説明

薄膜トランジスタアレイ基板、及び液晶表示装置

【課題】透明導電膜上層に形成される絶縁膜の膜浮きの発生を防止或いは抑制し、歩留り或いは信頼性を向上することの可能な薄膜トランジスタアレイ基板、及び液晶表示装置を得る。
【解決手段】この発明のTFTアレイ基板100においては、TFT51と、ソース電極53及びドレイン電極54、並びにソース電極53及びドレイン電極54と同一材料により同層に形成される金属パターン5の何れかに直接重なり形成される透明導電膜パターン6と、透明導電膜パターン6上を含むゲート絶縁膜8上を覆う上層絶縁膜9を備え、少なくとも額縁領域42に形成される透明導電膜パターン6は、ソース電極53、ドレイン電極54或いは金属パターン5のパターン端面を覆うことなく形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明導電膜を備えた薄膜トランジスタアレイ基板、及び液晶表示装置に関し、特に詳しくは、透明導電膜周辺の配線構造に関する。
【背景技術】
【0002】
透明導電膜は、薄膜トランジスタ(hin ilm ransistor:TFT)がアレイ状に配列して設けられる薄膜トランジスタアレイ基板(以下、TFTアレイ基板)の外部接続端子表面を構成する端子電極や表示装置用の透明電極として用いられるなど、薄膜電子デバイスにおいて活用されている。例えば、特許文献1では、絵素電極(画素電極)に、ITO(ndium in xide)などの透明導電膜が用いられた液晶表示装置について開示されており、特許文献2では、同じくITOよりなる透明導電膜を外部接続端子部表層に設けた液晶表示装置のアクティブマトリクス基板について開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平1−123475公報
【特許文献2】特開平8−6059公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に、特許文献1の様に透明導電膜にて形成された透明導電膜パターンが最上層に形成される場合には問題を生じないが、特許文献2の様に透明導電膜パターン上に保護膜や層間絶縁膜などの上層絶縁膜が形成される場合、透明導電膜の応力と上層絶縁膜の応力のバランスにより、透明導電膜パターン端部などで上層絶縁膜が剥離してしまう膜浮き或いは膜剥がれと呼ばれる現象(以下、総称して膜浮きと呼ぶ。)が発生する場合がある。この膜浮きは、表示領域より外側の額縁領域などのパターン密度が比較的疎な領域、例えば、外部接続端子部や配線変換部などで発生が顕著である。この膜浮きの発生は、上層絶縁膜の保護膜としての保護する役割を機能させず腐食などを引き起こし、層間絶縁膜としての役割を機能させず絶縁破壊を引き起こす。何れにしても結果として膜浮きの発生した製品の歩留りや信頼性を低下する。更に剥離した上層絶縁膜が製造装置内で飛散して発塵を招き、同じ装置内で製造される別の製品にも悪影響を及ぼし、製造される製品全体の歩留りや信頼性の低下を招く。
【0005】
逆に、上層絶縁膜の形成の際、応力のバランスを満たし膜浮きの発生し難い成膜条件を採用した場合には、透明導電膜上の透過率の低下や、配線と画素電極を接続するコンタクトホールにおいてゲート絶縁膜界面と層間絶縁膜にクサビが形成され接続不良が発生するなどの問題があった。特に、近年、高輝度化(高開口率化・高透過率化)、高視野角化の要求が高くなっている液晶表示装置においては、透明導電膜の透過率の向上やフリンジフィールドスイッチング(ringe ield witching:FFS)モードの採用が不可欠であり、膜浮きが発生し易い上層絶縁膜の成膜条件を採用せざるを得ない場合が多くなってきている。更に、前記FFSモードにおいては、何れも透明導電膜よりなる画素電極と対向電極とを層間絶縁膜を介して配置する構成が必須であることから、少なくとも一方の透明電極上に層間絶縁膜が配置され上層絶縁膜となる構成は不可避であり、必ず上記説明を行った上層絶縁膜の膜浮きの問題に対する対策が必要である。
【0006】
本発明は、以上説明の様な問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、透明導電膜上層に形成される絶縁膜の膜浮きの発生を防止或いは抑制し、歩留り或いは信頼性を向上することの可能な薄膜トランジスタアレイ基板、及び液晶表示装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の薄膜トランジスタアレイ基板においては、薄膜トランジスタがアレイ状に配列して形成されるアレイ領域と前記アレイ領域を囲むように設けられた額縁領域を有し、基板上に形成されるゲート電極と、このゲート電極上を含む基板上を覆うゲート絶縁膜と、このゲート絶縁膜上のゲート電極上に形成される半導体層と、この半導体層上にオーミックコンタクト膜を介して形成されるソース電極及びドレイン電極とから構成される薄膜トランジスタと、前記のソース電極及びドレイン電極、並びに当該ソース電極及びドレイン電極と同一材料により同層に形成される金属パターンの何れかに直接重なり形成される透明導電膜パターンと、この透明導電膜パターン上を含むゲート絶縁膜上を覆う上層絶縁膜を備え、少なくとも前記の額縁領域に形成される前記の透明導電膜パターンは、ソース電極、ドレイン電極或いは前記の金属パターンのパターン端面を覆うことなく形成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、透明導電膜を備えた薄膜トランジスタアレイ基板において、透明導電膜上層に形成される絶縁膜の膜浮きの発生を防止或いは抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る液晶表示装置に用いられるTFTアレイ基板の構成を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る液晶表示装置を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るTFTアレイ基板の最外周以外の表示領域を示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るTFTアレイ基板の最外周以外の表示領域を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係るTFTアレイ基板の配線変換部を示す平面図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係るTFTアレイ基板の配線変換部を示す断面図である。
【図7】発明の実施の形態1に係るTFTアレイ基板の外部接続端子を示す平面図及び断面図である。
【図8】発明の実施の形態1に係るTFTアレイ基板の外部接続端子を示す平面図及び断面図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係るTFTアレイ基板の最外周の表示領域を示す平面図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係るTFTアレイ基板の最外周の表示領域を示す平面図である。
【図11】本発明の実施の形態1に係るTFTアレイ基板の最外周の表示領域を示す断面図である。
【図12】本発明の実施の形態1に係るTFTアレイ基板の画素電極と近接するパターンとの位置関係についての説明図である。
【図13】本発明の実施の形態1に係るTFTアレイ基板の製造方法を説明する断面図である。
【図14】本発明の実施の形態1に係るTFTアレイ基板の製造方法を説明する断面図である。
【図15】本発明の実施の形態1に係るTFTアレイ基板の配線間隔と配線ピッチの関係を説明する平面図である。
【図16】本発明の実施の形態1に係るTFTアレイ基板の配線間隔と配線ピッチの関係を説明する断面図である。
【図17】配線間隔及び配線ピッチと膜浮き発生頻度の関係を示すグラフである。
【図18】本発明の実施の形態2に係るTFTアレイ基板の製造方法を説明する断面図である。
【図19】本発明の実施の形態2に係るTFTアレイ基板の配線変換部を示す平面図である。
【図20】本発明の実施の形態2に係るTFTアレイ基板の配線変換部を示す断面図である。
【図21】本発明の実施の形態3に係るTFTアレイ基板の配線変換部を示す平面図である。
【図22】本発明の実施の形態3に係るTFTアレイ基板の配線変換部を示す断面図である。
【図23】本発明の実施の形態3の変形例に係るTFTアレイ基板の配線変換部を示す断面図である。
【図24】本発明の実施の形態3の変形例に係るTFTアレイ基板の配線変換部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
以下に、本発明の好ましい実施の形態を説明する。以下の説明は、本発明の実施の形態を説明するものであり、本発明が以下の実施形態に限定されるものではない。また、説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略及び簡略化がなされている。図面は模式的なものであり、示された構成要素の正確な大きさなどを反映するものではない。なお、各図において同一の符号を付されたものは同様の要素を示しており、適宜、重複説明は省略されている。
【0011】
始めに、本発明の第1の実施形態として、透明導電膜を備えたTFTアレイ基板により構成される液晶表示装置に本発明を適用した場合を例にとって説明するものとする。先ず、図1は、本実施の形態1における液晶表示装置を構成するTFTアレイ基板100を示す平面図である。本実施の形態1に係る液晶表示装置を構成するTFTアレイ基板100は、図1に示す様に、基板上に画像を表示する単位となる画素50に対応して液晶へ電圧印加する表示電圧の供給のオンとオフを制御するスイッチング素子となるTFT51が配置されている。TFT51は画素50ごとにアレイ状に配列していることから、このTFT51が配置される基板をTFTアレイ基板100と呼ぶ。
【0012】
このTFTアレイ基板100は基板1を有している。基板1は、例えば、ガラス基板や半導体基板より構成される。TFTアレイ基板100には、TFT51がアレイ状に配列して形成される領域であるアレイ領域とアレイ領域を囲むように設けられた額縁領域とが設けられている。具体的には、液晶表示装置などの表示装置においては、TFT51がアレイ状に配列して形成される領域であるアレイ領域は画像を表示する領域である表示領域41(図中点線にて囲まれる領域)に対応し、アレイ領域を囲むように設けられた額縁領域については、表示領域41を囲むように設けられた額縁領域42(TFTアレイ基板における図中点線にて囲まれる領域を除いた領域)に対応する。この表示領域41には、複数のゲート配線(走査信号線)43と複数のソース配線(表示信号線)44とが形成されている。複数のゲート配線43は平行に設けられている。同様に、複数のソース配線44は平行に設けられている。ゲート配線43とソース配線44とはお互いに交差するように形成されている。隣接するゲート配線43とソース配線44とで囲まれた領域が画素50となる。従って、表示領域41では、画素50がマトリクス状に配列される。
【0013】
TFTアレイ基板100の額縁領域42には、走査信号駆動回路46a、表示信号駆動回路46b、配線変換部45、引き出し配線47a1、47a2、47b1、47b2、及び外部接続端子48a1、48a2、48b1、48b2などが設けられている。ゲート配線43は、表示領域41から額縁領域42まで延設され、額縁領域42においてゲート配線43と同一材料により形成される引き出し配線47a1によりTFTアレイ基板100の端部まで引き出され、更にTFTアレイ基板100の端部で、引き出し配線47a1の端部に複数配列して設けられた外部接続端子48a1を介して走査信号駆動回路46aと接続される。ソース配線44は配線変換部45にてゲート配線43と同一材料により同層に形成された第1の導電膜2に電気的に接続され、第1の導電膜で形成された引き出し配線47b1により、TFTアレイ基板100の端部まで引き出され、更にTFTアレイ基板100の端部で、引き出し配線47b1の端部に複数配列して設けられた外部接続端子48b1を介して表示信号駆動回路46bと接続される。走査信号駆動回路46aの近傍には、外部配線49aが引き出し配線47a2及び外部接続端子48a2を介して接続されている。また、表示信号駆動回路46bの近傍には、外部配線49bが引き出し配線47b2及び外部接続端子48b2を介して接続されている。外部配線49a、49bは、例えばFPC(lexible rinted ircuit)などの配線基板である。
【0014】
外部配線49a及び引き出し配線47a2を介して走査信号駆動回路46aに、外部配線49b及び引き出し配線47b2を介して表示信号駆動回路46bに外部からの各種信号が供給される。走査信号駆動回路46aは外部からの制御信号に基づいて、ゲート信号(走査信号)をゲート配線43に供給する。このゲート信号によって、ゲート配線43が順次選択されていく。表示信号駆動回路46bは外部からの制御信号や、表示データに基づいて表示信号をソース配線44に供給する。これにより、表示データに応じた表示電圧を各画素50に供給することができる。
【0015】
画素50内には、少なくとも1つのTFT51が形成されている。TFT51はソース配線44とゲート配線43の交点近傍に配置される。例えば、このTFT51が画素電極に表示電圧を供給する。即ち、ゲート配線43からのゲート信号によって、スイッチング素子であるTFT51がオンする。これにより、ソース配線44から、TFT51のドレイン電極に接続された画素電極に表示電位が印加される。更に、画素電極は平板状電極であり、櫛歯状電極或いはスリット電極を有する共通電極(対向電極)と絶縁膜を介して対向配置されている。共通電極(対向電極)には、共通電位が与えられ、画素電極と対向電極との間には、表示電圧(表示電位−共通電位間の電位差)に応じたフリンジ電界が生じる。なお、画素50の詳細な構成については、後述する。
【0016】
続いて、本実施の形態1における液晶表示装置の全体構成について、図2の断面図を用いて説明する。図2に示す様に、先に詳細説明を行ったTFTアレイ基板100の表面には、配向膜61が形成されている。更に、TFTアレイ基板100に対し、対向基板60が対向して配置されている。対向基板60は、例えば、カラーフィルター基板であり、視認側に配置される。対向基板60には、カラーフィルター64、ブラックマトリクス(lack atrix:BM)63、及び配向膜61などが形成されている。TFTアレイ基板100と対向基板60との間には液晶層62が狭持される。即ち、TFTアレイ基板100と対向基板60の間には液晶が導入されている。更に、TFTアレイ基板100と対向基板60との外側の面には、偏光板65が設けられ、液晶表示パネルが構成される。また、液晶表示パネルの反視認側となるTFTアレイ基板100の裏面側に位相差板などの光学フィルム66を介して、バックライトユニット67が配置され、液晶表示パネル及びこれら周辺部材は樹脂や金属などよりなるフレーム(図示省略)内に適宜収納される。本実施の形態1の液晶表示装置は以上の様に構成される。
【0017】
画素電極と対向電極との間のフリンジ電界によって、液晶が駆動される。即ち、基板間の液晶の配向方向が変化する。これにより、液晶層62を通過する光の偏光状態が変化する。即ち、偏光板65を通過して直線偏光となった光は液晶層62によって、偏光状態が変化する。具体的にはバックライトユニット67からの光は、TFTアレイ基板側の偏光板65によって直線偏光になる。この直線偏光が液晶層62を通過することによって、偏光状態が変化する。偏光状態によって、対向基板側の偏光板65を通過する光量は変化する。即ち、バックライトユニット67から液晶表示パネルを透過する透過光のうち、視認側の偏光板65を通過する光の光量が変化する。液晶の配向方向は、印加される表示電圧によって変化する。従って、表示電圧を制御することによって、視認側の偏光板65を通過する光量を変化させることができる。即ち、画素50ごとに表示電圧を変えることによって、所望の画像を表示することができる。
【0018】
次に、本実施の形態1に係る液晶表示装置のTFT51の配置される表示領域41の詳細構成について図3及び図4を用いて説明する。図3は、実施の形態1に係るTFTアレイ基板100の表示領域41の中央部近傍の画素構成を示した平面図、図4は、図3におけるA1−A2断面線における断面図を其々示したものである。なお、これら画素構成は、表示領域41の最外周の画素50とその周辺部を除いて共通する構成となっており、表示領域41の最外周の画素50とその周辺部の構成については、後に詳細に説明を行う。
【0019】
図3及び図4において、例えば、ガラス基板などの絶縁性材料よりなる基板1の上に、TFT51のゲート電極と接続するゲート配線43が形成されている。ここでは、ゲート配線43はその一部がゲート電極を構成するように形成されている。ゲート配線43は、基板1上において一方向に直線的に延在するように配設されている。また、基板1上には複数の共通配線52がゲート配線43と同じ層によって形成されている。共通配線52は、隣接するゲート配線43間に配置されている。複数の共通配線52は平行に設けられている。共通配線52とゲート配線43はお互いにほぼ平行となるように配設されている。ゲート電極、ゲート配線43及び共通配線52は、例えばCr,Al,Ta,Ti,Mo,W,Ni,Cu,Au,Agなどの高融点金属または低抵抗金属やこれらを主成分とする合金膜、またはこれらの積層膜からなる第1の導電膜2によって形成されている。
【0020】
ゲート絶縁膜となる第1の絶縁膜8の上には半導体層3が形成されている。本実施の形態1では、ゲート配線43及び共通配線52に交差するように、半導体層3が直線状に形成されている。ここでは、例えばゲート配線43及び共通配線52に直交している。この半導体層3は基板1上においてゲート配線43と交差する方向に直線的に延在するように配設されている。半導体層3は、間隔を設けて複数配設されている。半導体層3は、ゲート配線43との交差部において分岐する。分岐した半導体層3は。ゲート配線43に沿って延在され、更に画素50内へと延在される。TFT51の形成領域では、半導体層3が第1の絶縁膜8を介してゲート電極の対面に設けられている。即ち、ゲート配線43との交差部から分岐した半導体層3のうち、ゲート電極と重複する部分が、TFT51を構成する活性領域として機能する。半導体層3の活性領域は、ここでは、ゲート配線43と重なるよう第1の絶縁膜8の上に形成され、この半導体層3は、非結晶シリコン、多結晶シリコンなどにより形成されている。なお、ゲート配線43と交差する方向に延在する直線状の半導体層3は、後述するソース配線44の冗長配線として利用することができる。即ち、この直線状の半導体層3はソース配線44の形成領域にあわせて形成されるものであり、ソース配線44が断線した様な場合でも電気信号の途絶を防止することが可能である。
【0021】
更に、半導体層3の上には、導電性不純物がドーピングされたオーミックコンタクト膜4が形成されている。オーミックコンタクト膜4は、TFT51のチャネル領域を除く半導体層3上のほぼ全面に配設されている。ゲート電極と重複する半導体層3のうち、オーミックコンタクト膜4に対応する半導体層3の領域は、ソース・ドレイン領域となる。具体的には、ゲート電極(ゲート配線43)と重複する図4中左側のオーミックコンタクト膜4に対応する半導体層3の領域がソース領域となる。そしてゲート電極(ゲート配線43)と重複する図4中右側のオーミックコンタクト膜4に対応する半導体層3の領域がドレイン領域となる。そして半導体層3のソース・ドレイン領域に挟まれた領域がチャネル領域となる。半導体層3のチャネル領域上には、オーミックコンタクト膜4は形成されていない。オーミックコンタクト膜4は、例えば、リン(P)などの不純物が高濃度にドーピングされたn型非結晶シリコンやn型多結晶シリコンなどにより形成されている。
【0022】
オーミックコンタクト膜4の上には、ソース電極53、ドレイン電極54及びソース配線44が形成されている。具体的には、半導体層3のソース領域側のオーミックコンタクト膜4上に、ソース電極53が形成されている。そして、ドレイン領域のオーミックコンタクト膜4上に、ドレイン電極54が形成されている。この様に、チャネルエッチ型のTFT51が構成されている。そして、ソース電極53及びドレイン電極54は半導体層3のチャネル領域の外側へ延在するように形成されている。即ち、ソース電極53及びドレイン電極54は、オーミックコンタクト膜4と同様に半導体層3のチャネル領域上には形成されない。また、ソース電極53は半導体層3のチャネル領域の外側へ延在し、ソース配線44と繋がっている。即ち、ソース配線44はソース電極53と接続している。ソース配線44は半導体層3の上にオーミックコンタクト膜4を介して形成され、基板1上においてゲート配線53と交差する方向に直線的に延在するように配設されている。従って、ソース配線44は、ゲート配線43との交差部において分岐してからゲート配線43に沿って延在し、ソース電極53となる。ソース電極53、ドレイン電極54、及びソース配線44は例えばCr,Al,Ta,Ti,Mo,W,Ni,Cu,Au,Agなどの高融点金属または低抵抗金属やこれらを主成分とする合金膜、またはこれらの積層膜からなる第2の導電膜5によって形成される金属パターンである。即ち、ソース配線44については、ソース電極53及びドレイン電極54と同一材料により同層に形成される金属パターンである。この様に、本実施の形態1では、半導体層3はソース配線44の下のほぼ全面とソース電極53の下のほぼ全面と、ドレイン電極54の下のほぼ全面と、ゲート電極の対面とに配設される構成となっている。そして、ここでは、ソース配線44、ソース電極53、及びドレイン電極54と半導体層3との間には、其々オーミックコンタクト膜4が形成された構成となっている。また、ドレイン電極54は、半導体層3のチャネル領域の外側に延在し、画素電極55と電気的に接続されている。
【0023】
本実施の形態1では、画素電極55は、ドレイン電極54上に直接重ねて形成されている。即ち、画素電極55の下面(下側の表面)がドレイン電極54の上面(上側の表面)と直接接触するように形成されている。また、画素電極55は、ドレイン電極54上のほぼ全面に形成されている。そして、画素電極55は、ドレイン電極54上から画素50内へと延在され、図3及び図4に示す様に、画素50を構成するソース配線44とゲート配線43とに囲まれた領域のほぼ全面に形成されている。即ち、画素電極55は、その一部がドレイン電極54に重複するように配設されている。このとき、画素電極55のチャネル領域側のパターン端部が、ドレイン電極54のチャネル領域側のパターン端部とほぼ同じ位置、或いは若干ドレイン電極5のパターン端部よりも後退して配置されるように重複配置されている。その為、ドレイン電極54のチャネル領域側のパターン端面は、画素電極55に覆われていない。そして、画素電極55は、例えば、ドレイン電極54のチャネル領域以外のパターン端面を覆うように形成されている。なお、画素電極55は、ITOなどの透明導電膜によって形成されている透明導電膜パターンである。この様に、画素電極55は、絶縁膜を介さずに、ドレイン電極54の上層に直接重ねて形成されている。この様な構成により、画素電極55をドレイン電極54と電気的に接続するためのコンタクトホールが不要となる。これは、画素電極55の一部をドレイン電極54の上に直接重なるように配置することで、これらの間の電気的な接続を得ることができるからである。従って、ドレイン電極54と画素電極55の接続に対してコンタクトホールを配置するエリアを設けることなく画素50を形成することが可能となり、開口率を高くできる。
【0024】
なお、上記説明ではドレイン電極54の上に直接重なる部分における透明導電膜パターンとソース配線44とゲート配線43とに囲まれた領域のほぼ全面に形成されている透明導電膜パターンについて、一体に形成されていることから、まとめて画素電極55と呼び説明を行った。然しながら、後者の透明導電膜パターンが実質的に画素電極55として機能するものであることから、前者の透明導電膜パターンについては、画素電極55と同一材料である透明導電膜により同層に形成された第1の透明導電膜パターン6として、画素電極55と区別して解釈しても良い。更に、実質的に画素電極55として機能する後者の透明導電膜パターンについても、隣接する画素電極55を主体とすると、画素電極55と同一材料である透明導電膜により同層に形成された第1の透明導電膜パターン6と解釈できるので、特に区別することなく、画素電極55全体を第1の透明導電膜パターン6と解釈しても良い。また、ここで使用した構成の説明におけるパターン端面を覆うように形成されるとは、上層に形成される膜や膜により構成されるパターンが下層パターンの表面部も端面部も分け隔てなく覆って形成される状態を意味し、下層パターンの端面形状が凹凸を有する場合などにより、下層パターン端面に上層に形成される膜が充分に接触していない状態、所謂、カバレッジ不良などの状態は許容して含むものとする。逆に、一旦、下層パターン端面を覆い形成された上層膜に対し、以降の加工処理などにより意図的にパターン端面が露出するように加工された状況は含まないものとする。以降での記載も含め、本明細書中では同様の意味にて使用するものとする。
【0025】
また、本実施の形態1では、画素電極55と同一材料である透明導電膜により同層に形成された第1の透明導電膜パターン6がソース電極53及びソース配線44上のほぼ全面に直接重ねて形成されている。第1の透明導電膜パターン6は、例えばソース電極53及びソース配線44を覆うように形成されている。但し、先に説明を行ったドレイン電極54の構造と同様に第1の透明導電膜パターン6のチャネル領域側のパターン端部が、チャネル領域側のソース電極53のパターン端部とほぼ同じ位置、或いは若干ソース電極53のパターン端部よりも後退して配置されるように、重複配置されている。その為、ソース電極53もチャネル領域側のパターン端部は、第1の透明導電膜パターン6に覆われていない。また、ソース電極53上に設けた第1の透明導電膜パターン6及び画素電極55はお互いに離間するように配設されている。また、ソース電極53上に設けた第1の透明導電膜パターン6と画素電極55とは半導体層3のチャネル領域上には設けられていない。また、図4の断面図に示される様にソース配線44部のパターン構成としては、ソース電極53と同一材料にて同層に形成される金属パターンよりなるソース配線44と、ソース配線44の下のほぼ全面に形成された半導体層3とからなり、更に、ソース配線44と半導体層3との間には、其々オーミックコンタクト膜4が形成され、ソース配線44、オーミックコンタクト膜4、及び半導体層3上に、第1の透明導電膜パターン6がソース配線44のパターン内より食み出すことによりソース配線44のパターン端面を覆い形成されている。図4の断面図では、ソース配線44の一方の端面(図3、図4中の左側の端面)しか図示されないが、他方の端面についても、同様の第1の透明導電膜パターン6がソース配線44のパターン内より食み出し、ソース配線44のパターン端面を覆う構成を有している。以上の説明を行ったソース配線44と、ソース配線44と重複して配置される半導体層3と、第1の透明導電膜パターン6との層構成及びパターン端部の位置関係は表示領域41の最外周の画素50とその周辺部を除いて共通する構成となっており、繰り返し配列して設けられていることから、配列配線パターン59aと呼ぶことにする。
【0026】
この様に、本実施の形態1では、第2の導電膜5からなるソース電極53、ドレイン電極54及びソース配線44の上には、第1の透明導電膜パターン6が積層形成される構成となっている。ここでは、第1の透明導電膜パターン6が第2の導電膜5で形成されたパターンのうち、TFT51のチャネル領域を除く全ての領域を完全に覆うように形成されている。これにより、表示信号を各画素50に供給するためのソース配線44を第2の導電膜5と第1の透明導電膜パターン6の2層の積層構造とすることができる。従ってソース配線44の断線の発生を抑制する効果がある。即ち、ソース配線44上に積層された第1の透明導電膜パターン6は、ソース配線44下の半導体層3と同様、ソース配線44の冗長配線として利用することができる。その為、ソース配線44が断線した様な場合でも表示信号の途絶を防止することが可能である。
【0027】
画素電極55及び第1の透明導電膜パターン6を覆う上層絶縁膜として第2の絶縁膜9が設けられている。第2の絶縁膜9はTFT51を覆っており、TFT51の保護膜として機能している。第2の絶縁膜は窒化シリコン、酸化シリコンなどの絶縁膜、塗布型の(塗布により形成される)絶縁膜、またはそれらの積層膜により形成されている。そして、本実施の形態1では第2の絶縁膜9の上に対向電極56が形成されている。対向電極56は、第2の絶縁膜9を介して画素電極55の対面に配設され、画素電極55との間にフリンジ電界を発生させるためのスリットが設けられている。このスリットは、図3に示す様にソース配線44とほぼ平行に複数設けられている。スリットは、例えばゲート配線43と交差する方向に直線状に設けられている。逆に、スリット間には、複数本、ほぼ平行に櫛歯状電極が形成されることになり、この櫛歯状電極によって対向電極56が構成されているとも言える。以上の画素電極55と対向電極56の構成により、フリンジ電界を発生させ液晶を駆動することにより、FFSモードの液晶表示装置を構成することができる。
【0028】
なお、対向電極56と画素電極55は第2の絶縁膜9により絶縁されていることから、第2の絶縁膜9は、層間絶縁膜としても機能している。更に対向電極56は、第2の絶縁膜9及び第1の絶縁膜8を貫通する開口部であるコンタクトホールCH1を介して共通配線52と電気的に接続されている。また、対向電極56は、ゲート配線43を挟んで隣接する画素50の対向電極56に繋がるように一体的に形成されている。具体的には、ゲート配線43を挟んで隣接する画素50の対向電極56同士を対向電極連結部57により連結している。ここでは、対向電極56の対向電極連結部57はソース配線44またはTFT51と重複しない領域のゲート配線43を跨ぐように形成されている。即ち、対向電極56はゲート配線43の少なくとも一部において重なり合うように形成されている。対向電極56及び対向電極連結部57は、ITOなどの透明導電膜によって一体に形成されている透明導電膜パターンである。
【0029】
続いて、本実施の形態1に係る液晶表示装置の配線変換部45の構成について、図5及び図6を用いて説明する。図5は実施の形態1に係るTFTアレイ基板100の額縁領域42に配置された配線変換部45を示した平面図、図6(a)は図5のB1−B2断面線における断面図、図6(b)は図5のC1−C2断面線における断面図を其々示したものである。図5に示す様に、点線で区分けされた領域において、上側が額縁領域42、下側が表示領域41となる。先に説明を行った表示信号駆動回路46b、外部配線49bなどに接続される引き出し配線47b1が額縁領域42上側よりゲート配線43と同一材料により同層に形成された第1の導電膜2により配線変換部45まで引き込まれており、表示領域41におけるソース配線44の延在部分が表示領域41下側よりソース配線44と同じ層構成の積層パターンにより配線変換部45まで引き込まれている。
【0030】
先ず、ソース配線44の延在部分の具体的な層構成について、図5の平面図及びB1−B2断面線での断面図である図6(a)を用いて説明を行う。図6(a)に示される様に、基板1の上に第1の絶縁膜8が設けられている。なお、第1の絶縁膜8は窒化シリコンなどの絶縁膜により表示領域41におけるTFT51のゲート絶縁膜と共通して形成されていることから、本明細書中では、額縁領域42に形成される第1の絶縁膜8についても、区別すること無く、ゲート絶縁膜と同一の絶縁膜として解釈し、ゲート絶縁膜と呼ぶ場合もある。また、第1の絶縁膜8の上層には、表示領域41におけるTFT51に用いられる半導体膜3及びオーミックコンタクト膜4と同一材料により同層に形成された半導体膜3及びオーミックコンタクト膜4の積層膜と、更にオーミックコンタクト膜4の上層には第2の導電膜5がオーミックコンタクト膜4に直接接触するように形成されている。第2の導電膜5についても、表示領域41のTFT51におけるソース電極53、ドレイン電極54、及びソース配線44を構成する第2の導電膜5と同一材料により同層に形成された金属パターンである。また、第2の導電膜5はオーミックコンタクト膜4に重複するように配置されており、第2の導電膜5のパターン端部はオーミックコンタクト膜4のパターン端部とほぼ同じ位置に配置されるように重複配置されている。従って、図5の平面図では半導体膜3及びオーミックコンタクト膜4のパターン外形は第2の導電膜5のパターン外形に重ねて示している。
【0031】
更に第2の導電膜5の上層には第1の透明導電膜パターン6が第2の導電膜5に直接接触するように形成されている。第1の透明導電膜パターン6については、表示領域41の画素電極55を構成する透明導電膜パターンと同一材料により同層に形成されている。また、図6(a)の断面図に示されるとおり、第1の透明導電膜パターン6の両側の端面は第2の導電膜5のパターンの両側の端面よりも内側に後退している。つまり、図5の平面図より判るとおり、第1の透明導電膜パターン6の端面は第2の導電膜5のパターンの端面より内側に配置され、第2の導電膜5のパターンの内側に沿って、第2の導電膜5のパターンよりも若干幅の狭い第1の透明導電膜パターン6が重複配置されている。また、図6(a)の断面図から明らかな様に、半導体層3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5のパターン端面は、第1の透明導電膜パターン6に覆われていない。逆に第1の透明導電膜パターン6は、半導体層3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5のパターン端面を覆うことなく形成されている。更に第1の透明導電膜パターン6の上層には第2の絶縁膜9が形成されている。第2の絶縁膜9は、半導体膜3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5及び第1の透明導電膜パターン6上を含む第1の絶縁膜8或いはTFT51のゲート絶縁膜上を覆うように形成されており、半導体膜3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5及び第1の透明導電膜パターン6の端面を直接覆って形成されている。
【0032】
続いて、ソース配線44の延在部分より引き出し配線47b1に配線間を二つのコンタクトホールを介して接続し変換する構造の具体的な層構成について、図5の平面図及びC1−C2断面線での断面図である図6(b)を用いて説明を行う。配線変換部45のC1−C2断面部では、図6(b)に示すとおり、基板1の上に表示領域41のTFT51におけるゲート電極及びゲート配線43と同一材料により同層で形成された第1の導電膜2が額縁領域42から延在して形成されている。第1の導電膜2を覆うように、B1−B2断面部と共通の第1の絶縁膜8が設けられている。第1の絶縁膜8の上層には、B1−B2断面部と共通の層構造で半導体膜3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5、及び第1の透明導電膜パターン6が形成されている。より具体的には、図6(b)の断面図に示されるとおり、第1の透明導電膜パターン6の端面は第2の導電膜5のパターンの端面よりも内側に後退している。つまり、図5の平面図より判るとおり、第1の透明導電膜パターン6の端面は第2の導電膜5のパターンの端面より内側に配置され、第2の導電膜5のパターンの内側に沿って、若干狭い領域の第1の透明導電膜パターン6が重複配置されている。先に説明を行ったB1−B2断面部も含め、言い換えると、配線変換部45において、第1の透明導電膜パターン6は、第2の導電膜5のパターン内に上面視で内包されて形成されている。つまり、第1の透明導電膜パターン6が第2の導電膜5のパターン内に上面視で内包される構造から明らかな様に、第1の透明導電膜パターン6は、半導体層3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5のパターン端面を覆うことなく形成されている。
【0033】
更にB1−B2断面部と同様に半導体膜3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5及び第1の透明導電膜パターン6上を含む第1の絶縁膜8或いはTFT51のゲート絶縁膜上を覆うように第2の絶縁膜9が形成されており、半導体膜3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5及び第1の透明導電膜パターン6の端面を直接覆って形成されている。一方、C1−C2断面部では、第2の絶縁膜9の一部には第1の透明導電膜パターン6上における第2の絶縁膜9を開口して形成され第1の透明導電膜パターン6を露出する開口部であるコンタクトホールCH2が形成されており、第2の絶縁膜9の一部と第1の絶縁膜8の一部には、第1の導電膜2上における第1の絶縁膜8と第2の絶縁膜9を貫通して開口して形成され第1の導電膜2を露出する開口部であるコンタクトホールCH3が形成されている。更に、第1の透明導電膜パターン6よりも上層に設けられた別の透明導電膜よりなる上層透明導電膜パターンである第2の透明導電膜パターン7がコンタクトホールCH2内、コンタクトホールCH3内、及び第2の導電膜5を覆い、コンタクトホールCH2内とコンタクトホールCH3間を跨ぐようなパターンで形成されている。第2の透明導電膜パターン7は、コンタクトホールCH2を介して第1の透明導電膜パターン6及び第2の導電膜5と、コンタクトホールCH3を介して第1の導電膜2に電気的に接続されている。その結果、第1の導電膜2と第2の導電膜5は第2の透明導電膜パターン7を介して電気的に接続されている。なお、第2の透明導電膜パターン7については、表示領域41の対向電極56を構成する透明導電膜パターンと同一材料により同層に形成されている。
【0034】
また、第2の透明導電膜パターン7は、コンタクトホールCH2内から、第2の絶縁膜9上における上面視で第2の導電膜5のパターンよりも外側まで覆うように形成されている。従って、第2の透明導電膜パターン7のパターン端部が第2の導電膜5のパターン端部より外側に形成されているので、配線変換部45が外気に曝された場合においても、第2の絶縁膜9及び第2の透明導電膜パターン7により第2の導電膜5は保護されることから、第2の導電膜5の腐食を低減することができる。特に第2の導電膜5のパターン端面は、第1の透明導電膜パターン6により覆われずに形成され保護されていないことから、第2の透明導電膜パターン7は、少なくとも第1の透明導電膜パターン6により覆われずに形成される第2の導電膜5のパターン端面については覆い形成することが好ましい。図5で示した本実施の形態1における配線変換部45においては、第2の透明導電膜パターン7は配線変換部45においてのみ、第2の導電膜5のパターン端面を覆うようにしたが、B1−B2断面部、更にソース配線44部まで、或いは、少なくとも外気に曝される場合が多い額縁領域42の範囲内までは、第1の透明導電膜パターン6により覆われずに形成される第2の導電膜5のパターン端面について覆い形成しても良く、腐食低減の観点からは好ましい。また、第2の透明導電膜パターン7は第2の導電膜5を覆うように形成したが、更に第1の導電膜2についても覆う形状としてもよい。第1の導電膜2を覆うようにすることで、第1の絶縁膜8、第2の絶縁膜9及び第2の透明導電膜パターン7により第1の導電膜2は保護されるので、第1の導電膜2の腐食も低減することができる。なお、配線間マージン設計の関係で、部分的な場合も含め、第2の導電膜5を第2の透明導電膜パターン7で覆うことができない場合は、少なくとも外気に曝される場合が多い額縁領域42の範囲内においては、適宜、耐湿性膜の塗布などの他の手段にて腐食防止対策を組合せて行うことが望ましい。
【0035】
なお、本実施の形態1における第1の透明導電膜パターン6と第2の透明導電膜パターン7の二層の透明導電膜パターンを備える配線変換部45の構成は、本実施の形態1の液晶表示装置が二層の透明導電膜パターンより構成される画素電極55と対向電極56を備えたFFSモードの液晶表示装置であることから、第1の透明導電膜パターン6と画素電極55とを同一材料により同層に、第2の透明導電膜パターン7と対向電極56とを同一材料により同層に其々構成することができ、透明導電膜の形成工程及び透明導電膜の微細加工工程を増やすことなく配線変換部45の構成を得ることができる。
【0036】
また、以上説明した第1の透明導電膜パターン6は、第2の導電膜5のパターン内に上面視で内包される構造を取ることにより、特に第2の導電膜5のパターン端面を覆うことなく形成される配線変換部45の構造とすることで、第1の透明導電膜パターン6の下層に形成されている半導体膜3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5の効果、特にTFT51のゲート絶縁膜でもある第1の絶縁膜8と第2の絶縁膜9に挟まれる配線変換部45の端部において第1の透明導電膜パターン6のパターン端部が第1の絶縁膜8と接することなく形成される効果により、第2の絶縁膜9を形成した後に第1の透明導電膜パターン6のパターン端部に応力が集中することを回避できる。従って、第2の絶縁膜9に剥がれを生じ難く、第2の絶縁膜9が剥離する膜浮きなどによる歩留り低下を防止或いは改善することができる。更に第2の絶縁膜9の成膜条件などについて、第1の透明導電膜パターン6の透過率が向上する成膜条件、或いは第2の絶縁膜9を開口時に第1の透明導電膜パターン6表面での良好なコンタクト端面形状を形成できる成膜条件など、膜浮き発生を助長する条件も含めて任意に選択することが可能となり、デバイスの作成マージンの向上と膜浮きなどによる歩留り低下の抑制を両立することができる。
【0037】
なお、以上の説明では配線変換部45を例にとって説明を行ったが、額縁領域42において配線変換部45と類似する構造を持つ部分として外部接続端子が挙げられる。外部接続端子の構造に本発明を用いても配線変換部45と同様に好適な効果が得られる。以下、図7及び図8を用い、本実施の形態1の液晶表示装置における外部接続端子に本発明を用いた場合について配線変換部45との相違点を中心として説明する。図7及び図8は実施の形態1に係るTFTアレイ基板100の額縁領域42に配置された外部接続端子を示した図であり、図7は外部接続端子までゲート配線43と同一材料により同層に形成された第1の導電膜2により引き込まれた外部接続端子構成、図8は外部接続端子までソース配線44と同じ層構成の積層パターンにより引き込まれた外部接続端子構成を其々示したものである。図7(a)、図8(a)は其々の外部接続端子近傍を平面図にて示したもので、図7(b)は。図7(a)のD1−D2断面線における断面図、図8(b)は図8(a)のE1−E2断面線における断面図を其々示したものである。
【0038】
先ず、図7(a)及び図7(b)に示すとおり、外部接続端子まで引き込まれたゲート配線43と同一材料により同層に形成された第1の導電膜2が配線変換部45と同様に基板1上に設けられている。その他の構成は図6(b)の断面図とほぼ同じ構成であり、詳細な説明は省略するが、図7の外部接続端子の構成においては、第1の透明導電膜パターン6上に形成されたコンタクトホールCH2内、第1の導電膜2上に形成させたコンタクトホールCH3内、及び第2の導電膜5を覆い、コンタクトホールCH2内とコンタクトホールCH3間を跨ぐようなパターンで形成される第2の透明導電膜パターン7は第1の導電膜2と第2の導電膜5を電気的に接続する役割は重要ではなく、主な役割としては、コンタクトホールCH3を介して第1の導電膜2と電気的に接続されて端子電極として機能する点が配線変換部45と異なる。然しながら、層構成はほぼ同じであり、平面構造についても、第1の透明導電膜パターン6は、第2の導電膜5のパターン内に上面視で内包される構造を取ることにより、半導体層3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5のパターン端面を覆うことなく形成される同様の構造を有している。従って、配線変換部45と同様の第2の絶縁膜9が剥離する膜浮きなどによる歩留り低下を防止或いは改善する効果が得られる。また、第2の透明導電膜パターン7は、コンタクトホールCH2内から、第2の絶縁膜9上における上面視で第2の導電膜5のパターンよりも外側まで覆うように形成されている。従って、配線変換部45と同様の腐食低減効果が得られる。特にこの図7の外部接続端子の構造の場合、第2の導電膜5のパターンは外部接続端子のみに形成され、第2の透明導電膜パターン7は第2の導電膜5のパターンの全ての端面よりも外側まで覆うように形成されていることから、図5の配線変換部45よりも高い腐食低減効果が得られる。
【0039】
また、図8(a)及び図8(b)に示すとおり、外部接続端子まで引き込まれたソース配線44と同じ層構成の積層パターンが配線変換部45と同様に基板1上に設けられている。具体的には、配線変換部45における図6(a)の断面図と同じく、基板1の上に第1の絶縁膜8が設けられ、更に半導体膜3、オーミックコンタクト膜4、及び第2の導電膜5が順に積層された積層膜が形成され、第2の導電膜5はオーミックコンタクト膜4に重複するように配置されている。なお、第2の導電膜5のパターン端部はオーミックコンタクト膜4のパターン端部とほぼ同じ位置に配置されるように重複配置されている。更に第2の導電膜5の上層には第1の透明導電膜パターン6が第2の導電膜5に直接接触するように形成され、第1の透明導電膜パターン6の端面は第2の導電膜5のパターンの端面より内側に配置され、第2の導電膜5のパターンの内側に沿って、第2の導電膜5のパターンよりも若干幅の狭い第1の透明導電膜パターン6が重複配置されている。更に半導体膜3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5及び第1の透明導電膜パターン6上を含む第1の絶縁膜8或いはTFT51のゲート絶縁膜上を覆うように第2の絶縁膜9が形成されており、半導体膜3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5及び第1の透明導電膜パターン6の端面を直接覆って形成されている。また、図8の構成においても、図7の構成と同様に第2の絶縁膜9の一部には第1の透明導電膜パターン6上における第2の絶縁膜9を開口して形成され第1の透明導電膜パターン6を露出する開口部であるコンタクトホールCH2が形成されており、第2の透明導電膜パターン7が、コンタクトホールCH2内から、第2の絶縁膜9上における上面視で第2の導電膜5のパターンよりも外側まで覆うように形成されている。
【0040】
従って、図8の外部接続端子の構成においても、第1の透明導電膜パターン6は、第2の導電膜5のパターン内に上面視で内包される構造を取ることにより、半導体層3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5のパターン端面を覆うことなく形成されており、配線変換部45と同様の構造を有している。従って、配線変換部45と同様に額縁領域42のパターン密度が比較的疎な領域に配置されることから発生し易い第2の絶縁膜9が剥離する膜浮きに対して、配線変換部45と同様の構成により膜浮きなどによる歩留り低下を防止或いは改善する効果が得られる。また、第2の透明導電膜パターン7は、コンタクトホールCH2内から、第2の絶縁膜9上における上面視で第2の導電膜5のパターンよりも外側まで覆うように形成されている。従って、配線変換部45と同様の腐食低減効果が得られる。更に、図7と図8の外部接続端子の構成の共通の効果として、配線変換部45と同様に第1の透明導電膜パターン6と第2の透明導電膜パターン7の二層の透明導電膜パターンを備える外部接続端子の構成は、FFSモードの液晶表示装置において形成されることで、透明導電膜の形成工程及び透明導電膜の微細加工工程を増やすことなく得ることができる。
【0041】
なお、以上の説明では、配線変換部45及び外部接続端子における第2の導電膜5とその上に設けた第1の透明導電膜パターン6のパターン位置関係について述べたが、TFTアレイ基板100の額縁領域42における配線、或いは表示領域41の最外周の画素50とその周辺部における配線においても、額縁領域42に形成されており、表示領域41内の構造とは異なり配線間或いは最外周の画素50よりも更に外側には画素電極55が配置されないなど、パターン密度が比較的疎な領域であることから、外部接続端子や配線変換部45と同様に第2の絶縁膜9が剥離する膜浮きが発生し易い。従って、これら、額縁領域42における配線、或いは表示領域41の最外周の画素50とその周辺部における配線においても、第2の導電膜5とその上に設けた第1の透明導電膜パターン6のパターン位置関係を外部接続端子や配線変換部45と同様にすることで膜浮きを抑制することができる。続いて、本実施の形態1に係る液晶表示装置の表示領域41の特に最外周の画素50とその周辺部の詳細構成について図9、図10及び図11を用いて説明する。図9及び図10は実施の形態1に係る液晶表示装置の表示領域41の最外周の画素50とその周辺部を示した平面図、図11(a)は図9のF1−F2断面線における断面図、図11(b)は図10のG1−G2断面線における断面図を其々示したものである。
【0042】
図9は、図中に表示領域41中央部の方向を右下方向に矢印で示したとおり、表示領域41の特に中央部に対して左上側角部における最外周の画素50とその周辺部を示したものであり、図10は、図中に表示領域41中央部の方向を左上方向に矢印で示したとおり、表示領域41の特に中央部に対して右下側角部における最外周の画素50とその周辺部を其々示したものである。ここでは、特に、図9及び図10において、先に図3を用い説明を行った表示領域41の中央部近傍の画素構成と異なる部分を中心に説明を行う。
【0043】
先ず、図9の平面図及び図11(a)の断面図において、図3と異なる部分について説明する。先ず、図9において、表示領域41最外周の画素50における特に表示領域41最外周に形成されるソース配線44を構成するパターン構成を先に説明を行った最外周の画素50とその周辺部を除く領域でのパターン構成である配列配線パターン59aと区別して、最外配線パターン59bと呼ぶことにする。この最外配線パターン59bにおいては、図11(a)の断面図に示す様に、少なくとも第1の透明導電膜パターン6の表示領域外側でのパターン端面は、ソース配線44を構成する第2の導電膜5のパターン端部より食み出すことなく内側に形成されている。即ち、半導体層3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5の少なくとも表示領域外側でのパターン端面は、第1の透明導電膜パターン6に覆われていない。逆に第2の導電膜5の表示領域41の中央部側でのパターン端面については、隣接する配列配線パターン59aのパターン端面の構成と同様に第1の透明導電膜パターン6が第2の導電膜5のパターン内より食み出すことにより第2の導電膜5のパターン端面を覆い形成されている。
【0044】
また、図9、図10の平面図に示される表示領域41におけるソース配線44が額縁領域42へ延在されるソース配線延在部44exにおいては、配線変換部45におけるB1−B2断面である図6(a)と同様の構成とすると良い。つまり、ソース配線延在部44exを構成する第2の導電膜5のパターン上に第1の透明導電膜パターン6が直接接触するように形成され、更に第1の透明導電膜パターン6の端面は、第2の導電膜5のパターンの端面より内側に配置され、第2の導電膜5のパターンの内側に沿って、若干狭い領域の第1の透明導電膜パターン6が重複配置される。言い換えると、第1の透明導電膜パターン6は、第2の導電膜5のパターン内に上面視で内包されて形成される。その結果、第1の透明導電膜パターン6は、半導体層3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5のパターン端面を覆うことなく形成される。
【0045】
また、ソース配線44と垂直な方向の表示領域外縁の画素50の外側端辺については、通常は、第2の導電膜5のパターン端部より食み出して形成される第1の透明導電膜パターン6(具体的には画素電極55)の端面近傍にパターンなどが配置されないことから、透明導電膜パターン6の端面近傍において、第2の絶縁膜9の剥がれによる膜浮きを発生することが懸念される。従って、図9に示す様に、ソース配線44と垂直な方向の表示領域外縁の画素50の外側端辺に沿って、表示領域41最外周に形成されるソース配線44を構成する最外配線パターン59bと同じ層構成を有するパターンによりダミーパターン58aを配置する。この補助パターンであるダミーパターン58aにより、第2の絶縁膜9の密着力を補強することで、第2の絶縁膜9の剥がれによる膜浮きの発生を防止或いは抑制することができる。このダミーパターン58aは、最外配線パターン59bと同じ層構成により形成されることから、ダミーパターン58aよりも更に外側では、第2の絶縁膜9の剥がれによる膜浮きを発生することは無い。具体的には、本実施の形態1においては、ダミーパターン58aは、図9の表示領域41の特に中央部に対して左上側角部ではソース配線44より分岐して形成した。更に同様のダミーパターン58aの構成を表示領域上側外縁の画素50の全てに配置した。また、図10の表示領域41の特に中央部に対して右下側角部では、ソース配線44間に、ソース配線44から孤立したパターンにより最外配線パターン59bと同じ層構成、即ち、ダミーパターン58aと同じ層構成を備えたダミーパターン58bを配置した。こちらについても、同様のダミーパターン58bの構成を表示領域下側外縁の画素50の全てに配置した。なお、表示領域上側と下側でソース配線44より分岐するパターンによるダミーパターン58aの構成とソース配線44から孤立したパターンによるダミーパターン58bの構成とを逆にしても良いし、何れかの構成に統一しても構わない。
【0046】
また、図10に示す様に表示領域外縁の画素50のソース配線44に面しない側には、ダミーパターン58cが形成されている。ダミーパターン58cでは、図11(b)の断面図に示す様に、最外配線パターン59bと同様の構成となっている。具体的には、少なくとも第1の透明導電膜パターン6の表示領域外側でのパターン端面は、ソース配線44を構成する第2の導電膜5のパターン端部より食み出すことなく内側に形成されている。即ち、半導体層3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5の少なくとも表示領域外側でのパターン端面は、第1の透明導電膜パターン6に覆われていない。逆に第2の導電膜5の表示領域41の中央部側でのパターン端面については、隣接する配列配線パターン59aのパターン端面の構成と同様に第1の透明導電膜パターン6が第2の導電膜5のパターン内より食み出すことにより第2の導電膜5のパターン端面を覆い形成されている。
【0047】
この様に、表示領域外縁に表示領域41の内側の繰り返し部分とは異なる構造のソース配線延在部44exの構造、最外配線パターン59bの構造、或いは近傍に第2の絶縁膜9の密着力を補強する補助パターンとなるダミーパターン58a〜58cの構造を形成した構成を採用すること、具体的には、TFTアレイ基板100の表示領域41の最外周の画素50とその周辺部における配線やパターンなどにおいて第2の導電膜5とその上に設けた第1の透明導電膜パターン6のパターン位置関係を先に説明を行った配線変換部45と同様の構造とすることで、配線変換部45近傍における膜浮き抑制効果と同様の効果が得られる。従って、表示領域外縁の画素50の第2の導電膜5のパターン端部より食み出して形成される第1の透明導電膜パターン6の構造となる画素電極55或いはソース配線、ソース配線延在部などを構成する第2の導電膜5のパターン端部にて第2の絶縁膜9の膜浮きが発生することを抑制でき、膜浮きによる異物が表示領域に付着し表示不良による歩留り低下が発生することを低減できる。なお、上記効果については、第2の導電膜5のパターン内より少なくとも一部において上面視で食み出して形成され、第2の導電膜5のパターン端面を覆い形成された第1の透明導電膜パターン6が配列する場合に、最外周の第1の透明導電膜パターン6の近傍、特に第2の導電膜5より食み出して形成されるパターン端面側で発生する可能性の高い膜浮きを防止するものであることから、最外周の第1の透明導電膜パターン6の近傍、特に第2の導電膜5より食み出して形成されるパターン端面側にダミーパターン58a〜58cの構造を配置すれば得ることができる。更に、ダミーパターン58a〜58cや最外配線パターン59bの構造については、少なくとも、表示領域外側、即ち、配列して形成され第2の導電膜5パターン端面を覆い形成される第1の透明導電膜パターン6に近接する側と反対側でのパターン端面において、ダミーパターン58a〜58cや最外配線パターン59bを構成する第1の透明導電膜パターン6が第2の導電膜5のパターン端面を覆うことなく形成されれば、更にその外側で膜浮きを発生することがないことから好ましい。逆に、配列して形成される第1の透明導電膜パターン6に近接する側の構成は第2の導電膜5のパターン端面を覆っていても覆わなくとも何れでも良く、特に近接距離が近い場合には上記説明の効果については大差がない。
【0048】
なお、本実施の形態1でのダミーパターン58a〜58cは半導体層3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5、第1の透明導電膜パターン6の積層膜にて形成されているが、第2の導電膜5のパターン端部より食み出して形成される第1の透明導電膜パターン6の端面近傍に配置され、剥がれを生ずる第2の絶縁膜9より下層に形成されて、第2の絶縁膜9の接する第1の絶縁膜8表面に凹凸面を形成することができれば、ある程度の第2の絶縁膜9の密着力を補強する効果が得られる。従って、ダミーパターン58a〜58cは上層絶縁膜である第2の絶縁膜9より下層に形成された単層膜、または積層膜で形成してもよい。何れにしても、ダミーパターン58a〜58cは薄膜トランジスタを構成する膜と同一材料により同層に形成することで、別途、成膜工程や膜を加工するフォトリソグラフィー工程を増加することなく、ダミーパターン58a〜58cを形成することができ、製造コスト増加を防止する効果が得られる。
【0049】
続いて、本実施の形態1における液晶表示装置の製造方法について、図13及び図14を用いて説明する。図13(a)〜図13(c)及び図14(a)〜図14(c)は、実施の形態1に係るTFTアレイ基板100の製造工程を示した断面図である。
【0050】
先ず初めに、ガラスなどの透明な絶縁性材料よりなる基板1上全面に、Cr、Al、Ta、Ti、Mo、W、Ni、Cu、Au、Agやこれらを主成分とする合金膜、またはこれらの積層膜からなる第1の導電膜2を成膜する。例えば、スパッタ法や蒸着法などを用いて基板1全面に成膜する。その後、レジストを塗布して、塗布したレジストをフォトマスク上から露光し、レジストを感光させる。次に、感光させたレジストを現像して、レジストをパターニングし、レジストパターンを形成する。以後、これら一連の工程をフォトリソグラフィー工程と呼ぶ。その後、このレジストパターンをマスクとしてエッチングし、レジストパターンを除去する。以後、この様なフォトリソグラフィー工程からの一連の工程を微細加工工程と呼ぶ。これにより、図13(a)に示す様に、ゲート電極、ゲート配線43、共通配線52、及びゲート電極と同一材料により同層に形成された第1の導電膜2よりなる金属パターンがパターニングされる。この様に、フォトリソグラフィー工程、或いは微細加工工程によって、TFT51近傍となる表示領域41には、ゲート電極、ゲート配線43、及び共通配線52を、配線変換部45近傍を含む額縁領域42には、ゲート電極と同一材料により同層に形成された第1の導電膜2よりなる金属パターンを形成する。
【0051】
次に、ゲート電極、ゲート配線43、共通配線52、ゲート電極と同一材料により同層に形成された第1の導電膜2よりなる金属パターンを覆うように、ゲート絶縁膜となる第1の絶縁膜8、半導体層3、及びオーミックコンタクト膜4をこの順に成膜する。例えば、プラズマCVD、常圧CVD、減圧CVDなどを用いて、これらを基板1全面に成膜する。第1の絶縁膜8として、窒化シリコン、酸化シリコンなどを用いることができる。なお、第1の絶縁膜8は、ピンホールなどの膜欠損発生による短絡を防止するため、複数回に分けて成膜することが好ましい。半導体層3には、非晶質シリコン、多結晶ポリシリコンなどを用いることができる。また、オーミックコンタクト膜4には、リン(P)などの不純物を高濃度に添加したn型非晶質シリコンやn型多結晶シリコンなどを用いることができる。続いて、本実施の形態1では、成膜したオーミックコンタクト膜4の上に、Cr、Al、Ta、Ti、Mo、W、Ni、Cu、Au、Agやこれらを主成分とする合金膜、またはこれらの積層膜からなる第2の導電膜5を更に成膜する。例えば、スパッタ法や蒸着法などを用いて成膜する。
【0052】
その後、フォトリソグラフィー工程及び微細加工工程により、第2の導電膜5をパターニングする。これにより、表示領域41には、ソース配線44と、ソース配線44から分岐してTFT51の形成領域上へと延在する部分とが第2の導電膜5によって形成される。このソース配線44から分岐した部分は、ソース配線44のゲート配線43との交差部から分岐して画素50内へと延在するように形成され、後の工程で分離されるソース電極53及びドレイン電極54を含む形状となっている。即ち、この時点では、チャネル領域上に第2の導電膜5が残存しており、ソース電極53とドレイン電極54とがつながったパターンとなっている。即ち、第2の導電膜5をパターニングすると、TFT51のチャネル領域となる半導体層3上で連結した状態のソース電極53及びドレイン電極54と、このソース電極53に接続するソース配線44とが形成される。
【0053】
続いて、パターニングされた第2の導電膜5のパターンをマスクとして、もしくは第2の導電膜5をパターニングする際に使用したレジストパターンをマスクとして(つまり、第2の導電膜5をパターニングする際に使用したレジストパターンを残した状態で)、オーミックコンタクト膜4及び半導体層3をエッチングする。これにより、図13(b)に示す様に、第2の導電膜5に覆われていない部分のオーミックコンタクト膜4及び半導体層3が除去される。この様にして、オーミックコンタクト膜4及び半導体層3をパターニングすることによって、ソース配線44、オーミックコンタクト膜4及び半導体層3のパターニングを1回のフォトリソグラフィー工程で連続して行う。また、額縁領域42においては、第1の絶縁膜8の上層には、表示領域41と同一材料により同層に形成される半導体膜3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5よりなる積層パターンが、表示領域41における其々のパターンと同時形成される。また、この積層パターンは、最上層の第2の導電膜5を加工する共通のマスクにより順次エッチング加工されることから、其々のパターンが、概ね、最上層の第2の導電膜5と同じパターン形状に形成される。
【0054】
次に、図13(b)に示す状態で、ITOなどの透明導電膜をスパッタ法などにより基板1全面に成膜する。ここでは、例えば、一般的なITOを非結晶状態で形成した。そして、フォトリソグラフィー工程及び微細加工工程により、この透明導電膜をパターニングする。透明導電膜の加工には、非結晶状態のITOのエッチングに適当なシュウ酸系などの弱酸のエッチャントによるウエットエッチングを使用することができる。また、本実施の形態1では、図13(c)に示す様に、画素電極55の形成領域上と、TFT51のチャネル領域を除く第2の導電膜5パターン上とに、透明導電膜が残存するようにパターニングする。額縁領域42における第2の導電膜5パターン上にも同様に透明導電膜が残存するようにパターニングされる。これにより、ソース配線44上と、ソース配線44から分岐した部分のうちソース電極53となる領域上とに、第1の透明導電膜パターン6が形成される。また、ソース配線44から分岐した部分のうちドレイン電極54となる領域上に一部が重なるように、画素電極55が形成される。以上のとおり、共通の透明導電膜によって、即ち同一材料により同層に第1の透明導電膜パターン6及び画素電極55は形成される。なお、以上の工程の第1の透明導電膜パターン6及び画素電極55についての平面パターン配置、特にソース電極53及びドレイン電極54、その他、第2の導電膜5により構成される金属パターンとの平面パターン配置については、実施の形態1の構成において説明を行った平面パターンに形成する。
【0055】
続いて、フォトリソグラフィー工程及び微細加工工程により、チャネル領域上の第2の導電膜5及びオーミックコンタクト膜4を除去し、ソース電極53及びドレイン電極54間を分離する。先ず、図14(a)に示す様なチャネル領域上を開口するレジストパターンPR1をパターニング形成する。この様に形成されたレジストパターンPR1をマスクとして、チャネル領域上の第2の導電膜5とオーミックコンタクト膜4を順次エッチングする。具体的には、チャネル領域上における第2の導電膜5がエッチングにより除去され、ソース電極53とドレイン電極54とが分離される。更に、第2の導電膜5を除去することによって表面に露出したチャネル領域上のオーミックコンタクト膜4をエッチングにより除去する。これにより、図14(a)に示す様に、TFT51のチャネル領域となる半導体層3が露出し、TFT51部分におけるオーミックコンタクト膜4もソース電極53及びドレイン電極54の下部のみに配置されるよう分離される。なお、上記説明の製造工程では、第2の導電膜5のパターンの形成と、オーミックコンタクト膜4及び半導体層3のパターンの形成を共通のレジストパターンにより行い、その後、第1の透明導電膜パターン6及び画素電極55のパターニングと、チャネル領域上の第2の導電膜5及びオーミックコンタクト膜4を除去するパターニングを順次行う様にしたが、オーミックコンタクト膜4及び半導体層3のパターンを形成するパターニングと、第2の導電膜5のパターンを形成するパターニングは別のパターニング、即ち、別のフォトリソグラフィー工程により行っても良い。その場合には、オーミックコンタクト膜4及び半導体層3のパターンはTFT51の形成領域のみに形成しても良く、ソース配線44を構成する第2の導電膜5の下部を初めとして、配線変換部45及び外部接続端子における第2の導電膜5の下部、ソース配線延在部44exの構造、最外配線パターン59bの構造、或いは近傍に第2の絶縁膜9の密着力を補強する補助パターンとなるダミーパターン58a〜58cの構造における第2の導電膜5の下部において配置されていたオーミックコンタクト膜4及び半導体層3のパターンは省略される。また、第2の導電膜5のパターニングの際に初めからソース電極53及びドレイン電極54を分離して形成しておくことにより、図14(a)に示す様なチャネル領域上を開口するレジストパターンPR1の形成は省略できる。その場合には、第2の導電膜5のパターニングに続いて、実施の形態1と同様の平面パターンに形成する第1の透明導電膜パターン6及び画素電極55のパターニングを行うことにより、このチャネル領域上が開口されている第1の透明導電膜パターン6及び画素電極55を形成するレジストを利用して、チャネル領域上のオーミックコンタクト膜4を除去すると良い。
【0056】
続いて、図14(a)に示す状態より、レジストパターンPR1を除去した後、これらの上から、画素電極55及び第1の透明導電膜パターン6を覆う上層絶縁膜、或いは更に上層に形成される電極との間の層間絶縁膜となる第2の絶縁膜9を成膜する。例えば、第2の絶縁膜9として窒化シリコン、酸化シリコンなどの無機絶縁膜を、CVD法などを用いて基板1全面に成膜する。これにより、図14(b)に示す様に、画素電極55及び第1の透明導電膜パターン6が第2の絶縁膜9に覆われる。また、半導体層3のチャネル領域が第2の絶縁膜9に覆われる。なお、第2の絶縁膜9は、窒化シリコン、酸化シリコンなどの無機絶縁膜の上に更に塗布型の(塗布により形成される)絶縁膜などを形成し、積層膜としても良い。本実施の形態1においては、第2の絶縁膜9を形成する前に、第2の絶縁膜9の剥がれ或いは膜浮きを防止するのに最適化された第1の透明導電膜パターン6及び画素電極55についての平面パターン配置、特にソース電極53及びドレイン電極54、その他、第2の導電膜5により構成される金属パターンとの平面パターン配置を採用して形成されている。従って、第2の絶縁膜9の成膜条件について、第1の透明導電膜パターン6の透過率が向上する成膜条件、或いは第2の絶縁膜9を開口時に第1の透明導電膜パターン6表面での良好なコンタクト端面形状を形成できる成膜条件など、膜浮き発生を助長する条件も含めて任意に選択しても良く、其々の条件における膜浮き発生頻度を低減することができる。また、第1の透明導電膜パターン6の形成条件自体も、透過率が向上する成膜条件を採用することで第2の絶縁膜9の膜浮き発生を助長する場合があるが、同様に、上記説明の構造を採用することで、第1の透明導電膜パターン6の形成条件自体に透過率が向上する成膜条件を採用した場合にも膜浮き発生頻度を低減することができる。なお、上記説明の第1の透明導電膜パターン6の透過率が向上する第2の絶縁膜9の成膜条件としては、成膜時の材料ガス中の酸素含有量の高い成膜条件、より具体的には、酸化シリコン膜を形成する成膜条件、酸素を含む窒化シリコン膜を形成する成膜条件などが挙げられる。一方、第2の絶縁膜9を開口時に第1の透明導電膜パターン6表面での良好なコンタクト端面形状を形成できる第2の絶縁膜9の成膜条件としては、窒化シリコン膜の成膜時の材料ガス中に窒素含有量の高い成膜条件、より具体的には、成膜時の材料ガス中において、窒素ガス或いはアンモニアガスの分圧比が、シリコンを含むガス(シランガス、ジシランガス、TEOSガスなど)に対して2以上である成膜条件が挙げられる。更に、第1の透明導電膜パターン6の透過率が向上する透明導電膜パターン6を構成するITOなどの透明導電膜の成膜条件としては、スパッタ法などによる成膜時に酸素濃度が高い条件を選択することが挙げられる。以上説明の第2の絶縁膜9或いは透明導電膜パターン6の成膜条件を用途に応じて使い分ければ良い。
【0057】
続いて、フォトリソグラフィー工程及び微細加工工程により、第2の絶縁膜9及び第1の絶縁膜8にコンタクトホールCH1〜CH3を形成する。これにより、図14(c)に示す様に、表示領域41においては、共通配線52に到達するコンタクトホールCH1が形成され、共通配線52が一部露出する。また、額縁領域42においては、半導体膜3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5、更に第1の透明導電膜パターン6よりなる積層パターンにおける第1の透明導電膜パターン6に到達するコンタクトホールCH2が第2の絶縁膜9に形成され、第1の導電膜2よりなる金属パターン上に到達するコンタクトホールCH3が第2の絶縁膜9及び第1の絶縁膜8に形成される。
【0058】
次に、第2の絶縁膜9の上に、ITOなどの透明導電膜をスパッタ法などにより基板1全面に成膜する。そして、フォトリソグラフィー工程及び微細加工工程により、この透明導電膜をパターニングする。これにより、第2の絶縁膜9を介して画素電極55の対面に、スリットを有する対向電極56が、コンタクトホールCH1を介して共通配線52と接続するように形成される。なお、額縁領域42では、先に形成したコンタクトホールCH2及びコンタクトホールCH3を介して、第1の導電膜2よりなる金属パターンと第1の透明導電膜パターン6を接続する第2の透明導電膜パターン7が、この対向電極56を形成する透明導電膜と同一材料により同層に同時形成される。なお、額縁領域42では、先に構成を説明した配線変換部45と外部接続端子は同時形成され、第2の透明導電膜パターン7は配線変換部45、外部接続端子の其々に形成される。配線変換部45、外部接続端子での第2の透明導電膜パターン7の平面パターンの形状については、図5、図7、及び図8で説明を行ったパターン形状とすれば良いことから、ここでは詳細な説明は省略する。以上の工程を経て、本実施の形態1のTFTアレイ基板100が完成する。
【0059】
この様に作製したTFTアレイ基板100の上に、その後のセル工程において配向膜を形成する。また、別途作製された対向基板の上に配向膜を同様に形成する。そして、この配向膜に対して、ラビングなどの手法を用いて、液晶との接触面に一方向にミクロな傷をつける配向処理を施す。次に、基板周縁部にシール材を塗布して、TFTアレイ基板100と対向基板とを、互いの配向膜が向き合うように所定の間隔で貼り合せる。TFTアレイ基板100と対向基板とを貼り合わせた後、真空注入法などを用い、液晶注入口から液晶を注入する。そして、液晶注入口を封止する。この様にして形成した液晶セルの両面に偏光板を貼り付けて、駆動回路を接続し液晶表示パネルを形成した後、液晶表示パネルの反視認側となるTFTアレイ基板100の裏面側に位相差板などの光学フィルムを介して、バックライトユニットを配設し、樹脂や金属などよりなるフレーム内に、液晶表示パネル及びこれら周辺部材を適宜収納し、本実施の形態1の液晶表示装置が完成する。
【0060】
以上説明のとおり、本実施の形態1の液晶表示装置においては、表示領域41より外側の額縁領域42などのパターン密度が比較的疎な領域、例えば外部接続端子や配線変換部45などにおいては、第1の透明導電膜パターン6が第2の導電膜5のパターン内に上面視で内包されることにより、第2の導電膜5のパターン端面を覆うことなく形成する構成を採用し、第2の絶縁膜9の膜浮きの発生を防止或いは抑制する対策を行った。また、第2の導電膜5のパターン端部より食み出して形成される第1の透明導電膜パターン6の構造となり、周辺近傍で膜浮きの発生が懸念される構成である表示領域41内の画素電極55に対して、表示領域41周辺部については、表示領域外縁に表示領域41の内側の繰り返し部分とは異なる構造のソース配線延在部44exの構造、最外配線パターン59bの構造、或いは近傍にダミーパターン58a〜58cの構造を形成した構成を採用することで対策を行った。然しながら、表示領域41の内側の繰り返し部分については、膜浮きの発生が懸念される画素電極55の周辺近傍に対して、特に対策を行なわなかった。これは、一般的な画素密度の液晶表示装置では、表示領域41の内側の繰り返し部分については、膜浮きの発生が起こり難いからである。この理由について説明を行う。図12は、図3で説明した表示領域41中央部における画素構成に対して、説明のため、画素電極55と、画素電極55に近接するパターンにおいて、特に、第2の絶縁膜9と第1の絶縁膜8との間に形成されるパターンについて斜線により網掛けして示したものである。これより、画素電極55と近接するパターン間の距離は、各四方向に凡そWa、Wb、Wc、Wdとなる。これらの距離は、表示領域41中央部においては各画素50について規則的に同じ距離で配置されることになる。更に一般的な画素密度の液晶表示装置では、Wb、Wdは画素電極55とソース配線44との距離に該当することから、10μm以下程度の非常に近い距離となる。また、Wa、Wcは、縦方向での隣接する画素電極55間の距離に該当することになるが、こちらも大きく見積っても2、30μm程度であり、やはり近い距離である。従って、これらの隣接パターンが画素電極55の周辺近傍における第2の絶縁膜9の密着力保持パターンとして機能し、画素電極55の周辺近傍において、第2の絶縁膜9が剥がれることが防止され膜浮きが発生することは無い。従って、結論として、一般的な画素密度の液晶表示装置では、表示領域41の内側の繰り返し部分については、特に対策を行う必要が無い。
【0061】
続いて、具体的に、どの程度の画素密度より表示領域41の内側の繰り返し部分についても対策が必要であるかについて、額縁領域42に配置されるパターンなどでの扱いも含めて説明を行う。図15及び図16は、例えば液晶表示装置におけるTFTアレイ基板上に配置される一般化した配線群を示したものである。ここでは、実施の形態1のTFTアレイ基板100における表示領域41と同様に比較的画素間のピッチが狭いものの場合に対して、本発明を適用した構成を示している。図15は平面図、図16は図15のH1−H2断面線における断面図を其々示したものである。図15及び図16において、ある一定のピッチ(或いはパターン間隔)で0番よりn+1番(nは所定の整数)まで配列する配線群の構成を示しており、実施の形態1のTFTアレイ基板100における表示領域41と同様に、周辺部を除く繰り返し配線について、配列配線パターン59a(1番〜n番に相当)とし、周辺部、即ち、配列の両端に位置する配線について、最外配線パターン59b(0番とn+1番に相当)とする。配列配線パターン59aについては、図15及び図16にも示される様に、実施の形態1における配列配線パターン59aとほぼ同様の構成となる。即ち、基板1の上に設けられた第1の絶縁膜8上に半導体膜3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5及び第1の透明導電膜パターン6の積層構造よりなるパターンであり、これら積層構造を覆う第1の透明導電膜パターン6が第2の導電膜5のパターン内より食み出すことにより第2の導電膜5のパターン端面を覆い形成される構成となっている。特に配列配線パターン59aの両側のパターン端面において同様の構造としている。また、最外配線パターン59bについては、基板1の上に設けられた第1の絶縁膜8上に半導体膜3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5及び第1の透明導電膜パターン6の積層構造よりなるパターンを有する点までは、配列配線パターン59aと同じであるが、これら積層構造を覆う第1の透明導電膜パターン6が、第2の導電膜5のパターンに対し、第2の導電膜5のパターン端部より食み出すことなく内側に形成される構成としている。なお、図15及び図16の最外配線パターン59bでは、最外配線パターン59bの両側において、第2の導電膜5のパターン端部より食み出すことなく内側に形成される構成を採用している。然しながら、実施の形態1の最外配線パターン59bでは表示領域41外側のみ上記構成を採用したのと同様に、配線パターン群に対して外側のみに上記構成を採用し、配線パターン群の中央方向のパターン端面については配列配線パターン59aと同様の構成であっても良い。
【0062】
ここで、配線パターン群の近接パターンの間隔として、図15において、配線パターン群の繰り返しピッチをW1、配線間隔をW2として図示している。このW1とW2の関係によっては、図15及び図16のように、配列配線パターン59aのみに膜浮き対策を行った構成を採用した場合では、膜浮き対策効果が充分では無くなる場合が発生する。具体的には、図17に、図15及び図16の構成を採用した場合において、W1とW2の関係(W2/W1の値)が変化した場合における膜浮きの発生頻度の依存性を示す。発生頻度については膜浮きを生ずる上層絶縁膜となる第2の絶縁膜9の成膜条件により絶対値が変動することから、グラフ縦軸については絶対値を記せず相対的な目安値で示している。図17に示すとおり、W2/W1の値が0.65より低い場合は配線パターン群の配列配線パターン59aのみに対策を行った図15及び図16の構成で、膜浮きの発生頻度を低く抑えることができているが、W2/W1の値が0.65以上となってくると、膜浮きの発生頻度が上昇し、膜浮きの頻発が発生する。これは、W2/W1の値が小さい場合には、個々の配列配線パターン59aに対して、隣接する配列配線パターン59aが、第2の絶縁膜9の密着力を補強する補助パターンとして機能し、配列配線パターン59aにおける第2の導電膜5パターン内より食み出して形成される第1の透明導電膜パターン6端部近傍で発生する第2の絶縁膜9の膜浮きを抑制することができるが、W2/W1の値が特定の値を超えると隣接する配列配線パターン59aでは、第2の絶縁膜9の密着力を補強する補助パターンとして充分な役割をすることができず、配列配線パターン59aの間にて、膜浮きを生ずるようになるからである。
【0063】
従って、W2/W1の値が0.65以上の場合には、配列配線パターン59aの構成についても、最外配線パターン59bと同様に、半導体膜3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5及び第1の透明導電膜パターン6の積層構造よりなるパターン上に形成される第1の透明導電膜パターン6が、第2の導電膜5のパターンに対し、第2の導電膜5のパターン端部より食み出すことなく内側に形成される構成とすると良い。また、最外配線パターン59bにおける配線パターン群の中央方向のパターン端面についても、図15及び図16のとおり、第1の透明導電膜パターン6が、第2の導電膜5のパターンに対し、第2の導電膜5のパターン端部より食み出すことなく内側に形成される構成とするのが適当である。この方法により、配列配線パターン59aの間にて発生する膜浮きを防止して、TFTアレイ基板100全体の膜浮きを防止することができる。W2/W1の値が0.65以上の場合として、より具体的には、本実施の形態1の様な一般的な液晶表示装置ではなく、大型画面の液晶表示装置などの様に画素間のピッチが大きい場合には、パターンの間隔としてW2/W1が0.65以上となる状況が発生する。つまり、大型画面の液晶表示装置などの様にW2/W1の値が0.65以上となる場合には、全ての配列配線パターン59aについて最外配線パターン59bと同様の対応を行うと良い。なお、以上の図15及び図16を用いて説明を行ったW2/W1と膜浮き発生頻度との関係は、配列する配線パターンに限られず、同様の層構成を備えた配列パターンであれば、ほぼ同様の関係が成り立つ。つまり、最外配線パターン59bは、実施の形態1で説明を行った密着力を補強する補助パターンと読み替えても良い。また、配列パターンに限られず、近接パターンが無い配列配線パターン59aと同様の層構成のパターンに対し、密着力を補強する補助パターンを近接配置する必要の生ずるパターン間隔の目安として考えても良い。
【0064】
なお、本実施の形態1においては、下層に形成される透明導電膜により平板状の画素電極55を形成し、上層に形成される透明導電膜により櫛歯状の対向電極56を形成し、FFSモードの液晶表示装置を構成した。更に、ソース電極53、ドレイン電極54、及びソース配線44と同一材料により同層に形成された第2の導電膜5上に形成する第1の透明導電膜パターン6については、画素電極55と同一材料の透明導電膜により同層に形成し、配線変換部45及び外部接続端子における第1の導電膜2と第1の透明導電膜パターン6を接続すると共に第2の導電膜5を保護する第2の透明導電膜パターン7については、対向電極56と同一材料の透明導電膜により同層に形成した。然しながら、FFSモードの液晶表示装置においては、画素電極55と対向電極56の構成を逆にしても良いことから、ドレイン電極54d上に形成される第1の透明導電膜パターン6により、櫛歯状の画素電極55を構成しても良い。その他、ソース電極53上、ソース電極53及びドレイン電極54と同一材料により同層に形成された第2の導電膜5上に形成する第1の透明導電膜パターン6についても、櫛歯状の画素電極55と同一材料により同層に形成することができる。更に、この場合には、平板状の対向電極56を櫛歯状の画素電極55よりも下層に形成される透明導電膜により形成する必要があることから、平板状の対向電極56を構成する透明導電膜と、配線変換部45及び外部接続端子における第1の導電膜2と第1の透明導電膜パターン6を接続すると共に第2の導電膜5を保護する第2の透明導電膜パターン7については、別に形成する必要がある。
【0065】
実施の形態2.
以上説明を行った実施の形態1及びその変形例においては、製造方法において、第1の透明導電膜パターン6及び画素電極55の微細加工工程と、チャネル領域上の第2の導電膜5及びオーミックコンタクト膜4を除去してソース電極53及びドレイン電極54間を分離する微細加工工程を、其々別のフォトリソグラフィー工程により行う場合を例にとって説明を行った。本実施の形態2においては、この第1の透明導電膜パターン6及び画素電極55の微細加工工程と、チャネル領域上の第2の導電膜5及びオーミックコンタクト膜4を除去してソース電極53及びドレイン電極54間を分離する微細加工工程について、特にフォトリソグラフィー工程の共通化を行った液晶表示装置とその製造方法について説明を行う。
【0066】
先ず、図13(c)における第1の透明導電膜パターン6及び画素電極55のパターン形状、或いは図3〜図11における各第1の透明導電膜パターン6及び画素電極55のパターン形状を確認しても判るとおり、第2の導電膜5における第1の透明導電膜パターン6及び画素電極55のパターン形状により覆われない領域は、チャネル領域上と、第1の透明導電膜パターン6及び画素電極55のパターンより食み出した部分のみである。従って、第1の透明導電膜パターン6及び画素電極55のパターンの加工に連続して、チャネル領域上の第2の導電膜5及びオーミックコンタクト膜4を除去したとしても、第1の透明導電膜パターン6とほぼ同じ幅に第2の導電膜5が加工されるのみであり、第1の透明導電膜パターン6の幅を予め第2の導電膜5に必要な形状としておくことにより、大きな問題は生じないことが判る。以上のことから、第1の透明導電膜パターン6及び画素電極55の微細加工工程と、チャネル領域上の第2の導電膜5及びオーミックコンタクト膜4を除去してソース電極53及びドレイン電極54間を分離する微細加工工程を共通の一回のフォトリソグラフィー工程により連続して行うことが可能である。これにより、フォトリソグラフィー工程の一工程を省略することによる工程削減効果、製造コスト低減の効果が得られる。
【0067】
なお、この様に第1の透明導電膜パターン6及び画素電極55の微細加工工程と、チャネル領域上の第2の導電膜5及びオーミックコンタクト膜4を除去してソース電極53及びドレイン電極54間を分離する微細加工工程におけるフォトリソグラフィー工程の共通化により、第1の透明導電膜パターン6及び画素電極55のパターンと、ソース電極53及びドレイン電極54、並びに前記ソース電極53及びドレイン電極54と同一材料により同層に形成される第2の導電膜5パターンの位置関係が若干変わることになる。実施の形態1で説明したとおり、これらのパターンの位置関係は、第2の絶縁膜9が剥離する膜浮きの防止効果に密接に影響する。従って、本実施の形態2では、この第1の透明導電膜パターン6及び画素電極55の微細加工工程と、チャネル領域上の第2の導電膜5及びオーミックコンタクト膜4を除去し、ソース電極53及びドレイン電極54間を分離する微細加工工程におけるフォトリソグラフィー工程の共通化を行った製造方法の変更点と、得られる液晶表示装置における特にTFTアレイ基板100aの構成の実施の形態1のTFTアレイ基板100より変化する部分、更に、構成の変化による膜浮きの防止効果への影響について説明を行う。
【0068】
先ずは、製造工程における実施の形態1との相違点について、図18を用いて説明する。実施の形態1の製造方法における図13(c)の工程より、本実施の形態2は変更される。本実施の形態2の製造方法においては、図18(a)に示す様に、実施の形態1と同様に画素電極55の形成領域上と、TFT51のチャネル領域を除く第2の導電膜5パターン上と、額縁領域42における第2の導電膜5パターン上とに、透明導電膜が残存するようにフォトリソグラフィー工程によりレジストパターンPR2が形成され、透明導電膜のエッチングが行われ、透明導電膜がパターニングされる。その後、実施の形態1では、レジストパターンPR2が除去されて、図13(c)の状態となるが、本実施の形態2においては、このレジストパターンPR2をマスクとして、更に、図18(b)に示す様に、チャネル領域上の第2の導電膜5及びオーミックコンタクト膜4を除去し、ソース電極53及びドレイン電極54間を分離する。この際には、第2の導電膜5の加工を一般的なウエットエッチングにより行う場合、エッチング速度バラツキを見込んで若干長いエッチング処理時間が選択される。従って、図18(a)の時点では、第1の透明導電膜パターン6及び画素電極55のパターン端面は、実施の形態1の場合と同様に第2の導電膜5のパターン端面よりも後退した位置関係、即ち、第2の導電膜5のパターン内に上面視で内包される構造となっていたものが、図18(b)に示す様に、チャネル領域上の第2の導電膜5及びオーミックコンタクト膜4を除去するエッチングを行った後においては、第2の導電膜5のパターン端面は第1の透明導電膜パターン6及び画素電極55のパターン端面よりも若干後退した形状に加工される。また、オーミックコンタクト膜4のパターン端面については、ドライエッチングにより加工されることが多いことから、図18(b)に示す様に、概ねレジストパターンPR2の端面位置にて加工される。従って、第2の導電膜5のパターン端面、第1の透明導電膜パターン6端面或いは画素電極55のパターン端面より、オーミックコンタクト膜4のパターン端面は突出して形成される。なお、チャネル領域上の第2の導電膜5を除去する第2の導電膜5の加工後に、再度、透明導電膜のエッチングを行うことにより、第1の透明導電膜パターン6及び画素電極55のパターン端面を第2の導電膜5のパターン端面よりも後退させることも可能である。この様にして、第1の透明導電膜パターン6のパターン端面が第2の導電膜5のパターン内に上面視で内包される実施の形態1と同様の構造を形成しても良い。この場合、透明導電膜のエッチング工程の増加によるコスト増は発生するが、第1の透明導電膜パターン6及び画素電極55のパターン端面が第2の導電膜5のパターン端面から突出することが無くなり、以後に形成される第2の絶縁膜9の第1の透明導電膜パターン6及び画素電極55のパターンの端部におけるカバレッジを改善することができる。
【0069】
以降は、レジストパターンPR2を除去した後、図14(b)以降の画素電極55及び第1の透明導電膜パターン6を覆う上層絶縁膜、或いは更に上層に形成される電極との間の層間絶縁膜となる第2の絶縁膜9を成膜する工程、図14(c)に示す第2の絶縁膜9及び第1の絶縁膜8にコンタクトホールCH1〜CH3の形成工程、第2の絶縁膜9の上に透明導電膜を形成し、対向電極56と第2の透明導電膜パターン7を形成するパターニング工程などを行うことにより、実施の形態1と同様にTFTアレイ基板100aが完成する。以降の液晶表示装置を完成させる工程についても、実施の形態1と同様で良いことから説明を省略する。
【0070】
続いて、上記説明の製造方法により得られる実施の形態2の液晶表示装置の特徴的構成、特にTFTアレイ基板100a(図示省略)の構成のうち、実施の形態1のTFTアレイ基板100より変化する部分について説明を行う。ここでは、特に膜浮きの防止効果への影響の大きい、額縁領域42における配線変換部45aの構成を例にとって、図19及び図20を用いて説明を行う。図19は実施の形態2に係るTFTアレイ基板100aの額縁領域42に配置された配線変換部45aを示した平面図、図20(a)は図のJ1−J2断面線における断面図、図20(b)は図19のK1−K2断面線における断面図を其々示したものである。図20に示す様に、点線で区分けされた領域において、上側が額縁領域42、下側が表示領域41となる。実施の形態1と同様に表示信号駆動回路46b、外部配線49bなどに接続される引き出し配線47b1が額縁領域42上側よりゲート配線43と同一材料により同層に形成された第1の導電膜2により配線変換部45aまで引き込まれており、表示領域41におけるソース配線44aの延在部分が表示領域41下側よりソース配線44aと同じ層構成の積層パターンにより配線変換部45aまで引き込まれている。
【0071】
先ず、ソース配線44aの延在部分の具体的な層構成について、図19の平面図及びJ1−J2断面線での断面図である図20(a)を用いて説明を行う。図20(a)に示される様に、実施の形態1と同様に、基板1の上に第1の絶縁膜8が設けられている。また、第1の絶縁膜8の上層には、表示領域41におけるTFT51に用いられる半導体膜3及びオーミックコンタクト膜4と同一材料により同層に形成された半導体膜3及びオーミックコンタクト膜4の積層膜と、更にオーミックコンタクト膜4の上層には第2の導電膜5がオーミックコンタクト膜4に直接接触するように形成されている。
【0072】
第2の導電膜5はオーミックコンタクト膜4に重複するように配置されている点までは実施の形態1と同様であるが、本実施の形態2においては、先に製造方法の説明において説明したとおり、第2の導電膜5のパターン端面はオーミックコンタクト膜4のパターン端面或いは半導体層3のパターン端面よりも後退した位置に配置されるように、重複配置される。なお、オーミックコンタクト膜4のパターン端面と半導体層3のパターン端面との関係は、製造方法の説明において使用したレジストパターンPR2の半導体層3のパターン端面との位置関係の設定により変わるが、オーミックコンタクト膜4のパターン端面は、半導体層3のパターン端面とほぼ同じ位置か、若干後退した位置に形成される。ここでは、概ね同じ端面位置と見なして、図19の平面図では半導体膜3のパターン外形はオーミックコンタクト膜4のパターン外形に重ねて示している。
【0073】
更に、第2の導電膜5の上層には第1の透明導電膜パターン6が第2の導電膜5に直接接触するように形成されている点までは実施の形態1と同様であるが、本実施の形態2における第2の導電膜5のパターンの両側の端面は第1の透明導電膜パターン6の両側の端面よりも内側に後退している。つまり、実施の形態1における第1の透明導電膜パターン6が、第2の導電膜5のパターン内に上面視で内包されて形成される構造とは異なる構造となっている。然しながら、本実施の形態2においても、基本的には、実施の形態1と同様に第1の透明導電膜パターン6が第2の導電膜5のパターン端面を覆うことなく形成された後、第2の導電膜5のみパターン端面が後退されるように加工される。従って、第1の透明導電膜パターン6端面が第2の導電膜5のパターン端面より上面視においては、ほぼ同じ位置か、若干食み出した位置関係とはなるが、第1の透明導電膜パターン6端面が、第2の導電膜5のパターン端面より断面視で突出する構成となることで、やはり、実施の形態1と同様に第2の導電膜5のパターン端面を覆うことなく形成されていることとなる。なお、第1の透明導電膜パターン6端面と第2の導電膜5のパターン端面の位置については、概ね同じ端面位置と見なして、図19の平面図では第2の導電膜5のパターン外形は第1の透明導電膜パターン6のパターン外形に重ねて示している。更に第1の透明導電膜パターン6の上層には第2の絶縁膜9が形成されている。第2の絶縁膜9は、半導体膜3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5及び第1の透明導電膜パターン6上を含む第1の絶縁膜8上を覆うように形成されており、半導体膜3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5及び第1の透明導電膜パターン6の端面を順次覆って形成されている。
【0074】
また、図20(b)のK1−K2断面図に示すとおり、ソース配線44aの延在部分より引き出し配線47b1に配線間を二つの開口部、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3を介して接続し変換する構造の具体的な層構成については、図20(a)のJ1−J2断面図と同様に第2の導電膜5のパターンの端面は第1の透明導電膜パターン6の端面よりも内側に後退して形成される点を除くと実施の形態1における対応部分である図6(b)と同様であることから、詳細な説明は省略する。
【0075】
また、以上、一例として説明を行った配線変換部45a以外の実施の形態2の構成においても、同様の変更が生ずる。つまり、実施の形態1において、第1の透明導電膜パターン6が、第2の導電膜5のパターン内に上面視で内包されて形成される構造としていた部分が全て、配線変換部45aと同様に第2の導電膜5のパターンの端面が第1の透明導電膜パターン6の端面よりも内側に後退した構造と変更される。具体的には、実施の形態1において、同様の構造を採用した外部接続端子部分、ソース配線延在部44exの構造、表示領域41最外周に形成される最外配線パターン59bの構造、或いはダミーパターン58a〜58cの構造については、配線変換部45aと同様に第2の導電膜5のパターンの端面が第1の透明導電膜パターン6の端面よりも内側に後退した構造と変更される。なお、表示領域41における周辺部を除く配線である配線配列配線パターン59aの構造の様に、半導体膜3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5及び第1の透明導電膜パターン6の積層構造よりなるパターンであり、これら積層構造を覆う第1の透明導電膜パターン6が第2の導電膜5のパターン内より食み出すことにより第2の導電膜5のパターン端面を覆い形成される構成となっている部分については、第2の導電膜5のパターン形状が変更されないので、実施の形態1と同様の構成となる。
【0076】
以上、説明を行った実施の形態2の構成においては、特に、実施の形態1において、膜浮きを防止させるべく配置した構成で、第2の導電膜5のパターンの端面が第1の透明導電膜パターン6の端面よりも内側に後退し、実施の形態1における第1の透明導電膜パターン6が、第2の導電膜5のパターン内に上面視で内包されて形成される構造とは異なる構造に変化する。然しながら、本実施の形態2においても、基本的には、実施の形態1と同様に第2の導電膜5のパターン端面を覆うことなく形成されていることとなることから、第1の透明導電膜パターン6の下層に形成されている半導体膜3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5の効果、特にTFT51のゲート絶縁膜でもある第1の絶縁膜8と第2の絶縁膜9に挟まれる配線変換部45の端部において第1の透明導電膜パターン6のパターン端部が第1の絶縁膜8と接することなく形成される効果により、第2の絶縁膜9を形成した後に第1の透明導電膜パターン6のパターン端部に応力が集中することを回避できる。その結果、実施の形態1の液晶表示装置、或いはTFTアレイ基板100と同様に第2の絶縁膜9に剥がれを生じ難く、第2の絶縁膜9が剥離する膜浮きなどによる歩留り低下を防止或いは改善することができる。
【0077】
実施の形態3.
以上説明を行った実施の形態1、実施の形態2、及びこれらの変形例においては、画素電極55及び第1の透明導電膜パターン6を構成する透明導電膜として、非結晶状態で成膜したITOを用いた。これは、下層配線などに腐食などのダメージや断線を発生する可能性の低い弱酸のエッチャントが利用でき、歩留りなどを向上できるからである。然しながら、非結晶状態で成膜したITOについては、透明導電膜としての比抵抗を低下させるために、成膜以降、正確にはパターニング以降に行われる熱処理工程で結晶性ITOに結晶状態が変化される。この第1の透明導電膜パターン6の結晶状態の変化は、若干の容積変化、それに伴う周辺部との関係での応力状態の変化を伴うことから、第1の透明導電膜パターン6上に形成される上層絶縁膜である第2の絶縁膜9との界面、下層に形成されている第1の絶縁膜8との界面、或いは第2の絶縁膜9と第1の絶縁膜8間の界面に応力の歪みを発生する。即ち、第1の透明導電膜パターン6近傍での第2の絶縁膜9の剥がれによる膜浮きを助長する役割をする。実施の形態3に係る液晶表示装置では、第1の透明導電膜パターン6の材料及びパターン構造を変更することで、実施の形態1、実施の形態2、及びこれらの変形例における第2の絶縁膜9の剥がれによる膜浮き防止効果と同等或いはより高い効果を得ることが可能となる。以下、実施の形態3に係る液晶表示装置について説明を行う。
【0078】
先ず、実施の形態3の液晶表示装置の特徴的構成、TFTアレイ基板100b(図示省略)の構成のうち、特に膜浮きの防止効果への影響の大きい、額縁領域42における配線変換部45bの構成を例にとって、図21及び図22を用いて説明を行う。図21は実施の形態3に係るTFTアレイ基板100bの額縁領域42に配置された配線変換部45bを示した平面図、図22は図21のL1−L2断面線における断面図を其々示したものである。なお、以下の説明は実施の形態1との違いを中心に説明を行うこととし、実施の形態1と同様の構成については適宜説明を省略する。図21に示す様に、本実施の形態3の液晶表示装置における配線変換部45bでは、実施の形態1と同様に表示信号駆動回路46b、外部配線49bなどに接続される引き出し配線47b1が額縁領域42上側よりゲート配線43と同一材料により同層に形成された第1の導電膜2により配線変換部45bまで引き込まれており、表示領域41におけるソース配線44bの延在部分が表示領域41下側よりソース配線44bと同じ層構成の積層パターンにより配線変換部45bまで引き込まれている。
【0079】
図22のL1−L2断面図のとおり、ソース配線44bの延在部分では、第2の導電膜5の上層にはIZO(ndium inc xide:酸化インジウムと酸化亜鉛の合金)などの成膜後に結晶状態の変化しない透明導電膜よりなる第1の透明導電膜パターン6aが第2の導電膜5に直接接触するように形成されている。更に、実施の形態1の第1の透明導電膜パターン6とは、平面パターン形状も異なっており、本実施の形態2における第1の透明導電膜パターン6aは第2の導電膜5に重複するように配置されており、第1の透明導電膜パターン6aは第2の導電膜5のパターン端面を覆うように配置されている。即ち、半導体層3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5のパターン端面は、第1の透明導電膜パターン6aに覆われている。第1の透明導電膜パターン6aの上層には第2の絶縁膜9が形成されており、第1の透明導電膜パターン6aを覆うように第2の絶縁膜9が形成されている。ソース配線44bの延在部分より引き出し配線47b1に配線間を二つの開口部、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3を介して接続し変換する構造の具体的な層構成については、第2の導電膜5のパターンの端部が第1の透明導電膜パターン6aに覆われて形成される点を除くと実施の形態1における対応部分である図6(b)と同様であることから、詳細な説明は省略する。
【0080】
以上、一例として説明を行った配線変換部45b以外の実施の形態3の構成においても、同様の変更が生ずる。つまり、実施の形態1において、第1の透明導電膜パターン6が、第2の導電膜5のパターン内に上面視で内包されて形成される構造としていた部分が全て、配線変換部45bと同様に第2の導電膜5のパターンの端部が第1の透明導電膜パターン6aに覆われて形成される構造と変更される。具体的には、実施の形態1において、同様の構造を採用した外部接続端子部分、ソース配線延在部44exの構造、表示領域41最外周に形成される最外配線パターン59bの構造については、配線変換部45aと同様に第2の導電膜5のパターンの端部が第1の透明導電膜パターン6aに覆われて形成される構造と変更される。なお、ダミーパターン58a〜58cについては省略しても良いし、配置する場合には、構造については、ソース配線延在部44exの構造、表示領域41最外周に形成される最外配線パターン59bと同様とすれば良い。なお、表示領域41における周辺部を除く配線である配線配列配線パターン59aの構造については、実施の形態1においても、第2の導電膜5のパターンの端部が第1の透明導電膜パターン6aに覆われて形成される構造となっていることから実施の形態1と同様の構成で良い。
【0081】
以上説明のとおり、成膜後に結晶状態の変化しない透明導電膜を第1の透明導電膜パターン6aに用いることで、非結晶透明導電膜から結晶化透明導電膜への変化時に透明導電膜に応力変化が発生しないため、第1の透明導電膜パターン6のパターン端で発生する第1の絶縁膜8及び第2の絶縁膜9との応力集中が緩和でき、第2の導電膜5のパターンの端部が第1の透明導電膜パターン6aに覆われて形成される構造も含め、膜浮きを防止できる。従って、実施の形態1の液晶表示装置などにおいて、パターン設計上の制約などにより、パターン密度が疎な領域においても第2の導電膜5のパターンの端部が第1の透明導電膜パターン6aに覆われて形成される構造を残す必要がある場合には、本実施の形態3の構成は特に有効である。
【0082】
なお、本実施の形態3でいう成膜後に結晶状態の変化しない透明導電膜とは、TFTアレイ基板形成の熱処理温度の範囲(通常300℃以下程度、最大400℃程度)にて、結晶状態の変化しない透明導電膜のことを意味しており、本実施の形態3では、通常300℃以下程度、最大400℃程度の熱処理温度の範囲内で、非結晶状態を維持し、結晶状態の変化しない透明導電膜であるIZOを一例として用いた。その他には、同様に通常300℃以下程度、最大400℃程度の熱処理温度の範囲内で結晶化状態を維持し結晶状態の変化しない透明導電膜である成膜時に結晶化する条件で形成した膜、例えば基板加熱処理を行いながら成膜、或いはH2O雰囲気などの非結晶成膜を助長する条件を用い無い状態で成膜した成膜直後(as−depo.状態)にて結晶性を有するITO膜などであっても良い。この様に成膜後に結晶状態の変化しない透明導電膜であれば、先に説明した様な非結晶透明導電膜から結晶化透明導電膜への変化時に透明導電膜に応力変化が発生しないため、第1の透明導電膜パターン6のパターン端で発生する第1の絶縁膜8及び第2の絶縁膜9との応力集中が緩和でき、実施の形態3と同様の効果を得ることができる。なお、成膜後に結晶状態の変化しない透明導電膜としては、非結晶状態を維持し、結晶状態の変化しない透明導電膜の方が、成膜時より結晶化された透明導電膜よりも、透明導電膜自身の内部応力が大きくないので上層絶縁膜である第2の絶縁膜9との応力差が抑制されることから、膜浮き防止効果は高い。
【0083】
更に、本実施の形態3の成膜後に結晶状態の変化しない透明導電膜については、実施の形態1、実施の形態2、或いはこれら変形例における第1の透明導電膜パターン6に適用しても良く、実施の形態1、実施の形態2、或いはこれら変形例の外部接続端子部分の構造、配線変換部45の構造、ソース配線延在部44exの構造、表示領域41最外周に形成される最外配線パターン59bの構造、或いはダミーパターン58a〜58cの構造の様に、第1の透明導電膜パターン6が半導体層3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5のパターン端面を覆うことなく形成される構成においても、第1の透明導電膜パターン6と第2の絶縁膜9の界面での応力集中を緩和でき、より膜浮き防止効果を向上することができる。
【0084】
また、実施の形態1と同様に、透明導電膜パターン6aと表示領域41の画素電極55を構成する透明導電膜パターンを何れも成膜後に結晶状態の変化しない透明導電膜により、即ち同一材料により形成しても良いし、特に膜浮きに対して対策の効果が顕著となる外部接続端子や配線変換部45などの額縁領域42の構成、或いはソース配線延在部44exの構造、最外配線パターン59bの構造、ダミーパターン58a〜58cの構造などのみにおいて、画素電極55を構成する透明導電膜パターンと別に成膜後に結晶状態の変化しない透明導電膜により形成しても良い。
【0085】
以上説明の実施の形態3では、第1の透明導電膜パターン6a自体を全て成膜後に結晶状態の変化しない透明導電膜とした。応力集中の緩和効果としては、第1の透明導電膜パターン6aの全てが結晶状態の変化しない透明導電膜により構成されるのが望ましいが、第1の透明導電膜パターン6aにおいて部分的に結晶状態の変化しない透明導電膜により構成されること、即ち、結晶状態の変化しない層を含む透明導電膜であることのみでも、ある一定の応力集中の緩和効果が得られる。例えば、実施の形態3の変形例として、成膜後に結晶状態の変化しない層を含む透明導電膜として、図23(a)に示す様に下層に非結晶状態を維持する、即ち成膜後に結晶状態の変化しない非結晶透明導電膜11、上層に結晶化透明導電膜12を用いた積層膜により構成される透明導電膜パターン6bを用いても良い。なお、結晶化透明導電膜12は成膜時より結晶化されて形成されても良く、更には非結晶状態で成膜し、パターニング以降に行われる熱処理工程で結晶化されても良い。透明導電膜パターン6bにおける下層部分を成膜後に結晶状態の変化しない非結晶透明導電膜11、即ち、成膜後より非結晶状態を維持する層により構成することで、上層の結晶化透明導電膜12が成膜後に結晶化される場合においても、結晶化時の応力緩和、或いは第1の絶縁膜8、第2の絶縁膜9との界面での応力緩和の作用を結晶状態の変化しない非結晶透明導電膜11が発揮することにより第2の絶縁膜9の膜浮きを防止することができる。更に、下層部分が非結晶透明導電膜11より構成されることで、画素電極55及び透明導電膜パターン6bのパターニング時に発生する透明導電膜の微結晶エッチング残を解消することができる。
【0086】
なお、上記説明の実施の形態3の変形例に対し、図23(b)に示す様に、非結晶透明導電膜11と結晶化透明導電膜12の構成を入れ替えて、下層に結晶化透明導電膜12、上層に非結晶透明導電膜11を用いた積層膜により構成される透明導電膜パターン6cを用いても良い。この場合にも透明導電膜パターン6cにおける上層部分を成膜後に結晶状態の変化しない非結晶透明導電膜11より構成することで、結晶化透明導電膜12が、成膜後に結晶化される場合においても、結晶化時の応力緩和、或いは第1の絶縁膜8、第2の絶縁膜9との界面での応力緩和の作用を結晶状態の変化しない非結晶透明導電膜11が発揮することにより第2の絶縁膜9の膜浮きを防止することができる。更に、成膜後に結晶状態の変化しない透明導電膜において、成膜後より非結晶状態を維持する透明導電膜が少なくとも一部において含まれて構成されることにより、上記説明の結晶化透明導電膜12の結晶化時に発生する応力の緩和作用が発揮される。
【0087】
以上説明の実施の形態3及びその変形例においては、第1の透明導電膜パターン6の材料及びパターン構造を変更することで、実施の形態1、実施の形態2、及びこれらの変形例における第2の絶縁膜9の剥がれによる膜浮き防止効果と同等或いはより高い効果を得ることが可能な方法について説明を行った。一方、第1の透明導電膜パターン6上の第2の絶縁膜9が形成される下層となる第1の絶縁膜8及びその表面状態についても、第2の絶縁膜9の剥がれ易さに大きな影響を及ぼす。以下では、第1の絶縁膜8の材料、構成などを変更することで実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3及びこれらの変形例における第2の絶縁膜9の剥がれによる膜浮き防止効果と同等或いはより高い効果を得ることが可能となる変形例について、以下、説明を行う。
【0088】
図24は第1の絶縁膜8の材料、構成などを変更した実施の形態3の変形例における配線変換部の断面図を示したものである。ここでは、実施の形態3において説明に用いた図22の断面図から一部変形した構成についての同じ位置での断面図を示している。なお、以下の説明は実施の形態3との違いを中心に説明を行うこととし、実施の形態3と同様の構成については適宜説明を省略する。
【0089】
図24に示す様に、ガラスなどの透明な絶縁性材料よりなる基板1上全面に第1の絶縁膜8a設けられており、第1の絶縁膜8aは少なくとも2層構造にて形成されており、上層は例えば酸化シリコンなどの酸素を含有する絶縁膜10にて形成されている。その他の構成については、実施の形態3の図22の構成と同様であることから説明を省略する。従って、図24に示す様に、上層絶縁膜である第2の絶縁膜9側の表面において、第1の絶縁膜8aは酸素を含有する絶縁層を有している。
【0090】
以上説明の変形例では、第1の絶縁膜8aの上層を、酸素を含有する絶縁膜10とすることで、酸素を含有する絶縁膜10が応力緩和層として働き、第1の透明導電膜パターン6aパターン端に発生する応力集中が緩和され膜浮きを抑制することができる。なお、酸素を含有する絶縁膜10として酸化シリコン(SiO)を挙げたが、SiONなどの他の酸素含有膜でも良い。また、第1の絶縁膜8aにおける少なくとも上層絶縁膜である第2の絶縁膜9側の表面において、これら酸素を含有する絶縁層が形成されれば良いことから、図24に示す様に明確な2層構造でなく第1の絶縁膜8aの表面に向かって酸素濃度が徐々に大きくなる傾斜組成を有する膜であっても良く、同様の効果が得られる。
【0091】
また、上記説明の少なくとも酸素を含有する絶縁膜10を表面に備えた第1の絶縁膜8aの構成は、基板1の全面に共通して用いられることから、基板1上の第1の絶縁膜8a上に形成される半導体層3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5のパターンを覆う第1の透明導電膜パターン6a、更にこれらを覆い形成される上層絶縁膜である第2の絶縁膜9を備えた構成の全てにおいて、同様の効果が得られる。更に、ここでは、実施の形態3の構成からの変形例として説明を行ったが、第1の透明導電膜パターン6aは、実施の形態1で用いた第1の透明導電膜パターン6、実施の形態3の変形例として説明を行った第1の透明導電膜パターン6b、或いは第1の透明導電膜パターン6cも含めて、何れの透明導電膜を使用した場合においても独立して上記説明の効果が得られる。更に、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3及びこれらの変形例において、第1の絶縁膜8を第1の絶縁膜8aに変形することで、基板1上の第1の絶縁膜8a上に形成される半導体層3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5のパターンを覆う第1の透明導電膜パターン6a、更にこれらを覆い形成される上層絶縁膜である第2の絶縁膜9を備えた構成の全てにおいて、同様の効果が得られる。なお、実施の形態1、実施の形態2、或いはこれら変形例の外部接続端子部分の構造、配線変換部45の構造、ソース配線延在部44exの構造、表示領域41最外周に形成される最外配線パターン59bの構造、或いはダミーパターン58a〜58cの構造の様に、第1の透明導電膜パターン6が半導体層3、オーミックコンタクト膜4、第2の導電膜5のパターン端面を覆うことなく形成される構成においても、第1の絶縁膜8を第1の絶縁膜8aに変形することで、第1の絶縁膜8aと、第1の透明導電膜パターン6或いは第2の絶縁膜9の界面での応力集中を緩和でき、より膜浮き防止効果を向上することができる。
【0092】
なお、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3及びこれらの変形例において、透明導電膜を備えた薄膜トランジスタアレイ基板の一例として、FFS方式の液晶表示装置を例にとって説明を行ったが、FFS方式の液晶表示装置が薄膜トランジスタアレイ基板上に画素電極用、対向電極用の二層の透明導電膜を備えることから、好適な例として説明を行っただけであり、少なくとも透明導電膜を表示装置用の透明電極、外部接続端子における端子電極に使用する薄膜電子デバイスなどに好適である。液晶表示装置以外の薄膜トランジスタアレイ基板を備える薄膜電子デバイスの例としては、有機EL表示装置などの平面型表示装置(フラットパネルディスプレイ)や、表示装置以外の半導体装置であるイメージセンサなどの光電変換装置などにも用いることも可能である。これらに用いられる薄膜トランジスタアレイ基板においても、透明導電膜を備え、特に金属パターン上に直接接して透明導電膜パターンが形成され、更に透明導電膜パターン上に上層絶縁膜が形成される場合においては、同様の問題が発生することから本発明は適用可能であり、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3及びこれらの変形例で説明した構成を適用することにより、同様の効果が得られる。
【0093】
以上の様に、各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変形が含まれる。
【符号の説明】
【0094】
1 基板、2 第1の導電膜、3 半導体膜、 4 オーミックコンタクト膜、
5 第2の導電膜、6、6a、6b、6c 第1の透明導電膜パターン、
7 第2の透明導電膜パターン、8、8a 第1の絶縁膜、9 第2の絶縁膜、
10 酸素を含有する絶縁膜、11 非結晶透明導電膜、12 結晶化透明導電膜、
41 表示領域、42 額縁領域、43 ゲート配線、
44、44a、44b ソース配線、44ex ソース配線延在部、
45、45a、45b 配線変換部、
46a 走査信号駆動回路、46b 表示信号駆動回路、
47a1,47a2,47b1,47b2 引き出し配線、
48a1,48a2,48b1,48b2 外部接続端子、
49a,49b 外部配線、
50 画素、51 TFT、52 共通配線、
53 ソース電極、54 ドレイン電極、55 画素電極、
56 対向電極、57 対向電極連結部、
58a,58b,58c ダミーパターン、
59a、配列配線パターン、59b 最外配線パターン、
60 対向基板、61 配向膜、62 液晶層、63 ブラックマトリクス、
64 カラーフィルター、65 偏光板、66 光学フィルム、
67 バックライトユニット、
100,100a,100b,100c TFTアレイ基板、
CH1,CH2,CH3 コンタクトホール、PR1,PR2 レジストパターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜トランジスタがアレイ状に配列して形成されるアレイ領域と前記アレイ領域を囲むように設けられた額縁領域を有する薄膜トランジスタアレイ基板であって、
基板と、前記基板上に形成されるゲート電極と、前記ゲート電極上を含む前記基板上を覆うゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上の前記ゲート電極上に形成される半導体層と、前記半導体層上にオーミックコンタクト膜を介して形成されるソース電極及びドレイン電極とから構成される薄膜トランジスタと、前記ソース電極及びドレイン電極、並びに前記ソース電極及びドレイン電極と同一材料により同層に形成される金属パターンの何れかに直接重なり形成される透明導電膜パターンと、前記透明導電膜パターン上を含む前記ゲート絶縁膜上を覆う上層絶縁膜を備え、
前記透明導電膜パターンは、前記ソース電極及びドレイン電極のパターン内に、或いは前記金属パターンのパターン内に上面視で内包されて形成されることによって、該ソース電極、ドレイン電極或いは金属パターンのパターン端面を覆うことなく形成される透明導電膜パターンと、前記ソース電極及びドレイン電極のパターン内より、或いは前記金属パターンのパターン内より少なくとも一部において上面視で食み出すことによって、該ソース電極、ドレイン電極或いは金属パターンのパターン端面を覆い形成される透明導電膜パターンの何れかよりなり、
少なくとも前記額縁領域に形成される前記透明導電膜パターンは、前記ソース電極、ドレイン電極或いは金属パターンのパターン端面を覆うことなく形成される透明導電膜パターンにより形成されることを特徴とする薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項2】
薄膜トランジスタがアレイ状に配列して形成されるアレイ領域と前記アレイ領域を囲むように設けられた額縁領域を有する薄膜トランジスタアレイ基板であって、
基板と、前記基板上に形成されるゲート電極と、前記ゲート電極上を含む前記基板上を覆うゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上の前記ゲート電極上に形成される半導体層と、前記半導体層上にオーミックコンタクト膜を介して形成されるソース電極及びドレイン電極とから構成される薄膜トランジスタと、前記ソース電極及びドレイン電極、並びに前記ソース電極及びドレイン電極と同一材料により同層に形成される金属パターンの何れかに直接重なり形成される透明導電膜パターンと、前記透明導電膜パターン上を含む前記ゲート絶縁膜上を覆う上層絶縁膜を備え、
前記透明導電膜パターンは、前記ソース電極及びドレイン電極のパターン端面より、或いは前記金属パターンのパターン端面より断面視で突出することによって、該ソース電極、ドレイン電極或いは金属パターンのパターン端面を覆うことなく形成される透明導電膜パターンと、前記ソース電極及びドレイン電極のパターン内より、或いは前記金属パターンのパターン内より少なくとも一部において上面視で食み出すことによって、該ソース電極、ドレイン電極或いは金属パターンのパターン端面を覆い形成される透明導電膜パターンの何れかよりなり、
少なくとも前記額縁領域に形成される前記透明導電膜パターンは、前記ソース電極、ドレイン電極或いは金属パターンのパターン端面を覆うことなく形成される透明導電膜パターンにより形成されることを特徴とする薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項3】
ソース電極及びドレイン電極と同一材料により同層に形成される金属パターン、及び前記金属パターンのパターン端面を覆うことなく形成される透明導電膜パターンは、額縁領域に形成される配線変換部或いは外部接続端子を構成することを特徴とする請求項1或いは請求項2に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項4】
金属パターンのパターン端面を覆うことなく形成される透明導電膜パターン上における上層絶縁膜を開口して形成されるコンタクトホールを介して該透明導電膜パターンと接続される上層透明導電膜パターンを備え、
前記上層透明導電膜パターンは、前記コンタクトホール内から前記上層絶縁膜上における上面視で前記金属パターンよりも外側まで覆うように形成されることを特徴とする請求項3に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項5】
金属パターンのパターン端面を覆うことなく形成される透明導電膜パターン上における上層絶縁膜を開口して形成されるコンタクトホールを介して該透明導電膜パターンと接続される上層透明導電膜パターンを備え、
ゲート電極と同一材料により同層に形成される金属パターンと、該ゲート電極と同一材料により同層に形成される金属パターン上におけるゲート絶縁膜と上層絶縁膜を貫通するコンタクトホールとを備え、前記上層透明導電膜パターンは、前記ゲート電極と同一材料により同層に形成される金属パターン上におけるゲート絶縁膜と上層絶縁膜を貫通するコンタクトホールを介して前記ゲート電極と同一材料により同層に形成される金属パターンと接続され、
前記ゲート電極と同一材料により同層に形成される金属パターンと前記透明導電膜パターンを接続することを特徴とする請求項3或いは請求項4に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項6】
薄膜トランジスタがアレイ状に配列して形成されるアレイ領域と前記アレイ領域を囲むように設けられた額縁領域を有する薄膜トランジスタアレイ基板であって、
基板と、前記基板上に形成されるゲート電極と、前記ゲート電極上を含む前記基板上を覆うゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上の前記ゲート電極上に形成される半導体層と、前記半導体層上にオーミックコンタクト膜を介して形成されるソース電極及びドレイン電極とから構成される薄膜トランジスタと、前記ソース電極及びドレイン電極、並びに前記ソース電極及びドレイン電極と同一材料により同層に形成される金属パターンの何れかに直接重なり形成される透明導電膜パターンと、前記透明導電膜パターン上を含む前記ゲート絶縁膜上を覆う上層絶縁膜を備え、
前記透明導電膜パターンは、前記ソース電極及びドレイン電極のパターン内より、或いは前記金属パターンのパターン内より少なくとも一部において上面視で食み出すことによって、該ソース電極、ドレイン電極或いは金属パターンのパターン端面を覆い形成される透明導電膜パターンと、前記透明導電膜パターンにおける食み出して形成されるパターン側面に近接して配置された補助パターンを備えたことを特徴とする薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項7】
補助パターンは、額縁領域に形成されるソース電極及びドレイン電極と同一材料により同層に形成される金属パターンにおける前記金属パターンのパターン内より少なくとも一部において上面視で食み出すことによって、該ソース電極、ドレイン電極或いは金属パターンのパターン端面を覆い形成される透明導電膜パターンに近接して配置されることを特徴とする請求項6に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項8】
補助パターンは、ソース電極及びドレイン電極のパターン内より、或いはソース電極及びドレイン電極と同一材料により同層に形成される金属パターンのパターン内より少なくとも一部において上面視で食み出すことによって、該ソース電極、ドレイン電極或いは金属パターンのパターン端面を覆い形成される透明導電膜パターンが複数配列して形成される場合、少なくとも最外周に配置される前記透明導電膜パターンに近接して配置されることを特徴とする請求項6或いは請求項7に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項9】
補助パターンは、上層絶縁膜より下層にて形成された薄膜トランジスタを構成する膜と同一材料により同層に形成される少なくとも1層以上の膜より構成されることを特徴とする請求項6から請求項8の何れかに記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項10】
補助パターンは、ソース電極及びドレイン電極と同一材料により同層に形成される金属パターンと該金属パターンに直接重なり形成される透明導電膜パターンを含む積層構造より構成され、
少なくとも、前記補助パターンを構成する透明導電膜パターンは、ソース電極及びドレイン電極のパターン内より、或いは前記金属パターンのパターン内より少なくとも一部において上面視で食み出すことによって、該ソース電極、ドレイン電極或いは金属パターンのパターン端面を覆い形成される透明導電膜パターンに近接する側と反対側のパターン側面において、前記補助パターンを構成する金属パターンのパターン端面を覆うことなく形成されることを特徴とする請求項6から請求項9の何れかに記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項11】
薄膜トランジスタがアレイ状に配列して形成されるアレイ領域と前記アレイ領域を囲むように設けられた額縁領域を有する薄膜トランジスタアレイ基板であって、
基板と、前記基板上に形成されるゲート電極と、前記ゲート電極上を含む前記基板上を覆うゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上の前記ゲート電極上に形成される半導体層と、前記半導体層上にオーミックコンタクト膜を介して形成されるソース電極及びドレイン電極とから構成される薄膜トランジスタと、前記ソース電極及びドレイン電極、並びに前記ソース電極及びドレイン電極と同一材料により同層に形成される金属パターンの何れかに直接重なり形成される透明導電膜パターンと、前記透明導電膜パターン上を含む前記ゲート絶縁膜上を覆う上層絶縁膜を備え、
前記透明導電膜パターンは、前記ソース電極及びドレイン電極のパターン内より、或いは前記金属パターンのパターン内より少なくとも一部において上面視で食み出すことによって、該ソース電極、ドレイン電極或いは金属パターンのパターン端面を覆い形成される透明導電膜パターンを有し、
該透明導電膜パターンは、成膜後より結晶化状態が変化しない層を含む透明導電膜により形成されることを特徴とする薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項12】
成膜後より結晶化状態が変化しない層は、成膜後より少なくとも非結晶の状態を維持する層により形成されることを特徴とする請求項11に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項13】
薄膜トランジスタがアレイ状に配列して形成されるアレイ領域と前記アレイ領域を囲むように設けられた額縁領域を有する薄膜トランジスタアレイ基板であって、
基板と、前記基板上に形成されるゲート電極と、前記ゲート電極上を含む前記基板上を覆うゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上の前記ゲート電極上に形成される半導体層と、前記半導体層上にオーミックコンタクト膜を介して形成されるソース電極及びドレイン電極とから構成される薄膜トランジスタと、前記ソース電極及びドレイン電極、並びに前記ソース電極及びドレイン電極と同一材料により同層に形成される金属パターンの何れかに直接重なり形成される透明導電膜パターンと、前記透明導電膜パターン上を含む前記ゲート絶縁膜上を覆う上層絶縁膜を備え、
前記透明導電膜パターンは、前記ソース電極及びドレイン電極のパターン内より、或いは前記金属パターンのパターン内より少なくとも一部において上面視で食み出すことによって、該ソース電極、ドレイン電極或いは金属パターンのパターン端面を覆い形成される透明導電膜パターンを有し、
前記ゲート絶縁膜は酸素を含有した絶縁層を少なくとも前記上層絶縁膜側表面に有したことを特徴とする薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項14】
金属パターンのパターン端面を覆うことなく額縁領域に形成される透明導電膜パターンと同一材料により同層にアレイ領域に形成される透明導電膜パターンよりなる平板状電極と、前記額縁領域に形成される上層透明導電膜パターンと同一材料により同層に前記アレイ領域に形成される透明導電膜パターンよりなり前記平板状電極上に上層絶縁膜を介して配置される櫛歯状電極とを備え、
前記平板状電極が薄膜トランジスタに接続されて表示電位を与えられる画素電極として、前記櫛歯状電極が共通電位を与えられる対向電極として、両者間にフリンジ電界を発生させ液晶を駆動することを特徴とする請求項4或いは請求項5に記載の薄膜トランジスタアレイ基板を備えた液晶表示装置。
【請求項15】
ソース電極及びドレイン電極、並びに前記ソース電極及びドレイン電極と同一材料により同層に形成される金属パターンの何れかに直接重なり形成される透明導電膜パターンと同一材料により同層にアレイ領域に形成される透明導電膜パターンよりなる平板状電極と、
額縁領域において、前記金属パターンの何れかに直接重なり形成される透明導電膜パターン上における上層絶縁膜を開口して形成されるコンタクトホールを介して該透明導電膜パターンと接続して形成される上層透明導電膜パターンと、該上層透明導電膜パターンと同一材料により同層にアレイ領域に形成される透明導電膜パターンよりなり前記平板状電極上に前記上層絶縁膜を介して配置される櫛歯状電極とを備え、
前記平板状電極が薄膜トランジスタに接続されて表示電位を与えられる画素電極として、前記櫛歯状電極が共通電位を与えられる対向電極として、両者間にフリンジ電界を発生させ液晶を駆動することを特徴とする請求項6から請求項13の何れかに記載の薄膜トランジスタアレイ基板を備えた液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−99721(P2012−99721A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247542(P2010−247542)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】