説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】HV系トランジスタでの閾値電圧の上昇を防止する半導体装置とその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板10と、トランジスタ領域の半導体基板10を素子領域に分離する素子分離絶縁膜204と、トランジスタ領域に設けられた複数のトランジスタと、素子分離絶縁膜204の下に形成された反転防止拡散層209とを具備し、トランジスタは、素子領域上に形成されたゲート絶縁膜11と、ゲート絶縁膜11上に形成され素子分離絶縁膜204上に延びるゲート電極203と、ゲート電極203を挟むように半導体基板10表面に形成された拡散層18を有し、素子分離絶縁膜204は、素子領域に隣接する領域204−1と、領域204−1の底部より深い底部を有する領域204−2とを有し、反転防止拡散層209は、領域204−2の下に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関するもので、例えば、周辺回路部に高電圧
(HV)系トランジスタ領域を有し、HV系トランジスタの素子分離絶縁膜が第1部分と
、底面がこの第1部分よりも深い第2部分とを有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データの電気的書き換え(書き込み及び消去)が可能な不揮発性の半導体記憶装置とし
て、例えばNAND型フラッシュメモリがある。このフラッシュメモリの場合、メモリセ
ル部の周辺に複数のトランジスタ回路(周辺回路部)が配置されている。フラッシュメモ
リの周辺回路部は、LV系トランジスタ領域とHV系トランジスタ領域とに大別される。
【0003】
このHV系トランジスタには、20V以上の電圧が加わる。そのため、それぞれのHV
系トランジスタを分離する素子分離絶縁膜の耐圧を十分確保する必要があり、HV系トラ
ンジスタ間の素子分離絶縁膜の幅を広くする必要がある。
【0004】
また、HV系トランジスタのバックバイアス効果による閾値電圧の上昇が大きいと、素
子耐圧確保と昇圧回路の肥大化を招くため、半導体装置を肥大化させ、製造コストを押し
上げる要因となっている
この問題を解決する方法として、STIの形状を下向きに凸部を形成する提案が既にな
されている(例えば、特許文献1参照)。ここで、HV系トランジスタ間の素子分離耐圧
を向上させるために素子分離絶縁膜下に反転防止層が形成される場合がある。この時、H
V系トランジスタのゲート電極に高電圧が加わると、チャネル領域の空乏層が素子分離絶
縁膜下の反転防止拡散層まで延びてしまい、閾値電圧が上昇してしまう問題は解決できな
い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,144,790号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、HV系トランジスタでの閾値電圧の上昇を防止することが可能な半導体装置
及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、半導体基板と、第1トランジスタ領域の前記半導体基板を第
1素子領域に分離する第1素子分離絶縁膜と、第2トランジスタ領域の前記半導体基板を
第2素子領域に分離する第2素子分離絶縁膜と、前記第1トランジスタ領域に設けられた
複数の第1トランジスタと、前記第2トランジスタ領域に設けられた複数の第2トランジ
スタと、前記第1素子分離絶縁膜の下に形成された反転防止拡散層とを具備し、前記第1
トランジスタは、前記第1素子領域上に形成された第1ゲート絶縁膜と、前記第1ゲート
絶縁膜上に形成され前記第1素子分離絶縁膜上に延びる第1ゲート電極と、前記第1ゲー
ト電極を挟むように前記半導体基板表面に形成された第1拡散層を有し、前記第2トラン
ジスタは、前記第2素子領域上に形成され、前記第1ゲート絶縁膜よりも膜厚の薄い第2
ゲート絶縁膜と、前記第2ゲート絶縁膜上に形成された第2ゲート電極と、前記第2ゲー
ト電極を挟むように前記半導体基板表面に形成された第2拡散層を有し、前記第1素子分
離絶縁膜は、前記第1素子領域に隣接する第1領域と、前記第1領域の底部より深い底部
を有する第2領域とを有し、前記反転防止拡散層は、前記第1素子分離絶縁膜の前記第2
領域の下に形成されていることを特徴とする半導体装置が提供される。
【0008】
また、本発明の別の態様によれば、半導体基板の第1トランジスタ領域の第1領域に第
1ゲート絶縁膜を形成し、前記第1領域を取り囲む第2領域に前記第1ゲート絶縁膜より
膜厚の薄い第2ゲート絶縁膜を形成するとともに、第2トランジスタ領域に前記第2ゲー
ト絶縁膜を形成し、前記第1及び第2ゲート絶縁膜並びに前記半導体基板をエッチングす
ることにより、前記第1トランジスタ領域の前記第1領域に第1の溝を形成するとともに
、前記第2領域に前記第1の溝よりも深い第2の溝と、前記第2のトランジスタ領域に第
3の溝を形成し、前記第1及び第2の溝内に絶縁膜を埋め込み第1素子分離絶縁膜を形成
するとともに、前記第3の溝内に前記絶縁膜を埋め込んで第2素子分離絶縁膜を形成し、
前記第1素子分離絶縁膜の前記第2の溝の下に反転防止拡散層を形成し、前記第1トラン
ジスタ領域の前記第1ゲート絶縁膜上に延びる第1ゲート電極を形成し、前記第2トラン
ジスタ領域の前記第2ゲート絶縁膜上に第2ゲート電極を形成し、前記第1及び第2ゲー
ト電極をマスクとして拡散層を形成する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造
方法が提供できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、HV系トランジスタでの閾値電圧の上昇を防止することが可能な半導
体装置及びその製造方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る、半導体装置(NAND型フラッシュメモリ)の構成例を示す平面図である。
【図2】第1の実施形態に係る、NAND型フラッシュメモリの断面図であり、(a)は図1のA−A線に沿った断面図であり、(b)は図1のB−B線に沿った断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る、NAND型フラッシュメモリの断面図であり、(a)は図1のC−C線に沿った断面図であり、(b)は図1のD−D線に沿った断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る、NAND型フラッシュメモリの断面図であり、図1のE−E線に沿った断面図である。
【図5】第1の実施形態に係る、NAND型フラッシュメモリの製造プロセスを説明するために示す断面図であり、(a)は図1のA−A線に沿った断面図であり、(b)は図1のB−B線に沿った断面図であり、(c)は図1のC−C線に沿った断面図であり、(d)は図1のD−D線に沿った断面図であり、(e)は図1のE−E線に沿った断面図である。
【図6】第1の実施形態に係る、NAND型フラッシュメモリの製造プロセスを説明するために示す断面図であり、図5に続く断面図である。
【図7】第1の実施形態に係る、NAND型フラッシュメモリの製造プロセスを説明するために示す断面図であり、図6に続く断面図である。
【図8】第1の実施形態に係る、NAND型フラッシュメモリの製造プロセスを説明するために示す断面図であり、図7に続く断面図である。
【図9】第1の実施形態に係る、NAND型フラッシュメモリの製造プロセスを説明するために示す断面図であり、図8に続く断面図である。
【図10】第1の実施形態に係る、NAND型フラッシュメモリの製造プロセスを説明するために示す断面図であり、図9に続く断面図である。
【図11】第1の実施形態に係る、NAND型フラッシュメモリの効果を説明するために示す断面図であり、図1のA−A線に沿った断面図である。
【図12】第1の実施形態の変形例1に係る、半導体装置(NAND型フラッシュメモリ)の構成例を示す平面図である。
【図13】第1の実施形態の変形例1に係る、NAND型フラッシュメモリの断面図であり、(a)は図12のA−A線に沿った断面図である。
【図14】第1の実施形態の変形例2に係る、NAND型フラッシュメモリの断面図であり、(a)は図1のA−A線に沿った断面図であり、(b)は図1のB−B線に沿った断面図であり、(c)は図1のC−C線に沿った断面図であり、(d)は図1のD−D線に沿った断面図であり、(e)は図1のE−E線に沿った断面図である。
【図15】第1の実施形態の変形例2に係る、NAND型フラッシュメモリの製造プロセスを説明するために示す断面図であり、(a)は図1のA−A線に沿った断面図であり、(b)は図1のB−B線に沿った断面図であり、(c)は図1のC−C線に沿った断面図であり、(d)は図1のD−D線に沿った断面図であり、(e)は図1のE−E線に沿った断面図である。
【図16】第1の実施形態の変形例2に係る、NAND型フラッシュメモリの製造プロセスを説明するために示す断面図であり、図15に続く断面図である。
【図17】第1の実施形態の変形例2に係る、NAND型フラッシュメモリの製造プロセスを説明するために示す断面図であり、図16に続く断面図である。
【図18】第2の実施形態に係る、NAND型フラッシュメモリの断面図であり、(a)は図1のA−A線に沿った断面図であり、(b)は図1のB−B線に沿った断面図である。
【図19】第2の実施形態に係る、NAND型フラッシュメモリの断面図であり、(a)は図1のC−C線に沿った断面図であり、(b)は図1のD−D線に沿った断面図である。
【図20】第2の実施形態に係る、NAND型フラッシュメモリの断面図であり、図1のE−E線に沿った断面図である。
【図21】第2の実施形態に係る、NAND型フラッシュメモリの製造プロセスを説明するために示す断面図であり、(a)は図1のA−A線に沿った断面図であり、(b)は図1のB−B線に沿った断面図であり、(c)は図1のC−C線に沿った断面図であり、(d)は図1のD−D線に沿った断面図であり、(e)は図1のE−E線に沿った断面図である。
【図22】第2の実施形態に係る、NAND型フラッシュメモリの製造プロセスを説明するために示す断面図であり、図21に続く断面図である。
【図23】第2の実施形態に係る、NAND型フラッシュメモリの製造プロセスを説明するために示す断面図であり、図22に続く断面図である。
【図24】第2の実施形態に係る、NAND型フラッシュメモリの製造プロセスを説明するために示す断面図であり、図23に続く断面図である。
【図25】第2の実施形態に第1の実施形態の変形例2を適用した断面図であり、(a)は図1のA−A線に沿った断面図であり、(b)は図1のB−B線に沿った断面図であり、(c)は図1のC−C線に沿った断面図であり、(d)は図1のD−D線に沿った断面図であり、(e)は図1のE−E線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、図面は模式的な
ものであり、各図面の寸法及び比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである
。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係及び/または比率が異なる部分が含
まれていることは勿論である。特に、以下に示すいくつかの実施の形態は、本発明の技術
思想を具体化するための装置及び方法を例示したものであって、構成部品の形状、構造、
配置などによって、本発明の技術思想が特定されるものではない。この発明の技術思想は
、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
[第1の実施形態]
図1乃至図4は、本発明の第1の実施形態にしたがった、半導体装置の構成例を示すも
のである。なお、本実施形態では、LV系トランジスタ領域とHV系トランジスタ領域と
で素子分離構造の異なる半導体装置として、不揮発性の半導体記憶装置であるNAND型
フラッシュメモリを例に説明する。ここで、図1(a)は、半導体装置における周辺回路
部のHV系トランジスタ領域を示す平面図、図1(b)は、周辺回路部のLV系トランジ
スタ領域を示す平面図、図1(c)は、メモリセル部の平面図である。また、図2(a)
は、図1(a)のA−A線(X方向)に沿うHV系トランジスタ領域の断面図、図2(b
)は、図1(a)のB−B線(Y方向)に沿うHV系トランジスタ領域の断面図、図3(
a)は、図1(b)のC−C線(X方向)に沿うLV系トランジスタ領域の断面図、図3
(b)は、図1(b)のD−D線(Y方向)に沿うLV系トランジスタ領域の断面図4は
、図1(c)のE−E線(X方向)に沿うメモリセル部の断面図である。
【0013】
なお、図1のX方向はチャネル幅方向、または、ワード線方向と称する場合もあり、Y
方向はチャネル長方向、または、ビット線方向と称する場合もある。
【0014】
図1(a)に示すように、半導体装置の周辺回路部101におけるHV系トランジスタ
領域102には、複数のHV系トランジスタ(MOSトランジスタ)HVが形成されてい
る。本例においては、左上のHV系トランジスタをHV−1、右上のHV系トランジスタ
をHV−2、左下のHV系トランジスタをHV−3、右下のHV系トランジスタをHV−
4とする。
【0015】
それぞれのHV系トランジスタHVは、素子領域202と図中X方向に延びるゲート電
極203を有している。素子領域202は、その周囲が、素子分離絶縁膜(STI)20
4によって囲まれていることにより、HV系トランジスタHV−1乃至HV−4が電気的
に分離されている。なお、各組のHV系トランジスタHVは、通常、HV系トランジスタ
領域102内にランダムに配置されている。
【0016】
ゲート電極203にはゲート電極コンタクト205が配置され、このゲート電極コンタ
クト205は上層配線(図示せず)に接続されている。また、素子領域202には拡散層
コンタクト206が配置され、この拡散層コンタクト206は上層配線(図示せず)に接
続されている。
【0017】
ゲート電極203と素子領域202の交点領域を囲むように第1領域207が形成され
ている。この第1領域はゲート電極203と素子領域202の交点領域に対してオフセッ
トを有するように図中Y方向に素子領域202まで広がっている。また、この第1領域は
素子領域202とオフセットを有するように図中X方向に素子分離絶縁膜204まで広が
っている。なお、HV系トランジスタ領域102において、第1領域207以外の領域を
第2領域208とする。
【0018】
HV系トランジスタHV−1乃至HV−4間の素子分離絶縁膜204には反転防止拡散
層209が配置されている。この反転防止拡散層209はそれぞれのHV系トランジスタ
HV間のほぼ中央付近、かつ、第2領域208に形成されている。なお、本例において反
転防止拡散層209は十字形状をしているが、それぞれのHV系トランジスタHVのゲー
ト電極203間にのみ形成されていても良く、それぞれのHV系トランジスタHVの素子
領域202間にのみ形成されていても良い。
【0019】
次に、図2(a)に、図1(a)のA−A線に沿った断面図を示す。
【0020】
HV系トランジスタHVのゲート電極203は、例えば図2(a)に示すように、第1
導電型であるP型のSi(シリコン)基板10上に、40nm厚程度の第1ゲート絶縁膜
11−1を介して設けられている。ゲート電極203は、第1電極膜12上に、選択的に
設けられたゲート間絶縁膜13及び第2電極膜14を積層してなる構成とされている。な
お、第2電極膜14の上部には低抵抗化のための金属サリサイド膜が設けられていてもよ
い。
【0021】
第1ゲート絶縁膜11−1の材質は、例えば、シリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜、ま
たは、これらの積層膜からである。第1及び第2電極膜12、14の材質は、例えば、ポ
リシリコンである。ゲート間絶縁膜13の材質は、例えば、ONO膜、NONON膜であ
る。
【0022】
ゲート間絶縁膜13には、図1(a)の電極接続部210における部分において、開口
が形成され、第1電極膜12と第2電極膜14が接続されている。なお、第2電極膜14
は、ゲート間絶縁膜13上のみに形成された下層電極膜と、下層電極膜上及び開口内に形
成された上層電極膜からなる2層構造となっていてもよい。
【0023】
第1ゲート絶縁膜11−1と第1電極膜12の側面に接するように素子分離絶縁膜20
4が形成されている。また、素子分離絶縁膜204は、例えば、シリコン酸化膜、PSZ
膜、または、これらの積層膜から形成されている。
【0024】
ここで、素子分離絶縁膜204は、第1領域204−1と、第1領域204−1の底部
より深い底部を有する第2領域204−2から構成されている。X方向において、第1領
域204−1が第1ゲート絶縁膜11−1と第1電極膜12の側面に接し、第2領域20
4−2は、第1領域204−1に挟まれるように配置されている。また、第1領域204
−1と第2領域204−2は徐々に底部の位置が変化するように接続されている。
【0025】
また、第1領域204−1は、図1における第1領域207に相当する部分に形成され
ており、第2領域204−2は、図1における第2領域208に相当する部分に形成され
ている。すなわち、素子分離絶縁膜204の第1領域207は、素子領域202に隣接し
ているといえ、さらには、HV系トランジスタHVのチャネル幅方向のゲート電極203
直下の素子領域202の側面を取り囲んでいるともいえる。
【0026】
また、ゲート電極203の素子分離絶縁膜204上に形成された部分は、ゲート間絶縁
膜13及び第2電極膜14のみが素子分離絶縁膜204上に形成されている。また、素子
分離絶縁膜204の上面は、第1の電極膜12の上面とほぼ同じ高さとなっている。
【0027】
素子分離絶縁膜204上の第2電極膜14にはゲート電極コンタクト205が形成され
ている。また、ゲート電極203及びゲート電極コンタクト205を覆うように層間絶縁
膜23が形成されている。
【0028】
反転防止拡散層209は、第1導電型であるP型の不純物拡散層領域であり、素子分離
絶縁膜204の第2領域204−2の下のみに形成されている。すなわち、素子分離絶縁
膜204の第1領域204−1の下には形成されていない。また、反転防止拡散層209
の上面は素子分離絶縁膜204の第2領域204−2の底部に接している。
【0029】
次に、図2(b)に、図1(a)のB−B線に沿った断面図を示す。素子領域202に
対応するSi基板10上には、第1ゲート絶縁膜11−1と、第1ゲート絶縁膜11−1
より膜厚の薄い第2ゲート絶縁膜11−2が形成されている。ここで、第1ゲート絶縁膜
11−1は第1領域207に形成され、第2ゲート絶縁膜11−2は第2領域208に形
成されている。なお、第1ゲート絶縁膜11−1と第2ゲート絶縁膜11−2を合わせて
ゲート絶縁膜11と称する場合がある。
【0030】
ここで、第2ゲート絶縁膜11−2の膜厚は、10nm程度である。また、第1ゲート
絶縁膜11−1はチャネル長方向において第2ゲート絶縁膜11−2に挟まれるように形
成されている。第1ゲート絶縁膜11−1の上面は、第2ゲート絶縁膜11−2の上面よ
り高く、第1ゲート絶縁膜11−1の底面は、第2ゲート絶縁膜11−2の底面とほぼ同
じである。ゲート電極203は第1ゲート絶縁膜11−1上のみに形成されている。第1
ゲート絶縁膜11−1と第2ゲート絶縁膜11−2は徐々に上面の位置が変化するように
接続されている。
【0031】
また、ゲート電極203を挟むように、Si基板10の表面部には、拡散層領域18a
(n−)、と不純物濃度が拡散層領域18aの不純物濃度よりも高い拡散層領域18b(
n+)が形成されている。また、拡散層領域18aの底部は、拡散層領域18bの底部よ
り浅い位置にある。なお、ゲート電極203の側壁にスペーサ膜(図示せず)が形成され
、このスペーサ膜によって拡散層領域18aと拡散層領域18bが自己整合的に形成され
ていても良い。
【0032】
素子分離絶縁膜204が拡散層領域18bと接するように形成されている。この素子分
離絶縁膜204は第2領域204−2のみから構成されている。素子分離絶縁膜204の
第2領域204−2の下には反転防止拡散層209が形成されている。また、反転防止拡
散層209の上面は素子分離絶縁膜204の第2領域204−2の底部に接している。
【0033】
なお、この断面における素子分離絶縁膜204の上面は、第2ゲート絶縁膜11−2の
上面と同じ高さとなっているがこの限りではない。
【0034】
次に、図1(b)に示すように、チップ上の周辺回路部101におけるLV系トランジ
スタ領域103には、複数のLV系トランジスタ(MOSトランジスタ)LVが形成され
ている。本例においては、左上のLV系トランジスタをLV−1、右上のLV系トランジ
スタをLV−2、左下のLV系トランジスタをLV−3、右下のLV系トランジスタをL
V−4とする。
【0035】
それぞれのLV系トランジスタLVは、素子領域302と図中X方向に延びるゲート電
極303を有している。素子領域302は、その周囲が、素子分離絶縁膜(STI)30
4によって囲まれていることにより、LV系トランジスタLV−1乃至LV−4が電気的
に分離されている。なお、各組のLV系トランジスタLV−1乃至LV−4は、通常、L
V系トランジスタ領域103内にランダムに配置されている。
【0036】
ゲート電極303にはゲート電極コンタクト305が配置され、このゲート電極コンタ
クト305は上層配線(図示せず)に接続されている。また、素子領域302には拡散層
コンタクト306が配置され、この拡散層コンタクト306は上層配線(図示せず)に接
続されている。
【0037】
なお、HVトランジスタ領域102と異なり、LV系トランジスタLV間の素子分離絶
縁膜304には反転防止拡散層が配置されていない。LV系トランジスタLVは5V以下
の電圧で動作させるため、HV系トランジスタHVと比べて素子分離耐圧は必要とされな
い。その結果、LV系トランジスタLV間の距離を短くすることができ、半導体装置を縮
小化することができる。
【0038】
次に、図3(a)に、図1(b)のC−C線に沿った断面図を示す。
【0039】
LV系トランジスタLVのゲート電極303は、例えば図3(a)に示すように、第1
導電型であるP型のSi(シリコン)基板10上に、第3ゲート絶縁膜21を介して設け
られている。この第3ゲート絶縁膜21は第2ゲート絶縁膜11−2と同じ材料から構成
され、かつ、ほぼ同じ膜厚を有している。また、第3ゲート絶縁膜21の上面は、第2ゲ
ート絶縁膜11−2の上面とほぼ等しい。すなわち、HVトランジスタ領域102とLV
トランジスタ領域103のSi基板10の上面の位置が等しい。
【0040】
ゲート電極303は、第1電極膜12上に、選択的に設けられたゲート間絶縁膜13及
び第2電極膜14を積層してなる構成とされている。なお、第2電極膜14の上部には低
抵抗化のための金属サリサイド膜が設けられていてもよい。
【0041】
ゲート間絶縁膜13には、図1(b)の電極接続部310における部分において、開口
が形成され、第1電極膜12と第2電極膜14が接続されている。なお、第2電極膜14
は、ゲート間絶縁膜13上のみに形成された下層電極膜と、下層電極膜上及び開口内に形
成された上層電極膜からなる2層構造となっていてもよい。
【0042】
第3ゲート絶縁膜21と第1電極膜12の側面に接するように素子分離絶縁膜304が
形成されている。また、素子分離絶縁膜304はHV系トランジスタ領域102の素子分
離絶縁膜204と同じ材料から構成されている。
【0043】
ここで、素子分離絶縁膜304の底面は、HV系トランジスタ領域102の素子分離絶
縁膜204の第2領域204−2の底面の位置とほぼ等しい。
【0044】
また、ゲート電極303の素子分離絶縁膜304上に形成された部分は、ゲート間絶縁
膜13及び第2電極膜14のみが素子分離絶縁膜304上に形成されている。また、素子
分離絶縁膜304の上面は、第1の電極膜12の上面とほぼ同じ高さとなっている。
【0045】
素子分離絶縁膜304上の第2電極膜14にはゲート電極コンタクト305が形成され
ている。また、ゲート電極303及びゲート電極コンタクト305を覆うように層間絶縁
膜23が形成されている。
【0046】
次に、図3(b)に、図1(b)のD−D線に沿った断面図を示す。素子領域302に
対応するSi基板10上には、第3ゲート絶縁膜21が形成されている。また、ゲート電
極303を挟むように、Si基板10の表面部には、拡散層領域19a(n−)、と不純
物濃度が拡散層領域19aの不純物濃度よりも高い拡散層領域19b(n+)が形成され
ている。また、拡散層領域19aの底部は、拡散層領域19bの底部より浅い位置にある
。なお、ゲート電極303の側壁にスペーサ膜(図示せず)が形成され、このスペーサ膜
によって拡散層領域19aと拡散層領域19bが自己整合的に形成されていても良い。
【0047】
素子分離絶縁膜304が拡散層領域19bと接するように形成されている。なお、この
断面における素子分離絶縁膜304の上面は、第3ゲート絶縁膜21の上面と同じ高さと
なっているがこの限りではない。
【0048】
次に、図1(c)に示すように、チップ上のメモリセル部401におけるセル領域(セ
ルアレイ)104には、複数のメモリセルMCが形成されている。メモリセルMCは、X
方向に延びるワード線(制御ゲート電極)WLと、Y方向に延びるビット線BLとの交差
部にそれぞれ配置されている。ここで、メモリセルMCは、積層ゲート電極構造のゲート
電極403を有している。ゲート電極403は制御ゲート電極と浮遊ゲート電極とからな
り、メモリセルMCは、例えば、FNトンネル電流を用いて浮遊ゲート電極に対する電荷
(電子)の出し入れを行うことにより、データの書き換え(書き込み及び消去)が行われ
る。通常は、浮遊ゲート電極に電子が注入された状態を“0”書き込み、電子が注入され
ない状態を“1”書き込みとしている。浮遊ゲート電極は素子領域402に対応して設け
られ、ワード線WLは、複数の素子領域402にまたがるようにして配置されている。素
子領域402は、その周囲が、絶縁膜を埋め込んでなる素子分離絶縁膜(STI)404
によって囲まれている。
【0049】
次に、図4に、図1(c)のE−E線に沿った断面図を示す。メモリセルMCは、例え
ば図4に示すように、第1導電型であるP型のSi(シリコン)基板10上に、トンネル
絶縁膜41を介して設けられている。このトンネル絶縁膜41は第2ゲート絶縁膜11−
2と同じ材料から構成され、かつ、ほぼ同じ膜厚を有している。また、トンネル絶縁膜4
1の上面は、第2ゲート絶縁膜11−2の上面とほぼ等しい。すなわち、HVトランジス
タ領域102とセル領域104のSi基板10の上面の位置がほぼ等しい。
【0050】
メモリセルMCは、トンネル絶縁膜41上に形成された浮遊ゲート電極42と、この浮
遊ゲート電極42上及び上部側面に形成されたゲート間絶縁膜13及びゲート間絶縁膜1
3上に形成された制御ゲート電極WLとから構成されている。なお、制御ゲート電極WL
第2電極膜14の上部には低抵抗化のための金属サリサイド膜が設けられていてもよい。
【0051】
素子分離絶縁膜404は、トンネル絶縁膜41と浮遊ゲート電極42の側面に接するよ
うに形成されている。また、素子分離絶縁膜404はHV系トランジスタ領域102の素
子分離絶縁膜204と同じ材料から構成されている。また、素子分離絶縁膜404の上面
は、浮遊ゲート電極42の上面より低い。ゲート間絶縁膜13は素子分離絶縁膜404の
上面と接し、X方向に隣接するメモリセルMCにおいて連続して形成されている。同様に
、制御ゲート電極WLはX方向に隣接するメモリセルMCにおいて共通接続されている。
【0052】
ここで、素子分離絶縁膜404の底面は、HV系トランジスタ領域102の素子分離絶
縁膜204の第2領域204−2の底面の位置と等しい。また、層間絶縁膜23はメモリ
セルMCを覆うように形成されている。
【0053】
なお、NAND型フラッシュメモリの場合、所定個のメモリセルMCが直列に接続され
、そのセル列の一端がドレイン側セレクトトランジスタを介してビット線BLに、他端が
ソース側セレクトトランジスタを介してソース線に、それぞれ接続されている。
【0054】
なお、HV系トランジスタHVのゲート電極203、LV系トランジスタLVのゲート
電極303、及び、ワード線WLの上面は、それぞれ、ほぼ同一の高さとなるようにして
形成されている。
【0055】
次に、図5〜図10を参照して、上述したNAND型フラッシュメモリの製造方法につ
いて説明する。なお、各図(a)は図2(a)にそれぞれ対応する断面であり、各図(b
)は図2(b)にそれぞれ対応する断面であり、各図(c)は図3(a)にそれぞれ対応
する断面図であり、各図(d)は図3(b)にそれぞれ対応する断面図であり、各図(e
)は図4にそれぞれ対応する断面図である。
【0056】
まず、LV系トランジスタ領域103及びセル領域104に対応するSi基板10の表
面部には、それぞれ、P−well領域(図示せず)が形成される。なお、LV系トラン
ジスタLVがP型トランジスタの場合、LV系トランジスタ領域103に対応するSi基
板10には、N−well領域(図示せず)が形成されることになる。また、セル領域1
04においてはP−well領域の下にN−well領域(図示せず)が形成される。
【0057】
次に、図5(a)〜(e)に示すように、Si基板10の全面に、HV系トランジスタ
HVのゲート絶縁膜となる第1の絶縁膜を、例えば、40nm程度の厚さとなるように堆
積する。
【0058】
次に、リソグラフィー技術とエッチング技術とを用いて、LV系トランジスタ領域10
3、セル領域104及びHV系トランジスタ領域102の第2領域208の第1の絶縁膜
を除去する。
【0059】
その後、CVD法により、Si基板10の上面に第2の絶縁膜を、例えば、5〜10n
m程度の厚さとなるように形成する。その結果、LV系トランジスタLVの第3ゲート絶
縁膜21及び、メモリセルMCのトンネル絶縁膜41となる第2の絶縁膜をそれぞれ5〜
10nm程度の厚さとなるように形成される。同時に、HV系トランジスタ領域102に
も第2の絶縁膜が形成され、第2領域208には第2の絶縁膜(第2ゲート絶縁膜11−
2)が、第1領域207には第1の絶縁膜と第2の絶縁膜の積層膜(第1ゲート絶縁膜1
1−1)が形成される(ゲート絶縁膜加工)。
【0060】
ここで、HV系トランジスタ領域102の第1領域207と第2領域208の境界は、
第1ゲート絶縁膜11−1と第2ゲート絶縁膜11−2の膜厚差に応じた段差が形成され
る。この段差は、第1ゲート絶縁膜11−1の上面が、第1領域207に行くに従い徐々
に低くなり、第2ゲート絶縁膜11−2の上面に接続される形状になっている。
【0061】
この時、HV系トランジスタ領域102、LV系トランジスタ領域103及びセル領域
104におけるSi基板の上面は等しい。そのため、HV系トランジスタ領域102の第
2ゲート絶縁膜11−2と、LV系トランジスタLVのゲート絶縁膜21及びメモリセル
MCのトンネル絶縁膜41の上面は等しくなる。
【0062】
次に、図6(a)〜(e)に示すように、第1の電極膜12を全面に堆積させ、メモリ
セルMCの浮遊ゲート電極42及び第1電極膜12を形成する。その後、第1の電極膜上
に、素子分離絶縁膜204,304,404を形成するための第1のマスク材501を一
定の膜厚となるように堆積させる。その結果、HV系トランジスタ領域102において、
第1のマスク材501の上面は、第1及び第2ゲート絶縁膜11−1、11−2の上面を
トレースした形状になっている。
【0063】
次に、図7(a)〜(e)に示すように、リソグラフィーにより、素子分離絶縁膜20
4、304、404の形成領域に開口を有するレジストマスクを形成し、エッチング技術
を用いて、素子分離絶縁膜204,304,404を形成するための素子分離溝204a
,304a,404aを一括に形成する(素子分離溝形成工程)。ここで、HV系トラン
ジスタ領域102の第1のマスク材501の上面は、第1ゲート絶縁膜11−1上よりも
第2ゲート絶縁膜11−2上の方が低くなっている。さらに、HV系トランジスタ領域1
02において第1領域207と第2領域208の積層構造を比較すると、第1及び第2ゲ
ート絶縁膜11−1、11−2の膜厚を除いて同じである。
【0064】
このHV系トランジスタ領域102の層構成を一括でエッチングすることにより、HV
系トランジスタ領域102の素子分離溝204aの第2領域208に、第2溝204a―
2と、第1領域207に第2溝204a―2の底面より浅い第1溝204a―1が形成さ
れる。すなわち、第1領域207における、第1ゲート絶縁膜11−1の膜厚が第2ゲー
ト絶縁膜11−2の膜厚よりも厚いので、Si基板10の表面からの深さが第1領域20
7に形成される第1溝204a―1よりも第2溝204a−2が深くなる。
【0065】
ここで、第1溝204a−1と第2溝204a−2の底面の差は、ゲート絶縁膜11と
Si基板10のエッチング選択比を変化させることにより調整することが可能である。例
えば、ゲート絶縁膜11のエッチング選択比よりもSi基板10のエッチング選択比が高
い場合、第1溝204a−1と第2溝204a−2の底面の差は大きくなる。
【0066】
また、リソグラフィーを用いて掘り分けなくても、同一のエッチングで異なる深さの溝
(第1溝204a−1と第2溝204a−2)を形成することができる。その結果、工程
を簡略化できる。
【0067】
さらに、第1ゲート絶縁膜11−1の上面が、第2ゲート絶縁膜11−2に行くに従い
徐々に低くなり、第2ゲート絶縁膜11−2の上面に接続される形状になっているため、
第1溝204a−1と第2溝204a−2の底面は第1溝204a−1から第2溝204
a−2に行くに従い徐々に深くなっている。
【0068】
同時に、LV系トランジスタ領域103及びセル領域104においても、素子分離溝3
04a、404aが形成される。また、Si基板10の表面からの深さは、素子分離溝3
04a、404aと第2溝204a−2とでほぼ等しくなる。
【0069】
次に、図8(a)〜(e)に示すように、素子分離溝204a,304a及び404a
内にシリコン酸化膜、または、PSZ膜などの絶縁膜を埋め込んで、第1のマスク材50
1をストッパとして平坦化することにより、HV系トランジスタ領域102の素子分離絶
縁膜204、LV系トランジスタ領域103の素子分離絶縁膜304、及び、セル領域1
04の素子分離絶縁膜404を形成する。
【0070】
ここで、第1溝204a−1に素子分離絶縁膜204の第1領域204−1が形成され
、第2溝204a−2に素子分離絶縁膜204の第2領域204−2が形成される。次に
、素子分離絶縁膜204の第2領域204−2の下部のSi基板10中に、P型の不純物
を打ち込むことにより、Si基板10よりも不純物濃度の濃い反転防止層209を形成す
る。
【0071】
その後、エッチングにより素子分離絶縁膜204,304の上面の高さを第1の電極膜
12の上面の高さに合せる。また、セル領域104においては、さらにエッチングし素子
分離絶縁膜404の上面を第1の電極膜12の上面よりも低くする。
【0072】
次に、図9(a)〜(e)に示すように、第1のマスク材501を除去した後、全面に
、第3の絶縁膜を堆積させゲート電極203、303及びメモリセルMCのゲート間絶縁
膜13を形成する。ここで、HV系トランジスタ領域102及びLV系トランジスタ領域
103の一部の第3の絶縁膜を剥離し開口502を形成する。その後、全面に、第4の電
極膜を堆積させることにより、第2電極膜14及び制御ゲート電極WLを形成する。ここ
で、開口部502に電極接続部210、310が形成される。
【0073】
次に、図10(a)〜(e)に示すように、リソグラフィー技術とエッチング技術とを
用いて、HV系トランジスタHVのゲート電極203、LV系トランジスタLVのゲート
電極303、及び、メモリセルMCのゲート電極403を、それぞれ加工(パターニング
)する。
【0074】
次に、図2(a)、(b)、図3(a)、(b)、図4に示すように、ゲート電極20
3、303をマスクとして、Si基板10の表面部にN型不純物を打ち込んで拡散層領域
18、19を形成する。この際、ゲート電極203、303をマスクとして拡散層領域1
8a、19aを形成した後に、スペーサ膜(図示せず)を形成し、このスペーサ膜及びゲ
ート電極203、303をマスクとして拡散層領域18b、19bを形成してもよい。
【0075】
また、第1ゲート絶縁膜11−1の膜厚は第2ゲート絶縁膜11−2の膜厚よりも厚い
ため、イオン注入の加速度を調整することにより、拡散層領域18a、18bはスペーサ
膜を用いずに一回のイオン注入で形成することができる。すなわち、第1ゲート絶縁膜1
1−1の下に拡散層領域18aが形成され、第2ゲート絶縁膜11−2の下に拡散層領域
18aの不純物濃度より濃い不純物濃度を有し、かつ、拡散層領域18aの底部より深い
底部を有する拡散層領域18bが形成される。その結果、工程を簡略化することができる

【0076】
特に、HV系トランジスタHVがP型の場合、拡散層領域18は、例えば、BFを注
入することにより形成される。ここで、BFは、比較的質量が大きいため熱拡散により
拡散層領域18が広がることが少ない。そのため、第1ゲート絶縁膜11−1にトラップ
されたBFがSi基板10に拡散しにくく、拡散層領域18aの不純物濃度を低くする
ことが可能となる。
【0077】
その後、Si基板全面に、例えば、シリコン酸化膜を堆積させることにより、ゲート電
極203、303及び403を覆う層間絶縁膜23を形成する。その後、周知な方法を用
いて、ゲート電極203、303にそれぞれ接続されるゲート電極コンタクト205、3
05を形成する。
【0078】
上述した構造によれば、従来構造と比較して以下の効果がえられる。
【0079】
HV系トランジスタHVのゲート電極203に電圧が加わると、HV系トランジスタの
第1ゲート絶縁膜11−1の直下に空乏層が形成される。ここで、この空乏層が広がる領
域をチャネル領域と定義する。このチャネル領域は、ゲート電極203に15V以上の高
電圧が加わると、チャネル領域の底面は、素子分離絶縁膜204の底面付近まで広がる。
【0080】
この時、チャネル領域が反転防止層209付近まで延びてしまうとHV系トランジスタ
の閾値電圧が上昇してしまう。この閾値電圧の上昇はトランジスタがオン状態の時、ドレ
インの電位をソースに転送する電位、いわゆる、転送電圧の低下を発生させる。特に、メ
モリセルの書き込み及び消去動作に高い電圧を制御ゲート電極WLに加える必要のあるフ
ラッシュメモリにおいては、転送電圧の低下は大きな問題となる。
【0081】
この転送電圧の低下が発生すると、さらに大きな電位を発生させるため電位発生回路を
大きくする必要がある。その結果、半導体装置が大きくなってしまう。
【0082】
一方、本実施形態の場合、HV系トランジスタ領域102の素子分離絶縁膜204は、
LV系トランジスタ領域103の素子分離絶縁膜304とほぼ同じ深さを有する第2領域
204―2と、第2領域204―2の底面より浅い第1領域204―1が設けられている
。この第1領域204―1はチャネル幅方向において第1ゲート絶縁膜11−1及び第1
電極膜12と接している。さらに、反転防止拡散層209は、素子分離絶縁膜204の第
2領域204−2の下のみに形成され、素子分離絶縁膜204の第1領域204−1の下
には形成されていない。
【0083】
ここで、図11に示すように、ゲート電極203に15V以上の高電圧が加わると、チ
ャネル領域211は、素子分離絶縁膜204の第1領域204−1の底面付近まで広がる
が、第2領域204−2の底面までは広がらない。すなわち、チャネル領域211は、第
1領域204−1と第2領域204−2の段差部分までしか広がらず、第1ゲート電極1
2及び素子分離絶縁膜204の第1領域204−1の下に形成されている。ゆえに、素子
分離絶縁膜204の第2領域204−2の下に形成されたチャネル領域211は反転防止
層209付近まで延びない。
【0084】
その結果、HV系トランジスタHVでの閾値電圧の上昇を防止することができ、転送電
圧の低下も発生しない。
【0085】
また、上述した製造方法によれば、従来の製造方法と比較して以下の効果がえられる。
【0086】
従来の製造方法では、HV系トランジスタ領域102は全て第1領域207となってい
る。その結果、HV系トランジスタ領域102の素子分離絶縁膜204の底面はLV系ト
ランジスタ領域103の素子分離絶縁膜の底面304よりも浅くなる。
【0087】
ここで、HV系トランジスタ領域102とLV系トランジスタ領域103の素子分離絶
縁膜を作り分けることにより、HV系トランジスタ領域102の素子分離絶縁膜204の
底面をLV系トランジスタ領域103の素子分離絶縁膜304よりも深くすることが可能
である。しかし、それぞれの領域毎に素子分離絶縁膜を作り分ける方法では、製造工程が
複雑になってしまう。
【0088】
そこで、HV系トランジスタ領域102の第1領域207にのみ第1ゲート絶縁膜11
−1を形成することにより、それぞれの領域毎に素子分離絶縁膜を作り分けることなく、
HV系トランジスタ領域102の素子分離絶縁膜204を、LV系トランジスタ領域10
3の素子分離絶縁膜304とほぼ同じ深さを有する第2領域204―2と、第2領域20
4―2の底面より浅い第1領域204―1に作り分けることができる。その結果、工程を
簡略化することができる。
【0089】
また、LV系トランジスタLVの第3ゲート絶縁膜21とHV系トランジスタHVの第
2ゲート絶縁膜11−2は同時に形成することができる。その結果、工程を増やすことな
く、素子分離絶縁膜204を第2領域204―2の底面より浅い第1領域204―1に作
り分けることができる。
【0090】
また、素子分離絶縁膜204の耐圧を大きくするには、図2(a)に示すチャネル幅方
向における第2領域204−2の領域が大きいほどよい。しかし、この第2領域204−
2が素子領域202に近づきすぎると、図7(a)の素子分離溝形成時のリソグラフィー
時の合わせずれなどにより、素子領域202上の第1ゲート絶縁膜11−1の膜厚が第2
ゲート絶縁膜11−2の膜厚に近づく可能性がある。すなわち、第2領域204−2は素
子分離溝形成時のリソグラフィーの合わせずれなどを考慮して最大になるように形成され
るのが好ましい
[第1の実施形態の変形例1]
図12に、第1の実施形態の変形例1を示す。ここで、図12は図1に相当する平面図
であり、この変形例が第1の実施形態と異なる点は、第1領域207の形状である。ここ
で、第1領域207は、ゲート電極203と素子領域202の交点領域及びゲート電極2
03を囲むように形成されている。
【0091】
図13に図12のA−A線に沿った断面図を示す。ここで、図13に示すように、ゲー
ト電極203の端部は素子分離絶縁膜204の第1領域204−1上に形成され、ゲート
電極203は第2領域204−2まで延びていない。その結果、第2領域204−2上か
らはゲート電極203による電界が加わらない。その結果、第1の実施形態に加えて、チ
ャネル領域211が反転防止層209まで広がるのを効果的に防止することができる。
【0092】
[第1の実施形態の変形例2]
図14に、第1の実施形態の変形例2を示す。ここで、図14(a)、(b)はそれぞ
れ、図2(a)、(b)に相当する平面図であり、図14(c)、(d)はそれぞれ、図
3(a)、(b)に相当する平面図であり、図14(e)は図4に相当する平面図である
。この変形例が第1の実施形態と異なる点は、第1及び第2ゲート絶縁膜11−1、11
−2の形状である。なお、平面図は第1の実施形態と同じであるので省略する。
【0093】
図14(b)に示すように、素子領域202に対応するSi基板10上には、第1ゲー
ト絶縁膜11−1と、第1ゲート絶縁膜11−1より膜厚の薄い第2ゲート絶縁膜11−
2が形成されている。ここで、第1ゲート絶縁膜11−1は第1領域207に形成され、
第2ゲート絶縁膜11−2は第2領域208に形成されている。
【0094】
ここで、第1ゲート絶縁膜11−1の上面は、第2ゲート絶縁膜11−2の上面より高
く、第1ゲート絶縁膜11−1の底面は、第2ゲート絶縁膜11−2の底面よりも低い。
【0095】
素子領域202においてゲート電極203は第1ゲート絶縁膜11−1上のみに形成され
ている。第1ゲート絶縁膜11−1と第2ゲート絶縁膜11−2は徐々に上面の位置が変
化するように接続されている。
【0096】
また、LV系トランジスタLVのゲート絶縁膜21の上面は、第2ゲート絶縁膜11−
2の上面とほぼ等しい。また、メモリセルMCのトンネル絶縁膜41の上面は、第2ゲー
ト絶縁膜11−2の上面とほぼ等しい。すなわち、半導体装置におけるSi基板10の上
面は、第1領域207を除いてほぼ一致し、第2領域208のSi基板10の表面は第1
領域207のSi基板10の表面よりも高くなっている。
【0097】
上記構造の差は、この変形例のゲート絶縁膜加工が第1の実施形態と異なることに起因
する。次に、この変形例のゲート絶縁膜加工を図15乃至図17を用いて説明する。各図
(a)は図14(a)にそれぞれ対応する断面であり、各図(b)は図14(b)にそれ
ぞれ対応する断面であり、各図(c)は図14(c)にそれぞれ対応する断面図であり、
各図(d)は図14(d)にそれぞれ対応する断面図であり、各図(e)は図14(e)
にそれぞれ対応する断面図である。
【0098】
図15(a)〜(e)に示すように、Si基板10の全面に、HV系トランジスタHV
のゲート絶縁膜となる第1のシリコン酸化膜を、例えば、40nm程度の厚さとなるよう
に熱酸化法を用いて形成する。
【0099】
次に、リソグラフィー技術とエッチング技術とを用いて、LV系トランジスタ領域10
3、セル領域104及びHV系トランジスタ領域102の第2領域208の第1の絶縁膜
を除去する。
【0100】
その後、熱酸化法により、Si基板10の上面に第2の絶縁膜を、例えば、5〜10n
m程度の厚さとなるように形成する。その結果、LV系トランジスタLVのゲート絶縁膜
21及び、メモリセルMCのトンネル絶縁膜41となる第2の絶縁膜をそれぞれ5〜10
nm程度の厚さとなるように形成する。同時に、HV系トランジスタ領域102の第1の
絶縁膜にも第2の絶縁膜の膜厚程度が積み足されることになる。その結果、第1領域20
7以外には第2の絶縁膜(第2ゲート絶縁膜11−2)が、第2領域208には第1の絶
縁膜(第1ゲート絶縁膜11−1)が形成される(ゲート絶縁膜加工)。
【0101】
ここで、第1ゲート絶縁膜11−1の上面は、第2ゲート絶縁膜11−2の上面より高
く、第1ゲート絶縁膜11−1の底面は、第2ゲート絶縁膜11−2の底面よりも深くな
る。これは、熱酸化によりSi基板10を酸化すると、シリコン酸化膜はSi基板10の
表面を中心として、Si基板の垂直方向に延びるように形成されるからである。
【0102】
また、HV系トランジスタ領域102の第1領域207と第2領域208の境界には段
差が形成される。この段差は、第1ゲート絶縁膜11−1の上面が、第2領域208に行
くに従い徐々に低くなり、第2ゲート絶縁膜11−2の上面に接続される形状になってい
る。
【0103】
この時、HV系トランジスタ領域102の第2領域208、LV系トランジスタ領域1
03及びセル領域104におけるSi基板の上面は等しい。そのため、HV系トランジス
タ領域102の第2ゲート絶縁膜11−2と、LV系トランジスタLVのゲート絶縁膜2
1及びメモリセルMCのトンネル絶縁膜41の上面は等しくなる。
【0104】
その後、第1の実施形態と同様の工程を経て、図16に示す、素子分離溝形成工程の前
に至る。ここで、HV系トランジスタ領域102の第1のマスク材501の上面は、第1
ゲート絶縁膜11−1上よりも第2ゲート絶縁膜11−2上の方が低くなっている。さら
に、HV系トランジスタ領域102において第1領域207と第2領域208の積層構造
を比較すると、第1及び第2ゲート絶縁膜11−1、11−2の膜厚を除いて同じである

【0105】
次に、図17に示すように、このHV系トランジスタ領域102の層構成を一括でエッ
チングすることにより、第1の実施形態と同様に、HV系トランジスタ領域102の素子
分離溝204aに、第2溝204a―2と、第2溝204a―2の底面より浅い第1溝2
04a―1が形成される。
【0106】
すなわち、第1ゲート絶縁膜11−1の底面が第2ゲート絶縁膜11−2の底面よりも
深くなっても、第1領域207における、第1ゲート絶縁膜11−1の膜厚が第2ゲート
絶縁膜11−2の膜厚よりも厚いので、第1ゲート絶縁膜11−1の下面からの深さが第
1溝204a―1よりも第2溝204a−2が深くなる。
【0107】
さらに、第1の実施形態と同様に、第1ゲート絶縁膜11−1の上面が、第2領域20
8に行くに従い徐々に低くなり、第2ゲート絶縁膜11−2の上面に接続される形状にな
っているため、第1溝204a−1と第2溝204a−2の底面は第1溝204a−1か
ら第2溝204a−2に行くに従い徐々に深くなっている。
【0108】
同時に、LV系トランジスタ領域103及びセル領域104においても、素子分離溝3
04a、404aが形成される。また、第1ゲート絶縁膜11−1の下面からの深さは、
素子分離溝304a、404aと第2溝204a−2とでほぼ等しくなる。
【0109】
その後、第1の実施形態と同様の工程を経て、図14(a)〜(e)の構造が製造され
る。この変形例においても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、第1の実施
形態の変形例1の構造にも適用できる。
【0110】
[第2の実施形態]
図18に、第2の実施形態の変形例2を示す。ここで、図18(a)、(b)はそれぞ
れ、図2(a)、(b)に相当する平面図であり、図19(a)、(b)はそれぞれ、図
3(a)、(b)に相当する平面図であり、図20は図4に相当する平面図である。この
実施例が第1の実施形態と異なる点は、LV系トランジスタのゲート絶縁膜上面の位置で
ある。なお、平面図は第1の実施形態と同じであるので省略する。
【0111】
図18(a)(b)に示すように、HVトランジスタ領域102の第1ゲート絶縁膜1
1−1の上面の位置をX1とする。図19(a)(b)に示すように、LVトランジスタ
領域102のゲート絶縁膜21の上面の位置をX2とする。図20に示すようにメモリセ
ルMCのトンネル絶縁膜41の上面をX3とする。ここで、この実施形態では、X1乃至
X3の位置がほぼ同じである。
【0112】
すなわち、HVトランジスタHVのゲート電極203の上面、LVトランジスタLVの
ゲート電極303の上面及びワード線WLの上面の位置を同じにできる。その結果、ゲー
ト電極加工のプロセスマージンを向上させることができる。また、第2ゲート絶縁膜11
−2の上面は、LVトランジスタLVのゲート絶縁膜21の上面及びトンネル絶縁膜41
の上面の位置よりも低くなる。
【0113】
一方、HVトランジスタ領域102のSi基板10の上面の位置をY1とする。図19
(a)(b)及び図20に示すように、LVトランジスタ領域103のSi基板10の上
面の位置をY2とする。セル領域104のSi基板10の上面の位置をY3とする。ここ
で、Y1はY2及びY3の位置より低くなる。
【0114】
また、HVトランジスタ領域102の第2素子分離絶縁膜204−2の底面の位置をZ
1とする。図19(a)(b)及び図20に示すように、LVトランジスタ領域103の
素子分離絶縁膜304の底面の位置をZ2とする。セル領域104の素子分離絶縁膜30
4の底面の位置をZ3とする。ここで、Si基板10の表面からの位置は、Z2及びZ3
の方がZ1より深くなる。
【0115】
上記構造の差は、この実施形態の製造方法が第1の実施形態と異なることに起因する。
【0116】
次に、この変形例のゲート絶縁膜加工を図21乃至図24を用いて説明する。各図(a)
は図5(a)にそれぞれ対応する断面であり、各図(b)は図5(b)にそれぞれ対応す
る断面であり、各図(c)は図5(c)にそれぞれ対応する断面図であり、各図(d)は
図5(d)にそれぞれ対応する断面図であり、各図(e)は図5(e)にそれぞれ対応す
る断面図である。
【0117】
まず、図21(a)〜(e)に示すように、HV系トランジスタHVのゲート電極20
3、LV系トランジスタLVのゲート電極303、及び、メモリセルMCのゲート電極4
03の高さを揃えるために、HV系トランジスタ領域102に対応するSi基板10の上
面をエッチングする。
【0118】
次に、図22(a)〜(e)に示すように、Si基板10の全面に、HV系トランジス
タHVのゲート絶縁膜となる第1の絶縁膜を、例えば、40nm程度の厚さとなるように
堆積する。
【0119】
次に、リソグラフィー技術とエッチング技術とを用いて、LV系トランジスタ領域10
3、セル領域104及びHV系トランジスタ領域102の第2領域208の第1の絶縁膜
を除去する。
【0120】
その後、CVD法により、Si基板10の上面に第2の絶縁膜を、例えば、5〜10n
m程度の厚さとなるように形成する。その結果、LV系トランジスタLVのゲート絶縁膜
21及び、メモリセルMCのトンネル絶縁膜41となる第2の絶縁膜をそれぞれ5〜10
nm程度の厚さとなるように形成する。同時に、HV系トランジスタ領域102にも第2
の絶縁膜が形成され、第2領域208には第2の絶縁膜(第2ゲート絶縁膜11−2)が
、第1領域207には第1の絶縁膜と第2の絶縁膜の積層膜(第1ゲート絶縁膜11−1
)が形成される(ゲート絶縁膜加工)。
【0121】
ここで、HV系トランジスタ領域102の第1領域207の境界は、第1ゲート絶縁膜
11−1と第2ゲート絶縁膜11−2の膜厚差に応じた段差が形成される。この段差は、
第1ゲート絶縁膜11−1の上面が、第2領域208に行くに従い徐々に低くなり、第2
ゲート絶縁膜11−2の上面に接続される形状になっている。
【0122】
この時、HV系トランジスタ領域102の第1ゲート絶縁膜11−1、LV系トランジ
スタ領域103のゲート絶縁膜21とセル領域104のトンネル絶縁膜41のそれぞれの
上面は等しい。そのため、HV系トランジスタ領域102の第2ゲート絶縁膜11−2の
上面は、HV系トランジスタ領域102の第1ゲート絶縁膜11−1、LV系トランジス
タ領域103のゲート絶縁膜21及びセル領域104のトンネル絶縁膜41のそれぞれの
上面よりも低くなる。また、LV系トランジスタ領域103及びセル領域104のSi基
板10の上面は、HV系トランジスタ領域102のSi基板10の上面より低くなる。
【0123】
次に、図23(a)〜(e)に示すように、第1の電極膜を全面に堆積させ、メモリセ
ルMCの浮遊ゲート電極42及び第1電極膜12を形成する。その後、第1の電極膜上に
、素子分離絶縁膜204,304,404を形成するための第1のマスク材501を一定
の膜厚となるように堆積させる。その結果、HV系トランジスタ領域102において、第
1のマスク材501の上面は、第1及び第2ゲート絶縁膜11−1、11−2の上面をト
レースした形状になっている。
【0124】
次に、図24(a)〜(e)に示すように、リソグラフィーにより、素子分離絶縁膜2
04、304、404の形成領域に開口を有するレジストマスクを形成し、エッチング技
術を用いて、素子分離絶縁膜204,304,404を形成するための素子分離溝204
a,304a,404aを一括に形成する(素子分離溝形成工程)。ここで、HV系トラ
ンジスタ領域102の第1のマスク材501の上面は、第1ゲート絶縁膜11−1上より
も第2ゲート絶縁膜11−2上の方が低くなっている。さらに、HV系トランジスタ領域
102において第1領域207と第2領域208の積層構造を比較すると、第1及び第2
ゲート絶縁膜11−1、11−2の膜厚を除いて同じである。
【0125】
このHV系トランジスタ領域102の層構成を一括でエッチングすることにより、HV
系トランジスタ領域102の素子分離溝204aに、第2溝204a―2と、第2溝20
4a―2の底面より浅い第1溝204a―1が形成される。すなわち、第1領域207に
おける、第1ゲート絶縁膜11−1の膜厚が第2ゲート絶縁膜11−2の膜厚よりも厚い
ので、Si基板10の表面からの深さが第1溝204a―1よりも第2溝204a−2が
深くなる。
【0126】
ここで、第1溝204a−1と第2溝204a−2の底面の差は、ゲート絶縁膜11と
Si基板10のエッチング選択比を変化させることにより調整することが可能である。例
えば、ゲート絶縁膜11のエッチング選択比よりもSi基板10のエッチング選択比が高
い場合、第1溝204a−1と第2溝204a−2の底面の差は大きくなる。
【0127】
また、リソグラフィーを用いて掘り分けなくても、同一のエッチングで異なる深さの溝
(第1溝204a−1と第2溝204a−2)を形成することができる。その結果、工程
を簡略化できる。
【0128】
さらに、第1ゲート絶縁膜11−1の上面が、第1領域207に行くに従い徐々に低く
なり、第2ゲート絶縁膜11−2の上面に接続される形状になっているため、第1溝20
4a−1と第2溝204a−2の底面は第1溝204a−1から第2溝204a−2に行
くに従い徐々に深くなっている。
【0129】
同時に、LV系トランジスタ領域103及びセル領域104においても、素子分離溝3
04a、404aが形成される。ここで、LV系トランジスタ領域103及びセル領域1
04のSi基板10の上面は、HV系トランジスタ領域102のSi基板10の上面より
低くなる。その結果、Si基板10の表面からの深さは、素子分離溝304a及び素子分
離溝404aの方が素子分離溝204a−2よりも浅くなる。
【0130】
その後は第1の実施形態と同様の工程を経て、図18乃至図20に示した半導体記憶装
置が製造できる。
【0131】
上述した構造及び製造方法によれば、第1の実施例と同様の効果が得られることに加え
て、LV系トランジスタLVの結晶欠陥が防止できる。
【0132】
例えば、素子分離絶縁膜304にPSZ(ポリシラザン)等の収縮応力の大きい絶縁膜
を用いた場合、その応力によりLV系トランジスタLVに結晶欠陥が入り、LV系トラン
ジスタLVが破壊してしまう。この結晶欠陥による破壊は、PSZの容量が小さければ発
生しないことが知られている。
【0133】
この第2の実施形態では、LV系トランジスタ領域103の素子分離絶縁膜304の底
面を浅くすることができ、結晶欠陥による素子破壊を効果的に防止することができる。
【0134】
また、この第2の実施形態に第1の実施形態の変形例1及び2を適用することも可能で
ある。ここで、第2の実施形態に第1の実施形態の変形例2を適用した例を図25を用い
て説明する。
【0135】
図25に示すように、第2の実施例に加えて、第1ゲート絶縁膜11−1の上面は、第
2ゲート絶縁膜11−2の上面より高く、第1ゲート絶縁膜11−1の底面は、第2ゲー
ト絶縁膜11−2の底面よりも深い。ゲート電極203は第1ゲート絶縁膜11−1上の
みに形成されている。第1ゲート絶縁膜11−1と第2ゲート絶縁膜11−2は徐々に上
面の位置が変化するように接続されている。
【0136】
その結果、第2の実施形態の効果に加えて、第1の実施形態の変形例2の効果も得られ
る。
【0137】
なお、上記した各実施形態においては、いずれも、NAND型フラッシュメモリを例に
説明したが、これに限らず、LV系トランジスタ領域とHV系トランジスタ領域とで素子
分離構造の異なる各種の半導体装置に同様に適用できる。
【0138】
その他、本願発明は、上記(各)実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではそ
の要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、上記(各)実施形
態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み
合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、(各)実施形態に示される全構成要件
からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題
(の少なくとも1つ)が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果(の少なくとも
1つ)が得られる場合には、その構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0139】
本発明は、以下の付記に記載されているような構成が考えられる。
【0140】
(付記1)前記拡散層を形成する工程は、前記第1部分にエクステンション領域と、前記
第2部分に不純物濃度が前記エクステンション部より高い高濃度領域とを自己整合的に形
成する特徴とする半導体装置。
【符号の説明】
【0141】
11、21・・・ゲート絶縁膜、41・・・トンネル絶縁膜、101・・・周辺回路部
、102・・・HV系トランジスタ領域、103・・・LV系トランジスタ領域、104
・・・セル領域(セルアレイ)、203・・・ゲート電極(HV系用)、204・・・素
子分離絶縁膜(HV系用)、207・・・第1領域、208・・・第2領域、303・・
・ゲート電極(LV系用)、304・・・素子分離絶縁膜(LV系用)、404・・・素
子分離(セル用)、MC・・・メモリセル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
第1トランジスタ領域の前記半導体基板を第1素子領域に分離する第1素子分離絶縁膜
と、
第2トランジスタ領域の前記半導体基板を第2素子領域に分離する第2素子分離絶縁膜
と、
前記第1トランジスタ領域に設けられた複数の第1トランジスタと、
前記第2トランジスタ領域に設けられた複数の第2トランジスタと、
前記第1素子分離絶縁膜の下に形成された反転防止拡散層とを具備し、
前記第1トランジスタは、前記第1素子領域上に形成された第1ゲート絶縁膜と、前記
第1ゲート絶縁膜上に形成され前記第1素子分離絶縁膜上に延びる第1ゲート電極と、前
記第1ゲート電極を挟むように前記半導体基板表面に形成された第1拡散層を有し、
前記第2トランジスタは、前記第2素子領域上に形成され、前記第1ゲート絶縁膜より
も膜厚の薄い第2ゲート絶縁膜と、前記第2ゲート絶縁膜上に形成された第2ゲート電極
と、前記第2ゲート電極を挟むように前記半導体基板表面に形成された第2拡散層を有し

前記第1素子分離絶縁膜は、前記第1素子領域に隣接する第1領域と、前記第1領域の
底部より深い底部を有する第2領域とを有し、
前記反転防止拡散層は、前記第1素子分離絶縁膜の前記第2領域の下に形成されている
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1トランジスタのチャネル領域は前記第1ゲート電極及び前記第1素子分離絶縁
膜の前記第1領域の下に形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1ゲート電極の端部は、前記第1素子分離絶縁膜の前記第1領域上に形成されて
いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
半導体基板の第1トランジスタ領域の第1領域に第1ゲート絶縁膜を形成し、
前記第1領域を取り囲む第2領域に前記第1ゲート絶縁膜より膜厚の薄い第2ゲート絶
縁膜を形成するとともに、第2トランジスタ領域に前記第2ゲート絶縁膜を形成し、
前記第1及び第2ゲート絶縁膜並びに前記半導体基板をエッチングすることにより、前
記第1トランジスタ領域の前記第1領域に第1の溝を形成するとともに、前記第2領域に
前記第1の溝よりも深い第2の溝と、前記第2のトランジスタ領域に第3の溝を形成し、
前記第1及び第2の溝内に絶縁膜を埋め込み第1素子分離絶縁膜を形成するとともに、
前記第3の溝内に前記絶縁膜を埋め込んで第2素子分離絶縁膜を形成し、
前記第1素子分離絶縁膜の前記第2の溝の下に反転防止拡散層を形成し、
前記第1トランジスタ領域の前記第1ゲート絶縁膜上に延びる第1ゲート電極を形成し
、前記第2トランジスタ領域の前記第2ゲート絶縁膜上に第2ゲート電極を形成し、
前記第1及び第2ゲート電極をマスクとして拡散層を形成する工程を有することを特徴
とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1ゲート絶縁膜を形成する工程の前に、
前記半導体基板上の、前記第1トランジスタ領域の上面を掘り下げることにより、前記
第1トランジスタ領域の前記第1ゲート絶縁膜の上面と前記第2トランジスタ領域の前記
第2ゲート絶縁膜の上面が等しくなり、
前記第1トランジスタ領域において、前記第2ゲート絶縁膜の上面が前記第1ゲート絶
縁膜の上面より低くなるようにする工程を有し、
前記第3の溝は前記第2の溝よりも浅くなることを特徴とする請求項1に記載の半導体
装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2011−77405(P2011−77405A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−228921(P2009−228921)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】