説明

半導体装置の製造方法

【課題】CMP法による研磨によりポリシリコン膜等が半導体基板上に表出する場合であっても、信頼性や製造歩留まりの低下を防止し得る半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】化学的機械的研磨法により研磨を行う工程であって、半導体基板上にポリシリコン膜が表出した状態になる工程と;半導体基板を洗浄する工程とを有する半導体装置の製造方法であって、半導体基板を洗浄する工程は、酸性の第1の洗浄液を用いて洗浄を行う第1の工程S10と;第1の工程の後に、第2の洗浄液を用いて超音波洗浄を行う第2の工程S12と;第2の工程の後に、アルカリ性の第3の洗浄液を用いて洗浄を行う第3の工程S13とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に係り、特に、化学的機械的研磨法により研磨を行う半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、素子領域を画定する素子分離領域を形成するための技術として、LOCOS(LOCal Oxidation of Silicon、局所酸化)法が広く知られている。
【0003】
しかし、LOCOS法により素子分離領域を形成した場合には、バーズビークによって素子領域が小さくなる傾向がある。また、LOCOS法により素子分離領域を形成した場合には、基板表面に大きな段差が形成されてしまう。このため、LOCOS法を用いて素子分離領域を形成する技術では、更なる微細化・高集積化が困難であった。
【0004】
LOCOS法に代わる方法として、STI(Shallow Trench Isolation)法が注目されている。STI法による素子分離領域の形成方法を以下に図を用いて説明する。図16は、従来の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0005】
図16(a)に示すように、半導体基板210上に、シリコン酸化膜212、シリコン窒化膜214を順次形成する。これにより、シリコン酸化膜212及びシリコン窒化膜214より成る積層膜215が形成される。
【0006】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、シリコン窒化膜214及びシリコン酸化膜212をパターニングする。これにより、シリコン窒化膜214及びシリコン酸化膜212に、半導体基板210に達する開口部216が形成される。
【0007】
次に、開口部216が形成されたシリコン窒化膜214をマスクとして半導体基板210を異方性エッチングする。こうして、半導体基板210にトレンチ218が形成される。
【0008】
次に、図16(b)に示すように、トレンチ218内及びシリコン窒化膜214上にシリコン酸化膜220を形成する。
【0009】
次に、図16(c)に示すように、CMP(Chemical Mechanical Polishing、化学的機械的研磨)法により、シリコン窒化膜214の表面が露出するまで、シリコン酸化膜220を研磨する。シリコン窒化膜214は、シリコン酸化膜220を研磨する際の研磨ストッパとして機能する。こうして、トレンチ218内にシリコン酸化膜220より成る素子分離領域221が埋め込まれ、素子分離領域221により素子領域222が画定される。
【0010】
次に、リン酸を用いたウエットエッチングにより、シリコン窒化膜214を除去する。
【0011】
この後、シリコン酸化膜212がエッチング除去される(図示せず)。
【0012】
この後、素子領域222上にトランジスタが形成される(図示せず)。
【0013】
こうして、半導体装置が製造される。
【0014】
STI法を用いて素子分離領域221を形成すれば、LOCOS法で素子分離領域を形成する場合のようなバーズビークが発生することはなく、素子領域222が狭くなってしまうのを防止することができる。また、トレンチ218の深さを深く設定することにより、実効的な素子間距離を長くすることができるため、高い素子分離機能を得ることができる。
【0015】
近時、研磨ストッパ膜の材料として、ポリシリコン膜を用いることが提案されている。ポリシリコン膜は、ドライエッチングにより除去することが可能な材料である。研磨ストッパ膜としてポリシリコン膜を用いれば、研磨ストッパ膜を除去する際にウエット処理が不要となるため、製造工程の簡略化及び製造コストの低減に寄与することが可能となる。
【0016】
また、近時では、ポリシリコン膜より成る導体プラグをコンタクトホール内に埋め込むことも提案されている(特許文献6参照)。
【0017】
ポリシリコン膜より成る導体プラグは、開口部が形成された絶縁膜上にポリシリコン膜を形成し、かかるポリシリコン膜を絶縁膜の表面が露出するまでCMP法により研磨することにより、開口部内に埋め込まれる。
【0018】
なお、本願発明の背景技術としては以下のようなものがある。
【特許文献1】特開2000−353680号公報
【特許文献2】特開平11−317443号公報
【特許文献3】特開2005−166982号公報
【特許文献4】特開2002−75928号公報
【特許文献5】特開2000−124303号公報
【特許文献6】特開2002−26290号公報
【特許文献7】特表2003−513443号公報
【特許文献8】特開2000−40684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、上述した提案されている半導体装置の製造方法では、ポリシリコン膜の表面に異物(パーティクル)が残存してしまい、信頼性や製造歩留まりが低下してしまう場合があった。
【0020】
本発明の目的は、CMP法による研磨によりポリシリコン膜等が半導体基板上に表出する場合であっても、信頼性や製造歩留まりの低下を防止し得る半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の一観点によれば、化学的機械的研磨法により研磨を行う工程であって、半導体基板上にポリシリコン膜が表出した状態になる工程と;前記半導体基板を洗浄する工程とを有する半導体装置の製造方法であって、前記半導体基板を洗浄する工程は、酸性の第1の洗浄液を用いて洗浄を行う第1の工程と;前記第1の工程の後に、第2の洗浄液を用いて超音波洗浄を行う第2の工程と;前記第2の工程の後に、アルカリ性の第3の洗浄液を用いて洗浄を行う第3の工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0022】
本発明の他の観点によれば、半導体基板上にポリシリコン膜を形成する工程と;前記ポリシリコン膜及び前記半導体基板をエッチングすることにより、前記半導体基板に溝を形成する工程と;前記溝の内面及び前記ポリシリコン膜の表面に、熱酸化法により熱酸化膜を形成する工程と;前記溝内及び前記ポリシリコン膜上に絶縁膜を形成する工程と;前記熱酸化膜の表面が露出するまで前記絶縁膜を化学的機械的研磨法により研磨することにより、前記絶縁膜より成る素子分離領域を前記溝内に埋め込む工程と;前記半導体基板を洗浄する工程とを有する半導体装置の製造方法であって、前記半導体基板を洗浄する工程は、酸性の第1の洗浄液を用いて洗浄を行う第1の工程と;前記第1の工程の後に、第2の洗浄液を用いて超音波洗浄を行う第2の工程と;前記第2の工程の後に、アルカリ性の第3の洗浄液を用いて洗浄を行う第3の工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、アルカリ性の洗浄液を用いた洗浄を、半導体基板の洗浄の最終段階で行うため、異物の再付着を防止しつつ、異物を効果的に除去することが可能となる。このため、本発明によれば、CMP法による研磨により半導体基板上にポリシリコン膜等が表出する場合であっても、半導体基板上から異物を確実に除去することができ、信頼性及び製造歩留まりの高い半導体装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による半導体装置の製造方法を図1乃至図9を用いて説明する。図1及び図2は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0025】
まず、例えばシリコンより成る半導体基板10上の全面に、例えば熱酸化法により、膜厚10nmのシリコン酸化膜12を形成する。
【0026】
次に、全面に、例えばCVD法により、膜厚100nmのポリシリコン膜14を形成する。
【0027】
こうして、シリコン酸化膜12及びポリシリコン膜14により、積層膜15が構成される。
【0028】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0029】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜に開口部16を形成する。
【0030】
次に、フォトレジスト膜をマスクとして、ポリシリコン膜14及びシリコン酸化膜12をエッチングする。これにより、積層膜15に半導体基板に達する開口部16が形成される。
【0031】
次に、半導体基板10を更に異方性エッチングする。これにより、素子分離領域を埋め込むためのトレンチ(溝)18が半導体基板10に形成される(図1(a)参照)。トレンチ18の深さは、積層膜15の表面から例えば400nm程度とする。
【0032】
次に、図1(b)に示すように、全面に、例えば高密度プラズマCVD法により、シリコン酸化膜(埋め込み酸化膜)20を形成する。シリコン酸化膜の膜厚は、例えば500nmとする。こうして、トレンチ18内にシリコン酸化膜20が埋め込まれ、表面に凹凸が存在するシリコン酸化膜20が形成される。かかるシリコン酸化膜20は、被研磨膜となるものである。
【0033】
次に、CMP(Chemical Mechanical Polishing、化学的機械的研磨)法により、ポリシリコン膜14の表面が露出するまでシリコン酸化膜20を研磨する。
【0034】
シリコン酸化膜20の研磨は、例えば以下のようにして行う。研磨装置としては、例えばアプライドマテリアル社製のCMP装置(製品名:MIRRA)を用いる。シリコン酸化膜20を研磨する際には、研磨ヘッド(図示せず)により半導体基板10を回転させながら、シリコン酸化膜20の表面を研磨パッド(図示せず)の表面に押し付ける。シリコン酸化膜20を研磨する際には、研磨パッド上に研磨剤と純水とを供給する。また、シリコン酸化膜20を研磨する際には、研磨テーブル(図示せず)についても回転させる。
【0035】
シリコン酸化膜20を研磨する際の研磨条件は、例えば以下の通りとする。
【0036】
研磨剤としては、例えば酸化セリウムより成る研磨砥粒を含む研磨剤を用いる。かかる研磨剤のpHは、例えば5程度である。研磨剤の供給量は、例えば0.05リットル/分とする。純水の供給量は、例えば0.25リットル/分とする。研磨パッドとしては、例えばローデルニッタ社製の研磨パッド(型番:IC1400)を用いる。研磨圧力は、例えば20kPaとする。研磨ヘッドの回転数は、例えば102回転/分とする。研磨テーブルの回転数は、例えば100回転/分とする。
【0037】
こうして、ポリシリコン膜14の表面が露出するまで、シリコン酸化膜20が研磨される(図1(c)参照)。
【0038】
次に、半導体基板(半導体ウェハ)10を洗浄する。図3は、本実施形態において用いられる洗浄部を示す概略図である。図4は、第1の洗浄室の一部を示す概略図である。図5は、本実施形態による半導体基板の洗浄方法を示すフローチャートである。
【0039】
図3に示すように、洗浄部100は、第1の洗浄を行うための第1の洗浄室102と、第1の洗浄が行われた半導体基板10に対して第2の洗浄を行うための第2の洗浄室104と、第2の洗浄が行われた半導体基板10に対して第3の洗浄を行うための第3の洗浄室106と、洗浄が完了した半導体基板10を乾燥させる乾燥室108とを有している。
【0040】
第1の洗浄室102には、半導体基板10を支持するとともに回転させるプーリー110が設けられている。
【0041】
また、第1の洗浄室102には、半導体基板10を擦るためのブラシ(洗浄用ブラシ)112が設けられている。洗浄用ブラシ112は、洗浄される半導体基板10が配置される箇所の両側に設けられている。洗浄用ブラシ112の材料としては、例えばPVA(ポリビニルアルコール)等の樹脂が用いられている。洗浄用ブラシ112は、回転可能なものである。洗浄用ブラシ112を半導体基板10に当接させるか否かは、任意に設定することが可能である。このため、洗浄用ブラシ112を半導体基板10に当接させながら半導体基板10を洗浄することも可能であるし、洗浄用ブラシ112を半導体基板10に当接させない状態で半導体基板10を洗浄することも可能である。
【0042】
また、第1の洗浄室102には、第1の洗浄液を吐出するためのノズル114が設けられている。かかるノズル114は、洗浄される半導体基板10が配置される箇所の両側にそれぞれ設けられている。ノズル114から吐出される第1の洗浄液は、半導体基板10の第1の主面側と第2の主面側にそれぞれ供給される。
【0043】
また、第1の洗浄室102には、純水を吐出するためのノズル116が設けられている。かかるノズル116は、洗浄される半導体基板10が配される箇所の両側にそれぞれ設けられている。ノズル116から吐出される純水は、半導体基板10の第1の主面側と第2の主面側にそれぞれ供給される。
【0044】
第2の洗浄室104には、半導体基板10を超音波洗浄法により洗浄する超音波洗浄機(図示せず)が設けられている。かかる超音波洗浄機の洗浄槽(図示せず)には、第2の洗浄液が貯留されている。かかる第2の洗浄液としては、例えば、アンモニアと過酸化水素と水とが混合されて成る薬液が用いられる。かかる薬液は、APM(Ammonia-Hydrogen Peroxide Mixture)液と称される。
【0045】
第3の洗浄室106には、第1の洗浄室106と同様に、半導体基板10を支持するとともに回転させるプーリー(図示せず)が設けられている。
【0046】
また、第3の洗浄室には、半導体基板10を擦るためのブラシ(洗浄用ブラシ)118が設けられている。洗浄用ブラシ118は、洗浄される半導体基板10が配置される箇所の両側に設けられている。洗浄用ブラシ118の材料としては、例えばPVA等の樹脂が用いられている。洗浄用ブラシ118は、回転可能なものである。洗浄用ブラシ118を半導体基板10に当接させるか否かは、任意に設定することが可能である。このため、洗浄用ブラシ118を半導体基板10に当接させながら半導体基板10を洗浄することも可能であるし、洗浄用ブラシ118を半導体基板10に当接させない状態で半導体基板10を洗浄することも可能である。
【0047】
また、第3の洗浄室106には、第3の洗浄液を吐出するためのノズル120が設けられている。かかるノズル120は、洗浄される半導体基板10が配置される箇所の両側にそれぞれ設けられている。ノズル120から吐出される第3の洗浄液は、半導体基板10の第1の主面側と第2の主面側にそれぞれ供給される。
【0048】
また、第3の洗浄室106には、純水を吐出するためのノズル122が設けられている。かかるノズル122も、洗浄される半導体基板10が配される箇所の両側にそれぞれ設けられている。ノズル122から吐出される純水は、半導体基板10の第1の主面側と第2の主面側にそれぞれ供給される。
【0049】
乾燥室108は、洗浄された半導体基板10を乾燥するためのものである。
【0050】
本実施形態では、上述したような洗浄部100を用い、以下のようにして半導体基板10を洗浄する。
【0051】
まず、化学的機械的研磨法による研磨が行われた半導体基板10を、第1の洗浄室102内に搬入する。第1の洗浄室102内に導入された半導体基板10は、プーリー108により支持される。
【0052】
次に、半導体基板10をプーリー108により回転させながら、第1の洗浄液を吐出するためのノズル114を介して、半導体基板10の第1の主面と第2の主面の両方に第1の洗浄液を供給する。第1の洗浄液としては、酸性の洗浄液を用いる。より具体的には、第1の洗浄液として、例えばフッ化水素酸(フッ酸)を含む薬液を用いる。第1の洗浄液中におけるフッ酸の濃度は、例えば0.5%とする。
【0053】
酸性の第1の洗浄液は、半導体基板10上に残存している金属酸化物(図示せず)やシリコン酸化物(図示せず)等を効果的に除去し得るものである。従って、酸性の第1の洗浄液を用いた洗浄においては、半導体基板10上に残存している金属酸化物やシリコン酸化物等が効果的に除去されることとなる。
【0054】
酸性の第1の洗浄液を用いて半導体基板10を洗浄する際には、洗浄用ブラシ112を半導体基板10に当接させない。本実施形態において、第1の洗浄液を用いて半導体基板10を洗浄する際に、洗浄用ブラシ112を半導体基板10に当接させないのは、以下のような理由によるものである。
【0055】
即ち、洗浄用ブラシ112の材料は、例えばPVA等の樹脂である。酸性の薬液中においては、PVAはプラスに帯電し、ポリシリコン膜14はマイナスに帯電する。このため、酸性の薬液である第1の洗浄液を用いて半導体基板10を洗浄している際に、洗浄用ブラシを半導体基板10に当接させた場合には、洗浄用ブラシ112の材料として用いられているPVA等がポリシリコン膜14の表面に大量に付着してしまうこととなる。PVA等から成る異物がポリシリコン膜14の表面に大量に付着すると、かかる異物を後工程において十分に除去することが困難となる。このような理由により、本実施形態では、第1の洗浄液を用いて半導体基板10を洗浄する際には、洗浄用ブラシ112を半導体基板10に当接させない。
【0056】
こうして、第1の洗浄液による洗浄、より具体的には、フッ酸を含む薬液による洗浄が行われる(ステップS10)。
【0057】
次に、半導体基板10をプーリー110により回転させながら、純水を吐出するためのノズル116を介して、半導体基板10の第1の主面と第2の主面の両方に純水を供給する。
【0058】
純水を用いて半導体基板10をリンスする際には、洗浄用ブラシ112を回転させながら、洗浄用ブラシ112を半導体基板10に当接させる。本実施形態において、純水を用いて半導体基板10をリンスする際に洗浄用ブラシ112を半導体基板10に当接させるのは、半導体基板10上に付着している第1の洗浄液を効果的に除去するためである。半導体基板10をリンスする際に洗浄用ブラシ112を用いた場合には、半導体基板10をリンスする際に洗浄用ブラシ112を用いない場合と比較して、ポリシリコン膜14の表面に最終的に残存する異物の数を約10分の1にまで減少させることが可能となる。
【0059】
こうして、純水によるリンスが行われる(ステップS11)。
【0060】
次に、半導体基板10を第1の洗浄室102から搬出し、第2の洗浄室104内に搬入する。第2の洗浄室104内には、超音波洗浄機が設けられている。
【0061】
次に、第2の洗浄液が貯留されている超音波洗浄機の洗浄槽内に、半導体基板10を浸漬する。これにより、第2の洗浄液を用いた超音波洗浄が半導体基板10に対して行われる。
【0062】
かかる第2の洗浄液としては、例えば、アンモニアと過酸化水素と水とが混合されて成る薬液(APM液)を用いる。第2の洗浄液におけるアンモニアと過酸化水素と水の混合比は、例えば1:1:5とする。超音波洗浄を行う時間は、例えば30秒とする。
【0063】
半導体基板10を超音波洗浄法により洗浄するのは、半導体基板10に付着している異物(パーティクル)を半導体基板10から遊離させるためである。かかる異物としては、例えば研磨パッドの材料より成る研磨屑等が挙げられる。
【0064】
こうして、第2の洗浄液を用いた超音波洗浄が行われる(ステップS12)
次に、半導体基板10を第2の洗浄室104から搬出し、第3の洗浄室106内に搬入する。第3の洗浄室106内に導入された半導体基板10は、プーリー(図示せず)により支持される。
【0065】
次に、半導体基板10をプーリーにより回転させながら、第3の洗浄液を吐出するためのノズル120を介して、半導体基板10の第1の主面と第2の主面の両方に第3の洗浄液を供給する。第3の洗浄液としては、例えば水酸化アンモニウムを含む薬液を用いる。より具体的には、第3の洗浄液として、例えば水酸化アンモニウム水溶液を用いる。第3の洗浄液中における水酸化アンモニウムの濃度は、例えば0.1%とする。
【0066】
アルカリ性の第3の洗浄液は、半導体基板10上に付着している異物(パーティクル)等を効果的に除去し得るものである。従って、第3の洗浄室におけるアルカリ性の第3の洗浄液を用いた洗浄においては、半導体基板10上に残存している異物等が効果的に除去されることとなる。
【0067】
第3の洗浄液を用いて半導体基板10を洗浄する際には、洗浄用ブラシ118を回転させながら、洗浄用ブラシを半導体基板10に当接させる。本実施形態において、第3の洗浄液を用いて半導体基板10を洗浄する際に洗浄用ブラシ118を半導体基板に当接させるのは、半導体基板10の表面に付着している異物を効果的に除去するためである。
【0068】
こうして、第3の洗浄液による洗浄、より具体的には、水酸化アンモニウムを含む薬液を用いた洗浄が行われる(ステップS13)。
【0069】
次に、半導体基板10をプーリーにより回転させながら、純水を吐出するためのノズル122を介して、半導体基板10の第1の主面と第2の主面の両方に純水を供給する。
【0070】
純水を用いて半導体基板10をリンスする際には、洗浄用ブラシ118を回転させながら、洗浄用ブラシ118を半導体基板10に当接させる。本実施形態において、純水を用いて半導体基板10をリンスする際に洗浄用ブラシ118を半導体基板10に当接させるのは、半導体基板10上に付着している第3の洗浄液を半導体基板10上から効果的に除去するためである。
【0071】
こうして、純水によるリンスが行われる(ステップS14)
次に、半導体基板10を第3の洗浄室106から搬出し、乾燥室108内に搬入する。洗浄された半導体基板10は、例えばIPA(イソプロピルアルコール)蒸気乾燥法を用いて乾燥させることが可能である。
【0072】
なお、半導体基板10の乾燥法は、IPA蒸気乾燥法に限定されるものではない。例えば、半導体基板10を、遠心乾燥装置等を用いて乾燥させてもよい。
【0073】
こうして、半導体基板10に対する乾燥が行われる(ステップS15)。
【0074】
次に、図2に示すように、ドライエッチングにより、ポリシリコン膜14をエッチング除去する。
【0075】
こうして、シリコン酸化膜20より成る素子分離領域21により素子領域22が画定される。
【0076】
この後、素子領域22上のシリコン酸化膜12がエッチング除去される(図示せず)。
【0077】
この後、素子領域22上にゲート電極とソース/ドレイン拡散層を有するトランジスタが形成される(図示せず)。
【0078】
こうして、本実施形態による半導体装置が製造される。
【0079】
(評価結果)
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法の評価結果について図5乃至図9を用いて説明する。図6は、評価に用いられた試料を示す断面図である。図7は、比較例による洗浄方法を示すフローチャート(その1)である。図8は、比較例による洗浄方法を示すフローチャート(その2)である。
【0080】
本実施形態による半導体装置の製造方法の評価は、以下のようにして行った。
【0081】
図6に示すように、シリコン基板10上にCVD法により膜厚150nmのポリシリコン膜14を形成することにより、試料24を作製した。
【0082】
次に、CMP法により、ポリシリコン膜14の表面を研磨した。研磨装置としては、アプライドマテリアル社製のCMP装置(製品名:MIRRA)を用いた。研磨パッドとしては、例えばローデルニッタ社製の研磨パッド(型番:IC1400)を用いた。研磨剤としては、酸化セリウムより成る研磨砥粒を含む研磨剤を用いた。かかる研磨剤のpHは、約5である。研磨条件は、以下のように設定した。研磨圧力は、20kPaとした。研磨剤の供給量は、0.05リットル/分とした。純水の供給量は、0.25リットル/分とした。研磨時間は、60秒間とした。研磨ヘッドの回転数は、102回転/分とした。研磨テーブルの回転数は、100回とした。
【0083】
次に、以下のようにして試料24を洗浄した。
【0084】
実施例1では、上述した本実施形態による洗浄方法と同様にして、試料を洗浄した(図4参照)。即ち、まず、フッ酸を含む酸性の薬液(第1の洗浄液)により洗浄を行い(ステップS10)、この後、純水によるリンスを行い(ステップS11)、この後、APM液(第2の洗浄液)を用いて超音波洗浄を行い(ステップS12)、この後、水酸化アンモニウムを含むアルカリ性の薬液(第3の洗浄液)により洗浄を行い(ステップS13)、この後、純水によるリンスを行い(ステップS14)、この後、乾燥を行った(ステップS15)。
【0085】
比較例1では、図7に示すように、まず、APM液(第2の薬液)を用いて超音波洗浄を行い(ステップS20)、この後、水酸化アンモニウムを含むアルカリ性の薬液(第3の洗浄液)により洗浄を行い(ステップS21)、この後、純水によるリンスを行い(ステップS22)、この後、フッ酸を含む酸性の薬液(第1の薬液)により洗浄を行い(ステップS23)、この後、純水によるリンスを行い(ステップS24)、この後、乾燥を行った(ステップS25)。
【0086】
比較例2では、図8に示すように、まず、APM液(第2の薬液)を用いて超音波洗浄を行い(ステップS30)、この後、フッ酸を含む酸性の薬液(第1の薬液)により洗浄を行い(ステップS31)、この後、純水によるリンスを行い(ステップS32)、この後、水酸化アンモニウムを含むアルカリ性の薬液(第3の洗浄液)により洗浄を行い(ステップS33)、この後、純水によるリンスを行い(ステップS34)、この後、乾燥を行った(ステップ35)。
【0087】
図9は、試料のポリシリコン膜の表面に残存した異物を示す図である。図9(a)は、顕微鏡写真を示しており、図9(b)はSEM(Scanning Electron Microscope、走査型電子顕微鏡)像を示している。
【0088】
図9に示すように、ポリシリコン膜14の表面には、異物26が付着していた。
【0089】
また、レーザ式のウェハ検査装置を用いて、ポリシリコン膜の表面に残存している異物26の数を測定した。かかるウェハ検査装置としては、KLA−Tencor社製のウェハ検査装置(製品名:AIT XP)を用いた。かかるウェハ検査装置は、0.1μm以上の大きさの異物を検出することが可能なウェハ検査装置である。
【0090】
比較例1では、検出された異物数は、数万個/cm以上であった。
【0091】
比較例2でも、検出された異物数は、数万個/cm以上であった。
【0092】
これに対し、実施例1では、検出された異物数は、0.11個/cm以上であった。
【0093】
このことから、本実施形態によれば、ポリシリコン膜14の表面から確実に異物を除去し得ることが分かる。
【0094】
また、フッ酸(第1の洗浄液)による洗浄(ステップS10)の直後に行われる純水によるリンス(ステップS11)の際に、洗浄用ブラシ112を用いてリンスを行った場合と、洗浄用ブラシ112を用いることなくリンスを行った場合について、ポリシリコン膜14の表面に最終的に残存する異物の数を測定した。かかる異物を測定する際には、レーザ式のウェハ検査装置を用いた。
【0095】
フッ酸(第1の洗浄液)による洗浄(ステップS10)の直後に行われる純水によるリンス(ステップS11)の際に、洗浄用ブラシ112を用いてリンスを行った場合には、洗浄用ブラシ112を用いることなくリンスを行った場合と比較して、ポリシリコン膜14の表面に最終的に残存する異物の数は、約10分の1となった。
【0096】
このように、本実施形態による半導体装置の製造方法は、酸性の薬液より成る第1の洗浄液を用いて半導体基板10を洗浄した後、第2の薬液を用いて超音波洗浄を行い、この後、アルカリ性の薬液より成る第3の洗浄液を用いて半導体基板10を洗浄することに特徴がある。
【0097】
酸性の薬液中においては、ポリシリコン膜14はマイナスに帯電し、異物26はプラスに帯電すると考えられる。このため、酸性の薬液を用いた洗浄においては、異物26がポリシリコン膜14に再付着しやすいと考えられる。また、酸性の薬液によりポリシリコン膜14は疎水性となるため、リンスを行っても異物26を十分に除去しきれないと考えられる。
【0098】
一方、アルカリ性の薬液中においては、ポリシリコン膜14と異物26とは同じ極性に帯電すると考えられる。このため、アルカリ性の薬液を用いた洗浄においては、異物26とポリシリコン膜14とが反発し合い、異物26がポリシリコン膜14に再付着しにくいと考えられる。また、アルカリ性の薬液によりポリシリコン膜14は親水性となるため、異物26が除去されやすいと考えられる。
【0099】
本実施形態によれば、アルカリ性の洗浄液を用いた洗浄を、半導体基板10の洗浄の最終段階で行うため、異物26の再付着を防止しつつ、異物26を効果的に除去することが可能となる。このため、本実施形態によれば、CMP法による研磨により半導体基板10上にポリシリコン膜14が表出する場合であっても、半導体基板10上から異物を確実に除去することができ、信頼性及び製造歩留まりの高い半導体装置を提供することが可能となる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による半導体装置の製造方法を図10及び図11を用いて説明する。図10及び図11は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。図1乃至図8に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0100】
本実施形態による半導体装置の製造方法は、トレンチ18内に熱酸化膜28を形成する工程を更に有し、かかる熱酸化膜28を研磨ストッパ膜としてシリコン酸化膜20を研磨することに特徴がある。
【0101】
まず、半導体基板10上にシリコン酸化膜12を形成する工程から、半導体基板10内にトレンチ18を形成するまでの工程は、図1(a)を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので、説明を省略する。
【0102】
次に、図10(a)に示すように、熱酸化法により、トレンチ18内にシリコン酸化膜(熱酸化膜)28を形成する。かかる熱酸化膜28の膜厚は、例えば5nmとする。かかる熱酸化膜28は、トレンチ18の側面及び底面に形成される。この際、ポリシリコン膜14の表面も酸化されることとなる。このため、ポリシリコン膜14の上面及び側面には、ポリシリコン膜14が熱酸化されて成るシリコン酸化膜(熱酸化膜)28が形成される。
【0103】
次に、図1(b)を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、全面に、例えば高密度プラズマCVD法により、シリコン酸化膜(埋め込み酸化膜)20を形成する(図10(b)参照)。
【0104】
次に、図10(c)に示すように、CMP法により、熱酸化膜28が露出するまで、シリコン酸化膜20を研磨する。ポリシリコン膜14の表面に形成された熱酸化膜28と、CVD法により形成されたシリコン酸化膜20とは研磨速度が異なるため、ポリシリコン膜14の表面に存在する熱酸化膜28が研磨ストッパ膜として機能する。
【0105】
ポリシリコン膜14の表面に形成される熱酸化膜28は極めて薄いため、シリコン酸化膜20に対する研磨が終了した際には、ポリシリコン膜14の表面の少なくとも一部が熱酸化膜28から露出した状態となる。
【0106】
また、ポリシリコン膜14の表面に存在する熱酸化膜28は極めて薄いため、シリコン酸化膜20に対する研磨が終了した際には、ポリシリコン膜14上の熱酸化膜28の全部が研磨除去される場合もあり得る。この場合には、ポリシリコン膜14が研磨ストッパ膜として機能することとなる。
【0107】
シリコン酸化膜20の研磨は、例えば以下のようにして行う。研磨装置としては、例えばアプライドマテリアル社製のCMP装置(製品名:MIRRA)を用いる。シリコン酸化膜20を研磨する際には、研磨ヘッドにより半導体基板10を回転させながら、シリコン酸化膜20の表面を研磨パッドの表面に押し付ける。シリコン酸化膜20を研磨する際には、研磨パッド上に研磨剤と純水とを供給する。また、シリコン酸化膜20を研磨する際には、研磨テーブルについても回転させる。
【0108】
シリコン酸化膜20を研磨する際の研磨条件は、例えば以下の通りとする。
【0109】
研磨剤としては、例えば、酸化セリウムより成る研磨砥粒を含む研磨剤を用いる。かかる研磨剤のpHは、例えば5程度である。研磨剤の供給量は、例えば0.05リットル/分とする。純水の供給量は、例えば0.25リットル/分とする。研磨パッドとしては、例えばローデルニッタ社製の研磨パッド(型番:IC1400)を用いる。研磨圧力は、例えば20kPaとする。研磨ヘッドの回転数は、例えば102回転/分とする。研磨テーブルの回転数は、例えば100回転/分とする。
【0110】
こうして、シリコン酸化膜20が研磨されることとなる。
【0111】
次に、図3乃至図5を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、半導体基板10を洗浄する。
【0112】
次に、図3及び図5を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、半導体基板10を乾燥させる。
【0113】
次に、ドライエッチングにより、熱酸化膜28及びポリシリコン膜14をエッチング除去する。
【0114】
こうして、シリコン酸化膜20より成る素子分離領域21により素子領域22が画定される。
【0115】
この後、素子領域22上のシリコン酸化膜12がエッチング除去される(図示せず)。
【0116】
この後、素子領域22上にゲート電極とソース/ドレイン拡散層を有するトランジスタが形成される(図示せず)。
【0117】
こうして、本実施形態による半導体装置が製造される。
【0118】
(評価結果)
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法の評価結果について用いて説明する。
【0119】
本実施形態による半導体装置の評価は、以下のようにして行った。
【0120】
まず、以下のようにして、試料を作製した。即ち、まず、シリコン基板上にCVD法により膜厚100nmのポリシリコン膜を形成した。次に、熱酸化法により、ポリシリコン膜の表面に膜厚5nmの熱酸化膜を形成した。成膜室内の雰囲気は、水蒸気より成る雰囲気とした。基板温度は、750℃とした。次に、高密度プラズマCVD法により、膜厚70nmのシリコン酸化膜を形成した。こうして、試料を作製した。
【0121】
次に、CMP法により、熱酸化膜の表面が露出するまで、シリコン酸化膜を研磨した。研磨装置としては、アプライドマテリアル社製のCMP装置(製品名:MIRRA)を用いた。研磨パッドとしては、例えばローデルニッタ社製の研磨パッド(型番:IC1400)を用いた。研磨剤としては、酸化セリウムより成る研磨砥粒を含む研磨剤を用いた。かかる研磨剤のpHは、約5である。研磨条件は、以下のように設定した。研磨圧力は、20kPaとした。研磨剤の供給量は、0.05リットル/分とした。純水の供給量は、0.25リットル/分とした。研磨時間は、60秒間とした。研磨ヘッドの回転数は、102回転/分とした。研磨テーブルの回転数は、100回とした。
【0122】
次に、以下のようにして試料を洗浄した。
【0123】
実施例2は、本実施形態による半導体装置の製造方法に対応するものであり、上述した第1実施形態による洗浄方法と同様にして、試料を洗浄した(図参照)。即ち、まず、フッ酸を含む酸性の薬液(第1の洗浄液)により洗浄を行い(ステップS10)、この後、純水によるリンスを行い(ステップS11)、この後、APM液(第2の洗浄液)を用いて超音波洗浄を行い(ステップS12)、この後、水酸化アンモニウムを含むアルカリ性の薬液(第3の洗浄液)により洗浄を行い(ステップS13)、この後、純水によるリンスを行い(ステップS14)、この後、乾燥を行った(ステップS15)。
【0124】
比較例3では、図7を用いて上述した洗浄方法と同様の洗浄方法により、半導体基板10を洗浄した。即ち、APM液(第2の薬液)を用いて超音波洗浄を行い(ステップS20)、この後、水酸化アンモニウムを含むアルカリ性の薬液(第3の洗浄液)により洗浄を行い(ステップS21)、この後、純水によるリンスを行い(ステップS22)、この後、フッ酸を含む酸性の薬液(第1の薬液)により洗浄を行い(ステップS23)、この後、純水によるリンスを行い(ステップS24)、この後、乾燥を行った(ステップS25)。
【0125】
比較例4では、図8を用いて上述した洗浄方法と同様の洗浄方法により、半導体基板10を洗浄した。即ち、まず、APM液(第2の薬液)を用いて超音波洗浄を行い(ステップS30)、この後、フッ酸を含む酸性の薬液(第1の薬液)により洗浄を行い(ステップS31)、この後、純水によるリンスを行い(ステップS32)、この後、水酸化アンモニウムを含むアルカリ性の薬液(第3の洗浄液)により洗浄を行い(ステップS33)、この後、純水によるリンスを行い(ステップS34)、この後、乾燥を行った(ステップ35)。
【0126】
また、レーザ式のウェハ検査装置を用いて、ポリシリコン膜の表面に残存している異物を測定した。かかるウェハ検査装置としては、日立ハイテクノロジー社製のウェハ検査装置(製品名:LS6800)を用いた。かかるウェハ検査装置は、0.1μm以上の大きさの異物を検出可能である。
【0127】
比較例3では、検出された異物数は、数万個/cm以上であった。
【0128】
比較例4でも、検出された異物数は、数万個/cm以上であった。
【0129】
実施例2では、検出された異物数は、0.29個/cm以上であった。
【0130】
なお、実施例2において検出された異物数が、上述した実施例1において検出された異物数より多くなっているのは、実施例2において用いられたウェハ検査装置は、実施例1において用いられたウェハ検査装置より、検出感度が高いためである。
【0131】
このように、本実施形態の場合にも、異物を確実に除去し得ることが分かる。
【0132】
また、フッ酸(第1の洗浄液)による洗浄の直後に行われる純水によるリンスの際に、洗浄用ブラシ112を用いてリンスを行った場合と、洗浄用ブラシ112を用いることなくリンスを行った場合について、ポリシリコン膜14の表面に最終的に残存する異物26の数を測定した。かかる異物26を測定する際には、レーザ式のウェハ検査装置を用いた。
【0133】
フッ酸による洗浄の直後に行われる純水によるリンスの際に、洗浄用ブラシ112を用いてリンスを行った場合には、洗浄用ブラシ112を用いることなくリンスを行った場合と比較して、ポリシリコン膜14の表面に最終的に残存する異物の数は、約10分の1となった。
【0134】
本実施形態では、ポリシリコン膜14の表面の少なくとも一部が熱酸化膜28から露出した状態となり得る。このため、本実施形態においても、ポリシリコン膜14が表出している半導体基板10に対して洗浄を行うこととなる。本実施形態においても、アルカリ性の洗浄液を用いた洗浄を、半導体基板10の洗浄の最終段階で行うため、異物の再付着を防止しつつ、異物を効果的に除去することが可能となる。このため、本実施形態によっても、信頼性及び製造歩留まりの高い半導体装置を提供することが可能となる。
【0135】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による半導体装置の製造方法を図12乃至図15を用いて説明する。図12乃至図15は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。図1乃至図12に示す第1又は第2実施形態による半導体装置の製造方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0136】
本実施形態による半導体装置の製造方法は、導体プラグの材料としてポリシリコン膜を用いることに特徴がある。
【0137】
まず、図12(a)に示すように、例えばシリコンより成る半導体基板10に、素子領域を画定する素子分離領域21を形成する。素子分離領域21は、例えばSTI法により形成することができる。
【0138】
次に、全面に、膜厚3nmのゲート絶縁膜30を形成する。ゲート絶縁膜30は、例えば熱酸化法により形成することできる。
【0139】
次に、全面に、膜厚100nmのポリシリコン膜32を形成する。この後、フォトリソグラフィ技術を用い、ポリシリコン膜32をゲート電極の形状にパターニングする。ポリシリコン膜をパターニングする際には、例えば異方性のドライエッチングを用いる。こうして、ポリシリコンより成るゲート電極32が形成される(図12(b)参照)。
【0140】
次に、例えばイオン注入法により、ゲート電極32をマスクとして、ゲート電極32の両側の半導体基板10内にドーパント不純物を導入する。こうして、ゲート電極32の両側の半導体基板10内に、エクステンションソース/ドレイン構造の浅い領域を構成する不純物拡散領域34、即ちエクステンション領域34が形成される。
【0141】
次に、全面に、例えばCVD法により、膜厚50nmのシリコン酸化膜を形成する。
【0142】
次に、シリコン酸化膜を異方性エッチングする。こうして、ゲート電極32の側壁部分に、シリコン酸化膜から成るサイドウォール絶縁膜36が形成される。
【0143】
次に、例えばイオン注入法により、ゲート電極32及びサイドウォール絶縁膜36をマスクとして、半導体基板10内にドーパント不純物を導入する。こうして、側壁部分にサイドウォール絶縁膜36が形成されたゲート電極32の両側の半導体基板10内に、エクステンションソース/ドレイン構造の深い領域を構成する不純物拡散領域38が形成される。浅い不純物拡散領域34と深い不純物拡散領域38とにより、エクステンションソース/ドレイン構造のソース/ドレイン拡散層40が構成される。
【0144】
次に、例えばRTA(Rapid Thermal Annealing)法により、ソース/ドレイン拡散層40に導入されたドーパント不純物を活性化するための熱処理を行う。
【0145】
こうして、ゲート電極32とソース/ドレイン拡散層40とを有するトランジスタ42が形成される。
【0146】
次に、図13(c)に示すように、全面に、例えばCVD法により、例えばシリコン酸化膜より成る層間絶縁膜44を形成する。層間絶縁膜44の膜厚は、例えば600nmとする。
【0147】
次に、図14(a)に示すように、フォトリソグラフィ技術を用い、層間絶縁膜44に、ソース/ドレイン拡散層40に達するコンタクトホール(開口部)46を形成する。
【0148】
次に、図14(b)に示すように、全面に、例えばCVD法により、ポリシリコン膜を形成する。ポリシリコン膜48の膜厚は、例えば800nmとする。かかるポリシリコン膜48は、被研磨膜となるものである。
【0149】
次に、例えばCMP法により、層間絶縁膜44の表面が露出するまでポリシリコン膜48を研磨する。これにより、ポリシリコン膜より成る導体プラグ48がコンタクトホール46内に埋め込まれる。
【0150】
ポリシリコン膜48の研磨は、例えば以下のようにして行う。
【0151】
研磨装置としては、例えばアプライドマテリアル社製のCMP装置(製品名:MIRRA)を用いる。ポリシリコン膜48を研磨する際には、研磨ヘッドにより半導体基板10を回転させながら、ポリシリコン膜48の表面を研磨パッドの表面に押し付ける。ポリシリコン膜48を研磨する際には、研磨パッド上に研磨剤を供給する。また、ポリシリコン膜48を研磨する際には、研磨テーブルについても回転させる。
【0152】
ポリシリコン膜48を研磨する際の研磨条件は、例えば以下の通りとする。
【0153】
研磨剤としては、例えば、酸化シリコンより成る研磨砥粒を含む研磨剤を用いる。かかる研磨剤のpHは、例えば10程度である。研磨剤の供給量は、例えば0.1リットル/分とする。研磨パッドとしては、例えばローデルニッタ社製の研磨パッド(型番:IC1510)を用いる。研磨圧力は、例えば21kPaとする。研磨ヘッドの回転数は、例えば102回転/分とする。研磨テーブルの回転数は、例えば100回転/分とする。
【0154】
こうして、コンタクトホール46内にポリシリコン膜より成る導体プラグ48が埋め込まれる。
【0155】
次に、図3乃至図5を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、半導体基板10を洗浄する。
【0156】
次に、図3及び図5を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、半導体基板10を乾燥させる。
【0157】
こうして、本実施形態による半導体装置が製造される。
【0158】
このように、ポリシリコン膜より成る導体プラグ48をコンタクトホール内に埋め込む場合にも、ポリシリコン膜48が半導体基板10上に表出する。本実施形態においても、アルカリ性の洗浄液を用いた洗浄を、半導体基板10の洗浄の最終段階で行うため、異物26の再付着を防止しつつ、異物を効果的に除去することが可能となる。このため、本実施形態によっても、信頼性及び製造歩留まりの高い半導体装置を提供することが可能となる。
【0159】
[変形実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0160】
例えば、上記実施形態では、超音波洗浄を行う際に第2の洗浄液としてAPM液を用いる場合を例に説明したが、第2の洗浄液はAPM液に限定されるものではない。アルカリ性の薬液を第2の洗浄液として適宜用いることができる。例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH、tetramethyl ammonium hydroxide)等を第2の洗浄液として用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】本発明の第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図2】本発明の第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図3】洗浄部を示す概略図である。
【図4】第1の洗浄室の一部を示す概略図である。
【図5】本発明の第1実施形態による半導体基板の洗浄方法を示すフローチャートである。
【図6】評価に用いられた試料を示す断面図である。
【図7】比較例による洗浄方法を示すフローチャート(その1)である。
【図8】比較例による洗浄方法を示すフローチャート(その2)である。
【図9】試料のポリシリコン膜の表面に残存した異物を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図11】本発明の第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図12】本発明の第3実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図13】本発明の第3実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図14】本発明の第3実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図15】本発明の第3実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その4)である。
【図16】従来の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【符号の説明】
【0162】
10…半導体基板
12…シリコン酸化膜
14…ポリシリコン膜
15…積層膜
16…開口部
18…トレンチ
20…シリコン酸化膜
21…素子分離領域
22…素子領域
24…試料
26…異物
28…熱酸化膜
30…ゲート絶縁膜
32…ゲート電極
34…不純物拡散領域、エクステンション領域
36…サイドウォール絶縁膜
38…不純物拡散領域
40…ソース/ドレイン拡散層
42…トランジスタ
44…層間絶縁膜
46…コンタクトホール
48…ポリシリコン膜、導体プラグ
100…洗浄部
102…第1の洗浄室
104…第2の洗浄室
106…第3の洗浄室
108…乾燥室
110…プーリー
112…洗浄用ブラシ
114…ノズル
116…ノズル
118…洗浄用ブラシ
120…ノズル
122…ノズル
210…半導体基板
212…シリコン酸化膜
214…ポリシリコン膜
215…積層膜
216…開口部
218…トレンチ
220…シリコン酸化膜
221…素子分離領域
222…素子領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学的機械的研磨法により研磨を行う工程であって、半導体基板上にポリシリコン膜が表出した状態になる工程と;前記半導体基板を洗浄する工程とを有する半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板を洗浄する工程は、酸性の第1の洗浄液を用いて洗浄を行う第1の工程と;前記第1の工程の後に、第2の洗浄液を用いて超音波洗浄を行う第2の工程と;前記第2の工程の後に、アルカリ性の第3の洗浄液を用いて洗浄を行う第3の工程とを有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記化学的機械的研磨法により研磨を行う工程の前に、前記半導体基板上にポリシリコン膜を形成する工程と;前記ポリシリコン膜及び前記半導体基板をエッチングすることにより、前記半導体基板に溝を形成する工程と;前記溝内及び前記ポリシリコン膜上に絶縁膜を形成する工程とを有し、
前記化学的機械的研磨法により研磨を行う工程では、前記ポリシリコン膜の表面が露出するまで前記絶縁膜を研磨することにより、前記絶縁膜より成る素子分離領域を前記溝内に埋め込む
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記化学的機械的研磨法により研磨を行う工程の前に、前記半導体基板上に絶縁膜を形成する工程と;前記絶縁膜に開口部を形成する工程と;前記開口部内及び前記絶縁膜上に前記ポリシリコン膜を形成する工程とを有し、
前記化学的機械的研磨法により研磨を行う工程では、前記絶縁膜の表面が露出するまで前記ポリシリコン膜を研磨することにより、前記開口部内に前記ポリシリコン膜より成る導体プラグを埋め込む
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
半導体基板上にポリシリコン膜を形成する工程と;前記ポリシリコン膜及び前記半導体基板をエッチングすることにより、前記半導体基板に溝を形成する工程と;前記溝の内面及び前記ポリシリコン膜の表面に、熱酸化法により熱酸化膜を形成する工程と;前記溝内及び前記ポリシリコン膜上に絶縁膜を形成する工程と;前記熱酸化膜の表面が露出するまで前記絶縁膜を化学的機械的研磨法により研磨することにより、前記絶縁膜より成る素子分離領域を前記溝内に埋め込む工程と;前記半導体基板を洗浄する工程とを有する半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板を洗浄する工程は、酸性の第1の洗浄液を用いて洗浄を行う第1の工程と;前記第1の工程の後に、第2の洗浄液を用いて超音波洗浄を行う第2の工程と;前記第2の工程の後に、アルカリ性の第3の洗浄液を用いて洗浄を行う第3の工程とを有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の工程は、洗浄用ブラシを用いることなく、前記第1の洗浄液により前記半導体基板を洗浄する工程と;前記洗浄用ブラシを用いつつ、純水により前記半導体基板をリンスする工程とを有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の洗浄液は、フッ酸を含む
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第3の洗浄液は、水酸化アンモニウムを含む
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の洗浄液は、アンモニアと過酸化水素と水とが混合されて成る薬液である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−206141(P2009−206141A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44344(P2008−44344)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】