真空処理装置及び真空処理方法並びに記憶媒体
【課題】装置の占有面積の増大を抑えつつ、基板搬送手段に対する処理、基板の待機或いは基板に対する処理を行なう付属モジュールを追加すること。
【解決手段】真空搬送室3の底部30に凹部41を形成し、ここに第2の搬送アーム32の洗浄処理を行う付属モジュール(洗浄モジュール4)を、前記第2の搬送アーム32によるウエハWの搬送を阻害しないように前記凹部41に収納する位置と、前記真空搬送室3内において前記第2の搬送アーム32の前記保持領域を洗浄する位置との間で昇降させる。前記洗浄モジュール4は使用しないときには前記凹部41に収納し、使用するときには真空搬送室3内に突出するようにしているので、装置の占有面積の増大を抑えつつ、前記付属モジュールを追加することができる。
【解決手段】真空搬送室3の底部30に凹部41を形成し、ここに第2の搬送アーム32の洗浄処理を行う付属モジュール(洗浄モジュール4)を、前記第2の搬送アーム32によるウエハWの搬送を阻害しないように前記凹部41に収納する位置と、前記真空搬送室3内において前記第2の搬送アーム32の前記保持領域を洗浄する位置との間で昇降させる。前記洗浄モジュール4は使用しないときには前記凹部41に収納し、使用するときには真空搬送室3内に突出するようにしているので、装置の占有面積の増大を抑えつつ、前記付属モジュールを追加することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板搬送手段を備えた真空搬送室に複数の真空処理室を接続した真空処理装置において、真空搬送室を有効に活用するための技術である。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、半導体基板である半導体ウエハ(以下「ウエハ」という)にエッチング処理や成膜処理、アッシング処理等の所定の真空処理を施す工程があり、これらの工程を行う装置として、複数の真空処理室を共通の真空雰囲気の搬送室に接続し、この真空搬送室と常圧雰囲気の搬送室との間を、ロードロック室をなす予備真空室を介して接続するいわゆるマルチチャンバ方式の真空処理装置が知られている。
【0003】
このような真空処理装置を図15に示す。この装置では、キャリア10内のウエハは常圧雰囲気の搬送室11の第1の搬送アーム12により受け取られ、当該搬送アーム12により常圧雰囲気の予備真空室13に搬送される。次いで予備真空室13内の雰囲気が所定の真空雰囲気に切り替えられた後、ウエハは予備真空室13から第2の搬送アーム14により受け取られ、真空搬送室15を介して所定の真空処理室16に搬入され、ここでウエハに対して真空処理が施される。この後ウエハは、第2の搬送アーム14により真空搬送室15を介して真空雰囲気の予備真空室13に搬送され、予備真空室13内の雰囲気が常圧雰囲気に切り替えられた後、第1の搬送アーム12により搬送室11を介して、キャリア10に戻されるようになっている。
【0004】
ここで前記第2の搬送アーム14は、2本の保持アームを有しており、一方の保持アームにより当該真空処理室16から処理後のウエハを受け取り、続いて他方の保持アームに保持されていた処理前のウエハを当該真空処理室16に受け渡し、次いで前記一方の保持アーム上のウエハを次工程の処理を行う真空処理室16に搬送するようになっている。
【0005】
ところで前記真空処理装置では、真空搬送室15の搬送路の長さ方向に沿って真空処理室16が設けられているので、当該装置に設けられる真空処理室16の個数は、前記真空搬送室15の搬送路の長さに応じて決定されるが、現状の真空処理装置では、図に示すように前記真空処理室16の最大個数は例えば6個程度であり、これら真空処理室16は、エッチング処理や成膜処理、アッシング処理等の、半導体デバイスを製造するための一連の処理を行うように構成されている。
【0006】
ところで前記真空処理装置においては、既述のエッチング処理等以外に、アームクリーニング処理や、ウエハWに付着している付着物を気化させて除去するデガス処理等の処理を行うモジュールや、ウエハWを仮置きするためのエリアを第2の搬送アーム14によりアクセスできるように設けることが要請されている。
【0007】
前記アームクリーニング処理とは、第2の搬送アーム14のウエハ保持領域を洗浄する処理であり、前記真空処理室16における処理の残留ガスが前記第2の搬送アーム14に付着し、これが累積すると当該搬送アーム14が成膜されてしまい、この膜がウエハに再付着したり、パーティクル汚染の原因となるおそれがあるため、これを防ぐべく当該搬送アーム14の洗浄が必要となるからである。
【0008】
またウエハWを仮置きするためのエリアは、真空処理室16から処理後のウエハWを第2の搬送アーム14により受け取った後、当該真空処理室16の内部をクリーニング処理する場合等に必要となる。つまりこのクリーニング処理を行う場合には、第1の搬送アーム14における2本の保持アームが当該真空処理室16の処理前後のウエハを持ったままとなるが、処理前のウエハWを当該真空処理室16に受け渡さないと、第2の搬送アーム14は次の真空処理室16へのウエハWの搬送ができないため、前記処理前後のウエハを保持したままクリーニング処理の終了を待機しなければならない。この際前記処理前のウエハを仮置きできるように構成すれば、クリーニング処理の終了を待たずに処理後のウエハWを次工程の真空処理室16に搬送できるので、スループットの低下を抑えることができ、このような理由からウエハWを仮置きするためのバッファモジュールが必要となる。
【0009】
しかしながら、現状の真空処理装置では、前記真空搬送室15とアクセスできる領域には、半導体デバイスの製造処理を行うモジュールが優先的に搭載され、前記アームクリーニングモジュールや前記デガス処理を行うモジュールやバッファモジュール等の、前記半導体デバイスの製造処理の前後に用いられる付属モジュールについては搭載するスペースを確保することは難しい。
【0010】
この際、真空搬送室15の搬送路を長くして、当該真空搬送室15に沿って配列されるモジュール数を増やし、ここに前記付属モジュールを搭載することも考えられるが、このような構成では装置の占有面積が大きくなってしまう上、第2の搬送アーム14の移動領域が大きくなるので、当該搬送アーム14のスループットが低下してしまう。また真空搬送室15を大きくしたり、そこに接続するモジュール数を増加するとなると、装置全体や第2の搬送アーム14の仕様を大幅に変更しなければならず、設計等に手間と時間を要するという問題もある。さらに予備真空室13に前記付属モジュールを設けることも考えられるが、予備真空室13は真空雰囲気と常圧雰囲気との間で雰囲気を切り換えなければならいので、当該雰囲気調整が煩雑になったり、この雰囲気調整によりスループットが低下したりといった悪影響を発生させてしまう懸念がある。
【0011】
また前記アームクリーニングモジュールやバッファモジュールは、既述のように常に使用されるものではなく、所定のタイミングで用いられるモジュールである。従って使用しない時間が長いので、装置や搬送プログラムを設計する観点からは、前記半導体デバイスの製造のための一連の処理は、現状の装置を用いて、現状の搬送プログラムによって実施することが好ましい。このような要請から、本発明者らは、現状の装置構成やプログラムの仕様変更を最小限にとどめた状態で付属モジュールを追加できる構成について検討している。
【0012】
ところで、特許文献1には、例えば真空搬送室にバッファ部を設けることにより、装置の占有面積を大きくすることなく、前記バッファ部において、ウエハWのデガス処理や所定の測定を行うための簡単なプロセスを行う構成が提案されている。しかしながら、この構成では真空搬送室の搬送手段の移動領域にバッファ部を設けているので、搬送手段が真空搬送室の長さ方向に沿ってスライド移動することができず、真空搬送室に接続された全ての真空処理室にウエハWを搬送するためには、異なる領域の夫々に2個の搬送手段を設ける必要がある。このように、真空搬送室にバッファ室と2個の搬送手段とを設けなければならないので、現状の真空処理装置とは仕様変更が必要であり、また装置の占有面積はある程度大きくしなければならない。従ってこの文献1の構成によっても、本発明の課題の解決を図ることはできない。
【0013】
【特許文献1】特開2002−324829号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明はこのような事情のもとになされたものであり、その目的は、装置の占有面積の増大を抑えつつ、基板搬送手段に対する処理、基板の待機或いは基板に対する処理を行なう付属モジュールを追加できる真空処理装置及び、当該真空処理装置を使用した真空処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このため本発明の真空処理装置は、常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切替可能に構成され、外部から基板が搬入される予備真空室と、
前記基板に対して真空処理を施すための複数の真空処理室と、
これら真空処理室と前記予備真空室とに接続され、これら予備真空室と真空処理室との間で基板を搬送する基板搬送手段を備えた真空搬送室と、
前記真空搬送室の底部又は天井部に形成された凹部と、
前記基板搬送手段に対して処理を行うための付属モジュールと、
この付属モジュールを、前記基板搬送手段による基板搬送を阻害しないように前記凹部に収納する位置と、前記真空搬送室内において前記基板搬送手段に対して処理を行う位置との間で昇降させるための昇降手段と、を備えたことを特徴とする。ここで前記基板搬送手段に対して行なう処理としては、例えば当該基板搬送手段における基板の保持アームの洗浄処理又は前記保持アームの静電気除去処理或いは前記保持アームの位置調整処理のいずれかを行うことができる。
【0016】
また本発明の真空処理装置は、常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切替可能に構成され、外部から基板が搬入される予備真空室と、
前記基板に対して真空処理を施すための複数の真空処理室と、
これら真空処理室と前記予備真空室とに接続され、これら予備真空室と真空処理室との間で基板を搬送する基板搬送手段を備えた真空搬送室と、
前記真空搬送室の底部又は天井部に形成された凹部と、
前記基板を載置するため又は基板を載置し更に当該基板に対して処理を行うための付属モジュールと、
この付属モジュールの全部又は一部を、前記基板搬送手段による基板搬送を阻害しないように前記凹部に収納する位置と、前記真空搬送室内において前記基板搬送手段との間で基板の受け渡しを行なう位置との間で昇降させるための昇降手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
ここで前記付属モジュールは、前記昇降手段により、前記凹部の開口部を気密に塞ぐ位置と、前記真空搬送室内に飛び出た位置との間で昇降自在に構成された蓋体と、前記凹部と蓋体とにより形成される区画空間内に前記基板を配置するための位置と、前記基板搬送手段との間で基板の受け渡しを行なうために前記真空搬送室内に飛び出た位置との間で昇降される載置部と、を備えるようにしてもよく、前記載置部は前記蓋体と一体となって昇降されるものであってもよい。
【0018】
また前記付属モジュールは、前記昇降手段により、前記凹部の開口部を気密に塞ぐ位置と、前記真空搬送室内に飛び出た位置との間で昇降自在に構成された蓋体と、前記凹部と蓋体とにより形成される区画空間内において前記基板が載置される載置部と、前記載置部との間で基板の受け渡しを行なうための位置と、前記真空搬送室内における前記基板搬送手段との間で基板の受け渡しを行なう位置と、の間で昇降自在に設けられた受け渡し手段と、備えるものであってもよい。
【0019】
さらに前記付属モジュールは、前記載置部に載置された基板に対して処理を行うための手段を備えるようにしてもよく、この基板に対して処理を行うための手段は、基板温度を調整するための温度調整手段であってもよい。さらにまた前記付属モジュールでは、前記基板に対して真空処理を行う前に、当該基板を予備加熱する処理を行なうようにしてもよいし、真空処理が行われた基板を冷却する処理を行なうようにしてもよい。
【0020】
さらにまた前記温度調整手段は、前記凹部を構成する真空搬送室の壁部に形成された温調流体の流路と、前記凹部と蓋体とにより形成される区画空間内にガスを供給するガス供給手段と、を含み、前記区画空間内を真空排気する真空排気手段を備えるようにしてもよい。この際、前記付属モジュールでは、例えば基板に付着した付着物を気化させて除去する処理が行われる。
【0021】
さらにまた前記基板搬送手段は、前記真空搬送室内において、当該基板搬送室の一端側に設けられたガイドレールに沿って移動可能に設けられた基台と、この基台に水平方向に回転自在及び進退自在に設けられた基板の保持アームと、を備え、前記真空搬送室の底部に形成される凹部は、前記ガイドレールと干渉しない領域であって、前記基台がこのガイドレール上のある位置にあるときに、当該基台に干渉しないように形成されることが好ましい。
【0022】
また本発明の真空処理方法は、常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切替可能に構成された予備真空室を介して外部との間で基板の受け渡しを行なうと共に、この基板を真空搬送室に設けられた基板搬送手段により前記予備真空室と真空処理室との間で搬送し、この真空処理室において前記基板に対して真空処理を施す真空処理方法において、
前記真空搬送室の底部又は天井部に形成された凹部に付属モジュールを収納した状態で、前記基板搬送手段により前記真空処理室に基板を搬送し、当該真空処理室においてこの基板に対して真空処理を施す工程と、
次いで前記付属モジュールを前記真空搬送室内に突出させ、この付属モジュールにおいて前記基板搬送手段の基板に対して処理を行う工程と、を含むことを特徴とする。ここで前記基板搬送手段に対して行なう処理としては、例えば当該基板搬送手段における基板の保持アームの洗浄処理又は前記保持アームの静電気除去処理或いは前記保持アームの位置調整処理のいずれかを行うことができる。
【0023】
さらに本発明の真空処理方法は、常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切替可能に構成された予備真空室を介して外部との間で基板の受け渡しを行なうと共に、この基板を真空搬送室に設けられた基板搬送手段により前記予備真空室と真空処理室との間で搬送し、この真空処理室において前記基板に対して真空処理を施す真空処理方法において、
前記真空搬送室の底部又は天井部に形成された凹部に付属モジュールを収納した状態で、前記基板搬送手段により前記真空処理室に基板を搬送し、当該真空処理室において前記基板に対して真空処理を施す工程と、
次いで前記付属モジュールの全部又は一部を前記真空搬送室内に突出させ、この付属モジュールにおける基板の載置部に対して、前記基板搬送手段により基板の受け渡しを行う工程と、
次いで前記付属モジュールを前記凹部に収納する工程と、を含むことを特徴とする。例えば前記凹部に収納された付属モジュールにおいて前記基板を載置する工程は、前記真空処理室に対してクリーニング処理を行うときに行なわれる。
【0024】
また本発明では、前記凹部に収納された付属モジュールにおいて、前記載置部にされた基板に対して処理を行う工程を含むようにしてもよい。例えばこの基板に対する処理は、前記基板の温度を調整する処理であってもよいし、前記基板に付着した付着物を気化させて除去する処理であってもよい。
【0025】
さらに本発明の記憶媒体は、基板を、常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切替可能に構成された予備真空室と、真空搬送室とを介して真空処理室に搬送し、この真空処理室において前記ウエハに対して真空処理を施す真空処理装置に用いられ、コンピュータ上で動作するコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムは、前記真空処理方法を実施するようにステップが組まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、真空搬送室の底部又は天井部に凹部を形成し、基板搬送手段に対する処理、基板の待機或いは基板に対する処理を行なう付属モジュールを、使用しないときには前記基板搬送手段による基板搬送を阻害しないように前記凹部に収納し、使用するときには真空搬送室内に突出するようにしているので、装置の占有面積の増大を抑えつつ、前記付属モジュールを追加することができる。
【0027】
また真空搬送室の底部又は天井部に形成された凹部と、当該凹部の開口部を塞ぐ蓋体とにより区間空間を形成し、ここで基板の待機や、基板の処理を行うようにすることにより、装置の占有面積の増大を抑えつつ、基板の待機や基板処理を行う機能を追加することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の真空処理装置2の一実施の形態について、図を参照しながら説明する。図1は前記真空処理装置2の全体構成を示す平面図であり、真空処理装置2は、ウエハWのロード、アンロードを行うローダモジュールを構成する第1の搬送室21と、ロードロック室22,23と、真空搬送室である第2の搬送室3と、真空処理室31A〜31Fとを備えている。第1の搬送室21の正面にはキャリアCが載置されるロードポート24が設けられており、第1の搬送室21の正面壁には、前記ロードポート24に載置されたキャリアCが接続されて、当該キャリアCの蓋と一緒に開閉されるゲートドアGTが設けられている。
【0029】
また第1の搬送室21の側面には、ウエハWの向きや偏心の調整を行うアライメント室25が設けられている。前記ロードロック室22,23には、夫々図示しない真空ポンプとリーク弁とが設けられており、常圧雰囲気と真空雰囲気とを切り替えられるように構成されている。つまり第1の搬送室21及び第2の搬送室3の雰囲気がそれぞれ常圧雰囲気及び真空雰囲気に保たれているため、ロードロック室22,23は、それぞれの搬送室間において、ウエハWを搬送する時雰囲気を調整するためのものである。なお図中Gは、ロードロック室22,23と第1の搬送室21又は第2の搬送室3との間、あるいは第2の搬送室3と前記各真空処理室31A〜31Fとの間を仕切るゲートバルブ(仕切り弁)である。
【0030】
さらに第1の搬送室21には、第1の搬送アーム26が設けられている。この第1の搬送アーム26は、キャリアCとロードロック室22,23との間及び第1の搬送室21とアライメント室25との間でウエハWの受け渡しを行うための搬送アームであり、例えばキャリアCの配列方向(図1中X方向)に移動自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在、進退自在に構成されている。
【0031】
図1中、キャリアCの配列方向(図1中X方向)を左右方向、キャリアCの配列方向と直交する方向(図1中Y方向)を長さ方向、キャリアCが設けられている側を手前側と呼ぶことにすると、前記第2の搬送室3は、前記長さ方向に伸びる平面形状が細長い六角形状に構成され、この第2の搬送室3の手前側にはロードロック室22,23が設けられている。そして第2の搬送室3の左右方向の両側には前記長さ方向に沿って例えば2個の真空処理室31A,31B、31E,31Fが夫々気密に接続されると共に、その奥側には2個の真空処理室31C,31Dが気密に接続されている。例えば真空処理室31A〜31Fとしては、成膜装置やアニール装置、エッチング装置等が割り当てられている。
【0032】
この第2の搬送室3は基板搬送手段をなす第2の搬送アーム32(32A,32B)を備えており、この搬送アーム32により、ロードロック室22,23と各真空処理室31A〜31Fとの間でウエハWの受け渡しが行なわれるようになっている。これら第2の搬送アーム32A,32Bは、図1〜図5に示すように、夫々鉛直軸回りに回転自在、進退自在に構成された多間接アームの先端に、平面形状が略U字状の保持アーム33を備えて構成され、共通の基台34の上に設けられている。この基台34の裏面側には前記左右方向の外縁近傍に下方側に伸びる支持部35が設けられると共に、この支持部35の下端側には移動機構36が接続され、この移動機構36により図1中Y方向に伸びるガイドレール37に沿ってスライド移動できるように構成されている。
【0033】
前記第2の搬送室3の底部30には、図2に示すように、その左右方向の両側に、例えば前記長さ方向に伸び、平面形状が細長い四角形状の第1の凹部38が形成されており、前記ガイドレール37は、この凹部38内に設けられている。こうして前記第2の搬送アーム32は、ロードロック室22,23側に寄ったホーム位置(図1に示す位置)と、第2の搬送室3の奥側の真空処理室31C,31D側に寄った位置との間で図1中Y方向にスライド移動できるように構成されている。
【0034】
さらに前記第2の搬送室3には付属モジュールが突没自在に設けられている。前記第2の搬送室3の底部30には、第2の搬送アーム32が前記ホーム位置にあるときの空いた領域、つまり第2の搬送室3の奥側の領域であって、第1の凹部38よりも内側の領域に、例えば平面形状が四角形状の第2の凹部41が形成され、この内部に付属モジュールが収納されるようになっている。この付属モジュールとは、第2の搬送アーム32に対する処理や、ウエハWの載置や、ウエハWに対する処理を行うためのモジュールであり、例えばこの付属モジュールにて行われる処理の例としては、第2の搬送アーム32に対する処理の例としては、例えば前記保持アーム33の洗浄を行うアームクリーニングや、前記保持アーム33の静電気除去処理、前記保持アーム33の位置調整処理、前記保持アーム33の温度調整処理等が挙げられる。また前記ウエハWに対する処理の例としては、例えばウエハWに付着した付着物を気化させて除去するデガス処理、ウエハWの温度を調整する処理や、前記真空処理室31A〜31FにおいてウエハWに対して真空処理を行う前に、当該ウエハWを予備加熱する処理や、前記真空処理が行われたウエハWを冷却する処理等が挙げられる。
【0035】
続いてこの付属モジュールの一例について、前記アームクリーニングを行う洗浄モジュール4を例にして、図3〜図6を参照して説明する。この洗浄モジュール4は、前記第2の搬送アーム32A,32BのウエハWの保持領域を洗浄するものである。図中40は当該洗浄モジュール4の筐体であり、例えば平面形状が四角形状の扁平な角筒状に形成され、その内部に第2の搬送アーム32の保持アーム33が入り込む程度の大きさに設定されている。この筐体40における予備真空室22,23側の面は開口部42として開口されていて、第2の搬送アーム32の保持アーム33が、この開口部42を介して筐体40内に進入及び退出できるようになっている。
【0036】
この筐体40内部における、筐体40内に進入した前記保持アーム33の上方側には、当該保持アーム33に向けて例えばイソプロピルアルコール等の洗浄ガスを吹き付けるための洗浄ガス供給部43が設けられている。この洗浄ガス供給部43は、保持アーム33におけるウエハWの保持領域に洗浄ガスを供給するように、保持アーム33の2本のアームに沿って伸びる洗浄ガス供給管43aと、この洗浄ガス供給管43aに長さ方向に沿って所定の間隔を開けて設けられた複数個のノズル部43bと、この洗浄ガス供給管43aに洗浄ガスを供給するための洗浄ガス供給路43cとを備えている。前記洗浄ガス供給路43cは、伸縮自在な材料により構成され、その他端側は凹部41の底部を貫通して、洗浄ガス供給源44にバルブV1を介して接続されている。
【0037】
また筐体40の底部には、例えば中央部に、洗浄ガスの排気口45aが形成され、筐体40の裏面側には、前記排気口45aの周囲を囲むように排気ベローズ45が設けられている。この排気ベローズ45の他端側は前記凹部41の底部に形成された排気口46aを介して排気路46に接続され、この排気路46の他端側は真空排気手段47にバルブV2を介して接続されている。
【0038】
このような筐体40は、前記凹部41に設けられた昇降手段48により、当該筐体40が凹部41に収納される収納位置と、第2の搬送室3内において前記保持アーム33が前記筐体40内に、進入及び退出する処理位置(第2の搬送アーム32に対して処理を行う位置)との間で昇降自在に構成されている。前記昇降手段48としては、エアシリンダーや電動アクチュエータ等を用いることができる。また図中49は昇降ガイドである。なお前記筐体40が前記収納位置にあるときには、筐体40の上面が、第2の搬送アーム3の基台34の移動を阻害しない状態で、筐体40が凹部41に収納されるようになっている。
【0039】
さらにこの真空処理装置には、図1に示すように例えばコンピュータからなる制御部100が設けられており、この制御部100はプログラム、メモリ、CPUからなるデータ処理部を備えていて、前記プログラムには制御部100から真空処理装置の各部に制御信号を送り、後述の搬送順序を進行させるように命令(各ステップ)が組み込まれている。このプログラムは、コンピュータ記憶媒体例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)等の記憶部に格納されて制御部100にインストールされる。ここで第2の搬送室3においては、制御部100によってゲートバルブGの開閉、第2の搬送アーム32の駆動、洗浄モジュール4の昇降、洗浄モジュール4における所定の処理の際に、各部に制御信号が送られるようになっている。
【0040】
続いて前記真空処理装置におけるウエハWの流れについて簡単に説明する。先ず多数枚のウエハWが収納された密閉型キャリアCを第1の搬送室21に搬入し、第1の搬送アーム26により、当該キャリアC内のウエハWを受け取る。次いで常圧雰囲気の予備真空室22,23のゲートバルブGを開き、第1の搬送アーム26により前記ウエハWを予備真空室22,23内に搬入する。次いで予備真空室22,23を所定の真空雰囲気まで減圧した後、ゲートバルブGを開き、第2の搬送アーム32によりウエハWを受け取り、真空処理室31A〜31Fのいずれかに搬送し、当該真空処理室31A〜31Fにおいて、所定の真空処理を実施する。
【0041】
こうして真空処理室31A〜31F内にて処理が行なわれたウエハWは、第2の搬送アーム32により当該真空処理室31A〜31Fから搬出され、真空雰囲気に設定された予備真空室22,23内に搬入される。次いで予備真空室22,23内を常圧雰囲気まで戻した後、第1の搬送アーム26により予備真空室22,23内のウエハWを受け取り、第1の搬送室21を介して所定のキャリアCに戻される。
【0042】
続いて本発明のアームクリーニング処理について説明する。本発明のアームクリーニング処理は、第2の搬送アーム32により、予備真空室22,23と真空処理室31A〜31Fとの間でウエハWの搬送を複数回行なった後に行われるものであり、例えば予め設定された所定のタイミングやメンテナンス時に行なわれる。
【0043】
先ず第2の搬送アーム32(32A,32B)を前記ホーム位置に位置させて、前記洗浄モジュール4を前記収納位置から前記処理位置まで上昇させる。次いで第2の搬送アーム32Aの保持アーム33を当該洗浄モジュール4の筐体40内に進入させ、バルブV1を開いて洗浄ガス供給管43aに洗浄ガスを供給する一方、バルブV2を開いて真空排気手段47により前記筐体40内を排気する。これにより前記保持アーム33には上方側から洗浄ガスが吹き付けられ、当該洗浄ガスにより保持アーム33に付着していた成膜成分を剥離させて除去し、当該成膜成分を洗浄ガスと共に排気口45aより排気ベローズ45、排気路46を介して真空排気装置2の外部へ排出する。こうして第2の搬送アーム32Aの保持アーム33の洗浄が終わった後、同様に第2の搬送アーム32Bの保持アーム33についても洗浄処理を行う。こうして両搬送アーム32A,32Bの洗浄処理が終了した後、第2の搬送アーム32を前記ホーム位置まで戻し、洗浄モジュール4を下降させて第2の凹部41に収納する。
【0044】
このようなアームクリーニング処理を行うことにより、所定のタイミングで保持アーム33のウエハ保持領域が洗浄されるので、前記真空処理室31A〜31Fにおける処理の残留ガスが第2の搬送アーム32に付着したとしても、これが累積されて当該搬送アーム32が成膜されることが抑えられる。このため、搬送アーム32に形成された膜がウエハに再付着したり、パーティクル汚染の原因となることが抑えられる。
【0045】
ここでこの洗浄モジュール4は、真空処理装置2の底部30における、第2の搬送室3の搬送領域の空いている部分、つまり第2の搬送アーム32が前記ホーム位置に位置するときに空いている部分に形成された凹部41に収納されるので、従来の真空処理装置2の占有面積の増加を抑えて、洗浄モジュール4を追加することができる。
【0046】
従って従来の真空処理装置2において、第2の搬送室3の底部30の構造を変更することにより、洗浄モジュール4の追加に対応でき、第2の搬送アーム32自体や、予備真空室22,23、真空処理室31A〜31F等の装置の他の部分の構成については変更することがないので、システム変更を最小限にとどめることができ、装置設計が容易となる。この際、既述のように第2の搬送室3が長さ方向に細長く形成され、第2の搬送アーム32が前記長さ方向に沿って移動可能に構成される場合には、搬送領域に前記搬送アーム32が位置しない空き領域が形成されるので、この空き領域に洗浄ジュール4を設けることは、スペースの有効活用となる。
【0047】
また前記洗浄モジュール4は、使用しない時には、第2の搬送アーム32によるウエハW搬送を阻害しないように前記凹部41に収納されている。これにより洗浄モジュール4を使用しないときには、従来どおりのウエハWの搬送を行なうことができ、搬送プログラムの仕様変更を最小限にとどめることができるので、対応が容易となる。
【0048】
以上において、前記洗浄モジュール4は、例えば図7に示すように、第2の搬送室3の天井部39に形成された凹部50の内部に設けられるように構成してもよい。この例では、洗浄モジュール4は、その上面が、前記凹部50の天井部に設けられた昇降手段51と接続され、この昇降手段51により、前記第2の搬送アーム23によるウエハ搬送を阻害しないように収納前記凹部50に収納される収納位置と、第2の搬送室3内における前記処理位置との間で昇降されるように構成されている。図7中52は昇降ガイドであり、その他の構成は図3に示す真空処理装置2と同様である。
【0049】
続いて、付属モジュールにて前記保持アーム33に対して行なう処理の他の例について簡単に説明する。先ず前記保持アーム33の静電気除去処理は、例えば付属モジュールの筐体内にイオナイザーを設け、このイオナイザーにより、筐体内に挿入された前記保持アーム33に対する静電気除去処理が行われる。例えばイオナイザーとしては、筐体内に挿入された前記保持アーム33に対してイオンガスを供給する構成や、前記前記保持アーム33をイオナイザーに接触させる構成等が用いられる。このように保持アーム33の静電気を除去することによって、パーティクルの吸着を防止したり、ウエハWの絶縁破壊を抑えることができる。
【0050】
また前記保持アーム33の位置調整処理は、例えば付属モジュールの筐体内に位置検出手段を設け、これにより前記筐体内に挿入された前記保持アーム33の位置データを把握し、この位置データに基づいて制御部100から基板搬送手段の駆動機構に位置調整指令を出力することにより行われる。前記位置検出手段としては、前記保持アーム33を撮像して位置検出を行うCCDカメラや、光学的に前記保持アーム33の位置検出を行う手段を用いることができる。このように保持アーム33の位置調整を行なうことによって、真空処理室31A〜31Fや予備真空室22,23に対して、ウエハWの受け渡しを正確に行なうことができ、ウエハWの受け渡し時に、ウエハWを落下させたり、ウエハWに衝突したりといった事故の発生を抑えることができる。
【0051】
さらに前記保持アーム33に対して加熱や冷却等を行う温度調整処理は、例えば筐体内に温度調整手段を設け、これにより筐体内に挿入された前記保持アーム33を加熱、冷却することによって、当該保持アーム33を所定温度に調整することにより行われる。例えば温度調整手段としては、筐体内に挿入された前記保持アーム33に対して、温度調整がされた不活性ガスを供給する構成や、前記前記保持アーム33を温度調整されたプレートに接触させる構成等が用いられる。このように保持アーム33の温度調整を行なうことにより、未処理ウエハを処理温度近傍まで予備加熱したり、処理後のウエハを冷却したりして、他のユニットにおけるウエハの加熱や冷却に要する時間を短縮し、スループットを向上させるという効果が得られる。これら静電気除去処理や温度調整処理において、筐体内にガスを供給する場合には、前記洗浄モジュール4と同様に、伸縮自在のガス供給路と、排気ベローズを設け、筐体が昇降した場合に適応させる。
【0052】
続いてこの実施の形態の他の例について図8を用いて説明する。この例は、付属モジュールとして、複数枚例えば13枚のウエハWが載置されるバッファモジュール6が設けられる例である。このバッファモジュール6は、例えば平面形状が四角形状の扁平な角筒状に形成された筐体60を備え、この筐体60における予備真空室22,23側の面は開口部61として開口されていて、バッファモジュール6が第2の搬送室3内に位置するときには、第2の搬送アーム32の保持アーム33が、この開口部61を介して当該筐体60内に進入及び退出できるようになっている。また筐体60内部には、ウエハWの裏面側周縁部を保持するための複数の保持部62が、上下方向に所定の間隔を空けて設けられている。この保持部62はウエハWが載置される載置部に相当するものである。そしてこのような筐体60は、前記第2の凹部41に設けられた昇降手段63により、当該筐体60が前記凹部41に収納される収納位置と、第2の搬送室3内において、前記保持アーム33が当該バッファモジュール6に対してウエハWの受け渡しを行う受け渡し位置と、の間で昇降自在に構成されている。そして当該バッファモジュール6が前記収納位置にあるときには、筐体60の上面が、第2の搬送アーム3の基台34の移動を阻害しない状態で、筐体60が前記凹部41内に収納されるようになっている。図中64は昇降ガイドである。
【0053】
このようなバッファモジュール6は、例えば真空処理室31A〜31F内をクリーニング処理する場合等に用いられる。具体的に真空処理室31Aをクリーニングする場合を例にして説明すると、先ず第2の搬送アーム32を前記ホーム位置に位置させるが、この際この第2の搬送アーム32では、一方の搬送アーム32Aにて当該真空処理室31Aにて処理された後のウエハWを保持し、他方の搬送アーム32Bにて当該真空処理室31Aに次に搬入するウエハWを保持している。
【0054】
そして前記バッファモジュール6を前記受け渡し位置まで上昇させ、搬送アーム32Bに保持されている処理前のウエハWを当該バッファモジュール6の保持部62に受け渡す。次いでバッファモジュール6を前記収納位置まで下降させてから、搬送アーム32Aにより処理後のウエハWを次の工程を実施する真空処理室31Bに搬送する。そして真空処理室31Aのクリーニングが終了した後、第2の搬送アーム32を前記ホーム位置に位置させてから、バッファモジュール6を上昇させて、当該バッファモジュール6に載置されている処理前のウエハWを搬送アーム32により受け取る。次いで当該バッファモジュール6を下降させて前記凹部41内に収納してから、前記ウエハWを真空処理室31Aに搬入する。
【0055】
このようなバッファモジュール6を設けることにより、真空処理室31A〜31Fが内部をクリーニングする場合であって、当該真空処理室31A〜31Fに対してウエハWの受け渡しを行うことができない場合であっても、このときに第2の搬送アーム32が保持している処理前のウエハWをバッファモジュール6に仮置きすることができる。このため第2の搬送アーム32の一方が空いた状態となり、クリーニングが行われている真空処理室31A〜31Fにて処理されたウエハWを次工程の真空処理室31A〜31Fに搬送できる。これにより第2の搬送アーム32がクリーニングが行われている真空処理室31A〜31Fにおける処理前後のウエハWを保持したまま、当該クリーニングが終了するまで搬送を行なうことができずに待機する状態の発生が抑えられ、スループットの低下を防ぐことができる。
【0056】
この例においても、前記バッファモジュール6を、第2の搬送室3の天井部39に形成された凹部50の内部に収納されるように設け、前記凹部50内における前記収納位置と、第2の搬送室3内における前記受け渡し位置との間で昇降させるように構成してもよい。
【0057】
続いて本発明の他の実施の形態について図9〜図12を用いて説明する。この例における付属モジュールは、前記凹部41の上部側開口部を気密に塞ぐ蓋体7と、当該凹部41と蓋体82とにより形成された区画空間Sの内部においてウエハWを載置する載置部と、を備えており、前記区画空間Sの内部にてウエハWに対して処理が行なわれるように構成されている。図中71は前記蓋体7の下面に設けられた、載置部をなすウエハWの保持部材である。この保持部材71は、例えば図9に示すように、前記蓋体7と対向する底板72を備えると共に、蓋体7と底板72との間に複数本例えば3本の支柱73a〜73cを備えており、この支柱73a〜73cには、ウエハWを上下に所定間隔を空けて保持するための保持部74a〜74cが夫々形成され、これら保持部74a〜74cによりウエハWの周縁が保持されるように構成されている。
【0058】
これら蓋体7と保持部材71は、保持部材71の底板72の下面に設けられた共通の昇降手段75により一体となって昇降自在に構成され、当該蓋体7が前記凹部41を気密に塞ぐ位置と、当該蓋体7及び保持部材71が第2の搬送室3内に飛び出し、前記保持部材71が第2の搬送アーム32との間でウエハWの受け渡しを行なう受け渡し位置との間で昇降自在に構成されている。図9中75aは昇降ガイド、76は蓋体7により前記凹部41の上部側開口部を気密に塞ぐためのシール部材をなすOリングである。また前記蓋体7が前記凹部41を塞ぐ位置にあるときには、前記蓋体7の上面が、第2の搬送アーム3の基台34の移動を阻害しないように、基台34の下面が蓋体7の上方側を移動するようになっている。
【0059】
さらにこの例では、例えば前記凹部41の側壁41aに温調流体の流路41bが形成され、当該流路41bに温調流体供給部77から所定温度に調整された温調流体が循環供給されるように構成されている。また前記凹部41には、不活性ガス例えばN2ガスを当該凹部41と蓋体7とにより形成された区画空間S内に供給するためのガス供給路78aが接続され、このガス供給路78aの他端側はバルブV3を介してガス供給源78に接続されている。さらに前記凹部41には、前記区画空間S内の雰囲気を真空排気するための排気路79aが設けられ、この排気路79aの他端側には、バルブV4を介して真空排気手段79が接続されている。この例では、前記温調流体の流路41bと、前記ガス供給路78aとガス供給源78とよりなるガス供給手段と、から温度調整手段が構成されている。
【0060】
このような構成では、前記区画空間S内にてウエハWの温調処理、例えば真空処理室31A〜31Fにおいて真空処理を行う前にウエハWを予備加熱する処理が行われる。以下にこの予備加熱処理について図10〜図12を用いて説明する。先ず図10(a)に示すように、蓋体7により前記凹部41の上部側開口部を気密に塞いでこれらにより区画空間Sを形成し、この区画空間S内を真空排気手段79により第2の搬送室3と同じ圧力まで真空排気する。またこの際、前記流路41bに所定温度に調整された温調流体を通流しておく。
【0061】
続いて図10(b)に示すように、第2の搬送アーム32を前記ホーム位置に位置させてから、蓋体7及び保持部材71を前記受け渡し位置まで上昇させ、ここで当該保持部材71に第2の搬送アーム32によりウエハWを受け渡す。次いで蓋体7及び保持部材71を下降させて、こうして蓋体7により前記凹部41の上部側開口部を塞いで区画空間Sを形成する。この際、前記区画空間S内は真空排気手段79により真空排気され、流路41bに所定温度に調整された温調流体が供給されている。
【0062】
次いで図11(a)に示すように、前記区画空間S内の真空排気を停止し、当該区画空間S内にガス供給手段78により不活性ガスを所定の流量で供給して、例えば区画空間S内を大気圧程度の圧力まで昇圧する。このようにすると温調流体により前記凹部41は所定温度に加熱されているので、この熱が不活性ガスによってウエハWに伝導され、こうしてウエハWが所定温度例えば200℃程度に加熱される。
【0063】
この加熱処理を例えば30秒程度行った後、図11(b)に示すように、前記区画空間S内への不活性ガスの供給及び温調流体の供給を停止し、当該区画空間S内を真空排気手段79により、第2の搬送室3と同程度の圧力まで真空排気する。次いで図12に示すように、前記蓋体7及び保持部材71を前記受け渡し位置まで上昇させ、処理後のウエハWを第2の搬送アーム23に受け渡す。
【0064】
このような構成では、前記凹部41の上部側開口部を気密に塞ぐ蓋体7を設けて、当該凹部41と蓋体7とにより区画空間Sを形成し、この内部にてウエハWに対して処理を行うことにより、前記凹部41を処理チャンバの一部として用いているので、従来の真空処理装置2の占有面積の増大を抑えつつ、ウエハWを処理する機能を追加することができる。また、第2の搬送室3に当該機能を追加する以外の構成、つまり真空処理室31A〜31Fや第2の搬送アーム32等の構成は変更する必要がないので、システム変更を最小限にとどめた状態で前記機能を追加することができる。
【0065】
この際、前記区画空間Sを気密に構成し、当該区画空間Sにガスを供給するガス供給手段や、当該区画空間S内を真空排気する真空排気手段79を設けているので、当該区画空間Sは第2の搬送室3とは独立して圧力調整やガスの給排気を行なうことができる。従ってこの付属モジュールでは、ウエハWの予備加熱処理以外に、真空処理室31A〜31Fにて真空処理されたウエハWを冷却する処理や、ウエハWのデガス処理等を行うことができ、付属モジュールにて行われる処理の自由度が高められる。さらにこの例の温度調整手段としては、ペルチェ素子等を用いることもできる。
【0066】
続いてこの実施の形態の他の例について図13を用いて説明する。この例では、蓋体8をスライド移動させることにより、前記凹部41の上部側開口部を開閉自在に構成したものである。ここで前記凹部41の開口部は例えば長辺が500mm程度の大きさであるため、前記蓋体8としては、例えば振り子型バルブを用いることができる。図中81は蓋体8の移動機構であり、保持部材71が蓋体8とは別個に設けられると共に、昇降手段75により昇降自在に構成されている他は、上述の図9に示す例と同様に構成されている。
【0067】
この例では、先ず蓋体8により前記凹部41の上部側開口部を閉じ、前記凹部41と蓋体8とにより形成される区画空間S内を真空排気手段79により、第2の搬送室3と同じ圧力まで真空排気した後、蓋体8をスライド移動させて前記凹部41の上部側開口部を開く。次いで保持部材71を昇降手段75により前記受け渡し位置まで上昇させ、第2の搬送アーム32から当該保持部材71にウエハWを受け渡す。次いで保持部材71を凹部41内の所定位置まで下降させてから、蓋体8をスライド移動させて前記凹部41の上部側開口部を閉じ、前記区画空間S内にガス供給手段から不活性ガスを供給する。これにより温調流体の熱を不活性ガスを介してウエハWに伝導させ、ウエハWの予備加熱処理を所定時間行う。続いて前記区画空間Sへの不活性ガスの供給を停止すると共に、当該区画空間S内を第2の搬送室3と同じ圧力まで真空排気した後、蓋体8を開き、保持部材7を前記受け渡し位置まで上昇させて、第2の搬送アーム32に処理済みウエハWを受け渡す。
【0068】
以上において、図9及び図13に示す例においても、第2の搬送室3の天井部39に形成された凹部50の下面側開口部を蓋体7,8により気密に塞ぐと共に、保持部材71を前記凹部50内における位置と、第2の搬送室3内における前記受け渡し位置との間で昇降自在に構成し、前記凹部50と蓋体7,8とにより形成された区画空間S内にて、ウエハWに対して所定の処理を行うようにしてもよい。また保持部材71と蓋体7を別個に昇降させるようにしてもよい。
【0069】
続いて本発明のさらに他の実施の形態について図14を用いて説明する。この例においても、付属モジュールは、前記凹部41の上部側開口部を気密に塞ぐ蓋体82と、当該凹部41と蓋体82とにより形成された区画空間Sの内部においてウエハWを載置する載置部84と、を備え、前記区画空間Sの内部にてウエハWに対して処理を行うように構成されている。
【0070】
前記蓋体82は昇降手段83により、当該蓋体82が前記凹部41の上部側開口部を気密に塞ぐ位置と、第2の搬送室3内における前記受け渡し位置の上方側の位置との間で昇降自在に構成されている。ここで前記蓋体82が前記凹部41を塞ぐ位置にあるときには、蓋体82の上面が、第2の搬送アーム32の基台34の移動を阻害しないように、基台34の下面が蓋体82の上方側を移動するようになっている。図9中83aは昇降ガイドである。
【0071】
前記凹部41の内部にはウエハWの載置部84が設けられており、この載置部84には加熱手段例えばヒータ85が内蔵されている。図中86は前記ヒータ85に所定の電力を供給するための電力供給部であり、この例では前記ヒータ85と電力供給部86とにより温度調整手段が構成されている。またこの載置部84には当該載置部84に対してウエハWの受け渡しを行うための受け渡し手段87が設けられており、この受け渡し手段87は昇降手段87aにより、第2の搬送室3内における、前記第2の搬送アーム32との間でウエハWの受け渡しを行う受け渡し位置と、前記載置部84との間でウエハWの受け渡しを行う載置位置との間で昇降自在に構成されている。
【0072】
さらに区画空間Sには、例えば載置部84の上方側に、当該区画空間S内にガスを供給するためのガス供給路88aが設けられ、このガス供給路88aの他端側はバルブV5を介してガス供給源88に接続されている。さらに前記凹部41には、前記区画空間S内の雰囲気を真空排気するための排気路89aが設けられ、この排気路89aの他端側には、バルブV6を介して真空排気手段79が接続されている。
【0073】
この例では、前記凹部41と蓋体82とにより基板に対して真空処理を行う処理チャンバが構成され、前記凹部41と蓋体82とにより形成された前記区画空間S内では、ウエハWのデガス処理や表面処理、アニール処理やエッチング処理等の真空処理等を行うことができる。
【0074】
前記デガス処理を行う場合について簡単に説明すると、先ず蓋体82により前記凹部41の上部側開口部を気密に塞いで前記区画空間Sを形成し、この区画空間S内を真空排気手段79により第2の搬送室3と同じ圧力まで真空排気する。この際載置部84を所定温度に加熱しておく。
【0075】
続いて第2の搬送アーム32を前記ホーム位置に位置させてから、蓋体82を上昇させると共に、受け渡し手段87を前記受け渡し位置まで上昇させ、ここで当該受け渡し手段87に第2の搬送アーム32によりウエハWを受け渡す。このとき蓋体82は前記受け渡し位置の上方側に位置することになる。前記蓋体82の昇降手段83は、受け渡し手段87が前記載置位置にあるときに、第2の搬送アーム32から当該受け渡し手段87へのウエハWの受け渡しを阻害しない位置に設けられている。次いで例えば受け渡し手段87を前記載置位置まで下降させ、これにより載置部84にウエハWを受け渡してから、蓋体82を下降させて前記凹部41の上部側開口部を気密に塞ぎ、こうして蓋体82と前記凹部41とにより区画空間Sを形成する。
【0076】
そしてガス供給路88aを介して前記区画空間S内に所定の処理ガスを供給すると共に、載置部84の熱をウエハWに伝導させ、こうしてウエハWを所定温度に加熱して、ウエハWに付着した付着物を気化させて除去する。前記区画空間S内は真空排気されていると共に、処理ガスが供給されているので、前記付着物の気化成分は前記処理ガスと共に外部へ排気されていき、前記気化成分がウエハWに再付着することが抑えられる。このデガス処理を例えば30秒程度行った後、区画空間S内を第2の搬送室3と同じ圧力に調整してから、蓋体82及び受け渡し手段87を第2の搬送室3内に上昇させ、処理後のウエハWを第2の搬送アーム23に受け渡す。
【0077】
このような構成においても、前記凹部41を気密に塞ぐ蓋体82を設けて当該凹部41と蓋体82とにより区画空間Sを形成し、この内部にてウエハWに対して処理を行うことにより、前記凹部41を処理チャンバの一部として用いているので、従来の真空処理装置2の占有面積を増加させずに、ウエハWを処理する機能を追加することができる。また第2の搬送室3に当該機能を追加する以外の構成、つまり真空処理室31A〜31Fや第2の搬送アーム32等の構成は変更する必要がないので、システム変更を最小限にとどめた状態で前記機能を追加することができる。
【0078】
さらにこの例では、載置部84に温調流体を供給することにより、載置部84の温度を調整し、載置部84の熱を直接ウエハWに伝熱させてウエハWの予備加熱処理や冷却処理を行うようにしてもよい。さらに図9に示す例と同様に、前記凹部41の壁部に温調流体の流路を形成し、ここに所定温度に調整された温調流体を通流させて、区画空間S内にあるウエハWの温度調整を行なうようにしてもよい。また載置部84を設けずに、受け渡し手段87にウエハWを保持した状態で、所定の処理を行うようにしてもよい。
【0079】
以上において本発明は、第2の搬送アーム32がスライド移動しない構成について適用することができる。またバッファモジュール6や蓋体7の下面に設けられた保持部材71や、凹部41内に設けられた載置部84の構成については、上述の例に限らず、適宜変更することができる。また本発明は、例えばFPD基板等を処理する真空処理装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施の形態に係る真空処理装置を示す平面図である。
【図2】前記真空処理装置に設けられた第2の搬送室の一例を示す断面図である。
【図3】前記第2の搬送室の一例を示す断面図である。
【図4】前記第2の搬送室の一例の要部を示す斜視図である。
【図5】前記第2の搬送室の一例の要部を示す斜視図である。
【図6】前記第2の搬送室の一例の要部を示す斜視図である。
【図7】前記真空処理装置の他の例を示す断面図である。
【図8】前記真空処理装置のさらに他の例を示す断面図である。
【図9】前記真空処理装置のさらに他の例を示す断面図である。
【図10】前記図9に示す真空処理装置の作用を説明するための工程図である。
【図11】前記図9に示す真空処理装置の作用を説明するための工程図である。
【図12】前記図9に示す真空処理装置の作用を説明するための工程図である。
【図13】前記真空処理装置のさらに他の例を示す断面図である。
【図14】前記真空処理装置のさらに他の例を示す断面図である。
【図15】従来の真空処理装置を示す平面図である。
【符号の説明】
【0081】
C キャリア
21 第1の搬送室
22,23 予備真空室
3 第2の搬送室
30 底部
31A〜31F 真空処理室
32 第2の搬送アーム
34 基台
37 ガイドレール
38 第1の凹部
4 洗浄モジュール
41 第2の凹部
41b 流路
6 バッファモジュール
7,8,82 蓋体
71 保持部材
87 受け渡し手段
W 半導体ウエハ
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板搬送手段を備えた真空搬送室に複数の真空処理室を接続した真空処理装置において、真空搬送室を有効に活用するための技術である。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、半導体基板である半導体ウエハ(以下「ウエハ」という)にエッチング処理や成膜処理、アッシング処理等の所定の真空処理を施す工程があり、これらの工程を行う装置として、複数の真空処理室を共通の真空雰囲気の搬送室に接続し、この真空搬送室と常圧雰囲気の搬送室との間を、ロードロック室をなす予備真空室を介して接続するいわゆるマルチチャンバ方式の真空処理装置が知られている。
【0003】
このような真空処理装置を図15に示す。この装置では、キャリア10内のウエハは常圧雰囲気の搬送室11の第1の搬送アーム12により受け取られ、当該搬送アーム12により常圧雰囲気の予備真空室13に搬送される。次いで予備真空室13内の雰囲気が所定の真空雰囲気に切り替えられた後、ウエハは予備真空室13から第2の搬送アーム14により受け取られ、真空搬送室15を介して所定の真空処理室16に搬入され、ここでウエハに対して真空処理が施される。この後ウエハは、第2の搬送アーム14により真空搬送室15を介して真空雰囲気の予備真空室13に搬送され、予備真空室13内の雰囲気が常圧雰囲気に切り替えられた後、第1の搬送アーム12により搬送室11を介して、キャリア10に戻されるようになっている。
【0004】
ここで前記第2の搬送アーム14は、2本の保持アームを有しており、一方の保持アームにより当該真空処理室16から処理後のウエハを受け取り、続いて他方の保持アームに保持されていた処理前のウエハを当該真空処理室16に受け渡し、次いで前記一方の保持アーム上のウエハを次工程の処理を行う真空処理室16に搬送するようになっている。
【0005】
ところで前記真空処理装置では、真空搬送室15の搬送路の長さ方向に沿って真空処理室16が設けられているので、当該装置に設けられる真空処理室16の個数は、前記真空搬送室15の搬送路の長さに応じて決定されるが、現状の真空処理装置では、図に示すように前記真空処理室16の最大個数は例えば6個程度であり、これら真空処理室16は、エッチング処理や成膜処理、アッシング処理等の、半導体デバイスを製造するための一連の処理を行うように構成されている。
【0006】
ところで前記真空処理装置においては、既述のエッチング処理等以外に、アームクリーニング処理や、ウエハWに付着している付着物を気化させて除去するデガス処理等の処理を行うモジュールや、ウエハWを仮置きするためのエリアを第2の搬送アーム14によりアクセスできるように設けることが要請されている。
【0007】
前記アームクリーニング処理とは、第2の搬送アーム14のウエハ保持領域を洗浄する処理であり、前記真空処理室16における処理の残留ガスが前記第2の搬送アーム14に付着し、これが累積すると当該搬送アーム14が成膜されてしまい、この膜がウエハに再付着したり、パーティクル汚染の原因となるおそれがあるため、これを防ぐべく当該搬送アーム14の洗浄が必要となるからである。
【0008】
またウエハWを仮置きするためのエリアは、真空処理室16から処理後のウエハWを第2の搬送アーム14により受け取った後、当該真空処理室16の内部をクリーニング処理する場合等に必要となる。つまりこのクリーニング処理を行う場合には、第1の搬送アーム14における2本の保持アームが当該真空処理室16の処理前後のウエハを持ったままとなるが、処理前のウエハWを当該真空処理室16に受け渡さないと、第2の搬送アーム14は次の真空処理室16へのウエハWの搬送ができないため、前記処理前後のウエハを保持したままクリーニング処理の終了を待機しなければならない。この際前記処理前のウエハを仮置きできるように構成すれば、クリーニング処理の終了を待たずに処理後のウエハWを次工程の真空処理室16に搬送できるので、スループットの低下を抑えることができ、このような理由からウエハWを仮置きするためのバッファモジュールが必要となる。
【0009】
しかしながら、現状の真空処理装置では、前記真空搬送室15とアクセスできる領域には、半導体デバイスの製造処理を行うモジュールが優先的に搭載され、前記アームクリーニングモジュールや前記デガス処理を行うモジュールやバッファモジュール等の、前記半導体デバイスの製造処理の前後に用いられる付属モジュールについては搭載するスペースを確保することは難しい。
【0010】
この際、真空搬送室15の搬送路を長くして、当該真空搬送室15に沿って配列されるモジュール数を増やし、ここに前記付属モジュールを搭載することも考えられるが、このような構成では装置の占有面積が大きくなってしまう上、第2の搬送アーム14の移動領域が大きくなるので、当該搬送アーム14のスループットが低下してしまう。また真空搬送室15を大きくしたり、そこに接続するモジュール数を増加するとなると、装置全体や第2の搬送アーム14の仕様を大幅に変更しなければならず、設計等に手間と時間を要するという問題もある。さらに予備真空室13に前記付属モジュールを設けることも考えられるが、予備真空室13は真空雰囲気と常圧雰囲気との間で雰囲気を切り換えなければならいので、当該雰囲気調整が煩雑になったり、この雰囲気調整によりスループットが低下したりといった悪影響を発生させてしまう懸念がある。
【0011】
また前記アームクリーニングモジュールやバッファモジュールは、既述のように常に使用されるものではなく、所定のタイミングで用いられるモジュールである。従って使用しない時間が長いので、装置や搬送プログラムを設計する観点からは、前記半導体デバイスの製造のための一連の処理は、現状の装置を用いて、現状の搬送プログラムによって実施することが好ましい。このような要請から、本発明者らは、現状の装置構成やプログラムの仕様変更を最小限にとどめた状態で付属モジュールを追加できる構成について検討している。
【0012】
ところで、特許文献1には、例えば真空搬送室にバッファ部を設けることにより、装置の占有面積を大きくすることなく、前記バッファ部において、ウエハWのデガス処理や所定の測定を行うための簡単なプロセスを行う構成が提案されている。しかしながら、この構成では真空搬送室の搬送手段の移動領域にバッファ部を設けているので、搬送手段が真空搬送室の長さ方向に沿ってスライド移動することができず、真空搬送室に接続された全ての真空処理室にウエハWを搬送するためには、異なる領域の夫々に2個の搬送手段を設ける必要がある。このように、真空搬送室にバッファ室と2個の搬送手段とを設けなければならないので、現状の真空処理装置とは仕様変更が必要であり、また装置の占有面積はある程度大きくしなければならない。従ってこの文献1の構成によっても、本発明の課題の解決を図ることはできない。
【0013】
【特許文献1】特開2002−324829号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明はこのような事情のもとになされたものであり、その目的は、装置の占有面積の増大を抑えつつ、基板搬送手段に対する処理、基板の待機或いは基板に対する処理を行なう付属モジュールを追加できる真空処理装置及び、当該真空処理装置を使用した真空処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このため本発明の真空処理装置は、常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切替可能に構成され、外部から基板が搬入される予備真空室と、
前記基板に対して真空処理を施すための複数の真空処理室と、
これら真空処理室と前記予備真空室とに接続され、これら予備真空室と真空処理室との間で基板を搬送する基板搬送手段を備えた真空搬送室と、
前記真空搬送室の底部又は天井部に形成された凹部と、
前記基板搬送手段に対して処理を行うための付属モジュールと、
この付属モジュールを、前記基板搬送手段による基板搬送を阻害しないように前記凹部に収納する位置と、前記真空搬送室内において前記基板搬送手段に対して処理を行う位置との間で昇降させるための昇降手段と、を備えたことを特徴とする。ここで前記基板搬送手段に対して行なう処理としては、例えば当該基板搬送手段における基板の保持アームの洗浄処理又は前記保持アームの静電気除去処理或いは前記保持アームの位置調整処理のいずれかを行うことができる。
【0016】
また本発明の真空処理装置は、常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切替可能に構成され、外部から基板が搬入される予備真空室と、
前記基板に対して真空処理を施すための複数の真空処理室と、
これら真空処理室と前記予備真空室とに接続され、これら予備真空室と真空処理室との間で基板を搬送する基板搬送手段を備えた真空搬送室と、
前記真空搬送室の底部又は天井部に形成された凹部と、
前記基板を載置するため又は基板を載置し更に当該基板に対して処理を行うための付属モジュールと、
この付属モジュールの全部又は一部を、前記基板搬送手段による基板搬送を阻害しないように前記凹部に収納する位置と、前記真空搬送室内において前記基板搬送手段との間で基板の受け渡しを行なう位置との間で昇降させるための昇降手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
ここで前記付属モジュールは、前記昇降手段により、前記凹部の開口部を気密に塞ぐ位置と、前記真空搬送室内に飛び出た位置との間で昇降自在に構成された蓋体と、前記凹部と蓋体とにより形成される区画空間内に前記基板を配置するための位置と、前記基板搬送手段との間で基板の受け渡しを行なうために前記真空搬送室内に飛び出た位置との間で昇降される載置部と、を備えるようにしてもよく、前記載置部は前記蓋体と一体となって昇降されるものであってもよい。
【0018】
また前記付属モジュールは、前記昇降手段により、前記凹部の開口部を気密に塞ぐ位置と、前記真空搬送室内に飛び出た位置との間で昇降自在に構成された蓋体と、前記凹部と蓋体とにより形成される区画空間内において前記基板が載置される載置部と、前記載置部との間で基板の受け渡しを行なうための位置と、前記真空搬送室内における前記基板搬送手段との間で基板の受け渡しを行なう位置と、の間で昇降自在に設けられた受け渡し手段と、備えるものであってもよい。
【0019】
さらに前記付属モジュールは、前記載置部に載置された基板に対して処理を行うための手段を備えるようにしてもよく、この基板に対して処理を行うための手段は、基板温度を調整するための温度調整手段であってもよい。さらにまた前記付属モジュールでは、前記基板に対して真空処理を行う前に、当該基板を予備加熱する処理を行なうようにしてもよいし、真空処理が行われた基板を冷却する処理を行なうようにしてもよい。
【0020】
さらにまた前記温度調整手段は、前記凹部を構成する真空搬送室の壁部に形成された温調流体の流路と、前記凹部と蓋体とにより形成される区画空間内にガスを供給するガス供給手段と、を含み、前記区画空間内を真空排気する真空排気手段を備えるようにしてもよい。この際、前記付属モジュールでは、例えば基板に付着した付着物を気化させて除去する処理が行われる。
【0021】
さらにまた前記基板搬送手段は、前記真空搬送室内において、当該基板搬送室の一端側に設けられたガイドレールに沿って移動可能に設けられた基台と、この基台に水平方向に回転自在及び進退自在に設けられた基板の保持アームと、を備え、前記真空搬送室の底部に形成される凹部は、前記ガイドレールと干渉しない領域であって、前記基台がこのガイドレール上のある位置にあるときに、当該基台に干渉しないように形成されることが好ましい。
【0022】
また本発明の真空処理方法は、常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切替可能に構成された予備真空室を介して外部との間で基板の受け渡しを行なうと共に、この基板を真空搬送室に設けられた基板搬送手段により前記予備真空室と真空処理室との間で搬送し、この真空処理室において前記基板に対して真空処理を施す真空処理方法において、
前記真空搬送室の底部又は天井部に形成された凹部に付属モジュールを収納した状態で、前記基板搬送手段により前記真空処理室に基板を搬送し、当該真空処理室においてこの基板に対して真空処理を施す工程と、
次いで前記付属モジュールを前記真空搬送室内に突出させ、この付属モジュールにおいて前記基板搬送手段の基板に対して処理を行う工程と、を含むことを特徴とする。ここで前記基板搬送手段に対して行なう処理としては、例えば当該基板搬送手段における基板の保持アームの洗浄処理又は前記保持アームの静電気除去処理或いは前記保持アームの位置調整処理のいずれかを行うことができる。
【0023】
さらに本発明の真空処理方法は、常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切替可能に構成された予備真空室を介して外部との間で基板の受け渡しを行なうと共に、この基板を真空搬送室に設けられた基板搬送手段により前記予備真空室と真空処理室との間で搬送し、この真空処理室において前記基板に対して真空処理を施す真空処理方法において、
前記真空搬送室の底部又は天井部に形成された凹部に付属モジュールを収納した状態で、前記基板搬送手段により前記真空処理室に基板を搬送し、当該真空処理室において前記基板に対して真空処理を施す工程と、
次いで前記付属モジュールの全部又は一部を前記真空搬送室内に突出させ、この付属モジュールにおける基板の載置部に対して、前記基板搬送手段により基板の受け渡しを行う工程と、
次いで前記付属モジュールを前記凹部に収納する工程と、を含むことを特徴とする。例えば前記凹部に収納された付属モジュールにおいて前記基板を載置する工程は、前記真空処理室に対してクリーニング処理を行うときに行なわれる。
【0024】
また本発明では、前記凹部に収納された付属モジュールにおいて、前記載置部にされた基板に対して処理を行う工程を含むようにしてもよい。例えばこの基板に対する処理は、前記基板の温度を調整する処理であってもよいし、前記基板に付着した付着物を気化させて除去する処理であってもよい。
【0025】
さらに本発明の記憶媒体は、基板を、常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切替可能に構成された予備真空室と、真空搬送室とを介して真空処理室に搬送し、この真空処理室において前記ウエハに対して真空処理を施す真空処理装置に用いられ、コンピュータ上で動作するコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムは、前記真空処理方法を実施するようにステップが組まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、真空搬送室の底部又は天井部に凹部を形成し、基板搬送手段に対する処理、基板の待機或いは基板に対する処理を行なう付属モジュールを、使用しないときには前記基板搬送手段による基板搬送を阻害しないように前記凹部に収納し、使用するときには真空搬送室内に突出するようにしているので、装置の占有面積の増大を抑えつつ、前記付属モジュールを追加することができる。
【0027】
また真空搬送室の底部又は天井部に形成された凹部と、当該凹部の開口部を塞ぐ蓋体とにより区間空間を形成し、ここで基板の待機や、基板の処理を行うようにすることにより、装置の占有面積の増大を抑えつつ、基板の待機や基板処理を行う機能を追加することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の真空処理装置2の一実施の形態について、図を参照しながら説明する。図1は前記真空処理装置2の全体構成を示す平面図であり、真空処理装置2は、ウエハWのロード、アンロードを行うローダモジュールを構成する第1の搬送室21と、ロードロック室22,23と、真空搬送室である第2の搬送室3と、真空処理室31A〜31Fとを備えている。第1の搬送室21の正面にはキャリアCが載置されるロードポート24が設けられており、第1の搬送室21の正面壁には、前記ロードポート24に載置されたキャリアCが接続されて、当該キャリアCの蓋と一緒に開閉されるゲートドアGTが設けられている。
【0029】
また第1の搬送室21の側面には、ウエハWの向きや偏心の調整を行うアライメント室25が設けられている。前記ロードロック室22,23には、夫々図示しない真空ポンプとリーク弁とが設けられており、常圧雰囲気と真空雰囲気とを切り替えられるように構成されている。つまり第1の搬送室21及び第2の搬送室3の雰囲気がそれぞれ常圧雰囲気及び真空雰囲気に保たれているため、ロードロック室22,23は、それぞれの搬送室間において、ウエハWを搬送する時雰囲気を調整するためのものである。なお図中Gは、ロードロック室22,23と第1の搬送室21又は第2の搬送室3との間、あるいは第2の搬送室3と前記各真空処理室31A〜31Fとの間を仕切るゲートバルブ(仕切り弁)である。
【0030】
さらに第1の搬送室21には、第1の搬送アーム26が設けられている。この第1の搬送アーム26は、キャリアCとロードロック室22,23との間及び第1の搬送室21とアライメント室25との間でウエハWの受け渡しを行うための搬送アームであり、例えばキャリアCの配列方向(図1中X方向)に移動自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在、進退自在に構成されている。
【0031】
図1中、キャリアCの配列方向(図1中X方向)を左右方向、キャリアCの配列方向と直交する方向(図1中Y方向)を長さ方向、キャリアCが設けられている側を手前側と呼ぶことにすると、前記第2の搬送室3は、前記長さ方向に伸びる平面形状が細長い六角形状に構成され、この第2の搬送室3の手前側にはロードロック室22,23が設けられている。そして第2の搬送室3の左右方向の両側には前記長さ方向に沿って例えば2個の真空処理室31A,31B、31E,31Fが夫々気密に接続されると共に、その奥側には2個の真空処理室31C,31Dが気密に接続されている。例えば真空処理室31A〜31Fとしては、成膜装置やアニール装置、エッチング装置等が割り当てられている。
【0032】
この第2の搬送室3は基板搬送手段をなす第2の搬送アーム32(32A,32B)を備えており、この搬送アーム32により、ロードロック室22,23と各真空処理室31A〜31Fとの間でウエハWの受け渡しが行なわれるようになっている。これら第2の搬送アーム32A,32Bは、図1〜図5に示すように、夫々鉛直軸回りに回転自在、進退自在に構成された多間接アームの先端に、平面形状が略U字状の保持アーム33を備えて構成され、共通の基台34の上に設けられている。この基台34の裏面側には前記左右方向の外縁近傍に下方側に伸びる支持部35が設けられると共に、この支持部35の下端側には移動機構36が接続され、この移動機構36により図1中Y方向に伸びるガイドレール37に沿ってスライド移動できるように構成されている。
【0033】
前記第2の搬送室3の底部30には、図2に示すように、その左右方向の両側に、例えば前記長さ方向に伸び、平面形状が細長い四角形状の第1の凹部38が形成されており、前記ガイドレール37は、この凹部38内に設けられている。こうして前記第2の搬送アーム32は、ロードロック室22,23側に寄ったホーム位置(図1に示す位置)と、第2の搬送室3の奥側の真空処理室31C,31D側に寄った位置との間で図1中Y方向にスライド移動できるように構成されている。
【0034】
さらに前記第2の搬送室3には付属モジュールが突没自在に設けられている。前記第2の搬送室3の底部30には、第2の搬送アーム32が前記ホーム位置にあるときの空いた領域、つまり第2の搬送室3の奥側の領域であって、第1の凹部38よりも内側の領域に、例えば平面形状が四角形状の第2の凹部41が形成され、この内部に付属モジュールが収納されるようになっている。この付属モジュールとは、第2の搬送アーム32に対する処理や、ウエハWの載置や、ウエハWに対する処理を行うためのモジュールであり、例えばこの付属モジュールにて行われる処理の例としては、第2の搬送アーム32に対する処理の例としては、例えば前記保持アーム33の洗浄を行うアームクリーニングや、前記保持アーム33の静電気除去処理、前記保持アーム33の位置調整処理、前記保持アーム33の温度調整処理等が挙げられる。また前記ウエハWに対する処理の例としては、例えばウエハWに付着した付着物を気化させて除去するデガス処理、ウエハWの温度を調整する処理や、前記真空処理室31A〜31FにおいてウエハWに対して真空処理を行う前に、当該ウエハWを予備加熱する処理や、前記真空処理が行われたウエハWを冷却する処理等が挙げられる。
【0035】
続いてこの付属モジュールの一例について、前記アームクリーニングを行う洗浄モジュール4を例にして、図3〜図6を参照して説明する。この洗浄モジュール4は、前記第2の搬送アーム32A,32BのウエハWの保持領域を洗浄するものである。図中40は当該洗浄モジュール4の筐体であり、例えば平面形状が四角形状の扁平な角筒状に形成され、その内部に第2の搬送アーム32の保持アーム33が入り込む程度の大きさに設定されている。この筐体40における予備真空室22,23側の面は開口部42として開口されていて、第2の搬送アーム32の保持アーム33が、この開口部42を介して筐体40内に進入及び退出できるようになっている。
【0036】
この筐体40内部における、筐体40内に進入した前記保持アーム33の上方側には、当該保持アーム33に向けて例えばイソプロピルアルコール等の洗浄ガスを吹き付けるための洗浄ガス供給部43が設けられている。この洗浄ガス供給部43は、保持アーム33におけるウエハWの保持領域に洗浄ガスを供給するように、保持アーム33の2本のアームに沿って伸びる洗浄ガス供給管43aと、この洗浄ガス供給管43aに長さ方向に沿って所定の間隔を開けて設けられた複数個のノズル部43bと、この洗浄ガス供給管43aに洗浄ガスを供給するための洗浄ガス供給路43cとを備えている。前記洗浄ガス供給路43cは、伸縮自在な材料により構成され、その他端側は凹部41の底部を貫通して、洗浄ガス供給源44にバルブV1を介して接続されている。
【0037】
また筐体40の底部には、例えば中央部に、洗浄ガスの排気口45aが形成され、筐体40の裏面側には、前記排気口45aの周囲を囲むように排気ベローズ45が設けられている。この排気ベローズ45の他端側は前記凹部41の底部に形成された排気口46aを介して排気路46に接続され、この排気路46の他端側は真空排気手段47にバルブV2を介して接続されている。
【0038】
このような筐体40は、前記凹部41に設けられた昇降手段48により、当該筐体40が凹部41に収納される収納位置と、第2の搬送室3内において前記保持アーム33が前記筐体40内に、進入及び退出する処理位置(第2の搬送アーム32に対して処理を行う位置)との間で昇降自在に構成されている。前記昇降手段48としては、エアシリンダーや電動アクチュエータ等を用いることができる。また図中49は昇降ガイドである。なお前記筐体40が前記収納位置にあるときには、筐体40の上面が、第2の搬送アーム3の基台34の移動を阻害しない状態で、筐体40が凹部41に収納されるようになっている。
【0039】
さらにこの真空処理装置には、図1に示すように例えばコンピュータからなる制御部100が設けられており、この制御部100はプログラム、メモリ、CPUからなるデータ処理部を備えていて、前記プログラムには制御部100から真空処理装置の各部に制御信号を送り、後述の搬送順序を進行させるように命令(各ステップ)が組み込まれている。このプログラムは、コンピュータ記憶媒体例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)等の記憶部に格納されて制御部100にインストールされる。ここで第2の搬送室3においては、制御部100によってゲートバルブGの開閉、第2の搬送アーム32の駆動、洗浄モジュール4の昇降、洗浄モジュール4における所定の処理の際に、各部に制御信号が送られるようになっている。
【0040】
続いて前記真空処理装置におけるウエハWの流れについて簡単に説明する。先ず多数枚のウエハWが収納された密閉型キャリアCを第1の搬送室21に搬入し、第1の搬送アーム26により、当該キャリアC内のウエハWを受け取る。次いで常圧雰囲気の予備真空室22,23のゲートバルブGを開き、第1の搬送アーム26により前記ウエハWを予備真空室22,23内に搬入する。次いで予備真空室22,23を所定の真空雰囲気まで減圧した後、ゲートバルブGを開き、第2の搬送アーム32によりウエハWを受け取り、真空処理室31A〜31Fのいずれかに搬送し、当該真空処理室31A〜31Fにおいて、所定の真空処理を実施する。
【0041】
こうして真空処理室31A〜31F内にて処理が行なわれたウエハWは、第2の搬送アーム32により当該真空処理室31A〜31Fから搬出され、真空雰囲気に設定された予備真空室22,23内に搬入される。次いで予備真空室22,23内を常圧雰囲気まで戻した後、第1の搬送アーム26により予備真空室22,23内のウエハWを受け取り、第1の搬送室21を介して所定のキャリアCに戻される。
【0042】
続いて本発明のアームクリーニング処理について説明する。本発明のアームクリーニング処理は、第2の搬送アーム32により、予備真空室22,23と真空処理室31A〜31Fとの間でウエハWの搬送を複数回行なった後に行われるものであり、例えば予め設定された所定のタイミングやメンテナンス時に行なわれる。
【0043】
先ず第2の搬送アーム32(32A,32B)を前記ホーム位置に位置させて、前記洗浄モジュール4を前記収納位置から前記処理位置まで上昇させる。次いで第2の搬送アーム32Aの保持アーム33を当該洗浄モジュール4の筐体40内に進入させ、バルブV1を開いて洗浄ガス供給管43aに洗浄ガスを供給する一方、バルブV2を開いて真空排気手段47により前記筐体40内を排気する。これにより前記保持アーム33には上方側から洗浄ガスが吹き付けられ、当該洗浄ガスにより保持アーム33に付着していた成膜成分を剥離させて除去し、当該成膜成分を洗浄ガスと共に排気口45aより排気ベローズ45、排気路46を介して真空排気装置2の外部へ排出する。こうして第2の搬送アーム32Aの保持アーム33の洗浄が終わった後、同様に第2の搬送アーム32Bの保持アーム33についても洗浄処理を行う。こうして両搬送アーム32A,32Bの洗浄処理が終了した後、第2の搬送アーム32を前記ホーム位置まで戻し、洗浄モジュール4を下降させて第2の凹部41に収納する。
【0044】
このようなアームクリーニング処理を行うことにより、所定のタイミングで保持アーム33のウエハ保持領域が洗浄されるので、前記真空処理室31A〜31Fにおける処理の残留ガスが第2の搬送アーム32に付着したとしても、これが累積されて当該搬送アーム32が成膜されることが抑えられる。このため、搬送アーム32に形成された膜がウエハに再付着したり、パーティクル汚染の原因となることが抑えられる。
【0045】
ここでこの洗浄モジュール4は、真空処理装置2の底部30における、第2の搬送室3の搬送領域の空いている部分、つまり第2の搬送アーム32が前記ホーム位置に位置するときに空いている部分に形成された凹部41に収納されるので、従来の真空処理装置2の占有面積の増加を抑えて、洗浄モジュール4を追加することができる。
【0046】
従って従来の真空処理装置2において、第2の搬送室3の底部30の構造を変更することにより、洗浄モジュール4の追加に対応でき、第2の搬送アーム32自体や、予備真空室22,23、真空処理室31A〜31F等の装置の他の部分の構成については変更することがないので、システム変更を最小限にとどめることができ、装置設計が容易となる。この際、既述のように第2の搬送室3が長さ方向に細長く形成され、第2の搬送アーム32が前記長さ方向に沿って移動可能に構成される場合には、搬送領域に前記搬送アーム32が位置しない空き領域が形成されるので、この空き領域に洗浄ジュール4を設けることは、スペースの有効活用となる。
【0047】
また前記洗浄モジュール4は、使用しない時には、第2の搬送アーム32によるウエハW搬送を阻害しないように前記凹部41に収納されている。これにより洗浄モジュール4を使用しないときには、従来どおりのウエハWの搬送を行なうことができ、搬送プログラムの仕様変更を最小限にとどめることができるので、対応が容易となる。
【0048】
以上において、前記洗浄モジュール4は、例えば図7に示すように、第2の搬送室3の天井部39に形成された凹部50の内部に設けられるように構成してもよい。この例では、洗浄モジュール4は、その上面が、前記凹部50の天井部に設けられた昇降手段51と接続され、この昇降手段51により、前記第2の搬送アーム23によるウエハ搬送を阻害しないように収納前記凹部50に収納される収納位置と、第2の搬送室3内における前記処理位置との間で昇降されるように構成されている。図7中52は昇降ガイドであり、その他の構成は図3に示す真空処理装置2と同様である。
【0049】
続いて、付属モジュールにて前記保持アーム33に対して行なう処理の他の例について簡単に説明する。先ず前記保持アーム33の静電気除去処理は、例えば付属モジュールの筐体内にイオナイザーを設け、このイオナイザーにより、筐体内に挿入された前記保持アーム33に対する静電気除去処理が行われる。例えばイオナイザーとしては、筐体内に挿入された前記保持アーム33に対してイオンガスを供給する構成や、前記前記保持アーム33をイオナイザーに接触させる構成等が用いられる。このように保持アーム33の静電気を除去することによって、パーティクルの吸着を防止したり、ウエハWの絶縁破壊を抑えることができる。
【0050】
また前記保持アーム33の位置調整処理は、例えば付属モジュールの筐体内に位置検出手段を設け、これにより前記筐体内に挿入された前記保持アーム33の位置データを把握し、この位置データに基づいて制御部100から基板搬送手段の駆動機構に位置調整指令を出力することにより行われる。前記位置検出手段としては、前記保持アーム33を撮像して位置検出を行うCCDカメラや、光学的に前記保持アーム33の位置検出を行う手段を用いることができる。このように保持アーム33の位置調整を行なうことによって、真空処理室31A〜31Fや予備真空室22,23に対して、ウエハWの受け渡しを正確に行なうことができ、ウエハWの受け渡し時に、ウエハWを落下させたり、ウエハWに衝突したりといった事故の発生を抑えることができる。
【0051】
さらに前記保持アーム33に対して加熱や冷却等を行う温度調整処理は、例えば筐体内に温度調整手段を設け、これにより筐体内に挿入された前記保持アーム33を加熱、冷却することによって、当該保持アーム33を所定温度に調整することにより行われる。例えば温度調整手段としては、筐体内に挿入された前記保持アーム33に対して、温度調整がされた不活性ガスを供給する構成や、前記前記保持アーム33を温度調整されたプレートに接触させる構成等が用いられる。このように保持アーム33の温度調整を行なうことにより、未処理ウエハを処理温度近傍まで予備加熱したり、処理後のウエハを冷却したりして、他のユニットにおけるウエハの加熱や冷却に要する時間を短縮し、スループットを向上させるという効果が得られる。これら静電気除去処理や温度調整処理において、筐体内にガスを供給する場合には、前記洗浄モジュール4と同様に、伸縮自在のガス供給路と、排気ベローズを設け、筐体が昇降した場合に適応させる。
【0052】
続いてこの実施の形態の他の例について図8を用いて説明する。この例は、付属モジュールとして、複数枚例えば13枚のウエハWが載置されるバッファモジュール6が設けられる例である。このバッファモジュール6は、例えば平面形状が四角形状の扁平な角筒状に形成された筐体60を備え、この筐体60における予備真空室22,23側の面は開口部61として開口されていて、バッファモジュール6が第2の搬送室3内に位置するときには、第2の搬送アーム32の保持アーム33が、この開口部61を介して当該筐体60内に進入及び退出できるようになっている。また筐体60内部には、ウエハWの裏面側周縁部を保持するための複数の保持部62が、上下方向に所定の間隔を空けて設けられている。この保持部62はウエハWが載置される載置部に相当するものである。そしてこのような筐体60は、前記第2の凹部41に設けられた昇降手段63により、当該筐体60が前記凹部41に収納される収納位置と、第2の搬送室3内において、前記保持アーム33が当該バッファモジュール6に対してウエハWの受け渡しを行う受け渡し位置と、の間で昇降自在に構成されている。そして当該バッファモジュール6が前記収納位置にあるときには、筐体60の上面が、第2の搬送アーム3の基台34の移動を阻害しない状態で、筐体60が前記凹部41内に収納されるようになっている。図中64は昇降ガイドである。
【0053】
このようなバッファモジュール6は、例えば真空処理室31A〜31F内をクリーニング処理する場合等に用いられる。具体的に真空処理室31Aをクリーニングする場合を例にして説明すると、先ず第2の搬送アーム32を前記ホーム位置に位置させるが、この際この第2の搬送アーム32では、一方の搬送アーム32Aにて当該真空処理室31Aにて処理された後のウエハWを保持し、他方の搬送アーム32Bにて当該真空処理室31Aに次に搬入するウエハWを保持している。
【0054】
そして前記バッファモジュール6を前記受け渡し位置まで上昇させ、搬送アーム32Bに保持されている処理前のウエハWを当該バッファモジュール6の保持部62に受け渡す。次いでバッファモジュール6を前記収納位置まで下降させてから、搬送アーム32Aにより処理後のウエハWを次の工程を実施する真空処理室31Bに搬送する。そして真空処理室31Aのクリーニングが終了した後、第2の搬送アーム32を前記ホーム位置に位置させてから、バッファモジュール6を上昇させて、当該バッファモジュール6に載置されている処理前のウエハWを搬送アーム32により受け取る。次いで当該バッファモジュール6を下降させて前記凹部41内に収納してから、前記ウエハWを真空処理室31Aに搬入する。
【0055】
このようなバッファモジュール6を設けることにより、真空処理室31A〜31Fが内部をクリーニングする場合であって、当該真空処理室31A〜31Fに対してウエハWの受け渡しを行うことができない場合であっても、このときに第2の搬送アーム32が保持している処理前のウエハWをバッファモジュール6に仮置きすることができる。このため第2の搬送アーム32の一方が空いた状態となり、クリーニングが行われている真空処理室31A〜31Fにて処理されたウエハWを次工程の真空処理室31A〜31Fに搬送できる。これにより第2の搬送アーム32がクリーニングが行われている真空処理室31A〜31Fにおける処理前後のウエハWを保持したまま、当該クリーニングが終了するまで搬送を行なうことができずに待機する状態の発生が抑えられ、スループットの低下を防ぐことができる。
【0056】
この例においても、前記バッファモジュール6を、第2の搬送室3の天井部39に形成された凹部50の内部に収納されるように設け、前記凹部50内における前記収納位置と、第2の搬送室3内における前記受け渡し位置との間で昇降させるように構成してもよい。
【0057】
続いて本発明の他の実施の形態について図9〜図12を用いて説明する。この例における付属モジュールは、前記凹部41の上部側開口部を気密に塞ぐ蓋体7と、当該凹部41と蓋体82とにより形成された区画空間Sの内部においてウエハWを載置する載置部と、を備えており、前記区画空間Sの内部にてウエハWに対して処理が行なわれるように構成されている。図中71は前記蓋体7の下面に設けられた、載置部をなすウエハWの保持部材である。この保持部材71は、例えば図9に示すように、前記蓋体7と対向する底板72を備えると共に、蓋体7と底板72との間に複数本例えば3本の支柱73a〜73cを備えており、この支柱73a〜73cには、ウエハWを上下に所定間隔を空けて保持するための保持部74a〜74cが夫々形成され、これら保持部74a〜74cによりウエハWの周縁が保持されるように構成されている。
【0058】
これら蓋体7と保持部材71は、保持部材71の底板72の下面に設けられた共通の昇降手段75により一体となって昇降自在に構成され、当該蓋体7が前記凹部41を気密に塞ぐ位置と、当該蓋体7及び保持部材71が第2の搬送室3内に飛び出し、前記保持部材71が第2の搬送アーム32との間でウエハWの受け渡しを行なう受け渡し位置との間で昇降自在に構成されている。図9中75aは昇降ガイド、76は蓋体7により前記凹部41の上部側開口部を気密に塞ぐためのシール部材をなすOリングである。また前記蓋体7が前記凹部41を塞ぐ位置にあるときには、前記蓋体7の上面が、第2の搬送アーム3の基台34の移動を阻害しないように、基台34の下面が蓋体7の上方側を移動するようになっている。
【0059】
さらにこの例では、例えば前記凹部41の側壁41aに温調流体の流路41bが形成され、当該流路41bに温調流体供給部77から所定温度に調整された温調流体が循環供給されるように構成されている。また前記凹部41には、不活性ガス例えばN2ガスを当該凹部41と蓋体7とにより形成された区画空間S内に供給するためのガス供給路78aが接続され、このガス供給路78aの他端側はバルブV3を介してガス供給源78に接続されている。さらに前記凹部41には、前記区画空間S内の雰囲気を真空排気するための排気路79aが設けられ、この排気路79aの他端側には、バルブV4を介して真空排気手段79が接続されている。この例では、前記温調流体の流路41bと、前記ガス供給路78aとガス供給源78とよりなるガス供給手段と、から温度調整手段が構成されている。
【0060】
このような構成では、前記区画空間S内にてウエハWの温調処理、例えば真空処理室31A〜31Fにおいて真空処理を行う前にウエハWを予備加熱する処理が行われる。以下にこの予備加熱処理について図10〜図12を用いて説明する。先ず図10(a)に示すように、蓋体7により前記凹部41の上部側開口部を気密に塞いでこれらにより区画空間Sを形成し、この区画空間S内を真空排気手段79により第2の搬送室3と同じ圧力まで真空排気する。またこの際、前記流路41bに所定温度に調整された温調流体を通流しておく。
【0061】
続いて図10(b)に示すように、第2の搬送アーム32を前記ホーム位置に位置させてから、蓋体7及び保持部材71を前記受け渡し位置まで上昇させ、ここで当該保持部材71に第2の搬送アーム32によりウエハWを受け渡す。次いで蓋体7及び保持部材71を下降させて、こうして蓋体7により前記凹部41の上部側開口部を塞いで区画空間Sを形成する。この際、前記区画空間S内は真空排気手段79により真空排気され、流路41bに所定温度に調整された温調流体が供給されている。
【0062】
次いで図11(a)に示すように、前記区画空間S内の真空排気を停止し、当該区画空間S内にガス供給手段78により不活性ガスを所定の流量で供給して、例えば区画空間S内を大気圧程度の圧力まで昇圧する。このようにすると温調流体により前記凹部41は所定温度に加熱されているので、この熱が不活性ガスによってウエハWに伝導され、こうしてウエハWが所定温度例えば200℃程度に加熱される。
【0063】
この加熱処理を例えば30秒程度行った後、図11(b)に示すように、前記区画空間S内への不活性ガスの供給及び温調流体の供給を停止し、当該区画空間S内を真空排気手段79により、第2の搬送室3と同程度の圧力まで真空排気する。次いで図12に示すように、前記蓋体7及び保持部材71を前記受け渡し位置まで上昇させ、処理後のウエハWを第2の搬送アーム23に受け渡す。
【0064】
このような構成では、前記凹部41の上部側開口部を気密に塞ぐ蓋体7を設けて、当該凹部41と蓋体7とにより区画空間Sを形成し、この内部にてウエハWに対して処理を行うことにより、前記凹部41を処理チャンバの一部として用いているので、従来の真空処理装置2の占有面積の増大を抑えつつ、ウエハWを処理する機能を追加することができる。また、第2の搬送室3に当該機能を追加する以外の構成、つまり真空処理室31A〜31Fや第2の搬送アーム32等の構成は変更する必要がないので、システム変更を最小限にとどめた状態で前記機能を追加することができる。
【0065】
この際、前記区画空間Sを気密に構成し、当該区画空間Sにガスを供給するガス供給手段や、当該区画空間S内を真空排気する真空排気手段79を設けているので、当該区画空間Sは第2の搬送室3とは独立して圧力調整やガスの給排気を行なうことができる。従ってこの付属モジュールでは、ウエハWの予備加熱処理以外に、真空処理室31A〜31Fにて真空処理されたウエハWを冷却する処理や、ウエハWのデガス処理等を行うことができ、付属モジュールにて行われる処理の自由度が高められる。さらにこの例の温度調整手段としては、ペルチェ素子等を用いることもできる。
【0066】
続いてこの実施の形態の他の例について図13を用いて説明する。この例では、蓋体8をスライド移動させることにより、前記凹部41の上部側開口部を開閉自在に構成したものである。ここで前記凹部41の開口部は例えば長辺が500mm程度の大きさであるため、前記蓋体8としては、例えば振り子型バルブを用いることができる。図中81は蓋体8の移動機構であり、保持部材71が蓋体8とは別個に設けられると共に、昇降手段75により昇降自在に構成されている他は、上述の図9に示す例と同様に構成されている。
【0067】
この例では、先ず蓋体8により前記凹部41の上部側開口部を閉じ、前記凹部41と蓋体8とにより形成される区画空間S内を真空排気手段79により、第2の搬送室3と同じ圧力まで真空排気した後、蓋体8をスライド移動させて前記凹部41の上部側開口部を開く。次いで保持部材71を昇降手段75により前記受け渡し位置まで上昇させ、第2の搬送アーム32から当該保持部材71にウエハWを受け渡す。次いで保持部材71を凹部41内の所定位置まで下降させてから、蓋体8をスライド移動させて前記凹部41の上部側開口部を閉じ、前記区画空間S内にガス供給手段から不活性ガスを供給する。これにより温調流体の熱を不活性ガスを介してウエハWに伝導させ、ウエハWの予備加熱処理を所定時間行う。続いて前記区画空間Sへの不活性ガスの供給を停止すると共に、当該区画空間S内を第2の搬送室3と同じ圧力まで真空排気した後、蓋体8を開き、保持部材7を前記受け渡し位置まで上昇させて、第2の搬送アーム32に処理済みウエハWを受け渡す。
【0068】
以上において、図9及び図13に示す例においても、第2の搬送室3の天井部39に形成された凹部50の下面側開口部を蓋体7,8により気密に塞ぐと共に、保持部材71を前記凹部50内における位置と、第2の搬送室3内における前記受け渡し位置との間で昇降自在に構成し、前記凹部50と蓋体7,8とにより形成された区画空間S内にて、ウエハWに対して所定の処理を行うようにしてもよい。また保持部材71と蓋体7を別個に昇降させるようにしてもよい。
【0069】
続いて本発明のさらに他の実施の形態について図14を用いて説明する。この例においても、付属モジュールは、前記凹部41の上部側開口部を気密に塞ぐ蓋体82と、当該凹部41と蓋体82とにより形成された区画空間Sの内部においてウエハWを載置する載置部84と、を備え、前記区画空間Sの内部にてウエハWに対して処理を行うように構成されている。
【0070】
前記蓋体82は昇降手段83により、当該蓋体82が前記凹部41の上部側開口部を気密に塞ぐ位置と、第2の搬送室3内における前記受け渡し位置の上方側の位置との間で昇降自在に構成されている。ここで前記蓋体82が前記凹部41を塞ぐ位置にあるときには、蓋体82の上面が、第2の搬送アーム32の基台34の移動を阻害しないように、基台34の下面が蓋体82の上方側を移動するようになっている。図9中83aは昇降ガイドである。
【0071】
前記凹部41の内部にはウエハWの載置部84が設けられており、この載置部84には加熱手段例えばヒータ85が内蔵されている。図中86は前記ヒータ85に所定の電力を供給するための電力供給部であり、この例では前記ヒータ85と電力供給部86とにより温度調整手段が構成されている。またこの載置部84には当該載置部84に対してウエハWの受け渡しを行うための受け渡し手段87が設けられており、この受け渡し手段87は昇降手段87aにより、第2の搬送室3内における、前記第2の搬送アーム32との間でウエハWの受け渡しを行う受け渡し位置と、前記載置部84との間でウエハWの受け渡しを行う載置位置との間で昇降自在に構成されている。
【0072】
さらに区画空間Sには、例えば載置部84の上方側に、当該区画空間S内にガスを供給するためのガス供給路88aが設けられ、このガス供給路88aの他端側はバルブV5を介してガス供給源88に接続されている。さらに前記凹部41には、前記区画空間S内の雰囲気を真空排気するための排気路89aが設けられ、この排気路89aの他端側には、バルブV6を介して真空排気手段79が接続されている。
【0073】
この例では、前記凹部41と蓋体82とにより基板に対して真空処理を行う処理チャンバが構成され、前記凹部41と蓋体82とにより形成された前記区画空間S内では、ウエハWのデガス処理や表面処理、アニール処理やエッチング処理等の真空処理等を行うことができる。
【0074】
前記デガス処理を行う場合について簡単に説明すると、先ず蓋体82により前記凹部41の上部側開口部を気密に塞いで前記区画空間Sを形成し、この区画空間S内を真空排気手段79により第2の搬送室3と同じ圧力まで真空排気する。この際載置部84を所定温度に加熱しておく。
【0075】
続いて第2の搬送アーム32を前記ホーム位置に位置させてから、蓋体82を上昇させると共に、受け渡し手段87を前記受け渡し位置まで上昇させ、ここで当該受け渡し手段87に第2の搬送アーム32によりウエハWを受け渡す。このとき蓋体82は前記受け渡し位置の上方側に位置することになる。前記蓋体82の昇降手段83は、受け渡し手段87が前記載置位置にあるときに、第2の搬送アーム32から当該受け渡し手段87へのウエハWの受け渡しを阻害しない位置に設けられている。次いで例えば受け渡し手段87を前記載置位置まで下降させ、これにより載置部84にウエハWを受け渡してから、蓋体82を下降させて前記凹部41の上部側開口部を気密に塞ぎ、こうして蓋体82と前記凹部41とにより区画空間Sを形成する。
【0076】
そしてガス供給路88aを介して前記区画空間S内に所定の処理ガスを供給すると共に、載置部84の熱をウエハWに伝導させ、こうしてウエハWを所定温度に加熱して、ウエハWに付着した付着物を気化させて除去する。前記区画空間S内は真空排気されていると共に、処理ガスが供給されているので、前記付着物の気化成分は前記処理ガスと共に外部へ排気されていき、前記気化成分がウエハWに再付着することが抑えられる。このデガス処理を例えば30秒程度行った後、区画空間S内を第2の搬送室3と同じ圧力に調整してから、蓋体82及び受け渡し手段87を第2の搬送室3内に上昇させ、処理後のウエハWを第2の搬送アーム23に受け渡す。
【0077】
このような構成においても、前記凹部41を気密に塞ぐ蓋体82を設けて当該凹部41と蓋体82とにより区画空間Sを形成し、この内部にてウエハWに対して処理を行うことにより、前記凹部41を処理チャンバの一部として用いているので、従来の真空処理装置2の占有面積を増加させずに、ウエハWを処理する機能を追加することができる。また第2の搬送室3に当該機能を追加する以外の構成、つまり真空処理室31A〜31Fや第2の搬送アーム32等の構成は変更する必要がないので、システム変更を最小限にとどめた状態で前記機能を追加することができる。
【0078】
さらにこの例では、載置部84に温調流体を供給することにより、載置部84の温度を調整し、載置部84の熱を直接ウエハWに伝熱させてウエハWの予備加熱処理や冷却処理を行うようにしてもよい。さらに図9に示す例と同様に、前記凹部41の壁部に温調流体の流路を形成し、ここに所定温度に調整された温調流体を通流させて、区画空間S内にあるウエハWの温度調整を行なうようにしてもよい。また載置部84を設けずに、受け渡し手段87にウエハWを保持した状態で、所定の処理を行うようにしてもよい。
【0079】
以上において本発明は、第2の搬送アーム32がスライド移動しない構成について適用することができる。またバッファモジュール6や蓋体7の下面に設けられた保持部材71や、凹部41内に設けられた載置部84の構成については、上述の例に限らず、適宜変更することができる。また本発明は、例えばFPD基板等を処理する真空処理装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施の形態に係る真空処理装置を示す平面図である。
【図2】前記真空処理装置に設けられた第2の搬送室の一例を示す断面図である。
【図3】前記第2の搬送室の一例を示す断面図である。
【図4】前記第2の搬送室の一例の要部を示す斜視図である。
【図5】前記第2の搬送室の一例の要部を示す斜視図である。
【図6】前記第2の搬送室の一例の要部を示す斜視図である。
【図7】前記真空処理装置の他の例を示す断面図である。
【図8】前記真空処理装置のさらに他の例を示す断面図である。
【図9】前記真空処理装置のさらに他の例を示す断面図である。
【図10】前記図9に示す真空処理装置の作用を説明するための工程図である。
【図11】前記図9に示す真空処理装置の作用を説明するための工程図である。
【図12】前記図9に示す真空処理装置の作用を説明するための工程図である。
【図13】前記真空処理装置のさらに他の例を示す断面図である。
【図14】前記真空処理装置のさらに他の例を示す断面図である。
【図15】従来の真空処理装置を示す平面図である。
【符号の説明】
【0081】
C キャリア
21 第1の搬送室
22,23 予備真空室
3 第2の搬送室
30 底部
31A〜31F 真空処理室
32 第2の搬送アーム
34 基台
37 ガイドレール
38 第1の凹部
4 洗浄モジュール
41 第2の凹部
41b 流路
6 バッファモジュール
7,8,82 蓋体
71 保持部材
87 受け渡し手段
W 半導体ウエハ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切替可能に構成され、外部から基板が搬入される予備真空室と、
前記基板に対して真空処理を施すための複数の真空処理室と、
これら真空処理室と前記予備真空室とに接続され、これら予備真空室と真空処理室との間で基板を搬送する基板搬送手段を備えた真空搬送室と、
前記真空搬送室の底部又は天井部に形成された凹部と、
前記基板搬送手段に対して処理を行うための付属モジュールと、
この付属モジュールを、前記基板搬送手段による基板搬送を阻害しないように前記凹部に収納する位置と、前記真空搬送室内において前記基板搬送手段に対して処理を行なう位置との間で昇降させるための昇降手段と、を備えたことを特徴とする真空処理装置。
【請求項2】
前記基板搬送手段に対して行なう処理は、当該基板搬送手段における基板の保持アームの洗浄処理又は前記保持アームの静電気除去処理或いは前記保持アームの位置調整処理のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切替可能に構成され、外部から基板が搬入される予備真空室と、
前記基板に対して真空処理を施すための複数の真空処理室と、
これら真空処理室と前記予備真空室とに接続され、これら予備真空室と真空処理室との間で基板を搬送する基板搬送手段を備えた真空搬送室と、
前記真空搬送室の底部又は天井部に形成された凹部と、
前記基板を載置するため又は基板を載置し、更に当該基板に対して処理を行うための付属モジュールと、
この付属モジュールの全部又は一部を、前記基板搬送手段による基板搬送を阻害しないように前記凹部に収納する位置と、前記真空搬送室内において前記基板搬送手段との間で基板の受け渡しを行なう位置との間で昇降させるための昇降手段と、を備えたことを特徴とする真空処理装置。
【請求項4】
前記付属モジュールは、
前記昇降手段により、前記凹部の開口部を気密に塞ぐ位置と、前記真空搬送室内に飛び出た位置との間で昇降自在に構成された蓋体と、
前記凹部と蓋体とにより形成される区画空間内に前記基板を配置するための位置と、前記基板搬送手段との間で基板の受け渡しを行なうために前記真空搬送室内に飛び出た位置との間で昇降される載置部と、を備えたことを特徴とする請求項3記載の真空処理装置。
【請求項5】
前記載置部は前記蓋体と一体となって昇降されることを特徴とする請求項4記載の真空処理装置。
【請求項6】
前記付属モジュールは、
前記昇降手段により、前記凹部の開口部を気密に塞ぐ位置と、前記真空搬送室内に飛び出た位置との間で昇降自在に構成された蓋体と、
前記凹部と蓋体とにより形成される区画空間内において前記基板が載置される載置部と、
前記載置部との間で基板の受け渡しを行なうための位置と、前記真空搬送室内における前記基板搬送手段との間で基板の受け渡しを行なうための位置と、の間で昇降自在に設けられた受け渡し手段と、備えることを特徴とする請求項3記載の真空処理装置。
【請求項7】
前記付属モジュールは、前記載置部に載置された基板に対して処理を行うための手段を備えることを特徴とする請求項3ないし6のいずれか一に記載の真空処理装置。
【請求項8】
前記基板に対して処理を行うための手段は、基板温度を調整するための温度調整手段であることを特徴とする請求項7記載の真空処理装置。
【請求項9】
前記付属モジュールでは、前記基板に対して真空処理を行う前に、当該基板を予備加熱する処理が行われることを特徴とする請求項8記載の真空処理装置。
【請求項10】
前記付属モジュールでは、真空処理が行われた基板を冷却する処理が行われることを特徴とする請求項8記載の真空処理装置。
【請求項11】
前記温度調整手段は、前記凹部を構成する真空搬送室の壁部に形成された温調流体の流路と、前記凹部と蓋体とにより形成される区画空間内にガスを供給するガス供給手段と、を含み
前記区画空間内を真空排気する真空排気手段を備えることを特徴とする請求項8記載の真空処理装置。
【請求項12】
前記付属モジュールでは、基板に付着した付着物を気化させて除去する処理が行われることを特徴とする請求項11記載の真空処理装置。
【請求項13】
前記基板搬送手段は、前記真空搬送室内において、当該基板搬送室の一端側に設けられたガイドレールに沿って移動可能に設けられた基台と、
この基台に水平方向に回転自在及び進退自在に設けられた基板の保持アームと、を備え、
前記真空搬送室の底部に形成される凹部は、前記ガイドレールと干渉しない領域であって、前記基台がこのガイドレール上のある位置にあるときに、当該基台に干渉しないように形成されることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか一に記載の真空処理装置。
【請求項14】
常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切替可能に構成された予備真空室を介して外部との間で基板の受け渡しを行なうと共に、この基板を真空搬送室に設けられた基板搬送手段により前記予備真空室と真空処理室との間で搬送し、この真空処理室において前記基板に対して真空処理を施す真空処理方法において、
前記真空搬送室の底部又は天井部に形成された凹部に付属モジュールを収納した状態で、前記基板搬送手段により前記真空処理室に基板を搬送し、当該真空処理室において前記基板に対して真空処理を施す工程と、
次いで前記付属モジュールを前記真空搬送室内に突出させ、この付属モジュールにおいて前記基板搬送手段に対して処理を行う工程と、を含むことを特徴とする真空処理方法。
【請求項15】
前記基板搬送手段に対して行なう処理は、当該基板搬送手段における基板の保持アームの洗浄処理又は前記保持アームの静電気除去処理或いは前記保持アームの位置調整処理のいずれかであることを特徴とする請求項14記載の基板処理方法。
【請求項16】
常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切替可能に構成された予備真空室を介して外部との間で基板の受け渡しを行なうと共に、この基板を真空搬送室に設けられた基板搬送手段により前記予備真空室と真空処理室との間で搬送し、この真空処理室において前記基板に対して真空処理を施す真空処理方法において、
前記真空搬送室の底部又は天井部に形成された凹部に付属モジュールを収納した状態で、前記基板搬送手段により前記真空処理室に基板を搬送し、当該真空処理室において前記基板に対して真空処理を施す工程と、
次いで前記付属モジュールの全部又は一部を前記真空搬送室内に突出させ、この付属モジュールにおける基板の載置部に対して、前記基板搬送手段により基板の受け渡しを行う工程と、
次いで前記付属モジュールを前記凹部に収納する工程と、を含むことを特徴とする真空処理方法。
【請求項17】
前記凹部に収納された付属モジュールにおいて前記基板を載置する工程は、前記真空処理室に対してクリーニング処理を行うときに行なわれることを特徴とする請求項16記載の真空処理方法。
【請求項18】
前記凹部に収納された付属モジュールにおいて、前記載置部にされた基板に対して処理を行う工程を含むことを特徴とする請求項16記載の真空処理方法。
【請求項19】
前記基板に対する処理は、前記基板温度を調整する処理であることを特徴とする請求項18記載の真空処理方法。
【請求項20】
前記基板に対する処理は、前記基板に付着した付着物を気化させて除去する処理であることを特徴とする請求項18記載の真空処理方法。
【請求項21】
基板を、常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切替可能に構成された予備真空室と、真空搬送室とを介して真空処理室に搬送し、この真空処理室において前記ウエハに対して真空処理を施す真空処理装置に用いられ、コンピュータ上で動作するコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、請求項14ないし20のいずれか一に記載の真空処理方法を実施するようにステップが組まれていることを特徴とする記憶媒体。
【請求項1】
常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切替可能に構成され、外部から基板が搬入される予備真空室と、
前記基板に対して真空処理を施すための複数の真空処理室と、
これら真空処理室と前記予備真空室とに接続され、これら予備真空室と真空処理室との間で基板を搬送する基板搬送手段を備えた真空搬送室と、
前記真空搬送室の底部又は天井部に形成された凹部と、
前記基板搬送手段に対して処理を行うための付属モジュールと、
この付属モジュールを、前記基板搬送手段による基板搬送を阻害しないように前記凹部に収納する位置と、前記真空搬送室内において前記基板搬送手段に対して処理を行なう位置との間で昇降させるための昇降手段と、を備えたことを特徴とする真空処理装置。
【請求項2】
前記基板搬送手段に対して行なう処理は、当該基板搬送手段における基板の保持アームの洗浄処理又は前記保持アームの静電気除去処理或いは前記保持アームの位置調整処理のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切替可能に構成され、外部から基板が搬入される予備真空室と、
前記基板に対して真空処理を施すための複数の真空処理室と、
これら真空処理室と前記予備真空室とに接続され、これら予備真空室と真空処理室との間で基板を搬送する基板搬送手段を備えた真空搬送室と、
前記真空搬送室の底部又は天井部に形成された凹部と、
前記基板を載置するため又は基板を載置し、更に当該基板に対して処理を行うための付属モジュールと、
この付属モジュールの全部又は一部を、前記基板搬送手段による基板搬送を阻害しないように前記凹部に収納する位置と、前記真空搬送室内において前記基板搬送手段との間で基板の受け渡しを行なう位置との間で昇降させるための昇降手段と、を備えたことを特徴とする真空処理装置。
【請求項4】
前記付属モジュールは、
前記昇降手段により、前記凹部の開口部を気密に塞ぐ位置と、前記真空搬送室内に飛び出た位置との間で昇降自在に構成された蓋体と、
前記凹部と蓋体とにより形成される区画空間内に前記基板を配置するための位置と、前記基板搬送手段との間で基板の受け渡しを行なうために前記真空搬送室内に飛び出た位置との間で昇降される載置部と、を備えたことを特徴とする請求項3記載の真空処理装置。
【請求項5】
前記載置部は前記蓋体と一体となって昇降されることを特徴とする請求項4記載の真空処理装置。
【請求項6】
前記付属モジュールは、
前記昇降手段により、前記凹部の開口部を気密に塞ぐ位置と、前記真空搬送室内に飛び出た位置との間で昇降自在に構成された蓋体と、
前記凹部と蓋体とにより形成される区画空間内において前記基板が載置される載置部と、
前記載置部との間で基板の受け渡しを行なうための位置と、前記真空搬送室内における前記基板搬送手段との間で基板の受け渡しを行なうための位置と、の間で昇降自在に設けられた受け渡し手段と、備えることを特徴とする請求項3記載の真空処理装置。
【請求項7】
前記付属モジュールは、前記載置部に載置された基板に対して処理を行うための手段を備えることを特徴とする請求項3ないし6のいずれか一に記載の真空処理装置。
【請求項8】
前記基板に対して処理を行うための手段は、基板温度を調整するための温度調整手段であることを特徴とする請求項7記載の真空処理装置。
【請求項9】
前記付属モジュールでは、前記基板に対して真空処理を行う前に、当該基板を予備加熱する処理が行われることを特徴とする請求項8記載の真空処理装置。
【請求項10】
前記付属モジュールでは、真空処理が行われた基板を冷却する処理が行われることを特徴とする請求項8記載の真空処理装置。
【請求項11】
前記温度調整手段は、前記凹部を構成する真空搬送室の壁部に形成された温調流体の流路と、前記凹部と蓋体とにより形成される区画空間内にガスを供給するガス供給手段と、を含み
前記区画空間内を真空排気する真空排気手段を備えることを特徴とする請求項8記載の真空処理装置。
【請求項12】
前記付属モジュールでは、基板に付着した付着物を気化させて除去する処理が行われることを特徴とする請求項11記載の真空処理装置。
【請求項13】
前記基板搬送手段は、前記真空搬送室内において、当該基板搬送室の一端側に設けられたガイドレールに沿って移動可能に設けられた基台と、
この基台に水平方向に回転自在及び進退自在に設けられた基板の保持アームと、を備え、
前記真空搬送室の底部に形成される凹部は、前記ガイドレールと干渉しない領域であって、前記基台がこのガイドレール上のある位置にあるときに、当該基台に干渉しないように形成されることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか一に記載の真空処理装置。
【請求項14】
常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切替可能に構成された予備真空室を介して外部との間で基板の受け渡しを行なうと共に、この基板を真空搬送室に設けられた基板搬送手段により前記予備真空室と真空処理室との間で搬送し、この真空処理室において前記基板に対して真空処理を施す真空処理方法において、
前記真空搬送室の底部又は天井部に形成された凹部に付属モジュールを収納した状態で、前記基板搬送手段により前記真空処理室に基板を搬送し、当該真空処理室において前記基板に対して真空処理を施す工程と、
次いで前記付属モジュールを前記真空搬送室内に突出させ、この付属モジュールにおいて前記基板搬送手段に対して処理を行う工程と、を含むことを特徴とする真空処理方法。
【請求項15】
前記基板搬送手段に対して行なう処理は、当該基板搬送手段における基板の保持アームの洗浄処理又は前記保持アームの静電気除去処理或いは前記保持アームの位置調整処理のいずれかであることを特徴とする請求項14記載の基板処理方法。
【請求項16】
常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切替可能に構成された予備真空室を介して外部との間で基板の受け渡しを行なうと共に、この基板を真空搬送室に設けられた基板搬送手段により前記予備真空室と真空処理室との間で搬送し、この真空処理室において前記基板に対して真空処理を施す真空処理方法において、
前記真空搬送室の底部又は天井部に形成された凹部に付属モジュールを収納した状態で、前記基板搬送手段により前記真空処理室に基板を搬送し、当該真空処理室において前記基板に対して真空処理を施す工程と、
次いで前記付属モジュールの全部又は一部を前記真空搬送室内に突出させ、この付属モジュールにおける基板の載置部に対して、前記基板搬送手段により基板の受け渡しを行う工程と、
次いで前記付属モジュールを前記凹部に収納する工程と、を含むことを特徴とする真空処理方法。
【請求項17】
前記凹部に収納された付属モジュールにおいて前記基板を載置する工程は、前記真空処理室に対してクリーニング処理を行うときに行なわれることを特徴とする請求項16記載の真空処理方法。
【請求項18】
前記凹部に収納された付属モジュールにおいて、前記載置部にされた基板に対して処理を行う工程を含むことを特徴とする請求項16記載の真空処理方法。
【請求項19】
前記基板に対する処理は、前記基板温度を調整する処理であることを特徴とする請求項18記載の真空処理方法。
【請求項20】
前記基板に対する処理は、前記基板に付着した付着物を気化させて除去する処理であることを特徴とする請求項18記載の真空処理方法。
【請求項21】
基板を、常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切替可能に構成された予備真空室と、真空搬送室とを介して真空処理室に搬送し、この真空処理室において前記ウエハに対して真空処理を施す真空処理装置に用いられ、コンピュータ上で動作するコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、請求項14ないし20のいずれか一に記載の真空処理方法を実施するようにステップが組まれていることを特徴とする記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−164213(P2009−164213A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−339987(P2007−339987)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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