過水素化ポリシラザン溶液およびそれを用いた半導体装置の製造方法
【課題】 素子分離特性の良好な半導体装置を製造する方法を提供する。
【解決手段】素子分離溝が設けられた前記半導体基板10上に、ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルと、ジブチルエーテルに溶解された過水素化ポリシラザンとを含有する過水素化ポリシラザン溶液を塗布して、過水素化ポリシラザン膜15を形成し、水蒸気を含む雰囲気中で酸化して二酸化シリコン膜11とする。二酸化シリコン膜を選択的に除去して、素子分離溝の内部に二酸化シリコン膜を残置し、素子分離絶縁膜を形成する。
【解決手段】素子分離溝が設けられた前記半導体基板10上に、ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルと、ジブチルエーテルに溶解された過水素化ポリシラザンとを含有する過水素化ポリシラザン溶液を塗布して、過水素化ポリシラザン膜15を形成し、水蒸気を含む雰囲気中で酸化して二酸化シリコン膜11とする。二酸化シリコン膜を選択的に除去して、素子分離溝の内部に二酸化シリコン膜を残置し、素子分離絶縁膜を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過水素化ポリシラザン溶液およびそれを用いた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の素子分離には、STI(Shallow Trench Isolation)構造が広く用いられている。STI構造は、半導体基板の素子分離領域にSTI溝を形成し、この溝に素子分離絶縁膜となるシリコン酸化(SiO2)膜などを埋め込む方法によって作製される。最近では、半導体装置の微細化に伴なって溝のアスペクト比が大きくなり、従来のオゾン(O3)−TEOS CVD−SiO2膜やHDP CVD SiO2膜では、STIの溝の中に、ボイドやシームを発生させずに埋め込むことが困難になりつつある。
【0003】
このため、100nm世代以降では、塗布型溶液SOG(Spin−On−Grass)を用いてSTI溝に素子分離絶縁膜を埋め込むことが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。SOG溶液としては、水酸化シリコン(シラノール、SiOH4)をアルコールなどの有機溶剤に溶解してなる薬液が一般的に使用され、この水酸化シリコン溶液を塗布して塗膜を形成後、熱処理が施される。熱処理によりシラノールの加水分解および脱水縮合反応が生じて、水酸化シリコン溶液の塗膜は二酸化シリコン膜に変化する。しかしながら、この加水分解および脱水縮合反応の際には、大きな体積収縮を生じる。その結果、STI溝内の二酸化シリコン膜にクラックが発生するという問題があった。
【0004】
そこで、SOG系の薬液として、比較的体積収縮の少ない過水素化ポリシラザン薬液が近年注目されている。(例えば、特許文献1参照。)
【非特許文献1】Void Free and Low Stress Shallow Trench Isolation Technology using P-SOG for sub 0.1μm Device (J. H. Heo et al.,2002 Symposium on VLSI Technology Digest of Technological Papers, pp132-133, 2002)
【特許文献1】特許第3178412号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、素子分離特性の良好な半導体装置を製造する方法、およびそれに用いる過水素化ポリシラザン溶液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様にかかる過水素化ポリシラザン溶液は、ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルと、前記ジブチルエーテルに溶解された過水素化ポリシラザンとを含有することを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様にかかる半導体装置の製造方法は、半導体基板に素子分離溝を形成する工程と、
前記素子分離溝が設けられた前記半導体基板上に前述の過水素化ポリシラザン溶液を塗布して、過水素化ポリシラザン膜を形成する工程と、
前記過水素化ポリシラザン膜を、水蒸気を含む雰囲気中で酸化して二酸化シリコン膜を形成する工程と、
前記二酸化シリコン膜を選択的に除去して、前記素子分離溝の内部に前記二酸化シリコン膜を残置し、素子分離絶縁膜を形成する工程とを具備することを特徴とする。
【0008】
本発明の他の態様にかかる半導体装置の製造方法は、半導体基板上に、ゲート絶縁膜、第1のゲート電極およびストッパー膜を順次形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜、第1のゲート電極およびストッパー膜が順次形成された半導体基板に素子分離溝を形成する工程と、
前記素子分離溝が設けられた前記半導体基板上に請求項1に記載の過水素化ポリシラザン溶液を前記半導体基板上に塗布して、過水素化ポリシラザン膜を形成する工程と、
前記過水素化ポリシラザン膜を、水蒸気を含む雰囲気中で酸化して二酸化シリコン膜を形成する工程と、
前記ストッパー膜上の前記二酸化シリコン膜を選択的に除去して、前記素子分離溝の内部に前記二酸化シリコン膜を残置し、素子分離絶縁膜を形成する工程と、
前記ストッパー膜を除去して、前記第1の電極膜の表面を露出する工程と、
前記素子分離絶縁膜の上部を除去して、前記第1の電極膜の側面の上部を露出する工程と、
前記側面の上部が露出した第1の電極膜および前記上部が除去された素子分離絶縁膜の上に、電極間絶縁膜を介して第2のゲート電極膜を形成する工程とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の態様によれば、素子分離特性の良好な半導体装置を製造する方法、およびそれに用いる過水素化ポリシラザン溶液が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0011】
本発明者らは、過水素化ポリシラザン溶液を用いてSTI溝に素子分離絶縁膜を形成して素子分離特性の良好な半導体装置を作製するために、まず、過水素化ポリシラザン溶液を用いて二酸化シリコン膜を形成し、その特性について詳細に検討した。
具体的には、過水素化ポリシラザンをジブチルエーテル溶媒に溶解してなる過水素化ポリシラザン溶液をスピンコート法により塗布し、ホットプレート上に載置して150℃3分のベーキングを施した。こうしてジブチルエーテル溶媒を揮発除去させて、膜厚500nmの過水素化ポリシラザン膜(PSZ膜)を形成し、SIMS測定を行なった。その結果を図1のグラフに示す。
【0012】
過水素化ポリシラザン膜中には、1×1021(cm-3)台の多量のCが含有されていることがわかる。用いた過水素化ポリシラザンは、−(SiH2−NH)−で表わされる繰り返し単位を有し、酸素は含まれていない。STI溝内に埋め込んで素子分離絶縁膜を形成するためには、この過水素化ポリシラザン膜に酸化処理を施して二酸化シリコン(SiO2)へ変化させる。
【0013】
ここでは、水蒸気を含む雰囲気で400℃15分の酸化処理を施して、過水素化ポリシラザン膜を二酸化シリコン膜に変化させた。得られた二酸化シリコン膜のSIMS測定を行ない、その結果を図2のグラフに示す。酸化処理後でも、8×1019(cm-3)程度のCが二酸化シリコン膜中に残留していることが、図2に明確に示されている。
【0014】
次に、過水素化ポリシラザン溶液を用いて形成された二酸化シリコン膜について、フラットバンド測定を行なった。図3には、フラットバンド測定サンプルの断面図を示す。まず、シリコン基板100上に10nmの熱酸化膜101を形成し、この上に過水素化ポリシラザン溶液をスピンコート法により塗布して、膜厚750nmの過水素化ポリシラザン膜を得た。水蒸気を含む雰囲気で400℃15分の酸化処理を行なったところ、約20%の膜収縮が生じて、膜厚約600nmの二酸化シリコン膜102が得られた。二酸化シリコン膜102上には、膜厚150nmの多結晶シリコン膜を堆積し、パターニングを行なって10mm2の面積の電極103を形成した。以上の工程により、第1のサンプルを得た。
【0015】
また、過水素化ポリシラザン膜の膜厚を500nmに変更した以外は、上述と同様にして第2のサンプルを作製した。これにおいては、二酸化シリコン膜102の膜厚は約400nmであった。
【0016】
比較のために、膜厚400nmの二酸化シリコン膜102をCVD−HDP法により堆積する以外は前述と同様の手法により、第3のサンプルを作製した。
【0017】
図3に示すサンプルにおいては、電極103に電圧を印加すると、正または負の電荷がシリコン基板100の表面に誘起される。その表面空間電荷密度Qsは、表面電位Φsの関数として表わされる。表面電位Φs=0の場合をフラットバンド状態といい、この状態を実現する印加電圧がフラットバンド電圧(Vfb)である。理想MOS構造においては、Vfb=0であるが、実際のMOS構造では酸化膜101中に電荷が存在し、シリコン基板100との界面には界面準位が存在する。このため、Vfbは0とはならない。
【0018】
第1乃至第3の3種類のサンプルについてVfbを測定したところ、第1のサンプルおよび第2のサンプルでは、それぞれ−7.6Vおよび−4.8Vであり、第3のサンプルのVfbは−3.2Vであった。得られたVfbを、二酸化シリコン膜102の膜厚に対してプロットた結果を、図4のグラフに示す。図中の直線aおよびbは、プロットした点を通るように原点から引いたものである。直線aは、過水素化ポリシラザン溶液を用いて形成された二酸化シリコン膜についての結果であり、直線bは、CVD−HDP法を用いて形成された二酸化シリコン膜についての結果である。
【0019】
直線bと直線aとの比較から、過水素化ポリシラザン膜を酸化することにより形成された二酸化シリコン膜(第1、第2のサンプル)では、CVD−HDP法により形成した二酸化シリコン膜(第3のサンプル)よりもVfbがマイナスにずれていることがわかる。同一の熱酸化膜101が形成されたSi基板100を用いていることから、この差は界面準位ではない。過水素化ポリシラザンを酸化処理して形成された二酸化シリコン膜中には、HDP酸化膜よりも多量にプラスの電荷が存在することが示唆される。
【0020】
電荷が存在する二酸化シリコン膜がSTIの埋め込み材として用いられた場合には、素子分離特性の悪化が引き起こされるおそれがある。これを避けるためには、過水素化ポリシラザン膜を酸化処理してなる二酸化シリコン膜をSTI埋め込み材として用いる場合にも、HDPと同等のVfbを示す膜であることが求められる。膜厚600nmの二酸化シリコン膜を基準に取ると、Vfbの値は−5(V)以上であることが要求される。
【0021】
次に、過水素化ポリシラザン膜の酸化条件を変えて、複数の二酸化シリコン膜を形成した。各二酸化シリコン膜について、C濃度およびVfbを前述と同様の手法により測定し、得られた結果を図5のグラフに示す。C濃度とVfbとの間には、よい相関が見られ、二酸化シリコン中におけるC濃度が2×1019(cm-3)以下であれば、Vfbを−5(V)以上にできることが示されている。
【0022】
本発明者らは、過水素化ポリシラザン膜を酸化して得られた二酸化シリコン膜中に存在するCの原因を検討し、過水素化ポリシラザン溶液の溶媒として用いられるジブチルエーテル(DBE; dibuthyl ether)に着目した。ジブチルエーテルはC4H9−O−C4H9で表わされ、2分子のブタノール(C4H9OH;BuOH)が脱水縮合することによって合成される。この縮合反応は可逆的に起こることから、微量のC4H9OHがジブチルエーテル中に残留して不可避不純物として存在する。
【0023】
ブタノールに起因したC濃度の影響を調べるため、まず、ブタノール濃度を変化させたジブチルエーテルを溶媒として用いて、種々の過水素化ポリシラザン溶液を調製した。各過水素化ポリシラザン溶液をスピンコート法によりSi基板上に塗布し、ホットプレートにより150℃3分のベーキングを行なって過水素化ポリシラザン膜を作製した。得られた過水素化ポリシラザン膜について、SIMS測定によりC濃度を測定し、その結果を図6のグラフに曲線cとして示す。ジブチルエーテル中の不純物ブタノール濃度と過水素化ポリシラザン膜中のC濃度との間には、相関関係があることが曲線cからわかる。
【0024】
この過水素化ポリシラザン膜に水蒸気を含む雰囲気で400℃15分の酸化処理を施して、二酸化シリコン膜に変化させた後、前述と同様にSIMS測定を行なってC濃度を測定した。得られた結果を、曲線dとして図6に示した。酸化処理を施すことによって、膜中のC濃度が減少することが、曲線cとの比較からわかる。図5のグラフを参照して説明したように、Vfbの値を所望の範囲内にするためには、二酸化シリコン膜中のC濃度は2×1019(cm-3)以下に抑制することが求められる。ジブチルエーテル溶媒中のブタノールの濃度が30ppm以下であれば、これが達成できることが、曲線dに示されている。
【0025】
以上の結果に基づいて、本発明者らは、ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルを溶媒とした過水素化ポリシラザン溶液を用いて形成された二酸化シリコン膜が、STI構造の素子分離絶縁膜を形成するのに最適であることを確認した。そこで、本発明の実施形態においては、ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルを溶媒とした過水素化ポリシラザン溶液を用いて、STI構造を形成するとともに、NAND構造の半導体デバイスを製造する。
【0026】
(実施形態1)
図7乃至図10を参照して、STI埋め込み方法を例に挙げて本実施形態を説明する。
【0027】
まず、シリコン基板10の表面に、熱酸化法により二酸化シリコン膜(厚さ10nm程度)11を形成し、その上に減圧CVD法によりCMPストッパー膜12としての窒化シリコン膜(厚さ200nm程度)12を形成した。基板上に形成される膜の膜厚は、適宜変更することができる。例えば、CMPストッパー膜12の膜厚は、100〜300nm程度でもよい。
【0028】
フォトリソグラフィーおよびドライエッチング法により、図7に示すように、CMPストッパー膜12および二酸化シリコン膜11を貫通してシリコン基板10に達するように、素子分離溝(STI溝)13を形成した。ここでは、STI溝13のサイズは、幅100nm、深さ500nmとしたが、これに限定されるものではない。STI溝13の幅は30nm〜10μmの範囲内で変更可能であり、深さは200〜500nmの範囲内で適宜決定することができる。
【0029】
次に、不純物ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルを溶媒として用いた過水素化ポリシラザン溶液を、スピンコーティング法によりSi基板10の全面に塗布して塗膜を形成した。なお、塗膜の形成に先立って、二酸化シリコン膜等の他の膜を、窒化シリコン膜12の上に形成してもよい。ホットプレート上で150℃3分のベーキングを行なって塗膜中から溶媒を揮発除去して、図8に示すような過水素化ポリシラザン膜15を形成した。
【0030】
次に、水蒸気を含む雰囲気中での酸化処理を施して、過水素化ポリシラザン膜15を図9に示すように二酸化シリコン膜16に変化させた。酸化処理は、例えば、230℃以上900℃以下の温度で行なうことができる。温度が230℃未満の場合には、過水素化ポリシラザン膜を酸化処理して得られる二酸化シリコン膜は、非常にポーラスとなる。このため、フッ酸を含む溶液で容易にエッチング除去されてしまい、任意の高さの素子分離絶縁膜を形成することが困難となる。一方、水蒸気を含む雰囲気で900℃を越える温度で酸化が行なわれると、STI溝13の側面が厚く酸化されてしまう。最悪の場合には、Si基板10に転位が生じることがあり、100nmクラスのデザインルールのデバイスのSTI形成方法として適切ではない。
【0031】
また、炉内の雰囲気および温度を安定にするために、酸化時間は5分以上であることが好ましい。ただし、過剰に長時間の酸化が行なわれると、STI溝13の側面が厚く酸化されてしまうおそれがある。したがって、酸化時間の上限は、60分程度にとどめることが望まれる。
ここでは400℃15分の酸化処理を施して、過水素化ポリシラザン膜15を二酸化シリコン膜16に変化させた。
【0032】
続いて、CMPなどの手法により二酸化シリコン膜16を選択的に除去して、図10に示すようにCMPストッパー膜12の表面を露出し、STI溝13内に二酸化シリコン膜16を残置した。以上の工程により、素子分離絶縁膜がSTI溝13内に埋め込み形成される。
【0033】
本実施形態によれば、不純物ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルを溶媒とした過水素化ポリシラザン溶液を用いて二酸化シリコン膜が形成されるので、この二酸化シリコン膜中に残留するC濃度は、2×1019(cm-3)以下に低減されることとなる。
【0034】
このように残留C濃度の低減された二酸化シリコン膜16が、素子分離絶縁膜としてSTI溝内に埋め込まれるので、本実施形態により、素子分離特性の良好なデバイスを作製することが可能となる。
【0035】
(実施形態2)
前述の実施形態1と同様の手法により、図9に示すように、二酸化シリコン膜11およびCMPストッパー膜12が形成されSTI溝13を設けたSi基板10上に、二酸化シリコン膜16を形成した。各膜は、実施形態1の場合と同様の材料を用いて、同様の膜厚で形成した。
【0036】
本実施形態においては、CMPに先立って二酸化シリコン膜16の緻密化を行なう。二酸化シリコン膜16は、不活性ガス雰囲気中で700℃以上1,100℃以下の熱処理により緻密化することができる。700℃未満では、二酸化シリコン膜16を十分に緻密化することが困難となる。一方、1,100℃を越えると、デバイスによっては先にイオン注入によって形成したチャネル層の拡散深さを深くしてしまうおそれがある。熱処理の時間は、1秒〜120分の範囲内で適宜選択すればよい。こうした条件で熱処理を施すことによって、二酸化シリコン膜16中から水分が除去されて、緻密化が達成される。
【0037】
ここでは、900℃で30分の熱処理を行なって、二酸化シリコン膜16を図11に示すように緻密化された二酸化シリコン膜17に変化させた。
【0038】
続いて、CMPなどの手法により緻密化二酸化シリコン膜17を選択的に除去して、図12に示すようにCMPストッパー膜12の表面を露出し、STI溝13内に緻密化された二酸化シリコン膜17を残置した。
【0039】
本実施形態によれば、不純物ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルを溶媒とした過水素化ポリシラザン溶液を用いて二酸化シリコン膜が形成されるので、この二酸化シリコン膜中に残留するC濃度は、2×1019(cm-3)以下に低減されることとなる。しかも、二酸化シリコン膜は緻密化されているので、Wet etching rateも抑えられるといった利点がある。
【0040】
このように残留C濃度の低減された緻密な二酸化シリコン膜17が、素子分離絶縁膜としてSTI溝内に埋め込まれるので、本実施形態により、素子分離特性の良好なデバイスを作製することが可能となる。
【0041】
(実施形態3)
前述の実施形態2における二酸化シリコン膜16の緻密化は、STI溝13内に埋め込んだ後に行なうこともできる。本実施形態においては、実施形態1と同様の手法により、図10に示すように、二酸化シリコン膜11およびCMPストッパー膜12が形成されたSi基板10のSTI溝13内に、二酸化シリコン膜16を埋め込んだ。緻密化前の二酸化シリコン膜16をCMPするので、実施形態2の場合よりも過水素化シラザン膜の絶対量が少ないため残存するC量も少なく、デバイス特性を悪化させにくいという点で有利である。
【0042】
次に、実施形態2と同様の条件で熱処理を施して、二酸化シリコン膜16の緻密化を行なった。その結果、図13に示したようにSTI溝13内には、緻密化された二酸化シリコン膜17が埋め込まれることになる。
【0043】
本実施形態によれば、不純物ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルを溶媒とした過水素化ポリシラザン溶液を用いて二酸化シリコン膜が形成されるので、この二酸化シリコン膜中に残留するC濃度は、2×1019(cm-3)以下に低減されることとなる。しかも、二酸化シリコン膜は緻密化されているので、Wet etching rateも抑えられるといった利点がある。
【0044】
このように残留C濃度の低減された緻密な二酸化シリコン膜17が、素子分離絶縁膜としてSTI溝内に埋め込まれるので、本実施形態によれば、素子分離特性の良好なデバイスを作製することが可能となる。
【0045】
(実施形態4)
図14乃至図18を参照して、本実施形態を説明する。
【0046】
まず、シリコン基板10の表面に、熱酸化法によりゲート絶縁膜(厚さ8nm以下)18を形成し、この上に第1のゲート(浮遊ゲート)電極膜19として、膜厚100nmの多結晶シリコン膜を形成した。第1のゲート電極膜19は、多結晶シリコン膜以外にWSi,CoSi等を用いて形成することもでき、その膜厚は100〜200nmの範囲内で適宜選択することができる。第1のゲート電極膜19の上には、CMPストッパー膜12として窒化シリコン膜(厚さ200nm程度)を減圧CVD法により形成した。CMPストッパー膜12としては、窒化シリコン膜の代わりに、100〜200nm程度の膜厚の多結晶シリコン膜を形成してもよい。
【0047】
フォトリソグラフィーおよびドライエッチング法により、図14に示すように、CMPストッパー膜12、第1のゲート電極膜19およびゲート絶縁膜18を貫通してSi基板10に達するように、STI溝13を形成した。ここでは、STI溝13のサイズは、幅100nm、深さ500nmとしたが、これに限定されるものではない。STI溝13の幅は、30nm〜10μmの範囲内で変更可能であり、深さは200〜500nmの範囲内で適宜決定することができる。
【0048】
続いて、実施形態1と同様の手法により過水素化ポリシラザン溶液を用いて、図15に示すように過水素化ポリシラザン膜15を形成し、水蒸気を含む雰囲気中で酸化処理を施して、図16に示すように二酸化シリコン膜16を形成した。
【0049】
すでに説明したような理由から、酸化処理は、230℃以上900℃以下の温度で5分以上行なうことが望まれる。さらに、CMPなどの手法により、CMPストッパー膜12上の二酸化シリコン膜16を選択的に除去して、図17に示すようにCMPストッパー膜12の表面を露出し、STI溝13内に二酸化シリコン膜16を残置した。以上の工程により、素子分離絶縁膜として二酸化シリコン膜16がSTI溝13内に埋め込み形成される。
【0050】
引き続いて、リン酸溶液を用いたエッチングによりCMPストッパー膜12を除去し、希フッ酸溶液を用いたウェットエッチングにより二酸化シリコン酸化膜16の上部を除去した。これによって、第1のゲート電極膜19の側面の上部の一部が100nm程度露出された。さらに、常法により電極間絶縁膜を20堆積し、その上に第2のゲート(制御ゲート)電極膜21を形成して、図18に示すようなNAND構造のメモリセルを得た。具体的には、電極間絶縁膜20は、減圧CVD法によりシリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜を順次堆積して20nm程度に形成し、第2のゲート電極膜21は、減圧CVD法により多結晶シリコン膜/タングステン膜を順次堆積して50nm程度に形成した。
【0051】
本実施形態によれば、不純物ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルを溶媒とした過水素化ポリシラザン溶液を用いて二酸化シリコン膜が形成されるので、この二酸化シリコン膜中に残留するC濃度は、2×1019(cm-3)以下に低減されることとなる。
【0052】
このように残留C濃度の低減された二酸化シリコン膜16が、素子分離絶縁膜としてSTI溝内に埋め込まれるので、本実施形態により、素子分離特性のおよび信頼性の良好なNANDデバイスを作製することが可能となる。
【0053】
(実施形態5)
前述の実施形態4と同様の手法により、図16に示すように、ゲート絶縁膜18、ゲート電極膜19およびCMPストッパー膜12が形成されSTI溝13を設けたSi基板10上に、二酸化シリコン膜16を形成した。各膜は、実施形態1の場合と同様の材料を用いて、同様の膜厚で形成した。
【0054】
次に、実施形態2と同様の条件で熱処理を施して二酸化シリコン膜16の緻密化を行ない、図19に示すように緻密化二酸化シリコン膜17を形成した。その後、CMPなどの手法により、CMPストッパー膜12上の緻密化二酸化シリコン膜17を選択的に除去した。CMPの条件も、実施形態2の場合と同様とした。こうして、図20に示すように、緻密化された二酸化シリコン膜17をSTI溝13内に残置した。その後は、前述の実施形態4と同様の手法により、図18に示したようなNAND構造のメモリセルを製造した。なお、本実施形態においては、二酸化シリコン膜の緻密化が行なわれているので、素子分離絶縁膜は、緻密化された二酸化シリコン膜により形成される。
【0055】
本実施形態によれば、不純物ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルを溶媒とした過水素化ポリシラザン溶液を用いて二酸化シリコン膜が形成されるので、この二酸化シリコン膜中に残留するC濃度は、2×1019(cm-3)以下に低減されることとなる。しかも、二酸化シリコン膜は緻密化されているので、Wet etching rateが抑えられるといった利点がある。
【0056】
このように残留C濃度の低減された緻密な二酸化シリコン膜17が、素子分離絶縁膜としてSTI溝内に埋め込まれるので、本実施形態によれば、素子分離特性のおよび信頼性の良好なNANDデバイスを作製することが可能となる。
【0057】
(実施形態6)
前述の実施形態5における二酸化シリコン膜16の緻密化は、STI溝13内に埋め込んだ後に行なうこともできる。本実施形態においては、実施形態4と同様の手法により、図17に示すように、ゲート絶縁膜18、ゲート電極膜10およびCMPストッパー膜12が形成されたSi基板10のSTI溝13内に、二酸化シリコン膜16を埋め込んだ。緻密化前の二酸化シリコン膜16をCMPするので、実施形態5の場合よりも過水素化シラザン膜の絶対量が少ないため残存するC量も少なく、デバイス特性を悪化させにくいという点で有利である。
【0058】
次に、実施形態2と同様の条件で熱処理を施して、二酸化シリコン膜16の緻密化を行なった。その結果、図20に示したようにSTI溝13内には、緻密化された二酸化シリコン膜17が埋め込まれることになる。その後は、前述の実施形態4と同様の手法により、図18に示したようなNAND構造のメモリセルを製造した。なお、本実施形態においては、二酸化シリコン膜の緻密化が行なわれているので、素子分離絶縁膜は、緻密化された二酸化シリコン膜により形成される。
【0059】
本実施形態によれば、不純物ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルを溶媒とした過水素化ポリシラザン溶液を用いて二酸化シリコン膜が形成されるので、この二酸化シリコン膜中に残留するC濃度は、2×1019(cm-3)以下に低減されることとなる。しかも、二酸化シリコン膜は緻密化されているので、Wet etching rateも抑えられる。
【0060】
このように残留C濃度の低減された緻密な二酸化シリコン膜16が、素子分離絶縁膜としてSTI溝内に埋め込まれるので、素子分離特性のおよび信頼性の良好なNANDデバイスを作製することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】過水素化ポリシラザン膜におけるC濃度の深さ分布(SIMS)を示すグラフ図。
【図2】過水素化ポリシラザン膜を酸化して得られた二酸化シリコン膜におけるC濃度の深さ分布(SIMS)を示すグラフ図。
【図3】Vfb測定のサンプルを示す断面図。
【図4】二酸化シリコン膜の膜厚とVfbとの関係を示すグラフ図。
【図5】二酸化シリコン膜中のC濃度とVfbとの関係を表わすグラフ図。
【図6】ジブチルエーテル中のブタノール濃度と膜中のC濃度との関係を表わすグラフ図。
【図7】本発明の一実施形態にかかるSTI埋め込み方法を示す工程断面図。
【図8】図7に続く工程を表わす断面図。
【図9】図8に続く工程を表わす断面図。
【図10】図9に続く工程を表わす断面図。
【図11】本発明の他の実施形態にかかるSTI埋め込み方法を示す工程断面図。
【図12】図11に続く工程を表わす断面図。
【図13】図12に続く工程を表わす断面図。
【図14】本発明の一実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図15】図14に続く工程を表わす断面図。
【図16】図15に続く工程を表わす断面図。
【図17】図16に続く工程を表わす断面図。
【図18】図17に続く工程を表わす断面図。
【図19】本発明の他の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図20】図19に続く工程を表わす断面図。
【図21】図20に続く工程を表わす断面図。
【符号の説明】
【0062】
100…シリコン基板; 101…SiO2膜; 102…SiO2膜
103…poly−Si電極; 10…シリコン基板; 11…二酸化シリコン膜
12…CMPストッパー膜; 13…素子分離溝; 15…過水素化ポリシラザン膜
16…二酸化シリコン膜; 17…緻密化した二酸化シリコン膜
18…ゲート絶縁膜; 19…第1のゲート(浮遊ゲート)電極膜
20…電極間絶縁膜; 21…第2のゲート(制御ゲート)電極膜。
【技術分野】
【0001】
本発明は、過水素化ポリシラザン溶液およびそれを用いた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の素子分離には、STI(Shallow Trench Isolation)構造が広く用いられている。STI構造は、半導体基板の素子分離領域にSTI溝を形成し、この溝に素子分離絶縁膜となるシリコン酸化(SiO2)膜などを埋め込む方法によって作製される。最近では、半導体装置の微細化に伴なって溝のアスペクト比が大きくなり、従来のオゾン(O3)−TEOS CVD−SiO2膜やHDP CVD SiO2膜では、STIの溝の中に、ボイドやシームを発生させずに埋め込むことが困難になりつつある。
【0003】
このため、100nm世代以降では、塗布型溶液SOG(Spin−On−Grass)を用いてSTI溝に素子分離絶縁膜を埋め込むことが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。SOG溶液としては、水酸化シリコン(シラノール、SiOH4)をアルコールなどの有機溶剤に溶解してなる薬液が一般的に使用され、この水酸化シリコン溶液を塗布して塗膜を形成後、熱処理が施される。熱処理によりシラノールの加水分解および脱水縮合反応が生じて、水酸化シリコン溶液の塗膜は二酸化シリコン膜に変化する。しかしながら、この加水分解および脱水縮合反応の際には、大きな体積収縮を生じる。その結果、STI溝内の二酸化シリコン膜にクラックが発生するという問題があった。
【0004】
そこで、SOG系の薬液として、比較的体積収縮の少ない過水素化ポリシラザン薬液が近年注目されている。(例えば、特許文献1参照。)
【非特許文献1】Void Free and Low Stress Shallow Trench Isolation Technology using P-SOG for sub 0.1μm Device (J. H. Heo et al.,2002 Symposium on VLSI Technology Digest of Technological Papers, pp132-133, 2002)
【特許文献1】特許第3178412号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、素子分離特性の良好な半導体装置を製造する方法、およびそれに用いる過水素化ポリシラザン溶液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様にかかる過水素化ポリシラザン溶液は、ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルと、前記ジブチルエーテルに溶解された過水素化ポリシラザンとを含有することを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様にかかる半導体装置の製造方法は、半導体基板に素子分離溝を形成する工程と、
前記素子分離溝が設けられた前記半導体基板上に前述の過水素化ポリシラザン溶液を塗布して、過水素化ポリシラザン膜を形成する工程と、
前記過水素化ポリシラザン膜を、水蒸気を含む雰囲気中で酸化して二酸化シリコン膜を形成する工程と、
前記二酸化シリコン膜を選択的に除去して、前記素子分離溝の内部に前記二酸化シリコン膜を残置し、素子分離絶縁膜を形成する工程とを具備することを特徴とする。
【0008】
本発明の他の態様にかかる半導体装置の製造方法は、半導体基板上に、ゲート絶縁膜、第1のゲート電極およびストッパー膜を順次形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜、第1のゲート電極およびストッパー膜が順次形成された半導体基板に素子分離溝を形成する工程と、
前記素子分離溝が設けられた前記半導体基板上に請求項1に記載の過水素化ポリシラザン溶液を前記半導体基板上に塗布して、過水素化ポリシラザン膜を形成する工程と、
前記過水素化ポリシラザン膜を、水蒸気を含む雰囲気中で酸化して二酸化シリコン膜を形成する工程と、
前記ストッパー膜上の前記二酸化シリコン膜を選択的に除去して、前記素子分離溝の内部に前記二酸化シリコン膜を残置し、素子分離絶縁膜を形成する工程と、
前記ストッパー膜を除去して、前記第1の電極膜の表面を露出する工程と、
前記素子分離絶縁膜の上部を除去して、前記第1の電極膜の側面の上部を露出する工程と、
前記側面の上部が露出した第1の電極膜および前記上部が除去された素子分離絶縁膜の上に、電極間絶縁膜を介して第2のゲート電極膜を形成する工程とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の態様によれば、素子分離特性の良好な半導体装置を製造する方法、およびそれに用いる過水素化ポリシラザン溶液が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0011】
本発明者らは、過水素化ポリシラザン溶液を用いてSTI溝に素子分離絶縁膜を形成して素子分離特性の良好な半導体装置を作製するために、まず、過水素化ポリシラザン溶液を用いて二酸化シリコン膜を形成し、その特性について詳細に検討した。
具体的には、過水素化ポリシラザンをジブチルエーテル溶媒に溶解してなる過水素化ポリシラザン溶液をスピンコート法により塗布し、ホットプレート上に載置して150℃3分のベーキングを施した。こうしてジブチルエーテル溶媒を揮発除去させて、膜厚500nmの過水素化ポリシラザン膜(PSZ膜)を形成し、SIMS測定を行なった。その結果を図1のグラフに示す。
【0012】
過水素化ポリシラザン膜中には、1×1021(cm-3)台の多量のCが含有されていることがわかる。用いた過水素化ポリシラザンは、−(SiH2−NH)−で表わされる繰り返し単位を有し、酸素は含まれていない。STI溝内に埋め込んで素子分離絶縁膜を形成するためには、この過水素化ポリシラザン膜に酸化処理を施して二酸化シリコン(SiO2)へ変化させる。
【0013】
ここでは、水蒸気を含む雰囲気で400℃15分の酸化処理を施して、過水素化ポリシラザン膜を二酸化シリコン膜に変化させた。得られた二酸化シリコン膜のSIMS測定を行ない、その結果を図2のグラフに示す。酸化処理後でも、8×1019(cm-3)程度のCが二酸化シリコン膜中に残留していることが、図2に明確に示されている。
【0014】
次に、過水素化ポリシラザン溶液を用いて形成された二酸化シリコン膜について、フラットバンド測定を行なった。図3には、フラットバンド測定サンプルの断面図を示す。まず、シリコン基板100上に10nmの熱酸化膜101を形成し、この上に過水素化ポリシラザン溶液をスピンコート法により塗布して、膜厚750nmの過水素化ポリシラザン膜を得た。水蒸気を含む雰囲気で400℃15分の酸化処理を行なったところ、約20%の膜収縮が生じて、膜厚約600nmの二酸化シリコン膜102が得られた。二酸化シリコン膜102上には、膜厚150nmの多結晶シリコン膜を堆積し、パターニングを行なって10mm2の面積の電極103を形成した。以上の工程により、第1のサンプルを得た。
【0015】
また、過水素化ポリシラザン膜の膜厚を500nmに変更した以外は、上述と同様にして第2のサンプルを作製した。これにおいては、二酸化シリコン膜102の膜厚は約400nmであった。
【0016】
比較のために、膜厚400nmの二酸化シリコン膜102をCVD−HDP法により堆積する以外は前述と同様の手法により、第3のサンプルを作製した。
【0017】
図3に示すサンプルにおいては、電極103に電圧を印加すると、正または負の電荷がシリコン基板100の表面に誘起される。その表面空間電荷密度Qsは、表面電位Φsの関数として表わされる。表面電位Φs=0の場合をフラットバンド状態といい、この状態を実現する印加電圧がフラットバンド電圧(Vfb)である。理想MOS構造においては、Vfb=0であるが、実際のMOS構造では酸化膜101中に電荷が存在し、シリコン基板100との界面には界面準位が存在する。このため、Vfbは0とはならない。
【0018】
第1乃至第3の3種類のサンプルについてVfbを測定したところ、第1のサンプルおよび第2のサンプルでは、それぞれ−7.6Vおよび−4.8Vであり、第3のサンプルのVfbは−3.2Vであった。得られたVfbを、二酸化シリコン膜102の膜厚に対してプロットた結果を、図4のグラフに示す。図中の直線aおよびbは、プロットした点を通るように原点から引いたものである。直線aは、過水素化ポリシラザン溶液を用いて形成された二酸化シリコン膜についての結果であり、直線bは、CVD−HDP法を用いて形成された二酸化シリコン膜についての結果である。
【0019】
直線bと直線aとの比較から、過水素化ポリシラザン膜を酸化することにより形成された二酸化シリコン膜(第1、第2のサンプル)では、CVD−HDP法により形成した二酸化シリコン膜(第3のサンプル)よりもVfbがマイナスにずれていることがわかる。同一の熱酸化膜101が形成されたSi基板100を用いていることから、この差は界面準位ではない。過水素化ポリシラザンを酸化処理して形成された二酸化シリコン膜中には、HDP酸化膜よりも多量にプラスの電荷が存在することが示唆される。
【0020】
電荷が存在する二酸化シリコン膜がSTIの埋め込み材として用いられた場合には、素子分離特性の悪化が引き起こされるおそれがある。これを避けるためには、過水素化ポリシラザン膜を酸化処理してなる二酸化シリコン膜をSTI埋め込み材として用いる場合にも、HDPと同等のVfbを示す膜であることが求められる。膜厚600nmの二酸化シリコン膜を基準に取ると、Vfbの値は−5(V)以上であることが要求される。
【0021】
次に、過水素化ポリシラザン膜の酸化条件を変えて、複数の二酸化シリコン膜を形成した。各二酸化シリコン膜について、C濃度およびVfbを前述と同様の手法により測定し、得られた結果を図5のグラフに示す。C濃度とVfbとの間には、よい相関が見られ、二酸化シリコン中におけるC濃度が2×1019(cm-3)以下であれば、Vfbを−5(V)以上にできることが示されている。
【0022】
本発明者らは、過水素化ポリシラザン膜を酸化して得られた二酸化シリコン膜中に存在するCの原因を検討し、過水素化ポリシラザン溶液の溶媒として用いられるジブチルエーテル(DBE; dibuthyl ether)に着目した。ジブチルエーテルはC4H9−O−C4H9で表わされ、2分子のブタノール(C4H9OH;BuOH)が脱水縮合することによって合成される。この縮合反応は可逆的に起こることから、微量のC4H9OHがジブチルエーテル中に残留して不可避不純物として存在する。
【0023】
ブタノールに起因したC濃度の影響を調べるため、まず、ブタノール濃度を変化させたジブチルエーテルを溶媒として用いて、種々の過水素化ポリシラザン溶液を調製した。各過水素化ポリシラザン溶液をスピンコート法によりSi基板上に塗布し、ホットプレートにより150℃3分のベーキングを行なって過水素化ポリシラザン膜を作製した。得られた過水素化ポリシラザン膜について、SIMS測定によりC濃度を測定し、その結果を図6のグラフに曲線cとして示す。ジブチルエーテル中の不純物ブタノール濃度と過水素化ポリシラザン膜中のC濃度との間には、相関関係があることが曲線cからわかる。
【0024】
この過水素化ポリシラザン膜に水蒸気を含む雰囲気で400℃15分の酸化処理を施して、二酸化シリコン膜に変化させた後、前述と同様にSIMS測定を行なってC濃度を測定した。得られた結果を、曲線dとして図6に示した。酸化処理を施すことによって、膜中のC濃度が減少することが、曲線cとの比較からわかる。図5のグラフを参照して説明したように、Vfbの値を所望の範囲内にするためには、二酸化シリコン膜中のC濃度は2×1019(cm-3)以下に抑制することが求められる。ジブチルエーテル溶媒中のブタノールの濃度が30ppm以下であれば、これが達成できることが、曲線dに示されている。
【0025】
以上の結果に基づいて、本発明者らは、ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルを溶媒とした過水素化ポリシラザン溶液を用いて形成された二酸化シリコン膜が、STI構造の素子分離絶縁膜を形成するのに最適であることを確認した。そこで、本発明の実施形態においては、ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルを溶媒とした過水素化ポリシラザン溶液を用いて、STI構造を形成するとともに、NAND構造の半導体デバイスを製造する。
【0026】
(実施形態1)
図7乃至図10を参照して、STI埋め込み方法を例に挙げて本実施形態を説明する。
【0027】
まず、シリコン基板10の表面に、熱酸化法により二酸化シリコン膜(厚さ10nm程度)11を形成し、その上に減圧CVD法によりCMPストッパー膜12としての窒化シリコン膜(厚さ200nm程度)12を形成した。基板上に形成される膜の膜厚は、適宜変更することができる。例えば、CMPストッパー膜12の膜厚は、100〜300nm程度でもよい。
【0028】
フォトリソグラフィーおよびドライエッチング法により、図7に示すように、CMPストッパー膜12および二酸化シリコン膜11を貫通してシリコン基板10に達するように、素子分離溝(STI溝)13を形成した。ここでは、STI溝13のサイズは、幅100nm、深さ500nmとしたが、これに限定されるものではない。STI溝13の幅は30nm〜10μmの範囲内で変更可能であり、深さは200〜500nmの範囲内で適宜決定することができる。
【0029】
次に、不純物ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルを溶媒として用いた過水素化ポリシラザン溶液を、スピンコーティング法によりSi基板10の全面に塗布して塗膜を形成した。なお、塗膜の形成に先立って、二酸化シリコン膜等の他の膜を、窒化シリコン膜12の上に形成してもよい。ホットプレート上で150℃3分のベーキングを行なって塗膜中から溶媒を揮発除去して、図8に示すような過水素化ポリシラザン膜15を形成した。
【0030】
次に、水蒸気を含む雰囲気中での酸化処理を施して、過水素化ポリシラザン膜15を図9に示すように二酸化シリコン膜16に変化させた。酸化処理は、例えば、230℃以上900℃以下の温度で行なうことができる。温度が230℃未満の場合には、過水素化ポリシラザン膜を酸化処理して得られる二酸化シリコン膜は、非常にポーラスとなる。このため、フッ酸を含む溶液で容易にエッチング除去されてしまい、任意の高さの素子分離絶縁膜を形成することが困難となる。一方、水蒸気を含む雰囲気で900℃を越える温度で酸化が行なわれると、STI溝13の側面が厚く酸化されてしまう。最悪の場合には、Si基板10に転位が生じることがあり、100nmクラスのデザインルールのデバイスのSTI形成方法として適切ではない。
【0031】
また、炉内の雰囲気および温度を安定にするために、酸化時間は5分以上であることが好ましい。ただし、過剰に長時間の酸化が行なわれると、STI溝13の側面が厚く酸化されてしまうおそれがある。したがって、酸化時間の上限は、60分程度にとどめることが望まれる。
ここでは400℃15分の酸化処理を施して、過水素化ポリシラザン膜15を二酸化シリコン膜16に変化させた。
【0032】
続いて、CMPなどの手法により二酸化シリコン膜16を選択的に除去して、図10に示すようにCMPストッパー膜12の表面を露出し、STI溝13内に二酸化シリコン膜16を残置した。以上の工程により、素子分離絶縁膜がSTI溝13内に埋め込み形成される。
【0033】
本実施形態によれば、不純物ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルを溶媒とした過水素化ポリシラザン溶液を用いて二酸化シリコン膜が形成されるので、この二酸化シリコン膜中に残留するC濃度は、2×1019(cm-3)以下に低減されることとなる。
【0034】
このように残留C濃度の低減された二酸化シリコン膜16が、素子分離絶縁膜としてSTI溝内に埋め込まれるので、本実施形態により、素子分離特性の良好なデバイスを作製することが可能となる。
【0035】
(実施形態2)
前述の実施形態1と同様の手法により、図9に示すように、二酸化シリコン膜11およびCMPストッパー膜12が形成されSTI溝13を設けたSi基板10上に、二酸化シリコン膜16を形成した。各膜は、実施形態1の場合と同様の材料を用いて、同様の膜厚で形成した。
【0036】
本実施形態においては、CMPに先立って二酸化シリコン膜16の緻密化を行なう。二酸化シリコン膜16は、不活性ガス雰囲気中で700℃以上1,100℃以下の熱処理により緻密化することができる。700℃未満では、二酸化シリコン膜16を十分に緻密化することが困難となる。一方、1,100℃を越えると、デバイスによっては先にイオン注入によって形成したチャネル層の拡散深さを深くしてしまうおそれがある。熱処理の時間は、1秒〜120分の範囲内で適宜選択すればよい。こうした条件で熱処理を施すことによって、二酸化シリコン膜16中から水分が除去されて、緻密化が達成される。
【0037】
ここでは、900℃で30分の熱処理を行なって、二酸化シリコン膜16を図11に示すように緻密化された二酸化シリコン膜17に変化させた。
【0038】
続いて、CMPなどの手法により緻密化二酸化シリコン膜17を選択的に除去して、図12に示すようにCMPストッパー膜12の表面を露出し、STI溝13内に緻密化された二酸化シリコン膜17を残置した。
【0039】
本実施形態によれば、不純物ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルを溶媒とした過水素化ポリシラザン溶液を用いて二酸化シリコン膜が形成されるので、この二酸化シリコン膜中に残留するC濃度は、2×1019(cm-3)以下に低減されることとなる。しかも、二酸化シリコン膜は緻密化されているので、Wet etching rateも抑えられるといった利点がある。
【0040】
このように残留C濃度の低減された緻密な二酸化シリコン膜17が、素子分離絶縁膜としてSTI溝内に埋め込まれるので、本実施形態により、素子分離特性の良好なデバイスを作製することが可能となる。
【0041】
(実施形態3)
前述の実施形態2における二酸化シリコン膜16の緻密化は、STI溝13内に埋め込んだ後に行なうこともできる。本実施形態においては、実施形態1と同様の手法により、図10に示すように、二酸化シリコン膜11およびCMPストッパー膜12が形成されたSi基板10のSTI溝13内に、二酸化シリコン膜16を埋め込んだ。緻密化前の二酸化シリコン膜16をCMPするので、実施形態2の場合よりも過水素化シラザン膜の絶対量が少ないため残存するC量も少なく、デバイス特性を悪化させにくいという点で有利である。
【0042】
次に、実施形態2と同様の条件で熱処理を施して、二酸化シリコン膜16の緻密化を行なった。その結果、図13に示したようにSTI溝13内には、緻密化された二酸化シリコン膜17が埋め込まれることになる。
【0043】
本実施形態によれば、不純物ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルを溶媒とした過水素化ポリシラザン溶液を用いて二酸化シリコン膜が形成されるので、この二酸化シリコン膜中に残留するC濃度は、2×1019(cm-3)以下に低減されることとなる。しかも、二酸化シリコン膜は緻密化されているので、Wet etching rateも抑えられるといった利点がある。
【0044】
このように残留C濃度の低減された緻密な二酸化シリコン膜17が、素子分離絶縁膜としてSTI溝内に埋め込まれるので、本実施形態によれば、素子分離特性の良好なデバイスを作製することが可能となる。
【0045】
(実施形態4)
図14乃至図18を参照して、本実施形態を説明する。
【0046】
まず、シリコン基板10の表面に、熱酸化法によりゲート絶縁膜(厚さ8nm以下)18を形成し、この上に第1のゲート(浮遊ゲート)電極膜19として、膜厚100nmの多結晶シリコン膜を形成した。第1のゲート電極膜19は、多結晶シリコン膜以外にWSi,CoSi等を用いて形成することもでき、その膜厚は100〜200nmの範囲内で適宜選択することができる。第1のゲート電極膜19の上には、CMPストッパー膜12として窒化シリコン膜(厚さ200nm程度)を減圧CVD法により形成した。CMPストッパー膜12としては、窒化シリコン膜の代わりに、100〜200nm程度の膜厚の多結晶シリコン膜を形成してもよい。
【0047】
フォトリソグラフィーおよびドライエッチング法により、図14に示すように、CMPストッパー膜12、第1のゲート電極膜19およびゲート絶縁膜18を貫通してSi基板10に達するように、STI溝13を形成した。ここでは、STI溝13のサイズは、幅100nm、深さ500nmとしたが、これに限定されるものではない。STI溝13の幅は、30nm〜10μmの範囲内で変更可能であり、深さは200〜500nmの範囲内で適宜決定することができる。
【0048】
続いて、実施形態1と同様の手法により過水素化ポリシラザン溶液を用いて、図15に示すように過水素化ポリシラザン膜15を形成し、水蒸気を含む雰囲気中で酸化処理を施して、図16に示すように二酸化シリコン膜16を形成した。
【0049】
すでに説明したような理由から、酸化処理は、230℃以上900℃以下の温度で5分以上行なうことが望まれる。さらに、CMPなどの手法により、CMPストッパー膜12上の二酸化シリコン膜16を選択的に除去して、図17に示すようにCMPストッパー膜12の表面を露出し、STI溝13内に二酸化シリコン膜16を残置した。以上の工程により、素子分離絶縁膜として二酸化シリコン膜16がSTI溝13内に埋め込み形成される。
【0050】
引き続いて、リン酸溶液を用いたエッチングによりCMPストッパー膜12を除去し、希フッ酸溶液を用いたウェットエッチングにより二酸化シリコン酸化膜16の上部を除去した。これによって、第1のゲート電極膜19の側面の上部の一部が100nm程度露出された。さらに、常法により電極間絶縁膜を20堆積し、その上に第2のゲート(制御ゲート)電極膜21を形成して、図18に示すようなNAND構造のメモリセルを得た。具体的には、電極間絶縁膜20は、減圧CVD法によりシリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜を順次堆積して20nm程度に形成し、第2のゲート電極膜21は、減圧CVD法により多結晶シリコン膜/タングステン膜を順次堆積して50nm程度に形成した。
【0051】
本実施形態によれば、不純物ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルを溶媒とした過水素化ポリシラザン溶液を用いて二酸化シリコン膜が形成されるので、この二酸化シリコン膜中に残留するC濃度は、2×1019(cm-3)以下に低減されることとなる。
【0052】
このように残留C濃度の低減された二酸化シリコン膜16が、素子分離絶縁膜としてSTI溝内に埋め込まれるので、本実施形態により、素子分離特性のおよび信頼性の良好なNANDデバイスを作製することが可能となる。
【0053】
(実施形態5)
前述の実施形態4と同様の手法により、図16に示すように、ゲート絶縁膜18、ゲート電極膜19およびCMPストッパー膜12が形成されSTI溝13を設けたSi基板10上に、二酸化シリコン膜16を形成した。各膜は、実施形態1の場合と同様の材料を用いて、同様の膜厚で形成した。
【0054】
次に、実施形態2と同様の条件で熱処理を施して二酸化シリコン膜16の緻密化を行ない、図19に示すように緻密化二酸化シリコン膜17を形成した。その後、CMPなどの手法により、CMPストッパー膜12上の緻密化二酸化シリコン膜17を選択的に除去した。CMPの条件も、実施形態2の場合と同様とした。こうして、図20に示すように、緻密化された二酸化シリコン膜17をSTI溝13内に残置した。その後は、前述の実施形態4と同様の手法により、図18に示したようなNAND構造のメモリセルを製造した。なお、本実施形態においては、二酸化シリコン膜の緻密化が行なわれているので、素子分離絶縁膜は、緻密化された二酸化シリコン膜により形成される。
【0055】
本実施形態によれば、不純物ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルを溶媒とした過水素化ポリシラザン溶液を用いて二酸化シリコン膜が形成されるので、この二酸化シリコン膜中に残留するC濃度は、2×1019(cm-3)以下に低減されることとなる。しかも、二酸化シリコン膜は緻密化されているので、Wet etching rateが抑えられるといった利点がある。
【0056】
このように残留C濃度の低減された緻密な二酸化シリコン膜17が、素子分離絶縁膜としてSTI溝内に埋め込まれるので、本実施形態によれば、素子分離特性のおよび信頼性の良好なNANDデバイスを作製することが可能となる。
【0057】
(実施形態6)
前述の実施形態5における二酸化シリコン膜16の緻密化は、STI溝13内に埋め込んだ後に行なうこともできる。本実施形態においては、実施形態4と同様の手法により、図17に示すように、ゲート絶縁膜18、ゲート電極膜10およびCMPストッパー膜12が形成されたSi基板10のSTI溝13内に、二酸化シリコン膜16を埋め込んだ。緻密化前の二酸化シリコン膜16をCMPするので、実施形態5の場合よりも過水素化シラザン膜の絶対量が少ないため残存するC量も少なく、デバイス特性を悪化させにくいという点で有利である。
【0058】
次に、実施形態2と同様の条件で熱処理を施して、二酸化シリコン膜16の緻密化を行なった。その結果、図20に示したようにSTI溝13内には、緻密化された二酸化シリコン膜17が埋め込まれることになる。その後は、前述の実施形態4と同様の手法により、図18に示したようなNAND構造のメモリセルを製造した。なお、本実施形態においては、二酸化シリコン膜の緻密化が行なわれているので、素子分離絶縁膜は、緻密化された二酸化シリコン膜により形成される。
【0059】
本実施形態によれば、不純物ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルを溶媒とした過水素化ポリシラザン溶液を用いて二酸化シリコン膜が形成されるので、この二酸化シリコン膜中に残留するC濃度は、2×1019(cm-3)以下に低減されることとなる。しかも、二酸化シリコン膜は緻密化されているので、Wet etching rateも抑えられる。
【0060】
このように残留C濃度の低減された緻密な二酸化シリコン膜16が、素子分離絶縁膜としてSTI溝内に埋め込まれるので、素子分離特性のおよび信頼性の良好なNANDデバイスを作製することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】過水素化ポリシラザン膜におけるC濃度の深さ分布(SIMS)を示すグラフ図。
【図2】過水素化ポリシラザン膜を酸化して得られた二酸化シリコン膜におけるC濃度の深さ分布(SIMS)を示すグラフ図。
【図3】Vfb測定のサンプルを示す断面図。
【図4】二酸化シリコン膜の膜厚とVfbとの関係を示すグラフ図。
【図5】二酸化シリコン膜中のC濃度とVfbとの関係を表わすグラフ図。
【図6】ジブチルエーテル中のブタノール濃度と膜中のC濃度との関係を表わすグラフ図。
【図7】本発明の一実施形態にかかるSTI埋め込み方法を示す工程断面図。
【図8】図7に続く工程を表わす断面図。
【図9】図8に続く工程を表わす断面図。
【図10】図9に続く工程を表わす断面図。
【図11】本発明の他の実施形態にかかるSTI埋め込み方法を示す工程断面図。
【図12】図11に続く工程を表わす断面図。
【図13】図12に続く工程を表わす断面図。
【図14】本発明の一実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図15】図14に続く工程を表わす断面図。
【図16】図15に続く工程を表わす断面図。
【図17】図16に続く工程を表わす断面図。
【図18】図17に続く工程を表わす断面図。
【図19】本発明の他の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図20】図19に続く工程を表わす断面図。
【図21】図20に続く工程を表わす断面図。
【符号の説明】
【0062】
100…シリコン基板; 101…SiO2膜; 102…SiO2膜
103…poly−Si電極; 10…シリコン基板; 11…二酸化シリコン膜
12…CMPストッパー膜; 13…素子分離溝; 15…過水素化ポリシラザン膜
16…二酸化シリコン膜; 17…緻密化した二酸化シリコン膜
18…ゲート絶縁膜; 19…第1のゲート(浮遊ゲート)電極膜
20…電極間絶縁膜; 21…第2のゲート(制御ゲート)電極膜。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルと、前記ジブチルエーテルに溶解された過水素化ポリシラザンとを含有することを特徴とする過水素化ポリシラザン溶液。
【請求項2】
半導体基板に素子分離溝を形成する工程と、
前記素子分離溝が設けられた前記半導体基板上に請求項1に記載の過水素化ポリシラザン溶液を塗布して、過水素化ポリシラザン膜を形成する工程と、
前記過水素化ポリシラザン膜を、水蒸気を含む雰囲気中で酸化して二酸化シリコン膜を形成する工程と、
前記二酸化シリコン膜を選択的に除去して、前記素子分離溝の内部に前記二酸化シリコン膜を残置し、素子分離絶縁膜を形成する工程とを具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
半導体基板上に、ゲート絶縁膜、第1のゲート電極およびストッパー膜を順次形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜、第1のゲート電極およびストッパー膜が順次形成された半導体基板に素子分離溝を形成する工程と、
前記素子分離溝が設けられた前記半導体基板上に請求項1に記載の過水素化ポリシラザン溶液を前記半導体基板上に塗布して、過水素化ポリシラザン膜を形成する工程と、
前記過水素化ポリシラザン膜を、水蒸気を含む雰囲気中で酸化して二酸化シリコン膜を形成する工程と、
前記ストッパー膜上の前記二酸化シリコン膜を選択的に除去して、前記素子分離溝の内部に前記二酸化シリコン膜を残置し、素子分離絶縁膜を形成する工程と、
前記ストッパー膜を除去して、前記第1の電極膜の表面を露出する工程と、
前記素子分離絶縁膜の上部を除去して、前記第1の電極膜の側面の上部を露出する工程と、
前記側面の上部が露出した第1の電極膜および前記上部が除去された素子分離絶縁膜の上に、電極間絶縁膜を介して第2のゲート電極膜を形成する工程と
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記二酸化シリコン膜を選択的に除去する前に、前記二酸化シリコン膜を緻密化する工程を具備することを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記半導体基板の前記素子分離溝内に残置された前記二酸化シリコン膜を緻密化することを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
ブタノール濃度が30ppm以下のジブチルエーテルと、前記ジブチルエーテルに溶解された過水素化ポリシラザンとを含有することを特徴とする過水素化ポリシラザン溶液。
【請求項2】
半導体基板に素子分離溝を形成する工程と、
前記素子分離溝が設けられた前記半導体基板上に請求項1に記載の過水素化ポリシラザン溶液を塗布して、過水素化ポリシラザン膜を形成する工程と、
前記過水素化ポリシラザン膜を、水蒸気を含む雰囲気中で酸化して二酸化シリコン膜を形成する工程と、
前記二酸化シリコン膜を選択的に除去して、前記素子分離溝の内部に前記二酸化シリコン膜を残置し、素子分離絶縁膜を形成する工程とを具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
半導体基板上に、ゲート絶縁膜、第1のゲート電極およびストッパー膜を順次形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜、第1のゲート電極およびストッパー膜が順次形成された半導体基板に素子分離溝を形成する工程と、
前記素子分離溝が設けられた前記半導体基板上に請求項1に記載の過水素化ポリシラザン溶液を前記半導体基板上に塗布して、過水素化ポリシラザン膜を形成する工程と、
前記過水素化ポリシラザン膜を、水蒸気を含む雰囲気中で酸化して二酸化シリコン膜を形成する工程と、
前記ストッパー膜上の前記二酸化シリコン膜を選択的に除去して、前記素子分離溝の内部に前記二酸化シリコン膜を残置し、素子分離絶縁膜を形成する工程と、
前記ストッパー膜を除去して、前記第1の電極膜の表面を露出する工程と、
前記素子分離絶縁膜の上部を除去して、前記第1の電極膜の側面の上部を露出する工程と、
前記側面の上部が露出した第1の電極膜および前記上部が除去された素子分離絶縁膜の上に、電極間絶縁膜を介して第2のゲート電極膜を形成する工程と
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記二酸化シリコン膜を選択的に除去する前に、前記二酸化シリコン膜を緻密化する工程を具備することを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記半導体基板の前記素子分離溝内に残置された前記二酸化シリコン膜を緻密化することを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2006−253310(P2006−253310A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−65811(P2005−65811)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]