説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】低電圧動作のトランジスタ群と高耐圧(高電圧動作)のトランジスタ群とを同一半導体基板に形成して、高耐圧のトランジスタ群のゲート電極の低抵抗化を可能にする。
【解決手段】半導体基板11に、第1トランジスタ群と、第1トランジスタ群の動作電圧よりも低い動作電圧の第2トランジスタ群とを備え、第1トランジスタ群は、半導体基板11上に第1ゲート絶縁膜13を介して形成された第1ゲート電極15と、この第1ゲート電極15上に形成されたシリサイド層40とを有し、第2トランジスタ群は、半導体基板11上の絶縁膜(ライナー膜36、第1層間絶縁膜38)に形成したゲート形成溝42に第2ゲート絶縁膜43を介して形成された第2ゲート電極47、48を有し、第1トランジスタ群の第1ゲート電極15上のシリサイド層40を被覆する保護膜41が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印加電圧の異なるトランジスタを混載した半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MISFETの高集積化に伴い、酸化シリコン系ゲート絶縁膜におけるゲートリークの増大およびポリシリコン系ゲート電極の空乏化が問題になってきており、その対策として、高速と低消費電力MIS型トランジスタには、酸化シリコンより高い誘電率を持つゲート絶縁膜と金属ゲートというゲートスタック構造(以下、「高誘電率膜/金属ゲート」と記す)の採用が検討されている。しかし、通常の製造方法では、高誘電率膜/金属ゲートを形成した後の熱履歴が高いことから、高誘電率絶縁膜の特性や信頼性の劣化、金属ゲートの仕事関数が設計値より移行するという問題があった。
【0003】
この問題を解決するために、高誘電率膜/金属ゲートを形成する前に、トランジスタ形成に必要な主要な熱処理工程を完了する埋め込みゲート(例えばダマシンゲート)構造が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。例えば、金属電極を用いる場合には、酸化シリコン系ゲート絶縁膜およびポリシリコン系ゲート電極によりトランジスタ構造を形成した後、一旦ゲート絶縁膜およびゲート電極部分を取り除き、新たに金属系酸化膜および金属電極を埋め込むという方法である。この方法によれば、トランジスタ形成に必要な熱処理は、金属電極形成前に終了しているため、金属電極の劣化が発生しない。
【0004】
しかし、実際の半導体装置では、高速/低消費電力を要求され、金属系酸化膜および金属電極を採用するトランジスタと、高電圧動作の従来型酸化シリコン系ゲート絶縁膜およびポリシリコン系ゲート電極を採用するトランジスタとが混在している。したがって、同じチップ上に、高速動作低電圧動作用の高誘電率膜/金属ゲートを有するダマシンゲート構造と、高耐圧のより厚いゲート絶縁膜を持つゲート構造とを、同一基板上に混載して形成しなければならない。
【0005】
上記特許文献1では、コバルトシリサイドを有するポリシリコンゲート電極とシリコン酸化膜のゲート絶縁膜を有するトランジスタ構造と、チタン窒化膜とタンタル酸化膜のダマシンゲート構造の製造方法が開示されている。また、化学的機械研磨(CMP)によって金属を研磨する時に、ポリシリコンゲート電極が研磨されないように、高速動作低電圧動作用のダマシンゲート電極をダマシンゲート加工段階で高耐圧動作用のポリシリコンゲート電極より高く形成する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
1チップ上に高速低消費電力動作用の高誘電率膜/金属ゲートを有するダマシンゲート構造も低電圧動作トランジスタ(LV)と、酸化シリコン/ポリシリコンゲートを有する高耐圧(高電圧動作)トランジスタ(MV/HV)を集積する構成では、低電圧動作トランジスタを形成する前に高耐圧トランジスタのゲートシリサイドを形成することが開示されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0007】
上記特許文献1では、低電圧動作トランジスタのダミーポリシリコンゲートを除去する時に、高耐圧トランジスタのポリシリコンゲートのコバルトシリサイドを、高耐圧トランジスタ領域のポリシリコンゲートがエッチングされないようにするマスクとしている。しかし、コバルトシリサイドが削られるため、ゲート抵抗が高くなるという問題が残る。
【0008】
一方、特許文献2に示されるように、層間絶縁膜のCMP行うとき、ゲートが形成されている密度の粗密さにより、層間絶縁膜の中央部は凹むので、その後の金属膜のCMP時に、その凹み部分に金属化無電解メッキが残るという問題が発生する。この金属膜の残りを発生させないようにするために過剰研磨を行うと、ポリシリコンゲートが削れ過ぎることになる。この問題を解決するために、低電圧動作トランジスタのダマシンゲート(リプレースメント(Replacement)ゲート)を、ダミーゲートの加工段階で、高耐圧トランジスタのゲートより高くする方法である。しかし、ダミーゲート加工の時のリソグラフィー工程に要求される下地段差を制御するために、ダミーゲートのドライエッチングに関する加工条件等を適切に決定することが容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001-102443号公報
【特許文献2】特開2004-6475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、同一半導体基板に動作電圧の異なるトランジスタ群、例えば低電圧動作のトランジスタ群と高耐圧(高電圧動作)のトランジスタ群とを有する半導体装置では、高耐圧のトランジスタ群のゲート電極の低抵抗化を達成するためのシリサイド層を形成することが困難な点である。
【0011】
本発明は、低電圧動作のトランジスタ群と高耐圧(高電圧動作)のトランジスタ群とを同一半導体基板に形成して、高耐圧のトランジスタ群のゲート電極の低抵抗化を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る本発明の半導体装置は、半導体基板に、第1トランジスタ群と、前記第1トランジスタ群の動作電圧よりも低い動作電圧の第2トランジスタ群とを備え、前記第1トランジスタ群は、前記半導体基板上に第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、該第1ゲート電極上に形成されたシリサイド層とを有し、前記第2トランジスタ群は、前記半導体基板上の絶縁膜に形成したゲート形成溝に第2ゲート絶縁膜を介して形成された第2ゲート電極を有し、前記第2トランジスタ群の第2ゲート電極よりも前記第1トランジスタ群の第1ゲート電極のほうが低く形成されていて、前記第1トランジスタ群の第1ゲート電極上のシリサイド層を被覆する保護膜が形成され、前記第2トランジスタ群が形成される領域の前記絶縁膜の表面と前記保護膜の表面とが平坦面状になるように形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項1に係る本発明の半導体装置では、半導体基板に、第1トランジスタ群と、前記第1トランジスタ群の動作電圧よりも低い動作電圧の第2トランジスタ群とを備えている。しかも、第1トランジスタ群の第1ゲート電極上のシリサイドを被覆する保護膜が形成されていることから、第2トランジスタ群の第2ゲート電極を形成する際に、第1トランジスタ群のシリサイド層が保護される。よって、シリサイド層の減少もしくは消滅が回避され、第1ゲート電極はシリサイド層によって電気抵抗が低減される。また、第1トランジスタ群を被覆する絶縁膜の表面と前記保護膜の表面とが平坦面状になるように形成されていることから、第2ゲート電極を形成する際に用いられた導電材料が段差部で残るという問題が解消される。
【0014】
請求項2に係る本発明の半導体装置は、半導体基板に、第1トランジスタ群と、前記第1トランジスタ群の動作電圧よりも低い動作電圧の第2トランジスタ群とを備え、前記第1トランジスタ群は、前記半導体基板上に第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、該第1ゲート電極上に形成されたシリサイド層とを有し、前記第2トランジスタ群は、前記半導体基板上の絶縁膜に形成したゲート形成溝に第2ゲート絶縁膜を介して形成された第2ゲート電極を有し、前記第2トランジスタ群の第2ゲート電極上を被覆する保護膜が形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項2に係る本発明の半導体装置では、半導体基板に、第1トランジスタ群と、前記第1トランジスタ群の動作電圧よりも低い動作電圧の第2トランジスタ群とを備えている。しかも、第2トランジスタ群の第1ゲート電極を被覆する保護膜が形成されていることから、第1トランジスタ群の第1ゲート電極上にシリサイド層を形成する際に、第2トランジスタ群の第2ゲート電極が例えば金属電極で形成されていても損傷することが回避される。したがって、第2ゲート電極を形成した後に第1ゲート電極上にシリサイド層を形成することが可能な構造となっている。よって、シリサイド層によって第1ゲート電極の電気抵抗が低減される。
【0016】
請求項5に係る本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板上の第1トランジスタ群が形成される第1領域および前記第1トランジスタ群の動作電圧よりも低い動作電圧の第2トランジスタ群が形成される第2領域に、第1ゲート絶縁膜、第1ゲート電極、ハードマスクを順に積層したゲートを形成する工程と、前記半導体基板の前記第1領域に前記第1トランジスタ群の第1ソース/ドレイン領域と、前記半導体基板の前記第2領域に前記第2トランジスタ群の第2ソース/ドレイン領域とをそれぞれに形成する工程と、前記第1領域および前記第2領域の各ゲートを被覆する絶縁膜を形成した後、前記各ゲートのハードマスクを露出させると同時に該絶縁膜の表面を平坦化する工程と、前記第1領域のハードマスクを除去する工程と、前記第1領域の第1ゲート電極の上面にシリサイド層を形成する工程と、前記第1領域の絶縁膜上に前記シリサイド層を被覆する保護膜を形成する工程と、前記第2領域のゲートを除去して前記絶縁膜にゲート形成溝を形成する工程と、前記ゲート形成溝に第2ゲート絶縁膜を形成した後、前記ゲート形成溝内に導電材料を埋め込んで第2ゲート電極を形成する工程とを順に行う。
【0017】
請求項5に係る本発明の半導体装置の製造方法では、半導体基板に、第1トランジスタ群と、前記第1トランジスタ群の動作電圧よりも低い動作電圧の第2トランジスタ群とが形成される。しかも、第1トランジスタ群の第1ゲート電極上のシリサイド層を被覆する保護膜を形成してから、第2トランジスタ群の第2ゲート電極を形成するので、第2ゲート電極を形成する際に、例えば、第2ゲート電極を構成する金属材料の余剰な部分を除去するための研磨を行っても、保護膜によって第1ゲート電極上のシリサイド層の削れもしくは消滅は回避され、第1トランジスタ群のシリサイド層が保護される。よって、シリサイド層によって第1ゲート電極の電気抵抗が低減される。
【0018】
請求項7に係る本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板に、第1トランジスタ群が形成される第1領域と、前記第1トランジスタ群の動作電圧よりも低い動作電圧の第2トランジスタ群が形成される第2領域とを備え、前記第1トランジスタ群は、前記半導体基板上に第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、該第1ゲート電極上に形成されたシリサイド層とを有し、前記第2トランジスタ群は、前記半導体基板上の絶縁膜に形成したゲート形成溝内に第2ゲート絶縁膜を介して形成された第2ゲート電極を有する半導体装置を形成するとき、前記半導体基板上の前記第1領域および前記第2領域に、前記第1ゲート絶縁膜を介して前記第1ゲート電極を形成する工程と、前記第1領域および前記第2領域の各第1ゲート電極を被覆する前記絶縁膜を形成する工程と、前記第1領域に形成された前記絶縁膜上部および前記第1ゲート電極の上部を除去して、前記第2領域に形成された第1ゲート電極よりも前記第1領域に形成された第1ゲート電極のほうを低く形成してから、前記第1領域に形成された第1ゲート電極上に前記シリサイド層を形成する工程と、前記シリサイド層を被覆する保護膜を、前記第2領域に形成された前記絶縁膜の表面と前記保護膜の表面とが平坦面状になるように形成する工程と、その後、前記第2領域の前記保護膜を除去し、前記第2領域に形成された前記第1ゲート電極および前記第1ゲート絶縁膜を除去して形成した前記ゲート形成溝内に第2ゲート絶縁膜を介して導電材料を埋め込んで前記第2トランジスタ群の第2ゲート電極を形成する工程を順に備えている。
【0019】
請求項7に係る本発明の半導体装置の製造方法では、半導体基板に、第1トランジスタ群と、前記第1トランジスタ群の動作電圧よりも低い動作電圧の第2トランジスタ群とが形成される。しかも、第1トランジスタ群の第1ゲート電極上のシリサイドを被覆する保護膜を形成してから、ゲート形成溝内にゲート絶縁膜を介して導電材料を埋め込んで第2トランジスタ群の第2ゲート電極を形成するので、そのときの余剰な導電材料を除去する工程で、第1トランジスタ群の第1ゲート電極上のシリサイド層の減少もしくは消滅が回避され、第1ゲート電極はシリサイド層によって電気抵抗が低減される。しかも、保護膜を形成する前に、第1トランジスタ群の層間絶縁膜上部および第1ゲート電極上部を除去して、第2トランジスタ群が形成される第2領域に形成された第1ゲート電極よりも第1トランジスタ群の第1ゲート電極のほうが低くなるように形成することで、第1トランジスタ群の第1ゲート電極上にシリサイド層を形成しても、第2領域に形成された第1ゲート電極よりも低く形成されることになる。これによって、保護膜を形成した際に、ゲート形成溝が形成されている領域の絶縁膜の表面と保護膜の表面とを平坦面状に形成しても、第1トランジスタ群の第1ゲート電極上のシリサイド層は保護膜に被覆された状態となって保護される。また、第2トランジスタ群が形成される領域の絶縁膜の表面と前記保護膜の表面とが平坦面状になるように形成することから、第2ゲート電極を形成する際に用いられた導電材料が段差部で残るという問題が解消される。
【0020】
請求項11に係る本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板に、第1トランジスタ群と、前記第1トランジスタ群の動作電圧よりも低い動作電圧の第2トランジスタ群とを備え、前記第1トランジスタ群は、前記半導体基板上に第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、該第1ゲート電極上に形成されたシリサイド層とを有し、前記第2トランジスタ群は、前記半導体基板上の絶縁膜に形成したゲート形成溝内に第2ゲート絶縁膜を介して形成された第2ゲート電極を有する半導体装置の製造方法において、前記第2トランジスタ群の第2ゲート電極よりも前記第1トランジスタ群の第1ゲート電極のほうを低く形成し、前記第2トランジスタ群の第2ゲート電極を形成した後、前記第2トランジスタ群の第2ゲート電極上を被覆する保護膜を形成し、その後前記第1トランジスタ群の前記第1ゲート電極上に前記シリサイド層を形成することを特徴とする。
【0021】
請求項11に係る本発明の半導体装置の製造方法では、半導体基板に、第1トランジスタ群と、前記第1トランジスタ群の動作電圧よりも低い動作電圧の第2トランジスタ群とが形成される。しかも、第2ゲート電極を形成した後に第1ゲート電極上にシリサイド層を形成するので、シリサイド層によって第1ゲート電極の電気抵抗が低減される。また、第1トランジスタ郡の第1ゲート電極上にシリサイド層を形成する前に、第2トランジスタ群の第2ゲート電極を被覆する保護膜を形成していることから、シリサイド層を形成するときに第2トランジスタ群の第2ゲート電極が保護される。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に係る本発明の半導体装置によれば、第1トランジスタ群(高耐圧(高電圧動作)のトランジスタ群)と第2トランジスタ群(例えば低電圧動作のトランジスタ群)とを同一半導体基板に形成して、第1トランジスタ群の第1ゲート電極の低抵抗化を可能とするという利点がある。また、第1トランジスタ群を被覆する絶縁膜の表面と前記保護膜の表面とが平坦面状になるように形成されていることから、保護膜の段差部での導電材料の残りの問題が解消できるので、配線間ショート等の問題が回避できる。
【0023】
請求項2に係る本発明の半導体装置によれば、第1トランジスタ群(高耐圧(高電圧動作)のトランジスタ群)と第2トランジスタ群(例えば低電圧動作のトランジスタ群)とを同一半導体基板に形成して、第2トランジスタ群の第2ゲート電極の低抵抗化を可能とするという利点がある。
【0024】
請求項5に係る本発明の半導体装置の製造方法によれば、第1トランジスタ群(高耐圧(高電圧動作)のトランジスタ群)と第2トランジスタ群(例えば低電圧動作のトランジスタ群)とを同一半導体基板に形成して、第1トランジスタ群の第1ゲート電極の低抵抗化を可能とするという利点がある。
【0025】
請求項7に係る本発明の半導体装置の製造方法によれば第1トランジスタ群(高耐圧(高電圧動作)のトランジスタ群)と第2トランジスタ群(例えば低電圧動作のトランジスタ群)とを同一半導体基板に形成して、第1トランジスタ群の第1ゲート電極の低抵抗化を可能とするという利点がある。
【0026】
請求項11に係る本発明の半導体装置の製造方法によれば、第1トランジスタ群(高耐圧(高電圧動作)のトランジスタ群)と第2トランジスタ群(例えば低電圧動作のトランジスタ群)とを同一半導体基板に形成して、第1トランジスタ群の第1ゲート電極の低抵抗化を可能とするという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の半導体装置の製造方法により製造される半導体装置の第1実施例を示した概略構成断面図である。
【図2】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図3】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図4】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図5】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図6】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図7】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図8】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図9】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図10】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図11】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図12】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図13】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図14】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図15】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図16】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図17】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図18】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図19】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図20】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図21】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図22】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図23】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図24】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図25】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図26】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図27】保護膜に関する問題点を示した概略構成断面図である。
【図28】本発明の半導体装置に係る一実施の形態(第2実施例)の要部を示した概略構成断面図である。
【図29】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第2実施例)を示した製造工程断面図である。
【図30】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第2実施例)を示した製造工程断面図である。
【図31】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第2実施例)を示した製造工程断面図である。
【図32】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第2実施例)を示した製造工程断面図である。
【図33】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第2実施例)を示した製造工程断面図である。
【図34】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第2実施例)を示した製造工程断面図である。
【図35】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第2実施例)を示した製造工程断面図である。
【図36】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第2実施例)を示した製造工程断面図である。
【図37】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第2実施例)を示した製造工程断面図である。
【図38】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第2実施例)を示した製造工程断面図である。
【図39】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第2実施例)を示した製造工程断面図である。
【図40】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第2実施例の変形例)を示した製造工程断面図である。
【図41】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第2実施例の変形例)を示した製造工程断面図である。
【図42】本発明の半導体装置に係る一実施の形態(第3実施例)を示した概略構成断面図である。
【図43】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第3実施例)を示した製造工程断面図である。
【図44】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第3実施例)を示した製造工程断面図である。
【図45】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第3実施例)を示した製造工程断面図である。
【図46】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第3実施例)を示した製造工程断面図である。
【図47】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第3実施例)を示した製造工程断面図である。
【図48】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第3実施例)を示した製造工程断面図である。
【図49】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第3実施例)を示した製造工程断面図である。
【図50】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第3実施例)を示した製造工程断面図である。
【図51】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第3実施例)を示した製造工程断面図である。
【図52】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第3実施例)を示した製造工程断面図である。
【図53】本発明の半導体装置に係る一実施の形態(第4実施例)を示した概略構成断面図である。
【図54】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第4実施例)を示した製造工程断面図である。
【図55】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第4実施例)を示した製造工程断面図である。
【図56】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第4実施例)を示した製造工程断面図である。
【図57】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第4実施例)を示した製造工程断面図である。
【図58】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第4実施例)を示した製造工程断面図である。
【図59】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第4実施例)を示した製造工程断面図である。
【図60】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第4実施例)を示した製造工程断面図である。
【図61】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第4実施例)を示した製造工程断面図である。
【図62】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第4実施例)を示した製造工程断面図である。
【図63】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第4実施例)を示した製造工程断面図である。
【図64】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第4実施例)を示した製造工程断面図である。
【図65】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第4実施例)を示した製造工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の半導体装置の製造方法により製造される半導体装置の第1実施例を、図1の概略構成断面図によって説明する。
【0029】
図1に示すように、半導体基板11に、一例として、低電圧トランジスタ(例えばMOSFET)が形成される領域LVN−1、領域LVN−2、領域LVP、中電圧トランジスタ(例えばMOSFET)が形成される領域MV、高電圧トランジスタ(例えばMOSFET)が形成される領域HVが分離される素子分離領域12が形成されている。上記領域MV、HVには、MOSFETのパターン密度が密な領域も孤立パターンの領域も含む。そして、高電圧トランジスタの形成領域である領域HVと中電圧トランジスタの形成領域である領域MVを第1領域11A、低電圧トランジスタのNMOSFETが密に形成される領域LVN−1、低電圧トランジスタのNMOSFETが孤立して形成される領域LVN−2、低電圧トランジスタのPMOSFETが形成される領域LVPを第2領域11Bとする。
【0030】
また、本明細書では、以下に記載する各実施例において、一例として、上記低電圧トランジスタとは動作電圧が1.5V未満のトランジスタとし、中電圧トランジスタとは動作電圧が1.5V以上3.3V未満のトランジスタとし、高電圧(高耐圧)トランジスタとは動作電圧が3.3V以上のトランジスタとした。
【0031】
また、NMOSFETを形成する領域にPウエル領域(図示せず)を形成するためのイオン注入、MOSFETのパンチスルー阻止を目的とした埋め込み層(図示せず)を形成するためのイオン注入、しきい値電圧(Vth)を調整するためのイオン注入が適宜なされていて、NMOSチャネル領域が形成されている。また、PMOSFETを形成する領域にNウエル領域(図示せず)を形成するためのイオン注入、MOSFETのパンチスルー阻止を目的とした埋め込み層(図示せず)を形成するためのイオン注入、しきい値電圧(Vth)を調整するためのイオン注入が適宜行われていて、PMOSチャネル領域が形成されている。なお、高電圧トランジスタが形成される領域HV、中電圧トランジスタが形成される領域MV、各低電圧トランジスタが形成される領域LVN−1、領域LVN−2、領域LVPについて、それぞれにチャネル領域が形成されていてもよい。
【0032】
上記半導体基板11の領域HV表面、領域MV表面には、ゲート絶縁膜13が形成されている。高電圧トランジスタ、中電圧トランジスタでは、厚いゲート絶縁膜を有することが多く、このゲート絶縁膜13は例えば酸化シリコン膜で形成されていて、その膜厚は2nm〜4nmに形成されている。上記ゲート絶縁膜13上には第1ゲート電極15が形成されている。この第1ゲート電極15は、例えばポリシリコンもしくはアモファスシリコンで形成され、100nm〜150nmの厚さとなっている。
【0033】
上記半導体基板11の領域LVN−1、領域LVN−2、領域LVP上には、一旦ダミーゲート絶縁膜、ダミーゲート電極(図示せず)が形成されていて、各ダミーゲート電極の側壁および上記第1ゲート電極15の側壁にはオフセットスペーサ19が形成されている。この膜厚は例えば6nm〜10nmとなっている。
【0034】
そして、上記各第1ゲート電極15の側方の半導体基板11表面側にエクステンション領域21、22が形成されている。また、領域LVN−1、領域LVN−2の各ダミーゲート電極の側方の半導体基板11表面側にはNMOSFETのエクステンション領域23、24が形成されている。さらに領域LVPのダミーゲート電極の側方の半導体基板11表面側にPMOSFETのエクステンション領域25、26が形成されている。
【0035】
さらに、各第1ゲート電極15、ダミーゲート電極の側部には、上記オフセットスペーサ19を介してサイドウォール20が形成されている。
【0036】
そして、上記各第1ゲート電極15の側方の半導体基板11表面側にエクステンション領域21、22をそれぞれに介してソース/ドレイン領域27、28が形成されている。また、領域LVN−1、領域LVN−2の各ダミーゲート電極の側方の半導体基板11表面側にはNMOSFETのエクステンション領域23、24をそれぞれに介してソース/ドレイン領域29、30が形成されている。さらに領域LVPのダミーゲート電極の側方の半導体基板11表面側にPMOSFETのエクステンション領域25、26をそれぞれに介してソース/ドレイン領域31、32が形成されている。
【0037】
上記各ソース/ドレイン領域27〜32上にはシリサイド層33が形成されている。このシリサイド層33は、例えばコバルトシリサイド(CoSi2)、ニッケルシリサイド(NiSi2)、ニッケル白金シリサイド等で形成されている。
【0038】
そして上記第1ゲート電極15、ダミーゲート電極の一部等を被覆するように絶縁膜が形成されている。この絶縁膜は、半導体基板11上の全面に形成されたライナー膜36と、その上面に形成された第1層間絶縁膜38とを有する。
【0039】
上記ライナー膜36は、例えば窒化シリコン(SiN)膜で形成され、トランジスタのチャネル部にストレスを印加するものである。例えば、NMOSFETには、チャネルの移動度を高めるために引張応力を有するものを用いる。PMOSFETには、チャネルの移動度を高めるために圧縮応力を有するものを用いる。また、NMOSFETとPMOSFETに対して、ライナー膜36を作り分けてもよい。また、上記ライナー膜36の応力は、通常、成膜条件によって決定させることができる。
【0040】
上記第1層間絶縁膜38は、例えば、高密度プラズマ(HDP)CVDによる酸化シリコン(SiO2)膜で形成されている。そして、上記第1ゲート電極15の上面が露出するように、第1層間絶縁膜38、ライナー膜36の表面が平坦化されている。
【0041】
上記第1ゲート電極15の上面にはシリサイド層40が形成されている。このシリサイド層40は、例えば、コバルトシリサイド(CoSi2)、ニッケルシリサイド(NiSi2)、ニッケル白金シリサイド等で形成されている。
【0042】
上記第1領域11Aの第1層間絶縁膜38、ライナー膜36上には、上記シリサイド層40を保護するための保護膜41が形成されている。この保護膜41は、例えば、プラズマCVD方法により、酸化シリコン(SiO2)もしくは窒化シリコン(SiN)膜で形成されている。そのときの成膜温度は450℃以下に設定されている。これによって、既に形成したシリサイド層33、40の損傷が回避される。
【0043】
上記第2領域11Bの第1層間絶縁膜38、ライナー膜36には、上記ダミーゲート電極、ダミーゲート絶縁膜を除去することで形成されるゲート形成溝42が形成されている。
【0044】
上記ゲート形成溝42の内面には第2ゲート絶縁膜43が形成されている。この第2ゲート絶縁膜43は、高誘電率膜で形成されている。この高誘電率膜は、例えば、ハフニウム、ジルコニウム、ランタン、イットリウム、タンタルもしくはアルミニウムの酸化物、酸珪化物または酸窒化物、酸珪化窒化物で形成される。具体的には、例えば、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ランタン(LaO3)、酸化イットリウム(Y23)、酸化タンタル(Ta25)、酸化アルミニウム(Al23)、ハフニウムシリケート(HfSiOx)、ジルコニウムシリケート(ZrSiOx)、ランタンシリケート(LaSiOx)、イットリウムシリケート(YSiOx)、タンタルシリケート(TaSiOx)、アルミニウムシリケート(AlSiOx)、チタン酸ジルコニウム(ZrTiOx)、酸化アルミニウムハフニウム(HfAlOx)もしくは酸化ジルコニウムハフニウム(HfZrOx)で形成される。またはこれら化合物の窒化物で形成される。例えば酸珪化窒化物としては、酸珪化窒化ハフニウム(HfSiON)、酸珪化窒化ジルコニウム(ZnSiON)等、上記金属シリケートの窒化物がある。高誘電率膜の比誘電率は、組成、状態(結晶質もしくは非晶質)等によって変動するが、一般に、HfO2の比誘電率は25〜30であり、ZrO2の比誘電率は20〜25である。
【0045】
また、上記ゲート形成溝42の内面に第2ゲート絶縁膜43を介して、仕事関数を決定する仕事関数制御膜44、45が形成されている。通常、NMISFETのゲート電極では、4.6eV以下、望ましくは、4.3eV以下の仕事関数を有し、PMOSFETのゲート電極では、4.6eV以上、望ましくは、4.9eV以上の仕事関数を有する。そして、それらの差が0.3eV以上あることが望ましい。具体的には、組成、状態(結晶質もしくは非晶質)等によって変動するが、NMISFET用のHfSixは4.1〜4.3eV、PMISFET用の窒化チタン(TiN)は4.5〜5.0eV程度である。上記仕事関数制御膜44、45の一例として、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zn)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、白金(Pt)からなる金属、これらの金属を含む合金、これらの金属の化合物がある。この金属化合物としては、金属窒化物、金属と半導体との化合物がある。金属と半導体との化合物には、一例として金属シリサイドがある。
【0046】
領域LVN−1、領域LVN−2のゲート形成溝42には、NMISFETに適した仕事関数を持った金属もしくは金属化合物からなる仕事関数制御膜44が形成されている。一例として、仕事関数制御膜44は、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)等の金属、これらの金属を含む合金、これらの金属の化合物があり、具体的には、ハフニウムシリサイド(HfSix)がより好ましい。
【0047】
また、領域LVPのゲート形成溝42には、PMISFETに適した仕事関数を持った金属もしくは金属化合物からなる仕事関数制御膜45が形成されている。一例として、仕事関数制御膜45は、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)等の金属、これらの金属を含む合金、これらの金属の化合物があり、具体的には、窒化チタン(TiN)、ルテニウム(Ru)がより好ましい。
【0048】
さらに上記ゲート形成溝42の内部を埋め込むように、導電材料として導電膜46が形成されている。この導電膜46は、例えば、上記仕事関数制御膜44、45よりも電気抵抗が低い金属材料が用いられる。本実施例では、一例として、タングステン(W)を用いた。
【0049】
このように、第2領域11Bの低電圧トランジスタ(NMOSFET)の第2ゲート電極47が、ゲート形成溝42内に残された導電膜46、仕事関数制御膜44によって形成され、低電圧トランジスタ(PMOSFET)の第2ゲート電極48が、ゲート形成溝42内に残された導電膜46、仕事関数制御膜45によって形成されている。
【0050】
上記ライナー膜36、第1層間絶縁膜38、保護膜41上の全面には第2層間絶縁膜51が形成されている。この第2層間絶縁膜51は、例えば酸化シリコン膜で形成される。
【0051】
上記ライナー膜36、第1層間絶縁膜38、保護膜41、第2層間絶縁膜51には、各トランジスタの第1ゲート電極15、第2ゲート電極47、48、ソース/ドレイン領域27〜32に通じる接続孔52が形成され、各接続孔52を埋め込むように、導電膜からなる電極54が形成されている。
【0052】
このように、第1領域11Aの領域MVに中電圧トランジスタ(NMOSFET)2が形成され、領域HVに高電圧トランジスタ(NMOSFET)3が形成され、第2領域11Bの領域LVN−1に低電圧トランジスタ(NMOSFET)4が密に形成され、領域LVN−2に低電圧トランジスタ(NMOSFET)4が孤立して形成され、領域LVPに低電圧トランジスタ(PMOSFET)5が形成された半導体装置1(1A)が形成されている。
【0053】
上記半導体装置1(1A)では、半導体基板11に、第1トランジスタ群として、領域MVに中電圧トランジスタ(NMOSFET)2が形成され、領域HVに高電圧トランジスタ(NMOSFET)3が形成されている。また、第1トランジスタ群の動作電圧よりも低い動作電圧の第2トランジスタ群として、領域MVに中電圧トランジスタ(NMOSFET)2が形成され、領域HVに高電圧トランジスタ(NMOSFET)3が形成されている。しかも、第1トランジスタ群の第1ゲート電極15上のシリサイド層40を被覆する保護膜41が形成されているから、第2トランジスタ群の第2ゲート電極47、48を形成する際に、例えば、第2ゲート電極47、48を構成する金属材料の余剰な部分を除去するための研磨を行っても、保護膜41によって第1ゲート電極15上のシリサイド層40の削れもしくは消滅は回避され、第1トランジスタ群のシリサイド層40が保護される。よって、シリサイド層40によって第1ゲート電極15の電気抵抗が低減できる。
【0054】
本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を、図2〜図26の製造工程断面図によって説明する。この第1実施例の製造方法は、上記半導体装置1(1A)の製造方法の一例である。
【0055】
図2に示すように、素子分離工程を行って、半導体基板11に、例えば、低電圧トランジスタ(例えばMOSFET)が形成される領域LVN−1、領域LVN−2、領域LVP、中電圧トランジスタ(例えばMOSFET)が形成される領域MV、高電圧トランジスタ(例えばMOSFET)が形成される領域HVを分離する素子分離領域12を形成する。上記領域MV、HVには、MOSFETのパターン密度が密な領域も孤立パターンの領域も含む。そして、高電圧トランジスタの形成領域である領域HVと中電圧トランジスタの形成領域である領域MVを第1領域11A、低電圧トランジスタのNMOSFETが密に形成される領域LVN−1、低電圧トランジスタのNMOSFETが孤立して形成される領域LVN−2、低電圧トランジスタのPMOSFETが形成される領域LVPを第2領域11Bとする。
【0056】
以下に上記素子分離領域12を形成する一例を説明する。
【0057】
上記半導体基板11には、シリコン半導体基板を用いる。この半導体基板11上に、酸化シリコン(SiO2)膜と窒化シリコン(Si34)膜を堆積する。上記酸化シリコン(SiO2)膜は、例えばドライ酸化により形成する。また上記窒化シリコン(Si34)膜は、例えば減圧CVDにより形成する。
【0058】
次に、活性領域を形成する部分にレジストパターニングを行い、このレジストパターンをマスクにして、上記窒化シリコン膜と酸化シリコン膜と半導体基板11を順次エッチングを行い、溝(トレンチ領域)を形成する。このとき、半導体基板11を、例えば200nm〜400nmの深さにエッチングして、上記溝を形成する。上記窒化シリコン膜が残されている領域下の半導体基板11部分が活性領域となり、上記溝部分にフィールド酸化膜が形成されて素子分離領域12となる。
【0059】
上記フィールド酸化膜は、上記溝の内部を酸化シリコン(SiO2)で埋め込むことで形成される。例えば高密度プラズマCVD(堆積温度:例えば650℃〜 700℃)によって埋め込みを行うことによって、段差被覆性が良好で緻密な膜を形成することが可能である。なお、酸化シリコンを埋め込む前に、熱酸化によって、溝内面に酸化シリコン膜を形成してもよい。
【0060】
続いて、化学的機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)によって、堆積した余剰な酸化シリコンを研磨することによって平坦化を行う。この平坦化研磨は、窒化シリコン膜上の酸化シリコン膜が除去できる程度まで行う。また、CMPでのグローバル段差を低減するために、広いアクティブ領域上の酸化シリコンを、予めリソグラフィーパターニングとエッチングで除去することも可能である。
【0061】
次に、上記窒化シリコン膜を除去する。この除去加工には、例えば熱燐酸によるウエットエッチングを用いる。このようにして、素子分離領域12によって分離された半導体基板11の領域が活性領域となる。
【0062】
また窒化シリコン(Si34)膜を剥離する前に、酸化シリコン(SiO2)膜の緻密化や活性領域コーナー部のラウンディングを目的に、窒素(N2)中、酸素(O2)中、もしくは水素(H2)と酸素(O2)中でアニールを行う方法もある。続いて、活性領域表面を、例えば8nm〜10nmの厚さに酸化する。
【0063】
次に、NMOSFETを形成する領域にPウエル領域(図示せず)を形成するためのイオン注入、MOSFETのパンチスルー阻止を目的とした埋め込み層(図示せず)を形成するためのイオン注入、しきい値電圧(Vth)を調整するためのイオン注入を適宜行い、NMOSチャネル領域を形成する。また、PMOSFETを形成する領域にNウエル領域(図示せず)を形成するためのイオン注入、MOSFETのパンチスルー阻止を目的とした埋め込み層(図示せず)を形成するためのイオン注入、しきい値電圧(Vth)を調整するためのイオン注入を適宜行い、PMOSチャネル領域を形成する。そのとき、高電圧トランジスタが形成される領域HV、中電圧トランジスタが形成される領域MV、各低電圧トランジスタが形成される領域LVN−1、領域LVN−2、領域LVPについて、それぞれのイオン注入条件でイオン注入を行ってもよい。
【0064】
次に、図3に示すように、半導体基板11の領域HV表面、領域MV表面にゲート絶縁膜13を形成する。高電圧トランジスタ、中電圧トランジスタでは、厚いゲート絶縁膜を有することが多く、このゲート絶縁膜13は例えば酸化シリコン膜で形成される。この酸化シリコン膜は、例えば750℃〜900℃の熱酸化で形成され、その膜厚は2nm〜4nmの範囲とする。このゲート絶縁膜13を形成中に第2領域11Bの活性領域にも同時にゲート絶縁膜13が形成されるが、それは、第2領域11Bでダミーゲート絶縁膜14として使われる。
【0065】
次に、ゲート形成工程を行う。図4に示すように、まず、上記ゲート絶縁膜13、ダミーゲート絶縁膜14上に第1ゲート電極およびダミーゲート電極を形成するための電極形成膜71を形成する。この電極形成膜71は、例えばポリシリコンもしくはアモファスシリコンを半導体基板11上の上記ゲート絶縁膜13、ダミーゲート絶縁膜14を介して、全面に堆積して形成する。例えば、ポリシリコンで形成する場合、減圧CVD法を用い、例えばモノシラン(SiH4)を原料ガスとし、堆積温度を580℃〜620℃に設定して、100nm〜150nmの厚さにポリシリコンを堆積する。
【0066】
次に、ゲート抵抗を低減するためのイオン注入工程を行う。図5に示すように、レジスト塗布およびリソグラフィー技術によって、電極形成膜71上にレジスト膜72を形成し、上記第1領域11A上に開口部73を形成する。続いて、第1領域11Aの電極形成膜71のゲート抵抗を下がるため、上記第1領域11Aの電極形成膜71にイオン注入を行う。その後、上記レジスト膜72を除去する。
【0067】
次に、図6に示すように、上記電極形成膜71上にハードマスク層74を形成する。このハードマスク層74は、例えば減圧CVD(LP−CVD)法によって窒化シリコン(Si34)を例えば50nm〜100nm程度堆積して形成する。
【0068】
次に、図7に示すように、レジスト塗布およびリソグラフィー技術によって、電極形成膜71上に第1ゲート電極およびダミーゲート電極を形成するためのレジストパターン(図示せず)を形成した後、このレジストパターンをエッチングマスクにして、上記ハードマスク層74〔前記図6参照〕を、例えば異方性エッチングによって加工して、第1領域11Aに高電圧トランジスタおよび中電圧トランジスタの第1ゲート電極を形成するためのハードマスク74A、第2領域11Bに低電圧トランジスタの第2ゲート電極を形成するためのハードマスク74Bを形成する。この異方性エッチングには、エッチングガスに、例えば、臭化水素(HBr)や塩素(Cl)系のガスを用いる。さらにハードマスク74A、74Bをエッチングマスクに用いて第1領域11Aに第1ゲート電極15を形成すると同時に、第2領域11Bにダミーゲート電極16を形成する。このとき、ゲート絶縁膜13、ダミーゲート絶縁膜14もエッチングされる。また、上記レジストパターンを形成した後、酸素プラズマによるトリミング処理等を行うことによって、レジストパターンを細らせることによって、ダミーパターン電極16を細く形成することも可能であり、例えば32nmノード技術ではゲート長を20nm〜30nm程度で形成することもできる。
【0069】
次に、オフセットスペーサを形成する。図8に示すように、例えば減圧CVD法によって、ハードマスク74A、第1ゲート電極15、ゲート絶縁膜13等のゲート部17、ハードマスク74B、ダミーゲート電極16、ダミーゲート絶縁膜14等のダミーゲート部18を被覆するように、半導体基板11上にオフセットスペーサを形成するための絶縁膜を形成する。この絶縁膜は、例えば減圧CVD法によって、窒化シリコン膜で形成される。次いで、上記絶縁膜を全面エッチバックすることでオフセットスペーサ19を形成する。減圧CVDによって成膜される窒化シリコン膜の膜厚は例えば6nm〜10nmとする。
【0070】
次に、図9に示すように、第2領域11Bの半導体基板11上にイオン注入マスク76を形成する。このイオン注入マスク76は、例えばレジスト塗布技術によって全面にレジスト膜を形成した後、リソグラフィー技術によって、第1領域11Aが露出され、第2領域11Bが被覆されるようにレジスト膜を加工する。次いで、このレジスト膜をイオン注入マスク76にして、半導体基板11にイオン注入を行うことで、第1領域11Aの各ゲート部17の側方の半導体基板11表面側にエクステンション領域21、22を形成する。なお、第1領域11Aにおいて、NMOSFETとPMOSFETを作り分ける必要がある場合には、NMOSFETの領域とPMOSFETの領域のそれぞれに対応するイオン注入マスクを別々に形成して、各MOSFETに対応したイオン注入を行えばよい。その後、イオン注入マスク76を除去する。
【0071】
次に、図10に示すように、半導体基板11上にイオン注入マスク77を形成する。このイオン注入マスク77は、例えばレジスト塗布技術によって全面にレジスト膜を形成した後、リソグラフィー技術によって、第2領域11Bの領域LVN−1、LVN−2が露出され、第1領域11Aおよび領域LVPが被覆されるようにレジスト膜を加工して形成される。このイオン注入マスク77を用いて、半導体基板11にイオン注入を行うことで、第2領域11Bの各ダミーゲート部18の側方の半導体基板11表面側にNMOSFETのエクステンション領域23、24を形成する。その後、上記イオン注入マスク77を除去する。
【0072】
次に、半導体基板11上に別のイオン注入マスク78(2点鎖線で示す部分)を形成する。このイオン注入マスクは、例えばレジスト塗布技術によって全面にレジスト膜を形成した後、リソグラフィー技術によって、領域LVPが露出され、第2領域11Bの領域LVN−1、LVN−2および第1領域11Aが被覆されるようにレジスト膜を加工して形成される。このイオン注入マスクを用いて、半導体基板11にイオン注入を行うことで、領域LVPのダミーゲート部18の側方の半導体基板11表面側にPMOSFETのエクステンション領域25、26を形成する。その後、上記イオン注入マスクを除去する。
【0073】
上記各イオン注入では、各ゲート部17、各ダミーゲート部18、オフセットスペーサ19もイオン注入マスクとなる。このように、第2領域11Bにおいて、NMOSFETとPMOSFETを作り分ける。なお、上記エクステンション領域21、22、エクステンション領域23、24、エクステンション領域25、26は、どれを先に形成してもかまわない。
【0074】
次に、サイドウォールを形成する。図11に示すように、例えば減圧CVD法によって、上記ゲート部17、ダミーゲート部18、オフセットスペーサ(図示せず)等を被覆するように、半導体基板11上にサイドウォールを形成するための絶縁膜を形成する。この絶縁膜は、例えば減圧CVD法によって、窒化シリコン膜(例えば膜厚が15nm〜30nm)と、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)膜(例えば膜厚が40nm〜60nm)との積層膜で形成される。次いで、上記絶縁膜を全面エッチバックすることでサイドウォール20を形成する。
【0075】
次に、ソース/ドレイン領域を形成する。図12に示すように、第2領域11Bの半導体基板11上にイオン注入マスク(図示せず)を形成する。このイオン注入マスクは、例えばレジスト塗布技術によって全面にレジスト膜を形成した後、リソグラフィー技術によって、第1領域11Aが露出され、第2領域11Bが被覆されるようにレジスト膜を加工する。次いで、このレジスト膜をイオン注入マスクにして、半導体基板11にイオン注入を行うことで、第1領域11Aの各ゲート部17の側方の半導体基板11表面側にエクステンション領域21、22をそれぞれに介してソース/ドレイン領域27、28を形成する。上記イオン注入では、各ゲート部17、サイドウォール20(オフセットスペーサ19も含む)等もイオン注入マスクとなる。その後、このイオン注入マスクを除去する。
【0076】
同様にして、第1領域11Aおよび第2領域11Bの領域LVPの半導体基板11上にイオン注入マスク(図示せず)を形成する。このイオン注入マスクは、例えばレジスト塗布技術によって全面にレジスト膜を形成した後、リソグラフィー技術によって、第2領域11Bの領域LVN−1、領域LVN−2が露出され、第1領域11Bおよび第2領域11Bの領域LVPが被覆されるようにレジスト膜を加工する。次いで、このレジスト膜をイオン注入マスクにして、半導体基板11にイオン注入を行うことで、第2領域11Bの領域LVN−1、領域LVN−2の各ダミーゲート部18の側方の半導体基板11表面側にエクステンション領域23、24をそれぞれに介してソース/ドレイン領域29、30を形成する。上記イオン注入では、各ダミーゲート部18、サイドウォール20(オフセットスペーサ19も含む)等もイオン注入マスクとなる。その後、このイオン注入マスクを除去する。
【0077】
同様にして、第1領域11Aおよび第2領域11Bの領域LVN−1、LVN−2の半導体基板11上にイオン注入マスク(図示せず)を形成する。このイオン注入マスクは、例えばレジスト塗布技術によって全面にレジスト膜を形成した後、リソグラフィー技術によって、第2領域11Bの領域LVPが露出され、第1領域11Bおよび第2領域11Bの領域LVN−1、LVN−が被覆されるようにレジスト膜を加工する。次いで、このレジスト膜をイオン注入マスクにして、半導体基板11にイオン注入を行うことで、第2領域11Bの領域LVPのダミーゲート部18の側方の半導体基板11表面側にエクステンション領域25、26をそれぞれに介してソース/ドレイン領域31、32を形成する。上記イオン注入では、各ダミーゲート部18、サイドウォール20(オフセットスペーサ19も含む)等もイオン注入マスクとなる。その後、このイオン注入マスクを除去する。
【0078】
このように、第1領域11Aにおいて、NMOSFETとPMOSFETを作り分ける。なお、上記イオン注入工程の順番は、上記した順序に限定されることはなく、第1領域のソース/ドレイン領域27、28、領域LVN−1、LVN−2のソース/ドレイン領域29、30、領域LVPのソース/ドレイン領域31、32のいずれを先に形成しても、後に形成してもかまわない。
【0079】
続いて、サイドウォール20のTEOS部分を除去する。この除去には、例えば稀フッ酸によるウエットエッチングを用いる。その後、注入したイオンを活性化するための熱処理を行う。例えばこの熱処理では、1000℃、5秒の条件で不純物の活性化を行ない、各MOSFETのソース/ドレイン領域27〜32を形成する。また、ドーパント活性化を促進し拡散を抑制する目的にスパイクRTAにより熱処理を行うことも可能である。
【0080】
次に、図13に示すように、各ソース/ドレイン領域27〜32上にシリサイド層33を形成する。まず、全面にシリサイドを形成するための金属層を形成する。ここでは、一例として、金属層にコバルト(Co)を用いた。上記金属層は、例えばスパッタリングによって、例えば6nm〜8nmの厚さにコバルトを堆積して形成する。次いで、RTAを500℃〜600℃の条件で行い、半導体基板11のシリコン(Si)上のみ金属層を反応させてシリサイド層33を形成する。金属層がコバルトであるので、シリサイド層33はコバルトシリサイド(例えばCoSi)となる。その後、硫酸(H2SO4)と過酸化水素(H22)の混合液を用いたウエットエッチングによって、絶縁膜(例えば素子分離領域12、ハードマスク層74、サイドウォール20等)上の未反応なコバルトを除去する。続いて、熱処理を行い低抵抗なコバルトシリサイド(CoSi2)を形成する。この熱処理は、例えば650℃〜850℃、30秒のRTAで行う。また、金属層には、コバルト(Co)の代わりにニッケル(Ni)やニッケル白金(NiPt)を用いることにより、ニッケルシリサイド(NiSi2)を形成することも可能である。いずれの場合もRTA温度は適宜設定することができる。
【0081】
次に、図14に示すように、上記ゲート部17、ダミーゲート部18等を被覆するように絶縁膜を形成する。まず絶縁膜として、半導体基板11上の全面にライナー膜36を形成する。このライナー膜36は、例えば窒化シリコン(SiN)膜で形成され、トランジスタのチャネル部にストレスを印加するものである。例えば、NMOSFETには、チャネルの移動度を高めるために引張応力を有するものを用いる。PMOSFETには、チャネルの移動度を高めるために圧縮応力を有するものを用いる。また、NMOSFETとPMOSFETに対して、ライナー膜36を作り分けてもよい。また、上記ライナー膜36の応力は、通常、成膜条件によって決定させることができる。
【0082】
次に、図15に示すように、上記ライナー膜36上に上記絶縁膜の一部となる第1層間絶縁膜38を形成する。この第1層間絶縁膜38は、例えば、高密度プラズマ(HDP)CVDにより、100nm〜200nmの厚さの酸化シリコン(SiO2)膜で形成する。
【0083】
次に、図16に示すように、化学的機械研磨(CMP)法によって、各ゲート部17、ダミーゲート部18上の第1層間絶縁膜38、ライナー膜36を、各ハードマスク74A、74Bが露出されるまで研磨する。
【0084】
次に、図17に示すように、レジスト塗布技術とリソグラフィー技術によって、第2領域11Bを被覆するエッチングマスク79を形成する。このエッチングマスク79を用いて、第1領域11Aのハードマスク74A(前記図16参照)を除去する。このとき、第1層間絶縁膜38、ライナー膜36の上部もエッチング除去される。その後、上記エッチングマスク79を除去する。図面では、エッチングマスク79の除去前の状態を示した。
【0085】
次に、図18に示すように、各第1ゲート電極15上にシリサイド層40を形成する。まず、全面にシリサイドを形成するための金属層を形成する。ここでは、一例として、金属層にコバルト(Co)を用いた。上記金属層は、例えばスパッタリングによって、例えば6nm〜8nmの厚さにコバルトを堆積して形成する。次いで、RTAを500℃〜600℃の条件で行い、各第1ゲート電極15のシリコン(Si)上のみ金属層を反応させてシリサイド層40を形成する。金属層がコバルトであるので、シリサイド層40はコバルトシリサイド(例えばCoSi)となる。その後、硫酸(H2SO4)と過酸化水素(H22)の混合液を用いたウエットエッチングによって、絶縁膜(例えばサイドウォール20、ライナー膜36、第1層間絶縁膜38等)上の未反応なコバルトを除去する。続いて、熱処理を行い低抵抗なコバルトシリサイド(CoSi2)を形成する。この熱処理は、例えば650℃〜850℃、30秒のRTAで行う。また、金属層には、コバルト(Co)の代わりにニッケル(Ni)やニッケル白金(NiPt)を用いることにより、ニッケルシリサイド(NiSi2)を形成することも可能である。いずれの場合もRTA温度は適宜設定することができる。
【0086】
次に、図19に示すように、上記シリサイド層40を保護するための保護膜41を全面に形成する。この保護膜41は、例えば、プラズマCVD方法により、酸化シリコン(SiO2)もしくは窒化シリコン(SiN)膜で形成する。例えば、酸化シリコン膜で形成する場合のCVD条件は、一例として、原料ガスに、酸素(O2)(流量:600cm3/min)とTEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)(流量:800cm3/min)を用い、成膜雰囲気の圧力を1.09kPa、CVD装置のRFパワーを700W、基板温度を400℃に設定する。上記保護膜41は、450℃以下の温度で成膜が可能であることから、既に形成したシリサイド層33、40の損傷が回避される。
【0087】
次に、レジスト塗布、リソグラフィー技術によって第1領域11A上を被覆するようにエッチングマスク80を形成する。したがって、第2領域11Bはこのエッチングマスク80には被覆されていない。
【0088】
次に、図20に示すように、前記エッチングマスク80(前記図19参照)を用いて、上記第2領域11Bの保護膜41(前記図19参照)をドライエッチングにより除去する。このドライエッチング条件としては、一例として、エッチングガスにオクタフルオロシクロブタン(C48)と酸素(O2)とアルゴン(Ar)とを用い、上記C48流量を9cm3/min、O2流量を5cm3/min、Ar流量を250cm3/minに設定し、エッチング雰囲気の圧力を4.1Pa、エッチング装置の電力(プラズマ出力)を1500W、基板温度を20℃に設定した。続いて、各ハードマスク74B、ダミーゲート電極16(前記図7参照)を、例えばドライエッチングにより除去し、さらに稀フッ酸によるウエットエッチングによって、ダミーゲート絶縁膜14(前記図7参照)を除去して、ゲート形成溝42を形成する。このとき、第1領域11Aは保護膜41により被覆されている。上記エッチングマスク80は、ウエットエッチング前に除去する。
【0089】
次に、図21に示すように、上記ゲート形成溝42の内面に第2ゲート絶縁膜43を形成する。この第2ゲート絶縁膜43は、原子層蒸着(ALD:Atomic Layer Deposition)法によって、高誘電率膜で形成する。高誘電率膜は、例えば、ハフニウム、ジルコニウム、ランタン、イットリウム、タンタルもしくはアルミニウムの酸化物、酸珪化物または酸窒化物、酸珪化窒化物で形成される。具体的には、例えば、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ランタン(LaO3)、酸化イットリウム(Y23)、酸化タンタル(Ta25)、酸化アルミニウム(Al23)、ハフニウムシリケート(HfSiOx)、ジルコニウムシリケート(ZrSiOx)、ランタンシリケート(LaSiOx)、イットリウムシリケート(YSiOx)、タンタルシリケート(TaSiOx)、アルミニウムシリケート(AlSiOx)、チタン酸ジルコニウム(ZrTiOx)、酸化アルミニウムハフニウム(HfAlOx)もしくは酸化ジルコニウムハフニウム(HfZrOx)で形成される。またはこれら化合物の窒化物で形成される。例えば酸珪化窒化物としては、酸珪化窒化ハフニウム(HfSiON)、酸珪化窒化ジルコニウム(ZnSiON)等、上記金属シリケートの窒化物がある。高誘電率膜の比誘電率は、組成、状態(結晶質もしくは非晶質)等によって変動するが、一般に、HfO2の比誘電率は25〜30であり、ZrO2の比誘電率は20〜25である。
【0090】
次に、上記ゲート形成溝42の内面に第2ゲート絶縁膜43を介して、仕事関数を決定する仕事関数制御膜44、45を形成する。
【0091】
まず、NMISFETに適した仕事関数を持った金属もしくは金属化合物を、例えば原子層蒸着(ALD)法、化学気相成長法等の成膜方法により堆積する。通常、NMISFETのゲート電極では、4.6eV以下、望ましくは、4.3eV以下の仕事関数を有し、PMOSFETのゲート電極では、4.6eV以上、望ましくは、4.9eV以上の仕事関数を有する。そして、それらの差が0.3eV以上あることが望ましい。具体的には、組成、状態(結晶質もしくは非晶質)等によって変動するが、NMISFET用のHfSixは4.1〜4.3eV、PMISFET用の窒化チタン(TiN)は4.5〜5.0eV程度である。
【0092】
上記仕事関数制御膜44、45の一例として、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zn)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、白金(Pt)からなる金属、これらの金属を含む合金、これらの金属の化合物がある。この金属化合物としては、金属窒化物、金属と半導体との化合物がある。金属と半導体との化合物には、一例として金属シリサイドがある。
【0093】
次に、NMISFETに適した仕事関数制御膜44は、一例として、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)等の金属、これらの金属を含む合金、これらの金属の化合物があり、具体的には、ハフニウムシリサイド(HfSix)がより好ましい。PMISFETに適した仕事関数制御膜45は、一例として、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)等の金属、これらの金属を含む合金、これらの金属の化合物があり、具体的には、窒化チタン(TiN)、ルテニウム(Ru)がより好ましい。
【0094】
本実施例では、例えばハフニウムシリサイド(HfSix)を例えば10nm〜100nm程度の厚さに堆積して、仕事関数制御膜44を形成する。続いて、レジスト塗布、リソグラフィー技術によって第1領域11Aの領域LVN−1、領域LVN−2上を被覆するようにレジストマスク(図示せず)を形成する。このレジストマスクをエッチングマスクにして、領域LVPおよび第1領域11A上の上記仕事関数制御膜44を除去する。この結果、第1領域11Aの領域LVN−1、領域LVN−2に仕事関数制御膜44が残される。その後、上記レジストマスクを除去する。
【0095】
次に、PMOSFETに適した仕事関数を持った金属もしくは金属化合物を、例えば原子層蒸着(ALD)法、化学気相成長法等の成膜方法により堆積する。本実施例では、例えば窒化チタン(TiN)を5nm〜50nm程度の厚さに堆積して、仕事関数制御膜45を形成する。続いて、レジスト塗布、リソグラフィー技術によって第1領域11Aの領域LVP上を被覆するようにレジストマスク(図示せず)を形成する。このレジストマスクをエッチングマスクにして、第1領域11Aの領域LVN−1、領域LVN−2および第1領域11A上の上記仕事関数制御膜45を除去する。この結果、第1領域11Aの領域LVPに仕事関数制御膜45が残される。PMOSFETに対しては例えばルテニウム(Ru)等を堆積することもできる。その後、上記レジストマスクを除去する。
【0096】
上記仕事関数制御膜44、45はどちらを先に形成してもかまわない。
【0097】
次に、上記ゲート形成溝42の内部を埋め込むように、導電材料として導電膜46を形成する。この導電膜46は、例えば、上記仕事関数制御膜44、45よりも電気抵抗が低い金属材料を用いる。本実施例では、一例として、タングステン(W)を用いた。このタングステン膜は、例えばCVD法により堆積して形成する。その膜厚は、上記ゲート形成溝42が完全に埋め込まれる膜厚であればよく、例えば200nm〜400nmとする。
【0098】
次に、図22に示すように、ゲート形成溝42内部以外の余剰な上記導電膜46(前記図21参照)を除去する。この除去加工には、例えば化学的機械研磨(CMP)を用いる。このCMPでは、ライナー膜36、第1層間絶縁膜38、保護膜41等が研磨ストッパとなる。これによって、第2領域11Bの低電圧トランジスタ(NMOSFET)の第2ゲート電極47が、ゲート形成溝42内に残された導電膜46、仕事関数制御膜44によって形成され、低電圧トランジスタ(PMOSFET)の第2ゲート電極48が、ゲート形成溝42内に残された導電膜46、仕事関数制御膜45によって形成される。
【0099】
次に、図23に示すように、ライナー膜36、第1層間絶縁膜38、保護膜41上の全面に第2層間絶縁膜51を形成する。この第2層間絶縁膜51は、例えば酸化シリコン膜で形成される。その成膜条件は、例えば、高密度プラズマ(HDP)CVD法により、成膜温度を500℃以下にする。
【0100】
次に、図24に示すように、通常のレジスト塗布、リソグラフィー技術によって、レジストマスク(図示せず)を形成し、このレジストマスクを用いたエッチング(例えばドライエッチング)により、ライナー膜36、第1層間絶縁膜38、保護膜41、第2層間絶縁膜51に、各トランジスタの第1ゲート電極15上のシリサイド層40、第2ゲート電極47、48、ソース/ドレイン領域27〜32上のシリサイド層33に通じる接続孔52を形成する。なお、図面が断面図であるため、一部の接続孔の図示は省略されている。その後、レジストマスクを除去する。
【0101】
次に、図25に示すように、上記各接続孔52を埋め込むように、第2層間絶縁膜51上に導電膜53を形成する。この導電膜53は、例えばタングステン(W)を用いる。その成膜方法には、例えばCVD法を用いる。
【0102】
次に、図26示すように、CMPもしくはドライエッチング法によって、上記第2層間絶縁膜51上の導電膜53を除去し、各接続孔52の内部に残した導電膜53で電極54を形成する。図示はしていないが、その後の配線工程を行う。
【0103】
このようにして、第1領域11Aの領域MVに中電圧トランジスタ(NMOSFET)2が形成され、領域HVに高電圧トランジスタ(NMOSFET)3が形成され、第2領域11Bの領域LVN−1に低電圧トランジスタ(NMOSFET)4が密に形成され、領域LVN−2に低電圧トランジスタ(NMOSFET)4が孤立して形成され、領域LVPに低電圧トランジスタ(PMOSFET)5が形成された半導体装置1(1A)が形成される。
【0104】
上記半導体装置1(1A)の製造方法(第1実施例)では、半導体基板11に、第1トランジスタ群として、領域MVに中電圧トランジスタ(NMOSFET)2が形成され、領域HVに高電圧トランジスタ(NMOSFET)3が形成される。また、第1トランジスタ群の動作電圧よりも低い動作電圧の第2トランジスタ群として、第2領域11Bの領域LVN−1に低電圧トランジスタ(NMOSFET)4が密に形成され、領域LVN−2に低電圧トランジスタ(NMOSFET)4が孤立して形成される。しかも、第1トランジスタ群の第1ゲート電極15上のシリサイド層40を被覆する保護膜41を形成してから、第2トランジスタ群の第2ゲート電極47、48を形成するので、第2ゲート電極47、48を形成する際に、例えば、第2ゲート電極47、48を構成する金属材料の余剰な部分を除去するための研磨を行っても、保護膜41によって第1ゲート電極15上のシリサイド層40の削れもしくは消滅は回避され、第1トランジスタ群のシリサイド層40が保護される。よって、シリサイド層40によって第1ゲート電極15の電気抵抗が低減される。
【0105】
よって、酸化シリコンもしくは酸窒化シリコンのゲート絶縁膜13とポリシリコンもしくはアモファスシリコンの第1ゲート電極15を持つ第1トランジスタ群(高耐圧(高電圧動作、中電圧動作)のトランジスタ群)、および高誘電率(High-k)膜のゲート絶縁膜43と、いわゆる金属ゲート電極である第2ゲート電極47、48を持つ第2トランジスタ群(例えば低電圧動作のトランジスタ群)を同一の半導体基板11に形成して、第1トランジスタ群の第1ゲート電極15の低抵抗化を可能とするという利点がある。
【0106】
上記第1実施例の製造方法では、図27に示すように、保護膜41の端部に段差が生じている。そのため、第2領域11Bの低電圧トランジスタの第2ゲート電極47、48を形成するときの導電膜46のCMP工程において、保護膜41の端部に導電膜46が残る。
【0107】
次に、上記導電膜のCMP工程において、保護膜端部に導電膜が残らないようにした、本発明の半導体装置に係る一実施の形態(第2実施例)を、図28の概略構成断面図によって説明する。
【0108】
図28に示すように、半導体装置1(1B)は、前記第1実施例で説明した半導体装置1(1A)において、保護膜41の端面が傾斜面41Cに形成されているものである。これによって、保護膜41の端部の段差が解消される。この傾斜面41Cは、保護膜41の下地(第1層間絶縁膜38、ライナー膜36)表面に対する傾斜角(平均傾斜角)が70度以下であることが好ましく、より好ましくは45度以下である。なお、この傾斜面41Cは、徐々に勾配が変化する面であってもよく、例えば湾曲した面であってもよく、また平面であってもよい。保護膜41の下地表面から立ち上がる部分で段差が解消していることが重要である。これによって、図示はしていないが、ゲート電極を形成するための導電材料を堆積して導電膜を形成し、その導電膜を化学的機械研磨によって除去しても、保護膜41の端部に導電膜が残らないようになる。よって、残された導電材料が原因となるショートをなくすことができ、配線の信頼性の向上が図れる。
【0109】
次に、本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第2実施例)を、図29〜図39の製造工程断面図によって説明する。この第2実施例の製造方法は、上記半導体装置1(1B)の製造方法の一例である。
【0110】
図29に示すように、素子分離工程を行って、半導体基板11に、例えば、低電圧トランジスタ(例えばMOSFET)が形成される領域LVN−1、領域LVN−2、領域LVP、中電圧トランジスタ(例えばMOSFET)が形成される領域MV、高電圧トランジスタ(例えばMOSFET)が形成される領域HVを分離する素子分離領域12を形成する。上記領域MV、HVには、MOSFETのパターン密度が密な領域も孤立パターンの領域も含む。そして、高電圧トランジスタの形成領域である領域HVと中電圧トランジスタの形成領域である領域MVを第1領域11A、低電圧トランジスタのNMOSFETが密に形成される領域LVN−1、低電圧トランジスタのNMOSFETが孤立して形成される領域LVN−2、低電圧トランジスタのPMOSFETが形成される領域LVPを第2領域11Bとする。
【0111】
次に、NMOSFETを形成する領域にPウエル領域(図示せず)を形成するためのイオン注入、MOSFETのパンチスルー阻止を目的とした埋め込み層(図示せず)を形成するためのイオン注入、しきい値電圧(Vth)を調整するためのイオン注入を適宜行い、NMOSチャネル領域を形成する。また、PMOSFETを形成する領域にNウエル領域(図示せず)を形成するためのイオン注入、MOSFETのパンチスルー阻止を目的とした埋め込み層(図示せず)を形成するためのイオン注入、しきい値電圧(Vth)を調整するためのイオン注入を適宜行い、PMOSチャネル領域を形成する。そのとき、高電圧トランジスタが形成される領域HV、中電圧トランジスタが形成される領域MV、各低電圧トランジスタが形成される領域LVN−1、領域LVN−2、領域LVPについて、それぞれのイオン注入条件でイオン注入を行ってもよい。
【0112】
次に、図30に示すように、前記第1実施例の前記図3〜図7によって説明した製造方法によって、半導体基板11の領域HV表面、領域MV表面に、下層よりゲート絶縁膜13、第1ゲート電極15、ハードマスク74Aからなるゲート部17を形成し、半導体基板11の領域LVN−1表面、領域LVN−2表面、領域LVP表面に下層よりダミーゲート絶縁膜16、ダミーゲート電極16、ハードマスク74Bからなるダミーゲート部18を形成する。
【0113】
次に、オフセットスペーサを形成する。前記図8によって説明したのと同じように、例えば減圧CVD法によって、ハードマスク74A、第1ゲート電極15、ゲート絶縁膜13等のゲート部17、ハードマスク74B、ダミーゲート電極16、ダミーゲート絶縁膜14等のダミーゲート部18を被覆するように、半導体基板11上にオフセットスペーサを形成するための絶縁膜を形成する。この絶縁膜は、例えば減圧CVD法によって、窒化シリコン膜で形成される。次いで、上記絶縁膜を全面エッチバックすることでオフセットスペーサ19を形成する。減圧CVDによって成膜される窒化シリコン膜の膜厚は例えば6nm〜10nmとする。
【0114】
次に、図31に示すように、前記第1実施例の前記図8〜図12によって説明した製造方法によって、第1領域11Aの各ゲート部17の側方の半導体基板11表面側にエクステンション領域21、22を形成する。また、第2領域11Bの各ダミーゲート部18の側方の半導体基板11表面側にNMOSFETのエクステンション領域23、24、PMOSFETのエクステンション領域25、26を形成する。
【0115】
次に、上記ゲート部17およびダミーゲート部18の各側壁に、オフセットスペーサ19(前記図30参照)を介してサイドウォール20を形成する。
【0116】
次に、第1領域11Aの各ゲート部17の側方の半導体基板11表面側にエクステンション領域21、22をそれぞれに介してソース/ドレイン領域27、28を形成する。また、第2領域11Bの領域LVN−1、領域LVN−2の各ダミーゲート部18の側方の半導体基板11表面側にエクステンション領域23、24をそれぞれに介してソース/ドレイン領域29、30を形成する。さらに、第2領域11Bの領域LVPのダミーゲート部18の側方の半導体基板11表面側にエクステンション領域25、26をそれぞれに介してソース/ドレイン領域31、32を形成する。
【0117】
次に、図32に示すように、前記第1実施例の前記図13〜図16によって説明した製造方法によって、各ソース/ドレイン領域27〜32上にシリサイド層33を形成する。
【0118】
次に、上記ゲート部17、ダミーゲート部18等を被覆するように、半導体基板11上の全面に絶縁膜を形成する。まずこの絶縁膜としてライナー膜36を形成する。次いで、上記ライナー膜36上に上記絶縁膜の一部となる第1層間絶縁膜38を形成する。この第1層間絶縁膜38は、例えば、高密度プラズマ(HDP)CVDにより、100nm〜200nmの厚さの酸化シリコン(SiO2)膜で形成する。
【0119】
次に、化学的機械研磨(CMP)法によって、各ゲート部17、ダミーゲート部18上の第1層間絶縁膜38、ライナー膜36を、各ハードマスク74A、74Bが露出されるまで研磨する。このとき、各ハードマスク74A、74Bの下部が残される。なお、図面では、上記化学的機械研磨の途中の状態を示した。
【0120】
次に、図33に示すように、レジスト塗布、リソグラフィー技術によって、第2領域11Bを被覆するエッチングマスク91を形成する。このエッチングマスク91を用いて、第1ゲート電極15上面が露出するように、第1領域11Aのハードマスク74A(前記図32参照)を除去するとともに、第1層間絶縁膜38、ライナー膜36、サイドウォール20の一部を除去する。その後、上記エッチングマスク91を除去する。
【0121】
次に、図34に示すように、第1ゲート電極15上にシリサイド層40を形成する。まず、全面にシリサイドを形成するための金属層を形成する。ここでは、一例として、金属層にコバルト(Co)を用いた。上記金属層は、例えばスパッタリングによって、例えば6nm〜8nmの厚さにコバルトを堆積して形成する。次いで、RTAを500℃〜600℃の条件で行い、各第1ゲート電極15のシリコン(Si)上のみ金属層を反応させてシリサイド層40を形成する。金属層がコバルトであるので、シリサイド層40はコバルトシリサイド(例えばCoSi)となる。その後、硫酸(H2SO4)と過酸化水素(H22)の混合液を用いたウエットエッチングによって、絶縁膜(例えば、ハードマスク74B,サイドウォール20、ライナー膜36、第1層間絶縁膜38等)上の未反応なコバルトを除去する。続いて、熱処理を行い低抵抗なコバルトシリサイド(CoSi2)を形成する。この熱処理は、例えば650℃〜850℃、30秒のRTAで行う。また、金属層には、コバルト(Co)の代わりにニッケル(Ni)やニッケル白金(NiPt)を用いることにより、ニッケルシリサイド(NiSi2)を形成することも可能である。いずれの場合もRTA温度は適宜設定することができる。
【0122】
次に、図35に示すように、前記第1実施例の前記図19によって説明した製造方法によって、上記シリサイド層40を保護するための保護膜41を形成する。この保護膜41は、例えば、プラズマCVD方法により、酸化シリコン(SiO2)もしくは窒化シリコン(SiN)膜で、10nm〜100nmの厚さに形成する。上記保護膜41は、450℃以下の温度で成膜が可能であることから、既に形成したシリサイド層33、40の損傷が回避される。
【0123】
次に、レジスト塗布、リソグラフィー技術によって第1領域11A上を被覆するようにエッチングマスク80を形成する。したがって、第2領域11Bはこのエッチングマスク80には被覆されていない。
【0124】
次に、図36に示すように、前記第1実施例の前記図20によって説明した製造方法によって、上記エッチングマスク80(前記図35参照)を用いて、上記第2領域11Bの保護膜41(前記図35参照)をドライエッチングにより除去する。このドライエッチング条件としては、一例として、エッチングガスにオクタフルオロシクロブタン(C48)と酸素(O2)とアルゴン(Ar)とを用い、上記C48流量を9cm3/min、O2流量を5cm3/min、Ar流量を250cm3/minに設定し、エッチング雰囲気の圧力を4.1Pa、エッチング装置の電力(プラズマ出力)を1500W、基板温度を20℃に設定した。続いて、各ハードマスク74B、ダミーゲート電極16(前記図31参照)を、例えばドライエッチングにより除去し、さらに稀フッ酸によるウエットエッチングによって、ダミーゲート絶縁膜14(前記図31参照)を除去して、ゲート形成溝42を形成する。このとき、第1領域11Aは保護膜41により被覆されている。上記エッチングマスク80は、ウエットエッチング前に除去する。ここでは、保護膜41の端面が垂直に近い形状で段差となる。
【0125】
次に、図37に示すように、例えば化学的機械研磨(CMP)を行うことによって、保護膜41の端面を傾斜面41Cに形成して段差を解消する。この傾斜面41Cは、保護膜41の下地(第1層間絶縁膜38、ライナー膜36)表面に対する傾斜角(平均傾斜角)が70度以下であることが好ましく、より好ましくは45度以下である。なお、この傾斜面は、徐々に勾配が変化する面であってもよく、例えば湾曲した面であってもよく、また平面であってもよい。保護膜41の下地表面から立ち上がる部分で段差が解消していることが重要である。上記CMP条件の一例としては、研磨パッドに発泡ポリウレタン製のものを用い、研磨圧力を300hPa、定盤の回転数を100rpm、研磨ヘッドの回転数を107rpmに設定し、研磨スラリーにセリア系スラリーを用い、スラリー流量を200cm3/min、スラリー温度を25℃〜30℃に設定した。
【0126】
次に、図38に示すように、前記第1実施例の前記図21によって説明した製造方法によって、上記ゲート形成溝42の内面に第2ゲート絶縁膜43を形成する。次に、上記ゲート形成溝42の内面に第2ゲート絶縁膜43を介して、仕事関数を決定する仕事関数制御膜44、45を形成する。
【0127】
まず、NMISFETに適した仕事関数を持った金属もしくは金属化合物を、例えば原子層蒸着(ALD)法、化学気相成長法等の成膜方法により堆積する。本実施例では、例えばハフニウムシリサイド(HfSix)を例えば10nm〜100nm程度の厚さに堆積して、仕事関数制御膜44を形成する。続いて、領域LVPおよび第1領域11A上の上記仕事関数制御膜44を除去する。この結果、第1領域11Aの領域LVN−1、領域LVN−2に仕事関数制御膜44が残される。
【0128】
次に、PMOSFETに適した仕事関数を持った金属もしくは金属化合物を、例えば原子層蒸着(ALD)法、化学気相成長法等の成膜方法により堆積する。本実施例では、例えば窒化チタン(TiN)を5nm〜50nm程度の厚さに堆積して、仕事関数制御膜45を形成する。続いて、第1領域11Aの領域LVN−1、領域LVN−2および第1領域11A上の上記仕事関数制御膜45を除去する。この結果、第1領域11Aの領域LVPに仕事関数制御膜45が残される。PMOSFETに対しては例えばルテニウム(Ru)等を堆積することもできる。
【0129】
上記仕事関数制御膜44、45はどちらを先に形成してもかまわない。
【0130】
次に、上記ゲート形成溝42の内部を埋め込むように、導電材料として導電膜46を形成する。この導電膜46は、例えば、上記仕事関数制御膜44、45よりも電気抵抗が低い金属材料を用いる。本実施例では、一例として、タングステン(W)を用いた。
【0131】
次に、図39に示すように、前記第1実施例の前記図22によって説明した製造方法によって、ゲート形成溝42内部以外の余剰な上記導電膜46(前記図38参照)を除去する。この除去加工には、例えば化学的機械研磨(CMP)を用いる。このCMPでは、ライナー膜36、第1層間絶縁膜38、保護膜41等が研磨ストッパとなる。これによって、第2領域11Bの低電圧トランジスタ(NMOSFET)の第2ゲート電極47が、ゲート形成溝42内に残された導電膜46、仕事関数制御膜44によって形成され、低電圧トランジスタ(PMOSFET)の第2ゲート電極48が、ゲート形成溝42内に残された導電膜46、仕事関数制御膜45によって形成される。このとき、保護膜41の端面が傾斜面41Cに形成されていることから、この部分に導電膜46が残ることはない。
【0132】
次に、前記第1実施例で説明した図23以降の工程を行う。
【0133】
上記半導体装置1(1B)の製造方法(第2実施例)では、半導体基板11に、第1トランジスタ群として、領域MVに中電圧トランジスタ(NMOSFET)2が形成され、領域HVに高電圧トランジスタ(NMOSFET)3が形成される。また、第1トランジスタ群の動作電圧よりも低い動作電圧の第2トランジスタ群として、領域MVに中電圧トランジスタ(NMOSFET)2が形成され、領域HVに高電圧トランジスタ(NMOSFET)3が形成される。しかも、第1トランジスタ群の第1ゲート電極15上のシリサイド層40を被覆する保護膜41を形成してから、第2トランジスタ群の第2ゲート電極47、48を形成するので、第2ゲート電極47、48を形成する際に、例えば、第2ゲート電極47、48を構成する金属材料の余剰な部分を除去するための研磨を行っても、保護膜41によって第1ゲート電極15上のシリサイド層40の削れもしくは消滅は回避され、第1トランジスタ群のシリサイド層40が保護される。よって、シリサイド層40によって第1ゲート電極15の電気抵抗が低減される。
【0134】
よって、酸化シリコンもしくは酸窒化シリコンのゲート絶縁膜13とポリシリコンもしくはアモファスシリコンの第1ゲート電極15を持つ第1トランジスタ群(高耐圧(高電圧動作、中電圧動作)のトランジスタ群)、および高誘電率(High-k)膜のゲート絶縁膜43と、いわゆる金属ゲート電極である第2ゲート電極47、48を持つ第2トランジスタ群(例えば低電圧動作のトランジスタ群)とを同一の半導体基板11に形成して、第1トランジスタ群の第1ゲート電極15の低抵抗化を可能とするという利点がある。
【0135】
さらに、保護膜41の端面が傾斜面41Cに形成されていることから、この部分に導電膜46が残ることはない。よって、残された導電膜46によって生じる可能性があったショートの問題が解決できる。
【0136】
次に、上記第2実施例の変形例を、図40〜図41の製造工程断面図によって説明する。
【0137】
図40に示すように、前記第2実施例の図35によって説明した製造方法によって、第1領域11Aの第1ゲート電極15上に形成したシリサイド層40を保護する保護膜41を形成し、第1領域11Aの保護膜41上にエッチングマスク80を形成する。
【0138】
次に、図41に示すように、エッチングマスク80を用いて、第2領域11Bの保護膜41を除去する。例えば等方性ドライエッチングにより保護膜41の除去を行う。この等方性ドライエッチングにより、保護膜41の端面が傾斜面41Cに形成される。以降の工程は、前記第2実施例と同様である。
【0139】
以下に保護酸化シリコン膜の等方性ドライエッチング条件を示す。一例として、エッチングガスに四フッ化メタン(CF4)と酸素(O2)とを用い、CF4流量を50cm3/min、O2流量を20cm3/minに設定し、エッチング雰囲気の圧力を20.7Pa、エッチング装置の電力(プラズマ出力)を500W、基板温度を20℃に設定した。
【0140】
この第2実施例の変形例では、等方性ドライエッチングにより保護膜41の端面を傾斜面41Cに形成することができるので、保護膜41の端面を傾斜面41Cに形成するCMP工程が不用になるので、第2実施例に比較して工程数が削減され、第1実施例と同数の工程になる。しかも、第2実施例と同様なる効果を得ることが可能である。
【0141】
次に、本発明の半導体装置に係る一実施の形態(第2実施例)を、図42の概略構成断面図によって説明する。
【0142】
図42に示すように、半導体基板11に、一例として、低電圧トランジスタ(例えばMOSFET)が形成される領域LVN−1、領域LVN−2、領域LVP、中電圧トランジスタ(例えばMOSFET)が形成される領域MV、高電圧トランジスタ(例えばMOSFET)が形成される領域HVが分離される素子分離領域12が形成されている。上記領域MV、HVには、MOSFETのパターン密度が密な領域も孤立パターンの領域も含む。そして、高電圧トランジスタの形成領域である領域HVと中電圧トランジスタの形成領域である領域MVを第1領域11A、低電圧トランジスタのNMOSFETが密に形成される領域LVN−1、低電圧トランジスタのNMOSFETが孤立して形成される領域LVN−2、低電圧トランジスタのPMOSFETが形成される領域LVPを第2領域11Bとする。
【0143】
また、NMOSFETを形成する領域にPウエル領域(図示せず)を形成するためのイオン注入、MOSFETのパンチスルー阻止を目的とした埋め込み層(図示せず)を形成するためのイオン注入、しきい値電圧(Vth)を調整するためのイオン注入が適宜なされていて、NMOSチャネル領域が形成されている。また、PMOSFETを形成する領域にNウエル領域(図示せず)を形成するためのイオン注入、MOSFETのパンチスルー阻止を目的とした埋め込み層(図示せず)を形成するためのイオン注入、しきい値電圧(Vth)を調整するためのイオン注入が適宜行われていて、PMOSチャネル領域が形成されている。なお、高電圧トランジスタが形成される領域HV、中電圧トランジスタが形成される領域MV、各低電圧トランジスタが形成される領域LVN−1、領域LVN−2、領域LVPについて、それぞれにチャネル領域が形成されていてもよい。
【0144】
上記半導体基板11の領域HV表面、領域MV表面には、ゲート絶縁膜13が形成されている。高電圧トランジスタ、中電圧トランジスタでは、厚いゲート絶縁膜を有することが多く、このゲート絶縁膜13は例えば酸化シリコン膜で形成されていて、その膜厚は2nm〜4nmに形成されている。上記ゲート絶縁膜13上には第1ゲート電極15が形成されている。この第1ゲート電極15は、例えばポリシリコンもしくはアモファスシリコンで形成され、第2領域11Bに形成される第2ゲート電極47、48よりも20nm〜50nm低く形成されている。
【0145】
上記半導体基板11の領域LVN−1、領域LVN−2、領域LVP上には、一旦ダミーゲート絶縁膜、ダミーゲート電極(図示せず)が形成されていて、各ダミーゲート電極の側壁および上記第1ゲート電極15の側壁にはオフセットスペーサ19が形成されている。この膜厚は例えば6nm〜10nmとなっている。
【0146】
そして、上記各第1ゲート電極15の側方の半導体基板11表面側にエクステンション領域21、22が形成されている。また、領域LVN−1、領域LVN−2の各ダミーゲート電極の側方の半導体基板11表面側にはNMOSFETのエクステンション領域23、24が形成されている。さらに領域LVPのダミーゲート電極の側方の半導体基板11表面側にPMOSFETのエクステンション領域25、26が形成されている。
【0147】
さらに、各第1ゲート電極15、ダミーゲート電極の側部には、上記オフセットスペーサ19を介してサイドウォール20が形成されている。
【0148】
そして、上記各第1ゲート電極15の側方の半導体基板11表面側にエクステンション領域21、22をそれぞれに介してソース/ドレイン領域27、28が形成されている。また、領域LVN−1、領域LVN−2の各ダミーゲート電極の側方の半導体基板11表面側にはNMOSFETのエクステンション領域23、24をそれぞれに介してソース/ドレイン領域29、30が形成されている。さらに領域LVPのダミーゲート電極の側方の半導体基板11表面側にPMOSFETのエクステンション領域25、26をそれぞれに介してソース/ドレイン領域31、32が形成されている。
【0149】
上記各ソース/ドレイン領域27〜32上にはシリサイド層33が形成されている。このシリサイド層33は、例えばコバルトシリサイド(CoSi2)、ニッケルシリサイド(NiSi2)、ニッケル白金シリサイド等で形成されている。
【0150】
そして上記第1ゲート電極15、ダミーゲート電極の一部等を被覆するように絶縁膜が形成されている。この絶縁膜は、半導体基板11上の全面に形成されたライナー膜36と、その上面に形成された第1層間絶縁膜38とを有する。
【0151】
上記ライナー膜36は、例えば窒化シリコン(SiN)膜で形成され、トランジスタのチャネル部にストレスを印加するものである。例えば、NMOSFETには、チャネルの移動度を高めるために引張応力を有するものを用いる。PMOSFETには、チャネルの移動度を高めるために圧縮応力を有するものを用いる。また、NMOSFETとPMOSFETに対して、ライナー膜36を作り分けてもよい。また、上記ライナー膜36の応力は、通常、成膜条件によって決定させることができる。
【0152】
上記第1層間絶縁膜38は、例えば、高密度プラズマ(HDP)CVDによる酸化シリコン(SiO2)膜で形成されている。そして、上記第1ゲート電極15の上面が露出するように、第1ゲート電極15が形成されている第1領域11Aの第1層間絶縁膜38、ライナー膜36の表面は、第2領域の第1層間絶縁膜38、ライナー膜36の表面よりも低く形成され、第1ゲート電極15の上面と同一もしくは、例えば±20nm程度の高さに形成されている。
【0153】
上記第1ゲート電極15の上面にはシリサイド層40が形成されている。このシリサイド層40は、例えば、コバルトシリサイド(CoSi2)、ニッケルシリサイド(NiSi2)、ニッケル白金シリサイド等で形成されている。
【0154】
上記第1領域11Aの第1層間絶縁膜38、ライナー膜36上には、上記シリサイド層40を保護するための保護膜41が形成されている。この保護膜41は、例えば、酸化シリコン(SiO2)もしくは窒化シリコン(SiN)膜で形成され、その表面が上記第2領域11Bの第1層間絶縁膜38、ライナー膜36表面とほぼ同一高さ、例えば±20nm程度の高さに形成されている。そのときの成膜温度は450℃以下に設定されている。これによって、保護膜41を形成しても、既に形成したシリサイド層33、40の損傷が回避される。また、保護膜41表面と第2領域11Bの第1層間絶縁膜38、ライナー膜36表面とをほぼ同一高さに形成されていることで、その上面に形成される配線、電極等が高精度に形成されることが可能になる。
【0155】
上記第2領域11Bの第1層間絶縁膜38、ライナー膜36には、上記ダミーゲート電極、ダミーゲート絶縁膜を除去することで形成されるゲート形成溝42が形成されている。
【0156】
上記ゲート形成溝42の内面には第2ゲート絶縁膜43が形成されている。この第2ゲート絶縁膜43は、高誘電率膜で形成されている。この高誘電率膜は、例えば、ハフニウム、ジルコニウム、ランタン、イットリウム、タンタルもしくはアルミニウムの酸化物、酸珪化物または酸窒化物、酸珪化窒化物で形成される。具体的には、例えば、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ランタン(LaO3)、酸化イットリウム(Y23)、酸化タンタル(Ta25)、酸化アルミニウム(Al23)、ハフニウムシリケート(HfSiOx)、ジルコニウムシリケート(ZrSiOx)、ランタンシリケート(LaSiOx)、イットリウムシリケート(YSiOx)、タンタルシリケート(TaSiOx)、アルミニウムシリケート(AlSiOx)、チタン酸ジルコニウム(ZrTiOx)、酸化アルミニウムハフニウム(HfAlOx)もしくは酸化ジルコニウムハフニウム(HfZrOx)で形成される。またはこれら化合物の窒化物で形成される。例えば酸珪化窒化物としては、酸珪化窒化ハフニウム(HfSiON)、酸珪化窒化ジルコニウム(ZnSiON)等、上記金属シリケートの窒化物がある。高誘電率膜の比誘電率は、組成、状態(結晶質もしくは非晶質)等によって変動するが、一般に、HfO2の比誘電率は25〜30であり、ZrO2の比誘電率は20〜25である。
【0157】
また、上記ゲート形成溝42の内面に第2ゲート絶縁膜43を介して、仕事関数を決定する仕事関数制御膜44、45が形成されている。通常、NMISFETのゲート電極では、4.6eV以下、望ましくは、4.3eV以下の仕事関数を有し、PMOSFETのゲート電極では、4.6eV以上、望ましくは、4.9eV以上の仕事関数を有する。そして、それらの差が0.3eV以上あることが望ましい。具体的には、組成、状態(結晶質もしくは非晶質)等によって変動するが、NMISFET用のHfSixは4.1〜4.3eV、PMISFET用の窒化チタン(TiN)は4.5〜5.0eV程度である。上記仕事関数制御膜44、45の一例として、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zn)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、白金(Pt)からなる金属、これらの金属を含む合金、これらの金属の化合物がある。この金属化合物としては、金属窒化物、金属と半導体との化合物がある。金属と半導体との化合物には、一例として金属シリサイドがある。
【0158】
領域LVN−1、領域LVN−2のゲート形成溝42には、NMISFETに適した仕事関数を持った金属もしくは金属化合物からなる仕事関数制御膜44が形成されている。一例として、仕事関数制御膜44は、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)等の金属、これらの金属を含む合金、これらの金属の化合物があり、具体的には、ハフニウムシリサイド(HfSix)がより好ましい。
【0159】
また、領域LVPのゲート形成溝42には、PMISFETに適した仕事関数を持った金属もしくは金属化合物からなる仕事関数制御膜45が形成されている。一例として、仕事関数制御膜45は、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)等の金属、これらの金属を含む合金、これらの金属の化合物があり、具体的には、窒化チタン(TiN)、ルテニウム(Ru)がより好ましい。
【0160】
さらに上記ゲート形成溝42の内部を埋め込むように、導電材料として導電膜46が形成されている。この導電膜46は、例えば、上記仕事関数制御膜44、45よりも電気抵抗が低い金属材料が用いられる。本実施例では、一例として、タングステン(W)を用いた。
【0161】
このように、第2領域11Bの低電圧トランジスタ(NMOSFET)の第2ゲート電極47が、ゲート形成溝42内に残された導電膜46、仕事関数制御膜44によって形成され、低電圧トランジスタ(PMOSFET)の第2ゲート電極48が、ゲート形成溝42内に残された導電膜46、仕事関数制御膜45によって形成されている。
【0162】
上記ライナー膜36、第1層間絶縁膜38、保護膜41上の全面には第2層間絶縁膜51が形成されている。この第2層間絶縁膜51は、例えば酸化シリコン膜で形成される。
【0163】
上記ライナー膜36、第1層間絶縁膜38、保護膜41、第2層間絶縁膜51には、各トランジスタの第1ゲート電極15、第2ゲート電極47、48、ソース/ドレイン領域27〜32に通じる接続孔52が形成され、各接続孔52を埋め込むように、導電膜からなる電極54が形成されている。
【0164】
このように、第1領域11Aの領域MVに中電圧トランジスタ(NMOSFET)2が形成され、領域HVに高電圧トランジスタ(NMOSFET)3が形成され、第2領域11Bの領域LVN−1に低電圧トランジスタ(NMOSFET)4が密に形成され、領域LVN−2に低電圧トランジスタ(NMOSFET)4が孤立して形成され、領域LVPに低電圧トランジスタ(PMOSFET)5が形成された半導体装置1(1C)が形成されている。
【0165】
上記半導体装置1(1C)では、半導体基板11に、第1トランジスタ群として、領域MVに中電圧トランジスタ(NMOSFET)2が形成され、領域HVに高電圧トランジスタ(NMOSFET)3が形成されている。また、第1トランジスタ群の動作電圧よりも低い動作電圧の第2トランジスタ群として、領域MVに中電圧トランジスタ(NMOSFET)2が形成され、領域HVに高電圧トランジスタ(NMOSFET)3が形成されている。しかも、第1トランジスタ群の第1ゲート電極15上のシリサイド層40を被覆する保護膜41が形成されているから、第2トランジスタ群の第2ゲート電極47、48を形成する際に、例えば、第2ゲート電極47、48を構成する金属材料の余剰な部分を除去するための研磨を行っても、保護膜41によって第1ゲート電極15上のシリサイド層40の削れもしくは消滅は回避され、第1トランジスタ群のシリサイド層40が保護される。よって、シリサイド層40によって第1ゲート電極15の電気抵抗が低減できる。
【0166】
また、第2トランジスタ群を被覆する第1層間絶縁膜38の表面と保護膜41の表面とが同一高さもしくはそれに近い状態、例えば平坦面状になるように形成することから、第2ゲート電極(図示せず)を形成する際に用いた導電膜(図示せず)が保護膜41の段差部に残るという問題が解消される。
【0167】
次に、本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第3実施例)を、図43〜図52の製造工程断面図によって説明する。この第3実施例の製造方法は、上記半導体装置1(1C)の製造方法の一例である。
【0168】
図43に示すように、前記第1実施例の前記図3〜図16によって説明した製造方法によって、半導体基板11の領域HV表面、領域MV表面に、下層よりゲート絶縁膜13、第1ゲート電極15、ハードマスク74Aからなるゲート部17を形成し、半導体基板11の領域LVN−1表面、領域LVN−2表面、領域LVP表面に下層よりダミーゲート絶縁膜16、ダミーゲート電極16、ハードマスク74Bからなるダミーゲート部18を形成する。
【0169】
次に、ハードマスク74A、第1ゲート電極15、ゲート絶縁膜13等のゲート部17、ハードマスク74B、ダミーゲート電極16、ダミーゲート絶縁膜14等のダミーゲート部18の各側壁にオフセットスペーサ(図示せず)を形成する。次いで、第1領域11Aの各ゲート部17の側方の半導体基板11表面側にエクステンション領域21、22を形成する。また、第2領域11Bの各ダミーゲート部18の側方の半導体基板11表面側にNMOSFETのエクステンション領域23、24、PMOSFETのエクステンション領域25、26を形成する。
【0170】
次に、上記ゲート部17およびダミーゲート部18の各側壁に、オフセットスペーサ(図示せず)を介してサイドウォール20を形成する。次いで、第1領域11Aの各ゲート部17の側方の半導体基板11表面側にエクステンション領域21、22をそれぞれに介してソース/ドレイン領域27、28を形成する。また、第2領域11Bの領域LVN−1、領域LVN−2の各ダミーゲート部18の側方の半導体基板11表面側にエクステンション領域23、24をそれぞれに介してソース/ドレイン領域29、30を形成する。さらに、第2領域11Bの領域LVPのダミーゲート部18の側方の半導体基板11表面側にエクステンション領域25、26をそれぞれに介してソース/ドレイン領域31、32を形成する。そして、各ソース/ドレイン27〜32上にシリサイド層33を形成する。
【0171】
次に、上記ゲート部17、ダミーゲート部18等を被覆するように、半導体基板11上の全面に絶縁膜を形成する。まずこの絶縁膜としてライナー膜36を形成し、さらに上記ライナー膜36上に上記絶縁膜の一部となる第1層間絶縁膜38を形成する。次に、化学的機械研磨(CMP)法によって、各ゲート部17、ダミーゲート部18上の第1層間絶縁膜38、ライナー膜36を、各ハードマスク74A、74Bが露出されるまで研磨する。このとき、各ハードマスク74A、74Bの下部が残される。
【0172】
次に、図44に示すように、前記第1実施例の前記図17によって説明した製造方法によって、レジスト塗布、リソグラフィー技術によって、第2領域11Bを被覆するエッチングマスク79を形成する。このエッチングマスク79を用いて、第1ゲート電極15上面が露出するように、第1領域11Aのハードマスク74A(前記図43参照)を除去するとともに、第1層間絶縁膜38、ライナー膜36、サイドウォール20の一部を除去する。
【0173】
続いて、図45に示すように、上記エッチングマスク79を用いたドライエッチングによって、第1ゲート電極15の上部を除去して、第1ゲート電極15の高さを例えば20nm〜50nm減らす。
【0174】
さらに、図46に示すように、上記エッチングマスク79を用いたドライエッチングによって、第1領域11Aの第1層間絶縁膜38(前記図45参照)、ライナー膜36、サイドウォール20の一部を第1ゲート電極15の高さ程度まで除去する。ライナー膜36およびサイドウォール20の高さは、第1ゲート電極15の高さと同じ程度(例えば±20nm)とする。その後、上記エッチングマスク79を除去する。
【0175】
次に、図47に示すように、前記第1実施例の前記図18によって説明した製造方法と同様にして、第1ゲート電極15上にシリサイド層40を形成する。まず、全面にシリサイドを形成するための金属層を形成する。ここでは、一例として、金属層にコバルト(Co)を用いた。上記金属層は、例えばスパッタリングによって、例えば6nm〜8nmの厚さにコバルトを堆積して形成する。次いで、RTAを500℃〜600℃の条件で行い、各第1ゲート電極15のシリコン(Si)上のみ金属層を反応させてシリサイド層40を形成する。金属層がコバルトであるので、シリサイド層40はコバルトシリサイド(例えばCoSi)となる。その後、硫酸(H2SO4)と過酸化水素(H22)の混合液を用いたウエットエッチングによって、絶縁膜(例えば、ハードマスク74B,サイドウォール20、ライナー膜36、第1層間絶縁膜38等)上の未反応なコバルトを除去する。続いて、熱処理を行い低抵抗なコバルトシリサイド(CoSi2)を形成する。この熱処理は、例えば650℃〜850℃、30秒のRTAで行う。また、金属層には、コバルト(Co)の代わりにニッケル(Ni)やニッケル白金(NiPt)を用いることにより、ニッケルシリサイド(NiSi2)を形成することも可能である。いずれの場合もRTA温度は適宜設定することができる。
【0176】
次に、図48に示すように、上記シリサイド層40を保護するための保護膜41を全面に形成する。この保護膜41は、例えば、プラズマCVD方法により、酸化シリコン(SiO2)もしくは窒化シリコン(SiN)膜で形成する。例えば、酸化シリコン膜で形成する場合のCVD条件は、一例として、原料ガスに、酸素(O2)(流量:600cm3/min)とTEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)(流量:800cm3/min)を用い、成膜雰囲気の圧力を1.09kPa、CVD装置のRFパワーを700W、基板温度を400℃に設定する。上記保護膜41は、450℃以下の温度で成膜が可能であることから、既に形成したシリサイド層33、40の損傷が回避される。また、上記保護膜41は、その第1領域11Aにおける表面の高さが第2領域11B側の第1層間絶縁膜38表面と同一高さもしくはそれに近い状態となるように、かつ上記シリサイド層40を保護できるように、保護膜41の膜厚を設定する。そのためには、前記第1ゲート電極15の掘り下げ量は、シリサイド層40の高さおよび保護膜41の膜厚を考慮して決定される。このように、第1領域11Aの保護膜41表面と第2領域11Bの第1層間絶縁膜38、ライナー膜36表面とをほぼ同一高さもしくはそれに近い状態に形成することで、その上面に形成される配線、電極等が高精度に形成できるようになる。
【0177】
次に、図49に示すように、レジスト塗布、リソグラフィー技術によって第1領域11A上を被覆するようにエッチングマスク80を形成する。したがって、第2領域11Bはこのエッチングマスク80には被覆されていない。
【0178】
次に、図50に示すように、上記エッチングマスク80を用いて、上記第2領域11Bの保護膜41をドライエッチングにより除去し、第1領域11Aに保護膜41を残す。このドライエッチング条件としては、一例として、エッチングガスにオクタフルオロシクロブタン(C48)と酸素(O2)とアルゴン(Ar)とを用い、上記C48流量を9cm3/min、O2流量を5cm3/min、Ar流量を250cm3/minに設定し、エッチング雰囲気の圧力を4.1Pa、エッチング装置の電力(プラズマ出力)を1500W、基板温度を20℃に設定した。
【0179】
続いて、図51に示すように、各ハードマスク74B、ダミーゲート電極16(前記図43参照)を、例えばドライエッチングにより除去し、さらに稀フッ酸によるウエットエッチングによって、ダミーゲート絶縁膜14(前記図43参照)を除去して、ゲート形成溝42を形成する。その後、上記エッチングマスク80を除去する。
【0180】
この結果、図52に示すように、第1領域11A、第2領域11Bの第1層間絶縁膜38、ライナー膜36、保護膜41等の表面がほぼ平坦化され、かつ第1ゲート電極15上に形成されたシリサイド層40は保護膜41によって被覆されている。この後の工程は、前記第1実施例の前記図21〜図26によって説明した製造工程と同様である。よって、ここでの説明は省略する。
【0181】
上記半導体装置1(1C)の製造方法(第3実施例)では、前記第1実施例と同様なる作用、効果が得られる。しかも、保護膜41を形成する前に、第1トランジスタ群の第1層間絶縁膜38上部および第1ゲート電極15上部等を除去して、第2トランジスタ群の第2ゲート電極(図示せず)よりも第1トランジスタ群の第1ゲート電極15のほうが低くなるように形成することで、第1トランジスタ群の第1ゲート電極15上にシリサイド層40を形成しても、第2トランジスタ群の第2ゲート電極(図示せず)よりも低く形成されることになる。これによって、保護膜41を形成した際に、第2トランジスタ群を被覆する第1層間絶縁膜38の表面と保護膜41の表面とを平坦面状に形成しても、第1トランジスタ群の第1ゲート電極15上のシリサイド層40は保護膜41に被覆された状態となって保護される。
【0182】
また、第2トランジスタ群を被覆する第1層間絶縁膜38の表面と保護膜41の表面とが同一高さもしくはそれに近い状態、例えば平坦面状になるように形成できることから、第2ゲート電極(図示せず)を形成する際に用いた導電膜(図示せず)が保護膜41の段差部に残るという問題が解消される。
【0183】
次に、本発明の半導体装置に係る一実施の形態(第4実施例)を、図53の概略構成断面図によって説明する。
【0184】
図53に示すように、半導体基板11に、一例として、低電圧トランジスタ(例えばMOSFET)が形成される領域LVN−1、領域LVN−2、領域LVP、中電圧トランジスタ(例えばMOSFET)が形成される領域MV、高電圧トランジスタ(例えばMOSFET)が形成される領域HVが分離される素子分離領域12が形成されている。上記領域MV、HVには、MOSFETのパターン密度が密な領域も孤立パターンの領域も含む。そして、高電圧トランジスタの形成領域である領域HVと中電圧トランジスタの形成領域である領域MVを第1領域11A、低電圧トランジスタのNMOSFETが密に形成される領域LVN−1、低電圧トランジスタのNMOSFETが孤立して形成される領域LVN−2、低電圧トランジスタのPMOSFETが形成される領域LVPを第2領域11Bとする。
【0185】
また、NMOSFETを形成する領域にPウエル領域(図示せず)を形成するためのイオン注入、MOSFETのパンチスルー阻止を目的とした埋め込み層(図示せず)を形成するためのイオン注入、しきい値電圧(Vth)を調整するためのイオン注入が適宜なされていて、NMOSチャネル領域が形成されている。また、PMOSFETを形成する領域にNウエル領域(図示せず)を形成するためのイオン注入、MOSFETのパンチスルー阻止を目的とした埋め込み層(図示せず)を形成するためのイオン注入、しきい値電圧(Vth)を調整するためのイオン注入が適宜行われていて、PMOSチャネル領域が形成されている。なお、高電圧トランジスタが形成される領域HV、中電圧トランジスタが形成される領域MV、各低電圧トランジスタが形成される領域LVN−1、領域LVN−2、領域LVPについて、それぞれにチャネル領域が形成されていてもよい。
【0186】
上記半導体基板11の領域HV表面、領域MV表面には、ゲート絶縁膜13が形成されている。高電圧トランジスタ、中電圧トランジスタでは、厚いゲート絶縁膜を有することが多く、このゲート絶縁膜13は例えば酸化シリコン膜で形成されていて、その膜厚は2nm〜4nmに形成されている。上記ゲート絶縁膜13上には第1ゲート電極15が形成されている。この第1ゲート電極15は、例えばポリシリコンもしくはアモファスシリコンで形成され、100nm〜150nmの厚さとなっている。
【0187】
上記半導体基板11の領域LVN−1、領域LVN−2、領域LVP上には、一旦ダミーゲート絶縁膜、ダミーゲート電極(図示せず)が形成されていて、各ダミーゲート電極の側壁および上記第1ゲート電極15の側壁にはオフセットスペーサ19が形成されている。この膜厚は例えば6nm〜10nmとなっている。
【0188】
そして、上記各第1ゲート電極15の側方の半導体基板11表面側にエクステンション領域21、22が形成されている。また、領域LVN−1、領域LVN−2の各ダミーゲート電極の側方の半導体基板11表面側にはNMOSFETのエクステンション領域23、24が形成されている。さらに領域LVPのダミーゲート電極の側方の半導体基板11表面側にPMOSFETのエクステンション領域25、26が形成されている。
【0189】
さらに、各第1ゲート電極15、ダミーゲート電極の側部には、上記オフセットスペーサ19を介してサイドウォール20が形成されている。
【0190】
そして、上記各第1ゲート電極15の側方の半導体基板11表面側にエクステンション領域21、22をそれぞれに介してソース/ドレイン領域27、28が形成されている。また、領域LVN−1、領域LVN−2の各ダミーゲート電極の側方の半導体基板11表面側にはNMOSFETのエクステンション領域23、24をそれぞれに介してソース/ドレイン領域29、30が形成されている。さらに領域LVPのダミーゲート電極の側方の半導体基板11表面側にPMOSFETのエクステンション領域25、26をそれぞれに介してソース/ドレイン領域31、32が形成されている。
【0191】
上記各ソース/ドレイン領域27〜32上にはシリサイド層33が形成されている。このシリサイド層33は、例えばコバルトシリサイド(CoSi2)、ニッケルシリサイド(NiSi2)、ニッケル白金シリサイド等で形成されている。
【0192】
そして上記第1ゲート電極15、ダミーゲート電極の一部等を被覆するように絶縁膜が形成されている。この絶縁膜は、半導体基板11上の全面に形成されたライナー膜36と、その上面に形成された第1層間絶縁膜38とを有する。
【0193】
上記ライナー膜36は、例えば窒化シリコン(SiN)膜で形成され、トランジスタのチャネル部にストレスを印加するものである。例えば、NMOSFETには、チャネルの移動度を高めるために引張応力を有するものを用いる。PMOSFETには、チャネルの移動度を高めるために圧縮応力を有するものを用いる。また、NMOSFETとPMOSFETに対して、ライナー膜36を作り分けてもよい。また、上記ライナー膜36の応力は、通常、成膜条件によって決定させることができる。
【0194】
上記第1層間絶縁膜38は、例えば、高密度プラズマ(HDP)CVDによる酸化シリコン(SiO2)膜で形成されている。そして、上記第1ゲート電極15、ダミーゲート電極(図示せず)の各上面が露出するように、第1層間絶縁膜38、ライナー膜36の表面が平坦化されている。
【0195】
上記第2領域11Bの第1層間絶縁膜38、ライナー膜36には、上記ダミーゲート電極、ダミーゲート絶縁膜を除去することで形成されるゲート形成溝42が形成されている。
【0196】
上記ゲート形成溝42の内面には第2ゲート絶縁膜43が形成されている。この第2ゲート絶縁膜43は、高誘電率膜で形成されている。この高誘電率膜は、例えば、ハフニウム、ジルコニウム、ランタン、イットリウム、タンタルもしくはアルミニウムの酸化物、酸珪化物または酸窒化物、酸珪化窒化物で形成される。具体的には、例えば、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ランタン(LaO3)、酸化イットリウム(Y23)、酸化タンタル(Ta25)、酸化アルミニウム(Al23)、ハフニウムシリケート(HfSiOx)、ジルコニウムシリケート(ZrSiOx)、ランタンシリケート(LaSiOx)、イットリウムシリケート(YSiOx)、タンタルシリケート(TaSiOx)、アルミニウムシリケート(AlSiOx)、チタン酸ジルコニウム(ZrTiOx)、酸化アルミニウムハフニウム(HfAlOx)もしくは酸化ジルコニウムハフニウム(HfZrOx)で形成される。またはこれら化合物の窒化物で形成される。例えば酸珪化窒化物としては、酸珪化窒化ハフニウム(HfSiON)、酸珪化窒化ジルコニウム(ZnSiON)等、上記金属シリケートの窒化物がある。高誘電率膜の比誘電率は、組成、状態(結晶質もしくは非晶質)等によって変動するが、一般に、HfO2の比誘電率は25〜30であり、ZrO2の比誘電率は20〜25である。
【0197】
また、上記ゲート形成溝42の内面に第2ゲート絶縁膜43を介して、仕事関数を決定する仕事関数制御膜44、45が形成されている。通常、NMISFETのゲート電極では、4.6eV以下、望ましくは、4.3eV以下の仕事関数を有し、PMOSFETのゲート電極では、4.6eV以上、望ましくは、4.9eV以上の仕事関数を有する。そして、それらの差が0.3eV以上あることが望ましい。具体的には、組成、状態(結晶質もしくは非晶質)等によって変動するが、NMISFET用のHfSixは4.1〜4.3eV、PMISFET用の窒化チタン(TiN)は4.5〜5.0eV程度である。上記仕事関数制御膜44、45の一例として、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zn)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、白金(Pt)からなる金属、これらの金属を含む合金、これらの金属の化合物がある。この金属化合物としては、金属窒化物、金属と半導体との化合物がある。金属と半導体との化合物には、一例として金属シリサイドがある。
【0198】
領域LVN−1、領域LVN−2のゲート形成溝42には、NMISFETに適した仕事関数を持った金属もしくは金属化合物からなる仕事関数制御膜44が形成されている。一例として、仕事関数制御膜44は、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)等の金属、これらの金属を含む合金、これらの金属の化合物があり、具体的には、ハフニウムシリサイド(HfSix)がより好ましい。
【0199】
また、領域LVPのゲート形成溝42には、PMISFETに適した仕事関数を持った金属もしくは金属化合物からなる仕事関数制御膜45が形成されている。一例として、仕事関数制御膜45は、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)等の金属、これらの金属を含む合金、これらの金属の化合物があり、具体的には、窒化チタン(TiN)、ルテニウム(Ru)がより好ましい。
【0200】
さらに上記ゲート形成溝42の内部を埋め込むように、導電材料として導電膜46が形成されている。この導電膜46は、例えば、上記仕事関数制御膜44、45よりも電気抵抗が低い金属材料が用いられる。本実施例では、一例として、タングステン(W)を用いた。
【0201】
このように、第2領域11Bの低電圧トランジスタ(NMOSFET)の第2ゲート電極47が、ゲート形成溝42内に残された導電膜46、仕事関数制御膜44によって形成され、低電圧トランジスタ(PMOSFET)の第2ゲート電極48が、ゲート形成溝42内に残された導電膜46、仕事関数制御膜45によって形成されている。
【0202】
上記第2領域11Bの第1層間絶縁膜38、ライナー膜36上には、上記第2ゲート電極47、第2ゲート電極48を保護するための保護膜49が形成されている。この保護膜49は、例えば、プラズマCVD方法により、酸化シリコン(SiO2)もしくは窒化シリコン(SiN)膜で形成されている。そのときの成膜温度は450℃以下に設定されている。これによって、既に形成したシリサイド層33の損傷が回避される。
【0203】
上記第1ゲート電極15の上面にはシリサイド層40が形成されている。このシリサイド層40は、例えば、コバルトシリサイド(CoSi2)、ニッケルシリサイド(NiSi2)、ニッケル白金シリサイド等で形成されている。
【0204】
上記ライナー膜36、第1層間絶縁膜38、シリサイド層40、保護膜49等の全面には第2層間絶縁膜51が形成されている。この第2層間絶縁膜51は、例えば酸化シリコン膜で形成される。
【0205】
上記ライナー膜36、第1層間絶縁膜38、保護膜41、第2層間絶縁膜51には、各トランジスタの第1ゲート電極15、第2ゲート電極47、48、ソース/ドレイン領域27〜32に通じる接続孔52が形成され、各接続孔52を埋め込むように、導電膜からなる電極54が形成されている。
【0206】
このように、第1領域11Aの領域MVに中電圧トランジスタ(NMOSFET)2が形成され、領域HVに高電圧トランジスタ(NMOSFET)3が形成され、第2領域11Bの領域LVN−1に低電圧トランジスタ(NMOSFET)4が密に形成され、領域LVN−2に低電圧トランジスタ(NMOSFET)4が孤立して形成され、領域LVPに低電圧トランジスタ(PMOSFET)5が形成された半導体装置1(1D)が形成されている。
【0207】
上記半導体装置1(1D)では、半導体基板11に、第1トランジスタ群として、領域MVに中電圧トランジスタ(NMOSFET)2が形成され、領域HVに高電圧トランジスタ(NMOSFET)3が形成されている。また、第1トランジスタ群の動作電圧よりも低い動作電圧の第2トランジスタ群として、領域MVに中電圧トランジスタ(NMOSFET)2が形成され、領域HVに高電圧トランジスタ(NMOSFET)3が形成されている。しかも、第2トランジスタ群の第2ゲート電極47、48を被覆する保護膜49が形成されているので、保護膜49を形成した後に第1トランジスタ郡の第1ゲート電極15上にシリサイド層40を形成することで、シリサイド層40を形成するときに第2トランジスタ群の第2ゲート電極47、48を保護できる構成となっている。すなわち、未反応なシリサイド化のために形成した金属膜を除去するときに、第2ゲート電極47、48がエッチングされて、除去されることが防止されるようになっている。このように、第1ゲート電極15上にシリサイド層40が形成されることから、第1ゲート電極15の電気抵抗が低減される。
【0208】
よって、酸化シリコンもしくは酸窒化シリコンのゲート絶縁膜13とポリシリコンもしくはアモファスシリコンの第1ゲート電極15を持つ第1トランジスタ群(高耐圧(高電圧動作、中電圧動作)のトランジスタ群)、および高誘電率(High-k)膜のゲート絶縁膜43と、いわゆる金属ゲート電極である第2ゲート電極47、48を持つ第2トランジスタ群(例えば低電圧動作のトランジスタ群)とを同一の半導体基板11に形成して、第1トランジスタ群の第1ゲート電極15の低抵抗化を可能とするという利点がある。
【0209】
次に、本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第4実施例)を、図54〜図65の製造工程断面図によって説明する。この第4実施例の製造方法は、上記半導体装置1(1D)の製造方法の一例である。
【0210】
図54に示すように、前記第1実施例の前記図3〜図16によって説明した製造方法によって、半導体基板11の領域HV表面、領域MV表面に、下層よりゲート絶縁膜13、第1ゲート電極15、ハードマスク74Aからなるゲート部17を形成し、半導体基板11の領域LVN−1表面、領域LVN−2表面、領域LVP表面に下層よりダミーゲート絶縁膜16、ダミーゲート電極16、ハードマスク74Bからなるダミーゲート部18を形成する。
【0211】
次に、ハードマスク74A、第1ゲート電極15、ゲート絶縁膜13等のゲート部17、ハードマスク74B、ダミーゲート電極16、ダミーゲート絶縁膜14等のダミーゲート部18の各側壁にオフセットスペーサ(図示せず)を形成する。次いで、第1領域11Aの各ゲート部17の側方の半導体基板11表面側にエクステンション領域21、22を形成する。また、第2領域11Bの各ダミーゲート部18の側方の半導体基板11表面側にNMOSFETのエクステンション領域23、24、PMOSFETのエクステンション領域25、26を形成する。
【0212】
次に、上記ゲート部17およびダミーゲート部18の各側壁に、オフセットスペーサ(図示せず)を介してサイドウォール20を形成する。次いで、第1領域11Aの各ゲート部17の側方の半導体基板11表面側にエクステンション領域21、22をそれぞれに介してソース/ドレイン領域27、28を形成する。また、第2領域11Bの領域LVN−1、領域LVN−2の各ダミーゲート部18の側方の半導体基板11表面側にエクステンション領域23、24をそれぞれに介してソース/ドレイン領域29、30を形成する。さらに、第2領域11Bの領域LVPのダミーゲート部18の側方の半導体基板11表面側にエクステンション領域25、26をそれぞれに介してソース/ドレイン領域31、32を形成する。そして、各ソース/ドレイン領域27〜32上にシリサイド層33を形成する。
【0213】
次に、上記ゲート部17、ダミーゲート部18等を被覆するように、半導体基板11上の全面に絶縁膜を形成する。まずこの絶縁膜としてライナー膜36を形成し、さらに上記ライナー膜36上に上記絶縁膜の一部となる第1層間絶縁膜38を形成する。次に、化学的機械研磨(CMP)法によって、各ゲート部17、ダミーゲート部18上の第1層間絶縁膜38、ライナー膜36を、各ハードマスク74A、74Bが露出されるまで研磨する。このとき、各ハードマスク74A、74Bの下部が残される。
【0214】
次に、図55に示すように、ドライエッチングもしくはCMP法によって、第1領域11Aと第2領域11Bの第1ゲート電極15上のハードマスク74A(前記図54参照)、ダミーゲート電極16上のハードマスク74B(前記図54参照)を除去する。例えば、CMPによりハードマスク74A、74Bの除去を行った場合、第1ゲート電極15、ダミーゲート電極16、第1層間絶縁膜38、ライナー膜36、サイドウォール20等の表面がほぼ同一平面状になるように平坦化される。
【0215】
次に、図56に示すように、レジスト塗布、リソグラフィー技術によって第1領域11A上を被覆するようにエッチングマスク81を形成する。したがって、第2領域11Bはこのエッチングマスク81には被覆されていない。
【0216】
次に、図57に示すように、上記エッチングマスク81を用いて、各ダミーゲート電極16(前記図54参照)を、例えばドライエッチングにより除去してゲート形成溝42を形成する。その後、上記エッチングマスク81を除去する。
【0217】
さらに、図58に示すように、稀フッ酸によるウエットエッチングによって、ダミーゲート絶縁膜14(前記図54参照)を除去して、ゲート形成溝42を完成させる。このとき、第1層間絶縁膜38の上部もエッチングされる。
【0218】
次に、図59に示すように、前記第1実施例の前記図21によって説明した製造方法と同様にして、上記ゲート形成溝42の内面に第2ゲート絶縁膜43を形成する。次に、上記ゲート形成溝42の内面に第2ゲート絶縁膜43を介して、仕事関数を決定する仕事関数制御膜44、45を形成する。
【0219】
まず、NMISFETに適した仕事関数を持った金属もしくは金属化合物を、例えば原子層蒸着(ALD)法、化学気相成長法等の成膜方法により堆積する。本実施例では、例えばハフニウムシリサイド(HfSix)を例えば10nm〜100nm程度の厚さに堆積して、仕事関数制御膜44を形成する。続いて、領域LVPおよび第1領域11A上の上記仕事関数制御膜44を除去する。この結果、第1領域11Aの領域LVN−1、領域LVN−2に仕事関数制御膜44が残される。
【0220】
次に、PMOSFETに適した仕事関数を持った金属もしくは金属化合物を、例えば原子層蒸着(ALD)法、化学気相成長法等の成膜方法により堆積する。本実施例では、例えば窒化チタン(TiN)を5nm〜50nm程度の厚さに堆積して、仕事関数制御膜45を形成する。続いて、第1領域11Aの領域LVN−1、領域LVN−2および第1領域11A上の上記仕事関数制御膜45を除去する。この結果、第1領域11Aの領域LVPに仕事関数制御膜45が残される。PMOSFETに対しては例えばルテニウム(Ru)等を堆積することもできる。
【0221】
上記仕事関数制御膜44、45はどちらを先に形成してもかまわない。
【0222】
次に、上記ゲート形成溝42の内部を埋め込むように、導電材料として導電膜46を形成する。この導電膜46は、例えば、上記仕事関数制御膜44、45よりも電気抵抗が低い金属材料を用いる。本実施例では、一例として、タングステン(W)を用いた。
【0223】
次に、図60に示すように、前記第1実施例の前記図22によって説明した製造方法と同様にして、ゲート形成溝42内部以外の余剰な上記導電膜46(前記図59参照)を除去する。この除去加工には、例えば化学的機械研磨(CMP)を用いる。このCMPでは、ライナー膜36、第1層間絶縁膜38等が研磨ストッパとなる。これによって、第2領域11Bの低電圧トランジスタ(NMOSFET)の第2ゲート電極47が、ゲート形成溝42内に残された導電膜46、仕事関数制御膜44によって形成され、低電圧トランジスタ(PMOSFET)の第2ゲート電極48が、ゲート形成溝42内に残された導電膜46、仕事関数制御膜45によって形成される。
【0224】
次に、図61に示すように、第1層間絶縁膜38、ライナー膜36等の全面に保護膜49を形成する。この保護膜49は、例えば、プラズマCVD方法により、酸化シリコン(SiO2)もしくは窒化シリコン(SiN)膜で形成する。例えば、酸化シリコン膜で形成する場合のCVD条件は、一例として、原料ガスに、酸素(O2)(流量:600cm3/min)とTEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)(流量:800cm3/min)を用い、成膜雰囲気の圧力を1.09kPa、CVD装置のRFパワーを700W、基板温度を400℃に設定する。上記保護膜49は、450℃以下の温度で成膜が可能であることから、既に形成したシリサイド層33の損傷が回避される。
【0225】
次いで、レジスト塗布、リソグラフィー技術によってエッチングマスク(図示せず)を形成した後、このエッチングマスクを用いたドライエッチングによって、上記保護膜49の第1領域11Aの部分を除去し、第2領域11Bを被覆するように保護膜49を残す。
【0226】
次に、図62に示すように、各第1ゲート電極15上にシリサイド層40を形成する。まず、全面にシリサイドを形成するための金属層を形成する。ここでは、一例として、金属層にニッケル(Ni)もしくはニッケル白金(NiPt)を用いた。ここでは、ニッケルを用いた。上記金属層は、例えばスパッタリングによって、例えば6nm〜8nmの厚さにニッケル(Niを堆積して形成する。次いで、RTAを350℃もしくはそれ以下のシリサイド化が可能な温度で、例えば30秒間行い、各第1ゲート電極15のシリコン(Si)上のみ金属層を反応させてシリサイド層40を形成する。金属層がニッケルであるので、シリサイド層40はニッケルシリサイドとなる。その後、王水を用いたウエットエッチングによって、絶縁膜(例えばサイドウォール20、ライナー膜36、第1層間絶縁膜38等)上の未反応なニッケルを除去する。続いて、熱処理を行い低抵抗なニッケルシリサイド(NiSi2)を形成する。この熱処理は、例えば450℃もしくはそれ以下の低抵抗化が可能な温度で、30秒のRTAで行う。
【0227】
次に、図63に示すように、ライナー膜36、第1層間絶縁膜38、シリサイド層40、保護膜49等の全面に第2層間絶縁膜51を形成する。この第2層間絶縁膜51は、例えば酸化シリコン膜で形成される。その成膜条件は、例えば、高密度プラズマ(HDP)CVD法により、成膜温度を450℃以下にする。
【0228】
次に、図64に示すように、化学的機械研磨(例えばCMP)法によって、第2層間絶縁膜51の表面を平坦に形成する。
【0229】
次に、図65に示すように、前記第1実施例の前記図24〜図26によって説明した製造方法と同様にして、ライナー膜36、第1層間絶縁膜38、保護膜49、第2層間絶縁膜51に、各トランジスタの第1ゲート電極15、第2ゲート電極47、48、ソース/ドレイン領域27〜32の各シリサイド層33に通じる接続孔52を形成する。なお、図面が断面図であるため、一部の接続孔の図示は省略されている。次いで、上記各接続孔52を埋め込むように、第2層間絶縁膜51上に導電膜を形成する。この導電膜は、例えばタングステン(W)を用いる。その成膜方法には、例えばCVD法を用いる。
【0230】
次に、CMPもしくはドライエッチング法によって、上記第2層間絶縁膜51上の導電膜を除去し、各接続孔52の内部に残した導電膜で電極54を形成する。図示はしていないが、その後の配線工程を行う。
【0231】
このようにして、第1領域11Aの領域MVに中電圧トランジスタ(NMOSFET)2が形成され、領域HVに高電圧トランジスタ(NMOSFET)3が形成され、第2領域11Bの領域LVN−1に低電圧トランジスタ(NMOSFET)4が密に形成され、領域LVN−2に低電圧トランジスタ(NMOSFET)4が孤立して形成され、領域LVPに低電圧トランジスタ(PMOSFET)5が形成された半導体装置1(1D)が形成される。
【0232】
上記本発明の半導体装置の製造方法(第4実施例)では、半導体基板11に、第1トランジスタ群として、領域MVに中電圧トランジスタ(NMOSFET)2が形成され、領域HVに高電圧トランジスタ(NMOSFET)3が形成される。また、第1トランジスタ群の動作電圧よりも低い動作電圧の第2トランジスタ群として、領域MVに中電圧トランジスタ(NMOSFET)2が形成され、領域HVに高電圧トランジスタ(NMOSFET)3が形成される。しかも、第1トランジスタ郡の第1ゲート電極15上にシリサイド層40を形成する前に、第2トランジスタ群の第2ゲート電極47、48を被覆する保護膜49を形成していることから、シリサイド層40を形成するときに第2トランジスタ群の第2ゲート電極47、48が保護される。すなわち、未反応なシリサイド化のために形成した金属膜を除去するときに、第2ゲート電極47、48がエッチングされて、除去されることが防止される。このように、第1ゲート電極15上にシリサイド層40が形成されることから、第1ゲート電極15の電気抵抗が低減される。
【0233】
よって、酸化シリコンもしくは酸窒化シリコンのゲート絶縁膜13とポリシリコンもしくはアモファスシリコンの第1ゲート電極15を持つ第1トランジスタ群(高耐圧(高電圧動作、中電圧動作)のトランジスタ群)、および高誘電率(High-k)膜のゲート絶縁膜43と、いわゆる金属ゲート電極である第2ゲート電極47、48を持つ第2トランジスタ群(例えば低電圧動作のトランジスタ群)とを同一の半導体基板11に形成して、第1トランジスタ群の第1ゲート電極15の低抵抗化を可能とするという利点がある。
【符号の説明】
【0234】
1(1A)…半導体装置、11…半導体基板、13…第1ゲート絶縁膜、15…第1ゲート電極、36…ライナー膜、38…第1層間絶縁膜、40…シリサイド層、41…保護膜、43…第2ゲート絶縁膜、47,48…第2ゲート電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に、第1トランジスタ群と、前記第1トランジスタ群の動作電圧よりも低い動作電圧の第2トランジスタ群とを備え、
前記第1トランジスタ群は、前記半導体基板上に第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、該第1ゲート電極上に形成されたシリサイド層とを有し、
前記第2トランジスタ群は、前記半導体基板上の絶縁膜に形成したゲート形成溝に第2ゲート絶縁膜を介して形成された第2ゲート電極を有し、
前記第2トランジスタ群の第2ゲート電極よりも前記第1トランジスタ群の第1ゲート電極のほうが低く形成されていて、
前記第1トランジスタ群の第1ゲート電極上のシリサイド層を被覆する保護膜が形成され、
前記第2トランジスタ群が形成される領域の前記絶縁膜の表面と前記保護膜の表面とが平坦面状になるように形成されている
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
半導体基板に、第1トランジスタ群と、前記第1トランジスタ群の動作電圧よりも低い動作電圧の第2トランジスタ群とを備え、
前記第1トランジスタ群は、前記半導体基板上に第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、該第1ゲート電極上に形成されたシリサイド層とを有し、
前記第2トランジスタ群は、前記半導体基板上の絶縁膜に形成したゲート形成溝に第2ゲート絶縁膜を介して形成された第2ゲート電極を有し、
前記第2トランジスタ群の第2ゲート電極上を被覆する保護膜が形成されている
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記保護膜は450℃以下の成膜温度で形成された絶縁膜からなる
ことを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記保護膜は熱CVDにより形成された酸化シリコン膜もしくは窒化シリコン膜からなる
ことを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
【請求項5】
半導体基板上の第1トランジスタ群が形成される第1領域および前記第1トランジスタ群の動作電圧よりも低い動作電圧の第2トランジスタ群が形成される第2領域に、第1ゲート絶縁膜、第1ゲート電極、ハードマスクを順に積層したゲートを形成する工程と、
前記半導体基板の前記第1領域に前記第1トランジスタ群の第1ソース/ドレイン領域と、前記半導体基板の前記第2領域に前記第2トランジスタ群の第2ソース/ドレイン領域とをそれぞれに形成する工程と、
前記第1領域および前記第2領域の各ゲートを被覆する絶縁膜を形成した後、前記各ゲートのハードマスクを露出させると同時に該絶縁膜の表面を平坦化する工程と、
前記第1領域のハードマスクを除去する工程と、
前記第1領域の第1ゲート電極の上面にシリサイド層を形成する工程と、
前記第1領域の絶縁膜上に前記シリサイド層を被覆する保護膜を形成する工程と、
前記第2領域のゲートを除去して前記絶縁膜にゲート形成溝を形成する工程と、
前記ゲート形成溝に第2ゲート絶縁膜を形成した後、前記ゲート形成溝内に導電材料を埋め込んで第2ゲート電極を形成する工程と
を順に行う半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1ゲート絶縁膜を、ハフニウム、ジルコニウム、ランタン、イットリウム、タンタルもしくはアルミニウムの酸化物、酸珪化物、酸窒化物または酸珪化窒化物で形成する
請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
半導体基板に、第1トランジスタ群が形成される第1領域と、前記第1トランジスタ群の動作電圧よりも低い動作電圧の第2トランジスタ群が形成される第2領域とを備え、
前記第1トランジスタ群は、前記半導体基板上に第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、該第1ゲート電極上に形成されたシリサイド層とを有し、
前記第2トランジスタ群は、前記半導体基板上の絶縁膜に形成したゲート形成溝内に第2ゲート絶縁膜を介して形成された第2ゲート電極を有する半導体装置を形成するとき、
前記半導体基板上の前記第1領域および前記第2領域に、前記第1ゲート絶縁膜を介して前記第1ゲート電極を形成する工程と、
前記第1領域および前記第2領域の前記各第1ゲート電極を被覆する前記絶縁膜を形成する工程と、
前記第1領域に形成された前記絶縁膜上部および前記第1ゲート電極の上部を除去して、前記第2領域に形成された前記第1ゲート電極よりも前記第1領域に形成された前記第1ゲート電極のほうを低く形成してから、前記第1領域に形成された前記第1ゲート電極上に前記シリサイド層を形成する工程と、
前記シリサイド層を被覆する保護膜を、前記第2領域に形成された前記絶縁膜の表面と前記保護膜の表面とが平坦面状になるように形成する工程と、
その後、前記第2領域の前記保護膜を除去し、前記第2領域に形成された前記第1ゲート電極および前記第1ゲート絶縁膜を除去して形成した前記ゲート形成溝内に第2ゲート絶縁膜を介して導電材料を埋め込んで前記第2トランジスタ群の第2ゲート電極を形成する工程を順に備えた
半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1ゲート絶縁膜および第1ゲート電極を形成する工程で、前記第1ゲート電極、上にハードマスクを積層してゲートを形成し、
次に前記半導体基板の前記第1領域に前記第1トランジスタ群の第1ソース/ドレイン領域と、前記半導体基板の前記第2領域に前記第2トランジスタ群の第2ソース/ドレイン領域とをそれぞれに形成し、
次に前記絶縁膜を形成した後、前記各ゲートのハードマスクを露出させると同時に該絶縁膜の表面を平坦化し、
次に前記第1領域の前記絶縁膜上部および前記ハードマスクを除去して前記第1ゲート電極を露出させ、
次に前記第1ゲート電極の上部を除去する工程以降の工程
を順に行う請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記保護膜を、前記第1領域の前記ハードマスクおよび前記絶縁膜を除去した領域に、前記絶縁膜を除去した膜厚と同等の厚さに形成する
請求項8記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1ゲート絶縁膜を、ハフニウム、ジルコニウム、ランタン、イットリウム、タンタルもしくはアルミニウムの酸化物、酸珪化物または酸窒化物で形成する
請求項8記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
半導体基板に、第1トランジスタ群と、前記第1トランジスタ群の動作電圧よりも低い動作電圧の第2トランジスタ群とを備え、
前記第1トランジスタ群は、前記半導体基板上に第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、該第1ゲート電極上に形成されたシリサイド層とを有し、
前記第2トランジスタ群は、前記半導体基板上の絶縁膜に形成したゲート形成溝内に第2ゲート絶縁膜を介して形成された第2ゲート電極を有する半導体装置の製造方法において、
前記第2トランジスタ群の第2ゲート電極を形成した後、前記第2トランジスタ群の第2ゲート電極上を被覆する保護膜を形成し、その後前記第1トランジスタ群の前記第1ゲート電極上に前記シリサイド層を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記半導体基板上の前記第1トランジスタ群が形成される第1領域および前記第2トランジスタ群が形成される第2領域に、第1ゲート絶縁膜、第1ゲート電極、ハードマスクを順に積層したゲートを形成する工程と、
前記半導体基板の前記第1領域に前記第1トランジスタ群の第1ソース/ドレイン領域と、前記半導体基板の前記第2領域に前記第2トランジスタ群の第2ソース/ドレイン領域とをそれぞれに形成する工程と、
前記第1領域および前記第2領域の各ゲートを被覆する前記絶縁膜を形成した後、前記各ゲートのハードマスクを露出させると同時に該絶縁膜の表面を平坦化する工程と、
前記第1領域および前記第2領域の前記絶縁膜上部および前記ハードマスクを除去して前記第1ゲート電極を露出させる工程と、
前記第2領域の前記第1ゲート電極および第1ゲート絶縁膜を除去して前記絶縁膜に前記ゲート形成溝を形成する工程と、
前記ゲート形成溝に前記第2ゲート絶縁膜を形成した後、前記ゲート形成溝内に導電材料を埋め込んで前記第2ゲート電極を形成する工程と
前記第2領域の絶縁膜上に前記第2ゲート電極を被覆する前記保護膜を形成する工程と、
前記第1領域の第1ゲート電極の上面に前記シリサイド層を形成する工程と、
を順に行う請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1ゲート絶縁膜を、ハフニウム、ジルコニウム、ランタン、イットリウム、タンタルもしくはアルミニウムの酸化物、酸珪化物または酸窒化物で形成する
請求項12記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【公開番号】特開2010−258472(P2010−258472A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156552(P2010−156552)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【分割の表示】特願2007−179387(P2007−179387)の分割
【原出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】