説明

半導体装置及び半導体装置の製造方法

【課題】Pチャネル型トランジスタの閾値電圧を制御することができる半導体装置、およびその半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】NTrとPTrとを含む半導体装置において、N型チャネル形成領域とP型チャネル形成領域とを有するN型半導体基板2上に絶縁膜Fが形成され、絶縁膜Fにゲート電極用溝A及びBとが形成され、ゲート電極用溝A及びBの内側表面上にゲート絶縁膜20が形成され、NTr領域におけるゲート絶縁膜20上にNTr仕事関数制御メタル膜21が形成され、NTr仕事関数制御メタル膜21及びゲート絶縁膜20上にフッ素がドープされたPTr仕事関数制御メタル膜23が形成され、PTr仕事関数制御メタル膜23の上層に、ゲート電極用溝に埋め込まれてゲート電極が形成されている構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。詳しくはPチャネル型トランジスタを含む半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタの高集積化、高速化は、スケーリング側に基づきトランジスタの微細化によって実現されてきている。従来のゲートスタック構造として、Poly−Si/SiON,SiOを用いた技術において、電気的にゲート絶縁膜を薄膜化することが困難なため、高誘電率膜(High-k膜)とメタル電極を組み合わせたHigh-k/メタルゲート技術が知られている。
【0003】
この技術をバルクCMOSトランジスタに適用する場合、例えば、Nチャネル型トランジスタとPチャネル型トランジスタの両方に同一の金属からなる仕事関数制御メタル膜を形成し、一方の仕事関数制御メタル膜にフッ素を注入して仕事関数を調整する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、不純物をチャネルへ注入することにより閾値電圧Vthを制御可能にするために、Nチャネル型トランジスタにはSiの伝導帯端の近傍の、Pチャネル型トランジスタには価電子帯端の近傍の仕事関数を有する金属を用いるデュアルメタルゲート(dual metal gate)構造とすることがより好ましい。
【0005】
デュアルメタルゲート構造を実現するために、最初に形成したダミーゲート電極を除去した後に、再びゲート電極を形成するゲートラストプロセスを用いたHigh-k/メタルゲート技術の開発が行われている(例えば、非特許文献1参照。)。
また、ゲートラストで形成したALD(atomic layer deposition)法によるTiN/HfO膜とゲートの積層体をPチャネル型トランジスタに用いることによって、非常に良好なデバイス性能が得られる(例えば、非特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2003−273350号公報
【非特許文献1】S.Yamaguchi et al., “High Performance Dual Metal Gate CMOS with High Mobility and Low Threshold Voltage Applicable to Bulk CMOS Technology”, 2006 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers, IEEE, 2006, VL06
【非特許文献2】K.Tai et al., “High Performance pMOSFET with ALD-TiN/HfO2 Gate Stack on (110) Substrate by Low Temperature Process”, Tech. Dig. ESSDERC, p.121 (2006)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、実効的な仕事関数は、価電子帯端から禁制帯幅の1/4のエネルギーであり、さらに低い閾値電圧Vthを得るためには実効的な仕事関数を高くする必要がある。
特にPチャネル型トランジスタにおけるメタル/High-kスタック構造において、半導体製造工程の後工程でのアニール処理、例えばフォーミングガスアニール処理と、O添加雰囲気アニール処理によってフラットバンド電圧Vbfが変化することが知られており、ガス処理によって仕事関数を変化させることが可能である。しかし、後工程でアニール処理を行うと、上層配線まで積層させてからアニール処理を行うので、アニール処理による仕事関数の変化の度合いが小さくなる可能性がある。また、Nチャネル型トランジスタとPチャネル型トランジスタにおけるゲート電極に異なるメタル材料を用いるので、Pチャネル型トランジスタとNチャネル型トランジスタの両方に適したアニール処理が施せるかという問題がある。
【0007】
したがって本発明は、Pチャネル型トランジスタの閾値電圧を容易に制御することができる構成の半導体装置、およびその半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における半導体装置は、Nチャネル型の第1トランジスタとPチャネル型の第2トランジスタとを含む半導体装置において、前記第1トランジスタ領域において第1チャネル形成領域を有し、前記第2トランジスタ領域において第2チャネル形成領域を有する半導体基板と、前記半導体基板上に形成された絶縁膜と、前記第1トランジスタ領域及び前記第2トランジスタ領域における前記絶縁膜にそれぞれ形成され、底面が前記半導体基板の表面である第1ゲート電極用溝及び第2ゲート電極用溝と、前記第1ゲート電極用溝及び前記第2ゲート電極用溝の少なくとも底部にそれぞれ形成されたゲート絶縁膜と、前記第1ゲート電極用溝内における前記ゲート絶縁膜上に形成された前記第1トランジスタの仕事関数を調整する第1仕事関数制御メタル膜と、前記第1ゲート電極用溝内における前記第1仕事関数制御メタル膜上及び前記第2ゲート電極用溝内における前記ゲート絶縁膜上に形成されたフッ素がドープされた前記第2トランジスタの仕事関数を調整する第2仕事関数制御メタル膜と、前記第1ゲート電極用溝内及び前記第2ゲート電極用溝内における前記第2仕事関数制御メタル膜の上層において、前記第1ゲート電極用溝及び前記第2ゲート電極用溝にそれぞれ埋め込まれて形成された導電層と、前記第1ゲート電極用溝の両側部における前記半導体基板中に形成された第1ソース・ドレイン領域及び、前記第2ゲート電極用溝の両側部における前記半導体基板中に形成された第2ソース・ドレイン領域とを有することを特徴とする。
【0009】
上記の本発明の半導体装置は、Nチャネル型トランジスタ領域とPチャネル型トランジスタ領域において、異なる材質の仕事関数制御メタル膜が形成された状態となる。また、Pチャネル型トランジスタ仕事関数制御メタル膜にフッ素をドープすることによりPチャネル型トランジスタ領域における仕事関数のみを変化させることができる。
【0010】
また、本発明における半導体装置は、Pチャネル型トランジスタを含む半導体装置において、チャネル形成領域を有する半導体基板と、前記半導体基板上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜に形成され、底面が前記半導体基板の表面であるゲート電極用溝と、前記ゲート電極用溝の少なくとも底部に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート電極用溝内における前記ゲート絶縁膜上に形成されたフッ素がドープされた前記Pチャネル型トランジスタの仕事関数を調整する仕事関数制御メタル膜と、前記ゲート電極用溝の両側部における前記半導体基板中に形成されたソース・ドレイン領域とを有することを特徴とする。
【0011】
上記の本発明の半導体装置は、Pチャネル型トランジスタ仕事関数制御メタル膜にフッ素をドープすることによりPチャネル型トランジスタ領域における仕事関数を変化させることができる。
【0012】
また、本発明における半導体装置の製造方法は、Nチャネル型の第1トランジスタとPチャネル型の第2トランジスタとを含む半導体装置の製造方法において、前記第1トランジスタ領域及び前記第2トランジスタ領域における半導体基板にそれぞれ第1ダミーゲート電極及び第2ダミーゲート電極を形成する工程と、前記第1ダミーゲート電極の両側部における前記半導体基板中に第1ソース・ドレイン領域及び前記第2ダミーゲート電極の両側部における前記半導体基板中に第2ソース・ドレイン領域を形成する工程と、前記第1ダミーゲート電極及び前記第2ダミーゲート電極を被覆する絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜の上面から前記第1ダミーゲート電極及び前記第2ダミーゲート電極が露出するまで前記絶縁膜を除去する工程と、前記半導体基板の表面まで前記第1ダミーゲート電極及び前記第2ダミーゲート電極を除去して、それぞれ第1ゲート電極用溝及び第2ゲート電極用溝を形成する工程と、前記絶縁膜上と前記第1ゲート電極用溝の内側表面と前記第2ゲート電極用溝の内側表面とにゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上に前記第1トランジスタの仕事関数を調整する第1仕事関数制御メタル膜を形成する工程と、前記第2トランジスタ領域における前記第1仕事関数制御メタル膜を除去する工程と、前記第1トランジスタ領域における前記第1仕事関数制御メタル膜上及び前記第2トランジスタ領域における前記ゲート絶縁膜上に、前記第2トランジスタの仕事関数を制御する第2仕事関数制御メタル膜を形成する工程と、前記第2仕事関数制御メタル膜にフッ化処理を施す工程と、前記第1ゲート電極用溝及び前記第2ゲート電極用溝を埋め込んで、フッ化処理した前記第2仕事関数制御メタル膜の上層に導電層を形成する工程と、前記第1ゲート電極用溝及び前記第2ゲート電極用溝の外部の前記導電層を除去する工程とを有することを特徴とする。
【0013】
上記の本発明の半導体装置の製造方法は、Nチャネル型トランジスタ領域とPチャネル型トランジスタ領域において、異なる材質により仕事関数制御メタル膜を形成させることができる。また、Pチャネル型トランジスタ仕事関数制御メタル膜にフッ素をドープさせることができる。
【0014】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、Pチャネル型トランジスタを含む半導体装置の製造方法において、チャネル領域を有する半導体基板にダミーゲート電極を形成する工程と、前記ダミーゲート電極の両側部における前記半導体基板中にソース・ドレイン領域を形成する工程と、前記ダミーゲート電極を被覆する絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜の上面から前記ダミーゲート電極が露出するまで前記絶縁膜を除去する工程と、前記半導体基板の表面まで前記ダミーゲート電極を除去してゲート電極用溝を形成する工程と、前記絶縁膜上及び前記ゲート電極用溝の内側表面にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上全面に前記Pチャネル型トランジスタの仕事関数を調整する仕事関数制御メタル膜を形成する工程と、前記仕事関数制御メタル膜にフッ化処理を施す工程とを有することを特徴とする。
【0015】
上記の本発明の半導体装置の製造方法は、Pチャネル型トランジスタ仕事関数制御メタル膜にフッ素をドープさせることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、Pチャネル型トランジスタの閾値電圧を容易に制御することができる構成の半導体装置、およびその半導体装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明に係る半導体装置及びその製造方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
第1実施形態
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の模式断面図である。
図1に示すように、N型半導体基板2にNチャネル型トランジスタ(以下、NTrとも称する)とPチャネル型トランジスタ(以下、PTrとも称する)が形成されている。
【0019】
まず、NTrの構造について説明する。
図1に示すように、NTr領域における、例えばリンなどが添加されたN型半導体基板2にP型不純物が添加されたP型ウェル3が形成されている。
【0020】
そして、例えば、N型半導体基板2及びP型ウェル3に、活性領域(不図示)を区切る素子分離絶縁膜4が形成されている。そして、P型ウェル3上に、例えば、窒化シリコンからなるサイドウォール16及び例えば、酸化シリコンなどからなる層間絶縁膜19を含む絶縁膜Fが形成されている。
【0021】
そして、例えば、絶縁膜Fには、ゲート電極用溝Aが形成されており、ゲート電極用溝Aの少なくとも底部には酸化シリコンより誘電率の高い、いわゆるHigh−k膜あるいは酸化シリコンなどからなるゲート絶縁膜20が形成されている。また、ゲート絶縁膜20は、ゲート電極用溝Aの内側表面に形成されていてもよい。そして、ゲート電極用溝Aにおけるゲート絶縁膜20上には、例えば、La,Er,Y,Yb,Zn,Sc,Pb,Mg,Mn,Al,Hf,Ta,Ti,Zr,Vなどの材料からなる膜、またはそれらの材料を含むシリサイド膜、シリコン窒化膜、カーバイド膜、または前記金属を2種以上含む合金からなる膜などからなり、例えば、膜厚が1〜100nmであるNTr仕事関数制御メタル膜21が形成されている。
【0022】
そして、ゲート電極用溝AにおけるNTr仕事関数制御メタル膜21上に、例えば、WF,NF,CF,CHF,SFなどのフッ素を含むガスによるガス処理またはイオン注入法などによりフッ化処理された、例えば、Ti,Ta,Ru,Pr,Pt,Mo,W,Ni,Co,Cr,Re,Rh,Pbなどの材料からなる膜、またはそれらの材料を含む窒化膜、シリサイド膜、シリコン窒化膜、カーバイド膜、または前記金属を2種以上含む合金からなる膜であり、好適にはTiN膜からなり、例えば、膜厚が1〜100nmであるPTr仕事関数制御メタル膜23が形成されている。上記のようにフッ化処理されることにより、PTr仕事関数制御メタル膜23は、膜全体にフッ素がドープされており、少なくともPTr仕事関数制御メタル膜23と下層との界面まで、フッ素がドープされている。NTr領域にPTr仕事関数制御メタル膜23が形成されているが、ゲート絶縁膜20上ではなく、NTr仕事関数制御メタル膜21上に形成されているため、NTrの閾値電圧には影響を及ぼさない。
【0023】
そして、PTr仕事関数制御メタル膜23上におけるゲート電極用溝Aにゲート電極25が埋め込まれている。ゲート電極25は、例えば、金属または多結晶シリコンなどの導電体材料からなり、好ましくはタングステン(W)からなる。
【0024】
また、サイドウォール16の下部におけるP型ウェル3中には、N型不純物が導入されているN型エクステンション領域15nが形成されている。N型不純物としては、例えばリンである。そして、ゲート電極25の両側であって、N型エクステンション領域15nの外側におけるP型ウェル3中には、N型エクステンション領域15nよりも深いN型ソース・ドレイン領域17nが形成されている。
【0025】
また、P型ウェル3と層間絶縁膜19の境界におけるN型ソース・ドレイン領域17nの上層には、例えば、チタンシリサイド(TiSi)、コバルトシリサイド(CoSi)あるいはニッケルシリサイド(NiSi)などからなる高融点金属シリサイド膜18が形成されている。
このように本実施形態に係る半導体装置1におけるNTrは構成されている。
【0026】
次に、PTrの構造について説明する。
図1に示すように、例えば、チャネル形成領域を有するN型半導体基板2に、活性領域(不図示)を区切る素子分離絶縁膜4が形成されている。そして、N型半導体基板2上に、例えば、窒化シリコンからなるサイドウォール16及び、例えば酸化シリコンなどからなる層間絶縁膜19を含む絶縁膜Fが形成されている。
【0027】
そして、例えば絶縁膜Fには、ゲート電極用溝Bが形成されており、ゲート電極用溝Bの少なくとも底部には酸化シリコンより誘電率の高い、いわゆるHigh−k膜あるいは酸化シリコンなどからなるゲート絶縁膜20が形成されている。また、ゲート絶縁膜20は、ゲート電極用溝Aの内側表面に形成されていてもよい。
【0028】
そして、ゲート電極用溝Bにおけるゲート絶縁膜20上に、例えば、WF,NF,CF,CHF,SFなどのフッ素を含むガスによるガス処理またはイオン注入法などによりフッ化処理された例えばTi,Ta,Ru,Pr,Pt、Mo,W,Ni,Co,Cr,Re,Rh,Pbなどの材料からなる膜、またはそれらの材料を含む窒化膜、シリサイド膜、シリコン窒化膜、カーバイド膜、または前記金属を2種以上含む合金からなる膜であり、好適にはTiN膜からなり、例えば膜厚が1〜100nmであるPTr仕事関数制御メタル膜23が形成されている。上記のようにフッ化処理されることにより、PTr仕事関数制御メタル膜23は、膜全体にフッ素がドープされており、少なくともPTr仕事関数制御メタル膜23と下層との界面までフッ素がドープされている。
【0029】
そして、PTr仕事関数制御メタル膜23上におけるゲート電極用溝Bにゲート電極25が埋め込まれている。ゲート電極25は、例えば金属または多結晶シリコンなどの導電体材料からなり、好ましくはタングステンからなる。
【0030】
また、サイドウォール16の下部におけるN型半導体基板2中には、P型不純物が導入されているP型エクステンション領域15pが形成されている。P型不純物としては、例えばホウ素である。そして、ゲート電極25の両側であってP型エクステンション領域15pの外側におけるN型半導体基板2中には、P型エクステンション領域15pよりも深いP型ソース・ドレイン領域17pが形成されている。
【0031】
また、N型半導体基板2と層間絶縁膜19の境界におけるP型ソース・ドレイン領域17pの上層には、例えばチタンシリサイド(TiSi)、コバルトシリサイド(CoSi)あるいはニッケルシリサイド(NiSi)などからなる高融点金属シリサイド膜18が形成されている。
このように本実施形態に係る半導体装置1におけるPTrは構成されている。
【0032】
上記の本実施形態に係る半導体装置は、NTr領域とPTr領域とで異なる材料からなる仕事関数制御メタル膜を用いることで、それぞれの閾値電圧を個別に制御することが容易になり、低い閾値電圧が得られやすくなる。さらにフッ素がドープされたPTr仕事関数制御メタル膜を用いることにより、低い閾値電圧が得られやすくなる。
【0033】
次に、上記の本実施形態に係る半導体装置の製造方法について図面を参照して説明する。図2から図13は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【0034】
まず、図2に示すように、NTr領域においてP型ウェル3を有するN型半導体基板2に、例えば、STI(Shallow Trench Isolation)法により、活性領域(不図示)を区切る素子分離絶縁膜4を形成する。
次に、例えば熱酸化法により全面に膜厚4nm程度の酸化シリコンを形成し、さらに例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により膜厚が150から200nmのポリシリコンを堆積し、さらに例えば、膜厚が50から100nmの窒化シリコンを堆積させる。続いて、フォトリソグラフィによりゲート形成領域を残してエッチング加工することにより、NTr領域におけるP型ウェル3及びPTr領域におけるN型半導体基板2の活性領域におけるゲート電極形成領域上において、酸化シリコンのダミーゲート絶縁膜12、ポリシリコンからなるダミーゲート電極13、及び窒化シリコンからなるハードマスク層14を積層する。
【0035】
次に図3に示すように、NTr領域におけるP型ウェル3の活性領域において、例えば、ハードマスク層14をマスクとして、N型不純物を浅くイオン注入することによりN型エクステンション領域15nを形成する。N型不純物として例えばリンを用いる。
また、PTr領域におけるN型半導体基板2の活性領域において、例えばハードマスク層14をマスクとして、P型不純物を浅くイオン注入することによりP型エクステンション領域15pを形成する。P型不純物として、例えばホウ素を用いる。
【0036】
次に、図4に示すように、例えば、プラズマCVD法によりN型半導体基板2の全面に堆積させた酸化シリコンを全面にエッチバックして、NTr領域及びPTr領域にサイドウォール16を形成する。そして、NTr領域において、例えばサイドウォール16及びハードマスク層14をマスクとして、N型不純物を深くイオン注入することによりN型ソース・ドレイン領域17nを形成する。
次に、PTr領域において、例えばサイドウォール16及びハードマスク層14をマスクとして、P型不純物を深くイオン注入することによりP型ソース・ドレイン領域17pを形成する。
【0037】
次に、図5に示すように、N型ソース・ドレイン領域17n及びP型ソース・ドレイン領域17pの表面全面にスパッタリングによりチタン、コバルト、ニッケルなどの高融点金属を堆積させ、高融点金属とシリコンとが接触しているところでシリサイド化させて、高融点金属シリサイド膜18を形成する。その後、未反応の高融点金属を除去する。
【0038】
次に、図6に示すように、例えばハードマスク層14を被覆するように全面にCVD法などにより酸化シリコンを堆積させて絶縁層を形成する。その後、ハードマスク層14の表面が露出するまで上面からCMP(Chemical and Mechanical Polishing)法により研磨して、層間絶縁膜19を形成する。
【0039】
次に、図7に示すように、例えばエッチング処理によりダミーゲート電極13及びハードマスク層14を除去する。
このエッチングとして、酸化シリコンのダミーゲート絶縁膜12に対して十分に選択比を有するようなエッチング条件とする。
次に、例えば上記エッチングにより露出したダミーゲート絶縁膜12の表面をアンモニア及びフッ化水素を含むエッチングガスにより処理をする。次に、エッチングガス処理により生成した生成物を分解及び蒸発させる。このようにして、ゲート電極用溝A及びゲート電極用溝Bを形成する。
【0040】
次に、図8に示すように、例えば熱酸化法によりゲート電極用溝A及びゲート電極用溝Bの内側表面及び層間絶縁膜19の表面を被覆して、酸化シリコンより誘電率の高い、いわゆるHigh−k膜、あるいは酸化シリコンなどからなるゲート絶縁膜20を形成する。
【0041】
次に、図9に示すように、例えばCVD法又はスパッタリング法などにより、ゲート絶縁膜20上の全面に、例えばLa,Er,Y,Yb,Zn,Sc,Pb,Mg,Mn,Al,Hf,Ta,Ti、Zr,Vなどの材料からなる膜、またはそれらの材料を含むシリサイド膜、カーバイド膜、または前記金属を2種以上含む合金からなる膜、シリコン窒化膜などからなるNTr仕事関数制御メタル膜21を膜厚が1〜100nmとなるように形成する。
【0042】
次に、図10に示すように、PTr領域におけるNTr仕事関数制御メタル膜21を除去するために、NTr領域における、NTr仕事関数制御メタル膜21上に、例えばスピンコータなどのレジスト塗布装置によりレジストを塗布し、レジストを露光し、スピンデベロッパなどのレジスト現像装置により現像し、レジスト22を形成する。
【0043】
次に、図11に示すように、レジスト22をマスクとして、例えば、ウエットエッチング法などのエッチング処理により、PTr領域におけるNTr仕事関数制御メタル膜21を除去する。このときNTr領域におけるNTr仕事関数制御メタル膜21は、レジスト22により被覆されているため除去されない。
そして、例えばプラズマアッシングなどによりレジスト22を除去する。
【0044】
次に、図12に示すように、例えばCVD法又はスパッタリング法などにより、NTr領域におけるNTr仕事関数制御メタル膜21及びPTr領域におけるゲート絶縁膜20上の全面に、例えば、Ti,Ta,Ru,Pr,Pt、Mo,W,Ni,Co,Cr,Re,Rh,Pbなどの材料からなる膜、またはそれらの材料を含む窒化膜、シリサイド膜、カーバイド膜、または前記金属を2種以上含む合金からなる膜、シリコン窒化膜からなり、好適にはTiN膜からなるPTr仕事関数制御メタル膜23を膜厚が1〜100nmとなるように形成する。
【0045】
次に、図13に示すように、PTr仕事関数制御メタル膜23の全面にフッ化処理を施す。フッ化処理として、例えば、フッ素を含むガスを用いる処理、イオン注入法などがある。フッ化処理をすることにより、PTr仕事関数制御メタル膜23全体にフッ素がドープされる。
ガスを用いる処理としては、例えばWF,NF,CF,CHF,SFなどのフッ素を含むガスを用い、処理温度を250℃から700℃、処理圧力を0.1から200Torrとしてフッ化処理を施す。
【0046】
本実施形態において、イオン注入法によりフッ素をドープさせる方法を採用する場合、ゲート絶縁膜20に欠陥が生じ、トランジスタの特性を劣化させる可能性がある。また、フッ素を深さ方向に対して深くドープすると、N型半導体基板2までフッ素が達し、トランジスタ特性に影響を及ぼす可能性がある。このため、フッ素はPTr領域におけるPTr仕事関数制御メタル膜23とゲート絶縁膜20との界面までドープさせればよく、フッ素をPTr仕事関数制御メタル膜23の深さ方向に対して浅くドープする。
【0047】
次に、図14に示すように、フッ化処理を施したPTr仕事関数制御メタル膜23の上層において、ゲート電極用溝A及びゲート電極用溝Bの内側表面を被覆して、例えばCVD法、ALD法(Atomic Layer Deposition)などにより導電体材料24を成膜する。導電体材料として、例えば金属または多結晶シリコンなどからなり、好ましくは、タングステンである。
CVD法としては、例えば、WF,H,SiH等のプロセスガスを用い、基板温度を350℃から450℃、圧力を1から100Torrとする。
【0048】
その後、例えばCMPなどの研磨によりゲート電極用溝A及びゲート電極用溝Bの外部における層間絶縁膜19上に積層されているゲート絶縁膜20、NTr仕事関数制御メタル膜21、PTr仕事関数制御メタル膜23及び導電体材料24を除去し、ゲート電極25を形成する。
以上の方法により、図1に示す構造の半導体装置と同様の半導体装置を製造することができる。
【0049】
本実施形態の半導体装置の製造方法の場合、NTr領域におけるNTr仕事関数制御メタル膜21上に積層されたPTr仕事関数制御メタル膜23を除去しなくても、NTrの閾値電圧に影響を与えないため、製造工程の簡略化が図れる。また、タングステンはTiN膜と相性がよいため、ゲート電極25としてタングステンを使用し、PTr仕事関数制御メタル膜23としてTiN膜を使用した場合、NTr領域におけるPTr仕事関数制御メタル膜23を残すことにより、ゲート電極25の剥離を防止できる。
【0050】
第2実施形態
図15は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の模式断面図である。
NTr領域におけるゲート電極用溝Aに積層されている膜以外は第1実施形態と同様である。従って、同一部分の説明は省略する。
PTrの構造については、第1実施形態のPTrの構造と同一であるので説明を省略する。
【0051】
NTrの構造について説明する。
ゲート電極用溝Aにおけるゲート絶縁膜20上には、例えば、La,Er,Y,Yb,Zn,Sc,Pb,Mg,Mn,Al,Hf,Ta,Ti、Zr,Vなどの材料からなる膜、またはそれらの材料を含むシリサイド膜、カーバイド膜、または前記金属を2種以上含む合金からなる膜、シリコン窒化膜などからなるNTr仕事関数制御メタル膜21が形成されている。
【0052】
そして、NTr領域におけるNTr仕事関数制御メタル膜21上におけるゲート電極用溝Aにゲート電極25が埋め込まれている。ゲート電極25は、例えば、金属または多結晶シリコンなどの導電体材料からなり、好ましくはタングステンからなる。
このように本実施形態に係る半導体装置1は構成されている。
【0053】
上記の本実施形態に係る半導体装置は、第1実施形態と同様に、NTr領域とPTr領域とで異なる材料からなる仕事関数制御メタル膜を用いることで、それぞれの閾値電圧の制御が容易になり、低い閾値電圧が得られやすくなる。さらにPTr仕事関数制御メタル膜にフッ素をドープすることにより、さらにPTrの閾値電圧の制御が容易となり、低い閾値電圧が得られやすくなる。
【0054】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法について図面を参照して説明する。
まず、図16に示すように、例えば、CVD法又はスパッタリング法などにより、NTr領域におけるNTr仕事関数制御メタル膜21及びPTr領域におけるゲート絶縁膜20上の全面に、例えば、Ti,Ta,Ru,Pr,Pt、Mo,W,Ni,Co,Cr,Re,Rh,Pbなどの材料からなる膜、またはそれらの材料を含む窒化膜、シリサイド膜、カーバイド膜、または前記金属を2種以上含む合金からなる膜、シリコン窒化膜からなり、好適にはTiN膜からなるPTr仕事関数制御メタル膜23を膜厚が1〜100nmとなるように形成する。
【0055】
次に、図17に示すように、NTr領域におけるPTr仕事関数制御メタル膜23を除去するために、PMOSとランジスタ領域における、PTr仕事関数制御メタル膜23上に、例えば、スピンコータなどのレジスト塗布装置によりレジストを塗布し、レジストを露光し、スピンデベロッパなどのレジスト現像装置により現像し、レジスト26を形成する。
【0056】
次に、図18に示すように、レジスト26をマスクとして、例えば、ウエットエッチング法などのエッチング処理により、NTr領域におけるPTr仕事関数制御メタル膜23を除去する。このときPTr領域におけるPTr仕事関数制御メタル膜23は、レジスト26により被覆されているため除去されない。
そして、例えば、プラズマアッシングなどによりレジスト26を除去する。
【0057】
次に、図19に示すように、NTr領域におけるNTr仕事関数制御メタル膜21上にレジスト27を形成し、レジスト27をマスクとして、PTr領域におけるPTr仕事関数制御メタル膜23にフッ化処理を施す。フッ化処理として、例えば、フッ素を含むガスを用いる処理、イオン注入法などがある。フッ化処理をすることにより、PTr仕事関数制御メタル膜23全体にフッ素がドープされる。
ガスを用いる処理としては、例えば、WF,NF,CF,CHF,SFなどのフッ素を含むガスを用い、処理温度を250℃から700℃、処理圧力を0.1から200Torrとして、フッ化処理を施す。
【0058】
次に、図20に示すように、NTr領域におけるNTr仕事関数制御メタル膜21の上層において、ゲート電極用溝Aの内側表面を被覆し、またフッ化処理を施したPTr仕事関数制御メタル膜23の上層において、ゲート電極用溝Bの内側表面を被覆して、例えば、CVD法、ALD法などにより導電体材料24を形成する。導電体材料24は、例えば、金属または多結晶シリコンなどからなり、好ましくは、タングステンである。
CVD法として、例えば、基板温度を350℃から450℃、圧力を1から100Torrとし、WF,H,SiH等のプロセスガスを用いて導電体材料24を形成する。
【0059】
その後、例えば、CMPなどの研磨によりNTr領域におけるゲート電極用溝Aの外部における層間絶縁膜19上に積層されているゲート絶縁膜20、NTr仕事関数制御メタル膜21及び導電体材料24、及びPTr領域におけるゲート電極用溝Bの外部における層間絶縁膜19上に積層されているゲート絶縁膜20、PTr仕事関数制御メタル膜23及び導電体材料24を除去し、ゲート電極25を形成する。
以上の方法により、図15に示す構造の半導体装置と同様の半導体装置を製造することができる。
【0060】
次に、本発明におけるPTr仕事関数制御メタル膜にフッ化処理を施した場合のNTr及びPTrの閾値電圧の変化について、実験結果を用いてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0061】
図21は、トランジスタのRoll−off特性を示す図であり、図21(a)は、PTr仕事関数制御メタル膜にフッ素がドープされた場合とフッ素がドープされていない場合のPTrのRoll−off特性を示す。横軸はゲート長、縦軸は閾値である。また、図21(b)は、PTr仕事関数制御メタル膜にフッ素がドープされた場合とフッ素がドープされていない場合のNTrのRoll−off特性を示す。図21(a)、図21(b)ともに、■はフッ素がドープされた場合を示し、□はフッ素がドープされていない場合を示す。
【0062】
本実験には、図1に示す構造の半導体装置を用い、PTr仕事関数制御メタル膜にフッ素をドープした場合とドープしていない場合のPTr、NTrそれぞれの閾値電圧を測定した。
PTr仕事関数制御メタル膜は、膜厚が1〜50nmであり、処理温度400℃で、数十秒間フッ素を含むガスに曝すことによりフッ素をドープした。
【0063】
図21(a)はPTrのRoll−off特性を示す。図21(a)からPTr仕事関数制御メタル膜にフッ素をドープした場合、フッ素をドープしていない場合と比べて、PTrの閾値電圧の絶対値が低下することが分かる。
【0064】
図21(b)はNTrのRoll−off特性を示す。図21(b)からPTr仕事関数制御メタル膜にフッ素をドープした場合、NTrの閾値電圧はフッ素をドープしていない場合とほぼ同一であることが分かる。
【0065】
従って、本発明に係る半導体装置によれば、PTr仕事関数制御メタル膜にフッ素をドープすることにより、NTrの閾値電圧を変化させずに、PTrの閾値電圧のみを変化させることができる。
【0066】
なお、上記の本実施形態におけるNTrは、本発明の第1トランジスタに相当する。また、PTrは、本発明の第2トランジスタに相当する。また、NTr領域は、第1トランジスタ領域に相当する。また、PTr領域は、第2トランジスタ領域に相当する。また、NTr仕事関数制御メタル膜21は、本発明の第1仕事関数制御メタル膜に相当する。また、PTr仕事関数制御メタル膜23は、本発明の第2仕事関数制御メタル膜に相当する。
【0067】
本発明は上記の説明に限定されない。
例えば、半導体装置における半導体基板をN型半導体基板として説明したが、P型半導体基板であってもよい。また、P型半導体基板とした場合、ウェル領域、エクステンション領域、ソース・ドレイン領域にドープさせる不純物を適宜変更する。
また、例えば、NTr仕事関数制御メタル膜及びPTr仕事関数制御メタル膜を構成する材料は、上記の実施形態に限定されない。
また、例えば、半導体装置の製造方法において、ダミーゲート絶縁膜を除去せずに、ダミーゲート絶縁膜をゲート絶縁膜としてもよい。
また、成膜方法は、上記の実施形態に限定されない。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図11】図11は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図12】図12は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図13】図13は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図14】図14は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図15】図15は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図16】図16は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図17】図17は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図18】図18は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図19】図19は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図20】図20は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図21】図21は、本発明の一実施形態に係る半導体装置であるトランジスタのRoll−off特性を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1:半導体装置 2:N型半導体基板 3:P型ウェル 4:素子分離絶縁膜 12:ダミーゲート絶縁膜 13:ダミーゲート電極 14:ハードマスク層 15n:N型エクステンション領域 15p:P型エクステンション領域 16:サイドウォール 17n:N型ソース・ドレイン領域 17p:P型ソース・ドレイン領域 18:高融点金属シリサイド膜 19:層間絶縁膜 20:ゲート絶縁膜 21:NTr仕事関数制御メタル膜 22:レジスト 23:PTr仕事関数制御メタル膜 24:導電体材料 25:ゲート電極 26:レジスト 27:レジスト A:ゲート電極用溝 B:ゲート電極用溝 F:絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Nチャネル型の第1トランジスタとPチャネル型の第2トランジスタとを含む半導体装置において、
前記第1トランジスタ領域において第1チャネル形成領域を有し、前記第2トランジスタ領域において第2チャネル形成領域を有する半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された絶縁膜と、
前記第1トランジスタ領域及び前記第2トランジスタ領域における前記絶縁膜にそれぞれ形成され、底面が前記半導体基板の表面である第1ゲート電極用溝及び第2ゲート電極用溝と、
前記第1ゲート電極用溝及び前記第2ゲート電極用溝の少なくとも底部にそれぞれ形成されたゲート絶縁膜と、
前記第1ゲート電極用溝内における前記ゲート絶縁膜上に形成された前記第1トランジスタの仕事関数を調整する第1仕事関数制御メタル膜と、
前記第1ゲート電極用溝内における前記第1仕事関数制御メタル膜上及び前記第2ゲート電極用溝内における前記ゲート絶縁膜上に形成されたフッ素がドープされた前記第2トランジスタの仕事関数を調整する第2仕事関数制御メタル膜と、
前記第1ゲート電極用溝内及び前記第2ゲート電極用溝内における前記第2仕事関数制御メタル膜の上層において、前記第1ゲート電極用溝及び前記第2ゲート電極用溝にそれぞれ埋め込まれて形成された導電層と、
前記第1ゲート電極用溝の両側部における前記半導体基板中に形成された第1ソース・ドレイン領域及び、前記第2ゲート電極用溝の両側部における前記半導体基板中に形成された第2ソース・ドレイン領域とを有することを特徴とする、
半導体装置。
【請求項2】
前記第2仕事関数制御メタル膜は、前記第2ゲート電極用溝内における前記ゲート絶縁膜上に形成され、
前記導電層は、前記第1ゲート電極用溝内における前記第1仕事関数制御メタル膜の上層及び前記第2ゲート電極用溝内における前記第2仕事関数制御メタル膜の上層において、前記第1ゲート電極用溝及び前記第2ゲート電極用溝にそれぞれ埋め込まれて形成されている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2仕事関数制御メタル膜はフッ素がドープされた窒化チタンからなり、
前記導電層はタングステンからなる、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
Pチャネル型トランジスタを含む半導体装置において、
チャネル形成領域を有する半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜に形成され、底面が前記半導体基板の表面であるゲート電極用溝と、
前記ゲート電極用溝の少なくとも底部に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート電極用溝内における前記ゲート絶縁膜上に形成されたフッ素がドープされた前記Pチャネル型トランジスタの仕事関数を調整する仕事関数制御メタル膜と、
前記ゲート電極用溝の両側部における前記半導体基板中に形成されたソース・ドレイン領域とを有することを特徴とする、
半導体装置。
【請求項5】
前記ゲート電極用溝内における仕事関数制御メタル膜の上層において、前記ゲート電極用溝に埋め込まれて形成された導電層を有する、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記仕事関数制御メタル膜はフッ素がドープされた窒化チタンからなり、
前記導電層はタングステンからなる、
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
Nチャネル型の第1トランジスタとPチャネル型の第2トランジスタとを含む半導体装置の製造方法において、
前記第1トランジスタ領域及び前記第2トランジスタ領域における半導体基板にそれぞれ第1ダミーゲート電極及び第2ダミーゲート電極を形成する工程と、
前記第1ダミーゲート電極の両側部における前記半導体基板中に第1ソース・ドレイン領域及び前記第2ダミーゲート電極の両側部における前記半導体基板中に第2ソース・ドレイン領域を形成する工程と、
前記第1ダミーゲート電極及び前記第2ダミーゲート電極を被覆する絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜の上面から前記第1ダミーゲート電極及び前記第2ダミーゲート電極が露出するまで前記絶縁膜を除去する工程と、
前記半導体基板の表面まで前記第1ダミーゲート電極及び前記第2ダミーゲート電極を除去して、それぞれ第1ゲート電極用溝及び第2ゲート電極用溝を形成する工程と、
前記絶縁膜上と前記第1ゲート電極用溝の内側表面と前記第2ゲート電極用溝の内側表面とにゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上に前記第1トランジスタの仕事関数を調整する第1仕事関数制御メタル膜を形成する工程と、
前記第2トランジスタ領域における前記第1仕事関数制御メタル膜を除去する工程と、
前記第1トランジスタ領域における前記第1仕事関数制御メタル膜上及び前記第2トランジスタ領域における前記ゲート絶縁膜上に、前記第2トランジスタの仕事関数を制御する第2仕事関数制御メタル膜を形成する工程と、
前記第2仕事関数制御メタル膜にフッ化処理を施す工程と、
前記第1ゲート電極用溝及び前記第2ゲート電極用溝を埋め込んで、フッ化処理した前記第2仕事関数制御メタル膜の上層に導電層を形成する工程と、
前記第1ゲート電極用溝及び前記第2ゲート電極用溝の外部の前記導電層を除去する工程とを有することを特徴とする、
半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第2仕事関数制御メタル膜にフッ化処理を施す工程の後に、前記第1トランジスタ領域における前記第2仕事関数制御メタル膜を除去する工程と、
前記第1トランジスタ領域における前記第1仕事関数制御メタル膜及び前記第2トランジスタ領域における前記第2仕事関数制御メタル膜上に導電層を形成する工程とを有する、
請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記フッ化処理を施す工程において、フッ素を含むガスを用いて前記第2仕事関数制御メタル膜にガス処理を施す、
請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
Pチャネル型トランジスタを含む半導体装置の製造方法において、
チャネル領域を有する半導体基板にダミーゲート電極を形成する工程と、
前記ダミーゲート電極の両側部における前記半導体基板中にソース・ドレイン領域を形成する工程と、
前記ダミーゲート電極を被覆する絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜の上面から前記ダミーゲート電極が露出するまで前記絶縁膜を除去する工程と、
前記半導体基板の表面まで前記ダミーゲート電極を除去してゲート電極用溝を形成する工程と、
前記絶縁膜上及び前記ゲート電極用溝の内側表面にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上全面に前記Pチャネル型トランジスタの仕事関数を調整する仕事関数制御メタル膜を形成する工程と、
前記仕事関数制御メタル膜にフッ化処理を施す工程とを有することを特徴とする、
半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記ゲート電極用溝を埋め込んで、フッ化処理した前記仕事関数制御メタル膜の上層に導電層を形成する工程と、
前記ゲート電極用溝の外部の前記導電層を除去する工程とを有する、
請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記フッ化処理を施す工程において、フッ素を含むガスを用いて前記仕事関数制御メタル膜にガス処理を施す、
請求項10に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−33032(P2009−33032A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197572(P2007−197572)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】