説明

半導体装置の作製方法

【課題】トランジスタの微細化を達成し、電界緩和がなされた、酸化物半導体を用いた半導体装置を提供することを課題の一とする。
【解決手段】ゲート電極の線幅を微細化し、ソース電極層とドレイン電極層の間隔を短縮する。ゲート電極をマスクとして自己整合的に希ガスを添加し、チャネル形成領域に接する低抵抗領域を酸化物半導体層に設けることができるため、ゲート電極の幅、即ちゲート配線の線幅を小さく加工しても位置精度よく低抵抗領域を設けることができ、トランジスタの微細化を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
トランジスタで構成された回路を有する半導体装置およびその作製方法に関する。例え
ば、液晶表示パネルに代表される電気光学装置や、有機発光素子を有する発光表示装置や
、パワーデバイスや、メモリを部品として搭載した電子機器に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装
置全般を指し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
近年、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜(厚さ数〜数百nm程度)を用
いトランジスタを構成する技術が注目されている。トランジスタはICや電気光学装置の
ような電子デバイスに広く応用されている。
【0004】
また、酸化物半導体を用いてトランジスタを作製し、電子デバイスや光デバイスに応用す
る技術が注目されている。例えば酸化物半導体として、酸化亜鉛、In−Ga−Zn−O
系酸化物を用いてトランジスタを作製し、表示装置の画素のスイッチング素子などに用い
る技術が特許文献1および特許文献2で開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−123861号公報
【特許文献2】特開2007−96055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トランジスタの動作の高速化、トランジスタを有する半導体装置の低消費電力化や低製造
コスト化などを達成するためには、トランジスタの微細化は必須である。
【0007】
そこで、開示する発明の一態様は、良好な電気特性を維持しつつ、微細化を達成した、酸
化物半導体を用いた半導体装置を提供することを課題の一とする。
【0008】
トランジスタを微細化すると、トランジスタそのものが有する寄生容量を減らせるため、
高速駆動が可能となる。
【0009】
トランジスタの微細化に伴い、回路の集積化、または高速化が行われると、トランジスタ
にかかる電界も増大することになる。トランジスタにおいては、特にドレイン端に電界が
集中しやすく、電界緩和のなされたトランジスタ構造とすることが好ましい。
【0010】
そこで、開示する発明の一態様は、微細化を達成し、電界緩和がなされた、酸化物半導体
を用いた半導体装置を提供することも課題の一とする。
【0011】
トランジスタを用いたアクティブマトリクス型の表示装置において、単位面積当たりの画
素数を多くすることで表示画像を高品質なものとすることが望まれているが、画像表示領
域を占める配線や電極等の比率が高まってしまい、開口率が低下してしまう。
【0012】
そこで、開示する発明の一態様は、トランジスタを微細化することにより、単位面積当た
りの開口率を向上でき、より明るい画像表示を可能とすることも課題の一とする。
【0013】
また、パワーデバイスを作製するにあたり、電界緩和がなされたデバイス構造を実現する
ことのできる半導体装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
トランジスタがオフ状態での電流はリーク電流と呼ばれ、半導体装置の全ての回路に関わ
るため、消費電力の増大の要因となる。そこで、酸化物半導体層を用いてトランジスタを
作製し、半導体装置の低消費電力化を実現する。また、酸化物半導体層を用いたトランジ
スタのリーク電流は少ないため、表示装置において、画素にトランジスタとともに設けら
れていた画素容量部も小さく設計でき、開口率を向上させた明るい画像表示が可能な装置
を実現できる。
【0015】
トランジスタを微細化するために、ゲート電極の線幅を微細化し、ソース電極層とドレイ
ン電極層の間隔(基板の厚さ方向の断面におけるソース電極層とドレイン電極層の距離)
を短縮することによって、トランジスタの高速駆動を実現する。酸化物半導体層には、ゲ
ート電極とゲート絶縁層を介して重なるチャネル形成領域に接して低抵抗領域(n領域
とも呼ぶ)を設けることによって、ドレイン端への電界集中を緩和する構造とする。
【0016】
酸化物半導体層の低抵抗領域は、酸化物半導体層に希ガス元素(Ar、Xe、Kr、Ne
、He)を添加することで形成する。希ガス元素の添加は、イオン注入装置、イオンドー
ピング装置、プラズマ処理装置、ICP(Inductively Coupled P
lasma)型エッチング装置などを用いて行う。なお、ICP型エッチング装置は、誘
導結合プラズマを用いたエッチング装置である。コイルのインダクタンスを低下させるた
めにコイルを分割したマルチスパイラル方式のICPエッチング装置や、くし形コイルを
円状の平板に配置したスポーク形のICPエッチング装置を用いることができる。また、
ICP型エッチング装置に限定されず、RIEエッチング装置、例えば、平行平板型エッ
チング装置、ECRエッチング装置、マグネトロン型エッチング装置を用いることができ
る。
【0017】
本明細書で開示する本発明の一態様は、絶縁表面上に酸化物半導体層と、酸化物半導体層
上にゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上にゲート電極とを有し、酸化物半導体層は、ゲート
絶縁層を介してゲート電極と重なるチャネル形成領域と、該チャネル形成領域と接してチ
ャネル形成領域よりも高濃度の希ガスを含む低抵抗領域を有する半導体装置である。
【0018】
上記構成とすることでソース電極層からドレイン電極層に流れる電流経路は、少なくとも
ソース電極層、ソース電極層と接する酸化物半導体層の領域、チャネル形成領域、低抵抗
領域、ドレイン電極層と接する酸化物半導体層の領域、ドレイン電極層となり、ドレイン
端への電界集中を緩和する構造となる。
【0019】
上記構成は、上記課題の少なくとも一つを解決する。
【0020】
例えば、i型化または実質的にi型化された酸化物半導体をチャネル領域に用いたトラン
ジスタを用いてパワーデバイスを作製すると、酸化物半導体のうち、ゲート電極及びドレ
イン電極層の両方と重なっていない領域は、流れる電流は限りなく低くなる。ドレイン電
極層に印加する電圧が高くなると、トンネル効果などに起因するゲートリークが問題とな
る。そこで、ゲート電極と重なっていない領域に希ガスを添加し、ドリフト層となる低抵
抗領域(n領域)を形成することができる。低抵抗領域(n領域)を設けることによ
って、電界緩和がなされたデバイス構造を実現する。
【0021】
なお、トランジスタは、回路の動作条件等によってソースとドレインが変わることがある
。例えば、液晶表示装置の画素電極と接続されるトランジスタにおいては、液晶材料の劣
化を防ぐため、一定周期で電圧の極性を反転させる反転駆動を行っていることにより、ソ
ースとドレインが変わる。
【0022】
そこで、さらに低抵抗領域の形成と同じ工程でチャネル形成領域を挟むように2つ目の低
抵抗領域を形成してもよく、チャネル形成領域と接してチャネル形成領域よりも高濃度の
希ガスを含む第2の低抵抗領域を有し、該第2の低抵抗領域と低抵抗領域の間にチャネル
形成領域が挟まれる構造とする。この場合、ソース電極層からドレイン電極層に流れる電
流経路は、少なくともソース電極層、ソース電極層と接する酸化物半導体層の領域、第2
の低抵抗領域、チャネル形成領域、低抵抗領域、ドレイン電極層と接する酸化物半導体層
の領域、ドレイン電極層となり、動作条件等によってソースとドレインが変わったとして
もドレイン端への電界集中を緩和する構造とすることができる。
【0023】
また、上記構成を得るための作製方法も本発明の一つであり、その構成は、絶縁表面上に
酸化物半導体層を形成し、酸化物半導体層上に一部接するソース電極層及びドレイン電極
層を形成し、酸化物半導体層、ソース電極層、及びドレイン電極層上に接する絶縁層を形
成し、絶縁層上に前記酸化物半導体層と重なるゲート電極を形成し、ゲート電極、ソース
電極層、及びドレイン電極層をマスクとして自己整合的に前記絶縁層を介して前記酸化物
半導体層の一部に希ガスを添加することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0024】
また、酸化物半導体層の形成よりも前にソース電極層及びドレイン電極層を形成する作製
方法としてもよく、その構成は、絶縁表面上にソース電極層及びドレイン電極層を形成し
、ソース電極層及びドレイン電極層上に一部接する酸化物半導体層を形成し、酸化物半導
体層、ソース電極層、及びドレイン電極層上に接する絶縁層を形成し、絶縁層上に酸化物
半導体層と重なるゲート電極を形成し、ゲート電極をマスクとして自己整合的に絶縁層を
介して酸化物半導体層の一部に希ガスを添加することを特徴とする半導体装置の作製方法
である。
【0025】
また、希ガスを添加する前に酸化物半導体層を露出させる作製方法としてもよく、その構
成は、絶縁表面上に酸化物半導体層を形成し、酸化物半導体層上に一部接するソース電極
層及びドレイン電極層を形成し、酸化物半導体層、ソース電極層、及びドレイン電極層上
に接する絶縁層を形成し、絶縁層上に酸化物半導体層と重なるゲート電極を形成し、絶縁
層を選択的にエッチングして酸化物半導体層の一部を露出させ、露出している酸化物半導
体層の一部に希ガスを添加することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0026】
なお、酸化物半導体層の一部を露出させて希ガスを添加する場合には、プラズマ処理装置
、ICP型エッチング装置などを用いるプラズマ処理によって酸化物半導体層の露出表面
から5nm程度の領域に対してチャネル形成領域よりも高濃度の希ガスを添加することが
できる。
【0027】
ゲート電極と酸化物半導体層の間に設けられる絶縁層は、ゲート絶縁層として機能し、酸
化物半導体層と接する。さらに酸化物半導体層は、下地絶縁層と接する構造とすることに
よって、酸化物半導体層をゲート絶縁層と、下地絶縁層とで挟むことができる。なお、下
地絶縁層はスパッタ法で形成することが好ましい。下地絶縁層をスパッタ法で形成するこ
とにより、酸化物半導体層及びゲート絶縁層もスパッタ法で形成することができるため、
同じスパッタ装置を用いて作製することができる。
【0028】
酸化物半導体層に用いる酸化物半導体としては、四元系金属酸化物であるIn−Sn−G
a−Zn−O系酸化物半導体や、三元系金属酸化物であるIn−Ga−Zn−O系酸化物
半導体、In−Sn−Zn−O系酸化物半導体、In−Al−Zn−O系酸化物半導体、
Sn−Ga−Zn−O系酸化物半導体、Al−Ga−Zn−O系酸化物半導体、Sn−A
l−Zn−O系酸化物半導体や、二元系金属酸化物であるIn−Zn−O系酸化物半導体
、Sn−Zn−O系酸化物半導体、Al−Zn−O系酸化物半導体、Zn−Mg−O系酸
化物半導体、Sn−Mg−O系酸化物半導体、In−Mg−O系酸化物半導体や、In−
O系酸化物半導体、Sn−O系酸化物半導体、Zn−O系酸化物半導体などを用いること
ができる。また、上記酸化物半導体にSiOを含んでもよい。ここで、例えば、In−
Ga−Zn−O系酸化物半導体とは、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Z
n)を有する酸化物、という意味であり、その化学量論比はとくに問わない。また、In
とGaとZn以外の元素を含んでもよい。
【0029】
酸化物半導体層としてIn−Ga−Zn−O系酸化物半導体を用いる場合は、希ガスを添
加する前に400℃以上の加熱処理を行ってもよい。400℃以上基板の歪み点未満の加
熱処理により、酸化物半導体に含まれる水素濃度が十分に低減されて高純度化された酸化
物半導体層を用いることによりトランジスタのオフ電流を下げることができる。
【0030】
酸化物半導体層は、n型不純物である水素を酸化物半導体から除去し、酸化物半導体の主
成分以外の不純物が極力含まれないように高純度化することにより真性(i型)とし、又
は真性型としたものである。すなわち、不純物を添加してi型化するのでなく、水素や水
等の不純物を極力除去したことにより、高純度化されたi型(真性半導体)又はそれに近
づけることを特徴としている。そうすることにより、フェルミ準位(Ef)を真性フェル
ミ準位(Ei)と同じレベルにまですることができる。
【0031】
例えば、チャネル幅(W)が1×10μmでチャネル長が3μmのトランジスタであ
っても、室温において、オフ電流が10−13A以下であり、S値が0.1V/deca
de(ゲート絶縁層膜厚100nm)であることが可能である。さらにトランジスタは、
チャネル幅(w)1μmあたりの電流値が100aA/μm以下、好ましくは10zA/
μm(ゼプトアンペア)以下、更に好ましくは1zA/μm以下とすることが好ましい。
【0032】
このように、酸化物半導体の主成分以外の不純物が極力含まれないように高純度化する
ことにより、トランジスタの動作を良好なものとすることができる。また、高純度化され
た酸化物半導体層を有するトランジスタは、光劣化によるトランジスタ特性の変動も少な
い。
【0033】
上述した酸化物半導体は、電気的特性変動を抑止するため、変動要因となる水素、水分
、水酸基又は水素化物(水素化合物ともいう)などの不純物を意図的に排除し、且つ、不
純物の排除工程によって同時に減少してしまう酸化物半導体を構成する主成分材料である
酸素を供給することにより高純度化及び電気的にi型(真性)化された酸化物半導体であ
る。
【0034】
400℃以上基板の歪み点未満の加熱処理により酸化物半導体に含まれる水素濃度を十分
に低減して高純度化された酸化物半導体層に対して、ゲート電極をマスクとして自己整合
的に希ガス、代表的にはアルゴンを添加する。酸化物半導体層は、スパッタ成膜時にアル
ゴンガスを用いるため、成膜直後の膜中にアルゴンを微量に含む。成膜時に混入したアル
ゴンは、微量であり、真空下での450℃の熱処理を行ってもほとんど放出されず、TD
Sによってもほとんど検出されない。ゲート電極形成後にアルゴンを添加すれば、ゲート
電極と重なりアルゴンが添加されていないチャネル形成領域と、アルゴンが添加された低
抵抗領域とはアルゴンの濃度差を有する。
【0035】
ゲート電極をマスクとして自己整合的に希ガスを添加し、チャネル形成領域に接する低抵
抗領域を酸化物半導体層に設けることができるため、ゲート電極の幅、即ちゲート配線の
線幅を小さく加工しても位置精度よく低抵抗領域を設けることができ、トランジスタの微
細化を実現できる。
【発明の効果】
【0036】
本発明により、ゲート配線の線幅が1μmよりも小さい線幅、例えば0.25μmや、0
.13μmの線幅のゲート配線を有するトランジスタを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一態様を示す断面図である。
【図2】本発明の一態様を示す断面図である。
【図3】本発明の一態様を示す断面図である。
【図4】本発明の一態様を示す断面図である。
【図5】本発明の一態様を示す断面図である。
【図6】本発明の一態様を示す断面図である。
【図7】本発明の一態様を示す上面図及び断面図である。
【図8】本発明の一態様を示す回路図である。
【図9】本発明の一態様を示す回路図である。
【図10】電子機器の一例を示す図。
【図11】プラズマ照射時間と抵抗の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は
以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれ
ば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈さ
れるものではない。
【0039】
(実施の形態1)
本実施の形態では、絶縁層を介して希ガスを自己整合的に添加した低抵抗領域を有するト
ランジスタの作製例の一つを以下に説明する。
【0040】
以下、図1(A)乃至(C)を用い、基板101上にトランジスタ110を作製する工程
を説明する。図1(C)に示すトランジスタ110は、トップゲート構造のトランジスタ
である。
【0041】
まず、絶縁表面を有する基板101上に下地絶縁層102を形成する。下地絶縁層102
は、基板101からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化シリコン膜、酸化シ
リコン膜、窒化酸化シリコン膜、又は酸化窒化シリコン膜から選ばれた一又は複数の膜に
よる積層構造により形成することができる。本実施の形態では、絶縁表面を有する基板1
01としてガラス基板を用い、ガラス基板に接する下地絶縁層102として、酸化シリコ
ンをターゲット材とするスパッタ法により、膜厚100nmの酸化シリコン膜を形成する

【0042】
また、メモリなどの集積回路を形成する場合には、絶縁表面を有する基板101としてシ
リコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウ
ムなどの化合物半導体基板、SOI基板を用いてもよく、下地絶縁層102を形成する前
に予め作製されたトランジスタを有するSOI基板を用いることが好ましい。
【0043】
次いで、酸化物半導体膜を形成し、第1のフォトリソグラフィ工程により、酸化物半導体
層103を形成する。この段階での断面図が図1(A)に相当する。本実施の形態では、
酸化物半導体膜として膜厚50nmのIn−Ga−Zn−O膜を用いる。酸化物半導体膜
をスパッタリング法で作製するためのターゲットとしては、例えば、組成比として、In
:Ga:ZnO=1:1:1[mol数比]の酸化物ターゲットを用い、I
n−Ga−Zn−O膜を成膜する。また、このターゲットの材料及び組成に限定されず、
例えば、In:Ga:ZnO=1:1:2[mol数比]の酸化物ターゲッ
トを用いてもよい。
【0044】
次いで、酸化物半導体層に加熱処理を行う。この加熱処理によって酸化物半導体層の脱水
化または脱水素化を行うことができる。加熱処理の温度は、400℃以上750℃以下、
または400℃以上基板の歪み点未満とする。本実施の形態では、RTA(Rapid
Thermal Anneal)装置を用い、窒素雰囲気下で650℃、6分の加熱処理
を行った後、大気に触れることなく、加熱処理装置の一つである電気炉に基板を導入し、
酸化物半導体層に対して乾燥空気雰囲気下450℃において1時間の加熱処理を行った後
、酸化物半導体層への水や水素の再混入を防ぎ、酸化物半導体層を得る。
【0045】
次いで、スパッタ法により導電膜を形成した後、第2のフォトリソグラフィ工程により、
ソース電極層104b及びドレイン電極層104aを形成する。導電膜としては、例えば
、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素を成分とする金属膜、また
は上述した元素の窒化物を成分とする合金膜か、上述した元素を組み合わせた合金膜等を
用いることができる。本実施の形態では導電膜として150nmのTi膜を用いる。
【0046】
次いで、ソース電極層104bまたはドレイン電極層104aを覆い、且つ、酸化物半導
体層と一部接するゲート絶縁層105を形成する。ゲート絶縁層105は、窒化シリコン
膜、酸化ハフニウム膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、又は酸化窒化シリコン膜
から選ばれた一又は複数の膜による積層構造により形成することができる。本実施の形態
ではゲート絶縁層105としてスパッタ法による100nmの酸化シリコン膜を用いる。
【0047】
次いで、ゲート絶縁層105上に、導電膜を形成する。導電膜としては、例えば、Al、
Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素を成分とする金属膜、または上述し
た元素の窒化物を成分とする合金膜か、上述した元素を組み合わせた合金膜等を用いるこ
とができる。導電膜を形成した後、第3のフォトリソグラフィ工程により、ゲート電極1
06を形成する。本実施の形態では導電膜として150nmのW膜を用いる。この段階で
の断面図が図1(B)に相当する。
【0048】
第3のフォトリソグラフィ工程でのレジストマスク形成時の露光には、紫外線やKrFレ
ーザ光やArFレーザ光を用いる。ゲート電極106の幅によって後に形成されるトラン
ジスタのチャネル長が決定される。なお、チャネル長が25nm未満の露光を行う場合に
は、数nm〜数十nmと極めて波長が短い超紫外線(Extreme Ultravio
let)を用いて第3のフォトリソグラフィ工程でのレジストマスク形成時の露光を行う
。超紫外線による露光は、解像度が高く焦点深度も大きい。従って、後に形成されるトラ
ンジスタのチャネル長を10nm以上1000nm以下とすることも可能であり、回路の
動作速度を高速化でき、さらにオフ電流値が極めて小さいため、低消費電力化も図ること
ができる。
【0049】
次いで、図1(C)に示すようにゲート電極106、ソース電極層104b、及びドレイ
ン電極層104aをマスクとして希ガスの添加を行い、自己整合的に第1の低抵抗領域1
07d、及び第2の低抵抗領域107eを形成する。本実施の形態では、イオンドーピン
グ装置を用いてアルゴンを条件(加速電圧10keV、ドーズ量2×1015/cm
で添加する。なお、アルゴンの添加工程によるゲート電極106へのダメージを低減する
ために、ゲート電極形成時のレジストマスクをゲート電極上に残したままアルゴンの添加
を行ってもよく、その場合にはアルゴンの添加後にゲート電極上のレジストマスクの除去
を行う。
【0050】
以上の工程で、ゲート絶縁層105を介してゲート電極106と重なるチャネル形成領域
107cを有し、チャネル長が10nm以上1000nm以下であるトランジスタ110
を作製できる。また、チャネル長が10nm以上1000nm以下のチャネル形成領域1
07cに接して第1の低抵抗領域107d及び第2の低抵抗領域107eが設けられ、ド
レイン端への電界集中が緩和されたトランジスタ110を作製できる。
【0051】
なお、トランジスタ110のドレイン電極層104aと接して重なる酸化物半導体層の第
1領域107aは、チャネル形成領域107cと同程度のアルゴン濃度を有する。また、
ソース電極層104bと接して重なる酸化物半導体層の第2領域107bも、チャネル形
成領域107cと同程度のアルゴン濃度を有する。
【0052】
また、図1(C)では、酸化物半導体層に2つの低抵抗領域、即ち第1の低抵抗領域10
7d、及び第2の低抵抗領域107eを設ける例を示したが特に限定されない。図2に図
1(C)とはゲート電極の形成位置が異なり、一つの低抵抗領域117dを有するトラン
ジスタ120の断面構造例を示す。
【0053】
なお、ゲート電極の形成位置が異なる以外は、図1(C)に示すトランジスタ110と同
じ作製方法でトランジスタ120を作製することができるため、ここでは作製方法の説明
を省略し、図2においては図1と同じ箇所には同じ符号を用いる。
【0054】
図2に示すトランジスタ120は、ゲート電極116がソース電極層104bとゲート絶
縁層105を介して一部重なる位置に形成されている例である。従って、第3のフォトリ
ソグラフィ工程での露光マスクを変更することによって、同一基板上にトランジスタ11
0とトランジスタ120を工程の増加なく作製することもできる。
【0055】
アルゴンの添加により低抵抗領域117dがチャネル形成領域117cに隣接して設けら
れており、チャネル形成領域117cよりも高濃度にアルゴンを含んでいる。チャネル形
成領域117cに接して低抵抗領域117dが設けられ、ドレイン端への電界集中が緩和
された構造をトランジスタ120は有している。なお、チャネル形成領域117cは、ゲ
ート絶縁層105を介してゲート電極116と重なる酸化物半導体層の一部であり、ドレ
イン電極層104aと接して重なる酸化物半導体層の第1領域117aと同程度のアルゴ
ン濃度を有する。
【0056】
回路の動作条件等によってソースとドレインが変わるトランジスタには、トランジスタ1
10の構造を用い、回路の動作条件等によってソースとドレインが変わらないトランジス
タにはトランジスタ120の構造を用い、適宜、実施者が回路に合わせて作製すればよい

【0057】
例えば、回路の動作条件等によってソースとドレインが変わらないパワーデバイスを作製
する場合には、トランジスタ120の構造を用いる。
【0058】
トランジスタ120の低抵抗領域117dはドリフト層と呼ぶことができ、希ガス、代表
的にはアルゴンを添加して所望のドナー密度とすることが望ましい。
【0059】
ドレイン耐圧と活性層の最大許容電界強度から、ドリフト層のドナー密度を最適化する手
順を以下に示す。
【0060】
パワーMOSの一般的な使い方では、オフ時にドレイン−ソース間に高電圧がかかる。つ
まり、要求仕様として保証すべきドレイン−ソース間電圧Vminがある。また、材料に
よって最大許容電界強度Ebreakが決まる。ここで、ドナー密度Ndのドリフト層に
ドレイン電圧Vdsを印加することを考える。形成される空乏層幅をWとすると、ポアソ
ンの式より、式(1)という関係式が成り立つ(ただし、チャネル長方向のドリフト層長
さはW以上と仮定)。
【0061】
【数1】

【0062】
従って、Emax=Ebreakに達するときのVdsがこのデバイスでのドレイン−ソ
ース間耐圧Vbreakを表すことになりうる。勿論、Vmin<Vbreakである必
要がある。なお、VbreakとVminの大小関係を式(2)に示す。
【0063】
【数2】

【0064】
つまり、ドリフト層のドナー密度は以下の式(3)を満たす必要がある。
【0065】
【数3】

【0066】
一方で、ドリフト層のドナー密度はオン抵抗にも影響する。パワーMOSの一般的な使い
方では、オン時にVds≒0なので、このときのドリフト層のキャリア密度nはNdにほ
ぼ等しい。従って、オン時のドリフト層の抵抗Rは以下の式(4)と表現できる(ただし
、ドリフト層長さはWに等しいと仮定)。
【0067】
【数4】

【0068】
式(1)、(4)より、ドナー密度が高いほど低抵抗になるので、結局のところ、ドリフ
ト層のドナー密度は式(3)を満たす範囲内でできるだけ高くすべきである。このように
、ドナー密度が決まれば、以下の手順によって、ドリフト層長さを決定できる。
【0069】
まず、オフ状態において、長さdのドリフト層にドレイン電圧Vdsが印加されている際
に、(a)形成される空乏層幅WがW<dの場合と、(b)空乏層がドリフト層全域に渡
って伸びきる場合を考える。ドレイン電圧Vdsとドリフト層の長さdを同一にして比較
したとき、後者(b)の方が活性層中の最大電界強度Emaxが大きくなる、と考えられ
る。
【0070】
Emaxが上限を超えないようにドレイン電圧Vdsを加減した場合、前者(a)の方が
印加しうるVdsの最大値が大きくなる、といえる。このことからドリフト層の長さdが
満たすべき条件式が求まる。前者(a)の範囲では式(1)が成り立つので、ドレイン耐
圧Vminと前段階で決めたドナー密度Ndを用いて表すと、以下の式(5)と表現でき
る。
【0071】
【数5】

【0072】
一方で、オン抵抗のことを考えると、ドリフト層の長さdは短い方が望ましいので、結局
のところ、ドリフト層の長さdは、式(5)を満たす範囲内でできるだけ短くすべき(つ
まりd≒Wで式(4)が近似で成り立つ)、といえる。
【0073】
ドリフト層の長さdは、ゲート電極116と、ドレイン電極層104aの形成位置によっ
て決まる。よって、ドリフト層のドナー密度は、酸化物半導体の材料と、アルゴンの添加
量によって調節し、そのドナー密度に基づいてマスク設計を行い、ドリフト層の長さdを
決定することが好ましい。
【0074】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1と一部工程の異なるトランジスタ210の作製例を以下
に示す。以下、図3(A)乃至(C)を用い、基板201上にトランジスタ210を作製
する工程を説明する。
【0075】
まず、実施の形態1と同様に、絶縁表面を有する基板201上に下地絶縁層202を形成
する。
【0076】
次いで、スパッタ法により導電膜を形成した後、第1のフォトリソグラフィ工程により、
ソース電極層204bまたはドレイン電極層204aを形成する。導電膜としては、例え
ば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素を成分とする金属膜、ま
たは上述した元素の窒化物を成分とする合金膜か、上述した元素を組み合わせた合金膜等
を用いることができる。本実施の形態では導電膜として150nmのW膜を用いる。
【0077】
次いで、ソース電極層204bまたはドレイン電極層204a上に接する酸化物半導体膜
を形成し、第2のフォトリソグラフィ工程により、酸化物半導体層203を形成する。こ
の段階での断面図が図3(A)に相当する。本実施の形態では、酸化物半導体膜として膜
厚100nmのIn−Ga−Zn−O膜を用いる。酸化物半導体膜をスパッタリング法で
作製するためのターゲットとしては、例えば、組成比として、In:Ga
ZnO=1:1:2[mol数比]の酸化物ターゲットを用い、In−Ga−Zn−O膜
を成膜する。
【0078】
次いで、酸化物半導体層に加熱処理を行う。この加熱処理によって酸化物半導体層の脱水
化または脱水素化を行うことができる。加熱処理の温度は、400℃以上750℃以下、
または400℃以上基板の歪み点未満とする。ただし、ソース電極層204bまたはドレ
イン電極層204aに用いる材料が耐えうる加熱処理とする。本実施の形態では、RTA
装置を用い、窒素雰囲気下で650℃、6分の加熱処理を行った後、大気に触れることな
く、加熱処理装置の一つである電気炉に基板を導入し、酸化物半導体層に対して乾燥空気
雰囲気下450℃において1時間の加熱処理を行った後、酸化物半導体層への水や水素の
再混入を防ぎ、酸化物半導体層を得る。本実施の形態では、ソース電極層204bまたは
ドレイン電極層204aとしてW膜を用いているため、上記加熱処理に耐えうる。
【0079】
次いで、酸化物半導体層を覆い、且つ、ソース電極層204bまたはドレイン電極層20
4aと一部接するゲート絶縁層205を形成する。ゲート絶縁層205は、窒化シリコン
膜、酸化シリコン膜、酸化ハフニウム膜、窒化酸化シリコン膜、又は酸化窒化シリコン膜
から選ばれた一又は複数の膜による積層構造により形成することができる。本実施の形態
ではゲート絶縁層205としてスパッタ法による100nmの酸化シリコン膜を用いる。
【0080】
次いで、ゲート絶縁層205上に、導電膜を形成する。導電膜としては、例えば、Al、
Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素を成分とする金属膜、または上述し
た元素の窒化物を成分とする合金膜か、上述した元素を組み合わせた合金膜等を用いるこ
とができる。導電膜を形成した後、第3のフォトリソグラフィ工程により、ゲート電極2
06を形成する。本実施の形態では導電膜として200nmのTi膜を用いる。この段階
での断面図が図3(B)に相当する。
【0081】
次いで、図3(C)に示すようにゲート電極206をマスクとして希ガスの添加を行い、
自己整合的に第1の低抵抗領域207a、及び第2の低抵抗領域207bを形成する。本
実施の形態では、イオン注入装置を用いてアルゴンをイオン注入する。なお、アルゴンの
イオン注入工程によるゲート電極206へのダメージを低減するために、ゲート電極形成
時のレジストマスクをゲート電極上に残したままアルゴンのイオン注入を行ってもよく、
その場合にはアルゴンのイオン注入後にゲート電極上のレジストマスクの除去を行う。
【0082】
以上の工程で、ゲート絶縁層205を介してゲート電極206と重なるチャネル形成領域
207cを有し、チャネル形成領域207cに接して第1の低抵抗領域207a、及び第
2の低抵抗領域207bが設けられ、ドレイン端への電界集中が緩和されたトランジスタ
210を作製できる。
【0083】
また、図3(C)に示すトランジスタ210の構造に特に限定されず、例えば図4に示す
トランジスタ220の断面構造としてもよい。
【0084】
図4に示すトランジスタ220は、ドレイン電極層204aの下に第1の導電層214a
を有し、ソース電極層204bの下に第2の導電層214bを有している。そして、第1
の導電層214aは、ドレイン電極層204aの端面からチャネル長方向に伸長した領域
を有しており、第2の導電層214bは、ソース電極層204bの端面からチャネル長方
向に伸長した領域を有している。
【0085】
図4に示すトランジスタ220は、ソース電極層204bの下またはドレイン電極層20
4aの下に導電層(第1の導電層214aまたは第2の導電層214b)が形成されてい
る以外は、図3(C)に示すトランジスタ210と同じ作製方法でトランジスタ220を
作製することができるため、ここでは作製方法の詳細な説明を省略し、図4においては図
3と同じ箇所には同じ符号を用いる。
【0086】
第1の導電層214a及び第2の導電層214bは、ソース電極層204b及びドレイン
電極層204aを形成する前に形成することが好ましく、第1の導電層214a及び第2
の導電層214bは、同一の導電膜をパターニングすることで形成する。第1の導電層2
14a及び第2の導電層214bの膜厚は、3nm以上30nm以下、好ましくは5nm
以上15nm以下とする。ただし、第1の導電層214a及び第2の導電層214bは、
ソース電極層204b及びドレイン電極層204aとエッチング選択比が確保される金属
材料を用いる。このような金属材料としては、例えば、窒化モリブデン、窒化チタン、酸
化インジウム酸化スズ合金等が挙げられる。
【0087】
また、第1の導電層214aにおける、ドレイン電極層204aの端面よりチャネル長方
向に伸長した領域は、他の領域(ドレイン電極層204aと第1の導電層214aの積層
でなる領域)と比較して電極の厚さが小さい。つまり、電荷の流れに垂直な断面の面積が
小さくなっている。抵抗は断面積に反比例するから、第1の導電層214aにおける、ド
レイン電極層204aの端面よりチャネル長方向に伸長した領域は、他の領域と比較して
抵抗が高い、高抵抗領域(HRR:High−Resistance Region)で
あるということができる。第2の導電層214bについても同様のことがいえる。
【0088】
トランジスタ220は、金属からなる高抵抗領域を設けることによって、ソース電極層2
04bとドレイン電極層204aの間の電界を緩和することができる。
【0089】
また、図5に図3(C)とはゲート電極の形成位置が異なり、2つの低抵抗領域217a
、217bを有するトランジスタ200の断面構造例を示す。
【0090】
なお、ゲート電極の形成位置が異なる以外は、図3(C)に示すトランジスタ210と同
じ作製方法でトランジスタ200を作製することができるため、ここでは作製方法の説明
を省略し、図5においては図3と同じ箇所には同じ符号を用いる。
【0091】
図5に示すトランジスタ200は、ゲート電極216がソース電極層204bとゲート絶
縁層205を介して一部重なる位置に形成されている例である。従って、第3のフォトリ
ソグラフィ工程での露光マスクを変更することによって、同一基板上にトランジスタ21
0とトランジスタ200を工程の増加なく作製することもできる。
【0092】
アルゴンの添加により低抵抗領域217aがチャネル形成領域217cに隣接して設けら
れており、チャネル形成領域217cよりも高濃度にアルゴンを含んでいる。チャネル形
成領域217cに接して低抵抗領域217aが設けられ、ドレイン端への電界集中が緩和
された構造をトランジスタ200は有している。なお、チャネル形成領域217cは、ゲ
ート絶縁層205を介してゲート電極216と重なる酸化物半導体層の一部である。また
、ソース電極層204bと重なる低抵抗領域217bは、特に設けなくともよいが、自己
整合的にアルゴンを添加するプロセスとすると低抵抗領域217aと同時に形成される。
【0093】
回路の動作条件等によってソースとドレインが変わるトランジスタには、トランジスタ2
10の構造を用い、回路の動作条件等によってソースとドレインが変わらないトランジス
タにはトランジスタ200の構造を用い、適宜、実施者が回路に合わせて作製すればよい

【0094】
例えば、回路の動作条件等によってソースとドレインが変わらないパワーデバイスを作製
する場合には、トランジスタ200の構造を用いる。
【0095】
トランジスタ200の低抵抗領域217aはドリフト層と呼ぶことができ、希ガス、代表
的にはアルゴンを添加して所望のドナー密度とすることが望ましい。また、チャネル長方
向のドリフト層の長さdは、実施の形態1に示した手順によって決定すればよい。
【0096】
なお、本実施の形態は、実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
【0097】
(実施の形態3)
本実施の形態では、In−Zn−O系の酸化物半導体層を部分的に露出させ、ICPエッ
チング装置を用いて露出した領域にアルゴンガスを用いたプラズマ処理を行ってトランジ
スタを作製する一例を示す。
【0098】
本実施の形態は、実施の形態1と一部工程及び材料の異なるトランジスタ130の作製例
を以下に示す。以下、図6(A)乃至(D)を用い、基板101上にトランジスタ130
を作製する工程を説明する。なお、図6においては図1と同じ箇所には同じ符号を用いる

【0099】
まず、実施の形態1と同様に、絶縁表面を有する基板101上に下地絶縁層102を形成
する。
【0100】
次いで、酸化物半導体膜を形成し、第1のフォトリソグラフィ工程により、酸化物半導体
層123を形成する。この段階での断面図が図6(A)に相当する。本実施の形態では、
酸化物半導体膜として膜厚50nmのIn−Zn−O膜を用いる。酸化物半導体膜をスパ
ッタリング法で作製するためのターゲットとしては、例えば、組成比として、In
:ZnO=1:2[mol数比]の酸化物ターゲットを用い、In−Zn−O膜を成膜す
る。
【0101】
次いで、酸化物半導体層に加熱処理を行う。加熱処理の温度は、200℃以上600℃以
下とする。本実施の形態では、電気炉を用い、乾燥空気雰囲気下で200℃、1時間の加
熱処理を行う。
【0102】
次いで、実施の形態1と同様に、スパッタ法により導電膜を形成した後、第2のフォトリ
ソグラフィ工程により、ソース電極層104bまたはドレイン電極層104aを形成する
。本実施の形態では導電膜として150nmのTi膜を用いる。
【0103】
次いで、必要があれば、ソース電極層104bまたはドレイン電極層104aを形成した
後、露出しているIn−Zn−O膜に対してNOプラズマ処理を行ってもよい。
【0104】
次いで、実施の形態1と同様に、ソース電極層104bまたはドレイン電極層104aを
覆い、且つ、酸化物半導体層と一部接するゲート絶縁層105を形成する。本実施の形態
ではゲート絶縁層105としてスパッタ法による100nmの酸化シリコン膜を用いる。
【0105】
次いで、本実施の形態において2回目の加熱処理となる、窒素雰囲気下で200℃以上3
50℃以下の加熱を行う。本実施の形態では、200℃、1時間の加熱処理を行う。
【0106】
次いで、ゲート絶縁層105上に、導電膜を形成する。導電膜を形成した後、第3のフォ
トリソグラフィ工程により、ゲート電極106を形成する。本実施の形態では導電膜とし
て150nmのW膜を用いる。この段階での断面図が図6(B)に相当する。
【0107】
次いで、図6(C)に示すようにゲート電極106を覆う絶縁層128を形成する。本実
施の形態では絶縁層128としてスパッタ法による100nmの酸化シリコン膜を用いる

【0108】
次いで、第4のフォトリソグラフィ工程により、絶縁層128及びゲート絶縁層105を
選択的に除去して、酸化物半導体層の一部を露出させる開口を形成する。
【0109】
次いで、図6(D)に示すようにゲート電極106、ソース電極層104b、及びドレイ
ン電極層104aをマスクとしてICPエッチング装置を用いた希ガスのプラズマ処理を
行い、自己整合的に第1の低抵抗領域127a、及び第2の低抵抗領域127bを形成す
る。本実施の形態ではアルゴンガスを用いたプラズマ処理を行うため、露呈している酸化
物半導体層の表面から5nmまでの範囲の領域にアルゴンが添加される。従って、第1の
低抵抗領域127a、及び第2の低抵抗領域127bは酸化物半導体層の表面近傍に形成
される。
【0110】
以上の工程で、ゲート絶縁層105を介してゲート電極106と重なるチャネル形成領域
を有し、チャネル形成領域に接して第1の低抵抗領域127a及び第2の低抵抗領域12
7bが設けられ、ドレイン端への電界集中が緩和されたトランジスタ130を作製できる

【0111】
(実施の形態4)
半導体装置の一形態に相当する液晶表示パネルの外観及び断面について、図7を用いて説
明する。図7は、トランジスタ4010、4011、及び液晶素子4013を、第1の基
板4001と第2の基板4006との間にシール材4005によって封止した、パネルの
平面図であり、図7(B)は、図7(A)または図7(C)のM−Nにおける断面図に相
当する。
【0112】
第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004とを囲む
ようにして、シール材4005が設けられている。また画素部4002と、走査線駆動回
路4004の上に第2の基板4006が設けられている。よって画素部4002と、走査
線駆動回路4004とは、第1の基板4001とシール材4005と第2の基板4006
とによって、液晶層4008と共に封止されている。また第1の基板4001上のシール
材4005によって囲まれている領域とは異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶
半導体膜又は多結晶半導体膜で形成された信号線駆動回路4003が実装されている。
【0113】
なお、別途形成した駆動回路の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG方法、
ワイヤボンディング方法、或いはTAB方法などを用いることができる。図7(A)は、
COG方法により信号線駆動回路4003を実装する例であり、図7(C)は、TAB方
法により信号線駆動回路4003を実装する例である。
【0114】
また第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004は、
トランジスタを複数有しており、図7(B)では、画素部4002に含まれるトランジス
タ4010と、走査線駆動回路4004に含まれるトランジスタ4011とを例示してい
る。トランジスタ4011は、下地絶縁層4041上に設けられ、酸化物半導体層と、酸
化物半導体層を覆うゲート絶縁層4020と、ゲート絶縁層4020上にゲート電極を有
している。トランジスタ4010、4011上には保護絶縁層4042、絶縁層4021
が設けられている。
【0115】
駆動回路用のトランジスタ4011及び画素用のトランジスタ4010は、実施の形態1
で示したゲート電極をマスクとして酸化物半導体層に希ガスを添加して自己整合的に形成
された2つの低抵抗領域を有するトランジスタ110を適用することができる。また、駆
動回路用のトランジスタ4011及び画素用のトランジスタ4010としては、実施の形
態2で示したトランジスタ210、220も用いることができる。また、駆動回路用のト
ランジスタ4011として実施の形態1で示したトランジスタ120も用いることができ
る。本実施の形態において、トランジスタ4010、4011はnチャネル型トランジス
タである。
【0116】
また、液晶素子4013が有する画素電極層4030は、トランジスタ4010と電気的
に接続されている。そして液晶素子4013の対向電極層4031は第2の基板4006
上に形成されている。画素電極層4030と対向電極層4031と液晶層4008とが重
なっている部分が、液晶素子4013に相当する。なお、画素電極層4030、対向電極
層4031はそれぞれ配向膜として機能する絶縁層4032、4033が設けられ、絶縁
層4032、4033を介して液晶層4008を挟持している。
【0117】
なお、第1の基板4001、第2の基板4006としては、透光性基板を用いることがで
き、ポリエステルフィルム、またはアクリル樹脂フィルムなどのプラスチックや、ガラス
や、セラミックスなどを用いることができる。
【0118】
また4035は絶縁膜を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペーサであり、
画素電極層4030と対向電極層4031との間の距離(セルギャップ)を制御するため
に設けられている。なお球状のスペーサを用いていても良い。また、対向電極層4031
は、トランジスタ4010と同一基板上に設けられる共通電位線と電気的に接続される。
共通接続部を用いて、一対の基板間に配置される導電性粒子を介して対向電極層4031
と共通電位線とを電気的に接続することができる。なお、導電性粒子はシール材4005
に含有させる。
【0119】
また、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよく、その場合には横電界方式と
するため、図7に示す電極配置と異なる配置とする。例えば、同一絶縁層上に画素電極層
と共通電極層とを並べて配置し、液晶層に横電界を印加する。ブルー相は液晶相の一つで
あり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直
前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善
するために5重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を用いて液晶層4008に
用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が1msec
以下と短く、光学的等方性であるため配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。
【0120】
なお、透過型液晶表示装置の他に、半透過型液晶表示装置でも適用できる。
【0121】
また、液晶表示装置では、基板の外側(視認側)に偏光板を設け、内側に着色層、表示素
子に用いる電極層という順に設ける例を示すが、偏光板は基板の内側に設けてもよい。ま
た、偏光板と着色層の積層構造も本実施の形態に限定されず、偏光板及び着色層の材料や
作製工程条件によって適宜設定すればよい。また、表示部以外にブラックマトリクスとし
て機能する遮光膜を設けてもよい。
【0122】
トランジスタ4011、4010上には、ゲート電極に接して保護絶縁層4042が形成
されている。保護絶縁層4042は実施の形態3で示した絶縁膜128と同様な材料及び
方法で形成すればよい。また、トランジスタの表面凹凸を低減するために、保護絶縁層4
042を平坦化絶縁膜として機能する絶縁層4021で覆う構成となっている。
【0123】
また、平坦化絶縁膜として機能する絶縁層4021としては、ポリイミド、アクリル、ベ
ンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等の、耐熱性を有する有機材料を用いることが
できる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂
、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお
、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、絶縁層4021を形成して
もよい。
【0124】
絶縁層4021の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタ法、SOG法
、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン
印刷、オフセット印刷等)を用いることができ、これらの塗布法での成膜の際にドクター
ナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等も使用することができる

【0125】
画素電極層4030、対向電極層4031は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物
、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、
酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、
インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する
導電性材料を用いることができる。
【0126】
また別途形成された信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004または画素部4
002に与えられる各種信号及び電位は、FPC4018から供給されている。
【0127】
接続端子電極4015が、液晶素子4013が有する画素電極層4030と同じ導電膜か
ら形成され、端子電極4016は、トランジスタ4010、4011のソース電極及びド
レイン電極と同じ導電膜で形成されている。
【0128】
接続端子電極4015は、FPC4018が有する端子と、異方性導電膜4019を介し
て電気的に接続されている。
【0129】
また図7においては、信号線駆動回路4003を別途形成し、第1の基板4001に実装
している例を示しているがこの構成に限定されない。走査線駆動回路を別途形成して実装
しても良いし、信号線駆動回路の一部または走査線駆動回路の一部のみを別途形成して実
装しても良い。
【0130】
(実施の形態5)
本実施の形態では、開示する発明の一態様に係る半導体装置の応用例について、図8を参
照して説明する。ここでは、記憶装置の一例について説明する。なお、回路図においては
、酸化物半導体を用いたトランジスタであることを示すために、OSの符号を併せて付す
場合がある。
【0131】
図8(A−1)に示す半導体装置において、第1の配線(1st Line)とトランジ
スタ300のソース電極層とは、電気的に接続され、第2の配線(2nd Line)と
トランジスタ300のドレイン電極層とは、電気的に接続されている。また、第3の配線
(3rd Line)とトランジスタ310のソース電極層またはドレイン電極層の一方
とは、電気的に接続され、第4の配線(4th Line)と、トランジスタ310のゲ
ート電極とは、電気的に接続されている。そして、トランジスタ300のゲート電極と、
トランジスタ310のソース電極層またはドレイン電極層の他方は、容量素子320の電
極の一方と電気的に接続され、第5の配線(5th Line)と、容量素子320の電
極の他方は電気的に接続されている。
【0132】
トランジスタ310には、実施の形態1乃至3のいずれか一の酸化物半導体を用いたトラ
ンジスタが適用される。酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流が極めて小さい
。このため、トランジスタ310をオフ状態とすることで、トランジスタ300のゲート
電極の電位を極めて長時間にわたって保持することが可能である。そして、容量素子32
0を有することにより、トランジスタ300のゲート電極に与えられた電荷の保持が容易
になり、また、保持された情報の読み出しが容易になる。
【0133】
なお、トランジスタ300については特に限定されない。情報の読み出し速度を向上させ
るという観点からは、例えば、単結晶シリコンウェハを用いたトランジスタや、SOI基
板を用いたトランジスタなど、スイッチング速度の高いトランジスタを適用するのが好適
である。
【0134】
また、図8(B)に示すように、容量素子320を設けない構成とすることも可能である

【0135】
図8(A−1)に示す半導体装置では、トランジスタ300のゲート電極の電位が保持可
能という特徴を生かすことで、次のように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能であ
る。
【0136】
はじめに、情報の書き込み動作および保持動作について説明する。まず、第4の配線の電
位を、トランジスタ310がオン状態となる電位にして、トランジスタ310をオン状態
とする。これにより、第3の配線の電位が、トランジスタ300のゲート電極、および容
量素子320に与えられる。すなわち、トランジスタ300のゲート電極には、所定の電
荷が与えられる(書き込み動作)。ここでは、異なる二つの電位を与える電荷(以下、低
電位を与える電荷を電荷Q、高電位を与える電荷を電荷Qという)のいずれかが与え
られるものとする。なお、異なる三つまたはそれ以上の電位を与える電荷を適用して、記
憶容量を向上させても良い。その後、第4の配線の電位を、トランジスタ310がオフ状
態となる電位にして、トランジスタ310をオフ状態とすることにより、トランジスタ3
00のゲート電極に与えられた電荷が保持される(保持動作)。
【0137】
トランジスタ310のオフ電流は極めて小さいため、トランジスタ300のゲート電極の
電荷は長時間にわたって保持される。
【0138】
次に、情報の読み出し動作について説明する。第1の配線に所定の電位(定電位)を与え
た状態で、第5の配線に適切な電位(読み出し電位)を与えると、トランジスタ300の
ゲート電極に保持された電荷量に応じて、第2の配線は異なる電位をとる。一般に、トラ
ンジスタ300をnチャネル型とすると、トランジスタ300のゲート電極にQが与え
られている場合の見かけのしきい値Vth_Hは、トランジスタ300のゲート電極にQ
が与えられている場合の見かけのしきい値Vth_Lより低くなるためである。ここで
、見かけのしきい値電圧とは、トランジスタ300を「オン状態」とするために必要な第
5の配線の電位をいうものとする。したがって、第5の配線の電位をVth_HとVth
_Lの中間の電位Vとすることにより、トランジスタ300のゲート電極に与えられた
電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、Qが与えられていた場合には、第5の
配線の電位がV(>Vth_H)となれば、トランジスタ300は「オン状態」となる
。Qが与えられていた場合には、第5の配線の電位がV(<Vth_L)となっても
、トランジスタ300は「オフ状態」のままである。このため、第2の配線の電位を見る
ことで、保持されている情報を読み出すことができる。
【0139】
なお、メモリセルをアレイ状に配置して用いる場合には、所望のメモリセルの情報のみを
読み出せることが必要になる。このように、所定のメモリセルの情報を読み出し、それ以
外のメモリセルの情報を読み出さない場合には、読み出しの対象ではないメモリセルの第
5の配線に対して、ゲート電極の状態にかかわらずトランジスタ300が「オフ状態」と
なるような電位、つまり、Vth_Hより小さい電位を与えればよい。または、ゲート電
極の状態にかかわらずトランジスタ300が「オン状態」となるような電位、つまり、V
th_Lより大きい電位を第5の配線に与えればよい。
【0140】
次に、情報の書き換え動作について説明する。情報の書き換えは、上記情報の書き込みお
よび保持と同様に行われる。つまり、第4の配線の電位を、トランジスタ310がオン状
態となる電位にして、トランジスタ310をオン状態とする。これにより、第3の配線の
電位(新たな情報に係る電位)が、トランジスタ300のゲート電極および容量素子32
0に与えられる。その後、第4の配線の電位を、トランジスタ310がオフ状態となる電
位にして、トランジスタ310をオフ状態とすることにより、トランジスタ300のゲー
ト電極は、新たな情報に係る電荷が与えられた状態となる。
【0141】
このように、半導体装置は、再度の情報の書き込みによって直接的に情報を書き換えるこ
とが可能である。このためフラッシュメモリなどにおいて必要とされる高電圧を用いての
フローティングゲートからの電荷の引き抜きが不要であり、消去動作に起因する動作速度
の低下を抑制することができる。つまり、半導体装置の高速動作が実現される。
【0142】
なお、トランジスタ310のソース電極層またはドレイン電極層は、トランジスタ300
のゲート電極と電気的に接続されることにより、不揮発性メモリ素子として用いられるフ
ローティングゲート型トランジスタのフローティングゲートと同等の作用を奏する。この
ため、図中、トランジスタ310のソース電極層またはドレイン電極層とトランジスタ3
00のゲート電極が電気的に接続される部位をフローティングゲート部FGと呼ぶ場合が
ある。トランジスタ310がオフの場合、当該フローティングゲート部FGは絶縁体中に
埋設されたと見ることができ、フローティングゲート部FGには電荷が保持される。酸化
物半導体を用いたトランジスタ310のオフ電流は、シリコン半導体などで形成されるト
ランジスタの10万分の1以下であるため、トランジスタ310のリークによる、フロー
ティングゲート部FGに蓄積される電荷の消失を無視することが可能である。つまり、酸
化物半導体を用いたトランジスタ310により、電力の供給が無くても情報の保持が可能
な不揮発性の記憶装置を実現することが可能である。
【0143】
例えば、トランジスタ310の室温でのオフ電流が10zA(なお、1zAは1×10
21A)以下であり、容量素子320の容量値が10fF程度である場合には、少なくと
も10秒以上のデータ保持が可能である。なお、当該保持時間が、トランジスタ特性や
容量値によって変動することはいうまでもない。
【0144】
また、この場合、従来のフローティングゲート型トランジスタにおいて指摘されているゲ
ート絶縁膜(トンネル絶縁膜)の劣化という問題が存在しない。つまり、従来問題とされ
ていた、電子をフローティングゲートに注入する際のゲート絶縁膜の劣化という問題を解
消することができる。これは、原理的な書き込み回数の制限が存在しないことを意味する
ものである。また、従来のフローティングゲート型トランジスタにおいて書き込みや消去
の際に必要であった高電圧も不要である。
【0145】
図8(A−1)に示す半導体装置は、当該半導体装置を構成するトランジスタなどの要素
が抵抗および容量を含むものとして、図8(A−2)のように考えることが可能である。
つまり、図8(A−2)では、トランジスタ300および容量素子320が、それぞれ、
抵抗および容量を含んで構成されると考えていることになる。R1およびC1は、それぞ
れ、容量素子320の抵抗値および容量値であり、抵抗値R1は、容量素子320を構成
する絶縁層による抵抗値に相当する。また、R2およびC2は、それぞれ、トランジスタ
300の抵抗値および容量値であり、抵抗値R2はトランジスタ300がオン状態の時の
ゲート絶縁層による抵抗値に相当し、容量値C2はいわゆるゲート容量(ゲート電極と、
ソース電極層またはドレイン電極層との間に形成される容量、及び、ゲート電極とチャネ
ル形成領域との間に形成される容量)の容量値に相当する。
【0146】
トランジスタ310がオフ状態にある場合のソース電極層とドレイン電極層の間の抵抗値
(実効抵抗とも呼ぶ)をROSとすると、トランジスタ310のゲートリークが十分に小
さい条件において、R1の値がROSの値以上、且つ、R2の値がROSの値以上を満た
す場合には、電荷の保持期間(情報の保持期間ということもできる)は、主としてトラン
ジスタ310のオフ電流によって決定されることになる。
【0147】
当該条件を満たさない場合には、トランジスタ310のオフ電流が十分に小さくとも、保
持期間を十分に確保することが困難になる。トランジスタ310のオフ電流以外のリーク
電流(例えば、ソース電極層とゲート電極の間において生じるリーク電流等)が大きいた
めである。このことから、本実施の形態において開示する半導体装置は、上述の関係を満
たすものであることが望ましいといえる。
【0148】
一方で、C1とC2の大小関係は、C1の値はC2の値以上である関係を満たすことが望
ましい。C1を大きくすることで、第5の配線によってフローティングゲート部FGの電
位を制御する際(例えば、読み出しの際)に、第5の配線の電位の変動を低く抑えること
ができるためである。
【0149】
上述の関係を満たすことで、より好適な半導体装置を実現することが可能である。なお、
R1およびR2は、トランジスタ300のゲート絶縁層や容量素子320の絶縁層によっ
て制御される。C1およびC2についても同様である。よって、ゲート絶縁層の材料や厚
さなどを適宜設定し、上述の関係を満たすようにすることが望ましい。
【0150】
以上示したように、半導体装置は、オフ状態でのソースとドレイン間のリーク電流(オフ
電流)が少ない書き込み用トランジスタ、該書き込み用トランジスタと異なる半導体材料
を用いた読み出し用トランジスタ及び容量素子を含む不揮発性のメモリセルを有している

【0151】
書き込み用トランジスタのオフ電流は、使用時の温度(例えば、25℃)で100zA以
下、好ましくは10zA以下、さらに好ましくは、1zA以下である。通常のシリコン半
導体では、上述のように低いオフ電流を得ることは困難であるが、酸化物半導体を適切な
条件で加工して得られたトランジスタにおいては達成しうる。このため、書き込み用トラ
ンジスタとして、酸化物半導体層を用いたトランジスタを用いることが好ましい。
【0152】
メモリセルへの情報の書き込みは、書き込み用トランジスタをオン状態とすることにより
、書き込み用トランジスタのソース電極層またはドレイン電極層の一方と、容量素子の電
極の一方と、読み出し用トランジスタのゲート電極とが電気的に接続されたフローティン
グゲート部FGに電位を供給し、その後、書き込み用トランジスタをオフ状態とすること
により、フローティングゲート部FGに所定量の電荷を保持させることで行う。ここで、
書き込み用トランジスタのオフ電流は極めて小さいため、フローティングゲート部FGに
供給された電荷は長時間にわたって保持される。オフ電流が例えば実質的に0であれば、
従来のDRAMで必要とされたリフレッシュ動作が不要となるか、または、リフレッシュ
動作の頻度を極めて低く(例えば、一ヶ月乃至一年に一度程度)することが可能となり、
半導体装置の消費電力を十分に低減することができる。
【0153】
また、メモリセルへの再度の情報の書き込みによって直接的に情報を書き換えることが可
能である。このためフラッシュメモリなどにおいて必要とされる消去動作が不要であり、
消去動作に起因する動作速度の低下を抑制することができる。つまり、半導体装置の高速
動作が実現される。また、従来のフローティングゲート型トランジスタで書き込みや消去
の際に必要とされた高い電圧を必要としないため、半導体装置の消費電力をさらに低減す
ることができる。本実施の形態に係るメモリセルに印加される電圧(メモリセルの各端子
に同時に印加される電位の最大のものと最小のものの差)の最大値は、2段階(1ビット
)の情報を書き込む場合、一つのメモリセルにおいて、5V以下、好ましくは3V以下で
ある。
【0154】
半導体装置に配置されるメモリセルは、書き込み用トランジスタと、読み出し用トランジ
スタと、容量素子とを少なくとも含んでいればよく、また、容量素子の面積は小さくても
動作可能である。
【0155】
メモリセルにおいては、書き込み用トランジスタのスイッチング動作により情報の書き込
みがなされるため、書き換え耐性が極めて高い。例えば、メモリセルは、1×10回(
10億回)以上の書き込み後であっても、電流−電圧特性に劣化が見られない。
【0156】
実施の形態1乃至3のいずれか一に示した酸化物半導体を用いたトランジスタは、微細化
を達成することができる。そして、このようなトランジスタを用いることにより、上述の
ような優れた記憶装置を、高度に集積化することができる。
【0157】
記憶装置を集積化する一例を図9(A)及び図9(B)に示す。図9(A)および図9(
B)は、図8(A−1)に示す半導体装置(以下、メモリセル400とも記載する。)を
複数用いて形成される半導体装置の回路図である。図9(A)は、メモリセル400が直
列に接続された、いわゆるNAND型の半導体装置の回路図であり、図9(B)は、メモ
リセル400が並列に接続された、いわゆるNOR型の半導体装置の回路図である。
【0158】
図9(A)に示す半導体装置は、ソース線SL、ビット線BL、第1信号線S1、複数本
の第2信号線S2、複数本のワード線WL、複数のメモリセル400を有する。図9(A
)では、ソース線SLおよびビット線BLを1本ずつ有する構成となっているが、これに
限られることなく、ソース線SLおよびビット線BLを複数本有する構成としてもよい。
【0159】
各メモリセル400において、トランジスタ300のゲート電極と、トランジスタ310
のソース電極層またはドレイン電極層の一方と、容量素子320の電極の一方とは、電気
的に接続されている。また、第1信号線S1とトランジスタ310のソース電極層または
ドレイン電極層の他方とは、電気的に接続され、第2信号線S2と、トランジスタ310
のゲート電極とは、電気的に接続されている。そして、ワード線WLと、容量素子320
の電極の他方は電気的に接続されている。
【0160】
また、メモリセル400が有するトランジスタ300のソース電極層は、隣接するメモリ
セル400のトランジスタ300のドレイン電極層と電気的に接続され、メモリセル40
0が有するトランジスタ300のドレイン電極層は、隣接するメモリセル400のトラン
ジスタ300のソース電極層と電気的に接続される。ただし、直列に接続された複数のメ
モリセルのうち、一方の端に設けられたメモリセル400が有するトランジスタ300の
ドレイン電極層は、ビット線と電気的に接続される。また、直列に接続された複数のメモ
リセルのうち、他方の端に設けられたメモリセル400が有するトランジスタ300のソ
ース電極層は、ソース線と電気的に接続される。
【0161】
図9(A)に示す半導体装置では、行ごとの書き込み動作および読み出し動作を行う。書
き込み動作は次のように行われる。書き込みを行う行の第2の信号線S2にトランジスタ
310がオン状態となる電位を与え、書き込みを行う行のトランジスタ310をオン状態
にする。これにより、指定した行のトランジスタ300のゲート電極に第1の信号線S1
の電位が与えられ、該ゲート電極に所定の電荷が与えられる。このようにして、指定した
行のメモリセルにデータを書き込むことができる。
【0162】
また、読み出し動作は次のように行われる。まず、読み出しを行う行以外のワード線WL
に、トランジスタ300のゲート電極に与えられた電荷によらず、トランジスタ300が
オン状態となるような電位を与え、読み出しを行う行以外のトランジスタ300をオン状
態とする。それから、読み出しを行う行のワード線WLに、トランジスタ300のゲート
電極が有する電荷によって、トランジスタ300のオン状態またはオフ状態が選択される
ような電位(読み出し電位)を与える。そして、ソース線SLに定電位を与え、ビット線
BLに接続されている読み出し回路(図示しない)を動作状態とする。ここで、ソース線
SL−ビット線BL間の複数のトランジスタ300は、読み出しを行う行を除いてオン状
態となっているため、ソース線SL−ビット線BL間のコンダクタンスは、読み出しを行
う行のトランジスタ300の状態(オン状態またはオフ状態)によって決定される。読み
出しを行う行のトランジスタ300のゲート電極が有する電荷によって、トランジスタの
コンダクタンスは異なるから、それに応じて、ビット線BLの電位は異なる値をとること
になる。ビット線の電位を読み出し回路によって読み出すことで、指定した行のメモリセ
ルから情報を読み出すことができる。
【0163】
図9(B)に示す半導体装置は、ソース線SL、ビット線BL、第1信号線S1、第2信
号線S2、およびワード線WLをそれぞれ複数本有し、複数のメモリセル400を有する
。各トランジスタ300のゲート電極と、トランジスタ310のソース電極層またはドレ
イン電極層の一方と、容量素子320の電極の一方とは、電気的に接続されている。また
、ソース線SLとトランジスタ300のソース電極層とは、電気的に接続され、ビット線
BLとトランジスタ300のドレイン電極層とは、電気的に接続されている。また、第1
信号線S1とトランジスタ310のソース電極層またはドレイン電極層の他方とは、電気
的に接続され、第2信号線S2と、トランジスタ310のゲート電極とは、電気的に接続
されている。そして、ワード線WLと、容量素子320の電極の他方は電気的に接続され
ている。
【0164】
図9(B)に示す半導体装置では、行ごとの書き込み動作および読み出し動作を行う。書
き込み動作は、上述の図9(A)に示す半導体装置と同様の方法で行われる。読み出し動
作は次のように行われる。まず、読み出しを行う行以外のワード線WLに、トランジスタ
300のゲート電極に与えられた電荷によらず、トランジスタ300がオフ状態となるよ
うな電位を与え、読み出しを行う行以外のトランジスタ300をオフ状態とする。それか
ら、読み出しを行う行のワード線WLに、トランジスタ300のゲート電極が有する電荷
によって、トランジスタ300のオン状態またはオフ状態が選択されるような電位(読み
出し電位)を与える。そして、ソース線SLに定電位を与え、ビット線BLに接続されて
いる読み出し回路(図示しない)を動作状態とする。ここで、ソース線SL−ビット線B
L間のコンダクタンスは、読み出しを行う行のトランジスタ300の状態(オン状態また
はオフ状態)によって決定される。つまり、読み出しを行う行のトランジスタ300のゲ
ート電極が有する電荷によって、ビット線BLの電位は異なる値をとることになる。ビッ
ト線の電位を読み出し回路によって読み出すことで、指定した行のメモリセルから情報を
読み出すことができる。
【0165】
なお、上記においては、各メモリセル400に保持させる情報量を1ビットとしたが、本
実施の形態に示す記憶装置の構成はこれに限られない。トランジスタ300のゲート電極
に与える電位を3種類以上用意して、各メモリセル400が保持する情報量を増加させて
も良い。例えば、トランジスタ300のゲート電極にあたえる電位を4種類とする場合に
は、各メモリセルに2ビットの情報を保持させることができる。
【0166】
次に、図9に示す半導体装置などに用いることができる読み出し回路の一例について説明
する。
【0167】
メモリセルは、格納されるデータに応じて、異なる抵抗値を示す。具体的には、選択した
メモリセル400のトランジスタ300がオン状態の場合には低抵抗状態となり、選択し
たメモリセル400のトランジスタ300がオフ状態の場合には高抵抗状態となる。
【0168】
トランジスタとセンスアンプ回路を有する読み出し回路を用いることで、メモリセルから
データを読み出すことができる。また、読み出し回路は、プリチャージ回路を有しても良
い。
【0169】
本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み
合わせて用いることができる。
【0170】
(実施の形態6)
本明細書に開示する半導体装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用すること
ができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン
受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメ
ラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型
ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられ
る。
【0171】
本実施の形態では、実施の形態1乃至3のいずれか一で述べられたドレイン端への電界集
中を緩和する構造を備えたトランジスタを搭載した電子機器の例について図10を用いて
説明する。
【0172】
図10(A)は、少なくとも表示装置を一部品として実装して作製したノート型のパー
ソナルコンピュータであり、本体3001、筐体3002、表示部3003、キーボード
3004などによって構成されている。なお、実施の形態1に示す微細化が可能なトラン
ジスタを有し、トランジスタの占める面積が縮小され、開口率の高い表示装置をノート型
のパーソナルコンピュータは有している。また、実施の形態5に示す記憶装置をノート型
のパーソナルコンピュータに備えてもよい。
【0173】
図10(B)は、少なくとも表示装置を一部品として実装して作製した携帯情報端末(
PDA)であり、本体3021には表示部3023と、外部インターフェイス3025と
、操作ボタン3024等が設けられている。また操作用の付属品としてスタイラス302
2がある。なお、実施の形態1に示す微細化が可能なトランジスタを有し、トランジスタ
の占める面積が縮小され、開口率の高い表示装置を携帯情報端末は有している。また、実
施の形態5に示す記憶装置を携帯情報端末に備えてもよい。
【0174】
図10(C)は実施の形態2に示すドレイン端への電界集中を緩和する構造を備えたト
ランジスタを有し、信頼性の高い電子ペーパーを一部品として実装して作製した電子書籍
である。図10(C)は、電子書籍の一例を示している。例えば、電子書籍2700は、
筐体2701および筐体2703の2つの筐体で構成されている。筐体2701および筐
体2703は、軸部2711により一体とされており、該軸部2711を軸として開閉動
作を行うことができる。このような構成により、紙の書籍のような動作を行うことが可能
となる。
【0175】
筐体2701には表示部2705が組み込まれ、筐体2703には表示部2707が組み
込まれている。表示部2705および表示部2707は、続き画面を表示する構成として
もよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とするこ
とで、例えば右側の表示部(図10(C)では表示部2705)に文章を表示し、左側の
表示部(図10(C)では表示部2707)に画像を表示することができる。
【0176】
また、図10(C)では、筐体2701に操作部などを備えた例を示している。例えば、
筐体2701において、電源2721、操作キー2723、スピーカ2725などを備え
ている。操作キー2723により、頁を送ることができる。なお、筐体の表示部と同一面
にキーボードやポインティングデバイスなどを備える構成としてもよい。また、筐体の裏
面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子、またはACアダプタおよびU
SBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える
構成としてもよい。さらに、電子書籍2700は、電子辞書としての機能を持たせた構成
としてもよい。
【0177】
また、電子書籍2700は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、
電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすること
も可能である。
【0178】
図10(D)は、実施の形態1に示す微細化が可能なトランジスタを有し、トランジス
タの占める面積が縮小され、開口率の高い表示装置を一部品として実装して作製した携帯
電話であり、筐体2800及び筐体2801の二つの筐体で構成されている。筐体280
1には、表示パネル2802、スピーカー2803、マイクロフォン2804、ポインテ
ィングデバイス2806、カメラ用レンズ2807、外部接続端子2808などを備えて
いる。また、筐体2801には、携帯型情報端末の充電を行う太陽電池セル2810、外
部メモリスロット2811などを備えている。また、アンテナは筐体2801内部に内蔵
されている。
【0179】
また、表示パネル2802はタッチパネルを備えており、図10(D)には映像表示され
ている複数の操作キー2805を点線で示している。なお、太陽電池セル2810で出力
される電圧を各回路に必要な電圧に昇圧するための昇圧回路も実装している。昇圧回路に
実施の形態2に示すドレイン端への電界集中を緩和する構造を備えたトランジスタを用い
て信頼性の向上を図ることができる。
【0180】
表示パネル2802は、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。また、表示パネ
ル2802と同一面上にカメラ用レンズ2807を備えているため、テレビ電話が可能で
ある。スピーカー2803及びマイクロフォン2804は音声通話に限らず、テレビ電話
、録音、再生などが可能である。さらに、筐体2800と筐体2801は、スライドし、
図10(D)のように展開している状態から重なり合った状態とすることができ、携帯に
適した小型化が可能である。
【0181】
外部接続端子2808はACアダプタ及びUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能
であり、充電及びパーソナルコンピュータなどとのデータ通信が可能である。また、外部
メモリスロット2811に記録媒体を挿入し、より大量のデータ保存及び移動に対応でき
る。記録媒体として、実施の形態5に示す半導体装置を用いることができる。実施の形態
5によれば、オフ電流を十分に低減することができるトランジスタを用いることで、極め
て長期にわたり記憶内容を保持することが可能な半導体装置が得られる。
【0182】
また、上記機能に加えて、赤外線通信機能、テレビ受信機能などを備えたものであって
もよい。
【0183】
図10(E)は実施の形態1に示す微細化が可能なトランジスタを有し、トランジスタ
の占める面積が縮小され、開口率の高い表示装置を一部品として実装して作製したデジタ
ルカメラであり、本体3051、表示部(A)3057、接眼部3053、操作スイッチ
3054、表示部(B)3055、バッテリー3056などによって構成されている。
【0184】
本実施の形態は、実施の形態1乃至5のいずれか一と自由に組み合わせることができる。
【実施例1】
【0185】
以下の実験を行い、アルゴンガスを用いたプラズマ処理によって酸化物半導体層が低抵抗
化することを確認した。
【0186】
ガラス基板上に膜厚50nmのIn−Zn−O膜を成膜した。成膜条件は、In
ZnO=1:2[mol数比]の酸化物ターゲット(直径4インチ)を用い、アルゴンガ
ス流量10.5sccm、酸素流量4.5sccm、基板温度300℃、電力100Wと
した。
【0187】
また、成膜後、In−Zn−O膜に対して、アルゴンガス流量100sccmを流して1
.5Paの圧力でコイル型の電極に300WのRF(13.56MHz)電力を投入して
プラズマを生成してアルゴンガスを用いたプラズマ処理を行った。なお、基板温度は70
℃とし、基板側(試料ステージ)にも80WのRF(13.56MHz)電力を投入し、
実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。
【0188】
In−Zn−O膜の成膜直後の抵抗率は、約2.96Ω・cmであったが、アルゴンプラ
ズマを20秒照射することにより、抵抗率が約0.01Ω・cmにまで低抵抗化すること
が確認できた。また、40秒、60秒、80秒、100秒とプラズマ照射時間を長くした
が、全て約0.01Ω・cmの抵抗率となった。
【0189】
これらの実験結果を図11に示す。図11において、縦軸は抵抗率、横軸はアルゴンプラ
ズマ照射時間である。なお、In−Zn−O膜の成膜直後の抵抗率は、約2.96Ω・c
mであり、図11のグラフには図示していない。
【符号の説明】
【0190】
101:基板
102:下地絶縁層
103:酸化物半導体層
104a:ドレイン電極層
104b:ソース電極層
105:ゲート絶縁層
106:ゲート電極
107a:第1領域
107b:第2領域
107c:チャネル形成領域
107d:第1の低抵抗領域
107e:第2の低抵抗領域
110:トランジスタ
116:ゲート電極
117d:低抵抗領域
120:トランジスタ
123:酸化物半導体層
127a:第1の低抵抗領域
127b:第2の低抵抗領域
128:絶縁層
130:トランジスタ
200 トランジスタ
201:基板
202:下地絶縁層
203:酸化物半導体層
204a:ドレイン電極層
204b:ソース電極層
205:ゲート絶縁層
206:ゲート電極
207a:第1の低抵抗領域
207b:第2の低抵抗領域
207c:チャネル形成領域
210:トランジスタ
214a:第1の導電層
214b:第2の導電層
217a 低抵抗領域
217b 低抵抗領域
217c チャネル形成領域
220:トランジスタ
300 トランジスタ
310 トランジスタ
320 容量素子
400 メモリセル
2700 電子書籍
2701 筐体
2703 筐体
2705 表示部
2707 表示部
2711 軸部
2721 電源
2723 操作キー
2725 スピーカ
2800 筐体
2801 筐体
2802 表示パネル
2803 スピーカー
2804 マイクロフォン
2805 操作キー
2806 ポインティングデバイス
2807 カメラ用レンズ
2808 外部接続端子
2810 太陽電池セル
2811 外部メモリスロット
3001 本体
3002 筐体
3003 表示部
3004 キーボード
3021 本体
3022 スタイラス
3023 表示部
3024 操作ボタン
3025 外部インターフェイス
3051 本体
3053 接眼部
3054 操作スイッチ
3055 表示部(B)
3056 バッテリー
3057 表示部(A)
4001 基板
4002 画素部
4003 信号線駆動回路
4004 走査線駆動回路
4005 シール材
4006 基板
4008 液晶層
4010 トランジスタ
4011 トランジスタ
4013 液晶素子
4015 接続端子電極
4016 端子電極
4018 FPC
4019 異方性導電膜
4020 ゲート絶縁層
4021 絶縁層
4030 画素電極層
4031 対向電極層
4032 絶縁層
4041 下地絶縁層
4042 保護絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁表面上に酸化物半導体層を形成し、
前記酸化物半導体層上に一部接するソース電極及びドレイン電極を形成し、
前記酸化物半導体層、前記ソース電極、及び前記ドレイン電極上に接する絶縁層を形成し、
前記絶縁層上に前記酸化物半導体層と重なるゲート電極を形成し、
前記ゲート電極、前記ソース電極、及び前記ドレイン電極をマスクとして、前記絶縁層を介して前記酸化物半導体層の一部に自己整合的に希ガスを添加することを特徴とする半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−21349(P2013−21349A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−196061(P2012−196061)
【出願日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【分割の表示】特願2011−28340(P2011−28340)の分割
【原出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】