説明

半導体装置の製造方法

【課題】パワーMOSFETにおいては、アルミニウム系ソース電極下のアルミニウム拡散バリア・メタル膜として、チタンおよび窒化チタンからなるチタン系バリア・メタル膜が広く使用されている。しかし、本願発明者らが検討したところによると、チタン系バリア・メタル膜を使用すると、ウエハの反りが増大して、ウエハ・ハンドリングが困難となり、ウエハ割れやウエハ欠け等の問題が不可避となることが明らかとなった。この傾向は、最小寸法が0.35マクロ・メートル以下の製品において特に顕著である。
【解決手段】本願発明は、アルミニウム系メタル層と下層のシリコン系半導体層の間のバリア・メタル層として、タングステン系バリア・メタル膜(TiW等のタングステンを主要な成分とする合金膜)をスパッタリング成膜によって形成する際、スパッタリング成膜チャンバの気圧を1.2パスカル以下とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置(または半導体集積回路装置)の製造方法におけるメタル成膜技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
日本特開2000−223708号公報(特許文献1)、日本特開2007−165663号公報(特許文献2)、日本特開2001−267569号公報(特許文献3)、または日本特開2006−32598号公報(特許文献4)には、トレンチ・ゲート型のパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)のアルミニウム・ソース電極のバリア・メタルとしてTiWを用いる技術が開示されている。
【0003】
日本特開2003−318395号公報(特許文献5)、米国特許公開2003−0199156号公報(特許文献6)、または米国特許公開2005−0145899号公報(特許文献7)には、パワーMOSFETのアルミニウム・ソース電極のバリア・メタルとしてTiWを用い、その上にアルミニウム・ソース電極をリフローして形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−223708号公報
【特許文献2】特開2007−165663号公報
【特許文献3】特開2001−267569号公報
【特許文献4】特開2006−32598号公報
【特許文献5】特開2003−318395号公報
【特許文献6】米国特許公開2003−0199156号公報
【特許文献7】米国特許公開2005−0145899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パワーMOSFETにおいては、アルミニウム系ソース電極下のアルミニウム拡散バリア・メタル膜として、チタンおよび窒化チタンからなるチタン系バリア・メタル膜が広く使用されている。しかし、本願発明者らが検討したところによると、チタン系バリア・メタル膜を使用すると、ウエハの反りが増大して、ウエハ・ハンドリングが困難となり、ウエハ割れやウエハ欠け等の問題が不可避となることが明らかとなった。この傾向は、最小寸法が0.35マイクロ・メートル以下の製品において特に顕著である。
【0006】
本願発明は、これらの課題を解決するためになされたものである。
【0007】
本発明の目的は、信頼性の高い半導体装置の製造プロセスを提供することにある。
【0008】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0010】
すなわち、本願の一つの発明は、アルミニウム系メタル層と下層のシリコン系半導体層の間のバリア・メタル層として、タングステン系バリア・メタル膜(TiW等のタングステンを主要な成分とする合金膜)をスパッタリング成膜によって形成する際、スパッタリング成膜チャンバの気圧を1.2パスカル以下とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0012】
すなわち、アルミニウム系メタル層と下層のシリコン系半導体層の間のバリア・メタル層として、タングステン系バリア・メタル膜(TiW等のタングステンを主要な成分とする合金膜)をスパッタリング成膜によって形成する際、スパッタリング成膜チャンバの気圧を1.2パスカル以下とすることによって、アルミニウム系メタル層の有する応力を打ち消す応力を有するタングステン系バリア・メタル膜を形成することができるので、同一方向の応力の蓄積によるウエハの反りの増大を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用するマルチ・チャンバ型のウエハ処理装置の平面構成図である。
【図2】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるタングステン系バリア・メタル膜成膜工程に使用するスパッタリング成膜チャンバの模式断面図である。
【図3】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法により製造されたパワーMOSFETの一例を示すデバイス上面図である。
【図4】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるトレンチ・ゲート・セル部のデバイス断面フロー図(ソース・コンタクト溝形成用レジスト・パターン形成工程)である。
【図5】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるトレンチ・ゲート・セル部のデバイス断面フロー図(ソース・コンタクト溝形成工程)である。
【図6】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるトレンチ・ゲート・セル部のデバイス断面フロー図(ソース・コンタクト溝形成用レジスト・パターン除去工程)である。
【図7】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるトレンチ・ゲート・セル部のデバイス断面フロー図(ソース・コンタクト溝延長工程)である。
【図8】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるトレンチ・ゲート・セル部のデバイス上面図(p+ボディ・コンタクト領域導入工程)である。
【図9】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるトレンチ・ゲート・セル部(図8のX−X’断面に対応する)のデバイス断面フロー図(p+ボディ・コンタクト領域導入工程)である。
【図10】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるトレンチ・ゲート・セル部のデバイス上面図(コンタクト溝2段構造形成工程)である。
【図11】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるトレンチ・ゲート・セル部(図10のX−X’断面に対応する)のデバイス断面フロー図(コンタクト溝2段構造形成工程)である。
【図12】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるトレンチ・ゲート・セル部のデバイス断面フロー図(バリア・メタル膜成膜工程)である。
【図13】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるトレンチ・ゲート・セル部のデバイス断面フロー図(アルミニウム系メタル膜成膜工程)である。
【図14】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるトレンチ・ゲート・セル部のデバイス断面フロー図(裏面メタル膜成膜工程)である。
【図15】図12に対応するバリア・メタル膜成膜工程後におけるTiWスパッタ圧力とウエハ反りの関係を示すデータプロット図である。
【図16】図14に対応する裏面メタル膜成膜工程後における前記実施の形態及び比較例についてのウエハ厚さとウエハ反りの関係を示すデータプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施の形態の概要〕
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。
【0015】
1.以下の工程を含む半導体装置の製造方法:
(a)半導体ウエハの第1の主面上の第1の絶縁膜の上面から下方に向けて、凹部を形成する工程;
(b)前記凹部の内面及び前記第1の絶縁膜の前記上面に、スパッタリング成膜により、タングステン系バリア・メタル膜を形成する工程;
(c)前記工程(b)の後、前記凹部の内面および前記第1の絶縁膜の前記上面の前記タングステン系バリア・メタル膜を覆うように、アルミニウム系メタル層を形成する工程、
ここで、前記工程(b)は、気圧が1.2パスカル以下のスパッタリング成膜チャンバ内において行われる。
【0016】
2.前記1項の半導体装置の製造方法において、前記工程(b)において、前記タングステン系バリア・メタル膜は、タングステンを主要な成分として含み、チタンを副次的な成分として含む。
【0017】
3.前記2項の半導体装置の製造方法において、前記工程(b)に使用するターゲットの組成重量比は、ほぼTi:W=1:9である。
【0018】
4.前記1から3項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、通常スパッタリングにより、実行される。
【0019】
5.前記1から4項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、タングステン系バリア・メタル膜の膜厚は、100nm以上、300nm以下である。
【0020】
6.前記1から5項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記アルミニウム系メタル層の厚さは、3マイクロ・メートル以上、7マイクロ・メートル以下である。
【0021】
7.前記1から6項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記気圧は、0.3パスカル以上である。
【0022】
8.前記1から6項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記気圧は、1.0パスカル以下である。
【0023】
9.前記1から6項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記気圧は、0.4パスカル以上である。
【0024】
10.前記1から6項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記気圧は、0.3パスカル以上、1.0パスカル以下である。
【0025】
11.前記1から6項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記気圧は、0.4パスカル以上、1.0パスカル以下である。
【0026】
12.前記1から11項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記半導体ウエハの最終厚さは、80マイクロ・メートル以上、160マイクロ・メートル以下である。
【0027】
13.前記1から12項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記半導体ウエハは、200φシリコン系ウエハである。
【0028】
14.前記1から13項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記半導体装置は、パワーMOSFETを含む。
【0029】
15.前記1から14項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記凹部は、2段構造を呈している。
【0030】
〔本願における記載形式・基本的用語・用法の説明〕
1.本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクションに分けて記載する場合もあるが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しを省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0031】
更に、本願において、「半導体装置」というときは、主に、各種トランジスタ(能動素子)などの単体デバイスや、これらを中心に、抵抗、コンデンサ等を半導体チップ等(たとえば単結晶シリコン基板)上に集積したものをいう。なお、単体といっても、実際は、微小な素子を複数集積したものもある。ここで、各種トランジスタの代表的なものとしては、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)に代表されるMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)や、IGBT(Insulated gate Bipolar Transistor)を例示することができる。また、「MOS」といっても、絶縁膜を酸化物に限定しているわけではない。
【0032】
2.同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかに、そうでない場合を除き、A以外の要素を主要な構成要素のひとつとするものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。同様に、「酸化シリコン膜」、「酸化シリコン系絶縁膜」等と言っても、比較的純粋な非ドープ酸化シリコン(Undoped Silicon Dioxide)だけでなく、FSG(Fluorosilicate Glass)、TEOSベース酸化シリコン(TEOS-based silicon oxide)、SiOC(Silicon Oxicarbide)またはカーボンドープ酸化シリコン(Carbon-doped Silicon oxide)またはOSG(Organosilicate glass)、PSG(Phosphorus Silicate Glass)、BPSG(Borophosphosilicate Glass)等の熱酸化膜、CVD酸化膜、SOG(Spin ON Glass)、ナノ・クラスタリング・シリカ(Nano-Clustering Silica:NSC)等の塗布系酸化シリコン、これらと同様な部材に空孔を導入したシリカ系Low-k絶縁膜(ポーラス系絶縁膜)、およびこれらを主要な構成要素とする他のシリコン系絶縁膜との複合膜等を含むことは言うまでもない。
【0033】
また、酸化シリコン系絶縁膜と並んで、半導体分野で常用されているシリコン系絶縁膜としては、窒化シリコン系絶縁膜がある。この系統の属する材料としては、SiN,SiCN,SiNH,SiCNH等がある。
【0034】
3.同様に、図形、位置、属性等に関して、好適な例示をするが、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、厳密にそれに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0035】
4.さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0036】
5.「ウエハ」というときは、通常は半導体装置(半導体集積回路装置、電子装置も同じ)をその上に形成する単結晶シリコンウエハを指すが、エピタキシャル・ウエハ、SOI基板、LCDガラス基板等の絶縁基板と半導体層等の複合ウエハ等も含むことは言うまでもない。
【0037】
6.本願においては、バリア・メタルについては、主に通常スパッタリング(指向性スパッタリングでないもの)により、成膜する例を説明しており、アルミニウム系メタル層については、主にイオン化スパッタリングにより、成膜する例を説明している。しかし、本願発明は、バリア・メタル成膜にイオン化スパッタリングやロング・スロー・スパッタリング(Long Throw Sputtering)を用いてもよいし、アルミニウム系メタル層の成膜に通常スパッタリングやロング・スロー・スパッタリングを用いてもよい。
【0038】
ここで、「イオン化スパッタリング」は、指向性スパッタリング(ロング・スロー・スパッタリングまたはLTスパッタは、指向性スパッタリングであるが、一般には、イオン化スパッタリングではない)の一種であるが、通常のメタル・スパッタ成膜(たとえば通常スパッタリング成膜)が主に電気的に中性のスパッタ原子、分子、又は、これらのクラスタによっているのに対して、イオン化されたメタル・イオン等がシース電圧(更に付加的なバイアスを印加することもある)により、ウエハ面に比較的大きな垂直速度成分を持って入射することを利用して、カバレッジが良好なスパッタ成膜を実現したものである。このイオン化スパッタリング方式には、種々の形式があるが、ここでは、PCM方式について具体的に説明するが、この方式に限定されないことはいうまでもない。従って、「イオン化スパッタリング」は、成膜にイオン化された成膜目的メタル原子が実質的に寄与している方式であれば、その名称を問わない。本実施の形態では、通常スパッタリング装置として、キヤノン・アネルバ(Canon Anelva)社製のILC1060を使用した例について具体的に説明したが、その他の通常スパッタリング装置でもよいことは言うまでもない。
【0039】
また、イオン化スパッタリング装置として、PCM方式のキャノン・アネルバ社製のI−1080 PCMを使用した例について具体的に説明したが、その他のイオン化スパッタリング装置としては、アプライド・マテリアルズ(Applied Materials)のSIP−PVD(Self−Ionized Plasma Physical Vapor Deposition)装置等がある。また、アルバック(Ulvac)社も類似の装置を提供している。
【0040】
〔実施の形態の詳細〕
実施の形態について更に詳述する。各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0041】
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するために、ハッチングを付すことがある。
【0042】
なお、パワーMOSFET等に関して、各種のスパッタ成膜を用いたアルミニウム系メタル電極の形成技術の詳細については、日本特願第2008−002993号(日本出願日2008年1月10日)または日本特願第2009−092973号(日本出願日2009年4月7日)に詳しく記載されているので、本願では原則として、それらの部分の説明は繰り返さない。
【0043】
1.本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用するメタル成膜装置等の説明(主に図1および図2)
まず、本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用するメタル成膜装置等について、簡単に説明する。図1は、本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用するマルチ・チャンバ型(クラスタ型)のウエハ処理装置の平面構成図である。
【0044】
図1に示すように、前記製造プロセスに使用するスパッタリング装置(予備チャンバ58、AlSiスパッタリング・チャンバ61、TiW用通常スパッタ成膜チャンバ59)、熱処理装置(プリヒート処理チャンバ56)、エッチング装置(スパッタ・エッチング・チャンバ57)等は、クラスタ装置51に集積されている。このクラスタ装置51には4個のウエハ・カセット53を常圧下で収容するロードポート52(または前室)がある。ロードポート52に収容されたウエハは二つのロードロック室54のいずれかを介して、真空に変換されて真空搬送室55を通して各処理チャンバに供給される。排出時はその逆である。
【0045】
なお、この実施の形態では、TiW膜成膜後のシリサイデーション・アニール工程は、マルチ・チャンバ型ウエハ処理装置51とは異なる外部のバッチ処理炉により処理する例を示すが、たとえば、予備チャンバ58を枚葉式のRTA(Rapid Thermal Annealing)チャンバとすることで、一連のプロセスにおいて、ウエハ1を大気に触れさせることなく実行するようにしてもよい。
【0046】
図2は、本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるタングステン系バリア・メタル膜成膜工程に使用するスパッタリング・チャンバ59(通常の高指向性ではないスパッタ・チャンバ)の模式断面図である。このスパッタ・チャンバ(スパッタ装置)も他の汎用のメタル・スパッタ装置と同様に、マグネトロン・スパッタ(Magnetron Sputter)方式に含まれる。図2に示すように、チャンバ59の下部には、下部電極(ウエハ・ステージ)62が設けられており、成膜時には、このウエハ・ステージ62上にデバイス面1a(裏面1bの反対の面)を上に向けて、ウエハ1がセットされている。下部電極62は、通常、接地されている。また、ウエハ・ステージ62内には、静電チャック電極が設けられており、静電チャック制御系により、オン・オフ可能とされている。
【0047】
このウエハ・ステージ62に対向して、チャンバ59の上部には、上部電極(ターゲット・バッキング・プレート)66が設けられており、その下面にはタングステン系バリア・メタルのターゲット67(ここでは、たとえば、10重量%程度のチタンを含有するTiWターゲットである)がセットされている。この上部電極66には、通常、上部電極直流バイアス電源74によって、直流電力(直流バイアス)が印加されるようになっている。
【0048】
チャンバ59の外には、ガス供給制御系が設けられており、ガス供給経路78を通して、チャンバ61内にアルゴン・ガスその他のガスを供給できるようになっている。また、チャンバ59内は、下方に設けられた排気口81を通して、真空排気系により真空排気され、スパッタリングに必要な高真空を保持可能とされている。
【0049】
2.本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法により製造したパワーMOSFETのデバイス上面構造の一例の説明(主に図3)
図3は、本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法により製造されたパワーMOSFETの一例を示すデバイス上面図である。図3に示すように、正方形又は長方形の板状のシリコン系半導体基板(個々のチップに分割する前はウエハである)上に素子を形成したパワーMOSFET素子チップ8(トレンチ・ゲート・パワーMOS型半導体装置)は中央部にあるソースパッド領域11(アルミニウム系パッド)が主要な面積を占めている。その下には、それらの幅(またはピッチ)よりも十分長く延びる帯状ゲート電極(柱状トレンチ・ゲート電極に対応)と帯状ソース・コンタクト領域が交互に多数形成された帯状繰り返しデバイス・パターン領域R(リニア・セル領域)がある。より正確には、リニア・セル領域Rは、ソースパッド領域11の下方のほぼ全体に広がっており、破線で囲った部分はその一部である。このリニア・セル領域Rの周辺には、ゲート電極を周辺から外部に引き出すゲートパッド領域13がある。更にその周りには、アルミニウム・ガードリング19が設けられている。そして、チップ8の最外周部はウエハをダイシング等により分割する際の領域、すなわち、スクライブ領域14である。
【0050】
3.本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるデバイス断面プロセス・フローの概要説明(主に図4から図14)
このセクションでは、0.15マイクロ・メートル・プロセスのリニア・トレンチ・ゲート型パワーMOSFETの例について、図4から図14に基づいて、セクション2における図3の帯状繰り返しデバイス・パターン領域切り出し部分Rのトレンチ・ゲート・セル部12に対応するデバイス断面(図3、図8または図10のX−X’断面)等について、プロセス・フローを説明する。
【0051】
図4は、本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるトレンチ・ゲート・セル部のデバイス断面フロー図(ソース・コンタクト溝形成用レジスト・パターン形成工程)である。ここでは、200ファイのn+型シリコン単結晶ウエハ(シリコン系ウエハ)にn型エピタキシャル層(たとえばエピタキシャル層の厚さは、4マイクロ・メートル程度)を形成したn型エピタキシャル・ウエハ1を原材料ウエハとして使用する例を説明するが、ウエハの径は300ファイでも450ファイでも、その他でもよい。また、ウエハの導電型はp型等でもよい。更に、ウエハの形式はエピタキシャル・ウエハに限らず、他の半導体基板や絶縁性基板等であってもよい。また、必要があれば、シリコン系以外の半導体ウエハ又は基板であってもよい。
【0052】
図4に示すように、半導体ウエハ1は、主にn+シリコン基板部1sとエピタキシャル層1eからなり、エピタキシャル層1e内には、もともとのn型エピタキシャル層であるn型ドリフト領域2があり、その上部には、p型チャネル領域(p型ベース領域)3、n+ソース領域4等が形成されている。エピタキシャル層1eから上部が突出するように、複数のトレンチ・ゲート電極(ポリシリコン電極)6が周期的に設けられており、各トレンチ・ゲート電極6の中下部周辺には、ゲート絶縁膜7が設けられている。半導体ウエハ1のデバイス面側1aには、層間絶縁膜21が形成されており、各トレンチ・ゲート電極6を完全にカバーしている。この層間絶縁膜21としては、下層から、たとえば60nm程度の厚さを有する窒化シリコン膜(窒化シリコン系絶縁膜)、300nm程度の厚さを有するPSG膜(酸化シリコン系絶縁膜)、95nm程度の厚さを有するSOG膜(酸化シリコン系絶縁膜)等からなる多層絶縁膜を例示することができる。
【0053】
層間絶縁膜21上には、加工のためのレジスト膜9が形成されている。このレジスト膜9をエッチング・マスクとして、ドライ・エッチングを実行すると、図5に示すように、凹部(ソース・コンタクト溝)22が形成される。次に、不要になったレジスト膜9を除去すると図6に示すような状態となる。
【0054】
次に、パターニングされた層間絶縁膜21をエッチング・マスクとして、更にドライ・エッチングを実行すると、図7に示すように、凹部(ソース・コンタクト溝)22がp型チャネル領域3の上端まで延長される。
【0055】
この時点の図7に対応する(図9にも対応している)デバイス上面(ウエハ上面)を図8に示す。図8において、セル繰り返し単位領域Gを図9にも対応して示す。
【0056】
図7に続き、図9に示すように、ソース・コンタクト溝22(たとえば溝底幅300nm程度、深さ850nm程度、アスペクト比2以上、5以下程度であり、平均的には、2.8程度である)を通して、イオン注入により、p型チャネル領域3の表面領域に、p+ボディ・コンタクト領域5を導入する。
【0057】
次に、図11に示すように、ウエハ1の表側1aに対して、等方性酸化膜エッチングを実行することにより、層間絶縁膜21の幅を減少させる。これにより、凹部底面上段25および凹部底面下段26から構成された2段構造を有する凹部(ソース・コンタクト溝)22が完成する。この時点の図11に対応するデバイス上面(ウエハ上面)を図10に示す。
【0058】
図11の状態で、図12に示すように、半導体ウエハ1のデバイス面側1aのほぼ全面に、バリア・メタル膜23としてのTiW膜を、スパッタ成膜(図2)により、形成する。
【0059】
このTiW膜23のスパッタ成膜は、たとえば、以下のような手順で実施する。すなわち、図1のウエハ搬送容器(ウエハ・カセット)53にウエハ1を収容して、マルチ・チャンバ型ウエハ処理装置51のロード・ポート52にセットする。そこから、ウエハ1は、まず、脱ガス・チャンバ56内のウエハ・ステージにセットされ、表面の水分等を除去するためのプレ・ヒート処理が実行される。プレ・ヒート処理の条件としては、たとえば、ステージ温度設定摂氏250度程度、圧力266パスカル程度、アルゴン流量200sccm程度、処理時間45秒程度を例示することができる。
【0060】
次に、ウエハ1は図1のスパッタ・エッチ・チャンバ57のウエハ・ステージにセットされ、表面の酸化膜を除去するためのスパッタ・エッチ処理が必要に応じて実行される。スパッタ・エッチ処理の条件としては、たとえば、ステージ温度無制御、圧力0.5パスカル程度、アルゴン流量37.5sccm程度、プラズマ励起方法は、たとえばCCP(Capacitively Coupled Plasma)方式、高周波パワー400W(たとえば60MHz)、処理時間25秒程度、エッチング量は10nm程度を例示することができる。
【0061】
次に、ウエハ1は図1及び図2のTiW用スパッタ成膜チャンバ59のウエハ・ステージにセットされ、たとえば、通常スパッタリング方式によりTiWスパッタ成膜処理が実行される。ここでは、TiW用スパッタ成膜装置として、通常スパッタリング装置であるキャノン・アネルバ(Canon Anelva)社製のILC1060を使用した。成膜条件は、たとえば、膜厚200nm程度(好適な範囲としては、たとえば、100nm以上、300nm以下程度)、処理時間60秒程度、真空度0.5パスカル程度、アルゴン流量40sccm程度、ステージ温度は摂氏100度程度(ウエハは静電チャックをオフ)、ターゲット側直流電力3000ワット程度、ウエハ側接地、ターゲット組成チタン10%タングステン90%(重量%)である。なお、この工程はPCM方式等のイオン化スパッタ方式でも実施可能である。
【0062】
次に、シリサイデーション・アニールを実施すると、図12において、TiW膜23部分と接しているシリコン部材表面が、TiW膜23の下面及び内部から供給されたチタンにより、薄いチタン・シリサイドとなるが、図示が煩雑になるので、図12から図14においては、これらの変化は表示しない。
【0063】
このシリサイデーション・アニールは、たとえば、以下のような手順で実施する。すなわち、ウエハ1は図1のマルチ・チャンバ型ウエハ処理装置の外部へ搬出される。そして、ウエハ容器53に収容されて、たとえば、バッチ式のアニール装置に移送され、シリサイデーション・アニール処理が実行される。このシリサイデーション・アニール処理の条件としては、たとえば、温度摂氏650度程度、雰囲気圧力は、たとえば常圧、窒素ガス流量15リットル/分程度、処理時間10分程度を例示することができる。なお、この工程はマルチ・チャンバ型ウエハ処理装置51内またはその他の場所に設けられた枚葉式のRTA装置によっても実施可能である。
【0064】
シリサイデーション・アニールが完了すると、図13に示すように、たとえば、PCMスパッタ成膜により、TiW膜23b上のほぼ全面に、シード・アルミニウム系メタル膜24sを形成する。なお、シード・アルミニウム系メタル膜部24sおよび本体のアルミニウム系メタル膜24は、その他のイオン化スパッタ成膜装置を用いて実行することもできる。また、埋め込み特性に関してあまり厳しくない状況では、通常スパッタリング成膜チャンバ59(図1)と同様な、通常の非イオン化スパッタ成膜装置を用いることもできる。
【0065】
このシード・アルミニウム系メタル膜24sのスパッタ成膜は、たとえば、以下のような手順で実施する。すなわち、ウエハ1は、バッチ式のアニール装置から排出され、図1のウエハ搬送容器(ウエハ・カセット)53に収容されて、マルチ・チャンバ型ウエハ処理装置51のロード・ポート52にセットされる。そこから、ウエハ1は、再び、脱ガス・チャンバ56内のウエハ・ステージにセットされ、表面の水分等を除去するためのプレ・ヒート処理が実行される。プレ・ヒート処理の条件としては、たとえば、ステージ温度設定摂氏375度程度、圧力266パスカル程度、アルゴン流量200sccm程度、処理時間50秒程度を例示することができる。
【0066】
その後、ウエハ1は、図1及び図2に示すアルミニウム系メタル膜スパッタリング・チャンバ61内のウエハ・ステージ62上にセットされ、シード・アルミニウム系メタル膜24sのスパッタ成膜処理が実行される。このシード・アルミニウム系メタル膜成膜処理の条件としては、たとえば、ステージ温度設定摂氏420度程度(静電チャックはオフ)、圧力5パスカル程度、アルゴン流量20sccm程度、上部電極高周波パワー4kW(たとえば60MHz)、上部電極直流パワー1kW、下部電極高周波パワー200W(たとえば13.56MHz)、処理時間14分程度、成膜量は2750nm程度を例示することができる。なお、ステージ温度設定の好適な範囲としては、摂氏400度から摂氏440度程度である。ここで、静電チャックをオフとすることで、シード・アルミニウム系メタル膜成膜処理時に、ウエハ温度が上がりすぎ、堆積したアルミニウム系メタル部材のリフローが過剰に進行して、ソース・コンタクト溝22の上部を閉鎖することを回避することができる。すなわち、アルミニウム系メタル部材膜形成の前半部分では、リフローによる平坦化よりも、ソース・コンタクト溝22の底面部に十分厚いアルミニウム系メタル部材膜を形成することの方が、最終的な埋め込み特性への寄与が大きい。従って、下部電極のバイアスは、メタル・イオンをウエハ上に、より垂直に行きこむ点で、この前半部分においては、特に有効である。
【0067】
次に、図13に示すように、シード・アルミニウム系メタル膜24s上のほぼ全面に、PCMスパッタ成膜により、シード・アルミニウム系メタル膜24sと一体と成って、凹部(ソース・コンタクト溝)22の内部を満たし、更に凹部(ソース・コンタクト溝)22外のTiW膜23b上を覆うように、アルミニウム系メタル膜24を形成する。すなわち、この処理により、ソース電極24(IGBTにあってはエミッタ電極)となるべきアルミニウム系メタル膜24は形成される。
【0068】
この後者のアルミニウム系メタル膜24のスパッタ成膜処理(後半部分)は、たとえば、以下のような手順で実施する。すなわち、ウエハ1は、シード・アルミニウム系メタル膜24sの成膜の際の成膜室61のウエハ・ステージ62上にセットされた状態で(諸条件もほぼそのままの状態で)、連続的に、以下の処理条件に移行する。すなわち、後者のアルミニウム系メタル膜24のスパッタ成膜処理の条件としては、たとえば、ステージ温度設定摂氏420度程度(静電チャックはオン)、圧力5パスカル程度、アルゴン流量20sccm程度、上部電極高周波パワー4kW(たとえば60MHz)、上部電極直流パワー1kW、下部電極高周波パワーはオフ、処理時間14分程度、成膜量は2750nm程度を例示することができる。なお、ステージ温度設定の好適な範囲としては、摂氏400度から摂氏440度程度である。アルミニウム系メタル膜24全体の好適な厚さの範囲は、たとえば、3マイクロ・メートル以上、7マイクロ・メートル以下程度である。
【0069】
なお、スパッタ成膜処理(前半部分および後半部)の際のステージ温度設定は、摂氏400度未満では、十分にリフローが進まず、摂氏440度を越えると不所望なメタルの凝集現象がおきやすくなる。また、スパッタ成膜処理(後半部)において、下部電極高周波パワーはオンにしておくと、ウエハ温度の不所望な上昇により、同様な凝集現象が起こる傾向がある。
なお、ソース電極材料としては、ここで説明するシリコン添加アルミニウム系メタル(AlSi)のほか、AlCu,純Al、銅系メタル部材等が使用可能である。
【0070】
その後、アルミニウム系メタル膜24をパターニングし、その上に、ファイナル・パッシベーション絶縁膜(たとえば2マイクロ・メートル程度の厚さを有する塗布系ポリイミド樹脂膜等の有機系絶縁膜)を形成して、必要な開口を形成する。その後、グラインディングやウエット・エッチングにより、ウエハ1の裏面を処理することによって、ウエハの厚さを所望の最終厚さ(たとえば、80マイクロ・メートル以上、160マイクロ・メートル以下程度)とする。すなわち、ウエハ1の薄膜化処理である。
【0071】
次に、図14に示すように、ウエハ1の裏面にドレイン電極メタル層20をスパッタ成膜により形成して、個々のチップに分割すると、図3に示すようなデバイスとなる。
【0072】
なお、この例においては、図11に示すように、トレンチ・ゲート電極6の頭部は、比較的厚い層間絶縁膜21で被覆されており、隣接する層間絶縁膜21の間は、2段構造の凹部(ソース・コンタクト溝)22となっている。なお、このような構造にすると、コンタクト部分の面積が大きくなり、コンタクト特性を向上させることができるメリットがある。一方、2段構造の凹部(ソース・コンタクト溝)22とすることで、最下段(凹部底面下段26)と上段(凹部底面上段25)の境界部において、構造が複雑になるデメリットがある。従って、そのようなデメリットを回避したい場合は、平坦な底面を有する構造とすることもできる。
【0073】
4.本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法により製造したウエハの反りを示すデータの説明及び本願全体に対する考察等(主に図15および図16)
このセクションでは、前記実施の形態によって、ウエハの反りが低減する仕組み等を説明する。
【0074】
図15は図12に対応するバリア・メタル膜成膜工程後におけるTiWスパッタ圧力とウエハ反りの関係を示すデータプロット図である。図16は図14に対応する裏面メタル膜成膜工程後における前記実施の形態及び比較例についてのウエハ厚さとウエハ反りの関係を示すデータプロット図である。ここで、反り量は、幾何学的には、ウエハの外周を含む平面からウエハの中心に向けて立てた法線の長さに、ほぼ対応している。反り量の符号は、デバイス面1aを上として、下に凸を正としている。
【0075】
図15に示すように、スパッタ成膜時のチャンバ内の圧力が汎用圧力領域Aにあるときは、TiWスパッタ成膜完了時のウエハの反り量は、正又は負の比較的小さい値を示す。一方、スパッタ成膜時のチャンバ内の圧力が、前記実施の形態に対応する反り低減に有効な圧力領域Bにあるときは、TiWスパッタ成膜完了時のウエハの反り量は、比較的大きな負の値を示すことがわかる。このように、TiWスパッタ成膜時のチャンバ内圧力に依存して、反り応力が比較的大きく変化するのは、雰囲気を構成するアルゴンが、成膜中に取り込まれ、後に抜けるときに空孔を形成するからであると推定される。
【0076】
これに対応する裏面メタル成膜後(最終厚さ)のウエハの反り量(ウエハの最終厚さにおける反り量)は、図16に示すように、比較例では、ウエハの最終厚さが薄くなるに従って、急速にウエハの反り量が増加していることがわかる。一方、前記実施の形態に対応する成膜圧力におけるものでは、いずれの最終厚さにおいても、正負0.5ミリメートルの範囲に収まっている。これは、ソース電極金属であるアルミニウム系合金膜による反りは、正の比較的大きな値を示すが、この正方向の反り応力と、TiW膜の負方向の比較的大きな反り応力が均衡を保っているためと考えられる。それが大きな問題となるのは、薄膜化処理後の搬送等のハンドリングであるから、このように薄膜化処理後の時点で反りが少ないことは、量産上、非常に有利である。
【0077】
スパッタ成膜時のチャンバ内の圧力(真空度)は、図15等から一般に1.2パスカル以下が好適である。しかし、プロセスの安定性を考慮すると、1.0パスカル以下が更に好適である。好適な気圧範囲の下限は、必要に応じて下げればよいので(ウエハの最終厚さに応じて)、特にないが、最終厚さが80マイクロ・メートル程度までなら、0.3パスカル(または0.4パスカル)以上としてもよい。従って、好適な範囲として、0.3パスカル以上、1.2パスカル以下(または、0.4パスカル以上、1.0パスカル以下)あるいは、これらの上限下限の各組み合わせに対応する範囲を例示することができる。
【0078】
なお、バリア・メタルとして汎用されているチタン系材料は、アルミニウム系合金膜と同一方向の反り応力を持つため、TiW膜と同じ効果を得ることは困難である。また、SBD(Schottky Barrier Diode)内臓のデバイスでは、ダイオード特性確保の観点から、TiW膜等のタングステン系バリア・メタル膜が有効であるという付加的なメリットもある。
【0079】
5.サマリ
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本願の発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0080】
例えば、前記実施の形態では、パワーMOSFETを例にとり具体的に説明したが、本願の発明はそれに限定されるものではなく、IGBT等のその他の単体や、それらを含む集積回路素子その他に広く適用できることは言うまでもない。
【0081】
また、前記実施の形態では、Nチャネル型パワーMOSFET等のNチャネル型デバイスについて具体的に説明したが、本願の発明はそれに限定されるものではなく、Pチャネル型パワーMOSFET等のPチャネル型デバイスにも適用できることは言うまでもない。その場合には、前記実施の形態において、PとNを総入れ替えするPN反転操作を実行すればよい。
【0082】
また、前記実施の形態では、メタル部材膜の形成方法として、主にスパッタ成膜法を中心に説明したが、本願の発明はそれに限定されるものではなく、必要に応じて、CVD法、メッキ法等の適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0083】
1 半導体ウエハ(エピタキシャル・ウエハ)
1a ウエハのデバイス面(第1の主面)
1b ウエハの裏面
1e エピタキシャル層(n型エピタキシャル層)
1s n+シリコン基板部
2 n型ドリフト領域
3 p型チャネル領域(p型ベース領域)
4 n+ソース領域
5 p+ボディ・コンタクト領域
6 トレンチ・ゲート電極(ポリシリコン電極)
7 ゲート絶縁膜
8 チップ又はチップ領域
9 レジスト膜
11 ソース・パッド
12 セル領域(トレンチ・ゲート・セル部)
13 ゲート・パッド
14 スクライブ領域(ダイシング領域)
19 ガード・リング
20 ドレイン電極
21 層間絶縁膜
22 凹部(ソース・コンタクト溝)
23 バリア・メタル膜
24 アルミニウム系メタル膜(ソース電極)
24s シード・アルミニウム系メタル膜部
25 凹部底面上段
26 凹部底面下段
51 マルチ・チャンバ型ウエハ処理装置
52 ロード・ポート(または前室)
53 ウエハ搬送容器(ウエハ・カセット)
54 ロード・ロック室
55 真空搬送室
56 脱ガス・チャンバ
57 スパッタ・エッチング・チャンバ
58 予備チャンバ
59 TiW用通常スパッタリング成膜チャンバ
61 アルミニウム系メタル膜スパッタリング・チャンバ
62 下部電極(ウエハ・ステージ)
66 上部電極(ターゲット・バッキング・プレート)
67 ターゲット
78 ガス供給経路
81 排気口
A 汎用圧力領域
B 反り低減に有効な圧力領域
G セル繰り返し単位領域
R 帯状繰り返しデバイス・パターン領域切り出し部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む半導体装置の製造方法:
(a)半導体ウエハの第1の主面上の第1の絶縁膜の上面から下方に向けて、凹部を形成する工程;
(b)前記凹部の内面及び前記第1の絶縁膜の前記上面に、スパッタリング成膜により、タングステン系バリア・メタル膜を形成する工程;
(c)前記工程(b)の後、前記凹部の内面および前記第1の絶縁膜の前記上面の前記タングステン系バリア・メタル膜を覆うように、アルミニウム系メタル層を形成する工程、
ここで、前記工程(b)は、気圧が1.2パスカル以下のスパッタリング成膜チャンバ内において行われる。
【請求項2】
前記1項の半導体装置の製造方法において、前記工程(b)において、前記タングステン系バリア・メタル膜は、タングステンを主要な成分として含み、チタンを副次的な成分として含む。
【請求項3】
前記2項の半導体装置の製造方法において、前記工程(b)に使用するターゲットの組成重量比は、ほぼTi:W=1:9である。
【請求項4】
前記1項の半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、通常スパッタリングにより、実行される。
【請求項5】
前記1項の半導体装置の製造方法において、タングステン系バリア・メタル膜の膜厚は、100nm以上、300nm以下である。
【請求項6】
前記1項の半導体装置の製造方法において、前記アルミニウム系メタル層の厚さは、3マイクロ・メートル以上、7マイクロ・メートル以下である。
【請求項7】
前記1項の半導体装置の製造方法において、前記気圧は、0.3パスカル以上である。
【請求項8】
前記1項の半導体装置の製造方法において、前記気圧は、1.0パスカル以下である。
【請求項9】
前記1項の半導体装置の製造方法において、前記気圧は、0.4パスカル以上である。
【請求項10】
前記1項の半導体装置の製造方法において、前記気圧は、0.3パスカル以上、1.0パスカル以下である。
【請求項11】
前記1項の半導体装置の製造方法において、前記気圧は、0.4パスカル以上、1.0パスカル以下である。
【請求項12】
前記1項の半導体装置の製造方法において、前記半導体ウエハの最終厚さは、80マイクロ・メートル以上、160マイクロ・メートル以下である。
【請求項13】
前記1項の半導体装置の製造方法において、前記半導体ウエハは、200φシリコン系ウエハである。
【請求項14】
前記1項の半導体装置の製造方法において、前記半導体装置は、パワーMOSFETを含む。
【請求項15】
前記1項の半導体装置の製造方法において、前記凹部は、2段構造を呈している。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−272676(P2010−272676A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122929(P2009−122929)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】