説明

表示装置および表示方法

【課題】車両に固有の運転席位置に対して的確に映像制限を掛けることが可能な車載用の表示装置を得る。
【解決手段】この表示装置は、運転席側および助手席側の2つの視方向に対する個別の画像を同一画面上に表示可能な表示手段(1001)と、この表示手段(1001)が設置される車両の運転席位置を設定する設定手段(1006)と、この設定手段(1006)によって運転席位置が設定された場合に、表示手段(1006)での運転席側および助手席側の2つの視方向に対する個別の画像の表示を許可する制御手段(1002)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一の画面で複数の利用者各々に対して独立した異なる情報を実質的に同時に提供することのできるマルチビュー表示装置に関し、特に、ナビゲーション装置やDVDプレーヤなどのように車両に搭載されている機器により映像を表示する表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
安全性の観点から、日本国内においては車両走行中に運転者がテレビ映像やDVD映像などを注視することは禁止されているので、現在の車載用表示装置では、テレビ映像やDVD映像のように運転者が注視する映像は、車両走行中においては表示できないようになっている。そのため、運転者以外の乗員、例えば運転者の隣の助手席の乗員は、テレビ映像やDVD映像などを見ることが禁止されていないにもかかわらず、車両走行中においてはテレビ映像やDVD映像を見ることができない。
【0003】
一方、車載用表示装置において、運転者に対する表示内容と、運転者以外の乗員に対する表示内容とを異なるものにする技術が種々提案されている。例えば特許文献1には、図11に示すように、シー卜体1013の表裏両面に遮光帯1014、1015を設けたカバー1016を液晶表示パネル1010の前面側に配置し、液晶表示パネル1010において1つおきに設定される帯状表示部1011に運転席用映像を表示し、帯状表示部1011間に設定される帯状表示部1012に助手席用映像を表示する表示装置が開示されている。この表示装置では、遮光帯1014、1015を設けることによって、運転席用映像を表示する帯状表示部1011から出射された光は運転者DRの目に入射されるが、助手席用映像を表示する帯状表示部1012から出射された光は運転者DRの目に入射されないようにし、他方、助手席用映像を表示する帯状表示部1012から出射された光は助手席乗員PAに入射されるが、運転席用映像を表示する帯状表示部1011から出射された光は助手席乗員PAに入射されないようにしている。
【0004】
このような表示装置を車載用表示装置に採用することによって、図14(a)に示すように、ナビゲーション装置による地図映像1042を、運転者DRからは見えるけれども助手席乗員PAからは見えないように表示装置1041に表示し、図14(b)に示すように、DVDプレーヤによるDVD映像1043を、助手席乗員PAからは見えるけれども運転者DRからは見えないように表示装置1041に表示することができる。これによって、車両走行中であっても、助手席乗員PAはテレビや映画などを見ることができる。
【0005】
なお、その他の従来技術として、特許文献2及び特許文献3は、1台の液晶ディスプレイ(LCD)で2画面を同時に表示することができ、例えば、運転席と助手席とからそれぞれ異なる画面を見ることができる表示装置を開示している。また特許文献4及び特許文献5は、2種類の映像を、同時に、同一画面に表示することができる2画面表示装置を開示している。さらに、特許文献6および7は、2画面を分離するための視差バリアを開示している。
【0006】
【特許文献1】特開2003−137005号公報
【特許文献2】特開平6−186526号公報
【特許文献3】特開2000−137443号公報
【特許文献4】特開平11−331876号公報
【特許文献5】特開平9−46622号公報
【特許文献6】特開平10−123461号公報
【特許文献7】特開平11−84131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、日本国内においては、運転者は車両走行中にDVD映像やテレビ映像など運転者が注視するような映像を見ることが禁止されている。従って、運転席用映像と助手席用映像とを同一画面上で同時に表示できる車載用表示装置を車両に設置する場合でも、車両走行中においては運転席用映像を適切に制限する必要がある。車両の運転席位置は、例えば右ハンドル車と左ハンドルで異なっており、したがって運転席用映像を制限した場合でも、車両の正しい運転席位置が設定されていないと、その制限は適切に機能しない。
【0008】
本発明の目的は、複数の視方向に対して個別の映像を同一画面上で同時に表示することができる表示装置を用いる際に、運転席位置に応じて適切に映像の表示を制限することができる表示装置および表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の特徴によれば、運転席側および助手席側の2つの視方向に対する個別の画像を同一画面上に表示可能な表示手段と、この表示手段が設置される車両の運転席位置に関する情報を設定する設定手段と、この設定手段によって運転席位置に関する情報が設定された場合に、表示手段での運転席側および助手席側の2つの視方向に対する個別の画像の表示を許可する制御手段とを備える表示装置が提供される。
【0010】
本発明の第2の特徴によれば、運転席側および助手席側の2つの視方向に対する異なる種類の画像を同一画面上に表示可能な表示手段と、この表示手段が設置される車両の運転席位置に関する情報を設定する設定手段と、この設定手段によって運転席位置に関する情報が設定された場合に、前記表示手段での運転席側および助手席側の2つの視方向に対する異なる種類の画像の表示を許可する制御手段とを備える表示装置が提供される。
【0011】
本発明の第3の特徴によれば、運転席側および助手席側の2つの視方向に対する個別の画像を表示手段の同一画面上に表示する表示方法であって、この表示手段が設置される車両の運転席位置に関する情報が設定された場合に、表示手段での運転席側および助手席側の2つの視方向に対する個別の画像の表示を許可する表示方法が提供される。
【0012】
本発明の第4の特徴によれば、運転席側および助手席側の2つの視方向に対する異なる種類の画像を表示手段の同一画面上に表示する表示方法であって、この表示手段が設置される車両の運転席位置に関する情報が設定された場合に、表示手段での運転席側および助手席側の2つの視方向に対する異なる種類の画像の表示を許可する表示方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
上記第1の特徴にかかる装置あるいは第3の特徴にかかる方法によれば、設定手段によって運転席位置に関する情報が設定された場合に、表示手段において運転席側および助手席側の2つの視方向に対して個別の画像の表示が許可されるため、個別の画像の表示を行う場合に、車両の運転席位置を確実に設定させることができる。
【0014】
上記第2の特徴にかかる装置あるいは第4の特徴にかかる方法によれば、設定手段によって運転席位置に関する情報が設定された場合に、表示手段において運転席側および助手席側の2つの視方向に対して異なる画像の表示が許可されるため、個別の画像の表示を行う場合に、車両の運転席位置を確実に設定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ物である。
【0016】
図1は、本発明に係わる表示装置の概念図である。図中、1は第1の画像ソース、2は第2の画像ソース、3は第1の画像ソースからの第1の画像データ、4は第2の画像ソースからの第2の画像データ、5は表示制御部、6は表示データ、7は表示部(例えば液晶パネル等)、8は第1の画像ソース1に基づく第1の表示画像、9は第2の画像ソース2に基づく第2の表示画像、10は表示部7に対して左側に位置する観察者(利用者)、11は表示部7に対して右側に位置する観察者(利用者)である。
【0017】
図1の概念図は、表示部7に対する観察者10、11の相対的位置に応じて、換言すれば表示部7に対する視野角に応じて、観察者10は第1の表示画像8を、観察者11は第2の表示画像9を実質的に同時に見ることができ、しかも各々の表示画像8、9は表示部7の表示面全体に渡ってみることができることを概念的に示している。図1において、第1の画像ソース1は例えばDVDプレーヤの映画画像やテレビ受信機の受信画像等、第2の画像ソース2は例えばカーナビゲーション装置の地図やルート案内画像等であり、それぞれの第1の画像データ3及び第2の画像データ4は表示制御部5に供給され、それらを表示部7で実質的に同時に表示できるように処理される。
【0018】
表示制御部5から表示データ6を供給される表示部7は、後述する視差バリアを備えた液晶パネル等で構成される。表示部7の横方向の総画素の半数が第1の画像ソース1に基づく第1の表示画像8の表示に、残りの半数の画素が第2の画像ソース2に基づく第2の表示画像9の表示に使用される。表示部7に対して左側に位置する観察者10には、第1の表示画像8に対応する画素のみが見え、第2の表示画像9は表示部7の表面に形成されている視差バリアによって遮られて実質的に見えない。一方、表示部7に対して右側に位置する観察者11には、第2の表示画像9に対応する画素のみが見え、第1の表示画像8は視差バリアにより遮られて実質的に見えない。尚、視差バリアについては、例えば上記特許文献5、特許文献6に開示された構成を応用できる。
【0019】
係る構成により、単一の画面で左右の利用者に異なる情報やコンテンツを提供することができる。もちろん、第1、第2の画像ソースが同じであれば、従来通り左右の利用者が同じ画像を見ることもできる。
【0020】
図2は、本発明に係るマルチビュー表示装置の車両への搭載例を示す斜視図である。図中、12は助手席、13は運転席、14はウインドシールド、15は操作部、16はスピーカである。
【0021】
図1のマルチビュー表示装置の表示部7は、例えば図2に示すように、運転席13と助手席12とのほぼ中央のダッシュボード部分に配置される。マルチビュー表示装置に対する各種操作は、表示部7の表面に一体的に形成したタッチパネル(図示せず)や操作部15又は、赤外線又は無線リモートコントローラ(図示せず)の操作によって行われる。車両の各ドアにはスピーカ16が配置され、表示画像に連動した音声や警告音等が出力される。
【0022】
運転席13に図1の観察者11が、助手席12には観察者10が座る。表示部7に対する第1視方向(運転席側)から見ることができる画像は例えばカーナビゲーション装置の地図等の画像であり、実質的に同時に第2視方向(助手席側)から見ることができる画像は例えばテレビ受信画像やDVDムービー画像である。従って、運転席13の運転者がカーナビゲーションによる運転支援を受けるのと同時に助手席12の同乗者はテレビやDVDを楽しむことができる。しかもそれぞれの画像は例えば7インチの画面全体を使用して表示されるため、従来のマルチウインドウ表示のように画面サイズが小さくなることもない。つまり、運転者、同乗者にとっては、あたかも各々に独立した専用のディスプレイがあるかの如く、それぞれに最適な情報やコンテンツが提供されるのである。
【0023】
図3は、表示部7の断面構造の概略図である。図中、100は液晶パネル、101はバックライト、102は液晶パネルのバックライト側に設置された偏光板、103は液晶パネルの発光方向側の前面に配置された偏光板、104はTFT(Thin・Film・Transistor)基板、105は液晶層、106はカラーフィルタ基板、107はガラス基板、108は視差バリアである。液晶パネル100は、TFT基板104とそれに対向して配置されるカラーフィルタ基板106の間に液晶層105を挟持した一対の基板と、その発光方向側の前面に配置された視差バリア108とガラス基板107とを、2枚の偏光板102・103の間に挟んだ構成となっており、バックライト101からやや離隔して配設される。また、液晶パネル100は、RGB色(三原色)で構成される画素を有する。
【0024】
液晶パネル100の各画素は、左側(助手席側)表示用と、右側(運転席側)表示用に分けられて表示制御される。そして、左側(助手席側)表示用画素は、視差バリア108により右側(運転席側)への表示は遮断され、左側(助手席側)からは見えるようになっている。また、右側(運転席側)表示用画素は、視差バリア108により左側(助手席側)への表示が遮断され、右側(運転席側)からは見えるようになっている。これによって、運転者と同乗者に異なった表示を提供することが可能となる。つまり、運転者にはナビゲーションの地図情報を与え、同時に同乗者にはDVDの映画等を見せることが可能となる。なお、視差バリア108、前記液晶パネルの各画素の構成を変更すれば、3方向等、複数方向に異なった画像を表示する構成も可能である。また、視差バリア自体を電気的に駆動可能な液晶シャッタ等で構成して視野角を可変するようにしてもよい。
【0025】
図4は、表示パネルを正面から見た構造の概略図であり、図3は図4中のA−A′断面である。図中、109は左側(助手席側)表示用の画素、110は右側(運転席側)表示用の画素である。図3及び図4は、例えば横方向に800画素、縦方向に480画素並べられた液晶パネル100の一部を表す。左側(助手席側)表示用の画素109と右側(運転席側)表示用の画素110は縦方向にグループ化され、交互に並んでいる。視差バリア108は、横方向にある間隔で配置され、縦方向には一様である。これによって、左側から表示パネルを見ると、視差バリア108が右側用画素110を覆い隠して、左側用画素109が見える。また同様に右側から見ると、視差バリア108が左側用画素109を覆い隠して、右側用画素110が見える。さらに正面付近では、左側用画素109と右側用画素110の両方が見えるため、左側表示画像と右側表示画像とが実質的に重なって見える。ここで、図4中の交互に並んだ左側用画素109及び右側用画素110は、図3のようにRGB色を有しているが、各グループ縦方向内は、R列、G列、B列のように単色で構成されていてもよいし、RGBが複数混じった列として構成されていてもよい。
【0026】
図5はTFT基板104の概略を示す回路図である。111は表示パネル駆動部、112は走査線駆動回路、113はデータ線駆動回路、114はTFT素子、115〜118はデータ線、119〜121は走査線、122は画素電極、123はサブピクセルである。図5に示すように、サブピクセル123は各データ線115〜118及び各走査線119〜121によって囲まれた領域を一単位とし、複数形成される。各サブピクセルには、液晶層105に電圧を印加する画素電極122とそれをスイッチング制御するTFT素子114が形成されている。表示パネル駆動部111は走査線駆動回路112及びデータ線駆動回路113の駆動タイミングを制御する。走査線駆動回路112はTFT素子114の選択走査を行い、またデータ線駆動回路113は画素電極122への印加電圧を制御する。
【0027】
前記複数のサブピクセルは、第1の画像データと第2の画像データの合成データもしくは、第1と第2の個々の画像データに基づいて、例えばデータ線115と117に第1の画素データ(左側画像表示用)を、またデータ線116と118に第2の画素データ(右側画像表示用)を送信することよって、第1の画像を表示する第1の画像データ群と第2の画像を表示する第2の画像データ群が形成される。
【0028】
図6は、本発明に係わる表示装置の概略を示すブロック図であり、いわゆるAudio・Visual・Navigation複合機への適用例である。図中、124はタッチパネル、200は制御部、201はCD/MD再生部、202はラジオ受信部、203はTV受信部、204はDVD再生、205はHD(Hard・Disk)再生部、206はナビゲーション部、207は分配回路、208は第1の画像調整回路、209は第2の画像調整回路、210は音声調整回路、211は画像出力部、212はVICS情報受信部、213はGPS情報受信部、214はセレクタ、215は操作部、216はリモコン送受信部、217はリモコン、218はメモリ、219は外部音声/映像入力部、220はカメラ、221は明るさ検知手段、222は乗員検知手段、223はリア表示部、224はETC車載器、225は通信ユニットである。
【0029】
表示部7は、タッチパネル124、液晶パネル100及びバックライト101から構成される。表示部7の液晶パネル100は、これまでに述べてきたように、第1視方向として運転席側から見られる画像と、第2視方向として助手席側から見られる画像とを、実質的に同時に表示することが可能となっている。尚、表示部7には、液晶パネル以外のフラットパネルディスレイ、例えば有機ELディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、冷陰極フラットパネルディスプレイ等を用いることもできる。
【0030】
制御部200は、各種ソース(CD/MD再生部201、ラジオ受信部202、TV受信部203、DVD再生部204、HD再生部205及びナビゲーション部206)からの画像や音声は、制御部200からの指示に基づき左用に指定された画像ソースを208に、右用に指定されたソースを209に分配させる分配回路207を介して、画像であれば第1の画像調整回路208及び第2の画像調整回路209に、音声であれば音声調整回路210にそれぞれ分配される。そして、第1及び第2の画像調整回路208、209では、輝度や色調、コントラストなどが調整され、調整された各画像を画像出力部211にて、表示部7に表示させる。また音声調整回路210では各スピーカへの分配や音量、音声が調整され、調整された音声が、スピーカ16から出力される。
【0031】
図7は画像出力部211の概略を示すブロック図である。図中、226は第1の書込回路、227は第2の書込回路、228はVRAM(Video・RAM)である。
【0032】
画像出力部211は、例えば図7に示すように、第1の書込回路226と第2の書込回路227とVRAM(Video・RAM)228と表示パネル駆動部111とを備えている。例えば、第1の書込回路226は、調整された画像データのうち208から出力される画像の奇数列に対応する画像データ(即ち、図1の第1の表示画像8用の画像データ)を、第2の書込回路227は209から出力される偶数列に対応する画像データ(即ち、図1の第2の表示画像9用の画像データ)をもとにし、それぞれVRAM228における該当する領域に書き込む。また表示パネル駆動部111は液晶パネル100を駆動する回路であり、VRAM228に保持されている画像データ(第1の画像データと第2の画像データの合成データ)に基づいて、液晶表示パネル100の対応する画素を駆動する。尚、VRAM228には第1の画像データと第2の画像データの合成されたマルチビュー表示用の画像に対応するように画像データの書き込みが行われているので、駆動回路は1つでよく、その動作も通常の液晶表示装置の駆動回路の動作と同じである。また別の構成として、第1の画像データと第2の画像データを合成せずに、それぞれの画像データに基づいて、液晶表示パネルの対応する画素を駆動する第1の表示パネル駆動回路及び第2の表示パネル駆動回路を用いることも考えられる。
【0033】
ここで、図6で示した各種ソースの一例について説明をすると、HD再生部205を選択した場合、ハードディスク(HD)に記憶されたMP3ファイル等の音楽データやJPEGファイル等の画像データ、ナビゲーション用の地図データ等が読み出され、音楽データを選択するためのメニュー表示や画像データを表示部7に表示させることができる。
【0034】
ナビゲーション部206は、ナビゲーションの為に利用される地図情報を記憶した地図情報記憶部を備え、VICS情報受信部212、GPS情報受信部213から情報を入手し、ナビゲーション動作の為の画像を作成し、表示させることができる。またTV受信部203は、アンテナからセレクタ214を介して、アナログTV放送波及びデジタルTV放送波を受信する。
【0035】
図8は制御部200の概略を示すブロック図である。図中、229はインターフェース、230はCPU、231は記憶部、232はデータ記憶部である。
【0036】
制御部200は分配回路207並びに各種ソースを制御し、選択された2つのソースもしくは1つのソースについて表示を行わせる。また制御部200は、これら各種ソースをコントロールするための操作メニュー表示を表示部7に表示させることも行っている。ここで、図8で示すように、制御部200はマイクロプロセッサなどで構成され、インターフェース229を介して、表示装置内の各部や各回路を統括的に制御しているCPU230を備えている。このCPU230には、表示装置の動作に必要な各種のプログラムを保持するROMからなるプログラム記憶部231と、各種のデータを保持するRAMからなるデータ記憶部232とが設けられている。なお、ROMやRAM等は、CPUに内蔵されたものでも、外部に設けたものでも使用することが可能である。又、ROMはフラッシュメモリの様に電気的に書き換え可能な不揮発性メモリでもよい。
【0037】
ユーザは、上記各種ソースのコントロールを、表示部7の表面に取り付けられているタッチパネル124や表示部7の周囲に設けられたスイッチ、もしくは音声認識等の入力操作や選択操作を操作部215によって行うことができる。またリモコン送受信部216を介して、リモコン217により入力もしくは選択操作をしてもよい。制御部200は、このタッチパネル124や操作部215の操作に従って、各種ソースを含めた制御を行っている。また、制御部200は、図2のように車両内に複数備え付けられたスピーカ16の各音量等を、音声調整回路210を用いて制御することができるように構成されている。また制御部200は、メモリ218に画質設定情報やプログラム、車両情報等の各種設定情報を記憶させることも行っている。
【0038】
図9はメモリ218の概略を示すブロック図である。図中、233は第1の画面RAM、234は第2の画面RAM234、235は画質設定情報記憶手段、236は対環境調整値保持手段である。
【0039】
メモリ218は、例えば図9に示すように、使用者が設定した第1の画像および第2の画像の画質の調整値がそれぞれ書き込み可能な第1の画面RAM233および第2の画面RAM234を有する。また、第1の画像及び第2の画像の画質を調整する場合に、読み出すことができるプリセット値として各画質調整用に予め複数段階の画質調整値が記憶されている画質設定情報記憶手段235も有する。さらに車外の明るさ変化等の周囲環境変化に応じた画質を調整するために、周囲環境に対する第1の映像及び第2の映像の画質の調整値を保持する対環境調整値保持手段236を有している。ここで画質設定情報記憶手段235及び対環境調整値保持手段236は、フラッシュメモリなどの電気的書き換え可能不揮発性メモリ又はバッテリバックアップされた揮発性メモリにより構成される。
【0040】
外部音声/画像入力部219に接続された、例えば後方監視用のカメラ220からの画像を表示部7に表示するようにしてもよい。なお、後方監視用カメラ220以外に、ビデオカメラ及びゲーム機等を外部音声/画像入力部219に接続してもよい。
【0041】
制御部200は、明るさ検知手段221(例えば、車両のライトスイッチや光センサ)や乗員検知手段222(例えば、運転席や助手席に設けられる感圧センサ)により検知された情報を元に、音声の定位位置等の設定を変更させることが可能である。
【0042】
223は車両の後席用に設けられたリア表示部であり、画像出力部211を介して、表示部7に表示される画像と同じもの、もしくは運転席用の画像か助手席用の画像の一方が表示可能である。
【0043】
制御部200は、ETC車載器250からの料金表示等を表示させることを行っている。また制御部200は、携帯電話などと無線接続するための通信ユニット225を制御し、これに関する表示がされるようにしてもよい。
【0044】
次に、本発明の他の実施形態を、図10〜図23を参照して説明する。図10は、本発明の一実施形態である車載用表示装置の概略的構成を説明するためのブロック図である。車載用表示装置は、表示部1001と、表示制御部1002と、映像信号源1003と、車速センサ1004と、メモリ1005と、ユーザ設定入力部1006とを備えて構成されている。この車載用表示装置は、映像信号源1003からの映像信号に基づく映像表示だけでなく、車両に搭載されている電子機器(映像信号源1003も含む)の操作入力用映像も表示する。
【0045】
表示部1001は、例えば図11に示すような構成によって、運転席用映像を運転席方向に、また助手席用映像を助手席方向に表示させることができる。表示部1001が表示手段に相当している。
【0046】
表示制御手段である表示制御部1002は、CPU(中央演算処理装置)1021と、メモリ1/F(インターフェース)1022と、GU1(グラフィックユーザインターフェース)1023と、映像分配器1024と、左側映像出力部1025と、右側映像出力部1026と、パネルコントローラ1027とを備えて構成されている。CPU1021は、GU1023を介して入力されるユーザ設定入力部1006からの入力情報、メモリ1/F1022を介してメモリ5から読み出される制御プログラムや設定情報、および車速センサ1004から入力される車速情報などに基づいて、表示制御部1002全体の動作を制御する。
【0047】
映像分配器1024は、映像信号源1003から出力された1または複数の映像信号を左側映像出力部1025および右側映像出力部1026に分配して出力する。左側映像出力部1025は、CPU1021からの制御信号に基づいて、液晶表示パネル1010において左側映像を表示する帯状表示部1012に与える左側映像信号を作成してパネルコントローラ1027に出力する。また同様に、右側映像出力部1026は、CPU1021からの制御信号に基づいて、液晶表示パネル1010において右側映像を表示する帯状表示部1011に与える右側映像信号を作成してパネルコントローラ1027に出力する。パネルコントローラ1027は、左側映像出力部1025から与えられる左側映像信号に基づいて液晶表示パネル1010の帯状表示部1012に左側映像を表示させ、右側映像出力部1026から与えられる右側映像信号に基づいて帯状表示部1011に右側映像を表示させる。
【0048】
映像信号源1003には、乗員に見せるための映像を出力することが主たる機能である映像出力機器が含まれており、映像出力機器としては、ナビゲーション装置1031、DVDプレーヤ1032、テレビジョン受像機1033などが該当する。また、オーディオプレーヤのように映像出力が主たる機能ではないけれども、操作入力用映像を出力する機器も映像信号源1003に含まれる。車速センサ1004は、車両の走行速度を検知し、検知信号をCPU1021に出力する。車速センサ1004およびCPU1021が走行検知手段に相当する。
【0049】
メモリ1005は、ROM、RAM、ハードディスク、EPROM(電気的書き込み可能なROM)などで構成されている。EPROMには、車載用表示装置の初期設定情報として、設置場所関連情報が記録される。設置場所関連情報とは、表示部1001の設置場所やハンドルの位置などのように設置場所に関連する情報である。この設置場所関連情報は、車載用表示装置を車両に設置する際に、ユーザによって入力設定される。入力設定は、ユーザ設定入力部1006を使用して行うことができる。メモリ1005が、設置場所関連情報記憶手段に相当する。
【0050】
ユーザ設定入力部1006は、例えば透明なタッチパネルで実現され、表示部1001の前面側、正確には図11に示すカバー1016の前面側に配置される。そして、CPU1021は表示部1001に操作入力用映像として操作スイッチを表示させる。この状態で、ユーザがタッチパネル上の操作スイッチに対応する領域を押せば、CPU1021は操作スイッチが押されたことを認識し、押された操作スイッチに対応する操作指示信号を該当する機器に出力する。
【0051】
上述した左側映像出力部1025および右側映像出力部1026からは、映像信号源1003から与えられる映像信号を表示部1001での表示に適した態様に変換した映像信号だけでなく、車両走行中に表示が制限されない表示可能映像に対応した映像信号が出力される。表示可能映像とは、運転者が注視することがない映像であり、例えば静止映像や、映像の変化がある程度予測できるような動画映像が該当する。これに対し、車両走行中に表示が制限される表示制限映像とは、運転者が注視してしまう映像であり、DVDプレーヤ1032によるDVD映像やテレビジョン受像機1033によるTV映像のような動画映像や、例えばナビゲーション装置1031における映像の遷移が頻繁であったり、スクロール操作が必要となったりするような複雑な操作入力用映像である。
【0052】
図12は、表示制御部1002内のCPU1021の処理内容を説明するためのフローチャートである。例えば運転者がイグニションスイッチをオンにすると処理が開始される。ステップa1では、メモリ1005のEPROMに記録されている設置場所関連情報の内容が確認される。設置場所関連情報が左ハンドルであることを示すハンドル位置情報である場合は、ステップa2において、CPU1021は左側映像を走行規制対象とし、運転席用映像として認識する。
【0053】
また、設置場所関連情報が右ハンドルであることを示すハンドル位置情報である場合は、ステップa3において、CPU1021は右側映像を走行規制対象とし、運転席用映像として認識する。
【0054】
また、設置場所関連情報が、車載用表示装置(正確には表示部1)を後部座席に設置したことを示す設置場所情報である場合は、ステップa4において、CPU1021は左側映像および右側映像のどちらも走行規制対象とはせず、運転席用映像ではないと認識する。即ち、表示制限映像が左側映像および右側映像の両方または一方に表示されているときに車両が走行中であることが検知されても、そのまま映像表示が継続されることになる。
【0055】
図13は、CPU1021による映像表示時の処理内容を説明するためのフローチャートである。この処理は、運転席用映像を表示させているときに行われるものである。即ち、図12のステップa2またはステップa3において左側映像または右側映像を走行規制対象として運転席用映像であると認識し、表示部1001に運転席用映像を表示させているときに行われるものである。
【0056】
ステップb1では、車速センサ1004からのセンサ信号に基づいて車両が走行中であるか否かが判断される。車両が走行中であると判断された場合はステップb2に進み、運転席用映像は表示制限映像か否かが判断される。運転席用映像が表示制限映像であると判断された場合は、ステップb3に進み、表示可能映像を運転席用映像として表示させる。
【0057】
表示可能映像とは、上述したように運転者が注視することがない映像であり、例えば静止映像や、映像の変化がある程度予測できるような動画映像が該当する。表示可能映像としては、例えば以下の映像を用いることができる。
【0058】
予め定められた静止映像としては、オーディオプレーヤの初期画面、青一色のいわゆるブルーバック画面、例えば映像出力を停止することによって実現される黒一色のブラック画面、車両走行中が検知される直前に表示していた動画映像のキャブチャ映像を用いることができる。また、映像の変化がある程度予測できるような動画映像としては、ナビゲーション装置1031による車両走行中の自車位置表示画面、パソコンのスクリーンセーバのような単純な繰り返し動画映像を用いることができる。
【0059】
なお、ステップb1で車両が走行中でないと判断された場合、および運転席用映像が表示制限映像ではないと判断された場合は、ステップb4に進み、現在の映像表示状態を継続する。
【0060】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、メモリ5のEPROMに設置場所関連情報を記憶させておき、記憶されている設置場所関連情報に基づいて表示部1001に表示される右側映像および左側映像を走行規制対象とするか否か、即ち運転席用映像であるか否かが判断される。これによって、車両走行中に、表示部1001の設置場所に応じて適切に運転席用映像を規制することができる。例えば、設置場所関連情報としてハンドル位置情報が記憶されている場合、右ハンドルのときは右側映像を走行規制対象として運転席用映像と認識し、左ハンドルのときは左側映像を走行規制対象として運転席用映像と認識する。これによって、車両走行中において適切に運転席用映像の表示が制限される。また、設置場所関連情報が表示部1001を後部座席に設置したことを示す設置場所情報である場合、右側映像および左側映像のどちらも走行規制対象ではなく、運転席用映像ではないと認識されるので、車両走行中であっても表示される映像は制限されない。このように設置場所関連情報を参照することによって、表示部1001の設置場所に応じて適切に運転席用映像の表示を制限することができる。
【0061】
(2)上記実施形態によれば、表示部1001に運転席用映像として表示制限映像が表示されているときに、車両が走行中であることが検知されると、表示可能映像が運転席用映像として表示部1001に表示される。これによって、運転者が運転席用映像を注視することを抑制することができ、車両走行時の安全性を考慮した映像表示を実現することができる。
【0062】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
(3)複数種類の表示可能映像の中から車両走行中に運転席用映像として表示させる映像を運転者が選択できるようにしてもよい。映像の選択は、映像選択手段であるユーザ設定入力部1006を使用して行われる。この場合は、車両が走行中であることが検知されると、運転者が選択した表示可能映像が運転席用映像として表示される。これによって、車両走行中に表示制限映像に代えて表示される運転席用映像を運転者の好みに応じた表示可能映像とすることができるようになる。
【0063】
(4)運転席用映像として入力操作用映像を表示させているときに車両が走行中であることが検知されると、運転席用映像として表示可能映像を表示させるとともに、助手席用映像として前記入力操作用映像を表示させるようにしてもよい。この場合は、運転席用映像として入力操作用映像を表示させて運転者が入力操作を行っているときに車両を発進させると、運転席用映像として表示可能映像が表示され、助手席用映像として前記入力操作用映像が表示される。従って、運転者による入力操作が車両の発進によって中断した場合に、それ以降の入力操作を助手席の乗員が行うことができる。これによって、入力操作を中断させることなく確実に最後まで行うことができるようになる。
【0064】
(5)運転席用映像として入力操作用映像が表示されているときに車両が走行中であることが検知されると前記入力操作用映像を助手席用映像として表示させる制御は、全ての入力操作用映像を対象として行うようにしてもよいし、特定の入力操作用映像を対象として行うようにしてもよい。例えば、スクロール操作が必要とされるような複雑な操作が要求される入力操作用映像が表示されているときは助手席用映像として表示させるようにし、スイッチを1回押すだけで入力操作が完了するような単純な操作でよい入力操作用映像が表示されているときは助手席用映像として表示させないようにしてもよい。
【0065】
(6)車両が走行中であることは、例えばパーキングブレーキ信号(PKB信号)がオフであること、GPS(グローバルポジショニングシステム)信号によって車両の移動を検出したこと、ナビゲーション装置1031に内蔵されているジャイロスコープの検出結果に基づいて振動が検出されたこと等に基づいて判断するようにしてもよい。
【0066】
(7)車両が走行中であることが検知されると運転席用映像として表示可能映像を表示させる制御は、運転席用映像として表示制限映像を表示させているときだけでなく、運転席用映像の表示状態にかかわらず行うようにしてもよい。例えば、運転席用映像を表示させていないときに車両走行中であることが検知されると、表示可能映像を表示させるようにしてもよい。また、運転席用映像として表示可能映像を表示させているときに車両走行中であることが検知されると、別の表示可能映像に切り換えて表示させるようにしてもよい。
【0067】
(8)車両が走行中であることが検知されると助手席用映像として入力操作用映像を表示させる制御は、運転席用映像として入力操作用映像を表示させているときだけでなく、運転席用映像の表示状態にかかわらず行うようにしてもよい。例えば、運転席用映像を表示させていないときや、運転席用映像として表示制限映像や表示可能映像を表示させているときに車両走行中が検知されると、助手席用映像として入力操作用映像を表示させるようにしてもよい。
【0068】
(9)上記実施形態では車載用表示装置の場合を説明したけれども、車両の車室内に限らず、様々な場所に表示装置を設置して使用することができる。
【0069】
図15および16に、走行規制時の画面遷移の例を示す。図15および16において、(a)は運転席が車体の右側にある場合(いわゆる右ハンドル車)の画面遷移例を示し、(b)は運転席が車体の左側にある場合(いわゆる左ハンドル車)の画面遷移例を示している。
【0070】
図15に示す例は、停止していた車両が走行を開始し走行規制がかかった場合、表示制限映像(例えばDVD映像)の前に選択されていた表示可能映像(例えばナビゲーション画面)に画面遷移する例を示している。即ち、車両停止時(1)において運転席側の画面1050にナビ映像が表示され、助手席側の画面1060にDVD映像が表示され、その後(車両停止時(2))、運転者がDVD映像を画面1050に表示させて映像を楽しんでいた場合、車両が走行を開始し(車両走行時(3))表示装置に走行規制が働くと、DVD映像が表示制限映像であるため、運転席側の画面1050は走行規制がかかる以前に選択されていた表示可能映像であるナビ映像に自動的に遷移する。この場合、助手席側の映像は走行規制を受けないので、DVD映像のままである。なお、図(a)および(b)では、運転席と助手席が入れ替わっているため右左の映像が入れ替わっているが、走行規制に伴う画面の遷移過程は同じである。
【0071】
図16に示す例は、走行規制がかかった場合、走行規制対象である運転席側の表示制限映像(例えばDVD映像)の表示を禁止し、その旨を静止画面上にテロップ等で報知する例を示している。即ち、車両の停止時(2)にDVD映像を運転席側画面に表示していた場合、車両が走行を開始すると、運転席画面150のDVD映像の表示が強制的に中止され、例えば「表示を規制しております。音声のみでお楽しみ下さい。」とのテロップを有する静止画面に強制的に遷移させる。一方、助手席側は走行規制を受けないので、表示制限映像であるDVD映像を続けて表示する。これによって、車両の走行時において運転席側の表示制限映像の表示が自動的に停止され、運転者は安全運転を行うことができるとともに、助手席側では映像を自由に楽しむことができる。
【0072】
図17は、本発明のさらに他の実施形態を説明するための図であって、走行規制対象映像を可変とするためのフローチャートを示す。即ち、表示装置を取り付ける車両が右ハンドル車であるか左ハンドル車であるかに応じて適切な設置場所関連情報(運転席情報)の入力を行い、走行規制映像を適切に設定した後、2画面表示映像の選択を可能とするためのフローチャートを示している。これは、本発明にかかる表示装置を購入し自身の車両に取り付けようとするユーザが、ユーザ所有の車両のハンドル位置に応じて、走行規制をかける画面を任意に設定できるようにするための構成である。この構成がない場合、例えば左ハンドル車を所有するユーザが、一般的な右ハンドル車用に走行規制が設定されている表示装置を購入し取り付けると、Dual表示機能をオンとした場合に、規制をかける必要のない右側画面(助手席側)に規制がかかってしまい、走行規制が適切に運用されない不都合を生じる。
【0073】
以下に、図17に示すフローチャートの構成を、図18の初期設定画面を参照して説明する。初期設定のスタート条件は、表示装置が車両に組み込まれてバッテリに接続された後、パワーオン(イグニッションスイッチオン)となったことである。この条件が満足されて初期設定のサブルーチンが開始されると、表示装置は、ステップc1でDual表示を行わないモードでの画面(Dual表示OFF画面であり、例えば右側画面と左側画面に同じ画像を表示する)を表示する。次のステップc2で、Dual表示を実行するためのユーザ操作が成されているか否かを検出する(例えば、Dual表示釦を所定時間以上オン)。
【0074】
ステップc2でYESの場合、即ち、2画面表示釦がオンとされた場合、図18(a)に示すコーション画面を表示する(ステップc3)。コーション画面は、Dual表示の設定を、運転席の位置、即ち表示装置を設置する車両が右ハンドル車であるか左ハンドル車であるかに基づいて適正に行うことをユーザに促すものである。従って、ユーザがコーション画面(a)の表示内容に同意する場合は画面の「同意します。」釦をオンし、表示内容に同意しない場合は「同意しません。」釦をオンする。
【0075】
ステップc4では、図18のコーション画面(a)において「同意します。」釦がオンされたか否かが判定される。ステップc4でYESの場合、即ち、Dual表示における表示画面の設定をユーザが車両の運転席の位置に応じて適正に設定することに同意した場合、ステップc5において運転席設定画面が表示される。図18の(b)は運転席設定画面の一例を示す。ステップc6では、ユーザの選択が運転席を右側とするものであるか否かが判定される。ステップc6でYESの場合、即ち図18の(b)においてユーザが「右側」釦をオンした場合は、ステップc7において走行規制対象映像を右側映像とする設定が行われる。この制御は、例えば図15(a)または図16(a)のような画面遷移を伴う走行規制を実施することである。
【0076】
ステップc6でNOの場合、即ち図18(b)の運転席設定画面でユーザが「左側」釦をオンとした場合は、ステップc8で走行規制対象映像を左側映像とする設定が行われる。この制御は、例えば図15(b)または図16(b)のような画面遷移を伴う走行規制を実施することである。ステップc7あるいはステップc8の制御が終わると、ステップc9でDual表示オン画面を表示し、処理を終わる。Dual表示オン画面は、例えば、Dual表示の個別選択が可能であることをユーザに知らせる表示を伴う静止画面であってもよく、あるいは、ユーザに所望の表示画面の選択を促す画面であってもよく、さらには、予め運転席側はナビゲーション画面に助手席側はDVD表示画面に設定されていてもよい。
【0077】
なお、ステップc2で2画面表示釦がオンとされていない場合は、Dual表示釦がオンとされるまで次のステップc3には進まない。さらに、ステップc4でユーザが図18aの「同意しません。」釦をオンとした場合(ステップc4のNO)は、ステップc1に戻って2画面表示オフ画面を表示する。Dual表示オフ画面とは、例えば、Dual表示の個別設定が不可であることをユーザに知らせる表示を伴う静止画面であってもよい。
【0078】
次に、図19および20を参照して、運転席情報の設定変更時の動作について説明する。なお、表示装置をバッテリに接続した場合に行われる運転席情報の初期設定(図17および図18参照)が既に完了している場合、運転席情報の設定変更を行う必要性は殆どないが、初期設定時に運転席情報を誤って入力した場合(例えば、左ハンドル車であるにもかかわらず右ハンドル車であるとして誤った初期設定を行ってしまった場合)等に対応できるように、運転席の設定変更機能が設けられている。
【0079】
図19のフローチャートにおいて、処理を開始する条件(スタート条件)は、表示装置のメニュー画面において、設定画面を呼び出すことである。ステップd1で、メニュー画面(図示せず)を操作して設定画面を呼び出すと、例えば図20(a)に示すような設定画面が表示される。図示する実施例では、設定画面(a)を介して、表示装置をオンとした場合に自動的に表示されるオープニング画面の設定と、運転席情報の設定変更とを行うことができる。ユーザは、図20(a)の設定画面において、希望するオープニング画面の設定および/または運転席情報の設定変更操作を終了すると、設定完了釦2000Aをオンとする。これによりその設定が表示装置に入力される。なお、図20の画面(a)では、運転席設定として、運転席が車両の右側にある場合をデフォルトで表示している。
【0080】
従って、図19のフローチャートにおいて、ステップd1で図20の設定画面(a)が表示されると、次のステップd2で設定完了釦2000Aがオンとされているか否かが判断される。ステップd2でNOの場合(設定未了の場合)は、ステップd3において運転席情報の変更要求があるか否かが判定される。この変更要求は、図20の設定画面(a)における変更釦2000Bをオンすることによって実行される。ステップd3でYESの場合、図20(b)に示すコーション画面が表示される。ステップd4では、コーション画面において、ユーザがコーションに同意しているか否かの判定が行われ、YESの場合、ステップd6で図20(c)に示す運転席設定画面が表示される。
【0081】
ステップd7では、運転席設定画面の案内に従ってユーザが選択した運転席情報が右側であるか否かが判定され、YESの場合、ステップd8において走行規制対象映像を右側映像とする規制制御が実行され、NOの場合、ステップd9において走行規制対象映像を左側映像とする規制制御が実行される。いずれかの規制制御が完了すると、ステップd10で、設定画面(a)の表示前の画面が表示装置に表示され、処理が終了する。なお、ステップd2でYESの場合、即ち画面(a)で設定完了釦2000Aがオンとされている場合は、速やかにステップd10に移動して、設定画面表示前の画面を表示し、処理を終了する。ステップd3でNOの場合、即ち運転席情報の変更要求がなかった場合は、ステップd2以下を再び実行する。ステップd5でNOの場合、即ちユーザがコーションに同意しない場合には、ステップd1以下の操作を繰り返す。
【0082】
以上によって、初期設定によって一旦運転席情報の設定が行われたものにおいて、例えば間違った設定情報の事後修正を容易に実行することができる。
【0083】
図21は、本発明のさらに他の実施形態の説明に供する図であり、運転席情報を含めた表示装置の設置場所関連情報を機械式スイッチ(例えばディップスイッチ)を介して設定する事例を示している。図21の(a)は本発明にかかる表示装置の正面側斜視図、(b)は背面側斜視図、(c)は表示装置の背面に設けた設置場所設定のためのディップスイッチの詳細を示している。
【0084】
図21に示すように、設置場所設定のためのディップスイッチ2103は、表示装置2101の背面2102に設けられる。ディップスイッチ2103は、運転席が車体の右側であることを設定するスイッチ2103Aと、運転席が車体の左側であることを設定するスイッチ2103Bと、さらに本表示装置2101が車両の後部座席に設置されることを設定する後部座席スイッチ2103Cを有しており、いずれかのスイッチを選択することによって表示装置の設置場所関連情報が表示装置に入力される。
【0085】
なお、図21の(b)において、2104は電源端子、2105は音声出力端子、2106はAM/FM用アンテナ接続端子、2107はIP−BUSに端子を示す。また、2108はファンである。なお、これらの接続端子は一例を表示しているのみであって、表示装置2101の仕様に応じて必要な端子が種々設けられることは勿論である。
【0086】
設置場所関連情報を設定する図21に示すような機械式スイッチ2103は、取り付け作業者のみが操作可能な表示装置2101の背面2102に設けることが望ましい。これは、ユーザにとって操作しやすい場所に設けられた場合、ユーザによって実際の設置場所とは異なる設定、例えば右ハンドル車であるにもかかわらず左ハンドル車であるかのような設定が行われ、運転席映像の走行規制が不正に解除される恐れがあるからである。
【0087】
本発明のさらに他の実施形態では、運転席情報を含めた設置場所関連情報を自動的に設定して走行規制制御を行う。本実施形態の表示装置は、例えば図10に示すメモリ1005に、車種情報と走行規制情報とを対応付けたテーブルを予め記憶させて置き、一方、車種情報を車載LAN(車両に搭載された機器間を繋ぐネットワーク)や外部との通信(インターネットを介したカーディーラーとの接続)によって自動的に取得する。これによって、通信によって取得した車種情報に基づいて上記テーブルを参照することにより、自動的に走行規制制御を実行することが可能となる。
【0088】
図22は、車種情報と走行規制情報を関連付けるテーブル2200の一例を示す。テーブル2200は、図示するように、例えば車種が03年式テン1号の場合、右ハンドル車であり従って右側映像が走行規制対象であることを示し、また車種が05年式テン2号の場合左ハンドル車であって従って左側映像が走行規制対象であることを示している。従って、表示装置を車体に組み込みバッテリに接続し、パワーオンした場合に、例えば車載LAN等を介して車種情報を自動的に取得することができれば、図10に示すCPU1021は、テーブル2200を参照することによって走行規制を自動的に設定することができる。
【0089】
図23は、車載LANの概略構成を示す図である。車両の電子化が進むに従って、搭載される電子機器、電子制御装置の種類および数量が増大し、これらを連携させて精密な制御を行うために車載LANが開発されその使用が本格化している。図23にその概略を示すように、現在の車載LANは、メインネットワーク2301とそれに繋がる複数のサブネットワークで構成されている。サブネットワークとしては、エンジン、ブレーキ、ABS、トランスミッション等あるいはその制御装置(ECU)が接続されるパワートレイン系サブネットワーク2302、エアコン、ドア、シート、ハンドル、キーレスエントリシステム等あるいはその制御装置が接続されるボディ系サブネットワーク2303、エアバッグ、衝突センサ等あるいはその制御装置が接続されるエアバッグ系サブネットワーク2304およびナビゲーション装置、オーディオ装置等あるいはその制御装置が接続される情報系サブネットワーク2305がある。これらのサブネットワークは、その用途に適した通信速度、通信プロトコルを有している。
【0090】
本発明にかかる表示装置2306は、ナビゲーション装置2307、TV装置2308、DVD装置2309等とともに情報系サブネットワーク2305に接続される。通常、情報系サブネットワーク2305に接続される機器は、車種に関する情報を有しない。一方、例えばパワートレイン系サブネットワーク2302に接続されるエンジン、ブレーキ等の機器を制御する制御装置等は、これらの機器が搭載される車両の車種に関する情報を有している場合がある。このような場合、情報系サブネットワーク2305に接続された表示装置2306は、メインネットワーク2301を介して他のサブネットワーク系の機器から車種情報を取得することが可能である。
【0091】
従って、車載LANを介して取得した車種情報に基づいて図22に示す運転席情報テーブルを参照することにより、表示装置2306は自動的に自車の運転席情報を獲得することができ、獲得した情報に基づいて走行規制制御を実行することができる。その結果、本実施形態によれば、ユーザあるいは生産者、カーディーラー等による走行規制の設定操作を待つことなく、表示装置を車両に取り付けた時点で自動的に正しい走行規制が実行されるので、誤った走行規制あるいは不正な走行規制の行われる余地が無い。
【0092】
尚、本発明における映像とは、静止画像及び動画像を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明に係る表示装置の概念図である。
【図2】表示装置の搭載例を示す斜視図である。
【図3】表示部の断面構造の概略図である。
【図4】表示パネルを正面から見た構造の概略図である。
【図5】TFT基板の概略を示す回路図である。
【図6】本発明に係る表示装置の概略を示すブロック図である。
【図7】画像出力部211の概略を示すブロック図である。
【図8】制御部200の概略を示すブロック図である。
【図9】メモリ218の概略を示すブロック図である。
【図10】本発明の一実施形態である車載用表示装置の概略構成を示すブロック図。
【図11】表示部1001の構成を示す模式図。
【図12】表示制御部1002内のCPU1021の処理内容を説明するためのフローチャート。
【図13】CPU1021による映像表示時の処理内容を説明するためのフローチャート。
【図14】(a)および(b)は映像表示の一例を示す模式図。
【図15】(a)は運転席が右側である場合の、(b)は運転席が左側である場合の走行規制に伴う画面遷移例を示す模式図。
【図16】(a)は運転席が右側である場合の、(b)は運転席が左側である場合の走行規制に伴う画面遷移の他の例を示す模式図。
【図17】運転席情報の初期設定フローチャート。
【図18】初期設定時の操作画面を示す図。
【図19】運転席情報の設定変更フローチャート。
【図20】設定変更時の操作画面を示す図。
【図21】ディップスイッチの設置場所を示す図。
【図22】運転席情報テーブルを示す図。
【図23】車載LANの構成を示す図。
【符号の説明】
【0094】
1001 表示部
1002 表示制御部
1003 映像信号源
1004 車速センサ
1005 メモリ
1006 ユーザ設定入力部
1021 CPU
1025 左側映像出力部
1026 右側映像出力部
1031 ナビゲーション装置
1032 DVDプレーヤ
1033 テレビジョン受像機
2103 ディップスイッチ
2200 運転席情報テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席側および助手席側の2つの視方向に対する個別の画像を同一画面上に表示可能な表示手段と、
前記表示手段が設置される車両の運転席位置に関する情報を設定する設定手段と、
前記設定手段によって運転席位置に関する情報が設定された場合に、前記表示手段での運転席側および助手席側の2つの視方向に対する個別の画像の表示を許可する制御手段と、を備えることを特徴とする、表示装置。
【請求項2】
運転席側および助手席側の2つの視方向に対する異なる種類の画像を同一画面上に表示可能な表示手段と、
前記表示手段が設置される車両の運転席位置に関する情報を設定する設定手段と、
前記設定手段によって運転席位置に関する情報が設定された場合に、前記表示手段での運転席側および助手席側の2つの視方向に対する異なる種類の画像の表示を許可する制御手段と、を備えることを特徴とする、表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置において、
前記表示手段に運転席側および助手席側の2つの視方向に対する異なる種類の画像を表示する要求を受け付ける受付手段をさらに有し、
前記設定手段は、車両の運転席位置に関する情報が設定されていない場合に前記受付手段によって前記表示手段に異なる種類の画像を表示する要求を受け付けたとき、車両の運転席位置に関する情報の設定を行うことを特徴とする、表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示装置において、
前記受付手段によって前記表示手段に異なる種類の画像を表示する要求を受け付け、前記設定手段によって車両の運転席位置に関する情報が設定された場合に、少なくとも運転席側の視方向に対する画像としてナビゲーション情報を表示することを特徴とする、表示装置。
【請求項5】
運転席側および助手席側の2つの視方向に対する個別の画像を表示手段の同一画面上に表示する表示方法であって、
前記表示手段が設置される車両の運転席位置に関する情報が設定された場合に、前記表示手段での運転席側および助手席側の2つの視方向に対する個別の画像の表示を許可することを特徴とする、表示方法。
【請求項6】
運転席側および助手席側の2つの視方向に対する異なる種類の画像を表示手段の同一画面上に表示する表示方法であって、
前記表示手段が設置される車両の運転席位置に関する情報が設定された場合に、前記表示手段での運転席側および助手席側の2つの視方向に対する異なる種類の画像の表示を許可することを特徴とする、表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2007−15682(P2007−15682A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−145291(P2006−145291)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【分割の表示】特願2005−253670(P2005−253670)の分割
【原出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】