半導体装置及びその製造方法
【課題】リーク電流が低く、電界効果移動度が高いなどの優れた特性を有するTFTを備え、駆動回路を内蔵して部材点数を減らすことが可能な半導体装置において、駆動回路内部における腐食などの発生を防止する。
【解決手段】本発明の半導体装置においては、駆動回路を内蔵したTFTアレイ基板100に、ゲート電極2と、ゲート絶縁膜3と、結晶性半導体部分を含んでチャネル領域4cが形成される半導体層4と、チャネル領域4cを保護するチャネル保護膜5と、半導体層4に接続されたソース電極6及びドレイン電極7を備えたTFT、並びに、ゲート電極2と同層に形成された配線層2aとソース電極6と同層に形成された配線層6aを駆動回路内部においてコンタクトホール13を介し直接接触させて接続させる配線変換部12を備えるものである。
【解決手段】本発明の半導体装置においては、駆動回路を内蔵したTFTアレイ基板100に、ゲート電極2と、ゲート絶縁膜3と、結晶性半導体部分を含んでチャネル領域4cが形成される半導体層4と、チャネル領域4cを保護するチャネル保護膜5と、半導体層4に接続されたソース電極6及びドレイン電極7を備えたTFT、並びに、ゲート電極2と同層に形成された配線層2aとソース電極6と同層に形成された配線層6aを駆動回路内部においてコンタクトホール13を介し直接接触させて接続させる配線変換部12を備えるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及び光電変換装置などの薄膜トランジスタを備えた半導体装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からの一般的な薄型パネル表示装置の一つである液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)は、低消費電力や小型軽量といったメリットを活かしてパーソナルコンピュータや携帯情報端末機器におけるモニターなどに広く用いられている。また近年ではブラウン管に代わってTV用途としても広く用いられる様になった。更に、LCDで問題となる視野角、コントラスト、動画表示に必要な応答速度などの問題点をクリアした電界発光型EL(Electro Luminescence)表示装置も、薄型パネル表示装置として用いられる様になってきている。これらの表示装置においては、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)を備えた半導体装置である点で共通している。また、TFTを備えた半導体装置という点で共通するものとしては、これら表示装置以外にもあり、イメージセンサなどの光電変換装置などが挙げられる。これらTFTを備えた半導体装置に用いられるTFTの構造としては、半導体膜を用いたMIS(Metal−Isulator−Semiconductor)構造が多用される。TFTには、ボトムゲート型(逆スタガ型とも呼ぶ)TFT構造やトップゲート型(コプレーナ型とも呼ぶ)TFT構造といった種類がある。半導体膜にも結晶性を有しない半導体膜(非晶質半導体膜或いはアモルファス半導体膜と呼ばれる)や結晶性を有する半導体膜(多結晶半導体膜と呼ばれる)がある。それらTFT構造や半導体膜の種類は表示装置の用途や性能により適宜選択される。特に、結晶性を有する半導体膜を用いたTFTでは、信頼性が高く、電界効果移動度が大きいなど優れたトランジスタ特性のTFTが得られる。従って、これら結晶性を有する半導体膜を用いたTFTを使うと、ガラス基板上に駆動回路を直接形成すること(駆動回路内蔵型とも呼ばれる)ができ、狭額縁化や外付けIC(Integrated Circuit)などの部材点数を減らすことによる低コスト化などを実現できる利点がある。また、最近では結晶性を有する半導体膜の一種として、結晶粒径が比較的微細な半導体膜(微結晶半導体膜と呼ばれる)についてもTFTに使用される様になってきている。一般的な多結晶半導体膜の作成方法としては、下地膜となる酸化シリコン膜などの上層に形成された非晶質半導体膜に対し、レーザー光を照射することにより非晶質半導体膜を多結晶半導体膜に変換する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。また微結晶半導体膜の形成方法としては、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により堆積する方法が知られている(例えば特許文献2参照)。
【0003】
一方、この様なTFTを備えた半導体装置の製造には複数のマスク工程(薄膜上に所定形状のレジストパターンを写真製版により形成する工程と形成されたレジストパターンをマスクとして薄膜を所定形状に加工する工程までの一連の工程)が必要となるが、製造工程において、マスク工程における、特に写真製版工程は占める時間と費用が大きく、生産性、コストの観点から、マスク工程数を減らすことが望まれている。従って、できる限り少ないマスク工程数で製造可能なTFT構造が望ましい。比較的少ないマスク工程数で製造可能なTFT構造として、逆スタガ型TFT構造が挙げられる。更に逆スタガ型TFT構造において、特にマスク数の少ない構造として、チャネル部背面をエッチングするバックチャネルエッチ型TFT構造があり、非晶質半導体膜を用いたTFTにおいて使用されることが多い。また、TFTを備えた半導体装置の製造時においては、半導体装置の種類により若干異なるが、TFTの形成と同時に、TFTと接続される画素電極、外部端子を構成する端子電極、及び配線変換部などの構成についても形成する必要がある。従って、結局、上記説明したマスク工程数を減らす為には、これらの構成の形成とTFT構造の形成に必要なマスク工程数全体を減らすことが重要となる。以上の様にTFTを備えた半導体装置の製造に必要なマスク工程数全体を有効に減らす方法として、TFT構造としては、マスク工程数の少ないバックチャネルエッチ型TFT構造を採用し、更に、画素電極、端子電極、及び配線変換部の形成を、できるだけTFT構造の形成と共通したマスク工程により行うことが考えられる。例えば、特許文献3においては、バックチャネルエッチ型TFT構造を採用し、配線変換部の形成については、変換部の配線をTFTにおけるゲート電極、ソース・ドレイン電極の形成と共通のマスク工程で形成し、更に、接続するコンタクトホールをTFTと画素電極を接続するコンタクトホールの形成と共通のマスク工程で形成するなど、マスク工程数を削減する工夫を行ったLCDの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−17505号公報
【特許文献2】特開平8−97436号公報
【特許文献3】特開2000−81638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1や特許文献2に示した多結晶半導体膜を用いたTFTにおいては、マスク工程数が多いにも関わらずコプレーナ型TFT構造を採用する場合が多く、結果的にはマスク工程削減が行われていない。理由としては、多結晶半導体膜を用いたバックチャネルエッチ型TFT構造を実現するにあたり、幾つか解決されない問題点があるからである。先ず、第一の問題点より説明する。バックチャネルエッチ型TFT構造におけるバックチャネルエッチング処理は半導体膜上に形成されたオーミックコンタクト層(n型不純物を含むシリコン層、以下n+Si層)をエッチング除去し分離する為に行う。このエッチングの際のn+Si層と半導体膜とのエッチング選択性は大きくないことから、n+Si層を確実に分離可能なエッチング条件と、半導体膜を一部削りながらも半導体膜が分離されずに残ることが可能なエッチング条件の間の条件に設定し行われる。更に基板面内のn+Si層の膜厚ばらつきやエッチングレートのばらつきを考慮すると、半導体膜が分離されずに残るために膜厚をある程度厚く設定する必要がある。この様な状況において、非晶質半導体膜を用いる場合には比較的自由に厚みを厚くすることが可能であるが、多結晶半導体膜を用いる場合には厚く形成することが非常に困難である。理由としては、多結晶半導体膜はレーザー光を照射し非結晶半導体膜より変換する方法とプラズマCVD法により直接堆積する方法の何れかにより形成されるが、前者の方法では一般的なレーザー光の侵入深さの制限により厚い非結晶半導体膜を多結晶半導体膜に変換することが難しく、後者の方法では成膜レートが非常に遅いために厚い多結晶半導体膜を得ることは現実的な生産性の点で困難である。この様に厚い多結晶半導体膜を形成することは困難であることから、多結晶半導体膜を用いた逆スタガ型TFT構造を実現することが難しいというのが第一の問題点である。この第一の問題点に対しては、回避策として、多結晶半導体膜を下層とし、比較的厚い非晶質半導体膜を上層とした積層膜を半導体膜として用いることによって、バックチャネルエッチングに対するプロセスマージンを確保しながら多結晶半導体膜を用いた逆スタガ型TFT構造を形成する方法がある。しかしながら、この様な非晶質半導体膜と多結晶半導体膜の積層膜を用いた逆スタガ型TFT構造においても、第二の問題点が残存する。この非晶質半導体膜と多結晶半導体膜の積層膜において、非晶質半導体膜は光吸収係数が高く電子−ホール対が発生しやすい。また、多結晶半導体膜はホール移動度が高いという特性を有している。従って、例えばバックライトなどから光照射された際には、非晶質半導体膜で生成したホールが多結晶半導体膜へ注入されると考えられる。その結果、作成したTFTのゲート電極にマイナスバイアスを印加した場合には、リーク電流が増大してクロストークなどが視認され、表示品質が低下するという問題が生じることがこれまでの検討で分かっている。以上説明の第一の問題点及び第二の問題点により、多結晶半導体膜を用いバックチャネルエッチ型TFT構造を得ることは難しく、結果的には、多結晶半導体膜を用い優れたトランジスタ特性を有したTFTを備えた半導体装置を少ないマスク工程数で製造することができなかった。
【0006】
また、特許文献3のLCDの製造方法においては、配線変換部における配線間を接続するコンタクトホールの形成をTFTと画素電極を接続するコンタクトホールの形成と共通のマスク工程で行うために、配線間を画素電極として形成するITOなどの透明導電性酸化膜を介して接続する構造を採用している。しかしながら、この様な配線変換部は、例えば、外部端子部や駆動回路部などのパネル周辺領域で用いられ、大気に曝される位置に配置されることも多い。更に、LCDに限られず駆動回路内蔵型の半導体装置では、駆動回路内部において配線間が近接して配置されることから、この配線変換部と該配線変換部とは異なる電位が印加される配線間も近接して配置される。また、LCDでは、この配線変換部とは異なる電位が印加されるものとして、カラーフィルタ基板表面の対向電極が存在する。この対向電極は、対向配置される基板間距離を置いて、配線変換部に比較的近接して配置される。これら配線変換部と該配線変換部とは異なる電位が印加される配線或いは電極間の近接部において、大気中での結露などが生じた場合、電位差と水分により電気化学反応が生ずる。また、LCDの場合、液晶中の水分を溶媒として、同様の電位差により電気化学反応を生ずる場合もある。以上の様にして電気化学反応が生じた結果として、配線変換部において透明導電性酸化膜が還元腐食することを起因とする断線などが発生することがこれまでの検討で分かっている。なお、LCDでは基板間を貼り合わせて液晶を保持するシールに囲まれた領域の外側の領域、特にシール近傍では結露などによる水分が生じやすく、上記電気化学反応を生じ易い。また、シール近傍ではシールに囲まれた領域の内側外側を問わずシール側壁に付着した不純物を媒介として電流パスが形成されて、シール側壁の表面を微小な電流が流れることも、上記電気化学反応を助長する。
【0007】
以上説明のとおり、TFTを備えた半導体装置において、トランジスタ特性の向上と信頼性の向上を両立し、更に、マスク工程数が少なく生産性の高い半導体装置を得ることのできる有効な方法は実現されていなかった。
【0008】
本発明は上記の様な問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、TFTを備えた半導体装置において、トランジスタ特性の向上と信頼性の向上を両立させること、その製造方法において、マスク工程数を低減し生産性を向上させることを実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の半導体装置においては、薄膜トランジスタ基板に内蔵された駆動回路を備え、この薄膜トランジスタ基板は、絶縁性基板上に形成されたゲート電極と、前記絶縁性基板及び前記ゲート電極上に形成されるゲート絶縁膜と、このゲート絶縁膜上に形成され、少なくとも一部において結晶性半導体部分を有し、該結晶性半導体部分を含んでチャネル領域が形成される半導体層と、この半導体層におけるチャネル領域上に形成され、チャネル領域を保護するチャネル保護膜と、この半導体層に接続されたソース電極及びドレイン電極を備える薄膜トランジスタ、並びに、前記の絶縁性基板上に前記のゲート電極と同層に形成された第一配線層と、前記のソース電極及びドレイン電極と同層に形成された第二配線層を、前記の駆動回路内部において、前記のゲート絶縁膜を開口して設けられたコンタクトホールを介して直接接触させて電気的に接続させる配線変換部を備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、リーク電流が低く、電界効果移動度が高いなどの優れた特性を有するTFTを備え、駆動回路を内蔵して外付けICなどの部材点数を減らすことが可能な半導体装置において、駆動回路内部における電気化学反応による腐食などを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1の液晶表示装置における液晶表示パネルを示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態1の液晶表示装置に用いられるTFTアレイ基板を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1の液晶表示装置に用いられるTFTアレイ基板の製造方法を説明する断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1の液晶表示装置における製造過程となるマザー液晶セル基板を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態2の液晶表示装置に用いられるTFTアレイ基板の製造方法を説明する断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2の液晶表示装置に用いられるTFTアレイ基板の製造方法を説明する断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3の液晶表示装置に用いられるTFTアレイ基板の製造方法を説明する断面図である。
【図8】本発明の実施の形態3の変形例となる液晶表示装置に用いられるTFTアレイ基板の製造方法を説明する断面図である。
【図9】本発明の実施の形態3の変形例となる液晶表示装置に用いられるTFTの製造方法を説明する平面図である。
【図10】本発明の実施の形態4の液晶表示装置に用いられるTFTアレイ基板の製造方法を説明する断面図である。
【図11】本発明の実施の形態4の液晶表示装置に用いられるTFTアレイ基板の製造方法を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
初めにTFTを用いた半導体装置の一例として、液晶表示装置に対して本発明を適用した場合である本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本実施の形態1にかかる表示装置として機能する半導体装置である液晶表示装置における液晶表示パネルの構成を示した平面概略図である。なお、図は模式的なものであり、示された構成要素の正確な大きさなどを反映するものではない。また、図面が煩雑とならない様、発明の主要部以外の省略や構成の一部簡略化などを適宜行っている。以下の図においても同様とする。更に、以下の図においては、図中、既出の図において説明したものと同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0013】
本実施の形態1の液晶表示パネルは、二枚のガラス基板や石英基板などの光透過性を有する透明絶縁性基板が対向して配置されるが、図1に示す様に、一方の透明絶縁性基板には画像を表示する単位となる画素に対応して液晶へ電圧印加する表示電圧の供給のオンとオフを制御するスイッチング素子となる画素TFT108が配置されている。この画素TFT108が配置される基板について、TFTを備えていることから、薄膜トランジスタ基板(TFT基板)或いは、画素TFT108は画素毎にアレイ状に配置(配列して配置)されていることから、TFTアレイ基板100と呼ぶ。また、TFTアレイ基板100には、画像を表示する表示領域101と表示領域101を囲むように設けられた額縁領域102とが設けられている。この表示領域101には、複数のゲート配線(走査信号線)109、複数の蓄積容量配線112、及び複数のソース配線(表示信号線)110が形成されている。
【0014】
複数のゲート配線109及び複数の蓄積容量配線112は、対向して配置されており、其々が平行に設けられている。同様に、複数のソース配線110は其々が平行に設けられている。ゲート配線109及び蓄積容量配線112とソース配線110とは、互いに交差するとともに直交するように配置されている。そして、隣接するゲート配線109及び蓄積容量配線112と、隣接するソース配線110とで囲まれた領域が画素105となる。TFTアレイ基板100では画素105がマトリクス状に配列される。
【0015】
画素105内には、少なくとも1つの画素TFT108と、画素TFT108と接続された蓄積容量111が直列に接続されるように形成されている。画素TFT108は画素電極(図示省略)に表示電圧を供給するためのスイッチング素子となる。画素TFT108のゲート電極はゲート配線109に接続され、ゲート配線109から供給されるゲート信号によって画素TFT108のオンとオフを制御している。画素TFT108のソース電極はソース配線110に接続されている。画素TFT108がオンされると画素TFT108のソース電極側からドレイン電極側に電流が流れる。これによって、ドレイン電極に接続された画素電極に表示電圧が印加される。そして、画素電極と対向電極(後に詳細説明する)との間に、表示電圧に応じた電界が生じる。更に、蓄積容量111は画素電極と並列に接続されている。よって、画素電極に電圧印加されるのと同時に蓄積容量111にも電圧印加が生じる。また、蓄積容量111の容量は画素電極と対向電極との間の容量に比べ大きく設定されていることから、比較的長い一定時間、電荷を保持することができる。
【0016】
更に、TFTアレイ基板100の額縁領域102には、走査信号駆動回路103と走査信号駆動回路104とが設けられる。即ち、TFTアレイ基板100には、走査信号駆動回路103と走査信号駆動回路104よりなる駆動回路が内蔵されている。また、走査信号駆動回路103と走査信号駆動回路104は、表示領域101内の画素TFT108と同時に形成された駆動用TFT(図示省略)によって回路が構成されている。ゲート配線109は、表示領域101から額縁領域102まで延設されている。そして、ゲート配線109は、走査信号駆動回路103に接続される。そして、ソース配線110は、同様に表示領域101から延設され、走査信号駆動回路104に接続される。
【0017】
以下、液晶表示装置全体に関わるその他の構成の説明を行う。その他の構成としては、走査信号駆動回路103及び走査信号駆動回路104から、其々外部配線106及び外部配線107がTFTアレイ基板100の基板端二辺に設けられた外部端子に接続される。外部配線は、例えば、FPC(Flexible Printed Circuit)などの配線基板である。外部配線106及び外部配線107を介して走査信号駆動回路103及び走査信号駆動回路104に外部からの各種信号が供給される。それら信号に基づいて、走査信号駆動回路103によりゲート信号(走査信号)がゲート配線109に供給され、順次、TFT108が選択され、走査信号駆動回路104により表示信号がソース配線110に供給され、表示データに応じた表示電圧を各画素105に供給する。また、TFTアレイ基板100の最表面には配向膜が形成されている。TFTアレイ基板100は以上の様に構成される。
【0018】
更に、TFTアレイ基板100には対向基板が対向して配置されている(図示省略)。対向基板は、例えばカラーフィルタ基板であり、視認側に配置される。対向基板には、表面にカラーレジスト(色材)、ブラックマトリクス(Black Matrix:BM)、対向電極、及び配向膜などが形成されている。なお、例えばIPS(In−Plane Switching)方式(横電界方式)の液晶表示装置の場合には、対向電極はTFTアレイ基板100側に配置される。そして、TFTアレイ基板100と対向基板は、額縁領域102に設けられ、表示領域101を囲むように形成されたシール120により貼り合わされている。更に、TFTアレイ基板100と対向基板及びシール120により囲まれる領域に液晶(図示省略)が封入されている。なお、本実施の形態1の液晶表示装置においては、TFTアレイ基板100と対向基板は画素電極と対向電極が対向するように、即ち、液晶側に画素電極と対向電極が配置されるように対向して配置される。更に、TFTアレイ基板100と対向基板との外側には、偏光板及び位相差板などの光学シートが設けられる。また、以上の様に構成された液晶表示パネルの反視認側にはバックライトユニットなどが配設される。本実施の形態1の液晶表示装置は以上の様に構成される。
【0019】
続いて、本実施の形態1の液晶表示装置の表示動作について簡単に説明する。画素電極と対向電極との電界によって、液晶が駆動される。すなわち、基板間の液晶の配向方向が変化し、液晶を通過する光量が変化する。すなわち、バックライトユニットから液晶表示パネルを透過する透過光のうち、視認側の偏光板を通過する光の光量が変化する。液晶の配向方向は、印加される表示電圧によって変化する。従って、表示電圧を制御することによって、視認側の偏光板を通過する光量を変化させることができる。即ち、画像として視認される光量を制御することができる。なお、この一連の動作で、蓄積容量111については表示電圧の保持に寄与する。
【0020】
次に、本発明の主要部にあたるTFTアレイ基板100上における表示領域101に配置される画素TFT108及び額縁領域102に配置される配線変換部12の構成について図2を用いて詳細に説明する。図2は本実施の形態1の液晶表示装置における表示領域101に形成される画素TFT108及びTFTアレイ基板100に設けられた走査信号駆動回路103、走査信号駆動回路104、或いは外部端子などの設けられる額縁領域102に形成される配線変換部12の断面模式図である。例えば、ガラス基板からなる光透過性を有する透明絶縁性基板1上にゲート電極2が形成されている。次に、ゲート電極2を覆うように下層が窒化シリコン膜(SiN膜)であり、上層が酸化シリコン膜(SiO膜)の積層膜からなるゲート絶縁膜3が形成される。ゲート絶縁膜3上には結晶性シリコン膜からなる半導体層4が形成されている。半導体層4はTFTにおいてソース領域4s、チャネル領域4c、及びドレイン領域4dを有している。ソース領域4sとドレイン領域4dには不純物が導入されており、チャネル領域4cよりも低抵抗としている。また、チャネル領域4cでは、半導体層4は、100nm程度或いはそれ以下の略同一の大きさの小さい結晶粒、即ち、微結晶シリコン膜によって構成される。更に、チャネル領域4c上には、例えば、下層が酸化シリコン膜(SiO膜)であり、上層が窒化シリコン膜(SiN膜)よりなる積層膜である無機絶縁膜からなり、チャネル領域4cを覆い保護する役割を行うチャネル保護膜5が形成されている。更にチャネル保護膜5上の一部にかかり、半導体層4におけるソース領域4sとドレイン領域4dに接続するようにソース電極6とドレイン電極7が形成される。言い換えると、ソース電極6及びドレイン電極7との接続部分において、半導体層4には不純物を導入したソース領域4sとドレイン領域4dが形成されている。なお、本実施の形態1においては、半導体層4におけるチャネル保護膜5に覆われない領域全体に渡り、イオンドーピング法により不純物を導入したソース領域4s及びドレイン領域4dが形成されていることから、TFTのオン特性の向上がはかられている。更に、ソース電極6及びドレイン電極7を覆うように保護絶縁膜8が形成される。以上の様に画素TFT108は構成され、微結晶シリコンをチャネル領域に用いたチャネル保護膜型TFT構造により構成される。更に、保護絶縁膜8にはコンタクトホール9が開口されており、保護絶縁膜8上に形成される画素電極11が画素TFT108のドレイン電極7とコンタクトホール9を介して接続されている。なお、走査信号駆動回路103及び走査信号駆動回路104においても、駆動用TFTが形成されるが、上記説明の画素TFT108に用いられるチャネル保護膜型TFTと同様の構成を有しており、駆動用TFTにおいては、画素電極11及び画素電極11をドレイン電極7に接続するコンタクトホール9の構成が省略される。また、図2では図示を省略しているが、図1において説明したゲート配線109、蓄積容量配線112はゲート電極2と同層に形成されており、ソース配線110は、ソース電極6及びドレイン電極7と同層に形成されている。
【0021】
また、TFTアレイ基板100の走査信号駆動回路103、走査信号駆動回路104、或いは外部端子などの設けられる額縁領域102において、ゲート電極2と同層に形成された第一配線層である配線層2aと、ソース電極6及びドレイン電極7と同層に形成された第二配線層である配線層6aとを電気的に接続する配線変換部12が形成される。なお、配線層2aについては、ゲート配線109の一部であっても良く、配線層6aについてはソース配線110の一部であっても良い。この配線変換部12においては、ゲート電極2及び配線層2aの形成されるレイヤとソース電極6、ドレイン電極6及び配線層6aの形成されるレイヤ間に存在するゲート絶縁膜3にコンタクトホール13が形成されることにより、このコンタクトホール13を介し、これら配線層2aと配線層6aが直接接続されている。言い換えると、このコンタクトホール13により、これら配線層2aと配線層6aが直接接続され電気的に接続されている。更に、これら配線層2a、配線層6a、及びコンタクトホール13よりなる配線変換部12上にも、画素TFT108部においてソース電極6とドレイン電極7を覆う保護絶縁膜8が共通して形成され、配線変換部12を覆っている。
【0022】
なお、本実施の形態1の液晶表示装置においては、ゲート電極2と同層に形成された配線層2aとソース電極6及びドレイン電極7と同層に形成された配線層6aとを電気的に接続する配線変換部については、額縁領域102における特にシール120により囲まれる領域より外部において存在する場合には全て配線層2aと配線層6aとをゲート絶縁膜3に設けられたコンタクトホール13を介し直接接続する構造である配線変換部12により形成される様にした。また、走査信号駆動回路103部及び走査信号駆動回路104部における配線層2aと配線層6aとを電気的に接続する配線変換部については、シール120により囲まれた領域の内側外側を問わず同様に配線層2aと配線層6aとをゲート絶縁膜3に設けられたコンタクトホール13を介し直接接続する構造とした。
【0023】
次に、本実施の形態1の液晶表示装置の製造方法について説明する。先ず、発明の主要部にあたるTFTアレイ基板100上における表示領域101に配置される画素TFT108及び額縁領域102に配置される配線変換部12の製造方法について、図3を参照して説明する。図3(a)〜図3(g)は、本実施の形態1におけるTFTアレイ基板100の特に画素TFT108及び配線変換部12の製造方法を示す断面模式図である。
【0024】
先ず、ガラス基板や石英基板などの光透過性を有する透明絶縁性基板1上にDCマグネトロンスパッタ法を用いて金属膜を形成する。本実施の形態においては、透明絶縁性基板1については無アルカリガラス基板を用いた。金属膜についてはアルミニウムを主成分とする金属膜として、特にアルミニウムを主成分としてニッケルとネオジウムを所定量添加した合金膜を用い、およそ200nmの膜厚に成膜した。この金属膜を公知の写真製版法及びウエットエッチング法により所定の形状にパターニングし、表示領域101にゲート電極2を形成し、額縁領域102には、同時に配線層2aを形成する。即ち、ゲート電極2及び配線層2aは共通のマスク工程により形成される。その結果、ゲート電極2と配線層2aは同層に形成される。また、図示は省略するが、図1において説明したゲート配線109及び蓄積容量配線112についても共通のマスク工程により形成され、ゲート電極2及び配線層2aと同層に形成される。ウエットエッチングにはリン酸を主成分とするエッチング液を用いた。なおゲート電極2の端面はテーパー形状とすることが望ましい。テーパー形状とすることにより、後に成膜する絶縁膜の被覆性が向上し、絶縁膜耐圧が向上するという効果を奏する。以上の工程により、図3(a)に示す構成が得られる。
【0025】
次に、表示領域101に形成したゲート電極2及び額縁領域102に形成した配線層2a上を含む透明絶縁性基板1上に、ゲート絶縁膜3、結晶性を有する半導体膜である結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51を順次形成する。本実施の形態1では、ゲート絶縁膜3、非晶質半導体膜を順次形成した後、非晶質半導体膜にレーザー光を照射し結晶化することにより結晶性半導体膜41を形成し、その後、結晶性半導体膜41上に無機絶縁膜51を形成している。具体的には、ゲート絶縁膜3については、窒化シリコン膜(SiN膜)を絶縁膜としておよそ300nmの膜厚に形成し、更に酸化シリコン膜(SiO膜)をおよそ100nmの膜厚に形成して、SiN膜とSiO膜の積層膜としている。但し、ゲート絶縁膜3の構成は上記に限るものではなく、絶縁耐圧や絶縁膜容量などを勘案して膜厚などを決定すればよい。結晶性半導体膜41とする非晶質半導体膜については、非晶質シリコン膜を用い、およそ50nmの膜厚に形成している。これら、ゲート絶縁膜3を構成するSiN膜及びSiO膜と非晶質半導体膜を構成する非晶質シリコン膜はプラズマCVD法を用いた連続成膜により形成している。また、プラズマCVD法を用い成膜した非晶質シリコン膜は膜中に大量の水素を含有しているため、この水素を低減するための処理として、高温中でアニールしておくことが好ましい。本実施の形態では窒素雰囲気の低真空状態で保持したチャンバ内を400℃に加熱し、非晶質半導体膜を成膜した基板を30分間保持した。この様な処理を行っておくことにより、非晶質半導体膜を結晶化する際の温度上昇に伴う水素の急激な離脱による半導体膜表面の荒れを抑制することが可能となる。以上の様に準備した非晶質シリコン膜に対して、パルスレーザー光を照射し結晶化する。レーザー光の照射時においては、非晶質半導体膜に対して窒素などの不活性ガスを吹き付けて非晶質半導体膜の表面の酸素濃度を低下させ、この状態で照射すると良い。この際、レーザー光は所定の光学系を通して線状のビーム形状に成型された後、非晶質半導体膜に照射される。このとき非晶質半導体膜に対して1回の走査を行うことにより、非晶質半導体膜は溶融し、結晶性半導体膜41が形成される。本実施の形態では、レーザー光として、エキシマレーザー(発振波長:308nm)を用いた。またビーム形状はおよそ200μm×200mmの線状ビーム形状とし、照射エネルギーを200mJ/cm2、走査の送りピッチを15μmとした。ここで、半導体層全体を結晶化しているので、ドレイン電流の高い、信頼性に優れたTFTを得ることができる。
【0026】
その後、チャネル保護膜5となる無機絶縁膜51として、プラズマCVD法にて、酸化シリコン膜(SiO膜)をおよそ30nmの膜厚に、更に窒化シリコン膜(SiN膜)をおよそ100nmの膜厚に連続して形成し、SiO膜とSiN膜の積層膜を成膜する。なお、以上説明した実施の形態1においては、非晶質半導体膜を成膜した後にレーザー光を照射し結晶化することにより結晶性半導体膜41を形成したが、結晶性半導体膜41をプラズマCVD法により直接形成しても良く、その場合においては、ゲート絶縁膜3、結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51を連続成膜しても良い。連続成膜をすることにより、工程の簡略化ができる。更に、結晶性半導体膜41の表面が大気中に曝されることなく形成できることから、結晶性半導体膜41への汚染の混入も発生し難い。以上の様にゲート絶縁膜3、結晶性を有する半導体膜である結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51を形成した後、額縁領域102の配線層2aと接続するために公知の写真製版法及びドライエッチング法を用いて、配線層2a上のゲート絶縁膜3、結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51を除去する。その結果、配線層2a上の所定の領域において、ゲート絶縁膜3を開口するコンタクトホール13が形成される。以上の工程により、図3(b)に示す構成が得られる。
【0027】
続いて、無機絶縁膜51を公知の写真製版法及びドライエッチング法により所定の形状にパターニングしチャネル保護膜5を形成する。なお、無機絶縁膜51をパターニングし、ドライエッチング法により除去する際に、無機絶縁膜51の除去部分においては、ドライエッチング処理に結晶性半導体膜41が曝される。無機絶縁膜51については、SiO膜の単層膜を用いても構わないが、本実施の形態1においては、下層がSiO膜、上層がSiN膜の積層構造としている。この無機絶縁膜51を除去するドライエッチング処理の際、無機絶縁膜51がSiO膜より構成される場合、SiO膜のエッチングレートは遅く、SiO膜の膜厚分布やエッチングレートのばらつきを考慮すると、確実に無機絶縁膜51を除去するためには、マージンを考慮したエッチング時間、即ちオーバーエッチングの時間を長くとる必要がある。つまり、SiO膜のドライエッチング処理に結晶性半導体膜41が曝される時間が長くなる。また、SiO膜と微結晶シリコン膜よりなる結晶性半導体膜41間のエッチング選択性が低いことから、オーバーエッチングに対して結晶性半導体膜41を残存させることが難しい。従って、無機絶縁膜51にSiO膜の単層膜を用いる場合には、SiO膜の膜厚分布を均一に近づけるか無機絶縁膜51を薄くする必要があり、製造への制限や形成されたチャネル保護膜5のチャネル領域4cを覆い保護する効果の低下などを生ずる。一方、本実施の形態1の様に無機絶縁膜51にSiO膜上にエッチング選択性を得やすいSiN膜を積層した積層構造とすることで、先にSiN膜をエッチングした後にSiO膜をエッチングすることとなり、無機絶縁膜51の膜厚を変えることなくSiO膜の膜厚を薄く設定することができる。従って、結晶性半導体膜41を残存させることが容易となる。また、形成されたチャネル保護膜5のチャネル領域4cを覆い保護する効果も高くなる。以上の工程により、図3(c)に示す構成が得られる。続いて、公知の写真製版法及びドライエッチング法を用いて、結晶性半導体膜41を所定の形状のパターンに加工し、半導体層4を形成する。ドライエッチング処理にはCF4とO2の混合ガスを用いて、フォトレジストを後退させながらエッチングを行うことにより、結晶性シリコン膜からなる半導体層4のパターン端部をテーパー形状とした。テーパー形状とすることにより、後に成膜する配線形成用の金属膜の被覆性が向上し、半導体層4のパターン端部の段差部で発生し易い配線の断線を防止することができる。以上の工程により、図3(d)に示す構成が得られる。
【0028】
次に、チャネル保護膜5をマスクとして、イオンドーピング法によってリンイオンを導入するイオン注入処理30を行うことにより、チャネル保護膜5で覆われている領域以外の半導体層4よりオーミックコンタクト層であるn+Si層を形成する。ここで、イオンドーピング条件は、加速電圧5kV、ドーズ量1E+15/cm2に設定した。リンイオンが導入された半導体層4には、n+Si層よりなるソース領域4s及びドレイン領域4dが形成され、残りの半導体層4となるチャネル保護膜5の下部にはチャネル領域4cが形成される。以上の工程により、図3(e)に示す構成が得られる。なお、図3(d)で説明した結晶性半導体膜41の加工工程と図3(e)で説明したイオンドーピング工程を入れ替えても構わない。即ち、このチャネル保護膜5で覆われている領域以外の半導体層4にn+Si層を形成するイオンドーピング工程については、図3(c)で説明を行ったチャネル保護膜5を形成する無機絶縁膜51の除去工程に続けて行っても良い。その場合には、チャネル保護膜5で覆われている領域以外の結晶性半導体膜41全体にn+Si層が形成される。その後、図3(d)の結晶性半導体膜41を半導体層4のパターンに加工する工程と同様に結晶性半導体膜41の代わりにn+Si層をドライエッチング法により加工除去することにより、図3(e)に示す構成と同様の構成が得られる。
【0029】
次にDCマグネトロンスパッタ法を用いて金属膜を成膜する。本実施の形態1では、クロム膜よりなる金属膜をおよそ200nmの膜厚に成膜した。続いて、この金属膜を公知の写真製版法及びウエットエッチング法により所定の形状にパターニングし、表示領域101にソース電極6とドレイン電極7を形成し、額縁領域102には、同時に配線層6aを形成する。即ち、ソース電極6、ドレイン電極7及び配線層6aは共通のマスク工程により形成される。その結果、ソース電極6、ドレイン電極7及び配線層6aは全て同層に形成される。また、図示は省略するが、図1において説明したソース配線110についても共通のマスク工程により形成され、ソース電極6、ドレイン電極7及び配線層6aと同層に形成される。クロム膜のウエットエッチングには過塩素酸と硝酸セリウムアンモニウムからなるエッチング液を用いた。また、クロム膜をエッチング除去した領域においては、クロム膜と半導体層4の接触時の反応により半導体層4表面にシリサイド膜が形成されており、ソース電極6、ドレイン電極7間にリーク電流を発生する。従って、クロム膜のウエットエッチングに続いて、ドライエッチング処理を行うことにより、この半導体層4表面に形成されているシリサイド膜を除去した。以上の工程により、図3(f)に示す構成が得られる。
【0030】
その後、表示領域101に形成したソース電極6及びドレイン電極7上と、額縁領域102に形成した配線層6a上を覆うように保護絶縁膜8を形成する。この保護絶縁膜8は、TFT自体、ソース電極6及びドレイン電極7、配線層6a、及び配線変換部12自体を共通して覆い、これらを水分などとの接触から保護する役割を有し、TFT部分と配線変換部12において共通して形成されることから製造工程も簡略化されている。本実施の形態1においては、この保護絶縁膜8は、プラズマCVD法を用いて成膜し、水分などを通し難い膜として、窒化シリコン膜(SiN膜)を選定し、保護絶縁膜として機能する為に充分な厚さ、例えば、およそ300nmの膜厚に形成した。続いて、この保護絶縁膜8に公知の写真製版法及びドライエッチング法を用いてコンタクトホール9を形成する。具体的には、ドレイン電極7上の所定の領域において、保護絶縁膜8を開口するコンタクトホール9が形成される。以上の工程により、図3(g)に示す構成が得られる。次に、画素電極11及び外部端子を構成する端子電極を形成するため、ITOやIZOなどの透明性と導電性を有する酸化膜である透明導電性酸化膜を成膜し、公知の写真製版法により所定の形状にパターニングして画素電極11及び端子電極(図示省略)を形成する。本実施の形態1においては、Arガス、O2ガス、H2Oガスを混合したガスを用いたDCマグネトロンを用いたスパッタリング法により、加工性に優れた非晶質の透明導電性酸化膜を成膜した。ここで、画素電極11はコンタクトホール9を介して、ドレイン電極7と接続するようにパターニングされる。また、透明導電性酸化膜のエッチングは、シュウ酸を主成分とする薬液を用いたウエットエッチング法によって行った。その後、不要となったフォトレジストを除去し、アニールを行うことにより非晶質の透明導電性酸化膜を結晶化させる。以上の工程により、図2に示す構成、即ち、TFTアレイ基板100上における表示領域101に配置される画素TFT108及び額縁領域102に配置される配線変換部12が完成される。また、ここでは、表示領域101に配置される画素TFT108の製造方法を例に取って説明を行ったが、走査信号駆動回路103及び走査信号駆動回路104において形成されるTFTである駆動用TFTについても、上記説明の画素TFT108に用いられる微結晶シリコンTFTと共通の製造工程で同時に製造することが可能である。具体的には、駆動用TFT部においては、画素電極11及び画素電極11をドレイン電極7に接続するコンタクトホール9の形成が省略されることから、コンタクトホール9形成工程及び画素電極11形成工程の写真製版工程において、其々、駆動用TFT部の開口或いはパターンの省略された露光マスクが用いられる。その他については、画素TFT108に用いられる微結晶シリコンTFTと共通の製造工程及び共通の構成により駆動用TFTが製造される。以上の説明の様な製造方法により、実施の形態1における液晶表示装置に用いられるTFTアレイ基板100が完成する。
【0031】
続いて、液晶表示装置の製造方法におけるセル組み立て工程について図4を用いて説明を行う。図4は、本実施の形態1における液晶表示装置の製造過程における液晶表示パネルを構成する液晶セル基板をアレイ状に多面配置したマザー液晶セル基板10の構成を示す平面概略図である。通常、小型の液晶表示装置を製造する場合には、量産効率の点から、図4に示す様に例えばn枚の複数の液晶セル基板10a、10b、・・10x、・・10nがアレイ状に区画配置されるマザー液晶セル基板10を形成し、このマザー液晶セル基板10より、これら液晶セル基板10a、10b、・・10x、・・10nが、個々の液晶表示パネル単位のサイズに切り出されることにより、図1に示す様な液晶表示パネルが得られる。従って、上記説明したTFTアレイ基板100の製造方法においても、TFTアレイ基板100が複数個アレイ状に区画配置される大きな透明絶縁性基板である一枚のマザーTFTアレイ基板1aとして、同時に製造することができる。
【0032】
このTFTアレイ基板100の製造方法により同時に製造されたマザーTFTアレイ基板1aを準備し、更に図4に示す様にマザーTFTアレイ基板1aと対向して配置されるマザー対向基板1bを準備する。マザー対向基板1bについては、カラーレジスト(色材)、ブラックマトリクス(BM)、対向電極などを有する一般的なもので構わない。この様に準備されたマザーTFTアレイ基板1a及びマザー対向基板1bの基板表面に、其々一般的な方法により配向膜を形成した後、一方の基板に液晶セル基板10a、10b、・・10x、・・10nの其々に対応した液晶封入領域を囲むシール120a、120b、・・10x、・・120nを形成し、マザーTFTアレイ基板1a及びマザー対向基板1bを貼り合せる。この様にして、図4に示すマザー液晶セル基板10が形成される。また、シールにより囲まれる領域内への液晶の封入は、貼り合わせ後に注入口より真空中で注入を行う真空注入法を用いても良いし、シールにより囲まれる領域内に液晶を滴下し、液晶封入と貼り合わせを同時に行う液晶滴下法を用いても良い。個々の液晶表示パネル単位のサイズに切り出す液晶セル基板切断工程は、真空注入法の場合には、液晶封入の前に行われ、滴下法の場合には、液晶封入の後に行われる。この様にして、セル組み立て工程は完了し、個々の液晶セル基板10a、10b、・・10x、・・10nが得られる。
【0033】
最後に、液晶セル基板10a、10b、・・10x、・・10nの個々のTFTアレイ基板100及び対向基板の外側に偏光板を貼り付け、TFTアレイ基板100における外部端子においては、対向基板が除去され露出されるように対向基板を切断しておき、この露出した外部端子に対してICチップ118やプリント基板119の実装を行う。以上の様にして、図1に示される液晶表示パネルが完成する。更に、位相差板などの光学シート、バックライトユニットなどをTFTアレイ基板100の裏面側に配置し、液晶表示パネルと共に筐体などに収納することで、本実施の形態1の液晶表示装置が完成する。
【0034】
続いて、本実施の形態1の液晶表示装置により得られる効果について説明を行う。先ず、本実施の形態1の液晶表示装置が備えるTFTにおいては、チャネル領域4cを覆い保護する役割を行うチャネル保護膜5が形成されたチャネル保護膜型TFT構造とすることにより、チャネル領域4cの背面側へのプラズマダメージを抑制することができ、チャネル領域4c背面側からのリーク電流を低減することができる。更に、少なくともチャネル領域において結晶性半導体部分を有していることにより電界効果移動度を高くできる。何れにしても、優れた特性を有するTFTが得られる。更に、これら優れた特性を有するTFTを表示領域においてスイッチング素子となる画素TFT或いはTFTアレイ基板に内蔵して形成した駆動回路の駆動用TFTに採用したことにより、画素TFTのリーク電流を低減できることから表示ムラを抑える効果、或いは駆動用TFTの電界効果移動度を高くできることより、TFTアレイ基板に内蔵して形成した駆動回路を備えて外付けICなどの部材点数を減らすことができ、部品及び資源の減量化、液晶表示装置の軽量化、狭額縁化、及び製造時における生産性向上による低コスト化の効果が得られる。
【0035】
また、本実施の形態1の液晶表示装置においては、ゲート電極2と同層に形成された配線層2aと、ソース電極6及びドレイン電極7と同層に形成された配線層6aとを電気的に接続する配線変換部については、額縁領域102における特にシール120により囲まれる領域より外部において存在する場合には全て配線層2aと配線層6aとをゲート絶縁膜3に設けられたコンタクトホール13を介して直接接続する構造である配線変換部12により形成される。従って、配線変換部12においては配線層2a、配線層6a及びコンタクトホール13などの構成が全て保護絶縁膜8よりも下層に形成されて、TFTアレイ基板100表面に露出しないことから、シール120により囲まれる領域より外部において結露などによりTFTアレイ基板100と対向して配置されるカラーフィルタ基板間に水分が発生した場合にも、カラーフィルタ基板表面の対向電極に印加されるコモン電位との間に電気化学反応は生じない。よって、配線変換部における腐食などを起因とする断線の発生を回避することができる。その結果、額縁領域で発生する腐食などを起因とする不良品発生による歩留りの低下や、製造される液晶表示装置における信頼性の低下などを防止することができる。従って、不良品となり工程内で脱落される基板を削減できることから、原材料費の削減につながる。更に不良品の代替品を再度作りなおす無用な処理の削減を実現できることから製造にかかるエネルギー消費量の削減につながる。また、これらは、全て製品の低コスト化につながる。
【0036】
また、走査信号駆動回路103及び走査信号駆動回路104部に存在する配線層2aと配線層6aとを電気的に接続する配線変換部については、特に駆動回路内部において異なる電位が印加される配線が近接して配置されることから電気化学反応を生じ易い。従って、これら配線変換部が、駆動回路内部において、ゲート絶縁膜3を開口して設けられ、配線層2aと配線層6aとを直接接続させるコンタクトホール13を備えた構造である配線変換部12により形成されることにより、特に腐食防止において高い効果が得られる。なお、シール120により囲まれる領域の内側においても、液晶内やシールと基板間の配向膜などに微量存在する水分の影響により同様の電気化学反応を生じることがあるが、上記説明のとおり、シール120により囲まれる領域の内側外側を問わず、走査信号駆動回路103及び走査信号駆動回路104部において同様の構成を取っていることから、これらの部分においても同様の効果が得られる。但し、シール120により囲まれる領域より外部の領域、特にシール近傍では結露などによる水分が生じやすく、上記電気化学反応を生じ易いことから、これらの領域において上記構成、即ち、少なくとも、シール120により囲まれる領域より外部に配線層2aと配線層6aとをコンタクトホール13を介し直接接続させる配線変換部12を備えた構造を取ることは配線変換部における腐食などを起因とする断線などを防止する効果が高く、特に有用である。
【0037】
また、本実施の形態1の液晶表示装置が備えるTFTにおいては、ゲート絶縁膜2において、半導体層4側となる上層がSiO膜により形成され、半導体層4のチャネル領域4cは全て微結晶シリコン膜で形成されている。従って、ゲート絶縁膜2の結晶性半導体との界面が微結晶シリコン膜とSiO膜により形成されることから、界面への電荷蓄積が低減され、閾値電圧の変動を抑制することができる。同様の効果は、ゲート絶縁膜2がSiO膜単層で形成されていても得られ、少なくとも半導体層4における結晶性半導体部分と接する部分において、結晶性半導体部分が結晶性シリコン膜により形成されており、ゲート絶縁膜2がSiO膜により形成されていれば得ることができる。
【0038】
また、本実施の形態1の液晶表示装置が備えるTFTにおいては、チャネル保護膜5において、半導体層4側となる下層がSiO膜により形成され、半導体層4のチャネル領域4cは全て微結晶シリコン膜で形成されている。従って、チャネル保護膜5の結晶性半導体部分との界面が微結晶シリコン膜とSiO膜により形成されることから、界面への電荷蓄積が低減され、閾値電圧の変動を抑制することができる。同様の効果は、チャネル保護膜5がSiO膜単層で形成されていても得られ、少なくとも半導体層4における結晶性半導体部分と接する部分において、結晶性半導体部分が結晶性シリコン膜により形成されており、チャネル保護膜5がSiO膜により形成されていれば得ることができる。但し、本実施の形態1においては、チャネル保護膜5は、下層がSiO膜、上層がSiN膜よりなる積層構造としていることから、上記説明の下層がSiO膜により形成されることによる効果に加え、更に、チャネル保護膜5を形成する無機絶縁膜51の加工の際に、結晶性半導体膜41の削れを軽減することができるという効果を有する。
【0039】
また、本実施の形態1の液晶表示装置が備えるTFTにおいては、結晶性シリコン膜からなる半導体膜4におけるチャネル領域4cが100nm程度或いはそれ以下の略同一の大きさの小さい結晶粒、即ち、微結晶シリコン膜よりなる結晶性半導体によって構成されることにより、非晶質半導体膜から結晶性半導体部分を得る結晶化工程において適正条件の範囲が広く製造が容易である点、結晶サイズバラツキを抑え、得られた半導体膜を用いたTFTの特性のバラツキを小さくできる点などの利点がある。微結晶シリコン膜よりなる結晶性半導体部分を有するTFTを用いるとTFTの特性のバラツキを小さくできる効果については、表示装置として機能する半導体装置の画素TFTに採用した際に、表示ムラを抑える効果が顕著となることから特に有効である。なお、半導体膜4については、微結晶シリコン膜に限られず、例えば、非晶質半導体膜の結晶化工程において、レーザー光の照射エネルギーや照射時の雰囲気、基板温度など、照射条件を制御することにより、結晶粒を大きく形成しても良い。つまり、結晶化工程により形成される半導体層は微結晶シリコン膜に分類されない一般的な多結晶半導体膜であっても良い。結晶性半導体膜であれば、従来の非結晶の半導体膜をチャネル領域に用いたTFTよりも高い電界効果移動度を得る効果が得られる。また、半導体層4において、非晶質半導体膜などが混在すると、光照射の際などに光吸収係数の高い非晶質半導体膜においてホールが生成し、非晶質半導体膜と接する結晶性半導体部分にホールが注入されオフ電流が増加することなどが懸念されることから、半導体層4が全て、結晶性半導体膜或いは微結晶シリコン膜などにより形成される結晶性半導体部分により構成されることが好ましい。しかしながら、少なくともチャネル領域4cにおいて、半導体層4が上記結晶性半導体部分を有していれば非結晶の半導体膜をチャネル領域に用いたTFTよりも高い電界効果移動度を得ることができ、本実施の形態1における駆動回路を内蔵するTFTアレイ基板を備えたことよる効果を得ることができる。なお、半導体の種類については、シリコンを例に取って説明を行っているが、微結晶或いは結晶性半導体を形成可能であれば、他の元素を用いた半導体でも良いことは言うまでも無い。
【0040】
また、本実施の形態1では、TFTを用いた半導体装置の一例として、液晶表示装置を例にとって説明を行ったが、液晶表示装置以外の表示装置として有機EL表示装置などの平面型表示装置(フラットパネルディスプレイ)や、表示装置以外の半導体装置であるイメージセンサなどの光電変換装置などにも用いることも可能である。例えば、有機EL表示装置の場合には、実施の形態1の液晶表示装置における画素電極11により自発光材料などの電気光学材料に電圧を印加させる構成に変形すれば良く、カラーフィルタ基板やシール120の構成などが省略される。この様に有機EL表示装置などの場合、カラーフィルタ基板表面に形成される対向電極についても備えておらず、更に、表示装置以外の半導体装置などの場合には、液晶表示装置のシール120により囲まれる領域の様に大気中に曝されない領域についても通常は有さない。しかしながら、駆動回路内蔵型の半導体装置における駆動回路部においては、駆動回路内部において異なる電位が印加される配線が近接して配置されることから、同様の問題が発生し、本発明の適用により効果を発揮する。この様な駆動回路内蔵型の半導体装置においても、実施の形態1と同様のTFTアレイ基板100を形成し、額縁領域102における駆動回路内部に存在するゲート電極2と同層に形成された配線層2aとソース電極6及びドレイン電極7と同層に形成された配線層6aとを電気的に接続する配線変換部を全て配線層2aと配線層6aとをゲート絶縁膜3に設けられたコンタクトホール13を介して直接接続する構造である配線変換部12により形成すれば良い。これにより、実施の形態1の液晶表示装置と同様に額縁領域で発生する腐食などを起因とする歩留りや信頼性の低下を防止する効果が得られる。なお、少なくとも、駆動回路を内蔵しTFTを備えた薄膜トランジスタ基板を備えた半導体装置における駆動回路内部において、ゲート電極と同層に形成された第一配線層である配線層2aとソース電極及びドレイン電極と同層に形成された第二配線層である配線層6aとをゲート絶縁膜3を開口して設けられたコンタクトホール13を介して直接接触させて電気的に接続させる配線変換部12を備えていれば、配線層2aと配線層6a間の配線変換部において一定の腐食防止効果が得られる。従って、上記説明の実施の形態1で得られる効果と同様の効果が得られる。また、画素TFT或いは駆動用TFTの構成により生ずる効果についても、駆動回路を内蔵しTFTを備えた薄膜トランジスタ基板を備えた半導体装置において、上記実施の形態1において説明を行った画素TFT或いは駆動用TFTの構成を上記配線変換部12の構成と併せて適用することにより、実施の形態1で得られる効果と同様の効果が得られる。但し、本実施の形態1は対向基板表面に対向電極が存在する液晶表示装置であることから、駆動回路内部において異なる電位が印加される配線が近接して配置されることに加えて、対向電極は、基板間距離を置いて、配線変換部に比較的近接して配置され、更に電気化学反応を生じ易い。また、シール近傍ではシールに囲まれた領域の内側外側を問わずシール側壁に付着した不純物を媒介として電流パスが形成されて、シール側壁の表面を微小な電流が流れることも、上記電気化学反応を助長する。従って、液晶表示装置の駆動回路内部、特にシール近傍において上記構成を取ることは、配線変換部における腐食などを起因とする断線などを防止する効果が高く、特に有用である。
【0041】
実施の形態2.
実施の形態1においては、チャネル保護膜5が形成されたチャネル保護膜型TFT構造であって、更にゲート電極2と同層に形成された配線層2aと、ソース電極6及びドレイン電極7と同層に形成された配線層6aとを直接接続するコンタクトホール13により配線変換部12が形成される液晶表示装置について説明を行った。実施の形態1において説明したとおり、実施の形態1の液晶表示装置においては、多くの効果を得ることが可能となる。しかしながら、実施の形態1においては、ごく一般的な製造方法を例にとって説明を行ったことから、TFT構造の形成においては、バックチャネルエッチ型TFT構造を採用した場合に比べて、チャネル保護膜5を形成するためのマスク工程が増加している。また、配線変換部12を構成するコンタクトホール13についても、画素電極11をドレイン電極7に接続するコンタクトホール9の形成工程とマスク工程の共通化ができないことからマスク工程が増加している。つまり、製造工程の点では、必ずしも最適化されたものではない。但し、実施の形態1の液晶表示装置においては、ゲート絶縁膜3に設けられた開口部であるコンタクトホール13を除いた領域内に半導体層が形成され、半導体層が形成された領域内にチャネル保護膜5が形成されている。言い換えると、上面視において、ゲート絶縁膜3のパターン、半導体層4のパターン、チャネル保護膜5のパターンが順番に前者のパターン外形に対して後者のパターン外形が内包される。この様な構造の場合には、中間調露光領域を有する公知のハーフトーンマスクを用いマスク工程を共通化することが可能である。即ち、ハーフトーンマスクを利用可能な構造に最適化されているため、マスク工程数を容易に削減することが可能である。続いて、実施の形態1で説明した製造方法よりマスク工程を一工程削減した実施の形態2の液晶表示装置の製造方法について説明を行う。なお、本実施の形態2の製造方法における実施の形態1の製造方法からの変更点については、チャネル保護膜5とコンタクトホール13の形成工程の違いのみであり、液晶表示装置の構成及び製造方法におけるその他の工程などについては、同一の構成或いは同一の方法で良いことから、以下、実施の形態1との変更部であるチャネル保護膜5とコンタクトホール13の形成工程を重点的に説明し、実施の形態1と同じ液晶表示装置の構成及び製造工程については適宜説明を省略する。
【0042】
実施の形態1においては、図3(b)を用い説明したとおり、ゲート絶縁膜3、結晶性を有する半導体膜である結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51を形成した後、額縁領域102の配線層2aと接続するために公知の写真製版法及びドライエッチング法を用いて、配線層2a上のゲート絶縁膜3、結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51を除去し、配線層2a上の所定の領域において、ゲート絶縁膜3を開口するコンタクトホール13を形成した。その後、別途、公知の写真製版法及びドライエッチング法により無機絶縁膜51を所定の形状にパターニングしチャネル保護膜5を形成した。本実施の形態2においては、公知のハーフトーンマスクを用いて、一回のマスク工程、即ち、写真製版工程によりゲート絶縁膜3を開口するコンタクトホール13の形成と、チャネル保護膜5の形成を行う。以下、ハーフトーンマスクを用いたコンタクトホール13の形成とチャネル保護膜5の形成工程の一例について、詳細に説明を行う。
【0043】
先ず、図5(a)に示す様に表示領域101に形成したゲート電極2及び額縁領域102に形成した配線層2aの上を含む透明絶縁性基板1上にゲート絶縁膜3、結晶性を有する半導体膜である結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51を形成した後、ゲート絶縁膜3上にフォトレジスト31を形成する。ここまでは、実施の形態1と同様で良いことから詳細な製造方法は省略する。続いて、図5(b)に示す様に無機絶縁膜51上のフォトレジスト31に公知のハーフトーンマスク33を介して露光32を行うことにより、領域により三段階の異なる強度の露光を行う。以下、本実施の形態2のハーフトーンマスク33の構成について詳細に説明を行う。
【0044】
本実施の形態2のハーフトーンマスク33は、第一の光透過性領域33aと第二の光透過性領域33bと第三の光透過性領域33cを備えており、少なくとも一つの中間調露光領域を備える。ここでは、第二の光透過性領域33bが、中間調露光領域であり、第一の光透過性領域33aと第三の光透過領域33cとの中間の光透過性を有すれば良い。具体的な構成としては、均一な所定の光透過性を有する膜により形成されても良いし、露光解像度以下の微細パターンに遮光膜を形成して実質的な光透過性を落としても良い。また、第一の光透過性領域33aは、ここでは、光を全く遠さない遮光領域とした。但し、少なくとも第二の光透過性領域33bよりも光透過性の低い領域であれば良く、若干の光透過性を有する中間調露光領域としても構わない。逆に第三の光透過領域33cは、殆ど光を遮断しない開口領域とした。但し、少なくとも第二の光透過性領域33bよりも光透過性の高い領域であれば良く、若干量、光を遮断する中間調露光領域としても構わない。
【0045】
この様なハーフトーンマスク33を介して露光32を実施することにより、フォトレジスト31には、領域により三段階の異なる強度、即ち、三段階の異なる光量の露光が行われる。この三段階の異なる強度或いは光量の露光により、露光強度或いは露光光量に応じて、フォトレジスト31における露光される深さ或いは度合いが異なることから、其々の領域には露光深さ或いは露光度合いが異なる露光領域31aが形成される。なお、ここでは、図5(b)に示す様に露光領域31aの厚みを変えて示しているが、露光強度或いは露光光量に応じてフォトレジスト31の感光の程度が変わるものであり、必ずしも感光された領域となる露光領域31aの深さが変わるとは限らない。即ち、ここで説明した露光領域31aの厚さは、あくまでも感光の程度に対する目安を示したものである。従って、必ずしも感光される深さ自体を示すものではなく、感光される度合いと読み替えても良い。なお、本実施の形態2においてはポジ型フォトレジストを用いたので、露光強度或いは露光光量に応じて、露光強度或いは露光光量が大きい領域では、露光領域31aが厚く、或いは感光の進み度合いが大きく形成される。また、後に行う所定の条件の現像処理により、露光領域31aの深さ或いは露光領域31aの感光の度合いに応じて、露光強度或いは露光量が大きいほど、結果的に除去される露光領域31aの厚みが大きくなり、現像後に残存するフォトレジストの膜厚が薄く形成される。また、ここでは、第一の光透過性領域33aに対応する領域では、露光領域31aが形成されず、第二の光透過性領域33bでは、フォトレジスト31の膜厚方向の一部において露光領域31aが形成され、第三の光透過領域33cに対応する領域では、フォトレジスト31の膜厚全てに渡って露光領域31aが形成される。なお、第一の光透過性領域33aに光透過性を有しても良いことから、第一の光透過性領域33aに対応する領域でも第二の光透過性領域33bよりも薄い露光領域31aを形成しても構わない。また、第一の光透過性領域33aは、チャネル保護膜5を形成する領域に対応し、第三の光透過領域33cは、額縁領域102に形成した配線層2a上のゲート絶縁膜3を開口するコンタクトホール13を形成する領域に対応する。第二の光透過性領域33bはゲート絶縁膜3を残存させる残りの領域に対応する。以上の様に形成された露光領域31aに対して、続いて、現像処理を行うことによって、露光領域31aを除去する。その結果、図5(c)に示す様に、チャネル保護膜5を形成する領域において厚みの大きい厚膜部34aと、コンタクトホール13を形成する領域において開口部34cを有したフォトレジスト34が形成される。
【0046】
続いて、上記の様に形成されたフォトレジスト34を介して、ドライエッチング処理を行うことにより、フォトレジスト34における開口部34cにおいて、配線層2a上のゲート絶縁膜3、結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51が除去される。その結果、配線層2a上の所定の領域において、ゲート絶縁膜3を開口するコンタクトホール13が形成される。以上の工程により、図6(a)に示す構成が得られる。続いて、O2ガスを用いたプラズマ処理を用いたアッシング処理35によって、フォトレジスト34を削る減厚工程を行い、厚みの大きい厚膜部34aを残してフォトレジスト34を除去する。残存されたフォトレジスト34における厚膜部34aは、チャネル保護膜5を形成する領域に対応して残存される。以上の工程により、図6(b)に示す構成が得られる。なお、アッシング時間は予め決めておいても良く、その場合、フォトレジスト34における厚みの大きい厚膜部34aにおける膜厚と、厚みの大きい厚膜部34a以外の膜厚を評価しておくことで、厚みの大きい厚膜部34a以外の膜厚を全て除去可能な時間と、厚みの大きい厚膜部34aにおける膜厚がエッチングされる時間との間に適宜アッシング時間を設定すれば良い。また、チャネル保護膜5となる無機絶縁膜51表面のフォトレジスト34が除去されて、無機絶縁膜51がアッシングのプラズマに曝されたときに生じる発光現象をモニターし、処理中にアッシング時間を決めるようにしてもよい。
【0047】
続いて、残存されたフォトレジスト34における厚膜部34aをマスクとして、無機絶縁膜51をドライエッチング法により除去し、チャネル保護膜5を形成する。その結果、図6(c)に示す構成が得られる。このドライエッチング法を用いた無機絶縁膜51の除去処理については、実施の形態1と同様で構わないので説明を省略する。その後、実施の形態1と同様に公知の写真製版法により半導体層4を形成する領域に対応してフォトレジスト36を形成し、図6(d)に示す構成が得られる。更にフォトレジスト36をマスクとして、結晶性半導体膜41をドライエッチング法により除去し、所定の形状のパターンに加工し、半導体層4を形成する。その結果、実施の形態1において説明を行った図3(d)に示す構成が得られる。以下、実施の形態1と同様の製造工程で良いことから、説明を省略する。
【0048】
以上説明の実施の形態2における液晶表示装置の製造方法では、チャネル保護膜5を加工形成するためのマスク工程と、ゲート電極2と同層に形成された配線層2aとソース電極6及びドレイン電極7と同層に形成された配線層6aとを直接接続する配線変換部12を構成するコンタクトホール13を加工形成するためのマスク工程において、写真製版工程を共通化し、1回の写真製版工程により形成することができる。従って、実施の形態1と同様の効果を得られるとともに、マスク工程数を1つ減少させることにより、生産性を向上させることができる。また、生産時にかかる電力、その他エネルギー、或いはフォトレジスト、現像液、その他原材料費など、製造コストを削減できる効果も得られる。
【0049】
実施の形態3.
実施の形態2においては、実施の形態1で説明した製造方法よりマスク工程を一工程削減する方法として、チャネル保護膜5を加工形成するためのマスク工程と、ゲート電極2と同層に形成された配線層2aとソース電極6及びドレイン電極7と同層に形成された配線層6aとを直接接続する配線変換部12を構成するコンタクトホール13を加工形成するためのマスク工程において、写真製版工程を共通化する方法について説明を行った。続いて、マスク工程を一工程削減する別の方法である実施の形態3の液晶表示装置の製造方法について説明を行う。なお、本実施の形態3の製造方法における実施の形態2の製造方法からの変更点については、チャネル保護膜5、半導体層4、及びコンタクトホール13の形成工程の違いのみであり、液晶表示装置の構成及び製造方法におけるその他の工程などについては、同一の構成或いは同一の方法で良いことから、以下、実施の形態2との変更部であるチャネル保護膜5、半導体層4、及びコンタクトホール13の形成工程を重点的に説明し、実施の形態1或いは実施の形態2と同じ、液晶表示装置の構成及び製造工程については適宜説明を省略する。
【0050】
先ず、実施の形態2における図5(c)と同様に、本実施の形態3においては、図7(a)に示す様に、表示領域101に形成したゲート電極2及び額縁領域102に形成した配線層2aの上を含む透明絶縁性基板1上にゲート絶縁膜3、結晶性を有する半導体膜である結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51を形成した後、ゲート絶縁膜3上に半導体層4を形成する領域において厚みの大きい厚膜部34bと、コンタクトホール13を形成する領域において開口部34cを有したフォトレジスト34が形成される。実施の形態2との相違点としては、実施の形態2においては、チャネル保護膜5を形成する領域に対応して厚みの大きい厚膜部34aが形成されていたが、本実施の形態3においては、半導体層4を形成する領域に対応して形成される厚膜部34bに変更される点のみである。従って、実施の形態2において説明したハーフトーンマスク33を用い領域により三段階の異なる強度の露光を行う工程についても同様で良く、ハーフトーンマスク33における第一の光透過性領域33aのみを半導体層4を形成する領域に対応するように変更すれば良い。
【0051】
続いて、上記の様に形成されたフォトレジスト34を介して、ドライエッチング処理を行うことにより、フォトレジスト34における開口部34cにおいて、配線層2a上のゲート絶縁膜3、結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51が除去される。その結果、配線層2a上の所定の領域において、ゲート絶縁膜3を開口するコンタクトホール13が形成される。続いて、O2ガスを用いたプラズマ処理を用いたアッシング処理35によって、フォトレジスト34を削る減厚工程を行い、厚みの大きい厚膜部34bを残してフォトレジスト34を除去する。残存されたフォトレジスト34における厚膜部34bは、半導体層4を形成する領域に対応して残存される。以上の工程により、図7(b)に示す構成が得られる。続いて、残存されたフォトレジスト34における厚膜部34bをマスクとして、無機絶縁膜51及び結晶性半導体膜41をドライエッチング法により除去し、半導体層4及び半導体層4と同じ形状のパターンに加工された無機絶縁膜51が得られる。その結果、図7(c)に示す構成が得られる。その後、実施の形態1と同様に公知の写真製版法によりチャネル保護膜5を形成する領域に対応してフォトレジスト36を形成し、図7(d)に示す構成が得られる。更にフォトレジスト36をマスクとして、半導体層4と同じ形状のパターンに加工された無機絶縁膜51をドライエッチング法により除去し、所定の形状のパターンに加工し、チャネル保護膜5を形成する。このドライエッチング法を用いた無機絶縁膜51の除去処理については、基本的には実施の形態1と同様で構わないので詳細な説明を省略するが、実施の形態1と比較して、図7(d)から分かる様に、半導体層4及び同じ形状のパターンに加工された無機絶縁膜51に覆われる部分を除くゲート絶縁膜3が露出された状態で行われる点が異なる。従って、無機絶縁膜51を除去するドライエッチング処理により、ゲート絶縁膜3についても表面がエッチングされる点が異なる。従って、本実施の形態3においては、これら露出されたゲート絶縁膜3の膜減り量を少なくする点からは、実施の形態2や実施の形態3に比較すると無機絶縁膜51を薄く形成しておくことが望ましい。但し、本実施の形態3においては、実施の形態2や実施の形態3と同様に、ゲート絶縁膜3を下層がSiN膜であり、上層がSiO膜の積層膜により構成している。従って、全てSiN膜とした場合と比べ、無機絶縁膜51を構成するSiO膜を除去するドライエッチング処理に対するゲート絶縁膜3の膜減り量を少なくすることができる。以上説明した無機絶縁膜51の除去処理の結果、実施の形態1において説明を行った図3(d)に示す構成が得られる。以下、実施の形態1と同様の製造工程で良いことから、説明を省略する。
【0052】
以上説明の実施の形態3における液晶表示装置の製造方法では、半導体層4を加工形成するためのマスク工程と、ゲート電極2と同層に形成された配線層2aとソース電極6及びドレイン電極7と同層に形成された配線層6aとを直接接続する配線変換部12を構成するコンタクトホール13を加工形成するためのマスク工程において、写真製版工程を共通化し、1回の写真製版工程により形成することができる。従って、実施の形態1と同様の効果を得られるとともに、マスク工程数を1つ減少させることにより、生産性を向上させることができるなど、実施の形態2と同様の効果が得られる。
【0053】
なお、上記説明の実施の形態3における液晶表示装置の製造方法に若干の変更を加えることにより、チャネル保護膜5を加工形成するためのマスク工程と半導体層4を加工形成するためのマスク工程を共通化し、マスク工程数を更に1つ減少させることが可能である。以下、マスク工程数を更に1つ減少させた実施の形態3の変形例について説明を行う。実施の形態3との変更部であるチャネル保護膜5の形成工程とソース電極6及びドレイン電極7の形成後の処理について重点的に説明し、実施の形態3と同じ製造工程については適宜説明を省略する。
【0054】
本実施の形態3の変形例においては、先ず、実施の形態3の製造方法において、図7(c)を用い説明した様に、残存されたフォトレジスト34における厚膜部34bをマスクとして、無機絶縁膜51及び結晶性半導体膜41をドライエッチング法により除去し、半導体層4及び半導体層4と同じ形状のパターンに加工された無機絶縁膜51を形成する工程を行う。続いて、図8に示す様にO2ガスを用いたプラズマ処理を用いたアッシング処理35によって、半導体層4を形成する領域に対応して残存されたフォトレジスト34における厚膜部34bを削る減厚工程を行う。その結果、厚膜部34bについては厚みが減少するとともに、厚膜部34bのパターン端面が後退する。即ち、図9(a)のTFT部における平面模式図にも示す様に、平面パターンにおいても、ほぼ等方的に厚膜部34bのパターン端面が後退し、厚膜部34bの覆う領域の面積についても縮小する。この様にして、厚膜部34bのパターン端面を後退する端面後退工程を行うことにより、厚膜部34bの覆う領域を縮小し、チャネル保護膜5を形成する領域を残して厚膜部34bを除去する。その結果、図8の断面図或いは図9(a)の平面図からも明らかな様に、図7(c)の状態において厚膜部34bにより覆われていた無機絶縁膜51の表面が露出される。なお、図7(c)の断面図から明らかな様に、図9(a)の平面図においても、無機絶縁膜51の下には同じ形状のパターンに加工された結晶性半導体膜41が存在している。続いて、面積を縮小し、チャネル保護膜5を形成する領域に対応して残された厚膜部34bをマスクとして、この厚膜部34bにより覆われる領域を除いて、無機絶縁膜51をドライエッチング法により除去し、チャネル保護膜5を形成する。このドライエッチング法を用いた無機絶縁膜51の除去処理については、実施の形態3と同様で構わないので説明を省略する。以上の様にして、チャネル保護膜5が形成され、無機絶縁膜51が除去された部分においては、結晶性半導体膜41の表面が露出される。断面図としては、チャネル保護膜5の形状において微差は生ずるが実施の形態1における図3(d)とほぼ同様の構成となる。続いて、実施の形態1において説明を行ったオーミックコンタクト層であるn+Si層を形成するためのチャネル保護膜5で覆われている領域以外の半導体層4へのイオンドーピング工程と、ソース電極6、ドレイン電極7及び配線層6aを形成する工程を順次行うことにより、断面図としては実施の形態1における図3(f)とほぼ同様の構成、平面図としては、図9(c)の構成が得られる。図9(c)に示す様に、チャネル保護膜5で覆われている領域以外の結晶性半導体膜41には、オーミックコンタクト層であるn+Si層が形成されており、実施の形態1と同様にソース電極6及びドレイン電極7の下部においては、其々ソース領域4s及びドレイン領域4dが形成されているが、本変形例においては、ソース領域4s及びドレイン領域4d間にも導電層であるn+Si層からなる不純物半導体領域4iが形成されており、ソース領域4s及びドレイン領域4d間が導電層により連結されている。従って、この図9(c)の構成のままでは、TFTとして機能しないことから、本変形例においては、この不純物半導体領域4iを除去し、ソース領域4s及びドレイン領域4dを分離する工程が必要となる。具体的な処理としては、実施の形態1において説明を行った半導体層4表面のシリサイド膜を除去するドライエッチング処理を行い。続いて、実施の形態1において示唆したn+Si層を加工除去するドライエッチング処理を行うと良い。この処理により、図9(d)の平面模式図に示す様に、ソース電極6、ドレイン電極7、及びチャネル保護膜5に覆われない領域におけるn+Si層、即ち、不純物半導体領域4iが除去される。なお、不純物半導体領域4iが除去された領域を図中点線で囲み示している。以降は、実施の形態3と同じ製造工程で良いことから説明を省略する。
【0055】
以上説明の実施の形態3の変形例においては、半導体層4のパターンを形成するためのマスクとして使用されたフォトレジストに対して、パターン端面を後退する端面後退工程を行い、チャネル保護膜5を形成するマスクに変形して使用することにより、チャネル保護膜5を加工形成するためのマスク工程と半導体層4を加工形成するためのマスク工程を共通化することができる。その結果、実施の形態2或いは実施の形態3の製造方法より更に1つマスク工程数を減少させることができる。なお、マスク工程数が減少する代わりに、厚膜部34bの面積を縮小させるアッシング工程やn+Si層を除去しソース領域4s及びドレイン領域4d間を分離するドライエッチング工程が別途必要となるが、これらの代替工程については、写真製版工程と比較し、生産性や製造コストの面での悪影響が少なく、製造方法トータルとしての生産性は向上し、製造コストも低減される。従って、本変形例においては、実施の形態3で得られる効果に加え、更に生産性を向上できるなどの効果が得られる。また、領域により三段階の異なる強度の露光を行うことのできる実施の形態2或いは実施の形態3と同様の公知の比較的一般的なハーフトーンマスクを用いても良いことから、比較的容易に前記の生産性向上などの効果が得られる。
【0056】
実施の形態4.
実施の形態2及び実施の形態3においては、実施の形態1で説明した製造方法よりマスク工程を一工程削減する方法として、チャネル保護膜5或いは半導体膜4を加工形成するためのマスク工程と、ゲート電極2と同層に形成された配線層2aとソース電極6及びドレイン電極7と同層に形成された配線層6aとを直接接続する配線変換部12を構成するコンタクトホール13を加工形成するためのマスク工程において、写真製版工程を共通化する方法について説明を行った。また、実施の形態3の変形例においては、チャネル保護膜5を加工形成するマスク工程と半導体膜4を加工形成するマスク工程についても共通化し、更にマスク工程を一工程削減する方法について説明を行った。ここでは、チャネル保護膜5を加工形成するマスク工程と半導体膜4を加工形成するマスク工程について共通化する別の方法である実施の形態4の液晶表示装置の製造方法について説明を行う。なお、本実施の形態4の製造方法における実施の形態2或いは実施の形態3の製造方法からの変更点については、チャネル保護膜5、半導体層4、及びコンタクトホール13の形成工程の違いのみであり、液晶表示装置の構成及び製造方法におけるその他の工程などについては、同一の構成或いは同一の方法で良いことから、以下、実施の形態2或いは実施の形態3との変更部であるチャネル保護膜5、半導体層4、及びコンタクトホール13の形成工程を重点的に説明し、実施の形態1、実施の形態2或いは実施の形態3と同じ、液晶表示装置の構成及び製造工程については適宜説明を省略する。
【0057】
先ず、実施の形態2において使用した図5(a)に示す様に表示領域101に形成したゲート電極2及び額縁領域102に形成した配線層2aの上を含む透明絶縁性基板1上にゲート絶縁膜3、結晶性を有する半導体膜である結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51を形成した後、ゲート絶縁膜3上にフォトレジスト31を形成する。ここまでは、実施の形態1、実施の形態2或いは実施の形態3と同様で良いことから詳細な製造方法は省略する。続いて、図10(a)に示す様に無機絶縁膜51上のフォトレジスト31に本実施の形態4のハーフトーンマスク37を介して露光32を行うことにより、領域により四段階の異なる強度の露光を行う。以下、本実施の形態4のハーフトーンマスク37の構成について詳細に説明を行う。
【0058】
本実施の形態4のハーフトーンマスク37は、第一の光透過性領域37aと第二の光透過性領域37b1と第三の光透過性領域37b2と第四の光透過性領域37cを備えている。第一の光透過性領域37aは、ここでは、光を全く遠さない遮光領域とした。但し、少なくとも第二の光透過性領域37b1よりも光透過性の低い領域であれば良い。逆に第四の光透過領域37cは、殆ど光を遮断しない開口領域とした。但し、少なくとも第三の光透過性領域37b2よりも光透過性の高い領域であれば良い。第二の光透過性領域37b1及び第三の光透過性領域37b2は、中間調露光領域であり、第一の光透過性領域37aと第四の光透過領域37cとの中間の光透過性を有すれば良く、更に第二の光透過性領域37b1は少なくとも第三の光透過性領域37b2よりも光透過性の低い領域であれば良い。また、第二の光透過性領域37b1及び第三の光透過性領域37b2は、其々異なる均一な所定の光透過性を有する膜により形成されても良いし、露光解像度以下の微細パターンに遮光膜を形成して実質的な光透過性を落とし、其々異なる実質的な光透過性を有する領域としても良い。
【0059】
この様なハーフトーンマスク37を介して露光32を実施することにより、フォトレジスト31には、四段階の異なる強度の露光が行われ、露光強度に応じてフォトレジスト31の露光し感光される深さが異なることから、其々の領域には露光厚さが異なる露光領域31aが形成される。ここでは、第一の光透過性領域37aに対応する領域では、露光領域31aが形成されない。第二の光透過性領域37b1では、フォトレジスト31の膜厚方向の一部において露光領域31aが形成され、第三の光透過性領域37b2では、第二の光透過性領域37b1の場合と比較して、より厚い露光領域31aが形成される。更に第四の光透過領域37cに対応する領域では、フォトレジスト31の膜厚全てに渡って露光領域31aが形成される。なお、実施の形態2でも説明したとおり、第一の光透過性領域37aに光透過性を有しても良いことから、第一の光透過性領域37aに対応する領域でも第二の光透過性領域37b1よりも薄い露光領域31aを形成しても構わない。また、第一の光透過性領域37aは、チャネル保護膜5を形成する領域に対応し、第二の光透過性領域37b1は、半導体層4を形成する領域に対応し、第四の光透過領域37cは、額縁領域102に形成した配線層2a上のゲート絶縁膜3を開口するコンタクトホール13を形成する領域に対応する。第三の光透過性領域37b2はゲート絶縁膜3を残存させる残りの領域に対応する。続いて、現像処理によって、露光して感光した露光領域31aを除去することにより、図10(b)に示す様に、半導体層4を形成する領域において厚みの大きい第一の厚膜部38bと、チャネル保護膜5を形成する領域において、第一の厚膜部38bより更に厚みの大きい第二の厚膜部38aと、コンタクトホール13を形成する領域において開口部38cを有したフォトレジスト38が形成される。
【0060】
続いて、上記の様に形成されたフォトレジスト38を介して、ドライエッチング処理を行うことにより、フォトレジスト38における開口部38cにおいて、配線層2a上のゲート絶縁膜3、結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51が除去される。その結果、配線層2a上の所定の領域において、ゲート絶縁膜3を開口するコンタクトホール13が形成される。続いて、O2ガスを用いたプラズマ処理を用いたアッシング処理35によって、フォトレジスト38を削る減厚工程を行い、厚みの大きい厚膜部38a及び厚膜部38bを残してフォトレジスト38を除去する。残存されたフォトレジスト38における厚膜部38a及び厚膜部38bは、半導体層4を形成する領域に対応して残存される。以上の工程により、図11(a)に示す構成が得られる。続いて、残存されたフォトレジスト38における厚膜部38a及び厚膜部38bをマスクとして、無機絶縁膜51及び結晶性半導体膜41をドライエッチング法により除去し、半導体層4及び半導体層4と同じ形状のパターンに加工された無機絶縁膜51が得られる。その結果、図11(b)に示す構成が得られる。続いて、O2ガスを用いたプラズマ処理を用いたアッシング処理35によって、フォトレジスト38を削る減厚工程を行い、厚みの大きい厚膜部38aを残してフォトレジスト38の厚膜部38bを除去する。残存されたフォトレジスト38における厚膜部38aは、チャネル保護膜5を形成する領域に対応して残存される。以上の工程により、図11(c)に示す構成が得られる。更に残存されたフォトレジスト38における厚膜部38aをマスクとして、半導体層4と同じ形状のパターンに加工された無機絶縁膜51をドライエッチング法により除去し、所定の形状のパターンに加工し、チャネル保護膜5を形成する。このドライエッチング法を用いた無機絶縁膜51の除去処理については、実施の形態3と同様で構わないので説明を省略する。その結果、実施の形態1において説明を行った図3(d)に示す構成が得られる。以下、実施の形態1と同様の製造工程で良いことから、説明を省略する。
【0061】
以上説明の実施の形態4における液晶表示装置の製造方法では、半導体層4を加工形成するためのマスク工程と、チャネル保護膜5を加工形成するためのマスク工程と、ゲート電極2と同層に形成された配線層2aとソース電極6及びドレイン電極7と同層に形成された配線層6aとを直接接続する配線変換部12を構成するコンタクトホール13を加工形成するためのマスク工程において、写真製版工程を共通化し、1回の写真製版工程により形成することができる。従って、実施の形態1と同様の効果を得られるとともに、マスク工程数を実施の形態1に比べて2つ、実施の形態2或いは実施の形態3に比べて1つ減少させることができ、生産性を向上させるなどの効果が得られる。
【0062】
なお、以上説明を行った実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4及びその変形例で用いた厚みの大きい厚膜部と開口部を有したフォトレジストの様に、領域により異なる厚みを有したフォトレジストを形成する方法としては、上記説明の領域により異なる光透過率を有するハーフトーンマスクを介して露光を実施する方法以外にも方法がある。例えば、露光工程が二回以上必要となるが、一般的な開口領域と遮光領域を有したフォトマスクを複数種類用意し、其々のフォトマスクで開口領域を変え、更に、其々を用いた異なる照射光量の露光を行うことで、領域毎に三種類以上の異なる強度の露光を行うことができる。この方法によっても、領域により異なる厚みを有した同様のフォトレジストを形成することができる。この場合には、中間調露光領域を有するハーフトーンマスクを準備することなく、一般的なフォトマスクのみで形成することが可能である。また、実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4及びその変形例においては、ポジ型のレジストを使用した場合を例として説明を行ったが、ネガ型のレジストを使用しても良く、その場合、露光の際における照射光量の大小関係或いは開口領域と遮光領域の関係が逆になるのは言うまでもない。
【0063】
なお、以上説明を行った実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4、及びこれら変形例においては、実施の形態1と同様に、TFTを用いた半導体装置の一例として、液晶表示装置を例にとって説明を行ったが、実施の形態1において転用の可能性について説明を行った様に、液晶以外の表示装置として有機EL表示装置などの平面型表示装置(フラットパネルディスプレイ)や、表示装置以外の半導体装置であるイメージセンサなどの光電変換装置などにも用いることも可能であり、実施の形態1において説明した各構成に対応した効果に加え、上記説明の実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4、及びこれら変形例で得られる効果と同様の効果が得られる。
【0064】
以上の様に本発明の実施の形態及びその変形例について説明を行ったが、各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変形が含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1 透明絶縁性基板、1a マザーアレイ基板、1b マザー対向基板、
10 マザー液晶セル基板、10a、10b、・・10x、・・10n 液晶セル基板、
2 ゲート電極、2a 配線層、3 ゲート絶縁膜、
30 イオン注入処理、31、34、36、38 フォトレジスト、
31a 露光領域、32 露光、33、37 ハーフトーンマスク、
33a、37a 第一の光透過性領域、33b、37b1 第二の光透過性領域、
33c、37b2 第三の光透過性領域、37c 第四の光透過性領域、
34a、34b、38a、38b 厚膜部、34c、38c 開口部、
35 アッシング処理、
4 半導体層、4c チャネル領域、4s ソース領域、4d ドレイン領域、
41 結晶性半導体膜、4i 不純物半導体領域、
5 チャネル保護膜、51 無機絶縁膜、
6 ソース電極、6a 配線層、7 ドレイン電極、8 保護絶縁膜、
9、13 コンタクトホール、11 画素電極、12 配線変換部、
100 TFTアレイ基板、101 表示領域、102 額縁領域、
103 走査信号駆動回路、104 表示信号駆動回路、105 画素、
106、107 外部配線、108 画素TFT、109 ゲート配線、
110 ソース配線、111 蓄積容量、112 蓄積容量配線、
120、120a、120b、・・120x、・・120n シール。
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及び光電変換装置などの薄膜トランジスタを備えた半導体装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からの一般的な薄型パネル表示装置の一つである液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)は、低消費電力や小型軽量といったメリットを活かしてパーソナルコンピュータや携帯情報端末機器におけるモニターなどに広く用いられている。また近年ではブラウン管に代わってTV用途としても広く用いられる様になった。更に、LCDで問題となる視野角、コントラスト、動画表示に必要な応答速度などの問題点をクリアした電界発光型EL(Electro Luminescence)表示装置も、薄型パネル表示装置として用いられる様になってきている。これらの表示装置においては、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)を備えた半導体装置である点で共通している。また、TFTを備えた半導体装置という点で共通するものとしては、これら表示装置以外にもあり、イメージセンサなどの光電変換装置などが挙げられる。これらTFTを備えた半導体装置に用いられるTFTの構造としては、半導体膜を用いたMIS(Metal−Isulator−Semiconductor)構造が多用される。TFTには、ボトムゲート型(逆スタガ型とも呼ぶ)TFT構造やトップゲート型(コプレーナ型とも呼ぶ)TFT構造といった種類がある。半導体膜にも結晶性を有しない半導体膜(非晶質半導体膜或いはアモルファス半導体膜と呼ばれる)や結晶性を有する半導体膜(多結晶半導体膜と呼ばれる)がある。それらTFT構造や半導体膜の種類は表示装置の用途や性能により適宜選択される。特に、結晶性を有する半導体膜を用いたTFTでは、信頼性が高く、電界効果移動度が大きいなど優れたトランジスタ特性のTFTが得られる。従って、これら結晶性を有する半導体膜を用いたTFTを使うと、ガラス基板上に駆動回路を直接形成すること(駆動回路内蔵型とも呼ばれる)ができ、狭額縁化や外付けIC(Integrated Circuit)などの部材点数を減らすことによる低コスト化などを実現できる利点がある。また、最近では結晶性を有する半導体膜の一種として、結晶粒径が比較的微細な半導体膜(微結晶半導体膜と呼ばれる)についてもTFTに使用される様になってきている。一般的な多結晶半導体膜の作成方法としては、下地膜となる酸化シリコン膜などの上層に形成された非晶質半導体膜に対し、レーザー光を照射することにより非晶質半導体膜を多結晶半導体膜に変換する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。また微結晶半導体膜の形成方法としては、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により堆積する方法が知られている(例えば特許文献2参照)。
【0003】
一方、この様なTFTを備えた半導体装置の製造には複数のマスク工程(薄膜上に所定形状のレジストパターンを写真製版により形成する工程と形成されたレジストパターンをマスクとして薄膜を所定形状に加工する工程までの一連の工程)が必要となるが、製造工程において、マスク工程における、特に写真製版工程は占める時間と費用が大きく、生産性、コストの観点から、マスク工程数を減らすことが望まれている。従って、できる限り少ないマスク工程数で製造可能なTFT構造が望ましい。比較的少ないマスク工程数で製造可能なTFT構造として、逆スタガ型TFT構造が挙げられる。更に逆スタガ型TFT構造において、特にマスク数の少ない構造として、チャネル部背面をエッチングするバックチャネルエッチ型TFT構造があり、非晶質半導体膜を用いたTFTにおいて使用されることが多い。また、TFTを備えた半導体装置の製造時においては、半導体装置の種類により若干異なるが、TFTの形成と同時に、TFTと接続される画素電極、外部端子を構成する端子電極、及び配線変換部などの構成についても形成する必要がある。従って、結局、上記説明したマスク工程数を減らす為には、これらの構成の形成とTFT構造の形成に必要なマスク工程数全体を減らすことが重要となる。以上の様にTFTを備えた半導体装置の製造に必要なマスク工程数全体を有効に減らす方法として、TFT構造としては、マスク工程数の少ないバックチャネルエッチ型TFT構造を採用し、更に、画素電極、端子電極、及び配線変換部の形成を、できるだけTFT構造の形成と共通したマスク工程により行うことが考えられる。例えば、特許文献3においては、バックチャネルエッチ型TFT構造を採用し、配線変換部の形成については、変換部の配線をTFTにおけるゲート電極、ソース・ドレイン電極の形成と共通のマスク工程で形成し、更に、接続するコンタクトホールをTFTと画素電極を接続するコンタクトホールの形成と共通のマスク工程で形成するなど、マスク工程数を削減する工夫を行ったLCDの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−17505号公報
【特許文献2】特開平8−97436号公報
【特許文献3】特開2000−81638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1や特許文献2に示した多結晶半導体膜を用いたTFTにおいては、マスク工程数が多いにも関わらずコプレーナ型TFT構造を採用する場合が多く、結果的にはマスク工程削減が行われていない。理由としては、多結晶半導体膜を用いたバックチャネルエッチ型TFT構造を実現するにあたり、幾つか解決されない問題点があるからである。先ず、第一の問題点より説明する。バックチャネルエッチ型TFT構造におけるバックチャネルエッチング処理は半導体膜上に形成されたオーミックコンタクト層(n型不純物を含むシリコン層、以下n+Si層)をエッチング除去し分離する為に行う。このエッチングの際のn+Si層と半導体膜とのエッチング選択性は大きくないことから、n+Si層を確実に分離可能なエッチング条件と、半導体膜を一部削りながらも半導体膜が分離されずに残ることが可能なエッチング条件の間の条件に設定し行われる。更に基板面内のn+Si層の膜厚ばらつきやエッチングレートのばらつきを考慮すると、半導体膜が分離されずに残るために膜厚をある程度厚く設定する必要がある。この様な状況において、非晶質半導体膜を用いる場合には比較的自由に厚みを厚くすることが可能であるが、多結晶半導体膜を用いる場合には厚く形成することが非常に困難である。理由としては、多結晶半導体膜はレーザー光を照射し非結晶半導体膜より変換する方法とプラズマCVD法により直接堆積する方法の何れかにより形成されるが、前者の方法では一般的なレーザー光の侵入深さの制限により厚い非結晶半導体膜を多結晶半導体膜に変換することが難しく、後者の方法では成膜レートが非常に遅いために厚い多結晶半導体膜を得ることは現実的な生産性の点で困難である。この様に厚い多結晶半導体膜を形成することは困難であることから、多結晶半導体膜を用いた逆スタガ型TFT構造を実現することが難しいというのが第一の問題点である。この第一の問題点に対しては、回避策として、多結晶半導体膜を下層とし、比較的厚い非晶質半導体膜を上層とした積層膜を半導体膜として用いることによって、バックチャネルエッチングに対するプロセスマージンを確保しながら多結晶半導体膜を用いた逆スタガ型TFT構造を形成する方法がある。しかしながら、この様な非晶質半導体膜と多結晶半導体膜の積層膜を用いた逆スタガ型TFT構造においても、第二の問題点が残存する。この非晶質半導体膜と多結晶半導体膜の積層膜において、非晶質半導体膜は光吸収係数が高く電子−ホール対が発生しやすい。また、多結晶半導体膜はホール移動度が高いという特性を有している。従って、例えばバックライトなどから光照射された際には、非晶質半導体膜で生成したホールが多結晶半導体膜へ注入されると考えられる。その結果、作成したTFTのゲート電極にマイナスバイアスを印加した場合には、リーク電流が増大してクロストークなどが視認され、表示品質が低下するという問題が生じることがこれまでの検討で分かっている。以上説明の第一の問題点及び第二の問題点により、多結晶半導体膜を用いバックチャネルエッチ型TFT構造を得ることは難しく、結果的には、多結晶半導体膜を用い優れたトランジスタ特性を有したTFTを備えた半導体装置を少ないマスク工程数で製造することができなかった。
【0006】
また、特許文献3のLCDの製造方法においては、配線変換部における配線間を接続するコンタクトホールの形成をTFTと画素電極を接続するコンタクトホールの形成と共通のマスク工程で行うために、配線間を画素電極として形成するITOなどの透明導電性酸化膜を介して接続する構造を採用している。しかしながら、この様な配線変換部は、例えば、外部端子部や駆動回路部などのパネル周辺領域で用いられ、大気に曝される位置に配置されることも多い。更に、LCDに限られず駆動回路内蔵型の半導体装置では、駆動回路内部において配線間が近接して配置されることから、この配線変換部と該配線変換部とは異なる電位が印加される配線間も近接して配置される。また、LCDでは、この配線変換部とは異なる電位が印加されるものとして、カラーフィルタ基板表面の対向電極が存在する。この対向電極は、対向配置される基板間距離を置いて、配線変換部に比較的近接して配置される。これら配線変換部と該配線変換部とは異なる電位が印加される配線或いは電極間の近接部において、大気中での結露などが生じた場合、電位差と水分により電気化学反応が生ずる。また、LCDの場合、液晶中の水分を溶媒として、同様の電位差により電気化学反応を生ずる場合もある。以上の様にして電気化学反応が生じた結果として、配線変換部において透明導電性酸化膜が還元腐食することを起因とする断線などが発生することがこれまでの検討で分かっている。なお、LCDでは基板間を貼り合わせて液晶を保持するシールに囲まれた領域の外側の領域、特にシール近傍では結露などによる水分が生じやすく、上記電気化学反応を生じ易い。また、シール近傍ではシールに囲まれた領域の内側外側を問わずシール側壁に付着した不純物を媒介として電流パスが形成されて、シール側壁の表面を微小な電流が流れることも、上記電気化学反応を助長する。
【0007】
以上説明のとおり、TFTを備えた半導体装置において、トランジスタ特性の向上と信頼性の向上を両立し、更に、マスク工程数が少なく生産性の高い半導体装置を得ることのできる有効な方法は実現されていなかった。
【0008】
本発明は上記の様な問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、TFTを備えた半導体装置において、トランジスタ特性の向上と信頼性の向上を両立させること、その製造方法において、マスク工程数を低減し生産性を向上させることを実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の半導体装置においては、薄膜トランジスタ基板に内蔵された駆動回路を備え、この薄膜トランジスタ基板は、絶縁性基板上に形成されたゲート電極と、前記絶縁性基板及び前記ゲート電極上に形成されるゲート絶縁膜と、このゲート絶縁膜上に形成され、少なくとも一部において結晶性半導体部分を有し、該結晶性半導体部分を含んでチャネル領域が形成される半導体層と、この半導体層におけるチャネル領域上に形成され、チャネル領域を保護するチャネル保護膜と、この半導体層に接続されたソース電極及びドレイン電極を備える薄膜トランジスタ、並びに、前記の絶縁性基板上に前記のゲート電極と同層に形成された第一配線層と、前記のソース電極及びドレイン電極と同層に形成された第二配線層を、前記の駆動回路内部において、前記のゲート絶縁膜を開口して設けられたコンタクトホールを介して直接接触させて電気的に接続させる配線変換部を備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、リーク電流が低く、電界効果移動度が高いなどの優れた特性を有するTFTを備え、駆動回路を内蔵して外付けICなどの部材点数を減らすことが可能な半導体装置において、駆動回路内部における電気化学反応による腐食などを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1の液晶表示装置における液晶表示パネルを示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態1の液晶表示装置に用いられるTFTアレイ基板を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1の液晶表示装置に用いられるTFTアレイ基板の製造方法を説明する断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1の液晶表示装置における製造過程となるマザー液晶セル基板を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態2の液晶表示装置に用いられるTFTアレイ基板の製造方法を説明する断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2の液晶表示装置に用いられるTFTアレイ基板の製造方法を説明する断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3の液晶表示装置に用いられるTFTアレイ基板の製造方法を説明する断面図である。
【図8】本発明の実施の形態3の変形例となる液晶表示装置に用いられるTFTアレイ基板の製造方法を説明する断面図である。
【図9】本発明の実施の形態3の変形例となる液晶表示装置に用いられるTFTの製造方法を説明する平面図である。
【図10】本発明の実施の形態4の液晶表示装置に用いられるTFTアレイ基板の製造方法を説明する断面図である。
【図11】本発明の実施の形態4の液晶表示装置に用いられるTFTアレイ基板の製造方法を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
初めにTFTを用いた半導体装置の一例として、液晶表示装置に対して本発明を適用した場合である本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本実施の形態1にかかる表示装置として機能する半導体装置である液晶表示装置における液晶表示パネルの構成を示した平面概略図である。なお、図は模式的なものであり、示された構成要素の正確な大きさなどを反映するものではない。また、図面が煩雑とならない様、発明の主要部以外の省略や構成の一部簡略化などを適宜行っている。以下の図においても同様とする。更に、以下の図においては、図中、既出の図において説明したものと同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0013】
本実施の形態1の液晶表示パネルは、二枚のガラス基板や石英基板などの光透過性を有する透明絶縁性基板が対向して配置されるが、図1に示す様に、一方の透明絶縁性基板には画像を表示する単位となる画素に対応して液晶へ電圧印加する表示電圧の供給のオンとオフを制御するスイッチング素子となる画素TFT108が配置されている。この画素TFT108が配置される基板について、TFTを備えていることから、薄膜トランジスタ基板(TFT基板)或いは、画素TFT108は画素毎にアレイ状に配置(配列して配置)されていることから、TFTアレイ基板100と呼ぶ。また、TFTアレイ基板100には、画像を表示する表示領域101と表示領域101を囲むように設けられた額縁領域102とが設けられている。この表示領域101には、複数のゲート配線(走査信号線)109、複数の蓄積容量配線112、及び複数のソース配線(表示信号線)110が形成されている。
【0014】
複数のゲート配線109及び複数の蓄積容量配線112は、対向して配置されており、其々が平行に設けられている。同様に、複数のソース配線110は其々が平行に設けられている。ゲート配線109及び蓄積容量配線112とソース配線110とは、互いに交差するとともに直交するように配置されている。そして、隣接するゲート配線109及び蓄積容量配線112と、隣接するソース配線110とで囲まれた領域が画素105となる。TFTアレイ基板100では画素105がマトリクス状に配列される。
【0015】
画素105内には、少なくとも1つの画素TFT108と、画素TFT108と接続された蓄積容量111が直列に接続されるように形成されている。画素TFT108は画素電極(図示省略)に表示電圧を供給するためのスイッチング素子となる。画素TFT108のゲート電極はゲート配線109に接続され、ゲート配線109から供給されるゲート信号によって画素TFT108のオンとオフを制御している。画素TFT108のソース電極はソース配線110に接続されている。画素TFT108がオンされると画素TFT108のソース電極側からドレイン電極側に電流が流れる。これによって、ドレイン電極に接続された画素電極に表示電圧が印加される。そして、画素電極と対向電極(後に詳細説明する)との間に、表示電圧に応じた電界が生じる。更に、蓄積容量111は画素電極と並列に接続されている。よって、画素電極に電圧印加されるのと同時に蓄積容量111にも電圧印加が生じる。また、蓄積容量111の容量は画素電極と対向電極との間の容量に比べ大きく設定されていることから、比較的長い一定時間、電荷を保持することができる。
【0016】
更に、TFTアレイ基板100の額縁領域102には、走査信号駆動回路103と走査信号駆動回路104とが設けられる。即ち、TFTアレイ基板100には、走査信号駆動回路103と走査信号駆動回路104よりなる駆動回路が内蔵されている。また、走査信号駆動回路103と走査信号駆動回路104は、表示領域101内の画素TFT108と同時に形成された駆動用TFT(図示省略)によって回路が構成されている。ゲート配線109は、表示領域101から額縁領域102まで延設されている。そして、ゲート配線109は、走査信号駆動回路103に接続される。そして、ソース配線110は、同様に表示領域101から延設され、走査信号駆動回路104に接続される。
【0017】
以下、液晶表示装置全体に関わるその他の構成の説明を行う。その他の構成としては、走査信号駆動回路103及び走査信号駆動回路104から、其々外部配線106及び外部配線107がTFTアレイ基板100の基板端二辺に設けられた外部端子に接続される。外部配線は、例えば、FPC(Flexible Printed Circuit)などの配線基板である。外部配線106及び外部配線107を介して走査信号駆動回路103及び走査信号駆動回路104に外部からの各種信号が供給される。それら信号に基づいて、走査信号駆動回路103によりゲート信号(走査信号)がゲート配線109に供給され、順次、TFT108が選択され、走査信号駆動回路104により表示信号がソース配線110に供給され、表示データに応じた表示電圧を各画素105に供給する。また、TFTアレイ基板100の最表面には配向膜が形成されている。TFTアレイ基板100は以上の様に構成される。
【0018】
更に、TFTアレイ基板100には対向基板が対向して配置されている(図示省略)。対向基板は、例えばカラーフィルタ基板であり、視認側に配置される。対向基板には、表面にカラーレジスト(色材)、ブラックマトリクス(Black Matrix:BM)、対向電極、及び配向膜などが形成されている。なお、例えばIPS(In−Plane Switching)方式(横電界方式)の液晶表示装置の場合には、対向電極はTFTアレイ基板100側に配置される。そして、TFTアレイ基板100と対向基板は、額縁領域102に設けられ、表示領域101を囲むように形成されたシール120により貼り合わされている。更に、TFTアレイ基板100と対向基板及びシール120により囲まれる領域に液晶(図示省略)が封入されている。なお、本実施の形態1の液晶表示装置においては、TFTアレイ基板100と対向基板は画素電極と対向電極が対向するように、即ち、液晶側に画素電極と対向電極が配置されるように対向して配置される。更に、TFTアレイ基板100と対向基板との外側には、偏光板及び位相差板などの光学シートが設けられる。また、以上の様に構成された液晶表示パネルの反視認側にはバックライトユニットなどが配設される。本実施の形態1の液晶表示装置は以上の様に構成される。
【0019】
続いて、本実施の形態1の液晶表示装置の表示動作について簡単に説明する。画素電極と対向電極との電界によって、液晶が駆動される。すなわち、基板間の液晶の配向方向が変化し、液晶を通過する光量が変化する。すなわち、バックライトユニットから液晶表示パネルを透過する透過光のうち、視認側の偏光板を通過する光の光量が変化する。液晶の配向方向は、印加される表示電圧によって変化する。従って、表示電圧を制御することによって、視認側の偏光板を通過する光量を変化させることができる。即ち、画像として視認される光量を制御することができる。なお、この一連の動作で、蓄積容量111については表示電圧の保持に寄与する。
【0020】
次に、本発明の主要部にあたるTFTアレイ基板100上における表示領域101に配置される画素TFT108及び額縁領域102に配置される配線変換部12の構成について図2を用いて詳細に説明する。図2は本実施の形態1の液晶表示装置における表示領域101に形成される画素TFT108及びTFTアレイ基板100に設けられた走査信号駆動回路103、走査信号駆動回路104、或いは外部端子などの設けられる額縁領域102に形成される配線変換部12の断面模式図である。例えば、ガラス基板からなる光透過性を有する透明絶縁性基板1上にゲート電極2が形成されている。次に、ゲート電極2を覆うように下層が窒化シリコン膜(SiN膜)であり、上層が酸化シリコン膜(SiO膜)の積層膜からなるゲート絶縁膜3が形成される。ゲート絶縁膜3上には結晶性シリコン膜からなる半導体層4が形成されている。半導体層4はTFTにおいてソース領域4s、チャネル領域4c、及びドレイン領域4dを有している。ソース領域4sとドレイン領域4dには不純物が導入されており、チャネル領域4cよりも低抵抗としている。また、チャネル領域4cでは、半導体層4は、100nm程度或いはそれ以下の略同一の大きさの小さい結晶粒、即ち、微結晶シリコン膜によって構成される。更に、チャネル領域4c上には、例えば、下層が酸化シリコン膜(SiO膜)であり、上層が窒化シリコン膜(SiN膜)よりなる積層膜である無機絶縁膜からなり、チャネル領域4cを覆い保護する役割を行うチャネル保護膜5が形成されている。更にチャネル保護膜5上の一部にかかり、半導体層4におけるソース領域4sとドレイン領域4dに接続するようにソース電極6とドレイン電極7が形成される。言い換えると、ソース電極6及びドレイン電極7との接続部分において、半導体層4には不純物を導入したソース領域4sとドレイン領域4dが形成されている。なお、本実施の形態1においては、半導体層4におけるチャネル保護膜5に覆われない領域全体に渡り、イオンドーピング法により不純物を導入したソース領域4s及びドレイン領域4dが形成されていることから、TFTのオン特性の向上がはかられている。更に、ソース電極6及びドレイン電極7を覆うように保護絶縁膜8が形成される。以上の様に画素TFT108は構成され、微結晶シリコンをチャネル領域に用いたチャネル保護膜型TFT構造により構成される。更に、保護絶縁膜8にはコンタクトホール9が開口されており、保護絶縁膜8上に形成される画素電極11が画素TFT108のドレイン電極7とコンタクトホール9を介して接続されている。なお、走査信号駆動回路103及び走査信号駆動回路104においても、駆動用TFTが形成されるが、上記説明の画素TFT108に用いられるチャネル保護膜型TFTと同様の構成を有しており、駆動用TFTにおいては、画素電極11及び画素電極11をドレイン電極7に接続するコンタクトホール9の構成が省略される。また、図2では図示を省略しているが、図1において説明したゲート配線109、蓄積容量配線112はゲート電極2と同層に形成されており、ソース配線110は、ソース電極6及びドレイン電極7と同層に形成されている。
【0021】
また、TFTアレイ基板100の走査信号駆動回路103、走査信号駆動回路104、或いは外部端子などの設けられる額縁領域102において、ゲート電極2と同層に形成された第一配線層である配線層2aと、ソース電極6及びドレイン電極7と同層に形成された第二配線層である配線層6aとを電気的に接続する配線変換部12が形成される。なお、配線層2aについては、ゲート配線109の一部であっても良く、配線層6aについてはソース配線110の一部であっても良い。この配線変換部12においては、ゲート電極2及び配線層2aの形成されるレイヤとソース電極6、ドレイン電極6及び配線層6aの形成されるレイヤ間に存在するゲート絶縁膜3にコンタクトホール13が形成されることにより、このコンタクトホール13を介し、これら配線層2aと配線層6aが直接接続されている。言い換えると、このコンタクトホール13により、これら配線層2aと配線層6aが直接接続され電気的に接続されている。更に、これら配線層2a、配線層6a、及びコンタクトホール13よりなる配線変換部12上にも、画素TFT108部においてソース電極6とドレイン電極7を覆う保護絶縁膜8が共通して形成され、配線変換部12を覆っている。
【0022】
なお、本実施の形態1の液晶表示装置においては、ゲート電極2と同層に形成された配線層2aとソース電極6及びドレイン電極7と同層に形成された配線層6aとを電気的に接続する配線変換部については、額縁領域102における特にシール120により囲まれる領域より外部において存在する場合には全て配線層2aと配線層6aとをゲート絶縁膜3に設けられたコンタクトホール13を介し直接接続する構造である配線変換部12により形成される様にした。また、走査信号駆動回路103部及び走査信号駆動回路104部における配線層2aと配線層6aとを電気的に接続する配線変換部については、シール120により囲まれた領域の内側外側を問わず同様に配線層2aと配線層6aとをゲート絶縁膜3に設けられたコンタクトホール13を介し直接接続する構造とした。
【0023】
次に、本実施の形態1の液晶表示装置の製造方法について説明する。先ず、発明の主要部にあたるTFTアレイ基板100上における表示領域101に配置される画素TFT108及び額縁領域102に配置される配線変換部12の製造方法について、図3を参照して説明する。図3(a)〜図3(g)は、本実施の形態1におけるTFTアレイ基板100の特に画素TFT108及び配線変換部12の製造方法を示す断面模式図である。
【0024】
先ず、ガラス基板や石英基板などの光透過性を有する透明絶縁性基板1上にDCマグネトロンスパッタ法を用いて金属膜を形成する。本実施の形態においては、透明絶縁性基板1については無アルカリガラス基板を用いた。金属膜についてはアルミニウムを主成分とする金属膜として、特にアルミニウムを主成分としてニッケルとネオジウムを所定量添加した合金膜を用い、およそ200nmの膜厚に成膜した。この金属膜を公知の写真製版法及びウエットエッチング法により所定の形状にパターニングし、表示領域101にゲート電極2を形成し、額縁領域102には、同時に配線層2aを形成する。即ち、ゲート電極2及び配線層2aは共通のマスク工程により形成される。その結果、ゲート電極2と配線層2aは同層に形成される。また、図示は省略するが、図1において説明したゲート配線109及び蓄積容量配線112についても共通のマスク工程により形成され、ゲート電極2及び配線層2aと同層に形成される。ウエットエッチングにはリン酸を主成分とするエッチング液を用いた。なおゲート電極2の端面はテーパー形状とすることが望ましい。テーパー形状とすることにより、後に成膜する絶縁膜の被覆性が向上し、絶縁膜耐圧が向上するという効果を奏する。以上の工程により、図3(a)に示す構成が得られる。
【0025】
次に、表示領域101に形成したゲート電極2及び額縁領域102に形成した配線層2a上を含む透明絶縁性基板1上に、ゲート絶縁膜3、結晶性を有する半導体膜である結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51を順次形成する。本実施の形態1では、ゲート絶縁膜3、非晶質半導体膜を順次形成した後、非晶質半導体膜にレーザー光を照射し結晶化することにより結晶性半導体膜41を形成し、その後、結晶性半導体膜41上に無機絶縁膜51を形成している。具体的には、ゲート絶縁膜3については、窒化シリコン膜(SiN膜)を絶縁膜としておよそ300nmの膜厚に形成し、更に酸化シリコン膜(SiO膜)をおよそ100nmの膜厚に形成して、SiN膜とSiO膜の積層膜としている。但し、ゲート絶縁膜3の構成は上記に限るものではなく、絶縁耐圧や絶縁膜容量などを勘案して膜厚などを決定すればよい。結晶性半導体膜41とする非晶質半導体膜については、非晶質シリコン膜を用い、およそ50nmの膜厚に形成している。これら、ゲート絶縁膜3を構成するSiN膜及びSiO膜と非晶質半導体膜を構成する非晶質シリコン膜はプラズマCVD法を用いた連続成膜により形成している。また、プラズマCVD法を用い成膜した非晶質シリコン膜は膜中に大量の水素を含有しているため、この水素を低減するための処理として、高温中でアニールしておくことが好ましい。本実施の形態では窒素雰囲気の低真空状態で保持したチャンバ内を400℃に加熱し、非晶質半導体膜を成膜した基板を30分間保持した。この様な処理を行っておくことにより、非晶質半導体膜を結晶化する際の温度上昇に伴う水素の急激な離脱による半導体膜表面の荒れを抑制することが可能となる。以上の様に準備した非晶質シリコン膜に対して、パルスレーザー光を照射し結晶化する。レーザー光の照射時においては、非晶質半導体膜に対して窒素などの不活性ガスを吹き付けて非晶質半導体膜の表面の酸素濃度を低下させ、この状態で照射すると良い。この際、レーザー光は所定の光学系を通して線状のビーム形状に成型された後、非晶質半導体膜に照射される。このとき非晶質半導体膜に対して1回の走査を行うことにより、非晶質半導体膜は溶融し、結晶性半導体膜41が形成される。本実施の形態では、レーザー光として、エキシマレーザー(発振波長:308nm)を用いた。またビーム形状はおよそ200μm×200mmの線状ビーム形状とし、照射エネルギーを200mJ/cm2、走査の送りピッチを15μmとした。ここで、半導体層全体を結晶化しているので、ドレイン電流の高い、信頼性に優れたTFTを得ることができる。
【0026】
その後、チャネル保護膜5となる無機絶縁膜51として、プラズマCVD法にて、酸化シリコン膜(SiO膜)をおよそ30nmの膜厚に、更に窒化シリコン膜(SiN膜)をおよそ100nmの膜厚に連続して形成し、SiO膜とSiN膜の積層膜を成膜する。なお、以上説明した実施の形態1においては、非晶質半導体膜を成膜した後にレーザー光を照射し結晶化することにより結晶性半導体膜41を形成したが、結晶性半導体膜41をプラズマCVD法により直接形成しても良く、その場合においては、ゲート絶縁膜3、結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51を連続成膜しても良い。連続成膜をすることにより、工程の簡略化ができる。更に、結晶性半導体膜41の表面が大気中に曝されることなく形成できることから、結晶性半導体膜41への汚染の混入も発生し難い。以上の様にゲート絶縁膜3、結晶性を有する半導体膜である結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51を形成した後、額縁領域102の配線層2aと接続するために公知の写真製版法及びドライエッチング法を用いて、配線層2a上のゲート絶縁膜3、結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51を除去する。その結果、配線層2a上の所定の領域において、ゲート絶縁膜3を開口するコンタクトホール13が形成される。以上の工程により、図3(b)に示す構成が得られる。
【0027】
続いて、無機絶縁膜51を公知の写真製版法及びドライエッチング法により所定の形状にパターニングしチャネル保護膜5を形成する。なお、無機絶縁膜51をパターニングし、ドライエッチング法により除去する際に、無機絶縁膜51の除去部分においては、ドライエッチング処理に結晶性半導体膜41が曝される。無機絶縁膜51については、SiO膜の単層膜を用いても構わないが、本実施の形態1においては、下層がSiO膜、上層がSiN膜の積層構造としている。この無機絶縁膜51を除去するドライエッチング処理の際、無機絶縁膜51がSiO膜より構成される場合、SiO膜のエッチングレートは遅く、SiO膜の膜厚分布やエッチングレートのばらつきを考慮すると、確実に無機絶縁膜51を除去するためには、マージンを考慮したエッチング時間、即ちオーバーエッチングの時間を長くとる必要がある。つまり、SiO膜のドライエッチング処理に結晶性半導体膜41が曝される時間が長くなる。また、SiO膜と微結晶シリコン膜よりなる結晶性半導体膜41間のエッチング選択性が低いことから、オーバーエッチングに対して結晶性半導体膜41を残存させることが難しい。従って、無機絶縁膜51にSiO膜の単層膜を用いる場合には、SiO膜の膜厚分布を均一に近づけるか無機絶縁膜51を薄くする必要があり、製造への制限や形成されたチャネル保護膜5のチャネル領域4cを覆い保護する効果の低下などを生ずる。一方、本実施の形態1の様に無機絶縁膜51にSiO膜上にエッチング選択性を得やすいSiN膜を積層した積層構造とすることで、先にSiN膜をエッチングした後にSiO膜をエッチングすることとなり、無機絶縁膜51の膜厚を変えることなくSiO膜の膜厚を薄く設定することができる。従って、結晶性半導体膜41を残存させることが容易となる。また、形成されたチャネル保護膜5のチャネル領域4cを覆い保護する効果も高くなる。以上の工程により、図3(c)に示す構成が得られる。続いて、公知の写真製版法及びドライエッチング法を用いて、結晶性半導体膜41を所定の形状のパターンに加工し、半導体層4を形成する。ドライエッチング処理にはCF4とO2の混合ガスを用いて、フォトレジストを後退させながらエッチングを行うことにより、結晶性シリコン膜からなる半導体層4のパターン端部をテーパー形状とした。テーパー形状とすることにより、後に成膜する配線形成用の金属膜の被覆性が向上し、半導体層4のパターン端部の段差部で発生し易い配線の断線を防止することができる。以上の工程により、図3(d)に示す構成が得られる。
【0028】
次に、チャネル保護膜5をマスクとして、イオンドーピング法によってリンイオンを導入するイオン注入処理30を行うことにより、チャネル保護膜5で覆われている領域以外の半導体層4よりオーミックコンタクト層であるn+Si層を形成する。ここで、イオンドーピング条件は、加速電圧5kV、ドーズ量1E+15/cm2に設定した。リンイオンが導入された半導体層4には、n+Si層よりなるソース領域4s及びドレイン領域4dが形成され、残りの半導体層4となるチャネル保護膜5の下部にはチャネル領域4cが形成される。以上の工程により、図3(e)に示す構成が得られる。なお、図3(d)で説明した結晶性半導体膜41の加工工程と図3(e)で説明したイオンドーピング工程を入れ替えても構わない。即ち、このチャネル保護膜5で覆われている領域以外の半導体層4にn+Si層を形成するイオンドーピング工程については、図3(c)で説明を行ったチャネル保護膜5を形成する無機絶縁膜51の除去工程に続けて行っても良い。その場合には、チャネル保護膜5で覆われている領域以外の結晶性半導体膜41全体にn+Si層が形成される。その後、図3(d)の結晶性半導体膜41を半導体層4のパターンに加工する工程と同様に結晶性半導体膜41の代わりにn+Si層をドライエッチング法により加工除去することにより、図3(e)に示す構成と同様の構成が得られる。
【0029】
次にDCマグネトロンスパッタ法を用いて金属膜を成膜する。本実施の形態1では、クロム膜よりなる金属膜をおよそ200nmの膜厚に成膜した。続いて、この金属膜を公知の写真製版法及びウエットエッチング法により所定の形状にパターニングし、表示領域101にソース電極6とドレイン電極7を形成し、額縁領域102には、同時に配線層6aを形成する。即ち、ソース電極6、ドレイン電極7及び配線層6aは共通のマスク工程により形成される。その結果、ソース電極6、ドレイン電極7及び配線層6aは全て同層に形成される。また、図示は省略するが、図1において説明したソース配線110についても共通のマスク工程により形成され、ソース電極6、ドレイン電極7及び配線層6aと同層に形成される。クロム膜のウエットエッチングには過塩素酸と硝酸セリウムアンモニウムからなるエッチング液を用いた。また、クロム膜をエッチング除去した領域においては、クロム膜と半導体層4の接触時の反応により半導体層4表面にシリサイド膜が形成されており、ソース電極6、ドレイン電極7間にリーク電流を発生する。従って、クロム膜のウエットエッチングに続いて、ドライエッチング処理を行うことにより、この半導体層4表面に形成されているシリサイド膜を除去した。以上の工程により、図3(f)に示す構成が得られる。
【0030】
その後、表示領域101に形成したソース電極6及びドレイン電極7上と、額縁領域102に形成した配線層6a上を覆うように保護絶縁膜8を形成する。この保護絶縁膜8は、TFT自体、ソース電極6及びドレイン電極7、配線層6a、及び配線変換部12自体を共通して覆い、これらを水分などとの接触から保護する役割を有し、TFT部分と配線変換部12において共通して形成されることから製造工程も簡略化されている。本実施の形態1においては、この保護絶縁膜8は、プラズマCVD法を用いて成膜し、水分などを通し難い膜として、窒化シリコン膜(SiN膜)を選定し、保護絶縁膜として機能する為に充分な厚さ、例えば、およそ300nmの膜厚に形成した。続いて、この保護絶縁膜8に公知の写真製版法及びドライエッチング法を用いてコンタクトホール9を形成する。具体的には、ドレイン電極7上の所定の領域において、保護絶縁膜8を開口するコンタクトホール9が形成される。以上の工程により、図3(g)に示す構成が得られる。次に、画素電極11及び外部端子を構成する端子電極を形成するため、ITOやIZOなどの透明性と導電性を有する酸化膜である透明導電性酸化膜を成膜し、公知の写真製版法により所定の形状にパターニングして画素電極11及び端子電極(図示省略)を形成する。本実施の形態1においては、Arガス、O2ガス、H2Oガスを混合したガスを用いたDCマグネトロンを用いたスパッタリング法により、加工性に優れた非晶質の透明導電性酸化膜を成膜した。ここで、画素電極11はコンタクトホール9を介して、ドレイン電極7と接続するようにパターニングされる。また、透明導電性酸化膜のエッチングは、シュウ酸を主成分とする薬液を用いたウエットエッチング法によって行った。その後、不要となったフォトレジストを除去し、アニールを行うことにより非晶質の透明導電性酸化膜を結晶化させる。以上の工程により、図2に示す構成、即ち、TFTアレイ基板100上における表示領域101に配置される画素TFT108及び額縁領域102に配置される配線変換部12が完成される。また、ここでは、表示領域101に配置される画素TFT108の製造方法を例に取って説明を行ったが、走査信号駆動回路103及び走査信号駆動回路104において形成されるTFTである駆動用TFTについても、上記説明の画素TFT108に用いられる微結晶シリコンTFTと共通の製造工程で同時に製造することが可能である。具体的には、駆動用TFT部においては、画素電極11及び画素電極11をドレイン電極7に接続するコンタクトホール9の形成が省略されることから、コンタクトホール9形成工程及び画素電極11形成工程の写真製版工程において、其々、駆動用TFT部の開口或いはパターンの省略された露光マスクが用いられる。その他については、画素TFT108に用いられる微結晶シリコンTFTと共通の製造工程及び共通の構成により駆動用TFTが製造される。以上の説明の様な製造方法により、実施の形態1における液晶表示装置に用いられるTFTアレイ基板100が完成する。
【0031】
続いて、液晶表示装置の製造方法におけるセル組み立て工程について図4を用いて説明を行う。図4は、本実施の形態1における液晶表示装置の製造過程における液晶表示パネルを構成する液晶セル基板をアレイ状に多面配置したマザー液晶セル基板10の構成を示す平面概略図である。通常、小型の液晶表示装置を製造する場合には、量産効率の点から、図4に示す様に例えばn枚の複数の液晶セル基板10a、10b、・・10x、・・10nがアレイ状に区画配置されるマザー液晶セル基板10を形成し、このマザー液晶セル基板10より、これら液晶セル基板10a、10b、・・10x、・・10nが、個々の液晶表示パネル単位のサイズに切り出されることにより、図1に示す様な液晶表示パネルが得られる。従って、上記説明したTFTアレイ基板100の製造方法においても、TFTアレイ基板100が複数個アレイ状に区画配置される大きな透明絶縁性基板である一枚のマザーTFTアレイ基板1aとして、同時に製造することができる。
【0032】
このTFTアレイ基板100の製造方法により同時に製造されたマザーTFTアレイ基板1aを準備し、更に図4に示す様にマザーTFTアレイ基板1aと対向して配置されるマザー対向基板1bを準備する。マザー対向基板1bについては、カラーレジスト(色材)、ブラックマトリクス(BM)、対向電極などを有する一般的なもので構わない。この様に準備されたマザーTFTアレイ基板1a及びマザー対向基板1bの基板表面に、其々一般的な方法により配向膜を形成した後、一方の基板に液晶セル基板10a、10b、・・10x、・・10nの其々に対応した液晶封入領域を囲むシール120a、120b、・・10x、・・120nを形成し、マザーTFTアレイ基板1a及びマザー対向基板1bを貼り合せる。この様にして、図4に示すマザー液晶セル基板10が形成される。また、シールにより囲まれる領域内への液晶の封入は、貼り合わせ後に注入口より真空中で注入を行う真空注入法を用いても良いし、シールにより囲まれる領域内に液晶を滴下し、液晶封入と貼り合わせを同時に行う液晶滴下法を用いても良い。個々の液晶表示パネル単位のサイズに切り出す液晶セル基板切断工程は、真空注入法の場合には、液晶封入の前に行われ、滴下法の場合には、液晶封入の後に行われる。この様にして、セル組み立て工程は完了し、個々の液晶セル基板10a、10b、・・10x、・・10nが得られる。
【0033】
最後に、液晶セル基板10a、10b、・・10x、・・10nの個々のTFTアレイ基板100及び対向基板の外側に偏光板を貼り付け、TFTアレイ基板100における外部端子においては、対向基板が除去され露出されるように対向基板を切断しておき、この露出した外部端子に対してICチップ118やプリント基板119の実装を行う。以上の様にして、図1に示される液晶表示パネルが完成する。更に、位相差板などの光学シート、バックライトユニットなどをTFTアレイ基板100の裏面側に配置し、液晶表示パネルと共に筐体などに収納することで、本実施の形態1の液晶表示装置が完成する。
【0034】
続いて、本実施の形態1の液晶表示装置により得られる効果について説明を行う。先ず、本実施の形態1の液晶表示装置が備えるTFTにおいては、チャネル領域4cを覆い保護する役割を行うチャネル保護膜5が形成されたチャネル保護膜型TFT構造とすることにより、チャネル領域4cの背面側へのプラズマダメージを抑制することができ、チャネル領域4c背面側からのリーク電流を低減することができる。更に、少なくともチャネル領域において結晶性半導体部分を有していることにより電界効果移動度を高くできる。何れにしても、優れた特性を有するTFTが得られる。更に、これら優れた特性を有するTFTを表示領域においてスイッチング素子となる画素TFT或いはTFTアレイ基板に内蔵して形成した駆動回路の駆動用TFTに採用したことにより、画素TFTのリーク電流を低減できることから表示ムラを抑える効果、或いは駆動用TFTの電界効果移動度を高くできることより、TFTアレイ基板に内蔵して形成した駆動回路を備えて外付けICなどの部材点数を減らすことができ、部品及び資源の減量化、液晶表示装置の軽量化、狭額縁化、及び製造時における生産性向上による低コスト化の効果が得られる。
【0035】
また、本実施の形態1の液晶表示装置においては、ゲート電極2と同層に形成された配線層2aと、ソース電極6及びドレイン電極7と同層に形成された配線層6aとを電気的に接続する配線変換部については、額縁領域102における特にシール120により囲まれる領域より外部において存在する場合には全て配線層2aと配線層6aとをゲート絶縁膜3に設けられたコンタクトホール13を介して直接接続する構造である配線変換部12により形成される。従って、配線変換部12においては配線層2a、配線層6a及びコンタクトホール13などの構成が全て保護絶縁膜8よりも下層に形成されて、TFTアレイ基板100表面に露出しないことから、シール120により囲まれる領域より外部において結露などによりTFTアレイ基板100と対向して配置されるカラーフィルタ基板間に水分が発生した場合にも、カラーフィルタ基板表面の対向電極に印加されるコモン電位との間に電気化学反応は生じない。よって、配線変換部における腐食などを起因とする断線の発生を回避することができる。その結果、額縁領域で発生する腐食などを起因とする不良品発生による歩留りの低下や、製造される液晶表示装置における信頼性の低下などを防止することができる。従って、不良品となり工程内で脱落される基板を削減できることから、原材料費の削減につながる。更に不良品の代替品を再度作りなおす無用な処理の削減を実現できることから製造にかかるエネルギー消費量の削減につながる。また、これらは、全て製品の低コスト化につながる。
【0036】
また、走査信号駆動回路103及び走査信号駆動回路104部に存在する配線層2aと配線層6aとを電気的に接続する配線変換部については、特に駆動回路内部において異なる電位が印加される配線が近接して配置されることから電気化学反応を生じ易い。従って、これら配線変換部が、駆動回路内部において、ゲート絶縁膜3を開口して設けられ、配線層2aと配線層6aとを直接接続させるコンタクトホール13を備えた構造である配線変換部12により形成されることにより、特に腐食防止において高い効果が得られる。なお、シール120により囲まれる領域の内側においても、液晶内やシールと基板間の配向膜などに微量存在する水分の影響により同様の電気化学反応を生じることがあるが、上記説明のとおり、シール120により囲まれる領域の内側外側を問わず、走査信号駆動回路103及び走査信号駆動回路104部において同様の構成を取っていることから、これらの部分においても同様の効果が得られる。但し、シール120により囲まれる領域より外部の領域、特にシール近傍では結露などによる水分が生じやすく、上記電気化学反応を生じ易いことから、これらの領域において上記構成、即ち、少なくとも、シール120により囲まれる領域より外部に配線層2aと配線層6aとをコンタクトホール13を介し直接接続させる配線変換部12を備えた構造を取ることは配線変換部における腐食などを起因とする断線などを防止する効果が高く、特に有用である。
【0037】
また、本実施の形態1の液晶表示装置が備えるTFTにおいては、ゲート絶縁膜2において、半導体層4側となる上層がSiO膜により形成され、半導体層4のチャネル領域4cは全て微結晶シリコン膜で形成されている。従って、ゲート絶縁膜2の結晶性半導体との界面が微結晶シリコン膜とSiO膜により形成されることから、界面への電荷蓄積が低減され、閾値電圧の変動を抑制することができる。同様の効果は、ゲート絶縁膜2がSiO膜単層で形成されていても得られ、少なくとも半導体層4における結晶性半導体部分と接する部分において、結晶性半導体部分が結晶性シリコン膜により形成されており、ゲート絶縁膜2がSiO膜により形成されていれば得ることができる。
【0038】
また、本実施の形態1の液晶表示装置が備えるTFTにおいては、チャネル保護膜5において、半導体層4側となる下層がSiO膜により形成され、半導体層4のチャネル領域4cは全て微結晶シリコン膜で形成されている。従って、チャネル保護膜5の結晶性半導体部分との界面が微結晶シリコン膜とSiO膜により形成されることから、界面への電荷蓄積が低減され、閾値電圧の変動を抑制することができる。同様の効果は、チャネル保護膜5がSiO膜単層で形成されていても得られ、少なくとも半導体層4における結晶性半導体部分と接する部分において、結晶性半導体部分が結晶性シリコン膜により形成されており、チャネル保護膜5がSiO膜により形成されていれば得ることができる。但し、本実施の形態1においては、チャネル保護膜5は、下層がSiO膜、上層がSiN膜よりなる積層構造としていることから、上記説明の下層がSiO膜により形成されることによる効果に加え、更に、チャネル保護膜5を形成する無機絶縁膜51の加工の際に、結晶性半導体膜41の削れを軽減することができるという効果を有する。
【0039】
また、本実施の形態1の液晶表示装置が備えるTFTにおいては、結晶性シリコン膜からなる半導体膜4におけるチャネル領域4cが100nm程度或いはそれ以下の略同一の大きさの小さい結晶粒、即ち、微結晶シリコン膜よりなる結晶性半導体によって構成されることにより、非晶質半導体膜から結晶性半導体部分を得る結晶化工程において適正条件の範囲が広く製造が容易である点、結晶サイズバラツキを抑え、得られた半導体膜を用いたTFTの特性のバラツキを小さくできる点などの利点がある。微結晶シリコン膜よりなる結晶性半導体部分を有するTFTを用いるとTFTの特性のバラツキを小さくできる効果については、表示装置として機能する半導体装置の画素TFTに採用した際に、表示ムラを抑える効果が顕著となることから特に有効である。なお、半導体膜4については、微結晶シリコン膜に限られず、例えば、非晶質半導体膜の結晶化工程において、レーザー光の照射エネルギーや照射時の雰囲気、基板温度など、照射条件を制御することにより、結晶粒を大きく形成しても良い。つまり、結晶化工程により形成される半導体層は微結晶シリコン膜に分類されない一般的な多結晶半導体膜であっても良い。結晶性半導体膜であれば、従来の非結晶の半導体膜をチャネル領域に用いたTFTよりも高い電界効果移動度を得る効果が得られる。また、半導体層4において、非晶質半導体膜などが混在すると、光照射の際などに光吸収係数の高い非晶質半導体膜においてホールが生成し、非晶質半導体膜と接する結晶性半導体部分にホールが注入されオフ電流が増加することなどが懸念されることから、半導体層4が全て、結晶性半導体膜或いは微結晶シリコン膜などにより形成される結晶性半導体部分により構成されることが好ましい。しかしながら、少なくともチャネル領域4cにおいて、半導体層4が上記結晶性半導体部分を有していれば非結晶の半導体膜をチャネル領域に用いたTFTよりも高い電界効果移動度を得ることができ、本実施の形態1における駆動回路を内蔵するTFTアレイ基板を備えたことよる効果を得ることができる。なお、半導体の種類については、シリコンを例に取って説明を行っているが、微結晶或いは結晶性半導体を形成可能であれば、他の元素を用いた半導体でも良いことは言うまでも無い。
【0040】
また、本実施の形態1では、TFTを用いた半導体装置の一例として、液晶表示装置を例にとって説明を行ったが、液晶表示装置以外の表示装置として有機EL表示装置などの平面型表示装置(フラットパネルディスプレイ)や、表示装置以外の半導体装置であるイメージセンサなどの光電変換装置などにも用いることも可能である。例えば、有機EL表示装置の場合には、実施の形態1の液晶表示装置における画素電極11により自発光材料などの電気光学材料に電圧を印加させる構成に変形すれば良く、カラーフィルタ基板やシール120の構成などが省略される。この様に有機EL表示装置などの場合、カラーフィルタ基板表面に形成される対向電極についても備えておらず、更に、表示装置以外の半導体装置などの場合には、液晶表示装置のシール120により囲まれる領域の様に大気中に曝されない領域についても通常は有さない。しかしながら、駆動回路内蔵型の半導体装置における駆動回路部においては、駆動回路内部において異なる電位が印加される配線が近接して配置されることから、同様の問題が発生し、本発明の適用により効果を発揮する。この様な駆動回路内蔵型の半導体装置においても、実施の形態1と同様のTFTアレイ基板100を形成し、額縁領域102における駆動回路内部に存在するゲート電極2と同層に形成された配線層2aとソース電極6及びドレイン電極7と同層に形成された配線層6aとを電気的に接続する配線変換部を全て配線層2aと配線層6aとをゲート絶縁膜3に設けられたコンタクトホール13を介して直接接続する構造である配線変換部12により形成すれば良い。これにより、実施の形態1の液晶表示装置と同様に額縁領域で発生する腐食などを起因とする歩留りや信頼性の低下を防止する効果が得られる。なお、少なくとも、駆動回路を内蔵しTFTを備えた薄膜トランジスタ基板を備えた半導体装置における駆動回路内部において、ゲート電極と同層に形成された第一配線層である配線層2aとソース電極及びドレイン電極と同層に形成された第二配線層である配線層6aとをゲート絶縁膜3を開口して設けられたコンタクトホール13を介して直接接触させて電気的に接続させる配線変換部12を備えていれば、配線層2aと配線層6a間の配線変換部において一定の腐食防止効果が得られる。従って、上記説明の実施の形態1で得られる効果と同様の効果が得られる。また、画素TFT或いは駆動用TFTの構成により生ずる効果についても、駆動回路を内蔵しTFTを備えた薄膜トランジスタ基板を備えた半導体装置において、上記実施の形態1において説明を行った画素TFT或いは駆動用TFTの構成を上記配線変換部12の構成と併せて適用することにより、実施の形態1で得られる効果と同様の効果が得られる。但し、本実施の形態1は対向基板表面に対向電極が存在する液晶表示装置であることから、駆動回路内部において異なる電位が印加される配線が近接して配置されることに加えて、対向電極は、基板間距離を置いて、配線変換部に比較的近接して配置され、更に電気化学反応を生じ易い。また、シール近傍ではシールに囲まれた領域の内側外側を問わずシール側壁に付着した不純物を媒介として電流パスが形成されて、シール側壁の表面を微小な電流が流れることも、上記電気化学反応を助長する。従って、液晶表示装置の駆動回路内部、特にシール近傍において上記構成を取ることは、配線変換部における腐食などを起因とする断線などを防止する効果が高く、特に有用である。
【0041】
実施の形態2.
実施の形態1においては、チャネル保護膜5が形成されたチャネル保護膜型TFT構造であって、更にゲート電極2と同層に形成された配線層2aと、ソース電極6及びドレイン電極7と同層に形成された配線層6aとを直接接続するコンタクトホール13により配線変換部12が形成される液晶表示装置について説明を行った。実施の形態1において説明したとおり、実施の形態1の液晶表示装置においては、多くの効果を得ることが可能となる。しかしながら、実施の形態1においては、ごく一般的な製造方法を例にとって説明を行ったことから、TFT構造の形成においては、バックチャネルエッチ型TFT構造を採用した場合に比べて、チャネル保護膜5を形成するためのマスク工程が増加している。また、配線変換部12を構成するコンタクトホール13についても、画素電極11をドレイン電極7に接続するコンタクトホール9の形成工程とマスク工程の共通化ができないことからマスク工程が増加している。つまり、製造工程の点では、必ずしも最適化されたものではない。但し、実施の形態1の液晶表示装置においては、ゲート絶縁膜3に設けられた開口部であるコンタクトホール13を除いた領域内に半導体層が形成され、半導体層が形成された領域内にチャネル保護膜5が形成されている。言い換えると、上面視において、ゲート絶縁膜3のパターン、半導体層4のパターン、チャネル保護膜5のパターンが順番に前者のパターン外形に対して後者のパターン外形が内包される。この様な構造の場合には、中間調露光領域を有する公知のハーフトーンマスクを用いマスク工程を共通化することが可能である。即ち、ハーフトーンマスクを利用可能な構造に最適化されているため、マスク工程数を容易に削減することが可能である。続いて、実施の形態1で説明した製造方法よりマスク工程を一工程削減した実施の形態2の液晶表示装置の製造方法について説明を行う。なお、本実施の形態2の製造方法における実施の形態1の製造方法からの変更点については、チャネル保護膜5とコンタクトホール13の形成工程の違いのみであり、液晶表示装置の構成及び製造方法におけるその他の工程などについては、同一の構成或いは同一の方法で良いことから、以下、実施の形態1との変更部であるチャネル保護膜5とコンタクトホール13の形成工程を重点的に説明し、実施の形態1と同じ液晶表示装置の構成及び製造工程については適宜説明を省略する。
【0042】
実施の形態1においては、図3(b)を用い説明したとおり、ゲート絶縁膜3、結晶性を有する半導体膜である結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51を形成した後、額縁領域102の配線層2aと接続するために公知の写真製版法及びドライエッチング法を用いて、配線層2a上のゲート絶縁膜3、結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51を除去し、配線層2a上の所定の領域において、ゲート絶縁膜3を開口するコンタクトホール13を形成した。その後、別途、公知の写真製版法及びドライエッチング法により無機絶縁膜51を所定の形状にパターニングしチャネル保護膜5を形成した。本実施の形態2においては、公知のハーフトーンマスクを用いて、一回のマスク工程、即ち、写真製版工程によりゲート絶縁膜3を開口するコンタクトホール13の形成と、チャネル保護膜5の形成を行う。以下、ハーフトーンマスクを用いたコンタクトホール13の形成とチャネル保護膜5の形成工程の一例について、詳細に説明を行う。
【0043】
先ず、図5(a)に示す様に表示領域101に形成したゲート電極2及び額縁領域102に形成した配線層2aの上を含む透明絶縁性基板1上にゲート絶縁膜3、結晶性を有する半導体膜である結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51を形成した後、ゲート絶縁膜3上にフォトレジスト31を形成する。ここまでは、実施の形態1と同様で良いことから詳細な製造方法は省略する。続いて、図5(b)に示す様に無機絶縁膜51上のフォトレジスト31に公知のハーフトーンマスク33を介して露光32を行うことにより、領域により三段階の異なる強度の露光を行う。以下、本実施の形態2のハーフトーンマスク33の構成について詳細に説明を行う。
【0044】
本実施の形態2のハーフトーンマスク33は、第一の光透過性領域33aと第二の光透過性領域33bと第三の光透過性領域33cを備えており、少なくとも一つの中間調露光領域を備える。ここでは、第二の光透過性領域33bが、中間調露光領域であり、第一の光透過性領域33aと第三の光透過領域33cとの中間の光透過性を有すれば良い。具体的な構成としては、均一な所定の光透過性を有する膜により形成されても良いし、露光解像度以下の微細パターンに遮光膜を形成して実質的な光透過性を落としても良い。また、第一の光透過性領域33aは、ここでは、光を全く遠さない遮光領域とした。但し、少なくとも第二の光透過性領域33bよりも光透過性の低い領域であれば良く、若干の光透過性を有する中間調露光領域としても構わない。逆に第三の光透過領域33cは、殆ど光を遮断しない開口領域とした。但し、少なくとも第二の光透過性領域33bよりも光透過性の高い領域であれば良く、若干量、光を遮断する中間調露光領域としても構わない。
【0045】
この様なハーフトーンマスク33を介して露光32を実施することにより、フォトレジスト31には、領域により三段階の異なる強度、即ち、三段階の異なる光量の露光が行われる。この三段階の異なる強度或いは光量の露光により、露光強度或いは露光光量に応じて、フォトレジスト31における露光される深さ或いは度合いが異なることから、其々の領域には露光深さ或いは露光度合いが異なる露光領域31aが形成される。なお、ここでは、図5(b)に示す様に露光領域31aの厚みを変えて示しているが、露光強度或いは露光光量に応じてフォトレジスト31の感光の程度が変わるものであり、必ずしも感光された領域となる露光領域31aの深さが変わるとは限らない。即ち、ここで説明した露光領域31aの厚さは、あくまでも感光の程度に対する目安を示したものである。従って、必ずしも感光される深さ自体を示すものではなく、感光される度合いと読み替えても良い。なお、本実施の形態2においてはポジ型フォトレジストを用いたので、露光強度或いは露光光量に応じて、露光強度或いは露光光量が大きい領域では、露光領域31aが厚く、或いは感光の進み度合いが大きく形成される。また、後に行う所定の条件の現像処理により、露光領域31aの深さ或いは露光領域31aの感光の度合いに応じて、露光強度或いは露光量が大きいほど、結果的に除去される露光領域31aの厚みが大きくなり、現像後に残存するフォトレジストの膜厚が薄く形成される。また、ここでは、第一の光透過性領域33aに対応する領域では、露光領域31aが形成されず、第二の光透過性領域33bでは、フォトレジスト31の膜厚方向の一部において露光領域31aが形成され、第三の光透過領域33cに対応する領域では、フォトレジスト31の膜厚全てに渡って露光領域31aが形成される。なお、第一の光透過性領域33aに光透過性を有しても良いことから、第一の光透過性領域33aに対応する領域でも第二の光透過性領域33bよりも薄い露光領域31aを形成しても構わない。また、第一の光透過性領域33aは、チャネル保護膜5を形成する領域に対応し、第三の光透過領域33cは、額縁領域102に形成した配線層2a上のゲート絶縁膜3を開口するコンタクトホール13を形成する領域に対応する。第二の光透過性領域33bはゲート絶縁膜3を残存させる残りの領域に対応する。以上の様に形成された露光領域31aに対して、続いて、現像処理を行うことによって、露光領域31aを除去する。その結果、図5(c)に示す様に、チャネル保護膜5を形成する領域において厚みの大きい厚膜部34aと、コンタクトホール13を形成する領域において開口部34cを有したフォトレジスト34が形成される。
【0046】
続いて、上記の様に形成されたフォトレジスト34を介して、ドライエッチング処理を行うことにより、フォトレジスト34における開口部34cにおいて、配線層2a上のゲート絶縁膜3、結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51が除去される。その結果、配線層2a上の所定の領域において、ゲート絶縁膜3を開口するコンタクトホール13が形成される。以上の工程により、図6(a)に示す構成が得られる。続いて、O2ガスを用いたプラズマ処理を用いたアッシング処理35によって、フォトレジスト34を削る減厚工程を行い、厚みの大きい厚膜部34aを残してフォトレジスト34を除去する。残存されたフォトレジスト34における厚膜部34aは、チャネル保護膜5を形成する領域に対応して残存される。以上の工程により、図6(b)に示す構成が得られる。なお、アッシング時間は予め決めておいても良く、その場合、フォトレジスト34における厚みの大きい厚膜部34aにおける膜厚と、厚みの大きい厚膜部34a以外の膜厚を評価しておくことで、厚みの大きい厚膜部34a以外の膜厚を全て除去可能な時間と、厚みの大きい厚膜部34aにおける膜厚がエッチングされる時間との間に適宜アッシング時間を設定すれば良い。また、チャネル保護膜5となる無機絶縁膜51表面のフォトレジスト34が除去されて、無機絶縁膜51がアッシングのプラズマに曝されたときに生じる発光現象をモニターし、処理中にアッシング時間を決めるようにしてもよい。
【0047】
続いて、残存されたフォトレジスト34における厚膜部34aをマスクとして、無機絶縁膜51をドライエッチング法により除去し、チャネル保護膜5を形成する。その結果、図6(c)に示す構成が得られる。このドライエッチング法を用いた無機絶縁膜51の除去処理については、実施の形態1と同様で構わないので説明を省略する。その後、実施の形態1と同様に公知の写真製版法により半導体層4を形成する領域に対応してフォトレジスト36を形成し、図6(d)に示す構成が得られる。更にフォトレジスト36をマスクとして、結晶性半導体膜41をドライエッチング法により除去し、所定の形状のパターンに加工し、半導体層4を形成する。その結果、実施の形態1において説明を行った図3(d)に示す構成が得られる。以下、実施の形態1と同様の製造工程で良いことから、説明を省略する。
【0048】
以上説明の実施の形態2における液晶表示装置の製造方法では、チャネル保護膜5を加工形成するためのマスク工程と、ゲート電極2と同層に形成された配線層2aとソース電極6及びドレイン電極7と同層に形成された配線層6aとを直接接続する配線変換部12を構成するコンタクトホール13を加工形成するためのマスク工程において、写真製版工程を共通化し、1回の写真製版工程により形成することができる。従って、実施の形態1と同様の効果を得られるとともに、マスク工程数を1つ減少させることにより、生産性を向上させることができる。また、生産時にかかる電力、その他エネルギー、或いはフォトレジスト、現像液、その他原材料費など、製造コストを削減できる効果も得られる。
【0049】
実施の形態3.
実施の形態2においては、実施の形態1で説明した製造方法よりマスク工程を一工程削減する方法として、チャネル保護膜5を加工形成するためのマスク工程と、ゲート電極2と同層に形成された配線層2aとソース電極6及びドレイン電極7と同層に形成された配線層6aとを直接接続する配線変換部12を構成するコンタクトホール13を加工形成するためのマスク工程において、写真製版工程を共通化する方法について説明を行った。続いて、マスク工程を一工程削減する別の方法である実施の形態3の液晶表示装置の製造方法について説明を行う。なお、本実施の形態3の製造方法における実施の形態2の製造方法からの変更点については、チャネル保護膜5、半導体層4、及びコンタクトホール13の形成工程の違いのみであり、液晶表示装置の構成及び製造方法におけるその他の工程などについては、同一の構成或いは同一の方法で良いことから、以下、実施の形態2との変更部であるチャネル保護膜5、半導体層4、及びコンタクトホール13の形成工程を重点的に説明し、実施の形態1或いは実施の形態2と同じ、液晶表示装置の構成及び製造工程については適宜説明を省略する。
【0050】
先ず、実施の形態2における図5(c)と同様に、本実施の形態3においては、図7(a)に示す様に、表示領域101に形成したゲート電極2及び額縁領域102に形成した配線層2aの上を含む透明絶縁性基板1上にゲート絶縁膜3、結晶性を有する半導体膜である結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51を形成した後、ゲート絶縁膜3上に半導体層4を形成する領域において厚みの大きい厚膜部34bと、コンタクトホール13を形成する領域において開口部34cを有したフォトレジスト34が形成される。実施の形態2との相違点としては、実施の形態2においては、チャネル保護膜5を形成する領域に対応して厚みの大きい厚膜部34aが形成されていたが、本実施の形態3においては、半導体層4を形成する領域に対応して形成される厚膜部34bに変更される点のみである。従って、実施の形態2において説明したハーフトーンマスク33を用い領域により三段階の異なる強度の露光を行う工程についても同様で良く、ハーフトーンマスク33における第一の光透過性領域33aのみを半導体層4を形成する領域に対応するように変更すれば良い。
【0051】
続いて、上記の様に形成されたフォトレジスト34を介して、ドライエッチング処理を行うことにより、フォトレジスト34における開口部34cにおいて、配線層2a上のゲート絶縁膜3、結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51が除去される。その結果、配線層2a上の所定の領域において、ゲート絶縁膜3を開口するコンタクトホール13が形成される。続いて、O2ガスを用いたプラズマ処理を用いたアッシング処理35によって、フォトレジスト34を削る減厚工程を行い、厚みの大きい厚膜部34bを残してフォトレジスト34を除去する。残存されたフォトレジスト34における厚膜部34bは、半導体層4を形成する領域に対応して残存される。以上の工程により、図7(b)に示す構成が得られる。続いて、残存されたフォトレジスト34における厚膜部34bをマスクとして、無機絶縁膜51及び結晶性半導体膜41をドライエッチング法により除去し、半導体層4及び半導体層4と同じ形状のパターンに加工された無機絶縁膜51が得られる。その結果、図7(c)に示す構成が得られる。その後、実施の形態1と同様に公知の写真製版法によりチャネル保護膜5を形成する領域に対応してフォトレジスト36を形成し、図7(d)に示す構成が得られる。更にフォトレジスト36をマスクとして、半導体層4と同じ形状のパターンに加工された無機絶縁膜51をドライエッチング法により除去し、所定の形状のパターンに加工し、チャネル保護膜5を形成する。このドライエッチング法を用いた無機絶縁膜51の除去処理については、基本的には実施の形態1と同様で構わないので詳細な説明を省略するが、実施の形態1と比較して、図7(d)から分かる様に、半導体層4及び同じ形状のパターンに加工された無機絶縁膜51に覆われる部分を除くゲート絶縁膜3が露出された状態で行われる点が異なる。従って、無機絶縁膜51を除去するドライエッチング処理により、ゲート絶縁膜3についても表面がエッチングされる点が異なる。従って、本実施の形態3においては、これら露出されたゲート絶縁膜3の膜減り量を少なくする点からは、実施の形態2や実施の形態3に比較すると無機絶縁膜51を薄く形成しておくことが望ましい。但し、本実施の形態3においては、実施の形態2や実施の形態3と同様に、ゲート絶縁膜3を下層がSiN膜であり、上層がSiO膜の積層膜により構成している。従って、全てSiN膜とした場合と比べ、無機絶縁膜51を構成するSiO膜を除去するドライエッチング処理に対するゲート絶縁膜3の膜減り量を少なくすることができる。以上説明した無機絶縁膜51の除去処理の結果、実施の形態1において説明を行った図3(d)に示す構成が得られる。以下、実施の形態1と同様の製造工程で良いことから、説明を省略する。
【0052】
以上説明の実施の形態3における液晶表示装置の製造方法では、半導体層4を加工形成するためのマスク工程と、ゲート電極2と同層に形成された配線層2aとソース電極6及びドレイン電極7と同層に形成された配線層6aとを直接接続する配線変換部12を構成するコンタクトホール13を加工形成するためのマスク工程において、写真製版工程を共通化し、1回の写真製版工程により形成することができる。従って、実施の形態1と同様の効果を得られるとともに、マスク工程数を1つ減少させることにより、生産性を向上させることができるなど、実施の形態2と同様の効果が得られる。
【0053】
なお、上記説明の実施の形態3における液晶表示装置の製造方法に若干の変更を加えることにより、チャネル保護膜5を加工形成するためのマスク工程と半導体層4を加工形成するためのマスク工程を共通化し、マスク工程数を更に1つ減少させることが可能である。以下、マスク工程数を更に1つ減少させた実施の形態3の変形例について説明を行う。実施の形態3との変更部であるチャネル保護膜5の形成工程とソース電極6及びドレイン電極7の形成後の処理について重点的に説明し、実施の形態3と同じ製造工程については適宜説明を省略する。
【0054】
本実施の形態3の変形例においては、先ず、実施の形態3の製造方法において、図7(c)を用い説明した様に、残存されたフォトレジスト34における厚膜部34bをマスクとして、無機絶縁膜51及び結晶性半導体膜41をドライエッチング法により除去し、半導体層4及び半導体層4と同じ形状のパターンに加工された無機絶縁膜51を形成する工程を行う。続いて、図8に示す様にO2ガスを用いたプラズマ処理を用いたアッシング処理35によって、半導体層4を形成する領域に対応して残存されたフォトレジスト34における厚膜部34bを削る減厚工程を行う。その結果、厚膜部34bについては厚みが減少するとともに、厚膜部34bのパターン端面が後退する。即ち、図9(a)のTFT部における平面模式図にも示す様に、平面パターンにおいても、ほぼ等方的に厚膜部34bのパターン端面が後退し、厚膜部34bの覆う領域の面積についても縮小する。この様にして、厚膜部34bのパターン端面を後退する端面後退工程を行うことにより、厚膜部34bの覆う領域を縮小し、チャネル保護膜5を形成する領域を残して厚膜部34bを除去する。その結果、図8の断面図或いは図9(a)の平面図からも明らかな様に、図7(c)の状態において厚膜部34bにより覆われていた無機絶縁膜51の表面が露出される。なお、図7(c)の断面図から明らかな様に、図9(a)の平面図においても、無機絶縁膜51の下には同じ形状のパターンに加工された結晶性半導体膜41が存在している。続いて、面積を縮小し、チャネル保護膜5を形成する領域に対応して残された厚膜部34bをマスクとして、この厚膜部34bにより覆われる領域を除いて、無機絶縁膜51をドライエッチング法により除去し、チャネル保護膜5を形成する。このドライエッチング法を用いた無機絶縁膜51の除去処理については、実施の形態3と同様で構わないので説明を省略する。以上の様にして、チャネル保護膜5が形成され、無機絶縁膜51が除去された部分においては、結晶性半導体膜41の表面が露出される。断面図としては、チャネル保護膜5の形状において微差は生ずるが実施の形態1における図3(d)とほぼ同様の構成となる。続いて、実施の形態1において説明を行ったオーミックコンタクト層であるn+Si層を形成するためのチャネル保護膜5で覆われている領域以外の半導体層4へのイオンドーピング工程と、ソース電極6、ドレイン電極7及び配線層6aを形成する工程を順次行うことにより、断面図としては実施の形態1における図3(f)とほぼ同様の構成、平面図としては、図9(c)の構成が得られる。図9(c)に示す様に、チャネル保護膜5で覆われている領域以外の結晶性半導体膜41には、オーミックコンタクト層であるn+Si層が形成されており、実施の形態1と同様にソース電極6及びドレイン電極7の下部においては、其々ソース領域4s及びドレイン領域4dが形成されているが、本変形例においては、ソース領域4s及びドレイン領域4d間にも導電層であるn+Si層からなる不純物半導体領域4iが形成されており、ソース領域4s及びドレイン領域4d間が導電層により連結されている。従って、この図9(c)の構成のままでは、TFTとして機能しないことから、本変形例においては、この不純物半導体領域4iを除去し、ソース領域4s及びドレイン領域4dを分離する工程が必要となる。具体的な処理としては、実施の形態1において説明を行った半導体層4表面のシリサイド膜を除去するドライエッチング処理を行い。続いて、実施の形態1において示唆したn+Si層を加工除去するドライエッチング処理を行うと良い。この処理により、図9(d)の平面模式図に示す様に、ソース電極6、ドレイン電極7、及びチャネル保護膜5に覆われない領域におけるn+Si層、即ち、不純物半導体領域4iが除去される。なお、不純物半導体領域4iが除去された領域を図中点線で囲み示している。以降は、実施の形態3と同じ製造工程で良いことから説明を省略する。
【0055】
以上説明の実施の形態3の変形例においては、半導体層4のパターンを形成するためのマスクとして使用されたフォトレジストに対して、パターン端面を後退する端面後退工程を行い、チャネル保護膜5を形成するマスクに変形して使用することにより、チャネル保護膜5を加工形成するためのマスク工程と半導体層4を加工形成するためのマスク工程を共通化することができる。その結果、実施の形態2或いは実施の形態3の製造方法より更に1つマスク工程数を減少させることができる。なお、マスク工程数が減少する代わりに、厚膜部34bの面積を縮小させるアッシング工程やn+Si層を除去しソース領域4s及びドレイン領域4d間を分離するドライエッチング工程が別途必要となるが、これらの代替工程については、写真製版工程と比較し、生産性や製造コストの面での悪影響が少なく、製造方法トータルとしての生産性は向上し、製造コストも低減される。従って、本変形例においては、実施の形態3で得られる効果に加え、更に生産性を向上できるなどの効果が得られる。また、領域により三段階の異なる強度の露光を行うことのできる実施の形態2或いは実施の形態3と同様の公知の比較的一般的なハーフトーンマスクを用いても良いことから、比較的容易に前記の生産性向上などの効果が得られる。
【0056】
実施の形態4.
実施の形態2及び実施の形態3においては、実施の形態1で説明した製造方法よりマスク工程を一工程削減する方法として、チャネル保護膜5或いは半導体膜4を加工形成するためのマスク工程と、ゲート電極2と同層に形成された配線層2aとソース電極6及びドレイン電極7と同層に形成された配線層6aとを直接接続する配線変換部12を構成するコンタクトホール13を加工形成するためのマスク工程において、写真製版工程を共通化する方法について説明を行った。また、実施の形態3の変形例においては、チャネル保護膜5を加工形成するマスク工程と半導体膜4を加工形成するマスク工程についても共通化し、更にマスク工程を一工程削減する方法について説明を行った。ここでは、チャネル保護膜5を加工形成するマスク工程と半導体膜4を加工形成するマスク工程について共通化する別の方法である実施の形態4の液晶表示装置の製造方法について説明を行う。なお、本実施の形態4の製造方法における実施の形態2或いは実施の形態3の製造方法からの変更点については、チャネル保護膜5、半導体層4、及びコンタクトホール13の形成工程の違いのみであり、液晶表示装置の構成及び製造方法におけるその他の工程などについては、同一の構成或いは同一の方法で良いことから、以下、実施の形態2或いは実施の形態3との変更部であるチャネル保護膜5、半導体層4、及びコンタクトホール13の形成工程を重点的に説明し、実施の形態1、実施の形態2或いは実施の形態3と同じ、液晶表示装置の構成及び製造工程については適宜説明を省略する。
【0057】
先ず、実施の形態2において使用した図5(a)に示す様に表示領域101に形成したゲート電極2及び額縁領域102に形成した配線層2aの上を含む透明絶縁性基板1上にゲート絶縁膜3、結晶性を有する半導体膜である結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51を形成した後、ゲート絶縁膜3上にフォトレジスト31を形成する。ここまでは、実施の形態1、実施の形態2或いは実施の形態3と同様で良いことから詳細な製造方法は省略する。続いて、図10(a)に示す様に無機絶縁膜51上のフォトレジスト31に本実施の形態4のハーフトーンマスク37を介して露光32を行うことにより、領域により四段階の異なる強度の露光を行う。以下、本実施の形態4のハーフトーンマスク37の構成について詳細に説明を行う。
【0058】
本実施の形態4のハーフトーンマスク37は、第一の光透過性領域37aと第二の光透過性領域37b1と第三の光透過性領域37b2と第四の光透過性領域37cを備えている。第一の光透過性領域37aは、ここでは、光を全く遠さない遮光領域とした。但し、少なくとも第二の光透過性領域37b1よりも光透過性の低い領域であれば良い。逆に第四の光透過領域37cは、殆ど光を遮断しない開口領域とした。但し、少なくとも第三の光透過性領域37b2よりも光透過性の高い領域であれば良い。第二の光透過性領域37b1及び第三の光透過性領域37b2は、中間調露光領域であり、第一の光透過性領域37aと第四の光透過領域37cとの中間の光透過性を有すれば良く、更に第二の光透過性領域37b1は少なくとも第三の光透過性領域37b2よりも光透過性の低い領域であれば良い。また、第二の光透過性領域37b1及び第三の光透過性領域37b2は、其々異なる均一な所定の光透過性を有する膜により形成されても良いし、露光解像度以下の微細パターンに遮光膜を形成して実質的な光透過性を落とし、其々異なる実質的な光透過性を有する領域としても良い。
【0059】
この様なハーフトーンマスク37を介して露光32を実施することにより、フォトレジスト31には、四段階の異なる強度の露光が行われ、露光強度に応じてフォトレジスト31の露光し感光される深さが異なることから、其々の領域には露光厚さが異なる露光領域31aが形成される。ここでは、第一の光透過性領域37aに対応する領域では、露光領域31aが形成されない。第二の光透過性領域37b1では、フォトレジスト31の膜厚方向の一部において露光領域31aが形成され、第三の光透過性領域37b2では、第二の光透過性領域37b1の場合と比較して、より厚い露光領域31aが形成される。更に第四の光透過領域37cに対応する領域では、フォトレジスト31の膜厚全てに渡って露光領域31aが形成される。なお、実施の形態2でも説明したとおり、第一の光透過性領域37aに光透過性を有しても良いことから、第一の光透過性領域37aに対応する領域でも第二の光透過性領域37b1よりも薄い露光領域31aを形成しても構わない。また、第一の光透過性領域37aは、チャネル保護膜5を形成する領域に対応し、第二の光透過性領域37b1は、半導体層4を形成する領域に対応し、第四の光透過領域37cは、額縁領域102に形成した配線層2a上のゲート絶縁膜3を開口するコンタクトホール13を形成する領域に対応する。第三の光透過性領域37b2はゲート絶縁膜3を残存させる残りの領域に対応する。続いて、現像処理によって、露光して感光した露光領域31aを除去することにより、図10(b)に示す様に、半導体層4を形成する領域において厚みの大きい第一の厚膜部38bと、チャネル保護膜5を形成する領域において、第一の厚膜部38bより更に厚みの大きい第二の厚膜部38aと、コンタクトホール13を形成する領域において開口部38cを有したフォトレジスト38が形成される。
【0060】
続いて、上記の様に形成されたフォトレジスト38を介して、ドライエッチング処理を行うことにより、フォトレジスト38における開口部38cにおいて、配線層2a上のゲート絶縁膜3、結晶性半導体膜41、及びチャネル保護膜5となる無機絶縁膜51が除去される。その結果、配線層2a上の所定の領域において、ゲート絶縁膜3を開口するコンタクトホール13が形成される。続いて、O2ガスを用いたプラズマ処理を用いたアッシング処理35によって、フォトレジスト38を削る減厚工程を行い、厚みの大きい厚膜部38a及び厚膜部38bを残してフォトレジスト38を除去する。残存されたフォトレジスト38における厚膜部38a及び厚膜部38bは、半導体層4を形成する領域に対応して残存される。以上の工程により、図11(a)に示す構成が得られる。続いて、残存されたフォトレジスト38における厚膜部38a及び厚膜部38bをマスクとして、無機絶縁膜51及び結晶性半導体膜41をドライエッチング法により除去し、半導体層4及び半導体層4と同じ形状のパターンに加工された無機絶縁膜51が得られる。その結果、図11(b)に示す構成が得られる。続いて、O2ガスを用いたプラズマ処理を用いたアッシング処理35によって、フォトレジスト38を削る減厚工程を行い、厚みの大きい厚膜部38aを残してフォトレジスト38の厚膜部38bを除去する。残存されたフォトレジスト38における厚膜部38aは、チャネル保護膜5を形成する領域に対応して残存される。以上の工程により、図11(c)に示す構成が得られる。更に残存されたフォトレジスト38における厚膜部38aをマスクとして、半導体層4と同じ形状のパターンに加工された無機絶縁膜51をドライエッチング法により除去し、所定の形状のパターンに加工し、チャネル保護膜5を形成する。このドライエッチング法を用いた無機絶縁膜51の除去処理については、実施の形態3と同様で構わないので説明を省略する。その結果、実施の形態1において説明を行った図3(d)に示す構成が得られる。以下、実施の形態1と同様の製造工程で良いことから、説明を省略する。
【0061】
以上説明の実施の形態4における液晶表示装置の製造方法では、半導体層4を加工形成するためのマスク工程と、チャネル保護膜5を加工形成するためのマスク工程と、ゲート電極2と同層に形成された配線層2aとソース電極6及びドレイン電極7と同層に形成された配線層6aとを直接接続する配線変換部12を構成するコンタクトホール13を加工形成するためのマスク工程において、写真製版工程を共通化し、1回の写真製版工程により形成することができる。従って、実施の形態1と同様の効果を得られるとともに、マスク工程数を実施の形態1に比べて2つ、実施の形態2或いは実施の形態3に比べて1つ減少させることができ、生産性を向上させるなどの効果が得られる。
【0062】
なお、以上説明を行った実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4及びその変形例で用いた厚みの大きい厚膜部と開口部を有したフォトレジストの様に、領域により異なる厚みを有したフォトレジストを形成する方法としては、上記説明の領域により異なる光透過率を有するハーフトーンマスクを介して露光を実施する方法以外にも方法がある。例えば、露光工程が二回以上必要となるが、一般的な開口領域と遮光領域を有したフォトマスクを複数種類用意し、其々のフォトマスクで開口領域を変え、更に、其々を用いた異なる照射光量の露光を行うことで、領域毎に三種類以上の異なる強度の露光を行うことができる。この方法によっても、領域により異なる厚みを有した同様のフォトレジストを形成することができる。この場合には、中間調露光領域を有するハーフトーンマスクを準備することなく、一般的なフォトマスクのみで形成することが可能である。また、実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4及びその変形例においては、ポジ型のレジストを使用した場合を例として説明を行ったが、ネガ型のレジストを使用しても良く、その場合、露光の際における照射光量の大小関係或いは開口領域と遮光領域の関係が逆になるのは言うまでもない。
【0063】
なお、以上説明を行った実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4、及びこれら変形例においては、実施の形態1と同様に、TFTを用いた半導体装置の一例として、液晶表示装置を例にとって説明を行ったが、実施の形態1において転用の可能性について説明を行った様に、液晶以外の表示装置として有機EL表示装置などの平面型表示装置(フラットパネルディスプレイ)や、表示装置以外の半導体装置であるイメージセンサなどの光電変換装置などにも用いることも可能であり、実施の形態1において説明した各構成に対応した効果に加え、上記説明の実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4、及びこれら変形例で得られる効果と同様の効果が得られる。
【0064】
以上の様に本発明の実施の形態及びその変形例について説明を行ったが、各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変形が含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1 透明絶縁性基板、1a マザーアレイ基板、1b マザー対向基板、
10 マザー液晶セル基板、10a、10b、・・10x、・・10n 液晶セル基板、
2 ゲート電極、2a 配線層、3 ゲート絶縁膜、
30 イオン注入処理、31、34、36、38 フォトレジスト、
31a 露光領域、32 露光、33、37 ハーフトーンマスク、
33a、37a 第一の光透過性領域、33b、37b1 第二の光透過性領域、
33c、37b2 第三の光透過性領域、37c 第四の光透過性領域、
34a、34b、38a、38b 厚膜部、34c、38c 開口部、
35 アッシング処理、
4 半導体層、4c チャネル領域、4s ソース領域、4d ドレイン領域、
41 結晶性半導体膜、4i 不純物半導体領域、
5 チャネル保護膜、51 無機絶縁膜、
6 ソース電極、6a 配線層、7 ドレイン電極、8 保護絶縁膜、
9、13 コンタクトホール、11 画素電極、12 配線変換部、
100 TFTアレイ基板、101 表示領域、102 額縁領域、
103 走査信号駆動回路、104 表示信号駆動回路、105 画素、
106、107 外部配線、108 画素TFT、109 ゲート配線、
110 ソース配線、111 蓄積容量、112 蓄積容量配線、
120、120a、120b、・・120x、・・120n シール。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜トランジスタを備えた薄膜トランジスタ基板と、前記薄膜トランジスタ基板に内蔵された駆動回路を備えた半導体装置において、前記薄膜トランジスタ基板は、絶縁性基板上に形成されたゲート電極と、前記絶縁性基板及び前記ゲート電極上に形成されるゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成され、少なくとも一部において結晶性半導体部分を有し、該結晶性半導体部分を含んでチャネル領域が形成される半導体層と、前記半導体層におけるチャネル領域上に形成され、前記チャネル領域を保護するチャネル保護膜と、前記半導体層に接続されたソース電極及びドレイン電極を備えた前記薄膜トランジスタ、並びに、前記絶縁性基板上に前記ゲート電極と同層に形成された第一配線層と、前記ソース電極及びドレイン電極と同層に形成された第二配線層を、前記駆動回路内部において、前記ゲート絶縁膜を開口して設けられたコンタクトホールを介して直接接触させて電気的に接続させる配線変換部を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
薄膜トランジスタ基板に対向して配置された対向基板と、前記薄膜トランジスタ基板と前記対向基板間を貼り合わせるシールと、前記薄膜トランジスタ基板と前記対向基板及び前記シールにより囲まれる領域に封入された液晶とを備え、配線変換部が前記シールにより囲まれる領域より外部に配置された液晶表示装置であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
薄膜トランジスタ基板に対向して配置された対向基板と、前記薄膜トランジスタ基板と前記対向基板間を貼り合わせるシールと、前記薄膜トランジスタ基板と前記対向基板及び前記シールにより囲まれる領域に封入された液晶と、前記対向基板における前記液晶側表面に配置される対向電極とを備え、配線変換部が前記シール近傍に配置された液晶表示装置であることを特徴とする請求項1或いは請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
配線変換部における第二配線層並びにソース電極及びドレイン電極を覆う保護絶縁膜と、前記保護絶縁膜に開口されたコンタクトホールと、該保護絶縁膜に開口されたコンタクトホールを介して前記ドレイン電極と接続される画素電極とを備えた液晶表示装置であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の半導体装置。
【請求項5】
ゲート絶縁膜は、半導体層における結晶性半導体部分と接し、前記結晶性半導体部分は結晶性シリコン膜よりなり、前記結晶性半導体部分と接する部分におけるゲート絶縁膜は酸化シリコン膜よりなることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の半導体装置。
【請求項6】
チャネル保護膜は、半導体層における結晶性半導体部分と接し、前記結晶性半導体部分は結晶性シリコン膜よりなり、前記結晶性半導体部分と接する部分におけるチャネル保護膜は酸化シリコン膜よりなることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の半導体装置。
【請求項7】
チャネル保護膜は下層が酸化シリコン膜よりなり、上層が窒化シリコン膜よりなる積層膜であることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
半導体層は全て結晶性半導体部分により形成されることを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の半導体装置。
【請求項9】
半導体層における結晶性半導体部分は微結晶シリコン層により形成されることを特徴とする請求項1から請求項8の何れかに記載の半導体装置。
【請求項10】
ソース電極及びドレイン電極の接続部分において、半導体層に不純物を導入したソース領域及びドレイン領域が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項9の何れかに記載の半導体装置。
【請求項11】
第一配線層と第二配線層とを直接接触させて電気的に接続させるコンタクトホールの加工とチャネル保護膜或いは半導体層の加工は1回の写真製版工程にて行われることを特徴とする請求項1から請求項10の何れかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
ゲート絶縁膜上に半導体膜と無機絶縁膜を順次形成する工程と、チャネル保護膜或いは半導体層を形成する領域において厚みの大きい厚膜部と、第一配線層と前記第二配線層とを直接接触させて電気的に接続させるコンタクトホールを形成する領域において開口部を有したフォトレジストを前記無機絶縁膜上に形成する工程と、前記開口部において、前記無機絶縁膜、半導体膜、及びゲート絶縁膜を除去する工程と、前記フォトレジストの減厚工程を行い、前記厚膜部を残して前記フォトレジストを除去する工程と、続いて、前記厚膜部のフォトレジストにより覆われる領域を除いて前記無機絶縁膜或いは半導体膜を除去し前記チャネル保護膜或いは半導体層を形成する工程と、を備えたことを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
第一配線層と第二配線層とを直接接触させて電気的に接続させるコンタクトホールの加工とチャネル保護膜の加工に加え、半導体層の加工についても1回の写真製版工程にて行われることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
ゲート絶縁膜上に半導体膜と無機絶縁膜を順次形成する工程と、半導体層を形成する領域において厚みの大きい第一の厚膜部と、チャネル保護膜を形成する領域において前記第一の厚膜部より更に厚みの大きい第二の厚膜部と、第一配線層と前記第二配線層とを直接接触させて電気的に接続させるコンタクトホールを形成する領域において開口部を有したフォトレジストを前記無機絶縁膜上に形成する工程と、前記開口部において、前記無機絶縁膜、半導体膜、及びゲート絶縁膜を除去する工程と、前記フォトレジストの減厚工程を行い、前記第一の厚膜部及び第二の厚膜部を残して前記フォトレジストを除去する工程と、続いて、前記第一の厚膜部及び第二の厚膜部のフォトレジストにより覆われる領域を除いて前記半導体膜と無機絶縁膜を除去し前記半導体層を形成する工程と、更に前記フォトレジストの減厚工程を行い、前記第二の厚膜部を残して前記フォトレジストを除去する工程と、続いて、前記第二の厚膜部のフォトレジストにより覆われる領域を除いて前記無機絶縁膜を除去し前記チャネル保護膜を形成する工程と、を備えたことを特徴とする請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
ゲート絶縁膜上に半導体膜と無機絶縁膜を順次形成する工程と、半導体層を形成する領域において厚みの大きい厚膜部と、第一配線層と前記第二配線層とを直接接触させて電気的に接続させるコンタクトホールを形成する領域において開口部を有したフォトレジストを前記無機絶縁膜上に形成する工程と、前記開口部において、前記無機絶縁膜、半導体膜、及びゲート絶縁膜を除去する工程と、前記フォトレジストの減厚工程を行い、前記厚膜部を残して前記フォトレジストを除去する工程と、続いて、前記厚膜部のフォトレジストにより覆われる領域を除いて前記無機絶縁膜と半導体膜を除去し半導体層を形成する工程と、更にフォトレジストの端面後退工程を行い、チャネル保護膜を形成する領域を残して前記フォトレジストを除去する工程と、続いて、前記端面後退工程により残されたフォトレジストにより覆われる領域を除いて前記無機絶縁膜を除去し前記チャネル保護膜を形成する工程と、を備えたことを特徴とする請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
薄膜トランジスタを備えた薄膜トランジスタ基板と、前記薄膜トランジスタ基板に内蔵された駆動回路を備えた半導体装置において、前記薄膜トランジスタ基板は、絶縁性基板上に形成されたゲート電極と、前記絶縁性基板及び前記ゲート電極上に形成されるゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成され、少なくとも一部において結晶性半導体部分を有し、該結晶性半導体部分を含んでチャネル領域が形成される半導体層と、前記半導体層におけるチャネル領域上に形成され、前記チャネル領域を保護するチャネル保護膜と、前記半導体層に接続されたソース電極及びドレイン電極を備えた前記薄膜トランジスタ、並びに、前記絶縁性基板上に前記ゲート電極と同層に形成された第一配線層と、前記ソース電極及びドレイン電極と同層に形成された第二配線層を、前記駆動回路内部において、前記ゲート絶縁膜を開口して設けられたコンタクトホールを介して直接接触させて電気的に接続させる配線変換部を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
薄膜トランジスタ基板に対向して配置された対向基板と、前記薄膜トランジスタ基板と前記対向基板間を貼り合わせるシールと、前記薄膜トランジスタ基板と前記対向基板及び前記シールにより囲まれる領域に封入された液晶とを備え、配線変換部が前記シールにより囲まれる領域より外部に配置された液晶表示装置であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
薄膜トランジスタ基板に対向して配置された対向基板と、前記薄膜トランジスタ基板と前記対向基板間を貼り合わせるシールと、前記薄膜トランジスタ基板と前記対向基板及び前記シールにより囲まれる領域に封入された液晶と、前記対向基板における前記液晶側表面に配置される対向電極とを備え、配線変換部が前記シール近傍に配置された液晶表示装置であることを特徴とする請求項1或いは請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
配線変換部における第二配線層並びにソース電極及びドレイン電極を覆う保護絶縁膜と、前記保護絶縁膜に開口されたコンタクトホールと、該保護絶縁膜に開口されたコンタクトホールを介して前記ドレイン電極と接続される画素電極とを備えた液晶表示装置であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の半導体装置。
【請求項5】
ゲート絶縁膜は、半導体層における結晶性半導体部分と接し、前記結晶性半導体部分は結晶性シリコン膜よりなり、前記結晶性半導体部分と接する部分におけるゲート絶縁膜は酸化シリコン膜よりなることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の半導体装置。
【請求項6】
チャネル保護膜は、半導体層における結晶性半導体部分と接し、前記結晶性半導体部分は結晶性シリコン膜よりなり、前記結晶性半導体部分と接する部分におけるチャネル保護膜は酸化シリコン膜よりなることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の半導体装置。
【請求項7】
チャネル保護膜は下層が酸化シリコン膜よりなり、上層が窒化シリコン膜よりなる積層膜であることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
半導体層は全て結晶性半導体部分により形成されることを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の半導体装置。
【請求項9】
半導体層における結晶性半導体部分は微結晶シリコン層により形成されることを特徴とする請求項1から請求項8の何れかに記載の半導体装置。
【請求項10】
ソース電極及びドレイン電極の接続部分において、半導体層に不純物を導入したソース領域及びドレイン領域が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項9の何れかに記載の半導体装置。
【請求項11】
第一配線層と第二配線層とを直接接触させて電気的に接続させるコンタクトホールの加工とチャネル保護膜或いは半導体層の加工は1回の写真製版工程にて行われることを特徴とする請求項1から請求項10の何れかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
ゲート絶縁膜上に半導体膜と無機絶縁膜を順次形成する工程と、チャネル保護膜或いは半導体層を形成する領域において厚みの大きい厚膜部と、第一配線層と前記第二配線層とを直接接触させて電気的に接続させるコンタクトホールを形成する領域において開口部を有したフォトレジストを前記無機絶縁膜上に形成する工程と、前記開口部において、前記無機絶縁膜、半導体膜、及びゲート絶縁膜を除去する工程と、前記フォトレジストの減厚工程を行い、前記厚膜部を残して前記フォトレジストを除去する工程と、続いて、前記厚膜部のフォトレジストにより覆われる領域を除いて前記無機絶縁膜或いは半導体膜を除去し前記チャネル保護膜或いは半導体層を形成する工程と、を備えたことを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
第一配線層と第二配線層とを直接接触させて電気的に接続させるコンタクトホールの加工とチャネル保護膜の加工に加え、半導体層の加工についても1回の写真製版工程にて行われることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
ゲート絶縁膜上に半導体膜と無機絶縁膜を順次形成する工程と、半導体層を形成する領域において厚みの大きい第一の厚膜部と、チャネル保護膜を形成する領域において前記第一の厚膜部より更に厚みの大きい第二の厚膜部と、第一配線層と前記第二配線層とを直接接触させて電気的に接続させるコンタクトホールを形成する領域において開口部を有したフォトレジストを前記無機絶縁膜上に形成する工程と、前記開口部において、前記無機絶縁膜、半導体膜、及びゲート絶縁膜を除去する工程と、前記フォトレジストの減厚工程を行い、前記第一の厚膜部及び第二の厚膜部を残して前記フォトレジストを除去する工程と、続いて、前記第一の厚膜部及び第二の厚膜部のフォトレジストにより覆われる領域を除いて前記半導体膜と無機絶縁膜を除去し前記半導体層を形成する工程と、更に前記フォトレジストの減厚工程を行い、前記第二の厚膜部を残して前記フォトレジストを除去する工程と、続いて、前記第二の厚膜部のフォトレジストにより覆われる領域を除いて前記無機絶縁膜を除去し前記チャネル保護膜を形成する工程と、を備えたことを特徴とする請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
ゲート絶縁膜上に半導体膜と無機絶縁膜を順次形成する工程と、半導体層を形成する領域において厚みの大きい厚膜部と、第一配線層と前記第二配線層とを直接接触させて電気的に接続させるコンタクトホールを形成する領域において開口部を有したフォトレジストを前記無機絶縁膜上に形成する工程と、前記開口部において、前記無機絶縁膜、半導体膜、及びゲート絶縁膜を除去する工程と、前記フォトレジストの減厚工程を行い、前記厚膜部を残して前記フォトレジストを除去する工程と、続いて、前記厚膜部のフォトレジストにより覆われる領域を除いて前記無機絶縁膜と半導体膜を除去し半導体層を形成する工程と、更にフォトレジストの端面後退工程を行い、チャネル保護膜を形成する領域を残して前記フォトレジストを除去する工程と、続いて、前記端面後退工程により残されたフォトレジストにより覆われる領域を除いて前記無機絶縁膜を除去し前記チャネル保護膜を形成する工程と、を備えたことを特徴とする請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−181596(P2011−181596A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42515(P2010−42515)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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