説明

走行支援装置、走行支援方法及びコンピュータプログラム

【課題】必要なエネルギー量に対する管理を行うことを可能とした走行支援装置、走行支援方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】車両2の走行予定経路を特定し、走行予定経路の経路情報を取得し、取得した走行予定経路の経路情報に基づいて、走行予定経路を走行する場合に必要な車両2の駆動力を区間毎に推定し、推定された区間毎の車両2の駆動力に基づいて、車両2が走行予定経路を走行する際における区間毎の車輪5FL〜5RRのグリップ特性及び転がり抵抗を決定し、決定された区間毎の車輪5FL〜5RRのグリップ特性及び転がり抵抗に基づいて、車両2が前記走行予定経路を走行する際における区間毎のキャンバー角調整装置22の制御スケジュールを生成するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行予定経路を走行する際に必要な車両の駆動力を考慮して車両の走行支援を行う走行支援装置、走行支援方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、エンジンを駆動源とするガソリン車以外にもバッテリから供給される電力に基づいて駆動されるモータを駆動源とする電気自動車や、モータとエンジンを併用して駆動源とするハイブリッド車両等が存在する。
【0003】
そして、従来では上記車両において、走行中に駆動源で消費されるガソリンや電力等の消費エネルギーが少なくなるように車両の制御を行う技術が考えられている。ここで、車輪の転がり抵抗を小さくすると、車両走行時に消費エネルギーが少なくなることが知られている。しかしながら、低転がり抵抗の特性を有する車輪では、省燃費を達成できるが、グリップ性能の確保が困難となり、加速性能、制動性能或いは旋回性能の低下を招く。従って、カーブ走行時、勾配走行時、急加速時、急制動時等のグリップ力が必要な状況下においては、転がり抵抗の小さいタイヤを使用すると、スリップ等が発生する虞がある。そこで、特開2008−174205号公報には、車両のタイヤをグリップ力が高い第1トレッドと転がり抵抗の小さい第2トレッドとから構成し、車輪のキャンバー角を調整することによって、グリップ力が必要な状況では第1トレッドの接地圧を大きくすることで高グリップ性能を備えた走行を可能とし、グリップ力が必要な状況以外では第2トレッドの接地圧を大きくすることで低転がり抵抗性能を備えた走行を可能とする技術が記載されている。
【特許文献1】特開2008−174205号公報(第13頁〜第16頁、図5、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、前記した特許文献1に記載された技術では、グリップ力が必要な状況か否かをプロセッサが判定する基準として、以下のものがあった。第1に、プロセッサはアクセルペダルやブレーキペダルの踏み込み量、車両速度、ステアリングの操舵角がしきい値を上回っている場合に、グリップ力が必要な状況にあると判定する。第2に、プロセッサは自車の現在位置より所定距離だけ進行方向前方の走行予定経路の状況を取得し、踏み切り、カーブ、傾斜路等がある場合に、グリップ力が必要な状況にあると判定する。即ち、特許文献1に記載された技術では、走行予定経路の全体に対して、事前に車両の制御スケジュールを生成することは行っていなかった。
ここで、走行開始前や走行中において実行する車両のエネルギー(ガソリンや電力)の供給を計画する際には、走行開始前において走行予定経路を走行した際に車両の駆動に必要となる必要エネルギー量を把握することが必要である。ここで、車輪のキャンバー角を調整することによって、車両のタイヤのグリップ特性や転がり抵抗を制御することとすると、地点毎の車両の駆動力が複雑に変化し、車両の駆動源の駆動に必要な必要エネルギー量を推定することは容易でない。そして、前記した特許文献1に記載された技術では、事前に車両の制御スケジュールを生成しないので、必要エネルギー量を走行開始前に正確に把握することができなかった。
【0005】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、走行予定経路を走行する際における車両の制御スケジュールを走行予定経路の全体に対して予め生成することにより、走行予定経路を走行する場合に、車両の駆動源の駆動に必要な必要エネルギー量を走行開始前に把握することが可能となり、必要なエネルギー量に対する管理を行うことを可能とした走行支援装置、走行支援方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る走行支援装置(1)は、グリップ特性及び転がり抵抗の異なる複数の領域(12、13)が幅方向に並設された車輪(5)を備える車両(2)の走行予定経路を特定する経路特定手段(63)と、前記走行予定経路の経路情報を取得する経路情報取得手段(63)と、前記走行予定経路の経路情報に基づいて、前記走行予定経路を走行する場合に必要な前記車両の駆動力を区間毎に推定する駆動力推定手段(63)と、前記駆動力推定手段により推定された区間毎の前記車両の駆動力に基づいて、前記車両が前記走行予定経路を走行する際における区間毎の前記車輪のグリップ特性及び転がり抵抗を決定する走行態様決定手段(63)と、前記走行態様決定手段によって決定された区間毎の前記車輪のグリップ特性及び転がり抵抗に基づいて、前記車両が前記走行予定経路を走行する際における前記車両のキャンバー角を調整するキャンバー角調整機構(22)を区間毎に制御する制御スケジュールを生成する制御スケジュール生成手段(63)と、前記制御スケジュール生成手段により生成された前記制御スケジュールに基づいて前記キャンバー角調整機構を制御するキャンバー角制御手段(63)と、前記制御スケジュールを実施した場合に前記走行予定経路に沿って前記車両が目的地まで走行する際の前記車両の駆動力を発生させる駆動源の駆動に必要な必要エネルギー量を推定する必要エネルギー量推定手段(63)と、前記必要エネルギー量推定手段により推定された必要エネルギー量に関する案内を行う案内手段(63)と、を有することを特徴とする。
ここで、「車両」とはバッテリから供給される電力に基づいて駆動されるモータを駆動源とする電気自動車以外にも、ガソリンや天然ガス等に基づいて駆動されるエンジンを駆動源とする自動車、モータとエンジンを併用して駆動源とするハイブリッド車両も含む。
また、「区間」とは走行予定経路をリンク毎に区分した区間でも良いし、所定距離(例えば100m)毎に区分した区間でも良い。また、所定時間経過毎の通過地点の間の区間を定義したものであっても良い。
【0007】
また、請求項2に係る走行支援装置(1)は、請求項1に記載の走行支援装置であって、前記車両(2)の現在のエネルギー残量を取得するエネルギー残量取得手段(63)と、前記エネルギー残量取得手段によって取得されたエネルギー残量と前記必要エネルギー量推定手段により推定された必要エネルギー量とに基づいて、現在のエネルギー残量で前記車両が目的地まで走行可能であるか否か判定する走行判定手段(63)と、を有し、前記案内手段(63)は、前記走行判定手段によって前記車両が目的地まで走行できないと判定された場合に、目的地まで走行できないことを案内することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る走行支援装置(1)は、請求項1又は請求項2に記載の走行支援装置であって、前記車輪(5)は第1領域(12)及び第2領域(13)を含み、前記第1領域は前記第2領域より転がり抵抗が小さく、且つ前記第2領域は前記第1領域よりグリップ特性が高く、前記キャンバー角調整制御手段(22)は、前記駆動力推定手段(63)により推定された前記車両の駆動力が所定値以上である場合に、前記第1領域の接地圧と前記第2領域の接地圧との比率が所定の第1比率となるように前記キャンバー角調整機構を制御し、前記駆動力推定手段により推定された前記車両の駆動力が所定値未満である場合に、前記第1領域の接地圧と前記第2領域の接地圧が前記第1比率より前記第1領域の接地圧の比率が大きい第2比率となるように前記キャンバー角調整機構を制御することを特徴とする。
尚、第1比率及び第2比率では、一方の領域のみが接地し、他方の領域が路面から離れている状態(即ち、第1領域の接地圧と第2領域の接地圧の内、一方の比率が0である場合)を含む。
【0009】
また、請求項4に係る走行支援方法は、グリップ特性及び転がり抵抗の異なる複数の領域が幅方向に並設された車輪(5)を備える車両(2)の走行予定経路を特定する経路特定ステップ(S2)と、前記走行予定経路の経路情報を取得する経路情報取得ステップ(S4)と、前記走行予定経路の経路情報に基づいて、前記走行予定経路を走行する場合に必要な前記車両の駆動力を区間毎に推定する駆動力推定ステップ(S6)と、前記駆動力推定ステップにより推定された区間毎の前記車両の駆動力に基づいて、前記車両が前記走行予定経路を走行する際における区間毎の前記車輪のグリップ特性及び転がり抵抗を決定する走行態様決定ステップ(S7)と、前記走行態様決定ステップにより決定された区間毎の前記車輪のグリップ特性及び転がり抵抗に基づいて、前記車両が前記走行予定経路を走行する際における前記車両のキャンバー角を調整するキャンバー角調整機構(22)を区間毎に制御する制御スケジュールを生成する制御スケジュール生成ステップ(S8)と、前記制御スケジュール生成ステップにより生成された前記制御スケジュールに基づいて前記キャンバー角調整機構を制御するキャンバー角制御ステップ(S24)と、前記制御スケジュールを実施した場合に前記走行予定経路に沿って前記車両が目的地まで走行する際の前記車両の駆動力を発生させる駆動源の駆動に必要な必要エネルギー量を推定する必要エネルギー量推定ステップ(S9)と、前記必要エネルギー量推定ステップにより推定された必要エネルギー量に関する案内を行う案内ステップ(S12)と、を有することを特徴とする。
【0010】
更に、請求項5に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに搭載され、グリップ特性及び転がり抵抗の異なる複数の領域が幅方向に並設された車輪(5)を備える車両(2)の走行予定経路を特定する経路特定機能(S2)と、前記走行予定経路の経路情報を取得する経路情報取得機能(S4)と、前記走行予定経路の経路情報に基づいて、前記経路特定機能において特定された走行予定経路を走行する場合に必要な前記車両の駆動力を区間毎に推定する駆動力推定機能(S6)と、前記駆動力推定機能により推定された区間毎の前記車両の駆動力に基づいて、前記車両が前記走行予定経路を走行する際における区間毎の前記車輪のグリップ特性及び転がり抵抗を決定する走行態様決定機能(S7)と、前記走行態様決定機能により決定された区間毎の前記車輪のグリップ特性及び転がり抵抗に基づいて、前記車両が前記走行予定経路を走行する際における前記車両のキャンバー角を調整するキャンバー角調整機構(22)を区間毎に制御する制御スケジュールを生成する制御スケジュール生成機能(S8)と、前記制御スケジュール生成機能により生成された前記制御スケジュールに基づいて前記キャンバー角調整機構を制御するキャンバー角制御機能(S24)と、前記制御スケジュールを実施した場合に前記走行予定経路に沿って前記車両が目的地まで走行する際の前記車両の駆動力を発生させる駆動源の駆動に必要な必要エネルギー量を推定する必要エネルギー量推定機能(S9)と、前記必要エネルギー量推定機能により推定された必要エネルギー量に関する案内を行う案内機能(S12)と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
前記構成を有する請求項1に記載の走行支援装置によれば、走行予定経路を走行する際における車両の制御スケジュールを走行予定経路の全体に対して予め生成することにより、走行予定経路を走行する場合に、車両の駆動源の駆動に必要な必要エネルギー量を正確に算出して案内できる。従って、キャンバー角の制御により省燃費且つ安定した車両の走行を可能とするとともに、必要なエネルギー量を正確に把握することができる。
例えば、走行予定経路を走行する場合に、車両の駆動源の駆動に必要な必要エネルギー量を走行開始前に把握することが可能となり、走行前又は走行中にガソリンの給油やバッテリの充電を行うことを計画する場合にも、どのタイミングでどの程度のエネルギー量を給油又は充電することが適切であるかを判定することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の走行支援装置によれば、現在のエネルギー残量で目的地まで走行できるかを正確に判定することが可能となる。また、ユーザは現在のエネルギー残量で目的地まで走行できない場合に、走行開始前にその旨を把握することが可能となる。
【0013】
また、請求項3に記載の走行支援装置によれば、第1領域における接地圧と第2領域における接地圧との比率を車両の走行状態に適した適正な比率となるように制御することができる。その結果、加速、制動性能及び旋回性能と省燃費性能との互いに背反する2つの性能の両立を図ることができる。
【0014】
また、請求項4に記載の走行支援方法によれば、走行予定経路を走行する際における車両の制御スケジュールを走行予定経路の全体に対して予め生成することにより、走行予定経路を走行する場合に、車両の駆動源の駆動に必要な必要エネルギー量を正確に算出して案内できる。従って、キャンバー角の制御により省燃費且つ安定した車両の走行を可能とするとともに、必要なエネルギー量を正確に把握することができる。
例えば、走行予定経路を走行する場合に、車両の駆動源の駆動に必要な必要エネルギー量を走行開始前に把握することが可能となり、走行前又は走行中にガソリンの給油やバッテリの充電を行うことを計画する場合にも、どのタイミングでどの程度のエネルギー量を給油又は充電することが適切であるかを判定することができる。
【0015】
更に、請求項5に記載のコンピュータプログラムによれば、走行予定経路を走行する際における車両の制御スケジュールを走行予定経路の全体に対して予めコンピュータに生成させることにより、走行予定経路を走行する場合に、車両の駆動源の駆動に必要な必要エネルギー量を正確に算出して案内できる。従って、キャンバー角の制御により省燃費且つ安定した車両の走行を可能とするとともに、必要なエネルギー量を正確に把握することができる。
例えば、走行予定経路を走行する場合に、車両の駆動源の駆動に必要な必要エネルギー量を走行開始前に把握することが可能となり、走行前又は走行中にガソリンの給油やバッテリの充電を行うことを計画する場合にも、どのタイミングでどの程度のエネルギー量を給油又は充電することが適切であるかを判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る走行支援装置についてナビゲーション装置に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1を車載機として搭載した車両2及び車両2を制御する車両制御システム3の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係る車両2及び車両制御システム3の概略構成図である。
尚、本実施形態では、本願発明に係るナビゲーション装置1を搭載する車両2として、モータとエンジンを併用して駆動源とするハイブリッド車両(特にプログインハイブリッド車両)を用いた場合を例にあげて説明する。尚、本願発明に係るナビゲーション装置1を搭載する車両2としては、モータのみを駆動源とする電気自動車、ガソリンエンジンを駆動源とするガソリン車両、ディーゼルエンジンを駆動源とするディーゼル車両等であっても良い。
【0017】
先ず、図1を用いて車両2及び車両2を制御する車両制御システム3の概略構成について説明する。
図1に示すように、車両2は車体4と、車体4に支持される複数(本実施の形態では4輪)の車輪5と、車体4に配置され車両2を制御する車両制御システム3とを備える。
【0018】
ここで、図1に示すように車輪5は、車両2の進行方向前方側に位置する左右の前輪5FL,5FRと、進行方向後方側に位置する左右の後輪5RL,5RRとの4輪から構成される。そして、これら車輪5FL,5FR,5RL,5RR(以下、5FL〜5RRと表記する)は、後述の車輪駆動装置21から回転駆動力を付与されて、それぞれ回転可能に構成されている。以下に、図2を用いて車輪5FL〜5RRの構成についてより詳細に説明する。尚、車輪5FL〜5RRは基本的に同じ構成を備えており、以下には前輪5FLを例に挙げて説明する。図2は、前輪5FLを回転軸を通過する面で水平方向に切断した場合の断面図である。
【0019】
図2に示すように、本実施形態に係る車輪5FLは、ゴム状弾性材から構成されるタイヤ10と、アルミニウム合金などから構成されるホイール11とから基本的に構成される。
また、タイヤ10は、車両2の外側(図2左側)に配置される第1領域12と、その第1領域と特性が異なり、車両2の内側(図2右側)に配置される第2領域13とから構成される。特に、本実施形態では、第1領域12は、第2領域13と比較して転がり抵抗の小さい特性(低転がり抵抗)を備える。また、第2領域13は、第1領域12と比較してグリップ力の高い特性(高グリップ性)を備える。尚、各領域12、13を異なる特性するための手段としては、例えば、各領域12、13を形成する素材にそれぞれ別種の素材を使用することにより実現する。或いは、各領域12、13に形成されるトレッドパターンをそれぞれ異なるパターンとすることにより実現しても良い。また、第1領域12の幅寸法と第2領域13の幅寸法との比率は、6:4の比率とする。
そして、本実施形態では、後述のキャンバー角調整装置22によって、車体4に対する車輪5FL〜5RRのキャンバー角が変更される。そして、車輪5FL〜5RRに設けられた2種類の領域12、13を使い分けることで、走行性能の向上と省燃費の達成とを図ることができるように構成されている(図8〜図10参照)。尚、車輪5FL〜5RRのキャンバー角の変更機構の詳細については後述する。
【0020】
また、車両制御システム3は、車両2に対して設置されたナビゲーション装置1と、車輪5FL〜5RRを回転駆動する車輪駆動装置21と、各車輪5FL〜5RRの操舵駆動及びキャンバー角の調整等を行うキャンバー角調整装置22と、車輪駆動装置21及びキャンバー角調整装置22等を制御する車両制御ECU23とから基本的に構成されている。
【0021】
ここで、ナビゲーション装置1は、車両2の室内のセンターコンソール又はパネル面に備え付けられ、車両周辺の地図や目的地までの探索経路を表示する液晶ディスプレイ25や、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ26等を備えている。そして、GPS等によって車両2の現在位置を特定するととともに、目的地が設定された場合においては目的地までの経路の探索、並びに設定された経路に従った案内を液晶ディスプレイ25やスピーカ26を用いて行う。また、本実施形態に係るナビゲーション装置1では、後述するように走行予定経路を走行する際に必要となる車両2の駆動力を区間毎に推定し、推定された各区間の駆動力に基づいて最適なキャンバー角の制御スケジュールを生成する。そして、生成した制御スケジュールに従って、キャンバー角調整装置22を車両制御ECU23を介して制御する。尚、ナビゲーション装置1の詳細な構成については後述する。
【0022】
一方、車輪駆動装置21は、車輪5FL〜5RRを回転駆動するための回転駆動装置である。本実施形態に係る車輪駆動装置21は、エンジン31、駆動モータ32、発電機33、バッテリ34等から構成される(図4参照)。そして、運転者がアクセルペダルを操作した場合には、各車輪駆動装置21からエンジン31又は駆動モータ32を駆動源とする回転駆動力が各車輪5FL〜5RRに付与され、各車輪5FL〜5RRがアクセルペダルの操作量に応じた回転速度で回転される。尚、車輪駆動装置21の詳細については後述する。
【0023】
また、キャンバー角調整装置22は、車輪5FL〜5RRの舵角とキャンバー角とを調整するための駆動装置である。そして、本実施形態に係るキャンバー角調整装置22は、車輪5FLに対応する位置に配置されたアクチュエータ41FLと、車輪5FRに対応する位置に配置されたアクチュエータ41FRと、車輪5RLに対応する位置に配置されたアクチュエータ41RLと、車輪5RRに対応する位置に配置されたアクチュエータ41RRと、から構成される。
【0024】
そして、キャンバー角調整装置22を構成するアクチュエータ41FL,41FR,41RL,41RR(以下、41FL〜41RRと表記する)は、運転者がステアリングを操作した場合に、アクチュエータ41FL〜41RRの一部(例えば、前輪5FL,5FR側にあるアクチュエータ41FL,41FRのみ)又は全部が駆動され、ステアリングの操作量に応じた舵角を車輪に付与する。これにより、車輪5FL〜5RRの操舵動作が行われ、車両2が所定の方向へ旋回される。
【0025】
更に、キャンバー角調整装置22を構成するアクチュエータ41FL〜41RRは、ナビゲーション装置1で生成されたキャンバー角の制御スケジュールに基づいて車両制御ECU23により作動制御され、車輪5FL〜5RRのキャンバー角を調整する。
【0026】
次に、図1〜図3を参照して、アクチュエータ41FL〜41RRの詳細構成について説明する。図3は、アクチュエータ41FL〜41RRによる車輪5FL〜5RRの舵角及びキャンバー角の調整方法を模式的に説明する説明図である。尚、図3中の仮想軸Xf−Xb、仮想軸Yl−Yr、及び、仮想軸Zu−Zdは、それぞれ車両2の前後方向、左右方向、及び、上下方向にそれぞれ対応する。
【0027】
図1〜図3に示すように、アクチュエータ41FL〜41RRは、3本の油圧シリンダ42A〜42Cと、それら各油圧シリンダ42A〜42Cにオイル(油圧)を供給する油圧ポンプ43と、各油圧シリンダ42A〜42C(ロッド部)の伸縮量を検出する伸縮センサ44と、その油圧ポンプ43から各油圧シリンダ42A〜42Cに供給されるオイルの供給方向を切り換える電磁弁(図示せず)等から構成されている。
【0028】
また、油圧シリンダ42A〜42Cのロッド部は、車輪5FL〜5RRのホイール11の背面側(図2右側)にジョイント部(本実施の形態ではユニバーサルジョイント)45を介して連結固定されている。なお、図3に示すように、各油圧シリンダ42A〜42Cは、周方向略等間隔(即ち、周方向120°間隔)に配置されると共に、1の油圧シリンダ42Bは、仮想軸Zu−Zd上に配置されている。
【0029】
これにより、各油圧シリンダ42A〜42Cが各ロッド部をそれぞれ所定方向に所定長さだけ伸長駆動又は収縮駆動することで、車輪5FL〜5RRが仮想軸Xf−Xb,Zu−Xdを揺動中心として揺動駆動され、その結果、各車輪5FL〜5RRに所定のキャンバー角と舵角とが付与される。
【0030】
例えば、図3に示すように、車輪5FL〜5RRが中立位置(車両2の直進状態)にある状態で、油圧シリンダ42Bのロッド部が収縮駆動され、かつ、油圧シリンダ42A,42Cのロッド部が伸長駆動されると、車輪5FL〜5RRが仮想線Xf−Xb回りに回転され(図3矢印A方向)、車輪5FL〜5RRにマイナス方向(ネガティブキャンバ)のキャンバー角(車輪5FL〜5RRの中心線が仮想線Zu−Zdに対してなす角度)が付与される(図10参照)。
一方、これとは逆の方向に油圧シリンダ42B及び油圧シリンダ42A,42Cがそれぞれ伸縮駆動されると、車輪5FL〜5RRにプラス方向(ポジティブキャンバ)のキャンバー角が付与される(図8参照)。但し、本実施形態ではプラス方向へのキャンバー角の制御は行わない。
【0031】
また、車輪5FL〜5RRが中立位置(車両2の直進状態)にある状態で、油圧シリンダ42Aのロッド部が収縮駆動され、かつ、油圧シリンダ42Cのロッド部が伸長駆動されると、車輪5FL〜5RRが仮想線Zu−Zd回りに回転され(図3の矢印B方向)、車輪5FL〜5RRにトーイン傾向の舵角(車輪5FL〜5RRの中心線が車両2の基準線に対してなす角度であり、車両2の進行方向とは無関係に定まる角度)が付与される。
一方、これとは逆の方向に油圧シリンダ42A及び油圧シリンダ42Cが伸縮駆動されると、車輪5FL〜5RRにトーアウト傾向の舵角が付与される。
【0032】
尚、上記した各油圧シリンダ42A〜42Cの駆動方法は、上述した通り、車輪5FL〜5RRが中立位置にある状態から駆動する場合を説明するものであるが、これらの駆動方法を組み合わせて各油圧シリンダ42A〜42Cの伸縮駆動を制御することにより、車輪5FL〜5RRに任意のキャンバー角及び舵角を付与することができる。
【0033】
一方、車両制御ECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)23は、車両2の全体の制御を行う電子制御ユニットである。特に、本実施形態に係る車両制御ECU23は、車輪駆動装置21を制御することにより、車両2の走行に係る制御を行う。また、キャンバー角調整装置22を制御することにより、車輪5FL〜5RRのキャンバー角や舵角を調整する。尚、車両制御ECU23の詳細については後述する。
【0034】
次に、本実施形態に係る車両制御システム3の制御系について図4及び図5に基づいて説明する。図4は本実施形態に係る車両制御システム3の内、ナビゲーション装置1、車輪駆動装置21及び車両制御ECU23の制御系を模式的に示すブロック図である。図5は本実施形態に係る車両制御システム3の内、キャンバー角調整装置22及び車両制御ECU23の制御系を模式的に示すブロック図である。
【0035】
先ず、車輪駆動装置21の制御系について図4を用いて説明する。図4に示すように、本実施形態に係る車輪駆動装置21は、エンジン31と、駆動モータ32と、発電機33と、バッテリ34と、プラネタリギヤユニット35と、エンジン制御ECU36と、駆動モータ制御ECU37と、発電機制御ECU38とから基本的に構成されている。そして、エンジン制御ECU36、駆動モータ制御ECU37及び発電機制御ECU38は、それぞれ車両制御ECU23に接続される。
【0036】
また、エンジン31はガソリン、軽油、エタノール等の燃料によって駆動される内燃機関等のエンジンであり、車両2の第1の駆動源として用いられる。そして、エンジン31の駆動力であるエンジントルクはプラネタリギヤユニット35に伝達され、プラネタリギヤユニット35により分配されたエンジントルクの一部により車輪5FL〜5RRが回転させられ、車両2が駆動される。
【0037】
また、駆動モータ32はバッテリ34から供給される電力に基づいて回転運動するモータであり、車両2の第2の駆動源として用いられる。駆動モータ32はバッテリ34から供給された電力により駆動され、駆動モータ32のトルクである駆動モータトルクを発生する。そして、発生した駆動モータトルクにより車輪5FL〜5RRが回転させられ、車両2が駆動される。
特に、本実施形態に示すようなプラグインハイブリッド車両では、基本的にバッテリの残量が所定値以下となるまでは駆動モータ32のみを駆動源として走行する所謂EV走行を行う。そして、バッテリの残量が所定値以下となった後は、エンジン31と駆動モータ32とを駆動源として併用して走行する所謂HV走行を行う。
更に、エンジンブレーキ必要時及び制動停止時において、駆動モータ32は回生ブレーキとして機能し、車両慣性エネルギーを電気エネルギーとして回生する。
【0038】
また、発電機33はプラネタリギヤユニット35により分配されたエンジントルクの一部により駆動され、電力を発生させる発電装置である。そして、発電機33は図示されない発電機用インバータを介してバッテリ34に接続されており、発生した交流電流を直流電流に変換し、バッテリ34に供給する。尚、駆動モータ32と発電機33を一体的に構成しても良い。
【0039】
また、バッテリ34は充電と放電とを繰り返すことができる蓄電手段としての二次電池であり、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池等が用いられる。更に、バッテリ34は車両2の側壁に設けられた充電コネクタ(図示せず)と接続されている。そして、自宅や所定の充電設備を備えた充電施設において、充電コネクタをコンセント等の電力供給源に接続することにより、バッテリ34の充電を行うことが可能となる。更に、バッテリ34は上記駆動モータで発生した回生電力や発電機で発電された電力によっても充電される。
【0040】
また、プラネタリギヤユニット35はサンギヤ、ピニオン、リングギヤ、キャリア等によって構成され、エンジン31の駆動力の一部を発電機33へと分配し、残りの駆動力を車輪5FL〜5RRへと伝達する。
【0041】
また、エンジン制御ECU36、駆動モータ制御ECU37及び発電機制御ECU38は、図示しないCPU、RAM、ROM等からなり、それぞれエンジン31、駆動モータ32、発電機33の制御を行う。
【0042】
次に、キャンバー角調整装置22の制御系について図5を用いて説明する。図5に示すように、本実施形態に係るキャンバー角調整装置22は、各車輪5FL〜5RRに対応する位置に配置された4個のアクチュエータ41FL〜41RRから構成される。そして、各アクチュエータ41FL〜41RRは、3本の油圧シリンダ42A〜42Cと、油圧ポンプ43と、伸縮センサ44と、電磁弁46と、アクチュエータ制御ECU47とを備える。また、アクチュエータ制御ECU47は、車両制御ECU23に接続される。尚、油圧シリンダ42A〜42C、油圧ポンプ43、伸縮センサ44及び電磁弁46の構成については既に図1〜図3を用いて説明したので省略する。
【0043】
ここで、アクチュエータ制御ECU47は、図示しないCPU、RAM、ROM等からなり、車両制御ECU23からの指示に基づいて油圧ポンプ43、伸縮センサ44及び電磁弁46の制御を行う。
【0044】
そして、車両制御ECU23からの指示に基づいて、アクチュエータ制御ECU47が油圧ポンプ43を駆動制御すると、その油圧ポンプ43から供給されるオイル(油圧)によって、各油圧シリンダ42A〜42Cが伸縮駆動される。また、電磁弁46がオン/オフされると、各油圧シリンダ42A〜42Cの駆動方向(伸長又は収縮)が切り換えられる。
【0045】
また、アクチュエータ制御ECU47は、各油圧シリンダ42A〜42Cの伸縮量を伸縮センサ44により監視し、目標値(伸縮量)に達した油圧シリンダ42A〜42Cは、その伸縮駆動を停止させる。尚、伸縮センサ44による検出結果は、アクチュエータ制御ECU47から車両制御ECU23に出力され、車両制御ECU23は、その検出結果に基づいて各車輪5FL〜5RRの現在の舵角及びキャンバー角を取得することができる。
【0046】
続いて、車両制御ECU23の制御系について図5を用いて説明する。
車両制御ECU23には、エンジン31の制御を行う為のエンジン制御ECU36、駆動モータ32の制御を行う為の駆動モータ制御ECU37、発電機33の制御を行う為の発電機制御ECU38、アクチュエータ41FL〜41RRの制御を行うアクチュエータ制御ECU47がそれぞれ接続されるとともに、ナビゲーション装置1が備える後述のナビゲーションECU63に接続されている。
ここで、車両制御ECU23は、演算装置及び制御装置としてのCPU51、並びにCPU51が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM52、制御用のプログラム等が記録されたROM53等の内部記憶装置を備えている。
【0047】
そして、車両制御ECU23は、運転者の運転操作及び設定された制御スケジュールに基づいて、エンジン制御ECU36、駆動モータ制御ECU37及び発電機制御ECU38に対して制御指示を送信する。また、車両制御ECU23は、ナビゲーションECU63から後述のキャンバー角調整装置22の制御スケジュールに基づく制御指示信号を受信した場合には、更にアクチュエータ制御ECU47へと受信した制御指示信号に基づく制御指示を送信する。
【0048】
続いて、ナビゲーション装置1の構成について図4を用いて説明する。
図4に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、車両2の現在位置を検出する現在位置検出部61と、各種のデータが記録されたデータ記録部62と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU(経路特定手段、経路情報取得手段、駆動力推定手段、走行態様決定手段、制御スケジュール生成手段、キャンバー角調整制御手段、必要エネルギー量推定手段、案内手段、エネルギー残量取得手段、走行判定手段)63と、ユーザからの操作を受け付ける操作部64と、ユーザに対して車両2の周辺の地図や設定された走行予定経路を表示する液晶ディスプレイ25と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ26と、プログラムを記憶した記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ65と、VICSセンタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール66と、から構成されている。
【0049】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部61は、GPS71、車速センサ72、ステアリングセンサ73、ジャイロセンサ74等からなり、現在の車両2の位置、方位、車両2の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ72は、車両2の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両2の車輪5FL〜5RRの回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU63に出力する。そして、ナビゲーションECU63は発生するパルスを計数することにより車輪5FL〜5RRの回転速度や移動距離を算出する。尚、上記5種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0050】
また、データ記録部62は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された車両パラメータDB76、地図情報DB77、キャンバー角制御スケジュール78、所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。
【0051】
ここで、車両パラメータDB76は、車両2に関する各種パラメータを記憶するDBである。具体的には、前面投影面積A[m]、駆動機構慣性重量Wr[kN]、車重M[kg]、キャンバー角に対する車輪5FL〜5RRの転がり抵抗係数μr、空気抵抗係数μl、コーナリング抵抗Rc[kN]等が記憶される。また、車両2の走行履歴(具体的には、過去に車両2が走行したリンクのリンク番号とそのリンク走行時の地点毎の車両2の車速データ及び加速度データ)についても記憶される。
尚、各車両パラメータ及び走行履歴は後述するようにナビゲーションECU63によって、“車両2が走行予定経路を走行する際に必要な区間毎の駆動力”及び“車両2が走行予定経路を走行する際に駆動モータ32で消費される消費エネルギー量”を推定するのに用いられる。
【0052】
ここで、地図情報DB77は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。尚、リンクデータには道路の勾配に関する情報も含まれる。また、カーブに関する情報(開始点、終了点、旋回半径等)に関する情報も含まれる。
【0053】
また、キャンバー角制御スケジュール78は車両2が走行予定経路を走行する前においてナビゲーションECU63により生成され、走行予定経路を車両2が走行する際に、キャンバー角調整装置22をどのように制御するかを決定する制御スケジュールである。尚、キャンバー角制御スケジュール78の詳細については後述する(図14参照)。
【0054】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)63は、目的地が選択された場合に現在位置から目的地までの走行予定経路を特定する走行予定経路特定処理、走行予定経路を走行する際に必要な車両の駆動力を区間毎に推定する駆動力推定処理、推定された駆動力に基づいてキャンバー角制御スケジュール78を生成するスケジュール生成処理、生成されたキャンバー角制御スケジュール78に基づいてキャンバー角調整装置22を制御するキャンバー角制御処理等のナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットである。そして、演算装置及び制御装置としてのCPU51、並びにCPU51が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM52、制御用のプログラムのほか、スケジュール生成処理プログラム(図11参照)、キャンバー角制御処理プログラム(図15参照)等が記録されたROM53、ROM53から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ54等の内部記憶装置を備えている。
【0055】
操作部64は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU63は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、液晶ディスプレイ25の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0056】
また、液晶ディスプレイ25には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在位置から目的地までの走行予定経路、走行予定経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。更に、ナビゲーション装置1で設定された走行予定経路を走行する為に駆動モータ32の駆動に必要なエネルギー量(以下、必要エネルギー量という)に対して車両2の現在のバッテリ残容量(SOC値)が不足する場合には、現在のバッテリ残量ではEV走行のみで目的地まで走行できないことを案内する案内画面を表示する。
【0057】
また、スピーカ26は、ナビゲーションECU63からの指示に基づいて走行予定経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。更に、ナビゲーション装置1で設定された走行予定経路を走行する為に必要な必要エネルギー量に対して車両2の現在のバッテリ残容量(SOC値)が不足する場合には、現在のバッテリ残量ではEV走行のみで目的地まで走行できないことを案内する案内音声を出力する。
【0058】
また、DVDドライブ65は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて地図情報DB77の更新等が行われる。
【0059】
また、通信モジュール66は、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0060】
次に、上記構成を備える車両制御システム3による車輪5FL〜5RRのクリップ特性及び転がり抵抗の変更態様について説明する。
【0061】
先ず、図6を用いて本実施形態に係る車両2のキャンバー角と車輪5FL〜5RRの転がり抵抗係数との関係を示す。
本実施形態に係る車両2のタイヤ10は、前記したようにグリップ力と転がり抵抗の異なる第1領域12及び第2領域13とから構成されている(図2参照)。従って、前記したように車体4に対する車輪5FL〜5RRのキャンバー角を変更することによって、車輪5FL〜5RRの転がり抵抗係数が変化する。
具体的には、図6に示すようにキャンバー角を0度から徐々にマイナス方向(ネガティブキャンバ)へと変更することによって、第1領域12の接地圧が小さくなり、第2領域13の接地圧が大きくなる。従って、転がり抵抗係数は大きくなる。また、キャンバー角が0度以上である場合には、転がり抵抗係数は一定となる。
【0062】
次に、図7を用いて本実施形態に係る車両2の駆動力とその駆動力で走行する場合に安定した走行を実現するための必要な車輪5FL〜5RRの転がり抵抗係数(以下、必要転がり抵抗係数という)との関係を示す。
ここで、ブレーキをかけて減速した場合等の車両2に制動力が働く場面では、負の方向に駆動力が生じる。それに対して、加速時、登坂時、カーブ旋回時等では、正の駆動力が生じる。尚、生じる駆動力は後述のように加速度、車速、道路の傾斜角等が大きいほど大きくなる。
そして、図6に示す車両2のキャンバー角とタイヤ10の転がり抵抗係数との関係に基づいて、転がり抵抗係数のしきい値μ0を設定する。尚、しきい値μ0は車両2が装着する車輪5FL〜5RRの特性に基づくものである。例えば、キャンバー角を0度であるときの転がり抵抗係数よりも所定値だけ小さい値とする。
その結果、図7に示すように、しきい値μ0よりも必要転がり抵抗係数の小さい場合、即ち、駆動力がPminより大きくPmaxより小さい状況では、車輪5FL〜5RRの転がり抵抗が低抵抗となるように車両を制御する。一方、しきい値μ0よりも必要転がり抵抗係数の大きい場合、即ち、駆動力がPmin以下又はPmax以上である状況では、車輪5FL〜5RRのクリップ特性が高グリップとなるように車両を制御する。
【0063】
そして、車輪5FL〜5RRの転がり抵抗を低抵抗とする為の車両制御としては、具体的に以下の制御を行う。
図8及び図9に示すように、車両制御ECU23はキャンバー角調整装置22を作動制御し、車輪5FL〜5RRのキャンバー角θをプラス方向(ポジティブキャンバー方向)又は0度(中立位置)に調整する。その結果、車両2の内側に配置される第2領域13の接地圧が減少されると共に、車両2の外側に配置される第1領域12の接地圧が増加される。これにより、第1領域12の低転がり抵抗を利用して、省燃費性能の向上を図ることができる。尚、本実施形態では車輪5FL〜5RRの転がり抵抗を低抵抗とする場合には、プラス方向へのキャンバー角の制御は行わず、中立位置とする制御を行う。また、本実施形態では中立位置にある状態での第1領域12の接地圧と第2領域13の接地圧との比率は所定の第1比率(本実施形態では6:4)となる。
【0064】
一方、車輪5FL〜5RRのクリップ特性を高グリップとする為の車両制御としては、具体的に以下の制御を行う。
図10に示すように、車両制御ECU23はキャンバー角調整装置22を作動制御し、車輪5FL〜5RRのキャンバー角θをマイナス方向(ネガティブキャンバー)に調整する(本実施形態では−10度に調整)。その結果、車両2の内側に配置される第2領域13の接地圧が増加されると共に、車両2の外側に配置される第1領域12の接地圧が減少される。これにより、第2領域13の高グリップ性を利用して、走行性能(例えば、旋回性能、加速性能、制動性能或いは雨天時の車両安定性など)の向上を図ることができる。尚、車輪5FL〜5RRのキャンバー角θを−10度に調整した状態での第1領域12の接地圧と第2領域13の接地圧は、第1比率より第1領域の接地圧の比率が大きい第2比率(本実施形態では4:6)となる。
【0065】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1においてナビゲーションECU63が実行するスケジュール生成処理プログラムについて図11に基づき説明する。図11は本実施形態に係るスケジュール生成処理プログラムのフローチャートである。ここで、スケジュール生成処理プログラムは、イグニションがONされた時点又はナビゲーション装置1において所定の操作を受け付けた時点で実行され、車両2がナビゲーション装置1で設定された走行予定経路を走行する際に必要な車両の駆動力を区間毎に推定し、推定された駆動力に基づいてキャンバー角制御スケジュール78を生成するプログラムである。尚、以下の図11及び図15にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM82やROM83に記憶されており、CPU81により実行される。
【0066】
先ず、スケジュール生成処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU81はナビゲーション装置1において車両2の走行予定経路が設定されているか否か判定する。ここで、走行予定経路は、例えば、操作部64の操作により目的地が入力された場合において、経路探索の結果により設定された車両2の現在位置から目的地までの走行予定経路がある。尚、経路探索に関しては既に公知であるのでその説明は省略する。
【0067】
そして、走行予定経路が設定されていると判定された場合(S1:YES)には、S2へと移行する。一方、走行予定経路が設定されていないと判定された場合(S1:NO)には、当該スケジュール生成処理プログラムを終了する。
【0068】
次に、S3でCPU81は、ナビゲーション装置1において設定されている走行予定経路を車両2の走行予定経路として特定する。尚、ナビゲーション装置1で設定されている走行予定経路ではなく、ユーザが操作部64で指定した任意の経路を走行予定経路として特定しても良い。また、上記S2が経路特定手段の処理に相当する。
【0069】
続いて、S3でCPU81は、車両パラメータDB76を読み出し、車両2に関する各種パラメータ情報を取得する。具体的には、前面投影面積A[m]、駆動機構慣性重量Wr[kN]、車重M[kg]、キャンバー角0°に対する車輪5FL〜5RRの転がり抵抗係数μr(0)、空気抵抗係数μl、コーナリング抵抗Rc[kN]等である。また、車両2の走行履歴(具体的には、過去に車両2が走行したリンクとそのリンク走行時の地点毎の車両2の車速データ及び加速度データ)についても車両パラメータDB76から取得される。
【0070】
その後、S4においてCPU81は、前記S2で特定された走行予定経路全体の経路情報を取得する。ここで、取得される経路情報としては、走行予定経路中にある、交差点に関する情報(位置、信号の有無、車線数に関する情報を含む)、傾斜区間に関する情報(傾斜角度に関する情報(勾配等)を含む)、カーブに関する情報(開始点、終了点、旋回半径に関する情報を含む)、渋滞エリアに関する情報(開始点、渋滞長、渋滞度に関する情報を含む)、走行予定経路を構成する各リンクの平均車速等である。そして、これらの経路情報は、地図情報DB77から読み出すこと、又は通信モジュール66を介してVICSセンタと通信を行うことにより取得する。尚、上記S4が経路情報取得手段の処理に相当する。
【0071】
次に、S5においてCPU81は、前記S3で取得した車両2の走行履歴や前記S4で取得した走行予定経路の経路情報に基づいて、前記S2で特定された走行予定経路を車両が走行する際の区間毎の車速及び加速度を推定する。
具体的にCPU81は、走行予定経路を構成するリンクを車両2が過去に走行していた場合には、そのリンクの区間については過去の走行時の車速データ及び加速度データを適用する。
【0072】
その後、S6においてCPU81は、前記S5で推定された車速及び加速度に基づいて、前記S2で特定された走行予定経路を走行する場合に必要な区間毎の車両2の駆動力を推定する。
ここで、車両2の走行に必要な駆動力は、車両2に生じる空気抵抗、転がり抵抗、勾配抵抗、加速抵抗等の各種走行抵抗に依存することが一般に知られている。図12は車両に生じる各種走行抵抗を示した模式図である。
【0073】
図12に示すように、走行中の車両に生じる走行抵抗R[kN]は、加速抵抗Ro[kN]、転がり抵抗Rr[kN]、空気抵抗Rl[kN]、勾配抵抗Ri[kN]からなる。そして、各種走行抵抗Ro、Rr、Rl、Riに基づく駆動力P[W]は、各種走行抵抗Ro、Rr、Rl、Riを加算した値に車速V[km/h]を乗じた値となり、以下の式(1)で表される。
P=(Ro+Rr+Rl+Ri)×V・・・・(1)
【0074】
そして、加速抵抗Roは、車重(乗員や燃料の重量も含める)M[kg]の抗力W(=M×g)[kN]と駆動機構慣性重量Wrと加速度α[m/s]と重力加速度g[m/s]を用いて、以下の式(2)で表される。
Ro=(W+Wr)×α/g・・・・(2)
また、転がり抵抗Rrは、転がり抵抗係数μrと車重M[kg]の抗力W[kN]の積であり、以下の式(3)で表される。
Rr=μr×W・・・・(3)
また、空気抵抗Rlは、空気抵抗係数μlと前面投影面積A[m]、車速V[km/h]の積であり、以下の式(4)で表される。
Rl=μl×A×V・・・・(4)
また、勾配抵抗Riは、車両の走行する道路の勾配をφ(deg)とすると、以下の式(5)で表される。
Ri=W×sinφ・・・・(5)
【0075】
そして、CPU81は、前記S3で取得した車両2の各種パラメータ情報と前記S4で取得した走行予定経路の経路情報に基づいて、車両2の車速及び加速度を推定できる区間については、上記式(1)〜(5)より走行予定経路中の地点毎(例えば、0.5sec経過毎の車両の予測地点)の駆動力Pを算出(推定)する。更に、図13に示すように、算出した地点毎の駆動力Pを、走行予定経路を構成する区間毎に平均化する。その結果、走行予定経路を走行する場合に必要な区間毎の車両2の駆動力Paveが算出される。
具体的には、その区間を走行するのに必要な時間をΔtとすると、区間毎に必要な車両2の駆動力Paveは以下の式(6)により算出される。
ave=∫Pdt/Δt・・・・(6)
【0076】
一方、車両2の車速及び加速度を推定できない区間、即ち、車両2の走行履歴の無い区間については、プローブセンタからその区間を走行するのに必要な駆動力Paveを取得する。尚、プローブセンタから取得する駆動力Paveは、例えば車両2と同じ規格のプローブカーから収集した該当区間の駆動力Paveの平均値である。
【0077】
また、図14は前記S6で推定された区間毎の車両2の駆動力Paveを、走行予定経路全体について表した一例を示す。尚、区間とは走行予定経路をリンク毎に区分した区間でも良いし、所定距離(例えば100m)毎に区分した区間でも良い。また、前記S6で推定された区間毎の車両2の駆動力Paveについては、RAM82等に記憶される。
【0078】
尚、上記S3〜S6の処理に代えて、過去の走行時に測定した駆動輪の車軸に生じるトルクT[N・m]及び車軸の回転数Nに基づいて、車両の走行に必要な駆動力を推定する処理を実行しても良い。以下に、その具体例について説明する。
【0079】
具体的には、駆動力P[W]は、駆動輪の車軸に生じるトルクT[N・m]に車軸の回転数Nを乗じた値となり、以下の式(7)で表される。
P=T×N・・・・(7)
【0080】
ここで、駆動輪の車軸に生じるトルクTの計測手段には例えば以下に示す方法がある。
(a)ひずみゲージにより計測する方法
ひずみが生じる測定対象物(本実施形態では車軸)に電気絶縁物を介して金属(抵抗体)を接着することで、測定対象物の伸縮に比例してこれが伸縮し抵抗値が変化する。これを電圧値に変換することでトルク量を測定する。
(b)磁歪式により計測する方法
回転軸にトルクが加わり歪みが発生したとき、透磁率が増加する張力方向に磁束が透過するようにコイルを設置することで、透磁率の減少側と増加側にあるコイルの差動電圧を測定し、トルク量を算出する。
(c)光学式により計測する方法
軸継ぎ手にテクスチャを貼り、レーザ光線を当てたときにできる複屈折による色彩パターンを画像処理で認識、トルク量に変換する。
(d)位相差検出式により計測する方法
車軸の両端に等速ジョイントを具備し、各等速ジョイントの外輪に取り付けたリングから発生する回転信号を検出、車軸に生じたねじれに対応する回転信号の位相差よりトルク量を算出する。
【0081】
そして、CPU81は、過去の走行において上記(a)〜(d)のいずれかの方法により計測したトルクTの値を用いて、上記式(7)より走行した経路の地点毎(例えば、0.5sec経過毎の車両の予測地点)の駆動力Pを算出する。
その後、CPU81は、算出した地点毎の駆動力Pを、走行した経路を構成する区間毎に平均化し、走行した経路における区間毎の車両2の平均の駆動力Paveを算出する。
続いて、算出した駆動力Paveを車両パラメータDB76に走行履歴として記憶する。
【0082】
そして、CPU81は、過去の走行で走行履歴として記憶された区間毎の車両2の駆動力Paveを用いて、前記S2で特定された走行予定経路を走行する場合に必要な区間毎の車両2の駆動力を推定する。
また、車両2の走行履歴の無い区間については、前述した例と同様にプローブセンタから駆動力Paveを取得する。
【0083】
続いて、S7においてCPU81は、前記S6で推定された走行予定経路を走行する場合に必要な区間毎の車両2の駆動力Paveに基づいて、区間毎の走行態様(区間毎の車輪のグリップ特性及び転がり抵抗)を決定する。具体的には、駆動力Paveが図7に示す所定の駆動力Pminより大きくPmaxより小さくなる区間では、高いグリップ力は特に必要ないと判定し、省燃費を優先して車輪5FL〜5RRの転がり抵抗を低抵抗とすることを決定する。一方、駆動力PaveがPmin以下又はPmax以上である区間では、安定して走行するために高いグリップ力が必要であると判定し、車輪5FL〜5RRのクリップ特性を高グリップとすることを決定する。尚、上記S7が走行態様決定手段の処理に相当する。
【0084】
次に、S8においてCPU81は、前記S7で決定された区間毎の走行態様に基づいて、キャンバー角制御スケジュール78を生成する。ここで、前記S8で生成されるキャンバー角制御スケジュール78は、走行予定経路を車両2が走行する際にキャンバー角調整装置22をどのように制御するかを決定する制御スケジュールである。具体的には、キャンバー角制御スケジュール78は、以下の(A)〜(D)から構成されるスケジュールである。
(A)車輪5FL〜5RRの転がり抵抗を低抵抗とすることに決定された区間では、車輪5FL〜5RRのキャンバー角θを0度(中立位置、図9参照)に維持する。
(B)車輪5FL〜5RRの転がり抵抗を低抵抗とすることに決定された区間からクリップ特性を高グリップとすることに決定された区間へと移行する地点では、車輪5FL〜5RRのキャンバー角θを0度から−10度(ネガティブキャンバー、図10参照)に変更する。
(C)車輪5FL〜5RRのクリップ特性を高グリップとすることに決定された区間から転がり抵抗を低抵抗とすることに決定された区間へと移行する地点では、車輪5FL〜5RRのキャンバー角θを−10度から0度に変更する。
(D)車輪5FL〜5RRのクリップ特性を高グリップとすることに決定された区間では、車輪5FL〜5RRのキャンバー角θを−10度に維持する。
そして、前記S8で生成されたキャンバー角制御スケジュール78は、データ記録部62に記憶される。尚、上記S8が制御スケジュール生成手段の処理に相当する。
【0085】
次に、S9においてCPU81は、前記S2で特定された走行予定経路をキャンバー角制御スケジュール78に従ってキャンバー角を制御しつつ走行する際に、駆動モータ32の駆動に必要な必要エネルギー量を推定する。
ここで、車両の走行に基づいて駆動源(本実施形態では駆動モータ32)で消費される消費エネルギー量は、車両の走行に必要な駆動力にその駆動力が生じた時間を乗じた値となる。ここで、車両2の駆動力を構成する要素の一つである転がり抵抗Rrは上記式(3)で算出されるが、キャンバー角を制御しつつ走行する際の転がり抵抗係数μrは、S6と異なり必ずしもキャンバー角0度のときの転がり抵抗μr(0)を用いるのではなく、その区間を走行する際の車両のキャンバー角θに対応する転がり抵抗係数μr(θ)を用いる。
従って、キャンバー角を制御しつつ走行する際に車両に生じる転がり抵抗Rrは、以下の式(8)で表される。
Rr´=μr(θ)×W・・・・(8)
更に、キャンバー角を制御しつつ走行する際の各種走行抵抗Ro、Rr´、Rl、Riに基づく駆動力P´[W]は、以下の式(9)で表される。
P´=(Ro+Rr´+Rl+Ri)×V・・・・(9)
そして、上記式(9)より走行予定経路中の地点毎(例えば、0.5sec経過毎の車両の予測地点)の駆動力Pを算出し、算出した地点毎の駆動力Pを、走行予定経路を構成する区間毎に平均化する。それにより、キャンバー角を制御しつつ走行する際の区間毎の走行に必要な車両2の駆動力Pave´が算出される。
そして、ある区間nを走行するのに消費されるエネルギー量Enは、区間nの走行に必要な車両2の駆動力Pave(n)´に区間nを走行するのに必要な時間Δtnを乗じた値となる。従って、走行予定経路全体において消費される消費エネルギー量Eexは走行予定経路の各区間を走行するのに消費されるエネルギー量Enを合計した値であり、以下の式(10)で表される。
ex=ΣE=Σ(Pave(n)´×Δtn)・・・・(10)
【0086】
そして、走行予定経路を走行する際に駆動モータ32の駆動に必要なトータルの必要エネルギー量Etotalは、走行予定経路の走行中にバッテリ34に蓄えられると推定される回生エネルギーのエネルギー量Ereを考慮すると、以下の式(11)で表される。
total=Eex−Ere・・・・(11)
尚、回生エネルギーのエネルギー量Ereは、前記S4で取得した走行予定経路の経路情報に基づいて、走行予定経路中にある降坂路や制動が予測される地点(交差点、カーブ、渋滞エリア)を考慮して算出される。
【0087】
そして、CPU81は、前記S3で取得した車両2の各種パラメータ情報と前記S4で取得した走行予定経路の経路情報に基づいて、上記式(8)、(9)より走行予定経路を走行する際に駆動モータ32の駆動に必要なトータルの必要エネルギー量を推定する。尚、上記S9が必要エネルギー量推定手段の処理に相当する。
【0088】
次に、S10でCPU81は、車両2に搭載されたバッテリ34のSOC値(バッテリ34のエネルギー残量)について車両制御ECU23から取得する。尚、上記S10がエネルギー残量取得手段の処理に相当する。
【0089】
その後、S11でCPU51は、前記S9で推定した走行予定経路を走行する際に駆動モータ32の駆動に必要なトータルの必要エネルギー量と、前記S10で取得したバッテリのSOC値を比較して、現在のバッテリSOC値で車両2が駆動モータ32の駆動に基づく走行(EV走行)のみによって目的地まで到達可能か否か判定する。具体的には、トータルの必要エネルギー量がバッテリのSOC値より小さい場合に、車両2が目的地まで到達可能であると判定する。尚、本実施形態ではEV走行のみによって目的地まで到達可能か否か判定しているが、エンジン31の駆動に基づく走行を含めて目的地まで到達可能か否か判定しても良い。また、上記S11が走行判定手段の処理に相当する。
【0090】
その結果、現在のバッテリSOC値で車両2がEV走行のみで目的地まで到達可能と判定された場合(S11:YES)には、案内を行うことなく、当該スケジュール生成処理プログラムを終了する。
【0091】
一方、現在のバッテリSOC値では車両2がEV走行のみで目的地まで到達できないと判定された場合(S11:NO)には、現在のバッテリのエネルギー残量ではEV走行のみで目的地まで到達できないことを液晶ディスプレイ25やスピーカ26を用いて案内する(S12)。また、走行開始前にバッテリの充電をすることを案内したり、走行中に充電施設に寄ることを案内するようにしても良い。更に、CPU81は走行予定経路上又は経路近辺にある充電施設を検索し、検索された充電施設の位置を液晶ディスプレイ25に表示するようにしても良い。尚、上記S12が案内手段の処理に相当する。
【0092】
次に、本実施形態に係るナビゲーション装置1においてナビゲーションECU63が実行するキャンバー角制御処理プログラムについて図15に基づき説明する。図15は本実施形態に係るキャンバー角制御処理プログラムのフローチャートである。ここで、キャンバー角制御処理プログラムは、スケジュール生成処理プログラム(図11)においてキャンバー角制御スケジュール78が生成された後であって、車両2が走行を開始した時点で実行され、キャンバー角制御スケジュール78に基づいてキャンバー角調整装置22を制御するプログラムである。
【0093】
キャンバー角制御処理プログラムでは、先ず、S21においてCPU81は、データ記録部62から前記S8で生成されたキャンバー角制御スケジュール78を読み出す。
【0094】
次に、S22においてCPU81は、現在位置検出部61により車両2の現在位置を取得する。また、取得した車両2の現在位置を地図上で特定するマップマッチング処理も行われる。
【0095】
続いて、S23でCPU81は、前記S21で取得したキャンバー角制御スケジュール78と、前記S22で取得した車両2の現在位置とを比較して、キャンバー角の変更タイミングとなったか否かを判定する。具体的には、(a)車輪5FL〜5RRの転がり抵抗が低抵抗となる車輪特性を採用する区間からクリップ特性が高グリップとなる車輪特性を採用する区間へと移行する地点、及び(b)車輪5FL〜5RRのクリップ特性が高グリップとなる車輪特性を採用する区間から転がり抵抗が低抵抗となる車輪特性を採用する区間へと移行する地点のいずれかの地点に到達した場合に、キャンバー角を変更するタイミングとなったと判定する。
【0096】
そして、キャンバー角の変更タイミングとなったと判定された場合(S23:YES)には、S24へと移行する。一方、キャンバー角の変更タイミングでないと判定された場合(S23:NO)には、S25へと移行する。
【0097】
S24においてCPU81は、前記S21で取得したキャンバー角制御スケジュール78に従って、車両制御ECU23を介してキャンバー角調整装置22を制御する。
具体的には、(a)車輪5FL〜5RRの転がり抵抗が低抵抗となる車輪特性を採用する区間からクリップ特性が高グリップとなる車輪特性を採用する区間へと移行する地点へと到達した時点で、車輪5FL〜5RRのキャンバー角θを0度(中立位置、図9参照)から−10度(ネガティブキャンバー、図10参照)に変更する制御信号を車両制御ECU23へ送信する。その結果、第1領域12の接地圧と第2領域13の接地圧は、第2比率(例えば、4:6)となり、第2領域13の高グリップ性を利用して、走行性能(例えば、旋回性能、加速性能、制動性能或いは雨天時の車両安定性など)の向上を図ることができる。
また、(b)車輪5FL〜5RRのクリップ特性が高グリップとなる車輪特性を採用する区間から転がり抵抗が低抵抗となる車輪特性を採用する区間へと移行する地点へと到達した時点で、車輪5FL〜5RRのキャンバー角θを−10度から0度に変更する制御信号を車両制御ECU23へ送信する。その結果、第1領域12の接地圧と第2領域13の接地圧は、第2比率(例えば、6:4)となり、第1領域12の低転がり抵抗を利用して、省燃費性能の向上を図ることができる。尚、上記S24がキャンバー角調整制御手段の処理に相当する。
【0098】
その後、S25においてCPU81は、車両2が走行予定経路の目的地に到着したか否か判定する。そして、目的地に到着したと判定された場合(S25:YES)には、当該キャンバー角制御処理プログラムを終了する。一方、目的地に到着していないと判定された場合(S25:NO)には、S22へと戻り、継続して処理を行う。
【0099】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1、ナビゲーション装置1による走行支援方法及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムでは、車両2の走行予定経路を特定し(S2)、走行予定経路の経路情報を取得し(S4)、取得した走行予定経路の経路情報に基づいて、走行予定経路を走行する場合に必要な車両2の駆動力を区間毎に推定し(S6)、推定された区間毎の車両2の駆動力に基づいて、車両2が走行予定経路を走行する際における区間毎の車輪5FL〜5RRのグリップ特性及び転がり抵抗を決定し(S7)、決定された区間毎の車輪5FL〜5RRのグリップ特性及び転がり抵抗に基づいて、車両2が前記走行予定経路を走行する際における区間毎のキャンバー角調整装置22の制御スケジュールを生成し(S8)、生成した制御スケジュールに基づいてキャンバー角調整装置22を制御する(S24)ので、車両の駆動源の駆動に必要な必要エネルギー量を正確に算出して案内できる。従って、キャンバー角の制御により省燃費且つ安定した車両の走行を可能とするとともに、必要なエネルギー量を正確に把握することができる。
また、車両2の駆動源の駆動に必要なトータルの必要エネルギー量を走行開始前に推定し(S9)、バッテリ34のエネルギー残量と比較することにより、バッテリ34の現在のエネルギー残量で目的地まで走行できるかを正確に判定することが可能となる。また、ユーザは現在のエネルギー残量で目的地まで走行できない場合に、走行開始前にその旨を把握することが可能となる。更に、走行前又は走行中にガソリンの給油やバッテリの充電を行うことを計画する場合にも、どのタイミングでどの程度のエネルギー量を給油又は充電することが適切であるかを判定することができる。
また、車体4に対する車輪5FL〜5RRのキャンバー角を調整することによって、第1領域12における接地圧と第2領域13における接地圧との比率を車両の走行状態に適した適正な比率となるように制御することができる。その結果、加速、制動性能及び旋回性能と省燃費性能との互いに背反する2つの性能の両立を図ることができる。
【0100】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では本願発明をモータとエンジンを併用して駆動源とするハイブリッド車両が備えるナビゲーション装置に適用した例について説明しているが、モータのみを駆動源とする電気自動車やエンジンのみを駆動源とする自動車が備えるナビゲーション装置にも適用することが可能である。また、エンジンのみを駆動源とする自動車が備えるナビゲーション装置に適用することも可能である。そして、エンジンのみを駆動源とする自動車が備えるナビゲーション装置に適用した場合には、前記S11において残燃料と必要エネルギー量を比較し、現在の残燃料で目的地に到達できないと判定された場合には給油を促す案内を行うように構成することが望ましい。
【0101】
また、本実施形態では車輪5FL〜5RRの構成を第1領域12と第2領域13からなる2層構造としているが(図2参照)、3層構造としても良い。例えば、図16には3層構造を備えるタイヤを装着した車両の一例を示した図である。
図16に示す車両では、タイヤ10は、車両2の中央に配置される第1領域101と、その第1領域と特性が異なり、第1領域の両側に配置される第2領域102とから構成される。特に、本実施形態では、第1領域12は、第2領域13と比較して転がり抵抗の小さい特性(低転がり抵抗)を備える。また、第2領域13は、第1領域12と比較してグリップ力の高い特性(高グリップ性)を備える。
そして、転がり抵抗が低抵抗となる車輪特性を採用する区間を走行する場合には、車輪のキャンバー角θを0度(中立位置)に調整する。その結果、タイヤの両端側に配置される第2領域102の接地圧が減少されると共に、タイヤの中央に配置される第1領域101の接地圧が増加される。これにより、第1領域101の低転がり抵抗を利用して、省燃費性能の向上を図ることができる。
一方、クリップ特性が高グリップとなる車輪特性を採用する区間を走行する場合には、車輪5FL〜5RRのキャンバー角θをプラス方向(ポジティブキャンバー)又はマイナス方向(ネガティブキャンバー)に調整する。その結果、タイヤの両端に配置される第2領域102の接地圧が増加されると共に、タイヤの中央に配置される第1領域101の接地圧が減少される。これにより、第2領域102の高グリップ性を利用して、走行性能(例えば、旋回性能、加速性能、制動性能或いは雨天時の車両安定性など)の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本実施形態に係る車両及び車両制御システムの概略構成図である。
【図2】前輪を回転軸を通過する面で水平方向に切断した場合の断面図である。
【図3】アクチュエータによる車輪の舵角及びキャンバー角の調整方法を模式的に説明する説明図である。
【図4】ナビゲーション装置、車輪駆動装置及び車両制御ECUの制御系を模式的に示すブロック図である。
【図5】車両制御システムの内、キャンバー角調整装置及び車両制御ECUの制御系を模式的に示すブロック図である。
【図6】本実施形態に係る車両のキャンバー角と車輪の転がり抵抗係数との関係を示した図である。
【図7】本実施形態に係る車両の駆動力と必要転がり抵抗係数との関係を示した図である。
【図8】キャンバー角をプラス方向(ポジティブキャンバー方向)に調整した際の車両を示した図である。
【図9】キャンバー角を0度(中立位置)に調整した際の車両を示した図である。
【図10】キャンバー角をマイナス方向(ネガティブキャンバー)に調整した際の車両を示した図である。
【図11】本実施形態に係るスケジュール生成処理プログラムのフローチャートである。
【図12】走行中の車両に生じる走行抵抗の一例について示した図である。
【図13】区間毎に必要となる車両の駆動力の算出例を示した図である。
【図14】キャンバー角制御スケジュールの一例を示した図である。
【図15】本実施形態に係るキャンバー角制御処理プログラムのフローチャートである。
【図16】他の実施形態を説明した図である。
【符号の説明】
【0103】
1 ナビゲーション装置
2 車両
3 車両制御システム
21 車輪駆動装置
22 キャンバー角調整装置
23 車両制御ECU
32 駆動モータ
63 ナビゲーションECU
81 CPU
82 RAM
83 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリップ特性及び転がり抵抗の異なる複数の領域が幅方向に並設された車輪を備える車両の走行予定経路を特定する経路特定手段と、
前記走行予定経路の経路情報を取得する経路情報取得手段と、
前記走行予定経路の経路情報に基づいて、前記走行予定経路を走行する場合に必要な前記車両の駆動力を区間毎に推定する駆動力推定手段と、
前記駆動力推定手段により推定された区間毎の前記車両の駆動力に基づいて、前記車両が前記走行予定経路を走行する際における区間毎の前記車輪のグリップ特性及び転がり抵抗を決定する走行態様決定手段と、
前記走行態様決定手段によって決定された区間毎の前記車輪のグリップ特性及び転がり抵抗に基づいて、前記車両が前記走行予定経路を走行する際における前記車両のキャンバー角を調整するキャンバー角調整機構を区間毎に制御する制御スケジュールを生成する制御スケジュール生成手段と、
前記制御スケジュール生成手段により生成された前記制御スケジュールに基づいて前記キャンバー角調整機構を制御するキャンバー角制御手段と、
前記制御スケジュールを実施した場合に前記走行予定経路に沿って前記車両が目的地まで走行する際の前記車両の駆動力を発生させる駆動源の駆動に必要な必要エネルギー量を推定する必要エネルギー量推定手段と、
前記必要エネルギー量推定手段により推定された必要エネルギー量に関する案内を行う案内手段と、を有することを特徴とする走行支援装置。
【請求項2】
前記車両の現在のエネルギー残量を取得するエネルギー残量取得手段と、
前記エネルギー残量取得手段によって取得されたエネルギー残量と前記必要エネルギー量推定手段により推定された必要エネルギー量とに基づいて、現在のエネルギー残量で前記車両が目的地まで走行可能であるか否か判定する走行判定手段と、を有し、
前記案内手段は、前記走行判定手段によって前記車両が目的地まで走行できないと判定された場合に、目的地まで走行できないことを案内することを特徴とする請求項1に記載の走行支援装置。
【請求項3】
前記車輪は第1領域及び第2領域を含み、
前記第1領域は前記第2領域より転がり抵抗が小さく、且つ前記第2領域は前記第1領域よりグリップ特性が高く、
前記キャンバー角調整制御手段は、
前記駆動力推定手段により推定された前記車両の駆動力が所定値以上である場合に、前記第1領域の接地圧と前記第2領域の接地圧との比率が所定の第1比率となるように前記キャンバー角調整機構を制御し、
前記駆動力推定手段により推定された前記車両の駆動力が所定値未満である場合に、前記第1比率より前記第1領域の接地圧の比率が大きい第2比率となるように前記キャンバー角調整機構を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の走行支援装置。
【請求項4】
グリップ特性及び転がり抵抗の異なる複数の領域が幅方向に並設された車輪を備える車両の走行予定経路を特定する経路特定ステップと、
前記走行予定経路の経路情報を取得する経路情報取得ステップと、
前記走行予定経路の経路情報に基づいて、前記走行予定経路を走行する場合に必要な前記車両の駆動力を区間毎に推定する駆動力推定ステップと、
前記駆動力推定ステップにより推定された区間毎の前記車両の駆動力に基づいて、前記車両が前記走行予定経路を走行する際における区間毎の前記車輪のグリップ特性及び転がり抵抗を決定する走行態様決定ステップと、
前記走行態様決定ステップにより決定された区間毎の前記車輪のグリップ特性及び転がり抵抗に基づいて、前記車両が前記走行予定経路を走行する際における前記車両のキャンバー角を調整するキャンバー角調整機構を区間毎に制御する制御スケジュールを生成する制御スケジュール生成ステップと、
前記制御スケジュール生成ステップにより生成された前記制御スケジュールに基づいて前記キャンバー角調整機構を制御するキャンバー角制御ステップと、
前記制御スケジュールを実施した場合に前記走行予定経路に沿って前記車両が目的地まで走行する際の前記車両の駆動力を発生させる駆動源の駆動に必要な必要エネルギー量を推定する必要エネルギー量推定ステップと、
前記必要エネルギー量推定ステップにより推定された必要エネルギー量に関する案内を行う案内ステップと、を有することを特徴とする走行支援方法。
【請求項5】
コンピュータに搭載され、
グリップ特性及び転がり抵抗の異なる複数の領域が幅方向に並設された車輪を備える車両の走行予定経路を特定する経路特定機能と、
前記走行予定経路の経路情報を取得する経路情報取得機能と、
前記走行予定経路の経路情報に基づいて、前記経路特定機能において特定された走行予定経路を走行する場合に必要な前記車両の駆動力を区間毎に推定する駆動力推定機能と、
前記駆動力推定機能により推定された区間毎の前記車両の駆動力に基づいて、前記車両が前記走行予定経路を走行する際における区間毎の前記車輪のグリップ特性及び転がり抵抗を決定する走行態様決定機能と、
前記走行態様決定機能により決定された区間毎の前記車輪のグリップ特性及び転がり抵抗に基づいて、前記車両が前記走行予定経路を走行する際における前記車両のキャンバー角を調整するキャンバー角調整機構を区間毎に制御する制御スケジュールを生成する制御スケジュール生成機能と、
前記制御スケジュール生成機能により生成された前記制御スケジュールに基づいて前記キャンバー角調整機構を制御するキャンバー角制御機能と、
前記制御スケジュールを実施した場合に前記走行予定経路に沿って前記車両が目的地まで走行する際の前記車両の駆動力を発生させる駆動源の駆動に必要な必要エネルギー量を推定する必要エネルギー量推定機能と、
前記必要エネルギー量推定機能により推定された必要エネルギー量に関する案内を行う案内機能と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−115100(P2010−115100A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318437(P2008−318437)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】