説明

フローティングゲートトンネリング素子構造体のシールド

フローティングゲートトンネリング素子をシールドする方法とその構造体。標準的なCMOSプロセスを用いて、電界酸化物に囲まれた基板内に形成された第1および第2のドープウェル領域により定義される2つの活性領域内のゲート酸化物上にフローティングゲートを配置する工程と、前記フローティングゲートを囲むようにフローティングゲートシールド層を形成する工程を含む方法。前記フローティングゲートは、前記第1のドープウェル領域内の活性領域上の第1のフローティングゲート部および前記第2のドープウェル領域内の活性領域上の第2のフローティングゲート部を含む。前記第1のドープウェル領域と前記第1のフローティングゲート部との間にファウラーノルドハイムトンネリングのための適当な電圧カップリングが発生しうるよう、前記第1のフローティングゲート部は第2のフローティングゲート部より実質的に小さくなっている。トンネリングの方向は、前記ドープウェル領域の1つに高電圧を印加することにより決定される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2006年8月21日出願の米国特許仮出願番号60/839,262の利益を主張するものであり、その開示内容は引用により本明細書に組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般にフローティングゲート回路に関するものであり、特に、高精密フローティングゲート電圧基準回路用のトンネリング素子に関するものである。
【背景技術】
【0003】
引用により本明細書に組込まれる2005年1月25日発行の米国特許番号6,847,555には、高精密アナログフローティングゲート電圧基準回路が記載されている。
また、高精密CMOSフローティングゲートアナログ電圧基準回路の動作原理は、引用により本明細書に組込まれる、2005年12月12日発行ソリッドステート回路に関するIEEEジャーナル(IEEE JourNAl of Solid―StAte Circuits)、Vol.40、2364〜2372頁、B.K.AjuhA他による「超高精度500-NA CMOSフローティングゲートアナログ電圧基準(A very high PrecisioN 500-NA CMOS floAtiNg-gAte ANAlog voltAge refereNce)」という名称の論文に記載されている。図1Aは、フローティングゲート基準回路の先行技術を説明するための等価回路図10を示す。上記に示したAjuhAの参考文献に記載されるように、トンネルダイオードT1およびT2の2つのトンネリング素子の間の接合点で、フローティングゲートノード上に一定電圧を設定する必要がある。基本的にポリ間酸化物を通したファウラーノルドハイムトンネリングを用ており、プログラミング中にVPを上昇させてフローティングゲートノードに充電するためにトンネリング素子T1が用いられ、VNを低減してフローティングゲートノードから放電するためにトンネリング素子T2が用いられる。フローティングゲートノード上の電圧が所望の設定レベルに達した場合、VP及びVNをおよそ0ボルトにして両トンネリング素子を遮断する。このように、デバイスの通常動作において、固定電荷がフローティングゲート上に恒久的に蓄えられる。
【0004】
図1Bは、直列接続した図1Aのトンネリング素子T1およびT2を示す断面図とその一例を示す回路図である。先行技術の等価回路図を20で示しており、物理的な構成の断面を30で示している。断面が示すように、ポリシリコン層(ポリ1)およびもう1つのポリシリコン層(ポリ2)が、2つの電子トンネル領域に沿って基板上に形成されている。ポリ2層は、これらのトンネル領域を形成する2箇所の所定の位置において、薄い酸化物誘電体を間に介してポリ1層と重なる。通常、ポリシリコン層1および2は、誘電体に完全に囲まれたフローティングゲートFGを含む約400Aの酸化物誘電体により、互いに分離されている。電気的に分離されたフローティングゲートは、コンタクト領域70に示されるように、共に接続されたポリ1層およびポリ2層からなる。ポリ1層、ポリ2層の端部には、増強した放出トンネルが、約10-12Vのトンネル電圧で生じる。両トンネル領域は、特定の電気容量を有する。
【0005】
図1Bに示す物理的構成の欠点の1つは、その形成に、それ自体が単純なアナログ設計には役立たない特別な非標準的なCMOSプロセスを必要とされる点である。すなわち、図1Bの構造体を形成するために要求される特別なプロセスは、以下に標準的なCMOSプロセスと称する、周知でありコストのかからない汎用のCMOS技術を用いていない。この構成のもう1つの欠点は、導電層でフローティングゲート素子を完全に覆うプロセスが不可能であり、従って、フローティングゲートを被覆誘電体から分離してしまう点である。この結果、フローティングゲート上の誘電体に常に存在している可動電荷と分極電荷の濃度の低下が、フローティングゲートに蓄積された電荷量に影響を及ぼすおそれがある。従って、フローティングゲート素子を完全に囲える汎用CMOS技術を用いてトンネルダイオード構造体を構成することが望ましい。標準的なCMOSプロセスを用いて形成されたフローティングゲートをベースとしたキャパシタおよびトランジスタ素子を含むメモリ素子は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる同時係属中の出願番号11/498,672「厚いゲート酸化物を用いた汎用CMOS技術のためのマルチタイムプログラマブル(MTP)PMOSフローティングゲートをベースとする不揮発性メモリ装置(A multiPle time ProgrAmmABle (MTP) PMOS floAtiNg gAte-BAsed NoN-volAtile memory device for A geNerAl-PurPose CMOS techNology with thick gAte oxide)」に記載されている。高精密な電圧基準回路に使用できるトンネリング素子構造体を構成するために、汎用CMOS技術の使用が求められている。
【0006】
(フローティングゲート基準回路内の)フローティングゲート上に正確な電荷量を蓄積するために必要とされるフローティングゲートをベースとするデバイスは、フローティングゲート上に堆積された誘電体に常に存在する低密度の可動イオンと分極電荷の存在の影響を極めて受けやすい。通常、可動電荷と分極電荷の密度は、精密な電圧を必要としないデバイスの回路の性能に悪影響を及ぼすほどではない。例えば、そのような効果は、前述の同時係属中の出願に記載されるメモリ素子の回路の性能に悪影響を及ぼさない。一方、高精密フローティングゲート電圧基準回路を提供するには、蓄積された電荷と可動電荷および分極電荷との反応を最小限にするために、フローティングゲートを被覆誘電体からシールドする必要がある。標準的なCMOSプロセスを用いた既知の方法の欠点は、高精密フローティングゲート電圧基準回路に必要とされるフローティングゲートの不可欠なシールドがなされない点である。
【0007】
フローティングゲートシールドは、一般に、大抵のEEPROMあるいはフラッシュEEPROM技術に含まれるカップリングキャパシタ・ポリシリコン層により形成される。この既知の方法の欠点は、EEPROM技術では、精密アナログ電圧基準回路と、高レベルの統合を達成するために不可欠なデバイスのセットが提供されないことにある。汎用のCMOS技術にEEPROMを組み込むことにより、高精密回路に必要な高レベルの統合を達成できる。この組み込み過程の欠点は、主として多くの追加の作業工程が必要となることから、大変コストがかかる点である。もう一つの欠点は、既知の利用可能な構造体を用いる場合、フローティングゲートノードの小さな領域がシールドされず、その結果性能が低下するおそれがある。
【0008】
従って、ファウラーノルドハイムトンネリング機能と高精密フローティングゲート電圧基準に必要なシールドされたローティングゲートの両方を提供する汎用のCMOS技術を用いて構造体を構成するデバイスおよびその方法が求められる。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、汎用のCMOS技術で製造されたフローティングゲートをベースとするトンネリング素子をシールドするデバイスおよびその方法を提供する。
【0010】
本発明は、広義には、第1のドープウェル領域上の第1のフローティングゲート部および第2のドープウェル領域上の第2のフローティングゲート部とを含むフローティングゲートであって、第1のドープウェル領域と第1のフローティングゲート部との間にファウラーノルドハイムトンネリングのための適当な電圧カップリングが発生しうるよう、第1のフローティングゲート部が第2のフローティングゲート部より実質的に小さくなっていることを特徴とするフローティングゲートを、基板内の第1および第2のドープウェル領域により定義される2つの活性領域内のゲート酸化物上に配置する工程と、フローティングゲートを囲むようにフローティングゲートシールド層を形成する工程を含む、フローティングゲートトンネリング素子構造体のシールド方法を提供する。
【0011】
本発明はまた、広義には、基板内の第1および第2のドープウェル領域により定義される2つの活性領域内のゲート酸化物上に配置され、第1のドープウェル領域上の第1のフローティングゲート部および第2のドープウェル領域上の第2のフローティングゲート部を含むフローティングゲートであって、第1のドープウェル領域と第1のフローティングゲート部との間にファウラーノルドハイムトンネリングのための適当な電圧カップリングが発生しうるよう、第1のフローティングゲート部は第2のフローティングゲート部より実質的に小さくなっていることを特徴とするフローティングゲートと、フローティングゲートを囲むように形成されたフローティングゲートシールド層とを備えた、シールドされたフローティングゲートトンネリング素子構造体を提供する。
【0012】
本発明はまた、広義には、P基板内に形成された第1および第2のNウェル領域により定義される2つの活性領域内のゲート酸化物上に配置され、第1のNウェル領域上の第1のフローティングゲート部および第2のNウェル領域上の第2のフローティングゲート部を含むフローティングゲートであって、第1のNウェル領域と第1のフローティングゲート部との間にファウラーノルドハイムトンネリングのための適当な電圧カップリングが発生しうるよう、第1のフローティングゲート部は第2のフローティングゲート部より実質的に小さくなっていることを特徴とするフローティングゲートと、第1のNウェル領域内に形成され、第1のチャネル領域により分離される第1および第2の拡散領域と、第2のNウェル領域内に形成され、第2のチャネル領域により分離される第3および第4の拡散領域と、第2および第3の拡散領域の間に形成される電界酸化物領域と、P基板内の第1および第2のNウェル領域の間に形成されるPウェル領域、および、フローティングゲートを囲むように形成されたフローティングゲートシールド層とを備えたシールドされたフローティングゲートトンネリング素子構造体を提供する。
【0013】
本発明のこれらおよび他の実施例、特徴、態様および利点は、以下の詳細な説明、添付の請求項および添付の図面を参照することでより理解される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】図1Aは、フローティングゲート電圧基準回路の先行技術を説明するための等価回路図を示す。
【図1B】図1Bは、直列接続した図1Aのトンネルダイオードを示す断面図とその一例を示す回路図である。
【図2】図2は、本発明の好適な実施の形態に係る導電シールド層により完全に囲まれた、フローティングゲート・ポリシリコン層を有する高精密フローティングゲート基準回路のトンネル素子構造体の配置を示す平面図である。
【図2A】図2Aは、図2の構造体の等価回路を示す回路図である。
【図3A】図3Aは、図2の左側にある活性領域が90度回転している、図2の配置の簡略図の一例である。
【図3B】図3Bは、図3Aの簡略化した配置図に対応する構造体の部分概略図である。
【図4】図4は、好適な実施の形態に係るポリSiフローティングゲートシールド層110Aおよび間隔を隔てたN+拡散領域を含む図2の構造体の切断線A-Aにおける断面図である。
【図5】図5は、代替的な実施の形態に係るポリSiフローティングゲートシールド層、間隔を隔てたP+拡散領域およびN+拡散領域を含む図2の構造体の切断線A-Aにおける断面図である。
【図6】図6は、本発明の代替的な実施の形態に係るTiNまたはTiWフローティングゲートシールド層を有する図2の構造体の切断線A-Aにおける断面図である。
【0015】
図中における参照番号あるいは名称は特定の構成要素、態様あるいは特徴を表しており、1つ以上の図中で共通の構成要素、態様あるいは特徴を表している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図2は、本発明の好適な実施の形態に係るフローティングゲート導電シールド層により完全に囲まれた、フローティングゲート素子を有するトンネルダイオード構造体100を示す平面図である。トンネルダイオード構造体100は、標準的なCMOSプロセスを用いて形成される。図2Aに等価回路図を示す。図2Aに示すように、トンネルダイオードは、端子Vc1およびVc2の間でカップリングキャパシタCカップリングと直列に接続されたトンネルキャパシタCトンネリングを含む。図2Aには、Cトンネリング板とCカップリング板の相互接続用のフローティングゲート接合部120が示される。フローティングゲート108は、Cトンネリング板を形成する第1のフローティングゲート部と接続部120により接続されるCカップリング板を形成するもう1つのフローティングゲート部を含む。トンネルダイオード構造体は、本明細書中ではトンネリング素子とも称し、構造体が電荷をフローティングゲートに、又は、から注入および除去するトンネリング機能を備えている。図2の活性領域140は、図2AのトンネルキャパシタCトンネリングに相当する。 図2の活性領域240は、図2AのカップリングキャパシタCカップリングに相当する。 図3Aは、図2の左側にある活性領域が90度回転している、図2の配置の簡略化した配置図の一例である。図3Bは、図2Aおよび3Aの配置図に対応する構造体を図示したものである。
【0017】
図3Aにおいて、点線部分全体は、本明細書においてフローティングゲート層とも称するフローティングゲート108を表す。図3Bは、図2Aの等価回路図によるキャパシタと端子Vc1およびVc2の両方を含む構造体を示す。
【0018】
フローティングゲート・ポリシリコン層108は、電界酸化物(fox)に囲まれたP基板102内に形成された2つのNウェル領域142、342により定義される2つの活性領域140、240内において、標準的なCMOSプロセスを用いてゲート酸化物層180、380上に配置される。図3BのCトンネリングに対応する構造体は、Nウェル領域142内に形成された間隔を隔てたN型拡散領域144および146を含む。あるいは、間隔を隔てた拡散領域は、P型拡散領域である。チャネル領域148は、拡散領域144および146の間に形成される。カップリングキャパシタCカップリングは、Nウェル342内に形成された間隔を隔てたN型拡散領域344および346を含む。あるいは、間隔を隔てた拡散領域は、P型拡散領域である。チャネル領域348は、拡散領域344および346の間に形成される。隣接する素子から構造体を分離するために、例えば、浅いトレンチ分離(STI)プロセス、シリコンの局所酸化(LOCOS)プロセス、ポリ緩衝LOCOSプロセス等を用いて形成された電界酸化物(FOX)領域132が含まれている。図3Bの2つのNウェル領域142、342は、通常、基板102へのPウェル領域118の挿入により分離される。Nウェル領域142、342から間隔を隔てたPウェル領域118(図示)は、厚いゲート酸化物を有するトンネルダイオードの作動に必要なNウェル-Pウェル間絶縁破壊電圧の増加を促進する。
【0019】
図3Bにおいて180および380で示されるゲート酸化物層は、5Vの動作電圧を有する入出力インターフェース装置として使用されるCMOSデバイスのゲート酸化物(すなわち、5VのI/Oゲート酸化物)の厚さと同等の厚さを有することが好ましい。つまり、ゲート酸化物の厚さは、5VのI/Oゲート酸化物としての5VのI/Oデバイスの製造工程のままであることが好ましい。これにより、70A(7Nm)、この応用には好ましくは120A(12Nm)を超えるゲート酸化物を用いる標準的なCMOSプロセスを用いて構造体を形成することができる。従って、本発明の実施の形態は、更に高い入出力電圧を有するデバイスをもって、そのような実施の形態を有効にできるゲート酸化物の厚さで機能すると思われる。
【0020】
フローティングゲート108は、第1のフローティングゲート部400、即ち、図3BのNウェル領域142上のCトンネリングキャパシタ板ポリ、および、第2のフローティングゲート部500、即ち、図3BのNウェル領域342上のCカップリングキャパシタ板ポリを含む(図3B参照)。キャパシタCトンネリングおよびCカップリングは、図2Aに示すキャパシタ分割器を形成する。電荷の保存により、CトンネリングがCカップリングより顕著に小さい場合は、この構造全体に印加される電圧のほとんどが、Cトンネリングの両端で降下する。本発明によれば、例えば、10の要素により、Nウェル領域の1つへ高電圧を印加することにより決まるトンネリングの方向とNウェル領域142と第1のフローティングゲート部400のと間にファウラーノルドハイムトンネリングを発生させる適当な電圧カップリングを提供するために、Cトンネリングキャパシタ板ポリ400がCカップリングキャパシタ板ポリ500よりかなり小さい。以下の表1は、電荷をフローティングゲート108に、又は、から注入および除去するために、図2A,3Aおよび3Bに示す端子Vc1およびVc2に印加される電圧を示す。
【表1】

表1に示すように、端子Vc1が0ボルト、例えばアースに保たれた状態で端子Vc2で大きな正のトンネル電圧を印加すると、フローティングゲートノードへの電荷の注入(書き込み)が起こる。端子Vc2が0ボルト、略アースに保たれた状態で端子Vc1で大きな正のトンネル電圧を印加すると、フローティングゲートノードからの電荷の除去が起こる。
【0021】
標準的なCMOSプロセス中には、シリサイドの領域は、通常、拡散領域上に形成される。これらのシリサイドは、通常、電圧端子、例えば図3Bに示すVc1およびVc2に接続するためのシリサイドに低抵抗コンタクト領域を提供するためのものである。図2の平面図には、170で表されるコンタクト領域を一例として示している。コンタクト領域は、一般に、自己整合している、つまり、露出したシリサイドの非誘電領域はシリサイド化される。
【0022】
サリサイド排除層160、例えば、図2に示す160Aの堆積を含む段階まで、標準的なCMOSプロセスを行う。通常厚さおよそ300AのSiOであるサリサイド排除層160は、標準的なCMOSプロセスにより、実際に堆積されたシールド層のエッチストップとして作用する約600Aの厚さに堆積される。厚さは製造工程によって決まり、通常は300〜1000Aである。
【0023】
その後、フローティングゲート108を囲むようにフローティングゲートシールド層110を堆積する。好適には、シールド層は、その場ドープによる又は内在するアモルファスSiあるいはポリシリコン層として堆積される。シールド層は完全にフローティングゲートを囲むようにパターン化され、そして標準的な技術を用いてエッチングされる。本発明においては、シールド層の正確な寸法は重要ではなく、CMOSゲートトポグラフィから堆積した材料を完全に除去するために、湿式化学的にエッチングを行ってもよい。一旦シールド層のパターンが形成されると、標準的なサリサイドブロックパターンがウェハに施される。サリサイドブロックパターンは、図2に160A、160Bおよび160cで示される。このサリサイドブロックパターンは、これらの領域間でのシリサイドの短絡防止とそれらの分離のために、シールド層とSi内の隣接する拡散層の端部を覆う必要がある。発明の他の詳細が不明瞭とならないために、サリサイドブロックパターンの一部は示されていない。その結果としての構造体は、フローティングゲートと、シールド層により完全に囲まれた隣接する拡散層の一部を有する。
【0024】
あるいは、シールド層は、TiNあるいはTiW等の金属膜で形成されてもよい。これらの材料が選択される場合、膜に適用されるサリサイドブロックパターンは、未反応金属のエッチング時にシールド特性が損なわれないよう修正されなければならない。
【0025】
160で示される通常TiSi2あるいはCoSi2であるサリサイドブロックパターン(ポリSiシールドに適している)は、隣接する拡散層を覆うよう提供されることが好ましい。特定のCMOS製造施設に応じて、その他の適切なサリサイドを使用してもよい。シールド層の端部を覆うサリサイドブロックパターンは、図4の160cで示される。
【0026】
図4は、好適な実施の形態に係るポリSiフローティングゲートシールド層110Aおよび間隔を隔てたN+拡散領域を含む図2の構造体の切断線A-Aにおける断面図である。当然のことながら、ここでの断面図では、当業者には周知である汎用のCMOS技術により形成された構造体の詳細は示されていない。導電シールド層110Aは、ポリSiからなる。図4の構造体140Aは、P型基板102中に形成された、N型ウェル142内に形成された間隔を隔てたN型拡散領域144および146を含む。チャネル領域148は、N型拡散領域144および146の間に形成される。ポリSiゲート188は、チャネル領域148上に形成される。図2の配置図には示されない側壁スペーサ152は、ゲート188の両側に含まれる。スペーサ152は、低不純物濃度ドレイン(LDD)構造や、シリサイドの短絡のゲートへの拡散を防ぐために、ゲートからソース・ドレイン注入の間隔をおくためなどに、標準的なCMOS技術において一般的に使用される。図4に示すように、構造体は、スペーサ(およびゲート)の最上端部とその対応するシールドの下端の間の絶縁膜の垂直空間の厚さが一例として350+/-100Aである、例えばPE-酸化物などの酸化物を含むことが好ましい。本発明は、示された絶縁膜へPE-酸化物の使用に限定されない。
【0027】
シールド層の端部を覆うサリサイドブロックパターンは、図4に160cで示される。図4〜6に示すコンタクト領域170により、拡散領域を介してNウェルと端子、例えば図4に示す端子Vc1、との接続を可能にするため設けられる。
【0028】
隣接する素子から構造体を分離するために、例えば、浅いトレンチ分離(STI)プロセス、シリコンの局所酸化(LOCOS)プロセス、ポリ緩衝LOCOSプロセス等を用いて形成された電界酸化物(FOX)領域132が含まれている。
【0029】
図5は、代替的な実施の形態に係るポリSiフローティングゲートシールド層、間隔を隔てたP+拡散領域およびN+拡散領域を含む図2の構造体の切断線A-Aにおける断面図である。構造体140Bは、P型基板102中に形成された、N型ウェル142内に形成された間隔を隔てたP型拡散領域244および246を含む。N+領域250は、N-ウェル142とのオーミックコンタクトとして設けられる。
【0030】
図6は、本発明の代替的な実施の形態に係るTiNまたはTiWフローティングゲートシールド層を有する図2の構造体の切断線A-Aにおける断面図である。図に示すように、シールド層110Bは、フローティングゲートと隣接する拡散層の一部を囲んでいる。図6に示すように、窒化チタンTiNまたはタングステン化チタンTiWの金属シールドにおいて、サリサイドブロックパターンは、シールドパターンの特徴の全てを包含する。
【0031】
以上に具体例を開示してきたが、以下の請求項に説明される本発明の範囲を逸脱することなく開示された実施例への修正および変形が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のドープウェル領域上の第1のフローティングゲート部および第2のドープウェル領域上の第2のフローティングゲート部含むフローティングゲートであって、前記第1のドープウェル領域と前記第1のフローティングゲート部との間にファウラーノルドハイムトンネリングのための適当な電圧カップリングが発生しうるよう、前記第1のフローティングゲート部は第2のフローティングゲート部より実質的に小さくなっていることを特徴とするフローティングゲートを、基板内に形成された前記第1および第2のドープウェル領域により定義される2つの活性領域内のゲート酸化物上に配置する工程と、
前記フローティングゲートを囲むようにフローティングゲートシールド層を形成する工程を含む、フローティングゲートトンネリング素子構造体のシールド方法。
【請求項2】
前記第1および第2のドープウェル領域はNウェル領域であり、前記基板はP基板である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ファウラーノルドハイムトンネリングの方向は、前記ドープウェル領域の1つに高電圧をカップリングすることにより決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記高電圧の前記第1のドープウェル領域へのカップリングは、前記フローティングゲートからの電荷の除去を引き起こす、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記高電圧の前記第2のドープウェル領域へのカップリングは、前記フローティングゲート上への電荷の注入を引き起こす、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記フローティングゲートシールド層を形成する工程は、前記シールド層のエッチストップのために標準的なCMOSプロセスを用いてサリサイド排除層を堆積することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記シールド層を分離するために、前記堆積されたシールド層上にサリサイドブロックパターンを適用することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記シールド層は、ポリシリコンからなる導電層である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記シールド層は、金属膜からなる導電層である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記金属膜はTiN膜からなる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記金属膜はTiW膜からなる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記サリサイド排除層は、約600Aの厚さに堆積される、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記フローティングゲートシールド層を形成する工程は、導電層を堆積し、標準的なCMOSプロセスを用いて前記導電層をエッチングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ゲート酸化物は、70オングストロームから150オングストロームの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ゲート酸化物は、120オングストロームの厚さを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
基板内に形成された第1および第2のドープウェル領域により定義される2つの活性領域内のゲート酸化物上に配置され、前記第1のドープウェル領域上の第1のフローティングゲート部および前記第2のドープウェル領域上の第2のフローティングゲート部を含むフローティングゲートであって、前記第1のドープウェル領域と前記第1のフローティングゲート部との間にファウラーノルドハイムトンネリングのための適当な電圧カップリングが発生しうるよう、前記第1のフローティングゲート部は第2のフローティングゲート部より実質的に小さくなっていることを特徴とするフローティングゲートと、
前記フローティングゲートを囲むように形成されたフローティングゲートシールド層とを備える、シールドされたフローティングゲートトンネリング素子構造体。
【請求項17】
P基板内に形成された第1および第2のNウェル領域により定義される2つの活性領域内のゲート酸化物上に配置され、前記第1のNウェル領域上の第1のフローティングゲート部および前記第2のNウェル領域上の第2のフローティングゲート部とを含むフローティングゲートであって、前記第1のNウェル領域と前記第1のフローティングゲート部との間にファウラーノルドハイムトンネリングのための適当な電圧カップリングが発生しうるよう、前記第1のフローティングゲート部は第2のフローティングゲート部より実質的に小さくなっていることを特徴とするフローティングゲートと、
前記第1のNウェル領域内に形成され、第1のチャネル領域により分離される第1および第2の拡散領域と、
前記第2のNウェル領域内に形成され、第2のチャネル領域により分離される第3および第4の拡散領域と、
前記第2および第3の拡散領域の間に形成される電界酸化物領域と、
前記P基板内の前記第1および第2のNウェル領域の間に形成されるPウェル領域、および、
前記フローティングゲートを囲むように形成されたフローティングゲートシールド層とを備える、シールドされたフローティングゲートトンネリング素子構造体。
【請求項18】
前記第1、第2、第3および第4の拡散領域は、N型拡散領域である、請求項17に記載のシールドされたフローティングゲートトンネリング素子構造体。
【請求項19】
前記第1および第2の拡散領域は、P型拡散領域である、請求項17に記載のシールドされたフローティングゲートトンネリング素子構造体。
【請求項20】
前記P型拡散領域に隣接して形成される、前記Nウェル領域とのオーミックコンタクトを提供するN型拡散領域を更に含む、請求項19に記載のシールドされたフローティングゲートトンネリング素子構造体。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図2A】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−502013(P2010−502013A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525600(P2009−525600)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/018442
【国際公開番号】WO2008/024322
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(503123255)インターシル アメリカズ インク (14)
【Fターム(参考)】