説明

電気光学装置の製造装置、及び電気光学装置の製造方法

【課題】 レーザ照射窓の付着物を抑制することで、照射密度の均一化を図り、これによって被処理基板上に均一な膜を形成できる電気光学装置の製造装置、及び電気光学装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 減圧状態に維持された光照射室2内の被処理基板5にエネルギー光8を照射することにより熱処理を施す電気光学装置の製造装置1であって、光照射室2に設けられた光導入用の窓部3と、被処理基板5との間には、当該被処理基板5から放出する放出物質を付着させる防着板7が配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置の製造装置、及び電気光学装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶装置や有機EL(Electro Luminescence)装置等の電気光学装置が知られている。当該電気光学装置においては、その駆動回路、アクティブマトリクス基板として、ガラス基板を用いることができるよう、プロセス最高温度が600℃程度の低温プロセスで、薄膜トランジスタ(以下、TFTと称する。)を製造できることが必要となっている。ここで、TFTのチャネル領域等を形成するのに必要なシリコン膜のうち、非晶質のシリコン(以下、アモルファスシリコンと称する。)膜については、低温プロセスで成膜が可能であるものの、得られるTFTの電気移動度が低いという欠点がある。
【0003】
そこで、ガラス基板上に形成したアモルファスシリコン膜に対してレーザ光を照射し、アモルファスシリコン膜を溶融結晶化して結晶性のシリコン(以下、ポリシリコンと称する。)膜とすることにより、電気移動度の高いTFTを形成する方法が提案されている。更に、この溶融時間を制御し、より大きな結晶粒径を有するポリシリコン膜を得ることができる技術として、レーザアニール法が一般的に知られている。
レーザアニール装置としては、減圧状態の維持を可能とするチャンバと、チャンバ壁に設けられたレーザ照射窓と、チャンバの外部に設けられ、レーザ照射窓を通じてチャンバの内部にレーザ光を照射するレーザ発振器と、を備えた構成が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。そして、チャンバ内にアモルファスシリコン膜が成膜されたガラス基板を配置し、レーザ発振器からレーザ照射窓を通じて被処理基板にレーザ光を照射し、更に、これをガラス基板上で走査させることで、ガラス基板の全面にレーザ光を照射することが可能となっている。
【特許文献1】特開平5−304106号公報
【特許文献2】特開2000−164527号公報
【特許文献3】特開2004−214614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、レーザアニール装置において、アモルファスシリコン膜が形成された基板にレーザ光を照射した際に、アモルファスシリコン膜のアブレーションの影響によりレーザ照射窓が汚染されてしまう。これによって、レーザ照射窓におけるレーザ光の透過率が低下し、高い照射効率が得られないという問題や、ガラス基板上のレーザ照射面における照射密度にバラツキが生じるという問題がある。このような問題に起因して、均一なポリシリコン膜を得ることができないという問題もある。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、レーザ照射窓の付着物を抑制することで、照射密度の均一化を図り、これによって被処理基板上に均一な膜を形成できる電気光学装置の製造装置、及び電気光学装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記の問題点を解決すべく、以下の手段を有する本発明を想到した。
即ち、本発明の電気光学装置の製造装置は、減圧状態に維持された光照射室内の被処理基板にエネルギー光を照射することにより熱処理を施す電気光学装置の製造装置であって、前記光照射室に設けられた光導入用の窓部と、前記被処理基板との間には、当該被処理基板から放出する放出物質を付着させる防着板が配置されていること、を特徴としている。
【0007】
ここで、電気光学装置とは、電界により物質の屈折率が変化して光の透過率を変化させる電気光学効果を有するものの他、電気エネルギーを光学エネルギーに変換するもの等も含んで総称している。例えば、電気光学物質としては、対向する電極間に挟持された液晶素子や、有機或いは無機のEL素子が挙げられる。
また、放出物質とは、被処理基板のエネルギー光照射面に露出された膜を主に構成する物質や、当該膜中に含まれる気体や、或いは、膜形成時に混入された反応性ガス等であって、エネルギー光の照射によって被処理基板から放出或いは飛散する物質である。
【0008】
本発明によれば、被処理基板へのエネルギー光が照射されると、照射面及び照射面近傍が部分的に高エネルギ−状態となり、放出物質が放出/飛散する。ここで、被処理基板と窓部との間に防着板が設けられているので、放出物質は放出/飛散する過程において防着板に付着する。これによって、放出物質が窓部に付着することを抑制できるので、エネルギー光の照射密度の均一化を実現でき、これによって被処理基板上に均一な膜を形成できる。
そして、アモルファスシリコン膜が形成されている被処理基板に対し、本発明の製造装置を利用してエネルギー光を照射してアニール処理を施すことにより、アブレーションの影響により窓部が汚染されるのを抑制できる。従って、窓部におけるレーザ光の照射効率の低下や、照射密度にバラツキが生じるという問題を解決できる。そして、均一なポリシリコン膜を得ることができる。
【0009】
また、本発明は、上記の特許文献1とは大きく異なる構成を有している。
特許文献1においては、レーザ光がサセプタのメタル表面を加熱することで、シリコンウエハへのメタル汚染を誘引するという課題を解決する技術である。そして、これを解決するために、特許文献1は、ウエハ周辺のサセプタを遮蔽する光遮蔽板を備えるという構成を有するものである。これに対して、本発明は、窓部が汚染されてしまうという課題を解決するものであり、窓部に付着する放出物質(アブレーションによって生じる物質)を抑制するための防着板を備える構成を有している。
また、特許文献1においては、シリコンウエハが石英窓(窓部)に向けて露出状態となっているので、被処理基板の放出物質が石英窓に付着してしまい、石英窓における光透過率が低下して高い照射効率が得られないという問題や、シリコンウエハ上のレーザ照射面における照射密度にバラツキが生じるという問題がある。そして、均一なポリシリコン膜を得ることができないという問題がある。これに対して、本発明は、このような問題を解決するために上記の防着板を備えており、特許文献1において生じ得る問題を解決することができる。
【0010】
また、本発明の電気光学装置の製造装置においては、前記防着板は、前記エネルギー光が通過する光通過部を有すること、を特徴としている。
ここで、光通過部とは、エネルギー光の通過経路を有する部位であり、例えば、防着板に設けられた例えばスリット状の開口部であったり、防着板の側部から内側に向けて設けられたU字状の開口部であったり、複数の防着板がエネルギー光の通過経路の幅だけ離間させた部位であったりするものである。
このようにすれば、エネルギー光は、防着板に設けられた光通過部を経て被処理基板に到達する。そして、被処理基板から放出する放出物質は、防着板に付着し、窓部に放出物質が付着することを防止できる。従って、上記と同様の効果が得られる。
【0011】
また、本発明の電気光学装置の製造装置においては、前記光通過部は、当該光通過部を通過する線状のエネルギー光の中央部から端部に向かう方向において、幅が徐々に大きくなっていること、を特徴としている。
【0012】
ここで、「幅」とは、線状のエネルギー光によって照射される照射線に交差する方向における光通過部の長さを意味している。
本発明者は、防着板を備えていない場合において、窓部に付着してしまう放出物質の付着分布を確認したところ、線状のエネルギー光の中央部に対応する部分の付着密度が高く、そこから楕円放射状に付着密度が低くなることを見出した。そして、このような付着分布を検討した結果、防着板に光通過部を備えた構成において、仮に光通過部を通じて、窓部に放出物質が付着したとしても、窓部に付着してしまう放出物質の分布を均一にする手段として本発明を見出した。即ち、防着板の光通過部の幅が、線状のエネルギー光の中央部から端部に向かう方向において、大きくなっている構成を見出した。
このようにすれば、エネルギー光の中央部の近傍から生じる放出物質を多く防着板に付着させ、また、エネルギー光の端部の近傍から生じる放出物質を中央部よりも少なく防着板に付着させることができる。これによって、被処理基板から光通過部を通過して窓部に放出物質が付着されたとしても、当該付着物の付着分布を均一にすることができる。
【0013】
また、本発明の電気光学装置の製造装置においては、前記防着板は、前記光通過部において、前記被処理基板に向けて突出する突出部を備えること、を特徴としている。
【0014】
ここで、突出部を備えたことにより、被処理基板における、エネルギー光の照射によってエネルギーが付与される領域の上方の空間と、当該エネルギーが付与されていない領域の上方の空間とを防着板によって、隔てることができる。なお、エネルギーが付与されている領域とは、エネルギー光の照射面の周辺を含むものであり、照射面よりも大きい領域である。
このようにすれば、突出部に倣わせてエネルギー光を被処理基板に照射することができる。また、突出部によって空間が隔てられることにより、エネルギーが付与されていない領域の上方の空間から窓部に向けて放出する放出物質を遮蔽することができる。従って、上記と同様の効果が得られる。
また、このような突出部を備えたことにより、エネルギー光の光路が仮にずれたとしても(ポインティングスタビリティのぶれが生じても)、反射光が被処理基板へ入射したり、エネルギー光を生じさせる発振器に対して正反射したりするのを防止できる。
【0015】
また、本発明の電気光学装置の製造装置においては、前記防着板には、その表面に凹凸部が設けられていること、を特徴としている。
ここで、凹凸部とは、防着板の表面に対して相対的に凹凸形状とした部位であり、防着板の表面に凹部を形成して相対的に凹凸形状にした部位、或いは、防着板の表面に凸部を形成して相対的に凹凸形状にした部位を意味する。
また、凹凸部とは、防着板の表面粗さを粗くしたり、防着板の表面に微細粒子を付着させて形成した微視的な凹凸部であったり、防着板に板体等の突起部を設けて突起部と防着板との間の領域に放出物質を留める凹凸部であったり等、その大きさを限定するものではない。
【0016】
このように、防着板の表面に凹凸部が形成されている場合においては、凹凸部が形成されていない場合と比較して、防着板の表面積が広くなる。従って、放出物質と防着板との接触面積が広くなり、防着板に付着した放出物質は剥がれ難くなり、効果的に防着板に付着させることができる。即ち、放出物質を防着板に付着させるトラップ効果を得ることができる。また、防着板に板体等の突起部を設けた構成においては、接触面積を広げる効果が得られると共に、突起部と防着板との間の領域に放出物質を留めることができる。
【0017】
また、本発明の電気光学装置の製造装置においては、前記防着板を前記光照射室内で移動させる移動機構が設けられていること、を特徴としている。
ここで、移動機構とは、被処理基板から防着板を離間させるように、防着板を移動させるものである。また、防着板の移動方向としては、被処理基板のエネルギー光照射面に対する鉛直方向、被処理基板のエネルギー光照射面に対する水平方向、エネルギー光照射面に対する鉛直方向を回転軸とする旋回方向、或いは、これらの方向成分を有する移動方向が挙げられる。
また、光照射室は、これに付設された基板搬送機構を備えており、被処理基板を光照射室の内部に搬入させたり、光照射室の外部に搬出させたりするようになっている。そして、このような基板搬送機構の動作に同期して、移動機構は防着板を光照射室内で移動させることが可能となっている。
【0018】
このようにすれば、被処理基板の搬送の際に、移動機構が防着板を移動させるので、被処理基板と防着板との接触を防止できる。また、被処理基板のエネルギー光照射面に対して鉛直方向に防着板を移動させる場合には、防着板と窓部との対向配置関係が維持される。これによって、エネルギー光を照射していない場合、例えば、被処理基板の搬送の際において、光照射室内に残留する放出物質が窓部に付着するのを抑制できる。
【0019】
また、本発明の電気光学装置の製造装置においては、前記防着板と前記被処理基板とを近接させる近接機構を備え、当該近接機構は、前記防着板と前記被処理基板とを隙間を隔てて配置すること、を特徴としている。
【0020】
ここで、近接機構とは、上記の移動機構の機能を含んでもよく、移動機構と同様の移動方向で防着板を移動させてもよい。また、近接機構は、被処理基板と防着板との間隔を検出する距離センサを備え、距離センサの検出結果に応じて、被処理基板と防着板との間隔を制御/規定してもよい。
このようにすれば、放出物質の発生源に防着板を近づけて、当該防着板に放出物質を付着させることができる。換言すれば、被処理基板と防着板との間に空間が狭くなり、放出空間/飛散空間が小さくなり、光照射室内に放出物質が広範囲に放出することを抑制できる。
また、被処理基板に対して非接触に防着板を配置するので、被処理基板と防着板が接触することによる被処理基板への傷や被処理基板に形成されている素子の破損を防止できる。
【0021】
また、本発明の電気光学装置の製造装置においては、発光部及び受光部を少なくとも備える光検出手段を具備し、当該光検出手段が検出する光量に基づいて、前記防着板に付着する放出物質の付着量を検出すること、を特徴としている。
【0022】
また、本発明の電気光学装置の製造装置においては、光検出手段による光量の検出結果に基づき、光量の検出値が設定値よりも高いか、或いは低いか、を判定する判定手段を具備することが好ましい。このような判定手段としては、光量の設定値を記憶する記憶部と、光量の設定値と検出値とを比較する演算部を備えるコンピュータ等が採用される。
【0023】
また、光検出手段においては、発光部の発光面や受光部の受光面に放出物質が付着すると、放出物質によって検出光が遮光されるので、放出物質によって遮光される光量が少ない場合には検出される光量が大きい値を示し、放出物質によって遮光される光量が多い場合には検出される光量が少ない値を示すこととなる。
従って、本発明によれば、防着板に付着する放出物質の付着量を、発光部や受光部における遮光量として間接的に検出することができる。そして、判定手段を有している場合には、光検出手段によって検出された光量を設定値よりも大きいか少ないかを判定することができるので、防着板に付着した放出物質の付着量を自動的に判定することができる。
【0024】
また、本発明の電気光学装置の製造装置においては、前記防着板には、発光部と受光部の少なくともいずれか一方が設けられていること、を特徴としている。
【0025】
本発明によれば、防着板に発光部が設けられ、防着板とは異なる部分に受光部が設けられている構成が採用される。或いは、防着板に受光部が設けられ、防着板とは異なる部分に発光部が設けられている構成が採用される。或いは、防着板に発光部と受光部の両者が設けられている構成が採用される。
このように、発光部及び受光部の少なくともいずれか一方が、防着板に設けられているので、これらが防着板に設けられていない場合と比較して、防着板に付着する放出物質の量をより近似的に検出することができる。これによって、上記と同様の効果が得られる。
【0026】
また、防着板に設けられる発光部及び受光部の少なくとも一方は、防着板の面内においても特に光通過部の近傍に設けられていることが好ましい。ここで、光通過部は、エネルギー光が被処理基板に向けて通過する部位であるため、被処理基板におけるエネルギー光の照射領域、即ち、放出物質の発生源の近傍に位置しており、放出物質が付着し易い部位である。そこで、光通過部の近傍に発光部や受光部を設けることで、放出物質が付着し易い部位における付着量を検出することができる。
【0027】
また、本発明の電気光学装置の製造装置においては、前記光検出手段は、前記発光部と前記受光部との間の検出光の光路上に反射部を備え、当該反射部が前記防着板に設けられていること、を特徴としている。
【0028】
このような構成を有する光検出手段において、反射部の反射面に放出物質が付着すると、放出物質によって検出光が遮光されるので、放出物質によって遮光される光量が少ない場合には検出される光量が大きい値を示し、放出物質によって遮光される光量が多い場合には検出される光量が少ない値を示すこととなる。
従って、本発明によれば、防着板に付着した放出物質の付着量を、反射部における遮光量として間接的に検出することができる。
【0029】
また、防着板に設けられる反射部は、防着板の面内においても特に光通過部の近傍に設けられていることが好ましい。このようにすれば、上記と同様に放出物質が付着し易い部位における放出物質の付着量を検出することができる。
【0030】
また、本発明の電気光学装置の製造方法は、先に記載の製造装置を用いることを特徴としている。
ここで、製造装置を用いて処理される被処理基板は、例えば、TFT(薄膜トランジスタ)を備えるアクティブマトリクス基板等の電気光学基板である。
本発明によれば、上記の製造装置が防着板を備えているので、被処理基板から放出される放出物質が窓部に付着することを抑制でき、エネルギー光の照射密度の均一化を実現できる。これによって電気光学基板上に均一な膜を形成できる。
そして、アモルファスシリコン膜が形成されている電気光学基板に対し、本発明の製造装置を利用してエネルギー光を照射してアニール処理を施すことにより、アブレーションの影響により窓部が汚染されるのを抑制できる。従って、窓部におけるレーザ光の照射効率の低下や、照射密度にバラツキが生じるという問題を解決できる。そして、均一なポリシリコン膜を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の電気光学装置の製造装置及び電気光学装置の製造方法の実施形態について、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の一部の態様を示すものであり、本発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下に示す各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材ごとに縮尺を異ならせてある。
【0032】
(電気光学装置の製造装置の第1実施形態)
まず、電気光学装置の製造装置に係るレーザアニール装置の第1実施形態について説明する。図1は、レーザアニール装置の構成を示す断面図である。図2は、レーザアニール装置の要部構成を示す斜視図である。図3は、レーザアニール装置の要部構成を示す断面図である。図4は、レーザアニール方法を説明するための説明図である。
【0033】
図1に示すように、レーザアニール装置(電気光学装置の製造装置)1は、減圧状態に維持された光照射室2内の被処理基板5にレーザ光(エネルギー光)8を照射することにより熱処理(アニール処理)を施し、被処理基板5の表面の半導体膜を結晶化させる装置である。
レーザアニール装置1は、光照射室2と、当該光照射室2の壁部2aに設けられた光導入用のウインドウ(窓部)3と、光照射室2の外部に設けられたレーザ発振器4と、被処理基板5を保持する基板ホルダ6と、ウインドウ3と被処理基板5との間に設けられた防着板7と、を備えて構成されている。
次に、各構成要素について詳述する。
【0034】
光放射室2は、例えばAl(アルミニウム)等の金属によって構成された真空チャンバであり、光放射室2の内部空間を気密に維持することが可能となっている。また、光放射室2には、排気管2bが接続されており、光放射室2内の真空度が10−4Torrないし10−9Torr程度となるように排気される。
また、ウインドウ3は、光放射室2の壁部2aの一部に形成された開口部に、Oリング等のシール部材を介在させて設けられたものである。ウインドウ3は、例えば石英ガラス板からなり、光照射室2の減圧状態を維持したまま、レーザ光8を光放射室2の内部に透過させることが可能となっている。
【0035】
レーザ発振器4は、所定波長のレーザ光8を発生させるようになっている。また、ウインドウ3の直上には、反射鏡4aが設けられており、レーザ発振器4は、レーザ光8を反射鏡4aに照射かつ反射させ、ウインドウ3を通じて光放射室2の内部に導入するようになっている。本実施形態のレーザアニール装置1において用いられるレーザ光8は、被処理基板5における半導体膜5aの表面で強く吸収されて熱エネルギーに変換され、その直下の絶縁膜5bにはほとんど吸収されない波長を有するものであることが望まれる。好ましいレーザ光源としては、紫外域またはその近傍の波長を持つエキシマレーザ、アルゴンイオンレーザ、YAGレーザ高調波等が好ましい。また、半導体膜5aを高温に加熱すると同時に被処理基板5へのダメージを防ぐためには大出力でしかも極短時間のパルス発振であることが必要となる。従って、レーザ光8の中でも特にキセノン・クロライド(XeCl)レーザ(波長308nm)やクリプトンフロライド(KrF)レーザ(波長248nm)等のエキシマレーザが最も適している。
【0036】
また、基板ホルダ6は、光照射室2内において、半導体膜5aが形成された被処理基板5を固定するものである。当該基板ホルダ6はX−Yステージ9に搭載されていて、X−Yステージ9は光照射室外のボールネジ9aの回転によって移動し、このボールネジはパルスモータ9bによって駆動されるようになっている。
【0037】
また、防着板7は、ウインドウ3と被処理基板5との間に設けられ、被処理基板5からウインドウ3に向けて放出する放出物質を付着させる機能を有している。防着板7の材料としては、Al(アルミニウム)等の金属板が採用される。このような防着板7は、光照射室2の壁部2aの固定されている。また、防着板7には、レーザ光8が通過する光通過部7aが形成されている。
【0038】
図2及び図3は、レーザアニール装置1の構成のうち、レーザ光8、被処理基板5、及び防着板7の位置関係を詳述する図である。
図2に示すように、レーザ光8は、光通過部7aを通過すると共に、被処理基板5のY軸方向に延在する線状で、被処理基板5を照射するようになっている。また、光通過部7aは、幅7x(図中X方向の距離)、長さ7y(図中Y方向の距離)の矩形に形成されている。ここで、幅7x及び長さ7yは、光通過部7aを通過する線状のレーザ光8の幅や、ビーム長8yよりも大きい寸法となっている。これにより、光通過部7aを通過するレーザ光8は防着板7に当ることがない。また、レーザ光8は、被処理基板5に向かうに連れて(図中Z方向)において、徐々に小さくなっており、ビーム幅8xで被処理基板5を照射するようになっている。また、図3に示すように、レーザ光8の光軸8aは、被処理基板5の表面の鉛直方向Hに対して、約3°程度傾いている(θ=3°)。これよって、被処理基板5の表面においてレーザ光8が反射した際に、反射光がレーザ発振器4に戻ることがなく、当該レーザ発振器4の故障が防止されている。
【0039】
また、X−Yステージ9(図1参照)は、基板ホルダ6の位置をX方向やY方向に変位させることが可能となっており、線状のレーザ光8を被処理基板5に対してX方向に走査させることで、レーザ光8をビーム長8yで被処理基板5のX方向に照射するようになっている。ここで、被処理基板5を走査させながらレーザ光8をパルス照射する場合においては、各パルスの照射領域に境目が発生すると、結晶性ばらつきの原因となるため、通常パルス毎の照射領域を90%程度互いにオーバーラップさせながら走査することによってレーザ照射を行う。このため、レーザアニール装置1では、被処理基板5上の半導体膜5aと、線状に集光したレーザ光8の位置とを、レーザ照射パルス毎に相対的に数μmから数十μmという高い精度でずらしながら被処理基板5に対して結晶化を行うようになっている。
また、X−Yステージ9は、基板ホルダ6の位置をY方向に変位させることによって、上記の被処理基板5において結晶化される領域を改行することが可能となっている。従って、レーザアニール装置1は、被処理基板5がレーザ光8のビーム長8yよりも長い辺を有する大型基板であっても、半導体膜5aの全面にレーザ光8を照射することが可能となり、液晶表示装置等の大面積基板上にポリシリコン膜を短時間で形成するようになっている。
【0040】
また、このような構成を有するレーザアニール装置1は、レーザ発振器4のレーザ発光やX−Yステージ9の動作を制御する制御装置COMを備えている。当該制御装置COMは、CPU等の演算回路からなる演算部や、RAM(ランダムアクセスメモリー)やROM(リードオンリーメモリー)等の記憶部を備えたコンピュータである。また、制御装置COMは、記憶部に予め記憶されているプログラムや、アニール処理条件等に基づいて、レーザアニール装置1を駆動させるようになっている。
【0041】
次に、図4を参照し、レーザアニール装置1を用いて半導体膜5aにアニール処理(熱処理)を施す方法について詳しく説明する。
本実施形態において熱処理を施す被処理基板5は、被処理基板5の上に絶縁膜5bと半導体膜5aとを形成した積層体である。具体的には、被処理基板5として汎用無アルカリガラス基板を用い、この上に絶縁膜5bとして、成膜温度400℃でPE−CVD法により500nm程度の膜厚を有するSiO膜を堆積し、次に高真空型LP−CVD装置を用いて、原料ガスであるジシラン(Si)を200SCCM流し、425℃の堆積温度にて厚さ50nmのアモルファスシリコンからなる半導体膜5aを形成する。
一般にLP−CVD法、PE−CVD法等のCVD法で堆積させたシリコン膜表面は自然酸化膜が成長している。従って、レーザ光8を照射する前に、この自然酸化膜を除去する必要がある。この方法としては弗酸溶液に浸してウエットエッチングする方法や、弗素ガスを含んだプラズマ中におけるドライエッチング等がある。このようなエッチング液を使用すると短時間にエッチングが行われる。
【0042】
次に、図4に示すように、半導体膜5aが積層された被処理基板5を光照射室2内の基板ホルダ6にセットし、排気管2bから光照射室2内を真空度が10−4Torrないし10−9Torr程度となるように排気する。
また、レーザ発振器4においては、レーザパルスの強度半値幅は10ナノ秒程度から500ナノ秒程度の極短時間に設定されている。また、光照射室4内の温度は、室温25℃程度から400℃程度に設定されている。
そして、X−Yステージ9を調整して半導体膜5aをレーザ光8の照射位置に合わせ、パルスモータ9bの制御によってボールネジ9aを介してX−Yステージ9を所定の速度で所定の方向に移動しながら、ウインドウ3を通してレーザ光8を被処理基板5に照射する。レーザ光8が照射されている半導体膜5aの部分ではアモルファスシリコンが加熱溶融し、照射位置が移動すると冷却されて結晶化する。このとき半導体膜5aは、後に詳しく説明する多結晶シリコンに転化する。半導体膜5aの全面が結晶化されると、被処理基板5は直ちに隣接する搬送室に搬出され、次の未処理の被処理基板5が光照射室2に導入されてレーザ光照射が繰り返される。
【0043】
照射領域形状は、ビーム幅8xを100μm程度以上とし、ビーム長8yが数100mm以上の線状とし、この線状のレーザ光8を走査して結晶化を進めることができる。この場合、照射毎におけるビーム幅8x方向の重なり(例えば照射領域10と照射領域11との重なり)はビーム幅8xの5%程度から98%程度とする。ビーム幅8xが300μmでビーム毎の重なりが95%であれば、一回の照射毎にビームは15μm進むので、同一点は10回のレーザ照射を受けることになる。通常半導体膜を基板全体で均一に結晶化させるには少なくとも5回程度以上のレーザ照射が望まれるので、照射毎のビームの重なり量は80%程度以上が求められる。高い結晶性の多結晶膜を確実に得るには同一点が10回程度から50回程度の照射が行われる様に重なり量を90%程度から98%程度へと調整するのが好ましい。
【0044】
ここで、レーザ光8の照射中には、半導体膜5aを形成しているシリコンの一部はアブレーションにより揮発し、シリコン蒸気(放出物質)として被処理基板5から放出/飛散される。なお、シリコン蒸気とは、半導体膜5aのシリコン(Si)が気化したものや、半導体膜5aを成膜する際に混入した水素(H)や、シラン(SiH)等が含まれるものである。
上記のように、高い重ね率でレーザ照射を繰り返す場合は、1回のレーザパルスで基板から離脱する半導体の量は僅かであっても、照射領域の進行長当たりの飛散量は相当大きくなる。
例えば、ウインドウ3と被処理基板5との間に防着板7が設けられていない場合では、ウインドウ3が頻繁にくもり、例えば300mm×300mmの基板を10枚程度処理するとレーザ光8の透過率は10%程度低下してしまう。
これに対して、本実施形態のレーザアニール装置1は、防着板7を具備するので、被処理基板5から放出/飛散したシリコン蒸気は、防着板7に接触し、当該シリコン蒸気は固化して防着板7に堆積する。これにより、シリコン蒸気がウインドウ3に殆ど接触することがなく、ウインドウ3にシリコンの堆積物(放出物質、付着物)が付着することが抑制される。
【0045】
なお、半導体膜5aとしては、シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)等の四族単体からなる半導体膜の他に、シリコン・ゲルマニウム(SiGe1-:0<x<1)やシリコン・カーバイド(SiC1-:0<x<1)、ゲルマニウム・カーバイド(GeC1-:0<x<1)等の四族元素複合体の半導体、ガリウム・ヒ素(GaAs)やインジウム・アンチモン(InSb)等の三族元素と五族元素との複合体化合物半導体膜、またはカドミウム・セレン(CdSe)等の二族元素と六族元素との複合体化合物半導体膜がある。或いは、シリコン・ゲルマニウム・ガリウム・ヒ素(SiGeGaAs:x+y+z=1)といった更なる複合化合物半導体膜やこれらの半導体にリン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)などのドナー元素を添加したN型半導体膜、あるいはホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)等のアクセプター元素を添加したP型半導体膜に対しても本発明は適応可能である。
【0046】
これら半導体膜はAP(Atmosphere Pressure)−CVD(Chemical Vapor Deposition)法やLP(Low Pressure)−CVD法、PE(Plasma Enhanced)−CVD法等のCVD法、或いはスパッタ法や蒸着法等のPVD法で形成する。半導体膜としてシリコン膜を用いる場合、LP−CVD法では基板温度を400℃程度から700℃程度としてジシラン(Si)などを原料として堆積する。PE−CVD法ではモノシラン(SiH)などを原料として基板温度が100℃程度から500℃程度で堆積可能である。スパッタ法を用いれば基板温度は室温から400℃程度で可能である。この様に堆積された半導体膜の初期状態(as−deposited状態)は非晶質や混晶質、微結晶質、あるいは多結晶質等様々な状態があるが、本願発明においては初期状態がいずれの状態であっても構わない。
なお、本願明細書中では非晶質の結晶化のみならず、多結晶質や微結晶質の再結晶化をも含めて総じて結晶化と呼ぶ。半導体膜の膜厚はそれを薄膜トランジスタ(以下、TFTと称する。)に用いる時には20nm程度から100nm程度が適している。
【0047】
上述したように、本実施形態のレーザアニール装置1は、防着板7を備えるので、シリコン蒸気を防着板7に付着させ、ウインドウ3への付着を抑制できるので、レーザ光8の照射密度の均一化を実現でき、これによって被処理基板5上に均一なポリシリコン膜を形成できる。
【0048】
(電気光学装置の製造装置の第2実施形態)
次に、電気光学装置の製造装置に係るレーザアニール装置の第2実施形態について説明する。図5は、レーザアニール装置の要部構成を示す図であって、防着板7を示す平面図である。図6は、ウインドウ3に付着するシリコン等の堆積物の分布を示す図である。
なお、以下の説明では、第1実施形態と同一構成には同一符号を付して説明を省略している。
【0049】
図5において、符号7aは、防着板7に形成された光通過部7aの開口形状を示しており、符号8は、光通過部7aを通過する線状のレーザ光8の位置を示している。同図に示すように、線状のレーザ光8の中央部8bにおける光通過部7aの幅w1は、線状のレーザ光8の端部8cにおける光通過部7aの幅W2よりも小さくなっている(w1<w2)。そして、中央部8bから端部8cに向けて光通過部7aの幅は、徐々に大きくなっている。
【0050】
次に、ウインドウ3に付着する堆積物の分布について説明する。
図6(a)は防着板7が配設されいないレーザアニール装置において、ウインドウ3に付着する堆積物の分布を示している。また、図6(b)は本実施形態の防着板7を備えたレーザアニール装置において、ウインドウ3に付着する堆積物の分布を示している。なお、図6において、矢印が示す方向は、高密度から低密度になる方向を示している。また、符号8は、ウインドウ3を透過するレーザ光8の位置を示している。
【0051】
図6(a)に示すように、ウインドウ3に付着する堆積物は、レーザ光8の中央部8bに対応する部分の付着密度が高く、そこから楕円放射状に付着密度が低くなり、レーザ光8の端部8cに対応する部分の付着密度が低くなっている。一方、図6(b)においては、微量の堆積物が均一な密度でウインドウ3に付着している。
図6(a)に示す密度分布が生じるのは、レーザ光8の端部8cにおけるシリコン蒸気の濃度が低く、中央部8bにおけるシリコン蒸気の濃度が高いことに起因している。これに対し、図6(b)においては、防着板7に付着させることができなかった僅かなシリコン蒸気が光通過部7aを通過して堆積物がウインドウ3に微量に付着するものの、光通過部7aの幅がw1<w2となる形状で形成されていることから、光通過部7aを通過したシリコン蒸気の濃度の均一化がなされている。また、光通過部7aの幅w1の近傍では、防着板7に多くの堆積物を付着させており、光通過部7aの幅w2の近傍では、幅w1の近傍と比較して少ない堆積物を付着させている。
【0052】
上述したように、本実施形態のレーザアニール装置は、レーザ光8の中央部8bの近傍から生じる堆積物を防着板7に付着させ、レーザ光8の端部8cの近傍から生じる堆積物を中央部8bよりも少ない量で防着板7に付着させることができる。従って、上記の第1実施形態による効果が得られるだけでなく、光通過部7aを通過してウインドウ3に堆積物が付着しても、当該堆積物の分布の均一化を実現できる。
【0053】
(電気光学装置の製造装置の第3実施形態)
次に、電気光学装置の製造装置に係るレーザアニール装置の第3実施形態について説明する。図7は、レーザアニール装置の要部構成を示す図であって、防着板7を示す断面図である。
なお、以下の説明では、上記の実施形態と同一構成には同一符号を付して説明を省略している。
【0054】
図7に示すように、本実施形態においては、光通過部7aがレーザ光8の照射方向に倣って被処理基板5に向けて突出する突出部7bを備えている。当該突出部7bとは、防着板7の平面に対し、被処理基板5に向けて防着板7を屈曲させた構成、或いは、防着板7とは別体の板材を接合させた構成が採用される。また、突出部7bの表面7cとレーザ光8とは平行に位置しており、表面7cにレーザ光8が照射されないようになっている。
また、突出部7bは、レーザ光8が照射される照射領域5c(ビーム幅8xに相当)の上方の照射空間20と、レーザ光8が照射されない非照射領域5dの上方の非照射空間21と、を隔てている。
また、突出部7bは、レーザ光8の光路が仮にずれたとしても(ポインティングスタビリティのぶれが生じても)、反射光が被処理基板5へ入射したり、レーザ発振器4に対して正反射したりするのを防止している。
【0055】
上述したように、本実施形態のレーザアニール装置は、突出部7bを備えたことにより、当該突出部7bに倣わせてレーザ光8を被処理基板5に照射することができる。また、突出部7bによって被処理基板5上における照射空間20と非照射空間21とが隔離されるので、非照射空間21からウインドウ3に向けて放出するシリコン蒸気を遮蔽することができ、上記の実施形態と同様の効果が得られる。
【0056】
(電気光学装置の製造装置の第4実施形態)
次に、電気光学装置の製造装置に係るレーザアニール装置の第4実施形態について説明する。図8は、レーザアニール装置の要部構成を示す断面図である。
なお、以下の説明では、上記の実施形態と同一構成には同一符号を付して説明を省略している。
【0057】
図8に示すように、本実施形態においては、防着板7における突出部7bに複数の板体(凹凸部)7dが設けられている。当該板体7dは、突出部7bの裏面側、即ち、被処理基板5の側に露出している。また、板体7dは、突出部7bの裏面に対して鋭角に設けられており、当該鋭角部において堆積物が保持されるようになっている。また、板体7dは、防着板7から着脱可能となっていてもよく、堆積物の洗浄を容易にする構成を採用してもよい。
【0058】
上述したように、本実施形態のレーザアニール装置は、被処理基板5から生じるシリコン蒸気を、防着板7に接触させることができると共に、板体7dと突出部7bの間に堆積物を溜めることができる。従って、防着板7に堆積物を付着させる効果を促進させることができ、上記の実施形態と同様の効果が得られる。
【0059】
(電気光学装置の製造装置の第4実施形態の変形例)
次に、電気光学装置の製造装置に係るレーザアニール装置の第4実施形態の変形例について説明する。図9は、レーザアニール装置の要部構成を示す断面図である。
なお、以下の説明では、上記の実施形態と同一構成には同一符号を付して説明を省略している。
【0060】
図9(a)に示すように、本変形例においては、防着板7及び突出部7bの裏面側(シリコン蒸気が接触する側)の表面に凹凸部7eが形成されている。当該凹凸部7eとは、防着板7及び突出部7bの面を荒らすことによって形成された部位である。これによって、被処理基板5から生じるシリコン蒸気は、凹凸部7eに接触するようになっている。
【0061】
上述したように、本変形例のレーザアニール装置は、防着板7に凹凸部7eが形成された構成を有するので、凹凸部7eが非形成の場合と比較して、防着板7の表面積を広くすることができる。即ち、シリコン蒸気と防着板7との接触面積が広くなり、防着板7に付着した堆積物は剥がれ難くなり、効果的に防着板7や突出部7bに付着させることができる。即ち、堆積物を防着板7に付着させるトラップ効果を得ることができる。
なお、本変形例としては、図9(b)に示すように防着板7のみに凹凸部7eを形成してもよい。当該変形例においても、同様の効果を得ることができる。
【0062】
(電気光学装置の製造装置の第5実施形態)
次に、電気光学装置の製造装置に係るレーザアニール装置の第5実施形態について説明する。図10は、レーザアニール装置の構成を示す断面図である。
なお、以下の説明では、上記の実施形態と同一構成には同一符号を付して説明を省略している。
【0063】
図10に示すように、レーザアニール装置1Aは、光照射室2の壁部開口2cを密閉するゲートバルブ28と、光照射室2の外部においてゲートバルブ28を通じて被処理基板5を搬送する基板搬送機構29と、防着板7を光照射室2の内部において移動させる駆動機構(移動機構、近接機構)30と、防着板7と被処理基板5との間隔を検出する距離センサ31と、を備えている。
ここで、ゲートバルブ28は、被処理基板5を光照射室2の内部に搬入する際及び光照射室2の外部に搬出する際に開くようになっている。また、レーザアニール処理が行われている間は、光照射室2を密閉させるようになっている。
また、基板搬送機構29は、例えばロボットアームからなるものである。ここで、基板搬送機構29が、光照射室2に隣接された真空ロードロック室に設けられている構成では、真空雰囲気において被処理基板5の搬送動作を行うことが可能となる。
また、駆動機構30は、被処理基板5から防着板7を離間させるように、防着板7を移動させるものである。また、防着板7の移動方向としては、被処理基板5のエネルギー光照射面に対する鉛直方向(図中Z軸方向)、被処理基板5のエネルギー光照射面に対する水平方向(図中X軸方向及びY軸方向)、エネルギー光照射面に対する鉛直方向を回転軸とする旋回方向(図中Z軸を回転軸とする回転方向)が挙げられる。また、これらの移動方向の成分を少なくとも有する移動方向が挙げられる。また、駆動機構30は、図中Z軸方向における被処理基板5と防着板7とを非接触状態で互いに近接させることが可能となっている。
また、距離センサ31は、光照射室2の壁部2aに設けられており、例えば、レーザ照射による距離の検出を行うようになっている。従って、距離センサ31の検出結果に基づいて、防着板7を被処理基板5とが接触することなく、当該防着板7と被処理基板5とを近接させて、その間隔を所望に設定することが可能となる。
また、ゲートバルブ28、基板搬送機構29、及び駆動機構30は、制御装置COMによって各々の動作が制御されるようになっている。また、距離センサ31の検出結果は、制御装置COMに出力されるようになっており、制御装置COMは、当該検出結果に基づいて駆動機構30の動作を制御し、被処理基板5と防着板7との間隔を、記憶部に記憶されている設定値に合わせるようになっている。
【0064】
上述したように、本実施形態のレーザアニール装置1Aは、被処理基板5の搬送の際に、駆動機構30が防着板7を移動させるので、被処理基板5と防着板7との接触を防止できる。また、防着板7をZ軸方向に移動させる場合には、防着板7とウインドウ3との対向配置関係が維持される。これによって、レーザ光8が照射されていない場合、例えば、被処理基板5の搬送の際において、光照射室2内に残留するシリコン蒸気がウインドウに接触して堆積物が付着するのを抑制できる。
【0065】
また、駆動機構30は、距離センサ31の検出結果に基づいて、防着板7と被処理基板5とを所望の間隔に近接させることができるので、シリコン蒸気の発生源である被処理基板5に防着板7を近づけて、レーザ光8の照射の際に防着板7に堆積物を付着させることができる。換言すれば、被処理基板5と防着板7との間隔を狭くすることで、シリコン蒸気が放出或いは飛散する空間が小さくなるので、光照射室2内に放出物質が広範囲に放出することを抑制できる。
また、被処理基板5に対して非接触に防着板7を配置するので、被処理基板5と防着板7が接触することによる被処理基板5への傷や被処理基板7に形成されている素子の破損を防止できる。
【0066】
(電気光学装置の製造装置の第6実施形態)
次に、電気光学装置の製造装置に係るレーザアニール装置の第6実施形態について説明する。図11は、レーザアニール装置の要部構成を示す図であって、図11(a)は防着板7及び被処理基板5を示す側面図、図11(b)は防着板7及び被処理基板5を示す平面図である。
なお、以下の説明では、上記の実施形態と同一構成には同一符号を付して説明を省略している。また、図11は、光照射室2の内部に配設されている構成要素を示すものであり、光照射室2の外部の構成要素は、上記の実施形態と同一である。
【0067】
図11に示すように、本実施形態においては、光センサ(光検出手段)40を光照射室2の内部に備えた点について、上記の実施形態と異なっている。
光センサ40は、検出光を発光する発光部35と、当該検出光を受光する受光部36とのよって構成されている。発光部35は、基板ホルダ6の側部に設けられていると共に、図11(b)の平面図において光通過部7aの延在線上に位置している。受光部36は、防着板7の側部に設けられていると共に、発光部35と同様に、光通過部7aの延在線上に位置している。即ち、発光部35と受光部36は、配設されている場所が異なるものの、対向配置されている。これによって、図11(a)に示すように、発光部35の検出光が受光部36に向けて出射されるようになっている。また、検出光の光路は、被処理基板5と防着板7の間に位置しており、被処理基板5からシリコン蒸気が生じると、その一部は、受光部36の受光面に付着するようになっている。特に、受光部36は、光通過部7aの延在線上に位置し、即ち、光通過部7aの近傍に設けられているため、シリコン蒸気によって堆積物が受光部36に付着し易くなっている。
なお、シリコン蒸気は、受光部36だけでなく、発光部35の発光面にも接触する場合もあるため、発光部35が光通過部7aの近傍に設けられていることで、シリコン蒸気によって堆積物が発光部35にも付着し易くなっている。
【0068】
このような光センサ40は、制御装置COMによって制御される。そして、制御装置COMは、光センサ40の検出結果に基づき、当該検出値が記憶部に記憶された設定値よりも高いか、或いは低いか、を判定する判定手段として機能するようになっている。
【0069】
また、光センサ40においては、発光部35の発光面や受光部36の受光面に堆積物が付着すると、堆積物によって検出光が遮光されるので、堆積物によって遮光される光量が少ない場合には検出される光量が大きい値を示し、堆積物によって遮光される光量が多い場合には検出される光量が少ない値を示すこととなる。
【0070】
上述したように、本実施形態のレーザアニール装置は、防着板7に付着する堆積物の量を、発光部35や受光部36における遮光量として間接的に検出することができる。そして、制御装置COMは、光センサ40によって検出された光量を設定値よりも大きいか少ないかを判定することができるので、防着板7に付着した堆積物の量を自動的に判定することができる。
【0071】
なお、本実施形態においては、基板ホルダ6に発光部35を、防着板7に受光部36を、各々設けているが、基板ホルダ6に受光部36を、防着板7に発光部35を、各々設けた構成を採用してもよい。また、防着板7に発光部35及び受光部36を設けてもよい。このような構成において、上記と同様の効果が得られる。
また、発光部35及び受光部36の少なくともいずれか一方が、防着板7に設けられているので、これらが防着板7に設けられていない場合と比較して、防着板7に付着する堆積物の量をより近似的に検出することができる。
また、発光部35及び受光部36は、光通過部7aの近傍に設けられているので、シリコン蒸気の発生源の近傍に位置することとなり、堆積物が付着し易い部位における付着量を検出することができる。
【0072】
(電気光学装置の製造装置の第7実施形態)
次に、電気光学装置の製造装置に係るレーザアニール装置の第7実施形態について説明する。図12は、レーザアニール装置の要部構成を示す図であって、図12(a)は防着板7及び被処理基板5を示す側面図、図12(b)は防着板7及び被処理基板5を示す平面図である。
なお、以下の説明では、上記の実施形態と同一構成には同一符号を付して説明を省略している。
【0073】
図12に示すように、本実施形態においては、光センサ40が発光部35と受光部36との間の検出光の光路上に反射部37を備えている点について、第6実施形態と異なっている。
反射部37は、本実施形態の光センサ40の一部を構成するものであり、防着板7に設けられ、光通過部7aの近傍に配設されている。
また、基板ホルダ6において、一方の側部に発光部35が設けられており、他方の側部に受光部36が設けられている。
そして、発光部35から発せられる検出光は、反射部37によって反射した後に、受光部36によって受光されるようになっている。そして、被処理基板5からシリコン蒸気が生じると、その一部は、反射部37に付着するようになっている。特に、反射部37は、光通過部7aの近傍に設けられているため、シリコン蒸気によって堆積物が反射部37に付着し易くなっている。
なお、シリコン蒸気は、反射部37だけでなく、発光部35や受光部36にも接触する場合もある。
【0074】
上述したように、本実施形態のレーザアニール装置は、反射部37の反射面に堆積物が付着すると、堆積物によって検出光が遮光されるので、堆積物によって遮光される光量が少ない場合には検出される光量が大きい値を示し、堆積物によって遮光される光量が多い場合には検出される光量が少ない値を示すこととなる。従って、防着板7に付着した堆積物の量を、反射部における遮光量として間接的に検出することができる。
【0075】
(電気光学装置の製造方法)
次に、上記の実施形態における電気光学装置の製造装置を用いて電気光学装置を製造する方法について説明する。
本実施形態においては、電気光学装置に係る液晶表示装置のアクティブマトリクス基板の製造方法について説明する。
最初に、本実施形態のアクティブマトリクス基板の基本的な構成、およびTFTを形成する基本的な工程について説明する。
【0076】
図13(A)は、液晶表示装置に用いるアクティブマトリクス基板の構成を模式的に示す説明図である。
このアクティブマトリクス基板102は、例えば図17および図18に示すような液晶表示装置100に用いられる一方の基板に相当するものである。基板102上にはデータ線103および走査線104が形成されている。データ線103および走査線104には、画素用のTFT110を介して画素電極が接続されてなり、画素領域105がマトリクス状に形成されている。各画素領域105には、画素用のTFT110を介して画像信号が入力され、液晶セルの液晶容量106を構成するようになっている。
【0077】
データ線103に対しては、シフトレジスタ171,レベルシフタ172,ビデオライン173,アナログスイッチ174を備えるデータドライバ部107が構成されている。また、走査線104に対しては、シフトレジスタ181およびレベルシフタ182を備える走査ドライバ部108が構成されている。なお、画素領域105には、前段の走査線104との間に保持容量125が形成されることもある。
【0078】
データドライブ部7や走査ドライブ部8では、図13(B)に2段のインバータを例示するように、N型のTFTn1,n2と、P型のTFTp1,p2とによって構成されたCMOS回路などが高密度に形成されている。ここで、アクティブマトリクス部109のTFT110と、データドライバ部107のTFTn1,n2やP型のTFTp1,p2とは、基本的な構造が同じであり、基本的には同じ工程中で製造される。
【0079】
アクティブマトリクス基板102としては、アクティブマトリクス部109だけが基板上に構成されたもの、アクティブマトリクス部109と同じ基板上にデータドライバ部107が構成されたもの、アクティブマトリクス部109と同じ基板上に走査ドライバ部108が構成されたものがある。また、ドライバ内蔵型のアクティブマトリクス基板102としては、アクティブマトリクス部109と同じ基板上にデータドライバ部107が構成されたもの、アクティブマトリクス部109と同じ基板上に走査ドライバ部108が構成されたもの、アクティブマトリクス部109と同じ基板上にデータドライバ部107と走査ドライバ部108の双方が構成されたものがある。また、ドライバ内蔵型のアクティブマトリクス基板102であっても、データドライバ部107に含まれるシフトレジスタ171,レベルシフタ172,ビデオライン173,アナログスイッチ174等の全てがアクティブマトリクス基板102上に構成された完全ドライバ内蔵タイプと、それらの一部がアクティブマトリクス基板102上に構成された部分ドライバ内蔵タイプとがあるが、本発明はいずれに対しても適用することができる。
【0080】
図14は、本実施形態のアクティブマトリクス基板102において画素領域105が形成されているアクティブマトリクス部の一部を拡大して示す平面図であり、図15(A)は図14のA−A’線における断面図、図15(B)は図14のB−B’線における断面図である。なお、データドライバ部107などにおけるTFTは基本的には同一の構造を有するので、その図示を省略する。
【0081】
これらの図において、いずれの画素領域105も、TFT110はデータ線103に対して層間絶縁膜116に形成されたコンタクトホール117を介して電気的に接続するソース領域111,画素電極119に対して層間絶縁膜116に形成されたコンタクトホール18を介して電気的に接続するドレイン領域112,ドレイン領域112とソース領域111との間に位置するチャンネル領域113、およびチャンネル領域113に対してゲート絶縁膜114を介して対向するゲート電極115から構成されている。このゲート電極115は走査線104の一部として構成されている。なお、基板(被処理基板)120の表面側には、シリコン酸化膜からなる下地保護膜121が形成されている。
【0082】
次に、図16(A)ないし図16(E)を参照して、前記アクティプマトリクス基板102におけるTFTの製造方法の基本的な工程を説明する。図16(A)ないし図16(E)は、図14のA−A’線に沿って切ったTFTの工程断面図である。
本実施形態では、ガラス基板として300mm角の無アルカリガラス板を用いて以下の各工程を実施する。
【0083】
(下地保護膜形成工程)
図16(A)において、まず、PE−CVD法により250℃〜400℃の温度条件下で、ガラス基板120no面に下地保護膜121となる膜厚が300nmのシリコン酸化膜を形成する。このシリコン酸化膜は、AP−CVD法でも形成することができ、この場合には基板120の温度を250℃から450℃までの範囲に設定した状態で、モノシランおよび酸素を原料ガスとしてシリコン酸化膜を形成する。
【0084】
(半導体膜堆積工程)
次に、下地保護膜121の表面に真性のシリコン膜130(半導体膜5a)を50nm程度堆積する。本例では、高真空型LP−CVD装置を用いて、原料ガスであるジシランを200SCCM流しながら、425℃の堆積温度でアモルファスシリコン膜を堆積する。なお、シリコン膜130の形成にあたっては、PE−CVD法やスパッタ法を用いてもよく、これらの方法によれば、その成膜温度を室温から350℃までの範囲に設定することができる。
【0085】
(レーザアニール工程)
次に、図16(B)に示すように、アモルファスシリコン膜130にレーザ光を照射してアモルファスシリコン膜130をポリシリコン(多結晶シリコン)に改質する。当該工程は、レーザ光の照射によってアモルファスシリコン膜130を溶融結晶化させることから、レーザ溶融結晶化法とも呼ばれている。
本実施形態では、上記のレーザアニール装置1を用い、例えば、ゼノン・クロライド(XeCl)のエキシマレーザ(波長が308nm)を照射する。出力が200Wであるこのレーザビームを、光学系を介することによって、長尺方向が150mm、断面のビーム形状は上底が0.35mm、下底が0.45mmである台形のラインビーム(線状のレーザ光)を形成している。そして、このラインビームを、基板に対して上底のビーム幅以下のピッチで重なりを持ちながら、照射をしていくことによって、アモルファスシリコン膜は溶融結晶化によりポリシリコン膜となる。この工程において、レーザ照射は、基板120を室温(25℃)とし、真空雰囲気中で行う。
本実施形態では、このアニール工程を行う際に、照射エネルギー密度を決定するにあたって、光学的な手法によって微結晶化を発現するエネルギー密度を判断した後、それを越えないエネルギー密度によって照射を行っている。
【0086】
上記のレーザアニール工程においては、レーザアニール装置1が上記の防着板7を有しているので、ウインドウ3のくもりを抑制し、堆積物がウインドウ3に付着することが抑制されるので、ラインビームの照射密度の均一化を実現でき、これによって基板120上に均一なポリシリコン膜を形成できる。
【0087】
(シリコン膜のパターニング工程)
次に、図16(C)に示すように、アニール工程で多結晶化したシリコン膜130を、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングを行い、島状のシリコン膜131とする。
【0088】
(ゲート絶縁膜の形成工程)
次に、図16(D)に示すように、PE−CVD法により250℃〜400℃の温度条件下で、シリコン膜131に対してシリコン酸化膜からなるゲート酸化膜114を形成する。
【0089】
(ゲート電極形成工程)
次に、ゲート酸化膜114の表面側に膜厚が600nmのタンタル薄膜をスパッタ法により形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングし、ゲート電極115を形成する。本実施形態では、タンタル薄膜を形成する際に、基板温度を180℃に設定し、スパッタガスとして窒素ガスを6.7%含むアルゴンガスを用いる。このように形成したタンタル薄膜は、結晶構造がαであり、その比抵抗は小さい。
【0090】
(不純物導入工程)
次に、バケット型質量非分離型のイオン注入装置(イオンドーピング装置)を用いて、ゲート電極115をマスクとしてシリコン膜131に不純物イオンを打ち込む。Nチャンネル型のTFTを形成する場合には、原料ガスとして、水素ガスで濃度が5%となるように希釈したホスフィンなどを用いる。その結果、ゲート電極に対してセルファライン的にソース領域111およびドレイン領域112が形成される。このとき、シリコン膜131のうち、不純物イオンが打ち込まれなかった部分がチャンネル領域113となる。またこのとき、Pチャンネル型のTFTを形成する領域はレジストマスクで覆っておく。
逆に、Pチャンネル型のTFTを形成する場合には、原料ガスとして、水素ガス濃度が5%となるように希釈したジボランなどを用いるが、その際にはNチャンネル型のTFTを形成する領域をレジストマスクで覆っておく。
【0091】
(層間絶縁の形成工程)
次に、図16(E)に示すように、PE−CVD法により250℃〜400℃の温度条件下で、層間絶縁膜116としての膜厚が500nmのシリコン膜を形成する。このときの原料ガスは、TEOSと酸素である。
【0092】
(活性化工程)
次に、水素を3%含んだアルゴンガス雰囲気下で400℃、1時間の熱処理を行い、注入したリンイオンの活性化と、層間絶縁膜116の改質とを行う。
【0093】
(配線工程)
次に、層間絶縁膜116にコンタクトホール117,118を形成する。この後に、図15(A)に示すように、コンタクトホール117,118を介して、ソース電極(データ線103)をソース領域111に電気的に接続し、ドレイン電極(画素電極119)をドレイン領域112に電気的に接続し、TFT110を形成する。
本実施形態のアクティブマトリクス基板は、レーザ溶融結晶化法によるアニール工程において、上記の実施形態で示したレーザアニール装置1を用い、防着板7によってアモルファスシリコンのアブレーションによって生じたシリコン蒸気を付着させるので、ウインドウ3に堆積物が付着することが抑制される。これによって、常に安定した光エネルギーで溶融結晶化を続けることができ、安定した品質のポリシリコン膜が得られる。
【0094】
なお、上記の製造方法は、TFT110をセルフアライン構造として製造する例であったが、TFT110をLDD構造あるいはオフセットゲート構造で製造する場合でも本発明を適用できる。この場合の構造や製造方法についての説明を省略するが、レジストマスクやサイドウォールを利用して、ソースドレイン領域のうち、ゲート電極115の端部に対向する部分には低濃度ソースドレイン領域(LDD領域)、あるいはオフセット領域を形成する。
【0095】
図17および図18に、本実施形態のアクティブマトリクス基板を用いて製造した液晶表示装置の一例を示す。図17は液晶表示装置の主要部を示す表示面側から見た平面図であり、図18は、図17のH−H’線で切ったアクティブマトリクス部の主要部の断面図である。
図17に示すようにこの液晶表示装置1は、表示面中央部の広い領域をマトリクス状に配列された多数の画素領域105(図13参照)からなるアクティブマトリクス部109が占め、その周辺を額縁状に取り囲んでデータドライバ部107や走査ドライバ部108などが装着されている。
【0096】
アクティブマトリクス部109は図18に示すように、概略液晶層190を挟んで対向する2枚の基板からなり、その一方の基板は、画素電極119…を液晶層側に向けたアクティブマトリクス基板102であり、他方の基板はコモン電極281を液晶層側に向けた透明基板280である。液晶層190は、この液晶層を取り囲み前記2枚の基板により挟持されたシール部材191により封止されている。液晶層190内には液晶層の厚みを保持するスペーサ192…が散布されている。図示しないがそれぞれの電極、画素電極119およびコモン電極281と液晶層190との境界面には、それぞれ特定の方向に配向された配向膜が形成されている。また液晶表示装置100がカラー画像表示装置である場合は、好ましくは透明基板280側に、それぞれの画素がブラックマトリクスで縁取りされたカラーフィルタが装着されている。
アクティブマトリクス基板102は、周囲が表示面より外側に額縁状に拡張され、この拡張部に、前記のデータドライバ7や走査ドライバ部108などが装着されている。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1実施形態に係るレーザアニール装置の構成を示す断面図。
【図2】本発明の第1実施形態に係るレーザアニール装置の要部構成を示す斜視図。
【図3】本発明の第1実施形態に係るレーザアニール装置の要部構成を示す断面図。
【図4】レーザアニール方法を説明するための説明図。
【図5】本発明の第2実施形態に係るレーザアニール装置の要部構成を示す平面図。
【図6】ウインドウに付着するシリコン等の堆積物の分布を示す図。
【図7】本発明の第3実施形態に係るレーザアニール装置の要部構成を示す断面図。
【図8】本発明の第4実施形態に係るレーザアニール装置の要部構成を示す断面図。
【図9】第4実施形態の変形例に係るレーザアニール装置の要部構成を示す断面図。
【図10】本発明の第5実施形態に係るレーザアニール装置の構成を示す断面図。
【図11】本発明の第6実施形態に係るレーザアニール装置の要部構成を示す図。
【図12】本発明の第7実施形態に係るレーザアニール装置の要部構成を示す図。
【図13】本発明の製造方法によって製造される電気光学装置の要部の回路図。
【図14】本発明の製造方法によって製造される電気光学装置の要部の拡大平面図。
【図15】本発明の製造方法によって製造される電気光学装置の要部の拡大側面図。
【図16】本発明の製造方法の工程を示す工程図。
【図17】本発明の製造方法によって製造される電気光学装置の一例を示す平面図。
【図18】本発明の製造方法によって製造される電気光学装置の一例を示す断面図。
【符号の説明】
【0098】
1,1A レーザアニール装置(電気光学装置の製造装置)、 2 光照射室、 2a 壁部、 3 ウインドウ(窓部)、 5 被処理基板、 7 防着板、 7a 光通過部、 7b 突出部、 7d 板体(凹凸部)、 7e 凹凸部、 8 レーザ光(エネルギー光)、 8b 中央部、 8c 端部、 30 駆動機構(移動機構、近接機構)、 35 発光部(光検出手段)、 36 受光部(光検出手段)、 37 反射部(光検出手段)、 40 光センサ(光検出手段)、 100 液晶表示装置(電気光学装置)、 120 基板(被処理基板)。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧状態に維持された光照射室内の被処理基板にエネルギー光を照射することにより熱処理を施す電気光学装置の製造装置であって、
前記光照射室に設けられた光導入用の窓部と、前記被処理基板との間には、当該被処理基板から放出する放出物質を付着させる防着板が配置されていること、
を特徴とする電気光学装置の製造装置。
【請求項2】
前記防着板は、前記エネルギー光が通過する光通過部を有すること、
を特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の製造装置。
【請求項3】
前記光通過部は、当該光通過部を通過する線状のエネルギー光の中央部から端部に向かう方向において、幅が徐々に大きくなっていること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気光学装置の製造装置。
【請求項4】
前記防着板は、前記光通過部において、前記被処理基板に向けて突出する突出部を備えること、
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造装置。
【請求項5】
前記防着板には、その表面に凹凸部が設けられていること、
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造装置。
【請求項6】
前記防着板を前記光照射室内で移動させる移動機構が設けられていること、
を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造装置。
【請求項7】
前記防着板と前記被処理基板とを近接させる近接機構を備え、
当該近接機構は、前記防着板と前記被処理基板とを隙間を隔てて配置すること、
を特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造装置。
【請求項8】
発光部及び受光部を少なくとも備える光検出手段を具備し、
当該光検出手段が検出する光量に基づいて、前記防着板に付着する放出物質の付着量を検出すること、
を特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造装置。
【請求項9】
前記防着板には、発光部と受光部の少なくともいずれか一方が設けられていること、
を特徴とする請求項8に記載の電気光学装置の製造装置。
【請求項10】
前記光検出手段は、前記発光部と前記受光部との間の検出光の光路上に反射部を備え、当該反射部が前記防着板に設けられていること、
を特徴とする請求項8又は請求項9に記載の電気光学装置の製造装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の製造装置を用いることを特徴とする電気光学装置の製造方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−5597(P2007−5597A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−184656(P2005−184656)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】