説明

検査装置

【課題】
欠陥を高い精度で分類することができる検査装置を提供することにある。
【解決手段】
明るさが近いダイ間の画像信号同士の差分画像信号に対して欠陥検出しきい値と該欠陥検出しきい値よりも低い特徴量抽出のしきい値とを設けることで、欠陥の各種特徴量を精度よく抽出する検査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置や液晶または磁気ヘッド等の製造ラインにおいて使用される検査装置における欠陥分類技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
異物等の欠陥検査装置およびその方法に関する従来技術としては、特開平8−210989号公報(従来技術1)、及び特開2000−105203号公報(従来技術2)が知られている。従来技術1には、半導体レーザから出射されたレーザ光を互いに非干渉な複数の光束にして、異なる入射角で実効的に同時に、基板上に集光照射し、該照射光によって上記基板上に存在する微小異物から生じる散乱光を集光して検出器で検出する欠陥検査装置が記載されている。また、従来技術2には、パターンからの回折光が対物レンズに入射しない方向から直線状の高効率照明を実現し、チップ内の領域毎に算出した信号のばらつきを基に検出信号に対するしきい値を設定し、検出感度の向上及びスループットの向上を実現した欠陥検査装置が記載されている。
【0003】
また、これらの検査装置で検出した欠陥を分類する方法としては、特開2004−47939号公報(従来技術3)及び特開2004−93252号公報(従来技術4)が知られている。従来技術3には、複数の分岐要素によって階層的に欠陥分類クラスを分類する決定ツリーの構成及び分類ルールの指定は、各分岐用素毎にユーザによって教示された欠陥サンプルの各種属性分布の状態(各欠陥分類クラスに属する欠陥サンプル間の各種属性毎の分離度も含む)の表示を基に決定する欠陥分類器が記載されている。また、従来技術4には、被対象物に応じて、被対象物に照射する照明の角度を最適化し、被対象物からの反射散乱光を検出する検出光学系の倍率を最適化した光学系から得られた信号に対し、複数の画素サイズで異物又は欠陥を検出し、特徴量に基づいて異物又は欠陥をカテゴリに分類することが記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平8−210989号公報
【特許文献2】特開2000−105203号公報
【特許文献3】特開2004−47939号公報
【特許文献4】特開2004−93252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術に記載したような半導体装置をはじめとする各種微細なパターンを検査する装置においては、酸化膜などの透明膜が表層に存在する工程においては、ウエハ内部における透明膜の膜厚の不均一性に起因する、照明の干渉により正常部においてダイ間で検出画像の明るさが異なるという課題があった。
【0006】
また、従来は、隣接するダイ間の差画像信号に対して欠陥を検出する欠陥検出しきい値と1次特徴量を抽出するための欠陥画像信号を得るためのしきい値とが同じで、しかも虚報が多く発生しないように高く設定されていた。そのため、欠陥を分類するために抽出される欠陥の各種特徴量が有効に得られないという課題を有していた。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決すべく、高い精度で欠陥を分類できるようにした検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、複数のダイが配列された被対象基板を載置して少なくともXY方向に走行するステージ系と、前記被対象基板に対して照明光を照射する照明光学系と、前記被対象基板から得られる反射光を検出して画像信号を取得する検出光学系と、該検出光学系で取得された画像信号を処理する画像処理部とを備えた検査装置であって、前記画像処理部は、前記検出光学系で取得された画像信号を記憶するデータ記憶部、該データ記憶部に記憶された画像信号の内、ダイ毎に得られる画像信号を明るさの順に並び替えるソート処理部及び該ソート処理部で並び替えられたダイ毎の画像信号の内明るさが近いダイの画像信号同士の間の差分をとって差分画像信号を得る差分処理部を備えた比較用画像加工処理部と、第2のしきい値及び該第2のしきい値よりも低い第1のしきい値を設定するしきい値設定部と、前記差分処理部から得られる差分画像信号と前記しきい値設定部で設定された第1のしきい値とを比較して該第1のしきい値を越えた欠陥画像信号を得る第1の比較処理部と、該第1の比較処理部から得られる欠陥画像信号を基に欠陥の各種特徴量を抽出して欠陥の各種特徴量データを得る特徴量抽出処理部と、前記差分処理部から得られる差分画像信号と前記しきい値設定部で設定された第2のしきい値とを比較して該第2のしきい値を越えた欠陥を検出して欠陥データを得る第2の比較処理部とを備え、さらに、前記特徴量抽出処理部から得られる欠陥の各種特徴量データ及び前記第2の比較処理部から得られる欠陥データに基づいて欠陥の種類を分類する欠陥分類処理部を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記比較用画像加工処理部において、前記データ記憶部に記憶された画像信号の内、隣接するダイの各々から得られる画像信号同士を画素単位又はサブピクセル単位(画素単位以下)で位置合せをして記憶する位置合せ処理部を備えたことを特徴とする。
また、本発明は、前記しきい値設定部において、前記第1及び第2のしきい値を前記差分処理部から得られる差分画像信号に基づいて設定するように構成したことを特徴とする。
また、本発明は、前記欠陥分類処理部は、欠陥の種類を2分岐を繰り返すことによって分類するように構成したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、更に、予め欠陥分類条件を設定する欠陥分類条件設定部を備え、前記欠陥分類処理部において前記欠陥の各種特徴量データ及び欠陥データに基づいて前記欠陥分類条件設定部で設定された欠陥分類条件に従って欠陥の種類を分類するように構成したことを特徴とする。
また、本発明は、更に、予め前記被対象基板への照明光の照射角度及び照射光量を制御する複数の検査条件を設定する検査条件設定部を備え、前記しきい値設定部において該検査条件設定部で設定された検査条件毎に第1及び第2のしきい値を設定するように構成することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記欠陥分類条件設定部は、2分岐を繰り返して欠陥の種類を分類するための2分岐毎に該2分岐欠陥種間の分離度合いの最も大きな前記特徴量抽出処理部から得られる欠陥の特徴量(検査条件として少なくとも照明光学系の照射角度及び照射光量を変えた場合に得られる欠陥の特徴量も含む)を欠陥分類条件として設定するように構成したことを特徴とする。
また、本発明は、前記欠陥分類条件設定部は、前記欠陥分類処理部において前記設定した欠陥分類条件に従って欠陥の種類を分類した際の正解率を表示装置の画面に表示するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高い精度で欠陥を分類することができるようにした検査装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係る検査方法および検査装置の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0014】
図1には、本発明に係る検査装置の構成の一実施例を示す。
【0015】
即ち、検査装置は、特開2000−105203号公報や特開2004−93252号公報に記載されているように、全体を制御する全体制御部(CPU部)2と、照明光学系100と、ウエハ1を載置するステージ系200と、ウエハ等の被対象基板1から得られる異物等の欠陥の検出画像(検査画像)を異なった倍率で取得する検出光学系300と、イメージセンサ304から取得された画像信号を処理して欠陥を検出して欠陥の情報を全体制御部2に提供する画像処理部400と、空間フィルタ302が設置されたフーリエ変換面を観察するフーリエ変換面観察光学系500と、被対象基板1を観察してステージ系200を制御してウエハの回転方向及びXY方向に位置決めするためのウエハ観察光学系600とを備えて構成される。全体制御部(CPU部)2は、検査条件や欠陥分類条件などを設定し、欠陥分類処理を実行し、照明光学系100、検出光学系300、ステージ系200及び画像処理部400等の全体を制御し、表示装置3、入力装置4及び記憶装置5を接続し、CADシステムやレビュー装置などとネットワーク6を介して接続される。
【0016】
ステージ系200は、水平面においてウエハ等の被対象基板1を回転させるθステージ(回転ステージ)201と、Zステージ202と、Xステージ203と、Yステージ204を有し、これらステージを制御するステージ制御部205を備えて構成される。
【0017】
照明光学系100は、レーザ光源などから構成される光源101と、該光源101から出射されるUVレーザ光やDUVレーザ光などの照明光の強度を自動調整するND(Neutral Density)フィルタ104と、該照明光を被対象基板上に例えば暗視野照明できるように斜め方向からスリット状に集光させて照射する集光照射光学系102と、上記ND(Neutral Density)フィルタ104等を制御して照射強度や反射ミラー等を切り替えて照明角度を制御する照明光学系制御部103とを備えて構成される。上記集光照射光学系102には、特開2004−93252号公報に記載されているように、反射ミラー等を切り替えることによって、ウエハ表面の異物を主に検出するための低角度照明(1度〜5度程度)、パターン欠陥や高さが低い異物を主に検出するための高角度照明(45度〜55度程度)及びパターン欠陥や異物を満遍なく検出するための中角度照明(20度程度)ができるように構成される。
【0018】
また上記集光照射光学系102は、光源としてレーザ光源を用いた場合、特開平8−210989号公報に記載されているように、レーザ光源から出射されたビームを分割して互いに光路長を異ならしめて互いに空間的インコヒーレントの複数の光束に変換して同じ箇所に互いに異なる入射角度でスリット状に照射して干渉させないようにする必要がある。
【0019】
検出光学系300は、被対象基板1上の異物等の欠陥から得られる散乱光(1次以上の回折光)を集光する対物レンズ301と、被対象基板1上に形成された繰り返しパターンによって生じる回折光パターン(干渉縞)を遮光するようにフーリエ変換面に設置された空間フィルタ302と、該空間フィルタ302を通過した異物等の欠陥からの散乱光を結像し、倍率可変で構成される結像レンズ303と、該結像レンズ303で結像された散乱光像を受光して信号に変換するCCDやTDI(Time Delayed Integration)等のイメージセンサ304とで構成される。なお、照明光学系100は、暗視野照明光学系に限定されるものではない。
【0020】
フーリエ変換面観察光学系500は、光路切り替え部501と、空間フィルタ302の画像を結像させるレンズ502と、該レンズ502で結像された空間フィルタ302の遮光パターンの画像を受光して観察する空間フィルタ観察用カメラ503とで構成され、少なくとも上記光路切り替え部501を検出光学系300の光路に対して出し入れ可能に構成される。従って、フィーリエ変換面観察光学500は、被対象基板上に存在するメモリセル等の繰り返しパターンによって生じる回折光パターンを遮光する空間フィルタ302の遮光パターンの画像を空間フィルタ観察用カメラ503で観察して遮光パターンの調整に用いられる。
【0021】
ウエハ観察光学系600は、ウエハ観察用対物レンズ601と、該ウエハ観察用対物レンズ601を通してウエハを照明する照明光学系(図示せず)と、ウエハ観察用結像レンズ602と、ウエハ観察用カメラ603とによって構成される。従って、ウエハ観察光学系600においてウエハ等の基準マークやオリフラ等をカメラ603で撮像して得られる画像も基に全体制御部2は、ステージ制御部205を介してステージ201〜204を制御することにより、被対象基板1を照明光学系100及び検出光学系300に対して位置決めすることになる。また、ウエハ観察光学系600は被対象基板1上の欠陥を検出することも可能である。なお、検出光学系300に対するウエハの自動焦点合せについては説明を省略する。
【0022】
以上説明した構成により、次に説明するように動作することになる。即ち、照射光を照明光学系100によりステージ系200に載置された被対象基板1上に例えば斜め方向から照射し、ウエハ1からの散乱光に基づく異物等の欠陥の検出画像を検出光学系300により取得する。取得された検出画像は信号処理部400によって画像処理されて欠陥又は欠陥候補を検出し、さらに欠陥の種類が分類される。検査装置は全体制御部(CPU部)2、表示装置3、記憶装置4を備え、該表示装置3の画面を用いて任意の検査条件を設定して検査することと、検査結果(欠陥の位置座標及び欠陥画像を含む欠陥データ並びに欠陥の特徴量)、設定された検査条件及び欠陥分類条件を記憶装置4に保存することが可能である。また検査装置はネットワーク6に接続することもでき、検査結果や、ウエハのレイアウト情報、ロット番号、検査条件などをネットワーク6上で共有することが可能である。またフーリエ変換面観察系500を備えており、メモリセルなどの繰り返しパターンから生じる回折光パターンを遮光する空間フィルタ302の設定を容易にしている。またウエハ観察系600を備えており、検出した欠陥やアライメントマークなどを観察することが可能である。
【0023】
次に、まず画像処理部400内における比較用画像加工処理部470について図2を用いて説明する。例えばXステージ203を走行させることによりTDI等のイメージセンサ304から被対象基板1上のY方向に長手の矩形領域(イメージセンサの長手の幅)の検出画像が出力されてAD変換器(図示せず)によりデジタル画像信号に変換されて上記X方向の例えば一ライン分の矩形領域の検出画像データがデータ記憶部471に順次記憶されることになる。このように、例えば一ラインを構成する少なくとも3つ以上のダイの対応する検出画像データがデータ記憶部(画像メモリ)471に記憶されることになる。その後、画像切り出し処理部472は、隣接するダイ間の検出画像の各々を1画素より大きい任意の画像領域(例えば3×3画素領域、7×7画素領域)で切り出す。次に、画素単位位置合せ処理部473において、隣接するダイに対応する検出画像の各々について互いに上記切り出された任意の画像領域(A(i-1,j-1)〜A(i+1,j+1),B(i-3,j-3)〜B(i+3,j+3))毎に画素単位での位置ずれ量が検出されて画素単位での位置合せ処理が行われてデータ記憶部471に記憶される。次に、サブピクセル位置合せ処理部474において、互いに画素単位での位置合せ処理された隣接するダイに対応する検出画像データの各々について互いに上記切り出された任意の画像領域(A(i-1,j-1)〜A(i+1,j+1),B(i-3,j-3)〜B(i+3,j+3))毎にサブピクセル単位での位置ずれ量(δx,δy)が検出されてサブピクセル単位での位置合せ処理が行われてデータ記憶部471に記憶される。次に、ソート処理部475において互いに画素単位及びサブピクセル単位で位置合せされたダイに対応する検出画像の各々についてダイ全体又はダイ内の部分領域(欠陥検出感度が最も要求される領域:例えばロジック領域)の輝度(明るさ)の平均値を算出し、例えば一ライン分のダイ(少なくとも3つ以上のダイから構成される場合も含む)に対応する検出画像の各々を該算出された明るさの順に並べ替えを行って(ソート処理)データ記憶部471に記憶する。その後差分抽出処理部476は、明るさの順に並べ替えられたダイに対応する検出画像間で差分を取って該差画像信号(差画像データ)をしきい値設定部410、第1の比較処理部440及び第2の比較処理部450に提供することになる。なお、XYステージ203、204の精度が十分であれば、ダイ対応の検出画像間の画素単位位置合せ処理部473及びサブピクセル位置合せ処理部474がなくてもよい。しかし、差分抽出処理部476において差分が取られるダイに対応する検出画像間は、明るさの順に並べ替えられたものであるため、隣接したダイ同士とはならず、ダイ対応の検出画像間の画素単位位置合せ処理部473及びサブピクセル位置合せ処理部474が必要になる可能性は高いことになる。
【0024】
なお、位置合せ時の画像の大きさとソート処理をするときの画像の大きさは必ずしも等しい必要はない。また、本図4は画像処理の一実施例であり、必ずしもこのフローの順でなくてもよく、また、途中で他の処理を加えてもよい。また、これらの画像処理は専用のLSIや、FPGAなどを用いた処理基板、汎用プロセッサを用いて実現する。
【0025】
以上説明したように、ソート処理部475においてデータ記憶部471に記憶された例えば一ライン分の検出画像データを基にダイに対応した検出画像を輝度の順番にソートする(並び替える)ことで、差分抽出処理476において明るさむらの状況が近いダイ間で差分を取ることが可能となり、ダイ内の欠陥検出感度が最も要求される部分領域(例えばロジック領域)において差分値のばらつきを小さくすることが可能となる。
【0026】
なお、データ記憶部471に記憶させる検出画像データは、記憶容量が増大するがウエハ1上の全ダイから得られるものであっても良い。この場合、ソート処理部475は、ウエハ1上の全ダイから検出される検出画像データが明るさの順に並び替えられることになる。
【0027】
次に、画素単位位置合せ処理部473の一実施例について図3を用いて具体的に説明する。即ち、画素単位の位置合せの方法の一実施例は、隣接する2つのダイ間で位置あわせを行う。本実施例では3×3の画素領域の場合を示しているが、位置あわせ処理をする画像領域はこれより大きくても小さくても構わない。また正方形の領域でなくても構わない。図3(a)に示す一方のダイから切り出された3×3の画素領域の中心部の信号強度(諧調値)をA(i,j)とし、図3(c)に示す他方のダイから切り出された7×7の画素領域の中心の信号強度(諧調値)をB(i,j)とする。そのとき、次に示す(1)式に基づき、3×3の領域においてダイ間で対応する各画素の差分の2乗の和を評価関数Fとする。位置合せの探索領域をたとえば±1画素とした場合はB(i,j)の位置を1画素上下左右にシフトさせる。図3(d)に示すあらたな中心画素B’(i,j)に対し3×3の領域を選択し、先ほどの評価関数Fをもとめる。Fが最小となる位置が位置ずれ最小と判断し、このときの図3(d)に示すB’(i,j)が図3(b)に示すA(i,j)と対応する(位置ずれが最小となる)注目画素となり、該注目画素における画素単位での位置ずれ量(X方向に−2、−1、0、+1、+2、Y方向に−2、−1、0、+1、+2)が算出されることになる。従って、切り出した隣接ダイの画像において中心画素B(i,j)の位置をB’(i,j)の位置にシフトさせることによってA(i,j)とB’(i,j)とは画素単位で位置合せ処理されることになる。今回は3×3の領域に対し、上下左右に±1の探索範囲を仮定したが、領域の大きさおよび、探索範囲は任意に設定してかまわない。ところで、位置ずれ量の探索範囲は、ステージを含めたステージ系200の精度、ウエハ上での検出画素寸法と密接な関係がある。ステージ系200の精度をS[μm](レンジ)、検出画素寸法をd[μm]とすると最低限必要な探索範囲は±((S÷d)+1)画素となる(ただしS>dの時)ので、ステージ系200の精度に合せて必要十分な探索範囲を設定するとよい。
【0028】
F=(A(i-1,j-1)−B'(i-1,j-1))+(A(i-1,j)−B'(i-1,j))+(A(i-1,j+1)−B'(i-1,j+1))+(A(i,j-1)−B'(i,j-1))+(A(i,j)−B'(i,j))+(A(i,j+1)−B'(i,j+1))+(A(i+1,j-1)−B'(i+1,j-1))+(A(i+1,j)−B'(i+1,j))+(A(i+1,j+1)−B'(i+1,j+1)) (1)
次に、サブピクセル位置合せ処理部474の一実施例について図4を用いて具体的に説明する。即ち、サブピクセルの位置合せの方法の一実施例は、画素単位の位置あわせと同様に図4(a)に示す3×3の画素領域を例にとって考える。今度は図4(c)に示すように、隣接ダイの中心画像B(i,j)を画素寸法以下のδx,δyだけシフトする。そのときの図4(d)に示すB’(i,j)の信号強度を、隣接する画像との差を基に次に示す(2)式によって線形に補間する。そして、上記(1)式を基に算出される評価関数Fが最小値を示すサブピクセル単位での位置ずれ量(δx,δy)が求まり、切り出された隣接ダイの中心画素B(i,j)の位置をB’(i,j)の位置へと上記求まったサブピクセル単位での位置ずれ量だけシフトすることによって図4(b)に示すA(i,j)と図4(d)に示すB’(i,j)とはサブピクセル単位での位置合せ処理が行われることになる。なお、サブピクセル単位での位置合せは、画素単位での位置あわせと同様に、領域の大きさ、探索範囲は任意に設定して構わない。
【0029】
B'(i,j)=(B(i+1,j)−B(i,j))・δx+(B(i,j+1)−B(i,j))・δy (2)
なお、画素単位での位置ずれ量算出およびサブピクセルでの位置ずれ量算出については、特開平10−318950号公報に具体的に記載されている。
【0030】
次に、しきい値設定部410の一実施例について図5を用いて説明する。図2に示す差分抽出部476から得られる明るさが最も近いダイ同士の差画像データΔS(i,j)が一ライン分のダイ(少なくとも3つ以上のダイから構成される場合も含む)またはウエハ上の全ダイに亘って入力されて差データ記憶部421に記憶される。なお、(i,j)はダイ内の画素座標を示す。nは、並び替えられた明るさが最も近いダイ同士で比較される個数を示す。まず、最大値最小値除去処理422において、差データ記憶部421に記憶されたダイ同士の差画像データΔS(i,j)に対して異常値を示す最大値及び最小値が除去される。次に、最大値及び最小値が除去されたダイ同士の差画像データΔS(i,j)に対して二乗算出処理423により画素の信号(諧調値)ΔSの2乗値(ΔS)、二乗和算出処理424により該2乗値の和(ΣΔS)を算出する。さらに、最大値及び最小値が除去されたダイ同士の差画像データΔS(i,j)に対して和算出処理426により画素の信号(諧調値)ΔSの和(ΣΔS)を算出する。その後、和(ΣΔS)、2乗和(ΣΔS)のデータを基に、一ライン分のダイ又はウエハ上の全ダイに亘る画素数nによって標準偏差算出処理427により標準偏差(δ(d)=√(ΣΔS/n−ΣΔS/n))および平均値算出処理428により平均値(μ(d)=ΣΔS/n)を算出する。次に、仮しきい値算出処理429は、該算出された平均値(μ(d)(i,j))及び標準偏差(δ(d)(i,j))と予め設定しておいたしきい値係数k1(435)により仮しきい値Th1’を算出する。該仮しきい値は、「仮しきい値(Th1’(i,j))=平均値(μ(e)(i,j))±(しきい値係数k1×標準偏差(δ(e)(i,j)))」で求まる。そして、最大値処理430においては、仮しきい値算出処理429で算出された仮しきち値(Th1’(i,j))を3×3又は7×7の画素群で切り出してその中での最大値を中心画素における第1のしきい値(Th1(i,j))を1次特徴量抽出しきい値411として設定されて図6及び図7に示す比較部440へ出力すると共に積算処理431へ出力する。さらに、積算処理431において、上記第1のしきい値(Th1(i,j))に対して1以上のしきい値係数k2を積算して第2のしきい値(Th2(i,j))=k2×(Th1(i,j))を求め、欠陥検出しきい値412として設定されて図6及び図7に示す比較部450へ出力する。欠陥検出しきい値である第2のしきい値(Th2(i,j))は、虚報を低減するためにマージンを持って高く設定される。しかし、第1のしきい値(Th1(i,j))は、第2のしきい値(Th2(i,j))よりも低く設定されるため、各欠陥を分類するために有効な各種の特徴量が得られることになる。
【0031】
本発明の特徴とするところは、欠陥の特徴量を抽出するための欠陥を示す差分信号(差画像)を検出するための第1のしきい値(Th1(i,j))を、欠陥を示す差分信号(差画像)から欠陥を検出するための第2のしきい値(Th2(i,j))より低くして設定することによって、図8及び図9に示すように、各欠陥を分類するのに有効な各種の特徴量が抽出され、その結果、各種特徴量毎或いは特徴量空間の分布(ヒストグラムや散布図等)を基に欠陥を正確に分類する確率を高めることが可能となる。なお、第1のしきい値で欠陥を検出した際、第2のしきい値で検出されない欠陥も検出されることになるが、該欠陥を第2のしきい値で検出される欠陥の位置座標又はIDにより排除することは可能である。
【0032】
なお、画素単位位置合せ処理部473及びサブピクセル位置合せ処理部474で隣接するダイ同士で位置合せしただけでは、比較用画像加工処理部470の差分処理476において明るさが近いダイ同士の検出画像の差分を取る際、XYステージ203、204の精度が十分だったとしても上記明るさが近いダイ同士の検出画像の間に極微小な位置ずれが生じるため、最大値処理430において3×3又は7×7の画素群で切り出してその中での最大値をとることによって、極微小な位置ずれ誤差を第1及び第2のしきい値の設定に反映させることが可能となる。勿論、XYステージ203,204の精度が十分高く、隣接ダイ同士の位置合せで十分の場合には、最大値処理430は必ずしも必要でない。
【0033】
また、図5に示すしきい値設定部410における画像処理フローは一実施例であり、必ずしもこのフローの順でなくてもよく、また、途中で他の処理を加えてもよい。
【0034】
次に、画像処理部400の第1及び第2の実施例について図6及び図7を用いて説明する。
【0035】
画像処理部400の第1の実施例400aは、図6に示すように、図2に示した比較用画像加工処理部470と、該比較用画像加工処理部470から得られる明るさむらの状況が近いダイ間での差分信号(差画像)としきい値設定部410で設定された第1のしきい値(Th1(i,j))411とを比較して該第1のしきい値411を越えた差分信号を欠陥画像信号として検出して出力する第1の比較処理部440と、該第1の比較処理部440から出力される欠陥の差分信号(欠陥画像信号)を基に欠陥を自動分類するための欠陥の特徴量(例えば、面積、XY方向の投影長、及びしきい値を越えた諧調値(濃淡値)の最大値、平均値若しくは積分値(体積値)等)データを算出して出力すると共に第1の比較処理部440から出力される欠陥の差分信号(欠陥画像信号)を出力する特徴量算出部445aと、該特徴量算出部445aから出力された欠陥の差分信号としきい値設定部410で設定された第2のしきい値(Th2(i,j))412と比較して欠陥を検出し、該欠陥の位置座標及びその欠陥の差分信号等の欠陥データ並びに特徴量算出部445aから得られる欠陥を自動分類するための欠陥の特徴量データを検出結果(検査結果)460として出力する第2の比較処理部450aとで構成される。なお、第1の比較処理部440においては第1のしきい値411が低いため虚報が生じることになるが、該虚報については、第2の比較処理部450aにおいて第1の比較処理部440から検出される欠陥の位置座標又はIDと照合することによって排除することは可能である。勿論、虚報の排除は、検出結果460の提供を受ける全体制御部2で行ってもよい。
【0036】
画像処理部400の第2の実施例400bは、図7に示すように、図2に示した比較用画像加工処理部470と、該比較用画像加工処理部470から得られる明るさむらの状況が近いダイ間での差分信号としきい値設定部410で設定された第1のしきい値(Th1(i,j))411とを比較して該第1のしきい値411を越えた差分信号を欠陥として出力する第1の比較処理部440と、該第1の比較処理部440から出力される欠陥の差分信号を基に欠陥の特徴量を算出して欠陥を自動分類するための欠陥の特徴量データを検出結果(検査結果)460として出力する特徴量算出部445bと、上記比較用画像加工処理部470から得られる明るさむらの状況が近いダイ間での差分信号としきい値設定部410で設定された第2のしきい値(Th2(i,j))412とを比較して欠陥を検出し、該欠陥の位置座標及びその欠陥の差分信号等の欠陥データを検出結果(検査結果)460として出力する第2の比較処理部450bとで構成される。なお、第1の比較処理部440においては第1のしきい値411が低いため虚報が生じることになるが、該虚報については、第2の比較処理部450bにおいて第1の比較処理部440から検出される欠陥の位置座標又はIDと照合することによって排除することは可能である。勿論、虚報の排除は、検出結果460の提供を受ける全体制御部2で行ってもよい。
【0037】
以上説明したように、画像処理部400a、400bからは、図8に示すように、全体制御部2に対して検出結果(検査結果)460として、明るさむらの状況が近いダイ間での差分信号(差分画像信号)に対して欠陥検出しきい値(Th2(i,j))412で検出された欠陥の位置座標及びその欠陥の差分信号等の欠陥データ、並びに明るさむらの状況が近いダイ間での差分信号に対して欠陥検出しきい値(Th2(i,j))412より低い1次特徴量しきい値(Th1(i,j))411で検出された欠陥について算出された分類に有効な各種の特徴量データが提供されることになる。このとき、検査条件が変更されると、当然検査条件の変更に伴って検出された欠陥についての分類に有効な各種の特徴量データが算出されて提供されることになる。
【0038】
図9には、1次特徴量しきい値(Th1(i,j))411で検出された欠陥9の諧調値(濃淡値)を示す。この欠陥9の諧調値を基に各種の特徴量データ(例えば、画素数で表される面積(23)、X,Y方向の最大画素数で表されるX,Y投影長(6,7)、及び諧調値の最大値(260)、平均値(40.4)若しくは積分値(929))が算出されることになる。
【0039】
次に、全体制御部(CPU部)2における欠陥分類するための検査条件設定及び欠陥分類条件設定について説明する。
【0040】
まず、図1に示すように、全体制御部2内には、照明光学系100の照射角度、照射光量及び第1のしきい値(Th1(i,j))411を決めるしきい値係数k1などの欠陥分類に関係する検査条件を設定する検査条件設定部21、欠陥分類条件を設定する欠陥分類条件設定部22、及び上記検査条件設定部21で設定された欠陥分類に関係する検査条件と上記欠陥分類条件設定部22で設定された欠陥分類条件と検出結果(検査結果)460とに基づいて欠陥を分類する欠陥分類処理部22を設けて構成される。欠陥分類条件設定部21は、図10に示すように、検査条件設定(S101)と、検査(S102)と、該検査で検査された欠陥の種類を確認する欠陥種確認(S103)と、該欠陥種確認で確認された欠陥の種類に分類する分類条件を設定する分類条件設定(S104)と、該分類条件設定(S104)で設定された欠陥の種類毎の分類条件で分類された分類結果を確認して最終的な分類条件を決めて記憶装置5に保存する分類結果確認(S105)とを実行する。
【0041】
検査条件設定(S101)は、全体制御部2(検査条件設定部21)に対して表示装置3のモニタ画面上で図11に示すような検査条件を設定して記憶装置5に記憶する処理である。全体制御部2の検査条件設定部21において検査実行前に行われる検査条件(検査レシピ)の設定は、図11に示すように、被対象基板1に合せるチップレイアウト設定(S111)と、被対象基板の回転合せ(S112)と、検査領域設定(S113)と、光学条件設定(S114)と、光学フィルタ設定(S115)と、照射光量設定(S116)と、信号処理条件設定(S117)と、検査(S118)と、欠陥確認(S119)とから構成される。まず、チップレイアウト設定(S111)は、検査条件設定部21において、CAD情報等により、画像処理部400などに対してダイサイズやウエハ上のダイの有無を設定することである。このダイサイズは比較処理を行う距離に関係するため設定が必要である。次に、回転合せ設定(S112)は、ウエハ観察光学系600でのウエハ観察を基に、検査条件設定部21がステージ系200に対して制御する、ステージに載置されたウエハ上のダイの並び方向とイメージセンサ304の画素方向とを平行にする回転合せ設定である。この回転合せを行うことにより、ウエハ上の繰り返しダイが一軸方向に並ぶため、ダイ比較処理を容易に行うことができる。検査領域設定(S113)は、CAD情報やしきい値マップなどを用いて、検査条件設定部21が画像処理部400に対して制御する、ウエハ上の検査を行う場所の設定や、ダイ内のメモリ領域やロジック領域などの検査領域における検出感度(第1及び第2のしきい値)の設定を行うことである。光学条件設定(S114)は、検査条件設定部21が照明光学系100や検出光学系300に対して制御する、ウエハに照射する照明光の水平面内における方向や水平面との成す傾斜角度(低角度、中角度、高角度)を選択したり、場合によっては検出光学系300の倍率を選択する。光学フィルタ設定(S115)は、検査条件設定部21が検出光学系300に対して制御する空間フィルタ302等を設定することである。照射光量設定(S116)は、検査条件設定部21が照明光学系100の例えばNDフィルタ104を制御して照射光量(照射強度)を設定することである。信号処理条件設定(S117)は、検査領域の設定においてダイ内に設定された各種検査領域に応じて欠陥を検出する第1及び第2のしきい値((Th1(i,j)、(Th2(i,j)))に関係するしきい値係数k1、k2等の条件を設定するものである。検査(S118)は、S111〜S117で設定された検査条件で検査するステップである。そして、欠陥確認(S119)において虚報、ニューサンスの個数が一定の割合以下の場合、S114での光学条件毎及びS116での照射光量毎のS117で設定された信号処理条件が決定されて記憶装置5に保存されることになる。
【0042】
次に、検査(S102)は、検査条件設定(S101)で記憶装置5に記憶された検査条件に従って全体制御部2は、画像処理部400に対するしきい値係数k1、照明光学系制御部103に対する照射角度及び照射光量並びにステージ制御部205を制御し、該制御された検査条件で検査装置により被対象基板1を検査して欠陥IDが付与された検出結果(検査結果)460が全体制御部2に入力されて記憶装置5に記憶される。
【0043】
次に、欠陥種確認(S103)は、全体制御部2が上記検査(S102)で検出結果460として記憶装置5に記憶された欠陥IDの欠陥を示す差画像を表示装置3のモニタ画面に表示して欠陥の種類(例えば、大異物、小異物、パターン欠陥、スクラッチ、膜下欠陥等)を確認し、入力手段4を用いてモニタ画面上で確認された欠陥の種類を欠陥IDに対して付与して記憶装置5に記憶する。この欠陥種確認(S103)は、レビュー装置(図示せず)において欠陥IDに対する確認された欠陥の種類であってもよく、ネットワーク6を介して入力されて記憶装置5に記憶されることになる。
【0044】
次に、分類条件設定(S104)は、全体制御部2(欠陥分類条件設定部22)において、上記欠陥種確認(S103)で確認された欠陥の種類(図13に示すように、例えばA,B,C,Dの4つの組合せから、順に3つの組合せ、2つの組合せとなる)の組み合わせに対して欠陥分類に関係する検査条件を変えた場合も含めて得られる多種の特徴量α(例えば、低角度照明、照射光量大、特徴量が面積)、β(例えば高角度照明、照射光量中、特徴量がXY投影長)、γ(例えば、中角度照明、照射光量中、特徴量が濃淡値の最大値)、・・・を基に多次元の特徴量空間(例えば散布図)又は2〜3次元の特徴量空間(例えば散布図)の複数の組合せを用いて統計的距離指標を算出し、例えば図12に示す如く欠陥の種類の組合せについて各種の特徴量を横軸にした欠陥分布ヒストグラムを多種に亘って作成し、該作成された欠陥の種類の組合せについての多種の欠陥分布ヒストグラム及びそれぞれについての統計的距離指標を表示装置3のモニタ画面に表示し、欠陥の種類を自動で2分岐するための特徴量として横方向に見ていって統計的距離指標が最も高いものが自動又は入力手段4を用いて手動で選択されて欠陥分類条件として記憶装置5に記憶されて設定されることになる。即ち、欠陥分類条件設定部22は、全ての欠陥種の組合せに対して、特徴量ごとに欠陥種間の統計的距離指標を求め、該統計的距離指標が最大となる特徴量および欠陥種の組合せを選択することによって、欠陥種を2つの群にわける(2分岐する)分類条件が設定されることになる。そして、この2分岐を繰り返すことによって、各種類に分類する分類条件が設定されることになる。ここで統計的距離指標は、多次元の特徴量空間又は2〜3次元の特徴量空間の複数の組合せを用いて欠陥種間の分離度合いを算出したもので、例えば欠陥群同士のユークリッド距離やマハラノビス距離、エントロピーなどを用いるとよい。また、欠陥分類条件設定時にはユーザが任意に特徴量や欠陥種の組合せを表示装置3のモニタ画面上に選択して表示することが可能である。さらに、図13に分類手順として示すように、欠陥種Aと欠陥種BCDとに2分岐する分類条件としては統計的距離指標が最も高い特徴量αが設定され、次に、欠陥種BCと欠陥種Dとに2分岐する分類条件としては統計的距離指標が最も高い特徴量βが設定され、次に、欠陥種Bと欠陥種Cとに2分岐する分類条件としては統計的距離指標が最も高い特徴量γが設定されることになる。
【0045】
次に、分類結果確認(S105)は、欠陥分類条件設定部22が、上記分類条件設定(S104)において設定された分類条件で分類した結果として例えば図14に示すコンフュージョンマトリックスを表示装置3のモニタ画面に表示することによって確認することである。このように、分類条件を設定時または設定後に、分類正解率を表示することで、分類結果を直ちに確認することが可能となる。なお、目視確認は、上記欠陥種確認(S103)で確認して記憶装置5に記憶した結果である。自動分類は、上記分類条件設定(S104)において2分岐を繰り返す分類条件として設定した結果である欠陥分布ヒストグラムのデータから抽出して記憶装置5に記憶した結果である。即ち、自動分類は、欠陥分類処理部23において、欠陥分類条件設定部22で設定した欠陥分類条件に従って分類した結果と同じことになる。以上説明したように、分類結果確認の結果、分類条件を変更する必要のない場合には、記憶装置5に記憶された分類条件が確定されることになる。
以上により、検査条件設定及び欠陥分類条件設定が行われて記憶装置5に記憶されることになる。
【0046】
次に、通常の検査及び全体制御部2(欠陥分類処理部23)での欠陥分類について図15を用いて説明する。全体制御部2(欠陥分類処理部23)は、記憶装置5から複数の検査条件(少なくとも照射角度及び照射光量を替えること)及び分類条件を読込み(S151)、該読込まれた複数の検査条件の各々で検査を行い、各検査条件での検出結果460を取得して記憶装置5に記憶する(S152)。次に、全体制御部2(欠陥分類処理部23)は、検査条件毎に取得される検出結果460を基に、上記読込まれた分類条件である図13に示す分類手順に従って2分岐を繰り返すことによって欠陥を自動分類し、検査結果及び分類結果を出力する(S153)。このときの欠陥分類の正解率は、図14に示す結果となる。
【0047】
次に、本発明に係る検査装置1000と半導体の製造装置群800(製造プロセス801〜804:ホト工程801、エッチング工程802、成膜工程803及びCMP工程804)との関係について図16及び図17を用いて説明する。即ち、特定の工程801を通過後のウエハ1を本発明に係る検査装置1000で検査する。勿論、検査装置1000でも前述したように各種特徴量を基に分類し、該分類結果を欠陥管理システム1200に提供することが可能である。さらに、レビュー装置1001などで欠陥の詳細を付き止めることで、欠陥管理システム1200は工程管理システム1100を介して欠陥の発生原因の製造プロセスにフィードバックすることが可能となる。そして、この繰返しにより半導体デバイスの歩留りを向上し、信頼性の高い半導体デバイスの製造が可能となる。
【0048】
図17は欠陥数と半導体製品の歩留りの関連を示したものである。ハッチングをした期間では歩留りが大きく低下しているが、総欠陥数が若干増えているのに過ぎない。検出欠陥を分類し、ショート欠陥数に着目すると、歩留りが低下している期間にはショート欠陥が増加していることが分かる。従って、本発明に係る検査装置1000において、欠陥の総数だけでなく、欠陥を分類して欠陥の種類ごとに個数をモニタし、このモニタの情報を欠陥管理システム1200に提供することにより、半導体製品の歩留りと相関のある情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る検査装置の一実施例を示す構成図である。
【図2】本発明に係る比較用画像加工処理部の一実施例を示す機能構成図である。
【図3】本発明に係る画素単位位置合せ処理部における画素単位での位置合せ処理の一実施例を説明するための図である。
【図4】本発明に係るサブピクセル位置合せ処理部におけるサブピクセル単位での位置合せ処理の一実施例を説明するための図である。
【図5】本発明に係るしきい値設定部の一実施例の機能構成図である。
【図6】図1に示す画像処理部の第1の実施例を示す機能構成図である。
【図7】図1に示す画像処理部の第2の実施例を示す機能構成図である。
【図8】本発明に係る明るさが近いダイ間の欠陥を示す差分信号(差画像信号)に対して設定される欠陥検出しきい値と該欠陥検出しきい値よりも低くした1次特徴量を抽出するためのしきい値との関係を示した図である。
【図9】本発明に係る1次特徴量抽出しきい値で得られる欠陥の各種特徴量を説明するための図である。
【図10】本発明に係る欠陥分類条件設定の処理フローの一実施例を示す図である。
【図11】本発明に係る検査条件設定の処理フローの一実施例を示す図である。
【図12】本発明に係るある検査条件において2分岐を繰り返して欠陥の種類を分類する欠陥分類条件を設定するために、欠陥種の組合せ毎の各種特徴量に亘る欠陥分布ヒストグラムを表示し、欠陥群間の統計的距離指標(欠陥種間の分離度合いを示す)を用いた特徴量選択の一実施例を示す図である。
【図13】本発明に係るある検査条件において2分岐を繰り返して欠陥の種類を分類する欠陥分類手順の一実施例を示す図である。
【図14】本発明に係る欠陥分類条件で欠陥の種類を自動分類したときの正解率を示すコンフュージョンマトリックスの一実施例を示す図である。
【図15】本発明に係る欠陥検査の処理フローの一実施例を示す図である。
【図16】本発明に係る検査装置を用いた半導体製造プロセスの一実施例を示した図である。
【図17】本発明に係る欠陥数と歩留りとの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1…ウエハ(被対象基板)、2…全体制御部(CPU部)、3…表示装置、4…入力装置、5…記憶装置、6…ネットワーク、21…検査条件設定部、22…欠陥分類条件設定部、23…欠陥分類処理部、100…照明光学系、101…光源、102…集光照射光学系、103…照明光学系制御部、104…NDフィルタ、200…ステージ系、201…θステージ、202…Zステージ、203…Xステージ、204…Yステージ、205…ステージ制御部、300…検出光学系、301…対物レンズ、302…空間フィルタ、303…結像レンズ、304…イメージセンサ、400、400a、400b…画像処理部、410…しきい値設定部、411…1次特徴量抽出しきい値(第2のしきい値)、412…欠陥検出しきい値(第1のしきい値)、421…差データ記憶部、422…最大値最小値除去処理、423…二乗値算出処理、424…二乗和算出処理、426…和算出処理、427…標準偏差算出処理、428…平均値算出処理、429…仮しきい値算出処理、430…最大値処理、431…積算処理、435…しきい値係数k1、436…しきい値係数k2、440…第1の比較処理部、445a、445b…特徴量算出処理部、450a、450b…第2の比較処理部、460…検出結果、470…比較用画像加工処理部、471…データ記憶部、472…画像切り出し処理部、473…画素単位位置合せ処理部、474…サブピクセル位置合せ処理部、475…ソート処理部、476…差処理部、500…フーリエ変換面観察系、501…光路切り替え部、502…レンズ、503…カメラ、600…ウエハ観察系、601…ウエハ観察用対物レンズ、602…ウエハ観察用結象レンズ、603…カメラ、800…製造装置群、801…ホト工程、802…エッチング工程、803…成膜工程、804…CMP工程、1000…本発明に係る検査装置、1001…欠陥観察装置(レビュー装置)、1100…工程管理システム、1200…欠陥情報管理システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のダイが配列された被対象基板を載置して少なくともXY方向に走行するステージ系と、前記被対象基板に対して照明光を照射する照明光学系と、前記被対象基板から得られる反射光を検出して画像信号を取得する検出光学系と、該検出光学系で取得された画像信号を処理する画像処理部とを備えた検査装置であって、
前記画像処理部は、前記検出光学系で取得された画像信号を記憶するデータ記憶部、該データ記憶部に記憶された画像信号の内、ダイ毎に得られる画像信号を明るさの順に並び替えるソート処理部及び該ソート処理部で並び替えられたダイ毎の画像信号の内明るさが近いダイの画像信号同士の間の差分をとって差分画像信号を得る差分処理部を備えた比較用画像加工処理部と、第2のしきい値及び該第2のしきい値よりも低い第1のしきい値を設定するしきい値設定部と、前記差分処理部から得られる差分画像信号と前記しきい値設定部で設定された第1のしきい値とを比較して該第1のしきい値を越えた欠陥画像信号を得る第1の比較処理部と、該第1の比較処理部から得られる欠陥画像信号を基に欠陥の各種特徴量を抽出して欠陥の各種特徴量データを得る特徴量抽出処理部と、前記差分処理部から得られる差分画像信号と前記しきい値設定部で設定された第2のしきい値とを比較して該第2のしきい値を越えた欠陥を検出して欠陥データを得る第2の比較処理部とを備え、
さらに、前記特徴量抽出処理部から得られる欠陥の各種特徴量データ及び前記第2の比較処理部から得られる欠陥データに基づいて欠陥の種類を分類する欠陥分類処理部を備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記比較用画像加工処理部において、前記データ記憶部に記憶された画像信号の内、隣接するダイの各々から得られる画像信号同士を画素単位又はサブピクセル単位(画素単位以下)で位置合せをして記憶する位置合せ処理部を備えたことを特徴とする請求項1記載の検査装置。
【請求項3】
前記しきい値設定部において、前記第1及び第2のしきい値を前記差分処理部から得られる差分画像信号に基づいて設定するように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の検査装置。
【請求項4】
前記欠陥分類処理部は、欠陥の種類を2分岐を繰り返すことによって分類するように構成したことを特徴とする請求項1又は2又は3記載の検査装置。
【請求項5】
更に、予め欠陥分類条件を設定する欠陥分類条件設定部を備え、
前記欠陥分類処理部において前記欠陥の各種特徴量データ及び欠陥データに基づいて前記欠陥分類条件設定部で設定された欠陥分類条件に従って欠陥の種類を分類するように構成したことを特徴とする請求項1又は2又は3記載の検査装置。
【請求項6】
前記欠陥分類条件設定部は、2分岐を繰り返して欠陥の種類を分類するための2分岐毎に該2分岐欠陥種間の分離度合いの最も大きな前記特徴量抽出処理部から得られる欠陥の特徴量(検査条件として少なくとも照明光学系の照射角度及び照射光量を変えた場合に得られる欠陥の特徴量も含む)を欠陥分類条件として設定するように構成したことを特徴とする請求項5記載の検査装置。
【請求項7】
前記欠陥分類条件設定部は、前記欠陥分類処理部において前記設定した欠陥分類条件に従って欠陥の種類を分類した際の正解率を表示装置の画面に表示するように構成したことを特徴とする請求項5又は6記載の検査装置。
【請求項8】
複数のダイが配列された被対象基板を載置して少なくともXY方向に走行するステージ系と、予め前記被対象基板への照明光の照射角度及び照射光量を制御する複数の検査条件を設定する検査条件設定部と、該検査条件設定部で設定された各検査条件で前記被対象基板に対して照明光を照射する照明光学系と、前記被対象基板から得られる反射光を検出して画像信号を取得する検出光学系と、該検出光学系で取得された画像信号を処理する画像処理部とを備えた検査装置であって、
前記画像処理部は、前記検出光学系で前記検査条件毎に取得された画像信号を記憶するデータ記憶部、該データ記憶部に前記検査条件毎に記憶された画像信号の内、ダイ毎に得られる画像信号を明るさの順に並び替えるソート処理部及び該ソート処理部で前記検査条件毎に並び替えられたダイ毎の画像信号の内明るさが近いダイの画像信号同士の間の差分をとって前記検査条件毎に差分画像信号を得る差分処理部を備えた比較用画像加工処理部と、前記検査条件毎に第2のしきい値及び該第2のしきい値よりも低い第1のしきい値を設定するしきい値設定部と、前記差分処理部から前記検査条件毎に得られる差分画像信号と前記しきい値設定部で前記検査条件毎に設定された第1のしきい値とを比較して該第1のしきい値を越えた欠陥画像信号を前記検査条件毎に得る第1の比較処理部と、該第1の比較処理部から前記検査条件毎に得られる欠陥画像信号を基に欠陥の各種特徴量を抽出して欠陥の各種特徴量データを得る特徴量抽出処理部と、前記差分処理部から前記検査条件毎に得られる差分画像信号と前記しきい値設定部で前記検査条件毎に設定された第2のしきい値とを比較して該第2のしきい値を越えた欠陥を前記検査条件毎に検出して欠陥データを得る第2の比較処理部とを備え、
さらに、前記特徴量抽出処理部から前記検査条件毎に得られる欠陥の各種特徴量データ及び前記第2の比較処理部から前記検査条件毎に得られる欠陥データに基づいて欠陥の種類を分類する欠陥分類処理部を備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項9】
更に、2分岐を繰り返して欠陥の種類を分類するための2分岐毎に該2分岐欠陥種間の分離度合いの最も大きな、前記特徴量抽出処理部から前記検査条件毎に得られる欠陥の特徴量を欠陥分類条件として設定する欠陥分類条件設定部を備え、
前記欠陥分類処理部において該欠陥分類条件設定部で設定された欠陥分類条件に従って2分岐を繰り返して前記欠陥の種類を分類するように構成したことを特徴とする請求項8記載の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−300517(P2006−300517A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−117727(P2005−117727)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】