説明

低抵抗コンタクト構造体及びその製造方法

【課題】 半導体デバイスと後工程の相互接続体との間の誘電体材料層内にコンタクト構造体を製造する方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の実施形態は、半導体デバイスと後工程の相互接続体との間の誘電体材料層内にコンタクト構造体を製造する方法を提供する。この方法は、誘電体材料層内に少なくとも1つのコンタクト開口部を作成するステップと、化学気相堆積プロセスによって第1のTiN膜を形成するステップであって、第1のTiN膜はコンタクト開口部をライニングする(内側を覆う)ステップと、物理的気相堆積プロセスによって第2のTiN膜を形成するステップであって、第2のTiN膜は第1のTiN膜をライニングするステップとを含む。本発明の実施形態によって製造されるコンタクト構造体も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップの製造に関する。具体的には、能動半導体デバイスと上に重なる相互接続体との間を接続(インターフェース)する中間工程(middle-of-the-line)コンタクト構造体、及びその製造に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業においては、比較的低抵抗であること、応力が小さいこと、及びエレクトロマイグレーション特性を理由として、中間工程(MOL)コンタクト材料としてタングステン(W)が主に用いられる。MOLコンタクトは、前工程(front-end-of-the-line、FEOL)と呼ばれることがある能動半導体デバイス(又は集積回路)のコンタクト領域と、その上に重なる、後工程(back-end-of-the-line、BEOL)と呼ばれることがある相互接続体又は相互接続構造体との間の接続部(インターフェース)として作用する、導電性スタッドであり得る。能動半導体デバイスのコンタクト領域は、例えば、シリサイド材料で作ることができる。MOLコンタクトは、通常、能動半導体デバイスの上に形成された、例えばSiOのような誘電体材料層の中に形成される。誘電体材料層は、下にある半導体デバイスのコンタクト領域の表面まで延びる、その中にMOLコンタクトが形成される開口部を有する。
【0003】
例えば3よりも大きい高アスペクト比(幅に対する深さの比)、及び小さい構造体サイズ(約0.1ミクロン以下のオーダー)のため、誘電体材料内の開口部内にWを堆積してMOLコンタクトを形成する際に化学気相堆積(CVD)プロセスが一般的に適用されることは、当該技術分野では周知である。堆積プロセスは、典型的には、2つ又はそれ以上のステップ、例えば、核生成ステップ及びバルク充填ステップで実行される。
【0004】
核生成ステップの間に、WF、及び、例えばSiH等のシランを、前駆体として用いることができる。最近では、BがWFの還元に用いられており、以下のような化学反応が起こり得る。
WF(g)+B(g)→W(s)+6HF(g)+2B(s)・・・式1
バルク充填ステップの間には、WF及びHが用いられ、以下の化学反応が起こり得る。
WF(g)+3H(g)→W(s)+6HF(g)・・・式2
上記の式において、反応プロセスの間に用いられるか又は生成される化学物質の状態を表すために、気体を示す(g)及び固体を示す(s)が用いられていることに留意されたい。
【0005】
上記の化学反応式1及び2から、WのCVD堆積プロセスは、シリコンに対して腐食性であることがよく知られているHFを副生成物として生成し得ることが明らかである。シリサイド内部のシリコン(Si)を腐食反応から保護するために、WのCVD堆積の前にライナを堆積させることができる。ライナの使用により、シリサイド・コンタクト領域とCVD堆積されたWコンタクトとの間の接触抵抗をさらに低減することができ、且つ、CVD堆積されたWと、内部にコンタクト開口部が作成される誘電体材料との間の接着層として機能することができる。
【0006】
多様な異なる種類のライナが、従来技術において公知である。例えば、広く用いられている1つのライナは、Ti/CVD TiNスタックを含むことができる。Ti(チタン)は、優れた酸素「ゲッタ」である(つまり、Tiは、酸素に対して高い親和性を有する)ことが知られており、従って、Ti層の適用は、コンタクト開口部の表面酸化物のクリーンアップを助ける。スタックはまた、コンタクト開口部の底部及び隅(コーナー)部の被覆を提供するために、Ti層の上にCVD堆積されたTiNの層も含む。CVD堆積されたTiN層は、核生成及び/又はバルク充填ステップの間に露出されたTi及び/又はSiとWFとの反応の結果として起こりかねない噴火口様欠陥(volcanodefect)の形成を防止する助けとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
Ti/CVD TiNスタックのライナは、ソース領域及び/又はドレイン領域及び/又はゲート領域といった半導体デバイスのシリサイド・コンタクト領域が、スタッド・コンタクトのためのWのCVD堆積の間に生成される腐食性HFと接触するのを防ぐことができるが、スタック中のCVD堆積されたTiNの存在は、高い抵抗を有することが知られているベータWの形成を促進するので、スタッド・コンタクトの全体としての抵抗を増大させてしまう。上記のことを考慮すると、上述のような欠点を克服するMOLコンタクト構造体を開発する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態は、半導体デバイスと後工程の相互接続体との間の誘電体材料層内にコンタクト構造体を製造する方法を提供する。この方法は、誘電体材料層内に少なくとも1つのコンタクト開口部を作成するステップと、化学気相堆積プロセスによって第1のTiN膜を形成するステップであって、第1のTiN膜はコンタクト開口部をライニングする(内側を覆う)ステップと、物理的気相堆積プロセスによって第2のTiN膜を形成するステップであって、第2のTiN膜は第1のTiN膜をライニングステップとを含む。
【0009】
一実施形態によると、第2のTiN膜を形成するステップは、TiNの層を第1のTiN膜上に方向性スパッタリングするステップを含むことができ、TiNの層は、コンタクト開口部の底部において約10Åから約150Åまでの範囲の厚さを有し、側壁上では約5Åから約25Åまでの範囲の厚さを有する。
【0010】
別の実施形態によると、第2のTiN膜を形成するステップは、Tiの層を第1のTiN膜上に方向性スパッタリングするステップと、続いて、堆積後プロセスによってTiの層を第2のTiN膜に変換するステップとを含むことができる。堆積後プロセスは、約5−10原子%のHと90−95原子%のNとの気体混合物を用いた、約500℃から約650℃までの温度で約15分間から約1時間までにわたるフォーミングガス・アニール処理を含むことができる。或いは、堆積後プロセスは、約5秒間から約30秒間までにわたって実行される、H及びNのフォーミングガス・プラズマ・プロセスを含むことができる。
【0011】
さらに、本発明の実施形態は、第1のTiN膜を形成する前に、コンタクト開口部内にTiライナを堆積する方法もまた提供し、Tiライナは、約20Åから約400Åまでの範囲の厚さを有する。本発明の実施形態は、化学気相堆積プロセスによって、導電性材料、好ましくはタングステン(W)でコンタクト開口部を充填してコンタクト・プラグを形成する方法をさらに提供する。
【0012】
本発明の実施形態は、半導体デバイスと後工程の相互接続体とを接続する構造体もまた提供する。構造体は、誘電体材料層内の少なくとも1つのコンタクト開口部と、コンタクト開口部に沿って形成された第1のライナであって、化学気相堆積(CVD)されたTiN膜でありCVD−TiN膜の性質を有する第1のライナと、第1のライナの上に形成された第2のライナであって、物理的気相堆積(PVD)されたTiN膜でありPVD−TiN膜の性質を有する第2のライナとを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態による、スタッド・コンタクト構造体を形成する方法の略図である。
【図2】本発明の実施形態による、スタッド・コンタクト構造体を形成する方法の略図である。
【図3】本発明の実施形態による、スタッド・コンタクト構造体を形成する方法の略図である。
【図4】本発明の実施形態による、スタッド・コンタクト構造体を形成する方法の略図である。
【図5】本発明の実施形態による、スタッド・コンタクト構造体を形成する方法の略図である。
【図6】本発明の実施形態による、スタッド・コンタクト構造体を形成する方法の略図である。
【図7】本発明の実施形態による、スタッド・コンタクト構造体を形成する方法の略図である。
【図8】従来通りに形成されたスタッド・コンタクト構造体と比較した、本発明の一実施形態によって形成されたスタッド・コンタクト構造体のx線回折のサンプル試験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、以下の本発明の詳細な説明を添付の図面と組み合わせることによって、もっとよく理解され認識されることになる。
説明を簡単かつ明瞭にするために、図面中に示される要素は、必ずしも一定の縮尺で描かれてはいないことが認識される。例えば、明確にするために、いくつかの要素の寸法は、他の要素と比べて拡大されている場合がある。
【0015】
本発明を完全に理解してもらうために、以下の説明において、特定の構造体、構成要素、材料、寸法、処理ステップ及び技術といった多数の具体的な細部が記述される。しかしながら、当業者であれば、本発明はこれらの具体的な細部がなくても実行できることを認識するであろう。他の場合には、本発明の説明が分かりにくくなるのを避けるために、周知の構造体又は処理ステップについては詳しく説明していない。
【0016】
本出願を通して、「半導体」という用語は、その時々に、例えば、Si、SiGe、SiGeC、SiC、Ge合金、GaAs、InAs、InP、及び他のIII/V族又はII/VI族化合物半導体を含む半導体材料又はそれらの組み合わせを示すために用いることができる。「半導体基板」という用語は、その時々に、例えば、Si/SiGe、Si/SiC、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)又はシリコン・ゲルマニウム・オン・インシュレータ(SGOI)等の半導体材料の層状構造体を示すために用いることができる。半導体基板は、ドープ型とするか、非ドープ型とするか、或いはドープ領域及び/又は非ドープ領域をその中に含むものとすることができ、また、歪み型とするか、非歪み型とするか、或いは歪み領域及び/又は非歪み領域をその中に含むものとすることができ、また、その中に単一の結晶方位又は異なる結晶方位の領域を有するものとすることができ、また、その中に配置された、例えば、トレンチ分離領域又はフィールド酸化物分離領域といった1つ又は複数の分離領域を有するものとすることができる。
【0017】
図1は、半導体デバイス10の略図であり、この上に、本発明の実施形態に従って、1つ又は複数の中間工程(MOL)スタッド・コンタクト構造体を後で形成することができる。半導体デバイス10は、例えば、電界効果トランジスタ(FET)とすることができる。しかしながら、本発明は、この点に関して限定されるものではなく、例えば、キャパシタ、ダイオード、バイポーラ・トランジスタ、BiCMOSデバイス、メモリ・デバイス等のような他の半導体デバイスのためのコンタクト構造体の形成に適用することができる。以下、半導体デバイス10は、言及を容易にするためにFET10と呼ぶことがある。
【0018】
FET10は、当該技術分野において周知であり得る任意の従来の半導体処理技術によって製造することができる。例えば、堆積、リソグラフィ、エッチング、及びイオン注入技術を中でも特に用いることができる。FET10は、ゲート誘電体18、ゲート導体20、一対の随意的なオフセット・スペーサ22、及びソース/ドレイン領域24を含めて、半導体基板12上に形成することができる。FET10はまた、ソース/ドレイン領域24及び/又はゲート・コンタクト20の上に形成された1つ又は複数のコンタクト領域16を含むことができ、この上に、スタッド・コンタクト構造体を形成することができる。コンタクト領域16は、NiSi、CoSi、TiSi及び/又はWSiといったシリサイドを含むことができる。
【0019】
図2は、FET10の上に形成された誘電体材料層26の略図である。誘電体材料層26は、その中に形成された1つ又は複数のスタッド・コンタクト開口部28を含むことができる。図2に示されるように、スタッド・コンタクト開口部28は、シリサイド・コンタクト領域16の上面まで延びて、それを露出させることができる。スタッド・コンタクト開口部は、反応性イオン・エッチング(RIE)プロセス等の周知技術によって形成することができ、実質的に垂直な形状であるか、又は図2に示されるように多少のテーパを有する。スタッド・コンタクト開口部28は、例えば3よりも大きい、高アスペクト比(幅に対する深さの比)を有することができる。しかしながら、本発明は、この点に関して限定されるものではなく、それよりも高いアスペクト比又は低いアスペクト比の他のスタッド・コンタクト開口部に適用することができる。誘電体材料26は、多孔質でもよく、又は非多孔質でもよい。誘電体材料26のいくつかの例は、SiO、ドープ型又は非ドープ型のシリケート・ガラス、Si、C、O及びHの原子を含むCドープ酸化物(即ち、有機シリケート)、熱硬化性ポリアリーレンエーテル、又はそれらの多層、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、又はそれらの多層を含めた任意の組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。他の誘電体材料26を用いることができる。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、スタッド・コンタクト構造体を形成するこの段階において、シリサイド・コンタクト領域16の露出された表面並びにコンタクト開口部28内の壁表面は、その上に存在する可能性があるいずれかの表面酸化物又はエッチング残留物を除去することができる処理プロセスを受けることができる。本発明で用いることができる適切な処理プロセスは、例えば、Arスパッタリング及び/又は化学エッチャントとの接触を含む。本発明のこのステップの間に、コンタクト開口部28のある程度の無視できる拡幅が起こることがある。
【0021】
次に、図3に示されるように、「酸素ゲッタ」層30を、スタッド・コンタクト開口部28内部で、その露出された壁部分の上、並びにシリサイド・コンタクト領域16の露出された表面の上に形成することができる。酸素ゲッタ層30は、Ti、W、Ta、又は酸素に対して高い親和性を有する任意の他の材料の薄層とすることができ、一般的にはTiが好ましい。酸素ゲッタ層30は、例えば、物理的気相堆積(PVD)プロセスのようなスパッタリング・プロセスを適用することにより堆積することができる。化学気相堆積(CVD)プロセスのような他の堆積プロセスを用いてもよい。酸素ゲッタ層30の厚さは、用いられる堆積プロセス並びに用いられる材料に応じて変えることができる。典型的には、酸素ゲッタ層30は、約2nmから約40nmまでの厚さを有し、約5nmから約10nmまでの厚さがより典型的である。
【0022】
次に、図4に示されるように、拡散障壁層40を形成することができる。拡散障壁層40は、共形とすることができ、スタッド・コンタクト開口部28内部で酸素ゲッタ層30の表面上に形成することができる。拡散障壁層40は、化学気相堆積(CVD)プロセスによって堆積することができる。例えば、拡散障壁層40は、TDMAT(テトラキス−ジメチルアミドチタン)プロセス、又はTDEAT(テトラキス−ジエチルアミドチタン)プロセスを適用することによって形成することができる。
【0023】
拡散障壁層40は、典型的には、約2nmから約10nmまでの厚さを有することができ、約5nmから約8nmまでの厚さがより典型的である。拡散障壁層40の形成後に、堆積後フォーミングガス・プラズマ処理を随意的に続けることができる。拡散障壁層40は、酸素ゲッタ層30、及びまだ露出されている可能性があるその下のシリコン部分が、その後のWのCVD堆積の際の副生成物となることがある、Ti及びSiに対して腐食性のHFガスと反応するのを防ぐことができる。
【0024】
図5は、酸素ゲッタ層30及び拡散障壁層40の形成後、本発明の一実施形態によれば、Wスタッド・コンタクトが内部に充填される前に、TiN層50をスタッド・コンタクト開口部28内に形成することができることを示す。下記に詳細に説明されるような本発明の実施形態によるプロセスに従って形成されるTiN層50は、Wスタッド・コンタクトを形成するプロセスの間のベータWの生成を低減するか、排除するか、及び/又は防止することができ、従って、ベータWに関連する接触抵抗を著しく低減することができる。
【0025】
本発明の一実施形態によると、TiN層50は、ArとNとの混合気体の環境下で、スタッド・コンタクト開口部28上にTiを方向性反応性スパッタリングすることによって、拡散障壁層40の上に形成することができる。つまり、TiN層50は、PVD堆積されたTiN層とすることができ、従って、その時々に、PVD TiN層と呼ぶことができる。PVD堆積されたTiN層は、非共形とすることができ、一般的には、スタッド・コンタクト開口部28の側壁上において、底部におけるよりも薄い膜厚を有することができる。底部における膜厚もまた、スタッド・コンタクト開口部28上方のフィールド領域における膜厚よりも薄くすることができる。例えば、TiN材料を方向性スパッタリングして、スタッド・コンタクト開口部28の底部においては約10Åから約150Åまでの範囲の厚さを有し、側壁上では約5Åから約25Åまでの範囲の厚さを有するTiNの膜又は層を生成することができる。
【0026】
本発明の別の実施形態によれば、TiN層50は、最初にTiの層をスタッド・コンタクト開口部28上に方向性スパッタリングすることによって、拡散障壁層40の上に形成することができる。Tiの堆積後に、堆積されたTiを結果としてTiNに変換する堆積後処理プロセスを行うことができる。一実施形態によると、処理プロセスは、約5−10原子%のHと90−95原子%のNとの混合気体を用いるフォーミングガス・アニール・プロセスとすることができるが、本発明はこの点に関して限定されるものではなく、5原子%よりも少ないか又は10原子%よりも多いH(及び、対応する量のN)を用いても同様の結果を達成することができる。フォーミングガス・アニール・プロセスは、約500℃から約650℃までの温度で、約15分間から約1時間までの時間にわたって実行することができる。しかしながら、本発明はこの点に関して限定されるものではなく、500℃より低いか又は650℃よりも高い温度、及びもっと長い時間又は短い時間でも、おそらく用いることができる。さらに別の実施形態によると、処理プロセスは、堆積されたTiをTiNに変換するために、約5秒から約30秒までというさらに短い時間で実行される、H及びNのフォーミングガス環境下でのプラズマ処理とすることができる。堆積されたTiをTiNに変換する他の適切な方法も、同様に用いることができる。
【0027】
本発明の実施形態によると、スタッド・コンタクト開口部28内のPVD−TiN層50の存在は、Wスタッド・コンタクト形成における次のステップにおいて、WのCVD堆積プロセスの間のベータWの生成を低減及び/又は排除することができる。ベータWは高い抵抗を有することが知られており、デバイスの性能低下をもたらしかねないので、ベータWの低減及び/又は排除は、Wスタッド・コンタクトの性能を向上させることができる。さらに、PVD−TiN層50は、CVD−TiN40のようなCVD―TiNほど変化せず、これが、ライナ/障壁堆積とWのCVD堆積との間により長い待機時間ウィンドウ(queue time window)を可能にする。
【0028】
図6は、スタッド・コンタクト開口部28が、Ti/CVD−TiN/PVD−TiN層のスタックによってライニングされ(内側を覆い)、次にタングステン(W)が堆積されて、Wスタッド・コンタクト60を形成することを示す。Wの堆積は、例えば、CVDプロセス等の任意の周知プロセスによるものとすることができる。Wの堆積は、スタッド・コンタクト開口部28を過剰に充填して(overfill)タングステン層61を形成することができる。堆積は、2つ又はそれ以上のステップ、例えば、式1及び式2と共に上述されたような核生成ステップ及びバルク充填ステップとすることができる。
【0029】
図7は、本発明の一実施形態による、完成した中間工程スタッド・コンタクト構造体をもつ半導体構造体を示す。図6に示されるような堆積ステップの次に、スタッド・コンタクト開口部28の上方にありそれを覆う過剰なタングステン61は、例えば、化学機械的研磨(CMP)プロセスのようないずれかの従来の平坦化技術によって除去することができる。次いで、誘電体材料層26の上にあるTi/CVD−TiN/PVD−TiN(即ち、PVD−TiN層50、CVD−TiN層40、及びTi層30)のライナ・スタックも、例えば、同様にCMPプロセスを適用することにより、且つCMPプロセスにおいて異なる種類のスラリー(懸濁液)を適用することにより、除去することができる。異なるスラリーは、異なるライナの除去のために適切であり得る。図7はさらに、相互接続構造体の層70を、誘電体材料26の上及びスタッド・コンタクト60上に形成することができることを示す。相互接続構造体70は、層間誘電体材料71及び導電性トレンチ及び/又はビア72を含むことができる。層間誘電体材料71は、誘電体材料26と同じか又は異なる誘電体とすることができ、同じであることが好ましい。相互接続構造体70は、従来のプロセスに従って形成することができる。例えば、従来の、ラインの前にビアを形成する(via-before-line)プロセス又はビアの前にラインを形成する(line-before-via)プロセスを用いることができる。相互接続構造体70と誘電体材料層26との間に、誘電体キャッピング層(図示せず)を形成することができる。
【0030】
図8は、本発明の一実施形態に従って製造された、スタッド・コンタクト構造体に適したコンタクト膜のスタックから測定されたX線回折パターン、並びに、従来の方法で製造されたコンタクト膜のスタックから測定されたX線回折パターンの試験結果の実例図である。回折パターンは、CVD TiN上に直接堆積されたCVD W膜上のベータWの回折ピークの存在を明らかに示す。しかしながら、CVD W膜がPVD TiN上に堆積された場合、ベータWの明白なピークは検出されず、これは形成されたW膜内にベータWが存在しないことを示し、従って、潜在的な抵抗の低減を示している。
【0031】
本発明を、特に、その好ましい実施形態に関して示し、説明してきたが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく形態及び細部における前述の変更及び他の変更を行うことができることを理解するであろう。従って、本発明は、説明され示されたまさにその通りの形態及び細部に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。
【符号の説明】
【0032】
10:半導体デバイス
12:半導体基板
16:コンタクト領域
18:ゲート誘電体
20:ゲート導体
22:スペーサ
24:ソース/ドレイン領域
26:誘電体材料
28:コンタクト開口部
30:酸素ゲッタ層
40:拡散障壁層
50:TiN層
60:Wスタッド・コンタクト
70:相互接続構造体
71:層間誘電体材料
72:導電性トレンチ及び/又はビア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスと後工程の相互接続体とを接続する構造体であって、
誘電体材料層内の少なくとも1つのコンタクト開口部と、
前記コンタクト開口部に沿って形成された第1のライナであって、化学気相堆積(CVD)されたTiN膜でありCVD−TiN膜の性質を有する第1のライナと、
前記第1のライナの上に形成された第2のライナであって、物理的気相堆積(PVD)されたTiN膜でありPVD−TiN膜の性質を有する第2のライナと
を含む構造体。
【請求項2】
前記第2のライナは、前記コンタクト開口部の底部において10Åから150Åまでの範囲の厚さを有し、前記コンタクト開口部の側壁において5Åから25Åまでの範囲の厚さを有し、前記第1のライナの上に直接形成され、随意的に、前記第2のライナは、前記第1のライナ上に方向性スパッタリングされた、前記コンタクト開口部の底部において側壁におけるよりも厚い非共形TiN膜を含む、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記第2のライナは、Tiの層を前記第1のライナの上に堆積し、堆積後プロセスによって前記Tiの層を前記第2のライナに変換することによって形成され、a)前記第2のライナは、5−10原子%のHと90−95原子%のNとの気体混合物を用いた、500℃から650℃までの温度で15分間から1時間までにわたるフォーミングガス・アニールである前記堆積後プロセスによって形成されるか、又はb)前記第2のライナは、5秒間から30秒間までにわたる、H及びNのフォーミングガス・プラズマである前記堆積後プロセスによって形成されるかのいずれか一方である、請求項1又は請求項2に記載の構造体。
【請求項4】
前記第2のライナの上に充填されてコンタクト・スタッドを形成する、タングステン(W)材料のコンタクト・プラグをさらに含み、前記コンタクト・スタッドは、前記半導体デバイスの少なくとも1つのコンタクト領域と接触しており、随意的に、前記第1のライナと、前記コンタクト開口部を取り囲む前記誘電体材料層との間に形成されたTiライナをさらに含み、前記Tiライナは、20Åから400Åまでの厚さを有する、請求項1、請求項2又は請求項3のいずれかに記載の構造体。
【請求項5】
半導体デバイスと後工程の相互接続体との間の誘電体材料層内にコンタクト構造体を製造する方法であって、
前記誘電体材料層内に少なくとも1つのコンタクト開口部を形成するステップと、
化学気相堆積プロセスによって第1のTiN膜を形成するステップであって、前記第1のTiN膜は前記コンタクト開口部をライニングするステップと、
物理的気相堆積プロセスによって第2のTiN膜を形成するステップであって、前記第2のTiN膜は前記第1のTiN膜をライニングするステップと
を含む方法。
【請求項6】
前記第2のTiN膜を形成するステップは、TiNの層を前記第1のTiN膜上に方向性スパッタリングするステップを含み、前記TiNの層は、前記コンタクト開口部の底部において10Åから150Åまでの範囲の厚さを有し、側壁上では5Åから25Åまでの範囲の厚さを有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のTiN膜を形成するステップは、Tiの層を前記第1のTiN膜上に方向性スパッタリングするステップと、続いて、堆積後プロセスによって、前記Tiの層を前記第2のTiN膜に変換するステップとを含み、a)前記堆積後プロセスは、5−10原子%のHと90−95原子%のNとの気体混合物を用いた、500℃から650℃までの温度で15分間から1時間までにわたるフォーミングガス・アニール処理を含むか、又はb)前記堆積後プロセスは、5秒間から30秒間までにわたって実行される、H及びNのフォーミングガス・プラズマ・プロセスを含むかのいずれか一方である、請求項5又は請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のTiN膜を形成する前に、前記コンタクト開口部内にTiライナを堆積するステップをさらに含み、前記Tiライナは、20Åから400Åまでの範囲の厚さを有する、請求項5、請求項6又は請求項7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
導電性材料、好ましくはタングステン(W)で前記コンタクト開口部を充填して、コンタクト・スタッドを形成するステップをさらに含み、前記コンタクト・スタッドは、前記半導体デバイスの少なくとも1つのコンタクト領域と接触している、請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記半導体デバイスは、FETトランジスタ、バイポーラ・トランジスタ、ダイオード、キャパシタ、又はメモリ・デバイスを含む能動半導体デバイスである、請求項5乃至請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記後工程の相互接続体は、ビア及びトレンチを含み、前記ビアのうちの少なくとも1つは、前記コンタクト構造体と接触している、請求項5乃至請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
半導体構造体を製造する方法であって、
少なくとも1つの半導体デバイスを製造するステップと、
前記半導体デバイスの1つ又は複数のコンタクト領域と接続する、1つ又は複数のスタッド・コンタクト構造体を製造するステップと
を含み、
前記1つ又は複数のスタッド・コンタクト構造体を製造するステップは、
誘電体材料層内に1つ又は複数の開口部を形成するステップと、
化学気相堆積(CVD)プロセスを用いて、前記開口部の少なくとも1つの上に第1のTiNライナを形成するステップと、
物理的気相堆積(PVD)プロセスを用いて、前記第1のTiNライナの上に第2のTiNライナを形成するステップと、
前記第2のTiNライナの上で、前記少なくとも1つの開口部を導電性材料で充填するステップと
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−503224(P2010−503224A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527142(P2009−527142)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059330
【国際公開番号】WO2008/028940
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】