説明

半導体装置

【課題】本発明は、薄膜トランジスタのソース領域やドレイン領域へのコンタクトを確実
にした半導体装置を提供するものである。
【解決手段】本発明における半導体装置において、半導体層上の絶縁膜およびゲイト電極
上に形成された第1の層間絶縁膜と、前記第1の層間絶縁膜の上に形成された第2の層間
絶縁膜と、前記第2の層間絶縁膜、前記第1の層間絶縁膜、および前記絶縁膜に設けられ
たコンタクトホールとを有する。前記第1の絶縁層の膜厚は、前記積層の絶縁膜の合計膜
厚の1/3以下に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する発明は、結晶性を有する薄膜半導体を用いた半導体装置の作製方法
に関する。特に、プレーナー型薄膜トランジスタの作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、安価なガラス基板上に薄膜トランジスタ(TFT)を作製する技術が急速に発達
してきている。その理由は、アクティブマトリクス型液晶表示装置の需要が高まったこと
にある。
【0003】
アクティブマトリクス型液晶表示装置は、マトリクス状に配置された数百万個もの各画
素のそれぞれにTFTを配置し、各画素電極に出入りする電荷をTFTのスイッチング機
能により制御するものである。
【0004】
そのため、1個のTFTが動作しなければ、それに接続された画素電極は表示素子とし
ての機能を失うことになる。これは、いわゆる点欠陥の原因となる。
例えば、ノーマリブラックの液晶表示装置であれば、白色表示した時に点欠陥が黒点と
して現れ、非常に外観を害する。
【0005】
また、この画素電極表示用TFTを駆動する回路(周辺駆動回路と呼ばれる)を、同じ
ガラス基板上にTFTで集積化することが求められている。
【0006】
この場合、駆動用TFTが動作しなければ、そのTFTから駆動電圧を印加されるTF
Tは全てスイッチング素子として機能しなくなる。これは、いわゆる線欠陥の原因となり
、液晶表示装置として致命的な障害となる。
【0007】
従って、アクティブマトリクス型液晶表示装置は、数百万個ものTFTが長期的に正常
、かつ、安定した動作を維持しうるものでなくてはならない。
【0008】
しかしながら、点欠陥や線欠陥を完全に排除するのは極めて困難であるのが現状である
。その原因の1つとして、コンタクト不良がある。
【0009】
コンタクト不良とは、配線電極とTFTとの電気的な接続箇所(以後、コンタクトと呼
ぶ)が、接続不良を起こした時に生じる動作不良のことである。特に、プレーナー型TF
Tでは配線電極とTFTとが、細い開孔穴(コンタクトホール)を介して電気的接続を取
るため、コンタクト不良は重大な問題となっている。
【0010】
コンタクト不良は半導体素子特性の早期劣化の主原因であり、大電流が流れる場合や高
温動作において特に劣化が加速される。従って、コンタクトの信頼性が半導体素子の信頼
性を決めるとまで言われている。
【0011】
一般的に、アクティブマトリクス型液晶表示装置における画素表示領域の場合、ゲイト
電極はそのまま画素表示領域外へ引き出されるためコンタクトが存在しない。即ち、画素
電極とのコンタクトが、液晶表示装置の信頼性にとって非常に重要である。
【0012】
また、周辺駆動回路の場合は、数十万〜数百万個のコンタクトが存在する。特にゲイト
電極のコンタクトがあること、大電流動作に伴う温度上昇があることは、コンタクトに対
して画素表示領域以上の信頼性が要求されることを意味する。
【0013】
コンタクト不良の原因は、大別して3つを挙げられる。その1つとしては、配線電極を
形成する導電性膜と、TFTのソース/ドレインを形成する半導体膜とが、オーミック接
合により接触していないことが挙げられる。
【0014】
これは、接合面に絶縁性の被膜、例えば金属酸化物等が形成されたりすることによる。
また、半導体膜表面近傍の状態(不純物濃度、欠陥準位密度、清浄度等)が、コンタクト
の性能を大きく左右する。
【0015】
2つめの原因としては、配線電極を形成する導電性膜のカバレッジが悪く、コンタクト
ホール内で断線していることを挙げられる。
この場合、配線電極の成膜方法や成膜条件によって改善を図る必要がある。
【0016】
また、3つめの原因としては、コンタクトホールの断面形状に起因する配線電極の断線
が挙げられる。コンタクトホールの断面形状は、コンタクト部に覆われた絶縁物(SiN
、SiO2 等)のエッチング条件に強く依存する。
【0017】
カバレッジの良好なコンタクトを形成するためには、連続的に変化する緩やかな断面形
状(テーパーと呼ばれる)が望ましい。また、多層層間絶縁膜の場合によく見られる下層
膜のオーバーエッチング(えぐれ)はカバレッジを著しく悪化させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本明細書で開示する発明は、配線電極とTFTとの電気的な接続経路となるコンタクト
ホールの断面形状を改善し、コンタクト不良によるTFTの動作不良を低減することを課
題とする。
【0019】
即ち、コンタクトの信頼性を改善して、デバイスまたは液晶表示装置としての長期信頼
性を改善することを課題とする。また、点欠陥や線欠陥を排除して、製造工程の歩留りの
向上を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本明細書で開示する発明の一つは、
陽極酸化可能な材料からなるゲイト電極を有するゲイト部と、
半導体よりなるソース部またはドレイン部と、
を有する薄膜トランジスタの作製工程において、
前記ゲイト部、ソース部およびドレイン部を覆って主成分の同じ絶縁性被膜を少なくと
も二層に積層する工程と、
前記絶縁性被膜をドライエッチングにより開孔せしめるに際し、前記絶縁性被膜の最上
層から最下層に向かって順次傾斜角が小さくなるようにテーパーを形成する工程と、
を有することを特徴とする。
【0021】
上記発明は、層間絶縁膜とする絶縁性被膜のドライエッチングレートを制御することで
、コンタクトホールの断面形状を最上層から最下層に向かって順次傾斜角が小さくなるよ
うにテーパー化することを特徴とする。なおテーパー角は、図3のαやβで示される確度
で定義される。
【0022】
前記絶縁性被膜は、層間絶縁膜としての機能を有していれば良いため、酸化珪素膜、窒
化珪素膜、有機性樹脂など様々な材料が使用できる。
【0023】
この際、ドライエッチングレートを容易に制御できる材料が望ましい。これは、上層の
エッチングレートを、下層のエッチングレートより速くすることで容易に所望のテーパー
を形成できるからである。
【0024】
また、一般的にはドライエッチングによりコンタクトホールを形成する場合、リアクテ
ィブイオンエッチング法(RIE法)が用いられる。
【0025】
しかし、RIE法の欠点はエッチングが終了した時点(エンドポイントと呼ばれる)が
はっきりしないと、コンタクトをとるべき導電性薄膜をも掘り進んでしまうことである。
【0026】
RIE法の場合、エンドポイントの検知はプラズマ発光測定によるのが一般的である。
これは、エッチングの際に生じる特定のラジカルやイオンをモニタリングすることによっ
て行う。
【0027】
この場合、例えば酸化珪素膜からなるゲイト絶縁膜上に形成された、酸化珪素膜からな
る層間絶縁膜のエッチングは、モニタする発光種が混同されエンドポイントの確認が困難
となる。
【0028】
上記のことを考慮すると、層間絶縁膜として用いる絶縁性被膜は作製するTFTの構造
を十分考慮して選択する必要がある。
【0029】
本明細書で開示する他の発明は、
陽極酸化可能な材料からなるゲイト電極を有するゲイト部と、
半導体よりなるソース部またはドレイン部と、
を有する薄膜トランジスタの作製工程において、
前記ゲイト部、ソース部およびドレイン部を覆って絶縁性被膜を形成する工程と、
前記絶縁性被膜をドライエッチング法により開孔せしめる工程と、
前記絶縁性被膜の下面に接する薄膜をエッチングする工程と、
前記工程により形成された開孔穴をライトエッチングする工程と、
を有することを特徴とする。
【0030】
上記発明は、コンタクトホールをライトエッチングによって拡げることと、コンタクト
ホール上部にテーパーを形成することを特徴とする。
【0031】
絶縁性被膜の下面に接する薄膜をウェットエッチングすると、等方性エッチングのため
絶縁性被膜の下に回り込んで開孔穴が形成される。
その時、下に回り込んだ部分がえぐれとなり、後に配線電極の断線の原因となる。
【0032】
本発明によれば、ライトエッチングを行うことで、コンタクトホールの内壁面をえぐれ
た分だけ拡げることができ、えぐれ部分をなくすことができる。
【0033】
この時、ライトエッチングの際のガス組成比は、コンタクトホールを形成する際のガス
組成比よりもO2 添加量を増やしたものとする。
【0034】
これは、えぐれ部分をなくすと同時にコンタクトホールの開孔領域を形成するレジスト
マスクを後退させ、コンタクトホールのへり(本明細書では、コンタクトホール入口の外
枠をへりと呼ぶこととする)の角を丸くするためである。
【0035】
即ち、このライトエッチングにより、なだらかな曲線に沿って落ち込むような断面形状
のコンタクトホールが得られる。従って、配線電極のカバレッジは極めて良好なものとな
る。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、層間絶縁膜を二層以上の多層構造とし、下層よりも上層のエッチング
レートを速くしたため、層間絶縁膜の最上層から最下層に向かって、順次傾斜角が小さく
なるようにテーパーを形成することができる。
【0037】
また、ライトエッチングを行うことで、図2(B)の円内のようなゲイト絶縁膜103
や陽極酸化膜107のえぐれ部分を無くすことができる。さらに、コンタクトホールの上
部断面形状も改善することができる。
【0038】
以上の効果により、コンタクトホールの断面形状が大きく改善され、TFT作製の歩留
りおよび配線コンタクトの信頼性が向上する。
また、それに伴いデバイスまたは表示システムの長期信頼性を向上させることができる

【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】薄膜トランジスタの作製工程を示す図。
【図2】薄膜トランジスタの作製工程を示す図。
【図3】コンタクトホールの断面形状を示す図。
【図4】コンタクトホールの断面形状を示す図。
【図5】ドライエッチング時のエンドポイントを示す図。
【図6】発明を利用したICプロセスを示す図。
【図7】発明を利用したICプロセスを示す図。
【図8】発明を利用したICプロセスを示す図。
【実施例1】
【0040】
本発明を利用した薄膜トランジスタ(TFT)の作製工程例を図1に示す。
【0041】
まず、酸化珪素膜などの絶縁膜を表面に有したガラス基板101を用意する。その上に
、図示しない500Åの厚さの非晶質珪素膜をプラズマCVD法や減圧熱CVD法により
形成し、適当な結晶化方法により結晶化する。この結晶化は加熱によっても、レーザー光
の照射によっても良い。
【0042】
次に、前記非晶質珪素膜を結晶化して得られた結晶性珪素膜をパターニングして、活性
層を構成する島状の半導体層102を形成する。
【0043】
その上に、後にゲイト絶縁膜として機能する酸化珪素膜103を1200Åの厚さに形
成する。この酸化珪素膜103の形成方法は、プラズマCVD法や減圧熱CVD法によれ
ば良い。
【0044】
次に、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする材料からなる膜104を400
0Åの厚さに形成する。このアルミニウム膜104は、後にゲイト電極として機能する。
勿論、アルミニウムの他に陽極酸化可能な材料、例えば、タンタル、ニオブ等を用いても
構わない。
【0045】
次に、電解溶液中でアルミニウム膜104を陽極として、陽極酸化を行う。電解溶液と
しては、3%の酒石酸のエチレングリコール溶液をアンモニア水で中和して、PH=6.
92に調整したものを使用する。また、白金を陰極として化成電流5mA、到達電圧10
Vとして処理する。
【0046】
こうして形成される緻密な陽極酸化膜105は、後にフォトレジストとの密着性を高め
る効果がある。また、電圧印加時間を制御することで陽極酸化膜105の厚さを制御でき
る。(図1(A))
【0047】
こうして、図1(A)の状態が得られたら、アルミニウム膜104をパターニングして
、図示しないゲイト電極を形成する。
【0048】
次に、2度目の陽極酸化を行い、多孔質の陽極酸化膜106を形成する。電解溶液は3
%のシュウ酸水溶液とし、白金を陰極として化成電流2〜3mA、到達電圧8Vとして処
理する。
【0049】
この時陽極酸化は基板に対して平行な方向に進行する。また、電圧印加時間を制御する
ことで多孔質の陽極酸化膜106の長さを制御できる。
【0050】
さらに、専用の剥離液でフォトレジストを除去した後、3度目の陽極酸化を行い、図1
(B)の状態を得る。
【0051】
この時、電解溶液は3%の酒石酸のエチレングリコール溶液をアンモニア水で中和して
、PH=6.92に調整したものを使用する。そして、白金を陰極として化成電流5〜6
mA、到達電圧100Vとして処理する。
【0052】
この際形成される陽極酸化膜107は、非常に緻密、かつ、強固である。そのため、ド
−ピング工程などの後工程で生じるダメージからゲイト電極108を保護する効果を持つ

【0053】
また、強固な陽極酸化膜107はエッチングされにくいため、コンタクトホール開孔の
際にエッチング時間が長くなる問題がある。そのため、1000Å以下の厚さにするのが
望ましい。
【0054】
次いで、イオンドーピング法により、島状の半導体層102に不純物を注入する。例え
ば、Nチャネル型TFTを作製するならば、不純物としてP(リン)を用いれば良い。
【0055】
まず、図1(B)の状態で1度目のイオンドーピングを行う。なお、P(リン)の注入
は加速電圧60〜90kV、ドーズ量0.2 〜5 ×1015原子/cm2 で行う。本実施例で
は、加速電圧80kV、ドーズ量1×1015原子/cm2 とする。
【0056】
すると、ゲイト電極108、多孔質の陽極酸化膜106がマスクとなり、後にソース/
ドレインとなる領域109、110が自己整合的に形成される。
【0057】
次に、図1(C)に示す様に、多孔質の陽極酸化膜106を除去して、2度目のドーピ
ングを行う。なお、2度目のP(リン)の注入は加速電圧60〜90kV、ドーズ量0.1
〜5 ×1015原子/cm2 で行う。
本実施例では、加速電圧80kV、ドーズ量1×1015原子/cm2 とする。
【0058】
すると、ゲイト電極108がマスクとなり、ソース領域109、ドレイン領域110と
比較して不純物濃度の低い、低濃度不純物領域111、112が自己整合的に形成される

【0059】
同時に、ゲイト電極108の直下は不純物が全く注入されないため、TFTのチャネル
として機能する領域113が自己整合的に形成される。
【0060】
このようにして形成される低濃度不純物領域(またはLDD領域)112は、チャネル
領域113とドレイン領域110との間に高電界が形成されるのを抑制する効果を持つ。
【0061】
次に、KrFエキシマレ−ザ−光の照射及び熱アニ−ルを行う。本実施例では、レ−ザ
−光のエネルギ−密度は250 〜300mJ/cm2 とし、熱アニ−ルは300 〜450 ℃1hrで行う。
【0062】
この工程により、イオンド−ピング工程で損傷を受けた、島状の半導体層102の結晶
性を改善することができる。
【0063】
次に、図1(D)に示す様に、2層構造で構成される層間絶縁膜114、115をプラ
ズマCVD法により形成する。本実施例では、この層間絶縁膜114、115はそれぞれ
組成比の異なる窒化珪素膜からなる。
【0064】
この際、2層目層間絶縁膜115には、1層目層間絶縁膜114よりもドライエッチン
グレートが速い性質を有するような組成比の窒化珪素膜を用いる。例えば、成膜ガスの圧
力や成膜温度を高くしたり、RFパワーを下げたりする事で、エッチングレートが速い膜
を形成することができる。
【0065】
具体的には、1層目の成膜温度を250℃とし、2層目の成膜温度を350℃とすると
、2層目のドライエッチングレートは1層目の2倍程に速くなる。また、1層目の成膜ガ
ス圧力を0.3torr とし、2層目の成膜ガス圧力を0.7torr とする。このようにすると、2
層目のドライエッチングレートは1層目の1.5 倍程に速くなる。
【0066】
これは、図3に示すコンタクトホールの形状において、2層目層間絶縁膜115の傾斜
角βよりも1層目層間絶縁膜114の傾斜角αの方が小さくなるようにするために必要な
要素である。
【0067】
また、1層目と2層目の層間絶縁膜の合計膜厚が、ゲイト電極108の膜厚の1〜3倍
となるようにする。これは、層間絶縁膜のカバレッジを良くすることで層間絶縁膜を介す
るリーク電流を防止するためである。
【0068】
ただし、1層目層間絶縁膜114は合計膜厚の1/3以下の膜厚が望ましい。それ以上
では、傾斜角αが大きくなり、後のライトエッチング工程において不都合が生じる。
【0069】
次に、図2(A)の201で示すレジストマスクを形成して、ドライエッチング法によ
りコンタクトホールを形成する。エッチングガスの組成比はCF4:O2 =40: 60とな
るようにする。
【0070】
エッチングはエンドポイントが確認されてから、150秒後に終了する。エンドポイン
トは図5の様に、窒素イオンの信号強度が一定になった時間として検出される。1層目で
窒素イオンの信号強度が大きくなるのは、1層目の方が2層目より緻密であることによる

【0071】
この時、ソース/ドレインコンタクト部202、203では、ゲイト絶縁膜103がド
ライエッチングのストッパー膜として働く。また、ゲイト電極部204では、陽極酸化膜
107がドライエッチングのストッパー膜として働く。
【0072】
さらに、2層目層間絶縁膜115は1層目層間絶縁膜114よりもエッチングレートが
速いので、図2(A)に示すようにテーパーが形成される。
【0073】
次に、バッファーフッ酸を用いてコンタクトホール底面のゲイト絶縁膜103をエッチ
ングして、ソース/ドレイン部109、110コンタクトホールを完成させる。
【0074】
次いで、クロム酸、酢酸、燐酸、硝酸を混合した組成からなるクロム混酸溶液を用いて
陽極酸化膜107をエッチングして、ゲイト電極部204のコンタクトホールを完成させ
る。
【0075】
このように、ゲイト絶縁膜103のエッチングを先に行えば、陽極酸化膜107は耐バ
ッファーフッ酸性に優れているため、ゲイト電極108を保護することができる。また、
クロム混酸溶液はソース領域109、ドレイン領域110の表面を殆どエッチングしない

【0076】
以上のようにして、図2(B)の状態が得られる。しかし、バッファーフッ酸やクロム
混酸を用いるようなウェットエッチングは、等方性にエッチングが進行するため、図2(
B)の円内に示すようなえぐれ部分が形成されてしまう。
【0077】
そこで、層間絶縁膜をライトエッチングにより後退させて、図2(C)に示すようにえ
ぐれ部分のない状態とする。この際、1層目層間絶縁膜114は傾斜角αが小さいほど容
易に後退する。
【0078】
このライトエッチングはドライエッチング法により行い、エッチングガスの組成比はC
4:O2 =25: 75となるようにする。この組成比では、窒化珪素と珪素の選択比が1
0以上となるため、ソース領域109、ドレイン領域110の表面を殆どエッチングしな
い。
【0079】
また、このライトエッチングはO2 添加率の高いガス組成比で行われるため、レジスト
マスク201も同時に後退する。そのため、図4の円内に示す様にコンタクトホールのへ
りにおける断面形状は角がエッチングされて曲線となる。
【0080】
コンタクトホールの形成が終了したら、配線電極205、206、207を形成して、
水素雰囲気中で350℃2hrのアニール処理を行う。
【0081】
以上の工程を経て、図2(D)に示すような薄膜トランジスタが作製される。
【実施例2】
【0082】
本実施例は、本明細書に開示する発明を単結晶シリコンウエハーを利用したICプロセ
スに利用した場合の例である。具体的には、シリコンウエハーを利用してMOS型トラン
ジスタを作製する場合の例を示す。
【0083】
図6〜図8に本実施例の作製工程を示す。まず図6(A)に示すようにN型の単結晶シ
リコンウエハー601上に熱酸化膜と窒化珪素膜とを積層し、それをパターニングするこ
とにより、熱酸化膜602と窒化珪素膜603の積層膜でなるパターンを形成する。
【0084】
次に選択的な熱酸化法により、フィールド酸化膜604、605を形成する。こうして
図6(A)に示す状態を得る。
【0085】
次に熱酸化膜602と窒化珪素膜603を除去し、再度熱酸化法により、熱酸化膜60
6を形成する。この熱酸化膜606は、ゲイト絶縁膜を構成する。
【0086】
次にゲイト電極607を適当な金属材料、またはシリサイド材料、または半導体材料で
もって形成する。ゲイト電極607を形成したら、ソース/ドレイン領域を形成するため
の不純物のドーピングを行う。
【0087】
ここでは、Pチャネル型のMOS型トランジスタを作製するためにB(ボロン)のドー
ピングをイオン注入法でもって行う。なお、Nチャネル型のMOS型トランジスタを作製
するのであれば、P(リン)のドーピングを行えばよい。
【0088】
上記のドーピングの後、加熱処理を行うことにより、注入された不純物の活性化とドー
ピングに際しての半導体層の損傷のアニールを行う。
【0089】
こうして、図6(B)のように、P型を有するソース領域608、ドレイン領域609
が自己整合的に形成される。
【0090】
次に層間絶縁膜として窒化珪素膜610と611を成膜する。ここでも実施例1と同様
な方法により、610より611の窒化珪素膜の方がエッチングレートが速くなるような
膜質とする。
【0091】
こうして図6(C)に示す状態を得る。次に図7(A)に示すように、レジストマスク
612を配置し、ドライエッチング法により、コンタクトホール613と614の形成を
行う。
【0092】
こうして図7(A)に示す状態を得る。この際、熱酸化膜でなるゲイト絶縁膜606が
エッチングストッパーとして機能する。
【0093】
次にウェットエッチング法を用いて615、616で示されるコンタクトホールの形成
を行う。
【0094】
こうして図7(B)に示す状態を得る。この際、ウェットエッチング法による等方性の
エッチングが進行するので、615と616のコンタクトホールは、613、614で示
されるコンタクトホールの底部を広げてしまうようなものとなる。
【0095】
次にライトドライエッチングにより層間絶縁膜およびレジストマスクを後退させる。こ
こでのドライエッチングは、CF4 とO2 とを混合したものを利用して行う。ここで酸素
を混合させるのは、レジストマスクを後退させるためである。
【0096】
こうして図8(A)に示すようななだらかな断面形状を有したコンタクトを得ることが
できる。
【0097】
図8(A)に示す状態を得たら、ソース電極619とドレイン電極620を形成する。
こうしてMOS型トランジスタが完成する。
【符号の説明】
【0098】
101 ガラス基板
102 島状の半導体層
103 酸化珪素膜
104 アルミニウム膜
105 緻密な陽極酸化膜
106 多孔質の陽極酸化膜
107 強固な陽極酸化膜
108 ゲイト電極
109 ソース領域
110 ドレイン領域
111 低濃度不純物領域
112 低濃度不純物領域
113 チャネル領域
114 1層目層間絶縁膜
115 2層目層間絶縁膜
201 レジストマスク
202 ソースコンタクト部
203 ドレインコンタクト部
204 ゲイトコンタクト部
205 配線電極
206 配線電極
207 配線電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極酸化可能な材料からなるゲイト電極を有するゲイト部と、
半導体よりなるソース部またはドレイン部と、を有する薄膜トランジスタの作製工程において、
前記ゲイト部、ソース部およびドレイン部を覆って絶縁性被膜を少なくとも二層に積層する工程と、
前記絶縁性被膜をドライエッチングにより開孔せしめるに際し、前記絶縁性被膜の最上層から最下層に向かって順次傾斜角が小さくなるようにテーパーを形成する工程と、を有することを特徴とする半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−238956(P2011−238956A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155390(P2011−155390)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【分割の表示】特願2010−159513(P2010−159513)の分割
【原出願日】平成8年11月27日(1996.11.27)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】