半導体装置
【課題】 信頼性の高い半導体装置を実現するために、寄生容量の大きな半導体装置を提供する。
【解決手段】 半導体装置は、第1方向に延在する突出部1bを有する半導体基板1を含む。ゲート絶縁膜11は、突出部の上面上および第1方向に沿う側面上に配設される。ゲート電極12は、第1部分12aと第2部分12bを有する。第1部分は、突出部と交差し、且つ突出部の上面上のゲート絶縁膜上に配設される。第2部分は、突出部の側面上のゲート絶縁膜上に配設され、且つ第1方向における長さが第1部分の第1方向における長さより長い。1対のソース/ドレイン領域13が、ゲート電極の第1部分の下方の領域を挟むように突出部の表面に形成される。
【解決手段】 半導体装置は、第1方向に延在する突出部1bを有する半導体基板1を含む。ゲート絶縁膜11は、突出部の上面上および第1方向に沿う側面上に配設される。ゲート電極12は、第1部分12aと第2部分12bを有する。第1部分は、突出部と交差し、且つ突出部の上面上のゲート絶縁膜上に配設される。第2部分は、突出部の側面上のゲート絶縁膜上に配設され、且つ第1方向における長さが第1部分の第1方向における長さより長い。1対のソース/ドレイン領域13が、ゲート電極の第1部分の下方の領域を挟むように突出部の表面に形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)のメモリセルおよびラッチ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)において、各種原因でノイズ電流が発生することがある。このノイズ電流には、例えば、FETの基板電流によるノイズ電流、パッケージや各種半導体材料から発生するα線がシリコン基板中に入射して誘起されるノイズ電流、上空から飛来する高エネルギー中性子がシリコン原子と反応して2次粒子(重イオン、α線等)を発生させ、この2次粒子がシリコン基板中を走ることにより誘起されるノイズ電流等がある。
【0003】
また、近時、半導体装置の微細化が進むに連れてゲート容量や拡散層容量が低下し、電源電圧も低下している。このため、プレーナ型MISFETを用いた完全CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型SRAMのメモリセルおよびラッチ回路は、上記等のノイズ電流に対する耐性が非常に弱くなってきている。その結果、小さなノイズ電流にも耐えられずに、ラッチ回路が反転して正しい出力が伝達できない、SRAMのメモリセルのデータが容易に反転してしまう、等が発生する可能性が高まっている。
【0004】
特開平7-131009号公報(特許文献1)には、MISFETの、ゲート長方向またはゲート幅方向に沿った断面において、チャネル部分にトレンチが形成され、このトレンチ内にゲート電極が埋め込まれる構造が開示されている。
【特許文献1】特開平7-131009号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、製造コストを大きく増加させること無く信頼性の高い半導体装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の視点による半導体装置は、第1方向に延在する突出部を有する半導体基板と、前記突出部の上面上および前記第1方向に沿う側面上に配設されたゲート絶縁膜と、前記突出部と交差し且つ前記突出部の前記上面上の前記ゲート絶縁膜上に配設された第1部分と、前記突出部の前記側面上の前記ゲート絶縁膜上に配設され且つ前記第1方向における長さが前記第1部分の前記第1方向における長さより長い第2部分と、を有するゲート電極と、前記ゲート電極の前記第1部分の下方の領域を挟むように前記突出部の表面に形成された1対のソース/ドレイン領域と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電流駆動能力が高く且つ寄生容量の大きな半導体装置、およびこのような半導体装置を用いて信頼性の高い半導体装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明者等は、本発明の開発の過程において、高い信頼性を有する半導体装置について研究した。その結果、本発明者等は、以下に述べるような知見を得た。
【0009】
基板表面とMISFETのチャネル領域の側面をゲート電極が包み込む構造(FinタイプFET)が知られている。このMISFETは、チャネルを3面(基板の上面と2つの側面)に持つため、一般にチャネルの実行的な長さが増え、大幅な電流駆動能力の増加を見込める。FinタイプのMISFETでは、(Finタイプに限らずMISFETの特性改善として一般的なことであるが)スイッチングスピードの低下の原因となる寄生容量をできるだけ低く抑える構造とされている。
【0010】
上記したように、FinタイプのMISFETは大きな電流を流すことが可能である。このため、このMISFETがSRAMのメモリセルまたはラッチ回路の、ノイズ電流を打ち消す方向に電流を流す個所に用いられることにより、ノイズ電流に対する耐性を向上させることができると考えられる。
【0011】
SRAMメモリセルまたはラッチ回路のノイズ耐性をさらに向上させるために、SRAMメモリセルの時定数を増加させることが有効である。これを実現するための1つの方策として、メモリセル内の容量値を増加させることが挙げられる。しかしながら、上記したように、FinタイプのMISFETは寄生容量を小さく作るため、このMISFETがSRAMメモリセルまたはラッチ回路に用いられたとしても、上記した大きな電流駆動能力によるノイズ耐性の向上は見込めるが、容量の増加によるノイズ耐性の向上は大きく期待できない。
【0012】
また、3面に形成されるチャネルが相互に重なり合うことにより、この部分でのサブスレッショルド電流が増加する問題が生じる。さらに、3面に形成されるゲート電極の電界の影響でGIDL(Gate Induced Drain Leakage)電流が増加する問題が生じる。サブスレッショルド電流、GIDL電流による不要な消費電流の増加が起こるため、従来のFinタイプのMISFETを大容量、低消費電力のSRAMのメモリセルに用いることができない。
【0013】
以下に、このような知見に基づいて構成された本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置(MISFET)の主要部を模式的に示す斜視図である。図2は、図1をより見やすくするために、図1のスペーサが省略された図である。また、図3は、図1の平面図である。図4(a)、図4(b)、図4(c)、図4(d)は、それぞれ、図3のIVA−IVA線、IVB−IVB線、IVC−IVC線、IVD−IVD線に沿った断面図である。
【0015】
図1、図2、図3、図4(a)〜(d)に示すように、例えばp型のシリコン等の半導体基板1は、第1部分1aと、第1部分1aより高い上面を有する第2部分(突出部)1bとを有する。半導体基板1の第2部分1bは第1部分1aから突出し、ある方向(第1方向)に沿った角柱形状を有し、その断面形状は、下部の幅が上部の幅よりやや広い台形形状を有する。その理由は後述する。半導体基板1の第1部分1a(以下、単に半導体基板1a)の上面と側面とがなす角の角度は、90°以上120°以下とされる。または、この角は、図4(a)の破線による円内に示すように、曲率半径が1nm以上の丸みを有していても良い。
【0016】
半導体基板1aの上には、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)構造の素子分離絶縁膜2が設けられる。素子分離絶縁膜2は、例えば、シリコン酸化膜、TEOS(Tetraehylorthosilicate)等から構成される。素子分離絶縁膜2は、第1部分2aと、第1部分2aより高い上面を有する第2部分2bと、を有する。素子分離絶縁膜2の第2部分2b(以下、単に素子分離絶縁膜2b)は、第1部分1aから突出した角柱形状を有し、半導体基板1bと同じ方向に沿って、距離を有して延在する。また、素子分離絶縁膜2bは、半導体基板1の第2部分1b(以下、単に半導体基板1b)より高い上面を有する。素子分離絶縁膜2の第1部分2aは、半導体基板1bに隣接して半導体基板1aに沿って延在する。素子分離絶縁膜の第1部分2aを底とし、素子分離絶縁膜2bと半導体基板1bとを側面とする溝3が形成される。
【0017】
半導体基板1の表面には、ウェル4(4a、4b)が形成される。半導体基板1bに形成されるソース/ドレイン領域13(後述する)に形成されるトランジスタの導電型に応じて、ウェル4aの導電型が決定される。ウェル4a、4bの導電型が相互に異なる場合、素子分離絶縁膜2の下において、pn接合部が形成される。なお、いわゆるトリプルウェル構造の場合、例えばn−型のウェル(図示せぬ)内にウェル4a、4bが形成される。一般にトリプルウェル構造とすることにより、ソフトエラーに対する耐性を上げることができるといわれている。
【0018】
半導体基板1bの上面および側面は、例えばシリコン酸化膜等のゲート絶縁膜11により覆われている。なお、図4(a)の断面に示されるように、(100)の半導体基板1bの側面上のゲート絶縁膜11の厚さは、半導体基板1bの上面上の厚さより厚い。これは、半導体基板1bの上面と側面との間の面方位の違いにより、側面のほうが酸化されやすいためである。なお、この上面と側面の酸化膜厚は任意に設定可能である。また、図4(b)の断面においては、ゲート絶縁膜11の上面が除去されている。そして、この部分に、ソース/ドレイン領域13と上層の配線とを接続するコンタクト(図示せぬ)が形成される。
【0019】
素子分離絶縁膜2上および半導体基板1上に、例えば導電性とされたポリシリコンからなるゲート電極12が設けられる。ゲート電極12は、第1部分12aと、第2部分12bとから構成される。ゲート電極12の第1部分12a(以下、単にゲート電極12a)は、半導体基板1bと交差する方向に延在し、素子分離絶縁膜2b上と、半導体基板1bの上方とに亘る。ゲート電極12aは、半導体基板1b上との交差部分において、半導体基板1b上のゲート絶縁膜11上に設けられる。ゲート電極12aのゲート絶縁膜11と接する面の角部は、所望により丸められている(図示せぬ)。こうすることにより、角部で電界が集中することが緩和される。
【0020】
ゲート電極12b(以下、単にゲート電極12b)は、溝3を埋め込むように設けられ、その上面は半導体基板1bより、やや低い程度に位置する。よって、ゲート電極12bは、半導体基板1bに沿った角柱形状を有する。ゲート電極12bの第1方向における長さは、ゲート電極12aの第1方向における長さより長い。ゲート電極12は、以上のような構造を有することにより、半導体基板1bを取り囲んでいる。
【0021】
半導体基板1bの表面内には、ゲート電極12a下方のチャネル領域を挟むように、1対のソース/ドレイン領域13が形成される。例えば、ゲート電極12aの手前側がドレイン領域で、奥側がソース領域である。ソース/ドレイン領域13は、所望により、低濃度のソース/ドレインエクステンション領域と、高濃度のソース/ドレイン領域から構成されていても良い。なお、ゲート電極12bは、少なくともソース/ドレイン領域13の両方に達するように形成されている。
【0022】
ゲート電極12aの側面上には、例えばシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜からなるスペーサ14が設けられる。スペーサ14はまた、溝3内にも埋め込まれ、この結果、ゲート電極12bがスペーサ14を構成する絶縁膜により覆われる。
【0023】
次に、上記構成の半導体装置の製造方法について、図5、図6、および図7(a)、図7(b)、図7(c)〜図13(a)、図13(b)、図13(c)を参照して以下に説明する。図5は、第1実施形態に係る半導体装置の主要部の平面図である。図6は、第1実施形態に係る半導体装置の製造工程の一部を示す図であり、図5のA−A線に沿った断面に対応する。図7(a)、図8(a)、図9(a)、図10(a)、図11(a)、図12(a)、図13(a)は、第1実施形態の半導体装置の製造工程の一部を順に示す断面図であり、図5のA−A線に沿った断面に対応する。図7(b)、図8(b)、図9(b)、図10(b)、図11(b)、図12(b)、図13(b)は、第1実施形態の半導体装置の製造工程の一部を順に示す断面図であり、図5のB−B線に沿った断面に対応する。図7(c)、図8(c)、図9(c)、図10(c)、図11(c)、図12(c)、図13(c)は、第1実施形態の半導体装置の製造工程の一部を順に示す断面図であり、図5のC−C線に沿った断面に対応する。
【0024】
まず、図6に示すように、半導体基板1の表面の素子分離絶縁膜2の形成予定領域に対応する位置に、例えばリソグラフィー工程およびRIE(Reactive Ion Etching)等の異方性エッチングにより溝が形成される。次に、この溝が、例えば例えば酸化膜により埋め込まれることにより、素子分離絶縁膜2が形成される。この結果、半導体基板の第2部分1bが規定される。半導体基板1の表面から、イオンが注入されることにより、所望のn型またはp型のウェル4およびチャネルが形成される。なお、トリプルウェル構造にする場合には、このウェル4の形成工程に先立ち、より深い位置へのイオン注入により例えばn−型のウェルが形成される。
【0025】
次に、図7(a)、図7(b)、図7(c)に示すように、半導体基板1上の全面に、例えばレジスト等のマスク材21が堆積される。次に、例えばリソグラフィー工程およびRIE等のエッチングにより、半導体基板1bおよびそれに隣接する溝3の形成予定領域に対応する位置のマスク材21に開口が形成される。このとき、半導体基板1の表面が若干エッチングされることにより、第2部分1bの上面が、半導体基板1の元の表面の位置より低くなる。次に、所望により、半導体基板1bの角を丸める処理が行われる。なお、角の丸まりは、形成される場合であっても、図7(a)、図7(b)、図7(c)〜図13(a)、図13(b)、図13(c)において、図面の簡略化のために示されていない。次に、マスク材21が除去される。
【0026】
次に、図8(a)、図8(b)、図8(c)に示すように、半導体基板1bの角を丸め、またRIEによるダメージ除去のために、表面上に犠牲酸化膜22が形成される。
【0027】
次に、図9(a)、図9(b)、図9(c)に示すように、犠牲酸化膜22が除去された後、例えば熱酸化により、半導体基板1bの表面上にゲート絶縁膜11が形成される。
【0028】
次に、図10(a)、図10(b)、図10(c)に示すように、半導体基板1上の全面にゲート電極12の材料膜が堆積される。次に、例えばリソグラフィー工程およびRIE等の異方性エッチングを用いて材料膜がパターニングされることにより、ゲート電極12aが形成される。この際、エッチングの条件が適切に設定されることにより、材料膜が溝3内に残存する。この結果、ゲート電極12bが同時に形成される。この後、所望により、ゲート電極12の、ゲート絶縁膜11と接する面の角部が、酸化工程により丸められる。なお、角の丸まりは、形成される場合であっても、図10(a)、図10(b)、図10(c)〜図13(a)、図13(b)、図13(c)において、図面の簡略化のために示されていない。
【0029】
次に、図11(a)、図11(b)、図11(c)に示すように、ゲート電極12の表面上に、酸化膜23が堆積される。次に、半導体基板1bの表面にイオンが注入され、アニール処理が施されることにより、ソース/ドレインエクステンション領域13aが形成される。
【0030】
次に、図12(a)、図12(b)、図12(c)に示すように、半導体基板1上の全面にスペーサ14の材料膜24が堆積される。この際、溝3も材料膜24により埋め込まれる。
【0031】
次に、図13(a)、図13(b)、図13(c)に示すように、例えばRIE法等の異方性エッチングにより材料膜24がエッチングされることにより、スペーサ14が形成される。この際、溝3内の材料膜24は除去されない。
【0032】
この後、ソース/ドレイン領域13にサリサイド層が形成され、半導体基板1上の全面に層間絶縁膜が形成され、層間絶縁膜内に、半導体基板1に達するコンタクト、および配線層等が形成される(何れも図示せぬ)。
【0033】
本発明の第1実施形態に係る半導体装置(MISFET)によれば、トランジスタのオン時に、チャネル領域が、半導体基板1bの上面および両側面に形成される。このため、実効的なチャネル長が増加することにより、トランジスタ電流駆動能力が増大する。この際、トランジスタの閾値電圧は不変である。また、ゲート電極12とチャネル領域が向きあう領域の面積が大きくなるため、大きなゲート容量を実現できる。
【0034】
また、第1実施形態に係る半導体装置によれば、ゲート電極12bが、ソース/ドレイン領域13の側面に設けられる。このため、ゲート電極12とソース/ドレイン領域13とが面する領域の面積が増大し、従来のFinタイプのトランジスタより、さらに大きなオーバーラップ容量を実現できる。すなわち、大きな電流駆動能力と大きな寄生容量を同時に得られるトランジスタを実現できる。
【0035】
また、第1実施形態に係る半導体装置において、半導体基板1bが台形形状を有する。このため、以下の効果(利点)を得られる。すなわち、半導体基板1bの角において、トランジスタのオン時に第2部分1bの上面のチャネルと側面のチャネルとが交差する。このため、この交差部分でのサブスレッショルド電流が大きくなる。このサブスレッショルド電流を小さく抑えるには、2つのチャネルが重なり合う部分の面積を減少させることが有効である。そこで、半導体基板1bを台形とすることにより、チャネルの重なりある部分を小さくすることができる。以上の観点から、図4(a)に示すように、第2部分1bの上面と側面とが成す角度θは、90°〜110°とされることが望ましい。さらに、この部分を丸めることにより、ゲート電極11から生じる電界がこの部分で集中することを抑えることができるので、ソース領域13からドレイン領域13に流れるリーク電流を低減することができる。
【0036】
また、第1実施形態に係る半導体装置によれば、ゲート電極12bがスペーサ14を構成する絶縁膜により覆われる。このため、以下の効果を有する。すなわち、後の工程により、図1の構造上の全面に層間絶縁膜が形成され、ソース/ドレイン領域13へのコンタクトのためのコンタクトホールが形成される。この際、マスクの合わせずれ等の理由により、コンタクトホールの一部が、ゲート電極12bの上方に位置する場合がある。このようなコンタクトホールに導電材料が埋め込まれることにより、ショートが発生する。これに対し、第1実施形態に係る半導体装置によれば、ゲート電極12bが絶縁膜により覆われているため、このようなショートの発生を回避できる。
【0037】
なお、オーバーラップ容量は、ゲート電極12の第2部分12bの、ソース/ドレイン領域13を相互に結ぶ方向の長さ(図4(d)の長さL)を大きくすることにより、増加させることができる。また、ゲート電極12の第2部分12bの深さ方向における長さ(図4(a)の長さD)を大きくすることにより、電流駆動能力と容量を増加させることができる。
【0038】
(第2実施形態)
第2実施形態は、第1実施形態に係る半導体装置(トランジスタ)がSRAMのメモリセルに適用された形態に関わる。
【0039】
図14は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置(SRAM)の主要部を模式的に示す平面図であり、第1実施形態に係るトランジスタがSRAMのメモリセルに適用された形態を示す平面図である。なお、図14、および後述の図17〜図26において、図を簡略にするために、素子領域(半導体基板1)、素子分離領域(素子分離絶縁膜2)、ゲート電極12のみが示されており、スペーサ14、コンタクト、配線等は省略されている。また、第2実施形態の一例として、点対称セルが示されているが、線対称セルも同様にして実現することができる。
【0040】
図14に示すように、素子分離絶縁膜2により、紙面の上下方向に沿って4列の素子領域1が規定されている。また、紙面左右方向に沿って、素子領域1および素子分離領域2上を亘る2列のゲート電極12aが設けられる。相互に離れた2列のゲート電極12aのそれそれが素子分離領域2上で分断されることにより、図では4本のゲート電極12aが示されている。
【0041】
右上のゲート電極12aおよび最も右の素子領域1はトランジスタQ1Dの一部を構成し、ゲート電極12aおよび右から2番目の素子領域1はトランジスタQ1Lの一部を構成する。トランジスタQ1D、Q1Lにおいて、ゲート電極12aの上下両側の素子領域1に形成されたソース/ドレイン領域13(図示せぬ)のうち、例えば上側がソースに対応し、下側がドレインに対応する。
【0042】
同様に、左下のゲート電極12aおよび最も左の素子領域1はトランジスタQ2Dの一部を構成し、ゲート電極12aおよび左から2番目の素子領域1はトランジスタQ2Lの一部を構成する。トランジスタQ2D、Q2Lにおいて、ゲート電極12aの上下両側の素子領域1に形成されたソース/ドレイン領域13(図示せぬ)のうち、例えば上側がドレインに対応し、下側がソースに対応する。
【0043】
また、トランジスタQ1L、Q2Lは、第1実施形態に係るトランジスタの構成を有する。よって、図に示すように、素子領域1の左右両側にゲート電極12bが設けられる。
【0044】
図15は、第2実施形態に係る半導体装置の主要部を示す等価回路図であり、図14の構成を一部に含むSRAMメモリセルの回路図である。図15に示すように、直列接続されたp型の負荷用のMISトランジスタQ1Lとn型の駆動用のMISトランジスタQ1Dとが、電源線Vddと接地線Vssとの間に接続されている。トランジスタQ1LのゲートとトランジスタQ1Dのゲートとは相互に接続され、これらの接続ノードは、抵抗素子(抵抗要素)R1の一端と接続されている。トランジスタQ1LとトランジスタQ1Dとの接続ノードは、n型の転送用のトランジスタQ1Tを介して、ビット線BL1と接続されている。トランジスタQ1Tのゲートは、ワード線と接続される。
【0045】
直列接続されたp型の負荷用のMISトランジスタQ2Lとn型の駆動用のMISトランジスタQ2Dとが、電源線Vddと接地線Vssとの間に接続されている。トランジスタQ2LのゲートとトランジスタQ2Dのゲートとは相互に接続され、これらの接続ノードは、抵抗素子R2の一端と接続されている。トランジスタQ2LとトランジスタQ2Dとの接続ノードは、n型の転送用のトランジスタQ2Tを介して、ビット線BL2と接続されている。トランジスタQ2Tのゲートは、ワード線と接続される。
【0046】
抵抗素子R1の他端は、トランジスタQ2LとトランジスタQ2Dとの接続ノードに接続される。抵抗素子R2の他端は、トランジスタQ1LとトランジスタQ1Dとの接続ノードに接続される。
【0047】
上記したように、負荷用のトランジスタQ1Lに、第1実施形態に係るトランジスタが採用されることにより、このトランジスタの寄生容量C11、C12が、トランジスタQ1Lと並列に付加される。同様に、負荷用のトランジスタQ2Lに本発明の実施形態に係るトランジスタが採用されることにより、このトランジスタの寄生容量C22、C22が、トランジスタQ2Lに並列に付加される。
【0048】
次に、第2実施形態に係る半導体装置(SRAM)により得られる効果について、以下に説明する。上記したように、トランジスタQ1L、Q2Lとして、第1実施形態に係るトランジスタを用いることにより、トランジスタQ1L、Q2Lの閾値を変えずに電流駆動力を増加させることができる。ここで、例えば、トランジスタQ1LとトランジスタQ1Dの接続ノードがハイレベルの状態のときに、ローベルに向かわせるノイズ電流が入った(例えばα線により発生した電子がハイレベルの接続ノードに集まった)場合を考える。この場合、オンしているトランジスタQ1Lが高い電流駆動能力を有しているため、ノイズ電流を打ち消す電流(正孔)が該接続ノードに流れ込む。よって、該接続ノードの電位がローレベルに反転する可能性を大幅に減少できる。トランジスタQ2LとトランジスタQ2Dの接続ノードに関しても同じである。
【0049】
また、第1実施形態に係るトランジスタにより、トランジスタQ1L、Q2Lの容量が増加する。この結果、トランジスタQ1L、Q2Lが反転するのに要する、トランジスタQ1L、Q2Lのゲートの電荷量が増加する。このため、例えばトランジスタQ1LとトランジスタQ1DLの接続ノードがハイレベルの状態のときに、ローレベルに向かわせるノイズ電流が入った場合でも、トランジスタQ2Lが容易に反転する可能性を大幅に減少できる。トランジスタQ2LとトランジスタQ2Dとの接続ノードと、トランジスタQ1Lとの関係に関しても同じである。
【0050】
また、トランジスタQ1L、Q2Lの容量の増加により時定数が増加するため、トランジスタQ1L、Q2Lが反転する前に、ノイズ電流を打ち消す電流が供給される可能性が高まる。同様に、抵抗素子R1、R2が設けられることにより時定数がさらに増加し、ノイズ電流を打ち消す電流が供給される時間を確保することができる。
【0051】
なお、抵抗素子R1、R2を半導体基板1上で、実際にどのような形で形成するかは問わないが、例えば以下の方法を採用することができる。例えばポリシリコン等の半導体材料からなるゲート電極は、金属材料から成るコンタクトとの界面抵抗を減ずるために、通常、高濃度の不純物(例えば1×1020cm-3以上)が注入されている。これに対して、ゲート電極とコンタクトとの接触部分の不純物濃度を、低くする(例えば1×1019cm-3程度)ことにより、この部分の界面抵抗が上昇する。この現象を利用することにより、容易かつメモリセル面積の増大を招くことなく、図15の抵抗素子R1および(または)R2を実現することができる。
【0052】
さらに、ゲート電極12と、これと隣接するソース/ドレイン領域13との電気的な接続を、いわゆるシェアコンタクトにより実現することもできる。シェアコンタクトは、コンタクトが、ゲート電極12からソース/ドレイン領域13までを覆うように形成された構成を有する。この場合も、もちろん、ゲート電極12とコンタクトとの界面抵抗を積極的に上げる構成を併用することも可能である。図16は、本実施形態に、シェアコンタクトおよび高い界面抵抗を利用した際の平面図である。図16において、参照符号322はシェアコンタクトを示し、参照符号31はゲート電極12とシェアコンタクト32とによる界面抵抗を示している。
【0053】
本発明の第2実施形態に係る半導体装置によれば、第1実施形態に係るトランジスタがSRAMメモリセルの一部を構成するトランジスタとして用いられるため、このトランジスタに大きな電流駆動能力を持たせることができる。このため、このトランジスタを介してノイズ電流を打ち消す電流を大量に流すことが可能となり、ノイズに対する耐性が高いSRAMメモリセルを実現できる。
【0054】
また、第2実施形態によれば、第1実施形態に係るトランジスタがSRAMメモリセルの一部を構成するトランジスタとして用いられるため、このトランジスタに大きな容量を持たせることができる。このため、SRAMメモリセル中のこのトランジスタを含む部分の時定数を増加させることにより、このトランジスタのオン、オフが、ノイズ電流によって容易に反転することを回避できる。よって、ノイズに対する耐性が高いSRAMメモリセルを実現できる。
【0055】
また、第2実施形態によれば、トランジスタQ1L、Q1D、Q2L、Q2Dのゲートに一端が接続された抵抗素子(抵抗要素)R1、R2が設けられる。このため、SRAMメモリセル中のこれらトランジスタQ1L、Q1D、Q2L、Q2Dを含む部分の時定数をさらに増加させることができる。よって、これらトランジスタQ1L、Q1D、Q2L、Q2Dのオン、オフが、ノイズ電流によって容易に反転することを回避することにより、ノイズに対する耐性が高いSRAMメモリセルを実現できる。
【0056】
さらに、第2実施形態によれば、第1実施形態に係るトランジスタが有する寄生容量を用いることにより、SRAMメモリセルの一部を構成するトランジスタの容量増加が図られている。このため、独立した容量素子を付加する場合と異なり、容量を増加させたことに起因して、1つのメモリセルの面積が増加することが回避される。さらに、抵抗要素R1、R2を、界面抵抗を利用して実現することにより、メモリセルの面積の増大を防止できる。
【0057】
また、第1実施形態に係るトランジスタがSRAMメモリセルの一部に用いられているため、サブスレッショルド電流を低減することにより、低消費電力のSRAMを実現できる。
【0058】
なお、本実施形態において、SRAMメモリセルを例に取り説明した。しかしながら、ラッチ回路もSRAMメモリセルと同様の動作原理を有しており、本実施形態をラッチ回路に適用した場合も上記した効果と同じ効果を得られる。
【0059】
(第2実施形態の変形例)
次に、第2実施形態の変形例について図17〜図26を参照して以下に説明する。図17〜図26は、第2実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を模式的に示す平面図である。上記説明において、負荷用のトランジスタQ1L、Q2Lに、第1実施形態に係るトランジスタが採用された例を取り上げた。しかしながら、駆動用のトランジスタQ1D、Q2Dとして、第1実施形態に係るトランジスタを用いることもできる。また、負荷用、駆動用のトランジスタに対して適用することも可能である。
【0060】
図17に示す構成においては、駆動用のトランジスタQ1D、Q2Dが第1実施形態に係るトランジスタにより構成されている。また、図18に示す構成においては、負荷用のトランジスタQ1L、Q2L、駆動用のトランジスタQ1D、Q2Dが、共に第1実施形態に係るトランジスタにより構成されている。また、図19に示す構成においては、図18の構成に加えて、トランジスタQ1LとトランジスタQ1Dとの間ゲート電極12b、およびトランジスタQ2LとトランジスタQ2Dとの間ゲート電極12bが相互に接続されている。
【0061】
また、第1実施形態に係るトランジスタは、半導体基板1bの両側面上にゲート電極12bが設けられている。しかしながら、何れか一方とすることも可能である。
【0062】
図20に示す構成においては、トランジスタQ1L、Q2Lが第1実施形態に係るトランジスタにより構成される。トランジスタQ1Lのゲート電極12bは、トランジスタQ1Dと反対側にのみ設けられる。トランジスタQ2Lのゲート電極12bは、トランジスタQ2Dと反対側にのみ設けられる。
【0063】
図21に示す構成においては、トランジスタQ1D、Q2Dが第1実施形態に係るトランジスタにより構成される。トランジスタQ1Dのゲート電極12bは、トランジスタQ1Lと反対側にのみ設けられる。トランジスタQ2Dのゲート電極12bは、トランジスタQ2Lと反対側にのみ設けられる。
【0064】
図22に示す構成においては、トランジスタQ1L、Q2L、Q1D、Q2Dが第1実施形態に係るトランジスタにより構成される。トランジスタQ1Lのゲート電極12bは、トランジスタQ1Dと反対側にのみ設けられる。トランジスタQ1Dのゲート電極12bは、トランジスタQ1Lと反対側にのみ設けられる。トランジスタQ2Lのゲート電極12bは、トランジスタQ2Dと反対側にのみ設けられる。トランジスタQ2Dのゲート電極12bは、トランジスタQ2Lと反対側にのみ設けられる。
【0065】
図23に示す構成においては、トランジスタQ1L、Q2L、Q1D、Q2Dが第1実施形態に係るトランジスタにより構成される。トランジスタQ1L、Q1Dのゲート電極12bは、トランジスタQ1D、Q1Lとそれぞれ向き合う側にのみ設けられる。トランジスタQ2L、Q2Dのゲート電極12bは、トランジスタQ2D、Q2Lとそれぞれ向き合う側にのみ設けられる。
【0066】
図24に示す構成においては、図23の構成に加え、トランジスタQ1L、Q1Dとの間のゲート電極12bが相互に接続されている。また、トランジスタQ2L、Q2Dとの間のゲート電極12bが相互に接続されている。
【0067】
図25に示す構成においては、図24の構成に加え、トランジスタQ1Dの、トランジスタQ1Lと反対側にもゲート電極12bが設けられている。また、トランジスタQ2Dの、トランジスタQ2Lと反対側にもゲート電極12bが設けられている。
【0068】
図26に示す構成においては、図24の構成に加え、トランジスタQ1Lの、トランジスタQ1Dと反対側にもゲート電極12bが設けられている。また、トランジスタQ2Lの、トランジスタQ2Dと反対側にもゲート電極12bが設けられている。
【0069】
図17〜図26に示す変形例によっても、上記した第2実施形態により得られる効果を得られる。ゲート電極12bが設けられる位置が多いほど、トランジスタの電流駆動能力および寄生容量が増加するので、電流駆動能力および寄生容量の増加により得られる効果の程度が大きくなる。すなわち、負荷用のトランジスタQ1L、Q2L、駆動用のトランジスタQ1D、Q2Dに第1実施形態に係るトランジスタを採用した場合(図18、図19の例)、容量のさらなる増加により、半導体装置のノイズに対する耐性をさらに高めることができる。
【0070】
また、図20、図21、図22の構成とすることにより、ゲート電極12bの面積が減少する分、電流駆動能力および寄生容量が減少し、上記した効果がやや小さくなるが、以下に示す別の効果を得られる。図27は、図22のXXVII−XXVII線に沿った断面図である。図27に示すように、n型のウェル4上でp型のウェル4からp型のソース/ドレイン領域13に至る部分にはゲート電極12bが設けられない。このため、ゲート電極12bにトランジスタをオンさせる電位が供給された場合でも、p型のウェル4、n型のウェル4、p型のソース/ドレイン領域13がPNPの縦型トランジスタとなってこのトランジスタのチャネルに対応するn型のウェル4の絶縁膜に面した領域が反転することが回避される。この部分の反転を回避することにより、p型のウェル4とp型のソース/ドレイン領域13との間に大きなリーク電流が流れたり、ラッチアップに至ることを防止できる。
【0071】
(第3実施形態)
第3実施形態は、トランジスタの構造に係り、ドレイン領域で発生するGIDL電流の抑制に関する。
【0072】
図28は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置(MISFET)の主要部を模式的に示す斜視図である。なお、図28において、図の簡略にするために、図2と同様、スペーサが省略されている。また、図29は、図28の平面図である。図30(a)、図30(b)、図30(c)、図30(d)は、それぞれ、図28のXXXA−XXXA線、XXXB−XXXB線、XXXC−XXXC線、XXXD−XXXD線に沿った断面図である。
【0073】
図28、図29、図30(a)〜図30(d)に示すように、ゲート電極12bは、ゲート電極12aの両側(紙面の奥と手前)のうち、ソース領域13(S)側にのみ設けられ、ドレイン領域の側面には達しない。ドレイン領域13(D)側の半導体基板1bの側面には素子分離絶縁膜2が設けられる。ゲート電極12bの、ドレイン領域13(D)側の端部は、ゲート電極12aのドレイン領域13(D)側の端部とほぼ同じ位置に位置する。その他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0074】
次に、第3実施形態に係る半導体装置により得られる効果について、以下に説明する。例えばp型のMISFETを例に取ると、MISFETのオフ時におけるp型のゲート電極の電位(電源電位VDD)により、n型のウェルの表面が空乏化する。この空乏層が、p型のドレイン領域とウェルとの境界に形成されることにより、接地電位VSSが印加されているドレイン領域とウェルとの間にトンネルリーク電流が流れる。このリーク電流(GIDL電流)は、MISFETの特性を劣化させる。GIDL電流を抑制するには、ゲート電極の電位によってドレイン領域とウェルとの境界に空乏層ができることを回避することが有効である。したがって、ドレイン領域とゲート電極とが向き合う面積を減少させることが考えられる。そこで、第3実施形態では、ゲート電極12bを、ドレイン領域13(D)と面する部分に設けないことにより、ゲート電極12bに起因するGIDL電流を減少させることができる。
【0075】
なお、図30(c)から分かるように、ドレイン領域13(D)の縁は、ゲート電極12aの端部よりやや中心よりの位置に位置する。このため、図28、図29、図30(a)〜図30(d)に示す構成の場合、ドレイン領域13(D)のこの縁の部分がゲート電極12aと重なり合う。これに対して、素子分離絶縁膜2内のゲート電極12aのドレイン領域13(D)側の端部を、図31、図32(a)〜図32(d)に示すように、ゲート電極12aの中心よりに配置することもできる。図31は、第3実施形態の他の例に係る半導体装置(MISFET)の平面図である。図32(a)、図32(b)、図32(c)、図32(d)は、それぞれ、図31のXXXIIA−XXXIIA線、XXXIIB−XXXIIB線、XXXIIC−XXXIIC線、XXXIID−XXXIID線に沿った断面図である。なお、斜視図は、図28と同じである。
【0076】
図31、図32(a)〜図32(d)に示すように、ゲート電極12は、ドレイン領域13(D)と全く重なり合っていない。こうすることにより、より大きくGIDL電流を削減することができる。
【0077】
本発明の第3実施形態に係る半導体装置によれば、第1実施形態と同じく、ゲート電極12bが半導体基板1bの側面に設けられるため、第1実施形態と同じ効果を得られる。また、第3実施形態によれば、ゲート電極12bは、ソース領域13(S)の側面上のみに設けられる。このため、第1実施形態に比べて、ゲート電極12とソース/ドレイン領域13とにより形成される容量は小さいが、GIDL電流を低下することができる。
【0078】
また、第1実施形態と同じ構成であるために得られる効果、すなわち、サブスレッショルド電流の低下、ゲート電極12bのショートの回避等の効果も、第3実施形態において得ることができる。
【0079】
(第4実施形態)
第4実施形態では、第3実施形態に係るトランジスタが、第2実施形態と同じく、SRAMのメモリセルに適用された形態に関わる。
【0080】
図33は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置(SRAM)の主要部を模式的に示す平面図であり、第1実施形態に係るトランジスタがSRAMのメモリセルに適用された形態を示す平面図である。図33、および後述の図34〜図43においても、図を簡略にするために、半導体基板1、素子分離絶縁膜2、ゲート電極12のみが示されており、スペーサ14、コンタクト、配線等は省略されている。また、線対称セルも同様にして実現することができる。なお、回路図に関しては、第2実施形態の図15と同じである。
【0081】
図33に示すように、トランジスタQ1Lにおいて、ゲート電極12bは、ドレイン領域(紙面においてゲート電極12bの下側)の側面まで達しない。図33には表れないが、ゲート電極12aの下方において、ゲート電極12はドレイン領域と一部が重なり合っていても良いし(図30(d))、全く重なり合っていなくとも良い(図32(d))。このことは、図34〜図43に関しても同様である。
【0082】
トランジスタQ2Lにおいても同様に、ドレイン領域(紙面においてゲート電極の上側)の側面上には、ゲート電極12bが設けられていない。
【0083】
本発明の第4実施形態に係る半導体装置によれば、第3実施形態に係るトランジスタがSRAMメモリセルの一部を構成するトランジスタとして用いられる。このため、第1実施形態のトランジスタがSRAMのメモリセルに用いられた場合と同じ作用を得られ、ノイズに対する耐性が高く、小面積で、低消費電力のSRAMメモリセルを実現できる。
【0084】
また、第4実施形態によれば、第3実施形態に係るトランジスタを用いることにより、GIDL電流を低下させることができ、より少ない消費電力のSRAMメモリセルを実現できる。
【0085】
(第4実施形態の変形例)
次に、第4実施形態の変形例について図34〜図43を参照して以下に説明する。図34〜図43は、第4実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を模式的に示す平面図である。
【0086】
図34に示す構成においては、駆動用のトランジスタQ1D、Q2Dが第3実施形態に係るトランジスタにより構成されている。また、図35に示す構成においては、負荷用のトランジスタQ1L、Q2L、駆動用のトランジスタQ1D、Q2Dが、共に第3実施形態に係るトランジスタにより構成されている。また、図36に示す構成においては、図35の構成に加えて、トランジスタQ1LとトランジスタQ1Dとの間のゲート電極12b、およびトランジスタQ2LとトランジスタQ2Dとの間のゲート電極12bが相互に接続されている。
【0087】
以下は、半導体基板1bの一方の側面上にゲート電極12bが設けられた例である。まず、図37に示す構成においては、トランジスタQ1L、Q2Lが第3実施形態に係るトランジスタにより構成される。トランジスタQ1Lのゲート電極12bは、トランジスタQ1Dと反対側にのみ設けられる。トランジスタQ2Lのゲート電極12bは、トランジスタQ2Dと反対側にのみ設けられる。
【0088】
図38に示す構成においては、トランジスタQ1D、Q2Dが第3実施形態に係るトランジスタにより構成される。トランジスタQ1Dのゲート電極12bは、トランジスタQ1Lと反対側にのみ設けられる。トランジスタQ2Dのゲート電極12bは、トランジスタQ2Lと反対側にのみ設けられる。
【0089】
図39に示す構成においては、トランジスタQ1L、Q2L、Q1D、Q2Dが第3実施形態に係るトランジスタにより構成される。トランジスタQ1Lのゲート電極12bは、トランジスタQ1Dと反対側にのみ設けられる。トランジスタQ1Dのゲート電極12bは、トランジスタQ1Lと反対側にのみ設けられる。トランジスタQ2Lのゲート電極12bは、トランジスタQ2Dと反対側にのみ設けられる。トランジスタQ2Dのゲート電極12bは、トランジスタQ2Lと反対側にのみ設けられる。
【0090】
図40に示す構成においては、トランジスタQ1L、Q2L、Q1D、Q2Dが第3実施形態に係るトランジスタにより構成される。トランジスタQ1L、Q1Dのゲート電極12bは、トランジスタQ1D、Q1Lとそれぞれ向き合う側にのみ設けられる。トランジスタQ2L、Q2Dのゲート電極12bは、トランジスタQ2D、Q2Lとそれぞれ向き合う側にのみ設けられる。
【0091】
図41に示す構成においては、図40の構成に加え、トランジスタQ1L、Q1Dとの間のゲート電極12bが相互に接続されている。また、トランジスタQ2L、Q2Dとの間のゲート電極12bが相互に接続されている。
【0092】
図42に示す構成においては、図41の構成に加え、トランジスタQ1Dの、トランジスタQ1Lと反対側にもゲート電極12bが設けられている。また、トランジスタQ2Dの、トランジスタQ2Lと反対側にもゲート電極12bが設けられている。
【0093】
図43に示す構成においては、図41の構成に加え、トランジスタQ1Lの、トランジスタQ1Dと反対側にもゲート電極12bが設けられている。また、トランジスタQ2Lの、トランジスタQ2Dと反対側にもゲート電極12bが設けられている。
【0094】
図34〜図43に示す変形例によっても、上記した第4実施形態により得られる効果を得られる。その他、これら変形例個々の効果は、第2実施形態の変形例と同じである。例えば、ゲート電極12bの面積の大きな例では、電流駆動能力および寄生容量の増加により得られる効果の程度が大きくなる。また、隣接するトランジスタ側のゲート電極12bを有さないトランジスタにおいては、電流駆動能力および寄生容量は小さくなるが、大きなリーク電流が流れることを防止できる。
【0095】
(第5実施形態)
第5実施形態は、トランジスタの構造に係り、ドレイン領域で発生するGIDL電流の抑制に関する。
【0096】
図44は、本発明の第5実施形態に係る半導体装置(MISFET)の平面図である。図45(a)、図45(b)、図45(c)、図45(d)は、それぞれ、図44のXLVA−XLVA線、XLVB−XLVB線、XLVC−XLVC線、XLVD−XLVD線に沿った断面図である。
【0097】
図44、図45(a)〜図45(d)に示すように、ドレイン領域13(D)が形成される半導体基板1bと接する部分のゲート電極12bは、ドレイン領域13(D)の下面より低い位置にある。その他の構成は、第1実施形態と同じである。このように、ゲート電極12bとドレイン領域13(D)とが重なり合う部分を排除することにより、GIDL電流を抑制することができる。
【0098】
なお、ゲート電極12bの高さをソース領域13(S)側とドレイン領域13(D)側とにおいて異ならせることは、製造工程を煩雑にする可能性がある。そこで、図46、図47(a)〜図47(d)に示すように、ソース領域13(S)側のゲート電極12bも、ドレイン領域13(D)側と同じ高さにすることもできる。図46は、本発明の第5実施形態の他の例に係る半導体装置(MISFET)の平面図である。図47(a)、図47(b)、図47(c)、図47(d)は、それぞれ、図46のXLVIIA−XLVIIA線、XLVIIB−XLVIIB線、XLVIIC−XLVIIC線、XLVIID−XLVIID線に沿った断面図である。図46、図47(a)〜図47(d)とすることにより、製造工程の増加が回避される。
【0099】
本発明の第5実施形態に係る半導体装置によれば、第1実施形態と同じく、ゲート電極12bが半導体基板1bの側面に設けられるため、第1実施形態と同じ効果を得られる。
【0100】
また、第5実施形態によれば、ゲート電極12bと、ドレイン領域13(D)とが重なり合わない。このため、ゲート電極12bとドレイン領域13(D)とによる寄生容量を得られないが、GIDL電流をより低く抑えることができる。
【0101】
また、第1実施形態と同じ構成であるために得られる効果、すなわち、サブスレッショルド電流の低下、ゲート電極12bのショートの回避等の効果も、第5実施形態において得ることができる。
【0102】
(第6実施形態)
第6実施形態は、トランジスタの構造に係り、ドレイン領域で発生するGIDL電流の抑制に関する。
【0103】
図48は、本発明の第5実施形態に係る半導体装置(MISFET)の平面図である。図49(a)、図49(b)、図49(c)、図49(d)は、それぞれ、図48のXLIXA−XLIXA線、XLIXB−XLIXB線、XLIXC−XLIXC線、XLIXD−XLIXD線に沿った断面図である。
【0104】
図48、図49(a)〜図49(d)に示すように、ドレイン領域13(D)が形成される半導体基板1bの側面上のゲート絶縁膜11は厚く、GIDL電流を十分抑えられる程度の値を有する。典型低には、他の部分のゲート絶縁膜、例えばソース領域13(S)が形成される半導体基板1bの側面上のゲート絶縁膜11より厚い。ゲート電極とドレイン領域との間の距離を大きくすることにより、GIDL電流を抑えることができることが知られている。このため、第6実施形態に係る構成とすることにより、GIDL電流を低く抑えることができる。
【0105】
本発明の第6実施形態に係る半導体装置によれば、第1実施形態と同じく、ゲート電極12bが半導体基板1bの側面に設けられるため、第1実施形態と同じ効果を得られる。
【0106】
また、第6実施形態によれば、ドレイン領域13(D)が形成される半導体基板1bの側面上のゲート絶縁膜11は厚く形成されている。このため、GIDL電流を抑えることができる。
【0107】
また、第1実施形態と同じ構成であるために得られる効果、すなわち、サブスレッショルド電流の低下、ゲート電極12bのショートの回避等の効果も、第6実施形態において得ることができる。
【0108】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】第1実施形態に係る半導体装置を示す斜視図。
【図2】第1実施形態に係る半導体装置の一部を示す斜視図。
【図3】図1の平面図。
【図4】図3の各部の断面図。
【図5】第1実施形態に係る半導体装置の主要部の平面図。
【図6】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程の一部を模式的に示す断面図。
【図7】図6に続く工程を示す断面図。
【図8】図7に続く工程を示す断面図。
【図9】図8に続く工程を示す断面図。
【図10】図9に続く工程を示す断面図。
【図11】図10に続く工程を示す断面図。
【図12】図11に続く工程を示す断面図。
【図13】図12に続く工程を示す断面図。
【図14】第2実施形態に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図15】第2実施形態に係る半導体装置の主要部を示す等価回路図。
【図16】第2実施形態に係る半導体装置の主要部の一例を示す平面図。
【図17】第2実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図18】第2実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図19】第2実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図20】第2実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図21】第2実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図22】第2実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図23】第2実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図24】第2実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図25】第2実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図26】第2実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図27】図22の断面図。
【図28】第3実施形態に係る半導体装置の主要部を示す斜視図。
【図29】図28の平面図。
【図30】図29の各部の断面図。
【図31】第3実施形態の他の例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図32】図31の各部の断面図。
【図33】第4実施形態に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図34】第4実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図35】第4実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図36】第4実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図37】第4実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図38】第4実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図39】第4実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図40】第4実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図41】第4実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図42】第4実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図43】第4実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図44】第5実施形態に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図45】図44の各部の断面図。
【図46】第5実施形態の他の例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図47】図46の各部の断面図。
【図48】第6実施形態に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図49】図48の各部の断面図。
【符号の説明】
【0110】
1…半導体基板、1a…半導体基板の第1部分、1b…半導体基板の第2部分、2…素子分離絶縁膜、2a…素子分離絶縁膜の第1部分、2b…素子分離絶縁膜の第2部分、3…溝、4、4a、4b…ウェル、11…ゲート絶縁膜、12…ゲート電極、12a…ゲート電極の第1部分、12b…ゲート電極の第2部分、13…ソース/ドレイン領域、13a…ソース/ドレインエクステンション領域、13b…ソース/ドレイン領域、14…スペーサ、21…マスク材、22…犠牲酸化膜、23…酸化膜、24…材料膜、31…抵抗要素、32…コンタクト。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)のメモリセルおよびラッチ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)において、各種原因でノイズ電流が発生することがある。このノイズ電流には、例えば、FETの基板電流によるノイズ電流、パッケージや各種半導体材料から発生するα線がシリコン基板中に入射して誘起されるノイズ電流、上空から飛来する高エネルギー中性子がシリコン原子と反応して2次粒子(重イオン、α線等)を発生させ、この2次粒子がシリコン基板中を走ることにより誘起されるノイズ電流等がある。
【0003】
また、近時、半導体装置の微細化が進むに連れてゲート容量や拡散層容量が低下し、電源電圧も低下している。このため、プレーナ型MISFETを用いた完全CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型SRAMのメモリセルおよびラッチ回路は、上記等のノイズ電流に対する耐性が非常に弱くなってきている。その結果、小さなノイズ電流にも耐えられずに、ラッチ回路が反転して正しい出力が伝達できない、SRAMのメモリセルのデータが容易に反転してしまう、等が発生する可能性が高まっている。
【0004】
特開平7-131009号公報(特許文献1)には、MISFETの、ゲート長方向またはゲート幅方向に沿った断面において、チャネル部分にトレンチが形成され、このトレンチ内にゲート電極が埋め込まれる構造が開示されている。
【特許文献1】特開平7-131009号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、製造コストを大きく増加させること無く信頼性の高い半導体装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の視点による半導体装置は、第1方向に延在する突出部を有する半導体基板と、前記突出部の上面上および前記第1方向に沿う側面上に配設されたゲート絶縁膜と、前記突出部と交差し且つ前記突出部の前記上面上の前記ゲート絶縁膜上に配設された第1部分と、前記突出部の前記側面上の前記ゲート絶縁膜上に配設され且つ前記第1方向における長さが前記第1部分の前記第1方向における長さより長い第2部分と、を有するゲート電極と、前記ゲート電極の前記第1部分の下方の領域を挟むように前記突出部の表面に形成された1対のソース/ドレイン領域と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電流駆動能力が高く且つ寄生容量の大きな半導体装置、およびこのような半導体装置を用いて信頼性の高い半導体装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明者等は、本発明の開発の過程において、高い信頼性を有する半導体装置について研究した。その結果、本発明者等は、以下に述べるような知見を得た。
【0009】
基板表面とMISFETのチャネル領域の側面をゲート電極が包み込む構造(FinタイプFET)が知られている。このMISFETは、チャネルを3面(基板の上面と2つの側面)に持つため、一般にチャネルの実行的な長さが増え、大幅な電流駆動能力の増加を見込める。FinタイプのMISFETでは、(Finタイプに限らずMISFETの特性改善として一般的なことであるが)スイッチングスピードの低下の原因となる寄生容量をできるだけ低く抑える構造とされている。
【0010】
上記したように、FinタイプのMISFETは大きな電流を流すことが可能である。このため、このMISFETがSRAMのメモリセルまたはラッチ回路の、ノイズ電流を打ち消す方向に電流を流す個所に用いられることにより、ノイズ電流に対する耐性を向上させることができると考えられる。
【0011】
SRAMメモリセルまたはラッチ回路のノイズ耐性をさらに向上させるために、SRAMメモリセルの時定数を増加させることが有効である。これを実現するための1つの方策として、メモリセル内の容量値を増加させることが挙げられる。しかしながら、上記したように、FinタイプのMISFETは寄生容量を小さく作るため、このMISFETがSRAMメモリセルまたはラッチ回路に用いられたとしても、上記した大きな電流駆動能力によるノイズ耐性の向上は見込めるが、容量の増加によるノイズ耐性の向上は大きく期待できない。
【0012】
また、3面に形成されるチャネルが相互に重なり合うことにより、この部分でのサブスレッショルド電流が増加する問題が生じる。さらに、3面に形成されるゲート電極の電界の影響でGIDL(Gate Induced Drain Leakage)電流が増加する問題が生じる。サブスレッショルド電流、GIDL電流による不要な消費電流の増加が起こるため、従来のFinタイプのMISFETを大容量、低消費電力のSRAMのメモリセルに用いることができない。
【0013】
以下に、このような知見に基づいて構成された本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置(MISFET)の主要部を模式的に示す斜視図である。図2は、図1をより見やすくするために、図1のスペーサが省略された図である。また、図3は、図1の平面図である。図4(a)、図4(b)、図4(c)、図4(d)は、それぞれ、図3のIVA−IVA線、IVB−IVB線、IVC−IVC線、IVD−IVD線に沿った断面図である。
【0015】
図1、図2、図3、図4(a)〜(d)に示すように、例えばp型のシリコン等の半導体基板1は、第1部分1aと、第1部分1aより高い上面を有する第2部分(突出部)1bとを有する。半導体基板1の第2部分1bは第1部分1aから突出し、ある方向(第1方向)に沿った角柱形状を有し、その断面形状は、下部の幅が上部の幅よりやや広い台形形状を有する。その理由は後述する。半導体基板1の第1部分1a(以下、単に半導体基板1a)の上面と側面とがなす角の角度は、90°以上120°以下とされる。または、この角は、図4(a)の破線による円内に示すように、曲率半径が1nm以上の丸みを有していても良い。
【0016】
半導体基板1aの上には、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)構造の素子分離絶縁膜2が設けられる。素子分離絶縁膜2は、例えば、シリコン酸化膜、TEOS(Tetraehylorthosilicate)等から構成される。素子分離絶縁膜2は、第1部分2aと、第1部分2aより高い上面を有する第2部分2bと、を有する。素子分離絶縁膜2の第2部分2b(以下、単に素子分離絶縁膜2b)は、第1部分1aから突出した角柱形状を有し、半導体基板1bと同じ方向に沿って、距離を有して延在する。また、素子分離絶縁膜2bは、半導体基板1の第2部分1b(以下、単に半導体基板1b)より高い上面を有する。素子分離絶縁膜2の第1部分2aは、半導体基板1bに隣接して半導体基板1aに沿って延在する。素子分離絶縁膜の第1部分2aを底とし、素子分離絶縁膜2bと半導体基板1bとを側面とする溝3が形成される。
【0017】
半導体基板1の表面には、ウェル4(4a、4b)が形成される。半導体基板1bに形成されるソース/ドレイン領域13(後述する)に形成されるトランジスタの導電型に応じて、ウェル4aの導電型が決定される。ウェル4a、4bの導電型が相互に異なる場合、素子分離絶縁膜2の下において、pn接合部が形成される。なお、いわゆるトリプルウェル構造の場合、例えばn−型のウェル(図示せぬ)内にウェル4a、4bが形成される。一般にトリプルウェル構造とすることにより、ソフトエラーに対する耐性を上げることができるといわれている。
【0018】
半導体基板1bの上面および側面は、例えばシリコン酸化膜等のゲート絶縁膜11により覆われている。なお、図4(a)の断面に示されるように、(100)の半導体基板1bの側面上のゲート絶縁膜11の厚さは、半導体基板1bの上面上の厚さより厚い。これは、半導体基板1bの上面と側面との間の面方位の違いにより、側面のほうが酸化されやすいためである。なお、この上面と側面の酸化膜厚は任意に設定可能である。また、図4(b)の断面においては、ゲート絶縁膜11の上面が除去されている。そして、この部分に、ソース/ドレイン領域13と上層の配線とを接続するコンタクト(図示せぬ)が形成される。
【0019】
素子分離絶縁膜2上および半導体基板1上に、例えば導電性とされたポリシリコンからなるゲート電極12が設けられる。ゲート電極12は、第1部分12aと、第2部分12bとから構成される。ゲート電極12の第1部分12a(以下、単にゲート電極12a)は、半導体基板1bと交差する方向に延在し、素子分離絶縁膜2b上と、半導体基板1bの上方とに亘る。ゲート電極12aは、半導体基板1b上との交差部分において、半導体基板1b上のゲート絶縁膜11上に設けられる。ゲート電極12aのゲート絶縁膜11と接する面の角部は、所望により丸められている(図示せぬ)。こうすることにより、角部で電界が集中することが緩和される。
【0020】
ゲート電極12b(以下、単にゲート電極12b)は、溝3を埋め込むように設けられ、その上面は半導体基板1bより、やや低い程度に位置する。よって、ゲート電極12bは、半導体基板1bに沿った角柱形状を有する。ゲート電極12bの第1方向における長さは、ゲート電極12aの第1方向における長さより長い。ゲート電極12は、以上のような構造を有することにより、半導体基板1bを取り囲んでいる。
【0021】
半導体基板1bの表面内には、ゲート電極12a下方のチャネル領域を挟むように、1対のソース/ドレイン領域13が形成される。例えば、ゲート電極12aの手前側がドレイン領域で、奥側がソース領域である。ソース/ドレイン領域13は、所望により、低濃度のソース/ドレインエクステンション領域と、高濃度のソース/ドレイン領域から構成されていても良い。なお、ゲート電極12bは、少なくともソース/ドレイン領域13の両方に達するように形成されている。
【0022】
ゲート電極12aの側面上には、例えばシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜からなるスペーサ14が設けられる。スペーサ14はまた、溝3内にも埋め込まれ、この結果、ゲート電極12bがスペーサ14を構成する絶縁膜により覆われる。
【0023】
次に、上記構成の半導体装置の製造方法について、図5、図6、および図7(a)、図7(b)、図7(c)〜図13(a)、図13(b)、図13(c)を参照して以下に説明する。図5は、第1実施形態に係る半導体装置の主要部の平面図である。図6は、第1実施形態に係る半導体装置の製造工程の一部を示す図であり、図5のA−A線に沿った断面に対応する。図7(a)、図8(a)、図9(a)、図10(a)、図11(a)、図12(a)、図13(a)は、第1実施形態の半導体装置の製造工程の一部を順に示す断面図であり、図5のA−A線に沿った断面に対応する。図7(b)、図8(b)、図9(b)、図10(b)、図11(b)、図12(b)、図13(b)は、第1実施形態の半導体装置の製造工程の一部を順に示す断面図であり、図5のB−B線に沿った断面に対応する。図7(c)、図8(c)、図9(c)、図10(c)、図11(c)、図12(c)、図13(c)は、第1実施形態の半導体装置の製造工程の一部を順に示す断面図であり、図5のC−C線に沿った断面に対応する。
【0024】
まず、図6に示すように、半導体基板1の表面の素子分離絶縁膜2の形成予定領域に対応する位置に、例えばリソグラフィー工程およびRIE(Reactive Ion Etching)等の異方性エッチングにより溝が形成される。次に、この溝が、例えば例えば酸化膜により埋め込まれることにより、素子分離絶縁膜2が形成される。この結果、半導体基板の第2部分1bが規定される。半導体基板1の表面から、イオンが注入されることにより、所望のn型またはp型のウェル4およびチャネルが形成される。なお、トリプルウェル構造にする場合には、このウェル4の形成工程に先立ち、より深い位置へのイオン注入により例えばn−型のウェルが形成される。
【0025】
次に、図7(a)、図7(b)、図7(c)に示すように、半導体基板1上の全面に、例えばレジスト等のマスク材21が堆積される。次に、例えばリソグラフィー工程およびRIE等のエッチングにより、半導体基板1bおよびそれに隣接する溝3の形成予定領域に対応する位置のマスク材21に開口が形成される。このとき、半導体基板1の表面が若干エッチングされることにより、第2部分1bの上面が、半導体基板1の元の表面の位置より低くなる。次に、所望により、半導体基板1bの角を丸める処理が行われる。なお、角の丸まりは、形成される場合であっても、図7(a)、図7(b)、図7(c)〜図13(a)、図13(b)、図13(c)において、図面の簡略化のために示されていない。次に、マスク材21が除去される。
【0026】
次に、図8(a)、図8(b)、図8(c)に示すように、半導体基板1bの角を丸め、またRIEによるダメージ除去のために、表面上に犠牲酸化膜22が形成される。
【0027】
次に、図9(a)、図9(b)、図9(c)に示すように、犠牲酸化膜22が除去された後、例えば熱酸化により、半導体基板1bの表面上にゲート絶縁膜11が形成される。
【0028】
次に、図10(a)、図10(b)、図10(c)に示すように、半導体基板1上の全面にゲート電極12の材料膜が堆積される。次に、例えばリソグラフィー工程およびRIE等の異方性エッチングを用いて材料膜がパターニングされることにより、ゲート電極12aが形成される。この際、エッチングの条件が適切に設定されることにより、材料膜が溝3内に残存する。この結果、ゲート電極12bが同時に形成される。この後、所望により、ゲート電極12の、ゲート絶縁膜11と接する面の角部が、酸化工程により丸められる。なお、角の丸まりは、形成される場合であっても、図10(a)、図10(b)、図10(c)〜図13(a)、図13(b)、図13(c)において、図面の簡略化のために示されていない。
【0029】
次に、図11(a)、図11(b)、図11(c)に示すように、ゲート電極12の表面上に、酸化膜23が堆積される。次に、半導体基板1bの表面にイオンが注入され、アニール処理が施されることにより、ソース/ドレインエクステンション領域13aが形成される。
【0030】
次に、図12(a)、図12(b)、図12(c)に示すように、半導体基板1上の全面にスペーサ14の材料膜24が堆積される。この際、溝3も材料膜24により埋め込まれる。
【0031】
次に、図13(a)、図13(b)、図13(c)に示すように、例えばRIE法等の異方性エッチングにより材料膜24がエッチングされることにより、スペーサ14が形成される。この際、溝3内の材料膜24は除去されない。
【0032】
この後、ソース/ドレイン領域13にサリサイド層が形成され、半導体基板1上の全面に層間絶縁膜が形成され、層間絶縁膜内に、半導体基板1に達するコンタクト、および配線層等が形成される(何れも図示せぬ)。
【0033】
本発明の第1実施形態に係る半導体装置(MISFET)によれば、トランジスタのオン時に、チャネル領域が、半導体基板1bの上面および両側面に形成される。このため、実効的なチャネル長が増加することにより、トランジスタ電流駆動能力が増大する。この際、トランジスタの閾値電圧は不変である。また、ゲート電極12とチャネル領域が向きあう領域の面積が大きくなるため、大きなゲート容量を実現できる。
【0034】
また、第1実施形態に係る半導体装置によれば、ゲート電極12bが、ソース/ドレイン領域13の側面に設けられる。このため、ゲート電極12とソース/ドレイン領域13とが面する領域の面積が増大し、従来のFinタイプのトランジスタより、さらに大きなオーバーラップ容量を実現できる。すなわち、大きな電流駆動能力と大きな寄生容量を同時に得られるトランジスタを実現できる。
【0035】
また、第1実施形態に係る半導体装置において、半導体基板1bが台形形状を有する。このため、以下の効果(利点)を得られる。すなわち、半導体基板1bの角において、トランジスタのオン時に第2部分1bの上面のチャネルと側面のチャネルとが交差する。このため、この交差部分でのサブスレッショルド電流が大きくなる。このサブスレッショルド電流を小さく抑えるには、2つのチャネルが重なり合う部分の面積を減少させることが有効である。そこで、半導体基板1bを台形とすることにより、チャネルの重なりある部分を小さくすることができる。以上の観点から、図4(a)に示すように、第2部分1bの上面と側面とが成す角度θは、90°〜110°とされることが望ましい。さらに、この部分を丸めることにより、ゲート電極11から生じる電界がこの部分で集中することを抑えることができるので、ソース領域13からドレイン領域13に流れるリーク電流を低減することができる。
【0036】
また、第1実施形態に係る半導体装置によれば、ゲート電極12bがスペーサ14を構成する絶縁膜により覆われる。このため、以下の効果を有する。すなわち、後の工程により、図1の構造上の全面に層間絶縁膜が形成され、ソース/ドレイン領域13へのコンタクトのためのコンタクトホールが形成される。この際、マスクの合わせずれ等の理由により、コンタクトホールの一部が、ゲート電極12bの上方に位置する場合がある。このようなコンタクトホールに導電材料が埋め込まれることにより、ショートが発生する。これに対し、第1実施形態に係る半導体装置によれば、ゲート電極12bが絶縁膜により覆われているため、このようなショートの発生を回避できる。
【0037】
なお、オーバーラップ容量は、ゲート電極12の第2部分12bの、ソース/ドレイン領域13を相互に結ぶ方向の長さ(図4(d)の長さL)を大きくすることにより、増加させることができる。また、ゲート電極12の第2部分12bの深さ方向における長さ(図4(a)の長さD)を大きくすることにより、電流駆動能力と容量を増加させることができる。
【0038】
(第2実施形態)
第2実施形態は、第1実施形態に係る半導体装置(トランジスタ)がSRAMのメモリセルに適用された形態に関わる。
【0039】
図14は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置(SRAM)の主要部を模式的に示す平面図であり、第1実施形態に係るトランジスタがSRAMのメモリセルに適用された形態を示す平面図である。なお、図14、および後述の図17〜図26において、図を簡略にするために、素子領域(半導体基板1)、素子分離領域(素子分離絶縁膜2)、ゲート電極12のみが示されており、スペーサ14、コンタクト、配線等は省略されている。また、第2実施形態の一例として、点対称セルが示されているが、線対称セルも同様にして実現することができる。
【0040】
図14に示すように、素子分離絶縁膜2により、紙面の上下方向に沿って4列の素子領域1が規定されている。また、紙面左右方向に沿って、素子領域1および素子分離領域2上を亘る2列のゲート電極12aが設けられる。相互に離れた2列のゲート電極12aのそれそれが素子分離領域2上で分断されることにより、図では4本のゲート電極12aが示されている。
【0041】
右上のゲート電極12aおよび最も右の素子領域1はトランジスタQ1Dの一部を構成し、ゲート電極12aおよび右から2番目の素子領域1はトランジスタQ1Lの一部を構成する。トランジスタQ1D、Q1Lにおいて、ゲート電極12aの上下両側の素子領域1に形成されたソース/ドレイン領域13(図示せぬ)のうち、例えば上側がソースに対応し、下側がドレインに対応する。
【0042】
同様に、左下のゲート電極12aおよび最も左の素子領域1はトランジスタQ2Dの一部を構成し、ゲート電極12aおよび左から2番目の素子領域1はトランジスタQ2Lの一部を構成する。トランジスタQ2D、Q2Lにおいて、ゲート電極12aの上下両側の素子領域1に形成されたソース/ドレイン領域13(図示せぬ)のうち、例えば上側がドレインに対応し、下側がソースに対応する。
【0043】
また、トランジスタQ1L、Q2Lは、第1実施形態に係るトランジスタの構成を有する。よって、図に示すように、素子領域1の左右両側にゲート電極12bが設けられる。
【0044】
図15は、第2実施形態に係る半導体装置の主要部を示す等価回路図であり、図14の構成を一部に含むSRAMメモリセルの回路図である。図15に示すように、直列接続されたp型の負荷用のMISトランジスタQ1Lとn型の駆動用のMISトランジスタQ1Dとが、電源線Vddと接地線Vssとの間に接続されている。トランジスタQ1LのゲートとトランジスタQ1Dのゲートとは相互に接続され、これらの接続ノードは、抵抗素子(抵抗要素)R1の一端と接続されている。トランジスタQ1LとトランジスタQ1Dとの接続ノードは、n型の転送用のトランジスタQ1Tを介して、ビット線BL1と接続されている。トランジスタQ1Tのゲートは、ワード線と接続される。
【0045】
直列接続されたp型の負荷用のMISトランジスタQ2Lとn型の駆動用のMISトランジスタQ2Dとが、電源線Vddと接地線Vssとの間に接続されている。トランジスタQ2LのゲートとトランジスタQ2Dのゲートとは相互に接続され、これらの接続ノードは、抵抗素子R2の一端と接続されている。トランジスタQ2LとトランジスタQ2Dとの接続ノードは、n型の転送用のトランジスタQ2Tを介して、ビット線BL2と接続されている。トランジスタQ2Tのゲートは、ワード線と接続される。
【0046】
抵抗素子R1の他端は、トランジスタQ2LとトランジスタQ2Dとの接続ノードに接続される。抵抗素子R2の他端は、トランジスタQ1LとトランジスタQ1Dとの接続ノードに接続される。
【0047】
上記したように、負荷用のトランジスタQ1Lに、第1実施形態に係るトランジスタが採用されることにより、このトランジスタの寄生容量C11、C12が、トランジスタQ1Lと並列に付加される。同様に、負荷用のトランジスタQ2Lに本発明の実施形態に係るトランジスタが採用されることにより、このトランジスタの寄生容量C22、C22が、トランジスタQ2Lに並列に付加される。
【0048】
次に、第2実施形態に係る半導体装置(SRAM)により得られる効果について、以下に説明する。上記したように、トランジスタQ1L、Q2Lとして、第1実施形態に係るトランジスタを用いることにより、トランジスタQ1L、Q2Lの閾値を変えずに電流駆動力を増加させることができる。ここで、例えば、トランジスタQ1LとトランジスタQ1Dの接続ノードがハイレベルの状態のときに、ローベルに向かわせるノイズ電流が入った(例えばα線により発生した電子がハイレベルの接続ノードに集まった)場合を考える。この場合、オンしているトランジスタQ1Lが高い電流駆動能力を有しているため、ノイズ電流を打ち消す電流(正孔)が該接続ノードに流れ込む。よって、該接続ノードの電位がローレベルに反転する可能性を大幅に減少できる。トランジスタQ2LとトランジスタQ2Dの接続ノードに関しても同じである。
【0049】
また、第1実施形態に係るトランジスタにより、トランジスタQ1L、Q2Lの容量が増加する。この結果、トランジスタQ1L、Q2Lが反転するのに要する、トランジスタQ1L、Q2Lのゲートの電荷量が増加する。このため、例えばトランジスタQ1LとトランジスタQ1DLの接続ノードがハイレベルの状態のときに、ローレベルに向かわせるノイズ電流が入った場合でも、トランジスタQ2Lが容易に反転する可能性を大幅に減少できる。トランジスタQ2LとトランジスタQ2Dとの接続ノードと、トランジスタQ1Lとの関係に関しても同じである。
【0050】
また、トランジスタQ1L、Q2Lの容量の増加により時定数が増加するため、トランジスタQ1L、Q2Lが反転する前に、ノイズ電流を打ち消す電流が供給される可能性が高まる。同様に、抵抗素子R1、R2が設けられることにより時定数がさらに増加し、ノイズ電流を打ち消す電流が供給される時間を確保することができる。
【0051】
なお、抵抗素子R1、R2を半導体基板1上で、実際にどのような形で形成するかは問わないが、例えば以下の方法を採用することができる。例えばポリシリコン等の半導体材料からなるゲート電極は、金属材料から成るコンタクトとの界面抵抗を減ずるために、通常、高濃度の不純物(例えば1×1020cm-3以上)が注入されている。これに対して、ゲート電極とコンタクトとの接触部分の不純物濃度を、低くする(例えば1×1019cm-3程度)ことにより、この部分の界面抵抗が上昇する。この現象を利用することにより、容易かつメモリセル面積の増大を招くことなく、図15の抵抗素子R1および(または)R2を実現することができる。
【0052】
さらに、ゲート電極12と、これと隣接するソース/ドレイン領域13との電気的な接続を、いわゆるシェアコンタクトにより実現することもできる。シェアコンタクトは、コンタクトが、ゲート電極12からソース/ドレイン領域13までを覆うように形成された構成を有する。この場合も、もちろん、ゲート電極12とコンタクトとの界面抵抗を積極的に上げる構成を併用することも可能である。図16は、本実施形態に、シェアコンタクトおよび高い界面抵抗を利用した際の平面図である。図16において、参照符号322はシェアコンタクトを示し、参照符号31はゲート電極12とシェアコンタクト32とによる界面抵抗を示している。
【0053】
本発明の第2実施形態に係る半導体装置によれば、第1実施形態に係るトランジスタがSRAMメモリセルの一部を構成するトランジスタとして用いられるため、このトランジスタに大きな電流駆動能力を持たせることができる。このため、このトランジスタを介してノイズ電流を打ち消す電流を大量に流すことが可能となり、ノイズに対する耐性が高いSRAMメモリセルを実現できる。
【0054】
また、第2実施形態によれば、第1実施形態に係るトランジスタがSRAMメモリセルの一部を構成するトランジスタとして用いられるため、このトランジスタに大きな容量を持たせることができる。このため、SRAMメモリセル中のこのトランジスタを含む部分の時定数を増加させることにより、このトランジスタのオン、オフが、ノイズ電流によって容易に反転することを回避できる。よって、ノイズに対する耐性が高いSRAMメモリセルを実現できる。
【0055】
また、第2実施形態によれば、トランジスタQ1L、Q1D、Q2L、Q2Dのゲートに一端が接続された抵抗素子(抵抗要素)R1、R2が設けられる。このため、SRAMメモリセル中のこれらトランジスタQ1L、Q1D、Q2L、Q2Dを含む部分の時定数をさらに増加させることができる。よって、これらトランジスタQ1L、Q1D、Q2L、Q2Dのオン、オフが、ノイズ電流によって容易に反転することを回避することにより、ノイズに対する耐性が高いSRAMメモリセルを実現できる。
【0056】
さらに、第2実施形態によれば、第1実施形態に係るトランジスタが有する寄生容量を用いることにより、SRAMメモリセルの一部を構成するトランジスタの容量増加が図られている。このため、独立した容量素子を付加する場合と異なり、容量を増加させたことに起因して、1つのメモリセルの面積が増加することが回避される。さらに、抵抗要素R1、R2を、界面抵抗を利用して実現することにより、メモリセルの面積の増大を防止できる。
【0057】
また、第1実施形態に係るトランジスタがSRAMメモリセルの一部に用いられているため、サブスレッショルド電流を低減することにより、低消費電力のSRAMを実現できる。
【0058】
なお、本実施形態において、SRAMメモリセルを例に取り説明した。しかしながら、ラッチ回路もSRAMメモリセルと同様の動作原理を有しており、本実施形態をラッチ回路に適用した場合も上記した効果と同じ効果を得られる。
【0059】
(第2実施形態の変形例)
次に、第2実施形態の変形例について図17〜図26を参照して以下に説明する。図17〜図26は、第2実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を模式的に示す平面図である。上記説明において、負荷用のトランジスタQ1L、Q2Lに、第1実施形態に係るトランジスタが採用された例を取り上げた。しかしながら、駆動用のトランジスタQ1D、Q2Dとして、第1実施形態に係るトランジスタを用いることもできる。また、負荷用、駆動用のトランジスタに対して適用することも可能である。
【0060】
図17に示す構成においては、駆動用のトランジスタQ1D、Q2Dが第1実施形態に係るトランジスタにより構成されている。また、図18に示す構成においては、負荷用のトランジスタQ1L、Q2L、駆動用のトランジスタQ1D、Q2Dが、共に第1実施形態に係るトランジスタにより構成されている。また、図19に示す構成においては、図18の構成に加えて、トランジスタQ1LとトランジスタQ1Dとの間ゲート電極12b、およびトランジスタQ2LとトランジスタQ2Dとの間ゲート電極12bが相互に接続されている。
【0061】
また、第1実施形態に係るトランジスタは、半導体基板1bの両側面上にゲート電極12bが設けられている。しかしながら、何れか一方とすることも可能である。
【0062】
図20に示す構成においては、トランジスタQ1L、Q2Lが第1実施形態に係るトランジスタにより構成される。トランジスタQ1Lのゲート電極12bは、トランジスタQ1Dと反対側にのみ設けられる。トランジスタQ2Lのゲート電極12bは、トランジスタQ2Dと反対側にのみ設けられる。
【0063】
図21に示す構成においては、トランジスタQ1D、Q2Dが第1実施形態に係るトランジスタにより構成される。トランジスタQ1Dのゲート電極12bは、トランジスタQ1Lと反対側にのみ設けられる。トランジスタQ2Dのゲート電極12bは、トランジスタQ2Lと反対側にのみ設けられる。
【0064】
図22に示す構成においては、トランジスタQ1L、Q2L、Q1D、Q2Dが第1実施形態に係るトランジスタにより構成される。トランジスタQ1Lのゲート電極12bは、トランジスタQ1Dと反対側にのみ設けられる。トランジスタQ1Dのゲート電極12bは、トランジスタQ1Lと反対側にのみ設けられる。トランジスタQ2Lのゲート電極12bは、トランジスタQ2Dと反対側にのみ設けられる。トランジスタQ2Dのゲート電極12bは、トランジスタQ2Lと反対側にのみ設けられる。
【0065】
図23に示す構成においては、トランジスタQ1L、Q2L、Q1D、Q2Dが第1実施形態に係るトランジスタにより構成される。トランジスタQ1L、Q1Dのゲート電極12bは、トランジスタQ1D、Q1Lとそれぞれ向き合う側にのみ設けられる。トランジスタQ2L、Q2Dのゲート電極12bは、トランジスタQ2D、Q2Lとそれぞれ向き合う側にのみ設けられる。
【0066】
図24に示す構成においては、図23の構成に加え、トランジスタQ1L、Q1Dとの間のゲート電極12bが相互に接続されている。また、トランジスタQ2L、Q2Dとの間のゲート電極12bが相互に接続されている。
【0067】
図25に示す構成においては、図24の構成に加え、トランジスタQ1Dの、トランジスタQ1Lと反対側にもゲート電極12bが設けられている。また、トランジスタQ2Dの、トランジスタQ2Lと反対側にもゲート電極12bが設けられている。
【0068】
図26に示す構成においては、図24の構成に加え、トランジスタQ1Lの、トランジスタQ1Dと反対側にもゲート電極12bが設けられている。また、トランジスタQ2Lの、トランジスタQ2Dと反対側にもゲート電極12bが設けられている。
【0069】
図17〜図26に示す変形例によっても、上記した第2実施形態により得られる効果を得られる。ゲート電極12bが設けられる位置が多いほど、トランジスタの電流駆動能力および寄生容量が増加するので、電流駆動能力および寄生容量の増加により得られる効果の程度が大きくなる。すなわち、負荷用のトランジスタQ1L、Q2L、駆動用のトランジスタQ1D、Q2Dに第1実施形態に係るトランジスタを採用した場合(図18、図19の例)、容量のさらなる増加により、半導体装置のノイズに対する耐性をさらに高めることができる。
【0070】
また、図20、図21、図22の構成とすることにより、ゲート電極12bの面積が減少する分、電流駆動能力および寄生容量が減少し、上記した効果がやや小さくなるが、以下に示す別の効果を得られる。図27は、図22のXXVII−XXVII線に沿った断面図である。図27に示すように、n型のウェル4上でp型のウェル4からp型のソース/ドレイン領域13に至る部分にはゲート電極12bが設けられない。このため、ゲート電極12bにトランジスタをオンさせる電位が供給された場合でも、p型のウェル4、n型のウェル4、p型のソース/ドレイン領域13がPNPの縦型トランジスタとなってこのトランジスタのチャネルに対応するn型のウェル4の絶縁膜に面した領域が反転することが回避される。この部分の反転を回避することにより、p型のウェル4とp型のソース/ドレイン領域13との間に大きなリーク電流が流れたり、ラッチアップに至ることを防止できる。
【0071】
(第3実施形態)
第3実施形態は、トランジスタの構造に係り、ドレイン領域で発生するGIDL電流の抑制に関する。
【0072】
図28は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置(MISFET)の主要部を模式的に示す斜視図である。なお、図28において、図の簡略にするために、図2と同様、スペーサが省略されている。また、図29は、図28の平面図である。図30(a)、図30(b)、図30(c)、図30(d)は、それぞれ、図28のXXXA−XXXA線、XXXB−XXXB線、XXXC−XXXC線、XXXD−XXXD線に沿った断面図である。
【0073】
図28、図29、図30(a)〜図30(d)に示すように、ゲート電極12bは、ゲート電極12aの両側(紙面の奥と手前)のうち、ソース領域13(S)側にのみ設けられ、ドレイン領域の側面には達しない。ドレイン領域13(D)側の半導体基板1bの側面には素子分離絶縁膜2が設けられる。ゲート電極12bの、ドレイン領域13(D)側の端部は、ゲート電極12aのドレイン領域13(D)側の端部とほぼ同じ位置に位置する。その他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0074】
次に、第3実施形態に係る半導体装置により得られる効果について、以下に説明する。例えばp型のMISFETを例に取ると、MISFETのオフ時におけるp型のゲート電極の電位(電源電位VDD)により、n型のウェルの表面が空乏化する。この空乏層が、p型のドレイン領域とウェルとの境界に形成されることにより、接地電位VSSが印加されているドレイン領域とウェルとの間にトンネルリーク電流が流れる。このリーク電流(GIDL電流)は、MISFETの特性を劣化させる。GIDL電流を抑制するには、ゲート電極の電位によってドレイン領域とウェルとの境界に空乏層ができることを回避することが有効である。したがって、ドレイン領域とゲート電極とが向き合う面積を減少させることが考えられる。そこで、第3実施形態では、ゲート電極12bを、ドレイン領域13(D)と面する部分に設けないことにより、ゲート電極12bに起因するGIDL電流を減少させることができる。
【0075】
なお、図30(c)から分かるように、ドレイン領域13(D)の縁は、ゲート電極12aの端部よりやや中心よりの位置に位置する。このため、図28、図29、図30(a)〜図30(d)に示す構成の場合、ドレイン領域13(D)のこの縁の部分がゲート電極12aと重なり合う。これに対して、素子分離絶縁膜2内のゲート電極12aのドレイン領域13(D)側の端部を、図31、図32(a)〜図32(d)に示すように、ゲート電極12aの中心よりに配置することもできる。図31は、第3実施形態の他の例に係る半導体装置(MISFET)の平面図である。図32(a)、図32(b)、図32(c)、図32(d)は、それぞれ、図31のXXXIIA−XXXIIA線、XXXIIB−XXXIIB線、XXXIIC−XXXIIC線、XXXIID−XXXIID線に沿った断面図である。なお、斜視図は、図28と同じである。
【0076】
図31、図32(a)〜図32(d)に示すように、ゲート電極12は、ドレイン領域13(D)と全く重なり合っていない。こうすることにより、より大きくGIDL電流を削減することができる。
【0077】
本発明の第3実施形態に係る半導体装置によれば、第1実施形態と同じく、ゲート電極12bが半導体基板1bの側面に設けられるため、第1実施形態と同じ効果を得られる。また、第3実施形態によれば、ゲート電極12bは、ソース領域13(S)の側面上のみに設けられる。このため、第1実施形態に比べて、ゲート電極12とソース/ドレイン領域13とにより形成される容量は小さいが、GIDL電流を低下することができる。
【0078】
また、第1実施形態と同じ構成であるために得られる効果、すなわち、サブスレッショルド電流の低下、ゲート電極12bのショートの回避等の効果も、第3実施形態において得ることができる。
【0079】
(第4実施形態)
第4実施形態では、第3実施形態に係るトランジスタが、第2実施形態と同じく、SRAMのメモリセルに適用された形態に関わる。
【0080】
図33は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置(SRAM)の主要部を模式的に示す平面図であり、第1実施形態に係るトランジスタがSRAMのメモリセルに適用された形態を示す平面図である。図33、および後述の図34〜図43においても、図を簡略にするために、半導体基板1、素子分離絶縁膜2、ゲート電極12のみが示されており、スペーサ14、コンタクト、配線等は省略されている。また、線対称セルも同様にして実現することができる。なお、回路図に関しては、第2実施形態の図15と同じである。
【0081】
図33に示すように、トランジスタQ1Lにおいて、ゲート電極12bは、ドレイン領域(紙面においてゲート電極12bの下側)の側面まで達しない。図33には表れないが、ゲート電極12aの下方において、ゲート電極12はドレイン領域と一部が重なり合っていても良いし(図30(d))、全く重なり合っていなくとも良い(図32(d))。このことは、図34〜図43に関しても同様である。
【0082】
トランジスタQ2Lにおいても同様に、ドレイン領域(紙面においてゲート電極の上側)の側面上には、ゲート電極12bが設けられていない。
【0083】
本発明の第4実施形態に係る半導体装置によれば、第3実施形態に係るトランジスタがSRAMメモリセルの一部を構成するトランジスタとして用いられる。このため、第1実施形態のトランジスタがSRAMのメモリセルに用いられた場合と同じ作用を得られ、ノイズに対する耐性が高く、小面積で、低消費電力のSRAMメモリセルを実現できる。
【0084】
また、第4実施形態によれば、第3実施形態に係るトランジスタを用いることにより、GIDL電流を低下させることができ、より少ない消費電力のSRAMメモリセルを実現できる。
【0085】
(第4実施形態の変形例)
次に、第4実施形態の変形例について図34〜図43を参照して以下に説明する。図34〜図43は、第4実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を模式的に示す平面図である。
【0086】
図34に示す構成においては、駆動用のトランジスタQ1D、Q2Dが第3実施形態に係るトランジスタにより構成されている。また、図35に示す構成においては、負荷用のトランジスタQ1L、Q2L、駆動用のトランジスタQ1D、Q2Dが、共に第3実施形態に係るトランジスタにより構成されている。また、図36に示す構成においては、図35の構成に加えて、トランジスタQ1LとトランジスタQ1Dとの間のゲート電極12b、およびトランジスタQ2LとトランジスタQ2Dとの間のゲート電極12bが相互に接続されている。
【0087】
以下は、半導体基板1bの一方の側面上にゲート電極12bが設けられた例である。まず、図37に示す構成においては、トランジスタQ1L、Q2Lが第3実施形態に係るトランジスタにより構成される。トランジスタQ1Lのゲート電極12bは、トランジスタQ1Dと反対側にのみ設けられる。トランジスタQ2Lのゲート電極12bは、トランジスタQ2Dと反対側にのみ設けられる。
【0088】
図38に示す構成においては、トランジスタQ1D、Q2Dが第3実施形態に係るトランジスタにより構成される。トランジスタQ1Dのゲート電極12bは、トランジスタQ1Lと反対側にのみ設けられる。トランジスタQ2Dのゲート電極12bは、トランジスタQ2Lと反対側にのみ設けられる。
【0089】
図39に示す構成においては、トランジスタQ1L、Q2L、Q1D、Q2Dが第3実施形態に係るトランジスタにより構成される。トランジスタQ1Lのゲート電極12bは、トランジスタQ1Dと反対側にのみ設けられる。トランジスタQ1Dのゲート電極12bは、トランジスタQ1Lと反対側にのみ設けられる。トランジスタQ2Lのゲート電極12bは、トランジスタQ2Dと反対側にのみ設けられる。トランジスタQ2Dのゲート電極12bは、トランジスタQ2Lと反対側にのみ設けられる。
【0090】
図40に示す構成においては、トランジスタQ1L、Q2L、Q1D、Q2Dが第3実施形態に係るトランジスタにより構成される。トランジスタQ1L、Q1Dのゲート電極12bは、トランジスタQ1D、Q1Lとそれぞれ向き合う側にのみ設けられる。トランジスタQ2L、Q2Dのゲート電極12bは、トランジスタQ2D、Q2Lとそれぞれ向き合う側にのみ設けられる。
【0091】
図41に示す構成においては、図40の構成に加え、トランジスタQ1L、Q1Dとの間のゲート電極12bが相互に接続されている。また、トランジスタQ2L、Q2Dとの間のゲート電極12bが相互に接続されている。
【0092】
図42に示す構成においては、図41の構成に加え、トランジスタQ1Dの、トランジスタQ1Lと反対側にもゲート電極12bが設けられている。また、トランジスタQ2Dの、トランジスタQ2Lと反対側にもゲート電極12bが設けられている。
【0093】
図43に示す構成においては、図41の構成に加え、トランジスタQ1Lの、トランジスタQ1Dと反対側にもゲート電極12bが設けられている。また、トランジスタQ2Lの、トランジスタQ2Dと反対側にもゲート電極12bが設けられている。
【0094】
図34〜図43に示す変形例によっても、上記した第4実施形態により得られる効果を得られる。その他、これら変形例個々の効果は、第2実施形態の変形例と同じである。例えば、ゲート電極12bの面積の大きな例では、電流駆動能力および寄生容量の増加により得られる効果の程度が大きくなる。また、隣接するトランジスタ側のゲート電極12bを有さないトランジスタにおいては、電流駆動能力および寄生容量は小さくなるが、大きなリーク電流が流れることを防止できる。
【0095】
(第5実施形態)
第5実施形態は、トランジスタの構造に係り、ドレイン領域で発生するGIDL電流の抑制に関する。
【0096】
図44は、本発明の第5実施形態に係る半導体装置(MISFET)の平面図である。図45(a)、図45(b)、図45(c)、図45(d)は、それぞれ、図44のXLVA−XLVA線、XLVB−XLVB線、XLVC−XLVC線、XLVD−XLVD線に沿った断面図である。
【0097】
図44、図45(a)〜図45(d)に示すように、ドレイン領域13(D)が形成される半導体基板1bと接する部分のゲート電極12bは、ドレイン領域13(D)の下面より低い位置にある。その他の構成は、第1実施形態と同じである。このように、ゲート電極12bとドレイン領域13(D)とが重なり合う部分を排除することにより、GIDL電流を抑制することができる。
【0098】
なお、ゲート電極12bの高さをソース領域13(S)側とドレイン領域13(D)側とにおいて異ならせることは、製造工程を煩雑にする可能性がある。そこで、図46、図47(a)〜図47(d)に示すように、ソース領域13(S)側のゲート電極12bも、ドレイン領域13(D)側と同じ高さにすることもできる。図46は、本発明の第5実施形態の他の例に係る半導体装置(MISFET)の平面図である。図47(a)、図47(b)、図47(c)、図47(d)は、それぞれ、図46のXLVIIA−XLVIIA線、XLVIIB−XLVIIB線、XLVIIC−XLVIIC線、XLVIID−XLVIID線に沿った断面図である。図46、図47(a)〜図47(d)とすることにより、製造工程の増加が回避される。
【0099】
本発明の第5実施形態に係る半導体装置によれば、第1実施形態と同じく、ゲート電極12bが半導体基板1bの側面に設けられるため、第1実施形態と同じ効果を得られる。
【0100】
また、第5実施形態によれば、ゲート電極12bと、ドレイン領域13(D)とが重なり合わない。このため、ゲート電極12bとドレイン領域13(D)とによる寄生容量を得られないが、GIDL電流をより低く抑えることができる。
【0101】
また、第1実施形態と同じ構成であるために得られる効果、すなわち、サブスレッショルド電流の低下、ゲート電極12bのショートの回避等の効果も、第5実施形態において得ることができる。
【0102】
(第6実施形態)
第6実施形態は、トランジスタの構造に係り、ドレイン領域で発生するGIDL電流の抑制に関する。
【0103】
図48は、本発明の第5実施形態に係る半導体装置(MISFET)の平面図である。図49(a)、図49(b)、図49(c)、図49(d)は、それぞれ、図48のXLIXA−XLIXA線、XLIXB−XLIXB線、XLIXC−XLIXC線、XLIXD−XLIXD線に沿った断面図である。
【0104】
図48、図49(a)〜図49(d)に示すように、ドレイン領域13(D)が形成される半導体基板1bの側面上のゲート絶縁膜11は厚く、GIDL電流を十分抑えられる程度の値を有する。典型低には、他の部分のゲート絶縁膜、例えばソース領域13(S)が形成される半導体基板1bの側面上のゲート絶縁膜11より厚い。ゲート電極とドレイン領域との間の距離を大きくすることにより、GIDL電流を抑えることができることが知られている。このため、第6実施形態に係る構成とすることにより、GIDL電流を低く抑えることができる。
【0105】
本発明の第6実施形態に係る半導体装置によれば、第1実施形態と同じく、ゲート電極12bが半導体基板1bの側面に設けられるため、第1実施形態と同じ効果を得られる。
【0106】
また、第6実施形態によれば、ドレイン領域13(D)が形成される半導体基板1bの側面上のゲート絶縁膜11は厚く形成されている。このため、GIDL電流を抑えることができる。
【0107】
また、第1実施形態と同じ構成であるために得られる効果、すなわち、サブスレッショルド電流の低下、ゲート電極12bのショートの回避等の効果も、第6実施形態において得ることができる。
【0108】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】第1実施形態に係る半導体装置を示す斜視図。
【図2】第1実施形態に係る半導体装置の一部を示す斜視図。
【図3】図1の平面図。
【図4】図3の各部の断面図。
【図5】第1実施形態に係る半導体装置の主要部の平面図。
【図6】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程の一部を模式的に示す断面図。
【図7】図6に続く工程を示す断面図。
【図8】図7に続く工程を示す断面図。
【図9】図8に続く工程を示す断面図。
【図10】図9に続く工程を示す断面図。
【図11】図10に続く工程を示す断面図。
【図12】図11に続く工程を示す断面図。
【図13】図12に続く工程を示す断面図。
【図14】第2実施形態に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図15】第2実施形態に係る半導体装置の主要部を示す等価回路図。
【図16】第2実施形態に係る半導体装置の主要部の一例を示す平面図。
【図17】第2実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図18】第2実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図19】第2実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図20】第2実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図21】第2実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図22】第2実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図23】第2実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図24】第2実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図25】第2実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図26】第2実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図27】図22の断面図。
【図28】第3実施形態に係る半導体装置の主要部を示す斜視図。
【図29】図28の平面図。
【図30】図29の各部の断面図。
【図31】第3実施形態の他の例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図32】図31の各部の断面図。
【図33】第4実施形態に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図34】第4実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図35】第4実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図36】第4実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図37】第4実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図38】第4実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図39】第4実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図40】第4実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図41】第4実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図42】第4実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図43】第4実施形態の変形例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図44】第5実施形態に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図45】図44の各部の断面図。
【図46】第5実施形態の他の例に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図47】図46の各部の断面図。
【図48】第6実施形態に係る半導体装置の主要部を示す平面図。
【図49】図48の各部の断面図。
【符号の説明】
【0110】
1…半導体基板、1a…半導体基板の第1部分、1b…半導体基板の第2部分、2…素子分離絶縁膜、2a…素子分離絶縁膜の第1部分、2b…素子分離絶縁膜の第2部分、3…溝、4、4a、4b…ウェル、11…ゲート絶縁膜、12…ゲート電極、12a…ゲート電極の第1部分、12b…ゲート電極の第2部分、13…ソース/ドレイン領域、13a…ソース/ドレインエクステンション領域、13b…ソース/ドレイン領域、14…スペーサ、21…マスク材、22…犠牲酸化膜、23…酸化膜、24…材料膜、31…抵抗要素、32…コンタクト。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延在する突出部を有する半導体基板と、
前記突出部の上面上および前記第1方向に沿う側面上に配設されたゲート絶縁膜と、
前記突出部と交差し且つ前記突出部の前記上面上の前記ゲート絶縁膜上に配設された第1部分と、前記突出部の前記側面上の前記ゲート絶縁膜上に配設され且つ前記第1方向における長さが前記第1部分の前記第1方向における長さより長い第2部分と、を有するゲート電極と、
前記ゲート電極の前記第1部分の下方の領域を挟むように前記突出部の表面に形成された1対のソース/ドレイン領域と、
を具備することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記ゲート電極の前記第2部分の前記ソース/ドレイン領域の一方と面する部分の上面の位置は、前記ソース/ドレイン領域の該一方の下端より下に位置することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ゲート電極の前記第2部分は、絶縁膜により覆われていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
第1p型MISFETと、
前記第1p型MISFETと電気的に直列接続され、且つゲートを前記第1p型MISFETのゲートと電気的に接続された第1n型MISFETと、
ゲートを前記第1p型MISFETと前記第1n型MISFETの接続ノードと電気的に接続された第2p型MISFETと、
前記第2p型MISFETと電気的に直列接続され、且つゲートを前記第2p型MISFETのゲートと電気的に接続された第2n型MISFETと、
を具備し、
前記第1p型MISFET、前記第1n型MISFET、前記第2p型MISFET、前記第2n型MISFETの少なくともいずれか1つが、請求項1に記載の半導体装置により構成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
前記第1p型MISFETのゲートと前記第1n型MISFETのゲートとの接続ノードと、前記第2p型MISFETと前記第2n型MISFETとの接続ノードと、の間に形成された抵抗素子をさらに具備することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項1】
第1方向に延在する突出部を有する半導体基板と、
前記突出部の上面上および前記第1方向に沿う側面上に配設されたゲート絶縁膜と、
前記突出部と交差し且つ前記突出部の前記上面上の前記ゲート絶縁膜上に配設された第1部分と、前記突出部の前記側面上の前記ゲート絶縁膜上に配設され且つ前記第1方向における長さが前記第1部分の前記第1方向における長さより長い第2部分と、を有するゲート電極と、
前記ゲート電極の前記第1部分の下方の領域を挟むように前記突出部の表面に形成された1対のソース/ドレイン領域と、
を具備することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記ゲート電極の前記第2部分の前記ソース/ドレイン領域の一方と面する部分の上面の位置は、前記ソース/ドレイン領域の該一方の下端より下に位置することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ゲート電極の前記第2部分は、絶縁膜により覆われていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
第1p型MISFETと、
前記第1p型MISFETと電気的に直列接続され、且つゲートを前記第1p型MISFETのゲートと電気的に接続された第1n型MISFETと、
ゲートを前記第1p型MISFETと前記第1n型MISFETの接続ノードと電気的に接続された第2p型MISFETと、
前記第2p型MISFETと電気的に直列接続され、且つゲートを前記第2p型MISFETのゲートと電気的に接続された第2n型MISFETと、
を具備し、
前記第1p型MISFET、前記第1n型MISFET、前記第2p型MISFET、前記第2n型MISFETの少なくともいずれか1つが、請求項1に記載の半導体装置により構成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
前記第1p型MISFETのゲートと前記第1n型MISFETのゲートとの接続ノードと、前記第2p型MISFETと前記第2n型MISFETとの接続ノードと、の間に形成された抵抗素子をさらに具備することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図2】
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【図5】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図17】
【図18】
【図19】
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【図28】
【図29】
【図30】
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【図38】
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【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【公開番号】特開2006−13328(P2006−13328A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191449(P2004−191449)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000221199)東芝マイクロエレクトロニクス株式会社 (376)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000221199)東芝マイクロエレクトロニクス株式会社 (376)
【Fターム(参考)】
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