説明

面エピ形状とソース/ドレインの部分的に覆われるシリサイド周辺とに関するフィンフェット

【課題】低い寄生抵抗(例えば、Rpara)および/または高い駆動電流の改善された特性を有するフィンフェットを提供する。
【解決手段】フィンフェット100およびフィンフェットの製造方法が提供される。フィンフェットは、半導体基板106上に、2つまたは複数のフィン102,104と、前記フィンの側面に設けられるエピタキシャル層108,110と、前記エピタキシャル層の表面上を覆うように設けられる金属−半導体化合物112,114とを備える。フィンは、前記半導体基板の表面上に対して実質的に垂直な側面を有する。前記エピタキシャル層は、前記フィンの側面に対して斜角を有して延設される表面を有する。フィンフェットは、前記金属−半導体化合物上に設けられるコンタクト116を含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の実施形態は、例えば、フィン電界効果トランジスタ(例えば、FinFETs)およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタの微細化継続に向けて、従来の平面型とは異なる構造を持つ新規トランジスタの開発が進められている。その一つとして、マルチゲートフィン効果トランジスタがある。マルチゲートフィン効果トランジスタは、平面トランジスタよりもショートチャネル効果の抑制が可能で、オフ電流を増大させることなく駆動電流の改善が可能なデバイスとして注目されている。フィンフェットの特徴のひとつは、半導体基板に対して垂直に形成された薄いフィンの両側面に伝導キャリアが流れるチャネル領域が形成されることである。フィンのディメンジョンは、デバイスのショートチャネル効果の改善の程度を決定し得る。用語”フィンフェット(FinFETs)”は、ゲートの数に関わらずマルチゲートトランジスタ構成等、フィンを基本としたどのようなものを記述するためにも用いられる。マルチゲートフィン電界効果トランジスタの例としては、ダブルゲートフィンフェットやトリプルゲートフィンフェットを含む。
【0003】
ダブルゲートフィンフェット(Double-gate FinFETs)は、薄い半導体のフィンにそのチャネル領域が形成される電界効果トランジスタ(FET)である。ゲート電極は、基板に垂直に形成されたフィンを上から挟み込むように配置される。ゲート電極を挟んで対向しているフィン上の領域のうち片方にソース領域、もう片側にドレイン領域が形成される。ある場合には、フィンの側面のみならず、フィンの上面もしくは下面にもチャネル領域が形成される。フィンフェットは完全空乏型デバイスになるようにフィンの幅が設計されている。
【0004】
トリプルゲートフィンフェット(Tri-gate FinFETs)は、ダブルゲートフィンフェットと同様な構成を有する。トリプルゲートフィンフェットのフィン幅および高さは、しかしながら、ゲートが上面および対向するサイドウォールを含むチャネルの三面上に形成され得るように、およそ同様である。幅に対する高さの比は、一般的に、3:2から2:3の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1A】主要な一態様に関するフィンフェットの一例に係る断面図。
【図1B】主要な一態様に関するフィンフェットの一例に係る断面図。
【図2A】主要な一態様に関するフィンフェットの一例に係る断面図。
【図2B】主要な一態様に関するフィンフェットの一例に係る断面図。
【図3A】主要な一態様に関するフィンフェットの一例に係る断面図。
【図3B】主要な一態様に関するフィンフェットの一例に係る断面図。
【図4】主要な一態様に関するフィンフェットのフィンを形成する一工程を示す図。
【図5】主要な一態様に関するフィンフェットのフィンを形成する一工程を示す図。
【図6】主要な一態様に関するフィンフェットのフィンを形成する一工程を示す図。
【図7】主要な一態様に関するフィンフェットのフィンを形成する一工程を示す図。
【図8】主要な一態様に関するフィンフェットのフィンを形成する一工程を示す図。
【図9】主要な一態様に関するフィンフェットのフィンを形成する一工程を示す図。
【図10】主要な一態様に関するフィンフェットのフィンを形成する一工程を示す図。
【図11】主要な一態様に関するフィンフェットのフィンを形成する一工程を示す図。
【図12】主要な一態様に関するフィンフェットのフィンを形成する一工程を示す図。
【図13】主要な一態様に関するフィンフェットのフィンを形成する一工程を示す図。
【図14】主要な一態様に関するフィンフェットのフィンを形成する一工程を示す図。
【図15】主要な一態様に関するフィンフェットのフィンを形成する一工程を示す図。
【図16】主要な一態様に関するフィンフェットのフィンを形成する一工程を示す図。
【図17】主要な一態様に関するフィンフェットのフィンを形成する一工程を示す図。
【図18】主要な一態様に関するフィンフェットのフィンを形成する一工程を示す図。
【図19】主要な一態様に関するフィンフェットのフィンを形成する一工程を示す図。
【図20】主要な一態様に関するフィンフェットのフィンを形成する一工程を示す図。
【図21】主要な一態様に関するフィンフェットのフィンを形成する工程のフロー図。
【図22】主要な一態様に関するフィンフェットのフィンを形成する工程のフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
主要な一態様によれば、低い寄生抵抗(例えば、Rpara)および/または高い駆動電流の改善された特性を有するフィンフェットを提供できる。フィンフェットは、半導体基板上の2つまたはそれ以上のフィン、およびフィンの側面上の2つまたはそれ以上のエピタキシャル層を含み得る。エピタキシャル層は、フィンの側面に対して斜角を有して延設される表面を有する。金属−半導体化合物が、上記エピタキシャル層の斜角を有する表面の上に形成される。上記斜角を有するエピタキシャル層を持つフィンフェットは、斜角を有さないエピタキシャル層を持つフィンフェットと比較して、チャネルと上記金属−半導体化合物との距離が短くなり、さらに金属−半導体化合物とエピタキシャル層との間の接触面積が大きくなる。
【0007】
主要な一態様によれば、低い寄生抵抗(例えば、Rpara)および/または高い駆動電流の改善された特性を有するフィンフェットを提供できる。フィンフェットは、半導体基板上の2つまたはそれ以上のフィン;フィンの側面上の2つまたはそれ以上のエピタキシャル層;および上記エピタキシャル層の表面上に形成される金属−半導体化合物、を含む。フィンは、実質的に半導体基板の表面上に対して垂直な側面を有する。エピタキシャル層は、フィンの側面に対して斜角を有して延設される表面を有し、フィンの表面上に延設されない。フィンフェットは、金属−半導体化合物上のコンタクトを含み得る。
【0008】
他の一態様としては、フィンフェットの製造方法に関する。その製造方法は、半導体基板上に半導体材料を含むフィンを形成すること;フィンの側面上にエピタキシャル層を形成すること;および金属−半導体化合物をエピタキシャル層の表面上に形成すること、を含む。
【0009】
さらに他の一態様としては、コンタクトと電気的に接続させるフィンの製造方法である。その方法は、フィンの側面上にエピタキシャル層を形成すること;エピタキシャル層の表面上に金属−半導体化合物を形成すること、を含む。エピタキシャル層は、フィンの側面に対してそれぞれ斜角を有して延設される表面を有する。
【0010】
以下の記載および添付される図面は、前段の一態様について、ある実施形態における側面を説明するものである。これらの一側面は示されるものであるが、しかし様々な方法のうちのひとつであり、明細書の定義において用いられるものではない。他の効果および明細書の新規性ある特徴は、図面を参照して考慮すると以下の開示される詳細な説明により、明らかとなり得る。
【0011】
請求項に係る主要な要件は図面を参照して以下により記述される、そこで、参照符号等は、全体にわたり要素として記述するように用いられる。以下の記述において、説明のために、多数の具体的な説明が、上記請求項に係る主要な要件の十分な理解を与えるために、設けられる。
【0012】
図1Aおよび図1Bは、ある部分におけるフィンフェット100A,100Bの一例を示す断面図を示すものである。フィンフェットは、半導体基板106上に2つまたはそれ以上のフィン102,104を備える。フィンフェットは、フィンの側面上に2つまたはそれ以上のエピタキシャル層108,110を備える。エピタキシャル層は、フィンの側面に対して斜角を有して延設される表面を有する。フィンフェットは、上記エピタキシャル層の表面上に金属−半導体化合物112,114を備える。フィンフェットは、斜角を有するエピタキシャル層の表面上のコンタクト116を備え得る。この実施形態において、フィンフェットは、トランジスタ構造のソース/ドレイン領域をそれぞれ備える。
【0013】
フィンは、適切な半導体材料(例えば、シリコン(silicon)等)を含む。半導体基板は主にシリコンを含む。フィンは、例えば、図4乃至図8を用いて詳細に説明される方法と同様に、半導体基板と一体として設けられる。この実施形態において、図1Aに図示するように、フィンは半導体基板の一部である。そのようなフィンは、半導体基板の表面を除去してフィンを残存させることにより形成される。素子分離領域(STI:シャロートレンチアイソレーション)118はフィン間に形成され、エピタキシャル層はフィンの側面STI側へと成長する。STIは、例えば、酸化シリコン(silicon oxides)や窒化シリコン(silicon nitrides))等の適当ないずれかの絶縁材料を含み得る。
【0014】
他の実施形態に関して、図1Bに図示するように、フィンは、半導体基板と電気的に非接続な状態で設けられる。このフィンは、半導体基板上に、一層または複数層の誘電層により形成され得る。例えば、このフィンは、半導体基板上に誘電層(例えば、埋め込みシリコン酸化膜)を形成する工程、上記誘電層上に半導体層を形成する工程、および上記半導体層の一部分を除去しフィンを残存させる工程、により形成される。
【0015】
このフィンは、実質的に半導体基板の表面上に対して垂直な側面を有する。この実施形態において、垂直に対して約20°以内に延設される側面を有する。他の実施形態において、垂直に対して約10°以内に延設される側面を有する。垂直に対して約5°以内に延設される側面を有する。
【0016】
このフィンは、フィンフェット構造の所望の実施に応じて、いくつかの適切な幅を有する。その幅は、変更し得、主要な態様に対して決定的ではない。全てのフィンは同様の幅を有し、またはいくつかのもしくは全てのフィンは互いに異なった幅を有する。この実施形態において、フィンの幅は約5nmかこれより大きく、または約30nmかこれより小さい。他の実施形態において、フィンの幅は約10nmかこれより大きく、または約20nmかこれより小さい。その他の実施形態において、フィンの幅は約12nmかこれより大きく、または約18nmかこれより小さい。さらに他の実施形態において、フィンの幅は約15nm程度である。
【0017】
フィンは、フィンフェット構造の所望の実施に応じて、いくつかの適切な高さ(Hfin)を有する。その高さは、変更し得、主要な態様に対して決定的ではない。全てのフィンは同様の高さを有し、またはいつかのもしくは全てのフィンは互いに異なった高さを有する。この実施形態において、フィンの高さは約5nmかこれより大きく、または約80nmかこれより小さい。他の実施形態において、フィンの高さは約10nmかこれより大きく、または約70nmかこれより小さい。その他の実施形態において、フィンの幅は約15nmかこれより大きく、または約60nmかこれより小さい。
【0018】
エピタキシャル層は、フィンの側面に対して実施的に斜角な表面を有する。他の実施形態において、エピタキシャル層は、半導体基板の表面に対して実施的に斜角な表面を有する。換言すると、その表面は、半導体基板の表面に垂直な軸に対して斜角で延設される。
【0019】
この実施形態において、エピタキシャル層は、フィンの側面と垂直な表面を含まない。その他の実施形態において、エピタキシャル層は、半導体基板の表面と平行な表面を含まない。さらに他の実施形態において、エピタキシャル層は、(111)面やこれと同等な面(以下に記載される”(111)面”)を含む表面を備える。さらに他の実施形態において、エピタキシャル層は、水平な表面である表面を含まない。エピタキシャル層が有する斜角な表面は、以下において詳細に記述されるいくつかの適切なエピタキシャルプロセスにより形成され得る。
【0020】
その表面は、図1A,図1Bに示すように、フィンの側面に対して斜角θ1で延設される。その表面は、フィンの表面上に延設されない。この実施形態において、斜角θ1は、約30°かこれより大きく、または約85°かこれより小さい。他の実施形態において、斜角θ1は約35°かこれより大きく、または約75°かこれより小さい。その他の実施形態において、斜角θ1は約45°かこれより大きく、または約65°かこれより小さい。
【0021】
フィン間の長さ(Lfin)は、フィンフェット構造の所望の実施に応じて、いくつかの適切な長さを有する。隣接するフィンは、エピタキシャル層上に形成される金属−半導体化合物が電気的に互いに接続されるように、いくつかの適切な長さを有する。この実施形態において、フィンは、エピタキシャル層が三角形の断面を有し、断面の三角形の頂点が電気的に互いに接続されるような長さを有する。全てのエピタキシャル層は三角形の断面のあるディメンジョンを有し、フィンのいくつかまたは全ては互いに三角形の断面の異なるディメンジョンを有する。
【0022】
エピタキシャル層がフィンの側面に対して斜角θ1で延設される表面を有する場合、フィン間の長さは、斜角θ1のタンジェントとフィンの高さ(Hfin)とを乗じることにより計算される。角度θ1は、フィンの側面からの距離により測定される。斜角θ1が約55°程度である場合、フィン間の長さは、フィンの高さの約1.4倍である。
【0023】
金属−半導体化合物は、フィンとコンタクトとの電気的接続を電気的に容易にさせる。フィンはエピタキシャル層と直接接合しており、フィンはエピタキシャル層と金属−半導体化合物とによりコンタクトに電気的に接続される。フィンフェットはフィンおよびエピタキシャル層においていくつかの適切な半導体材料や金属−半導体化合物を含み得る。例えば、半導体材料としては、シリコン,ゲルマニウム,ガリウム,ヒ化合物,インジウムリン化合物,等を含む。例えば、金属−半導体化合物としては、金属シリコン,金属ゲルマニウム,金属ゲルマニウムシリサイド,等を含む。フィンおよび/またはエピタキシャル層は、同様のまたは異なる半導体材料を含み得る。しかしながら、フィンフェットはどのような適切な半導体材料や金属−半導体化合物をも含み得、主要な態様では、後の例示において、フィンおよびエピタキシャル層が、ある場合に、シリコンとして半導体材料を含み、金属シリサイドとして金属−半導体化合物を含むことを、図示して説明する。
【0024】
この実施形態において、金属−半導体化合物は、エピタキシャル層やそのある部分の表面上全体を覆って設けられる。他の実施形態において、金属−半導体化合物は、エピタキシャル層やそのある部分の表面上全体を覆って設けられ、フィンの表面上全体を覆って設けられる。
【0025】
金属−半導体化合物は、フィンフェット構造の所望の実施に応じて、いくつかの適切な膜厚を有する。その膜厚は、変更し得、主要な態様に対して決定的ではない。全てのエピタキシャル層上の金属−半導体化合物は同様の膜厚を有し、またはいつかのもしくは全ての金属−半導体化合物は互いに異なった膜厚を有する。この実施形態において、金属−半導体化合物の膜厚は約1nmかこれより大きく、約30nmかこれより小さい。他の実施形態において、金属−半導体化合物の膜厚は約1nmかこれより大きく、約20nmかこれより小さい。その他の実施形態において、金属−半導体化合物の膜厚は約1nmかこれより大きく、約10nmかこれより小さい。さらに他の実施形態において、フィンの幅は約15nm程度である。
【0026】
コンタクトは、フィンと導電層または導電線(例えば、金属層や金属線等)(図示せず)とを、エピタキシャル層や金属−半導体化合物を介して、電気的に繋ぐ。コンタクトの下面は、金属−半導体化合物の表面と接触され得る。コンタクトの下面は、エピタキシャル層の表面と同様の斜角を有し得る。
【0027】
コンタクトは、金属材料として適切ないくつかの導電材料を含み得る。例えば、金属材料は、金属,金属合金,等を含む。より具体的には、例えば、金属材料は、アルミニウム(Al),金(Au),プラチナ(Pt),銅(Cu),銀(Ag),コバルト(Co),イリジウム(Ir),タングステン(W),およびモリブデン(Mo),ルテニウム(Ru),ニッケル(Ni),パラジウム(Pd),タンタル(Ta),チタニウム(Ti),およびこれらの合金,等を含む。
【0028】
コンタクトは、いくつかの適切な技術により形成され得る。例えば、物理的気相成長法(PVD),化学的気相成長法(CVD),電気メッキ法,スパッタ法,蒸発,リソグラフィー法,およびエッチング技術等は、コンタクトを形成するために用いられ得る。
【0029】
図2Aおよび図2Bは、ある部分におけるフィンフェット200の一例を示す断面図を示すものである。フィンフェットは、半導体基板206上に2つまたはそれ以上のフィン202,204を備える。フィンフェットは、フィンの側面上に2つまたはそれ以上のエピタキシャル層208,210、およびエピタキシャル層の表面上の金属−半導体化合物212,214を備える。フィンフェットはエピタキシャル層の斜角を有する表面上とのコンタクトを備え得る。エピタキシャル層は、フィンの側面に対して斜角を有して延設される表面を有する。フィンフェットは、フィン間の長さが図1に示すフィンフェットの長さよりも小さいこと、および/またはエピタキシャル層が図1に示すような三角形状の断面を有さないこと、を除き、図1に示した同様の特徴を含む。
【0030】
隣接するフィンは、エピタキシャル層の表面上に形成される金属−半導体化合物が互いに電気的に接続されるように、いくつかの適切な長さ(Lfin)を有する。この実施形態では、フィンは、エピタキシャル層が一般的な台形状の断面を有し、フィン202の側面に形成される一組の台形状のエピタキシャル層208の平行な辺の短い側218が、隣接するフィン204の側面に形成される一組の台形状のエピタキシャル層210の平行な辺の短い側220と接続するように、長さを有する。
【0031】
エピタキシャル層の全てが台形状の断面を有し、またはいくつかのもしくは全てのフィンが互いに台形状の断面と異なる形状を有し得る。斜角の表面は、台形状のエピタキシャル層の一組の平行でない上側の辺を含む。一組の台形状のエピタキシャル層の平行な辺の長い側222,224は、フィンの側面と接続される。この実施形態では、長い側の辺222,224は、およそフィンの高さと同様である。
【0032】
エピタキシャル層がフィンの側面に対して斜角θ2で延設される表面を有する場合、フィン間の長さ(Lfin)は、斜角θ2のタンジェントとフィンの高さ(Hfin)とを乗じることにより計算される長さよりも小さい。角度θ2は、図2に示すように、フィンの側面からの距離により測定される。斜角θ2が約55°程度である場合、フィン間の長さは、フィンの高さの約1.4倍である。
【0033】
この実施形態において、斜角θ2は、約30°かこれより大きく、または約85°かこれより小さい。他の実施形態において、斜角θ2は約35°かこれより大きく、または約75°かこれより小さい。その他の実施形態において、斜角θ2は約40°かこれより大きく、または約65°かこれより小さい。
【0034】
エピタキシャル層は、フィンの側面に対して斜角を有して延設される表面を有する。フィンフェットは、上記エピタキシャル層の表面上に金属−半導体化合物112,114を備える。フィンフェットは、斜角を有するエピタキシャル層の表面上のコンタクト116を備え得る。この実施形態において、フィンフェットは、トランジスタ構造のソース/ドレイン領域をそれぞれ備える。
【0035】
フィンは、例えば、図4乃至図8を用いて詳細に示されるものと同様に、半導体基板と一体とされる。この実施形態では、図2Aに示すように、素子分離領域(STI:シャロートレンチアイソレーション)226は、フィン間に形成され、エピタキシャル層はフィンの側面STI側へと成長する。他の実施形態では、図2Bに示すように、フィンは半導体基板と独立して形成される。このフィンは、半導体基板上に、一層または複数層の誘電層228により形成され得る。例えば、このフィンは、半導体基板上に誘電層(例えば、埋め込みシリコン酸化膜)を形成する工程、上記誘電層上に半導体層を形成する工程、および上記半導体層の一部分を除去しフィンを残存させる工程、により形成される。
【0036】
図3Aおよび図3Bは、ある部分におけるフィンフェット300の一例を示す断面図を示すものである。フィンフェットは、半導体基板306上に2つまたはそれ以上のフィン302,304を備え、フィンの側面上に2つまたはそれ以上のエピタキシャル層308,310を備え、エピタキシャル層の表面上に金属−半導体化合物312,314を備える。フィンフェットはエピタキシャル層の斜角を有する表面上とのコンタクト316を備え得る。エピタキシャル層は、フィンの側面に対して斜角を有して延設される表面を有する。フィンフェットは、エピタキシャル層が台形状の断面を有すること、および金属−半導体化合物が一組の台形状のエピタキシャル層の平行な辺の短い側318,320上に形成されること、を除き図1に示したものと同様である。金属−半導体化合物は、少なくともエピタキシャル層周辺の一部を覆う。
【0037】
隣接するフィンは、エピタキシャルの表面上に形成される金属−半導体化合物が互いに電気的に接続されるように、いくつかの適切な長さ(Lfin)を有する。加えて、隣接するフィンは、エピタキシャル層が一般的な台形状の断面を有し、金属−半導体化合物が一組の台形状のエピタキシャル層の平行な辺の短い側318,320上に形成されるように、いくつかの適切な長さを有する。この実施形態では、フィン間の長さは、図1で示しフィンフェットの長さと同様であるか、それよりも小さい。
【0038】
エピタキシャル層の全てが台形状の断面を有し、またはいくつかのもしくは全てのフィンが互いに台形状の断面と異なる形状を有し得る。斜角の表面は、台形状のエピタキシャル層の一組の平行でない上側の辺を含む。一組の台形状のエピタキシャル層の平行な辺の長い側322,324は、フィンの側面と接続される。隣接するエピタキシャル層318,320の長い側上に形成される金属−半導体化合物は、互いに電気的に接続される。この実施形態では、長い側の辺322,324は、およそフィンの高さと同様である。
【0039】
エピタキシャル層がフィンの側面に対して斜角θ3で延設される表面を有する場合、フィン間の長さ(Lfin)は、斜角θ3のタンジェントとフィンの高さ(Hfin)とを乗じることにより計算される長さと同様であるかこれよりも小さい。角度θ3は、図3に示すように、フィンの側面からの距離により測定される。斜角θ3が約55°程度である場合、フィン間の長さは、フィンの高さと同様であるかこれの約1.4倍である。
【0040】
この実施形態において、斜角θ3は、約30°かこれより大きく、または約85°かこれより小さい。他の実施形態において、斜角θ3は約35°かこれより大きく、または約75°かこれより小さい。その他の実施形態において、斜角θ3は約40°かこれより大きく、または約65°かこれより小さい。
【0041】
フィンは、例えば、図4乃至図8を用いて詳細に示されるものと同様に、半導体基板と一体とされる。この実施形態では、図3Aに示すように、フィンは半導体基板の一部である。シャロートレンチアイソレーション(例えば、STI等)326は、フィン間に形成され、エピタキシャル層はSTIの表面のフィンの側面上に形成される。他の実施形態では、図3Bに示すように、フィンは半導体基板と独立して形成される。このフィンは、半導体基板上に、一層または複数層の誘電層328により形成され得る。例えば、このフィンは、半導体基板上に誘電層(例えば、埋め込みシリコン酸化膜やBOX層)を形成する工程、上記誘電層上に半導体層を形成する工程、および上記半導体層の一部分を除去しフィンを残存させる工程、により形成される。
【0042】
図4乃至図5、および図6乃至図8を用い、フィンフェットのフィンを形成可能な方法のいくつかのうちの2つについて、説明する。図4乃至図8は、図示のための6つのフィンを形成することを示すものである。6つのフィンが図示されているが、主題に係るフィンフェットは、フィンフェットのタイプに応じていくつかの適切な数を含み得る。
【0043】
図4は、形成工程におけるフィンフェット400の断面図を示す。フィンフェットは、基板(例えば、シリコン基板)402,埋め込みシリコン基板(例えば、BOX)層404,半導体層(例えば、シリコン層)406,キャップ層408,およびパターン材410、を含み得る。
【0044】
パターン材410は、適切な技術により形成され得る。例えば、パターン材は、光学リソグラフィー,側壁イメージ転写等のいくつかの適切な技術により形成される。図4には示さないが、パターン材が側壁イメージ転写により形成される場合、パターン材は、三角形,台形などの形状とされる。パターン材は、典型的にはレジストを含む;シリコン酸化膜等の酸化物;シリコン窒化膜,窒化シリコン等の窒化物;シリコン窒化膜等の酸素、等である。キャップ層は、典型的には、シリコン酸化膜等の酸化物;シリコン窒化膜,窒化シリコン等の窒化物;シリコン窒化膜等の酸素、等である。
【0045】
図5は、半導体基板から6つのフィン500から510を形成する工程、およびフィン上のキャップ層から6つのキャップ512を形成する工程、を示す。キャップおよびフィンは、キャップ層および半導体基板の一部を除去することにより形成される。キャップ層および半導体基板の一部は、例えば、エッチング等の適切な技術により除去され得る。例えば、キャップ層および半導体基板の一部は、実質的なダメージおよび/またはフィンフェットとの他の要素を除去しないように、いくつかの適切なエッチャントにキャップ層と半導体層とを接触させることにより除去される。例えば、キャップ層の材料,フィンの幅や高さ,望ましいフィンフェットの実施構成等に応じて、適切なプロセスやエッチング材を選択すべきである。
【0046】
ウェットエッチングおよび/または等方エッチングを含むドライエッチングおよび/または非等方エッチングを用いることができる。シリコン基板のシリコンをエッチングするためのウェットエッチングの一例としては、テトラアルキルアンモニウム水酸化物(例えば、テトラアルキルアンモニウム水酸化物(TMAH)等)やアルキル金属水酸化物(例えば、カリウム水酸化物(KOH)等)やセリウム水酸化物(例えば、CeOH等)を含む。ドライエッチングの一例としては、反応ガスとして、例えば、HBrを含む混合ガス(例えば、HBrおよびO混合ガス,HBr/NF3/HeおよびO混合ガス,SF,HBrおよびO混合ガス)を用いた、反応性イオンエッチング(RIE)等を含み得る。混合するものとして、更にClを含み得る。
【0047】
図6乃至図8は、フィンフェットのフィンの形成方法の他の一例を示す。図6は、形成工程におけるフィンフェット600の断面図を示す。フィンフェットは、反応性の厚い半導体基板(例えば、バルク半導体基板)602,キャップ層606,およびパターン材606、を含み得る。
【0048】
図7は、半導体基板602の一部から6つのフィン700から710を形成する工程、およびフィン上のキャップ層604から6つのキャップ712を形成する工程を示す。キャップおよびフィンは、例えば、エッチング等を介して、キャップ層および半導体基板の一部を除去することにより形成される。一部分は、図5に示した工程と同様に、除去され得る。
【0049】
図8は、半導体基板602上のフィン700,710間にシャロートレンチアイソレーション(例えば、STI)800を形成する工程を示す。STIは、例えば、酸素(例えば、酸化シリコン(silicon oxides))や窒素(例えば、窒化シリコン(silicon nitrides))等の適当ないずれかの絶縁材料を含み得る。STIは、適切な技術により形成され得る。例えば、絶縁膜(図示せず)は半導体基板上に形成され、上記絶縁膜の表面部分が除去され、そしてフィン間にSTIが残存される。
【0050】
絶縁膜は、プラズマエンハンス気相堆積(PECVD),低圧化学的気相堆積(LPCVD),高圧化学的気相堆積(HPCVD)等の化学的気相堆積(CVD)により形成され得る。上記絶縁膜の表面は、化学的機械的研磨(CMP),および/またはエッチング(反応性イオン(RI)エッチング等)等により除去される。例えば、絶縁膜の表面は、フィン上またはフィンの表面までキャップが残存する場合や残存しない場合に、キャップの表面までCMPにより研磨され、その後に絶縁層の表面はRIエッチングにより更に除去される。仮にフィン上にキャップが残存する場合、キャップは、絶縁膜の表面まで、同様に除去される(図示せず)。
【0051】
STIの表面からのフィンの高さは、変更し得、主要な態様に対して決定的ではない。STIの表面からのフィンの高さは、図1に示したものと同様の高さである。
【0052】
図9乃至図12,図13乃至図16,図17乃至図20を用い、フィンフェットのフィンを形成する方法のいくつかの例示的な実施形態のうちの3つを説明する。図9,図13,および図17に示すフィンは、図4乃至図8において説明した同様の方法により、形成され得る。換言すると、図9,図13,および図17に示すフィンは、図4乃至図8において説明した6つのフィンのうちの2つのフィンと同様の方法により、説明される。そのため、図9乃至図20では半導体基板は示されていないが、図9乃至図20に示すフィンフェットは、図4乃至図8において説明した同様の方法における、フィンと一体である半導体基板を含む。
【0053】
図9は、一工程におけるフィンフェット900の一例の断面図を示す。フィンフェットは、フィン902,904、およびフィンの表面上のキャップ906,908を備える。フィンは半導体基板の表面と実質的に垂直となり得る側面を備える。
【0054】
フィンの側面上に2つまたはそれ以上のエピタキシャル層308,310を備え、エピタキシャル層の表面上に金属−半導体化合物312,314を備える。フィンフェットはエピタキシャル層の斜角を有する表面上とのコンタクト316を備え得る。エピタキシャル層は、フィンの側面に対して斜角を有して延設される表面を有する。フィンフェットは、エピタキシャル層が台形状の断面を有すること、および金属−半導体化合物が一組の台形状のエピタキシャル層の平行な辺の短い側318,320上に形成されること、を除き図1に示したものと同様である。金属−半導体化合物は、少なくともエピタキシャル層周辺の一部を覆う。
【0055】
図10は、フィンの側壁上のエピタキシャル層1000,1002を形成する工程を示す。エピタキシャル層は、フィンの側面に対して実施的に斜角を有して延設される表面を有する。エピタキシャル層は、フィンの表面上には延設されない。エピタキシャル層は、フィンの側面に対して斜角θ4で延設される表面を有する。この実施形態では、フィンは、エピタキシャル層が三角形の断面を有し、断面の三角形の頂点が電気的に互いに接続されるような長さ(Lfin)を有する。フィン間の長さは、斜角θ4のタンジェントとフィンの高さ(Hfin)とを乗じることにより計算される。斜角θ4が約55°程度である場合、フィン間の長さは、フィンの高さの約1.4倍である。
【0056】
この実施形態において、エピタキシャル層は、フィンの側面と実施的に垂直な表面を含まない。その他の実施形態において、エピタキシャル層は、半導体基板の表面と平行な表面を含まない。さらに他の実施形態において、エピタキシャル層は、(111)面やこれと同等な面(以下に記載される”(111)面”)を含む表面を備える。さらに他の実施形態において、エピタキシャル層は、水平な表面である表面を含まない。
【0057】
斜角な表面を有するエピタキシャル層は、いくつかの適切なエピタキシャルプロセスにより形成され得る。例えば、エピタキシャル層の材料,フィンの幅や高さ,望ましいフィンフェットの実施構成等に応じて、適切なプロセスや試薬を選択すべきである。フィンがシリコンを含む場合、シリコンエピタキシャル層は、シリコンエピタキシャル成長により、フィンの側壁上に形成し得る。シリコンエピタキシャル成長は、例えば、成長温度(例えば、約750℃程度で、ソースガスとしてSiCl、キャリアガスとしてHを用いる等)などのいくつかの適切な条件下で行い得る。
【0058】
シリコンエピタキシャル成長は、フィンのトップ上にキャップが存在する場合、フィンの側壁上に選択的に形成し得る。エピタキシャル成長は、フィンの表面上に形成されない。この実施形態では、エピタキシャル成長は、フィンの側壁上の全体を覆って形成される。この場合、フィンの側壁と接する三角状の断面の側壁の長さは、フィンの高さと同程度である。他の実施形態では、エピタキシャル成長は、フィンの側壁表面の一部を覆って形成される(図示せず)。この場合、フィンの側壁と接する三角状の断面の側壁の長さは、フィンの高さよりも短い。
【0059】
図11は、キャップ層を除去する工程を示す。キャップ層は、適切な技術により除去され得る。例えば、キャップ層は、実質的なダメージおよび/またはフィンフェットの他の要素を除去しないように、いくつかの適切なエッチャントとキャップ層とを接触させることにより除去される。
【0060】
図12は、エピタキシャル層の表面上に金属−半導体化合物(例えば、金属シリサイド)1200,1202を形成する工程を示す。金属−半導体化合物は、フィンの表面にも形成され得る。エピタキシャル層の表面上に金属−半導体化合物を形成することにより、隣接するフィンが、金属−半導体化合物を介して、電気的に接続される(図示せず)。
【0061】
金属−半導体化合物は、いくつかの適切な技術により、エピタキシャル層の表面上に形成され得る。エピタキシャル層がシリコンを含む場合、金属シリサイドは、シリサイドプロセスにより形成され得る。金属シリサイドは、スパッタリングによりフィンおよび/またはエピタキシャル層の表面上を覆うように金属層(図示せず)を形成することにより形成され得る。例えば、さらに金属層に熱処理を行い、金属層とその下にあるシリコンとの間の化学的な反応を起こさせる。シリサイドプロセスの間、金属層中の金属は、その下にあるシリコン中に拡散し、金属シリサイドを形成し得る。
【0062】
例えば、形成される金属シリサイドの膜厚,エピタキシャル層の材料および/または構成,望ましいフィンフェットの実施構成等に応じて、適切なシリサイドプロセスの条件やパラメータを選択すべきである。例えば、金属シリサイドは、急速熱アニーリング(RTA)等により形成され得る。
【0063】
図13は、図9に示した同様の方法により形成させる、一工程におけるフィンフェット1300の一例の断面図を示す。フィンフェットは、フィン1302,1304、およびフィンの表面上のキャップ1306,1308を備える。フィンは半導体基板の表面と実質的に垂直となり得る側面を備える。
【0064】
図14は、フィンの側壁上を覆うエピタキシャル層1400,1402を形成する一工程を示す。エピタキシャル層は、フィンの側面に対して実施的に斜角を有して延設される表面を有する。エピタキシャル層は、いくつかの適切な技術により、フィンの側壁上に形成され得る。この実施形態においては、エピタキシャル層は、図10に示した同様の方法により形成される。
【0065】
例えば、フィンは、エピタキシャル層が一般的な台形状の断面を有し、フィン1302の側面に形成される一組の台形状のエピタキシャル層1400の平行な辺の短い側1404が、隣接するフィン1304の側面に形成される一組の台形状のエピタキシャル層1402の平行な辺の短い側1406と接続するように、長さ(Lfin)を有する。台形状のエピタキシャル層の平行な一組の長い側1408,1410は、フィンの側壁と接続する。エピタキシャル層は、フィンの側面に対して斜角θ5で延設される表面を有する。エピタキシャル層がフィンの側面に対して斜角θ5で延設される表面を有する場合、フィン間の長さ(Lfin)は、斜角θ5のタンジェントとフィンの高さ(Hfin)とを乗じることにより計算される長さよりも小さい。斜角θ5が約55°程度である場合、フィン間の長さは、フィンの高さの約1.4倍よりも小さい。
【0066】
シリコンエピタキシャル成長は、フィンのトップ上にキャップが存在する場合、フィンの側壁上に選択的に形成し得る。エピタキシャル成長は、フィンの表面上に形成されない。この実施形態では、エピタキシャル成長は、フィンの側壁上の全体を覆って形成される。この場合、フィンの側壁と接する台形状の断面の側壁の長さは、フィンの高さと同程度である。他の実施形態では、エピタキシャル成長は、フィンの側壁表面の一部を覆って形成される(図示せず)。この場合、フィンの側壁と接する台形状の断面の側壁の長さは、フィンの高さよりも短い。
【0067】
図15は、キャップ層を除去する工程を示す。図16は、エピタキシャル層の表面上に金属−半導体化合物(例えば、金属シリサイド)1600,1602を形成する工程を示す。金属−半導体化合物は、例えば、図12において説明した工程と同様の方法等、いくつかの適切な技術により形成され得る。
【0068】
図17は、図9に示した同様の方法により形成される、一工程におけるフィンフェット1700の一例の断面図を示す。フィンフェットは、フィン1702,1704、およびフィンの表面上のキャップ1706,1708を備える。フィンは半導体基板の表面と実質的に垂直となり得る側面を備える。
【0069】
図18は、フィンの側壁上を覆うエピタキシャル層1800,1802を形成する一工程を示す。エピタキシャル層は、フィンの側面に対して実施的に斜角を有して延設される表面を有する。エピタキシャル層は、例えば、図10,図14に示した同様の方法等、いくつかの適切な技術によりフィンの側壁上に形成され得る。
【0070】
例えば、フィンは、エピタキシャル層が一般的な台形状の断面を有し、フィン1702の側面に形成される一組の台形状のエピタキシャル層1800の平行な辺の短い側1804が、隣接するフィン1704の側面に形成される一組の台形状のエピタキシャル層1802の平行な辺の短い側1806と接続しないように、長さ(Lfin)を有する。台形状のエピタキシャル層の平行な一組の長い側1808,1810は、フィンの側壁と接続する。
【0071】
短い側1804,1806は、その後のプロセスにおける金属−半導体化合物が台形状のエピタキシャル層の短い側を覆うように、離れて形成させる。この実施形態では、短い側は、約0.5nmまたはこれよりも大きいか、約20nmかこれよりも小さくなるように、互いに離れて形成される。他の実施形態では、短い側は、約0.5nmまたはこれよりも大きいか、約10nmかこれよりも小さくなるように、互いに離れて形成される。
【0072】
エピタキシャル層は、フィンの側面に対して斜角θ6で延設される表面を有する。エピタキシャル層がフィンの側面に対して斜角θ6で延設される表面を有する場合、フィン間の長さ(Lfin)は、斜角θ6のタンジェントとフィンの高さ(Hfin)とを乗じることにより計算される長さよりも小さい。斜角θ6が約55°程度である場合、フィン間の長さは、フィンの高さと同様であるか約1.4倍よりも小さい。
【0073】
図19は、キャップ層を除去する工程を示す。図20は、エピタキシャル層の表面上および一組の平行な台形状のエピタキシャル層の短い側1804,1806上を覆うように、に金属−半導体化合物(例えば、金属シリサイド)2000,2002を形成する工程を示す。エピタキシャル層表面上の金属−半導体化合物は、一組の平行な台形状のエピタキシャル層の短い側の間に金属−半導体化合物が形成される部分により、互いに電気的に接続され得る。一組の平行な台形状のエピタキシャル層の短い側の間に金属−半導体化合物を形成することにより、隣接するエピタキシャル層1800,1802は、互いに電気的に接続される。金属−半導体化合物は、例えば、図12において説明した工程と同様の方法等、いくつかの適切な技術により形成され得る。
【0074】
図21は、フィンフェットの一例における製造方法2100を示す。2102において、フィンは、半導体基板上に形成される。フィンは、半導体材料を含む。2104において、フィンの側壁上にエピタキシャル層が形成される。エピタキシャル層は、フィンの側面に対してそれぞれ斜角を有して延設される表面を有する。2106において、エピタキシャル層の表面上に、金属−半導体化合物が形成される。
【0075】
図21には図示しないが、この製造方法は、ひとつまたは複数の以下の特徴を含み得る。エピタキシャル層は、三角形状の断面を有し、三角形状の断面の頂点が互いに電気的に接続される。エピタキシャル層は、台形状の断面を有し、フィンの側面に形成される一組の台形状のエピタキシャル層の平行な辺の短い側が、隣接するフィンの側面に形成される一組の台形状のエピタキシャル層の平行な辺の短い側と接続する。エピタキシャル層は、台形状の断面を有し、金属−半導体化合物は、台形状のエピタキシャル層の一組の平行な辺の短い側上を覆うように形成される。エピタキシャル層の表面は、(111)面のみを含む。
【0076】
図22は、フィンを電気的に接続させるコンタクトの一例における製造方法2200を示す。2202において、フィンの側面にエピタキシャル層が形成される。エピタキシャル層は、フィンの側面に対してそれぞれ斜角を有して延設される表面を有する。2204において、金属−半導体化合物がエピタキシャル層の表面上に形成される。2206において、コンタクトが、上記金属−半導体化合物上に形成される。
【0077】
図22には図示しないが、この製造方法は、ひとつまたは複数の以下の特徴を含み得る。エピタキシャル層は、三角形状の断面を有し、三角形状の断面の頂点が互いに電気的に接続される。エピタキシャル層は、台形状の断面を有し、フィンの側面に形成される一組の台形状のエピタキシャル層の平行な辺の短い側が、隣接するフィンの側面に形成される一組の台形状のエピタキシャル層の平行な辺の短い側と接続する。エピタキシャル層は、台形状の断面を有し、金属−半導体化合物は、台形状のエピタキシャル層の一組の平行な辺の短い側上を覆うように形成される。フィン間の長さは、斜角のタンジェントとフィンの高さとを乗じることにより計算される長さよりと同様であるかこれよりも小さい。
【0078】
<含み得る態様>
なお、以上の説明は、以下(1)−(20)の態様を含み得る。
【0079】
(1)半導体基板上に、前記半導体基板の表面上に対して実質的に垂直な側面を有する2つまたは複数のフィンと、前記フィンの側面に設けられ、前記フィンの側面に対して斜角を有して延設される表面を有し、前記フィンの表面上には設けられないエピタキシャル層と、前記エピタキシャル層の表面上を覆うように設けられる金属−半導体化合物とを具備するフィンフェット。
【0080】
(2)前記エピタキシャル層は、三角形状の断面を有し、前記三角形状の断面の頂点が互いに電気的に接続される(1)に記載のフィンフェット。
【0081】
(3)前記エピタキシャル層は、台形状の断面を有し、フィンの側面を覆う一組の台形状の前記エピタキシャル層の平行な辺の短い側が、隣接するフィンの側面に形成される一組の台形状のエピタキシャル層の平行な辺の短い側と接続される(1)に記載のフィンフェット。
【0082】
(4)前記エピタキシャル層は、台形状の断面を有し、前記金属−半導体化合物は、フィンの側面を覆う一組の台形状の前記エピタキシャル層の平行な辺の短い側上を覆うように設けられる(1)に記載のフィンフェット。
【0083】
(5)但し前記エピタキシャル層は、水平な表面を含まない(1)に記載のフィンフェット。
【0084】
(6)斜角を有する前記エピタキシャル層の表面上に設けられ、下面が前記金属−半導体化合物と接続されるコンタクトを更に具備する(1)に記載のフィンフェット。
【0085】
(7)前記コンタクトの下面は、前記エピタキシャル層の表面といくつかの斜角を有する(6)に記載のフィンフェット。
【0086】
(8)前記エピタキシャル層の表面は、(111)面のみを備える(1)に記載のフィンフェット。
【0087】
(9)前記フィン間の長さは、前記斜角のタンジェントと前記フィンの高さとを乗じることにより計算される長さとほぼ同じであるかこれよりも小さい(1)に記載のフィンフェット。
【0088】
(10)前記フィン間の長さは、前記斜角のタンジェントと前記フィンの高さとを乗じることにより計算される長さとほぼ同じであるかこれよりも小さい(1)に記載のフィンフェット。
【0089】
(11)半導体基板上に半導体材料を有するフィンを形成する工程と、前記フィンの側壁上に、前記フィンの側面に対して斜角を有して延設される表面を有するエピタキシャル層を形成する工程と、前記エピタキシャル層の表面上に、金属−半導体化合物を形成する工程とを具備するフィンフェットの製造方法。
【0090】
(12)前記エピタキシャル層は、三角形状の断面を有し、前記三角形状の断面の頂点が互いに電気的に接続される(11)に記載の製造方法。
【0091】
(13)前記エピタキシャル層は、台形状の断面を有し、フィンの側面を覆う一組の台形状の前記エピタキシャル層の平行な辺の短い側が、隣接するフィンの側面に形成される一組の台形状のエピタキシャル層の平行な辺の短い側と接続される(11)に記載の製造方法。
【0092】
(14)前記エピタキシャル層は、台形状の断面を有し、前記金属−半導体化合物は、フィンの側面を覆う一組の台形状の前記エピタキシャル層の平行な辺の短い側上を覆うように設けられる(11)に記載の製造方法。
【0093】
(15)前記エピタキシャル層の表面は、(111)面のみを備える(11)に記載の製造方法。
【0094】
(16)フィンの側壁上に、前記フィンの側面に対して斜角を有して延設される表面を有するエピタキシャル層を形成する工程と、前記エピタキシャル層の表面上に、金属−半導体化合物を形成する工程と、前記金属−半導体化合物の表面上に、コンタクトを形成する工程とを具備するコンタクトにフィンを電気的に接続させる方法。
【0095】
(17)前記エピタキシャル層は、三角形状の断面を有し、前記三角形状の断面の頂点が互いに電気的に接続される(16)に記載の方法。
【0096】
(18)前記エピタキシャル層は、台形状の断面を有し、フィンの側面を覆う一組の台形状の前記エピタキシャル層の平行な辺の短い側が、隣接するフィンの側面に形成される一組の台形状のエピタキシャル層の平行な辺の短い側と接続される(16)に記載の方法。
【0097】
(19)前記エピタキシャル層は、台形状の断面を有し、前記金属−半導体化合物は、フィンの側面を覆う一組の台形状の前記エピタキシャル層の平行な辺の短い側上を覆うように設けられる(16)に記載の方法。
【0098】
(20)前記フィン間の長さは、前記斜角のタンジェントと前記フィンの高さとを乗じることにより計算される長さとほぼ同じであるかこれよりも小さい(16)に記載の方法。
【0099】
以上の説明は、開示した本発明の例示を含むものである。もちろん、開示される発明を記載することを目的とした構成または方法の全ての想定される組み合わせを記述することは可能でないが、この技術分野における通常の知識を有する者が開示される発明のたくさんの置換や組み合わせだと更に分かることについては含まれることは可能である。従って、開示される発明は、全ての置換、修正、変形が包含され得、添付の請求の範囲や意図に含まれる。さらに、明細書または請求の範囲で用いられる”含む(contain)”,”含む(includes)”,”有する(has)”,”含む(involve)”,またはこれらの変形の用語の広がりは、用語”具備する(comprising)”,や請求の範囲において使用される枕詞的な用語”具備する(comprising)”についても同様に含まれ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に、前記半導体基板の表面上に対して実質的に垂直な側面を有する2つまたは複数のフィンと、
前記フィンの側面に設けられ、前記フィンの側面に対して斜角を有して延設される表面を有するエピタキシャル層と、
前記エピタキシャル層の表面上を覆うように設けられる金属−半導体化合物とを具備し、
前記フィン間の長さは、前記斜角のタンジェントと前記フィンの高さとを乗じることにより計算される長さとほぼ同じであるかこれよりも小さく、
前記エピタキシャル層は、前記半導体基板に対して平行な前記フィンの上面を超えないように形成される
フィンフェット。
【請求項2】
前記エピタキシャル層は、三角形状の断面、または台形状の断面を有し、
前記三角形状の断面を有する場合は、2つまたは複数のフィンの側面に形成されたエピタキシャル領域の前記三角形状の断面の頂点によって2つまたは複数のフィン同士が互いに電気的に接続されるが、フィン同士を接続しているエピタキシャル層の前記半導体基板に面していない上面側に前記金属−半導体化合物が設けられ、
前記台形状の断面を有する場合は、2つまたは複数のフィンの側面に形成されたエピタキシャル領域の前記台形上の短辺によって、2つまたは複数のフィン同士が互いに電気的に接続さているが、フィン同士を接続しているエピタキシャル層の前記半導体基板に面していない上面側に前記金属−半導体化合物が設けられる
請求項1に記載のフィンフェット。
【請求項3】
前記エピタキシャル層の表面は、(111)面のみを備える
請求項1または2に記載のフィンフェット。
【請求項4】
半導体基板上に、前記半導体基板の表面上に対して実質的に垂直な側面を有する2つまたは複数のフィンを形成する工程と、
前記フィンの側面に設けられ、前記フィンの側面に対して斜角を有して延設される表面を有するエピタキシャル層を形成する工程と、
前記エピタキシャル層の表面上を覆うように設けられる金属−半導体化合物を形成する工程とを具備し、
前記フィンを形成する工程の際に、前記フィン間の長さを、前記斜角のタンジェントと前記フィンの高さとを乗じることにより計算される長さとほぼ同じであるかこれよりも小さくなるように形成し、
エピタキシャル層を形成する工程の際に、前記エピタキシャル層を、前記半導体基板に対して平行な前記フィンの上面を超えないように形成する
フィンフェットの製造方法。
【請求項5】
エピタキシャル層を形成する工程の際に、前記エピタキシャル層の表面が、(111)面のみを備えるように形成する
請求項4に記載のフィンフェットの製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−258934(P2011−258934A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95102(P2011−95102)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】