説明

半導体装置、液晶モジュール、電子機器及び配線

【課題】下地に対する選択比が大きく、テーパー形状の配線を形成するドライエッチング
方法を提供する。
【解決手段】基板上に導電性材料からなる膜を形成し、ICPエッチング装置を用いて前
記導電性材料からなる膜をドライエッチングして、テーパー角が60°以下の配線を形成
する。また、基板上に導電性材料からなる膜を形成し、ICPエッチング装置を用いて前
記導電性材料からなる膜をドライエッチングして、テーパー角が60°以下のゲート配線
を形成し、前記ゲート配線上にゲート絶縁膜を形成し、前記ゲート絶縁膜上に活性層を形
成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は薄膜トランジスタ(以下、TFTという)で構成された回路を有する半導体
装置およびその作製方法に関する。例えば、液晶表示パネルに代表される電気光学装置お
よびその様な電気光学装置を部品として搭載した電子機器に関する。特に本発明は金属薄
膜をエッチングするドライエッチング法、及び、そのドライエッチング法により得られる
テーパー形状の配線を備えた半導体装置に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装
置全般を指し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
近年、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜(厚さ数〜数百nm程度)を用
いて薄膜トランジスタ(TFT)を構成する技術が注目されている。薄膜トランジスタは
ICや電気光学装置のような電子デバイスに広く応用され、特に画像表示装置のスイッチ
ング素子として開発が急がれている。
【0004】
従来、TFTの配線材料には、加工のしやすさ、電気抵抗率、および耐薬品性などから
、Alが多用されている。しかし、AlをTFTの配線に用いた場合、熱処理によってヒ
ロックやウィスカー等の突起物の形成や、アルミニウム原子のチャネル形成領域への拡散
により、TFTの動作不良やTFT特性の低下を引き起こしていた。そのため、Al以外
の配線材料としては、バルクの比抵抗が5.5μΩ・cmと比較的低く、耐熱性の高いタ
ングステン(W)が望ましい材料として挙げられる。
【0005】
また、近年、微細加工技術への要求はますます厳しくなってきている。特に液晶ディス
プレイにおいては、高精細化および大画面化に伴い、配線の加工工程において高選択比と
ともに非常に厳しい線幅の制御が求められている。
【0006】
一般に配線の加工は、溶液を用いるウエットエッチングまたは、ガスを用いるドライエ
ッチングで行うことができる。ただし、ウエットエッチングは、配線の微細化、再現性確
保、廃棄物の削減およびコストの低減を考慮した場合、不利であるため、配線の加工はド
ライエッチングに向かうものと考えられる。
【0007】
タングステン(W)をドライエッチング法により加工する際、用いられるエッチングガ
スとしてはSF6とCl2との混合ガスが一般的であった。この混合ガスを用いた場合には
エッチングレートが大きく短時間での微細加工が可能である一方、所望のテーパー形状を
得ることは困難であった。配線の上に形成する積層膜のカバレッジを改善するため、デバ
イス構造によっては配線の断面を意図的に順テーパーとする場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の課題は、タングステン(W)またはタングステン化合物からなる被エ
ッチング層をその断面が順テーパー形状となるようにパターニングするドライエッチング
方法を提供する。また、このようなドライエッチング方法において被エッチング層の場所
によらず、均一なテーパー角度で、且つ任意のテーパー角度を制御する方法を提供する。
加えて、上記方法により得られた任意のテーパー角度を有する配線を用いた半導体装置お
よびその作製方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書で開示する配線に関する発明の構成は、タングステン膜、タングステン化合物
を主成分とする金属化合物膜、またはタングステン合金を主成分とする金属合金膜からな
り、テーパー角αが5°〜85°の範囲であることを特徴とする配線である。
【0010】
また、配線に関する他の発明の構成は、タングステン膜、タングステン化合物を主成分
とする金属化合物膜、またはタングステン合金を主成分とする金属合金膜から選ばれた薄
膜を積層した積層構造を有し、テーパー角αが5°〜85°の範囲である配線である。
【0011】
また、上記各構成において、前記金属合金膜は、Ta、Ti、Mo、Cr、Nb、Si
から選ばれた一種の元素または複数種の元素とタングステンとの合金膜であることを特徴
としている。
【0012】
また、上記各構成において、前記金属化合物膜は、タングステンの窒化物膜であること
を特徴としている。
【0013】
また、上記各構成において、密着性を向上させるために導電性を有するシリコン膜(例
えばリンドープシリコン膜、ボロンドープシリコン膜等)を最下層に設ける構成としても
よい。
【0014】
また、半導体装置に関する発明の構成は、タングステン膜、タングステン化合物を主成
分とする金属化合物膜、またはタングステン合金を主成分とする金属合金膜からなり、テ
ーパー角αが5°〜85°の範囲である配線を備えた半導体装置である。
【0015】
また、半導体装置に関する他の発明の構成は、タングステン膜、タングステン化合物を
主成分とする金属化合物膜、またはタングステン合金を主成分とする金属合金膜から選ば
れた薄膜を積層した積層構造を有し、テーパー角αが5°〜85°の範囲である配線を備
えた半導体装置である。
【0016】
また、上記半導体装置に関する各構成において、前記配線は、TFTのゲート配線であ
ることを特徴としている。
【0017】
また、配線の作製方法に関する発明の構成は、下地膜上に金属薄膜を形成する工程と、
前記金属薄膜上にレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンを有する金
属薄膜にエッチングを行い、バイアスパワー密度に応じてテーパー角αが制御された配線
を形成する工程とを有する配線の作製方法である。
【0018】
また、配線の作製方法に関する他の発明の構成は、下地膜上に金属薄膜を形成する工程
と、前記金属薄膜上にレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンを有す
る金属薄膜にエッチングを行い、フッ素を含む反応ガスの流量に応じてテーパー角αが制
御された配線を形成する工程とを有する配線の作製方法である。
【0019】
また、上記配線の作製方法に関する各構成において、前記エッチングは、フッ素を含む
第1反応ガスと塩素を含む第2反応ガスとの混合ガスであるエッチングガスを用い、前記
エッチングガスにおける前記下地膜と前記金属薄膜との選択比が2.5より大きいことを
特徴としている。
【0020】
また、上記配線の作製方法に関する各構成において、前記金属薄膜は、タングステン膜
、タングステン化合物を主成分とする金属化合物膜、またはタングステン合金を主成分と
する金属合金膜から選ばれた薄膜、またはそれらの積層膜であることを特徴としている。
【0021】
また、ドライエッチング方法に関する発明の構成は、タングステン膜、タングステン化
合物を主成分とする金属化合物膜、またはタングステン合金を主成分とする金属合金膜か
ら選ばれた薄膜の所望部分をエッチングガスによって除去するドライエッチング方法であ
って、前記エッチングガスは、フッ素を含む第1反応ガスと塩素を含む第2反応ガスとの
混合ガスであることを特徴とするドライエッチング方法である。
【0022】
また、上記ドライエッチング方法に関する発明の構成において、前記第1反応ガスは、
CF4、C26、またはC48から選ばれたガスであることを特徴としている。
【0023】
また、上記ドライエッチング方法に関する発明の構成において、前記第2反応ガスは、
Cl2、SiCl4、またはBCl3から選ばれたガスであることを特徴としている。
【0024】
また、上記ドライエッチング方法に関する発明の構成において、ICPエッチング装置
を用いてドライエッチングを行うことを特徴としている。。
【0025】
また、上記ドライエッチング方法に関する発明の構成において、前記ICPエッチング
装置のバイアスパワー密度を調節することによってテーパー角αを制御することを特徴と
している。
【0026】
また、ドライエッチング方法に関する他の発明の構成は、エッチングによって形成され
る穴、溝等の内側側壁のテーパー角を、バイアスパワー密度に応じて制御することを特徴
とするドライエッチング方法である。
【0027】
また、ドライエッチング方法に関する他の発明の構成は、エッチングによって形成され
る穴、溝等の内側側壁のテーパー角を、ガスの流量比に応じて制御することを特徴とする
ドライエッチング方法である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、配線のテーパー角αが制御可能な条件、バイアスパワー及びガス流量
比を適宜設定することにより、下地に対する選択比を高くとりつつ、所望のテーパー角α
を得ることができる。その結果、その配線上に形成する膜の被覆性が良好となるため、配
線の欠け、断線、短絡等の不良発生を低減することができる。
【0029】
また、面内分布よくエッチングすることができ、均一な配線形状が得られる。
【0030】
また、本発明をコンタクトホール等の開口工程に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】テーパー角αのバイアスパワー依存性を示した図である。
【図2】テーパー角αとCF4の流量比依存性を示した図である。
【図3】テーパー角αと(W/レジスト)選択比依存性を示した図である。
【図4】ICPエッチング装置のプラズマ生成機構を示した図である。
【図5】マルチスパイラルコイル方式のICPエッチング装置を示した図である。
【図6】テーパー角α、βの説明図である。
【図7】配線の断面SEM写真図である。
【図8】配線の断面SEM写真図である。
【図9】エッチングレート及び(W/レジスト)選択比のバイアスパワー依存性を示した図である。
【図10】エッチングレート及び(W/レジスト)選択比のCF4流量比依存性を示した図である。
【図11】エッチングレート及び(W/レジスト)選択比のICPパワー依存性を示した図である。
【図12】アクティブマトリクス型液晶表示装置の断面構造図。
【図13】アクティブマトリクス型液晶表示装置の断面構造図。
【図14】アクティブマトリクス型液晶表示装置の断面構造図。
【図15】配線の断面構造図。
【図16】アクティブマトリクス型EL表示装置の構成を示す図。
【図17】AM−LCDの外観を示す図。
【図18】電子機器の一例を示す図。
【図19】電子機器の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本願発明の実施形態について、図1〜図8を用いて以下に説明する。
【0033】
本発明では、高密度プラズマを使用するICP(Inductively Coupled Plasma)エッチ
ング装置を使用した。簡略に説明すると、ICPエッチング装置は、低圧力でRF電力を
誘導的にプラズマ中に結合させることで、1011個/cm3以上のプラズマ密度を達成し
て、高選択比かつ高エッチングレートの加工を行うものである。
【0034】
まず、ICPドライエッチング装置プラズマ生成機構について図4を用いて詳細に説明
する。
【0035】
図4にエッチングチャンバーの簡略構造図を示す。チャンバー上部の石英板11上にア
ンテナコイル12を配置し、マッチングボックス13を介してRF電源14に接続されて
いる。また、対向に配置された基板側の下部電極15にもマッチングボックス16を介し
てRF電源17が接続されている。
【0036】
基板上方のアンテナコイル12にRF電流が印加されると、アンテナコイル12にRF
電流Jがθ方向に流れ、Z方向に磁界Bが発生する。
【0037】
【数1】

【0038】
ファラデーの電磁誘導の法則に従い、θ方向に誘導電界Eが生じる。
【0039】
【数2】

【0040】
この誘導電界Eで電子がθ方向に加速されガス分子と衝突し、プラズマが生成される。
誘導電界の方向がθ方向なので、荷電粒子がエッチングチャンバー壁や、基板に衝突して
電荷を消失する確率が低くなる。従って、1Pa程度の低圧力でも高密度のプラズマを発
生させることができる。また、下流へは、磁界Bがほとんどないので、シート状に広がっ
た高密度プラズマ領域となる。
【0041】
アンテナコイル12(ICPパワーが印加される)と基板側の下部電極15(バイアス
パワーが印加される)のそれぞれに印加するRFパワーを調節することによってプラズマ
密度と自己バイアス電圧を独立に制御することが可能である。また、被処理物の材料に応
じて印加するRFパワーの周波数を異ならせることも可能となる。
【0042】
ICPエッチング装置で高密度プラズマを得るためには、アンテナコイル12に流れる
RF電流Jを低損失で流す必要があり、大面積化するためには、アンテナコイル12のイ
ンダクタンスを低下させなければならない。そのために図5に示したようにアンテナを分
割したマルチスパイラルコイル22のICPエッチング装置が開発された。図5中の21
は石英板、23、26はマッチングボックス、24、27はRF電源である。また、チャ
ンバーの底部には、基板28を保持する下部電極25が絶縁体29を介して設けられてい
る。このようなマルチスパイラルコイルを適用したICPを用いたエッチング装置を用い
ると、前記耐熱性導電性材料のエッチングを良好に行うことができる。
【0043】
本発明人らは、このマルチスパイラルコイル方式のICPエッチング装置(松下電器産
業製:E645)を用いてエッチング条件を振り、いくつかの実験を行った。
【0044】
まず、実験に用いたエッチング試料を説明する。絶縁性基板(1737基板)
上に窒化酸化シリコン膜からなる下地膜(200nm)を形成し、その上にスパッタ法に
より金属積層膜を形成した。ここでは純度が6N以上のタングステンターゲットを用いた
。また、スパッタガスとしてはアルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe
)等の単体ガスまたはそれらの混合ガスを用いればよい。なお、スパッタパワー、ガスの
圧力、基板温度等の成膜条件は適宜実施者が制御すればよい。
【0045】
この金属積層膜は下層にWNx(但し、0<x<1)で示される窒化タングステン膜(
膜厚;30nm)を有し、上層にタングステン膜(370nm)を有している。
【0046】
こうして得られる金属積層膜は、不純物元素がほとんど含まれておらず、特に酸素の含
有量は30ppm以下とすることができ、電気抵抗率は20μΩ・cm以下、代表的には
、6μ〜15μΩ・cmとすることができる。また、膜の応力は、−5×109〜5×1
9dyn/cm2とすることができる。
【0047】
なお、本明細書中において窒化酸化シリコン膜とはSiOxNyで表される絶縁膜であり
、珪素、酸素、窒素を所定の割合で含む絶縁膜を指す。
【0048】
このエッチング試料をマルチスパイラルコイル方式のICPエッチング装置を用いて金
属積層膜のパターニング実験を行った。なお、ドライエッチングを行う際には、レジスト
を用いて所望の形状にパターニングしたレジストマスクパターン(膜厚:1.5μm)を
形成しておくことは言うまでもないことである。
【0049】
エッチング処理前のエッチング試料の模式断面図を図6(A)に示した。図6(A)中
、601は基板、602は下地膜、603a、603bは金属積層膜(膜厚X=400n
m)、604a、604bはレジストマスクパターン(膜厚Y=1.5μm)である。ま
た、エッチング処理後の状態を示した図が図6(B)
である。
【0050】
なお、本明細書中において、テーパー角とは図6(B)に示すように、配線603の断
面形状のテーパー部(傾斜部)と下地膜602の表面がなす角αをいう。また、テーパー
角はテーパー部の幅Zと、膜厚Xを用いて、tanα=X/Zと定義できる。
【0051】
本発明人らは、様々なドライエッチング条件を振り、配線の断面形状の観察を行った。
【0052】
実験1)
図1はテーパー角αのバイアスパワー依存性を示した図である。13.56MHzのバ
イアスパワーを20W、30W、40W、60W、100W、即ち、バイアスパワー密度
(W/cm2)を、0.128、0.192、0.256、0.384、0.64にして
実験を行った。なお、下部電極は、12.5cm×12.5cmである。また、レジスト
膜厚は1.5μm、ガス圧は1.0Pa、ガス組成はCF4/Cl2=30/30sccm
(ただし、sccmは標準状態における体積流量(cm3/分)を表す)である。また、
ICPパワーは500W、即ち、ICPパワー密度は、1.02W/cm2である。ただ
し、本明細書中では、ICPパワーをIPCエリア面積(直径25cm)で割った値をI
CPパワー密度(W/cm2)としている。
【0053】
図1より、バイアスパワー密度が高いほど配線のテーパー角αが小さくなることがわか
る。また、単にバイアスパワー密度を調節することにより、所望のテーパー角α=5°〜
85°(好ましくは20°〜70°の範囲)を形成することができる。
【0054】
なお、バイアスパワーを20W(バイアスパワー密度;0.128W/cm2
とした時の断面SEM写真を図7(A)、バイアスパワーを30W(バイアスパワー密度
;0.192W/cm2)とした時の断面SEM写真を図7(B)、バイアスパワーを4
0W(バイアスパワー密度;0.256W/cm2)とした時の断面SEM写真を図7(
C)、バイアスパワーを60W(バイアスパワー密度;0.384W/cm2)とした時
の断面SEM写真を図8(A)、バイアスパワーを100W(バイアスパワー密度;0.
64W/cm2)とした時の断面SEM写真を図8(B)にそれぞれ示した。図7および
図8に示した各SEM写真からテ−パ角αが20°〜70°の範囲に形成されていること
が観察でき、テーパー角αはバイアスパワー密度を変えることで制御できることがわかる

【0055】
これは、タングステンとレジストとの選択比が小さくなり、レジストの後退現象が生じ
るためと考えられる。
【0056】
実験2)
また、図2はテーパー角αとCF4の流量比依存性を示した図である。ガス組成比をC
4/Cl2=20/40sccm、30/30sccm、40/20sccmにして実験
を行った。ガス圧は1.0Pa、バイアスパワー密度は0.128W/cm2、レジスト
膜厚は1.5μm、ICPパワーを500W(ICPパワー密度;1.02W/cm2
である。
【0057】
図2によりCF4の流量比が大きいほどタングステンとレジストとの選択比が大きくなり
、配線のテーパー角αが大きくなることがわかる。また、下地の荒れも少なくなる。下地
の荒れについてはCF4の流量比増(Cl2流量比減)となることで、エッチング異方性が
弱まったことが原因として考えられる。また、単にCF4の流量比を調節することにより
、所望のテーパー角α=5°〜85°(好ましくは60°〜80°の範囲)を形成するこ
とができる。
【0058】
実験3)
また、13.56MHzのICPパワーを400W、500W、600W、即ちICP
パワー密度を0.82、1.02、1.22にして実験を行った。バイアスパワーは20
W(バイアスパワー密度;0.128W/cm2)、レジスト膜厚は1.5μm、ガス圧
は1.0Pa、ガス組成はCF4/Cl2=30/30sccmである。
【0059】
ICPパワー密度が大きくなるにつれタングステンのエッチングレートは大きくなるが、
エッチングレート分布が悪くなる。また、テーパー角の変化は特に見られなかった。
【0060】
実験4)
また、ガス圧を1.0Pa、2.0Paにして実験を行った。ICPパワーは500W
(ICPパワー密度;1.02W/cm2)、ガス組成はCF4/Cl2=30/30sc
cm、バイアスパワーは20W(バイアスパワー密度;0.128W/cm2)、レジス
ト膜厚は1.5μmである。
【0061】
高真空になるにつれタングステンのエッチングレートは早くなり、異方性も強くなる。ま
た、2.0Paでは逆テーパー形状となった。
【0062】
実験5)
また、エッチングガスの総流量を60sccm、120sccmにして実験を行った。
ガス圧は1.0Pa、ICPパワーは500W(ICPパワー密度;1.02W/cm2
)、ガス組成はCF4/Cl2=30/30sccm、バイアスパワーは20W(バイアス
パワー密度;0.128W/cm2)、レジスト膜厚は1.5μmである。
【0063】
エッチングガスの総流量が多いほうが若干レートは大きくなった。
【0064】
上記実験結果からテーパー角は主としてバイアスパワー密度条件に左右されるため、タ
ングステンとレジストの選択比に依存していると考えられる。図3にタングステンとレジ
ストの選択比とテーパー角との依存性を示した。
【0065】
バイアスパワー密度の変化はタングステンのエッチングレートよりもタングステンとレ
ジストの選択比に大きく影響し、バイアスパワー密度を大きくするとタングステンとレジ
ストの選択比は低下する傾向にある。図9(A)にタングステン及びレジストのエッチン
グレートのバイアスパワー密度依存性を示し、図9(B)にタングステンとレジストの選
択比のバイアスパワー密度依存性を示した。
【0066】
つまり、図6(A)及び図6(B)に示したようにタングステンをエッチングすると同
時にレジストもエッチングされるため、タングステンとレジストの選択比が大きいとテー
パー角が大きくなり、タングステンとレジストの選択比が小さいとテーパー角が小さくな
る。
【0067】
また、同様にCF4ガス流量比を小さくすると、タングステンとレジストの選択比は低下
する傾向にある。図10(A)にタングステン及びレジストのエッチングレートのCF4
ガス流量比依存性を示し、図10(B)にタングステンとレジストの選択比のCF4ガス
流量比依存性を示した。
【0068】
また、図11(A)にタングステン及びレジストのエッチングレートのICPパワー密度
依存性を示し、図11(B)にタングステンとレジストの選択比のICPパワー密度依存
性を示した。
【0069】
また、上記各実験ではエッチング試料として、絶縁性基板上に窒化酸化シリコン膜からな
る下地膜(200nm)が形成され、その上に金属積層膜(窒化タングステン膜とタング
ステン膜との積層膜)が形成されたものを用いたが、本発明は、タングステン膜、タング
ステン化合物を主成分とする金属化合物膜、またはタングステン合金を主成分とする金属
合金膜から選ばれた薄膜、またはそれらの薄膜を積層した積層構造であれば適用可能であ
る。ただし、下地膜との選択比が2.5以下である場合や、エッチングレートが極端に小
さいものは除く。例えば、W−Mo合金膜(W:Mo=52:48の重量%比率を有する
)は、下地膜(SiOxNy)との選択比が約1.5以下であり、エッチングレートが約5
0nm/minと小さいため、被加工性という観点から適さない。
【0070】
ここでは、W膜を一例として示したが、一般に知られている耐熱性導電性材料(Ta、T
i、Mo、Cr、Nb、Si等)についてICPエッチング装置を用いると、容易にパタ
ーンの端部をテーパー形状として加工することができる。例えば、Ta膜のエッチング速
度は140〜160nm/minで選択比も6〜8が選られ、W膜のエッチング速度70
〜90nm/min、また選択比2〜4に対して優れた値となっている。従って、被加工
性という観点からはTa膜も適しているが、表中に示さない値として、Ta膜の抵抗率は
20〜30μΩcmであり、W膜の抵抗率が10〜16μΩcmであるのに比べて若干高
い点が難点となる。
【0071】
また、上記ドライエッチングに用いるエッチングガスとしてCF4(四フッ化炭素ガス)
とCl2ガスとの混合ガスを用いたが、特に限定されず、例えば、C26、またはC48
から選ばれたフッ素を含む反応ガスとCl2、SiCl4、またはBCl3から選ばれた塩
素を含むガスとの混合ガスを用いることも可能である。
【0072】
また、本発明のエッチング条件は、特に限定されず、例えば、ICPエッチング装置(松
下電器産業製:E645)を用い、四フッ化炭素ガス(CF4)と塩素(Cl2)を用いた
場合であれば、エッチングガス総流量:60〜120sccmエッチングガス流量比:C
4/Cl2=30/30sccm〜50/10sccmガス圧(エッチングガス雰囲気の
圧力):1.0Pa〜2.0PaICPパワー密度:0.61W/cm2〜2.04W/
cm2(ICPパワー:300W〜1000W)、周波数は、13MHz〜60MHzバ
イアスパワー密度:0.064W/cm2〜3.2W/cm2(バイアスパワー:10W〜
500W)、周波数は、100kHz〜60MHz、好ましくは6MHz〜29MHz基
板温度:0℃〜80℃、好ましくは70℃±10℃であり、この範囲内で適宜、実施者が
エッチング条件を決定すればよい。
【0073】
なお、本明細書中において「電極」とは、「配線」の一部であり、他の配線との電気的
接続を行う箇所、または半導体層と交差する箇所を指す。従って、説明の便宜上、「配線
」と「電極」とを使い分けるが、「電極」という文言に「配線」は常に含められているも
のとする。
【0074】
以上の構成でなる本願発明について、以下に示す実施例でもってさらに詳細な説明を行
うこととする。
【実施例1】
【0075】
本発明の実施例を図12及び図13を用いて説明する。ここでは、画素部の画素TFT
および保持容量と、画素部の周辺に設けられる駆動回路のTFTを同時に作製したアクテ
ィブマトリクス基板を説明する。
【0076】
本実施例の構造は、図12に示したように、絶縁性表面を有する基板101上にTFT
を有している。基板101には、ガラス基板や石英基板を使用することが望ましい。その
他にもシリコン基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを基
板としても良い。耐熱性が許せばプラスチック基板を用いることも可能である。
【0077】
この基板101のTFTが形成される表面には、珪素(シリコン)を含む絶縁膜(本明
細書中では酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、または窒化酸化シリコン膜の総称を指す)
からなる下地膜102を有している。例えば、プラズマCVD法でSiH4、NH3、N2
Oから作製される酸化窒化シリコン膜102aを10〜200nm(好ましくは50〜1
00nm)、同様にSiH4、N2O、H2から作製される酸化窒化水素化シリコン膜10
2bを50〜200nm(好ましくは100〜150nm)の厚さに積層形成した。ここ
では下地膜102を2層構造として示したが、前記絶縁膜の単層膜または2層以上積層さ
せて形成しても良い。
【0078】
また、下地膜102上には、TFTの活性層を有している。この活性層としては、非晶
質構造を有する半導体膜を結晶化させて得た結晶性半導体膜にパターニングを施したもの
を用いた。結晶化方法としては、公知の技術、例えばレーザーアニール法や熱アニール法
(固相成長法)、ラピットサーマルアニール法(RTA法)、または特開平7−1306
52号公報で開示された技術に従って、触媒元素を用いる結晶化法を適用すればよい。な
お、非晶質構造を有する半導体膜には、非晶質半導体膜や微結晶半導体膜があり、非晶質
シリコンゲルマニウム膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜を適用しても良い。
【0079】
上記TFTの活性層を覆うゲート絶縁膜130は、プラズマCVD法またはスパッタ法
を用い、膜厚を40〜150nmとしてシリコンを含む絶縁膜で形成した。本実施例では
、120nmの厚さで酸化窒化シリコン膜から形成した。また、SiH4とN2OにO2
添加させて作製された酸化窒化シリコン膜は、膜中の固定電荷密度が低減されているので
この用途に対して好ましい材料となる。勿論、ゲート絶縁膜はこのような酸化窒化シリコ
ン膜に限定されるものでなく、他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積層構造として用
いても良い。
【0080】
上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極118〜122及び容量電極123は、耐
熱性導電性材料を用い、導電性の窒化物金属膜から成る導電層(A)と金属膜から成る導
電層(B)とを積層した構造を有している。導電層(B)はTa、Ti、Wから選ばれた
元素、または前記元素を成分とする合金か、前記元素を組み合わせた合金膜で形成すれば
良い。本実施例では、純度が6NであるWターゲットを用いたスパッタ法で、Arガスと
窒素(N2)ガスを導入して導電層(A)をWN膜で50nmの厚さに形成し、導電層(
B)をW膜で250nmの厚さに形成した導電積層膜をパターニングしてゲート電極11
8〜122及び容量電極123を完成させた。なお、ゲート電極118〜123の端部に
テーパー部が形成されるようにエッチングする。このエッチング加工はICPエッチング
装置により行う。その技術の詳細は発明の実施の形態に示した通りである。本実施例では
、エッチングガスにCF4とCl2の混合ガスを用い、その流量をそれぞれ30sccmと
して、ICPパワー密度を3.2W/cm2(周波数:13.56MHz)、バイアスパ
ワー密度を0.224W/cm2(周波数:13.56MHz)、ガス圧1.0Paとし
てエッチングを行った。このようなエッチング条件とすることによって、ゲート電極11
8〜122及び容量電極123の端部において、該端部から内側にむかって徐々に厚さが
増加するテーパー部が形成され、その角度は25〜35°、好ましくは30°とすること
ができた。
【0081】
なお、このテーパー形状を有するゲート電極118〜122、及び容量電極123を形
成する際、残渣を残すことなくエッチングするために、10〜20%程度の割合でエッチ
ング時間を増すオーバーエッチングを施したため、ゲート絶縁膜130は、実質的に薄く
なった部分を有している。
【0082】
また、本実施例では、所望のLDD領域を形成するため、端部にテーパー部を有するゲ
ート電極118〜122をマスクとして自己整合的にn型またはp型を付与する不純物元
素をイオンドープ法で活性層に添加した。また、適宜、所望のLDD領域を形成するため
、レジストパターンをマスクとしてn型またはp型を付与する不純物元素をイオンドープ
法で活性層に添加した。
【0083】
こうして、駆動回路の第1のpチャネル型TFT(A)200aには、活性層にチャネ
ル形成領域206、ゲート電極と重なるLDD領域207、高濃度p型不純物領域から成
るソース領域208、ドレイン領域209を有した構造となっている。第1のnチャネル
型TFT(A)201aには、活性層にチャネル形成領域210、低濃度n型不純物領域
で形成されゲート電極119と重なるLDD領域211、高濃度n型不純物領域で形成す
るソース領域212、ドレイン領域213を有している。チャネル長3〜7μmに対して
、ゲート電極119と重なるLDD領域をLovとしてそのチャネル長方向の長さは0.1
〜1.5μm、好ましくは0.3〜0.8μmとする。このLovの長さはゲート電極11
9の厚さとテーパー部の角度から制御する。
【0084】
また、駆動回路の第2のpチャネル型TFT(A)202aは同様に、活性層にチャネ
ル形成領域214、ゲート電極120と重なるLDD領域215、高濃度p型不純物領域
で形成されるソース領域216、ドレイン領域217を有した構造となっている。第2の
nチャネル型TFT(A)203aには、活性層にチャネル形成領域218、ゲート電極
121と重なるLDD領域219、高濃度n型不純物領域で形成するソース領域220、
ドレイン領域221を有している。
LDD領域219は、LDD領域211と同じ構成とする。画素TFT204には、活性
層にチャネル形成領域222a、222b、低濃度n型不純物領域で形成するLDD領域
223a、223b、高濃度n型不純物領域で形成するソースまたはドレイン領域225
〜227を有している。LDD領域223a、223bは、LDD領域211と同じ構成
とする。さらに、容量配線123と、ゲート絶縁膜と、画素TFT204のドレイン領域
227に接続する半導体層228、229とから保持容量205が形成されている。図1
2では、駆動回路のnチャネル型TFTおよびpチャネル型TFTを一対のソース・ドレ
イン間に一つのゲート電極を設けたシングルゲートの構造とし、画素TFTをダブルゲー
ト構造としたが、これらのTFTはいずれもシングルゲート構造としても良いし、複数の
ゲート電極を一対のソース・ドレイン間に設けたマルチゲート構造としても差し支えない

【0085】
また、ゲート電極およびゲート絶縁膜130を覆って保護絶縁膜142を有している。保
護絶縁膜は酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、またはこれらを組み
合わせた積層膜で形成すれば良い。
【0086】
また、保護絶縁膜142を覆って有機絶縁物材料からなる層間絶縁膜143を有している
。有機樹脂材料としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、BC
B(ベンゾシクロブテン)等を使用することができる。
【0087】
また、コンタクトホールを介してそれぞれの活性層に形成されたソース領域またはドレイ
ン領域に接するソース配線またはドレイン配線を層間絶縁膜143上に有している。なお
、ソース配線またはドレイン配線は、144a〜154aで示すTiとアルミニウムの積
層膜と、144b〜154bで示す透明導電膜との積層構造を有している。また、ドレイ
ン配線153a、153bは画素電極として機能するものである。透明導電膜には酸化イ
ンジウム酸化亜鉛合金(In23―ZnO)、酸化亜鉛(ZnO)も適した材料であり、
さらに可視光の透過率や導電率を高めるためにガリウム(Ga)を添加した酸化亜鉛(Z
nO:Ga)などを好適に用いることができる。
【0088】
以上の様な構成は、画素TFTおよび駆動回路が要求する仕様に応じて各回路を構成す
るTFTの構造を最適化し、半導体装置の動作性能と信頼性を向上させることを可能とし
ている。さらにゲート電極として耐熱性を有する導電性材料で形成することによりLDD
領域やソース領域およびドレイン領域の活性化を容易としている。
【0089】
さらに、ゲート電極にゲート絶縁膜を介して重なるLDD領域を形成する際に、導電型
を制御する目的で添加した不純物元素に濃度勾配を持たせてLDD領域を形成することで
、特にドレイン領域近傍における電界緩和効果が高まることが期待できる。
【0090】
また、図12に示したアクティブマトリクス基板はそのまま反射型の液晶表示装置に適
用することができる。
【0091】
次に、図13を用いて、図12に示したアクティブマトリクス基板を適用したアクティ
ブマトリクス型液晶表示装置を説明する。
【0092】
まず、アクティブマトリクス基板上に樹脂膜をパターニングして得られる柱状のスペーサ
405a〜405e、406を形成する。また、スペーサの配置は任意に決定すれば良い
。なお、スペーサは数μmの粒子を散布して設ける方法でも良い。
【0093】
次いで、アクティブマトリクス基板の画素部に、液晶を配向させるためポリイミド樹脂等
からなる配向膜407を設ける。配向膜を形成した後、ラビング処理を施して液晶分子が
ある一定のプレチルト角を持って配向するようにした。
【0094】
対向側の対向基板401には、遮光膜402、透明導電膜403および配向膜404を形
成する。遮光膜402はTi膜、Cr膜、Al膜などを150〜300nmの厚さで形成
する。そして、画素部と駆動回路が形成されたアクティブマトリクス基板と対向基板とを
シール剤408で貼り合わせる。
【0095】
その後、両基板の間に液晶材料409を注入する。液晶材料には公知の液晶材料を用いれ
ば良い。例えば、TN液晶の他に、電場に対して透過率が連続的に変化する電気光学応答
性を示す、無しきい値反強誘電性混合液晶を用いることもできる。この無しきい値反強誘
電性混合液晶には、V字型の電気光学応答特性を示すものもある。このようにして図13
に示す反射型のアクティブマトリクス型液晶表示装置が完成する。
【0096】
一方、透過型の液晶表示装置とする場合には画素部の各画素に設ける画素電極を透明電極
で形成すれば良い。
【実施例2】
【0097】
本実施例は、図14を用いて、上記実施例(トップゲート型TFT)とは異なるボトムゲ
ート型TFTを用いた表示装置を作製した例を示す。
【0098】
まず、絶縁性基板1801上にスパッタ法により金属積層膜を形成する。この金属積層
膜は、下層に窒化タングステン膜を有し、上層にタングステン膜を有している。なお、基
板と接してSiOxNyで表される窒化酸化シリコン膜等の下地膜を形成してもよい。次い
で、所望のゲート配線パターンを得るためのレジストマスクをフォトリソグラフィ法によ
って形成する。
【0099】
ボトムゲート型TFTにおいては、ゲート絶縁膜およびチャネル形成領域などをゲート
配線上に形成する必要がある。ボトムゲート構造のTFT特性、ゲート配線上に形成する
膜の被覆性およびゲート絶縁膜の耐圧を向上させるため、ゲート配線1802〜1805
のテーパー角は60°以下、好ましくは40°以下であることが望ましい。
【0100】
次いで、ICPエッチング装置を用い、上記発明の実施の形態に示したようにバイアス
パワーまたはガス流量比を適宜選択して、ゲート配線1802〜1805のテーパー角を
60°以下、好ましくは40°以下とした。以降の工程は、公知の技術を用いればよく、
特に限定されない。
【0101】
図21中において1814はCMOS回路、1815はnチャネル型TFT、1816
は画素TFT、1817は層間絶縁膜、1818aは画素電極、1818bはITO膜で
ある。このITO膜1818bは、FPC等の外部端子と接続するために設ける。また、
1819は液晶材料、1820は対向電極である。また、1801は第1の基板、180
8はシール領域、1807、1809〜1812は柱状スペーサ、1821は第2の基板
である。
【0102】
なお、本実施例は実施例1と自由に組み合わせることが可能である。
【実施例3】
【0103】
図15に本発明を利用して絶縁表面上に形成された様々な配線構造の一例を示す。図1
5(A)には絶縁表面を有する膜(または基板)1500上にタングステンを主成分とす
る材料1501からなる単層構造の配線の断面図を示した。この配線は、ターゲットとし
ては純度が6Nのものを用い、スパッタガスとしてはアルゴン(Ar)の単体ガスを用い
て形成した膜をパターニングして形成したものである。なお、基板温度を300℃以下と
し、スパッタガスの圧力を1.0Pa以上として応力を制御し、他の条件(スパッタパワ
ー等)は適宜実施者が決定すればよい。
【0104】
上記パターニングの際には、発明の実施の形態に示した方法、例えば、バイアスパワー
密度に応じてテーパー角αを制御する。
【0105】
こうして得られる配線1501の断面形状は、所望のテーパー角αを有している。また、
不純物元素がほとんど含まれておらず、特に酸素の含有量は30ppm以下とすることが
でき、電気抵抗率は20μΩ・cm以下、代表的には、6μ〜15μΩ・cmとすること
ができる。また、膜の応力は、−5×1010〜5×1010dyn/cm2とすることがで
きる。
【0106】
また、図15(B)は、実施例1のゲート電極と同様の二層構造を示した。なお、窒化
タングステン(WNx)を下層とし、タングステンを上層としている。
なお、窒化タングステン膜1502は10〜50nm(好ましくは10〜30nm)とし
、タングステン膜1503は200〜400nm(好ましくは250〜350nm)とす
れば良い。本実施例では、大気に触れることなく、連続的にスパッタ法を用いて積層形成
した。
【0107】
また、図15(C)は、絶縁表面を有する膜(または基板)1500上に形成されたタ
ングステンを主成分とする材料からなる配線1504を絶縁膜1505で覆った例である
。絶縁膜1505は窒化珪素膜、酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜SiOxNy(但し、0<x
、y<1)またはそれらを組み合わせた積層膜で形成すれば良い。
【0108】
また、図15(D)は、絶縁表面を有する膜(または基板)1500上に形成されたタ
ングステンを主成分とする材料からなる配線1506の表面を窒化タングステン膜150
7で覆った例である。なお、図15(A)の状態の配線にプラズマ窒化等の窒化処理を施
すと図15(D)の構造が得られる。
【0109】
また、図15(E)は、絶縁表面を有する膜(または基板)1500上に形成されたタ
ングステンを主成分とする材料からなる配線1509を窒化タングステン膜1510、1
508で囲った例である。なお、図15(B)の状態の配線にプラズマ窒化等の窒化処理
を施すと図15(E)の構造が得られる。
【0110】
また、図15(F)は、図15(E)の状態を形成した後、絶縁膜1511で覆った例
である。絶縁膜1511は窒化珪素膜、酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜またはそれらを組み
合わせた積層膜で形成すれば良い。
【0111】
このように、本発明は様々な配線構造に適用することができる。また、本実施例は実施
例1または実施例2と自由に組み合わせることが可能である。
【実施例4】
【0112】
本実施例では、本発明をシリコン基板上に作製した反射型液晶表示装置に適用した場合
について説明する。本実施例は、実施例1において、結晶質シリコン膜でなる活性層の代
わりに、シリコン基板(シリコンウェハ)に直接的にn型またはp型を付与する不純物元
素を添加し、TFT構造を実現すれば良い。また、反射型であるので、画素電極として反
射率の高い金属膜(例えばアルミニウム、銀、またはこれらの合金(Al−Ag合金)等
を用いれば良い。
【0113】
なお、本実施例の構成は、実施例1〜3のいずれの構成とも自由に組み合わせることが
可能である。
【実施例5】
【0114】
本発明は従来のMOSFET上に層間絶縁膜を形成し、その上にTFTを形成する際に
用いることも可能である。即ち、三次元構造の半導体装置を実現することも可能である。
また、基板としてSIMOX、Smart−Cut(SOITEC社の登録商標)、ELTRA
N(キャノン株式会社の登録商標)などのSOI基板を用いることも可能である。
【0115】
なお、本実施例の構成は、実施例1〜4のいずれの構成とも自由に組み合わせることが
可能である。
【実施例6】
【0116】
本発明はアクティブマトリクス型ELディスプレイに適用することも可能である。その
例を図16に示す。
【0117】
図16はアクティブマトリクス型ELディスプレイの回路図である。81は画素回路を
表しており、その周辺にはX方向駆動回路82、Y方向駆動回路83が設けられている。
また、画素回路81の各画素は、スイッチ用TFT84、コンデンサ85、電流制御用T
FT86、有機EL素子87を有し、スイッチ用TFT84にX方向信号線88a(また
は88b)、Y方向信号線89a(または89b、89c)が接続される。また、電流制御用
TFT86には、電源線90a、90bが接続される。
【0118】
本実施例のアクティブマトリクス型ELディスプレイでは、X方向駆動回路82、Y方
向駆動回路83または電流制御用TFT86に用いられるTFTを実施例1で得られる図
12のpチャネル型TFT200または202、nチャネル型TFT201または203
を組み合わせて形成する。また、スイッチ用TFT84のTFTを図12のnチャネル型
TFT204で形成する。
【0119】
なお、本実施例のアクティブマトリクス型ELディスプレイに対して、実施例1〜5の
いずれの構成を組み合わせても良い。
【実施例7】
【0120】
実施例1の図13で示した上記アクティブマトリクス型液晶表示装置の構成を、図17の
斜視図を用いて説明する。アクティブマトリクス基板(第1の基板)は、ガラス基板80
1上に形成された、画素部802と、ゲート側駆動回路803と、ソース側駆動回路80
4で構成される。画素部の画素TFT805(図13の画素TFT204に相当する)は
nチャネル型TFTであり、画素電極806及び保持容量807(図13の保持容量20
5に相当する)に接続される。
【0121】
また、周辺に設けられる駆動回路はCMOS回路を基本として構成されている。ゲート
側駆動回路803と、ソース側駆動回路804はそれぞれゲート配線808とソース配線
809で画素部802に接続されている。また、FPC810が接続された外部入出力端
子811には駆動回路まで信号を伝達するための入出力配線(接続配線)812、813
が設けられている。また、814は対向基板(第2の基板)である。
【0122】
なお、本明細書中では図17に示した半導体装置をアクティブマトリクス型液晶表示装
置と呼んでいるが、図17に示すようにFPCまで取り付けられた液晶パネルのことを一
般的には液晶モジュールという。従って、本実施例でいうアクティブマトリクス型液晶表
示装置を液晶モジュールと呼んでも差し支えない。
【実施例8】
【0123】
本発明を実施して形成されたTFTは様々な電気光学装置に用いることができる。即ち
、それら電気光学装置を表示媒体として組み込んだ電子機器全てに本発明を実施できる。
【0124】
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ヘッドマウントディスプ
レイ(ゴーグル型ディスプレイ)、ウエアラブルディスプレイ、カーナビゲーション、パ
ーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍
等)などが挙げられる。それらの一例を図18に示す。
【0125】
図18(A)はパーソナルコンピュータであり、本体2001、画像入力部2002、
表示装置2003、キーボード2004で構成される。本願発明を画像入力部2002、
表示装置2003やその他の信号駆動回路に適用することができる。
【0126】
図18(B)はビデオカメラであり、本体2101、表示装置2102、音声入力部2
103、操作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部2106で構成される。本
願発明を表示装置2102、音声入力部2103やその他の信号駆動回路に適用すること
ができる。
【0127】
図18(C)はモバイルコンピュータ(モービルコンピュータ)であり、本体2201
、カメラ部2202、受像部2203、操作スイッチ2204、表示装置2205で構成
される。本願発明は表示装置2205やその他の信号駆動回路に適用できる。
【0128】
図18(D)はゴーグル型ディスプレイであり、本体2301、表示装置2302、ア
ーム部2303で構成される。本発明は表示装置2302やその他の信号駆動回路に適用
することができる。
【0129】
図18(E)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレ
ーヤーであり、本体2401、表示装置2402、スピーカ部2403、記録媒体240
4、操作スイッチ2405で構成される。なお、この装置は記録媒体としてDVD(Di
gtial Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲ
ームやインターネットを行うことができる。
本発明は表示装置2402やその他の信号駆動回路に適用することができる。
【0130】
図18(F)はデジタルカメラであり、本体2501、表示装置2502、接眼部25
03、操作スイッチ2504、受像部(図示しない)で構成される。本願発明を表示装置
2502やその他の信号駆動回路に適用することができる。
【0131】
以上の様に、本願発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用するこ
とが可能である。また、本実施例の電子機器は実施例1〜7のどのような組み合わせから
なる構成を用いても実現することができる。
【実施例9】
【0132】
本発明を実施して形成されたTFTは様々な電気光学装置に用いることができる。即ち
、それら電気光学装置を表示媒体として組み込んだ電子機器全てに本発明を実施できる。
【0133】
その様な電子機器としては、プロジェクター(リア型またはフロント型)などが挙げら
れる。それらの一例を図19に示す。
【0134】
図19(A)はフロント型プロジェクターであり、表示装置2601、スクリーン26
02で構成される。本発明は表示装置やその他の信号駆動回路に適用することができる。
【0135】
図19(B)はリア型プロジェクターであり、本体2701、表示装置2702、ミラ
ー2703、スクリーン2704で構成される。本発明は表示装置やその他の信号駆動回
路に適用することができる。
【0136】
なお、図19(C)は、図19(A)及び図19(B)中における表示装置2601、
2702の構造の一例を示した図である。表示装置2601、2702は、光源光学系2
801、ミラー2802、2804〜2806、ダイクロイックミラー2803、プリズ
ム2807、液晶表示装置2808、位相差板2809、投射光学系2810で構成され
る。投射光学系2810は、投射レンズを含む光学系で構成される。本実施例は三板式の
例を示したが、特に限定されず、例えば単板式であってもよい。また、図19(C)中に
おいて矢印で示した光路に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、
位相差を調節するためのフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0137】
また、図19(D)は、図19(C)中における光源光学系2801の構造の一例を示
した図である。本実施例では、光源光学系2801は、リフレクター2811、光源28
12、2813、2814、偏光変換素子2815、集光レンズ2816で構成される。
なお、図19(D)に示した光源光学系は一例であって特に限定されない。例えば、光源
光学系に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節する
フィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0138】
以上の様に、本願発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用するこ
とが可能である。また、本実施例の電子機器は実施例1〜3及び実施例7のどのような組
み合わせからなる構成を用いても実現することができる。ただし、本実施例におけるプロ
ジェクターは、透過型の液晶表示装置であり、反射型の液晶表示装置には適用できないこ
とは言うまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地膜上に金属薄膜を形成する工程と、
前記金属薄膜上にレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンを有する前記金属薄膜にエッチングを行い、バイアスパワー密度に応じてテーパー角αが制御された配線を形成する工程とを有する配線の作製方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−124508(P2012−124508A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−14497(P2012−14497)
【出願日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【分割の表示】特願2010−251747(P2010−251747)の分割
【原出願日】平成11年7月22日(1999.7.22)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】