薄膜のパターニング方法及び表示パネルの製造方法
【課題】コンタクトホールをより微細に形成することができる薄膜のパターニング方法及び表示パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】所定の段差部を有した絶縁層25を形成する工程と、スパッタ法により前記段差部を覆うようにして前記絶縁層25上に犠牲層28を成膜する工程と、前記段差部に対応する領域における前記犠牲層28のうちの少なくとも一部の除去と、前記除去により前記犠牲層28から露出された領域における前記絶縁層25の除去とを、ドライエッチングにより連続して行う工程と、前記ドライエッチングで残存した前記犠牲層28の少なくとも一部をウェットエッチングにより除去する工程と、を有する。
【解決手段】所定の段差部を有した絶縁層25を形成する工程と、スパッタ法により前記段差部を覆うようにして前記絶縁層25上に犠牲層28を成膜する工程と、前記段差部に対応する領域における前記犠牲層28のうちの少なくとも一部の除去と、前記除去により前記犠牲層28から露出された領域における前記絶縁層25の除去とを、ドライエッチングにより連続して行う工程と、前記ドライエッチングで残存した前記犠牲層28の少なくとも一部をウェットエッチングにより除去する工程と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜のパターニング方法及び表示パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリクス型の液晶表示パネルが開発されている。
【0003】
アクティブマトリクス型の液晶表示パネルは、表示領域に、複数の表示画素がマトリクス状に配列されている。即ち、互いに対向するように配置された2枚の基板のうちの一方に、複数の画素電極がマトリクス状に配列されている。そして、複数の画素電極のそれぞれは、それぞれに対応した薄膜トランジスタにおけるソース・ドレイン電極のうちの一方(例えばソース電極)に接続されている。また、薄膜トランジスタにおけるソース・ドレイン電極のうちの他方は、列方向に沿って延伸する信号線に接続されている。さらに、薄膜トランジスタにおけるゲート電極は、行方向に沿って延伸する走査線に接続されている。
【0004】
ここで、薄膜トランジスタにより生じる段差を平坦化するために薄膜トランジスタの上層には、絶縁性材料からなる平坦化膜が形成されている。そして、平坦化膜の上層には透明な導電性材料からなる画素電極が形成されている。画素電極は、平坦化膜に形成されたコンタクトホールを介して薄膜トランジスタのソース電極に電気的に接続されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−042630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
平坦化膜に形成されるコンタクトホールは、画素電極とソース電極とを電気的に接続するためにソース電極と重なる領域に形成される。これは、ソース電極と画素電極とを直接的に接触させることに加え、コンタクトホールを形成する際にソース電極よりも下の層をエッチングしてしまわないようにソース電極をストッパーとして用いているためである。そして、ソース電極は信号線と同一の層としてこの信号線と一括的に形成されるが、信号線は低抵抗な導電性材料で形成する必要があり、このような低抵抗な導電性材料は遮光性を有している。したがって、コンタクトホールの面積が大きくなるとソース電極の面積も大きくする必要があり、このような場合には、画素における遮光領域が大きくなり画素の開口率が低下してしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、コンタクトホールをより微細に形成することができる薄膜のパターニング方法及び表示パネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の薄膜のパターニング方法は、所定の段差部を有した絶縁層を形成する工程と、スパッタ法により前記段差部を覆うようにして前記絶縁層上に犠牲層を成膜する工程と、前記段差部に対応する領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部の除去と、前記除去により前記犠牲層から露出された領域における前記絶縁層の除去とを、ドライエッチングにより連続して行う工程と、前記ドライエッチングで残存した前記犠牲層の少なくとも一部をウェットエッチングにより除去する工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の薄膜のパターニング方法は、請求項1に記載の薄膜のパターニング方法において、前記犠牲層は、モリブデンまたはモリブデンを含有する合金からなることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の薄膜のパターニング方法は、請求項2に記載の薄膜のパターニング方法において、フッ素系ガスと酸素とが混合されたガスをエッチングガスにして前記ドライエッチングを行うことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の薄膜のパターニング方法は、請求項3に記載の薄膜のパターニング方法において、前記ドライエッチングを行う工程の前に、前記段差に対応する領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部がレジストマスクから露出するように前記犠牲層上に前記レジストマスクを形成する工程を有し、前記ドライエッチングは、前記レジストマスクから露出された領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部が残存するように行うことを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の薄膜のパターニング方法は、請求項4に記載の薄膜のパターニング方法において、前記絶縁層を形成する工程の前に、クロムまたはクロム合金からなる金属層を形成する工程を有し、前記段差は、少なくとも一部が前記金属層と重なるように形成されることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載の薄膜のパターニング方法は、請求項5に記載の薄膜のパターニング方法において、燐酸と硝酸と酢酸と水とが混合された液をエッチング液にして前記ウェットエッチングを行うことを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に記載の薄膜のパターニング方法は、請求項6に記載の薄膜のパターニング方法において、前記絶縁膜が窒化シリコンからなることを特徴とする。
【0015】
また、請求項8に記載の薄膜のパターニング方法は、所定の段差部を有した絶縁層を形成する工程と、前記段差部に対応する領域と他の領域との間で結晶構造が異なるように前記絶縁層上に犠牲層を成膜する工程と、前記段差部に対応する領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部の除去と、前記除去により前記犠牲層から露出された領域における前記絶縁層の除去とを、ドライエッチングにより連続して行う工程と、前記ドライエッチングで残存した前記犠牲層の少なくとも一部をウェットエッチングにより除去する工程と、を有することを特徴とする。
【0016】
また、請求項9に記載の薄膜のパターニング方法は、所定の段差部を有した絶縁層を形成する工程と、前記段差部に対応する領域と他の領域との間でドライエッチングでのエッチング速度が異なるように前記絶縁層上に犠牲層を成膜する工程と、前記段差部に対応する領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部の除去と、前記除去により前記犠牲層から露出された領域における前記絶縁層の除去とを、前記ドライエッチングにより連続して行う工程と、前記ドライエッチングで残存した前記犠牲層の少なくとも一部をウェットエッチングにより除去する工程と、を有することを特徴とする。
【0017】
また、請求項10に記載の表示パネルの製造方法は、薄膜トランジスタを有した表示パネルの製造方法であって、クロムまたはクロム合金からなる金属層を有したソース・ドレイン電極を形成する工程と、所定の段差部が形成されるように且つ前記段差部のうちの少なくとも一部が前記ソース・ドレイン電極に重なるように絶縁層を形成する工程と、モリブデンまたはモリブデンを含有する合金からなる犠牲層をスパッタ法により前記段差部を覆うようにして前記絶縁層上に成膜する工程と、前記段差部に対応する領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部の除去と、前記除去により前記犠牲層から露出された領域における前記絶縁層の除去とを、フッ素系ガスと酸素とが混合されたガスをエッチングガスにしたドライエッチングにより連続して行う工程と、燐酸と硝酸と酢酸と水とが混合された液をエッチング液にしたウェットエッチングにより、前記ドライエッチングで残存した前記犠牲層の少なくとも一部を除去する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、コンタクトホールをより微細に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】液晶表示パネルの説明図であり、(a)は概略平面図、(b)概略断面図。
【図2】薄膜トランジスタアレイの等価回路的平面図。
【図3】第1の基板に形成される多層膜における画素部分の拡大平面図。
【図4】図3におけるA―A’線に沿う断面図。
【図5】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、第1の基板に第1の導電層を成膜した状態の断面図。
【図6】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、第1の導電層をパターニングした状態の断面図。
【図7】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、第1の絶縁層、半導体層及びエッチング防止層を成膜した状態の断面図。
【図8】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、エッチング防止層をパターニングした状態の断面図。
【図9】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、オーミックコンタクト層及び第2の絶縁層を成膜した状態の断面図。
【図10】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、第2の導電層をパターニングした状態の断面図。
【図11】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、第2の絶縁膜上にフォトレジストをパターニングした状態の断面図。
【図12】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、第2の絶縁膜上にフォトレジストをパターニングした状態の平面図。
【図13】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、第2の絶縁層に段差を形成した状態の断面図。
【図14】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、第2の絶縁層上に犠牲層を成膜した状態の断面図。
【図15】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、犠牲層上にフォトレジストをパターニングした状態の断面図。
【図16】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、犠牲層上にフォトレジストをパターニングした状態の平面図。
【図17】犠牲層における結晶構造の説明図。
【図18】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、フォトレジスト及び犠牲層をマスクにして第2の絶縁膜にコンタクトホールが形成された状態の断面図。
【図19】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、第2の絶縁膜上に第3の導電層を成膜した状態の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。
図1(a)及び図1(b)に示すように、アクティブマトリクス型の液晶表示パネル1は、第1の基板2と第2の基板3とが互いに対向するように配置されている。第1の基板2と第2の基板3は、枠形状に形成されたシール材4により貼りあわされている。また、第1の基板2と第2の基板3との間には、シール材4に囲まれた領域に液晶が充填されることにより、液晶層5が形成されている。そして、液晶表示パネル1は、表示領域6に、複数の表示画素がマトリクス状に配列されている。
【0021】
図2は、第1の基板2に形成される薄膜トランジスタアレイの等価回路的平面図である。第1の基板2には、1つの表示画素に対して1つの画素電極7が対応するようにして、表示領域6に、複数の画素電極7がマトリクス状に配列されている。そして、複数の画素電極7のそれぞれは、それぞれに対応した薄膜トランジスタ8におけるソース・ドレイン電極のうちの一方、例えば、ソース電極S1に接続されている。また、薄膜トランジスタ8におけるソース・ドレイン電極のうちの他方、例えばドレイン電極D1は、列方向に沿って延伸する信号線10に接続されている。さらに、薄膜トランジスタ8におけるゲート電極G1は、行方向に沿って延伸する走査線9に接続されている。また、画素電極7との間に補助容量Csを形成するための補助容量線11が走査線9に平行するようにして配置されている。
【0022】
ここで、薄膜トランジスタ8は、スイッチング素子として機能し、例えばnMOS型の薄膜トランジスタを用いることができる。走査線9は、薄膜トランジスタ8のゲート電極G1に対して薄膜トランジスタ8をオン/オフ制御するための走査信号を供給するためのものである。信号線10は、薄膜トランジスタ8を介して画素電極7にデータ信号を供給するためのものである。そして、走査線9は第1の外部接続端子12を介して走査ドライバに電気的に接続される。信号線10は第2の外部接続端子13を介して信号ドライバ12に電気的に接続される。補助容量線11は第3の外部接続端子14を介して対向電極駆動回路に電気的に接続されるとともにトランスファ電極15を介して第2の基板3に形成された対向電極16に電気的に接続される。即ち、補助容量線11と対向電極16は互いに等しい電位に設定される。
【0023】
次に、第1の基板2に成膜される各薄膜の層構成について説明する。図3は、画素部分の拡大平面図であり、図4は、図3におけるA―A’線に沿う断面図である。ガラス等の透明な部材からなる第1の基板2上には、第1の導電層として、走査線9及び補助容量線11が形成されている。走査線9のうち薄膜トランジスタ8に対応する領域は該薄膜トランジスタ8におけるゲート電極G1として形成されている。第1の導電層は、例えば、クロム、アルミニウム、モリブデン、チタン等の遮光性金属を材料にして形成されている。そして、第1の導電層は、透明な絶縁性の材料からなる第1の絶縁層20により覆われている。第1の絶縁層20は、ゲート絶縁膜としても機能するものであり、例えば、窒化シリコン(SiNまたはSi3N3)または酸化シリコン(SiO2)等の無機材料で形成されている。
【0024】
第1の絶縁層20上には、第2の導電層として、ソース電極S1、ドレイン電極D1及び信号線10が形成されている。第2の導電層は、半導体層21、オーミックコンタクト層22及び金属層23が、順に積層された多層構造に形成されている。そして、半導体層21は、アモルファスシリコンまたはポリシリコンなどの半導体により形成されている。オーミックコンタクト層22は、アモルファスシリコンまたはポリシリコンに不純物がドープされた比較的低抵抗な半導体により形成されている。金属層23は、例えば、クロム、アルミニウム、モリブデン、チタン等の遮光性金属を材料にして形成されている。本実施形態の場合は、詳細は後述するが、特にクロムまたはクロムを含有するクロム合金で形成することが好ましい。なお、薄膜トランジスタ8におけるチャネルに対応する領域には、半導体層21とオーミックコンタクト層22との間の層として、絶縁性材料からなるエッチング防止層24が設けられている。
【0025】
第2の導電層は、透明な絶縁性の材料からなる第2の絶縁層25により覆われている。第2の絶縁層25は、薄膜トランジスタ8や信号線10等によって生じる段差を平坦化する平坦化層としても機能し、例えば、窒化シリコン(SiNまたはSi3N3)または酸化シリコン(SiO2)等の無機材料、または、ポリイミド系の樹脂またはアクリル系の樹脂等の有機材料で形成されている。
【0026】
第2の絶縁層25上には、第3の導電層として画素電極7が形成されている。第3の導電層は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明な導電性材料により形成されている。なお、第2の絶縁層25には、ソース電極S1に対応する領域にコンタクトホール26が形成され、このコンタクトホール26を介して画素電極7がソース電極S1に電気的に接続されている。
【0027】
次に、上述したような第1の基板2上に形成されている各薄膜の形成方法について、図5−図19に基づいて説明する。まず、ガラス等の透明な部材からなる第1の基板2を準備し、図5に示すように、第1の基板2の一面に、例えば、クロム、アルミニウム、モリブデン、チタン等の遮光性の金属をスパッタ法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法により第1の導電層40として成膜する。なお、第1の導電層は、必ずしも、遮光性の金属に限定するものではなく、例えばITO等の透明性の導電材料であってもよい。
【0028】
次に、第1の導電層40上にフォトレジストを塗布するとともに、露光及び現像によりこの塗布したフォトレジストをパターニングする。そして、パターニングされたフォトレジストをマスクとしてこのフォトレジストから露出された部分の第1の導電層40をエッチングし、その後、フォトレジストを剥離することにより、図6に示すように、パターニングされた第1の導電層40として、走査線9及び補助容量線11が形成される。なお、走査線9のうち薄膜トランジスタ8に対応する領域は該薄膜トランジスタ8におけるゲート電極G1として形成される。
【0029】
次に、パターニングされた第1の導電層40を覆うようにして、第1の基板2上に、窒化シリコン(SiNまたはSi3N3)または酸化シリコン(SiO2)等の無機絶縁材料をプラズマCVD法等により第1の絶縁層20として成膜する。ここで、例えば、第1の絶縁層20を窒化シリコンにより形成する場合、プロセスガスは、主原料ガスとしてシラン(SiH4)、副原料ガスとしてアンモニア(NH3)、希釈ガスとして窒素(N2)が用いられる。
【0030】
次に、図7に示すように、第1の絶縁層20上にプラズマCVD法等によりアモルファスシリコンまたはポリシリコンからなる半導体層21を成膜し、その後、半導体層21上に窒化シリコン(SiNまたはSi3N3)等の無機絶縁材料をプラズマCVD法等によりエッチング防止層24として成膜する。なお、第1の絶縁層20、半導体層21及びエッチング防止層24は、連続的に成膜されることが好ましい。
【0031】
次に、エッチング防止層24上にフォトレジストを塗布するとともに、露光及び現像によりこの塗布したフォトレジストをパターニングする。そして、パターニングされたフォトレジストをマスクとしてこのフォトレジストから露出された部分のエッチング防止層24をエッチングし、その後、フォトレジストを剥離することにより、チャネルに対応する領域に残存するようにパターニングされたエッチング防止層24が形成される(図8)。
【0032】
次に、パターニングされたエッチング防止層24を覆うようにして、第1の基板2上にアモルファスシリコンまたはポリシリコンに不純物がドープされた比較的低抵抗な半導体をオーミックコンタクト層22として成膜し、その後、オーミックコンタクト層22上に、クロムまたはクロムを含有するクロム合金等からなる遮光性の金属層23を、スパッタ法またはCVD法により成膜する(図9)。
【0033】
ここで、上述のように、半導体層21、オーミックコンタクト層22及び金属層23が順次成膜されることによって、半導体層21、オーミックコンタクト層22及び金属層23の積層膜としての第2の導電層41が形成される。
【0034】
次に、金属層23上にフォトレジストを塗布するとともに、露光及び現像によりこの塗布したフォトレジストをパターニングする。そして、パターニングされたフォトレジストをマスクとしてこのフォトレジストから露出された部分の半導体層21、オーミックコンタクト層22及び金属層23を一括的にエッチングし、その後、フォトレジストを剥離することにより、パターニングされた第2の導電層41として、ソース電極S1、ドレイン電極D1及び信号線10が形成される(図10)。なお、エッチング防止層24により覆われている領域における半導体層21は、エッチング防止層24により保護されることによってエッチングされずに残存する。そして、エッチング防止層24に大凡重なる領域の半導体層21をチャネル領域とした薄膜トランジスタ8が形成される。
【0035】
次に、パターニングされた第2の導電層41を覆うようにして、第1の基板2上に、窒化シリコン(SiNまたはSi3N3)または酸化シリコン(SiO2)等の無機絶縁材料をプラズマCVD法等により第2の絶縁層25として成膜する。本実施形態では、第2の絶縁層25として窒化シリコン膜を成膜した場合について説明する。なお、第2の絶縁層25は、無機材料で形成する場合に限定するものではなく、ポリイミド系の樹脂またはアクリル系の樹脂等の有機材料で形成してもよい。
【0036】
次に、第2の絶縁層25上に、フォトレジストを塗布するとともに、露光及び現像によりこの塗布したフォトレジストをパターニングする。このとき、図11及び図12に示すように、パターニングされたフォトレジスト50は、ソース電極S1と重なる領域の一部がフォトレジスト50から露出するように形成されている。そして、フォトレジスト50は、該フォトレジスト50の縁部が走査線9の延伸方向及び補助容量線11の延伸方向に沿うように形成されている。ここで、図12には、図を明確にする目的で、フォトレジスト50の縁部に斜めの短いハッチングが記入されている。
【0037】
次に、フォトレジスト50をマスクにしてフォトレジスト50から露出された部分の第2の絶縁層25をドライエッチングによりハーフエッチングすることで、図13に示すように、第2の絶縁層25に段差部27を形成する。なお、エッチングガスには、例えば、CF4やSF6等のフッ素系ガスとO2との混合ガスを用いることができる。
【0038】
次に、フォトレジスト50を剥離し、段差部27が形成された第2の絶縁層25を覆うようにして、第1の基板2上に、モリブデンまたはモリブデンを含有するモリブデン合金からなる導電材料を犠牲層28としてスパッタ法により成膜する(図14)。
【0039】
次に、犠牲層28上にフォトレジストを塗布するとともに、露光及び現像によりこの塗布したフォトレジスト51をパターニングする。このとき、図15、図16に示すように、パターニングされたフォトレジスト51は、第2の絶縁層25に形成された段差部27のうちのソース電極と重なる領域における段差部27aがフォトレジスト51から露出するように形成されている。ここで、図16では、図を明確にする目的で、フォトレジスト51からの露出領域51a、即ち、フォトレジスト51の開口部51aを塗りつぶして示している。
【0040】
そして、パターニングされたフォトレジスト51をマスクとしてこのフォトレジスト51から露出された部分の犠牲層に対してドライエッチングを行う。このとき、エッチングガスには、例えば、CF4やSF6等のフッ素系ガスとO2との混合ガスを用いる。
【0041】
ところで、犠牲層28は、スパッタ法により成膜されている。このため、犠牲層28での結晶構造は、少なくとも第2の絶縁層25が平坦な領域に対応する箇所(以下、平坦領域28aと記す)では、図17に示されるような、所謂、柱状構造になっている。しかし、段差部27に対応する箇所(以下、段差領域28bと記す)では、犠牲層28の成膜時に基板平面方向から成長してくる結晶粒と段差の壁面方向から成長してくる結晶粒とがせめぎ合うため、平坦領域28aでの柱状構造とは異なる結晶構造になっている。したがって、エッチングガスにCF4やSF6等のフッ素系ガスとO2との混合ガスを用いて、このような犠牲層28に対してドライエッチングを行った場合、段差領域28bと平坦領域28aとの間でエッチング速度が異なる。より具体的には、段差領域28bのエッチング速度が平坦領域28aのエッチング速度よりも速くなる。
【0042】
また、CF4やSF6等のフッ素系ガスとO2との混合ガスは、第2の絶縁層25として成膜された窒化シリコン膜をエッチングするが、第2の導電層41の最上層膜として形成されたクロムに対しては影響を与えない。
【0043】
したがって、パターニングされたフォトレジスト51をマスクとしてこのフォトレジスト51から露出された部分の犠牲層28に対してドライエッチングを行うと、図18に示すように、フォトレジスト51から露出された部分のうちの犠牲層28における段差領域28bとこの段差領域28bに重なる領域の第2の絶縁層25とがともに選択的に除去される。即ち、第2の絶縁層25に形成された段差部27の延伸方向に対して直交する方向において、第2の絶縁層25の開口幅Waがフォトレジスト51の開口幅Wbよりも狭く形成されることで、フォトレジスト51をパターニングする際の精細度よりもさらに微細なコンタクトホール26が第2の絶縁層25に形成される。
【0044】
なお、段差領域28b下の第2の絶縁層25を平坦領域28a下の第2の絶縁層25よりも先に犠牲層28から露出させ、且つ、平坦領域28aにおける犠牲層28が消失するよりも前に段差領域28b下の第2の絶縁層25の除去を完了させるためには、犠牲層28の厚さが10nm〜20nmになるように犠牲層28を成膜し、且つ、段差部27での高低差(段差)が50nm〜300nm程度になるように第2の絶縁膜25をハーフエッチングし、且つ、第2の絶縁膜25の厚さが段差部27での高低差(段差)の大凡2〜3倍の厚さになるように第2の絶縁層25を前記ハーフエッチングに先立って成膜することが好ましい。ここで、第2の絶縁層25の厚さが犠牲層28の厚さよりも厚いのにもかかわらず、第2の絶縁層25のエッチングが先に完了するのは、犠牲層28として形成されるモリブデンのエッチング速度よりも第2の絶縁層25として形成される窒化シリコンのエッチング速度の方が十分に速いためである。
【0045】
そして、このようなドライエッチングの次に、フォトレジスト51を剥離するとともに、残存している犠牲層28をウェットエッチングにより除去する。このウェットエッチングでは、エッチング液として、燐酸、硝酸、酢酸及び水の混合液を用いれば、酸化シリコンからなる第2の絶縁層25及びクロムからなる金属膜23に対して影響を与えることなく犠牲層28を除去することができる。
【0046】
即ち、本実施形態では、モリブデンまたはモリブデンを含有するモリブデン合金により犠牲層28を形成し、窒化シリコンにより第2の絶縁層25を形成し、クロムまたはクロムを含有するクロム合金により金属層23を形成することにより、金属層23をストッパーにした犠牲層28及び第2の絶縁層25に対するドライエッチングを可能にするとともに、金属層23及び第2の絶縁膜25への影響を抑制しながら犠牲層28をウェットエッチングにより除去することができる。なお、犠牲層28は、その一部を例えば位置合わせマーカ等として表示領域6の外側に残存させてもよい。
【0047】
次にコンタクトホール26が形成された第2の絶縁層25を覆うようにして、第1の基板2上に、ITO等の透明性の導電材料をスパッタ法等により第3の導電層42として成膜する(図19)。
【0048】
次に、第3の導電層42上にフォトレジストを塗布するとともに、露光及び現像によりこの塗布したフォトレジストをパターニングする。そして、パターニングされたフォトレジストをマスクとしてこのフォトレジストから露出された部分の第3の導電層42をエッチングし、その後、フォトレジストを剥離することにより、パターニングされた第3の導電層42として、画素電極7が形成され、図3及び図4に示したような多層膜が得られる。
【0049】
上述したように本実施形態では、ソース電極S1と画素電極7とを電気的に接続するコンタクトホール26を、フォトレジストをパターニングする際の精細度よりもさらに微細に形成することができるため、第2の絶縁層25のコンタクトホール26をより小さく形成することができ、よって、コンタクトホール26に対応させてソース電極S1も小さく形成でき、画素の開口率を向上させることができる。例えば、フォトレジスト51の露出領域51aが3μm×3μmの方形形状であった場合、犠牲層28を形成しないときには、フォトレジスト51の露出領域51aと大凡同じ形状である3μm×3μmの方形形状のコンタクトホール26が第2の絶縁層25に形成されることになるが、本実施形態のように犠牲層28を形成したときには、大凡1μm×3μmの方形形状に形成することができる。
【0050】
なお、上述の実施形態では、第2の絶縁層をハーフエッチングすることにより第2の絶縁層に段差部を形成したが、他の方法により第2の絶縁層に段差部を形成してもよい。例えば、第2の絶縁層よりも下層側に段差部を有した所定のパターンを形成しこの段差部形状に追従するように第2の絶縁層を成膜することで、第2の絶縁層に段差部を形成してもよい。
【0051】
上述した実施の形態は、本発明の一例に過ぎず、多層膜の層構造および配線パターン等を含め、具体的な構成は本発明の作用効果を奏する範囲において適宜設計変更できるものである。
【符号の説明】
【0052】
1 表示パネル
2、3 基板
5 液晶層
7 画素電極
8 薄膜トランジスタ
9 走査線
10 信号線
11 補助容量線
20 第1の絶縁層
23 金属層
25 第2の絶縁層
26 コンタクトホール
28 犠牲層
50、51 フォトレジスト
G1 ゲート電極
D1 ドレイン電極
S1 ソース電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜のパターニング方法及び表示パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリクス型の液晶表示パネルが開発されている。
【0003】
アクティブマトリクス型の液晶表示パネルは、表示領域に、複数の表示画素がマトリクス状に配列されている。即ち、互いに対向するように配置された2枚の基板のうちの一方に、複数の画素電極がマトリクス状に配列されている。そして、複数の画素電極のそれぞれは、それぞれに対応した薄膜トランジスタにおけるソース・ドレイン電極のうちの一方(例えばソース電極)に接続されている。また、薄膜トランジスタにおけるソース・ドレイン電極のうちの他方は、列方向に沿って延伸する信号線に接続されている。さらに、薄膜トランジスタにおけるゲート電極は、行方向に沿って延伸する走査線に接続されている。
【0004】
ここで、薄膜トランジスタにより生じる段差を平坦化するために薄膜トランジスタの上層には、絶縁性材料からなる平坦化膜が形成されている。そして、平坦化膜の上層には透明な導電性材料からなる画素電極が形成されている。画素電極は、平坦化膜に形成されたコンタクトホールを介して薄膜トランジスタのソース電極に電気的に接続されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−042630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
平坦化膜に形成されるコンタクトホールは、画素電極とソース電極とを電気的に接続するためにソース電極と重なる領域に形成される。これは、ソース電極と画素電極とを直接的に接触させることに加え、コンタクトホールを形成する際にソース電極よりも下の層をエッチングしてしまわないようにソース電極をストッパーとして用いているためである。そして、ソース電極は信号線と同一の層としてこの信号線と一括的に形成されるが、信号線は低抵抗な導電性材料で形成する必要があり、このような低抵抗な導電性材料は遮光性を有している。したがって、コンタクトホールの面積が大きくなるとソース電極の面積も大きくする必要があり、このような場合には、画素における遮光領域が大きくなり画素の開口率が低下してしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、コンタクトホールをより微細に形成することができる薄膜のパターニング方法及び表示パネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の薄膜のパターニング方法は、所定の段差部を有した絶縁層を形成する工程と、スパッタ法により前記段差部を覆うようにして前記絶縁層上に犠牲層を成膜する工程と、前記段差部に対応する領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部の除去と、前記除去により前記犠牲層から露出された領域における前記絶縁層の除去とを、ドライエッチングにより連続して行う工程と、前記ドライエッチングで残存した前記犠牲層の少なくとも一部をウェットエッチングにより除去する工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の薄膜のパターニング方法は、請求項1に記載の薄膜のパターニング方法において、前記犠牲層は、モリブデンまたはモリブデンを含有する合金からなることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の薄膜のパターニング方法は、請求項2に記載の薄膜のパターニング方法において、フッ素系ガスと酸素とが混合されたガスをエッチングガスにして前記ドライエッチングを行うことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の薄膜のパターニング方法は、請求項3に記載の薄膜のパターニング方法において、前記ドライエッチングを行う工程の前に、前記段差に対応する領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部がレジストマスクから露出するように前記犠牲層上に前記レジストマスクを形成する工程を有し、前記ドライエッチングは、前記レジストマスクから露出された領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部が残存するように行うことを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の薄膜のパターニング方法は、請求項4に記載の薄膜のパターニング方法において、前記絶縁層を形成する工程の前に、クロムまたはクロム合金からなる金属層を形成する工程を有し、前記段差は、少なくとも一部が前記金属層と重なるように形成されることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載の薄膜のパターニング方法は、請求項5に記載の薄膜のパターニング方法において、燐酸と硝酸と酢酸と水とが混合された液をエッチング液にして前記ウェットエッチングを行うことを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に記載の薄膜のパターニング方法は、請求項6に記載の薄膜のパターニング方法において、前記絶縁膜が窒化シリコンからなることを特徴とする。
【0015】
また、請求項8に記載の薄膜のパターニング方法は、所定の段差部を有した絶縁層を形成する工程と、前記段差部に対応する領域と他の領域との間で結晶構造が異なるように前記絶縁層上に犠牲層を成膜する工程と、前記段差部に対応する領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部の除去と、前記除去により前記犠牲層から露出された領域における前記絶縁層の除去とを、ドライエッチングにより連続して行う工程と、前記ドライエッチングで残存した前記犠牲層の少なくとも一部をウェットエッチングにより除去する工程と、を有することを特徴とする。
【0016】
また、請求項9に記載の薄膜のパターニング方法は、所定の段差部を有した絶縁層を形成する工程と、前記段差部に対応する領域と他の領域との間でドライエッチングでのエッチング速度が異なるように前記絶縁層上に犠牲層を成膜する工程と、前記段差部に対応する領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部の除去と、前記除去により前記犠牲層から露出された領域における前記絶縁層の除去とを、前記ドライエッチングにより連続して行う工程と、前記ドライエッチングで残存した前記犠牲層の少なくとも一部をウェットエッチングにより除去する工程と、を有することを特徴とする。
【0017】
また、請求項10に記載の表示パネルの製造方法は、薄膜トランジスタを有した表示パネルの製造方法であって、クロムまたはクロム合金からなる金属層を有したソース・ドレイン電極を形成する工程と、所定の段差部が形成されるように且つ前記段差部のうちの少なくとも一部が前記ソース・ドレイン電極に重なるように絶縁層を形成する工程と、モリブデンまたはモリブデンを含有する合金からなる犠牲層をスパッタ法により前記段差部を覆うようにして前記絶縁層上に成膜する工程と、前記段差部に対応する領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部の除去と、前記除去により前記犠牲層から露出された領域における前記絶縁層の除去とを、フッ素系ガスと酸素とが混合されたガスをエッチングガスにしたドライエッチングにより連続して行う工程と、燐酸と硝酸と酢酸と水とが混合された液をエッチング液にしたウェットエッチングにより、前記ドライエッチングで残存した前記犠牲層の少なくとも一部を除去する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、コンタクトホールをより微細に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】液晶表示パネルの説明図であり、(a)は概略平面図、(b)概略断面図。
【図2】薄膜トランジスタアレイの等価回路的平面図。
【図3】第1の基板に形成される多層膜における画素部分の拡大平面図。
【図4】図3におけるA―A’線に沿う断面図。
【図5】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、第1の基板に第1の導電層を成膜した状態の断面図。
【図6】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、第1の導電層をパターニングした状態の断面図。
【図7】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、第1の絶縁層、半導体層及びエッチング防止層を成膜した状態の断面図。
【図8】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、エッチング防止層をパターニングした状態の断面図。
【図9】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、オーミックコンタクト層及び第2の絶縁層を成膜した状態の断面図。
【図10】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、第2の導電層をパターニングした状態の断面図。
【図11】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、第2の絶縁膜上にフォトレジストをパターニングした状態の断面図。
【図12】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、第2の絶縁膜上にフォトレジストをパターニングした状態の平面図。
【図13】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、第2の絶縁層に段差を形成した状態の断面図。
【図14】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、第2の絶縁層上に犠牲層を成膜した状態の断面図。
【図15】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、犠牲層上にフォトレジストをパターニングした状態の断面図。
【図16】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、犠牲層上にフォトレジストをパターニングした状態の平面図。
【図17】犠牲層における結晶構造の説明図。
【図18】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、フォトレジスト及び犠牲層をマスクにして第2の絶縁膜にコンタクトホールが形成された状態の断面図。
【図19】第1の基板に形成する薄膜の形成方法の説明図であり、第2の絶縁膜上に第3の導電層を成膜した状態の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。
図1(a)及び図1(b)に示すように、アクティブマトリクス型の液晶表示パネル1は、第1の基板2と第2の基板3とが互いに対向するように配置されている。第1の基板2と第2の基板3は、枠形状に形成されたシール材4により貼りあわされている。また、第1の基板2と第2の基板3との間には、シール材4に囲まれた領域に液晶が充填されることにより、液晶層5が形成されている。そして、液晶表示パネル1は、表示領域6に、複数の表示画素がマトリクス状に配列されている。
【0021】
図2は、第1の基板2に形成される薄膜トランジスタアレイの等価回路的平面図である。第1の基板2には、1つの表示画素に対して1つの画素電極7が対応するようにして、表示領域6に、複数の画素電極7がマトリクス状に配列されている。そして、複数の画素電極7のそれぞれは、それぞれに対応した薄膜トランジスタ8におけるソース・ドレイン電極のうちの一方、例えば、ソース電極S1に接続されている。また、薄膜トランジスタ8におけるソース・ドレイン電極のうちの他方、例えばドレイン電極D1は、列方向に沿って延伸する信号線10に接続されている。さらに、薄膜トランジスタ8におけるゲート電極G1は、行方向に沿って延伸する走査線9に接続されている。また、画素電極7との間に補助容量Csを形成するための補助容量線11が走査線9に平行するようにして配置されている。
【0022】
ここで、薄膜トランジスタ8は、スイッチング素子として機能し、例えばnMOS型の薄膜トランジスタを用いることができる。走査線9は、薄膜トランジスタ8のゲート電極G1に対して薄膜トランジスタ8をオン/オフ制御するための走査信号を供給するためのものである。信号線10は、薄膜トランジスタ8を介して画素電極7にデータ信号を供給するためのものである。そして、走査線9は第1の外部接続端子12を介して走査ドライバに電気的に接続される。信号線10は第2の外部接続端子13を介して信号ドライバ12に電気的に接続される。補助容量線11は第3の外部接続端子14を介して対向電極駆動回路に電気的に接続されるとともにトランスファ電極15を介して第2の基板3に形成された対向電極16に電気的に接続される。即ち、補助容量線11と対向電極16は互いに等しい電位に設定される。
【0023】
次に、第1の基板2に成膜される各薄膜の層構成について説明する。図3は、画素部分の拡大平面図であり、図4は、図3におけるA―A’線に沿う断面図である。ガラス等の透明な部材からなる第1の基板2上には、第1の導電層として、走査線9及び補助容量線11が形成されている。走査線9のうち薄膜トランジスタ8に対応する領域は該薄膜トランジスタ8におけるゲート電極G1として形成されている。第1の導電層は、例えば、クロム、アルミニウム、モリブデン、チタン等の遮光性金属を材料にして形成されている。そして、第1の導電層は、透明な絶縁性の材料からなる第1の絶縁層20により覆われている。第1の絶縁層20は、ゲート絶縁膜としても機能するものであり、例えば、窒化シリコン(SiNまたはSi3N3)または酸化シリコン(SiO2)等の無機材料で形成されている。
【0024】
第1の絶縁層20上には、第2の導電層として、ソース電極S1、ドレイン電極D1及び信号線10が形成されている。第2の導電層は、半導体層21、オーミックコンタクト層22及び金属層23が、順に積層された多層構造に形成されている。そして、半導体層21は、アモルファスシリコンまたはポリシリコンなどの半導体により形成されている。オーミックコンタクト層22は、アモルファスシリコンまたはポリシリコンに不純物がドープされた比較的低抵抗な半導体により形成されている。金属層23は、例えば、クロム、アルミニウム、モリブデン、チタン等の遮光性金属を材料にして形成されている。本実施形態の場合は、詳細は後述するが、特にクロムまたはクロムを含有するクロム合金で形成することが好ましい。なお、薄膜トランジスタ8におけるチャネルに対応する領域には、半導体層21とオーミックコンタクト層22との間の層として、絶縁性材料からなるエッチング防止層24が設けられている。
【0025】
第2の導電層は、透明な絶縁性の材料からなる第2の絶縁層25により覆われている。第2の絶縁層25は、薄膜トランジスタ8や信号線10等によって生じる段差を平坦化する平坦化層としても機能し、例えば、窒化シリコン(SiNまたはSi3N3)または酸化シリコン(SiO2)等の無機材料、または、ポリイミド系の樹脂またはアクリル系の樹脂等の有機材料で形成されている。
【0026】
第2の絶縁層25上には、第3の導電層として画素電極7が形成されている。第3の導電層は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明な導電性材料により形成されている。なお、第2の絶縁層25には、ソース電極S1に対応する領域にコンタクトホール26が形成され、このコンタクトホール26を介して画素電極7がソース電極S1に電気的に接続されている。
【0027】
次に、上述したような第1の基板2上に形成されている各薄膜の形成方法について、図5−図19に基づいて説明する。まず、ガラス等の透明な部材からなる第1の基板2を準備し、図5に示すように、第1の基板2の一面に、例えば、クロム、アルミニウム、モリブデン、チタン等の遮光性の金属をスパッタ法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法により第1の導電層40として成膜する。なお、第1の導電層は、必ずしも、遮光性の金属に限定するものではなく、例えばITO等の透明性の導電材料であってもよい。
【0028】
次に、第1の導電層40上にフォトレジストを塗布するとともに、露光及び現像によりこの塗布したフォトレジストをパターニングする。そして、パターニングされたフォトレジストをマスクとしてこのフォトレジストから露出された部分の第1の導電層40をエッチングし、その後、フォトレジストを剥離することにより、図6に示すように、パターニングされた第1の導電層40として、走査線9及び補助容量線11が形成される。なお、走査線9のうち薄膜トランジスタ8に対応する領域は該薄膜トランジスタ8におけるゲート電極G1として形成される。
【0029】
次に、パターニングされた第1の導電層40を覆うようにして、第1の基板2上に、窒化シリコン(SiNまたはSi3N3)または酸化シリコン(SiO2)等の無機絶縁材料をプラズマCVD法等により第1の絶縁層20として成膜する。ここで、例えば、第1の絶縁層20を窒化シリコンにより形成する場合、プロセスガスは、主原料ガスとしてシラン(SiH4)、副原料ガスとしてアンモニア(NH3)、希釈ガスとして窒素(N2)が用いられる。
【0030】
次に、図7に示すように、第1の絶縁層20上にプラズマCVD法等によりアモルファスシリコンまたはポリシリコンからなる半導体層21を成膜し、その後、半導体層21上に窒化シリコン(SiNまたはSi3N3)等の無機絶縁材料をプラズマCVD法等によりエッチング防止層24として成膜する。なお、第1の絶縁層20、半導体層21及びエッチング防止層24は、連続的に成膜されることが好ましい。
【0031】
次に、エッチング防止層24上にフォトレジストを塗布するとともに、露光及び現像によりこの塗布したフォトレジストをパターニングする。そして、パターニングされたフォトレジストをマスクとしてこのフォトレジストから露出された部分のエッチング防止層24をエッチングし、その後、フォトレジストを剥離することにより、チャネルに対応する領域に残存するようにパターニングされたエッチング防止層24が形成される(図8)。
【0032】
次に、パターニングされたエッチング防止層24を覆うようにして、第1の基板2上にアモルファスシリコンまたはポリシリコンに不純物がドープされた比較的低抵抗な半導体をオーミックコンタクト層22として成膜し、その後、オーミックコンタクト層22上に、クロムまたはクロムを含有するクロム合金等からなる遮光性の金属層23を、スパッタ法またはCVD法により成膜する(図9)。
【0033】
ここで、上述のように、半導体層21、オーミックコンタクト層22及び金属層23が順次成膜されることによって、半導体層21、オーミックコンタクト層22及び金属層23の積層膜としての第2の導電層41が形成される。
【0034】
次に、金属層23上にフォトレジストを塗布するとともに、露光及び現像によりこの塗布したフォトレジストをパターニングする。そして、パターニングされたフォトレジストをマスクとしてこのフォトレジストから露出された部分の半導体層21、オーミックコンタクト層22及び金属層23を一括的にエッチングし、その後、フォトレジストを剥離することにより、パターニングされた第2の導電層41として、ソース電極S1、ドレイン電極D1及び信号線10が形成される(図10)。なお、エッチング防止層24により覆われている領域における半導体層21は、エッチング防止層24により保護されることによってエッチングされずに残存する。そして、エッチング防止層24に大凡重なる領域の半導体層21をチャネル領域とした薄膜トランジスタ8が形成される。
【0035】
次に、パターニングされた第2の導電層41を覆うようにして、第1の基板2上に、窒化シリコン(SiNまたはSi3N3)または酸化シリコン(SiO2)等の無機絶縁材料をプラズマCVD法等により第2の絶縁層25として成膜する。本実施形態では、第2の絶縁層25として窒化シリコン膜を成膜した場合について説明する。なお、第2の絶縁層25は、無機材料で形成する場合に限定するものではなく、ポリイミド系の樹脂またはアクリル系の樹脂等の有機材料で形成してもよい。
【0036】
次に、第2の絶縁層25上に、フォトレジストを塗布するとともに、露光及び現像によりこの塗布したフォトレジストをパターニングする。このとき、図11及び図12に示すように、パターニングされたフォトレジスト50は、ソース電極S1と重なる領域の一部がフォトレジスト50から露出するように形成されている。そして、フォトレジスト50は、該フォトレジスト50の縁部が走査線9の延伸方向及び補助容量線11の延伸方向に沿うように形成されている。ここで、図12には、図を明確にする目的で、フォトレジスト50の縁部に斜めの短いハッチングが記入されている。
【0037】
次に、フォトレジスト50をマスクにしてフォトレジスト50から露出された部分の第2の絶縁層25をドライエッチングによりハーフエッチングすることで、図13に示すように、第2の絶縁層25に段差部27を形成する。なお、エッチングガスには、例えば、CF4やSF6等のフッ素系ガスとO2との混合ガスを用いることができる。
【0038】
次に、フォトレジスト50を剥離し、段差部27が形成された第2の絶縁層25を覆うようにして、第1の基板2上に、モリブデンまたはモリブデンを含有するモリブデン合金からなる導電材料を犠牲層28としてスパッタ法により成膜する(図14)。
【0039】
次に、犠牲層28上にフォトレジストを塗布するとともに、露光及び現像によりこの塗布したフォトレジスト51をパターニングする。このとき、図15、図16に示すように、パターニングされたフォトレジスト51は、第2の絶縁層25に形成された段差部27のうちのソース電極と重なる領域における段差部27aがフォトレジスト51から露出するように形成されている。ここで、図16では、図を明確にする目的で、フォトレジスト51からの露出領域51a、即ち、フォトレジスト51の開口部51aを塗りつぶして示している。
【0040】
そして、パターニングされたフォトレジスト51をマスクとしてこのフォトレジスト51から露出された部分の犠牲層に対してドライエッチングを行う。このとき、エッチングガスには、例えば、CF4やSF6等のフッ素系ガスとO2との混合ガスを用いる。
【0041】
ところで、犠牲層28は、スパッタ法により成膜されている。このため、犠牲層28での結晶構造は、少なくとも第2の絶縁層25が平坦な領域に対応する箇所(以下、平坦領域28aと記す)では、図17に示されるような、所謂、柱状構造になっている。しかし、段差部27に対応する箇所(以下、段差領域28bと記す)では、犠牲層28の成膜時に基板平面方向から成長してくる結晶粒と段差の壁面方向から成長してくる結晶粒とがせめぎ合うため、平坦領域28aでの柱状構造とは異なる結晶構造になっている。したがって、エッチングガスにCF4やSF6等のフッ素系ガスとO2との混合ガスを用いて、このような犠牲層28に対してドライエッチングを行った場合、段差領域28bと平坦領域28aとの間でエッチング速度が異なる。より具体的には、段差領域28bのエッチング速度が平坦領域28aのエッチング速度よりも速くなる。
【0042】
また、CF4やSF6等のフッ素系ガスとO2との混合ガスは、第2の絶縁層25として成膜された窒化シリコン膜をエッチングするが、第2の導電層41の最上層膜として形成されたクロムに対しては影響を与えない。
【0043】
したがって、パターニングされたフォトレジスト51をマスクとしてこのフォトレジスト51から露出された部分の犠牲層28に対してドライエッチングを行うと、図18に示すように、フォトレジスト51から露出された部分のうちの犠牲層28における段差領域28bとこの段差領域28bに重なる領域の第2の絶縁層25とがともに選択的に除去される。即ち、第2の絶縁層25に形成された段差部27の延伸方向に対して直交する方向において、第2の絶縁層25の開口幅Waがフォトレジスト51の開口幅Wbよりも狭く形成されることで、フォトレジスト51をパターニングする際の精細度よりもさらに微細なコンタクトホール26が第2の絶縁層25に形成される。
【0044】
なお、段差領域28b下の第2の絶縁層25を平坦領域28a下の第2の絶縁層25よりも先に犠牲層28から露出させ、且つ、平坦領域28aにおける犠牲層28が消失するよりも前に段差領域28b下の第2の絶縁層25の除去を完了させるためには、犠牲層28の厚さが10nm〜20nmになるように犠牲層28を成膜し、且つ、段差部27での高低差(段差)が50nm〜300nm程度になるように第2の絶縁膜25をハーフエッチングし、且つ、第2の絶縁膜25の厚さが段差部27での高低差(段差)の大凡2〜3倍の厚さになるように第2の絶縁層25を前記ハーフエッチングに先立って成膜することが好ましい。ここで、第2の絶縁層25の厚さが犠牲層28の厚さよりも厚いのにもかかわらず、第2の絶縁層25のエッチングが先に完了するのは、犠牲層28として形成されるモリブデンのエッチング速度よりも第2の絶縁層25として形成される窒化シリコンのエッチング速度の方が十分に速いためである。
【0045】
そして、このようなドライエッチングの次に、フォトレジスト51を剥離するとともに、残存している犠牲層28をウェットエッチングにより除去する。このウェットエッチングでは、エッチング液として、燐酸、硝酸、酢酸及び水の混合液を用いれば、酸化シリコンからなる第2の絶縁層25及びクロムからなる金属膜23に対して影響を与えることなく犠牲層28を除去することができる。
【0046】
即ち、本実施形態では、モリブデンまたはモリブデンを含有するモリブデン合金により犠牲層28を形成し、窒化シリコンにより第2の絶縁層25を形成し、クロムまたはクロムを含有するクロム合金により金属層23を形成することにより、金属層23をストッパーにした犠牲層28及び第2の絶縁層25に対するドライエッチングを可能にするとともに、金属層23及び第2の絶縁膜25への影響を抑制しながら犠牲層28をウェットエッチングにより除去することができる。なお、犠牲層28は、その一部を例えば位置合わせマーカ等として表示領域6の外側に残存させてもよい。
【0047】
次にコンタクトホール26が形成された第2の絶縁層25を覆うようにして、第1の基板2上に、ITO等の透明性の導電材料をスパッタ法等により第3の導電層42として成膜する(図19)。
【0048】
次に、第3の導電層42上にフォトレジストを塗布するとともに、露光及び現像によりこの塗布したフォトレジストをパターニングする。そして、パターニングされたフォトレジストをマスクとしてこのフォトレジストから露出された部分の第3の導電層42をエッチングし、その後、フォトレジストを剥離することにより、パターニングされた第3の導電層42として、画素電極7が形成され、図3及び図4に示したような多層膜が得られる。
【0049】
上述したように本実施形態では、ソース電極S1と画素電極7とを電気的に接続するコンタクトホール26を、フォトレジストをパターニングする際の精細度よりもさらに微細に形成することができるため、第2の絶縁層25のコンタクトホール26をより小さく形成することができ、よって、コンタクトホール26に対応させてソース電極S1も小さく形成でき、画素の開口率を向上させることができる。例えば、フォトレジスト51の露出領域51aが3μm×3μmの方形形状であった場合、犠牲層28を形成しないときには、フォトレジスト51の露出領域51aと大凡同じ形状である3μm×3μmの方形形状のコンタクトホール26が第2の絶縁層25に形成されることになるが、本実施形態のように犠牲層28を形成したときには、大凡1μm×3μmの方形形状に形成することができる。
【0050】
なお、上述の実施形態では、第2の絶縁層をハーフエッチングすることにより第2の絶縁層に段差部を形成したが、他の方法により第2の絶縁層に段差部を形成してもよい。例えば、第2の絶縁層よりも下層側に段差部を有した所定のパターンを形成しこの段差部形状に追従するように第2の絶縁層を成膜することで、第2の絶縁層に段差部を形成してもよい。
【0051】
上述した実施の形態は、本発明の一例に過ぎず、多層膜の層構造および配線パターン等を含め、具体的な構成は本発明の作用効果を奏する範囲において適宜設計変更できるものである。
【符号の説明】
【0052】
1 表示パネル
2、3 基板
5 液晶層
7 画素電極
8 薄膜トランジスタ
9 走査線
10 信号線
11 補助容量線
20 第1の絶縁層
23 金属層
25 第2の絶縁層
26 コンタクトホール
28 犠牲層
50、51 フォトレジスト
G1 ゲート電極
D1 ドレイン電極
S1 ソース電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の段差部を有した絶縁層を形成する工程と、
スパッタ法により前記段差部を覆うようにして前記絶縁層上に犠牲層を成膜する工程と、
前記段差部に対応する領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部の除去と、前記除去により前記犠牲層から露出された領域における前記絶縁層の除去とを、ドライエッチングにより連続して行う工程と、
前記ドライエッチングで残存した前記犠牲層の少なくとも一部をウェットエッチングにより除去する工程と、
を有することを特徴とする薄膜のパターニング方法。
【請求項2】
前記犠牲層は、モリブデンまたはモリブデンを含有する合金からなることを特徴とする請求項1に記載の薄膜のパターニング方法。
【請求項3】
フッ素系ガスと酸素とが混合されたガスをエッチングガスにして前記ドライエッチングを行うことを特徴とする請求項2に記載の薄膜のパターニング方法。
【請求項4】
前記ドライエッチングを行う工程の前に、前記段差部に対応する領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部がレジストマスクから露出するように前記犠牲層上に前記レジストマスクを形成する工程を有し、
前記ドライエッチングは、前記レジストマスクから露出された領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部が残存するように行うことを特徴とする請求項3に記載の薄膜のパターニング方法。
【請求項5】
前記絶縁層を形成する工程の前に、クロムまたはクロム合金からなる金属層を形成する工程を有し、
前記段差部は、少なくとも一部が前記金属層と重なるように形成されることを特徴とする請求項4に記載の薄膜のパターニング方法。
【請求項6】
燐酸と硝酸と酢酸と水とが混合された液をエッチング液にして前記ウェットエッチングを行うことを特徴とする請求項5に記載の薄膜のパターニング方法。
【請求項7】
前記絶縁膜が窒化シリコンからなることを特徴とする請求項6に記載の薄膜のパターニング方法。
【請求項8】
所定の段差部を有した絶縁層を形成する工程と、
前記段差部に対応する領域と他の領域との間で結晶構造が異なるように前記絶縁層上に犠牲層を成膜する工程と、
前記段差部に対応する領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部の除去と、前記除去により前記犠牲層から露出された領域における前記絶縁層の除去とを、ドライエッチングにより連続して行う工程と、
前記ドライエッチングで残存した前記犠牲層の少なくとも一部をウェットエッチングにより除去する工程と、
を有することを特徴とする薄膜のパターニング方法。
【請求項9】
所定の段差部を有した絶縁層を形成する工程と、
前記段差部に対応する領域と他の領域との間でドライエッチングでのエッチング速度が異なるように前記絶縁層上に犠牲層を成膜する工程と、
前記段差部に対応する領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部の除去と、前記除去により前記犠牲層から露出された領域における前記絶縁層の除去とを、前記ドライエッチングにより連続して行う工程と、
前記ドライエッチングで残存した前記犠牲層の少なくとも一部をウェットエッチングにより除去する工程と、
を有することを特徴とする薄膜のパターニング方法。
【請求項10】
薄膜トランジスタを有した表示パネルの製造方法であって、
クロムまたはクロム合金からなる金属層を有したソース・ドレイン電極を形成する工程と、
所定の段差部が形成されるように且つ前記段差部のうちの少なくとも一部が前記ソース・ドレイン電極に重なるように絶縁層を形成する工程と、
モリブデンまたはモリブデンを含有する合金からなる犠牲層をスパッタ法により前記段差を覆うようにして前記絶縁層上に成膜する工程と、
前記段差部に対応する領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部の除去と、前記除去により前記犠牲層から露出された領域における前記絶縁層の除去とを、フッ素系ガスと酸素とが混合されたガスをエッチングガスにしたドライエッチングにより連続して行う工程と、
燐酸と硝酸と酢酸と水とが混合された液をエッチング液にしたウェットエッチングにより、前記ドライエッチングで残存した前記犠牲層の少なくとも一部を除去する工程と、
を有することを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項1】
所定の段差部を有した絶縁層を形成する工程と、
スパッタ法により前記段差部を覆うようにして前記絶縁層上に犠牲層を成膜する工程と、
前記段差部に対応する領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部の除去と、前記除去により前記犠牲層から露出された領域における前記絶縁層の除去とを、ドライエッチングにより連続して行う工程と、
前記ドライエッチングで残存した前記犠牲層の少なくとも一部をウェットエッチングにより除去する工程と、
を有することを特徴とする薄膜のパターニング方法。
【請求項2】
前記犠牲層は、モリブデンまたはモリブデンを含有する合金からなることを特徴とする請求項1に記載の薄膜のパターニング方法。
【請求項3】
フッ素系ガスと酸素とが混合されたガスをエッチングガスにして前記ドライエッチングを行うことを特徴とする請求項2に記載の薄膜のパターニング方法。
【請求項4】
前記ドライエッチングを行う工程の前に、前記段差部に対応する領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部がレジストマスクから露出するように前記犠牲層上に前記レジストマスクを形成する工程を有し、
前記ドライエッチングは、前記レジストマスクから露出された領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部が残存するように行うことを特徴とする請求項3に記載の薄膜のパターニング方法。
【請求項5】
前記絶縁層を形成する工程の前に、クロムまたはクロム合金からなる金属層を形成する工程を有し、
前記段差部は、少なくとも一部が前記金属層と重なるように形成されることを特徴とする請求項4に記載の薄膜のパターニング方法。
【請求項6】
燐酸と硝酸と酢酸と水とが混合された液をエッチング液にして前記ウェットエッチングを行うことを特徴とする請求項5に記載の薄膜のパターニング方法。
【請求項7】
前記絶縁膜が窒化シリコンからなることを特徴とする請求項6に記載の薄膜のパターニング方法。
【請求項8】
所定の段差部を有した絶縁層を形成する工程と、
前記段差部に対応する領域と他の領域との間で結晶構造が異なるように前記絶縁層上に犠牲層を成膜する工程と、
前記段差部に対応する領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部の除去と、前記除去により前記犠牲層から露出された領域における前記絶縁層の除去とを、ドライエッチングにより連続して行う工程と、
前記ドライエッチングで残存した前記犠牲層の少なくとも一部をウェットエッチングにより除去する工程と、
を有することを特徴とする薄膜のパターニング方法。
【請求項9】
所定の段差部を有した絶縁層を形成する工程と、
前記段差部に対応する領域と他の領域との間でドライエッチングでのエッチング速度が異なるように前記絶縁層上に犠牲層を成膜する工程と、
前記段差部に対応する領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部の除去と、前記除去により前記犠牲層から露出された領域における前記絶縁層の除去とを、前記ドライエッチングにより連続して行う工程と、
前記ドライエッチングで残存した前記犠牲層の少なくとも一部をウェットエッチングにより除去する工程と、
を有することを特徴とする薄膜のパターニング方法。
【請求項10】
薄膜トランジスタを有した表示パネルの製造方法であって、
クロムまたはクロム合金からなる金属層を有したソース・ドレイン電極を形成する工程と、
所定の段差部が形成されるように且つ前記段差部のうちの少なくとも一部が前記ソース・ドレイン電極に重なるように絶縁層を形成する工程と、
モリブデンまたはモリブデンを含有する合金からなる犠牲層をスパッタ法により前記段差を覆うようにして前記絶縁層上に成膜する工程と、
前記段差部に対応する領域における前記犠牲層のうちの少なくとも一部の除去と、前記除去により前記犠牲層から露出された領域における前記絶縁層の除去とを、フッ素系ガスと酸素とが混合されたガスをエッチングガスにしたドライエッチングにより連続して行う工程と、
燐酸と硝酸と酢酸と水とが混合された液をエッチング液にしたウェットエッチングにより、前記ドライエッチングで残存した前記犠牲層の少なくとも一部を除去する工程と、
を有することを特徴とする表示パネルの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】
【図19】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】
【図19】
【図17】
【公開番号】特開2011−222688(P2011−222688A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89307(P2010−89307)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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