリサイド層45およびゲートシリサイド層46は、一例として、Ni、Pt、Co、Er、Y、Yb、Ti、Pb、NiPt、CoNi等の金属とSiとの化合物からなる。なお、ゲートシリサイド層46は、ゲート電極43の上部をシリサイド化することにより形成されるが、ゲート電極43の全てをシリサイド化して、フルシリサイドゲート電極を形成しても良い。
【0023】
コンタクトプラグ47は、W、Ir、Pt等の電気抵抗率の低い金属材料からなる。
【0024】
間隔W1は、図1に示すように、ソース・ドレイン領域40のゲート幅方向の側部からゲート電極43の端部までの間隔である。この間隔W1は、半導体装置1のデザインルール(設計基準)およびプロセスマージンから設定されるものである。ここで、デザインルールとは、半導体装置の最小寸法に基づいて決定される、半導体素子(例えば、トランジスタ)の平面的寸法や相互の位置関係、半導体素子間の立体的位置関係、および素子分離領域の間隔等を定めた規則である。また、プロセスマージンとは、半導体装置の加工プロセスで生じる寸法変動を考慮した加工の余裕度を示すものであり、加工プロセスの特性の変動によって生産される半導体装置の品質が変動した場合でも、生産された半導体装置が良品の範囲内に収まるように設定される。
【0025】
幅W2は、図1に示すように、凸部400のゲート幅方向の幅である。この幅W2は、トランジスタの集積化を妨げることがないように設定され、一例として、間隔W1以下に設定される。なお、幅W2は、トランジスタの集積化を妨げることがない程度であれば、間隔W1よりも大きくて良い。
【0026】
間隔W3は、図1に示すように、ゲート電極43と凸部400の間隔である。この間隔W3は、半導体装置1のデザインルールおよびプロセスマージンから設定されるものである。半導体装置1は、ゲート電極43と凸部400の間隔としてW3を有するので、凸部400は、ゲート電極43の直下に形成されない。
【0027】
幅W4は、ソース・ドレイン領域40上に投影されたコンタクトプラグ47の最大幅である。本実施の形態におけるコンタクトプラグ47は、その断面が正方形状であるので、幅W4は、コンタクトプラグ47の一辺の長さとなる。
【0028】
(第1の実施の形態の効果)
上記した第1の実施の形態における半導体装置1によれば、凸部400が形成されたソース・ドレイン領域40は、凸部400が形成されないソース・ドレイン領域よりも大きな圧縮または引張歪みをチャネル領域41に発生させ、トランジスタ4の駆動力を向上させることができる。
【0029】
また、半導体装置1は、ソース・ドレイン領域40のゲート幅方向の側部からゲート電極43の端部までの間隔であるW1と、凸部400のゲート幅方向の幅であるW2とが、同程度の長さであるので、トランジスタの集積化を妨げることなく、トランジスタの駆動力を向上させることができる。
【0030】
さらに、半導体装置1のソース・ドレイン領域40は、チャネル領域41のチャネル方位、およびトランジスタ4の導電型の組み合わせに基づいて埋め込まれるエピタキシャル結晶が選択されるので、チャネル領域41に所望の大きさの圧縮または引張歪みを発生させることができ、トランジスタ4の駆動力をトランジスタ4の導電型にかかわらず向上させることができる。
【0031】
凸部400は、ソース・ドレイン電流の経路として用いられないので、コンタクトプラグ47を接続する必要がなく、幅W2と間隔W3の条件を満たす範囲で、その形状、および形成する位置を自由に設定することができ、チャネル領域41に所望の大きさの圧縮または引張歪みを発生させることができる。
【0032】
[第2の実施の形態]
(半導体装置の構成)
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。以降の各実施の形態における上面図において、素子分離領域、ゲート側壁、ゲートシリサイド層およびシリサイド層の図示を省略するものとする。また、以降の各実施の形態においては、主に、第1の実施の形態と異なる点について説明する。なお、以降の各実施の形態においては、部材の機能および構成等、第1の実施の形態と同様の点については、簡単のため、同一の符号を付し、その説明は省略するものとする。
【0033】
半導体装置1Aは、図4に示すように、一例として、同一の導電型を有する第1〜第3のトランジスタ4A〜4Cを有して概略構成されている。
【0034】
第1のトランジスタ4Aは、第1のゲート電極43aを有し、第2のトランジスタ4Bは、第2のゲート電極43bを有し、第3のトランジスタ4Cは、第3のゲート電極43cを有している。第1〜第3のゲート電極43a〜43cは、ソース・ドレイン領域40Aの上に、ゲート絶縁膜を介して形成されている。
【0035】
また、ソース・ドレイン領域40Aは、第1〜第3のゲート電極43a〜43cを境界とすることによって、図4に示すように、第1〜第4のソース・ドレイン領域401〜404の4つの区域に分けられる。
【0036】
第1のソース・ドレイン領域401は、第1のトランジスタ4Aに属し、第2のソース・ドレイン領域402は、第1および第2のトランジスタ4A、4Bに属し、第3のソース・ドレイン領域403は、第2および第3のトランジスタ4B、4Cに属し、第4のソース・ドレイン領域404は、第3のトランジスタ4Cに属している。
【0037】
この半導体装置1Aは、一例として、第3のソース・ドレイン領域403に、側部からゲート幅方向に突出する凸部400Aが形成されている。この第3のソース・ドレイン領域403は、コンタクトプラグ47が接続されていないことから、凸部400Aは、コンタクトプラグ47を接続する目的で形成されたものではないので、第1の実施の形態における幅W2と間隔W3の条件を満たす範囲で、その形状、および形成する位置が自由に設定される。よって凸部400Aが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、第2〜第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に所望の大きさの圧縮または引張歪みを発生させることができる。
【0038】
この凸部400Aが形成されたソース・ドレイン領域40Aは、第1の実施の形態と同様に、第1〜第3のトランジスタ4A〜4Cの導電型、およびチャネル方位に応じたエピタキシャル結晶が埋め込まれる。
【0039】
(第2の実施の形態の効果)
上記した第2の実施の形態における半導体装置1Aによれば、凸部400Aが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、凸部400Aが形成されないソース・ドレイン領域に比べて、大きな圧縮または引張歪みを第2および第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に発生させることができるので、第2および第3のトランジスタ4B、4Cの駆動力を向上させることができる。
【0040】
[第3の実施の形態]
図5は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。この半導体装置1Bは、一例として、第3のソース・ドレイン領域403に、側部からゲート幅方向に突出する凸部400Bが形成されている。また、この半導体装置1Bは、第3のソース・ドレイン領域403に、コンタクトプラグ47Bが、シリサイド層を介して電気的に接続されている。
【0041】
間隔W5は、図5に示すように、互いに最も近い、第3のソース・ドレイン領域403上に投影したコンタクトプラグ47Bの辺の延長線と、凸部400Bの辺の延長線と、の間隔を示しており、常に、凸部400Bの延長線は、点線で示すコンタクトプラグ47Bの外側にあるものとする。よって、凸部400Bは、コンタクトプラグ47Bを形成する際の合わせずれによる接続不良を回避するためや、コンタクトプラグ47Bを接続するために設けられたものではなく、チャネル領域に歪みを発生させる目的で第3のソース・ドレイン領域403に形成されているのが、明らかとなる。
【0042】
また、凸部400Bは、コンタクトプラグ47Bを接続する目的で形成されたものではないので、第1の実施の形態における幅W2、間隔W3、および本実施の形態における間隔W5の条件を満たす範囲で、その形状、および形成する位置が自由に設定される。よって凸部400Bが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、第2〜第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に所望の大きさの圧縮または引張歪みを発生させることができる。
【0043】
この凸部400Bが形成されたソース・ドレイン領域40Aは、第1の実施の形態と同様に、第1〜第3のトランジスタ4A〜4Cの導電型、およびチャネル方位に応じたエピタキシャル結晶が埋め込まれる。
【0044】
(第3の実施の形態の効果)
上記した第3の実施の形態における半導体装置1Bによれば、凸部400Bが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、凸部400Bが形成されないソース・ドレイン領域に比べて、大きな圧縮または引張歪みを第2および第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に発生させることができるので、第2および第3のトランジスタ4B、4Cの駆動力を向上させることができる。
【0045】
[第4の実施の形態]
図6は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。この半導体装置1Cは、一例として、第3のソース・ドレイン領域403に、側部からゲート幅方向に突出する凸部400Cが形成されている。また、この半導体装置1Cは、第3のソース・ドレイン領域403に、コンタクトプラグ47Cが、シリサイド層を介して電気的に接続されている。
【0046】
図6の斜線で示す領域403aは、凸部400C、および凸部400Cと第3のソース・ドレイン領域403の凸部400Cに対向する辺との間の領域を表している。
【0047】
凸部400Cは、第3のソース・ドレイン領域403に投影されたコンタクトプラグ47Cの投影像の全体が、この領域403aに含まれないような位置に形成される。言い換えるなら、凸部400Cは、領域403a上にコンタクトプラグ47Cの全体が含まれない位置に形成される。よって、凸部400Cは、コンタクトプラグ47Cを形成する際の合わせずれによる接続不良を回避するためや、コンタクトプラグ47Cを接続するために設けられたものではなく、チャネル領域に歪みを発生させる目的で第3のソース・ドレイン領域403に形成されているのが、明らかとなる。
【0048】
また、凸部400Cは、コンタクトプラグ47Cを接続する目的で形成されたものではないので、第1の実施の形態における幅W2、間隔W3、および本実施の形態におけるコンタクトプラグ47Cの投影像の全体が領域403aに含まれないという条件を満たす範囲で、その形状、および形成する位置が自由に設定される。よって凸部400Cが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、第2〜第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に所望の大きさの圧縮または引張歪みを発生させることができる。
【0049】
この凸部400Cが形成されたソース・ドレイン領域40Aは、第1の実施の形態と同様に、第1〜第3のトランジスタ4A〜4Cの導電型、およびチャネル方位に応じたエピタキシャル結晶が埋め込まれる。
【0050】
(第4の実施の形態の効果)
上記した第4の実施の形態における半導体装置1Cによれば、凸部400Cが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、凸部400Cが形成されないソース・ドレイン領域に比べて、大きな圧縮または引張歪みを第2および第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に発生させることができるので、第2および第3のトランジスタ4B、4Cの駆動力を向上させることができる。
【0051】
[第5の実施の形態]
図7は、本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。この半導体装置1Dは、一例として、第3のソース・ドレイン領域403に、側部からゲート幅方向に突出する凸部400Dが形成されている。また、この半導体装置1Dは、第3のソース・ドレイン領域403に、コンタクトプラグ47Dが、シリサイド層を介して電気的に接続されている。
【0052】
この凸部400Dは、ゲート長方向の一辺が幅W6となっており、この幅W6は、第3のソース・ドレイン領域403に投影したコンタクトプラグ47Dの一辺の幅W4よりも小さい。よって、凸部400Dは、コンタクトプラグ47Dを形成する際の合わせずれによる接続不良を回避するためや、コンタクトプラグ47Dを接続するために設けられたものではなく、チャネル領域に歪みを発生させる目的で第3のソース・ドレイン領域403に形成されているのが、明らかとなる。
【0053】
また、凸部400Dは、コンタクトプラグ47Dを接続する目的で形成されたものではないので、第1の実施の形態における幅W2、間隔W3、および本実施の形態における凸部400Dの幅W6の条件を満たす範囲で、その形状、および形成する位置が自由に設定される。よって凸部400Dが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、第2〜第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に所望の大きさの圧縮または引張歪みを発生させることができる。
【0054】
この凸部400Dが形成されたソース・ドレイン領域40Aは、第1の実施の形態と同様に、第1〜第3のトランジスタ4A〜4Cの導電型、およびチャネル方位に応じたエピタキシャル結晶が埋め込まれる。
【0055】
(第5の実施の形態の効果)
上記した第5の実施の形態における半導体装置1Dによれば、凸部400Dが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、凸部400Dが形成されないソース・ドレイン領域に比べて、大きな圧縮または引張歪みを第2および第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に発生させることができるので、第2および第3のトランジスタ4B、4Cの駆動力を向上させることができる。
【0056】
[第6の実施の形態]
図8は、本発明の第6の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。この半導体装置1Eは、一例として、第3のソース・ドレイン領域403に、側部からゲート幅方向に突出する凸部400Eが形成されている。
【0057】
この半導体装置1Eのソース・ドレイン領域40Aは、ゲート幅方向の幅がW7であり、この幅W7は、一例として、コンタクトプラグ47の幅W4の2倍以上あるものとする。つまり、コンタクトプラグ47は、第3のソース・ドレイン領域403の上方に十分形成することができるにも関わらず形成されていないことから、凸部400Eは、コンタクトプラグ47を接続する目的で形成されたものではないので、第1の実施の形態における幅W2と間隔W3の条件を満たす範囲で、その形状、および形成する位置が自由に設定される。よって凸部400Eが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、第2〜第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に所望の大きさの圧縮または引張歪みを発生させることができる。
【0058】
この凸部400Eが形成されたソース・ドレイン領域40Aは、第1の実施の形態と同様に、第1〜第3のトランジスタ4A〜4Cの導電型、およびチャネル方位に応じたエピタキシャル結晶が埋め込まれる。
【0059】
(第6の実施の形態の効果)
上記した第6の実施の形態における半導体装置1Eによれば、凸部400Eが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、凸部400Eが形成されないソース・ドレイン領域に比べて、大きな圧縮または引張歪みを第2および第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に発生させることができるので、第2および第3のトランジスタ4B、4Cの駆動力を向上させることができる。
【0060】
[第7の実施の形態]
図9は、本発明の第7の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。この半導体装置1Fは、一例として、第3のソース・ドレイン領域403に、側部からゲート幅方向に突出する凸部400Fが形成されている。
【0061】
ソース・ドレイン領域40Aは、ゲート幅方向の幅がW8であり、第2のゲート電極43bと第3のゲート電極43cの間の間隔はW9である。このW8およびW9は、一例として、コンタクトプラグ47の幅W4の2倍以上あるものとする。つまり、コンタクトプラグ47は、第3のソース・ドレイン領域403の上方に十分形成することができるにも関わらず形成されていないことから、凸部400Fは、コンタクトプラグ47を接続する目的で形成されたものではないので、第1の実施の形態における幅W2と間隔W3の条件を満たす範囲で、その形状、および形成する位置が自由に設定される。よって凸部400Fが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、第2〜第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に所望の大きさの圧縮または引張歪みを発生させることができる。
【0062】
この凸部400Fが形成されたソース・ドレイン領域40Aは、第1の実施の形態と同様に、第1〜第3のトランジスタ4A〜4Cの導電型、およびチャネル方位に応じたエピタキシャル結晶が埋め込まれる。
【0063】
(第7の実施の形態の効果)
上記した第7の実施の形態における半導体装置1Fによれば、凸部400Fが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、凸部400Fが形成されないソース・ドレイン領域に比べて、大きな圧縮または引張歪みを第2および第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に発生させることができるので、第2および第3のトランジスタ4B、4Cの駆動力を向上させることができる。
【0064】
[第8の実施の形態]
図10は、本発明の第8の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。この半導体装置1Gは、一例として、第3のソース・ドレイン領域403に、側部からゲート幅方向に突出する凸部400Gが形成されている。
【0065】
この第3のソース・ドレイン領域403は、その上方に2つのコンタクトプラグ47Gが形成されている。また、ソース・ドレイン領域40Aは、ゲート幅方向の幅がW8であり、第2のゲート電極43bと第3のゲート電極43cの間の間隔はW9である。このW8およびW9は、一例として、コンタクトプラグ47Gの幅W4の2倍以上あるものとする。つまり、コンタクトプラグ47Gは、凸部400Gの上方に十分形成することができるにも関わらず形成されていないことから、凸部400Gは、コンタクトプラグ47Gを接続する目的で形成されたものではないので、第1の実施の形態における幅W2と間隔W3の条件を満たす範囲で、その形状、および形成する位置が自由に設定される。よって凸部400Gが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、第2〜第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に所望の大きさの圧縮または引張歪みを発生させることができる。
【0066】
この凸部400Gが形成されたソース・ドレイン領域40Aは、第1の実施の形態と同様に、第1〜第3のトランジスタ4A〜4Cの導電型、およびチャネル方位に応じたエピタキシャル結晶が埋め込まれる。
【0067】
(第8の実施の形態の効果)
上記した第8の実施の形態における半導体装置1Gによれば、凸部400Gが形成された第3のソース・ドレイン領域403は、凸部400Gが形成されないソース・ドレイン領域に比べて、大きな圧縮または引張歪みを第2および第3のトランジスタ4B、4Cのチャネル領域に発生させることができるので、第2および第3のトランジスタ4B、4Cの駆動力を向上させることができる。
【0068】
[第9の実施の形態]
図11は、本発明の第9の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。上記した各実施の形態における半導体装置は、ソース・ドレイン領域に1つの凸部を有する場合について説明したが、本実施の形態では、複数の凸部を有する場合について説明する。
【0069】
半導体装置1Hは、図11に示すように、トランジスタ4Hを有し、トランジスタ4Hは、ソース・ドレイン領域40Hと、ゲート電極43と、を有している。
【0070】
ソース・ドレイン領域40Hには、ゲート電極43を挟んで凸部400Hおよび凸部401Hが形成されている。
【0071】
凸部400Hは、ソース・ドレイン領域40Hのゲート幅方向の側部から突出するように形成され、凸部401Hは、ソース・ドレイン領域40Hのゲート幅方向の側部から、凸部400Hとは逆方向に突出して形成されている。
【0072】
この凸部400Hおよび401Hが形成されたソース・ドレイン領域40Hは、第1の実施の形態と同様に、トランジスタ4Hの導電型、およびチャネル方位に応じたエピタキシャル結晶が埋め込まれる。
【0073】
(第9の実施の形態の効果)
上記した第9の実施の形態における半導体装置1Hによれば、凸部400Hおよび401Hが形成されたソース・ドレイン領域40Hは、凸部400Hおよび401Hが形成されないソース・ドレイン領域に比べて、大きな圧縮または引張歪みを、トランジスタ4Hのチャネル領域に発生させることができるので、トランジスタ4Hの駆動力を向上させることができる。
【0074】
(他の実施の形態について)
本発明は、上記した実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々の変形および組み合わせが可能である。
【0075】
例えば、第1〜第8の実施の形態における凸部は、各ソース・ドレイン領域に1つ形成されたが、複数形成されても良く、また、第9の実施の形態に示したように、ソース・ドレイン領域の対向する側部だけでなく、同一の側部に複数形成されても良い。さらに、凸部は、これらの各実施の形態を組み合わせてソース・ドレイン領域に形成されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態に係るトランジスタの図1のII−II線に対応する場所の断面図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の図1のIII−III線に対応する場所の断面図である。
【図4】図4は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図5】図5は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図6】図6は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図7】図7は、本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図8】図8は、本発明の第6の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図9】図9は、本発明の第7の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図10】図10は、本発明の第8の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図11】図11は、本発明の第9の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【符号の説明】
【0077】
1、1A〜1H…半導体装置、2…半導体基板、4、4H…トランジスタ、4A〜4C…第1〜第3のトランジスタ、40、40A、40H…ソース・ドレイン領域、47、47B〜47D、47G…コンタクトプラグ、400、400A〜400H、401H…凸部、401〜404…第1〜第4のソース・ドレイン領域、403a…領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の結晶からなる半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、ゲート幅方向に凸部を有して前記半導体基板内に形成され、前記所定の結晶とは異なる格子定数を有するエピタキシャル結晶が埋め込まれたソース・ドレイン領域と、を具備するトランジスタと、
前記凸部以外の前記ソース・ドレイン領域に接続されたコンタクトプラグと、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記凸部は、前記凸部、および前記凸部と前記ソース・ドレイン領域の前記凸部に対向する辺との間の領域上に前記コンタクトプラグの全体が含まれない位置に形成される請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記凸部は、前記ゲート電極の直下に形成されない請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記凸部は、ゲート長方向の幅が、前記コンタクトプラグのゲート長方向の幅より小さく形成される請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記凸部は、前記ゲート電極で前記ソース・ドレイン領域を区切った複数の区域のうち、前記コンタクトプラグが接続されない少なくとも1つの区域に形成される請求項1に記載の半導体装置。
【請求項1】
所定の結晶からなる半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、ゲート幅方向に凸部を有して前記半導体基板内に形成され、前記所定の結晶とは異なる格子定数を有するエピタキシャル結晶が埋め込まれたソース・ドレイン領域と、を具備するトランジスタと、
前記凸部以外の前記ソース・ドレイン領域に接続されたコンタクトプラグと、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記凸部は、前記凸部、および前記凸部と前記ソース・ドレイン領域の前記凸部に対向する辺との間の領域上に前記コンタクトプラグの全体が含まれない位置に形成される請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記凸部は、前記ゲート電極の直下に形成されない請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記凸部は、ゲート長方向の幅が、前記コンタクトプラグのゲート長方向の幅より小さく形成される請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記凸部は、前記ゲート電極で前記ソース・ドレイン領域を区切った複数の区域のうち、前記コンタクトプラグが接続されない少なくとも1つの区域に形成される請求項1に記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−141153(P2010−141153A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316438(P2008−316438)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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