説明

他車両検出装置及び車間距離制御装置

【課題】先行車両の車両の種類、及びその車両数を判断可能な装置、および先行車両の車種に応じて車間距離の制御を変更可能な装置を提供すること。
【解決手段】先行車両車間検出部8において、反射波が持つ強度パターンに基づき他車両が四輪車であるか二輪車であるかの車両種類を判定する手段を備え、また車間距離制御装置100において、先行車両車間検出部8にて検出した他車両の種類に応じて自車両の先行車両追従モード又は警報を発する車間距離を変更するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両から発した照射波の反射波を受信して、自車両の近くにある他車両を検出する他車両検出装置、およびこの他車検出装置を利用した車間距離制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術としては、マイクロ光やレーザ光を自車両の前方へ放射してこの反射信号から得た車間距離の変化及び反射信号強度の変化と、自車がカーブ走行しているか否かの判定結果とを用いて検出先行車両の変化を認識することにより、自車線先行車両から隣接車線を走行している別の車両に検出対象が移行したと判定することにより、この判定結果を利用してそれまでの追従走行あるいは定速走行のモードを新たな他のモードに移行して円滑な走行を継続できるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3125496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された従来技術にあっては、レーダの反射強度が急変した場合にのみ制御を変更するだけで、先行車両が四輪車であるのか又は二輪車であるのかといった車両の種類や、その先行車両が複数であるのかあるいは単数であるのかといった車両数の判断ができず、先行車両の種類等に応じた車間距離制御ができなかったという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、先行車両につきその車両の種類、及びその車両数を判断可能な他車両検出装置、および先行車両の車種に応じて車間距離の制御を変更可能な車間距離制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では、自車両から照射した照射波の反射波を用いて他車両の検出を行う他車両検出装置において、反射波が持つ強度パターンに基づき他車両が四輪車であるか二輪車であるかの車両種類を判定する車両種類判定手段を備える。また別の本発明では、車間距離制御装置において、他車両検出装置にて検出した他車両の種類に応じて自車両の先行車両追従モード又は警報を発する車間距離を変更するようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、先行車両が四輪車であるのか二輪車であるのかといった車両の種類の判定、およびその先行車両がそれぞれ何台なのかといった車両数の判定を行うことができ、また、この判定結果に応じて先行車両に追従する際や先行車両との車間距離に基づき警報を発する際など、車間距離の制御を行う場合に利用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の他車両検出装置および車間距離制御装置を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。
【実施例1】
【0008】
まず、構成を説明する。
【0009】
図1は本発明の他車両検出装置を備えた車間距離制御装置の構成を示すシステムブロック図である。
【0010】
車両の車間距離制御装置100は、ドライバが希望する設定車速(追従走行における上限車速)と希望する設定車間距離とを入力する設定部1と、自車両と先行車両との車間距離及び相対速度を検出する先行車両車間検出部8と、自車両の車速を検出する車速検出部9と、自車両の車速に応じた自車両と先行車両との車間距離から目標車速を算出決定する車間制御部2と、ドライバの設定車速と車間制御部2で決定された目標車速とのうち車速の小さい方を選択して速度指令値とする車速指令値選択部3と、速度指令値によりエンジン等の駆動力やブレーキの制動力を制御する車速制御部4と、を備えている。
【0011】
設定部1では、ドライバがボタンスイッチなどを操作することにより設定車速や設定車間距離を設定できる。設定車速は、例えば50km/hから100km/hの間でボタンスイッチにより5km/hごとに入力設定できる。また設定車間距離は、例えば「長」、「中」、「短」といった3段階の車間距離をボタンスイッチを押すごとに設定できる。設定部1は、ここで設定された設定車速情報及び設定車間距離情報を、車間制御部2、車速指令値選択部3及び車速制御部4に出力する。
【0012】
先行車両車間検出部8は、車両の前部車体に設けられ、自車両の進行方向に向けて照射波等を照射する発信器と、自車両の前方にある物体で反射されてきた反射波を受信する受信器とを備える。なお照射波としてはレーザレーダ、ミリ波レーダ、赤外線レーダ等を用いられる。この先行車両車間検出部8では、反射波から自車両の前方に他車両がいるか否かの判定や、自車両と先行車両との車間距離及び相対速度を演算処理により求め、ここで生成した車両有無の判定情報、車間距離情報Dpsや相対速度情報を車間制御部2や車速制御部4に出力する。また後述する処理より自車両の前方にある物体が車両であるか否かを判定し、この判定結果に応じて車間制御部2や車速制御部4における車間距離制御の許可や禁止を指令する。
【0013】
車速検出部9は、図示しない車速センサからの信号により車速を算出し、この車速情報VSPを設定部1、車間制御部2、及び車速制御部4に出力する。
【0014】
車間制御部2は、車間距離情報Dps、相対速度情報、車速情報VSP、設定車間距離情報等が入力されて、これらの情報から車速に応じた車間距離を設定し、併せて目標車速を算出する。
【0015】
車速指令値選択部3は、設定車速情報と目標車速情報とを比べて車速が小さい方を車速指令値として車速制御部4へ出力する。
【0016】
車速制御部4は、設定車速情報、設定車間距離情報、先行車両車間距離情報、相対速度情報、及び車速情報等が入力されて、車間距離制御に応じて決定したエンジントルク指令値Tengを駆動力制御部5に、また車間距離制御に応じて決定したブレーキトルク指令値Tbkを液圧ブレーキ制御部6にそれぞれ出力する。
【0017】
駆動力制御部5は、車速制御部4から入力されたエンジントルク指令値Tengに応じ、例えば、電子制御スロットルアクチュエータを用いてアクセル開度APを制御する。
【0018】
液圧ブレーキ制御部6は、車速制御部4から入力されたブレーキトルク指令値Tbkに応じ、例えば、ABSアクチュエータを用いて車輪に制動力を付与するブレーキ液圧Pbk0を作り出す。なお、ABSはAnti-lock Brake Systemの略称である。
【0019】
エンジン7a及びブレーキ7bは、駆動力制御部5によるアクセル開度APと、液圧ブレーキ制御部6によるブレーキ液圧Pbk0とに応じ、車両を定速走行させたり加速したり減速したりして車両が設定車間距離や設定車速となるように制御される。
【0020】
次に、作用を説明する。
【0021】
[定速走行]
車両の車間距離制御装置は、先行車両車間検出部8により先行車両が検出されなかった場合には、設定部1でドライバが設定した設定車速を保つように制御対象である自車両を制御する。例えば、ドライバが設定車速を100km/hに設定したとすると、車間制御部2では、先行車両車両が検出されていないので目標車速は出力されず、車速指令値選択部3では、設定部1から入力した設定車速情報の100km/hを選択して、100km/hを車速指令値として車速制御部4に出力する。その後、車速制御部4はドライバの設定車速100km/hを保つように車速情報等を監視しながら駆動力制御部5を介して、自車両を制御する。
【0022】
[減速走行]
自車両の進行方向に自車両の現在車速より遅い先行車両がいるときは、車間距離を保つように減速する。このときドライバの設定車速(例えば100km/h)より遅い先行車両(例えば80km/h)を検出したとき、車間制御部2ではドライバの設定車間情報を基に速度に応じた車間距離と、自車両と先行車両との相対速度とから算出した目標車速を車速指令値選択部3に出力する。車速指令値選択部3では、設定部1からの設定車速情報(ここでは100km/h)と、車間制御部2からの目標車速情報(ここでは80km/h)とを入力し、車速の小さい方を車速指令値(ここでは80km/h)として車速制御部4へ出力する。車速制御部4では車速指令値と、設定車間距離を達成するように駆動力制御部5及び液圧ブレーキ制御部6とを介して、エンジン7a及びブレーキ7bを制御する。
【0023】
[追従走行]
ドライバが設定した設定車間距離を基に速度に応じて算出した車間距離を保って、先行車両に追従して走行するように車両を制御する。車間制御部2では、車速情報、車間距離情報、相対車速情報、及び設定車間距離情報等が入力され、車速に応じた車間距離を設定し、目標車速を算出する。車速指令値選択部3では、ドライバの設定車速情報と車間制御部2からの目標車速とから、車速の小さいものを選択し指令車速値として車速制御部4に出力する。車速制御部4では、車速指令値等により駆動力制御部5及び液圧ブレーキ制御部6を介して自車両の加減速制御を行う。
【0024】
なお、このときの車速はドライバが設定した設定車速を上限とし、車速が設定車速を超えると追従走行をやめて、定速走行を行う。
【0025】
[加速走行]
自車両の進行方向にいる先行車両が走行レーンを移動するなどしていなくなったときには、ドライバの設定車速を上限にそれより低い場合には加速をする。このとき、車速指令値選択部3では、車間制御部2では目標車速が設定されないのでドライバの設定車速を車速指令値として車速制御部4へ入力する。車速制御部4では、駆動力制御部5を介して、自車両を車速指令値まで加速させる。
【0026】
[車両種類判別処理]
図2から図4は先行車両の検出を行い、その検出された先行車両が四輪車か二輪車かといった車両種類の判別処理方法を示す。
【0027】
まず、初めに先行車両の種類を区別するため、先行車両が四輪車である場合の反射波における強度パターンの特徴につき説明する。
【0028】
図2は、四輪車10が自車両との距離を広げながら先行している場合に、その先行位置とそのときの反射波の強度パターン(検出信号の波形)との関係を示すタイムチャートであり、同図の上部には、車体の後部左右に2つのリフレクタ11L、11Rを備えた四輪車10の自車両からの先行位置を示してあり、同図の下部には先行車両車間検出部8から先行車両へ電波を照射し、受信した先行車両からの反射波の強度パターンを示してある。
【0029】
この場合、四輪車10からの反射波は、リフレクタ11L、11Rからの反射強度が高く、2つのリフレクタ11L、11Rに対応した2つのピークを持つようになる。図4(a)から(c)に向かって示すように四輪車10が自車両から遠ざかると、反射波の強度パターンは相似のまま強度が小さくなっていくとともに2つのピークの位置がお互いに近寄ってくるようになる。なお、四輪車10が自車両に対して横方向に動くときは、この動きに応じて反射波の強度パターン自体はほとんど変化することなくその検出位置が横方向、すなわち同図中で左右にずれる。この点に着目して、本実施例の他車両検出装置では、四輪車の検出を行えるようにしている。
【0030】
図3は、二輪車12a、12bが自車両に先行して2台並走しており、先行車両からの反射波の強度パターンが1台の四輪車と紛らわしくなるような場合における、二輪車12a、12bの先行位置とそれらの反射波の強度パターンとの関係を示すタイムチャートである。同図の上部には、それぞれ車体後部に1つのリフレクタ13a、13bを備えた2台の二輪車12a、12bが自車両に先行して並走している場合を示してあり、同図下部には、先行車両車間検出部8から2台の先行車両へ電波を照射し、受信した先行車両2台からの反射波の強度パターンを示してある。
【0031】
このように2台の二輪車12a、12bが並走する場合、これらからの反射波は、四輪車の場合と同様に2つのピークを持つ。しかし、2台の二輪車は通常図3(a)及び(b)に示すように、時間の経過と共に各二輪車12a、12bの自車に対する距離や二輪車相互間の横方向位置がそれぞれ異なった動きをする。その一例として、図3(a)には、左右の二輪車12a、12bが自車両に対して同じ車間距離で走行している場合、同図(b)には右側の二輪車12bが自車両および左側の二輪車12aに対し車間距離を広げるようにさらに先行した場合、また同図(c)には、左側の二輪車12aが右側の二輪車12bに対しわずかに先行した場合につき、それぞれ対応する両先行車両からの反射波の強度パターンが同図の下部に示してある。
【0032】
このように、並走する2台の二輪車12a、12bの場合は、1台の四輪車の場合と異なって、受信した反射波は強度やピークの位置の変化に規則性がない。この点に着目して、本実施例の他車両検出装置では、2台の二輪車と1台の四輪車との区別を行えるようにしている。
【0033】
一方、図4は、自車両に先行して1台の二輪車12aと1台の四輪車10とが並走している場合の、それら先行車両の自車両に対する先行位置と先行車両からの反射波の強度パターンとの関係を示すタイムチャートである。同図の上部には、車体の後部に1つのリフレクタ13を備えた二輪車12aと、同様に2つのリフレクタ11L、11Rを備えた四輪車10とが並走する様子を示してあり、同図下部には、先行車両車間検出部8から2台の先行車両へ電波を照射し、受信した先行車両からの反射波の強度パターンを示したものである。
【0034】
このように二輪車12aと四輪車10とが並走する場合、これらからの反射波は、3つのピークを持つ。しかしながら、二輪車12aと四輪車10とは、走行中、これらの相対位置が変化するのが普通であり、この場合3つのピークのうち四輪車10からの反射波が示す2つのピークの強度パターンは相似のまま強度が変化して規則性を示すのに対して、残り1つのピークは二輪車12aからのものであるから上記2つのピークと異なる強度および相対位置の変化を示し規則性がない。
【0035】
すなわち、たとえば図4(a)に示すように四輪車10と二輪車12aとが並走している状態から、同図(b)に示すように二輪車12aが自車両に対して少し近づき、かつ四輪車10が自車両及び二輪車12aからの距離を広げてさらに先行する状態になった場合には、二輪車12aからの反射波の強度パターンは、二輪車12aが自車両に近接することから、そのピーク14aが同図(a)の状態(この状態を同図中央に点線で示す)に比べ大きくなるとともにその検出角度が大きくなり左側の位置へずれる。一方、四輪車10の反射波の強度パターンは、四輪車10が自車両からさらに離間することからその2つのピーク15L、15Rが同図(a)の状態から小さくなるとともに2つのピーク15L、15R間の距離が狭まるが、この強度パターンは同図(a)の状態のものの相似形となる。
【0036】
同図(b)の状態(同図(c)に点線で示す)から同図(c)の状態に示すように、二輪車12a及び四輪車10が自車両に対し距離を広げ先行し、かつ二輪車12aが四輪車10に対し横方向左側へ若干移動し、かつ四輪車10が二輪車12aよりさらに先行するようになると、先行車両からの反射波の強度パターンから得られた3つのピークが以下のように異なることになる。
【0037】
すなわち、四輪車10からの反射波の強度パターンは、四輪車10が自車両からさらに離間しかつ右方向へずれることから、2つのピーク強度17L、17Rが同図(b)の状態からさらに小さくなるとともに、2つのピーク17L、17R間の距離が狭まるものの、この強度パターンは同図(a)及び(b)の状態のものの相似形となり、規則性がある。
【0038】
これに対し、二輪車12aからの反射波の強度パターンは二輪車12aが自車両に対し離間しかつ左方向にずれることから、そのピーク16aが小さくなるとともに同図(b)の位置から左側の位置へずれ、他の2つのピーク17L、17Rの時間的変化に比べて規則性をもって連動しない。この点に着目して、本実施例の他車両検出装置では、二輪車と四輪車とが並走する場合であってもこれらの区別を行えるようにしている。
【0039】
車間距離制御装置100では、先行車両車間検出部8にて先行車両からの反射波の強度パターンより先行車両が2台並走していることを検出した場合には自車両に近いほうの先行車両に追従するように制御するとともに、この場合先行車両が二輪車であるか四輪車であるかを判断し、追従する先行車両が二輪車であれば二輪車追従モードで、四輪車であれば四輪車追従モードで追従制御を行う。これらの追従モードでは、たとえば二輪車の場合は四輪車の場合に比べて設定車間距離を長くするといった点などで相違させてある。
【0040】
図5は本実施例1の他車検出装置を備えた車間制御装置の処理の流れを示したフローチャートである。
【0041】
ステップS1では、反射波の有無により先行車両を検出したか否かを判断する。YESの場合はステップS2へ移行し追従制御を行う。NOの場合はステップS13へ移行し、ドライバの設定車速で定速走行を行う。
【0042】
ステップS3では、先行車両からの反射波のピークを検出して、ステップS4へ移行する。
【0043】
ステップS4ではピークが複数あるか否かを判断し、YESであれば先行車両の車両種類を判断するためにステップS5へ移行し、NOの場合はステップS14へ進み先行車両はリフレクタが1つの二輪車であると判断して二輪車追従モードを実行する。
【0044】
ステップS5ではステップS3において先行車両からの反射波を取り込んだ時の自車両と先行車両との車間距離が所定距離以上変化したか否かを判断し、YESであればステップS6へ移行して再度反射波のピークを検出し、NOであればステップS8へ移行する。
【0045】
ステップS7では、ステップS3で検出した反射波のピークとステップS6で検出した反射波のピークとを比較し、ピークの強度変化及び横方向移動量を検出して、ステップS11へ移行する。
【0046】
ステップS8では、ステップS3において先行車両からの反射波を取り込んだ時から所定時間が経過したか否かを判断し、YESであればステップS9に移行して再度反射波のピークを検出し、NOであればステップS10へ移行する。
【0047】
ステップS10では、ステップS3で検出した反射波のピークとステップS9で検出した反射波のピークとを比較し、ピークの横方向移動量を検出して、ステップS11へ移行する。
【0048】
ステップS11では、上述の車両種類判別処理により先行車両が二輪車又は四輪車のいずれかであるかを判断する。
【0049】
なお、ステップS3〜ステップS11は本発明の車両種類判定手段を構成する。
【0050】
ステップS12では、ステップS11における車両種類の判断により、二輪車追従モード又は四輪車追従モードを選択して、先行車両への追従走行を実行する。
【0051】
次に本実施例1の他車両検出装置及び車間距離制御装置の効果を説明する。
【0052】
(1)先行車両の存在の確認だけでなく、反射波のピークから四輪車であるか二輪車であるかの車両種類を判定でき、より精密な先行検出ができる。
【0053】
(2)この車両種類の判定にあたっては、新たな装置を実質的に必要とせずコストを抑えた上でより精密な先行車両検出ができる。
【0054】
(3)反射波波形のピークの数が1つのときには二輪車と判定するので、ピークが複数のときに行う処理を割愛でき、処理の迅速化を図ることができる。
【0055】
(4)四輪車か二輪車かといった車両判定を行い、その判定結果によって先行車両への追従モードを変更することや先行車両との車間距離に基づく警報を発することが可能となり、車両の種類に応じてより安全な追従走行が行える。
【0056】
以上、本発明の他車両検出装置及び車間距離制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加は許容される。
【0057】
たとえば、本実施例では、先行車両が二輪車であるか四輪車であるかの判定を、先行車両からの反射波のピークの強度変化や横方向への移動の規則性により行っているが、二輪車は四輪車比べてその動きの時間的変化が大きいので単位時間当たりの反射波の強度や横方向の移動の時間的変化(揺らぎ)を検出して、この揺らぎが所定値以上であれば二輪車からの反射波であると判断するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、他車両を検出して、この車両の種類を判定することにより追従制御のみならず、先行車両との車間距離を他の制御する場合などにも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】実施例1に係る、本発明の他車両検出装置を備えた車両の車間距離制御装置を示す全体システム図である。
【図2】実施例1に係る、四輪車の検出方法を説明する図である。
【図3】実施例1に係る、2台の二輪車の検出方法を説明する図である。
【図4】実施例1に係る、二輪車と四輪車の検出方法を説明する図である。
【図5】実施例1に係る、車両の車間制御装置で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1 設定部
2 車間制御部
3 車速指令値選択部
4 車速制御部
5 駆動力制御部
6 液圧ブレーキ制御部
7a エンジン
7b ブレーキ
8 先行車両車間検出部
9 車速検出部
100 車間距離制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両から照射した照射波の反射波を用いて他車両の検出を行う他車両検出装置において、
前記反射波が持つ強度パターンに基づき他車両が四輪車であるか二輪車であるかの車両種類を判定する車両種類判定手段を備えることを特徴とする他車両検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の他車両検出装置において、
前記車両種類判定手段は、前記反射波の強度パターンの時間変化により前記車両種類の判定を行うことを特徴とする他車両検出装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の他車両検出装置において、
前記車両種類判定手段は、前記反射波の強度パターンにおけるピークを検出し、この検出したピークの数により前記車両種類の判定を行うことを特徴とする他車両検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の他車両検出装置において、
前記車両種類判定手段は、前記ピークの検出位置の移動量の時間変化により前記車両種類の判定を行うことを特徴とする他車両検出装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の他車両検出装置において、
前記車両種類判定手段は、前記ピークが1つの場合には、前記反射波は二輪車からのものであると判断することを特徴とする他車両検出装置。
【請求項6】
請求項3又は請求項4に記載の他車両検出装置において、
前記車両種類判定手段は、前記ピークが複数の場合は、これらのうちの2つのピークの強度が実質的に時間変化せず、且つ前記2つのピークの検出位置の移動量が同じ方向に等しい量で時間変化する場合には、前記2つのピークを含む反射波は四輪車からのものであると判定することを特徴とする他車両検出装置。
【請求項7】
請求項3又は請求項4に記載の他車両検出装置において、
前記車両種類判定手段は、前記ピークが複数の場合は、これらのうちの2つの前記ピークの強度が時間変化し、かつ前記2つのピークの検出位置の移動方向が異なる方向に等しい量だけ時間変化する場合には、前記2つのピークを含む反射波は四輪車からのものであると判断することを特徴とする他車両検出装置。
【請求項8】
請求項3又は請求項4に記載の他車両検出装置において、
前記車両種類判定手段は、前記ピークが複数の場合は、これらのうちの2つのピークの強度が等しい割合で時間変化する場合には、前記2つのピークを含む反射波は四輪車からのものであると判断することを特徴とする他車両検出装置。
【請求項9】
請求項3、請求項4、請求項6乃至請求項8のうちのいずれかに記載の他車両検出装置において、
前記車両種類判定手段は、前記ピークが複数である場合には、これらのうち1つのピークの検出位置の移動量の時間変化が、他のピークの検出位置の移動量の時間変化と異なれば、前記1つのピークを含む反射波は二輪車からのものであると判定することを特徴とする他車両検出装置。
【請求項10】
請求項3、請求項4、請求項6乃至請求項9のうちのいずれかに記載の他車両検出装置において、
前記車両種類判定手段は、前記ピークが複数である場合には、これらのうち1つのピークの強度の時間変化の割合が、他のピークの強度の時間変化の割合と異なれば、前記1つのピークを含む反射波は二輪車からのものであると判定することを特徴とする他車両検出装置。
【請求項11】
請求項3乃至請求項10のいずれかに記載の他車両検出装置において、
前記車両種類判定手段は、前記ピークの反射強度又は移動量の時間変化が所定時間内に所定量以上であるときは、前記ピークは二輪車からの反射波であると判断することを特徴とする他車両検出装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の他車両検出装置にて、
検出した他車両の種類に応じて自車両の先行車両追従モード又は警報を発する車間距離を変更することを特徴とする車間距離制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−38697(P2006−38697A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−220429(P2004−220429)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】