洗浄装置及びその方法、塗布、現像装置及びその方法、並びに記憶媒体
【課題】基板の表面及びベベル部並びに裏面の洗浄を行うことができる洗浄装置を提供すること。
【解決手段】洗浄装置100は、裏面を下方に向けた状態の基板を裏面から支えて保持する2つの基板保持手段(吸着パッド2、スピンチャック3)を備え、支える領域が重ならないようにしながらこれらの基板保持手段の間で基板を持ち替える。洗浄部材(ブラシ5)は基板保持手段により支えられている領域以外の基板の裏面を洗浄し、2つの基板保持手段の間で基板が持ち替えられることを利用して基板の裏面全体を洗浄する。また基板がスピンチャック3により保持され、回転されるときに、基板の裏面の洗浄と合わせて、基板表面及びベベル部に夫々洗浄液を供給して、当該表面とベベル部の洗浄を行う。
【解決手段】洗浄装置100は、裏面を下方に向けた状態の基板を裏面から支えて保持する2つの基板保持手段(吸着パッド2、スピンチャック3)を備え、支える領域が重ならないようにしながらこれらの基板保持手段の間で基板を持ち替える。洗浄部材(ブラシ5)は基板保持手段により支えられている領域以外の基板の裏面を洗浄し、2つの基板保持手段の間で基板が持ち替えられることを利用して基板の裏面全体を洗浄する。また基板がスピンチャック3により保持され、回転されるときに、基板の裏面の洗浄と合わせて、基板表面及びベベル部に夫々洗浄液を供給して、当該表面とベベル部の洗浄を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウエハや液晶ディスプレイ用のガラス基板(LCD基板)といった基板を液浸露光前に洗浄する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスやLCD基板の製造プロセスにおいては、フォトリソグラフィと呼ばれる技術により基板に対してレジストパターンの形成が行なわれている。この技術は、例えば半導体ウエハ(以下ウエハという)などの基板にレジスト液を塗布し、このレジストを所定のパターンで露光した後に、現像処理を行なうという一連の工程により行われ、このような処理は、一般にレジスト液の塗布や現像を行う塗布、現像装置に、露光装置を接続したレジストパターン形成システムを用いて行われる。
【0003】
ところで、近年、デバイスパターンは益々微細化、薄膜化が進む傾向にあり、これに伴い、露光の解像度を上げる要請が強まっており、基板の表面に光を透過させる液層を形成した状態で露光する手法(以下「液浸露光」という)の検討が成されている。この液浸露光は、ウエハと露光手段に設けられたレンズとの間に液膜を形成し、光源から光をレンズ及び液膜を介してウエハに照射することで、所定の回路パターンをレジストに転写するものである。実際の露光処理では、ウエハ表面との間に液膜を形成した状態で、露光手段を横方向にスライド移動させて、次の転写領域に対応する位置に配置し、光を照射するという動作を繰り返すことによって、ウエハ表面に所定の回路パターンを順次転写していくことが行なわれる。
【0004】
このような液浸露光では、液膜と共に露光手段が移動して露光処理が行われるので、ウエハ表面の一部にパーティクルが付着していたとしても、このパーティクルが液膜に取り込まれて液膜と共に移動し、結果として転写の都度、露光が阻害され、レジストパターンの欠陥部分がウエハ全体に散在してしまうおそれがある。このため露光処理を行う前には、ウエハの表面の洗浄処理が行われている(特許文献1参照)。
【0005】
またウエハのベベル部10(傾斜部分)を含む周縁部はデバイスの形成領域に含まれないため、例えばパーティクル発生を防止するなどの目的から、反射防止膜やレジスト膜は、夫々ウエハに成膜された後にその周縁部に溶剤が供給されてリンスされることによって当該周縁部が除去され、図17に示すようにウエハWの周縁部において段差を有するように積層される場合がある。図中11は反射防止膜、12はレジスト膜、13はレジスト膜の上層に形成されたトップコートである。このような構造により、トップコート13がベベル部10において剥がれやすい状態となっており、またベベル部10は搬送手段にて保持される部位であるので、搬送の際にトップコート13が剥がれてパーティクルとして当該ベベル部10に付着してしまうことがある。このため液浸露光前に当該ベベル部10を洗浄して、当該部位に付着していたパーティクルを除去する手法についても提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
これに加えて近年、液浸露光の前にウエハ裏面側のパーティクルを除去することについても要求が高まりつつある。ウエハ裏面にパーティクルが付着していると、ウエハを載置するためのステージとウエハとの間にパーティクルが入り込み、これによりウエハに反りが生じて曲率が変化し、デバイスパターンの微細化が進むことにより露光時にデフォーカス(フォーカスが崩れてしまう現象)を引き起こす原因となるからである。
【0007】
ところで、前記レジストパターン形成システム内は清浄度が高く維持されていることから、前記ウエハ裏面の洗浄は、一般的には、前記システムにウエハが搬入される前に、当該システムの外部に設けられた洗浄装置にて行われている。しかしながら、デバイスパターンの微細化に伴って半導体デバイスの製造工程に含まれる工程数も増加しており、ウエハ裏面にパーティクルの付着するリスクも大きくなってきている。また液浸露光では、ウエハ裏面に付着したパーティクルが5〜10μm程度と極めて微細であっても、既述のようなデフォーカス現象が問題となることが認められている。従ってより精度の高い露光処理を行うためには、前記レジストパターン形成システム内にウエハ裏面の洗浄を行う洗浄ユニットを組み込み、液浸露光を行う直前にウエハの洗浄処理を行うことが望ましい。
【0008】
ここでウエハの洗浄については、例えば真空チャックやメカチャックに固定したウエハにブラシを上方から押し当てて、脱イオン水(Deionized Water:以下、DIWという)等を供給しながらウエハとブラシとを相対的に摺動させることによりパーティクルを除去する手法が一般的である。一方前記レジストパターン形成システムにおいては、ウエハは通常上面を上方に向けた状態で搬送される。このためウエハの裏面洗浄を行う洗浄装置をシステム内に組み込む場合、ウエハ裏面の上方からブラシを押し当ててウエハの裏面側の洗浄を行おうとすると、ウエハの搬送手段と洗浄装置との間にリバーサと呼ばれる基板反転装置を設置し、洗浄装置へのウエハの搬入出時にウエハ裏面を上方に向けた状態とする必要がある。ところが、このような手法ではリバーサを設置するスペースやウエハの反転動作を行うスペースが必要となり、塗布、現像装置が大型化してしまう。またリバーサの設置を省略するためブラシをウエハの下方に設置する構成では、ウエハを保持するチャック等で覆われている領域は洗浄できず、裏面全体を洗浄することができない。
【0009】
また前記レジストパターン形成システムにおいては、塗布ユニットや現像ユニット、レジスト塗布や現像の前後の処理を行うユニット等、多数のユニットが配置されているが、このシステムでは、装置の専有面積の増大を抑えながら、ユニットの配置数を多くしてスループットの向上を図りたいという要請がある。このためウエハ表面の洗浄を行う表面洗浄ユニットと、ウエハのベベル部10の洗浄を行うベベル洗浄ユニットと、ウエハ裏面の洗浄を行う裏面洗浄ユニットとを個別に用意し、夫々別個に組み込もうとすると、スペース的に設置する余裕がない。さらにスループットの観点からみれば、ウエハ表面とベベル部とウエハ裏面とを、夫々別個のユニットにて洗浄する場合には、夫々のユニットにおける洗浄時間に加えて、ウエハを搬送する時間や夫々のユニットと搬送アームとの間でウエハの受け渡しを行なう時間も加算しなければならず、処理時間が増大し、スループットの低下を招くという問題がある。
【0010】
さらに液浸露光処理を行うプロセスでは、反射防止膜の薬液やレジスト液とウエハとの密着性を向上させて、液浸露光時における反射防止膜やレジスト膜の膜剥がれを抑制するために疎水化処理が行なわれていることから、次のような問題も発生する。この疎水化処理は疎水化処理剤の蒸気でガス処理を行なうものであるが、前記蒸気がウエハW裏面まで回り込み、例えばウエハW裏面では、図18 に示すようにウエハの外縁から15mm程度内側まで疎水化処理が行われてしまう。図18では斜線部14が疎水化処理される領域を示している。
【0011】
このようにウエハの裏面側では、前記疎水化された領域と疎水化されていない領域とが存在し、疎水化されていない領域に対しては既述のようなブラシ洗浄が有効であるが、疎水化された領域は撥水性が高いため、洗浄液を十分に行き渡らせることが困難であり、直接ブラシを押し当てて回転させると、ブラシの繊維が削り取られて多量のパーティクルを発生し、ウエハを汚染するおそれがある。
【0012】
以上のことから、液浸露光を行う場合には、露光処理前に、ウエハの表面、ベベル部及び裏面の夫々について洗浄する必要があり、これらを1つのモジュール内にて行うこと、また裏面洗浄においては、疎水化された領域と疎水化された領域との夫々に適切な洗浄方法を用いて行うことについて検討する必要がある。
【0013】
ところで特許文献1には、液浸露光前にウエハの表面を洗浄する手法について記載され、特許文献2には、液浸露光前にウエハのベベル部のレジスト膜を除去する手法が記載されている。しかしながらこれら特許文献1,2においても、液浸露光前にウエハの裏面を洗浄する手法や、装置の占有面積の増大やスループットの低下を抑えながら、ウエハの表面、ベベル部及び裏面を洗浄する手法については記載されておらず、本発明の課題を解決することはできない。
【0014】
【特許文献1】特開2006−80403号公報
【特許文献2】特開2007−214279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、1台の洗浄装置において基板の表面及びベベル部並びに裏面の洗浄を行うことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このため、本発明は、レジストが塗布され、その表面に液層を形成して液浸露光される前の基板を洗浄する洗浄装置において、
基板表面を上にした状態で、この基板の裏面の第1の領域を水平に保持する第1の基板保持手段と、
この第1の基板保持手段より基板を受け取って、前記第1の領域とは重ならない基板裏面の第2の領域を水平に保持すると共に、この基板を鉛直軸周りに回転させる第2の基板保持手段と、
前記第2の基板保持手段により回転される基板の表面に、表面用の洗浄液を供給して当該表面を洗浄するための表面洗浄ノズルと、
前記第2の基板保持手段により回転される基板のベベル部に、ベベル部用の洗浄液を供給して当該ベベル部を洗浄するためのベベル洗浄ノズルと、
前記第1の基板保持手段又は第2の基板保持手段に保持された基板の裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
前記第1の基板保持手段又は第2の基板保持手段に保持された基板の裏面に接触して当該裏面を洗浄する洗浄部材と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
さらに本発明では、前記第1の基板保持手段を前記第2の基板保持手段に対して相対的に横方向に移動させるための移動手段と、前記第1の基板保持手段を前記第2の基板保持手段に対して相対的に上下方向に移動させるための昇降手段と、を備えることが望ましく、さらにまた本発明では、基板を第1の基板保持手段に保持させて、前記洗浄部材により前記第2の領域を含む基板の裏面を洗浄し、次いで基板を第1の基板保持手段から第2の基板保持手段に受け渡し、この第2の基板保持手段により基板を回転させて、前記洗浄部材により前記第2の領域以外の基板の裏面を洗浄するように、制御指令を出力する手段と、を備えることが望ましい。ここで前記制御指令を出力する手段は、前記洗浄部材により第2の領域以外の基板の裏面を洗浄しながら、表面洗浄手段及びベベル洗浄手段から夫々基板に向けて洗浄液を供給して、前記基板の表面及びベベル部の洗浄を行うように制御指令を出力するように構成してもよい。
【0018】
また本発明は、前記第2の基板保持手段に保持され、回転される基板の裏面の周縁領域に、裏面周縁用の洗浄液を供給する裏面周縁洗浄手段をさらに備えるようにしてもよく、この場合、前記制御指令を出力する手段は、前記洗浄部材により第2の領域以外の基板の裏面を洗浄しながら、表面洗浄手段及びベベル洗浄手段並びに裏面周縁洗浄手段から夫々基板に向けて洗浄液を供給して、前記基板の表面及びベベル部並びに裏面ベベル部の洗浄を行うように制御指令を出力するように構成してもよい。
【0019】
このような洗浄装置は、基板の表面にレジストを塗布する塗布ユニットと、その表面に液層を形成して液浸露光された後の基板に現像液を供給して現像する現像ユニットと、を備えた塗布、現像装置に組み込むことができる。
【0020】
また本発明の洗浄方法は、レジストが塗布され、その表面に液層を形成して液浸露光される前の基板を洗浄する洗浄方法において、
レジストが塗布され、液浸露光される前の基板を、この基板の表面を上にした状態で、この基板の裏面の第1の領域を第1の基板保持手段により保持し、この基板の裏面における前記第1の領域とは重ならない第2の領域を洗浄する工程と、
次いで基板を第1の基板保持手段から第2の基板保持手段により受け取って、前記第2の領域を水平に保持する工程と、
前記第2の基板保持手段に保持され、鉛直軸周りに回転された基板の表面に、表面用の洗浄液を供給して当該表面を洗浄する工程と、
前記第2の基板保持手段に保持され、鉛直軸周りに回転された基板のベベル部に、ベベル部用の洗浄液を供給して当該ベベル部を洗浄する工程と、
前記基板を第2の基板保持手段に保持させて、鉛直軸周りに回転させながら、基板の裏面における前記第2の領域以外の領域を洗浄する工程と、を含むことを特徴とする。
【0021】
ここで前記基板の表面を洗浄する工程と、前記ベベル部を洗浄する工程と、前記基板の裏面における前記第2の領域以外の領域を洗浄する工程とは、互いに洗浄時間が重なるように行われることが望ましい。
【0022】
また前記第2の基板保持手段に保持され、回転された基板の裏面における周縁領域に裏面周縁用の洗浄液を供給して、当該周縁領域を洗浄する工程をさらに備えるようにしてもよく、この場合には、前記基板の表面を洗浄する工程と、前記基板の周縁を洗浄する工程と、前記基板における前記第2の領域以外の領域を洗浄する工程と、前記基板の裏面の周縁領域を洗浄する工程とは、互いに洗浄時間が重なるように行われることが望ましい。
【0023】
このような洗浄方法は、レジストが塗布され、その表面に液層を形成して液浸露光される後の基板を現像処理する塗布、現像方法において、レジストが塗布され、液浸露光される前の基板に対して行われる。
また本発明の記憶媒体は、レジストが塗布され、その表面に液層を形成して液浸露光される前の基板を洗浄する洗浄装置に用いられるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、前記プログラムは、前記洗浄方法を実行するようにステップ群が組まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の洗浄装置によれば、基板の裏面を支えて保持し、基板表面を上に向けた状態で基板裏面の洗浄を行うので、基板を反転させる工程を必要とせず、洗浄装置の設置スペースをコンパクトにすることができる。また第1及び第2の基板保持手段の間で基板を持ち替えて裏面洗浄を行っているので、基板裏面全体を満遍なく洗浄することができる。さらに基板表面を上に向けた状態で洗浄を行うので、基板の裏面洗浄と表面及びベベル部の洗浄を組み合わせることができるため、1台の洗浄装置において、基板の表面及びベベル部並びに裏面の洗浄を行うことができる。このためこれらの洗浄を別個のユニットにて行う場合に比べて、基板の搬送時間や受け渡し時間が加算される必要がなく、スループットの低下を抑えることができる。
【0025】
さらに当該洗浄装置を塗布、現像装置に組み込んだ場合には、1台分の設置スペースを占有するだけで済むので、塗布、現像装置の占有面積の増大を抑えながら、液浸露光前の基板に対して、塗布、現像装置内にて基板の表面及びベベル部並びに裏面の洗浄を行うという要請に応えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
先ず本発明の塗布、現像装置の一実施の形態として、液浸露光を行なう露光装置を備えたレジストパターン形成システムの全体構成について図1及び図2を参照しながら簡単に説明する。このシステムは、塗布、現像装置に前記露光装置を接続したものであり、図中B1は、基板である半導体ウエハW(以下「ウエハW」という)が、例えば13枚密閉収納されたキャリアC1を搬入出するための載置部120を備えたキャリア載置部である。ここには当該キャリア載置部B1から見て前方の壁面に設けられる開閉部121と、前記開閉部121を介してキャリアC1からウエハWを取り出すための受け渡し手段A1とが設けられている。
【0027】
前記キャリア載置部B1の奥側には、筐体122にて周囲を囲まれる処理部B2が接続されており、この処理部B2には、キャリア載置部B1から見て前後方向に配置される加熱・冷却系のユニットを多段化した棚ユニットU1,U2,U3と、キャリア載置部B1から見て右側に配置される後述する液処理ユニットU4,U5と、これら棚ユニットU1〜U3及び液処理ユニットU4,U5の各ユニット間においてウエハWの受け渡しを行う主搬送手段A2,A3と、を備えており、棚ユニットU1,U2,U3と主搬送手段A2,A3とはキャリア載置部B1から見て手前側から順に交互に配列して設けられている。また前記主搬送手段A2,A3は、前記棚ユニットU1,U2,U3側の一面側と、前記液処理ユニットU4,U5側の一面側と、左側の一面をなす背面部とで構成される区画壁123により囲まれる空間内に置かれている。また、図中124,125は各ユニットで用いられる処理液の温度調節装置や温湿度調節用のダクト等を備えた温湿度調整ユニットである。
【0028】
前記液処理ユニットU4,U5は、例えば図2に示すように、塗布ユニットCOT、現像ユニットDEV及び反射防止膜形成ユニットBARC、トップコート形成ユニットTCを複数段例えば5段に積層して構成されている。また既述の棚ユニットU1,U2,U3は、液処理ユニットU4,U5にて行なわれる処理の前処理及び後処理を行うための各種ユニットを複数段例えば10段に積層した構成とされており、例えばウエハWに対して疎水化処理を行う疎水化処理ユニット、ウエハWを加熱(ベーク)する加熱ユニット、ウエハWを冷却する冷却ユニット等が設けられている。
【0029】
前記処理部B2における棚ユニットU3の奥側には、インターフェイス部B3を介して例えば液浸露光を行う露光装置B4が接続されている。前記インターフェイス部B3は、処理部B2と露光装置B4との間に前後に設けられる第1の搬送室126及び第2の搬送室127により構成されており、夫々に昇降自在及び鉛直軸周りに回転自在かつ進退自在な第1の搬送アームA4及び第2の搬送アームA5を備えている。さらにまた第1の搬送室126には、棚ユニットU6、バッファカセットCO及び後述する洗浄装置100が設けられている。前記棚ユニットU6は、露光したウエハWをPEB処理する加熱ユニット及び冷却プレートを有する高精度温調ユニットや、第1の搬送アームA4と第2の搬送アームA5との間でウエハWの受け渡しを行なう際に用いられる受け渡しユニット等を上下に積層した構成とされる。なおこの例では洗浄装置100に対しては第2の搬送アームA5によりウエハWの受け渡しが行われる。
上述のシステムにおけるウエハWの流れの一例について説明する。先ず外部からウエハWが収納されたキャリアC1が載置部120に載置されると、開閉部121と共にキャリアC1の蓋体が外されて受け渡し手段A1によりウエハWが取り出される。そしてウエハWは、棚ユニットU1の一段をなす受け渡しユニットを介して主搬送手段A2に受け渡され、先ず疎水化処理ユニットにて、疎水化処理が行なわれる。続いてウエハWは反射防止膜形成ユニットBARCに搬送されて反射防止膜が形成された後、加熱ユニットにてベーク処理が行われる。
次いでウエハWは、塗布ユニットCOTにてその表面にレジスト膜が形成された後、加熱ユニットにてべーク処理が行われ、この後主搬送手段A3によりインターフェイス部B3へと搬送される。インターフェイス部B3では、第1の搬送アームA4→棚ユニットU6の受け渡しユニット→第2の搬送アームA5→洗浄ユニット100の経路にて洗浄ユニット100に受け渡され、当該洗浄ユニット100において、液浸露光前のウエハWに対して、その表面及びベベル部並びに裏面に対する洗浄処理が行われる。なお液浸露光用の保護膜をレジスト膜のウエハWに塗布する場合には、冷却ユニットにて冷却された後、処理部B2内における図示しないユニットにて保持膜用の薬液の塗布が行われる。
こうして洗浄されたウエハWは、露光部B4に搬入されて、ウエハWの表面に例えば純水の液膜を形成した状態で液浸露光が行われる。しかる後液浸露光を終えたウエハWは、露光部B4から取り出され、例えばインターフェイス部B3に設けられた洗浄装置100より、ウエハW表面の水滴の除去が行われ、その後棚ユニットU6の一段をなす加熱ユニットに搬入され、PEB処理が行われる。
続いてウエハWは第1の搬送アームA4によって加熱ユニットから取り出されて主搬送手段A3に受け渡され、この主搬送手段A3により現像ユニットDEVに搬入される。こうして所定の現像処理が行われた後、ウエハWは加熱ユニットにて加熱され、受け渡し手段A1を介してキャリア載置部B1の元のキャリアC1へと戻される。
【0030】
続いて上述のレジストパターン形成装置に組み込まれる洗浄装置100の実施の形態について図3〜図5を参照しながら説明する。図3は洗浄装置100の斜視図、図4はその平面図、図5は縦断面図を夫々示している。図3に示すように洗浄装置100は、外部の搬送手段、この例では塗布、現像装置内の第2の搬送アームA5から受け取ったウエハWを略水平に吸着保持する第1の基板保持手段としての吸着パッド2と、この吸着パッド2からウエハWを受け取って同じく略水平に吸着保持する第2の基板保持手段としての役割を果たすスピンチャック3と、を上面の開口したボックス状のアンダーカップ43に取り付けた構造となっており、ウエハWの裏面中央側の第1の洗浄領域を洗浄するブラシ5と、ウエハWの表面を洗浄するための表面洗浄ノズル6と、ウエWのベベル部を洗浄するためのベベル洗浄ノズル7と、ウエハWの裏面の前記第1の洗浄領域の外側の第2の洗浄領域を洗浄するための裏面周縁洗浄ノズル8と、を備えている。
【0031】
初めに第1の基板保持手段である吸着パッド2について説明する。図3に示すように洗浄装置100は2つの吸着パッド2を備え、各々の吸着パッド2は例えば細長いブロックから構成されている。2つの吸着パッド2は、ウエハW裏面の周縁近傍部(第1の領域)を略平行に支えて保持できるように配置されている。吸着パッド2は図示しない吸引管と接続されており、図4に示した吸着孔2aを介してウエハWを吸着しながら保持する真空チャックとしての機能を備えている。図3に示すように、それぞれの吸着パッド2は細長い棒状のパッド支持部21の略中央部に取り付けられており、これら2本のパッド支持部21の両端部が夫々2本の橋桁部22に取り付けられることによってパッド支持部21と橋桁部22とからなる井桁20が構成されている。
【0032】
2本の橋桁部22の両端は、アンダーカップ43の対向する2側壁(図3に向かって手前側と奥側との側壁)の外側にこれらの側壁に沿って張設された2本のベルト23に夫々固定されている。夫々のベルト23は、2個1組からなる巻掛軸24に巻き掛けられており、各巻掛軸24は上述の2側壁と各々平行に設置された2枚の側板26に取り付けられている。巻掛軸24の一つは移動手段をなす駆動機構25に接続されており、巻掛軸24やベルト23を介して橋桁部22を動かして、既述の井桁20全体を図3、図4に示したX方向に自在に移動させることができるようになっている。
【0033】
また図3に示すように夫々の側板26は、その底面をスライダ27aとガイドレール27bとからなる2組の昇降機構27によって支えられ、洗浄装置100の図示しない筐体床面に固定されている。これらの昇降機構27の1つには図示しない駆動機構が設けられており、スライダ27aをガイドレール27b内で昇降させることにより、前述の井桁20全体を図中のZ方向に昇降させることができるようになっている。
【0034】
また井桁20上には、洗浄液の飛散を抑えるためのドーナツ状のアッパーカップ41が跨設されている。アッパーカップ41の上面には、ウエハWより大口径の開口部41aを設けてあり、この開口部41aを介して第2の搬送アームA5と吸着パッド2等との間でウエハWの受け渡しを行うことができるようになっている。なお井桁20上に跨設されたアッパーカップ41は、図5に示すように井桁20の動きに伴ってX方向とZ方向とに移動するように構成されている。こうしてウエハWは吸着パッド2に支持されて、アッパーカップ41内における第1の洗浄位置に配置される。
【0035】
次に第2の基板保持手段であるスピンチャック3について説明する。スピンチャック3はウエハWの裏面中央部(第2の領域)を下方から支持する円板である。スピンチャック3は略平行に配置された2つの吸着パッド2の中間に設置されており、夫々の基板保持手段(吸着パッド2、スピンチャック3)により支えられるウエハW裏面の第1の領域と第2の領域とは重ならないようになっている。図5に示すようにスピンチャック3は軸部3bを介して駆動機構(スピンチャックモータ)33に接続されており、スピンチャック3はこのスピンチャックモータ33によって鉛直軸回りに回転自在及び昇降自在に構成される。ここで井桁20を昇降させる昇降機構27とスピンチャック3を昇降させる駆動機構33とは、スピンチャック3(第2の基板保持手段)を吸着パッド2(第1の基板保持手段)に対して相対的に昇降させるための昇降手段を構成している。
【0036】
また吸着パッド2と同様にスピンチャック3も図示しない吸引管と接続されており、図4に示した吸着孔3aを介してウエハWを吸着しながら保持する真空チャックとしての機能を備えている。さらにスピンチャック3の側方には、昇降機構32aと接続された支持ピン32がウエハWの裏面を支持して昇降可能なように設けられており、外部の搬送手段との協働作用によって搬送手段から吸着パッド2へ、またスピンチャック3から搬送手段へとウエハWを受け渡しできるにようになっている。こうしてウエハWはスピンチャック3に支持されて、アッパーカップ41内における第2の洗浄位置に配置される。
【0037】
更に図6に示すように、スピンチャック3や支持ピン32の周囲には、これらの機器を取り囲む囲み部材をなすエアナイフ31が設置されている。エアナイフ31は、円筒(囲み部材)の上端に周方向に沿って気体の噴射口31aが形成されており、この噴射口31aからウエハW裏面へ向けて例えば圧縮エア等の気体を噴き出すことにより洗浄液を円筒の外側へ吹き飛ばして、スピンチャック3へとウエハWが受け渡される際に、スピンチャック3の表面とこのスピンチャックで支えられる基板の裏面(第2の領域)とを互いに乾燥した状態で接触させるようにする乾燥手段としての役割を果たす。前記エアナイフ31は、例えば二重円筒より構成され、図示しない供給部から供給された気体をこの二重円筒間の中空部を介して噴射口31aに供給できるようになっている。
【0038】
次にウエハWの裏面洗浄を行う洗浄部材としてのブラシ5について説明する。ブラシ5は例えば多数のプラスチック繊維を円柱状に束ねた構造となっており、その上面をウエハW裏面に押し付けた状態で回転自在のブラシ5とウエハWとを互いに摺動させることによりウエハW裏面のパーティクルを除去できるようになっている。ブラシ5には、例えばPVCスポンジ、ウレタンスポンジ、ナイロン繊維等が使用される。ブラシ5は、これを支える支持部51の先端に取り付けられており、支持部51はウエハWや橋桁部22と干渉しないように、柄杓型に屈曲した形状となっている。この支持部51の基端は、図3においてスピンチャック3の設置されている方向からブラシ5を見て奥側の側壁に沿って張設されたベルト52に固定されている。ベルト52は2つの巻掛軸53に巻き掛けられており、これらの巻掛軸53は上述の奥側の側壁外面に取り付けられている。巻掛軸53の一方は駆動機構54に接続されており、ベルト52や支持部51を介してブラシ5を、後述する第1の洗浄領域S1内において図3、図4に示したY方向に自在に移動させることができる。
【0039】
また支持部51の先端には図示しない駆動機構が設けられており、ブラシ5を周方向に回転させることができるようになっている。更にまた支持部51の先端には図4に示すように、洗浄液供給手段をなす洗浄液ノズル5aとブローノズル5bとが設置されており、洗浄液ノズル5aからはブラシ5でウエハW裏面から除去されたパーティクルを洗い流すための洗浄液(例えばDIW)が供給され、ブローノズル5bからは洗浄を終えた後にウエハW裏面に付着している洗浄液の乾燥を促進するための例えば窒素(N2)等の気体が供給される。
【0040】
さらにカップ41には、ウエハ周縁のベベル部70(図7参照)を洗浄するためのベベル洗浄ノズル7が設けられている。このベベル洗浄ノズル7は、ウエハWが前記第2の洗浄位置にあるときに、前記ベベル部70に向けて、当該部分に付着したパーティクルを洗い流すためのベベル部洗浄用の洗浄液例えばDIWを吐出するようになっており、ウエハWの側方の上方側から前記ベベル部70に向けて前記洗浄液を吐出するための上部ノズル71と、ウエハWの側方の下方側から前記ベベル部70に向けて前記洗浄液を吐出するための下部ノズル72とを備えている。これら上部ノズル71及び下部ノズル72は、図7に示すように、ウエハWがアッパーカップ43内において昇降したときに、ウエハWと干渉しないように、夫々のノズル71,72の先端がウエハWの移動領域の外側に位置するように設けられている。
【0041】
また前記洗浄装置100は、前記第2の洗浄位置にあるウエハWの表面を洗浄するための表面洗浄ノズル6を備えている。この表面洗浄ノズル6は、ウエハWの表面に向けて、当該表面に付着したパーティクルを洗い流すための洗浄液例えばDIWを供給するための洗浄液ノズル61と、ウエハWの表面に向けて、当該ウエハ表面の洗浄液の乾燥を促進するために、例えば窒素(N2)等の気体を供給するためのガスノズル62とを備えている。これら洗浄液ノズル61及びガスノズル62は例えば共通の支持部63に支持されて、駆動機構64によりウエハWの径方向に移動自在、及び上下方向に昇降自在に構成されていて、ウエハ搬入出時には搬送中のウエハWや外部の搬送手段と干渉しないように上方へ退避するようになっている。
【0042】
さらに前記第2の洗浄位置におけるウエハWの裏面側には、ウエハWの裏面側の第2の洗浄領域S2の洗浄を行うための裏面周縁洗浄ノズル8が設けられている。ここで第1及び第2の洗浄領域S1,S2について、図8により説明すると、第2の洗浄領域S2とはウエハWの裏面側の外縁から15mm程度内側までの領域であり、前記第1の洗浄領域S1は第2の洗浄領域S2の内側の領域である。第2の洗浄領域S2は、レジスト膜の形成前に行なわれる疎水化処理において、疎水化ガスが回り込み、疎水化されてしまうウエハWの周縁領域を含んでおり、例えば予め疎水化される領域の大きさを把握し、それよりも大きくなるように設定される。
【0043】
そして前記裏面周縁洗浄ノズル8は、例えば第1の洗浄領域S1と第2の洗浄領域S2との境界近傍に、ウエハWの裏面周縁洗浄用の洗浄液を吐出するように、昇降機構81により昇降自在に設けられており、後述するようにウエハWを吸着パッド2に保持させて水平方向に移動させるときに、カップ41やエアナイフ31等と干渉しないように下方へ退避するようになっている。この裏面周縁洗浄ノズル8としては例えば二流体ノズルが用いられ、この場合裏面用の洗浄液としては、DIWと窒素との混合液が用いられる。つまり二流体ノズルは、その先端近傍領域において、液体成分(DIW)と気体成分(窒素)とが混合され、この混合液をウエハW裏面に向けて吐出するように構成されている。
【0044】
この他、図3に示すようにアンダーカップ43の底部には、アンダーカップ43内に溜まった洗浄液を排出するためのドレイン管43aと、洗浄装置100内の気流を排気するための2つの排気管43bとが設けられている。排気管43bはアンダーカップ43底部に溜まった洗浄液が排気管43bへ流れ込むのを防ぐため、アンダーカップ43の底面から上方へと延伸されていると共に、上方から滴り落ちてきた洗浄液が排気管43bに直接入らないように、エアナイフ31の周囲に取り付けられたリング状のカバーをなすインナーカップ42によって覆われている。また図中の44は、ウエハWの洗浄終了後にウエハW外周縁近傍に上方から圧縮エア等を吹き付けて残存する洗浄液の乾燥を補助するためのブローノズルであり、昇降機構45により昇降自在に構成され、ウエハ搬入出時には搬送中のウエハWや搬送手段と干渉しないように上方へ退避するようになっている。
【0045】
また、各ベルト23、52の張設されていないアンダーカップ43側壁には、UVランプ46を納めたランプボックス47が取り付けられている。処理対象のウエハWは、左X方向より洗浄装置100内に搬入出され、その際UVランプ46の上方を通過するように構成されている。UVランプ46は、洗浄を終えて搬出されるウエハWの裏面に紫外光を照射して、ウエハW裏面に残存しているパーティクルを収縮させる役割を果たす。
【0046】
続いて洗浄液や窒素ガスの供給系について説明する。前記表面洗浄ノズル6の洗浄液ノズル61及びガスノズル62は、夫々流量制御部61b,62bを備えた供給路61a,62aを介して洗浄液(DIW)源65及び窒素ガス源66に接続されている。また前記ベベル洗浄ノズル71,72は、夫々流量制御部7bを備えた供給路7aを介して前記洗浄液(DIW)源65に接続されており、裏面周縁洗浄ノズル8は、流量制御部81b,82bを備えた供給路81a,82aを介して前記洗浄液(DIW)源65及び前記窒素ガス源66に夫々接続されている。さらにブローノズル44は、流量制御部44bを備えた供給路44aを介して前記窒素ガス源66に接続されている。前記流量制御部61b,62b,7b,81b,82b,44bは、夫々バルブ及び流量調整部を含んでおり、後述の制御部200により洗浄液や窒素ガスの流量及び給断の制御を行うことができるように構成されている。
【0047】
さらに図4及び図5に示すように各駆動機構25、33、54、64、81、45や、UVランプ46、排気管43bに設けられた図示しない圧力調整部等は、塗布、現像装置全体の動作を制御する制御部200により制御されるようになっている。制御部200は、例えば図示しないプログラム格納部を有するコンピュータからなり、プログラム格納部には外部の搬送装置から受け取ったウエハWを吸着パッド2とスピンチャック3との間で受け渡したり、ブラシ5や表面洗浄ノズル6、ベベル洗浄ノズル7、裏面周縁洗浄ノズル8により洗浄したりする動作等についてのステップ(命令)群を備えたコンピュータプログラムが格納されている。そして、当該コンピュータプログラムが制御部に読み出されることにより、制御部は洗浄装置の動作を制御する。なお、このコンピュータプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶手段に収納された状態でプログラム格納部に格納される。
【0048】
以上に説明した構成に基づいて、ウエハWを洗浄する動作について図9〜図12を参照しながら説明する。なおこれらの図においては、図示の便宜上UVランプ46等の記載を必要に応じて適宜省略している。
【0049】
図10(a)に示すように、例えば馬蹄形状の搬送手段(第2の搬送アームA5)は処理対象のウエハWを洗浄装置100内に搬入してアッパーカップ41の開口部41a上方で停止し、支持ピン32はスピンチャック3の下方から上昇して搬送手段の下方にて待機する。搬送手段は支持ピン32の上方から下降してウエハWを支持ピン32へと引き渡し、洗浄装置100の外へと退出する。このとき、吸着パッド2はウエハWを保持する面がブラシ5の上面よりも高くなるような位置で待機し、スピンチャック3はブラシ5の上面よりも低い位置まで退避している。このような位置関係により、支持ピン32が下降すると、ウエハWは先ず吸着パッド2に受け渡される(ステップS1、図10(b))。
【0050】
この後吸着パッド2は、裏面からブラシ5を押し当てても動かないようにウエハWを吸着保持し、ウエハWを保持したまま右方向へ移動する。このとき、吸着パッド2は、スピンチャック3、ブラシ5、エアナイフ31の夫々の上面よりも高い位置で移動する。そして、ウエハWを予め決められた位置(例えばエアナイフ31の左端がウエハWの左端と略一致するような位置)まで搬送した後、吸着パッド2は下降して、ウエハWの裏面をブラシ5の上面に押し当てる(図10(c))。このときのアッパーカップ41内におけるウエハWの高さ位置が第1の洗浄位置であり、スピンチャック3は吸着パッド2の下方側に位置し、エアナイフ31の上面はウエハWの裏面の僅か下方側に位置している。
【0051】
次いで、エアナイフ31を作動させてスピンチャック3の表面に洗浄液が廻り込んで付着するのを防止した後、支持部51先端の洗浄液ノズル5aより洗浄液を供給すると共にブラシ5を回転させてウエハWの裏面の中央領域の洗浄を開始する(ステップS2)。裏面洗浄は、吸着パッド2によるウエハWの移動とブラシ5の移動との組み合わせにより進行する。具体的には、例えば図12(a)に示すようにブラシ5は図中のY方向を往復し、ブラシ5の移動方向が切り替わる際にブラシ5の直径よりも短い距離だけ吸着パッド2を左X方向へ移動する。これによりブラシ5は矢印で示したような軌跡を描いてウエハW裏面を移動し、同図中に右上斜線で塗りつぶした領域T1を満遍なく洗浄することができる。この領域T1は、第1の洗浄領域S1内における前記第2の領域を含む領域である。
【0052】
上述の領域T1の洗浄を終えたら、吸着パッド2を移動させてスピンチャック3の上方にウエハW中央部を位置させ(図11(a))、次に吸着パッド2からスピンチャック3へのウエハWの受け渡しを行う(ステップS3)。ウエハWの受け渡しは、例えばエアナイフ31を作動させたまま、ブラシ5の移動や回転、洗浄液の供給を停止し、吸着パッド2によるウエハWの吸着を解除する一方で、退避しているスピンチャック3を上昇させてウエハWの裏面を支え、次に吸着パッド2を下方へ退避させることにより行われる。このときのアッパーカップ41内におけるウエハWの高さ位置が第2の洗浄位置であり、この例では第2の洗浄位置はアッパーカップ41内において前記第1の洗浄位置よりも上方側に位置している。
【0053】
そして図11(a)及び図13に示すように、ウエハWをスピンチャック3により第2の洗浄位置にて保持しながら、当該ウエハWの表面とベベル部70と裏面の洗浄を同時に行う。つまり表面洗浄ノズル6を下降させ、例えば洗浄液ノズル61の先端が、ウエハW表面の中心部から10mm程度浮上した位置に位置させると共に、裏面周縁洗浄ノズル8を上昇させ、当該ノズル8の先端が、ウエハW裏面の第1の洗浄領域S1と第2の洗浄領域S2の境界近傍から5mm程度下降した位置に位置させ、ウエハWをブラシ5に押し当てる。この際、アッパーカップ41内におけるウエハWの高さ位置は第1の洗浄位置よりも上方側になるが、アッパーカップ41(吸着パッド2)自体を下降させることにより、ブラシ5はウエハWに押し当てられた状態となる。
【0054】
そしてウエハWを回転させると共に、表面洗浄ノズル6、ベベル洗浄ノズル7、裏面周縁洗浄ノズル8から夫々ウエハ表面、ベベル部70、裏面ベベル部に対して洗浄液を吐出させ、かつ洗浄液を供給しながらブラシ5を回転させることにより、夫々の領域の洗浄を行う(ステップS4)。
この際、ウエハ表面の洗浄は、洗浄液ノズル61からウエハWの中心に向けて洗浄液Fを吐出した後、当該表面洗浄ノズル6を、例えば図11において左方向にスライド移動させ、こうしてガスノズル62の先端をウエハWの中心に位置させて、窒素ガスを例えば2秒程度吐出する(図13参照)。このようにウエハW表面の中心部に洗浄液Fを供給した後、窒素ガスを当該ウエハ表面の中心部に吹き付けると、洗浄液の中心に窒素ガスが吹き付けられ、その吹き付けられた領域は乾燥する。一方洗浄液ノズル61は洗浄液を吐出させながら、当該ノズル61をウエハWの中心から外縁に向けて徐々に移動させる。このようにすると、供給された洗浄液Fは回転の遠心力で外方に向かって流れていくので、一度乾燥した中心部が再び洗浄液Fによって濡れることがなく、洗浄液の乾燥が促進される。この例は、ガスノズル62も洗浄液ノズル61と共にスライド移動させるように構成されているが、ガスノズル62はウエハWの中心部にガスを吹きつける構成であればよいので、洗浄液ノズル61のみをスライド移動させるように構成してもよい。
【0055】
また前記ベベル部70の洗浄については、ウエハWを回転させながら、上部ノズル61と下部ノズル62とにより、ベベル部70に向けて洗浄液Fを吹き付け、この衝撃力を利用して当該部位に付着したパーティクルを飛散して除去する。この際、ウエハWを回転させているので、ウエハWのベベル部70全体に洗浄液が供給され、また回転の遠心力により、当該部位に付着する洗浄液Fが飛散させてパーティクルと共に除去される。
【0056】
さらに第1の洗浄領域S1における裏面洗浄はスピンチャック3の回転とブラシ5の移動との組み合わせにより進行する。具体的には、例えば図12(b)に示すように、先ずウエハWの第1の洗浄領域S1における最外周を洗浄できるような位置までブラシ5を移動させてからウエハWをゆっくりと回転させ、ウエハWが一回転したら先の動作で洗浄された環状の領域よりもブラシ5の直径又は直径より短い分だけ内周側を洗浄できる位置までブラシ5を移動させてから同様の動作を繰り返す。このような動作により、同心円状の軌跡を描きながらウエハW裏面を移動し、同図中に右上斜線で塗りつぶした領域T2を満遍なく洗浄することができる。
【0057】
また第2の洗浄領域S2については、ウエハWを回転させた状態で、裏面周縁洗浄ノズル8からウエハW裏面の第1の洗浄領域S1と第2の洗浄領域S2との境界付近に、窒素ガスのバブルを含んだDIW(洗浄液)を吐出させる。これによりウエハWの回転の遠心力によって洗浄液は外方側に向けて流れていくので、当該第2の洗浄領域S2全体に満遍なく洗浄液Fが行き渡る。そしてこの回転の遠心力によって洗浄液Fは外方に向けて飛散していくが、この際洗浄液の移動と共に当該領域に付着したパーティクルが当該領域から剥がれ、除去される。また裏面周縁洗浄ノズル8を二流体ノズルとすることにより、洗浄液がウエハW裏面に吹き付けられるときのインパクトが大きくなり、この衝撃力で当該裏面に付着したパーティクルを浮き上がらせ、洗浄液により洗い流しやすい状態とすることができるので、高い洗浄効果を得ることができる。
【0058】
ここで洗浄の行われている期間中、図13(b)に示すように、ウエハWの裏面全体は洗浄液Fの液膜に覆われた状態となり、ブラシ5で除去されたパーティクルは、このウエハW裏面から流れ落ちる洗浄液と共にアンダーカップ43へ洗い流される。また、エアナイフ31の噴出口31aからはウエハW裏面へ向けて気体が噴出され、洗浄液がエアナイフ31の外側へ向けて吹き飛ばされることにより、エアナイフ31と対向するウエハW裏面は乾燥した状態が保たれている。このような構成により、ウエハW裏面を覆う洗浄液がエアナイフ31の内側にまで回り込んでしまうのを防止することができる。この結果、スピンチャック3の表面は常に乾燥状態に維持され、処理された洗浄液による汚染やウォータマークの形成を防止することが可能となる。
【0059】
この際ウエハW裏面では、領域T1と領域T2とを合わせた領域は図12 (b)に示すようにウエハWの第1の洗浄領域S1全体を包含しており、洗浄されないデッドスペースを生じないように各機器のサイズや移動範囲が調整されている。例えばブラシ5は第2の洗浄領域S2における疎水化処理が行われていない領域にその一部が入り込んだ状態で洗浄を行うようにして、ウエハWの第1の洗浄領域S1を満遍なく洗浄する。
【0060】
ここでこの例ではウエハの表面及びベベル部70並びに裏面の洗浄の洗浄液はいずれも同じDIWを用いているため、これらの各領域の洗浄を同時に行ったとしても、互いに洗浄処理に悪影響を及ぼすおそれがない。さらにウエハの表面及びベベル部70並びに裏面の洗浄を同時に行うことにより、例えば表面の洗浄の際に発生したミストがベベル部70まで飛散する場合のように、ある領域の洗浄の際に発生したミストが他の領域まで飛散したとしても、この他の領域も洗浄しているため飛散して付着したミストが直ちに洗い流される。従って夫々の領域の洗浄時間を十分に設定すれば、前記ミストに含まれるパーティクルが極めて少ない状態となるため、これらウエハ表面及びベベル部70並びに裏面について高い清浄度を確保することができる。
【0061】
こうしてウエハWの表面及びベベル部70、並びに裏面全体の洗浄を完了すると、表面洗浄ノズル6を上昇させると共に、裏面周縁洗浄ノズル8を下降させ、ブラシ5の回転や移動、洗浄液の供給、スピンチャック3の回転を停止して、洗浄液の振り切り乾燥の動作に移る。振り切り乾燥は、スピンチャック3を高速で回転させてウエハW裏面に付着している洗浄液を振り切ることにより行われる(ステップS5)。既述のように満遍なく濡らされたウエハWを一気に振り切って乾燥させることにより、ウォータマークの発生が抑制される。このとき、上方に退避していたブローノズル44を下降させ、同時にブラシ5横のブローノズル5bをウエハWベベル部に位置させるように支持部51を移動させて、ウエハWベベル部の上面と下面とから気体を吹き付けることにより、振り切り乾燥が促進される。なお、スピンチャック3に保持される第2の領域については振り切り乾燥を行うことができないが、エアナイフ31によって乾燥された状態でスピンチャック3と接触するようになっているのでウォータマークが発生することは殆どない。
【0062】
以上に説明した動作によりウエハの洗浄と乾燥とを終えたら、搬入時とは逆の動作でウエハWを搬送手段へ引き渡して搬出する。このときUVランプ46を点灯して馬蹄形状の搬送手段の下方からウエハW裏面へ向けて紫外線を照射して、万一パーティクルが付着している場合であっても、例えば有機物は紫外線の照射により分解されるので、このようなタイプのパーティクルを収縮させて、デフォーカス等の影響を小さくすることができる。
【0063】
ウエハWの搬出動作と並行して、吸着パッド2やスピンチャック3は図10(a)に示した位置まで移動して次のウエハWの搬入を待つ。そして図10、図 11を参照して説明した動作を繰り返し、複数のウエハWを順次洗浄する。
【0064】
次に前記洗浄装置の第2の実施の形態について図14〜図16を参照しながら説明する。これらの図において、第1の実施の形態と同様の構成には、図1〜図13で使用したものと同じ符号を付してある。
【0065】
第2の実施の形態に係る洗浄装置110は、第2の基板保持手段であるスピンチャック3をウエハWの第2の領域の下方へ退避させる点が、ウエハWをスピンチャック3に対して横方向に移動させる第1の実施の形態と異なっている。第2の実施の形態において、井桁20はX方向に固定されており、Z方向への昇降のみ可能となっている。この井桁20を昇降させる昇降機構27(図3参照)とスピンチャック3を昇降させる図示しない昇降機構とは、第2の基板保持手段を前記第1の基板保持手段に対して相対的に昇降させるための昇降手段を構成している。また、ブラシ5は、その支持部51が基端側にてアンダーカップ43に固定されている。当該支持部51は基端部の支軸を中心として回動、伸縮自在に構成されているため、ウエハWを横方向に移動させずにその中心領域(第2の領域)から支持部51の基端部側までをブラシ5により洗浄することができる。
【0066】
またブラシ5の反対側には、第2の領域の洗浄中にこの下方へと退避しているスピンチャック3上に洗浄液が滴下するのを防止するための撥水性を備えた例えばフッ素樹脂製のカバー部材91が伸縮自在な支持部92を介してアンダーカップ43に取り付けられている。更にこの支持部92には、ウエハWの裏面における第2の洗浄領域S2に対して洗浄液を供給して、当該領域S2の洗浄を行うための裏面洗浄ノズル93が取り付けられると共に、第2の領域を乾燥させる乾燥手段としての役割を果たす乾燥ノズル94が取り付けられており、第2の領域へ向けて気体を噴射することが可能となっている。また本実施の形態においてはスピンチャック3の周囲にはエアナイフ31は設置されていなので、カバー部材91の外縁部からは例えば窒素ガス等のガスを下方に向けて噴出し、洗浄時に発生したミストがスピンチャック3に付着しないようになっている。
【0067】
次に第2の実施の形態に係る洗浄装置の作用について説明すると、図15(a)に示すように、ウエハWの搬入時においてスピンチャック3はアンダーカップ43の下方に退避しており、またカバー部材91はスピンチャック3上方よりも側方に退避している。この状態で昇降ピン32を昇降させて外部の搬送手段(第2の搬送アームA5)からウエハWを受け取り、吸着パッド2上にウエハWを吸着保持する。
【0068】
次いで図15(b)に示すようにスピンチャック3の位置まで昇降ピン32を退避させ、カバー部材91を前進させてスピンチャック3の上方に位置させた後、ブラシ5をウエハWの略中央部まで移動させる。そして吸着パッド2を下降させ、第2の領域を含むウエハW中央領域の洗浄を開始する。このとき、スピンチャック3は洗浄中の第2の領域の下方に退避していることになるが、カバー部材91が傘となり、更にこのカバー部材91より下方に向けてガスを噴出し、ミストを付着させないようにすることによりスピンチャック3は乾燥した状態に保たれている。ウエハW中央領域の洗浄を終えるとブラシ5は側方へ退避して、乾燥ノズル94から第2の領域へ向けて気体を噴射させることによりこの領域を乾燥させる。
【0069】
次いで図16に示すようにカバー部材91を側方へ退避させた後、スピンチャック3を上昇させて、吸着パッド2からスピンチャック3へとウエハWを受け渡し、洗浄及び乾燥の終わった第2の領域を吸着保持する。そして、ウエハWの回転と、表面洗浄ノズル6、ベベル洗浄ノズル7、裏面周縁洗浄ノズル8からの洗浄液の吐出と、ブラシ5の移動とを組み合わせながら、ウエハWの表面及びベベル部70と、裏面の第1の洗浄領域S1における洗浄を終えていない領域と、第2の洗浄領域S2を洗浄する。このとき、カバー部材91は側方へ退避しているため昇降ピン32は例えば鞘体に格納する等して洗浄液と接触しないように構成しておくとよい。
【0070】
洗浄を終えると、スピンチャック3を回転させてウエハWを振り切り乾燥で乾燥させた後、搬入時とは逆の動作で昇降ピン32から外部の搬送手段(第2の受け渡しアームA5)へと受け渡し洗浄装置の外部へウエハWを搬出する。なお、図16には示していないが、このときウエハWの裏面にUVランプによる紫外線照射を行ってもよいことは勿論である。
【0071】
このように上述の洗浄装置100,110によれば、ウエハWの裏面を支えて保持し、ウエハWの表面を上に向けた状態でウエハWの裏面の洗浄を行っているので、ウエハWを反転するリバーサを設置するスペースやウエハWの反転動作を行うためのスペースを必要としない。この結果、従来タイプの裏面洗浄用の洗浄装置と比較して、当該洗浄装置100、110の設置スペースをコンパクトにすることができる。
【0072】
またこの洗浄装置100、110は、2つの基板保持手段(吸着パッド2、スピンチャック3)の間でウエハWを持ち替えて裏面洗浄を行っているので、吸着パッド2やスピンチャック3で覆われてしまうことにより洗浄することのできないデッドスペースを生じさせず、ウエハWの裏面全体を満遍なく洗浄することができる。
【0073】
さらにウエハWの表面を上に向けた状態で洗浄を行うので、ウエハの表面側やベベル部70に洗浄液を供給することができるため、1台の洗浄装置において、ウエハWの表面及びベベル部70並びに裏面の洗浄を行うことができる。このためこれらの洗浄を別個のユニットにて行う場合に比べて、ウエハWの搬送時間や受け渡し時間が加算される必要がなく、スループットの低下を抑えることができる。さらにまた上述の例では、ウエハWの表面の洗浄と、ベベル部70の洗浄と、裏面の第1の洗浄領域及び第2の洗浄領域の洗浄の際、互いの洗浄時間が重なるように、同時に洗浄を行っているので、トータルの洗浄時間の増長が抑えられる。
【0074】
さらにまた当該洗浄装置を塗布、現像装置に組み込んだ場合には、1台分の設置スペースを占有するだけで済むので、塗布、現像装置の占有面積の増大を抑えながら、液浸露光前の基板に対して、塗布、現像装置内にて基板の表面及びベベル部70並びに裏面の洗浄を行うという要請に応えることができる。
【0075】
またウエハWの裏面側の洗浄では、第1の洗浄領域S1と第2の洗浄領域S2とで洗浄方法を変えている。従って、疎水化処理が行われた場合であって、ウエハWの裏面周縁まで疎水化処理用のガスが回り込み、当該領域が疎水化された場合のように、ウエハWの裏面側に疎水化されない領域(第1の洗浄領域)と疎水化された領域(第2の洗浄領域)とが存在する場合であっても、夫々の洗浄領域に適した洗浄方法を用いているので、洗浄中におけるパーティクルの発生が抑えられる。つまり疎水化された領域をブラシ5を用いて洗浄しようとすると、水分が存在しない状態でブラシに5よりウエハ裏面を擦ってしまうことになり、結果としてブラシ5が擦過され、パーティクルの発生を招くおそれがあるが、既述のように裏面周縁ノズル8として二流体ノズルを用いて、窒素ガスのバブルを含んだDIWを吹き付けているので、あたり面に対するインパクトが大きくなり、こうして確実にパーティクルを除去することができる。
【0076】
以上においてウエハの表面、ベベル部70、裏面の洗浄を同時に行うとは、互いの洗浄時間が重なることをいい、洗浄の開始時間や終了時間が異なる場合も含まれる。また上述の例では、ウエハの表面、ベベル部70、裏面の洗浄を全て同時に行ったが、これらを全て同時に行う必要はなく、ある領域の洗浄処理が終了してから、他の領域の洗浄処理を行うようにしてもよい。またこれらの内のいくつか、例えばウエハの表面と裏面の洗浄を同時に行い、ベベル部70は別に行ってもよいし、裏面洗浄においては、第1の洗浄領域と第2の洗浄領域とは一方の洗浄が終了してから、他方の洗浄を開始するようにしてもよい。
【0077】
また上述の例では、ウエハWの裏面周縁側の第2の洗浄領域についてはブラシ5による洗浄を行わない構成としたが、当該第2の洗浄領域についてもブラシ5による洗浄を行うようにしてもよい。この第2の洗浄領域には裏面周縁ノズル8から別個に洗浄液を供給しているので、この領域の撥水性が高くても、当該領域に水分が存在した状態でブラシ5による洗浄を行うことができるからである。さらにウエハWに対して疎水化処理を行わない場合には、ウエハ裏面における第2の洗浄領域(ウエハ裏面の周縁領域)については、裏面周縁ノズル8による洗浄を行わずに、ウエハ裏面全体をブラシ5により洗浄してもよい。
【0078】
さらに表面洗浄ノズル6、ベベル洗浄ノズル7、裏面周縁洗浄ノズル8は、夫々スピンチャック3に保持されたウエハ表面、ベベル部70、裏面周縁領域に洗浄液を供給する構成であれば、その形状は上述の例に限られず、例えば二流体ノズルやジェットノズル、メガソニックノズルを用いることができる。
【0079】
また表面洗浄ノズル6、ベベル洗浄ノズル7、裏面周縁洗浄ノズル8から夫々ウエハWに対して吐出される洗浄液の種類が異なっていてもよく、この場合には、互いに異なる洗浄液の一方の洗浄液を用いて、当該領域の洗浄処理を先に行った後、他方の洗浄液を用いて別の領域の洗浄処理を行うようにしてもよい。
【0080】
さらに吸着パッド2の平面形状は例えば図2に示した細長い長方形に限定されるものではない。例えばウエハWを載置した際に、当該ウエハWと同心円をなす円弧状の吸着保持面を備えた吸着パッド2を用いてもよい。かかる形状の吸着パッド2は、対向する吸着パッド2間に形成される領域の面積が広くなるので、より広い領域に洗浄液を行き渡らせることができると共に、ブラシ5を移動させる際の邪魔にもなりにくい。
【0081】
また、当該洗浄装置100、110は洗浄効果の高いブラシ5を洗浄部材に採用しているが、洗浄部材はこれに限定されるものではない。例えば二流体ノズルやジェットノズル、メガソニックノズル等、洗浄液等を吹き付けることによってパーティクルを除去するタイプの洗浄部材を採用してもよい。更にまた実施の形態においては回転式のブラシ5を例示したが、これに替えて振動式のブラシを採用してもよい。更に洗浄液の種類もDIWに限定されることなく、他の洗浄液であってもよい。
【0082】
さらに洗浄装置に設置する基板保持手段は、実施の形態に示したように2種類(吸着パッド2、スピンチャック3)だけに限定されるものではない。例えば3種類以上の基板保持手段を備え、これらの基板保持手段の間で2回以上基板を持ち替えるように構成してもよい。この場合には、最後に基板保持するのが第2の基板保持手段、この前に基板を保持するのが第1の基板保持手段と解釈することができる。
【0083】
さらにまた、本発明が組み込まれる塗布、現像装置は、上述の構成に限らず、洗浄装置100、110は、インターフェイス部S3ではなく、処理部B2に設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の洗浄装置を適用した塗布、現像装置の実施の形態を示す平面図である。
【図2】上記塗布、現像装置の斜視図である。
【図3】本発明に係わる洗浄装置を示す斜視図である。
【図4】前記洗浄装置の平面図である。
【図5】前記洗浄装置の縦断面図である。
【図6】エアナイフの構成を示す斜視図である。
【図7】基板のベベル部とベベル洗浄ノズルとを示す断面図である。
【図8】基板における第1の洗浄領域と第2の洗浄領域を説明するための平面図である。
【図9】前記洗浄装置の動作を説明するための工程図である。
【図10】前記洗浄装置の動作を説明するための工程図である。
【図11】前記洗浄装置の動作を説明するための工程図である。
【図12】洗浄時のウエハ裏面の様子を示した説明図である。
【図13】洗浄時のウエハ裏面の様子を示した説明図である。
【図14】第2の実施の形態に係る洗浄装置の平面図である。
【図15】前記第2の実施の形態に係る洗浄装置の動作を説明するための工程図である。
【図16】前記第2の実施の形態に係る洗浄装置の動作を説明するための工程図である。
【図17】表面に反射防止膜とレジスト膜とトップコートが形成されたウエハのベベル部を示す断面図である。
【図18】ウエハ裏面側の周縁領域が疎水化される様子を示す断面図である。
【符号の説明】
【0085】
W ウエハ
100,110 洗浄装置
2 吸着パッド
2a 吸着孔
3 スピンチャック
3a 吸着孔
3b 軸部
5 ブラシ
5a 洗浄液ノズル
5b ブローノズル
6 表面洗浄ノズル
7 ベベル洗浄ノズル
8 裏面周縁洗浄ノズル
200 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウエハや液晶ディスプレイ用のガラス基板(LCD基板)といった基板を液浸露光前に洗浄する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスやLCD基板の製造プロセスにおいては、フォトリソグラフィと呼ばれる技術により基板に対してレジストパターンの形成が行なわれている。この技術は、例えば半導体ウエハ(以下ウエハという)などの基板にレジスト液を塗布し、このレジストを所定のパターンで露光した後に、現像処理を行なうという一連の工程により行われ、このような処理は、一般にレジスト液の塗布や現像を行う塗布、現像装置に、露光装置を接続したレジストパターン形成システムを用いて行われる。
【0003】
ところで、近年、デバイスパターンは益々微細化、薄膜化が進む傾向にあり、これに伴い、露光の解像度を上げる要請が強まっており、基板の表面に光を透過させる液層を形成した状態で露光する手法(以下「液浸露光」という)の検討が成されている。この液浸露光は、ウエハと露光手段に設けられたレンズとの間に液膜を形成し、光源から光をレンズ及び液膜を介してウエハに照射することで、所定の回路パターンをレジストに転写するものである。実際の露光処理では、ウエハ表面との間に液膜を形成した状態で、露光手段を横方向にスライド移動させて、次の転写領域に対応する位置に配置し、光を照射するという動作を繰り返すことによって、ウエハ表面に所定の回路パターンを順次転写していくことが行なわれる。
【0004】
このような液浸露光では、液膜と共に露光手段が移動して露光処理が行われるので、ウエハ表面の一部にパーティクルが付着していたとしても、このパーティクルが液膜に取り込まれて液膜と共に移動し、結果として転写の都度、露光が阻害され、レジストパターンの欠陥部分がウエハ全体に散在してしまうおそれがある。このため露光処理を行う前には、ウエハの表面の洗浄処理が行われている(特許文献1参照)。
【0005】
またウエハのベベル部10(傾斜部分)を含む周縁部はデバイスの形成領域に含まれないため、例えばパーティクル発生を防止するなどの目的から、反射防止膜やレジスト膜は、夫々ウエハに成膜された後にその周縁部に溶剤が供給されてリンスされることによって当該周縁部が除去され、図17に示すようにウエハWの周縁部において段差を有するように積層される場合がある。図中11は反射防止膜、12はレジスト膜、13はレジスト膜の上層に形成されたトップコートである。このような構造により、トップコート13がベベル部10において剥がれやすい状態となっており、またベベル部10は搬送手段にて保持される部位であるので、搬送の際にトップコート13が剥がれてパーティクルとして当該ベベル部10に付着してしまうことがある。このため液浸露光前に当該ベベル部10を洗浄して、当該部位に付着していたパーティクルを除去する手法についても提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
これに加えて近年、液浸露光の前にウエハ裏面側のパーティクルを除去することについても要求が高まりつつある。ウエハ裏面にパーティクルが付着していると、ウエハを載置するためのステージとウエハとの間にパーティクルが入り込み、これによりウエハに反りが生じて曲率が変化し、デバイスパターンの微細化が進むことにより露光時にデフォーカス(フォーカスが崩れてしまう現象)を引き起こす原因となるからである。
【0007】
ところで、前記レジストパターン形成システム内は清浄度が高く維持されていることから、前記ウエハ裏面の洗浄は、一般的には、前記システムにウエハが搬入される前に、当該システムの外部に設けられた洗浄装置にて行われている。しかしながら、デバイスパターンの微細化に伴って半導体デバイスの製造工程に含まれる工程数も増加しており、ウエハ裏面にパーティクルの付着するリスクも大きくなってきている。また液浸露光では、ウエハ裏面に付着したパーティクルが5〜10μm程度と極めて微細であっても、既述のようなデフォーカス現象が問題となることが認められている。従ってより精度の高い露光処理を行うためには、前記レジストパターン形成システム内にウエハ裏面の洗浄を行う洗浄ユニットを組み込み、液浸露光を行う直前にウエハの洗浄処理を行うことが望ましい。
【0008】
ここでウエハの洗浄については、例えば真空チャックやメカチャックに固定したウエハにブラシを上方から押し当てて、脱イオン水(Deionized Water:以下、DIWという)等を供給しながらウエハとブラシとを相対的に摺動させることによりパーティクルを除去する手法が一般的である。一方前記レジストパターン形成システムにおいては、ウエハは通常上面を上方に向けた状態で搬送される。このためウエハの裏面洗浄を行う洗浄装置をシステム内に組み込む場合、ウエハ裏面の上方からブラシを押し当ててウエハの裏面側の洗浄を行おうとすると、ウエハの搬送手段と洗浄装置との間にリバーサと呼ばれる基板反転装置を設置し、洗浄装置へのウエハの搬入出時にウエハ裏面を上方に向けた状態とする必要がある。ところが、このような手法ではリバーサを設置するスペースやウエハの反転動作を行うスペースが必要となり、塗布、現像装置が大型化してしまう。またリバーサの設置を省略するためブラシをウエハの下方に設置する構成では、ウエハを保持するチャック等で覆われている領域は洗浄できず、裏面全体を洗浄することができない。
【0009】
また前記レジストパターン形成システムにおいては、塗布ユニットや現像ユニット、レジスト塗布や現像の前後の処理を行うユニット等、多数のユニットが配置されているが、このシステムでは、装置の専有面積の増大を抑えながら、ユニットの配置数を多くしてスループットの向上を図りたいという要請がある。このためウエハ表面の洗浄を行う表面洗浄ユニットと、ウエハのベベル部10の洗浄を行うベベル洗浄ユニットと、ウエハ裏面の洗浄を行う裏面洗浄ユニットとを個別に用意し、夫々別個に組み込もうとすると、スペース的に設置する余裕がない。さらにスループットの観点からみれば、ウエハ表面とベベル部とウエハ裏面とを、夫々別個のユニットにて洗浄する場合には、夫々のユニットにおける洗浄時間に加えて、ウエハを搬送する時間や夫々のユニットと搬送アームとの間でウエハの受け渡しを行なう時間も加算しなければならず、処理時間が増大し、スループットの低下を招くという問題がある。
【0010】
さらに液浸露光処理を行うプロセスでは、反射防止膜の薬液やレジスト液とウエハとの密着性を向上させて、液浸露光時における反射防止膜やレジスト膜の膜剥がれを抑制するために疎水化処理が行なわれていることから、次のような問題も発生する。この疎水化処理は疎水化処理剤の蒸気でガス処理を行なうものであるが、前記蒸気がウエハW裏面まで回り込み、例えばウエハW裏面では、図18 に示すようにウエハの外縁から15mm程度内側まで疎水化処理が行われてしまう。図18では斜線部14が疎水化処理される領域を示している。
【0011】
このようにウエハの裏面側では、前記疎水化された領域と疎水化されていない領域とが存在し、疎水化されていない領域に対しては既述のようなブラシ洗浄が有効であるが、疎水化された領域は撥水性が高いため、洗浄液を十分に行き渡らせることが困難であり、直接ブラシを押し当てて回転させると、ブラシの繊維が削り取られて多量のパーティクルを発生し、ウエハを汚染するおそれがある。
【0012】
以上のことから、液浸露光を行う場合には、露光処理前に、ウエハの表面、ベベル部及び裏面の夫々について洗浄する必要があり、これらを1つのモジュール内にて行うこと、また裏面洗浄においては、疎水化された領域と疎水化された領域との夫々に適切な洗浄方法を用いて行うことについて検討する必要がある。
【0013】
ところで特許文献1には、液浸露光前にウエハの表面を洗浄する手法について記載され、特許文献2には、液浸露光前にウエハのベベル部のレジスト膜を除去する手法が記載されている。しかしながらこれら特許文献1,2においても、液浸露光前にウエハの裏面を洗浄する手法や、装置の占有面積の増大やスループットの低下を抑えながら、ウエハの表面、ベベル部及び裏面を洗浄する手法については記載されておらず、本発明の課題を解決することはできない。
【0014】
【特許文献1】特開2006−80403号公報
【特許文献2】特開2007−214279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、1台の洗浄装置において基板の表面及びベベル部並びに裏面の洗浄を行うことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このため、本発明は、レジストが塗布され、その表面に液層を形成して液浸露光される前の基板を洗浄する洗浄装置において、
基板表面を上にした状態で、この基板の裏面の第1の領域を水平に保持する第1の基板保持手段と、
この第1の基板保持手段より基板を受け取って、前記第1の領域とは重ならない基板裏面の第2の領域を水平に保持すると共に、この基板を鉛直軸周りに回転させる第2の基板保持手段と、
前記第2の基板保持手段により回転される基板の表面に、表面用の洗浄液を供給して当該表面を洗浄するための表面洗浄ノズルと、
前記第2の基板保持手段により回転される基板のベベル部に、ベベル部用の洗浄液を供給して当該ベベル部を洗浄するためのベベル洗浄ノズルと、
前記第1の基板保持手段又は第2の基板保持手段に保持された基板の裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
前記第1の基板保持手段又は第2の基板保持手段に保持された基板の裏面に接触して当該裏面を洗浄する洗浄部材と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
さらに本発明では、前記第1の基板保持手段を前記第2の基板保持手段に対して相対的に横方向に移動させるための移動手段と、前記第1の基板保持手段を前記第2の基板保持手段に対して相対的に上下方向に移動させるための昇降手段と、を備えることが望ましく、さらにまた本発明では、基板を第1の基板保持手段に保持させて、前記洗浄部材により前記第2の領域を含む基板の裏面を洗浄し、次いで基板を第1の基板保持手段から第2の基板保持手段に受け渡し、この第2の基板保持手段により基板を回転させて、前記洗浄部材により前記第2の領域以外の基板の裏面を洗浄するように、制御指令を出力する手段と、を備えることが望ましい。ここで前記制御指令を出力する手段は、前記洗浄部材により第2の領域以外の基板の裏面を洗浄しながら、表面洗浄手段及びベベル洗浄手段から夫々基板に向けて洗浄液を供給して、前記基板の表面及びベベル部の洗浄を行うように制御指令を出力するように構成してもよい。
【0018】
また本発明は、前記第2の基板保持手段に保持され、回転される基板の裏面の周縁領域に、裏面周縁用の洗浄液を供給する裏面周縁洗浄手段をさらに備えるようにしてもよく、この場合、前記制御指令を出力する手段は、前記洗浄部材により第2の領域以外の基板の裏面を洗浄しながら、表面洗浄手段及びベベル洗浄手段並びに裏面周縁洗浄手段から夫々基板に向けて洗浄液を供給して、前記基板の表面及びベベル部並びに裏面ベベル部の洗浄を行うように制御指令を出力するように構成してもよい。
【0019】
このような洗浄装置は、基板の表面にレジストを塗布する塗布ユニットと、その表面に液層を形成して液浸露光された後の基板に現像液を供給して現像する現像ユニットと、を備えた塗布、現像装置に組み込むことができる。
【0020】
また本発明の洗浄方法は、レジストが塗布され、その表面に液層を形成して液浸露光される前の基板を洗浄する洗浄方法において、
レジストが塗布され、液浸露光される前の基板を、この基板の表面を上にした状態で、この基板の裏面の第1の領域を第1の基板保持手段により保持し、この基板の裏面における前記第1の領域とは重ならない第2の領域を洗浄する工程と、
次いで基板を第1の基板保持手段から第2の基板保持手段により受け取って、前記第2の領域を水平に保持する工程と、
前記第2の基板保持手段に保持され、鉛直軸周りに回転された基板の表面に、表面用の洗浄液を供給して当該表面を洗浄する工程と、
前記第2の基板保持手段に保持され、鉛直軸周りに回転された基板のベベル部に、ベベル部用の洗浄液を供給して当該ベベル部を洗浄する工程と、
前記基板を第2の基板保持手段に保持させて、鉛直軸周りに回転させながら、基板の裏面における前記第2の領域以外の領域を洗浄する工程と、を含むことを特徴とする。
【0021】
ここで前記基板の表面を洗浄する工程と、前記ベベル部を洗浄する工程と、前記基板の裏面における前記第2の領域以外の領域を洗浄する工程とは、互いに洗浄時間が重なるように行われることが望ましい。
【0022】
また前記第2の基板保持手段に保持され、回転された基板の裏面における周縁領域に裏面周縁用の洗浄液を供給して、当該周縁領域を洗浄する工程をさらに備えるようにしてもよく、この場合には、前記基板の表面を洗浄する工程と、前記基板の周縁を洗浄する工程と、前記基板における前記第2の領域以外の領域を洗浄する工程と、前記基板の裏面の周縁領域を洗浄する工程とは、互いに洗浄時間が重なるように行われることが望ましい。
【0023】
このような洗浄方法は、レジストが塗布され、その表面に液層を形成して液浸露光される後の基板を現像処理する塗布、現像方法において、レジストが塗布され、液浸露光される前の基板に対して行われる。
また本発明の記憶媒体は、レジストが塗布され、その表面に液層を形成して液浸露光される前の基板を洗浄する洗浄装置に用いられるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、前記プログラムは、前記洗浄方法を実行するようにステップ群が組まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の洗浄装置によれば、基板の裏面を支えて保持し、基板表面を上に向けた状態で基板裏面の洗浄を行うので、基板を反転させる工程を必要とせず、洗浄装置の設置スペースをコンパクトにすることができる。また第1及び第2の基板保持手段の間で基板を持ち替えて裏面洗浄を行っているので、基板裏面全体を満遍なく洗浄することができる。さらに基板表面を上に向けた状態で洗浄を行うので、基板の裏面洗浄と表面及びベベル部の洗浄を組み合わせることができるため、1台の洗浄装置において、基板の表面及びベベル部並びに裏面の洗浄を行うことができる。このためこれらの洗浄を別個のユニットにて行う場合に比べて、基板の搬送時間や受け渡し時間が加算される必要がなく、スループットの低下を抑えることができる。
【0025】
さらに当該洗浄装置を塗布、現像装置に組み込んだ場合には、1台分の設置スペースを占有するだけで済むので、塗布、現像装置の占有面積の増大を抑えながら、液浸露光前の基板に対して、塗布、現像装置内にて基板の表面及びベベル部並びに裏面の洗浄を行うという要請に応えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
先ず本発明の塗布、現像装置の一実施の形態として、液浸露光を行なう露光装置を備えたレジストパターン形成システムの全体構成について図1及び図2を参照しながら簡単に説明する。このシステムは、塗布、現像装置に前記露光装置を接続したものであり、図中B1は、基板である半導体ウエハW(以下「ウエハW」という)が、例えば13枚密閉収納されたキャリアC1を搬入出するための載置部120を備えたキャリア載置部である。ここには当該キャリア載置部B1から見て前方の壁面に設けられる開閉部121と、前記開閉部121を介してキャリアC1からウエハWを取り出すための受け渡し手段A1とが設けられている。
【0027】
前記キャリア載置部B1の奥側には、筐体122にて周囲を囲まれる処理部B2が接続されており、この処理部B2には、キャリア載置部B1から見て前後方向に配置される加熱・冷却系のユニットを多段化した棚ユニットU1,U2,U3と、キャリア載置部B1から見て右側に配置される後述する液処理ユニットU4,U5と、これら棚ユニットU1〜U3及び液処理ユニットU4,U5の各ユニット間においてウエハWの受け渡しを行う主搬送手段A2,A3と、を備えており、棚ユニットU1,U2,U3と主搬送手段A2,A3とはキャリア載置部B1から見て手前側から順に交互に配列して設けられている。また前記主搬送手段A2,A3は、前記棚ユニットU1,U2,U3側の一面側と、前記液処理ユニットU4,U5側の一面側と、左側の一面をなす背面部とで構成される区画壁123により囲まれる空間内に置かれている。また、図中124,125は各ユニットで用いられる処理液の温度調節装置や温湿度調節用のダクト等を備えた温湿度調整ユニットである。
【0028】
前記液処理ユニットU4,U5は、例えば図2に示すように、塗布ユニットCOT、現像ユニットDEV及び反射防止膜形成ユニットBARC、トップコート形成ユニットTCを複数段例えば5段に積層して構成されている。また既述の棚ユニットU1,U2,U3は、液処理ユニットU4,U5にて行なわれる処理の前処理及び後処理を行うための各種ユニットを複数段例えば10段に積層した構成とされており、例えばウエハWに対して疎水化処理を行う疎水化処理ユニット、ウエハWを加熱(ベーク)する加熱ユニット、ウエハWを冷却する冷却ユニット等が設けられている。
【0029】
前記処理部B2における棚ユニットU3の奥側には、インターフェイス部B3を介して例えば液浸露光を行う露光装置B4が接続されている。前記インターフェイス部B3は、処理部B2と露光装置B4との間に前後に設けられる第1の搬送室126及び第2の搬送室127により構成されており、夫々に昇降自在及び鉛直軸周りに回転自在かつ進退自在な第1の搬送アームA4及び第2の搬送アームA5を備えている。さらにまた第1の搬送室126には、棚ユニットU6、バッファカセットCO及び後述する洗浄装置100が設けられている。前記棚ユニットU6は、露光したウエハWをPEB処理する加熱ユニット及び冷却プレートを有する高精度温調ユニットや、第1の搬送アームA4と第2の搬送アームA5との間でウエハWの受け渡しを行なう際に用いられる受け渡しユニット等を上下に積層した構成とされる。なおこの例では洗浄装置100に対しては第2の搬送アームA5によりウエハWの受け渡しが行われる。
上述のシステムにおけるウエハWの流れの一例について説明する。先ず外部からウエハWが収納されたキャリアC1が載置部120に載置されると、開閉部121と共にキャリアC1の蓋体が外されて受け渡し手段A1によりウエハWが取り出される。そしてウエハWは、棚ユニットU1の一段をなす受け渡しユニットを介して主搬送手段A2に受け渡され、先ず疎水化処理ユニットにて、疎水化処理が行なわれる。続いてウエハWは反射防止膜形成ユニットBARCに搬送されて反射防止膜が形成された後、加熱ユニットにてベーク処理が行われる。
次いでウエハWは、塗布ユニットCOTにてその表面にレジスト膜が形成された後、加熱ユニットにてべーク処理が行われ、この後主搬送手段A3によりインターフェイス部B3へと搬送される。インターフェイス部B3では、第1の搬送アームA4→棚ユニットU6の受け渡しユニット→第2の搬送アームA5→洗浄ユニット100の経路にて洗浄ユニット100に受け渡され、当該洗浄ユニット100において、液浸露光前のウエハWに対して、その表面及びベベル部並びに裏面に対する洗浄処理が行われる。なお液浸露光用の保護膜をレジスト膜のウエハWに塗布する場合には、冷却ユニットにて冷却された後、処理部B2内における図示しないユニットにて保持膜用の薬液の塗布が行われる。
こうして洗浄されたウエハWは、露光部B4に搬入されて、ウエハWの表面に例えば純水の液膜を形成した状態で液浸露光が行われる。しかる後液浸露光を終えたウエハWは、露光部B4から取り出され、例えばインターフェイス部B3に設けられた洗浄装置100より、ウエハW表面の水滴の除去が行われ、その後棚ユニットU6の一段をなす加熱ユニットに搬入され、PEB処理が行われる。
続いてウエハWは第1の搬送アームA4によって加熱ユニットから取り出されて主搬送手段A3に受け渡され、この主搬送手段A3により現像ユニットDEVに搬入される。こうして所定の現像処理が行われた後、ウエハWは加熱ユニットにて加熱され、受け渡し手段A1を介してキャリア載置部B1の元のキャリアC1へと戻される。
【0030】
続いて上述のレジストパターン形成装置に組み込まれる洗浄装置100の実施の形態について図3〜図5を参照しながら説明する。図3は洗浄装置100の斜視図、図4はその平面図、図5は縦断面図を夫々示している。図3に示すように洗浄装置100は、外部の搬送手段、この例では塗布、現像装置内の第2の搬送アームA5から受け取ったウエハWを略水平に吸着保持する第1の基板保持手段としての吸着パッド2と、この吸着パッド2からウエハWを受け取って同じく略水平に吸着保持する第2の基板保持手段としての役割を果たすスピンチャック3と、を上面の開口したボックス状のアンダーカップ43に取り付けた構造となっており、ウエハWの裏面中央側の第1の洗浄領域を洗浄するブラシ5と、ウエハWの表面を洗浄するための表面洗浄ノズル6と、ウエWのベベル部を洗浄するためのベベル洗浄ノズル7と、ウエハWの裏面の前記第1の洗浄領域の外側の第2の洗浄領域を洗浄するための裏面周縁洗浄ノズル8と、を備えている。
【0031】
初めに第1の基板保持手段である吸着パッド2について説明する。図3に示すように洗浄装置100は2つの吸着パッド2を備え、各々の吸着パッド2は例えば細長いブロックから構成されている。2つの吸着パッド2は、ウエハW裏面の周縁近傍部(第1の領域)を略平行に支えて保持できるように配置されている。吸着パッド2は図示しない吸引管と接続されており、図4に示した吸着孔2aを介してウエハWを吸着しながら保持する真空チャックとしての機能を備えている。図3に示すように、それぞれの吸着パッド2は細長い棒状のパッド支持部21の略中央部に取り付けられており、これら2本のパッド支持部21の両端部が夫々2本の橋桁部22に取り付けられることによってパッド支持部21と橋桁部22とからなる井桁20が構成されている。
【0032】
2本の橋桁部22の両端は、アンダーカップ43の対向する2側壁(図3に向かって手前側と奥側との側壁)の外側にこれらの側壁に沿って張設された2本のベルト23に夫々固定されている。夫々のベルト23は、2個1組からなる巻掛軸24に巻き掛けられており、各巻掛軸24は上述の2側壁と各々平行に設置された2枚の側板26に取り付けられている。巻掛軸24の一つは移動手段をなす駆動機構25に接続されており、巻掛軸24やベルト23を介して橋桁部22を動かして、既述の井桁20全体を図3、図4に示したX方向に自在に移動させることができるようになっている。
【0033】
また図3に示すように夫々の側板26は、その底面をスライダ27aとガイドレール27bとからなる2組の昇降機構27によって支えられ、洗浄装置100の図示しない筐体床面に固定されている。これらの昇降機構27の1つには図示しない駆動機構が設けられており、スライダ27aをガイドレール27b内で昇降させることにより、前述の井桁20全体を図中のZ方向に昇降させることができるようになっている。
【0034】
また井桁20上には、洗浄液の飛散を抑えるためのドーナツ状のアッパーカップ41が跨設されている。アッパーカップ41の上面には、ウエハWより大口径の開口部41aを設けてあり、この開口部41aを介して第2の搬送アームA5と吸着パッド2等との間でウエハWの受け渡しを行うことができるようになっている。なお井桁20上に跨設されたアッパーカップ41は、図5に示すように井桁20の動きに伴ってX方向とZ方向とに移動するように構成されている。こうしてウエハWは吸着パッド2に支持されて、アッパーカップ41内における第1の洗浄位置に配置される。
【0035】
次に第2の基板保持手段であるスピンチャック3について説明する。スピンチャック3はウエハWの裏面中央部(第2の領域)を下方から支持する円板である。スピンチャック3は略平行に配置された2つの吸着パッド2の中間に設置されており、夫々の基板保持手段(吸着パッド2、スピンチャック3)により支えられるウエハW裏面の第1の領域と第2の領域とは重ならないようになっている。図5に示すようにスピンチャック3は軸部3bを介して駆動機構(スピンチャックモータ)33に接続されており、スピンチャック3はこのスピンチャックモータ33によって鉛直軸回りに回転自在及び昇降自在に構成される。ここで井桁20を昇降させる昇降機構27とスピンチャック3を昇降させる駆動機構33とは、スピンチャック3(第2の基板保持手段)を吸着パッド2(第1の基板保持手段)に対して相対的に昇降させるための昇降手段を構成している。
【0036】
また吸着パッド2と同様にスピンチャック3も図示しない吸引管と接続されており、図4に示した吸着孔3aを介してウエハWを吸着しながら保持する真空チャックとしての機能を備えている。さらにスピンチャック3の側方には、昇降機構32aと接続された支持ピン32がウエハWの裏面を支持して昇降可能なように設けられており、外部の搬送手段との協働作用によって搬送手段から吸着パッド2へ、またスピンチャック3から搬送手段へとウエハWを受け渡しできるにようになっている。こうしてウエハWはスピンチャック3に支持されて、アッパーカップ41内における第2の洗浄位置に配置される。
【0037】
更に図6に示すように、スピンチャック3や支持ピン32の周囲には、これらの機器を取り囲む囲み部材をなすエアナイフ31が設置されている。エアナイフ31は、円筒(囲み部材)の上端に周方向に沿って気体の噴射口31aが形成されており、この噴射口31aからウエハW裏面へ向けて例えば圧縮エア等の気体を噴き出すことにより洗浄液を円筒の外側へ吹き飛ばして、スピンチャック3へとウエハWが受け渡される際に、スピンチャック3の表面とこのスピンチャックで支えられる基板の裏面(第2の領域)とを互いに乾燥した状態で接触させるようにする乾燥手段としての役割を果たす。前記エアナイフ31は、例えば二重円筒より構成され、図示しない供給部から供給された気体をこの二重円筒間の中空部を介して噴射口31aに供給できるようになっている。
【0038】
次にウエハWの裏面洗浄を行う洗浄部材としてのブラシ5について説明する。ブラシ5は例えば多数のプラスチック繊維を円柱状に束ねた構造となっており、その上面をウエハW裏面に押し付けた状態で回転自在のブラシ5とウエハWとを互いに摺動させることによりウエハW裏面のパーティクルを除去できるようになっている。ブラシ5には、例えばPVCスポンジ、ウレタンスポンジ、ナイロン繊維等が使用される。ブラシ5は、これを支える支持部51の先端に取り付けられており、支持部51はウエハWや橋桁部22と干渉しないように、柄杓型に屈曲した形状となっている。この支持部51の基端は、図3においてスピンチャック3の設置されている方向からブラシ5を見て奥側の側壁に沿って張設されたベルト52に固定されている。ベルト52は2つの巻掛軸53に巻き掛けられており、これらの巻掛軸53は上述の奥側の側壁外面に取り付けられている。巻掛軸53の一方は駆動機構54に接続されており、ベルト52や支持部51を介してブラシ5を、後述する第1の洗浄領域S1内において図3、図4に示したY方向に自在に移動させることができる。
【0039】
また支持部51の先端には図示しない駆動機構が設けられており、ブラシ5を周方向に回転させることができるようになっている。更にまた支持部51の先端には図4に示すように、洗浄液供給手段をなす洗浄液ノズル5aとブローノズル5bとが設置されており、洗浄液ノズル5aからはブラシ5でウエハW裏面から除去されたパーティクルを洗い流すための洗浄液(例えばDIW)が供給され、ブローノズル5bからは洗浄を終えた後にウエハW裏面に付着している洗浄液の乾燥を促進するための例えば窒素(N2)等の気体が供給される。
【0040】
さらにカップ41には、ウエハ周縁のベベル部70(図7参照)を洗浄するためのベベル洗浄ノズル7が設けられている。このベベル洗浄ノズル7は、ウエハWが前記第2の洗浄位置にあるときに、前記ベベル部70に向けて、当該部分に付着したパーティクルを洗い流すためのベベル部洗浄用の洗浄液例えばDIWを吐出するようになっており、ウエハWの側方の上方側から前記ベベル部70に向けて前記洗浄液を吐出するための上部ノズル71と、ウエハWの側方の下方側から前記ベベル部70に向けて前記洗浄液を吐出するための下部ノズル72とを備えている。これら上部ノズル71及び下部ノズル72は、図7に示すように、ウエハWがアッパーカップ43内において昇降したときに、ウエハWと干渉しないように、夫々のノズル71,72の先端がウエハWの移動領域の外側に位置するように設けられている。
【0041】
また前記洗浄装置100は、前記第2の洗浄位置にあるウエハWの表面を洗浄するための表面洗浄ノズル6を備えている。この表面洗浄ノズル6は、ウエハWの表面に向けて、当該表面に付着したパーティクルを洗い流すための洗浄液例えばDIWを供給するための洗浄液ノズル61と、ウエハWの表面に向けて、当該ウエハ表面の洗浄液の乾燥を促進するために、例えば窒素(N2)等の気体を供給するためのガスノズル62とを備えている。これら洗浄液ノズル61及びガスノズル62は例えば共通の支持部63に支持されて、駆動機構64によりウエハWの径方向に移動自在、及び上下方向に昇降自在に構成されていて、ウエハ搬入出時には搬送中のウエハWや外部の搬送手段と干渉しないように上方へ退避するようになっている。
【0042】
さらに前記第2の洗浄位置におけるウエハWの裏面側には、ウエハWの裏面側の第2の洗浄領域S2の洗浄を行うための裏面周縁洗浄ノズル8が設けられている。ここで第1及び第2の洗浄領域S1,S2について、図8により説明すると、第2の洗浄領域S2とはウエハWの裏面側の外縁から15mm程度内側までの領域であり、前記第1の洗浄領域S1は第2の洗浄領域S2の内側の領域である。第2の洗浄領域S2は、レジスト膜の形成前に行なわれる疎水化処理において、疎水化ガスが回り込み、疎水化されてしまうウエハWの周縁領域を含んでおり、例えば予め疎水化される領域の大きさを把握し、それよりも大きくなるように設定される。
【0043】
そして前記裏面周縁洗浄ノズル8は、例えば第1の洗浄領域S1と第2の洗浄領域S2との境界近傍に、ウエハWの裏面周縁洗浄用の洗浄液を吐出するように、昇降機構81により昇降自在に設けられており、後述するようにウエハWを吸着パッド2に保持させて水平方向に移動させるときに、カップ41やエアナイフ31等と干渉しないように下方へ退避するようになっている。この裏面周縁洗浄ノズル8としては例えば二流体ノズルが用いられ、この場合裏面用の洗浄液としては、DIWと窒素との混合液が用いられる。つまり二流体ノズルは、その先端近傍領域において、液体成分(DIW)と気体成分(窒素)とが混合され、この混合液をウエハW裏面に向けて吐出するように構成されている。
【0044】
この他、図3に示すようにアンダーカップ43の底部には、アンダーカップ43内に溜まった洗浄液を排出するためのドレイン管43aと、洗浄装置100内の気流を排気するための2つの排気管43bとが設けられている。排気管43bはアンダーカップ43底部に溜まった洗浄液が排気管43bへ流れ込むのを防ぐため、アンダーカップ43の底面から上方へと延伸されていると共に、上方から滴り落ちてきた洗浄液が排気管43bに直接入らないように、エアナイフ31の周囲に取り付けられたリング状のカバーをなすインナーカップ42によって覆われている。また図中の44は、ウエハWの洗浄終了後にウエハW外周縁近傍に上方から圧縮エア等を吹き付けて残存する洗浄液の乾燥を補助するためのブローノズルであり、昇降機構45により昇降自在に構成され、ウエハ搬入出時には搬送中のウエハWや搬送手段と干渉しないように上方へ退避するようになっている。
【0045】
また、各ベルト23、52の張設されていないアンダーカップ43側壁には、UVランプ46を納めたランプボックス47が取り付けられている。処理対象のウエハWは、左X方向より洗浄装置100内に搬入出され、その際UVランプ46の上方を通過するように構成されている。UVランプ46は、洗浄を終えて搬出されるウエハWの裏面に紫外光を照射して、ウエハW裏面に残存しているパーティクルを収縮させる役割を果たす。
【0046】
続いて洗浄液や窒素ガスの供給系について説明する。前記表面洗浄ノズル6の洗浄液ノズル61及びガスノズル62は、夫々流量制御部61b,62bを備えた供給路61a,62aを介して洗浄液(DIW)源65及び窒素ガス源66に接続されている。また前記ベベル洗浄ノズル71,72は、夫々流量制御部7bを備えた供給路7aを介して前記洗浄液(DIW)源65に接続されており、裏面周縁洗浄ノズル8は、流量制御部81b,82bを備えた供給路81a,82aを介して前記洗浄液(DIW)源65及び前記窒素ガス源66に夫々接続されている。さらにブローノズル44は、流量制御部44bを備えた供給路44aを介して前記窒素ガス源66に接続されている。前記流量制御部61b,62b,7b,81b,82b,44bは、夫々バルブ及び流量調整部を含んでおり、後述の制御部200により洗浄液や窒素ガスの流量及び給断の制御を行うことができるように構成されている。
【0047】
さらに図4及び図5に示すように各駆動機構25、33、54、64、81、45や、UVランプ46、排気管43bに設けられた図示しない圧力調整部等は、塗布、現像装置全体の動作を制御する制御部200により制御されるようになっている。制御部200は、例えば図示しないプログラム格納部を有するコンピュータからなり、プログラム格納部には外部の搬送装置から受け取ったウエハWを吸着パッド2とスピンチャック3との間で受け渡したり、ブラシ5や表面洗浄ノズル6、ベベル洗浄ノズル7、裏面周縁洗浄ノズル8により洗浄したりする動作等についてのステップ(命令)群を備えたコンピュータプログラムが格納されている。そして、当該コンピュータプログラムが制御部に読み出されることにより、制御部は洗浄装置の動作を制御する。なお、このコンピュータプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶手段に収納された状態でプログラム格納部に格納される。
【0048】
以上に説明した構成に基づいて、ウエハWを洗浄する動作について図9〜図12を参照しながら説明する。なおこれらの図においては、図示の便宜上UVランプ46等の記載を必要に応じて適宜省略している。
【0049】
図10(a)に示すように、例えば馬蹄形状の搬送手段(第2の搬送アームA5)は処理対象のウエハWを洗浄装置100内に搬入してアッパーカップ41の開口部41a上方で停止し、支持ピン32はスピンチャック3の下方から上昇して搬送手段の下方にて待機する。搬送手段は支持ピン32の上方から下降してウエハWを支持ピン32へと引き渡し、洗浄装置100の外へと退出する。このとき、吸着パッド2はウエハWを保持する面がブラシ5の上面よりも高くなるような位置で待機し、スピンチャック3はブラシ5の上面よりも低い位置まで退避している。このような位置関係により、支持ピン32が下降すると、ウエハWは先ず吸着パッド2に受け渡される(ステップS1、図10(b))。
【0050】
この後吸着パッド2は、裏面からブラシ5を押し当てても動かないようにウエハWを吸着保持し、ウエハWを保持したまま右方向へ移動する。このとき、吸着パッド2は、スピンチャック3、ブラシ5、エアナイフ31の夫々の上面よりも高い位置で移動する。そして、ウエハWを予め決められた位置(例えばエアナイフ31の左端がウエハWの左端と略一致するような位置)まで搬送した後、吸着パッド2は下降して、ウエハWの裏面をブラシ5の上面に押し当てる(図10(c))。このときのアッパーカップ41内におけるウエハWの高さ位置が第1の洗浄位置であり、スピンチャック3は吸着パッド2の下方側に位置し、エアナイフ31の上面はウエハWの裏面の僅か下方側に位置している。
【0051】
次いで、エアナイフ31を作動させてスピンチャック3の表面に洗浄液が廻り込んで付着するのを防止した後、支持部51先端の洗浄液ノズル5aより洗浄液を供給すると共にブラシ5を回転させてウエハWの裏面の中央領域の洗浄を開始する(ステップS2)。裏面洗浄は、吸着パッド2によるウエハWの移動とブラシ5の移動との組み合わせにより進行する。具体的には、例えば図12(a)に示すようにブラシ5は図中のY方向を往復し、ブラシ5の移動方向が切り替わる際にブラシ5の直径よりも短い距離だけ吸着パッド2を左X方向へ移動する。これによりブラシ5は矢印で示したような軌跡を描いてウエハW裏面を移動し、同図中に右上斜線で塗りつぶした領域T1を満遍なく洗浄することができる。この領域T1は、第1の洗浄領域S1内における前記第2の領域を含む領域である。
【0052】
上述の領域T1の洗浄を終えたら、吸着パッド2を移動させてスピンチャック3の上方にウエハW中央部を位置させ(図11(a))、次に吸着パッド2からスピンチャック3へのウエハWの受け渡しを行う(ステップS3)。ウエハWの受け渡しは、例えばエアナイフ31を作動させたまま、ブラシ5の移動や回転、洗浄液の供給を停止し、吸着パッド2によるウエハWの吸着を解除する一方で、退避しているスピンチャック3を上昇させてウエハWの裏面を支え、次に吸着パッド2を下方へ退避させることにより行われる。このときのアッパーカップ41内におけるウエハWの高さ位置が第2の洗浄位置であり、この例では第2の洗浄位置はアッパーカップ41内において前記第1の洗浄位置よりも上方側に位置している。
【0053】
そして図11(a)及び図13に示すように、ウエハWをスピンチャック3により第2の洗浄位置にて保持しながら、当該ウエハWの表面とベベル部70と裏面の洗浄を同時に行う。つまり表面洗浄ノズル6を下降させ、例えば洗浄液ノズル61の先端が、ウエハW表面の中心部から10mm程度浮上した位置に位置させると共に、裏面周縁洗浄ノズル8を上昇させ、当該ノズル8の先端が、ウエハW裏面の第1の洗浄領域S1と第2の洗浄領域S2の境界近傍から5mm程度下降した位置に位置させ、ウエハWをブラシ5に押し当てる。この際、アッパーカップ41内におけるウエハWの高さ位置は第1の洗浄位置よりも上方側になるが、アッパーカップ41(吸着パッド2)自体を下降させることにより、ブラシ5はウエハWに押し当てられた状態となる。
【0054】
そしてウエハWを回転させると共に、表面洗浄ノズル6、ベベル洗浄ノズル7、裏面周縁洗浄ノズル8から夫々ウエハ表面、ベベル部70、裏面ベベル部に対して洗浄液を吐出させ、かつ洗浄液を供給しながらブラシ5を回転させることにより、夫々の領域の洗浄を行う(ステップS4)。
この際、ウエハ表面の洗浄は、洗浄液ノズル61からウエハWの中心に向けて洗浄液Fを吐出した後、当該表面洗浄ノズル6を、例えば図11において左方向にスライド移動させ、こうしてガスノズル62の先端をウエハWの中心に位置させて、窒素ガスを例えば2秒程度吐出する(図13参照)。このようにウエハW表面の中心部に洗浄液Fを供給した後、窒素ガスを当該ウエハ表面の中心部に吹き付けると、洗浄液の中心に窒素ガスが吹き付けられ、その吹き付けられた領域は乾燥する。一方洗浄液ノズル61は洗浄液を吐出させながら、当該ノズル61をウエハWの中心から外縁に向けて徐々に移動させる。このようにすると、供給された洗浄液Fは回転の遠心力で外方に向かって流れていくので、一度乾燥した中心部が再び洗浄液Fによって濡れることがなく、洗浄液の乾燥が促進される。この例は、ガスノズル62も洗浄液ノズル61と共にスライド移動させるように構成されているが、ガスノズル62はウエハWの中心部にガスを吹きつける構成であればよいので、洗浄液ノズル61のみをスライド移動させるように構成してもよい。
【0055】
また前記ベベル部70の洗浄については、ウエハWを回転させながら、上部ノズル61と下部ノズル62とにより、ベベル部70に向けて洗浄液Fを吹き付け、この衝撃力を利用して当該部位に付着したパーティクルを飛散して除去する。この際、ウエハWを回転させているので、ウエハWのベベル部70全体に洗浄液が供給され、また回転の遠心力により、当該部位に付着する洗浄液Fが飛散させてパーティクルと共に除去される。
【0056】
さらに第1の洗浄領域S1における裏面洗浄はスピンチャック3の回転とブラシ5の移動との組み合わせにより進行する。具体的には、例えば図12(b)に示すように、先ずウエハWの第1の洗浄領域S1における最外周を洗浄できるような位置までブラシ5を移動させてからウエハWをゆっくりと回転させ、ウエハWが一回転したら先の動作で洗浄された環状の領域よりもブラシ5の直径又は直径より短い分だけ内周側を洗浄できる位置までブラシ5を移動させてから同様の動作を繰り返す。このような動作により、同心円状の軌跡を描きながらウエハW裏面を移動し、同図中に右上斜線で塗りつぶした領域T2を満遍なく洗浄することができる。
【0057】
また第2の洗浄領域S2については、ウエハWを回転させた状態で、裏面周縁洗浄ノズル8からウエハW裏面の第1の洗浄領域S1と第2の洗浄領域S2との境界付近に、窒素ガスのバブルを含んだDIW(洗浄液)を吐出させる。これによりウエハWの回転の遠心力によって洗浄液は外方側に向けて流れていくので、当該第2の洗浄領域S2全体に満遍なく洗浄液Fが行き渡る。そしてこの回転の遠心力によって洗浄液Fは外方に向けて飛散していくが、この際洗浄液の移動と共に当該領域に付着したパーティクルが当該領域から剥がれ、除去される。また裏面周縁洗浄ノズル8を二流体ノズルとすることにより、洗浄液がウエハW裏面に吹き付けられるときのインパクトが大きくなり、この衝撃力で当該裏面に付着したパーティクルを浮き上がらせ、洗浄液により洗い流しやすい状態とすることができるので、高い洗浄効果を得ることができる。
【0058】
ここで洗浄の行われている期間中、図13(b)に示すように、ウエハWの裏面全体は洗浄液Fの液膜に覆われた状態となり、ブラシ5で除去されたパーティクルは、このウエハW裏面から流れ落ちる洗浄液と共にアンダーカップ43へ洗い流される。また、エアナイフ31の噴出口31aからはウエハW裏面へ向けて気体が噴出され、洗浄液がエアナイフ31の外側へ向けて吹き飛ばされることにより、エアナイフ31と対向するウエハW裏面は乾燥した状態が保たれている。このような構成により、ウエハW裏面を覆う洗浄液がエアナイフ31の内側にまで回り込んでしまうのを防止することができる。この結果、スピンチャック3の表面は常に乾燥状態に維持され、処理された洗浄液による汚染やウォータマークの形成を防止することが可能となる。
【0059】
この際ウエハW裏面では、領域T1と領域T2とを合わせた領域は図12 (b)に示すようにウエハWの第1の洗浄領域S1全体を包含しており、洗浄されないデッドスペースを生じないように各機器のサイズや移動範囲が調整されている。例えばブラシ5は第2の洗浄領域S2における疎水化処理が行われていない領域にその一部が入り込んだ状態で洗浄を行うようにして、ウエハWの第1の洗浄領域S1を満遍なく洗浄する。
【0060】
ここでこの例ではウエハの表面及びベベル部70並びに裏面の洗浄の洗浄液はいずれも同じDIWを用いているため、これらの各領域の洗浄を同時に行ったとしても、互いに洗浄処理に悪影響を及ぼすおそれがない。さらにウエハの表面及びベベル部70並びに裏面の洗浄を同時に行うことにより、例えば表面の洗浄の際に発生したミストがベベル部70まで飛散する場合のように、ある領域の洗浄の際に発生したミストが他の領域まで飛散したとしても、この他の領域も洗浄しているため飛散して付着したミストが直ちに洗い流される。従って夫々の領域の洗浄時間を十分に設定すれば、前記ミストに含まれるパーティクルが極めて少ない状態となるため、これらウエハ表面及びベベル部70並びに裏面について高い清浄度を確保することができる。
【0061】
こうしてウエハWの表面及びベベル部70、並びに裏面全体の洗浄を完了すると、表面洗浄ノズル6を上昇させると共に、裏面周縁洗浄ノズル8を下降させ、ブラシ5の回転や移動、洗浄液の供給、スピンチャック3の回転を停止して、洗浄液の振り切り乾燥の動作に移る。振り切り乾燥は、スピンチャック3を高速で回転させてウエハW裏面に付着している洗浄液を振り切ることにより行われる(ステップS5)。既述のように満遍なく濡らされたウエハWを一気に振り切って乾燥させることにより、ウォータマークの発生が抑制される。このとき、上方に退避していたブローノズル44を下降させ、同時にブラシ5横のブローノズル5bをウエハWベベル部に位置させるように支持部51を移動させて、ウエハWベベル部の上面と下面とから気体を吹き付けることにより、振り切り乾燥が促進される。なお、スピンチャック3に保持される第2の領域については振り切り乾燥を行うことができないが、エアナイフ31によって乾燥された状態でスピンチャック3と接触するようになっているのでウォータマークが発生することは殆どない。
【0062】
以上に説明した動作によりウエハの洗浄と乾燥とを終えたら、搬入時とは逆の動作でウエハWを搬送手段へ引き渡して搬出する。このときUVランプ46を点灯して馬蹄形状の搬送手段の下方からウエハW裏面へ向けて紫外線を照射して、万一パーティクルが付着している場合であっても、例えば有機物は紫外線の照射により分解されるので、このようなタイプのパーティクルを収縮させて、デフォーカス等の影響を小さくすることができる。
【0063】
ウエハWの搬出動作と並行して、吸着パッド2やスピンチャック3は図10(a)に示した位置まで移動して次のウエハWの搬入を待つ。そして図10、図 11を参照して説明した動作を繰り返し、複数のウエハWを順次洗浄する。
【0064】
次に前記洗浄装置の第2の実施の形態について図14〜図16を参照しながら説明する。これらの図において、第1の実施の形態と同様の構成には、図1〜図13で使用したものと同じ符号を付してある。
【0065】
第2の実施の形態に係る洗浄装置110は、第2の基板保持手段であるスピンチャック3をウエハWの第2の領域の下方へ退避させる点が、ウエハWをスピンチャック3に対して横方向に移動させる第1の実施の形態と異なっている。第2の実施の形態において、井桁20はX方向に固定されており、Z方向への昇降のみ可能となっている。この井桁20を昇降させる昇降機構27(図3参照)とスピンチャック3を昇降させる図示しない昇降機構とは、第2の基板保持手段を前記第1の基板保持手段に対して相対的に昇降させるための昇降手段を構成している。また、ブラシ5は、その支持部51が基端側にてアンダーカップ43に固定されている。当該支持部51は基端部の支軸を中心として回動、伸縮自在に構成されているため、ウエハWを横方向に移動させずにその中心領域(第2の領域)から支持部51の基端部側までをブラシ5により洗浄することができる。
【0066】
またブラシ5の反対側には、第2の領域の洗浄中にこの下方へと退避しているスピンチャック3上に洗浄液が滴下するのを防止するための撥水性を備えた例えばフッ素樹脂製のカバー部材91が伸縮自在な支持部92を介してアンダーカップ43に取り付けられている。更にこの支持部92には、ウエハWの裏面における第2の洗浄領域S2に対して洗浄液を供給して、当該領域S2の洗浄を行うための裏面洗浄ノズル93が取り付けられると共に、第2の領域を乾燥させる乾燥手段としての役割を果たす乾燥ノズル94が取り付けられており、第2の領域へ向けて気体を噴射することが可能となっている。また本実施の形態においてはスピンチャック3の周囲にはエアナイフ31は設置されていなので、カバー部材91の外縁部からは例えば窒素ガス等のガスを下方に向けて噴出し、洗浄時に発生したミストがスピンチャック3に付着しないようになっている。
【0067】
次に第2の実施の形態に係る洗浄装置の作用について説明すると、図15(a)に示すように、ウエハWの搬入時においてスピンチャック3はアンダーカップ43の下方に退避しており、またカバー部材91はスピンチャック3上方よりも側方に退避している。この状態で昇降ピン32を昇降させて外部の搬送手段(第2の搬送アームA5)からウエハWを受け取り、吸着パッド2上にウエハWを吸着保持する。
【0068】
次いで図15(b)に示すようにスピンチャック3の位置まで昇降ピン32を退避させ、カバー部材91を前進させてスピンチャック3の上方に位置させた後、ブラシ5をウエハWの略中央部まで移動させる。そして吸着パッド2を下降させ、第2の領域を含むウエハW中央領域の洗浄を開始する。このとき、スピンチャック3は洗浄中の第2の領域の下方に退避していることになるが、カバー部材91が傘となり、更にこのカバー部材91より下方に向けてガスを噴出し、ミストを付着させないようにすることによりスピンチャック3は乾燥した状態に保たれている。ウエハW中央領域の洗浄を終えるとブラシ5は側方へ退避して、乾燥ノズル94から第2の領域へ向けて気体を噴射させることによりこの領域を乾燥させる。
【0069】
次いで図16に示すようにカバー部材91を側方へ退避させた後、スピンチャック3を上昇させて、吸着パッド2からスピンチャック3へとウエハWを受け渡し、洗浄及び乾燥の終わった第2の領域を吸着保持する。そして、ウエハWの回転と、表面洗浄ノズル6、ベベル洗浄ノズル7、裏面周縁洗浄ノズル8からの洗浄液の吐出と、ブラシ5の移動とを組み合わせながら、ウエハWの表面及びベベル部70と、裏面の第1の洗浄領域S1における洗浄を終えていない領域と、第2の洗浄領域S2を洗浄する。このとき、カバー部材91は側方へ退避しているため昇降ピン32は例えば鞘体に格納する等して洗浄液と接触しないように構成しておくとよい。
【0070】
洗浄を終えると、スピンチャック3を回転させてウエハWを振り切り乾燥で乾燥させた後、搬入時とは逆の動作で昇降ピン32から外部の搬送手段(第2の受け渡しアームA5)へと受け渡し洗浄装置の外部へウエハWを搬出する。なお、図16には示していないが、このときウエハWの裏面にUVランプによる紫外線照射を行ってもよいことは勿論である。
【0071】
このように上述の洗浄装置100,110によれば、ウエハWの裏面を支えて保持し、ウエハWの表面を上に向けた状態でウエハWの裏面の洗浄を行っているので、ウエハWを反転するリバーサを設置するスペースやウエハWの反転動作を行うためのスペースを必要としない。この結果、従来タイプの裏面洗浄用の洗浄装置と比較して、当該洗浄装置100、110の設置スペースをコンパクトにすることができる。
【0072】
またこの洗浄装置100、110は、2つの基板保持手段(吸着パッド2、スピンチャック3)の間でウエハWを持ち替えて裏面洗浄を行っているので、吸着パッド2やスピンチャック3で覆われてしまうことにより洗浄することのできないデッドスペースを生じさせず、ウエハWの裏面全体を満遍なく洗浄することができる。
【0073】
さらにウエハWの表面を上に向けた状態で洗浄を行うので、ウエハの表面側やベベル部70に洗浄液を供給することができるため、1台の洗浄装置において、ウエハWの表面及びベベル部70並びに裏面の洗浄を行うことができる。このためこれらの洗浄を別個のユニットにて行う場合に比べて、ウエハWの搬送時間や受け渡し時間が加算される必要がなく、スループットの低下を抑えることができる。さらにまた上述の例では、ウエハWの表面の洗浄と、ベベル部70の洗浄と、裏面の第1の洗浄領域及び第2の洗浄領域の洗浄の際、互いの洗浄時間が重なるように、同時に洗浄を行っているので、トータルの洗浄時間の増長が抑えられる。
【0074】
さらにまた当該洗浄装置を塗布、現像装置に組み込んだ場合には、1台分の設置スペースを占有するだけで済むので、塗布、現像装置の占有面積の増大を抑えながら、液浸露光前の基板に対して、塗布、現像装置内にて基板の表面及びベベル部70並びに裏面の洗浄を行うという要請に応えることができる。
【0075】
またウエハWの裏面側の洗浄では、第1の洗浄領域S1と第2の洗浄領域S2とで洗浄方法を変えている。従って、疎水化処理が行われた場合であって、ウエハWの裏面周縁まで疎水化処理用のガスが回り込み、当該領域が疎水化された場合のように、ウエハWの裏面側に疎水化されない領域(第1の洗浄領域)と疎水化された領域(第2の洗浄領域)とが存在する場合であっても、夫々の洗浄領域に適した洗浄方法を用いているので、洗浄中におけるパーティクルの発生が抑えられる。つまり疎水化された領域をブラシ5を用いて洗浄しようとすると、水分が存在しない状態でブラシに5よりウエハ裏面を擦ってしまうことになり、結果としてブラシ5が擦過され、パーティクルの発生を招くおそれがあるが、既述のように裏面周縁ノズル8として二流体ノズルを用いて、窒素ガスのバブルを含んだDIWを吹き付けているので、あたり面に対するインパクトが大きくなり、こうして確実にパーティクルを除去することができる。
【0076】
以上においてウエハの表面、ベベル部70、裏面の洗浄を同時に行うとは、互いの洗浄時間が重なることをいい、洗浄の開始時間や終了時間が異なる場合も含まれる。また上述の例では、ウエハの表面、ベベル部70、裏面の洗浄を全て同時に行ったが、これらを全て同時に行う必要はなく、ある領域の洗浄処理が終了してから、他の領域の洗浄処理を行うようにしてもよい。またこれらの内のいくつか、例えばウエハの表面と裏面の洗浄を同時に行い、ベベル部70は別に行ってもよいし、裏面洗浄においては、第1の洗浄領域と第2の洗浄領域とは一方の洗浄が終了してから、他方の洗浄を開始するようにしてもよい。
【0077】
また上述の例では、ウエハWの裏面周縁側の第2の洗浄領域についてはブラシ5による洗浄を行わない構成としたが、当該第2の洗浄領域についてもブラシ5による洗浄を行うようにしてもよい。この第2の洗浄領域には裏面周縁ノズル8から別個に洗浄液を供給しているので、この領域の撥水性が高くても、当該領域に水分が存在した状態でブラシ5による洗浄を行うことができるからである。さらにウエハWに対して疎水化処理を行わない場合には、ウエハ裏面における第2の洗浄領域(ウエハ裏面の周縁領域)については、裏面周縁ノズル8による洗浄を行わずに、ウエハ裏面全体をブラシ5により洗浄してもよい。
【0078】
さらに表面洗浄ノズル6、ベベル洗浄ノズル7、裏面周縁洗浄ノズル8は、夫々スピンチャック3に保持されたウエハ表面、ベベル部70、裏面周縁領域に洗浄液を供給する構成であれば、その形状は上述の例に限られず、例えば二流体ノズルやジェットノズル、メガソニックノズルを用いることができる。
【0079】
また表面洗浄ノズル6、ベベル洗浄ノズル7、裏面周縁洗浄ノズル8から夫々ウエハWに対して吐出される洗浄液の種類が異なっていてもよく、この場合には、互いに異なる洗浄液の一方の洗浄液を用いて、当該領域の洗浄処理を先に行った後、他方の洗浄液を用いて別の領域の洗浄処理を行うようにしてもよい。
【0080】
さらに吸着パッド2の平面形状は例えば図2に示した細長い長方形に限定されるものではない。例えばウエハWを載置した際に、当該ウエハWと同心円をなす円弧状の吸着保持面を備えた吸着パッド2を用いてもよい。かかる形状の吸着パッド2は、対向する吸着パッド2間に形成される領域の面積が広くなるので、より広い領域に洗浄液を行き渡らせることができると共に、ブラシ5を移動させる際の邪魔にもなりにくい。
【0081】
また、当該洗浄装置100、110は洗浄効果の高いブラシ5を洗浄部材に採用しているが、洗浄部材はこれに限定されるものではない。例えば二流体ノズルやジェットノズル、メガソニックノズル等、洗浄液等を吹き付けることによってパーティクルを除去するタイプの洗浄部材を採用してもよい。更にまた実施の形態においては回転式のブラシ5を例示したが、これに替えて振動式のブラシを採用してもよい。更に洗浄液の種類もDIWに限定されることなく、他の洗浄液であってもよい。
【0082】
さらに洗浄装置に設置する基板保持手段は、実施の形態に示したように2種類(吸着パッド2、スピンチャック3)だけに限定されるものではない。例えば3種類以上の基板保持手段を備え、これらの基板保持手段の間で2回以上基板を持ち替えるように構成してもよい。この場合には、最後に基板保持するのが第2の基板保持手段、この前に基板を保持するのが第1の基板保持手段と解釈することができる。
【0083】
さらにまた、本発明が組み込まれる塗布、現像装置は、上述の構成に限らず、洗浄装置100、110は、インターフェイス部S3ではなく、処理部B2に設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の洗浄装置を適用した塗布、現像装置の実施の形態を示す平面図である。
【図2】上記塗布、現像装置の斜視図である。
【図3】本発明に係わる洗浄装置を示す斜視図である。
【図4】前記洗浄装置の平面図である。
【図5】前記洗浄装置の縦断面図である。
【図6】エアナイフの構成を示す斜視図である。
【図7】基板のベベル部とベベル洗浄ノズルとを示す断面図である。
【図8】基板における第1の洗浄領域と第2の洗浄領域を説明するための平面図である。
【図9】前記洗浄装置の動作を説明するための工程図である。
【図10】前記洗浄装置の動作を説明するための工程図である。
【図11】前記洗浄装置の動作を説明するための工程図である。
【図12】洗浄時のウエハ裏面の様子を示した説明図である。
【図13】洗浄時のウエハ裏面の様子を示した説明図である。
【図14】第2の実施の形態に係る洗浄装置の平面図である。
【図15】前記第2の実施の形態に係る洗浄装置の動作を説明するための工程図である。
【図16】前記第2の実施の形態に係る洗浄装置の動作を説明するための工程図である。
【図17】表面に反射防止膜とレジスト膜とトップコートが形成されたウエハのベベル部を示す断面図である。
【図18】ウエハ裏面側の周縁領域が疎水化される様子を示す断面図である。
【符号の説明】
【0085】
W ウエハ
100,110 洗浄装置
2 吸着パッド
2a 吸着孔
3 スピンチャック
3a 吸着孔
3b 軸部
5 ブラシ
5a 洗浄液ノズル
5b ブローノズル
6 表面洗浄ノズル
7 ベベル洗浄ノズル
8 裏面周縁洗浄ノズル
200 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジストが塗布され、その表面に液層を形成して液浸露光される前の基板を洗浄する洗浄装置において、
基板表面を上にした状態で、この基板の裏面の第1の領域を水平に保持する第1の基板保持手段と、
この第1の基板保持手段より基板を受け取って、前記第1の領域とは重ならない基板裏面の第2の領域を水平に保持すると共に、この基板を鉛直軸周りに回転させる第2の基板保持手段と、
前記第2の基板保持手段により回転される基板の表面に、表面用の洗浄液を供給して当該表面を洗浄するための表面洗浄ノズルと、
前記第2の基板保持手段により回転される基板のベベル部に、ベベル部用の洗浄液を供給して当該ベベル部を洗浄するためのベベル洗浄ノズルと、
前記第1の基板保持手段又は第2の基板保持手段に保持された基板の裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
前記第1の基板保持手段又は第2の基板保持手段に保持された基板の裏面に接触して当該裏面を洗浄する洗浄部材と、を備えたことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記第1の基板保持手段を前記第2の基板保持手段に対して相対的に横方向に移動させるための移動手段と、
前記第1の基板保持手段を前記第2の基板保持手段に対して相対的に上下方向に移動させるための昇降手段と、を備えることを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項3】
基板を第1の基板保持手段に保持させて、前記洗浄部材により前記第2の領域を含む基板の裏面を洗浄し、次いで基板を第1の基板保持手段から第2の基板保持手段に受け渡し、この第2の基板保持手段により基板を回転させて、前記洗浄部材により前記第2の領域以外の基板の裏面を洗浄するように、制御指令を出力する手段と、を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記制御指令を出力する手段は、前記洗浄部材により第2の領域以外の基板の裏面を洗浄しながら、表面洗浄手段及びベベル洗浄手段から夫々基板に向けて洗浄液を供給して、前記基板の表面及びベベル部の洗浄を行うように制御指令を出力することを特徴とする請求項3記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記第2の基板保持手段に保持され、回転される基板の裏面の周縁領域に、裏面周縁用の洗浄液を供給する裏面周縁洗浄手段をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記制御指令を出力する手段は、前記洗浄部材により第2の領域以外の基板の裏面を洗浄しながら、表面洗浄手段及びベベル洗浄手段並びに裏面周縁洗浄手段から夫々基板に向けて洗浄液を供給して、前記基板の表面及びベベル部並びに裏面ベベル部の洗浄を行うように制御指令を出力することを特徴とする請求項5記載の洗浄装置。
【請求項7】
基板の表面にレジストを塗布する塗布ユニットと、
その表面に液層を形成して液浸露光された後の基板に現像液を供給して現像する現像ユニットと、
前記請求項1ないし請求項6のいずれか一に記載の洗浄装置と、を備えたことを特徴とする塗布、現像装置。
【請求項8】
レジストが塗布され、その表面に液層を形成して液浸露光される前の基板を洗浄する洗浄方法において、
レジストが塗布され、液浸露光される前の基板を、この基板の表面を上にした状態で、この基板の裏面の第1の領域を第1の基板保持手段により保持し、この基板の裏面における前記第1の領域とは重ならない第2の領域を洗浄する工程と、
次いで基板を第1の基板保持手段から第2の基板保持手段により受け取って、前記第2の領域を水平に保持する工程と、
前記第2の基板保持手段に保持され、鉛直軸周りに回転された基板の表面に、表面用の洗浄液を供給して当該表面を洗浄する工程と、
前記第2の基板保持手段に保持され、鉛直軸周りに回転された基板のベベル部に、ベベル部用の洗浄液を供給して当該ベベル部を洗浄する工程と、
前記基板を第2の基板保持手段に保持させて、鉛直軸周りに回転させながら、基板の裏面における前記第2の領域以外の領域を洗浄する工程と、を含むことを特徴とする洗浄方法。
【請求項9】
前記基板の表面を洗浄する工程と、前記ベベル部を洗浄する工程と、前記基板の裏面における前記第2の領域以外の領域を洗浄する工程とは、互いに洗浄時間が重なるように行われることを特徴とする請求項8記載の洗浄方法。
【請求項10】
前記第2の基板保持手段に保持され、回転された基板の裏面における周縁領域に裏面周縁用の洗浄液を供給して、当該周縁領域を洗浄する工程をさらに備えることを特徴とする請求項8又は9記載の塗布、現像方法。
【請求項11】
前記基板の表面を洗浄する工程と、前記基板の周縁を洗浄する工程と、前記基板における前記第2の領域以外の領域を洗浄する工程と、前記基板の裏面の周縁領域を洗浄する工程とは、互いに洗浄時間が重なるように行われることを特徴とする請求項10記載の洗浄方法。
【請求項12】
レジストが塗布され、その表面に液層を形成して液浸露光される後の基板を現像処理する塗布、現像方法において、レジストが塗布され、液浸露光される前の基板に対して請求項8ないし請求項11のいずれか一に記載の洗浄方法が行われることを特徴とする塗布、現像方法。
【請求項13】
レジストが塗布され、その表面に液層を形成して液浸露光される前の基板を洗浄する洗浄装置に用いられるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、
前記プログラムは、請求項8ないし請求項12に記載された洗浄方法を実行するようにステップ群が組まれていることを特徴とする記憶媒体。
【請求項1】
レジストが塗布され、その表面に液層を形成して液浸露光される前の基板を洗浄する洗浄装置において、
基板表面を上にした状態で、この基板の裏面の第1の領域を水平に保持する第1の基板保持手段と、
この第1の基板保持手段より基板を受け取って、前記第1の領域とは重ならない基板裏面の第2の領域を水平に保持すると共に、この基板を鉛直軸周りに回転させる第2の基板保持手段と、
前記第2の基板保持手段により回転される基板の表面に、表面用の洗浄液を供給して当該表面を洗浄するための表面洗浄ノズルと、
前記第2の基板保持手段により回転される基板のベベル部に、ベベル部用の洗浄液を供給して当該ベベル部を洗浄するためのベベル洗浄ノズルと、
前記第1の基板保持手段又は第2の基板保持手段に保持された基板の裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
前記第1の基板保持手段又は第2の基板保持手段に保持された基板の裏面に接触して当該裏面を洗浄する洗浄部材と、を備えたことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記第1の基板保持手段を前記第2の基板保持手段に対して相対的に横方向に移動させるための移動手段と、
前記第1の基板保持手段を前記第2の基板保持手段に対して相対的に上下方向に移動させるための昇降手段と、を備えることを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項3】
基板を第1の基板保持手段に保持させて、前記洗浄部材により前記第2の領域を含む基板の裏面を洗浄し、次いで基板を第1の基板保持手段から第2の基板保持手段に受け渡し、この第2の基板保持手段により基板を回転させて、前記洗浄部材により前記第2の領域以外の基板の裏面を洗浄するように、制御指令を出力する手段と、を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記制御指令を出力する手段は、前記洗浄部材により第2の領域以外の基板の裏面を洗浄しながら、表面洗浄手段及びベベル洗浄手段から夫々基板に向けて洗浄液を供給して、前記基板の表面及びベベル部の洗浄を行うように制御指令を出力することを特徴とする請求項3記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記第2の基板保持手段に保持され、回転される基板の裏面の周縁領域に、裏面周縁用の洗浄液を供給する裏面周縁洗浄手段をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記制御指令を出力する手段は、前記洗浄部材により第2の領域以外の基板の裏面を洗浄しながら、表面洗浄手段及びベベル洗浄手段並びに裏面周縁洗浄手段から夫々基板に向けて洗浄液を供給して、前記基板の表面及びベベル部並びに裏面ベベル部の洗浄を行うように制御指令を出力することを特徴とする請求項5記載の洗浄装置。
【請求項7】
基板の表面にレジストを塗布する塗布ユニットと、
その表面に液層を形成して液浸露光された後の基板に現像液を供給して現像する現像ユニットと、
前記請求項1ないし請求項6のいずれか一に記載の洗浄装置と、を備えたことを特徴とする塗布、現像装置。
【請求項8】
レジストが塗布され、その表面に液層を形成して液浸露光される前の基板を洗浄する洗浄方法において、
レジストが塗布され、液浸露光される前の基板を、この基板の表面を上にした状態で、この基板の裏面の第1の領域を第1の基板保持手段により保持し、この基板の裏面における前記第1の領域とは重ならない第2の領域を洗浄する工程と、
次いで基板を第1の基板保持手段から第2の基板保持手段により受け取って、前記第2の領域を水平に保持する工程と、
前記第2の基板保持手段に保持され、鉛直軸周りに回転された基板の表面に、表面用の洗浄液を供給して当該表面を洗浄する工程と、
前記第2の基板保持手段に保持され、鉛直軸周りに回転された基板のベベル部に、ベベル部用の洗浄液を供給して当該ベベル部を洗浄する工程と、
前記基板を第2の基板保持手段に保持させて、鉛直軸周りに回転させながら、基板の裏面における前記第2の領域以外の領域を洗浄する工程と、を含むことを特徴とする洗浄方法。
【請求項9】
前記基板の表面を洗浄する工程と、前記ベベル部を洗浄する工程と、前記基板の裏面における前記第2の領域以外の領域を洗浄する工程とは、互いに洗浄時間が重なるように行われることを特徴とする請求項8記載の洗浄方法。
【請求項10】
前記第2の基板保持手段に保持され、回転された基板の裏面における周縁領域に裏面周縁用の洗浄液を供給して、当該周縁領域を洗浄する工程をさらに備えることを特徴とする請求項8又は9記載の塗布、現像方法。
【請求項11】
前記基板の表面を洗浄する工程と、前記基板の周縁を洗浄する工程と、前記基板における前記第2の領域以外の領域を洗浄する工程と、前記基板の裏面の周縁領域を洗浄する工程とは、互いに洗浄時間が重なるように行われることを特徴とする請求項10記載の洗浄方法。
【請求項12】
レジストが塗布され、その表面に液層を形成して液浸露光される後の基板を現像処理する塗布、現像方法において、レジストが塗布され、液浸露光される前の基板に対して請求項8ないし請求項11のいずれか一に記載の洗浄方法が行われることを特徴とする塗布、現像方法。
【請求項13】
レジストが塗布され、その表面に液層を形成して液浸露光される前の基板を洗浄する洗浄装置に用いられるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、
前記プログラムは、請求項8ないし請求項12に記載された洗浄方法を実行するようにステップ群が組まれていることを特徴とする記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−194034(P2009−194034A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30857(P2008−30857)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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