説明

半導体装置の製造方法

【課題】デュアルメタルゲート構造を有する半導体装置において、ゲート電極除去する工程において、ゲート絶縁膜に与える損傷を抑える。
【解決手段】 第1のトランジスタと第2のトランジスタとを備える半導体装置において、第1のトランジスタは、第1の仕事関数を有する第1の材料からなる第1のゲート電極と、第1のゲート絶縁膜とを含む。また、第2のトランジスタは、第2の仕事関数を有する第2の材料からなる第2のゲート電極と、第2のゲート絶縁膜とを含む。ここで、第1のゲート絶縁膜は、高誘電率膜と、第1の高誘電率膜上に形成された第1の絶縁膜とを含むものとする。第2のゲート絶縁膜においては、高誘電率膜上部に形成した第1の絶縁膜を、第1のゲート電極を除去した後に除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置の製造方法に関する。更に、具体的には、仕事関数の異なる材料で形成された複数のゲート電極を含むデュアルメタルゲート構造を有する半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の微細化、高集積化に伴い、ゲート絶縁膜においても、その薄膜化が進められている。しかし、ゲート絶縁膜の薄膜化が進むと、ゲート電極の空乏化が無視できない問題となる。従って、この対策として、ゲート電極に金属を用いたメタルゲート電極のMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)が注目されている。
【0003】
一方、半導体装置の多機能化、高集積化に伴い、1の半導体に、n型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor:以下、nMISとする)とp型MISFET(以下、pMISとする)の両方が搭載されたCMIS(Complementary MIS)が用いられている。このCMISにおいては、微細化に伴う、閾値電圧の低下(ロールオフ)が著しくなっている。このため、nMISのゲート電極をn型とし、pMISのゲート電極をp型とする、デュアルゲート構造が用いられるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
例えば、ゲート電極材料としてPoly−Siを用いる場合には、nMISのゲート電極に、n型の不純物を、pMISのゲート電極にp型の不純物を、イオン注入することで、容易にデュアルゲート構造を形成することができる。
【0005】
また、ゲート電極として、メタルゲートを用いる場合には、nMISと、pMISとで異なった金属材料を用いたゲート電極を、個別に形成する必要がある。例えば、ゲート電極として用いる材料としては、nMISのゲート電極においては、4.6eV以下、望ましくは、4.3eV以下の仕事関数を有するものがよく、pMISにおいては、4.6eV以上、望ましくは、4.9eV以上の仕事関数を有するものが適切である。
【0006】
【特許文献1】特開2003−258121号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、nMISとpMISとで、異なる金属を用いたデュアルメタルゲートを形成する場合、例えば、nMISのゲート電極用の材料を用いて、nMIS、pMIS用の両領域にゲート電極を形成した後、pMIS領域からこのゲート電極を除去する工程が必要となる。このように、不要なゲート電極を除去する際、下地となるゲート絶縁膜にダメージが入る。従って、界面準位によりトランジスタの移動度が低下し、トランジスタの性能を低下させることが考えられる。
【0008】
従って、この発明は、上述の問題を解決し、ゲート絶縁膜のダメージを抑えたデュアルメタルゲートを有する半導体装置の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、半導体装置の製造方法であって、
半導体基板表面に、ダミーゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ダミーゲート絶縁膜上に、ダミーゲート電極に用いられる材料膜を形成する工程と、
前記材料膜上に、マスクを形成する工程と、
前記マスクを用いて前記材料膜を加工して、ダミーゲート電極を形成する工程と、
前記ダミーゲート電極の形成後、前記半導体基板表面を覆うように絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜を、前記マスクが露出するように研磨する工程と、
前記絶縁膜の研磨後、前記ダミーゲート電極および前記ダミーゲート絶縁膜を除去して、底部に前記半導体基板表面が露出するゲート溝を形成する工程と、
前記ゲート溝の形成後、前記ゲート溝底部に露出する半導体基板上に、シリコン酸化膜を形成する工程と、
前記シリコン酸化膜の形成後、前記ゲート溝内にハフニウム絶縁膜を形成する工程と、
前記ハフニウム絶縁膜の形成後、前記ゲート溝内にゲート電極を形成する工程と、
を備えるものである。
【0010】
第2の発明は、半導体装置の製造方法であって、
半導体基板表面に、ダミーゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ダミーゲート絶縁膜上に、ダミーゲート電極に用いられる材料膜を形成する工程と、
前記材料膜上に、マスクを形成する工程と、
前記マスクを用いて、前記材料膜を加工して、ダミーゲート電極を形成する工程と、
前記ダミーゲート電極の側面を覆うSiN膜からなるスペーサを形成する工程と、
前記スペーサの形成後、前記半導体基板にイオン注入を行い、ソース若しくはドレイン領域を形成する工程と、
前記イオン注入の後、前記半導体基板を覆う絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜を研磨し、前記マスクを露出させる工程と、
前記マスクの露出後、前記材料膜および前記ダミーゲート絶縁膜を除去して、底部に前記半導体基板が露出し、側面に前記スペーサが露出するゲート溝を形成する工程と、
前記ゲート溝の形成後、前記ゲート溝底部に露出する半導体基板上に、シリコン酸化膜を形成する工程と、
前記シリコン酸化膜の形成後、前記ゲート溝の側面および前記シリコン酸化膜を覆うようにハフニウム絶縁膜を形成する工程と、
前記ハフニウム絶縁膜の形成後、前記ゲート溝内にゲート電極を形成する工程と、
を備えるものである。
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記ハフニウム絶縁膜は、少なくとも酸素とハフニウムを含有するものである。
【0012】
第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明において、前記ハフニウム絶縁膜は、前記シリコン酸化膜よりも厚いものである。
【0013】
第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明において、前記ハフニウム絶縁膜は、MOCVD法で形成され、前記シリコン酸化膜は熱酸化により形成されるものである。
【0014】
第6の発明は、第1から第5のいずれかの発明において、前記マスクが、SiOであるものである。
【0015】
第7の発明は、第1から第6のいずれかの発明において、
前記ダミーゲート電極の形成後、前記ダミーゲート電極の側壁に、SiOを形成する工程を、更に備えるものである。
【発明の効果】
【0016】
この発明においては、第1の仕事関数を有する第1のゲート電極と、高誘電率膜との間に、第1の絶縁膜が形成されている。また、第2の仕事関数を有する第2のゲート電極の直下には、高誘電率膜が形成されているか、あるいは、第1の絶縁膜より薄い第2の絶縁膜が形成されている。即ち、ここで、第2のゲート電極直下のゲート絶縁膜は、高誘電率膜か、あるいは、第1のゲート電極除去後に、新たに形成した、第2の絶縁膜となっている。従って、第1のゲート電極の不要部分を除去する際にダメージを受けたゲート絶縁膜を一度除去することができるため、ゲート絶縁膜のダメージを抑えて、信頼性の高いデュアルゲート構造を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、同一または相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化ないし省略する。
また、以下の実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及する場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に限定されるものではない。また、実施の形態において説明する構造や、方法におけるステップ等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
【0018】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1における半導体装置を説明するための断面模式図である。
図1に示すように、実施の形態1における半導体装置100は、nMISとpMISとを有するCMISであり、デュアルメタルゲート構造を有する。以下、具体的に半導体装置100の構造について説明する。尚、以下この明細書において、簡略化のため、nMISを形成する領域をnMIS領域と称し、pMISを形成する領域をpMIS領域と称するものとする。
【0019】
図1に示す断面において、基板102には、STI(Shallow Trench Isolation)104が形成され、nMIS領域とpMIS領域とに区分されている。nMIS領域、pMIS領域のそれぞれには、n型、p型のエクステンション106a、106bが形成されている。エクステンション106a、106bは、比較的低濃度で接合の浅い不純物拡散層である。また、各エクステンション106a、106bの下側を囲むように、ポケット108が形成されている。また、各エクステンション106a、106bの両側には、それぞれ、n型、p型のソース/ドレイン110a、110bが形成されている。ソース/ドレイン110a、110bは、比較的高濃度で接合の深い不純物拡散層である。
【0020】
nMIS領域において、基板102のエクステンション106aに挟まれたチャネル部分上には、ゲート絶縁膜112aが形成されている。ゲート絶縁膜112aは、基板102直上のSiO膜114a、その上に形成されたHfSiO膜116a、更に、その上に、SiN膜118aが積層されて構成されている。SiO膜114aの膜厚は、約0.8nmであり、HfSiO膜116aの膜厚は、約2nmであり、SiN膜118aの膜厚は、約0.5nmである。
【0021】
pMIS領域において、基板102のエクステンション106bに挟まれたチャネル部分上には、ゲート絶縁膜112bが形成されている。ゲート絶縁膜112bは、基板2直上のSiO膜114b、その上に形成されたHfSiO膜116bが積層されて構成されている。SiO膜114bの膜厚は、約0.8nmであり、HfSiO膜116bの膜厚は、約2nmである。pMIS領域のゲート絶縁膜112bは、HfSiO膜116bが最上層であり、HfSiO膜116b上部にSiN膜が形成されていない点で、nMIS領域のゲート絶縁膜112aとは異なっている。
【0022】
nMIS領域において、ゲート絶縁膜112a上には、ゲート電極120aが形成されている。ゲート電極120aは、Poly−Siゲートであり、As及びHfが拡散されている。ゲート電極120aのその仕事関数は、約4.1eVである。一方、pMIS領域において、ゲート絶縁膜112b上には、ゲート電極122bが形成されている。ゲート電極122bは、Wからなるメタルゲート電極であり、その仕事関数は、4.7〜4.9eV程度である。
【0023】
nMIS領域のゲート電極120a、及び、nチャネル、pチャネルの各領域におけるソース/ドレイン110a、110b表面には、自己整合的に形成された、NiSi膜124、126が形成されている。
【0024】
また、nMIS、pMIS各領域において、ゲート絶縁膜112a、112b、ゲート電極120a、122bの側面には、スペーサ128が形成されている。スペーサ128は、ゲート電極120a、122b側面に接するSiO膜130と、SiO膜130に接するSiN膜132とで構成されている。
【0025】
スペーサ128の両側には、スペーサ134が形成されている。スペーサ134は、スペーサ128に接する部分に形成された、SiO膜136と、その外側に形成された、SiN膜138と、更に、その側面に形成されたSiO膜140とで構成されている。
【0026】
ゲート電極120a、122b、及び、スペーサ128、スペーサ134を埋め込むようにして、SiN膜142及びSiO膜144が形成されている。また、このSiN膜142、SiO膜144を貫通して、ソース/ドレイン110a、110bに接続するコンタクトプラグ146が形成されている。また、SiO膜144上には、更に層間絶縁膜148が形成され、層間絶縁膜148には、コンタクトプラグ146と接続するCu配線150が形成されている。
【0027】
図2は、この発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法について説明するためのフロー図である。また、図3〜図11は、半導体装置100の各製造工程における状態を説明するための断面模式図である。
以下、図1〜図11を参照して、この発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法について、具体的に説明する。
【0028】
まず、図3に示すように、基板102に、ST1I04を形成した後、STI104により分離されたnMIS領域、pMIS領域のそれぞれに、B(ボロン)イオン、P(リン)を注入し、pWELL152a、nWELL152bを形成する(ステップS102)。
【0029】
次に、熱酸化により、SiO膜114を形成する(ステップS104)。SiO膜114の膜厚は、約0.8nmとする。その後、SiO膜114上に、HfSiO膜116を形成する(ステップS106)。HfSiO膜116は、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition;有機金属気相成長)により、膜厚約2nmに形成する。その後、HfSiO膜116上に、SiN膜118を形成する(ステップS108)。SiN膜118は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、膜厚0.5nm程度に形成する。
次に、SiN膜118上に、Poly−Si膜120を形成する(ステップS110)。Poly−Si膜120は、CVD法により、膜厚120nm程度に形成する。
【0030】
次に、図4に示すように、Poly−Si膜120上に、エッチング用のハードマスク156を形成する(ステップS112)。ここでは、まず、膜厚約30nmのSiO膜を形成する。その後、リソグラフィ技術を用いて、SiO膜上の、ゲート電極120a、122bを形成する部分に、レジストマスクを形成し、これをマスクとして、SiO膜のエッチングを行うことにより、SiO膜からなるハードマスク156が形成される。
【0031】
次に、Poly−Si膜120をパターニングし、ゲート電極120a、120bを形成する(ステップS114)。ここでは、ハードマスク156をマスクとして、Poly−Si膜120をエッチングすることにより、所望のゲート電極のパターンに加工する。
【0032】
次に、図5に示すように、pMIS領域側の、ゲート電極(Poly−Si膜)120b及びハードマスク156を除去する(ステップS116)。ゲート電極120b除去の際には、nMIS領域側を覆うようにレジストマスクを形成したのち、エッチングにより、pMIS領域側のゲート電極120bのみを除去する。
【0033】
pMIS領域側のゲート電極除去の際に、SiN膜118が損傷を受ける。従って、図5に示すように、ゲート電極120b除去後、nMIS領域側のゲート電極120a直下のSiN膜118aのみを残して、他の部分のSiN膜118をウェットエッチングにより除去する(ステップS118)。このとき、SiN膜118は、ウェットエッチングにより、選択的に、下層のHfSiO膜116に損傷を与えずに除去することができる。
【0034】
次に、W膜を形成する(ステップS120)。W膜は、CVD法により、基板全面に形成する。その後、W膜上に、ハードマスク158を形成する(ステップS122)。ハードマスク158は、上述と同様に、SiO膜を形成した後、リソグラフィ技術により、ゲート電極122bを形成する位置に、レジストマスクを形成し、これをマスクとしてSiO膜をエッチングすることにより、所望のパターンに形成する。
【0035】
次に、図6に示すように、ハードマスク158をマスクとして、W膜をエッチングすることにより、ゲート電極122bを形成する(ステップS124)。
【0036】
次に、図7に示すように、ウェットエッチングにより、ハードマスク156、158を除去し(ステップS126)、続けて、ゲート電極120a、122bの覆われている部分以外の部分のHfSiO膜116、SiO膜114を除去する(ステップS128)。
【0037】
次に、SiO膜130を形成する(ステップS130)。SiO膜130は、CVD法により、全面に約2nmに形成する。その後、全面に、SiN膜132を形成した後、エッチバックを行うことにより、図8に示すように、ゲート電極120a、122b、及び、ゲート絶縁膜112a、112b側面に、スペーサ128を形成する(ステップS134)。
【0038】
次に、図9に示すように、各エクステンション106a、106b及びポケット108を形成する(ステップS136)。ここでは、まず、pMIS領域をレジストで覆い、nMIS領域のゲート電極120a及びスペーサ128をマスクとして、Asイオンを注入し、その後、Bイオンを注入する。これにより、nMIS領域側に、エクステンション106aとポケット108とが形成される。同様に、nMIS領域側を覆うマスクを形成し、pMIS領域のゲート電極122b及びスペーサ128をマスクとして、Bイオンを注入してエクステンション106bを形成し、Asイオンを注入して、ポケット108を形成する。
【0039】
次に、図10に示すように、nMIS領域、pMIS領域のゲート電極120a、122bの側面に形成されたスペーサ128の側面に接するようにスペーサ134を形成する(ステップS138)。ここでは、まず、ゲート電極120a、122b、及び、スペーサ128を含む基板全面に、SiO膜136、SiN膜138、SiO膜140を順に堆積する。その後、SiO膜140及びSiN膜138のエッチバックを順に行い、更に、SiO膜136のウエットエッチングを行う。これにより、ゲート電極120a、122b側面のスペーサ128側部にのみ、スペーサ134が形成される。
【0040】
その後、図11に示すように、nMIS領域、pMIS領域のそれぞれに、ソース/ドレイン110a、110bを形成する(ステップS140)。ここでは、まず、pMIS領域を覆うレジストを形成してマスクした後、nMIS領域のゲート電極120a、スペーサ128、スペーサ134をマスクとして、As注入する。その後、同様に、nMIS領域を覆うレジストを形成してマスクし、pMIS領域のゲート電極122b、スペーサ128、スペーサ134をマスクとして、Bを注入する。また、ここで、不純物活性化のための熱処理を行う。これにより、比較的接合が深く、不純物注入濃度の高い高濃度不純物拡散層であるソース/ドレイン110a、110bが形成される。
【0041】
次に、ソース/ドレイン110a、110bの表面と、ゲート電極120aの表面とに、NiSi層124、126を形成する(ステップS142)。ここでは、基板全面にNi層を形成して熱処理を施すことにより、SiとNiとを反応させ、自己整合的に、NiSi層124、126を形成する。その後、反応せずに残ったNi層を除去する。
【0042】
次に、SiN膜142、SiO膜144を形成する(ステップS144〜S146)。ここで、SiN膜142は、コンタクトホール開口の際のエッチングストッパとしての役割を果たす。その後、SiO膜144及びSiN膜142を貫通して、NiSi層126に接続するコンタクトプラグ146を形成する(ステップS148)。ここでは、まず、SiO膜144及びSiN膜142を貫通し、その底部においてNiSi層126表面を露出するようにコンタクトホールを形成する。そして、このホール内に、Wを埋め込み、表面をCMPにより平坦化することにより、SiO膜144及びSiN膜142を貫通するコンタクトプラグ146が形成される。
【0043】
その後、必要に応じて、SiO膜144上に、層間絶縁膜148を形成する(ステップS150)。また、層間絶縁膜148の必要な箇所に、Cu配線150を形成する(ステップS152)。これにより、図1に示すような半導体装置100が形成される。また、必要に応じて、層間絶縁膜148上に、層間絶縁膜及び配線等を形成し、多層配線構造を有する半導体装置を形成する。
【0044】
以上説明したように、実施の形態1においては、予め、ゲート絶縁膜として、HfSiO膜116上に、SiN膜118を形成する。そして、pMIS領域側に形成された、Poly−Siからなるゲート電極120bを除去する際(ステップS116)、SiN膜118をエッチングストッパ膜として機能させる。その後、不要な部分のSiN膜118を除去する(ステップS118)。これにより、ゲート電極120b除去の際に、ダメージを受けたSiN膜118を除去して、損傷を受けていないHfSiO膜116bをゲート絶縁膜として、この上に、pMIS領域のゲート電極122bを形成することができる。これにより、nMIS領域、pMIS領域ともに、膜質の良好なゲート絶縁膜112a、112bを有するトランジスタを、容易に形成することができる。
【0045】
また、実施の形態1においては、nMIS領域のゲート電極120aとして、Poly−Siを用いている。ここで、Poly−Siゲートには、活性化の段階で、下層に形成したHfSiO膜116aから、Hfが拡散して、Siと反応し、Hfシリサイドが形成される。これにより、ゲート電極120aの仕事関数は、n型となる。また、pMIS領域のゲート電極122bには、p型の仕事関数を有する、Wを用いている。これにより、デュアルメタルゲート構造を有するCMISを実現することができる。
【0046】
なお、実施の形態1においては、pMIS領域のゲート絶縁膜112bを、HfSiO膜116bとその下層のSiO膜114bとの2層の積層構造とした。しかし、この発明において、pMIS領域のゲート絶縁膜は、これに限るものではない。ゲート絶縁膜は、例えば、ダメージを受けたSiN膜118を完全に除去せずに、薄く残して、SiO膜114b、HfSiO膜116b、SiN膜の3層構造としてもよい。このようにしても、ダメージを受けた部分のSiN膜118を除去することができるため、ゲート絶縁膜の膜質を良好なものとすることができる。
【0047】
また、実施の形態1においては、ゲート絶縁膜112a、112bの材料として、SiO膜114、HfSiO膜116、SiN膜118を用いる場合について説明した。しかし、この発明において、ゲート絶縁膜の材料は、これに限るものではない。例えば、SiO膜114の上に形成される高誘電率膜は、HfSiO膜に限るものではなく、HfO、HfAlO等、他の高誘電率膜を用いたものであってもよい。但し、ここでは、Hf系の高誘電率膜を用いるものが好ましいものと考えられる。これは、Hf系の高誘電率膜を用いることにより、Hfが、ゲート電極120aであるPoly−Si内に拡散してSiと反応し、Hfシリサイドを形成するため、nMIS領域のゲート電極を、n型の仕事関数に調整することができるからである。また、上層のSiN膜118aに代えて、例えば、SiON膜など、他の膜を用いたものであってもよい。
【0048】
また、実施の形態1においては、nMIS、pMISのゲート電極120a、122bとして、それぞれ、Poly−Si、Wを用いる場合について説明した。しかし、この発明において、ゲート電極の材料は、これに限るものではなく、適切な仕事関数を有するものであれば、他の材料を用いてゲート電極を形成したものであってもよい。具体的に例えば、nMISのゲート電極としては、Taを、pMISのゲート電極としては、TiN、あるいは、TiNとWとの積層膜を、用いることが考えられる。
【0049】
また、この発明において、スペーサ128、134、また上層の層間絶縁膜や配線の構造等、他の部分の構造あるいは、各膜の製造方法は、実施の形態1において説明したものに限るものではない。これらは、必要に応じて適宜選択し得るものである。
【0050】
実施の形態2.
図12は、この発明の実施の形態2における半導体装置200を説明するための断面模式図である。
図12に示すように、実施の形態2における半導体装置200は、実施の形態1において説明した半導体装置100と類似するものである。但し、実施の形態2における半導体装置200は、ダマシンゲート構造を有するものであり、実施の形態1における半導体装置100の製造方法をダマシンゲート構造に適用して製造したものである。
【0051】
図12に示す断面において、半導体装置100と同様に、基板202には、STI204が形成され、nMIS領域とpMIS領域とに区分されている。nMIS領域、pMIS領域のそれぞれには、n型、p型のエクステンション206a、206bが形成され、その下側を囲むように、ポケット208が形成されている。また、各エクステンション206a、206bの両側には、それぞれ、n型、p型のソース/ドレイン210a、210bが形成されている。また、ソース/ドレイン210a、210b表面には、NiSi層212が形成されている。
また、基板202の上には、SiN膜220、SiO膜222が形成されている。nMIS領域、pMIS領域のそれぞれに、ゲート電極を形成するためのゲート溝224a、224bが、SiN膜220、SiO膜222を貫通して開口されている。
【0052】
nMIS領域のゲート溝224a内部には、ゲート絶縁膜226aが形成されている。ゲート絶縁膜226aは、ゲート溝224a内壁に形成された薄いSiO膜228aと、HfSiO膜230aと、SiN膜232aとからなる積層膜である。一方、pMIS領域のゲート溝224bには、ゲート絶縁膜226bが形成されている。ゲート絶縁膜226bは、ゲート溝224b内壁に形成された薄いSiO膜228bと、HfSiO膜230bとの積層膜である。ここで、SiO膜228a、228bは、約0.8nm、HfSiO膜230a、230bは、約2nm、SiN膜232aは、約0.5nmである。
【0053】
また、nMIS領域において、ゲート溝224a内部のSiN膜232a上には、ゲート電極234aが形成されている。一方、pMIS領域において、ゲート溝224b内部のHfSiO膜230b上には、ゲート電極236bが形成されている。ゲート電極234aは、Poly−Siに、Asイオン及びHfが拡散したものであり、その仕事関数は、約4.1eVである。ゲート電極236bは、Wからなり、その仕事関数は、4.7〜4.9eV程度である。
【0054】
各ゲート溝224a、224bの両側には、それぞれ、スペーサ238が形成されている。スペーサ238は、それぞれ、SiN膜240、SiO膜242、SiN膜244、SiO膜246により構成されている。
【0055】
また、SiO膜222上には、SiO膜248が形成され、SiO膜248とSiO膜222とSiN膜220とを貫通して、ソース/ドレイン210a、210b表面のNiSi層212に至るコンタクトプラグ250が形成されている。また、SiO膜248上には、実施の形態1と同様に、層間絶縁膜252が形成され、必要な箇所に、Cu配線254が形成されている。
【0056】
図13は、この発明の実施の形態2における半導体装置200の製造方法について説明するためのフロー図である。また、図14〜図21は、実施の形態2における半導体装置200の各製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
以下、図12〜図21を用いて、実施の形態2における半導体装置200の製造方法について具体的に説明する。
【0057】
まず、実施の形態1と同様に、基板202に、STI204、pWELL256a、nWELL256bを形成し(ステップS202)、各領域のチャネル上に、ダミーゲート絶縁膜260を形成する(ステップS204)。その後、ダミーゲート電極262を形成する材料膜として、Poly−Si膜を形成する(ステップS206)。その後、図14に示すように、ダミーゲート電極262を形成する(ステップS208)。ここでは、まず、Poly−Si膜上にハードマスク264として、例えば、SiO膜を形成する。次に、リソグラフィ技術により、ゲート電極を形成する位置に、レジストマスクを形成し、これをマスクとして、SiO膜をエッチングし、ハードマスク264を形成する。このハードマスク264をマスクとして、Poly−Si膜のエッチングを行い、ダミーゲート電極262を形成する。
【0058】
次に、図15に示すように、ダミーゲート電極262の側面に、SiO膜266とSiN膜240からなるスペーサを形成する(ステップS210)。ここでは、SiO膜266を、約2nm、SiN膜240を約10nm、それぞれ堆積し、エッチバックにより、ダミーゲート電極262側面にのみスペーサを残す。
【0059】
次に、図16に示すように、エクステンション206a、206b及びポケット208を形成する(ステップS212)。ここでは、まず、pMIS領域をレジストで覆い、nMIS領域のダミーゲート電極262及びSiO膜266、SiN膜240をマスクとして、イオンを注入し、nMIS領域にエクステンション206a及びポケット208を形成する。次に、nMIS領域をレジストで覆い、pMIS領域のダミーゲート電極262、SiO膜266、SiN膜240をマスクとして、イオン注入し、pMIS領域に、エクステンション206b及びポケット208を形成する。
【0060】
次に、ダミーゲート電極262側面のSiN膜240側面にスペーサを形成する(ステップS214)。ここでは、実施の形態1と同様に、SiO膜242、SiN膜244、SiO膜246を、基板202上のダミーゲート電極262及びその側面のSiN膜240を埋め込むようにして、順次、形成した後、エッチバックにより、ダミーゲート電極262両側のSiN膜240側面にのみこれらの絶縁膜を残す。これにより、スペーサ238が形成される。
【0061】
次に、ソース/ドレイン210a、210bを形成する(ステップS216)。ここでは、pMIS領域を覆うレジストを形成した後、ダミーゲート電極262と、その側面のスペーサ238をマスクとして、イオン注入を行い、nMIS領域に、ソース/ドレイン210aを形成する。その後、同様に、nMIS領域を多くレジストを形成した後、ダミーゲート電極262とその側面のスペーサ238とをマスクとして、イオン注入を行い、pMIS領域に、ソース/ドレイン210bを形成する。
【0062】
次に、ソース/ドレイン210a、210b上にNiSi層212を形成し(ステップS218)、その後、層間絶縁膜として、SiN膜220及びSiO膜222を積層する(ステップS220〜S222)。その後、CMPにより、SiO膜222を、ハードマスク264が露出するまで研磨する。
【0063】
次に、図17に示すように、ハードマスク264と、ダミーゲート電極262、ダミーゲート絶縁膜260を除去する(ステップS224〜S228)。これにより、SiN膜220、SiO膜222に、ゲート溝224a、224bが形成される。
【0064】
次に、図18に示すように、ゲート溝224a、224b底部に、熱酸化により、0.8nm程度の薄いSiO膜228a、228bを形成した後(ステップS230)、HfSiO膜230を、ゲート溝224a、224b内壁を含む全面に形成する(ステップS232)。ここで、HfSiO膜230は、MOCVD法により、膜厚約2nmに形成する。更に、SiN膜232を形成する(ステップS234)。SiN膜232は、CVD法により、膜厚約0.5nmに形成する。
【0065】
その後、ゲート溝224a、224b内に、Poly−Si膜234を形成する(ステップS236)。その後、Poly―Si膜234は、HfSiO膜230表面が露出するまでCMPにより研磨される(ステップS238)。これにより、図19に示すように、nMIS領域のゲート溝224a内には、ゲート電極234aが形成される。
【0066】
次に、図20に示すように、pMIS領域のPoly−Si膜234bを除去する(ステップS240)。ここでは、Poly−Si膜234bは、エッチングにより除去されるが、このとき、ゲート溝224b内壁の、SiN膜232bは、エッチングストッパ膜として機能する。その後、このエッチングの際にダメージを受けたSiN膜232bを、ウェットエッチングにより除去する(ステップS242)。ここでは、Poly−Si膜234aの埋め込まれたゲート溝224a内のSiN膜232以外のSiN膜232bが全て除去される。
【0067】
次に、図21に示すように、W236をゲート溝224b内部に埋め込む(ステップS244)。更に、SiO膜222の表面が露出するまでCMPを行うことにより(ステップS246)、pMIS領域にゲート絶縁膜226b及びゲート電極236bが形成される。
【0068】
その後、SiO膜248を形成し(ステップS248)、実施の形態1と同様に、コンタクトプラグ250を形成し(ステップS250)、層間絶縁膜252の形成(ステップS252)、Cu配線254の形成(ステップS254)等を行うことにより、図12に示す実施の形態2における半導体装置が製造される。
【0069】
以上説明したように、実施の形態2によれば、ダマシン構造のゲートを形成する際、エッチングによりダメージを受けた絶縁膜(SiN膜70b)を除去した後、ゲート溝224bに、ゲート電極236bを形成する。従って、nMIS、pMISともに、膜質の良好なゲート絶縁膜を有するトランジスタとすることができ、良好なデバイス特性を有する半導体装置を得ることができる。
その他は、実施の形態1と同様であるから説明を省略する。
【0070】
実施の形態3.
図22は、この発明の実施の形態3における半導体装置300を説明するための断面模式図である。
半導体装置300は、実施の形態2における半導体装置200と類似するものであり、ダマシンゲート構造を有するものである。
【0071】
図22に示す断面において、半導体装置200と同様に、基板302には、STI304が形成され、nMIS領域とpMIS領域とに区分されている。nMIS領域、pMIS領域のそれぞれには、n型、p型のエクステンション306a、306bが形成され、その下側を囲むように、ポケット308が形成されている。また、各エクステンション306a、306bの両側には、それぞれ、n型、p型のソース/ドレイン310a、310bが形成されている。また、ソース/ドレイン310a、310b表面には、NiSi層312が形成されている。
また、基板302の上には、SiN膜320、SiO膜322が形成されている。nMIS領域、pMIS領域のそれぞれに、ゲート電極を形成するためのゲート溝324a、324bが、SiN膜320、SiO膜322を貫通して形成されている。
【0072】
nMIS領域のゲート溝324a内部には、ゲート絶縁膜326aが形成されている。ゲート絶縁膜326aは、ゲート溝324a内壁に形成された薄いSiO膜328aと、HfSiO膜330aと、SiN膜332aとからなる積層膜である。一方、pMIS領域のゲート溝324bには、ゲート絶縁膜326bが形成されている。ゲート絶縁膜326bは、ゲート溝324b内壁に形成された薄いSiO膜328bと、HfSiO膜330bとの積層膜である。ここで、SiO膜328a、328bは、約0.8nm、HfSiO膜330a、330bは、約2nm、SiN膜332aは、約0.5nmである。
【0073】
また、nMIS領域において、ゲート溝324a内部のSiN膜332a上には、Poly−Si膜334aとTiN/W336aが積層され、ゲート電極が形成されている。なお、Poly−Si膜224a中には、P(リン)が注入されている。一方、pMIS領域において、ゲート溝324b内部のHfSiO膜230b上に、TiNを介してWが埋め込まれ、TiN/W336bからなるゲート電極が形成されている。
【0074】
各ゲート溝324a、326bの両側には、それぞれ、SiO膜338、SiN膜340が形成されて、更にその側面に、スペーサ342が形成されている。スペーサ342は、それぞれ、SiO膜、SiN膜、SiO膜により構成されている。
【0075】
また、SiO膜322上には、SiO膜348が形成され、SiO膜348とSiO膜322とSiN膜320とを貫通して、ソース/ドレイン310a、310b表面のNiSi層312に至るコンタクトプラグ350が形成されている。また、SiO膜348上には、実施の形態1と同様に、層間絶縁膜352が形成され、必要な箇所に、Cu配線354が形成されている。
【0076】
図23は、この発明の実施の形態3における半導体装置300の製造方法について説明するためのフロー図である。また、図24〜図31は、実施の形態3における半導体装置300の各製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
以下、図23〜図31を用いて、実施の形態3における半導体装置300の製造方法について具体的に説明する。
【0077】
まず、実施の形態2のステップS202と同様に、基板302に、STI304、pWELL356a、nWELL356bを形成し(ステップS302)、実施の形態3においては、この基板302上に、ゲート絶縁膜326a、326bの材料膜となる、SiO膜328、HfSiO膜330、SiN膜332を順に形成する(ステップS304〜S308)。更に、Poly−Si膜334を、80nmに形成し(ステップS310)、N型の不純物であるP(リン)を注入する。
【0078】
次に、図24、25に示すように、ゲート電極のパターニングを行う(ステップS312)。ゲート電極のパターニングは、Poly−Si膜334上にハードマスク360として、例えば、SiO膜を50nmの膜厚に形成する。次に、リソグラフィ技術により、ゲート電極を形成する位置に、レジストマスクを形成し、これをマスクとして、SiO膜をエッチングすることにより、ハードマスク360を形成する。このハードマスク360をマスクとして、Poly−Si膜334のエッチングを行い、図24に示すように、Poly−Si膜234a、334bを形成する。
更に、続けて、ハードマスク360をマスクとして、図25に示すように、SiN膜332、HfSiO膜330、SiO膜328のエッチングも行う。
【0079】
次に、図26に示すように、Poly−Si膜334a、334b及びハードマスク360の側面に、SiO膜338とSiN膜340とからなるスペーサを形成する(ステップS314)。具体的には、SiO膜338を、約2nm、SiN膜340を約10nm、それぞれ堆積し、エッチバックを行う。
【0080】
次に、実施の形態2のステップS212と同様に、エクステンション306a、306b及びポケット208を形成する(ステップS316)。この不純物注入においては、Poly−Si膜334a、334bとその側面のSiO膜338及びSiN膜340がマスクとなる。
【0081】
次に、ステップS214と同様に、Poly−Si膜334a、334b及びハードマスク360側面のSiN膜340側面に、スペーサ342を形成する(ステップS318)。ここでは、スペーサ342は、実施の形態1、2と同様に、SiO膜、SiN膜、SiO膜により構成されるものとする。
【0082】
次に、ステップS216と同様に、ソース/ドレイン310a、310bを形成する(ステップS320)。ソース/ドレイン310a、310bの不純物注入においては、Poly−Si膜334a又は334b、及び、その側面のスペーサ342等がマスクとなる。
【0083】
次に、図28に示すように、ソース/ドレイン310a、310b上にNiSi層312を形成する(ステップS322)。更に、その後、図29に示すように、層間絶縁膜として、SiN膜320及びSiO膜322を積層し(ステップS324〜S326)、CMPにより、SiO膜322を、ハードマスク360が露出するまで研磨する(ステップS328)。
【0084】
次に、図30に示すように、ハードマスク260を選択的に除去する(ステップS330)。その後、pMIS領域のPoly−Si膜334bを除去する(ステップS332)。Poly−Si膜334bの除去においては、nMIS領域を覆うレジストマスクを形成した後、エッチングを行う。
【0085】
次に、Poly−Si膜334bの除去によりダメージを受けたSiN膜332bを除去する(ステップS334)。これにより、pMIS領域にゲート溝324bが形成される。
【0086】
その後、図31に示すように、ゲート溝334bと、nMIS領域のPoly−Si膜334a上のハードマスク360が除去されてできた溝内に、TiN/W336を埋め込む(ステップS336)。具体的には、まず、TiN膜をバリア膜として薄く形成した後、開口部分にWを埋め込む。その後、CMPにより研磨され、SiO膜322表面を露呈させる(ステップS338)。
【0087】
その後、実施の形態2の、ステップS248〜254と同様に、コンタクトプラグ350等の形成を行い、図22に示す半導体装置300が形成される(ステップS340〜S246)。
【0088】
以上説明したように、実施の形態3によれば、ダマシン構造のゲートを形成する際、実際のゲート絶縁膜を先に形成したあとで、NiSi層を形成する。そしてその後、nMIS領域のダミーゲートであるPoly−Si膜334bのみを除去し、この開口に、ゲート電極として、TiN/W336bを埋め込む。このように、ゲート絶縁膜であるHfSiO膜形成後に、NiSi層312を形成するため、HfSiO形成時の高温処理により、NiSi層312が高抵抗化するのをおさえることができる。また、nMIS領域のPoly−Si膜334b除去の際にダメージを受けるSiN膜332bは、除去されるため、膜質の良好なゲート絶縁膜を有するトランジスタとすることができ、良好なデバイス特性を有する半導体装置を得ることができる。
その他は、実施の形態1、2と同様であるから説明を省略する。
【0089】
なお、例えば、実施の形態1、2、3におけるnMIS、pMISは、それぞれ、この発明の、「第1のトランジスタ」、「第2のトランジスタ」に該当する。また、例えば、実施の形態1、2における、ゲート電極120a、234a、実施の形態3におけるPoly−Si膜334a及びTiN/W336aは、この発明の「第1のゲート電極」に該当し、ゲート電極122b、236b、あるいは、TiN/W336bは、「第2のゲート電極」に該当する。また、例えば、実施の形態1、2、3におけるゲート絶縁膜112a、226a、326aは、この発明の「第1のゲート絶縁膜」に該当し、ゲート絶縁膜112b、226b、326bは、「第2のゲート絶縁膜」に該当する。また、実施の形態1、2、3におけるHfSiO膜116a、116b、230a、230b、330a、330b、は、この発明の「高誘電率膜」に該当し、SiN膜118a、232a、332aは、「第1の絶縁膜」に該当する。
【0090】
また、例えば、実施の形態1において、ステップS106、S108を実行することにより、それぞれ、この発明の、「高誘電率膜形成工程」、「第1絶縁膜形成工程」が実行される。また、例えば、実施の形態1において、ステップS110〜S116を実行することにより、この発明の「第1ゲート電極形成工程」が実行される。また、例えば、ステップS116、S118を実行することにより、それぞれ、「第1ゲート電極除去工程」、「第1絶縁膜除去工程」が実行される。また、例えば、ステップS120〜S124を実行することにより、「第2ゲート電極形成工程」が実行される。
【0091】
また、例えば、実施の形態2において、ステップS204〜S208を実行することにより、この発明の「ダミーゲート形成工程」が実行される。また、例えば、ステップS212、S216を実行することにより、「不純物拡散層形成工程」が実行される。また、ステップS220〜S222を実行することにより、「層間絶縁膜形成工程」が実行され、ステップS224〜S228を実行することにより、「開口形成工程」が実行される。また、例えば、ステップS230を実行することにより、「高誘電率膜形成工程」、「第1絶縁膜形成工程」が実行される。また、例えば、ステップS232を実行することにより、「第1材料埋め込み工程」が実行され、ステップS236、S238を実行することにより、それぞれ、「第1材料除去工程」、「第1絶縁膜除去工程」が実行される。また、ステップS240を実行することにより、「第2材料埋め込み工程」が実行される。
【0092】
また、例えば、実施の形態3において、ステップS306〜S308を実行することにより、この発明の「ゲート絶縁膜形成工程」が実行され、ステップS310〜S312を実行することにより、「第1のゲート電極形成工程」が実行され、ステップS316、S320を実行することにより「不純物拡散層形成工程」が実行され、ステップS322を実行することにより、「シリサイド層形成工程」が実行され、ステップS324〜S326を実行することにより、「層間絶縁膜形成工程」が実行され、ステップS332を実行することにより「開口形成工程」が実行され、ステップS334を実行することにより、「第1絶縁膜除去工程」が実行され、ステップS336を実行することにより「第2ゲート電極形成工程」が実行される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】この発明の実施の形態1における半導体装置を説明するための断面模式図である。
【図2】この発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法を説明するためのフロー図である。
【図3】この発明の実施の形態1における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図4】この発明の実施の形態1における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図5】この発明の実施の形態1における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図6】この発明の実施の形態1における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図7】この発明の実施の形態1における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図8】この発明の実施の形態1における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図9】この発明の実施の形態1における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図10】この発明の実施の形態1における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図11】この発明の実施の形態1における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図12】この発明の実施の形態2における半導体装置を説明するための断面模式図である。
【図13】この発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法を説明するためのフロー図である。
【図14】この発明の実施の形態2における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図15】この発明の実施の形態2における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図16】この発明の実施の形態2における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図17】この発明の実施の形態2における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図18】この発明の実施の形態2における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図19】この発明の実施の形態2における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図20】この発明の実施の形態2における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図21】この発明の実施の形態2における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図22】この発明の実施の形態3における半導体装置について説明するための断面模式図である。
【図23】この発明の実施の形態3における半導体装置の製造方法を説明するためのフロー図である。
【図24】この発明の実施の形態3における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図25】この発明の実施の形態3における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図26】この発明の実施の形態3における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図27】この発明の実施の形態3における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図28】この発明の実施の形態3における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図29】この発明の実施の形態3における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図30】この発明の実施の形態3における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【図31】この発明の実施の形態3における半導体装置の製造過程における状態を説明するための断面模式図である。
【符号の説明】
【0094】
100、200、300 半導体装置
102、202、302 基板
104、204、304 STI
106a、106b、206a、206b、306a、306b エクステンション
108、208、308 ポケット
110a、110b、210a、210b、310a、310b ソース/ドレイン
112a、112b ゲート絶縁膜
114、114a、114b SiO
116、116a、116b HfSiO膜
118、118a、118b SiN膜
120 Poly−Si膜
120a、120b ゲート電極
122b ゲート電極
124 NiSi層
126 NiSi層
128 スペーサ
130 SiO
132 SiN膜
134 スペーサ
136 SiO
138 SiN膜
140 SiO
142 SiN膜
144、248、348 SiO
146、250、350 コンタクトプラグ
148、252、352 層間絶縁膜
150、254、354 Cu配線
152a、256a、356a pWELL
152b、256b、356b nWELL
156 ハードマスク
158 ハードマスク
212、312 NiSi層
220、320、 SiN膜
222、322 SiO
224a、224b、324a、324b ゲート溝
226a、226b、326a、326b ゲート絶縁膜
228a、228b、328a、328b SiO
230、230a、230b、330a、330b HfSiO膜
232a、232b、332a、332b SiN膜
234a、334a ゲート電極
236b、336b ゲート電極
238、338、342 スペーサ
240 SiN膜
242 SiO
244 SiN膜
246 SiO
264、360 ハードマスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板表面に、ダミーゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ダミーゲート絶縁膜上に、ダミーゲート電極に用いられる材料膜を形成する工程と、
前記材料膜上に、マスクを形成する工程と、
前記マスクを用いて前記材料膜を加工して、ダミーゲート電極を形成する工程と、
前記ダミーゲート電極の形成後、前記半導体基板表面を覆うように絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜を、前記マスクが露出するように研磨する工程と、
前記絶縁膜の研磨後、前記ダミーゲート電極および前記ダミーゲート絶縁膜を除去して、底部に前記半導体基板表面が露出するゲート溝を形成する工程と、
前記ゲート溝の形成後、前記ゲート溝底部に露出する半導体基板上に、シリコン酸化膜を形成する工程と、
前記シリコン酸化膜の形成後、前記ゲート溝内にハフニウム絶縁膜を形成する工程と、
前記ハフニウム絶縁膜の形成後、前記ゲート溝内にゲート電極を形成する工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
半導体基板表面に、ダミーゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ダミーゲート絶縁膜上に、ダミーゲート電極に用いられる材料膜を形成する工程と、
前記材料膜上に、マスクを形成する工程と、
前記マスクを用いて、前記材料膜を加工して、ダミーゲート電極を形成する工程と、
前記ダミーゲート電極の側面を覆うSiN膜からなるスペーサを形成する工程と、
前記スペーサの形成後、前記半導体基板にイオン注入を行い、ソース若しくはドレイン領域を形成する工程と、
前記イオン注入の後、前記半導体基板を覆う絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜を研磨し、前記マスクを露出させる工程と、
前記マスクの露出後、前記材料膜および前記ダミーゲート絶縁膜を除去して、底部に前記半導体基板が露出し、側面に前記スペーサが露出するゲート溝を形成する工程と、
前記ゲート溝の形成後、前記ゲート溝底部に露出する半導体基板上に、シリコン酸化膜を形成する工程と、
前記シリコン酸化膜の形成後、前記ゲート溝の側面および前記シリコン酸化膜を覆うようにハフニウム絶縁膜を形成する工程と、
前記ハフニウム絶縁膜の形成後、前記ゲート溝内にゲート電極を形成する工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記ハフニウム絶縁膜は、少なくとも酸素とハフニウムを含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記ハフニウム絶縁膜は、前記シリコン酸化膜よりも厚いことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記ハフニウム絶縁膜は、MOCVD法で形成され、前記シリコン酸化膜は熱酸化により形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記マスクは、SiOである請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記ダミーゲート電極の形成後、前記ダミーゲート電極の側壁に、SiOを形成する工程を、更に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2010−135823(P2010−135823A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20027(P2010−20027)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【分割の表示】特願2004−282180(P2004−282180)の分割
【原出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】