説明

半導体装置、設計装置、及びプログラム

【課題】リングゲート型MOSトランジスタ間の領域だけでなく、リング内の領域においてもディッシング現象の発生を抑止する。
【解決手段】半導体装置1は、基板10と、基板10上に形成されたリング形状のゲート電極21を有するトランジスタ20bと、ゲート電極21の外側に配置され、ゲート電極21と同層に設けられる複数の外部ダミーパターン40と、ゲート電極21の内側に配置され、ゲート電極21と同層に設けられる少なくとも1つの内部ダミーパターン41とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置、設計装置、及びプログラムに関し、特に、リングゲート型MOSトランジスタを用いる半導体装置、並びにその設計を行うための設計装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体装置では、製造工程における平坦化処理にCMP(chemical mechanical polishing)法が用いられる。CMP法は、研磨対象物を機械的に研磨する際、各種化学成分を含んだスラリーを流しながら行うことを特徴とする技術であり、化学成分が表面を変化させることによって、加工速度の向上や表面に残る微細な傷の低減といった効果が得られる。
【0003】
CMP法は、配線パターン上に堆積した絶縁膜の表面を平坦化する用途などにも用いられる。しかしながら、このような用途でCMP法を用いる場合、絶縁膜の下にある配線パターンに広く空いた領域(オープンエリア)があると、その部分の絶縁膜が皿(ディッシュ)状にえぐられてしまうという、いわゆるディッシング現象が発生することがある。ディッシング現象の発生を防ぐためには、配線パターンの周りにダミーパターンを設けてオープンエリアを縮小することが有効である。特許文献1には、ダミーパターンの例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−107028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本発明の発明者は、大きなゲート幅を得るため、リング形状のゲート電極を有するMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ(リングゲート型MOSトランジスタ)を半導体装置に使用することを検討している。
【0006】
リングゲート型MOSトランジスタの作製は、概ね次のような製造工程により行える。すなわち、まず初めに、半導体基板上にゲート絶縁膜及びゲート電極を形成し、リング形状にパターニングする。次に、ゲート電極の側面及び上面に絶縁膜(サイドウォール及びゲートギャップ)を形成し、さらに、不純物拡散領域を構成するための不純物を、リングの内側と外側の半導体基板内に注入する。通常、リングの内側がドレイン領域、外側がソース領域となる。そして、全体を層間絶縁膜で覆い、ゲートギャップが露出する程度までCMP法による研磨を行う。その後、層間絶縁膜とゲートギャップに適宜コンタクトホールを設け、その中に、ゲート電極、ドレイン、及びソースを上層配線へ接続するためのコンタクト導体を形成する。
【0007】
リングゲート型MOSトランジスタを半導体装置に使用する場合、1枚の半導体基板上に多数を配置することになる。必然的に、1つの工程で同時に多数のリングゲート型MOSトランジスタを作製することになるが、必ずしも密にリングゲート型MOSトランジスタを配置するわけではないため、リングゲート型MOSトランジスタ間に上述したオープンエリアが存在する場合がある。このようなオープンエリアは、CMP工程において上述したディッシング現象が発生する原因となるため、ゲート電極のパターニングの際、必要に応じてリングゲート型MOSトランジスタの間の領域にダミーパターンを形成することになる。
【0008】
しかしながら、回路によっては、リングの直径が非常に大きいリングゲート型MOSトランジスタが必要とされる場合がある。そのようなリングゲート型MOSトランジスタではリング内の領域が大きな面積を有することから、作製の際のCMP工程において、リング内の領域においてもディッシング現象が発生してしまうことがある。
【0009】
具体的な例を挙げると、DRAMの入力初段回路や温度検知回路では、PVT(プロセス(Process)、電圧(Voltage)、温度(Temperature))の影響を低減するために、リングゲート型MOSトランジスタのゲート長を大きく取る必要がある。ゲート長が大きくなると、その分電流供給能力が低下するので、低下分を補うためにゲート幅をより一層大きくする必要が生ずる。つまり、リングの直径が非常に大きくなる。
【0010】
このように、リングゲート型MOSトランジスタ間の領域だけでなく、リング内の領域においてもディッシング現象が発生する場合があり、その発生を抑止できる技術の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による半導体装置は、基板と、前記基板上に形成されたリング形状のゲート電極を有するトランジスタと、前記ゲート電極の外側に配置され、前記ゲート電極と同層に設けられる複数の外部ダミーパターンと、前記ゲート電極の内側に配置され、前記ゲート電極と同層に設けられる少なくとも1つの内部ダミーパターンとを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の他の一側面による半導体装置は、比較対象電圧とリファレンス電圧とを比較し、その結果に応じた電圧を有する比較結果信号を出力する比較回路を備え、前記比較回路は、電源配線とグランド配線との間に並列接続された第1及び第2のトランジスタと、前記第1のトランジスタと前記電源配線との間に接続された第3のトランジスタと、前記第2のトランジスタと前記電源配線との間に接続された第4のトランジスタとを有し、前記第3のトランジスタのゲート、前記第4のトランジスタのゲート、並びに前記第1のトランジスタ及び前記第3のトランジスタの接続点は、互いに接続され、前記リファレンス電圧は前記第1及び第2のトランジスタの一方のゲートに入力され、前記比較対象電圧は前記第1及び第2のトランジスタの他方のゲートに入力され、前記比較結果信号は前記第2のトランジスタと前記第4のトランジスタの接続点から取り出され、前記第1乃至第4のトランジスタはそれぞれリング形状の第1乃至第4のゲート電極を有し、前記半導体装置は、前記第1乃至第4のゲート電極の外側に配置される複数の外部ダミーパターンと、前記第1乃至第4のゲート電極それぞれの内側に配置される第1乃至第4の内部ダミーパターンとをさらに備え、前記第1乃至第4のゲート電極、前記複数の外部ダミーパターン、及び前記第1乃至第4の内部ダミーパターンは、互いに同層に設けられることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のさらに他の一側面による半導体装置は、基板と、前記基板上に形成されたリング形状のゲート電極、前記ゲート電極と前記基板との間に形成されたゲート絶縁膜、前記基板表面のうち前記ゲート電極の外側に対応する領域に設けられた第1の拡散領域、及び前記基板表面のうち前記ゲート電極の内側に対応する領域に設けられた第2の拡散領域をそれぞれ有する第1乃至第5のトランジスタと、それぞれ前記第1乃至第5のトランジスタの前記ゲート電極の内側に配置され、対応する前記ゲート電極と同層に設けられる第1乃至第5の内部ダミーパターンと、前記基板表面のうち、それぞれ前記第1及び第2のトランジスタの前記ゲート電極の内側に対応する領域に埋設された第1及び第2の素子分離領域と、基板電位を供給する基板電位配線と、前記基板電位配線と前記基板とを接続するコンタクト導体とを備え、前記第1の内部ダミーパターンは前記第1の素子分離領域上に形成され、前記第2の素子分離領域は開口部を有し、前記コンタクト導体は、前記開口部を介して、前記基板電位配線と前記基板とを接続し、前記第3のトランジスタの前記ゲート電極の内側に対応する領域には素子分離領域は形成されておらず、前記第4の内部パターンは複数設けられ、前記第5の内部ダミーパターンはリング形状であることを特徴とする。
【0014】
本発明による半導体装置の設計装置は、リングゲート型トランジスタのゲート電極の内側に配置する内部ダミーパターンの構成パターンを複数記憶する記憶手段と、リングゲート型トランジスタのリング内面積を示す面積情報を取得する面積情報取得手段と、前記面積情報取得手段により取得された前記面積情報に応じて、前記記憶手段に記憶される複数の構成パターンの中から1つを選択して出力する選択手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明によるプログラムは、リングゲート型トランジスタのゲート電極の内側に配置する内部ダミーパターンの構成パターンを複数記憶する記憶手段を備えるコンピュータを、リングゲート型トランジスタのリング内面積を示す面積情報を取得する面積情報取得手段、及び前記面積情報取得手段により取得された前記面積情報に応じて、前記記憶手段に記憶される複数の構成パターンの中から1つを選択して出力する選択手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ゲート電極の内側に内部ダミーパターンを配置したので、リングゲート型MOSトランジスタ間の領域だけでなく、リング内の領域においてもディッシング現象の発生を抑止できる。その結果、特にリソグラフィ技術における焦点深度のバラつきが抑えられ、微細化に対応した半導体装置の製造が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態による半導体装置の平面レイアウトの一部分を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態による第2の構成パターンを採用するMOSトランジスタの平面構造を示す図である。
【図3】図2のA−A’線断面に対応する半導体装置の断面を示す斜視片側断面図である。
【図4】(a)は、図2のA−A’線断面に対応する半導体装置の断面図である。(b)は、(a)と同様の断面図であるが、比較例として内部ダミーパターンを設けない例を示している。
【図5】本発明の実施の形態による半導体装置に含まれる回路の一部を示す回路図である。
【図6】本発明の実施の形態による入力初段回路及び比較回路の内部回路を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態による第3の構成パターンを採用するMOSトランジスタの平面構造を示す図である。
【図8】図7のB−B’線断面に対応する半導体装置の断面を示す斜視片側断面図である。
【図9】本発明の実施の形態による第4の構成パターンを採用するMOSトランジスタの平面構造を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態による第5の構成パターンを採用するMOSトランジスタの平面構造を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態による第6の構成パターンを採用するMOSトランジスタの平面構造を示す図である。
【図12】(a)は、本発明の実施の形態による半導体装置の設計を行う設計装置として機能するコンピュータのシステム構成を示す図である。(b)は、本発明の実施の形態による設計装置の機能ブロックを示すブロック図である。
【図13】本発明の実施の形態による設計装置の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態による半導体装置1の平面レイアウトの一部分を示す図である。半導体装置1は、例えばDRAM、SRAM(Static Random Access Memory)、FLASHメモリ(FLASH memory)、PCRAM(Phase Change Random Access Memory)などの半導体記憶装置である。なお、半導体記憶装置だけでなくCPU等の半導体装置にも勿論適用可能である。図1に示すように、半導体装置1では、用途に応じた種々の回路要素が半導体基板10上に形成されており、その中には上述したリングゲート型MOSトランジスタが含まれる。
【0020】
図1には、リングゲート型MOSトランジスタの例として、互いにサイズの異なるトランジスタ20a,20b,20dの3種類が示されている。半導体装置1の平面レイアウトの全体を示すことは紙面の都合上できないので図1には現れていないが、実際には、この他にも種々のリングゲート型MOSトランジスタが形成される。
【0021】
具体的には、半導体装置1に備えられるリングゲート型MOSトランジスタは、ゲート電極の内側に形成される内部ダミーパターンの構成パターンにより、大きく分けて6つ(第1〜第6の構成パターン)に分類される。このうち第1の構成パターンは、内部ダミーパターンを有しない通常のリングゲート型MOSトランジスタであり、図1に示したトランジスタ20aがその例である。内部ダミーパターンを有しないのは、リングゲートの内部面積が小さく、内部ダミーパターンを配置するL/S(ラインアンドスペース)を満たさない事に起因する。第2〜第6の構成パターンは、いずれも内部ダミーパターンを有するリングゲート型MOSトランジスタであり、図1に示したトランジスタ20b,20dはそれぞれ、第2及び第4の構成パターンに相当する。
【0022】
以下では、第2〜第6の構成パターンのうち、まず第2の構成パターンを採用するリングゲート型MOSトランジスタを取り上げ、その構造及び用途について詳しく説明する。その後、他の構成パターンを採用するリングゲート型MOSトランジスタについても、第1の構成パターンとの差異を中心に、順次説明する。
【0023】
図2は、第2の構成パターンを採用するMOSトランジスタ20bの平面構造を示す図である。また、図3は、図2のA−A’線断面に対応する半導体装置1の断面を示す斜視片側断面図である。ただし、図3では、後述するコンタクト導体52,53及び外部ダミーパターン40の記載は省略している。また、図2及び図3ともに、MOSトランジスタ20bの全体を覆う層間絶縁膜の記載を省略している。
【0024】
半導体装置1は、外部から受け付けた信号の電圧値とリファレンス電圧とを比較し、その結果に基づいて内部信号を生成する入力初段回路や、半導体装置1の温度を検知して出力するための温度検知回路を備えており、MOSトランジスタ20bは、これらの回路を構成する複数のリングゲート型MOSトランジスタの1つとして好適に使用される。入力初段回路及び温度検知回路の詳細については後述する。
【0025】
図3に示すように、MOSトランジスタ20bは、半導体基板10の表面に形成される。半導体基板10には、P型不純物が注入されたシリコンからなるP型のシリコン基板を用いる。なお、本発明においてP型のシリコン基板という場合、シリコン基板表面に設けたP型の拡散領域(Pwell)を含む。
【0026】
MOSトランジスタ20bは、図2及び図3に示すように、リング形状のゲート電極21と、基板10表面のうちゲート電極21の外側に対応する領域(以下、「リング外領域」という。)に設けられた第1の拡散領域22と、基板10表面のうちゲート電極の内側に対応する領域(以下、「リング内領域」という。)に設けられた第2の拡散領域23と、ゲート電極21と基板10との間に形成されたゲート絶縁膜24とを有する。
【0027】
MOSトランジスタ20bは、基板10表面に埋設された素子分離領域30によって区画される活性領域K(図3)の内部に設けられる。素子分離領域30の形成は、基板10の表面にトレンチを形成し、その内部に絶縁膜を埋め込むことによって行う。
【0028】
MOSトランジスタ20bでは、リング内領域にも素子分離領域が形成される(素子分離領域31)。素子分離領域31は、ゲート電極21との間に、第2の拡散領域23を形成するために必要な距離を空けて形成される。具体的には、図1に示すように、リング内領域のちょうど真ん中に、リング内領域の面積の数分の一程度の面積の素子分離領域31を形成することが好適である。また、素子分離領域31の形成は、素子分離領域30の形成と同時に行うことが好適である。
【0029】
ゲート電極21は、ポリシリコン、メタル、又はシリサイド、或いはこれらの積層膜からなる導体膜であり、ゲート絶縁膜24を介して基板10上に立設される。ゲート電極21の平面形状は、図2に示すように角のある四角形であってもよいし、角丸四角形や円形など他の形状であってもよい。図示していないが、ゲート電極21の上面にはキャップ絶縁膜が、側面にはサイドウォール絶縁膜がそれぞれ形成される。ゲート電極21は、その一部分において、基板10表面に形成された配線パターン51(図1)と接続しており、この配線パターン51により他の回路要素と接続されている。
【0030】
ゲート電極21を形成する際には、基板10の表面に、ゲート絶縁膜24となる酸化シリコン、ゲート電極21の構成材料(上述)、及びキャップ絶縁膜となる窒化シリコンを順次堆積する。そして、これらをパターニングすることにより、所定の平面形状を有するゲート電極21を形成する。その後さらに、窒化シリコンを薄く堆積してエッチバックを行うことにより、ゲート電極21の側面にサイドウォール絶縁膜を形成する。
【0031】
第1及び第2の拡散領域22,23は、基板10の表面にN型の不純物を注入することにより形成されるN型不純物拡散領域である。つまり、MOSトランジスタ20bはNチャンネル型のMOSトランジスタである。第1及び第2の拡散領域22,23は、それぞれ上面にコンタクト導体52,53(図2)が形成されており、これらによって上層の図示しない配線パターンと接続される。
【0032】
第1及び第2の拡散領域22,23は、ゲート電極21の側面にサイドウォール絶縁膜を形成した後、ゲート電極21の外側及び内側に対応する領域にN型の不純物を注入することにより形成する。また、コンタクト導体52,53は、次に説明する層間絶縁膜の形成後、該層間絶縁膜にコンタクトホールを空け、その内部に導電性材料を埋め込むことによって形成する。
【0033】
MOSトランジスタ20bは、基板10の表面全体を覆う図示しない層間絶縁膜によって、全体的に覆われる。この層間絶縁膜の形成は、第1及び第2の拡散領域22,23の形成が終わった後、基板10の表面に酸化シリコンなどの絶縁膜を堆積し、その表面をCMP法により平坦化することによって行う。半導体装置1は、このとき発生し得るディッシング現象を抑止するためのダミーパターンを備えている。以下、ダミーパターンについて詳しく説明する。
【0034】
図1に示すように、半導体装置1には、リング外領域に配置される複数の外部ダミーパターン40と、リング内領域に配置される複数の内部ダミーパターン41とが備えられる。個々のMOSトランジスタ20bに着目すると、内部ダミーパターン41の数は1つである。
【0035】
外部ダミーパターン40は、リング外領域におけるディッシング現象の発生を抑止するために設けられる。一方、内部ダミーパターン41は、リング内領域におけるディッシング現象の発生を抑止するために設けられる。ダミーパターン40,41はともに、ゲート電極21と同時に形成される。つまり、ゲート電極21を形成する際、ダミーパターン40,41に相当する領域にも同様にゲート電極21を形成し、ダミーパターン40,41とする。したがって、ダミーパターン40,41は、図3に示すように、ゲート電極21と同様の構造を有し、同層に形成されている。
【0036】
ダミーパターン40,41はそれぞれ、素子分離領域30,31の上面に形成される。MOSトランジスタ20bでは、内部ダミーパターン41は、図1及び図2に示すように、素子分離領域30の中央に1つだけ設けられる。一方、外部ダミーパターン40は、図2に示すように、MOSトランジスタ20bの周囲に多数設けられる。実際には、外部ダミーパターン40は特定のトランジスタの周囲に設けられるわけではなく、図1に示したように、基板10表面のオープンエリアを埋めるように形成される。
【0037】
以上のようなダミーパターン40,41を設けたことにより、半導体装置1では、MOSトランジスタ20bのリング外領域(他の回路要素との間の領域)だけでなく、MOSトランジスタ20bのリング内領域においても、ディッシング現象の発生が抑止される。
【0038】
図4は、リング内領域におけるディッシング現象発生の抑止効果を説明するための説明図である。図4(a)は、図2のA−A’線断面に対応する半導体装置1の断面図である。図4(b)は、図4(a)と同様の断面図であるが、比較例として内部ダミーパターン41を設けない例を示している。両図とも、素子分離領域30及び外部ダミーパターン40の記載は省略している。また、上述した層間絶縁膜について、CMP法による平坦化を行う前(層間絶縁膜60a)と、CMP法による平坦化を行った後(層間絶縁膜60b)とを示している。
【0039】
図4(b)に示すように、内部ダミーパターン41を設けない場合、リング内領域では、層間絶縁膜60bの上面が他の領域に比べて低下している。これは、ディッシング現象によるものである。つまり、比較例では、リング内領域に広大なオープンエリアが存在しており、そのために大きなディッシング現象が発生してしまっている。
【0040】
一方、図4(a)に示すように、MOSトランジスタ20bでは、内部ダミーパターン41を設けたことによってリング内領域のオープンエリアが縮小しており、これにより、層間絶縁膜60bの上面低下が抑制されている。つまり、リング内領域において、ディッシング現象の発生が抑止されている。
【0041】
なお、MOSトランジスタ20bでは、リング内領域におけるディッシング現象発生の抑止効果の他に、リング内領域で発生する寄生容量の抑止効果も得られる。これは、素子分離領域31を形成したことで、第2の拡散領域23の面積が小さめに抑えられていることによるものである。
【0042】
次に、MOSトランジスタ20bを含む具体的な回路について、上述した入力初段回路及び温度検知回路の例を取り上げて、詳細に説明する。
【0043】
図5は、半導体装置1に含まれる回路の一部を示す回路図である。同図に示すように、半導体装置1は、入力初段回路70,71、温度検知回路72、VREF端子75、CA(Command/Address)端子76、DQ(Data Queue)端子77、TEMP端子78を備えている。
【0044】
VREF端子75は、定電圧であるリファレンス電圧の入力を受け付ける端子である。CA端子76は、メモリセルを特定するアドレス信号及び半導体装置1の制御内容を示すコマンド信号の入力を受け付ける端子である。以下では、アドレス信号とコマンド信号を総称して、CA信号という。DQ端子77は、メモリセルに記憶されるデータを示すデータ信号(DQ信号)を入出力する端子である。TEMP端子78は、半導体装置1の温度を示す温度情報を出力する端子である。いずれの端子にも、ESD(Electrostatic Discharge)対策のためのESD対策回路79が備えられている。
【0045】
入力初段回路70は、CA信号の電圧(CA信号として入力された電圧)を比較対象電圧とし、VREF端子75に入力されるリファレンス電圧と比較する回路である。具体的には、CA信号の電圧がリファレンス電圧より高いか否かのH/L判定を行う。そして、その結果に応じた電圧(H判定なら高電圧、L判定なら低電圧)を有する内部CA信号(比較結果信号)を生成し、図示しない内部回路に出力する。
【0046】
入力初段回路71は、DQ信号の電圧(DQ信号として入力された電圧)を比較対象電圧とし、VREF端子75に入力されるリファレンス電圧と比較する回路である。具体的には、DQ信号の電圧がリファレンス電圧より高いか否かのH/L判定を行う。そして、その結果に応じた電圧(H判定なら高電圧、L判定なら低電圧)を有する内部DQ信号(比較結果信号)を生成し、図示しない内部回路に出力する。
【0047】
温度検知回路72は、温度依存性を持つよう構成された第1の素子80と、温度依存性を持たないよう構成された第2の素子81と、比較回路82とを有する。第1の素子80は、例えば抵抗又はダイオードである。一方、第2の素子81は、例えば抵抗とダイオードを直列接続してなる複合素子である。第1及び第2の素子80,81は、図5に示すように、それぞれ電源配線とグランド配線の間に接続されるが、電源配線と各素子の間にはそれぞれPチャンネル型MOSトランジスタが設けられる。これらのPチャンネル型MOSスイッチトランジスタは、図示しない制御回路から制御信号(半導体装置1の動作を活性化するための信号)を受け付けており、この制御信号が活性化されているときだけ、オンするよう構成されている。したがって、第1及び第2の素子80,81は、上記制御信号が活性化されている場合に限り電源配線と接続され、その電源配線側端部には、それぞれの抵抗値に応じた電圧が現れる。
【0048】
比較回路82は、こうして第1及び第2の素子80,81の電源配線側端部に現れる電圧を比較する。具体的には、第1の素子80の電源配線側端部に現れる電圧を比較対象電圧、第2の素子81の電源配線側端部に現れる電圧をリファレンス電圧とし、比較対象電圧がリファレンス電圧より高いか否かのH/L判定を行う。そして、その結果に応じた電圧(H判定なら高電圧、L判定なら低電圧)を有する内部TEMP信号(比較結果信号)を生成し、TEMP端子78から出力するとともに、図示しない内部回路にも出力する。
【0049】
MOSトランジスタ20bは、以上のような入力初段回路70,71、及び比較回路82において好適に用いられる。以下、詳しく説明する。
【0050】
図6は、入力初段回路70,71、及び比較回路82の内部回路を示す図である。同図において、電圧VIN1はリファレンス電圧であり、電圧VIN2は比較対象電圧である。また、信号OUTは比較結果信号であり、電圧BIASは回路のバイアス電圧である。
【0051】
図6に示すように、入力初段回路70,71、及び比較回路82はそれぞれ、電源配線とグランド配線との間に並列接続されたNチャンネル型MOSトランジスタ90,91(第1及び第2のトランジスタ)と、トランジスタ90と電源配線との間に接続されたPチャンネル型MOSトランジスタ92(第3のトランジスタ)と、トランジスタ91と電源配線との間に接続されたPチャンネル型MOSトランジスタ94(第4のトランジスタ)とを有する。また、トランジスタ90,91とグランド配線との間には、Nチャンネル型MOSトランジスタ95が共通に接続される。
【0052】
電圧VIN1,電圧VIN2はそれぞれ、トランジスタ90,91のゲートに入力される。信号OUTは、トランジスタ91とトランジスタ93の接続点から取り出される。電圧BIASは、トランジスタ95のゲートに入力される。また、トランジスタ92のゲート、トランジスタ93のゲート、並びにトランジスタ90及びトランジスタ92の接続点は、互いに接続される。つまり、トランジスタ92,93はカレントミラー接続されている。
【0053】
以上の構成により、信号OUTは、上述したように、比較結果に応じた電圧を有する比較結果信号となる。
【0054】
以上のような構成を有する入力初段回路70,71、及び比較回路82では、精度よく比較結果を得るために、回路の対称性が極めて重要となる。回路の対称性を確保するためには各トランジスタの特性を揃えることが重要となるが、トランジスタの特性はPVT(プロセス(Process)、電圧(Voltage)、温度(Temperature))によって大きく影響される。この影響は、トランジスタのゲート長Lが大きいほど軽減されるので、トランジスタ90〜95には、できるだけゲート長Lの大きいトランジスタを用いることが好ましい。
【0055】
一方で、トランジスタの電流供給能力は、ゲート長Lが大きいほど低下する。そこで、トランジスタ90〜95には、ゲート長Lの伸長に伴う電流供給能力の低下分を補うために、ゲート幅Wが特に大きいトランジスタを用いることが望まれる。リングゲート型MOSトランジスタは、そもそも大きなゲート幅Wを得ることのできるトランジスタであるが、通常は、ゲート電極の直径を大きくしてさらに大きなゲート幅Wを得られるようにしている。そのため、リング内領域に大きなオープンエリアができることとなり、これまでは上述したディッシング現象が発生していたが、トランジスタ90,91,94としてMOSトランジスタ20bを用い、トランジスタ92,93としてMOSトランジスタ20bと同様の構造及び内部ダミーパターン40を有するPチャンネル型MOSトランジスタを用いることで、このようなディッシング現象の発生が抑止される。
【0056】
なお、上記の例では、トランジスタ90〜95のすべてにMOSトランジスタ20bを用いることを前提として説明したが、必ずしもすべてにMOSトランジスタ20bを用いなくともよい。例えば、回路にとって重要なのはリファレンス電圧と比較対象電圧の間での対称性であるから、両者に共通であるトランジスタ95には、必ずしもMOSトランジスタ20bを用いなくともよい。また、トランジスタ90とトランジスタ91、トランジスタ92とトランジスタ93の間でそれぞれ対称性が保たれればよいので、トランジスタ90,91とトランジスタ92,93とでは、異なる構造のMOSトランジスタを用いてもよい。一例を挙げると、トランジスタ90,91としてはMOSトランジスタ20bを用い、トランジスタ92,93としては、後述するMOSトランジスタ20cと同様の構造及び内部ダミーパターン40を有するPチャンネル型MOSトランジスタを用いてもよい。
【0057】
以下、第3〜第6の構成パターンを採用するリングゲート型MOSトランジスタについて、順次説明する。以下で説明する各MOSトランジスタはいずれもNチャンネル型MOSトランジスタであり、その基本構造は、いずれも上述したMOSトランジスタ20bの構造と同じである。MOSトランジスタ20bとの主な相違点は、内部ダミーパターン41の構成パターンの違いにある。
【0058】
まず、図7は、第3の構成パターンを採用するMOSトランジスタ20cの平面構造を示す図である。また、図8は、図7のB−B’線断面に対応する半導体装置1の断面を示す斜視片側断面図である。ただし、図8では、図3と同様、コンタクト導体52,53及び外部ダミーパターン40の記載は省略している。また、図7及び図8ともに、図2及び図3と同様、MOSトランジスタ20cの全体を覆う層間絶縁膜の記載を省略している。
【0059】
図7及び図8に示すように、MOSトランジスタ20cは、素子分離領域31が設けられていない点で、MOSトランジスタ20bと相違する。素子分離領域31が設けられていないため、内部ダミーパターン41は、図8に示すように、基板10の表面上に直接設けられている。
【0060】
MOSトランジスタ20cでは、素子分離領域31が存在しない分、MOSトランジスタ20bに比べて第2の拡散領域23を広く取ることが可能になる。したがって、MOSトランジスタ20cは、リング内領域の面積が比較的狭い場合に適している。
【0061】
次に、図9は、第4の構成パターンを採用するMOSトランジスタ20dの平面構造を示す図である。
【0062】
図9に示すように、MOSトランジスタ20dは、素子分離領域31上に複数の内部ダミーパターン41が形成されている点で、MOSトランジスタ20aと相違する。なお、図9では4つの内部ダミーパターン41が配置されているが、内部ダミーパターン41の数は4つに限られるものではなく、リング内領域の面積などに応じて適宜決定される。MOSトランジスタ20dは、リング内領域の面積が特に広い場合に適している。
【0063】
次に、図10は、第5の構成パターンを採用するMOSトランジスタ20eの平面構造を示す図である。
【0064】
図10に示すように、MOSトランジスタ20eは、内部ダミーパターン41及び外部ダミーパターン40の形状が粒状ではなくリング形状(リングが一部切れている形状を含む)となっている点で、MOSトランジスタ20bと相違する。このように、内部ダミーパターン41及び外部ダミーパターン40の形状は、種々の形状を取り得る。MOSトランジスタ20eも、リング内領域の面積が特に広い場合に適している。
【0065】
次に、図11は、第6の構成パターンを採用するMOSトランジスタ20fの平面構造を示す図である。
【0066】
図11に示すように、MOSトランジスタ20fは、複数の内部ダミーパターン41が形成されている点でMOSトランジスタ20cと共通するが、素子分離領域31が筒状である点で、MOSトランジスタ20cと相違する。素子分離領域31の内側領域31aでは、基板10の表面(P型拡散領域の表面)が露出している。MOSトランジスタ20fでは、この露出部分にコンタクト導体54を形成し、基板10表面と上層の図示しないグランド配線とを接続している。このような構成を採用することで、MOSトランジスタ20fでは、基板電位の供給を十分に行える。したがって、安定した動作を得ることが可能になっている。
【0067】
以上、リングゲート型MOSトランジスタの第1〜第6の構成パターンについて説明したが、半導体装置1に備えられる多数のリングゲート型MOSトランジスタそれぞれについてこれらの構成パターンのうちいずれを採用するか、という点については、半導体装置1の設計時に決定される。以下、この設計を行うための設計装置及びプログラムについて、説明する。
【0068】
図12(a)は、半導体装置1の設計を行う設計装置として機能するコンピュータ100のシステム構成を示す図である。同図に示すように、コンピュータ100は、CPU100、記憶装置102、入力装置103、及び出力装置104を備え、これらがバス105で相互に接続された構成を有している。
【0069】
CPU101は、コンピュータ100の各部を制御するとともに、記憶装置102に記憶されるプログラム及びデータに従って各種の処理を行う機能を有する。記憶装置102は、キャッシュメモリやDRAMなどから構成される主記憶装置と、ハードディスクなどによって構成される補助記憶装置とを含んでおり、コンピュータ100を半導体装置1の設計装置として機能させるためのプログラム及びデータを記憶している。入力装置103は、キーボードやマウスなどのヒューマンマシンインターフェイスにかかる入力装置の他、紙面情報を読み取るスキャナや、ネットワーク経由で他のコンピュータからの信号を受け付ける機能を含む。出力装置104は、ディスプレイなどのヒューマンマシンインターフェイスにかかる出力装置の他、プリンタや、ネットワーク経由で他のコンピュータに対して信号を送信する機能を含む。
【0070】
図12(b)は、コンピュータ100によって実現される設計装置110の機能ブロックを示すブロック図である。同図に示すように、設計装置110は機能的に、記憶部111(記憶手段)、面積算出部112(面積取得手段)、選択部113(選択手段)、書込部114を有する。
【0071】
記憶部111は、内部ダミーパターン41を考慮しないで作成された半導体装置1の平面レイアウト図を予め記憶する。また、記憶部111は、リング内領域の面積(リング内面積)Sと上述した構成パターンの対応テーブルも予め記憶する。次の表1は、対応テーブルの一例を示している。この例では、リング内面積Sのしきい値としてA,B2つの値(A<B)を用い、リング内面積Sとこれらのしきい値A,Bの大小関係と、第1〜第3の構成パターンとが対応付けて記憶される。
【0072】
【表1】

【0073】
図13は、設計装置110の動作を説明するフローチャートである。このフローチャートは、上述した表1を前提としたものである。以下、このフローチャートも参照しながら、設計装置110の他の機能ブロックについて説明する。
【0074】
まず初めに、面積算出部112は、リング内面積を示す面積情報を取得する。具体的には、記憶部111に記憶される平面レイアウト図を読み出し、画像認識処理を行って、リング形状のゲート電極21を抽出する(ステップS1)。そして、抽出結果に基づいて、ゲート電極21ごとに、リング内面積Sを算出する。
【0075】
次に、選択部113は、算出されたリング内面積Sを記憶部111に記憶されるしきい値A,Bと比較する(ステップS2〜S4)。そして、表1に従って構成パターンを選択する。
【0076】
書込部114は、選択部113が選択した構成パターンに従って、内部ダミーパターン41を発生させる。具体的には、リング内面積Sがしきい値A未満である場合には、第1の構成パターンに従い、内部ダミーパターン41を発生させない(ステップS5)。リング内面積Sがしきい値A以上しきい値B未満である場合には、第3の構成パターンに従い、リング内領域に素子分離領域31を形成することなく内部ダミーパターン41を発生させ、平面レイアウト図に書き込む(ステップS6)。リング内面積Sがしきい値B以上である場合には、第2の構成パターンに従い、リング内領域に素子分離領域31を発生させた上で内部ダミーパターン41を発生させ、平面レイアウト図に書き込む(ステップS7,S8)。
【0077】
以上説明したように、設計装置110によれば、第1〜第3の構成パターンに従う内部ダミーパターン41を有する半導体装置1を自動設計することが可能になる。
【0078】
なお、ここでは第1〜第3の構成パターンのみを取り上げて説明したが、他の構成パターンについても、同様に設計装置による自動設計を行うことが可能である。
【0079】
また、内部ダミーパターン41の数、大きさ、位置、及び形状、並びに素子分離領域31の大きさ、位置、及び形状について、例えばリング内面積Sの具体的な値とこれらとを対応付けて記憶部111に記憶しておくこととしてもよい。こうすれば、書込部114に発生させる内部ダミーパターン41の数、大きさ、位置、及び形状、並びに素子分離領域31の大きさ、位置、及び形状を、リング内面積Sの具体的な値に応じて変化させることが可能になる。
【0080】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0081】
例えば、上記実施の形態では半導体記憶装置に本発明を適用した例を取り上げて説明したが、本発明は、ディッシング現象が問題となる程度に大きなリング内面積を有するトランジスタであれば、好適に適用可能である。
【0082】
また、上記実施の形態ではNチャンネル型MOSトランジスタに本発明を適用した例を説明したが、本発明は、Nチャンネル型MOSトランジスタだけでなく、Pチャンネル型MOSトランジスタにも適用できる。また、その他にも、例えばMIS(metal-insulator-semiconductor)トランジスタなど、電界効果トランジスタ一般に広く適用可能である。
【0083】
また、上記実施の形態では、素子分離領域31を設ける場合の内部ダミーパターン41を、素子分離領域31と第2の拡散領域23の境界線から一定距離離して形成したが、内部ダミーパターン41は、この境界線をまたぐように形成されてもよい。つまり、第2の拡散領域23は、垂直方向から見て内部ダミーパターン41と重なる領域に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 半導体装置
10 半導体基板
20a〜20f MOSトランジスタ
21 ゲート電極
22 第1の拡散領域
23 第2の拡散領域
24 ゲート絶縁膜
30,31 素子分離領域
31a 筒状の素子分離領域の内側領域
40 外部ダミーパターン
41 内部ダミーパターン
51 配線パターン
52〜54 コンタクト導体
60a,60b 層間絶縁膜
70,71 入力初段回路
72 温度検知回路
75 VREF端子
76 CA端子
77 DQ端子
78 TEMP端子
79 ESD対策回路
80 第1の素子
81 第2の素子
82 比較回路
90〜95 MOSトランジスタ
100 コンピュータ
101 CPU
102 記憶装置
103 入力装置
104 出力装置
105 バス
110 設計装置
111 記憶部
112 面積算出部
113 選択部
114 書込部
K 活性領域
VIN1 リファレンス電圧
VIN2 比較対象電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成されたリング形状のゲート電極を有するトランジスタと、
前記ゲート電極の外側に配置され、前記ゲート電極と同層に設けられる複数の外部ダミーパターンと、
前記ゲート電極の内側に配置され、前記ゲート電極と同層に設けられる少なくとも1つの内部ダミーパターンとを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記トランジスタは、
前記基板表面のうち前記ゲート電極の外側に対応する領域に設けられた第1の拡散領域と、
前記基板表面のうち前記ゲート電極の内側に対応する領域に設けられた第2の拡散領域と、
前記ゲート電極と前記基板との間に形成されたゲート絶縁膜と
を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記基板表面のうち前記ゲート電極の内側に対応する領域に埋設された素子分離領域をさらに備え、
前記内部ダミーパターンは、前記素子分離領域上に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記素子分離領域は前記基板の一部を露出するリング形状であって、
前記基板に基板電位を供給する基板電位配線と、
前記基板電位配線と前記露出した基板の一部とを接続するコンタクト導体とをさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記内部ダミーパターンを複数備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記内部ダミーパターンはリング形状であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
比較対象電圧とリファレンス電圧とを比較し、その結果に応じた電圧を有する比較結果信号を出力する比較回路を備え、
前記トランジスタは、前記比較回路を構成するトランジスタであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
比較対象電圧とリファレンス電圧とを比較し、その結果に応じた電圧を有する比較結果信号を出力する比較回路を備え、
前記比較回路は、
電源配線とグランド配線との間に並列接続された第1及び第2のトランジスタと、
前記第1のトランジスタと前記電源配線との間に接続された第3のトランジスタと、
前記第2のトランジスタと前記電源配線との間に接続された第4のトランジスタとを有し、
前記第3のトランジスタのゲート、前記第4のトランジスタのゲート、並びに前記第1のトランジスタ及び前記第3のトランジスタの接続点は、互いに接続され、
前記リファレンス電圧は前記第1及び第2のトランジスタの一方のゲートに入力され、
前記比較対象電圧は前記第1及び第2のトランジスタの他方のゲートに入力され、
前記比較結果信号は前記第2のトランジスタと前記第4のトランジスタの接続点から取り出され、
前記第1乃至第4のトランジスタはそれぞれリング形状の第1乃至第4のゲート電極を有し、
前記半導体装置は、
前記第1乃至第4のゲート電極の外側に配置される複数の外部ダミーパターンと、
前記第1乃至第4のゲート電極それぞれの内側に配置される第1乃至第4の内部ダミーパターンと
をさらに備え、
前記第1乃至第4のゲート電極、前記複数の外部ダミーパターン、及び前記第1乃至第4の内部ダミーパターンは、互いに同層に設けられる
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
前記半導体装置は複数のメモリセルを有し、
前記比較対象電圧は、前記複数のメモリセルのうちの少なくとも1つを特定するアドレス信号として入力される電圧である
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記比較対象電圧は、前記半導体装置の制御内容を示すコマンド信号として入力される電圧である
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体装置はメモリセルを有し、
前記比較対象電圧は、前記メモリセルに記憶されるデータを示すデータ信号として入力される電圧である
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記半導体装置は、温度検知回路をさらに備え、
前記温度検知回路は、
前記比較回路と、
温度依存性を持つよう構成された第1の素子と、
温度依存性を持たないよう構成された第2の素子とを有し、
前記第1及び第2の素子は、電源配線とグランド配線の間に並列接続され、
前記比較対象電圧は前記第1の素子の端部に現れる電圧であり、
前記リファレンス電圧は前記第2の素子の端部に現れる電圧である
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の半導体装置。
【請求項13】
基板と、
前記基板上に形成されたリング形状のゲート電極、前記ゲート電極と前記基板との間に形成されたゲート絶縁膜、前記基板表面のうち前記ゲート電極の外側に対応する領域に設けられた第1の拡散領域、及び前記基板表面のうち前記ゲート電極の内側に対応する領域に設けられた第2の拡散領域をそれぞれ有する第1乃至第5のトランジスタと、
それぞれ前記第1乃至第5のトランジスタの前記ゲート電極の内側に配置され、対応する前記ゲート電極と同層に設けられる第1乃至第5の内部ダミーパターンと、
前記基板表面のうち、それぞれ前記第1及び第2のトランジスタの前記ゲート電極の内側に対応する領域に埋設された第1及び第2の素子分離領域と、
基板電位を供給する基板電位配線と、
前記基板電位配線と前記基板とを接続するコンタクト導体とを備え、
前記第1の内部ダミーパターンは前記第1の素子分離領域上に形成され、
前記第2の素子分離領域は開口部を有し、
前記コンタクト導体は、前記開口部を介して、前記基板電位配線と前記基板とを接続し、
前記第3のトランジスタの前記ゲート電極の内側に対応する領域には素子分離領域は形成されておらず、
前記第4の内部パターンは複数設けられ、
前記第5の内部ダミーパターンはリング形状である
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
リングゲート型トランジスタのゲート電極の内側に配置する内部ダミーパターンの構成パターンを複数記憶する記憶手段と、
リングゲート型トランジスタのリング内面積を示す面積情報を取得する面積情報取得手段と、
前記面積情報取得手段により取得された前記面積情報に応じて、前記記憶手段に記憶される複数の構成パターンの中から1つを選択して出力する選択手段と
を備えることを特徴とする設計装置。
【請求項15】
前記複数の構成パターンは、
内部ダミーパターンを配置しない第1の構成パターンと、
リングゲート型トランジスタが形成される基板表面のうち、前記ゲート電極の内側に対応する領域に素子分離領域を設け、該素子分離領域上に内部ダミーパターンを配置する第2の構成パターンとを含み、
リングゲート型トランジスタが形成される基板表面のうち、前記ゲート電極の内側に対応する領域に素子分離領域を設けず、内部ダミーパターンを配置する第3の構成パターンと、
前記選択手段は、
前記面積情報により示される前記リング内面積が第1の値を下回る場合に、前記第1の構成パターンを選択し、
前記面積情報により示される前記リング内面積が前記第1の値を上回り、かつ前記第1の値より大きい第2の値を下回る場合に、前記第3の構成パターンを選択し、
前記面積情報により示される前記リング内面積が前記第2の値を上回る場合に、前記第2の構成パターンを選択する
ことを特徴とする請求項14に記載の設計装置。
【請求項16】
リングゲート型トランジスタのゲート電極の内側に配置する内部ダミーパターンの構成パターンを複数記憶する記憶手段を備えるコンピュータを、
リングゲート型トランジスタのリング内面積を示す面積情報を取得する面積情報取得手段、及び
前記面積情報取得手段により取得された前記面積情報に応じて、前記記憶手段に記憶される複数の構成パターンの中から1つを選択して出力する選択手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−171503(P2011−171503A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33740(P2010−33740)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】